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特許7300558ユーティリティ構成要素を装備する車両着座位置のための膨張可能なエアバッグアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-21
(45)【発行日】2023-06-29
(54)【発明の名称】ユーティリティ構成要素を装備する車両着座位置のための膨張可能なエアバッグアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2338 20110101AFI20230622BHJP
   B60R 21/207 20060101ALI20230622BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20230622BHJP
【FI】
B60R21/2338
B60R21/207
B60N2/42
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022517294
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 US2020054807
(87)【国際公開番号】W WO2021072093
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】16/597,653
(32)【優先日】2019-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、チャンスー
(72)【発明者】
【氏名】パーク、ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲンティカッティ、ビナイ
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0111877(US,A1)
【文献】米国特許第05492361(US,A)
【文献】特開2018-171998(JP,A)
【文献】特開2008-222199(JP,A)
【文献】特開2005-125944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B60N 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両着座位置(30)の少なくとも1つの側面上で前記車両着座位置(30)に結合された第1のアーム(116、616、716、916)と、
前記車両着座位置(30)の上に横方向に延びるように構成された前記アーム(116、616、716、916)に結合されたユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)と、
前記ユーティリティ構成要素(110)内に配置されたエアバッグ(130、630、830、930a)と
前記エアバッグ(130、630、830、930a、930b)の乗員向きパネル(636b)の内面(643b)に結合された第1の端部(643a)と、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)のアンカーポイント(641b)に結合された第2の端部(641a)とを有するテザー(642)と
を含む乗員アクセサリ
を備えるエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)であって、前記エアバッグ(130、630、830、930a)が、下方軌道で展開し、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)の周りで、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)と前記車両座席位置(30)のシートバック(36)との間で湾曲し、
展開中に、前記テザー(642)が、きつく引っ張られ、力を前記乗員向きパネル(636b)上に加えて、前記エアバッグクッション(130、630、830、930a、930b)の前記乗員向きパネル(636b)を後方及び上方に湾曲させることを特徴とするエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項2】
前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、収納位置と使用位置との間で移動可能であり、前記使用位置において、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、前記車両座席位置(30)の上に少なくとも部分的に配置されている、請求項1記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項3】
前記第1のアーム(116,616,716,916)が、前記車両着座位置(30)に対して、前記車両着座位置(30)の長手方向に回転可能である、請求項1及び2のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項4】
前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、前記第1のアーム(116、616、716、916)に対して、前記車両着座位置(30)から離れる横方向に回転する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項5】
前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、前記車両着座位置(30)に対して上方向及び下方向に調整可能であり、前記車両着座位置(30)に対して前方向及び後方向に調整可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項6】
前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)の底面上にカバーを含み、前記カバーが、前記エアバッグ(130)の展開の際に開く、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項7】
前記乗員アクセサリが、前記第1のアーム(116)の前記車両着座位置(30)の反対側の側面において前記車両着座位置(30)に接続された第2のアーム(118)を更に含み、前記第2のアーム(118)が、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)に接続されており、前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)が、前記第1のアーム(116、616、716)から前記第2のアーム(118)まで前記車両着座位置(30)を横切って横方向に延びるように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項8】
