(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】部品装着装置および実装基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
H05K13/02 U
(21)【出願番号】P 2018193935
(22)【出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】今福 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 大
(72)【発明者】
【氏名】松岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】長江 和男
(72)【発明者】
【氏名】長澤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英明
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-218654(JP,A)
【文献】特開平03-023137(JP,A)
【文献】特開2017-077934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、
前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、
搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、
基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、
前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、
前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記装着エリアにおける部品の装着が終了した基板を前記搬出エリアに移動させた前記当接部材を前記待機位置に戻して上昇した状態とする前に、次の基板の前端が前記待機位置に到達しないように前記搬入駆動機構を制御する、部品装着装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記装着エリアにおける基板への部品の装着が終了してから前記基板を前記搬出エリアに移動させた前記当接部材を前記待機位置に戻すまでの間に、前記上流側の装置に次の基板の搬出を要求する、請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記次の基板の前端が前記待機位置に到達する到達時刻を算出する到達時刻算出部と、
前記当接部材が前記待機位置に戻って上昇した状態となる帰還時刻を算出する帰還時刻算出部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記到達時刻が前記帰還時刻より早い場合は、前記次の基板を搬入する前記搬入駆動機構を減速または一時停止するように制御する、請求項1または2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記搬入エリアの前記待機位置より前記上流側に基板を検出するセンサを備え、
前記到達時刻算出部は、前記センサが前記次の基板を検出した時刻に基づいて前記到達時刻を算出する、請求項3に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記帰還時刻算出部は、前記当接部材の位置に基づいて前記帰還時刻を算出する、請求項3または4に記載の部品装着装置。
【請求項6】
搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、
前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、
搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、
基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、
前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、
前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記装着エリアにおける部品の装着が終了した基板を前記搬出エリアに移動させた前記当接部材を前記待機位置に戻して上昇した状態となった後に、前記上流側の装置に次の基板の搬出を要求する、部品装着装置。
【請求項7】
搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、
前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、
搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、
基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、
前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、
前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
少なくとも前記装着エリアでは前記当接部材が下降した状態で移動するように前記当接部材駆動機構を制御する、部品装着装置。
【請求項8】
前記基板に装着された部品のリードを加工するリード加工機構を前記装着エリアに備える、
請求項1から7のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項9】
部品装着装置により基板に部品を装着した実装基板を製造する実装基板の製造方法であって、
前記部品装着装置は、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、前記搬入エリアから前記基板を受け取って部品を装着する装着エリアと、前記装着エリアから搬出された前記基板を搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、上下に昇降し、前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動し、基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、を備えており、
前記装着エリアにある基板に部品を装着する部品装着工程と、
前記部品装着工程の終了後に、前記上流側の装置に次の基板の搬出を要求する搬出要求工程と、
前記待機位置において待機している前記当接部材を前記受渡位置に移動させ、前記移動の途中で前記当接部材を前記装着エリアにある前記基板の後端に当接させて前記基板を前記搬出エリアまで移動させる搬出エリア移動工程と、
前記基板を前記搬出コンベアによって前記下流側の装置に搬出する装置外搬出工程と、
前記受渡位置まで移動した前記当接部材を前記待機位置まで移動させ、前記当接部材を上昇させる当接部材帰還工程と、
前記上流側の装置が搬出する前記次の基板を受け取って、前記搬入コンベアによって前記次の基板の後端が前記待機位置を通過するまで前記次の基板を移動させる待機位置搬入工程と、
前記当接部材を下降させて前記下流側に移動させ、前記搬入エリアにある前記次の基板を前記装着エリアまで移動させる装着エリア移動工程と、
前記装着エリアまで移動した前記当接部材を前記待機位置まで移動させる当接部材回送工程と、を含む、実装基板の製造方法。
【請求項10】
