(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】駆動軸及びそれを用いたフィルタ掃除ユニット
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20230623BHJP
【FI】
F24F1/0073
(21)【出願番号】P 2019028977
(22)【出願日】2019-02-21
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】橋本 拓
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-138927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0278586(US,A1)
【文献】特表2016-527100(JP,A)
【文献】特許第6363283(JP,B1)
【文献】特開2018-066563(JP,A)
【文献】国際公開第2019/030861(WO,A1)
【文献】中国実用新案第205939630(CN,U)
【文献】特開昭59-121217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F16C 3/00-9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面が略半円状の第1軸部と、前記第1軸部の一端に設ける第1歯車と、を含む
樹脂製の第1駆動軸部材と、
断面が略半円状の第2軸部と、前記第2軸部の一端に設ける第2歯車と、を含む
樹脂製の第2駆動軸部材と、を備え、
前記第1歯車は、第1駆動軸部材において円周全域に歯が設けられており、
前記第1軸部及び前記第2軸部は、略半円状の断面の弧を含む曲面側と略半円状の断面の弦を含む平面側とを有し、前記第1駆動軸部材及び前記第2駆動軸部材が前記平面側で重なることで略円柱状の軸となる駆動軸。
【請求項2】
前記軸は、中空形状である請求項1に記載の駆動軸。
【請求項3】
前記第2歯車は、第2駆動軸部材において円周全域に歯が設けられている請求項1
または2に記載の駆動軸。
【請求項4】
前記第1軸部及び前記第2軸部の平面は、凸部と凹部とを備え、
第1軸部の凸部と第2軸部の凹部とが嵌合する請求項1~
3のいずれか1項に記載の駆動軸。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の駆動軸と、
前記第1歯車と噛み合う突起を一方の面に有するフィルタと、
前記フィルタをスライド可能に保持するフィルタ保持部と、を備えるフィルタ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機等に用いられるフィルタ駆動軸及びそれを用いたフィルタ掃除ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータ等の駆動源により回転するフィルタ駆動軸を開示する。特許文献1に開示されるフィルタ駆動軸は回転することで、フィルタがスライドするように移動する。このフィルタは、一般に空気調和機や空気清浄機等には吸引した空気から塵埃等を除去するために設けられているものである。
【0003】
図9は、特許文献1に記載の空気調和機のフィルタ及びフィルタ駆動軸を備えるカセットを示す。フィルタ101は、上下方向から挟み込まれ、フィルタ保持枠102、103で保持される。フィルタ保持枠102、103は四角形状の形状をしており、4辺のうち1辺が開放している形状となっている。
【0004】
カセットは吸込み方向に見たとき、四角形状の形状をしている。そして、カセットの一辺にはフィルタ駆動軸104が設けられている。フィルタ駆動軸104は、フィルタ駆動軸104の両側に樹脂製の歯車形状の歯車部106と、歯車部106を接続する金属製の軸部105とを備える。ここで、フィルタ101は、その裏面にラックが設けられており、このラックと歯車部106の歯とが噛み合わさるように構成されている。
【0005】
このような構成により、フィルタ駆動部が回転駆動することにより、歯車部106が回転する。このとき軸部105により、両側の歯車部106が連動される。そして、歯車部106の歯が、フィルタ101の裏面に設けられたラックと噛み合い、フィルタ駆動部104の回転に伴ってフィルタ101が移動する。このとき、フィルタ保持枠102、103の開放している位置方向にスライド移動するようにフィルタ101が移動する。
【0006】