前記乗員アクセサリが、前記第1のアーム(916)の前記車両着座位置(30)の反対側の側面において前記車両着座位置(30)に接続された第2のアーム(918)を更に含み、前記第2のアーム(918)が、第2のユーティリティ構成要素(910b)に接続されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(900)。
【請求項9】
前記エアバッグ(930a)が、前記ユーティリティ構成要素(910a)内に配置されており、第2のエアバッグ(930b)が、前記第2のユーティリティ構成要素(910b)内に配置されており、前記第2のエアバッグ(930b)が、下方軌道で展開し、前記第2のユーティリティ構成要素(910b)の周りで、前記第2のユーティリティ構成要素(910b)と前記車両着座位置(30)との間で湾曲する、請求項8に記載のエアバッグアセンブリ(900)。
【請求項10】
前記ユーティリティ構成要素(910a)が、前記車両着座位置(30)の側面から前記車両着座位置(30)の上に延びるように構成されており、前記第2のユーティリティ構成要素(910b)が、前記車両着座位置(30)の前記反対側の側面から前記車両着座位置(30)の上に延びるように構成されている、請求項9に記載のエアバッグアセンブリ(900)。
【請求項11】
前記ユーティリティ構成要素(110、610、710、810、910a)内に配置されたインフレータ(124a、124b、124c、124x)を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【請求項12】
前記エアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)が、前記車両着座位置(30)のシート(32)内に取り付けられるインフレータ(124a)と、前記第1のアーム(116、616、716、916)内に配置されたチューブ(126a)とを更に備え、前記チューブが、前記インフレータを前記エアバッグ(130)に結合し、膨張ガスが、前記インフレータから前記チューブを介して前記エアバッグ(130)に供給される、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアバッグアセンブリ(100、600、700、800、900)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、車両着座位置において配置されたユーティリティ構成要素から展開する膨張可能なエアバッグアセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
本実施形態は、添付の図面と併せて、以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。添付の図面が、典型的な実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲を限定すると見なされるべきではないことを理解した上で、実施形態について、添付の図面を参照して、具体的に詳細に記載及び説明する。
【0003】
図1A】本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリを有する車両の一部分の側面図である。
【0004】
図1B】展開されていない状態にある図1Aの膨張可能なエアバッグアセンブリの正面図である。
【0005】
図2】展開されていない状態にある図1A及び図1Bの膨張可能なエアバッグアセンブリの背面斜視図である。
【0006】
図3】膨張可能なエアバッグクッションが少なくとも部分的に展開された状態にある、図1A図1B及び図2の膨張可能なエアバッグアセンブリの側面図である。
【0007】
図4】膨張可能なエアバッグクッションが少なくとも部分的に展開されている、図1A図1B及び図2図3の膨張可能なエアバッグアセンブリの正面図である。
【0008】
図5】膨張可能なエアバッグクッションが少なくとも部分的に展開されている、図1A図1B及び図2図4の膨張可能なエアバッグアセンブリの斜視図である。
【0009】
図6】複数の内部テザーを有する、本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリの部分断面斜視図である。
【0010】
図7】関節運動可能なユーティリティ構成要素を有する、本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリの側面図である。
【0011】
図8】複数チャンバの膨張可能なエアバッグクッションを有する、本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリの斜視図である。
【0012】
図9】複数の膨張可能なエアバッグクッションを有する、本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
容易に理解され得るように、本明細書に概して記載及び図示されている実施形態の構成要素は、様々な異なる構成において配置及び設計され得る。よって、図示されている様々な実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されている本開示の範囲を限定することは意図されておらず、単に様々な実施形態を示す。実施形態の様々な態様が図示されているが、図面は、特段に示されていない限り、必ずしも縮尺どおりに示されていない。
【0014】
膨張可能なエアバッグアセンブリなどの自動車安全デバイスは、衝突事象中に乗員の損傷を低減又は最小にするために広く使用されている。エアバッグモジュールは、車両内の様々な場所において設置されており、これらの場所は、ステアリングホイールにおいて、ダッシュボード及び/又は計器パネルにおいて、サイドドア又はサイドシート内、車両のルーフレールに隣接して、頭上位置において、又は膝若しくは脚位置においてを含むが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「ダッシュボード」及び「計器パネル」という用語は、自動車の乗員の前方に配置された車両の領域を指し、器具、制御装置、グローブボックスなどを含み得る。
【0016】
「反対側」という用語は、別の関係する特定の特徴又は構成要素に対応する特定の特徴又は構成要素の配置を指すために本明細書で使用される関係用語であり、対応する特徴又は構成要素は、互いに位置的に並置されている。例として、人の右手は、人の左手の反対側である。
【0017】
膨張可能なエアバッグアセンブリは、衝突事象中に乗員の損傷を低減又は最小にするために広く使用されている。車両において使用される膨張可能なエアバッグアセンブリの膨張可能なエアバッグクッションは、信頼性をもって、予想どおりに、かつ繰り返し可能に動作すべきである。膨張可能なエアバッグクッションを支持し得る又はこれと相互作用し得る車両表面は、車両モデルによって異なることがあるが、膨張可能なエアバッグクッションは、一貫して繰り返し可能に動作することができることが望ましい。
【0018】