前記待機位置搬入工程において、前記当接部材帰還工程が終了する前に、前記次の基板の前端が前記待機位置に到達しないように前記搬入コンベアを走行させる、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項11】
前記待機位置搬入工程において前記次の基板の前端が前記待機位置に到達する到達時刻を算出する到達時刻算出工程と、
前記当接部材帰還工程において前記当接部材が前記待機位置に戻って上昇した状態となる帰還時刻を算出する帰還時刻算出工程と、をさらに含み、
前記到達時刻が前記帰還時刻より早い場合、前記待機位置搬入工程において、前記次の基板を搬入する前記搬入コンベアの走行を減速または一時停止させる、請求項10に記載の実装基板の製造方法。
【請求項12】
前記部品装着装置は、前記搬入エリアの前記待機位置より前記上流側に基板を検出するセンサを備え、
前記到達時刻算出工程において、前記センサが前記次の基板を検出した時刻に基づいて前記到達時刻が算出される、請求項11に記載の実装基板の製造方法。
【請求項13】
前記帰還時刻算出工程において、前記当接部材の位置に基づいて前記帰還時刻が算出される、請求項11または12に記載の実装基板の製造方法。
【請求項14】
前記搬出要求工程は、前記当接部材帰還工程が終了した後に開始される、請求項9に記載の実装基板の製造方法。
【請求項15】
前記当接部材は、少なくとも前記装着エリアでは下降した状態で移動する、請求項9から14のいずれかに記載の実装基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を装着した実装基板を製造する部品装着装置および実装基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着した実装基板を製造する部品装着装置として、装着作業位置に保持した基板の挿入孔にリード付き部品のリードを挿入した後、基板の裏面に突き出たリードを足曲げ機構で曲げて部品が基板から抜けないようにするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品装着装置は、供給コンベア、装着作業位置が設定される基板を保持する位置決め部、搬出コンベアを備えており、供給コンベアと位置決め部のコンベアで上流側から基板を装着作業位置まで搬入して部品を装着し、位置決め部のコンベアと搬出コンベアで部品が装着された基板を下流側に搬出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、足曲げ機構が位置決め部のコンベアと干渉するため基板の縁端に近い側部領域に挿入した部品の足曲げができないという問題点があり、基板の側部領域に挿入した部品を足曲げして、かつ装着作業位置に基板を確実に搬入、搬出するという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、装着作業位置の基板を確実に入れ替えることができる部品装着装置および実装基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品装着装置は、搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記装着エリアにおける部品の装着が終了した基板を前記搬出エリアに移動させた前記当接部材を前記待機位置に戻して上昇した状態とする前に、次の基板の前端が前記待機位置に到達しないように前記搬入駆動機構を制御する。
本発明の他の部品装着装置は、搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記装着エリアにおける部品の装着が終了した基板を前記搬出エリアに移動させた前記当接部材を前記待機位置に戻して上昇した状態となった後に、前記上流側の装置に次の基板の搬出を要求する。
本発明の他の部品装着装置は、搬入コンベアを駆動する搬入駆動機構を有し、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を前記搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、前記搬入エリアから前記基板を受け取って、前記基板に部品を装着する装着エリアと、搬出コンベアを駆動する搬出駆動機構を有し、前記装着エリアから搬出された前記基板を前記搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、前記当接部材を上下に昇降させ、かつ前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動させる当接部材駆動機構と、前記搬入駆動機構、前記搬出駆動機構および前記当接部材駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、少なくとも前記装着エリアでは前記当接部材が下降した状態で移動するように前記当接部材駆動機構を制御する。
【0007】
本発明の実装基板の製造方法は、部品装着装置により基板に部品を装着した実装基板を製造する実装基板の製造方法であって、前記部品装着装置は、基板搬送方向の上流側の装置から受け取った基板を搬入コンベアで搬入する搬入エリアと、前記搬入エリアから前記基板を受け取って部品を装着する装着エリアと、前記装着エリアから搬出された前記基板を搬出コンベアで前記基板搬送方向の下流側の装置に搬出する搬出エリアと、上下に昇降し、前記搬入エリアに設定された待機位置と前記待機位置より前記下流側に設定された受渡位置との間で移動し、基板の後端に当接して基板を前記下流側に移動させる当接部材と、を備えており、前記装着エリアにある基板に部品を装着する部品装着工程と、前記部品装着工程の終了後に、前記上流側の装置に次の基板の搬出を要求する搬出要求工程と、前記待機位置において待機している前記当接部材を前記受渡位置に移動させ、前記移動の途中で前記当接部材を前記装着エリアにある前記基板の後端に当接させて前記基板を前記搬出エリアまで移動させる搬出エリア移動工程と、前記基板を前記搬出コンベアによって前記下流側の装置に搬出する装置外搬出工程と、前記受渡位置まで移動した前記当接部材を前記待機位置まで移動させ、前記当接部材を上昇させる当接部材帰還工程と、前記上流側の装置が搬出する前記次の基板を受け取って、前記搬入コンベアによって前記次の基板の後端が前記待機位置を通過するまで前記次の基板を移動させる待機位置搬入工程と、前記当接部材を下降させて前記下流側に移動させ、前記搬入エリアにある前記次の基板を前記装着エリアまで移動させる装着エリア移動工程と、前記装着エリアまで移動した前記当接部材を前記待機位置まで移動させる当接部材回送工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装着作業位置の基板を確実に入れ替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品装着装置の構成を示す平面図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品装着装置によって基板に装着される挿入部品の一例を示す説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品装着装置が備える基板搬送機構の構成を示す(a)平面図(b)側面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品装着装置による基板搬送を説明する図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品装着装置による基板搬送を説明する図
【
図7】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の一実施の形態の部品装着装置における実装基板の製造工程の説明図
【
