(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】基板の裏面保護
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20230622BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230622BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230622BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 A
H01L21/31 B
C23C16/458
(21)【出願番号】P 2021576430
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 FI2019050492
(87)【国際公開番号】W WO2020260742
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-01-21
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3, FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ホルム ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】コスタモ ユハナ
(72)【発明者】
【氏名】プダス マルコ
【審査官】小▲高▼ 孔頌
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135598(JP,A)
【文献】特開平08-191097(JP,A)
【文献】特開平09-027538(JP,A)
【文献】国際公開第2018/146370(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/67-21/683
H01L 21/31
C23C 16/00-16/56
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む、基板処理装置における方法であって、
前記サセプタの前記支持インターフェース及び前記支持部の前記支持インターフェースはピンインターフェースであり、前記ピンインターフェースのピン数は3又は4である
、方法。
【請求項2】
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む、基板処理装置における方法であって、
前記サセプタの移動を、それに取り付けられた反応室蓋を移動させることによって行う
、方法。
【請求項3】
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む、基板処理装置における方法であって、
フレーム部と前記基板との間に隙間を空けるように、前記フレーム部を前記基板上に下降させることを含む
、方法。
【請求項4】
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む、基板処理装置における方法であって、
保護流体を、前記支持部の入口から前記基板の下にある前記支持部の凹部に流し、そこから隆起部を越えて前記支持部の複数の側方ポケットに流し、さらにフレーム部と前記基板との間の隙間を介して前記基板の上表面に流すことを含む
、方法。
【請求項5】
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む、基板処理装置における方法であって、
複数の側方ポケットからフレーム部と前記サセプタとの間の隙間へと、前記保護流体の経路を設けることを含む
、方法。
【請求項6】
前記サセプタの前記支持インターフェース及び前記支持部の前記支持インターフェースにより、前記基板の縁部のみで前記基板に接触することを含む、請求項1
から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記サセプタの移動は下降移動である、請求項1から
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記サセプタの前記支持インターフェースにより、エンドエフェクタから前記基板を受けることを含む、請求項1から
7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
下降した前記サセプタ、又は下降した前記サセプタの一部を、前記支持部に含まれる複数の側方ポケットによって受け入れることを含む、請求項1から
8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ロード開口部を形成するために、反応室を上部対向表面から下降させることを含む、請求項1から
9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
反応室の周囲に真空室を備える、請求項1から
10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
順次自己飽和表面反応によって、前記基板の上表面に材料を堆積させることを含む、請求項1から
11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記材料を堆積させることは、光子増強原子層堆積プロセス又はプラズマ増強原子層堆積プロセスである、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記保護流体は、別の経路で反応室に供給される不活性ガスとは異なるガスである、請求項1から
13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
基板を受ける支持インターフェースを有するサセプタと、
支持インターフェースを有する支持部と、
前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動し、さらに前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタを移動する移動手段と、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体の流れを提供する入口と、
を備える基板処理装置であって、
前記サセプタの前記支持インターフェース及び前記支持部の前記支持インターフェースはピンインターフェースであり、前記ピンインターフェースのピン数は3又は4である
、基板処理装置。
【請求項16】
基板を受ける支持インターフェースを有するサセプタと、
支持インターフェースを有する支持部と、
前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動し、さらに前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタを移動する移動手段と、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体の流れを提供する入口と、
を備える基板処理装置であって、
前記サセプタに取り付けられた反応室蓋であって、該反応室蓋を移動させることで前記サセプタの移動を行う反応室蓋を備える
、基板処理装置。
【請求項17】
基板を受ける支持インターフェースを有するサセプタと、
支持インターフェースを有する支持部と、
前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動し、さらに前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタを移動する移動手段と、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体の流れを提供する入口と、
を備える基板処理装置であって、
前記支持部内の入口と凹部であって、保護流体を、該入口から前記基板の下の該凹部に流し、そこから前記支持部の複数の側方ポケットに流すための入口と凹部とを備える
、基板処理装置。
【請求項18】
前記サセプタの前記支持インターフェース及び前記支持部の前記支持インターフェースは、前記基板の縁部のみで前記基板と接触するように構成される、請求項
15から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記サセプタの下降動作によって、前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるように構成される、請求項
15から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
下降した前記サセプタ、又は下降した前記サセプタの一部を受け入れる、前記支持部の複数の側方ポケットを有する、請求項
15から19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
前記基板上に下降させるフレーム部を備える、請求項
15から
20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
上部対向表面を備え、下降動作によって反応室を前記上部対向表面から取り外し、ロード開口部を形成するように構成される、請求項
15から
21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
反応室の周囲に真空室を備える、請求項
15から
22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
順次自己飽和表面反応によって前記基板の上表面に材料を堆積させるように構成される、請求項
15から
23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
光子増強原子層堆積反応器又はプラズマ増強原子層堆積反応器である、請求項
15から
24のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、基板処理方法及び装置、特に化学的堆積方法及び堆積反応器に関する。より具体的に、かつ非限定的には、本発明は原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)反応器に関する。
【背景】
【0002】
本項では有用な背景情報を示すが、本明細書に記載されているいかなる技術も先行技術を代表すると認めるものではない。
【0003】
特定の用途では、望ましくない粒子による基板の汚染を最小限に抑えることが最も重要である。例えば、使用する放射線を透過又は反射するマスクは、その表面に望ましくない粒子があると、かなり影響を受ける場合がある。
【摘要】
【0004】
したがって、本発明の実施形態の目的は、望ましくない粒子の発生を最小限に抑えた方法及び装置を提供すること、又は少なくとも、既存の技術に代わるものを提供することである。本発明の実施形態のさらなる目的は、1つ又は複数の基板上の裏面成長を防止することである。
【0005】
本発明の第1の例示的態様によれば、基板処理装置における方法が提供される。前記方法は、
サセプタの支持インターフェースによって基板を受けることと、
前記基板を支持部の支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動することと、
前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタをさらに移動することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む。
【0006】
ある実施形態では、前記基板処理装置は堆積反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は真空堆積反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は洗浄装置である。ある実施形態では、前記基板処理装置はエッチング装置である。ある実施形態では、前記基板処理装置は、前記基板表面で順次自己飽和表面反応を行うように構成された堆積反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は分子層堆積(Molecular Layer Deposition:MLD)反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置はプラズマ増強原子層堆積(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition:PEALD)反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は、例えばUV光で増強された光子増強原子層堆積(UV-ALD)反応器である。ある実施形態では、前記基板処理装置は真空中で動作する。真空の質は、装置の部分によって異なってもよい。
【0007】
ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースは、エンドエフェクタから前記基板を受け取る。ある実施形態では、前記エンドエフェクタはロードロックを介して動作する。ある実施形態では、前記サセプタは反応室内で前記基板を受ける。ある実施形態では、前記エンドエフェクタは、水平方向の動きによって、前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースの上に持ってくる。ある実施形態では、前記エンドエフェクタは、一方の側から、前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースの上に持ってくる。ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースは、垂直方向に移動して前記基板に接触し、前記エンドエフェクタから前記基板を外す(持ち上げる)。ある実施形態では、前記エンドエフェクタはその後、前記基板の下から引き出される。
【0008】
ある実施形態では、作動ロボットの垂直方向の動きによって、前記基板が下降してサセプタと接触する。
【0009】
ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースが前記基板を搬送する。ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースは、前記基板が支持部の支持インターフェースに接触するまで下降する。ある実施形態では、前記支持部はベース部又は底部である。ある実施形態では、前記支持部はチャックである。
【0010】
ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースをさらに下降させて、前記サセプタの前記支持インターフェースから前記基板を取り外し、前記支持部の前記支持インターフェース上に前記基板を置く。
【0011】
ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースを下降させることは、前記サセプタ全体を下降させることによって行われる。ある実施形態では、前記支持部は、下降した前記サセプタ、又は下降した前記サセプタの一部を受け入れる複数のポケットを有する。ある実施形態では、前記支持部は、基板の対向する両側、すなわち左側と右側に、ポケットを有する。
【0012】
ある実施形態では、前記支持部の全体的な形状(水平断面形状)は、前記基板の形状(例えば、矩形、円形、円筒形)に対応している。
【0013】
ある実施形態では、前記サセプタは反応室蓋に取り付けられる。ある実施形態では、前記サセプタ(及びその支持インターフェース)の移動は、それに取り付けられた前記反応室蓋を移動させることによって行われる。
【0014】
ある実施形態では、開口部を有する垂直方向に移動可能なフレーム部が設けられる。ある実施形態では、前記フレーム部には、前記基板のために確保された領域よりも小さい寸法の開口部が設けられる。言い換えれば、前記フレーム部は、前記基板より内側に延在するフレーム部である。ある実施形態では、前記フレーム部は、前記基板表面又は両方の表面(上表面と下表面)の高さよりも下に延在する縁部を有する。
【0015】
ある実施形態では、前記フレーム部と前記基板との間に隙間(第1の隙間)が設けられる。ある実施形態では、前記フレーム部は、前記第1の隙間を空けるように前記基板上に下降する。ある実施形態では、前記隙間は、水平成分を有する流体のみを通過させるように狭くなっている。ある実施形態では、前記フレーム部は、円形又は丸みを帯びた断面を有する縁部を有する。ある実施形態では、これは、前記基板、又は前記基板の縁部(すなわち鋭い縁部)に対して、少なくとも部分的に丸い又は丸みを帯びた縁部を設けるためである。
【0016】
ある実施形態では、前記フレーム部が前記サセプタに取り付けられるか、前記フレーム部が前記サセプタの一部を形成する。ある実施形態では、前記フレーム部が前記反応室蓋に取り付けられるか、前記フレーム部と前記サセプタとの組み合わせが前記反応室蓋に取り付けられる。ある実施形態では、前記垂直方向の移動、例えば、前記フレーム部の下降は、前記反応室蓋を下降させることによって行われる。ある実施形態では、前記サセプタ、フレーム部、及び反応室蓋は、全体として垂直方向に移動可能な統一体を形成する。
【0017】
ある実施形態では、前記フレーム部(又は前記フレーム部の下表面)と前記支持部との間に隙間(第2の隙間)が設けられる。
【0018】
ある実施形態では、前記基板は、上面と下面とを有する矩形の基板である。ある実施形態では、前記基板は、上面と下面とをつなぐ側面又は側部をさらに有する。ある実施形態では、前記側面は、前面、背面、右面、及び左面を含む。ある実施形態では、前記側面の大きさは、前記上面と前記下面の大きさよりかなり小さい。前記側面(前面、背面、右面、及び左面)は、内部で前記サセプタが待機している前記反応室に前記エンドエフェクタなどのローダが前記基板をロードする際の、ロード方向に応じて決定される。
【0019】
ある実施形態では、前記基板は円筒形である。ある実施形態では、前記基板すなわち円筒形の基板は、その周りに連続した縁部を有する。
【0020】
ある実施形態では、前記基板は、その縁部のみ、すなわち鋭い縁部のみで接触する。ある実施形態では、前記サセプタの前記支持インターフェースと前記支持部の前記支持インターフェースは、前記エンドエフェクタが接触する縁部とは異なる縁部で前記基板に接触する。例えば、ある実施形態では、前記エンドエフェクタは、前記基板の前記下面と前記背面との間の縁部及び前記下面と前記前面との間の縁部に接触するのに対し、前記サセプタの前記支持インターフェース及び前記支持部の前記支持インターフェースは、前記基板の前記下面と前記左面との間の縁部及び前記下面と前記右面との間の縁部に接触する。ここでいう縁部とは、前記基板の2つの面、例えば下面と側面との間の線分又は境界線を意味する。
【0021】
ある実施形態の前記サセプタの前記支持インターフェースは、異なる側、例えば対向する両側にある少なくとも3本のピンを有するピンインターフェースであり、異なる方向から前記基板に接触して前記基板のバランスをとる。ある実施形態では、前記ピンインターフェースは、一方の側に2本のピン、反対側に1本のピンを有する。他の実施形態では、前記ピンインターフェースは、両側に2本のピン(合計4本のピン)を有する。同様に、前記支持部の前記支持インターフェースは、異なる側、例えば対向する両側にある少なくとも3本のピンを有するピンインターフェースであり、異なる方向から前記基板に接触して前記基板のバランスをとる。ある実施形態では、前記サセプタの前記ピンインターフェースが一方の側に2本のピンを有し、反対側に1本のピンを有する場合、前記支持部の前記ピンインターフェースは、前記サセプタのピンインターフェースが2本のピンを有する側に1本のピンのみを有し、前記サセプタの前記ピンインターフェースが1本のピンのみを有する側に2本のピンを有する。ある実施形態では、前記ピンインターフェースは、各側に1本のピンのみ有する。この場合、矩形の基板では、該基板の3つ又は4つの側それぞれに1本のピンを配置することができる。
【0022】