そして、スライド移動するフィルタ101接触するように設けてあるブラシ等によってフィルタに付着した塵埃等を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように構成した空気調和機のフィルタ掃除ユニットのフィルタ駆動軸104は、金属製の軸部105と樹脂製の歯車部106とを備える。軸部105の両端にある歯車部106は、軸部105で連結され、一端側の回転に伴って回転する。
【0009】
しかしながら、フィルタ保持枠102、103や歯車部106は樹脂で成型することができるが、軸部105は金属で成型する必要がある。そのため、金属製の部品と樹脂製の部品との2種類の部品を用意する必要があり、金属性の部品は樹脂製の部品に比べて孔かである。そして、歯車部106を軸部105にそれぞれ接続する必要があり、その装着時は軸部105の両端に設けられた歯車部が互いに揃うように接続する必要がある。そのため製造工程も増加する。
【0010】
以上のように、上記のフィルタ駆動軸104は、その製造面に課題があり高価である。本発明はこのような点に鑑みてなしたもので、安価に提供できるフィルタ駆動軸とそれを用いたフィルタ掃除ユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、断面が略半円状の第1軸部と、前記第1軸部の一端に設ける第1歯車と、を含む第1駆動軸部材と、断面が略半円状の第2軸部と、前記第2軸部の一端に設ける第2歯車と、を含む第2駆動軸部材と、を備え、前記第1軸部及び前記第2軸部は、略半円状の断面の弧を含む曲面側と略半円状の断面の弦を含む平面側とを有し、前記第1駆動軸部材及び前記第2駆動軸部材が前記平面側で重なることで略円柱状の軸となる構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明における駆動軸は、金属部品を使用せず樹脂材料で一体成型できる。そのため、駆動軸を安価に生産することができると共に、第1歯車と第2歯車とのねじれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る駆動軸及びそれを用いたフィルタ駆動装置を組み込んだ空気調和機の室内機を示す斜視図
【
図2】実施の形態1に係る空気調和機の室内機のフィルタ掃除ユニットを示す断面図
【
図3】実施の形態1に係る空気調和機の室内機のフィルタ掃除ユニットを示す斜視図
【
図4】実施の形態1に係るフィルタ駆動装置周辺の拡大断面図
【
図7】実施の形態1に係る駆動軸の内部を示す分解斜視図
【
図9】従来のフィルタ掃除ユニットおよびフィルタ駆動軸を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、断面が略半円状の第1軸部と、前記第1軸部の一端に設ける第1歯車と、を含む第1駆動軸部材と、断面が略半円状の第2軸部と、前記第2軸部の一端に設ける第2歯車と、を含む第2駆動軸部材と、を備え、前記第1軸部及び前記第2軸部は、略半円状の断面の弧を含む曲面側と略半円状の断面の弦を含む平面側とを有し、前記第1駆動軸部材及び前記第2駆動軸部材が前記平面側で重なることで略円柱状の軸となる駆動軸である。
【0015】
これにより、軸部と歯車とを樹脂で構成できる。そのため、金属と樹脂の組み合わせに比べ材料費のコストダウンが可能となる。また、軸部の平面側を重ねることで一体化しているため、組み立て性もよく、安価に提供できる。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記軸が中空形状である構成としてある。
【0017】
これにより、軸部分の材料費を低減できるとともにフィルタ駆動軸の軽量化をできる。そのため、安価で利便性の高い駆動軸を提供できる。さらに、回転軸の軸に沿った長さが長い場合、中実軸で生じやすいヒケによる軸線たわみ等も低減できる。そのため、軸を樹脂製とした駆動軸でも良好なフィルタ駆動性能を得ることができる。
【0018】
第3の発明は、第2の発明或いは第2の発明において、前記第1歯車が第1駆動軸部材において円周全域に歯が設けられている構成としてある。
【0019】
これにより、歯車は各駆動軸部材において完成歯車となる。そのため、歯車に加わるトルクが大きな場合においても、歯車が一体物であるから、分離や損壊を低減できる。さらに、例えばフィルタ駆動装置に組み合わせたときは、歯車とフィルタとの噛み合わせが良好であるため、歯車の位置に対してフィルタが滑る現象を低減できる。
【0020】
