(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】無線通信方法、無線通信デバイスおよび無線通信プログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20230622BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20230622BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20230622BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W48/18 115
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2022021828
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】397036309
【氏名又は名称】株式会社インターネットイニシアティブ
(73)【特許権者】
【識別番号】507291969
【氏名又は名称】三井情報株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】中村 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾松 智裕
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-041955(JP,A)
【文献】特開2020-127132(JP,A)
【文献】国際公開第2021/049347(WO,A1)
【文献】特開2010-130149(JP,A)
【文献】特開2017-106864(JP,A)
【文献】特開2016-212035(JP,A)
【文献】特表2018-503795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0241998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスのプロセッサにより実行される方法であって、
ジオフェンスサーバから、ジオフェンステーブルを受信するステップであって、前記ジオフェンステーブルは、ジオフェンスエリアの識別子と、前記ジオフェンスエリアの範囲情報と、前記ジオフェンスエリアの種別とを関連付ける、受信するステップと、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得するステップと、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定するステップと、
受信した前記ジオフェンステーブルを参照して、前記デバイスの現在の位置を含む前記ジオフェンスエリアを、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアとして決定するステップと、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、
切り替えジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替えるステップと、
を含
み、
前記ジオフェンスエリアの種別は、公衆ジオフェンスエリアと、プライベートジオフェンスエリアと、前記切り替えジオフェンスエリアとを含み、
前記公衆ジオフェンスエリアは、前記第1のネットワークに接続される基地局からの電波が第1の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記プライベートジオフェンスエリアは、前記第2のネットワークに接続されるアクセスポイントからの電波が第2の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記公衆ジオフェンスエリアと、前記プライベートジオフェンスエリアとが重複するエリアである、方法。
【請求項2】
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記デバイスが前記第2のネットワークに接続するエリアとして設定されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記基地局は公衆モバイルネットワークの3G基地局、4G基地局、あるいは5G基地局のいずれかとして動作する、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクセスポイントはプライベートネットワークの、Local 5Gの基地局、sXGPの基地局、あるいはWi-Fiのアクセスポイントのいずれかとして動作する、請求項
1から
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
決定された前記ジオフェンスエリアは、前記デバイスの現在の位置を含む、請求項1から
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エリア関連情報は、GPS測位情報、Wi-Fiのアクセスポイントからの情報、ブルートゥース通信対向機器からの情報の少なくとも1つを含む、請求項1から
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記GPS測位情報、前記Wi-Fiのアクセスポイントからの情報、前記ブルートゥース通信対向機器からの情報には、それぞれ優先度が設定されており、優先度の高いエリア関連情報が取得されると、取得した優先度の高いエリア関連情報に基づいて、前記デバイスの位置を決定する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
GPS測位情報が最も高く、続いてWi-Fiのアクセスポイントからの情報、前記ブルートゥース通信対向機器からの情報の順に優先度が設けられている、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記Wi-Fiのアクセスポイントからの情報は、Wi-Fiのアクセスポイントからの信号強度、あるいは、SSIDの少なくとも一方を含む請求項
6から
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ブルートゥース通信対向機器からの情報は、さらに、前記ブルートゥース通信対向機器からの信号の強度、あるいはタグ情報のうち少なくとも一方を含む、請求項