図8】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の一実施の形態の部品装着装置における実装基板の製造工程の説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品装着装置における実装基板の製造方法のフロー図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品装着装置における基板搬出方法のフロー図
【
図11】本発明の一実施の形態の部品装着装置における基板搬入方法のフロー図
【
図12】本発明の一実施の形態の部品装着装置における他の実装基板の製造方法のフロー図
【
図13】本発明の一実施の形態の部品装着装置における他の基板搬入方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品装着装置、基板搬送機構の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
図3(b)、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(
図3(b)における上下方向)が示される。Z方向は、部品装着装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0011】
まず
図1を参照して、部品装着装置1の構成を説明する。部品装着装置1は、基板に部品を装着した実装基板を製造する機能を有している。基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側(
図1における左側)から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する装着ヘッドによる装着作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品装着作業が完了した基板3を下流側(
図1における右側)に搬出する。基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
【0012】
図1において、一方の部品供給部4(
図1における下側)には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、表面実装部品などの部品を格納するポケットが形成されたキャリヤテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、後述する装着ヘッドが部品を吸着する部品吸着位置に部品を供給する。
【0013】
他方の部品供給部4(
図1における上側)には、複数の挿入部品フィーダ6とトレイフィーダ7がX方向に並列に装着されている。挿入部品フィーダ6は、挿入部品を保持する部品保持テープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、装着ヘッドが挿入部品を保持する部品保持位置に挿入部品を供給する。トレイフィーダ7は、挿入部品や圧入部品などの部品を整列して保持するトレイ8を、装着ヘッドが部品を保持する部品保持位置に供給する。なお、部品供給部4には、スティックに格納した部品を供給するスティックフィーダや、ボウルに入れた部品を整列させながら供給するボールフィーダを装着してもよい。
【0014】
ここで、
図2を参照して挿入部品20の構造について説明する。挿入部品20には、基板3に形成された基板3を上下に貫通する挿入孔3v(
図3(b)参照)に挿入される複数のリード21(ここでは2本)が延出して設けられている。部品保持テープ22は、リード21を挟んで複数の挿入部品20を等間隔に保持している。部品保持テープ22には、挿入部品フィーダ6が備えるスプロケットに係合する送り孔22aが形成されている。挿入部品フィーダ6は、スプロケットを送り孔22aに係合させて部品保持テープ22をピッチ送りすることにより、リード21が下方に延出する姿勢で挿入部品20を部品保持位置に供給する。
【0015】
図1において、基台1a上面においてX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9がY方向に沿って設置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、装着ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。装着ヘッド11の下端には、部品を吸着して保持する吸着ノズルや、挿入部品20を一対のチャック11bで把持して保持する部品保持部11a(
図3(b)参照)が装着されている。装着ヘッド11には、複数の吸着ノズルや部品保持部11aが、基板3に装着する部品に対応して装着される。
【0016】
Y軸テーブル9およびビーム10は、装着ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる装着ヘッド移動機構12を構成する。装着ヘッド移動機構12および装着ヘッド11は、部品供給部4に供給される部品(挿入部品20)を取り出して、基板搬送機構2に保持された基板3の装着位置に移送して装着する部品装着作業の一連のターンを繰り返し実行する。
【0017】
図1において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して装着ヘッド11とともに一体的に移動するヘッドカメラ13が装着されている。装着ヘッド11が移動することにより、ヘッドカメラ13は基板搬送機構2の装着作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示省略)を撮像して基板3の位置を認識する。
【0018】
一方の部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ14が設置されている。部品認識カメラ14は、部品供給部4から部品を取り出した装着ヘッド11が部品認識カメラ14の上方に位置した際に、吸着ノズルまたは部品保持部11aに保持された部品(挿入部品20)を下方から撮像する。装着ヘッド11による部品の基板3への部品装着作業では、ヘッドカメラ13による基板3の認識結果と部品認識カメラ14による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0019】
次に
図3(a),(b)を参照して、基板搬送機構2の構成について説明する。
図3(a)は基板搬送機構2を上方から見た平面図を、
図3(b)は基板搬送機構2を上流側から見た側面図をそれぞれ模式的に示している。
図3(a)において、基板搬送機構2は、上流側から順に搬入エリア30、装着エリア31、搬出エリア32を備えている。基板搬送機構2は、搬入エリア30、装着エリア31、搬出エリア32を含んでX方向に延伸する一対の板状部材33を備えている。搬入エリア30における一対の板状部材33の内側には、モータを含んで構成される搬入駆動機構30bによって駆動される一対の搬入コンベア30aが設置されている。搬入コンベア30aは、上流側の装置から搬入された基板3を下流側に搬送する。
【0020】
図3(a)において、装着エリア31における一対の板状部材33の内側には、一対のレール31aが設置されている。一対のレール31aは、レール昇降機構31b(
図4参照)によって上下に昇降する。装着エリア31に位置する板状部材33の上端には、レール31aの上方に張り出す押え板34が設置されている。
【0021】
装着エリア31に設定された装着作業位置P2にレール31a上を移動した基板3の前端3hが位置するように位置決めされた状態で、レール昇降機構31bを作動させてレール31aを上昇させることで(
図8(e)の矢印k8)、基板3は縁端部を押え板34の下面に押さえつけられて保持される。レール昇降機構31bを作動させてレール31aを下降させると(