設置中に、膨張可能なエアバッグシステム又はアセンブリは、典型的には、パッケージ化された状態で(例えば、巻かれている、折り畳まれている、及び/又はそうでなければ、圧縮されている)、又はコンパクトな構成で、ハウジングの内部に配置され、カバーの背後にパッケージ化された状態で保持され得る。ハウジングは、膨張可能なエアバッグアセンブリの構成要素であってもよく、当該構成要素は、膨張可能なエアバッグアセンブリの少なくとも一部分膨張可能なエアバッグクッションを含む。いくつかの場合、ハウジングは、膨張可能なエアバッグクッション(又はこの一部分)、インフレータ、インフレータの配管、センサ、及び膨張可能なエアバッグアセンブリのための他の構成要素のうちの1つ以上を含んでもよい。本明細書で使用されるとき、ハウジングは、少なくとも膨張可能なエアバッグクッションが展開する時まで、ハウジング内に配置されたこれらの構成要素を適所に固定するドア又は閉鎖可能な開口部を含む。ドア又は閉鎖可能な開口部は、膨張可能なエアバッグクッションが膨張し始めたときドア若しくは閉鎖可能な開口部に対して加えられた力によって、又はドア若しくは閉鎖可能な開口部を開く電気的/電子的機構によって開くことができる。ハウジングは、膨張可能なエアバッグアセンブリの製造業者によって提供された構成要素であってもよく、又はハウジングは、車両の製造業者によって提供された構成要素であってもよく、又はハウジングの機能は、膨張可能なエアバッグアセンブリを受容する車両の構造によって供給されてもよい。
【0019】
衝突事象中に、インフレータは、開始又はそうでなければトリガされ、これは、エアバッグを膨張ガスで急速に充填する。エアバッグは、パッケージ化された状態(例えば、コンパクトな構成)から、展開された状態又は拡張した構成に急速に移行することができる。インフレータは、イニシエータによってトリガされてもよく、イニシエータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされてもよく、トリガは、1つ以上の車両センサに応答するもの及び/又はこれらによって影響されるものであってもよい。
【0020】
自動車産業における継続的な開発は、折り畳み可能/収納可能な書き込み面又は電子ディスプレイ(又はこれらの組み合わせ)などのユーティリティ構成要素を組み込む車両設計をもたらしている。いくつかの場合、これらのユーティリティ構成要素は、車両着座位置の前方に配置され得、車両着座位置と、膨張可能なエアバッグシステム又はアセンブリが収容され得る以前から典型的な場所(例えば、ダッシュボード/計器パネルにおいて)との間に介在し得る。機械的に介在するユーティリティ構成要素は、このような介在するユーティリティ構成要素に不可知(agnostic)又は特に適合し得るエアバッグアセンブリを必要とすることがある。
【0021】
本明細書に開示されているいくつかの実施形態は、改善された位置決め、保護、及び/又は安全性を、特定のタイプの衝突に巻き込まれた乗員に提供することができる。例えば、いくつかの実施形態は、車両運転者、及び/又は助手席側ドアに隣接して着席しているフロントシート乗客を衝撃から保護するように構成することができる。ある実施形態が有利であることを示し得る衝突のタイプの例としては、(1)ぶつかった物体が、乗員の車両の構造的長手方向構成要素及び/若しくはエンジンブロックに係合しない衝突、(2)衝撃力が乗員の車両の左長手方向ビーム若しくは右長手方向ビームのいずれかの外側に主に作用する衝突、(3)衝突変形分類(Collision Deformation Classification)スキームでFLEE又はFREEとして分類される衝突、(4)乗員の車両が車両幅の25%以下でぶつかる前面衝撃衝突、(5)米国道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety,IIHS)のスモールオーバーラップ前突試験について規定されている衝突、又は(6)米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration,NHTSA)の斜め衝撃試験について規定されている衝突のうちの1つ以上が挙げられる。IIHSのスモールオーバーラップ前突試験及びNHTSAの斜め衝撃試験についての条件は、米国道路安全保険協会のSmall Overlap Frontal Crashworthiness Evaluation Crash Test Protocol(第6版)(2017年7月)、及びSaunders,J.、Craig,M.、Parent,D.、「Movable Deformable Barrier Test Procedure for Evaluating Small Overlap/Oblique Crashes」、SAE Int.J.Commer.Veh.5(1):172~195、2012、doi:10.4271/2012-01-0577に開示されている。本明細書で使用されるとき、衝突(衝突(crash)、衝撃など)を説明するために使用されるときの「斜め」という用語は、前述の衝突のうちのいずれか、及び衝撃の結果としての乗員の移動方向が前方方向又は成分と横方向又は成分との両方を含む任意の他の衝突を包含することが意図されている。本開示では、斜め衝突中又は斜め衝突後の乗員の衝突後軌道の長手方向成分は、車両前方方向に向けられ得る。
【0022】
図1Aは、本開示の実施形態による膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有する車両10の一部分の側面図である。膨張可能なエアバッグアセンブリ100(本明細書で単にエアバッグアセンブリとも呼ばれる)は、展開されていない状態にある。乗員50は、車両着座位置30のシート32を占有する状態で図示されている。乗員50の頭部52、胴体54、骨盤領域56、並びに大腿58及び膝59が識別される。更に、乗員50は、安全用ハーネス40によって拘束されている。車両着座位置30は、シート32、シートベース34、及びシートバック36を含む。ダッシュボード/計器パネル(ダッシュボード/IP)20は、参照のために図示されている。フットウェル22は、ダッシュボード/IP 20の下にあり、車両着座位置30の前方にある。ユーティリティ構成要素110は、乗員50の少なくとも一部分の及び車両着座位置30の前方、並びにダッシュボード/IP 20の後方向に配置されている。換言すれば、ユーティリティ構成要素110は、乗員50とダッシュボード/IP 20との間に配置されている。特に、ユーティリティ構成要素110は、車両着座位置30の上に部分的に配置されている。ユーティリティ構成要素110は、収納可能若しくは調整可能であってもよく、又は収納可能及び調整可能の両方であってもよい。本開示のユーティリティ構成要素は、車両着座位置において配置されてもよく、シートと、ダッシュボード/IP又は別の車両着座位置などの、車両着座位置の前方の別の特徴又は構成要素との間に配置されてもよい。
【0023】