6から
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
命令を記憶する記憶部と、プロセッサとを備えたデバイスであって、
前記プロセッサは、前記記憶部に記憶された命令を実行することにより、
ジオフェンスサーバから、ジオフェンステーブルを受信し、前記ジオフェンステーブルは、ジオフェンスエリアの識別子と、前記ジオフェンスエリアの範囲情報と、前記ジオフェンスエリアの種別とを関連付けており、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
受信した前記ジオフェンステーブルを参照して、前記デバイスの現在の位置を含む前記ジオフェンスエリアを、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアとして決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、
切り替えジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替え
し、
前記ジオフェンスエリアの種別は、公衆ジオフェンスエリアと、プライベートジオフェンスエリアと、前記切り替えジオフェンスエリアとを含み、
前記公衆ジオフェンスエリアは、前記第1のネットワークに接続される基地局からの電波が第1の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記プライベートジオフェンスエリアは、前記第2のネットワークに接続されるアクセスポイントからの電波が第2の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記公衆ジオフェンスエリアと、前記プライベートジオフェンスエリアとが重複するエリアである、デバイス。
【請求項12】
デバイスのプロセッサにより実行されるプログラムが記録された非一時的な記録媒体であって、
前記プロセッサが前記プログラムを実行することにより、
ジオフェンスサーバから、ジオフェンステーブルを受信し、前記ジオフェンステーブルは、ジオフェンスエリアの識別子と、前記ジオフェンスエリアの範囲情報と、前記ジオフェンスエリアの種別とを関連付けており、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
受信した前記ジオフェンステーブルを参照して、前記デバイスの現在の位置を含む前記ジオフェンスエリアを、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアとして決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、
切り替えジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替え
し、
前記ジオフェンスエリアの種別は、公衆ジオフェンスエリアと、プライベートジオフェンスエリアと、前記切り替えジオフェンスエリアとを含み、
前記公衆ジオフェンスエリアは、前記第1のネットワークに接続される基地局からの電波が第1の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記プライベートジオフェンスエリアは、前記第2のネットワークに接続されるアクセスポイントからの電波が第2の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記公衆ジオフェンスエリアと、前記プライベートジオフェンスエリアとが重複するエリアである、非一時的な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信方法、無線通信デバイスおよび無線通信プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、全国的に無線通信が普及しており、無線通信事業者が全国的に展開する公衆ネットワークと、地域や企業などが提供する局所的なプライベートネットワークとで構成されるネットワークが、駅や、工場など様々な場所で採用されている。このため、携帯通信端末などのデバイスに、公衆ネットワークとの通信機能に加えて無線LAN通信機能が標準搭載されるようになってきた。
【0003】
公衆ネットワークとプライベートネットワークの両方と無線通信可能なデバイスは、デバイスがプライベートネットワークエリアに進入すると、電波強度情報や通信情報等をもちい、プライベートネットワークのアクセスポイントに自動接続するよう構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような自動切り替えの機能はデバイスへの実装は進んでいない。その理由は無線通信可能なデバイスが移動する場合、電波強度や通信が安定していないことから、プライベートネットワークのアクセスポイントへ自動接続の設定がされていると、公衆ネットワークの基地局とプライベートネットワークのアクセスポイントとの間の接続切り替えが上手くいかず、基地局あるいは、アクセスポイントとの接続と切断が頻繁に発生するなど、無線通信の接続安定性が著しく低下する場合があるためである。
【0005】
本発明の目的は、無線通信の接続安定性を確保する無線通信方法、無線通信デバイスおよび無線通信プログラムを記録した非一時的な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、デバイスのプロセッサにより実行される方法であって、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得するステップと、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定するステップと、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定するステップと、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替えるステップと、
を含む、方法である。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、
命令を記憶する記憶部と、プロセッサとを備えたデバイスであって、
前記プロセッサは、前記記憶部に記憶された命令を実行することにより、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替える、デバイスである。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の一態様は、