ある実施形態の前記エンドエフェクタは支持インターフェースも有する。ある実施形態では、この支持インターフェースは、前記縁部で前記基板に接触するピン(3本又は4本以上のピン)を有するピンインターフェースである。
【0023】
ある実施形態では、前記基板は前記縁部でのみ接触する(又は保持される、又は支持される)。ある実施形態の前記ピンの形状は、前記基板に斜めの角度で接触できるようになっている。ある実施形態では、前記ピンの端部形状は円錐形又は球形で、例えば半球体の形をしており、接触面積を最小化している。したがって、ある実施形態では、前記基板は主表面、すなわち上表面と下表面に全く触れることなく支持される。
【0024】
ある実施形態では、1つ又は複数の前記支持インターフェースは、穴のある溝付き部品一式によって実装される。
【0025】
ある実施形態では、前記基板は丸みを帯びた基板、例えば、円形の基板である。また、これらの実施形態では、前記基板の縁部のみに接触してもよい。また、異なる部品と前記基板との接触は、前述のように異なる側縁部で行われてもよい。
【0026】
ある実施形態では、前記サセプタの前記ピンと前記支持部の前記ピンは、前記基板の異なる側に(又は、丸みを帯びた基板の場合は同じ円弧に沿って)並べられ、前記サセプタの前記ピンから前記支持部の前記ピンへと前記基板が移る際の水平方向のずれを最小限に抑えている。
【0027】
ある実施形態では、前記基板と前記支持部との間の前記空間への保護流体の流れは、前記支持部のガス(又は流体)入口によって供給される。ある実施形態では、前記ガス入口は、前記基板の下にある前記支持部の凹部に配置される。ある実施形態では、前記基板の下の前記凹部は、前記基板の前記縁部の近くまで延在する。ある実施形態では、前記基板下の前記凹部は、隆起部によって前記縁部から分離されている。ある実施形態では、前記隆起部(の上面)と前記基板の前記下面との間に小さな隙間(第3の隙間)がある。ある実施形態では、前記凹部は、前記基板の前記下面からの垂直方向の距離がそれぞれの場所で等しい。ある実施形態では、前記凹部は段差のある縁部ではなく、前記基板の前記縁部に向かって垂直方向の距離が均等に減少する。
【0028】
ある実施形態では、前記保護流体は前記入口から前記凹部に入り、そこから前記基板の前記下面に沿って、前記第3の隙間を介して前記基板の各側に流れる(ポケットを含む側では、前記保護流体は前記サセプタポケットにも流れる)。ある実施形態の前記保護流体の流れは、前記基板の前記側面(又は側部)からの2つ経路に分かれる。第1の経路は、前記第1の隙間を介して前記基板の前記上面に延在する。前記第1の隙間を介した流れにより、前記上面に存在する反応性化学物質が前記第1の隙間に入るのを防ぐ対抗圧力が生じる。第2の経路は、前記第2の隙間を介して排気へと延在し、前記ポケットを洗浄する。ただし、ある実施形態では、前記第1の経路のみが存在する。ある実施形態では、前記保護流体の流れは、マスフローコントローラやバルブ、又はそれらの組み合わせなどの手段を用いて、流れを一定に保ったり、プロセスサイクルに沿って流れを調整したり、プロセスサイクルの異なる段階で流れを変化させたりするように制御される。ある実施形態では、保護流体の流れ制御により、前記基板、前記フレーム、前記基板ホルダ(又はサセプタ)などの前述の部品間における任意のポイント又は任意の隙間で流れの方向を変えてもよい。
【0029】
ある実施形態では、光学センサなどの熱センサは、底部から前記基板に向けて配置され、前記反応室の外側に配置される。
【0030】
ある実施形態では、前記反応室を下降させてロード開口部を設ける。ある実施形態では、前記支持部は前記反応室とともに下降/上昇する。
【0031】
ある実施形態では、前記反応室の壁にあるドアやハッチを開いて、ロード開口部を設ける。
【0032】
本発明の第2の例示的態様によれば、基板処理装置が提供される。前記基板処理装置は、
基板を受ける支持インターフェースを有するサセプタと、
支持インターフェースを有する支持部と、
前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるべく前記サセプタを移動し、さらに前記基板を前記サセプタの前記支持インターフェースから外すべく前記サセプタを移動する移動手段と、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体の流れを提供する入口と、
を備える。
【0033】
前記移動手段は、アクチュエータ、すなわち作動手段を含んでもよい。
【0034】
ある実施形態では、前記支持インターフェースは、前記基板の縁部のみで前記基板と接触するように構成される。
【0035】
ある実施形態では、前記支持インターフェースはピンインターフェースであり、それぞれのピンインターフェースのピン数は3又は4である。
【0036】
ある実施形態では、前記装置は、前記サセプタの下降動作によって、前記基板を前記支持部の前記支持インターフェースに接触させるように構成される。
【0037】
ある実施形態では、前記装置は、下降した前記サセプタ、又は下降した前記サセプタの一部を受け入れる、前記支持部の側方ポケットを有する。
【0038】
ある実施形態では、前記装置は、前記サセプタに取り付けられた反応室蓋であって、該反応室蓋を移動させることで前記サセプタの移動を行う反応室蓋を備える。
【0039】
ある実施形態では、前記装置は、前記基板の上に下降させるフレーム部であって、オプションで、前記基板との間に隙間を空けるフレーム部を備える。
【0040】
ある実施形態では、前記装置は、前記支持部内の入口と凹部であって、保護流体を、該入口から前記基板の下の該凹部に流し、そこから前記支持部の側方ポケットに流すための入口と凹部とを備える。
【0041】
ある実施形態では、前記凹部から前記側方ポケットへの経路は、前記支持部に含まれる隆起部を越えて延びる。
【0042】
ある実施形態では、前記装置は、前記フレーム部と前記基板との間に隙間を設け、当該隙間を介して前記保護流体を前記基板の上表面に流すようにさらに構成される。
【0043】
ある実施形態では、前記装置は、上部対向表面を備え、下降動作によって前記反応室を前記上部対向表面から取り外し、ロード開口部を形成するように構成される。
【0044】
ある実施形態では、前記装置は、反応室の周りに真空室を備える。
【0045】
ある実施形態では、前記装置は前記支持部に流れ分散インサートを備える。ある実施形態では、前記流れ分散部は取り外し可能である。ある実施形態では、前記流れ分散部は流れ分散板である。ある実施形態では、前記流れ分散部は、前記支持部(又はベース部)の前記凹部に嵌め込まれる。ある実施形態では、前記流れ分散部は、前記保護流体の流れを側方(又は水平方向)に分散させるように構成される。
【0046】
ある実施形態では、前記装置は、前記反応室又は反応室蓋の上にある反応ガス供給部(プラズマ供給部など)の周囲に熱反射器を備える。ある実施形態では、前記熱反射器は、1つ又は複数の熱反射板の形式である。ある実施形態では、前記熱反射器は、前記反応性ガス供給部の周囲に垂直に延在する。ある実施形態では、前記熱反射器は、前記反応室の上に水平に配向された1つ又は複数の熱反射板に追加される。
【0047】
ある実施形態では、前記装置は、順次自己飽和表面反応によって前記基板の上表面に材料を堆積させるように構成される。
【0048】
ある実施形態では、前記装置は、光子増強原子層堆積反応器又はプラズマ増強原子層堆積反応器である。
【0049】
本発明の第3の態様によれば、基板処理装置における方法が提供される。前記方法は、
基板支持リフターによって基板を受けることと、
前記リフターと支持部との間の垂直方向の距離を縮める動作を作動させることと、
前記リフターの少なくとも一部を前記支持部内に収容することと、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させることと、
を含む。
【0050】
ある実施形態では、前記収容することは、別の部分が収容するある部分が、該別の部分内にあることを意味する。ある実施形態では、前記支持部に収容される部分は、前記基板を支持する少なくとも支持要素(ピン、又は他の支持要素)を含む。ある実施形態では、前記支持部は保護流体を供給するためのチャネルを有する。
【0051】
ある実施形態では、反応室は、場合によって、反応室蓋や他の上部取付部に対して、又はそれらに向かって持ち上げられる。ある実施形態では、前記反応室とその蓋との両方が垂直方向に移動可能である。
【0052】
ある実施形態では、前記基板支持リフターは、前記基板を支持することができ、かつ、前記基板を上昇及び/又は下降させることができる部品である。
【0053】
ある実施形態では、前記基板支持リフターがサセプタの一部を形成するか、又は前記サセプタが前記基板支持リフターの一部を形成する。
【0054】
第1の態様の実施形態、又は該実施形態の特徴はいずれも、第1の態様の他の特徴又は実施形態と別々に又は組み合わせて、第3の態様又はその実施形態と組み合わせてもよい。
【0055】
本発明の第4の態様によれば、基板処理装置が提供される。前記基板処理装置は、
基板を受ける基板支持リフターと、
支持部と、
前記リフターと前記支持部との間の垂直方向の距離を縮める動作を作動させる移動手段であって、前記支持部は前記リフターの少なくとも一部を収容するように構成される、移動手段と、
前記基板と前記支持部との間の空間に保護流体を流入させる入口と、
を備える。
【0056】
前記移動手段は、アクチュエータ、すなわち作動手段を含んでもよい。
【0057】
第2の態様の実施形態、又は該実施形態の特徴はいずれも、第2の態様の他の特徴又は実施形態と別々に又は組み合わせて、第4の態様又はその実施形態と組み合わせてもよい。
【0058】
異なる非限定的な例示的態様及び実施形態について上述した。上記の実施形態は、本発明の実装に利用できる選択された態様又はステップを説明するためにのみに使用されている。いくつかの実施形態は、特定の例示的態様のみを参照して提示されている場合がある。対応する実施形態は、他の例示的態様にも適用されることを理解されたい。実施形態は、任意かつ適切に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