図7(b)の矢印j1)、レール31aの上面の高さが搬入コンベア30a、後述する搬出コンベア32aと同じ高さ位置となる。レール31aをこの高さ位置にすると、搬入エリア30から装着エリア31への基板3の搬送と、装着エリア31から搬出エリア32への基板3の搬送が可能となる。
【0022】
図3(b)において、挿入部品20を保持する部品保持部11aが上方から下降して(矢印a)、装着エリア31に保持された基板3に形成された挿入孔3vにリード21を挿入することにより挿入部品20が装着される。装着エリア31に保持された基板3の下方には、内蔵する移動機構(図示省略)によって水平方向(X方向、Y方向)および上下方向(Z方向)に移動するリード加工機構35が設置されている。リード加工機構35は、基板3に装着される挿入部品20の下方に移動して、基板3に装着された挿入部品20(部品)のリード21を所定の長さに切断し、また切断後のリード21を基板3の下面の方向に曲げて挿入部品20を基板3に固定するなどリード21を加工する機能を有している。
【0023】
図3(a)において、搬出エリア32における一対の板状部材33の内側には、モータを含んで構成される搬出駆動機構32bによって駆動される一対の搬出コンベア32aが設置されている。搬出コンベア32aは、装着エリア31から搬送された基板3を下流側の装置に搬出する。なお、搬入コンベア30aと搬出コンベア32aは、ゴムなどで形成されたベルトによって基板3を搬送するベルトコンベアであっても、チェーンによって基板3を搬送するコンベアであってもよい。
【0024】
このように、搬入エリア30は、搬入コンベア30aを駆動する搬入駆動機構30bを有し、基板搬送方向(X方向)の上流側の装置から受け取った基板3を搬入コンベア30aで搬入する。装着エリア31は、搬入エリア30から基板3を受け取って、基板3に部品(装着部品20)を装着する。搬出エリア32は、搬出コンベア32aを駆動する搬出駆動機構32bを有し、装着エリア31から搬出された基板3を搬出コンベア32aで基板搬送方向の下流側の装置に搬出する。本実施の形態の基板搬送機構2の装着エリア31には基板3を搬送するコンベア機構がないため、リード加工機構35を基板3の縁端部近くまで移動させて挿入部品20のリード21を加工することができる。
【0025】
図3(a)において、搬入エリア30の上流側の搬入入口S1には、第1基板検出センサ36が設置されている。搬入エリア30において、搬入入口S1と後述する待機位置P1の間の中間位置S2には、第2基板検出センサ37が設置されている。搬出エリア32の上流側の搬出入口S3には、第3基板検出センサ38が設置されている。搬出エリア32の下流側の搬出出口S4には、第4基板検出センサ39が設置されている。
【0026】
第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37、第3基板検出センサ38、第4基板検出センサ39は、それぞれ検出光を照射する投光部と検出光を受光する検出部を含んで構成される遮光式の光学センサであり、基板3が検出光を遮光することで基板3の有無が検出される。第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37、第3基板検出センサ38、第4基板検出センサ39による検出信号は、部品装着装置1の本体に備えられた制御装置50(
図4)参照に伝達される。
【0027】
図3(a)、
図3(b)において、一方の板状部材33の外側には、当接部材昇降機構40aを基板搬送方向(X方向)に移動させる当接部材移動機構40bが設置されている。当接部材移動機構40bは、当接部材昇降機構40aを搬入エリア30に設定された待機位置P1と、待機位置P1より下流側に設定された受渡位置P3の間で往復移動させる。
図3(a)の例では、受渡位置P3は、搬出エリア32に設定されている。
【0028】
当接部材昇降機構40aは、押え板34の上方を跨いでレール31aの内側までY方向に延びるアーム41を備えている。アーム41の一端は当接部材昇降機構40aに支えられており、他端には下方に延びる当接部材42が配置されている。当接部材昇降機構40aは、アーム41の一端を回転軸としてアーム41の他端を上下に揺動させる(矢印b)。これにより、アーム41の他端に配置された当接部材42は上下に昇降する(
図8(b)の矢印k3、
図8(c)の矢印k5)。
【0029】
当接部材42が上昇した上昇位置にある状態では、当接部材42の下方を基板3が通過することができる(
図8(c)の矢印k4)。当接部材42が下降した下降位置にある状態では、当接部材42は基板3の後端3e(
図7(b))に当接することができる。当接部材42が基板3の後端3eに当接した状態で当接部材移動機構40bが当接部材昇降機構40a(当接部材42)を下流側に移動させると、基板3を下流側に移動させることができる(
図8(d)の矢印k6、
図7(d)の矢印j3、
図7(e)の矢印j4)。
【0030】
このように、当接部材昇降機構40aと当接部材移動機構40bは、当接部材42を上下に昇降させ、かつ搬入エリア30に設定された待機位置P1と待機位置P1より下流側に設定された受渡位置P3との間で基板搬送方向(X方向)に沿って移動させる当接部材駆動機構40を構成する。すなわち、当接部材42は、下降位置まで下降した状態で待機位置P1から受渡位置P3まで移動すると、後端3eが待機位置P1と受渡位置P3の間にある基板3の後端3eに当接して基板3を下流側に移動させる。
【0031】
なお、当接部材移動機構40bは、当接部材昇降機構40aをX方向に往復移動するものであればよい。例えば、当接部材移動機構40bは、リニアモータで当接部材昇降機構40aを往復移動させる構成であっても、ベルトをモータで駆動させて往復移動させる構成であっても、ボールねじをモータで駆動させて往復移動させる構成であってもよい。また、当接部材移動機構40bは、図示省略するエンコーダを内蔵しており、当接部材昇降機構40a(当接部材42)のX方向の位置が検出される。
【0032】
以下、
図3(a)に示す基板搬送機構2では、搬入入口S1と中間位置S2の間は距離L1、中間位置S2と待機位置P1の間は距離L2、待機位置P1と装着作業位置P2の間は距離L3、装着作業位置P2と受渡位置P3の間は距離L4とする。また、基板3の基板搬送方向の沿うサイズは長さLbとする。
【0033】
次に
図4を参照して、部品装着装置1の制御系の構成について詳細に説明する。部品装着装置1が備える制御装置50には、基板搬送機構2、部品供給部4、装着ヘッド11、装着ヘッド移動機構12、ヘッドカメラ13、部品認識カメラ14、リード加工機構35、第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37、第3基板検出センサ38、第4基板検出センサ39が接続されている。基板搬送機構2は、搬入駆動機構30b、レール昇降機構31b、搬出駆動機構32b、当接部材駆動機構40を備えている。
【0034】
制御装置50は、搬送制御部51、到達時刻算出部52、帰還時刻算出部53、装着制御部54、生産データ記憶部55、部品情報記憶部56を備えている。搬送制御部51は、内部処理部として通信処理部51aを備えている。生産データ記憶部55は記憶装置であり、製造される実装基板の種類毎に、基板3のサイズ(長さLbなど)、基板3に実装される部品の部品名、装着位置(XY座標)などが記憶されている。部品情報記憶部56は記憶装置であり、部品名毎に、部品の種類(表面実装部品、リード部品20)、部品のサイズなどが記憶されている。
【0035】