デバイスのプロセッサにより実行されるプログラムが記録された非一時的な記録媒体であって、
前記プロセッサが前記プログラムを実行することにより、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替える、非一時的な記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信の接続安定性を確保する無線通信方法、無線通信デバイスおよび無線通信プログラムを記録した非一時的な記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による、ネットワーク切り替えシステムの構成例を示す。
【
図2】
図1に示すユーザデバイスで実行されるネットワーク切り替えアプリケーションにより設定されたジオフェンスエリアの俯瞰図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、
図1のネットワーク切り替えシステムを構成するユーザデバイスのハードウェア構成を例示する図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、
図1のネットワーク切り替えシステムを構成するユーザデバイスの機能的構成の例を示すブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態による
図1に示すネットワーク切り替えシステムのユーザデバイスにおいて実行される処理フローの例を示す。
【
図6】ジオフェンステーブルのデータ構造の一例を示す。
【
図7】切り替えロジックテーブルのデータ構造の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の一実施形態は、以下のような構成を備える。
【0012】
〔構成1〕
デバイスのプロセッサにより実行される方法であって、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得するステップと、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定するステップと、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定するステップと、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替えるステップと、
を含む、方法。
【0013】
〔構成2〕
前記ジオフェンスエリアの種別は、公衆ジオフェンスエリアと、プライベートジオフェンスエリアと、切り替えジオフェンスエリアとを含み、
前記公衆ジオフェンスエリアは、前記第1のネットワークに接続される基地局からの電波が第1の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記プライベートジオフェンスエリアは、前記第2のネットワークに接続されるアクセスポイントからの電波が第2の所定電力以上のジオフェンスエリアであり、
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記公衆ジオフェンスエリアと、前記プライベートジオフェンスエリアとが重複するエリアである、構成1に記載の方法。
【0014】
〔構成3〕
前記特定の種別のジオフェンスエリアは、前記切り替えジオフェンスエリアである、構成2に記載の方法。
【0015】
〔構成4〕
前記切り替えジオフェンスエリアは、前記デバイスが前記第2のネットワークに接続するエリアとして設定されている、構成2または3に記載の方法。
【0016】
〔構成5〕
前記基地局は公衆モバイルネットワークの3G基地局、4G基地局、あるいは5G基地局のいずれかとして動作する、構成2から4のいずれかに記載の方法。
【0017】
〔構成6〕
前記アクセスポイントはプライベートネットワークの、Local 5Gの基地局、sXGPの基地局、あるいはWi-Fiのアクセスポイントのいずれかとして動作する、構成2から4のいずれかに記載の方法。
【0018】
〔構成7〕
決定された前記ジオフェンスエリアは、前記デバイスの現在の位置を含む、構成1から6のいずれかに記載の方法。
【0019】
〔構成8〕
前記エリア関連情報は、GPS測位情報、Wi-Fiのアクセスポイントからの情報、ブルートゥース通信対向機器からの情報の少なくとも1つを含む、構成1から7のいずれかに記載の方法。
【0020】
〔構成9〕
前記GPS測位情報、前記Wi-Fiのアクセスポイントからの情報、前記ブルートゥース通信対向機器からの情報には、それぞれ優先度が設定されており、優先度の高いエリア関連情報が取得されると、取得した優先度の高いエリア関連情報に基づいて、前記デバイスの位置を決定する、構成8に記載の方法。
【0021】
〔構成10〕
GPS測位情報が最も高く、続いてWi-Fiのアクセスポイントからの情報、前記ブルートゥース通信対向機器からの情報の順に優先度が設けられている、構成9に記載の方法。
【0022】
〔構成11〕
前記Wi-Fiのアクセスポイントからの情報は、Wi-Fiのアクセスポイントからの信号強度、あるいは、SSIDの少なくとも一方を含む構成8から10のいずれかに記載の方法。
【0023】
〔構成12〕
前記ブルートゥース通信対向機器からの情報は、さらに、前記ブルートゥース通信対向機器からの信号の強度、あるいはタグ情報のうち少なくとも一方を含む、構成8から10のいずれかに記載の方法。
【0024】
〔構成13〕
命令を記憶する記憶部と、プロセッサとを備えたデバイスであって、
前記プロセッサは、前記記憶部に記憶された命令を実行することにより、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替える、デバイス。
【0025】
〔構成14〕
デバイスのプロセッサにより実行されるプログラムが記録された非一時的な記録媒体であって、
前記プロセッサが前記プログラムを実行することにより、
第1のネットワークに接続している前記デバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得し、
取得した前記エリア関連情報から前記デバイスの現在の位置を決定し、
前記デバイスの現在の位置から、前記デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定し、