添付の図面を参照して、本発明を単なる例示として以下に説明する。
【
図1】ある実施形態において、ロード段階中にエンドエフェクタにより基板を支持することを示す図である。
【
図2】ある実施形態において、サセプタにより基板を受けることを示す図である。
【
図3】ある実施形態におけるサセプタと支持部の斜視図である。
【
図4】ある実施形態における基板の位置関係を示す上面図である。
【
図5】ある実施形態において、サセプタにより基板を支持することを示す図である。
【
図6】
図5a及び
図5bに示したロード段階の別の側面図である。
【
図7】ある実施形態において、基板を支持部に接触させることを示す図である。
【
図8】ある実施形態において、サセプタから基板を
外すことを示す図である。
【
図9】ある実施形態における基板処理段階でのサセプタと支持部の断面図である。
【
図10】ある実施形態における基板処理段階での流体の流れ方向を示す図である。
【
図11】ある実施形態による方法のフローチャートである。
【
図12】別のある実施形態において、ロード段階中にエンドエフェクタにより基板を支持することを示す図である。
【
図13】別のある実施形態において、ピンリフターにより基板を受けることを示す図である。
【
図14】別のある実施形態において、基板を処理位置へと持ち上げることを示す図である。
【
図15】別のある実施形態において、エンドエフェクタを後退させることを示す図である。
【
図16】別のある実施形態において、反応室を上昇させることを示す図である。
【
図17】さらに別の実施形態において、サセプタピンにより基板を支持することを示す図である。
【
図18】さらに別の実施形態において、基板を支持部に接触させることを示す図である。
【
図19】ある実施形態におけるガス経路を示す図である。
【
図20】ある実施形態におけるガス経路を示す図である。
【
図21】ある実施形態におけるガス経路を示す図である。
【
図22】ある実施形態における支持ピンの詳細を示す図である。
【
図23】ある実施形態におけるさらなる支持要素を示す図である。
【
図24】ある実施形態におけるガス分散部を示す図である。
【
図25】ある実施形態によるプラズマ増強原子層堆積装置を示す図である。
【
図26】基板ロード段階における
図25の装置を示す図である。
【詳細説明】
【0060】
以下の説明では、原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)技術を例に挙げている。しかしながら、本発明はALD技術に限定されるものではなく、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)や原子層エッチング(Atomic Layer Etching:ALE)の反応器など、多種多様な基板処理装置に活用することができる。
【0061】
ALDの成長メカニズムの基本は、当業者には既知である。ALDは、少なくとも2つの反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に順次導入することに基づく特殊な化学的堆積法である。しかし、これらの反応性前駆体の1つは、例えば光子増強ALDや、プラズマ支援ALD(例えばプラズマ増強原子層堆積(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition:PEALD))を使用する際に、エネルギーで置き換えることができ、単一前駆体ALDプロセスになることを理解されたい。例えば、金属などの純元素の堆積に必要とされる前駆体は1つのみである。酸化物などの二元化合物は、堆積させる二元材料の両方の元素を1つの前駆体化学物質が含む場合、その前駆体化学物質で生成することができる。ALDで成長させた薄膜は、密であり、ピンホールがなく、厚さも均一である。
【0062】
少なくとも1つの基板は、通常、反応容器内で時間的に間を空けた前駆体パルスに暴露し、順次自己飽和表面反応によって基板表面に材料を堆積させる。本出願の文脈では、ALDという用語は、適用可能なすべてのALDベースの技術と、同等又は密接に関連する技術とを含む。例えば、ALDの派生技術として、分子層堆積(Molecular Layer Deposition:MLD)、PEALDなどのプラズマ支援ALD、光子増強原子層堆積(フラッシュエンハンストALDとしても知られる)などが挙げられる。プロセスはエッチングプロセスであってもよく、その一例はALEプロセスである。
【0063】
基本的なALD堆積サイクルは、パルスA、パージA、パルスB、パージBという4つの連続したステップで構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気、パルスBは第2の前駆体蒸気で構成される。パージAとパージBの間に、ガス状反応副生成物と残留反応分子とを反応空間からパージするために、不活性ガスと真空ポンプとが通常使用される。1つの堆積シーケンスは、少なくとも1つの堆積サイクルを含む。堆積シーケンスによって所望の厚さの薄膜やコーティングが生成されるまで、堆積サイクルが繰り返される。堆積サイクルは、より単純にも、より複雑にもなりうる。例えば、サイクルでは、パージステップで区切られた3つ以上の反応物蒸気パルスを含めることも、特定のパージステップを省略することもできる。一方、光子増強ALDには、アクティブな前駆体を1つだけにするなどの様々な選択肢と、パージに関する様々な選択肢がある。これらすべての堆積サイクルにより、ロジックユニット又はマイクロプロセッサによって制御される、時間指定の堆積シーケンスが形成される。
【0064】
反応空間とは、反応室内の定められた容積である。反応空間では、所望の化学反応が生じる。
【0065】
図1から
図10は、ロードシーケンス中に、基板処理装置の反応室に基板をロードする、及び/又はその中で基板を処理する実施形態を示している。読みやすさを考慮して、各図では一部の参照番号を省略している。
【0066】
図1a及び
図1bは、ある実施形態において、ロード段階中にエンドエフェクタ106により基板100を支持することを示す図である。
【0067】
基板100は、上面と下面とを有する矩形の基板であってもよい(あるいは、基板は、円形又は円筒形の基板など、他の形状であってもよい)。上面と下面は、側部又は側面でつながっている。側面は、前面、背面、右面、及び左面を含む。面は、エンドエフェクタ106が基板100を反応室130にロードするロード方向に応じて決定してもよい。上面又は下面と側面とが交わる線又は境界線を縁部と定義する。ある実施形態では、基板はマスクである。ある実施形態では、基板の厚さは4mm以上である。ある実施形態では、基板は石英製である。
【0068】
エンドエフェクタ106は、ロードロック105を介して基板100を水平移動させて反応室130に移動させる。
図1aは、開位置にある反応室蓋160を示している。(上昇した)反応室蓋160と反応室側壁との間に、ロード開口部が形成されている。
図1の横矢印は、エンドエフェクタ106の水平方向の動きを示している。
【0069】
エンドエフェクタ106は、基板を支持(搬送)するための支持ピン111~113を有する。基板100を支持するには3本のピンが必要である。ピンは基板100を縁部のみで支持する。提示された例では、基板の下面と前面とをつなぐ縁部で基板100を支持する2本のピン111、112と、基板の下面と背面とをつなぐ縁部で基板100を支持する1本のピン113がある。これは、
図1bの上面図に示されている。
【0070】
基板処理装置は、ピンインターフェースを有するサセプタ120を備える。サセプタ120は、垂直方向に移動可能である。ある実施形態では、サセプタ120は、反応室蓋160に取り付けられる。本装置は、サセプタ120と蓋160とを連結する垂直バーなどの連結要素161を備えることができる。したがって、ある実施形態では、サセプタ120(及びそのピンインターフェース)の移動は、それに取り付けられた反応室蓋160を移動させることによって行われる。
【0071】
図1aに示す例では、基板処理装置は、垂直方向に移動可能なフレーム(又はフレーム部、又は格納板)180をさらに備える。フレーム部180は、サセプタ120に取り付けられるか、サセプタ120の一部を形成している。フレーム部180は、下にある基板100の境界部分を縁取るように、基板100の直上に配置される。
【0072】
ある実施形態では、フレーム部180が反応室蓋160に取り付けられるか、フレーム部180とサセプタ120との組み合わせが反応室蓋160に取り付けられる。フレーム部180及びサセプタ120は、連結要素161に固定的に取り付けられてもよい。ある実施形態では、垂直方向の移動、例えば、フレーム部180の下降は、反応室蓋160を下降させることによって行われる。ある実施形態では、サセプタ120、フレーム部180、及び反応室蓋160は、全体として垂直方向に移動可能な統一体を形成する。他の実施形態では、フレーム部180は、個別のアクチュエータによって他の部分とは独立して動かされる。
【0073】
基板処理装置は、支持部(又はベース部)170をさらに備える。ある実施形態では、支持部170はチャックである。ある実施形態では、支持部170は、サセプタ120又はサセプタ120の少なくとも一部を受け入れて収容するように構成される。
【0074】
本装置は、保護流体を支持部に流入させる保護流体供給ライン701を備える。本実施形態及び他の実施形態における保護流体は、N2であってもよい。他の実施形態では、N2の代わりに別のガスが使用される。例えば、Ne、Ar、Kr、Xe、又は使用する堆積反応に適した他のガス分子を使用する。供給ライン701は、反応室130の底部に配置された排気ライン150を介して引き回されても、及び/又は排気ライン150の内部に引き回されてもよい。供給ライン701は、流入するガスを加熱するように採用してもよいし、加熱したガスを供給ライン701に誘導してもよい。保護流体が基板100と接触する前に、外部の手段(図示せず)によって保護流体を加熱又は冷却することができる。
【0075】
反応室130は、さらなる室である真空室140によって囲まれてもよい。ただし、反応室130は真空状態で動作可能であることから、反応室130も真空室であることに留意する必要がある。