図4において、通信処理部51aは、上流側の装置に基板3の搬出を要求する搬出要求指示を送信し、また、下流側の装置が送信する搬出要求指示を受信する。搬送制御部51は、第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37、第3基板検出センサ38、第4基板検出センサ39の検出結果に基づいて基板搬送機構2を制御して、基板3を上流側の装置から受け取って搬送させ、装着作業位置P2に位置決めして保持させ、下流側の装置に搬出させる。
【0036】
すなわち、搬送制御部51は、搬入駆動機構30b、搬出駆動機構32bおよび当接部材駆動機構40を制御して基板3を搬入エリア30、装着エリア31、搬出エリア32において搬送させる制御部である。また、搬送制御部51は、レール昇降機構31bを制御して、装着作業位置P2に基板3が位置決めされた状態でレール31aを上昇させて基板3をクランプ(保持)させ、基板3をクランプしている状態からレール31aを下降させてクランプを開放させる。
【0037】
ここで
図5~
図8を参照しながら、搬送制御部51による具体的な制御について説明する。
図5、
図6は、基板搬送機構2において搬送される基板3a,3b,3cの前端3hと後端3eの位置および当接部材42の位置(縦軸)を時刻T(横軸)に沿って表している。
図5は、装着作業位置P2でクランプされていた基板3aに対する部品装着作業が終了してから、次の基板3bが装着作業位置P2まで搬送される工程を示している。
図6は、装着作業位置P2でクランプされていた基板3bに対する部品装着作業が終了してから、次の基板3cが装着作業位置P2まで搬送される工程を示している。
【0038】
まず、基板3b、3cを上流側の装置から受け取って待機位置P1まで搬送する制御について説明する。
図5、
図6において、搬送制御部51は、上流側の装置から搬出された(
図8(b)の矢印k2)基板3b,3cの前端3hが搬入入口S1に到達したことを第1基板検出センサ36が検出すると(
図5の矢印c1、
図6の矢印h1)、搬入駆動機構30bを作動させる。これにより、搬入コンベア30aが走行して基板3b,3cを下流側に搬送させる(
図8(c)の矢印k4)。
【0039】
搬送制御部51は、生産データ記憶部55に記憶された基板3b,3cの長さLbに基づいて、基板3b,3cの後端3eが待機位置P1を通過して搬送が停止されるように(
図8(c))、搬入駆動機構30bを作動させてから所定の時間後に搬入駆動機構30bを停止させる(
図5の矢印d1、
図6の矢印i1)。
【0040】
搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、基板3b,3cの前端3hが待機位置P1に到達する前に、当接部材42を待機位置P1において上昇位置まで上昇させる(
図5の区間e7、
図6の区間g1、
図8(b)の矢印k3)。これにより、搬送される基板3b,3cの前端3hが当接部材42に衝突することを防止できる。以下、当接部材42が待機位置P1に戻って上昇位置まで上昇した状態を「帰還完了状態」と称する。
【0041】
搬送制御部51は、当接部材42が帰還完了状態となる前に基板3b,3cの前端3hが待機位置P1に到達する場合は、搬入駆動機構30bを制御して搬入コンベア30aが基板3b,3cを下流側に移動させる搬送速度が遅くなるように調整する。
図5において、基板3bは当接部材42が帰還完了状態となってから(区間e8)、前端3hが待機位置P1に到達する(矢印c2)ため、基板3bの搬送速度の調整は行われない。一方、
図6において、基板3cは搬送速度の調整を行わない場合は、当接部材42が帰還完了状態となる(区間g2)前に前端3hが待機位置P1に到達するため(矢印h2)、搬送制御部51は搬送速度を遅くする調整を行っている。
【0042】
搬送速度の調整は、基板3cの前端3hが搬入入口S1に到達した時点から行っても、基板3cの前端3hが搬入入口S1を通過してから所定の時間後(または、所定の距離を走行した後)から行ってもよい。
図6において、基板3cは、前端3hが搬入入口S1と待機位置P1の間(矢印h4)で搬送速度を遅くすることで、当接部材42が帰還完了状態となってから(区間g2)、前端3hが待機位置P1に到達している(矢印h5)。
【0043】
上流側の装置から搬出された基板3b,3cが搬入コンベア30aに載り移る際は、上流側の装置から押し込まれて基板3b、3cが搬入コンベア30a上を滑ったり、搬入コンベア30aが基板3b、3cを受け取れずに空転したりするなどして搬送誤差が大きい。そこで、搬送制御部51は、基板3b,3cの前端3hが中間位置S2に到達したことを第2基板検出センサ37が検出してから搬送速度を調整する(遅くする)ようにしてもよい。基板3b,3cの搬送が安定した中間位置S2に到達した時刻Tに基づいて搬送速度を調整することで、精度良く基板3b,3cを待機位置P1に停止させることができる。また、搬送制御部51は、搬送速度を遅くする代わりに搬送を一時停止するように搬入駆動機構30bを制御してもよい。
【0044】
次に、基板3b、3cを待機位置P1から装着作業位置P2まで搬送する制御について説明する。
図5、
図6において、搬送制御部51は、基板3b,3cの後端3eが待機位置P1を通過した状態で当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42を下降位置まで下降させる(
図5の区間e9、
図6の区間g3、
図8(c)の矢印k5)。搬送制御部51は当接部材42が下降位置にある状態で当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42を待機位置P1から下流側に移動させる(
図5の区間e10、
図6の区間g4、
図8(d)の矢印k6)。これにより、後端3eが当接部材42によって押されて基板3b,3cが下流側に移動する。
【0045】
搬送制御部51は、生産データ記憶部55に記憶された基板3b,3cの長さLbに基づいて、基板3b,3cの前端3hが装着作業位置P2で停止するように(
図5の矢印c3、
図6の矢印h6)、当接部材駆動機構40を制御して当接部材42を所定の位置で停止させる(
図5の矢印e11、
図6の矢印g5)。すなわち、当接部材42は、待機位置P1と装着作業位置P2の間の距離L3から基板3b,3cの長さLbを引いた距離(L3-Lb)だけ、待機位置P1から下流側に移動した位置で停止する(
図8(d))。これにより、基板3b,3cは、装着作業位置P2に位置決めされる。
【0046】
図5、
図6において、基板3b,3cが装着作業位置P2に位置決めされると、搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42を待機位置P1まで移動(回送)させる(
図5の区間e12、
図6の区間g6、
図8(e)の矢印k7)。当接部材42が待機位置P1まで戻ると、搬送制御部51はレール昇降機構31bを制御して、レール31aを上昇させて基板3b,3cをクランプ(保持)させる(
図5の区間e13、
図6の矢印g7、
図8(e)の矢印k8)。
【0047】
次に、部品装着作業が終了した基板3aを装置の外に搬出する制御について説明する。
図5において、基板3aに対する部品装着作業(
図7(a))が終了すると、搬送制御部51は、レール昇降機構31bを制御して、レール31aを下降させて基板3aのクランプを開放させる(区間e1、
図7(b)の矢印j1)。
【0048】
基板3aのクランプが開放されると、搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42を下流側に移動させる(区間e2、
図7(c)の矢印j2)。搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42が基板3aの後端3eに当接した後(矢印e3)、さらに当接部材42を下流側に移動させて基板3aを装着作業位置P2(矢印f1)から下流側に移動させる(区間e4、