前記現在のジオフェンスエリアあるいは、前記デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在の前記ジオフェンスエリアの種別と、前記直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、前記デバイスの接続先を、前記第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替える、非一時的な記録媒体。
【0026】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
本開示に係るネットワーク切り替えシステムは、ユーザデバイスの移動に応じて、接続先の通信ネットワークを公衆ネットワークと、プライベートネットワークとの間で接続を切り替えるシステムである。なお、本開示は以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が本開示に含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。
【0028】
図1は本開示の一実施形態による、ネットワーク切り替えシステム100の構成例を示す。ネットワーク切り替えシステム100は、駅、空港、工場、港湾、物流倉庫、スタジアム、病院、工事現場、イベント会場等の様々な場所に構成することができる。ネットワーク切り替えシステム100は、ジオフェンスサーバ102と、ユーザデバイス300とを備える。ネットワーク切り替えシステム100は、ユーザデバイス300の位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報から、デバイスが現在在圏するジオフェンスエリアを決定し、ユーザデバイスの移動に応じて、決定したジオフェンスエリアが変化すると、ユーザデバイス300の接続先を切り替えるシステムである。ジオフェンスエリアは、ユーザデバイス300が、基地局108やアクセスポイント(AP)110が送信した電波が届く領域に基づき、予めシステム設計者により設定される。なお、
図1は、説明のための簡略化されており、1以上の基地局108と、1以上のAP110と、1以上のユーザデバイス300とが存在しうる。
【0029】
公衆モバイルネットワーク(以下、「公衆ネットワーク」とも呼ぶ。)104と、この公衆ネットワーク104の一部である基地局108は、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)、MNO(Mobile Network Operator)などの移動通信サービスを提供する通信事業者によって提供される。公衆ネットワーク104は、LTE(long term evolution)、3G、4G、5G等の通信規格を利用したモバイルネットワークである。
【0030】
プライベートモバイルネットワーク(以下、「プライベートネットワーク」とも呼ぶ。)106と、このプライベートネットワーク106に接続されているAP110は、駅、空港、店舗、工事現場、港、イベント会場、スポーツ施設を運営する企業によって提供される。プライベートネットワーク106は、例えば、施設内や社内などの一定の範囲内で通信ができるように構成され、外部のインターネット等への接続が許容されないように構成されうる。プライベートネットワーク106は、プライベートLTE(sXGP:shared eXtended Global Platform)、Local 5G、Wi-Fi等を利用したモバイルネットワークである。AP110は、これらのプライベートネットワーク106に接続可能に構成される。なお、プライベートネットワーク106がプライベートLTE(sXGP)、あるいはLocal 5Gの場合、これらのアクセスポイント110は、プライベートLTEシステム、あるいはLocal 5Gシステムの通信規格に対応した基地局である。
【0031】
AP110は、AP110が送信した電波が所定電力以上でユーザデバイス300に届く場合に、ユーザデバイス300と接続を確立して通信を行うことができる。そのようなAP110と通信可能なユーザデバイス300が存在しうる範囲が、
図1では領域114として示されている。また、基地局108と通信可能なユーザデバイス300が存在しうる範囲も同様に規定され、
図1では領域112として示されている。領域116は、領域112と、領域114の重複する範囲であり、基地局108からの電波と、アクセスポイント110からの電波の両方が届く領域である。
【0032】
システム設計者は、領域112、領域114および領域116から、仮想的な境界線で囲まれた地理座標で示されたジオフェンスエリアを予め設定しておく。ジオフェンスサーバ102は、この設定されたジオフェンスエリアに関する情報を管理、および更新するよう構成される。ジオフェンスサーバ102はクラウドベースのサーバであってもよい。なお、ジオフェンスエリアの詳細は
図2を用いて説明する。
【0033】
ユーザデバイス300は、ユーザによる各種入力操作を受け付けする。ユーザデバイス300はスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(いわゆる、ノートパソコン)、デスクトップ型コンピュータ、あるいはフォークリフトや自動車等の移動体に搭載される車載機器等として実現される。ユーザデバイス300は、いわゆるモノのインターネット(Internet of Things: IoT)デバイスであってもよい。
【0034】
ユーザデバイス300は、基地局108を通じて公衆ネットワーク104に接続し、あるいは、AP110を通じてプライベートネットワーク106に接続するよう構成することができる。ユーザデバイス300は、公衆ネットワーク104あるいは、プライベートネットワーク106に接続し、各種クラウドサービスを利用することができる。
【0035】