図1Aの実施形態では、ユーティリティ構成要素110は、ユーティリティ構成要素110の一部分が車両着座位置30の上に部分的に配置されているように、シートベース34において又はシートベース34に結合されてもよい。当業者には明らかであるように、ユーティリティ構成要素110は、本開示のいずれかの実施形態において、衝突事象中に生じ得るエネルギー及び力に耐えるように構築されており取り付けられている。いくつかの実施形態では、ユーティリティ構成要素110は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100のためのハウジング120を提供又はそうでなければ含むことができる。特に、ユーティリティ構成要素110は、膨張可能なエアバッグクッション(例えば、図3図4、及び以降の図の膨張可能なエアバッグクッション130を参照されたい)のためのハウジング120として機能することができる。別の実施形態では、ハウジング120は、ユーティリティ構成要素110の一部分内に配置されるように、膨張可能なエアバッグアセンブリ100の製造業者によって提供され得る。一実施形態では、ハウジング120は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100を受容するように、及び膨張可能なエアバッグアセンブリ100をユーティリティ構成要素110において配置するように、車両10の製造業者によって提供され得る。
【0024】
図1Bは、展開されていない状態にある図1Aの膨張可能なエアバッグアセンブリ100の正面図である。乗員50及び車両着座位置30は、参照のために図示されている。ユーティリティ構成要素110は、シート32の上に、並びに乗員50の大腿58及び/又は膝59(以下、大腿/膝58、59)の少なくとも一部分の上に少なくとも部分的に配置されている。ユーティリティ構成要素110の少なくとも一部分は、乗員50の大腿/膝58、59に対して横方向に配置されている。ユーティリティ構成要素110は、横部材112、第1の支持部材116、及び第2の支持部材118を含む。横部材112は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100のためのハウジング120として機能してもよく、又は別個のハウジング120は、横部材112に若しくは横部材112内に結合されてもよい。
【0025】
図2は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100が展開されていない状態にある、図1A及び図1Bの膨張可能なエアバッグアセンブリ100の背面斜視図である。車両着座位置30のシート32、シートベース34、及びシートバック36は、参照のために図示されている。
【0026】
横部材112は、作業面、電子ディスプレイ(例えば、コンピュータディスプレイ)などを含んでもよい。横部材112の底面は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100の展開の際に開くことができるカバーを含んでもよい。横部材112は、例えばラップトップコンピュータ、タブレットコンピューティングデバイス、書き込みタブレットなどを支持するために、又は組み込まれた電子ディスプレイを収容するために、図示よりも(車両に対して、例えば、図1Aの車両10を参照されたい)大きな長手方向寸法を有してもよい。
【0027】
ユーティリティ構成要素110は、乗員(例えば、図1A図1Bの乗員50を参照されたい)が、組み込まれた電子ディスプレイ、特定の車両着座位置30のための快適性制御装置などと対話することを可能にする制御装置を更に含んでもよい。本開示の少なくとも1つの実施形態では、ユーティリティ構成要素110の横部材112は、例えばコンピュータディスプレイ、娯楽システムインターフェースなどのディスプレイを含んでもよい。一実施形態では、ユーティリティ構成要素110の横部材112は、折り畳み式ディスプレイを含んでもよい。一実施形態では、ユーティリティ構成要素110の横部材112は、テーブル又はトレイを含んでもよい。少なくとも1つの実施形態では、ユーティリティ構成要素110の横部材112は、車両着座位置30に向かって傾斜可能であってもよい。
【0028】
図3は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100が少なくとも部分的に展開された状態にある、図1A図1B及び図2の膨張可能なエアバッグアセンブリ100の側面図である。車両着座位置30は、参照のために図示されており、乗員50は、車両着座位置30を占有する。膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、膨張可能なエアバッグクッション130を備える。膨張可能なエアバッグクッション130は、ユーティリティ構成要素110から展開するように構成されている。膨張可能なエアバッグクッション130は、初期に(例えば、横部材112を出るように)下方に展開してもよく、次いで、後方及び上方に展開してもよい。
【0029】
膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、膨張可能なエアバッグクッション130が適切な状況下でのみ展開することを確実にするために、1つ以上のセンサ(図示せず)を備えてもよい。例えば、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、センサが、1つ以上の以下の状況、車両着座位置30が、乗員50によって占有されていない状況、車両着座位置30が、閾値重量未満の乗員50によって占有されている状況、ユーティリティ構成要素110が、車両着座位置30に対して特定の位置において固定されていない状況、又は衝突状態が存在しない状況を示す場合、展開を防止するように構成されてもよい。例えば、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、ユーティリティ構成要素110が収納構成にある場合、展開を防止するように構成されてもよい。同様に、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、ユーティリティ構成要素110が使用位置において堅固にロックされていない場合、展開を防止するように構成されてもよい。
【0030】
膨張可能なエアバッグクッション130は、少なくとも部分的に展開され、インフレータ124a、124b、又は124c(以下、総称的に「124x」と呼ばれる)からの作用によって少なくとも部分的に膨張する。インフレータ124xは、車両着座位置30において取り付けられてもよい。一実施形態では、インフレータ124aは、シートベース34において、例えば、シートベース34内に、シートベース34の下に、又はシートベース34に隣接して取り付けられてもよい。一実施形態では、インフレータ124bは、第1の支持部材(図2の第1の支持部材116を参照されたい)若しくは第2の支持部材118のいずれかにおいて、又はこれらのいずれか内に配置されてもよい。一実施形態では、インフレータ124bは、第1の支持部材116及び第2の支持部材118のそれぞれにおいて、又はこれらのそれぞれ内に配置されてもよい。一実施形態では、インフレータ124cは、ハウジング120内に、又は横部材112内に若しくは横部材112において配置されてもよい。別の実施形態では、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、複数のインフレータ124a、124b、124cを備えてもよい。本開示の目的で、「インフレータ124x」への言及は、前述の実施形態のいずれかのインフレータ124a、124b、124cを表す。チューブ126a及び/又は126bは、インフレータ124x及び膨張可能なエアバッグクッション130に結合されてもよい。チューブ126a及び/又は126bは、展開中に膨張ガスをインフレータ124xから膨張可能なエアバッグクッション130に送達するように構成されている。