第4の発明は、第1~3のいずれかの発明において、前記第2歯車が第2駆動軸部材において円周全域に歯が設けられている構成としてある。
【0021】
これにより、第2歯車も完成歯車とすることで、より信頼性の高い駆動軸を提供できる。
【0022】
第5の発明は、第1~4のいずれかの発明において、前記第1軸部及び前記第2軸部の平面は、凸部と凹部とを備え、第1軸部の凸部と第2軸部の凹部とが嵌合するように構成されている。
【0023】
これにより、製造過程において、凸部と凹部とに基づいて組み合わせることができる。そのため、製造方法が容易となり、さらに安価に製造することができる。
【0024】
第6の発明は、第1~5のいずれかの発明の駆動軸と、前記第1歯車と噛み合う突起を一方の面に有するフィルタと、前記フィルタをスライド可能に保持するフィルタ保持部と、を備えるフィルタ駆動装置である。
【0025】
これにより安価なフィルタ駆動軸を用いたことによってフィルタ掃除ユニットのコストを低減し、安価に提供することができる。
【0026】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0027】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0028】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図8を用いて、実施の形態1を説明する。
【0029】
図1は、本発明に係る駆動軸14を備える空気調和機の室内機1の断面図を示す。室内機1は、本体2と、本体2の前面側で開口している前面開口部2aと、本体2の上面側で開口している上面開口部2bとを備える。前面開口部2aは前面パネル3に覆われており、前面パネル3は開閉自在である。前面パネル3は、通常は閉じており、メンテナンスする際等に使用者が前面パネル3を開く。
【0030】
本体2の内部には、ファン5が設けられている。ファン5が回転することで、室内の空気が上面開口部2bから吸い込まれ、通風路9を通って、本体2の下方に設けられた吹出口6から吹き出される。
【0031】
略コの字の熱交換器4がファン5の周辺に設けられており、吹出口6側の通風路の部分には熱交換器が設けられていない。上面開口部2bから吸い込まれた空気は、熱交換器4により冷媒と熱交換される。そして、熱交換された空気がファン5により、吹出口6から吹き出すことにより、空気調和を行う。
【0032】
吹出口6には、室内に空気を吹き出すように設けられている。そして、本体2の吹出口6の周辺には、吹出口6を開閉するとともに空気の吹き出し方向を上下に変更する上下風向変更羽根7と、空気の吹き出し方向を左右に変更する左右風向変更羽根8とが設けられている。
【0033】
空気調和機が空調運転を開始すると、上下風向変更羽根7が開制御されて吹出口6が開放される。この状態でファン5が駆動されることで、室内空気が上面開口部2bを介して室内機の内部に取り入れられる。取り入れられた室内空気は、熱交換器4で熱交換され、ファン5を通過し、ファン5の送風方向の下流側に形成された通風路9を通過して、吹出口6より吹き出される。
【0034】
また、上面開口部2bと熱交換器4との間には、前面開口部2a及び上面開口部2bから取り入られた室内空気に含まれる塵埃を除去するためのフィルタ10が設けられている。フィルタ10は、枠体部分と、当該枠体部分に保持された網部分とを備えている。本実施形態にかかる空気調和機は、フィルタ10の網部分に付着した塵埃を自動的に清掃するフィルタ掃除ユニット11を備えている。
【0035】
フィルタ掃除ユニット11は、
図2~
図4に示すように、フィルタ10をスライド自在に保持するフィルタ保持部12と、前記フィルタ10をスライド搬送する駆動軸14と、前記フィルタ10に付着した塵埃等を掻き落とし除去するブラシ15と、前記ブラシ15で除去した塵埃等を受け止めて溜めておく塵受け部材16と、塵受け部材16に溜まっている塵埃等を所定の場所に排出するファン等の排気装置(図示せず)とからなる。
【0036】
フィルタ保持部12は、
図2に示すように、フィルタ10を保持するための通常ガイド部12Aと折返しガイド部12Bとを備えており、フィルタ10を通常ガイド部12Aから折返しガイド部12B及びその逆向きにスライド搬送可能としている。
【0037】
駆動軸14は、
図5に示すように、室内機の幅方向(