ノード120は、ユーザデバイス300の位置に関連するデバイスのエリア関連情報を、ユーザデバイス300に提供する。一例では、ノード120は、GPS測位システムの衛星122である。ノード120は、GPS測位システムの衛星122に限られず、無線LANのアクセスポイント(AP)124、またはブルートゥース(「ブルートゥース」は登録商標、以下では登録商標の記載を省略する。)のビーコン信号を送信するブルートゥース(以下では「BT」とも呼ぶ。)通信対向機器126等の無線装置であってもよい。ユーザデバイス300は、無線LANのAP124からの信号や、ブルートゥース通信対向機器126からの信号に基づいて、ユーザデバイス300の現在位置を決定することができる。GPSは、理想的に空がひらけているエリアではユーザデバイス300の位置を精度高く測定できるが、屋内や地下、高い建物の間等では位置が精度高く測定できない、あるいは全く測定できない場合がある。このため、ユーザデバイス300の位置に応じて、ユーザデバイス300は、GPS測位システムの衛星122からの信号を単独で、あるいはGPS測位システムの衛星122と、無線LANのAP124と、ブルートゥース通信対向機器126とからの信号を組み合わせて、ユーザデバイス300の位置を測定してもよい。これにより、ユーザデバイス300は、建物や天候によって妨害されずに、ユーザデバイス300の位置を取得することができる。
【0036】
なお、
図1において、ノード120のAP124と、プライベートネットワーク106に接続されるAP110は別体で示されているが、これらは一体で構成されてもよい。
【0037】
図2は、
図1に示すユーザデバイス300で実行されるネットワーク切り替えアプリケーションにより設定されたジオフェンスエリアの俯瞰
図200である。
【0038】
クラウドサービス提供対象エリア210内には複数の種類のジオフェンスエリア202、204、206(以下、単に「ジオフェンスエリア」と称することもある)が設けられている。ジオフェンスエリアは、複雑な多角形または座標間の線から構成することができる。ジオフェンスエリアは、地理座標や、緯度、経度、および高度の値によって規定されうるが、ストリートアドレス、道路の交差点等によって規定されてもよい。
図2に示すように、システム設計者は、様々な異なる形状およびサイズで構成されたジオフェンスエリアの境界を設定することができる。例えば、公衆ジオフェンスエリア202は略長方形であり、プライベートジオフェンスエリア204は略正方形である。ジオフェンスエリアは2次元だけでなく、3次元の形状とすることもできる。
【0039】
ジオフェンスエリアは、基地局108からの電波が所定電力以上の公衆モバイルネットワーク・ジオフェンスエリア(公衆ジオフェンスエリア)202と、AP110からの電波が所定電力以上のプライベート・モバイルネットワーク・ジオフェンスエリア(プライベートジオフェンスエリア)204と、切り替えジオフェンスエリア206とを備える。
【0040】
公衆ジオフェンスエリア202は、
図1の領域112の少なくとも一部を含むように設定される。同様に、プライベートジオフェンスエリア204は
図1の領域114の少なくとも一部を含むよう設定される。公衆ジオフェンスエリア202は、近くのプライベートジオフェンスエリア204と重複することがある。公衆ジオフェンスエリア202とプライベートジオフェンスエリア204とが重複するエリアを切り替えジオフェンスエリア206と設定する。なお、
図2は、説明のため簡略化されているが、クラウドサービス提供対象エリア210内には、1以上の公衆ジオフェンスエリア202と、1以上のプライベートジオフェンスエリア204と、1以上の切り替えジオフェンスエリア206が存在できる。システム設計者は、それぞれの複数のジオフェンスエリアを識別するための識別子(図示の例ではジオフェンスエリア1から3)を割り当てし、それぞれのジオフェンスエリアがどの種別(公衆、プライベート、切り替え)のジオフェンスエリアであるかを予め設定しておく。
【0041】
なお、ジオフェンスエリア202と、204と、206とは、それぞれ
図1に示す領域112と、114と、116とに基づいて設定されるが、その範囲は、領域112と、114と、116とに完全に一致していなくてもよい。
【0042】
本開示によると、移動しているユーザデバイス300が、切り替えジオフェンスエリア206に入ったとき、あるいは切り替えジオフェンスエリア206から出て行くときに、ユーザデバイス300は、ジオフェンスサーバ102により提供される予め定められた切り替えロジックに基づいて、現在接続している第1のネットワークから、指定された第2のネットワークへ、強制的に接続を切り替える(強制ハンドオーバ)。これにより、公衆またはプライベートジオフェンスエリアの境界領域である、切り替えジオフェンスエリア206にユーザデバイス300が位置し、基地局108あるいは、アクセスポイント110からの電波が弱くなっても、悪い接続状態を維持することなく、通信状態の良好なネットワークへの切り替えをスムーズに行うことができる。
【0043】
一例では、公衆ジオフェンスエリアであるジオフェンスエリア1内で、基地局108を介して公衆ネットワーク104に接続しているユーザデバイス300が、ジオフェンスエリア2に移動する。ユーザデバイス300は、事前にユーザデバイス300に記録された、あるいは、ジオフェンスサーバ102からダウンロードした切り替えロジックに従って、公衆ネットワーク104からプライベートネットワーク106に接続を強制的に切り替える。
【0044】
<ユーザデバイス300のハードウェア構成>
図3は、本開示の一実施形態による、
図1のネットワーク切り替えシステム100を構成するユーザデバイス300のハードウェア構成を例示する図である。なお、
図3は、本開示のユーザデバイス300を特定の構成に限定するものではない。
図3に示す様々な構成要素は、組み合わされるか細分化されるか、または省略されてもよく、追加の構成要素が、特定の必要性に従って追加されてもよい。
【0045】
ユーザデバイス300は
図3に示すように、プロセッサ302と、メモリ304と、ストレージ306と、通信インターフェイス(IF)308と、GPS受信器310とを備える。ユーザデバイス300が備えるこれらの構成は、通信バス362によって互いに電気的に接続される。
【0046】
プロセッサ302は、ユーザデバイス300の全体の動作を制御する。プロセッサ302は、CPU(Central Processing Unit)、およびMPU(Micro Processing Unit)等のデバイスとして実現される。プロセッサ302は、後述するストレージ306からプログラムを読み出す。そして、プロセッサ302は、それぞれ、読み出したプログラムを、後述するメモリ304へ展開する。プロセッサ302は、展開したプログラムを実行する。一例として、プロセッサ302は、ユーザデバイス300に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、メモリ304に展開したプログラムに含まれる一連の命令を実行する。
【0047】