【0076】
図1aは、水平ローダ(エンドエフェクタ)106が、反応室130内の中央に位置する基板100を支持していることを示す図である。ここで、
図2aに示すように、サセプタ120はそのピンインターフェースとともに持ち上げられ、サセプタピンインターフェースのピンが基板100の縁部に接触し、さらに基板100を上方に持ち上げて、エンドエフェクタ106のピンから基板100が取り外される。エンドエフェクタ106は、
図2aの横矢印で示すように、ロードロック105を介して反応室130から後退する。
【0077】
基板100を支持するには3本のピンが必要である。ピンは基板100を縁部のみで支持する。提示された例では、基板の下面と左面とをつなぐ縁部で基板100を支持する2本のピン121、122と、基板の下面と右面とをつなぐ縁部で基板100を支持する1本のピン123がある。これは、
図2bの上面図に示されている。
【0078】
図3は、ある実施形態に係るサセプタ120と支持部170の斜視図である。この図は、フレーム180が4つの連結要素161に固定されている状態を示している。連結要素161は、その底部で、水平に突出した部材174に固定されている。部材174は、サセプタ120のピンインターフェースを提供する。
図3では、ピン122と123が見えている。
【0079】
支持部170は、基板(
図3では図示せず)の下面の下に位置する凹部171を有する。凹部171には、基板下面と凹部171とで区画された容積に保護ガスを流すための流体入口172が設けられる。保護ガスは、装置の他の入口でキャリアガス及び/又はパージガスとして使用されているものと同じ不活性ガスであってもよい。あるいは、保護ガスは、例えば、Ar、Kr、Xeなどの異なるガスであってもよい。支持部170は、基板処理位置に下降したサセプタ120を受ける複数のポケット175と、処理中に基板を支持するためのピンインターフェース(そのうちの支持ピン131及び132が、
図3において支持部170の対向する両側に見えている)と、をさらに有する。これらの機能については、後ほど詳しく説明する。
【0080】
図4は、ある実施形態における基板100の位置関係を示す上面図である。図示する状況では、基板はその縁部でサセプタの支持ピン121~123によって支持される。中央に位置する矩形の開口部を有するフレーム180は、基板100に対して内方に突出し、下にある基板100の境界部分を縁取っている。いくつかの実施形態では、フレーム開口部は、少なくとも0.01mm、いくつかの実施形態では0.1mm、いくつかの実施形態では1mm、基板表面と重なる。他の実施形態では、フレーム開口部は、基板と全く同じ形状及びサイズである。他の実施形態では、フレームは基板よりも少なくとも0.01mm、いくつかの実施形態では0.1mm、いくつかの実施形態では1mm大きく開口している。いくつかの実施形態では、基板の下にあるサセプタ又は基板ホルダの領域の重なり又は露出が、例えば、ガスの流れが異なる縁部において異なる。
【0081】
ここで、
図5a及び
図5bを参照する。
図2a及び
図2bでは、ロードシーケンスの、基板100がサセプタ120のピン121~123によって保持されている段階を示していた。エンドエフェクタ106が後退した後、関係する部品の位置は、
図5a及び
図5bに示すようになる。
【0082】
図6a及び
図6bは、ロードシーケンスの同じ段階を、時計回りに90度回転させた方向から見た図である。基板100の下降が始まると、基板100はピン121~123によって支持される。基板100は、反応室蓋160とサセプタ120との組み合わせの動きによって、支持部170に向かって下降する。支持部170は、基板100の縁部に合わせた複数のピンを有する対応するピンインターフェースを有する。基板100を支持するには3本のピンが必要であるため、支持部170のピンインターフェースには、2本のサセプタピンで支持される縁部に合わせた1本のピン131と、1本のサセプタピンで支持される縁部に合わせた2本のピン132、133が含まれる。
【0083】
図7a及び
図7bは、基板100を支持部170に接触させることを示す図である。この段階では、基板100はピン131~133に触れるまで下降する。ここで、反応室蓋160とともにサセプタ120をさらに下降させて、基板100をピン121~123から
離す。このようにして、基板はピン131~133上の処理位置に置かれる。基板100はその縁部のみで支持される。
【0084】
図8a及び
図8bに示すように、サセプタ120と蓋160の下降動作は、蓋160が反応室壁の対向表面に接触して反応室130を密閉するまで続く。支持部は、下降したサセプタ120をサセプタピンインターフェースのピンを含めて収容する複数のポケット175を有する。
【0085】
蓋160とそれに取り付けられた他の部品の移動は、蓋160に連結された昇降機190によって行われる。昇降機190は、
図8aに示すように、上から蓋160に連結されてもよい。昇降機は、制御システム800によって制御される。制御システム800は、基板処理装置の他の動作も制御する。
【0086】
本装置は、複数の供給ラインを含むことができ、これらの供給ラインに沿って、例えばALD処理などの基板処理のための化学物質を反応室に流入させることができることを理解されたい。
図8aは、1つの化学物質供給ライン195を示しており、これに沿って蓋160を介して(1つ又は複数の)化学物質を反応室130に流入させてもよい。他の実施形態では、化学物質が反応室に入る場所は、反応室130の壁の側面である。流入する化学ガスの流れを導く部品があってもよい。
【0087】
支持部170は、基板100の下面の下に位置する凹部171を有する。凹部171には、凹部171の中央に位置し、基板下面と凹部171とで区画された容積に保護ガスを流すための流体入口172が設けられる。この保護ガスは、反応性化学物質が基板の下の領域に入り込むのを防ぐバリアとして機能する。これについては、
図10に関連してさらに詳しく説明する。
【0088】
図9は、ある実施形態における基板処理段階でのサセプタ120と支持部170の断面図である。サセプタ120は、支持部170の内部、すなわちポケット175の中まで下降している。部品174に取り付けられたサセプタピンインターフェースのピン123が右側のポケットに見えている。
【0089】
凹部171は、基板100の下面の下ほぼ全域にわたって延在する。ただし、下面の縁部近くの、凹部が終わるところでは、下面の境界領域の下で凹部171を囲む隆起部173によって、下面と支持部170との間の垂直方向の距離が短くなっている。保護ガスの流量は、隆起部で増加し、基板100の下面と支持部170との間の容積に望ましくない材料が混入するおそれをさらに低くする。
【0090】
図10は、基板処理段階における基板処理装置の各部の位置を示している。特に、ある実施形態における基板処理段階での流体の流れ方向を示す図である。
【0091】
ALDプロセスにおける前駆体蒸気などのプロセスガスは、基板表面の上から、例えば蓋160のシャワーヘッドから基板表面(上表面)にアプローチする。基板表面では、所望の反応が生じる。
【0092】
供給ライン701に沿って流れる保護ガスは、入口172を介して、基板100の下面と支持部170との間の空間(凹部171)に流入する。基板の下面は、一般的に基板の裏面と呼ばれる。
【0093】
本装置内には、以下のような隙間が設けられる。フレーム部180と基板100との間に、第1の隙間1001が設けられる。サセプタ120及び/又は蓋160に取り付けられたフレーム部180は、基板100との間に第1の隙間1001を空けて基板100上に下降している。フレーム部180は、
図10に示すように、傾斜した縁部を持つことができる。
【0094】
フレーム部180(又はフレーム部180の下表面)と支持部170との間に、第2の隙間1002が設けられる。第2の隙間は、サセプタ120及び/又は蓋160に取り付けられたフレーム部180が基板100上に下降したときに、フレーム部180と支持部の境界部分との間にも隙間が生じるように、部品の寸法を調整することによって設けることができる。
【0095】
隆起部173、又は隆起部173の上表面と、基板100の下面との間に、第3の隙間1003が設けられる。第3の隙間は、第1の隙間1001及び第2の隙間1002と同様の下降動作によって設けられる。
【0096】
ある実施形態における隙間1001~1003は、垂直方向の隙間、すなわち、垂直方向の動きを制限するが水平方向の流れを通過させる隙間である。
【0097】
流体には3つの流路がある。第1の流路(経路1)は、入口172から第3の隙間1003を介してポケット175に入り、そこから第2の隙間1002を介して、反応室130の底部に位置する排気まで延在する。第2の流路(経路2)は、入口172から第3の隙間1003を介してポケット175に入り、そこから第1の隙間1001を介して基板100の上面まで延在する。第3の流路(経路3)は、プロセスガスと保護ガスが、基板100の上面の上方からフレーム部180及び支持部170の周囲を通って排気に至る。第1の隙間を介した保護ガスの流れにより、上面に存在する(1つ又は複数の)反応性化学物質の少なくとも1つが第1の隙間1001に入るのを防ぐ対抗圧力が生じる。第1の隙間1001における流れの方向は、ポケット175から基板100の上面/表面へと向かっている。第2の隙間1002における流れの方向は、ポケット175から排気へと向かっている。したがって、基板100の下面(裏面)に面する容積と、基板の側面に面する容積には、不活性の保護ガスのみが存在する。これにより、下面と側面は、これらの面/表面における材料の成長から保護される。ある実施形態では、前述の隙間1001を介する流れを止めるように変更するか、又はこの流れを少なくとも部分的に戻してポケット(又はキャビティ)に流入させ、第2の隙間1002を介して直接排気させる。このようにして、特殊な基板縁部コーティングを選択できるようにしてもよい。
【0098】
他の実施形態では、ポケット175の底部に追加の穴(図示せず)があり、ガスが入口172から排気に向かって流れる。ある実施形態では、第1の隙間1001を介してポケット175に入ったガス流が、前記追加の穴を介して排気に流入する。