図7(d)の矢印j3)。
【0049】
図5において、搬送制御部51は、下流側に移動している基板3aの前端3hが搬出入口S3に到達したことを第3基板検出センサ38が検出すると(矢印f2、
図7(d))、搬出駆動機構32bを作動させる。搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、基板3aの前端3hが搬出入口S3に到達した後(矢印f2)、さらに当接部材42を受渡位置P3まで移動させる(矢印e5、
図7(e)の矢印j4)。すなわち、当接部材42は、待機位置P1と装着作業位置P2の間の距離L3に装着作業位置P2と受渡位置P3の間の距離L4を加えた距離(L3+L4)だけ、待機位置P1から下流側に移動する(
図7(e))。
【0050】
基板3aの前端3hが搬出入口S3から下流側に移動する過程で(区間f3)、基板3aは走行している搬出コンベア32aに載り移る。基板3aの後端3eが受渡位置P3を通過した(矢印e5、矢印f4)後は、搬出コンベア32aが基板3aを下流側に搬送する(
図8(a)の矢印j5)。搬送制御部51は、下流側に移動している基板3aの前端3hが搬出出口S4に到達したことを第4基板検出センサ39が検出すると(矢印f5、
図8(a))、搬出駆動機構32bを一時停止させる。
【0051】
搬送制御部51は、通信処理部51aが下流側の装置からの搬出要求指示を受信すると、搬出駆動機構32bを再作動させて(矢印f6)、搬出エリア32にある基板3aを下流側の装置に搬出させる(区間f7、
図8(b)の矢印j6)。なお、通信処理部51aが下流側の装置からの搬出要求指示を受信した後に基板3bの前端3hが搬出出口S4に到達する場合は(
図6)、搬送制御部51は、搬出駆動機構32bを一時停止させることなく基板3bを下流側の装置に搬出させる。
【0052】
図5において、搬送制御部51は当接部材駆動機構40を制御して、受渡位置P3まで移動した当接部材42(矢印e5)を待機位置P1まで移動させる(区間e6、
図8(a)の矢印k1)。なお、当接部材42が受渡位置P3に到達する前に基板3が搬出コンベア32aに載り移る場合は、当接部材42を受渡位置P3まで移動させずに待機位置P1に戻させてもよい。
【0053】
例えば、
図6に示すように、搬送制御部51は、生産データ記憶部55に記憶された基板3aの長さLbに基づいて、基板3bの半分が搬出コンベア32aに載り移る位置まで当接部材42を移動させた後に(矢印g8)、待機位置P1まで戻させるようにしてもよい(区間g9)。これによって、当接部材42が待機位置P1まで移動する時刻T(矢印g10)を早くすることができる。すなわち、受渡位置P3は、必ずしも搬出エリア32に設定する必要はなく、基板3の長さLbに応じて装着エリア31に設定してもよい。
【0054】
また、搬送制御部51(制御部)は、少なくとも装着エリア31では当接部材42が下降位置まで下降した状態で移動するように当接部材駆動機構40を制御する。これによって、アーム41や当接部材42が、装着ヘッド11の下端に装着された吸着ノズルや部品保持部11aと干渉(衝突)することを回避することができる。
【0055】
図4において、到達時刻算出部52は、上流側の装置から搬出された次の基板3b,3cの前端3hが待機位置P1に到達(
図5の矢印c2、
図6の矢印h2)する到達時刻Ta1,Ta2を算出する。より具体的には、到達時刻算出部52は、基板3b,3cの前端3hが搬入入口S1に到達したことを第1基板検出センサ36が検出した時刻Tから(
図5の矢印c1、
図6の矢印h1)、搬入入口S1と待機位置P1の間の距離(L1+L2)を搬入コンベア30aの搬送速度で除して得られる時間後を、到達時刻Ta1,Ta2と算出する。
【0056】
なお、到達時刻算出部52は、基板3b,3cの前端3hが中間位置S2に到達したことを第2基板検出センサ37が検出した時刻Tから、中間位置S2と待機位置P1の間の距離L2を搬入コンベア30aの搬送速度で除して得られる時間後を、到達時刻Ta1,Ta2と算出するようにしてもよい。搬入コンベア30aによる基板3b,3cの搬送が安定した中間位置S2で到達時刻Ta1,Ta2を算出することで、到達時刻Ta1,Ta2の予測精度を向上させることができる。
【0057】
このように、到達時刻算出部52は、搬入エリア30の待機位置P1より上流側に設置された基板3を検出するセンサ(第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37)が次の基板3b、3cを検出した時刻Tに基づいて到達時刻Ta1,Ta2を算出する。
【0058】
図4において、帰還時刻算出部53は、当接部材42が受渡位置P3(
図5の矢印e5)から待機位置P1に戻って(
図5の区間e6)上昇位置まで上昇(
図5の区間e7、
図6の区間g1)した状態(帰還完了状態)となる帰還時刻Tr1,Tr2を算出する。より具体的に、帰還時刻算出部53は、当接部材42が受渡位置P3に到達した時刻Tから、受渡位置P3と待機位置P1の間の距離(L3+L4)を当接部材駆動機構40が当接部材42を上流側に移動させる帰還速度で除して得られる時間後を帰還時刻Tr1,Tr2と算出する。
【0059】
また、下流側に移動している当接部材42が受渡位置P3に到達する前に待機位置P1に向けて帰還(上流側に移動する)する場合、帰還時刻算出部53は、移動する方向を逆転させる位置(
図6の矢印g8)から待機位置P1までの距離に基づいて帰還時刻Tr1,Tr2を算出する。すなわち、帰還時刻算出部53は、当接部材42の位置に基づいて帰還時刻Tr1,Tr2を算出する。
【0060】
通信処理部51aから上流側の装置に搬出要求指令が送信された後、上流側の装置から次の基板3b,3cが搬出されるタイミングは、上流側の装置における処理状況に応じて変化する。例えば、搬出要求指令が送信されてから上流側の装置から基板3bが搬出される時刻Tは(
図5)、基板3cが搬出される時刻Tよりも遅い(
図6)。
図5の例では、基板3bの到達時刻Ta1は帰還時刻Tr1より遅い(Tr1<Ta1)。そのため、基板3bの前端3hが待機位置P1に到達した時には当接部材42は既に上昇位置にあり(帰還完了状態であり)、基板3bの前端3hが当接部材42に衝突することなく基板3bは待機位置P1より下流側に搬送される。
【0061】
一方、
図6の例では、基板3cの到達時刻Ta2は帰還時刻Tr2より早い(Ta2<Tr2)。そのため、基板3cの搬送速度を調整しない場合は、基板3cの前端3hが待機位置P1に到達した時に当接部材42は待機位置P1まで戻っていないか、または待機位置P1に戻っていても上昇位置にない(帰還完了状態ではない)。この状態で基板3cが待機位置P1より下流側に搬送されると、基板3bの前端3hが当接部材42に衝突してしまう(
図6の矢印h3)。
【0062】
そこで、搬送制御部51(制御部)は、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合は、次の基板3cを搬入する搬入駆動機構30bを減速または一時停止するように制御する。
図6の例では、搬送制御部51は、基板3cの前端3hが搬入入口S1と待機位置P1の間(矢印h4)で搬送速度を遅く(搬入駆動機構30bを減速)して、基板3cの前端3hが帰還時刻Tr2より遅い到達時刻Ta3に待機位置P1に到達(矢印h5)するように制御している。
【0063】
すなわち、搬送制御部51(制御部)は、装着エリア31における部品の装着が終了した基板3aを搬出エリア32に移動させた当接部材42を受渡位置P3(
図5の矢印e5)から待機位置P1に戻して上昇した状態(帰還完了状態)とする(
図5の区間e7、
図6の区間g1)前に、次の基板3b,3cの前端3hが待機位置P1に到達しないように搬入駆動機構30bを制御する。
【0064】