メモリ304は主記憶装置である。メモリ304は、プログラムおよびデータを一時的に保存する。メモリ304は、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置として実現される。一例として、メモリ304は、プロセッサ302が後述するストレージ306から読み出したプログラムおよび各種データを一時的に記憶することにより、プロセッサ302に作業領域を提供する。メモリ304には、少なくともオペレーティングシステムが格納されている。オペレーティングシステムは、ユーザデバイス300の全体的な動作を制御するためのコンピュータプログラムである。また、メモリ304には、ユーザデバイス300の接続するネットワークの切り替えを指示するネットワーク切り替えアプリケーションプログラム351(以下、「切り替えアプリ」という)と、ジオフェンスサーバ102からダウンロードしたジオフェンステーブル352(
図6)と、切り替えロジックテーブル353(
図7)とが格納されている。
【0048】
ストレージ306は補助記憶装置である。ストレージ306は、プログラムおよびデータを永続的に保持する。ストレージ306は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、ハードディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置のみの装置、およびRAM(Random Access Memory)等の揮発性記録装置のみの装置、およびその両方を備える記録装置として実現される。ストレージ306には、例えば、他のコンピュータ等との通信を実現するためのプログラム等が格納される。
【0049】
通信IF308は、所定の通信プロトコルに従ってユーザデバイス300と通信可能な各種装置との間で各種データの送受信を制御する。通信IF308は、各種装置(ジオフェンスサーバ102や、不図示のクラウドアプリケーションサーバ)との間の無線ネットワーク上での通信をサポートする。また、通信IFは、無線LAN(Wi-Fi)、またはブルートゥースによる近距離無線通信技術等を用いて、外部機器との短距離通信をサポートしてもよい。
【0050】
GPS受信器310は、GPS受信器310であるユーザデバイス300と衛星122との間の距離の測定値を取得し、この距離の測定値を使用してユーザデバイス300の位置を決定する。
【0051】
ユーザデバイス300は、加入者情報等を記憶保持するSIM(Subscriber Identity Module)カードを備えてもよい。プライベートネットワークがLocal 5G、sXGPの場合には、SIMカードは、プライベートネットワーク106との接続に利用するLocal 5GのSIM情報、sXGPのSIM情報をそれぞれ記憶することができる。
【0052】
<ユーザデバイス300の機能的構成>
図4は、本開示の一実施形態による、
図1のネットワーク切り替えシステム100を構成するユーザデバイス300の機能的構成の例を示すブロック図である。
【0053】
ユーザデバイス300は、ジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とを取得あるいは読み出しする機能と、ユーザデバイス300の現在地の位置を決定する機能と、現在値の位置情報からジオフェンスエリアを決定する機能と、接続するネットワークの切り替えするか否かを判定する機能とを備える。ユーザデバイス300は、主たる構成要素として、制御部330と、記憶部350とを備える。制御部330は、ユーザデバイス300に与えられる信号に基づいて、あるいは、予め定められた条件が成立したことに基づいて、記憶部350に格納されているネットワーク切り替えアプリに含まれる一連の命令を実行する。ユーザデバイス300は、プロセッサ302、メモリ304、ストレージ306、通信IF308、およびGPS受信器310の協働によって、制御部330および記憶部350として機能する。
【0054】
制御部330は、プログラム(不図示)の記述に応じて、ダウンロード(DL)/読み出し部331、位置決定部332、エリア決定部333、あるいは切り替え部334として機能する。制御部330は、実行されるアプリケーション(AP)の性質に応じて、図示しないその他の機能ブロックとしても機能することができる。
【0055】
DL/読み出し部331は、ジオフェンスサーバ102から、ジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とをダウンロードする。DL/読み出し部331は、例えばユーザデバイス300がジオフェンスサーバ102と接続できないときは、予め記憶部350に格納されている、ジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とを読み出ししてもよい。
【0056】
位置決定部332は、測位システムの衛星122から受信した信号に基づいてユーザデバイス300の現在の位置を決定し、記憶部350に格納する。
【0057】
エリア決定部333は、ジオフェンステーブル352(
図6)を参照し、ユーザデバイス300の現在の位置から、ジオフェンスエリアを決定し、記憶部350に格納する。
【0058】
切り替え部334は、記憶部350に格納されているユーザデバイス300の直前の位置と、ユーザデバイス300の現在の位置とから、ジオフェンスエリアが変化しているかを判定する。ジオフェンスエリアが変化している場合には、切り替えロジックテーブル353(
図7)を参照し、ユーザデバイス300が接続するネットワークを切り替えする。
【0059】
(各装置の記憶部が格納するデータ)
また、
図4は、ユーザデバイス300の記憶部350に格納されるデータの例を示す。記憶部350は、実行されるアプリケーション(AP)の性質に応じて、図示しないその他のデータを格納することができる。
【0060】
記憶部350は、切り替えアプリ351と、ジオフェンスサーバ102からダウンロードしたジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とを格納する。
【0061】
切り替えアプリ351は、ユーザデバイス300にインストールされる。切り替えアプリ351は、ジオフェンスサーバ102にアクセスし、ジオフェンスサーバ102から、ジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とをダウンロードし、ユーザデバイス300の現在位置を取得し、ジオフェンスエリアを決定し、ユーザデバイス300のネットワークの切り替えを行うまでの処理等を行うアプリケーションプログラムである。