【0031】
インフレータ124xは、衝突の結果として作動され得る。インフレータ124xの作動の際に、膨張ガスは、膨張可能なエアバッグクッション130に向けられ得る。膨張前に、膨張可能なエアバッグクッション130は、(横部材112がハウジング120を実質的に構築し、別個のハウジング120が設けられていない実施形態においてを含む)ハウジング120内に、圧縮された状態で、巻かれてもよく、折り畳まれてもよく、又はそうでなければ配置されてもよい。膨張可能なエアバッグクッション130は、展開中に広がって膨張可能なエアバッグクッション130を後方及び上方に展開する折り畳みを含んでもよい。いくつかの実施形態では、膨張中に、膨張ガスは、インフレータ124xからチューブ126a、126bを介して膨張可能なエアバッグクッション130に向けられてもよい。特に、インフレータ124aを有する実施形態では、チューブ126aは、インフレータ124aからシートベース34を通って、次いで、第1の支持部材116及び第2の支持部材118のいずれか(又は両方)を通って、次いで、横部材112の一部分を通って膨張可能なエアバッグクッション130まで導かれてもよい。インフレータ124bを有する実施形態では、チューブ126bは、インフレータ124bから第1の支持部材116及び/又は第2の支持部材118の一部分を通って、次いで、横部材112の一部分を通って膨張可能なエアバッグクッション130まで導かれてもよい。インフレータ124cを有する実施形態では、インフレータ124cは、膨張可能なエアバッグクッション130の入口(図示せず)に直接結合されてもよく、又はインフレータ124cから膨張可能なエアバッグクッション130まで導かれたチューブ(図示せず)の短いセクションを介して膨張可能なエアバッグクッション130に結合してもよい。
【0032】
インフレータ124xが作動され、膨張ガスが膨張可能なエアバッグクッション130に送達されたとき、膨張可能なエアバッグクッション130は膨張し始め、これによって、(横部材112がハウジング120を実質的に構築し、別個のハウジング120が設けられていない実施形態においてを含む)ハウジング120は、(例えば、電気信号によって)トリガされてもよく、又は強制的に開かれてもよく、膨張可能なエアバッグクッション130は、下方軌道で展開し、ユーティリティ構成要素110の周りで、後方及び上方軌道で湾曲する。特に、膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132は、ハウジング120から下方に展開し、次いで、後方及び上方に湾曲して、ユーティリティ構成要素110と車両着座位置30のシート32との間に位置決めされる。特に、展開構成にある膨張可能なエアバッグクッション130は、ユーティリティ構成要素110と車両着座位置30のシートベース34との間、及びユーティリティ構成要素110と車両着座位置30のシートバック36との間に配置されてもよい。換言すれば、展開構成にある膨張可能なエアバッグクッション130は、ユーティリティ構成要素110と乗員50との間に配置されてもよい。
【0033】
膨張可能なエアバッグクッション130の下部領域138は、下方に展開し、向きを変えて、ユーティリティ構成要素110の横部材112の下にやや前方にあるように展開する。更に、膨張可能なエアバッグクッション130が拡張し始めたとき、下部領域138は、乗員50の大腿/膝58、59に適合して、下部領域138の側部139を、大腿/膝58、59に隣接して、大腿/膝58、59と第1の支持部材116及び第2の支持部材118との間に配置することができる。展開構成では、膨張可能なエアバッグクッション130は、ユーティリティ構成要素110の下からユーティリティ構成要素110よりも上まで垂直に延びる。
【0034】
膨張可能なエアバッグクッション130は、前向きパネル134、及び乗員向きパネル136を含む。前向きパネル134は、車両に対して前方に向く、膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132の一部分を含み、車両10に対して上方に向く、膨張可能なエアバッグクッション130の下部領域138の一部分を更に含んでもよい。乗員向きパネル136は、膨膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132の(車両10に対して)後向き部分、及び下部領域138の下向き部分を含む。換言すれば、図3の乗員向きパネル136は、膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132の上部後方面から下方に、次いで前方に、膨張可能なエアバッグクッション130の下部領域138の下部前方面までの膨張可能なエアバッグクッション130の連続した部分を含む。膨張可能なエアバッグアセンブリ100が展開される衝突事象中、乗員向きパネル136は、乗員50の頭部52、胴体54、骨盤領域56、及び大腿/膝58、59を受容する又はこれらに係合することができる。
【0035】
一実施形態では、前向きパネル134及び乗員向きパネル136は、適切な材料の単一の連続した片から形成されてもよい。一実施形態では、前向きパネル134は、膨張可能なエアバッグクッション130の周囲のあたりに概してある1つ以上のシームによって、又は膨張可能なエアバッグクッション130の周囲の後方若しくは前方に配置されたシームにおいて、乗員向きパネル136に結合してもよい。シームは、縫合、高周波(Radio-Frequency、RF)溶接、接着剤、又は任意の他の適切な手段によって形成されてもよい。膨張可能なエアバッグクッション130は、膨張可能なエアバッグクッション130の衝突後の収縮も可能にしつつ、衝突事象中にエネルギー吸収を可能にするように構成されたガス透過性シーム、通気孔、ポート、開口部などを含んでもよい。
【0036】
図4は、膨張可能なエアバッグクッション130が少なくとも部分的に展開されている、図1A図1B及び図2図3の膨張可能なエアバッグアセンブリ100の正面図である。乗員50の頭部52、胴体54、骨盤領域56、及び大腿/膝58、59、並びにシート32が、参照のために識別される。ユーティリティ構成要素110の第1の支持部材116及び第2の支持部材118、並びに横部材112が図示されている。膨張可能なエアバッグクッション130は、少なくとも部分的に膨張している。膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132及び下部領域138、並びに前向きパネル134が図示されている。膨張可能なエアバッグクッション130は、展開して、衝突事象中に乗員50の頭部52、胴体54、骨盤領域56、及び大腿/膝58、59を受容する及びこれらに係合するように、並びに乗員50の衝突エネルギーを放散して、乗員50への損傷を防止又は低減するように構成されてもよい。