図1では奥行き方向)に延在する軸17と、軸17の両端に設けた第1歯車18a及び第2歯車18bとを備えている。軸17と第1歯車18a及び第2歯車18bとは略同径にしてある。そのため、軸17にフィルタ10を架け回し、第1歯車18a及び第2歯車18bをフィルタ10の裏面側のラック歯19に係合させてある。この駆動軸14の詳細構成は後述する。
【0038】
ブラシ15は、駆動軸14の下方部に駆動軸14に沿って室内機の幅方向に設けてあり、上下反転自在となっていて、フィルタ掃除時にはフィルタ10に接する上向きになってフィルタ表面に付着している塵埃を掻き落とし除去する。
【0039】
塵受け部材16は、ブラシ15の下方を覆うようにブラシ15に沿って室内機の幅方向に設けてあり、図示しない排気装置に連通していて内部に溜まっている塵埃等を所定の場所に排出させることができるようになっている。
【0040】
なお、塵受け部材16内にはブラシ15の下方部分にゴムなど弾性体等からなるブレード20が設けてあり、下向きに反転させたブラシ15からブラシ15に付着している塵埃等を除去するようになっている。
【0041】
以上のように構成されたフィルタ掃除ユニット11におけるフィル掃除動作を簡単に説明しておく。まず、フィルタ10は、通常、通常ガイド部12A内に位置し、上面開口部2bから取り入れられた室内空気に含まれる塵埃を除去している。
【0042】
フィルタ10の掃除開始が指示されると、ブラシ15が上向きになり、フィルタ10の表面に接する。そして、駆動軸14がモータ等の駆動源により駆動されて第1歯車18a及び第2歯車18bが正方向(
図2では反時計回り)に回転し、フィルタ10を、通常ガイド部12Aから折返しガイド部12Bへスライド搬送する。フィルタ10が折返しガイド部12Bと通常ガイド部12Aとの合流部分を通過して、通常ガイド部12Aの最終端に到達すると、第1歯車18a及び第2歯車18bが逆方向(
図2では時計回り)に回転し、フィルタ10は、折返しガイド部12Bから通常ガイド部12Aへとスライド搬送される。
【0043】
通常ガイド部12Aと折返しガイド部20Bとの間をスライド搬送される間にフィルタ10はブラシ15により塵埃等を掻き落とし除去され、その塵埃等は塵受け部材16に受け止められ、例えば所定時間ごとに駆動する排気装置により所定の場所へと排出される。
【0044】
次に、フィルタ10をスライド搬送する駆動軸14の構成について
図5~
図8を用いて説明する。
【0045】
図5~
図8において、駆動軸14は、既述したように軸17と軸17の両端に設けた第1歯車18a及び第2歯車18bとからなる。なお、軸17は、第1軸部17aと第2軸部17bとが重ね合わせて構成されている。そして、第1軸部17aと第1歯車18aとはABS等の樹脂で一体成型されており、第1軸部17aを構成する。また、第2軸部17bと第2歯車18bとはABS等の樹脂で一体成型しており、第2駆動軸部材14bを構成する。そして、駆動軸14は
図6~
図8に示すように軸17を半割にした一対の半割一体部品である第1駆動軸部材14aと第2駆動軸部材14bとを接合して構成してある。
【0046】
詳述すると、第1駆動軸部材14a及び第2駆動軸部材14bとは、軸17が半割され、それぞれ、第1軸部17aと第2軸部17bとを有する形状となっている。第1軸部17aと、第1軸部17aの一端に一体成型した完成歯車状態の第1歯車18aとからなる。第1軸部17aは回転方向に平行な断面が半円状の形状である。したがって、第1軸部17aは上記断面における弧を含む曲面側と、弦を含む平面側とを有する。第1軸部17aは、第1軸部17aの平面側から突き出るように複数の凸部21を備え、平面側から曲面側へ食い込むように複数の凹部22を備える。第2軸部17bも同様に平面側から突き出るように複数の凸部21を備え、平面側から曲面側へ食い込むように複数の凹部22を備える。
【0047】
第1軸部17aの凸部21と第2軸部17bの凹部22とに嵌合させて第1軸部17aと第2軸部17bとが接合し一体化する。なお、第1軸部17aの凹部22と第2軸部17bの凸部21とに嵌合させてもよい。また、
図5~8には、第1軸部17aの凸部21が第2軸部17bの凹部22に、第2軸部17bの凸部21が第1軸部17aの凹部22に嵌合されるものを示している。このように嵌合されることで第1歯車18a及び第2歯車18bを両端に含む軸17を備える駆動軸14が構成される。
【0048】
第1駆動軸部材14aには第1軸部17aの長手方向略中心を境として第1歯車18aを有する側に複数の凹部22を設けるとともに、長手方向略中心を境として第1歯車18aを有さない側に複数の凸部21を設けている。同様に、第2駆動軸部材14bには第2軸部17bの長手方向略中心を境として第1歯車18aを有する側に複数の凹部22を設けるとともに、長手方向略中心を境として第1歯車18aを有さない側に複数の凸部21を設けている。