【0062】
ジオフェンステーブル352は、複数のジオフェンスエリアの範囲情報を記憶することができる。ジオフェンスサーバ102は、ジオフェンスエリアの追加、削除などの変更に応じてジオフェンステーブル352を随時更新しており、ユーザデバイス300で動作している切り替えアプリ351から、ジオフェンステーブル352が要求されると、この要求に応じて、最新のジオフェンステーブル352を、ユーザデバイス300へ送信する。
【0063】
図6は、ジオフェンステーブル352のデータ構造の一例を示す。ジオフェンステーブル352は、システム設計者により割り当てられた各ジオフェンスエリアを一意に識別する識別子と、システム設計者により予め設定されたジオフェンスエリアの範囲情報と、各ジオフェンスエリアの種別(公衆ジオフェンスエリア、プライベートジオフェンスエリア、切り替えエリア)とを記憶する。一例では、
図6に示すように、ジオフェンスエリア1は公衆ジオフェンスエリア、ジオフェンスエリア2は切り替えジオフェンスエリア、ジオフェンスエリア3はプライベートジオフェンスエリアにそれぞれ関連付けられる。
【0064】
図4に戻り、切り替えロジックテーブル353は、ネットワークの切り替え条件を記憶することができる。ジオフェンスサーバ102は、ジオフェンスエリアの追加、削除などの変更に応じて切り替えロジックテーブル353を随時更新しており、ユーザデバイス300で動作している切り替えアプリから、切り替えロジックテーブル353が要求されると、この要求に応じて、最新の切り替えロジックテーブル353を、ユーザデバイス300へ送信する。
【0065】
図7は、切り替えロジックテーブル353のデータ構造の一例を示す。切り替えロジックテーブル353は、ユーザデバイス300の直前のジオフェンスエリアに割り当てられた識別子(From欄)と、現在のジオフェンスエリアに割り当てられた識別子(To欄)と、ネットワーク変更の処理とを関連付ける。切り替えロジックテーブル353は、ジオフェンスエリア間の移動について管理することができ、ジオフェンスエリアがN個(図示では3)の場合は、(N-1)×(N-1)(図示では4)とおりのネットワーク切り替え処理を管理することができる。一例では、
図7に示すように、ユーザデバイス300が直前のジオフェンスエリア1から、現在のジオフェンスエリア2に移動したとき、切り替えロジックテーブル353は、公衆ネットワーク104から、プライベートネットワーク106への接続の切り替えを指示する。
【0066】
図5は、本開示の一実施形態による
図1に示すネットワーク切り替えシステム100のユーザデバイス300において実行される処理フロー500の例を示す。ユーザデバイスには、予め切り替えアプリ351が格納されているものとする。
【0067】
まず、ステップS2において、ユーザデバイス300は、ユーザによる操作を受け付けし、記憶部350に格納されている切り替えアプリ351を起動する。
【0068】
次に、ステップS4において、ユーザデバイス300(DL/読み出し部331)は、通信IF308を介してジオフェンスサーバ102に接続し、ジオフェンスサーバ102から最新のジオフェンステーブル352(
図6)と、最新の切り替えロジックテーブル353(
図7)とをダウンロードし、記憶部350に格納する。既にジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とが格納されている場合には、最新のテーブルにそれぞれ更新する。なお、ユーザデバイス300とジオフェンスサーバ102とが接続できないとき、あるいはジオフェンステーブル352と切り替えロジックテーブル353に変更がなく更新する必要がないとき、ユーザデバイス300(DL/読み出し部331)は、記憶部350に予め格納されているジオフェンステーブル352と、切り替えロジックテーブル353とを読み出しする。
【0069】
次に、ステップS6において、ユーザデバイス300(位置決定部332)は、ノード120からユーザデバイス300の位置に関連するデバイスのエリア関連情報を取得し、取得したデバイスのエリア関連情報に基づいて、ユーザデバイス300の位置を決定する。デバイスのエリア関連情報は、ユーザデバイス300に固有の識別子に対応付けられており、GPS測位情報、AP124から得られるWi-Fi情報(信号強度、SSID)、あるいはブルートゥース通信対向機器126から得られる情報(信号強度、タグ情報)のうち少なくとも1つの情報を備える。
【0070】
デバイスのエリア関連情報が、GPS測位情報の場合、測位システムの衛星122からGPS受信器310が受信したGPS測位位置がユーザデバイス300の位置となる。
【0071】
デバイスのエリア関連情報がWi-Fi情報のとき、通信IF308を介してAP124から信号を受信する。AP124からの信号が、所定の強度以上であること、あるいはAP124のSSIDを含むこと、あるいはこれらの両方であるとき、事前にマッピングされたAP124の位置がユーザデバイス300の位置となる。
【0072】
デバイスのエリア関連情報がブルートゥース通信対向機器126からの情報のとき、通信IF308を介してブルートゥース通信対向機器126から信号を受信する。ブルートゥース通信対向機器126からの信号が、所定の信号強度以上であること、あるいはブルートゥース通信対向機器のタグ情報を含むこと、あるいはこれらの両方であるとき、事前にマッピングされたブルートゥース通信対向機器126の位置がユーザデバイス300の位置となる。
【0073】
ユーザデバイス300は、複数のデバイスのエリア関連情報を取得できるとき、取得した情報の組み合わせにより、あるいは取得した情報の優先度に応じて、ユーザデバイス300の位置を決定してもよい。一例では、システム設計者により予め、GPS情報に最も高い優先度を設定し、続いてWi-Fi情報、ブルートゥース通信対向機器126からの情報の順に優先度が設定される。取得したデバイスのエリア関連情報のうち、優先度が最も高いデバイスのエリア関連情報に基づいて、ユーザデバイス300の位置を決定する。
【0074】
次に、ステップS8において、ユーザデバイス300(エリア決定部333)は、ジオフェンステーブル352(
図6)を参照して、決定したユーザデバイス300の位置を含むジオフェンスエリアを決定し、決定したジオフェンスエリア(ジオフェンスエリアの識別子と、エリア種別)を、記憶部350に格納する。
【0075】