【0037】
本開示の膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有しない車両では、乗員50がハーネス(図1Aのハーネス40を参照されたい)によって拘束されている場合であっても、衝突事象中に、乗員50は、衝突エネルギーによって下方及び前方に押され得、フットウェル22内に「潜り込む(submarine)」可能性があり得る。本開示の膨張可能なエアバッグアセンブリ100では、乗員50が膨張可能なエアバッグクッション130に係合したとき、膨張可能なエアバッグクッション130は、膨張可能なエアバッグクッション130上への乗員50の衝撃のエネルギーに応答して適合することができる。膨張可能なエアバッグクッション130は、やや前方及び下方に引っ張られ得るが、ユーティリティ構成要素110の固定位置によって制限され、乗員50は、フットウェル22内に前方及び下方に「潜り込む」ことから実質的に保護され得る。本開示の膨張可能なエアバッグアセンブリ100がない衝突では、特に乗員50がハーネス40によって拘束されていない場合、乗員50は、上方及び前方に強いられて(「はね上がり(catapult)」又は「離昇(lift off)」)、この結果、乗員50は、(ユーティリティ構成要素110などの)ユーティリティ構成要素、車両の屋根、又は車両の別の構造に衝突する可能性があり得る。このような衝突において、膨張可能なエアバッグクッション130は、乗員50がハーネス40によって拘束されていない場合であっても、乗員50の「はね上がり」の動きを制限して、乗員50が1つ以上の車両構造にぶつかることから生じる損傷を防止する又は最小にすることができる。様々な衝突シナリオにおいて、膨張可能なエアバッグクッション130の下部領域138の側部139は、乗員50の大腿/膝58、59の横方向の動きを制限して、第1の支持部材116及び/若しくは第2の支持部材118又は別の車両構造にぶつかることから生じる損傷を防止又は低減することができる。膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、乗員50がハーネス40によって拘束されていない場合であっても、様々な衝突シナリオにおいて乗員50の実質的な保護を提供することができる。
【0038】
図5は、膨張可能なエアバッグクッション130が少なくとも部分的に展開されている、図1A図2B、及び図2図4の膨張可能なエアバッグアセンブリ100の斜視図である。車両着座位置30及びシート32は、参照のために図示されている。ユーティリティ構成要素110は、シート32のシートベース34に取り付けられている状態で図示されている。しかしながら、別の実施形態では、ユーティリティ構成要素110は、シートバック36に、車両の床(図示せず)に、コンソール構造(図示せず)に、又は別の車両構造に取り付けられてもよい。膨張可能なエアバッグクッション130は、初期下方軌道でハウジング120から展開し、次いで、湾曲して、後方及び上方に、また前方に展開する。特に、上部領域132を含む、膨張可能なエアバッグクッション130の一部分は、初期に下方に展開した後、上方及び後方に湾曲及び展開して、乗員(図3図4の乗員50を参照されたい)の前方に、及びユーティリティ構成要素110の横部材112の概して後方に配置される。更に、下部領域138は、ハウジング120から下方に展開した後、前方に湾曲及び展開する。
【0039】
膨張可能なエアバッグクッション130の側部137は、第1の支持部材116及び第2の支持部材118のそれぞれに対して横方向外側に配置されてもよい。側部137は、斜め衝撃衝突シナリオにおいて乗員50を保護するのに特に有益であり得る。図5の実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション130の側部137は、膨張可能なエアバッグクッション130のほぼ完全な高さに延びる。別の実施形態では、側部137は、膨張可能なエアバッグクッション130の高さの一部分のみに沿って垂直に延びてもよい。いくつかの実施形態では、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、1つ以上の他のエアバッグアセンブリと共に存在してもよい。例えば、サイドカーテンエアバッグアセンブリを有する車両では、本開示の膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、2つのエアバッグアセンブリが互いに干渉するのを防止するために、サイドカーテンエアバッグアセンブリの方向に配置された側部137を省略又は変更してもよい。
【0040】
図6は、上述の膨張可能なエアバッグアセンブリ100にある点において類似する膨張可能なエアバッグアセンブリ600の別の実施形態を示す。したがって、同様の特徴は、「6」に増分された先頭の桁で同様の参照番号により示されている。例えば、図6に示す実施形態は、図1A図1B及び図2図5の膨張可能なエアバッグクッション130にいくつかの点において類似し得る膨張可能なエアバッグクッション630を含む。よって、同様に識別される特徴に関する上述の関連の開示は、以下に繰り返されないことがある。また、図1A図1B及び図2図5に示す膨張可能なエアバッグアセンブリ100及び関連の構成要素の特定の特徴は、図示されていないことがある、又は図面内の参照番号によって識別されないことがある、又は以下の説明において具体的に説明されていないことがある。しかしながら、このような特徴は、他の実施形態で示された特徴及び/又はこのような実施形態に関して説明された特徴と明らかに同じであってもよく、又は実質的に同じであってもよい。したがって、このような特徴の関連の説明は、図6に示す膨張可能なエアバッグアセンブリ600及び関連の構成要素の特徴に同等に当てはまる。図1A図1B及び図2図5に示す膨張可能なエアバッグアセンブリ100及び関連の構成要素に関して説明された特徴の任意の好適な組み合わせ及びこの変形形態は、図6の膨張可能なエアバッグアセンブリ600及び関連の構成要素と共に採用されてもよく、逆もまた同様である。開示のこのパターンは、更に増分された先頭の桁で後続の図に示し以下に記載する更なる実施形態に同等に当てはまる。
【0041】
図6は、少なくとも部分的に展開されており内部テザー642、648を有する膨張可能なエアバッグアセンブリ600の部分断面斜視図である。シート32は、参照のために図示されている。図6は、ハウジング620から展開されており少なくとも部分的に膨張した膨張可能なエアバッグクッション630を有する膨張可能なエアバッグアセンブリ600を示す。ハウジング620は、ユーティリティ構成要素610内に配置されている、又はユーティリティ構成要素610と一体化している、又はそうでなければユーティリティ構成要素610によって設けられている。膨張可能なエアバッグクッション630は、上部領域632及び下部領域638を含む。膨張可能なエアバッグクッション630は、前向きパネル634、乗員向きパネル上部領域636a、及び乗員向きパネル下部領域636bを更に含む。