なお、搬送制御部51は、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合は、基板3cの前端3hが中間位置S2に到達したことを第2基板検出センサ37が検出すると、搬入駆動機構30bを一時停止するようにしてもよい。これにより、到達時刻Ta2を遅くすることができる。また、搬送制御部51は、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合は、当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42の帰還速度を速くするようにしてもよい。これにより、帰還時刻Tr2を早めることができる。
【0065】
また、搬送制御部51は、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合は、基板3bが搬出コンベア32aに載り移ると(
図6の矢印g8)、当接部材駆動機構40を制御して、当接部材42を受渡位置P3まで移動させずに待機位置P1に戻させる(
図6の矢印g10)ようにしてもよい。これにより、帰還時刻Tr2を早めることができる。
【0066】
図4において、装着制御部54は、部品供給部4、装着ヘッド11、装着ヘッド移動機構12、ヘッドカメラ13、部品認識カメラ14、リード加工機構35を制御して、装着エリア31にクランプ(保持)されている基板3に部品を装着させる部品装着作業を実行させる。装着制御部54は、基板3に挿入部品20を装着させる際は、リード加工機構35を制御して、リード加工機構35を挿入部品20の装着位置の下方に移動させ、装着された挿入部品20のリード21を加工させる。
【0067】
上記説明したように、部品装着装置1は、上流側の装置から受け取った基板3を搬入コンベア30aで搬入する搬入エリア30と、搬入エリア30から基板3を受け取って部品を装着する装着エリア31と、装着エリア31から搬出された基板3を搬出コンベア32aで下流側の装置に搬出する搬出エリア32と、基板3の後端3eに当接して基板3を下流側に移動させる当接部材42と、当接部材42を上下に昇降させ、かつ搬入エリア30に設定された待機位置P1と下流側に設定された受渡位置P3との間で移動させる当接部材駆動機構40と、搬入駆動機構30b、搬出駆動機構32bおよび当接部材駆動機構40を制御する搬送制御部51(制御部)と、を備えている。これによって、装着作業位置P2の基板3を確実に入れ替えることができる。
【0068】
次に
図9~
図11のフローに沿って、
図5~
図8を参照しながら、部品装着装置1により基板3に部品を装着した実装基板を製造する実装基板の製造方法について説明する。装着エリア31では、装着作業位置P2に位置決めされた基板3aを上昇したレール31aが押え板34に押し付けてクランプしているとする(
図7(a))。
【0069】
図9において、装着制御部54は、装着ヘッド11により装着エリア31にある基板3aに部品(挿入部品20)を装着させる(ST1:部品装着工程)(
図7(a))。次に部品装着作業をする基板3bがある場合(ST2においてYes)、通信処理部51aは、上流側の装置に次の基板3bの搬出要求指示を送信する(ST3:搬出要求工程)。すなわち、部品装着工程(ST1)の終了後に、上流側の装置に次の基板3bの搬出が要求される(ST3)。
【0070】
次いで搬送制御部51は、レール31aを下降させて(
図5の区間e1、
図7(b)の矢印j1)、基板3aのクランプを開放させる(ST4:クランプ開放工程)。次いで搬送制御部51は、待機位置P1の下降位置にある当接部材42を受渡位置P3まで移動させて、装着エリア31にある基板3aを搬出エリア32を通じて下流側の装置に搬出させる(ST5:基板搬出工程)。
【0071】
図9において、次いで搬送制御部51は、受渡位置P3まで移動した当接部材42を(
図5の矢印e5、
図7(e)の矢印j4)、待機位置P1まで移動させ(
図5の区間e6、
図8(a)の矢印k1)、上昇位置まで上昇させる(ST6:当接部材帰還工程)(
図5の区間e7、
図8(b)の矢印k3)。これにより、当接部材42は帰還完了状態となる。このように、搬送制御部51(制御部)が備える通信処理部51aは、装着エリア31における基板3aへの部品の装着が終了してから基板3aを搬出エリア32に移動させた当接部材42を待機位置P1に戻すまでの間に、上流側の装置に次の基板3bの搬出を要求する。
【0072】
次いで搬送制御部51は、上流側の装置から搬出された基板3bを受け取って、搬入エリア30を通じて装着エリア31の装着作業位置P2まで搬入させる(ST7:基板搬入工程)。次いで搬送制御部51は、装着エリア31まで移動した当接部材42を(
図5の矢印e11、
図8(d)のk6)、待機位置P1まで移動(回送)させる(ST8:当接部材回送工程)(
図5の区間e12、
図8(e)の矢印k7)。
【0073】
次いで搬送制御部51は、レール31aを上昇させて装着作業位置P2に位置決めされた基板3bをクランプさせる(ST9:基板クランプ工程)。これにより、次の基板3bに部品装着作業をするための準備が完了する。このように、本実施の形態の実装基板の製造方法は、装着作業位置P2の基板3aを確実に次の基板3bと入れ替えることができる。
【0074】
図9において、部品装着工程(ST1)の後に次に部品装着作業をする基板3がない場合(ST2においてNo)、搬出要求工程(ST3)をスキップしてクランプ開放工程(ST4)、基板搬出工程(ST5)、当接部材帰還工程(ST6)が実行される。これにより、部品装着が終了した最後の基板3aが下流側の装置に搬出されて、部品装着装置1においける実装基板の製造が終了する。
【0075】
次に
図10のフローに沿って、
図5、
図7、
図8を参照しながら、基板搬出工程(ST5)の詳細について説明する。
図10において、基板3aのクランプが開放されると(ST4)、搬送制御部51は、待機位置P1において待機している当接部材42を受渡位置P3に移動させる(
図5の区間e2から区間e4、
図7(c)の矢印j2から
図7(e)の矢印j4)。この移動の途中で当接部材42が装着エリア31にある基板3aの後端3eに当接し(
図5の矢印e3)、基板3aを搬出エリア32まで移動させる(ST11:搬出エリア移動工程)。
【0076】
基板3aが下流側に移動する過程で基板3aの前端3hが搬出入口S3に到達したことを第3基板検出センサ38が検出すると(ST12においてYes)(
図5の矢印f2、
図7(d))、搬送制御部51は、搬出コンベア32aを作動させる(ST13:搬出コンベア作動工程)。その後、当接部材42によって後端3eが押されて移動している基板3aは(
図7(e)の矢印j4)、走行している搬出コンベア32aに載り移る。次いで搬送制御部51は、当接部材42の移動を受渡位置P3で停止させる(ST14)(
図5の矢印e5、
図7(e))。
【0077】
図10において、次いで搬出コンベア32aによって下流側に搬送されている(
図8(a)の矢印j5)基板3aの前端3hが搬出出口S4に到達したことを第4基板検出センサ39が検出すると(ST15においてYes)(
図5の矢印f5、
図8(a))、搬送制御部51は、搬出コンベア32aを一時停止させる(ST16:搬出コンベア一時停止工程)。
【0078】
次いで通信処理部51aが下流側の装置からの搬出要求指示を受信すると(ST17においてYes)、搬送制御部51は、搬出コンベア32aを再作動させて(
図5の矢印f6)基板3aを装置外に搬出する(ST18:装置外搬出工程)(
図5の区間f7、
図8(b)の矢印j6)。すなわち、装置外搬出工程(ST18)では、搬出エリア32まで移動された基板3aが搬出コンベア32aによって下流側の装置に搬出される。これによって、一連の基板搬出工程(ST5)が終了する。
【0079】
次に