【0099】
図11は、ある実施形態による方法のフローチャートである。ステップ1101では、サセプタがローダから基板を受ける。ステップ1102では、基板を第1のピンで支持し、下降させる。ステップ1103では、基板を第2のピンで受ける。最後に、ステップ1104では、第1のピンをさらに下降させて、基板から
離す。上述のロードシーケンスに加えて、ある実施形態における本方法は、基板と支持部との間の空間に保護流体を流入させることを含む。ある実施形態では、フレーム180は、基板に近接して、又は基板の上(面)表面に少なくとも部分的に接触するように下降する。
【0100】
基板のコーティングプロセスは、通常、(例えば、
図11に示すようなプロセスにより)基板を反応室にロードすることと、オプションで、ガス又は化学物質の入口からガスを流すなどの手段により基板の温度を安定させることと、オプションで、前述のガス又は化学物質の入口からガスを流す、又はプラズマ、光子(赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光線(UV)など)を照射する、などの手段により基板をエッチングすることと、選択された数のALD堆積サイクルで基板上に必要な層の厚さを堆積することと、前述のロードとは逆の順序で、反応室から基板を取り出す又は持ち上げることと、を含む。
【0101】
図12aから
図16bは、ロードシーケンス中に、基板処理装置の反応室に基板をロードする、及び/又はその中で基板を処理する、さらなる実施形態を示している。図示している実施形態は、基板をロード及びアンロードするために下降できる、垂直方向に移動可能な反応室230を含む。垂直方向に移動可能な反応室の例は、PCT公報WO2018/146370A1に示されている。読みやすさを考慮して、各図では一部の参照番号を省略している。全般に関しては、
図1から
図10に関連して説明した内容を参照されたい。
【0102】
図12a及び
図12bは、ロード段階中にエンドエフェクタ106により基板100を支持することを示す図である。
【0103】
前述のように、基板100は、上面と下面とを有する矩形の基板であってもよい。上面と下面は、側部又は側面でつながっている。側面は、前面、背面、右面、及び左面を含む。面は、エンドエフェクタ106が基板100を反応室230にロードするロード方向に応じて決定してもよい。上面又は下面と側面とが交わる線又は境界線を縁部と定義する。ある実施形態では、基板はマスクである。ある実施形態では、基板の厚さは4mm以上である。ある実施形態では、基板は石英製である。
【0104】
エンドエフェクタ106は、ロードロック105を介して基板100を水平移動させて反応室230に移動させる。
図12aの横矢印は、エンドエフェクタ106の水平方向の動きを示している。
【0105】
図12aは、開位置にある反応室230を示している。反応室230が反応室蓋260から離れて下降し、(下降した)反応室230と反応室蓋260との間にロード開口部が形成されている、蓋260はその高さに固定されたままである。WO2018/146370A1に記載されているように、本装置は、反応室230に連結された移動要素255を備える。移動要素255は、反応室230を上昇位置と下降位置との間で垂直方向に移動させる。移動要素255は、フレクシャ構造であってもよい。また、長さを調整できる管状の細長い構造であってもよい。移動要素255は、変形可能な構成要素であってもよい。
図12aに示されている移動要素255は、ベローズ、特に真空ベローズであり、垂直方向に流体を通過させることができるが、気密性の側壁を有している。移動要素255は、
図12aに示すように、反応室230の下方にある排気ライン150の一部を形成してもよい。移動要素255は、その全体が、真空の外室140の壁の内側に配置されてもよい。
【0106】
反応室230の実際の動きは、アクチュエータ(作動要素)によって、又は移動要素255自体によって駆動されてもよい。
図12aの実施形態では、外室140の外側に配置されたアクチュエータ245を示している。アクチュエータ245は、反応室230が移動要素255によって許容されるように移動するように、反応室230に力を加える。
図12aに示すアクチュエータ245は、シャフトやロッドなどの力伝達部材からなり、この力伝達部材は、外室フィードスルーを通って、外室140と反応室230との間の中間空間に延在する。力伝達部材は、さらに反応室230に接触し、移動要素255によって許容されるように、反応室230を移動できるようにする。移動要素255は、
図12aに示すような収縮した形状と、(
図16aに関連して後で示すような)伸張した形状とを有しており、これらの形状によって定められる位置間で、反応室230が垂直方向に移動できるようにする。
【0107】
他の実施形態では、作動要素の配置、形状、及び動作は、
図12a(及び
図16a)に示したものと異なってもよい。作動要素の配置は、実装によって異なる。ある実施形態では、作動要素は外室140の外側に配置される。ある実施形態では、作動要素は、外室140内であって、反応室230の外側に配置される。ある実施形態では、作動要素は排気ライン150内に配置される。実装に応じて、本装置は複数の作動要素を備えることができる。
【0108】
ある実施形態では、作動要素が完全に省略される。そのような一実施形態では、そのような移動要素255は、外部のアクチュエータ(ここでの外部とは、移動要素の外部を意味する)なしで、反応室230を移動させる。この移動は、例えば、放射線や温度の変化によって実施することができる。このような代替の一実施形態では、移動要素255は形状記憶合金(スマートメタル)で形成されている。このような実施形態では、実際には移動要素255はそれ自体が一種のアクチュエータであり、反応室230を垂直位置の間で移動させる。
【0109】
前述のとおり、本装置は、反応室230の下方移動によって反応室230へのロード開口部を形成するように構成される(ただし、他の実施形態では、反応室の壁にドア又はハッチを設けてロード開口部を形成してもよい)。反応室230は、下方移動に伴って、蓋260から取り外されてもよい。他の実施形態では、下方移動によって反応室230がそこから取り外される上部固定部は、蓋260以外の部分であり、例えば、蓋260の代わりに配置されたプラズマ供給管や光子励起供給管である。上部固定部が蓋であるか他の部分であるかに関わらず、上部固定部は、反応室230に流体を供給する部分であってもよい。
【0110】
エンドエフェクタ106は、基板を支持(搬送)するための支持ピン111~113を有する。基板100を支持するには3本のピンが必要である。ピンは基板100を縁部のみで支持する。提示された例では、基板の下面と前面とをつなぐ縁部で基板100を支持する2本のピン111、112と、基板の下面と背面とをつなぐ縁部で基板100を支持する1本のピン113がある。これは、
図12bの上面図に示されている。
【0111】
ある実施形態では、基板処理装置は、ピンインターフェースを有するピンリフター281を備える。ピンリフター281は、垂直方向に移動可能である。ある実施形態では、ピンリフター281は排気ライン150を介して作動される。ある実施形態では、ピンリフター281の垂直方向の移動は、排気ライン150から反応室230まで垂直方向に延在するアームなどによって作動してもよい。
【0112】
図12aに示す例では、基板処理装置は、フレーム(すなわちフレーム部)180をさらに備える。フレーム部180は、下にある基板100の境界部分を縁取るように、基板100の直上に配置される。フレーム部180は、連結要素276によって反応室蓋260に取り付けられる。
【0113】
基板処理装置は、支持部(又はベース部)270をさらに備える。ある実施形態では、支持部270は、連結要素279によって反応室230又は排気ライン150に取り付けられる。支持部270は、ピンリフター281、又はピンリフター281の少なくとも一部、及び、入口701(図示せず)を介した保護ガスの流れなど、支持部170について先に提示した特徴のいずれか又は少なくとも一部を収容するように構成される。
【0114】
本装置は、保護流体を支持部270に流入させる保護流体供給ラインを備える。供給ラインは、反応室230の底部に配置された排気ライン150を介して引き回されても、及び/又は排気ライン150の内部に引き回されてもよい。
図1から
図10に関連して前示したものと同様の構成を設けてもよい。供給ラインは、流入するガスを加熱するように採用してもよいし、加熱したガスを供給ラインに誘導してもよい。
【0115】
反応室230は、さらなる室、すなわち外室140によって囲まれてもよい。外室140は真空室(又は、反応室230も真空室であるため、さらなる真空室)であってもよい。
【0116】
図12aは、水平ローダ(エンドエフェクタ)106が、反応室230内の中央に位置する基板100を支持していることを示す図である。ここで、
図13a及び
図13bに示すように、ピンリフター281はそのピンインターフェースとともに持ち上げられ、ピンリフターピンインターフェースのピンが基板100の縁部に接触する。この段階では、基板は、エンドエフェクタ106とピンリフター281の両方によって支持されている。その後、ピンリフター281のピンインターフェースとともに基板100を上方に持ち上げ、エンドエフェクタ106のピンから基板100を
外すと、
図14a及び
図14bに示すような位置になる。エンドエフェクタ106は、
図15aの横矢印で示すように、ロードロック105を介して反応室130から後退する。
【0117】
基板100を支持するには3本のピンリフターピンが必要である。ピンは基板100を縁部のみで支持する。提示された例では、基板100の下面と左面とをつなぐ縁部で基板100を支持する2本のピン221、222と、基板100の下面と右面とをつなぐ縁部で基板100を支持する1本のピン223がある。これは、
図14bの上面図に示されている。
【0118】
最後に、
図16a及び
図16bに示すように、アクチュエータ245によって、反応室230が蓋260(又は場合によっては別の上部取付部)に対して持ち上げられる。反応室蓋260に取り付けられたフレーム部180は、下にある基板100の境界部分を縁取るように、基板100の直上に配置される。ある実施形態では、フレーム部180と基板100の上表面(上面)との間に小さな垂直方向の隙間がある。