【0042】
第1のテザー642は、膨張可能なエアバッグクッション630の下部領域638内に配置されている。一実施形態では、第1のテザー642は、第1の端部641aにおいて、アンカーポイント641bに結合する。ハウジング620又はユーティリティ構成要素610は、アンカーポイント641bを含んでもよく、又はアンカーポイント641bは、膨張可能なエアバッグクッション630の下部領域638の前向きパネル634の上向き領域634uの内面の一部分であってもよい。第1のテザー642は、第2の端部643aにおいて、乗員向きパネル下部領域636bの内面643bに結合する。第2のテザー648は、膨張可能なエアバッグクッション630の下部領域638の下方拡張を制限するように垂直寸法を有してもよい。下部領域638の下方拡張を制限することは、乗員の膝/大腿(図3図4の大腿/膝58、59を参照されたい)のあたりに適合するように、下部領域638の前方拡張及び下部領域638の横方向拡張を促進することができる。展開中に、第1のテザー642は、きつく引っ張られ得、乗員向きパネル636上に力を加えて、膨張可能なエアバッグクッション630の乗員向きパネル636a、636bを後方及び上方に湾曲させることができる。
【0043】
第2のテザー648は、上部領域632内に配置されている。特に、第2のテザー648は、第1の端部647aにおいて、前向きパネル634の内面647bに結合し、第2の端部649aにおいて、乗員向きパネル上部領域636aの内面649bに結合する。第1のテザー648は、膨張可能なエアバッグクッション630の上部領域632の後方拡張を制限するように長手方向寸法を有してもよい。上部領域632の後方拡張を制限することは、上部領域632の上方展開を促進することができ、衝突事象中に頭部、胴体、及び/又は骨盤領域(図3図4の頭部52、胴体54、骨盤領域56を参照されたい)を受容及び支持するように上部領域632を構成することを支援することができる。
【0044】
図6に示す実施形態では、単一の第1のテザー642及び単一の第2のテザー648が図示されている。更に、第1のテザー642は、垂直面が横方向に延びるように向けられており、第2のテザー648は、垂直面が長手方向に延びるように向けられている。別の実施形態では、複数の第1のテザー642が採用されてもよく、複数の第2のテザー648が採用されてもよく、又はこれらの両方が採用されてもよい。加えて、1つ以上の第1のテザー642は、異なる方向に向けられてもよく、1つ以上の第2のテザー648は、異なる方向に向けられてもよい。例として、一実施形態では、横方向に向けられた1つ目の第1のテザー642、及び長手方向に向けられた2つ目の第1のテザー642が互いに交わる(intersect)又は交差する(cross)ように、2つの第1のテザー642があってもよい。第1のテザー642及び第2のテザー648の他の構成は、本開示によって予想される。
【0045】
図7は、ユーティリティ構成要素710が支持部材716によって1つの側上のみで支持されている、膨張可能なエアバッグアセンブリ700の側面図である。シート32及び乗員50は、参照のために図示されている。乗員50は、ハーネス40によって拘束され得る。ユーティリティ構成要素710は、車両着座位置30の1つの側に向かって配置された支持部材716と、横部材712とを含む。横部材712は、膨張可能なエアバッグアセンブリ700の1つ以上の構成要素を収容するハウジング720を構築(例えば、ハウジング720として機能)することができ、又はこれを含む(comprise)(例えば、含む(contain))ことができる。
【0046】
ユーティリティ構成要素710は、調整可能及び/又は収納可能であってもよい。例えば、一実施形態では、横部材712は、関節運動可能な接合部又はヒンジ717aを介して支持部材716において結合することができ、これによって、横部材712は、車両の長手方向軸717bを中心として旋回すること717cができ、これは、ユーティリティ構成要素710の収納及び展開を容易にすることができる。一実施形態では、関節運動可能な接合部又はヒンジ717aは、横部材712が横軸717dを中心として傾斜すること717eを可能にしてもよい。一実施形態では、横部材712は、車両着座位置30に対して上方向及び下方向に調整可能718であってもよい。一実施形態では、支持部材716は、関節運動可能な接合部715aを介してシートベース34(又は他の車両構成要素)に結合することができる。一実施形態では、関節運動可能な接合部715aは、特定の乗員50に適合するように、車両着座位置30に対するユーティリティ構成要素710の前方向及び後方向調整715cを可能にしてもよい。一実施形態では、関節運動可能な接合部715aは、垂直軸715bを中心とする支持部材716(したがって、ユーティリティ構成要素710)の回転715eを可能にしてもよい。一実施形態では、関節運動可能な接合部715aは、支持部材716が関節運動可能な接合部715aを中心として前方向及び後方向に回転することを可能にしてもよく、これにより、ユーティリティ構成要素710の支持部材716は、車両着座位置30の長手方向に車両の長手方向軸を横切る軸715fを中心として車両着座位置30に対して回転可能715dである。関節運動可能な接合部715a及び/又は関節運動可能な接合部717aによって可能にされる関節運動は、ユーティリティ構成要素710又は横部材712の収納を容易にして、車両着座位置30への/からの進入/退出を可能にすることができ、車両着座位置30の乗員50による使用のためのユーティリティ構成要素710の展開及び位置決めを容易にすることができる。
【0047】
関節運動可能な接合部715a及び/又は関節運動可能な接合部717aを含むいずれかの実施形態では、関節運動可能な接合部715a、717aのそれぞれは、1つ以上の所定の位置へロックするように構成されてもよい。ユーティリティ構成要素710は、関節運動可能な接合部715a、717aのそれぞれがこのような位置においてロックされていることを車両のセンサ又は搭載コンピュータに通信するように構成されてもよい。この通信は、いずれかの関節運動可能な接合部715a、717aがロック位置にないとき、膨張可能なエアバッグアセンブリ700の無効化を可能にすることができる。
【0048】
図8は、複数チャンバの膨張可能なエアバッグクッション830を有する膨張可能なエアバッグアセンブリ800の斜視図である。シート32及びユーティリティ構成要素810は、参照のために図示されている。膨張可能なエアバッグクッション830は、上部チャンバ832及び下部チャンバ838を含む。一実施形態では、上部チャンバ832及び下部チャンバ838は、(縫合、RF溶接、接着剤などによってのように)材料の単一の連続した部分から形成されてもよく、これによって、第1のシーム831及び第2のシーム833が形成されており、これによって、介在部材835が上部チャンバ832と下部チャンバ838との間に介在する。一実施形態では、上部チャンバ832及び下部チャンバ838は、材料の単一の連続した部分から一緒に形成されており、介在部材835は、シーム831、833によって上部チャンバ832と下部チャンバ838との間に結合されている。一実施形態では、上部チャンバ832は、材料の単一の連続した部分から形成されてもよく、第2のチャンバ838は、材料の別の単一の連続した部分から形成されてもよく、上部チャンバ832及び下部チャンバ838は、次いで、第1のシーム831及び第2のシーム833において一緒に結合されてもよく、これによって、介在部材835は、上部チャンバ832及び下部チャンバ838の両方の部分から形成されている。別個の上部チャンバ832及び下部チャンバ838を形成する他の方法は、本開示によって予想される。