次に、ステップS10において、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、記憶部350に格納されている直前のジオフェンスエリアを読み出し、直前のジオフェンスエリアから、ステップS6にて決定されたジオフェンスエリアが変化したか(ジオフェンスに入ること、ジオフェンスを離れることなど)どうかを決定する。
【0076】
次に、ステップS10において、ジオフェンスエリアが変化したと決定されたとき、ステップS12に進み、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、切り替えロジックテーブル353(
図7)を参照して、適宜ユーザデバイス300の接続ネットワークを切り替える。より詳細には、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、現在のジオフェンスエリアあるいは、直前のジオフェンスエリアが、切り替えジオフェンスエリアであり、かつ現在のジオフェンスエリアの種別と、直前のジオフェンスエリアの種別とが異なる場合に、ユーザデバイス300の接続ネットワークを切り替える。
【0077】
一例では、切り替えジオフェンスエリアをプライベートネットワーク106と接続するエリアと指定する。この場合、ジオフェンスエリア1から、切り替えジオフェンスエリアであるジオフェンスエリア2に変化したと決定したとき、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、
図7の切り替えロジックテーブル353を参照し、公衆ネットワーク104からプライベートネットワーク106へ強制的に切り替えするよう通信IF308へ指示する。
【0078】
また、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、切り替えジオフェンスエリアであるジオフェンスエリア2からジオフェンスエリア1に変化したと決定したとき、プライベートネットワーク106から公衆ネットワーク104へ強制的に切り替えするよう通信IF308へ指示する。
【0079】
また、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、切り替えジオフェンスエリアであるジオフェンスエリア2からジオフェンスエリア3に変化したと決定したとき、あるいはジオフェンスエリア3から切り替えジオフェンスエリアであるジオフェンスエリア2に変化したと決定したときは、ネットワークの切り替えを行わず、プライベートネットワーク106との接続を維持する。このように、ジオフェンスエリアが変化しても、ジオフェンスエリアの種別が変化しないときは、接続ネットワークは切り替わらない。
【0080】
図5に戻り、ステップS10において、ジオフェンスエリアが変化していないと決定されたとき、ステップS14に進み、ネットワークの切り替えを行わない。
【0081】
次に、ステップS16に進み、ユーザデバイス300において切り替えアプリ351が終了されていないと判断すると、ステップS8にて決定したジオフェンスエリア(ジオフェンスエリアの識別子と、エリア種別)を直前のジオフェンスエリアの情報として記憶部350に格納し、ステップS4に戻る。ステップS16において、切り替えアプリ351が終了されていると判断されるまで、ステップS4からステップS16の処理を繰り返す。ステップS16において、切り替えアプリ351が終了されていると判断されると、処理を終了する。
【0082】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0083】
以上の例では
図7に示すように、切り替えエリアであるジオフェンスエリア2をプライベートネットワークへ接続するエリアと指定した例を説明した。他の例では、切り替えエリアであるジオフェンスエリア2を公衆ネットワークへ接続すると設定してもよい。すなわち、ジオフェンスエリア1からジオフェンスエリア2に変化したと決定したとき、あるいはジオフェンスエリア2からジオフェンスエリア1に変化したと決定したとき、ユーザデバイス300(切り替え部334)は、ネットワークの切り替えを行わず、公衆ネットワーク104との接続を維持する。ジオフェンスエリア2からジオフェンスエリア3に変化したと決定したとき、公衆ネットワーク104からプライベートネットワーク106へ強制的に切り替えするよう通信IF308へ指示する。ジオフェンスエリア3からジオフェンスエリア2に変化したと決定したとき、プライベートネットワーク106から公衆ネットワーク104へ強制的に切り替えするよう通信IF308へ指示する。切り替えジオフェンスエリアを、公衆ネットワーク104に接続するエリアとするか、プライベートネットワーク106に接続するエリアとするかは、基地局あるいはAPから受信する電波の強度などを比較して、切り替えジオフェンスエリアごとに任意に設定できる。
【符号の説明】
【0084】
102…ジオフェンスサーバ
104…公衆ネットワーク
106…プライベートネットワーク
108…基地局
110…アクセスポイント
120…ノード
122…衛星
124…アクセスポイント
126…ブルートゥース通信対向機器
202…公衆ジオフェンスエリア
204…プライベートジオフェンスエリア
206…切り替えジオフェンスエリア
210…クラウドサービス提供対象エリア
300…ユーザデバイス
302…プロセッサ
304…メモリ
306…ストレージ
308…通信インターフェイス
310…GPS受信器
330…制御部
331…DL/読み出し部
332…位置決定部
333…エリア決定部
334…切り替え部
350…記憶部
351…切り替えアプリケーションプログラム
352…ジオフェンステーブル
353…切り替えロジックテーブル
【要約】
【課題】無線通信の接続安定性を確保する無線通信方法、無線通信デバイスおよび無線通信プログラムを記録した非一時的な記録媒体を提供する。
【解決手段】デバイスのプロセッサにより実行される方法を提供する。この方法は、第1のネットワークに接続しているデバイスの位置に関連付けられるデバイスのエリア関連情報を取得するステップと、取得したエリア関連情報からデバイスの現在の位置を決定するステップと、デバイスの現在の位置から、デバイスが在圏する現在のジオフェンスエリアを決定するステップと、現在のジオフェンスエリアあるいは、デバイスの直前のジオフェンスエリアが、特定の種別のジオフェンスエリアであり、かつ現在のジオフェンスエリアの種別と、直前のジオフェンスエリアの種別とが異なるときに、デバイスの接続先を、第1のネットワークから、第2のネットワークへ切り替えるステップと、を含む。
【選択図】
図5