【0119】
反応室230を持ち上げることは、(反応室230に取り付けられる)支持部270を基板100に近い上昇位置に持ち上げることにもなり、その位置で支持部270は、裏面成長を防止するための保護ガス流を基板に供給する手段として機能する。フレーム部180は、適切な相手方部品によって支持部270に対して嵌め込まれる。この相手方部品は、例えば、支持部270の対応する切り欠きに対して嵌め込まれる下方突出部277である。
【0120】
前述のとおり、基板上の裏面成長を防ぐために、
図1から
図10に関連して前に示したものと同様の構成を設けてもよい。したがって、支持部270は、基板の下面の下に位置する凹部(凹部171に相当)を有する。凹部には、基板下面と凹部とで区画された容積に保護ガスを流すための流体入口(流体入口172に対応)が設けられる。支持部270は、ピンリフター281、又はピンリフター281の少なくとも一部を収容する複数のポケット(ポケット175に対応)をさらに有する。
図1から
図10に関連して説明したように、同様の隙間やガス経路が設けられる。
【0121】
本装置は、複数の供給ラインを含むことができ、これらの供給ラインに沿って、例えばALD処理などの基板処理のための化学物質を反応室に流入させることができることを理解されたい。例えば、(1つ又は複数の)化学物質は、蓋260などを通って、及び/又は、反応室230の側壁を通って、反応室230に流入してもよい。ある実施形態では、支持部270が上昇位置にあるときに、蓋260を介して、連結要素276又は下方突出部277のような固定構造の内部へと、又は蓋260から下向きに延在する他のガス管を介して、支持部270に保護ガスを供給することができる。ある実施形態では、保護ガスのためのガス経路が、反応室230の縁部を介して、連結要素279を通って提供される。
【0122】
ALDプロセスにおける前駆体蒸気などのプロセスガスは、基板表面の上から、例えば蓋260のシャワーヘッドから基板表面(上表面)にアプローチする。基板表面では、所望の反応が生じる。この利点は、ガスラインの継手を省略できることである。
【0123】
図1から
図10に示す実施形態では、垂直方向に移動可能な蓋を利用して反応室に基板をロードすることを示しているが、
図12aから
図16bに示す実施形態では、反応室を下降及び上昇させて基板をロードすることを示している。
図17aから
図18bは、垂直方向に移動可能な蓋と、下降可能及び上昇可能な反応室との両方の利点を活かした実施形態を示している。
【0124】
図17aは、支持部170と、フレーム部180及びサセプタの組み合わせとが、蓋160とは別個である(蓋160に取り付けられていない)こと以外は、
図1から
図10の実施形態に示すものと同様のロード状況を示している。さらに、反応室330は、支持部170(
図12aから
図16bに示す実施形態では270)が連結要素279によって反応室330に固定されていないこと以外は、前記で説明した反応室230と同様である。支持部170は、排気ライン150に取り付けられており、固定されている。一方、フレーム部180とサセプタの組み合わせは、排気ライン150に取り付けられたアクチュエータアーム(又はリフター)385によって垂直方向に移動可能である。
【0125】
図17a及び
図17bは、エンドエフェクタを含む最初のロードステップがすでに実行され、基板100がサセプタピンインターフェース上にある状況を示す図である。したがって、基板100は、
図5aから
図6bに最初に示したロード段階に対応するロード段階にある。組み合わされたフレーム部180及びサセプタは、アクチュエータアーム385によって支持部170の上方まで持ち上げられ、反応室330は下降位置まで下げられている。
【0126】
基板100を支持するには3本のピンが必要である。ピンは基板100を縁部のみで支持する。提示された例では、基板の下面と左面とをつなぐ縁部で基板100を支持する2本のピン121、122と、基板の下面と右面とをつなぐ縁部で基板100を支持する1本のピン123がある。これは、
図17bの上面図に示されている。
【0127】
基板100の下降が始まると、基板100はピン121~123によって支持される。基板100は、アクチュエータアーム385によって、組み合わされたフレーム部180とサセプタを支持部170に向けて下降させることで、下降する。支持部170は、基板100の縁部に合わせた複数のピンを有する対応するピンインターフェースを有する。基板100を支持するには3本のピンが必要であるため、支持部170のピンインターフェースには、2本のサセプタピンで支持される縁部に合わせた1本のピン131と、1本のサセプタピンで支持される縁部に合わせた2本のピン132、133が含まれる。
【0128】
基板100が支持部170に接触する。この段階では、基板100はピン131~133に触れるまで下降する。ここで、フレーム部180とともにサセプタをさらに下降させて、基板100をピン121~123から外す。このようにして、基板はピン131~133上の処理位置に置かれる。基板100はその縁部のみで支持される。
【0129】
図18a及び
図18bに示すように、サセプタ及びフレーム部120の下降動作は、サセプタが最も低い位置になり、フレーム部が基板に近づき、フレーム部180と基板100の上表面(上面)との間にわずかな垂直方向の隙間が空いているだけになるか、ある実施形態では完全に閉じてしまうまで継続する。支持部170は、下降したサセプタをサセプタピンインターフェースのピンを含めて収容する複数のポケット175を有する。
【0130】
図17aから
図18bに示す装置は、垂直方向に移動可能な蓋160を有する。前述したように、サセプタとフレーム部180の移動は、アクチュエータアーム385によって行われる。さらに、反応室蓋160を昇降機190で下降させ(
図8aも参照)、反応室330を蓋160に対して密閉する。
【0131】
他の実施形態では、蓋160の代わりに、例えば、プラズマ供給管又は光子励起供給管のための空間を提供する開いたリング又は部品がある(又は、蓋160がそのように形成される)。
【0132】
本装置は、複数の供給ラインを含むことができ、これらの供給ラインに沿って、例えばALD処理などの基板処理のための化学物質を反応室に流入させることができることを理解されたい。例えば、(1つ又は複数の)化学物質は、蓋160などを通って、及び/又は、反応室330の側壁を通って、反応室330に流入してもよい。
【0133】
ALDプロセスにおける前駆体蒸気などのプロセスガスは、基板表面の上から、例えば蓋160のシャワーヘッドから基板表面(上表面)にアプローチする。基板表面では、所望の反応が生じる。
【0134】
基板上の裏面成長を防ぐために、
図1から
図10に関連して前に示したものと同様の構成を設けてもよい。
図1から
図10に関連して説明したように、同様の隙間やガス経路が設けられる。
【0135】
図19は、支持部170(又は270)内の特定の代替ガス経路を示す図である。この断面図では、後述する
図22及び
図23に示すような支持ピンなどの支持要素は示されていない。支持部170/270の一般的な構造と動作については、
図9及び
図10とその説明を参照されたい。凹部171は、基板100の下面の下ほぼ全域にわたって延在する。ただし、下面の縁部近くの、凹部が終わるところでは、下面の境界領域の下で凹部171を囲む隆起部173によって、下面と支持部170の背景板(基板ホルダ)191との間の垂直方向の距離が短くなっている。
【0136】
保護ガスは、矢印11で示すように、入口172を介して、基板100の下面と背景板191との間の空間(凹部171)に流入する。保護流は、矢印12、12'で示すように、基板100の下に広がる。隆起部173を通過した後、保護流は、基板100の側面側に延在する側部192にぶつかる。側部192により、流れは流れ13と流れ14に分かれる。流れ13は、側部192と基板100の側面との間に形成された隙間に沿って上向きに進む。流れ14は、側部192と背景板191との間を進んでポンプラインに至る。流れ13は、基板100とフレーム部180との間の隙間に(基板の上面の上方から)入り込む可能性のある望ましくないプロセス化学物質の流れ(矢印15で示す)が、側部192と基板100の側面との間の隙間に入り込むことを防止する。代わりに、流れ13は、望ましくないプロセス化学物質又は残留化学物質の流れを、側部192の上方を通過するガス経路へと押し出す。このようにして、基板100の側面での成長が防止される。この経路の流れは、流れ17と流れ18に分かれる。流れ17は、側部192と支持部170/270の側壁との間を進んでポンプラインに至る。流れ18は、フレーム部180と支持部170/270の側壁との間の隙間に入り込む。その後、流れ18は、基板上面の上方から来てフレーム部180の上方を通過する流れ16と合流する。合流した流れは、支持部170/270と反応室130(又は230/330)の側壁との間で下向きの流れ19として、引き続き排気ライン150へと向かう。
【0137】
図20は、
図19に示した実施形態の変形例であり、側部192内に流れチャネルを有する。この断面図では、後述する
図22及び
図23に示すような支持ピンなどの支持要素は示されていない。側部192は、上部流れチャネル26と下部流れチャネル27とを有する。各チャネルは基板100の側面に開口している。流れチャネル26、27は、側部192の中で一定の距離延在した後に合流し、ポンプラインまで下向きに延びる合流流れチャネル28を形成する。流れ13は、下部流れチャネル27に入る。流れ15から分かれて、基板100の側面と側部192との間を下向きに進む流れ23は、上部流れチャネル26に入る。矢印24、25で示すように、流れ23が下部流れチャネル27に入ってもよく、流れ13が上部流れチャネル26に入ってもよい。基板100の裏面での材料の成長が防止される。
図19及び