【0049】
膨張可能なエアバッグクッション830が展開されたとき、下部チャンバ838は、下方に展開することができ、下部チャンバ838の一部分は、後方に湾曲することができ、上部チャンバ832は、その後、拡張し始めることができる。一実施形態では、事前に構成された圧力が下部チャンバ838内で達成されたとき、上部チャンバ832は、下部チャンバ838から上方に拡張することができる。一実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション830は、膨張可能なエアバッグクッション830の展開が開始した後の一定の期間後に上部チャンバ832を膨張させるように構成されてもよく、これによって、下部チャンバ838は、上部チャンバ832が膨張し始める前に少なくとも特定の程度まで下方及び後方に拡張することが可能にされる。一実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション830は、上部チャンバ832及び下部チャンバ838の両方を本質的に同時に、異なる速度で膨張させ始めるように構成されてもよく、このため、上部チャンバ832は、よりゆっくりと拡張し、下部チャンバ838の完全展開後の所定の時間に完全展開に達する。上部チャンバ832及び下部チャンバ838の膨張に差異を生じさせる他の方法は、本開示によって予想される。
【0050】
別個の上部チャンバ832及び下部チャンバ838を有する実施形態は、乗員の頭部及び/又は胴体(図3、4の頭部52、胴体54、及び乗員50を参照されたい)を適切に受容及び支持する上部チャンバ832の位置決めを容易にすることができる。
【0051】
図9は、複数の膨張可能なエアバッグクッション930a、930bを有する膨張可能なエアバッグアセンブリ900の斜視図である。シート32及び乗員50は、参照のために図示されている。図示された実施形態では、ユーティリティ構成要素システム910は、第1のユーティリティ構成要素910a及び第2のユーティリティ構成要素910bを含む。第1のユーティリティ構成要素910aは、横部材912及び支持部材916を含む。第2のユーティリティ構成要素910bは、横部材914及び支持部材918を含む。横部材912、914のそれぞれは、膨張可能なエアバッグアセンブリ900のハウジング920、922を構築(ハウジング920、922として機能)することができ、又はハウジング920、922を含む(取り囲む)ことができる。
【0052】
膨張可能なエアバッグアセンブリ900が、第1のユーティリティ構成要素910a及び第2のユーティリティ構成要素910bの両方が適切に位置決めされている状態で作動されたとき、第1の膨張可能なエアバッグクッション930aは、ハウジング920から展開され得、第2の膨張可能なエアバッグクッション930bは、ハウジング922から展開され得る。第1の膨張可能なエアバッグクッション930aは、第1の上部領域932a及び第1の下部領域938aを含む。同様に、第2の膨張可能なエアバッグクッション930bは、第2の上部領域932b及び第2の下部領域938bを含む。第1の上部領域932a及び第2の上部領域932bは、図3図4の膨張可能なエアバッグクッション130の上部領域132と本質的に類似してもよい。同様に、下部領域938a、938bは、図3図4の膨張可能なエアバッグクッション130の下部領域138と本質的に類似してもよい。第1の膨張可能なエアバッグクッション930a及び第2の膨張可能なエアバッグクッション930bは、本開示の他の実施形態と類似してもよい。更に、隙間が、第1のユーティリティ構成要素910aと第2のユーティリティ構成要素910bとの間に、及び第1の膨張可能なエアバッグクッション930aと第2の膨張可能なエアバッグクッション930bとの間に図示されている。本開示の一実施形態では、(図示された)横方向の隙間は、第1のユーティリティ構成要素910a及び第2のユーティリティ構成要素910bの両方が使用中であるとき、第1のユーティリティ構成要素910aと第2のユーティリティ構成要素910bとの間にある。一実施形態では、第1及び第2のユーティリティ構成要素910a。910bは、横方向の隙間がないように結合してもよい。
【0053】
本明細書全体において、「結合する」(に結合する、において結合する、と結合するなど)とは、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含む、2つ以上のエンティティ間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。
【0054】
「a」及び「an」という用語は、1つとして記載され得るが、1つに限定されない。例えば、本開示は、イニシエータを有するインフレータを記載し得るが、本開示はまた、インフレータが2つ以上のイニシエータを有することができることを企図する。
【0055】
本明細書全体における「一実施形態(an embodiment)」又は「実施形態(the embodiment)」への言及は、当該実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体において記載されている句、又は句の変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及してはいない。
【0056】
同様に、実施形態の上記の説明において、様々な特徴は、本開示を合理化するために、これらの特徴の単一の実施形態、図、又は説明で一緒にグループ化されていることがあることを理解されたい。しかしながら、開示のこの方法は、いずれかの請求項が当該請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれかの単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、請求項のそれぞれは、別個の実施形態としてそれ自体で成立する。本開示は、独立請求項と独立請求項の従属請求項との全ての並べ替えを含む。
【0057】
ミーンズプラスファンクション形式で記載された要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されることが意図されている。変更が、本発明の根本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細になされてもよいことが、当業者には明らかである。排他的な所有権又は特権が請求されている本発明の実施形態は、以下のように定義される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9