図11のフローに沿って、
図5~
図8を参照しながら、基板搬入工程(ST7)の詳細について説明する。
図11において、まず、帰還時刻算出部53は、当接部材帰還工程(ST6)において当接部材42が待機位置P1に戻って、上昇位置まで上昇した状態となる(
図5の区間e8、
図8(b))帰還時刻Tr1を算出する(ST21:帰還時刻算出工程)。一方、上流側の装置から搬出された(
図8(b)の矢印k2)基板3bの前端3hが搬入入口S1に到達したことを第1基板検出センサ36が検出すると(ST22においてYes)(
図5の矢印c1、
図8(b))、搬送制御部51は搬入コンベア30aを作動させる(ST23:搬入コンベア作動工程)。
【0080】
図11において、搬入コンベア30aが作動すると、到達時刻算出部52は、搬入エリア30の待機位置P1より上流側に設置された基板3bを検出するセンサ(第1基板検出センサ36、第2基板検出センサ37)が次の基板3bを検出した時刻Tに基づいて到達時刻Ta1を算出する(ST24:到達時刻算出工程)。次いで搬送制御部51は、到達時刻Ta1が帰還時刻Tr1より早いか否かを判断する(ST25)。
【0081】
図5の例では、基板3bの到達時刻Ta1は帰還時刻Tr1より遅く(ST25においてNo)、基板3bの前端3hは当接部材42に衝突しないため、そのまま搬入コンベア30aを作動させて基板3bの前端3hが待機位置P1を通過するように移動させる(
図8(c)の矢印k4)。
【0082】
一方、
図6の例では、基板3cの到達時刻Ta2は帰還時刻Tr2より早く(ST25においてYes)、そのまま搬入コンベア30aを作動させると基板3cの前端3hが当接部材42に衝突する(
図6の矢印h3)。そこで、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合(ST25においてYes)、搬送制御部51は、次の基板3cを搬入する搬入コンベア30aの走行を減速または一時停止させ、到達時刻Ta3が帰還時刻Tr2より遅くなるようにタイミングを調整する(ST26:タイミング調整工程)。
【0083】
図11において、基板3b,3cの前端3hが待機位置P1を通過した後、基板3bの後端3eが待機位置P1を通過すると(ST27においてYes)(
図5の矢印d1、
図6の矢印i1、
図8(c))、搬送制御部51は、搬入コンベア30aを停止させる(ST28:搬入コンベア停止工程)。このように、帰還時刻算出工程(ST21)から搬入コンベア停止工程(ST28)は、上流側の装置が搬出する次の基板3b,3cを受け取って、搬入コンベア30aによって次の基板3b,3cの後端3eが待機位置P1を通過するまで次の基板3b,3cを移動させる待機位置搬入工程である。
【0084】
そして、待機位置搬入工程において次の基板3b,3cの前端3hが待機位置P1に到達する到達時刻Ta1,Ta2を算出する到達時刻算出工程(ST24)と帰還時刻Tr1、Tr2を算出する帰還時刻算出工程(ST21)が実行され、到達時刻Ta2が帰還時刻Tr2より早い場合、待機位置搬入工程において、次の基板3cを搬入する搬入コンベア30aの走行を減速または一時停止させる。すなわち、待機位置搬入工程において、当接部材帰還工程(ST6)が終了する前に、次の基板3cの前端3hが待機位置P1に到達しないように搬入コンベア30aを走行させる。
【0085】
図11において、搬入コンベア30aが停止すると(ST28)、搬送制御部51は、当接部材42を下降位置まで下降させ(
図5の区間e9、
図6の区間g3、
図8(c)の矢印k5)、当接部材42を下流側に移動させ(
図5の区間e10、
図6の区間g4、
図8(d)の矢印k6)、搬入エリア30にある次の基板3b,3cの後端3eを当接部材42で押して装着エリア31まで移動させる(ST29:装着エリア移動工程)(
図5の矢印e11、
図6の矢印g5)。搬送制御部51は、基板3bの前端3hが装着作業位置P2となる位置で基板3b,3cを停止させる。これによって、一連の基板搬入工程(ST7)が終了する。
【0086】
次に
図12、
図13のフローに沿って、部品装着装置1により実装基板を製造する他の実装基板の製造方法について説明する。他の実装基板の製造方法は、当接部材帰還工程(ST6)の後に、上流側の装置に次の基板3bの搬出要求指示を送信するところが、
図9~
図11に示す実装基板の製造方法と異なる。以下、
図9~
図11に示す実装基板の製造方法と同一の工程には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0087】
図12において、部品装着工程(ST1)の後、搬出要求工程(ST3)を実行せずにクランプ開放工程(ST4)、基板搬出工程(ST5)、当接部材帰還工程(ST6)が実行される。次に部品装着作業をする基板3bがある場合(ST31においてYes)、通信処理部51aは、上流側の装置に次の基板3bの搬出要求指示を送信する(ST32:他の搬出要求工程)。すなわち、搬送制御部51(通信処理部51a)は、装着エリア31における部品の装着が終了した基板3aを搬出エリア32に移動させた当接部材42を受渡位置P3から待機位置P1に戻して上昇した状態(帰還完了状態)となった後に、上流側の装置に次の基板3bの搬出を要求する。つまり、他の搬出要求工程(ST32)は、当接部材帰還工程(ST6)が終了した後に開始される。
【0088】
次いで搬送制御部51は、上流側の装置から搬出された基板3bを搬入エリア30から受け取って、搬入エリア30を通じて装着エリア31の装着作業位置P2まで搬入させる(ST33:他の基板搬入工程)。次いで当接部材回送工程(ST8)、基板クランプ工程(ST9)が行われ、次の基板3bに対する部品装着作業のための準備が完了する。当接部材帰還工程(ST6)の後に次に部品装着作業をする基板3がない場合(ST31においてNo)、部品装着装置1においける実装基板の製造が終了する。
【0089】
次に
図13のフローに沿って、他の基板搬入工程(ST33)の詳細について説明する。他の基板搬入工程(ST33)では、到達時刻Ta1,Ta2,Ta3と帰還時刻Tr1,Tr2が算出されないところが
図11に示す基板搬入工程(ST7)と異なる。すなわち、上流側の装置から搬出された基板3bの前端3hが搬入入口S1に到達したことを第1基板検出センサ36が検出すると(ST22においてYes)、搬入コンベア作動工程(ST23)が実行される。
【0090】
次いで基板3bの前端3hが待機位置P1を通過した後、基板3bの後端3eが待機位置P1を通過すると(ST27においてYes)、搬入コンベア停止工程(ST28)、装着エリア移動工程(ST29)が実行される。これによって、基板3bの前端3hが装着作業位置P2に位置決めされて、一連の他の基板搬入工程(ST33)が終了する。このように、他の実装基板の製造方法では、到達時刻Ta1,Ta2,Ta3と帰還時刻Tr1,Tr2を算出することなく、装着作業位置P2の基板3aを確実に次の基板3bと入れ替えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の部品装着装置および実装基板の製造方法は、装着作業位置の基板を確実に入れ替えることができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0092】
1 部品装着装置
3、3a 基板
3b、3c 次の基板(基板)
3e 後端
3h 前端
20 挿入部品(部品)
21 リード
30 搬入エリア
30a 搬入コンベア
30b 搬入駆動機構
31 装着エリア
32 搬出エリア
32a 搬出コンベア
32b 搬出駆動機構
35 リード加工機構
36 第1基板検出センサ(センサ)
37 第2基板検出センサ(センサ)
40 当接部材駆動機構
42 当接部材
P1 待機位置
P3 受渡位置