図20のフレーム部180と支持部170/270の側壁との間の隙間は、ある実施形態では存在しないか、又は任意である。このような実施形態では、フレーム部180の下の流れは、反応室内の流れ19と混合することなく、ポンプラインのみへと進む。このような分割されたガス流26、27は、1つの開口部で実施することもできるし、複数の隙間で実施することもできる。
【0138】
図21は、さらに別の実施形態を示す図である。本実施形態では、背景板(基板ホルダ)2170が屈曲し、基板100の側面も覆っている。この断面図では、後述する
図22及び
図23に示すような支持ピンなどの支持要素は示されていない。基板100の側面には、エジェクタスポット(狭い場所)210がある。エジェクタスポット210は、基板100の側面と屈曲した背景板2170との間のチャネル幅が、エジェクタスポットの地点で小さくなり、エジェクタスポット210の後に再び大きくなるように配置されている。このように、エジェクタスポット210は、保護ガスの流速を高めて、反対方向への流れを防ぐ場所となっている。基板100の下面と背景板2170との間に入った保護流は、矢印31で示すように側方に広がる。その後、流れは基板の縁部を越えて上向きになり、速度を上げてエジェクタスポット210を通過する。この流れは、エジェクタスポット210の下流で、フレーム部2180と基板100との間の隙間を介して、基板上面方向から来る流れ33と合流する。フレーム部2180は、合流した流れ34が、容積が増加する流れチャネルを流れるように形成されている。最後に、流れ34は下向きになり、ポンプラインへと進む下向きの流れ35を形成する。流れ35は、フレーム部2180の反対側でフレーム部2180と反応室壁との間を進む流れと、反応室内で混合されない。
【0139】
図22は、ある実施形態における支持ピンの詳細を示す図である。前述したように、ピンの端部形状は、例えば円錐形であってもよい。
図22は、ピン131の円錐形の頂部に続いて、基板100の縁部を最適な角度で受ける内側に凹んだ曲線形状を示している。
【0140】
図1から
図22を参照して、ある例示的な実施形態を説明した。次に、特定の代替の実装又はさらなる実装を以下に列挙する。
・フレーム部180は、ある実施形態では省略することができるが、使用する場合には、オプションで、フレーム部の垂直方向の移動を行うために別個のリフターアクチュエータを使用する。
・支持ピンの1つ又は複数を、溝付き部品や他の支持要素に置き換えてもよい。
図23は、溝付きの形態の支持要素2331を示す図である。この溝は、基板100を受けて支持する切り欠きなどの凹形状に形成されている。支持要素2331は、基板100に接触する丸みを帯びた形状や凹状の形状を有していてもよい。基板は、その縁部のみ、すなわち鋭い縁部のみで接触する。
・支持ピンやその他の支持要素は、基板の縁部を滑らかな(つまり、鋭くない)面で支持するように形成されてもよく、その滑らかな面は、基板の縁部を支持する複数の滑らかな曲点を有する波状であってもよい。
・流れ14、24、25、28のような任意のガス流の隙間は、機械的安定性の向上や取り付け、ガス流の調整を可能にするために、単一の隙間ではなく、170/270の構造の中に複数の穴として実装することができる。
【0141】
ある実施形態では、支持部(170、270など)は取り外し可能である。ある実施形態では、支持部は、基板がロードされた状態の反応器(又は反応室)に移送される。
【0142】
図24は、先の実施形態のいずれかにおいて、基板100の下方に装着される任意の分散部(すなわち流れ分散部)2401を示す図である。ある実施形態では、分散部2401は、板状の物体であるガス分散板である。ある実施形態では、分散部2401は、基板100の下面の下に位置する凹部(前出の参照記号171を参照)内に配置される。保護流体供給ライン701は、ベース部170(など)を通って延在する垂直な供給ラインであってもよく、分散部2401に保護流体を供給する。分散部2401は、その内部に流れチャネル2402を有するか、あるいは、凹部とともにガス通過経路を形成して、受けた保護流体を側方に分散させる。保護流体の流れは、一般的に、
図10に示すものと同様に供給ライン701から来る。したがって、流れの方向は、供給ライン701からポケット又はキャビティ175へ、そしてそこから開示された隙間を介して排気へと向かう。ポケット又はキャビティ175に入る前に、分散された流れが供給ライン170から側方(水平)へと進み、分散部2401の縁部で垂直な上向きの流れに変わる。上向きの流れは、基板100の下面にぶつかると、水平方向の流れに変わる。流れの一方はポケット又はキャビティ175に向かって続き、他方は反対方向に向かって基板100の裏面をパージする(基板の下面と分散部2401の間には隙間がある)。
【0143】
図25及び
図26は、反応室130の上にプラズマ供給部を備えるプラズマ増強原子層堆積装置2500を示す図である。
【0144】
装置2500は、基板の取り扱い、例えば、基板のロードと支持に関しては、前述の実施形態で示した装置に概ね対応している。それらについては、前述の説明を参照されたい。ただし、
図25及び
図26に示す実施形態では、別のある特徴が示されている。
【0145】
反応室130の上には、変形可能なプラズマ供給部2505が配置されている。変形可能な供給部2505は、例えばプラズマ支援ALDによる基板処理のための閉じた構成と、基板ロードのための開いた構成とを有する。閉じた構成では、供給部2505は伸びた形状であり、開いた構成では縮んだ形状であってもよい。閉じた構成を
図25に、開いた構成を
図26に示す。
【0146】
変形可能な供給部2505は、入れ子状の副部品すなわちリング状の部材一式を含み、これらは互いに嵌合するように移動可能である。
図25及び
図26に示す実施形態では、副部品の数は2つである。副部品2561、2562は、伸縮自在の構造を形成している。
図25及び
図26に示す例示的な実施形態では、上副部品2561は、真空室140の壁に取り付けられている。真空室140の上壁に取り付けられてもよい。供給部2505は、プラズマ源管2571から入口2572を介して流入するプラズマに対して、反応室130に向かって広がる流路を形成する(プラズマ源は、真空室140上壁の反対側に配置されている)。広がる流れ部分は、副部品2561、2562で形成される円錐形の経路であってもよい。
【0147】
実施形態の下副部品2562は、反応室蓋160を形成するか、又は反応室蓋160に取り付けられる。蓋160は、平らなリングの形状であってもよい。
【0148】
図25及び
図26に示すようなある実施形態では、蓋160は、
図25に示すように、蓋160と反応室130(又は反応室壁)との間の境界面を閉じるか、又は、
図26に示すように、反応室130への基板ロード(及び反応室130からのアンロード)のためのロード用隙間を設ける。
【0149】
基板100は、反応室130の中央部で支持要素(例えば、ピン133など)により支持される。保護流体は、チャネル701を介して、ベース部170が有する凹部171に流入する。凹部171内に分散板(又はインサート)2401(図示せず)を配置してもよい。
【0150】
本装置は、反応室130の側面に複数の非プラズマガス入口(例えば、前駆体蒸気用及び/又はパージガス用の入口)を備える。反応室130の外周又は円周にある非プラズマガス入口の数は、例えば6個であってもよい。本装置は、オプションで、反応室130の円筒形の側壁の内側表面に沿って延びるリング状の部材2530を備える。このリング状の部材2530は、リング状又は平らなリングであってもよく、非プラズマガス入口の直下に配置される。部材2530の目的は、犠牲板として機能することである。2つの入口、すなわち入口2521、2522を
図25及び
図26に示している。
【0151】
装置2500は、反応室の上にある熱反射器、例えば、ある実施形態では蓋160に取り付けられる水平方向の熱反射板2541を備える(熱反射器すなわち熱反射板2541は、ある実施形態では側方へと延在し、ある実施形態では反応室130の底部側へも延在する)。ある実施形態では、装置2500は、プラズマ供給部2505の少なくとも一部、特に下副部品2562の外側表面に沿う、さらなる熱反射器2542を備える。ある実施形態では、装置2500は、プラズマ供給部2505の周囲に熱反射スリーブ2542を備える。
【0152】
図18aに示すように、昇降機190の格納式シャフトが、蓋160に取り付けられていてもよいし、蓋160に連結されていてもよい。その場合、昇降機190によって、蓋160と供給部2505を(伸びた形状と縮んだ形状の間で)動作させて(昇降させて)もよい。
【0153】
プラズマ種は、プラズマ源からプラズマ源管2571に沿って垂直方向の流れとして進み、入口2572を通って、広がる供給部2505に入り、そこから基板100に向かう。ある実施形態では、入口2572は、狭窄部、すなわち狭い通路となり、ガス速度(プラズマ種の速度)を増加させる。言い換えれば、入口2572は、その前のプラズマ源管2571の直径よりも小さい直径を有する管状物である。
【0154】
図25及び
図26に示す実施形態に関連して提示された様々な特徴は、前述の他の実施形態で使用することができる。
【0155】
特許請求の範囲及び解釈を制限することなく、本明細書に開示された例示的な実施形態の1つ又は複数の特定の技術的効果を以下に列挙する。技術的効果は、粒子の発生を最小限に抑えたロード方法を提供することである。さらなる技術的効果は、基板の裏面成長を防ぐことである。
【0156】
以上の説明では、本発明の特定の実装及び実施形態の非限定的な例によって、本発明を実施するために本発明者らが現在考えている最良の態様の完全かつ有益な説明を行った。しかし、本発明は、上記に示した実施形態の詳細に限定されるものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく、同等の手段を用いて他の実施形態でも実施可能であることは、当業者には明らかである。
【0157】
さらに、上述した本発明の実施形態の特徴のいくつかは、それらに対応して他の特徴を使用しなくても、有利に使用することができる。このように、上述の説明は、本発明の原理を単に例示するものであって、それを限定するものではないと考えるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。