【0049】
これにより、第1駆動軸部材14a及び第2駆動軸部材14bは同一形状に形成してあり、一方の第1駆動軸部材14aの凸部21を第2駆動軸部材14bの凹部22に嵌合させて接合することにより駆動軸14が構成され軸17の両端に第1歯車18a及び第2歯車18bが設けられる構成となる。そして、軸17を中空形状としており、第1軸部17a及び第2軸部17bは、平面側から曲面側にかけて開口している。そして、第1駆動軸部材14aの第1軸部17aにはその内面軸線方向に第一補強リブ23を設けるとともに、第一補強リブ23と交差する方向に複数の第二補強リブ24を設けてある。同様に、第2駆動軸部材14bの第2軸部17bにはその内面軸線方向に第一補強リブ23を設けるとともに、第一補強リブ23と交差する方向に複数の第二補強リブ24を設けてある。
【0050】
上記のように構成した駆動軸14は、第1軸部17a及び第1歯車18aとが樹脂で一体成型されて第1駆動軸部材14aを構成しており、第2駆動軸部材14bも同様でに構成されている。このため、従来の金属と樹脂の組み合わせに比べ材料費のコストダウンが可能となる。しかも、上記駆動軸14は軸17を半割形状とした部品である第1駆動軸部材14a,及び第2駆動軸部材14bの半割面に設けた凸部21と凹部22を嵌合させるだけで一体化できるので、組み立て性もよく、安価に提供できる。
【0051】
したがって、この駆動軸14を用いて構成した前記フィルタ掃除ユニット11も安価に提供することができる。
【0052】
また、軸17は中空の第1軸部17a及び第2軸部17bを接合して中空形状としているから、軸17の樹脂材料費を低減でき、更に安価に提供できる。加えて駆動軸14を軽量化することができ、部品としての取り扱いに対する利便性を向上させることもできる。
【0053】
しかも、駆動軸14を構成する一対の第1駆動軸部材14a及び第2駆動軸部材14bは、第1歯車18a及び第2歯車18b並びに凹部22及び凸部21を左右対象に設けて同一形状品としてあるから、部品管理が容易になるとともに、組み立て間違い等による問題も防止でき、加えて金型は一種類でよくなり、生産コストを大きく低減して更に安価に提供することができる。
【0054】
また、駆動軸14の軸17は、中空形状としているので、回転軸方向に従った長さが長い柱状の中実軸の場合よりも、その肉厚が厚いことで生じるヒケによる軸線たわみ等も低減できる。そのため、軸17を樹脂製としたフィルタ駆動軸でも軸線を直線状の安定したものとすることができる。
【0055】
そして更に中空状の軸17を構成する第1軸部17aは、その内面軸線方向に第一補強リブ23を設けるとともに、第一補強リブ23と交差する方向に複数の第二補強リブ24を設けている。このため、中空形状であっても柱状の中実軸と同程度の剛性を持たせることができる。よって、軸線のたわみを効果的に抑制できる。
【0056】
さらに、第1駆動軸部材14aと第2駆動軸部材14bとは、回転駆動する際に第1軸部17a及び第2軸部17bの平面側でトルクが伝達される。そのため、第1歯車18a側に駆動用のモータを設けて駆動する場合でも、力が第1軸部17a及び第2軸部17bの平面側で確実に伝達されて第2歯車にもトルクが伝わる。これにより、駆動軸14をフィルタ駆動に用いた場合でも、第1歯車18aと第2歯車18bとで撓むことやずれること低減することが出来る。
【0057】
したがって、この駆動軸14を用いて構成した前記フィルタ掃除ユニット11は、軸17に架け回したフィルタ10の平面度を上げてフィルタ幅全域に対するブラシ15の接触を良好なものとすることができ、フィルタ掃除性能を向上させることができる。
【0058】
また、駆動軸14はその軸17を半割状としているが、歯車部18は半割することなく完成歯車とした構成としてある。したがって、フィルタ等を駆動している時に何らかの原因で歯車部18に過大なトルクが加わったとしても、歯車部18が分離損壊するようなことがない。
【0059】
即ち、第1歯車18a及び第2歯車18bも軸17と同様に半割形状として接合一体化していると、歯車部に過大なトルクが加わった場合、過大なトルクによって歯車が半割状態に分離損壊することが懸念されるが、本実施の形態のように第1歯車18a及び第2歯車18bをそれぞれ一体物の完成品としておけば、半割のものを組み合わせた歯車の場合のような分離損壊等を防止でき、信頼性の高いものとすることができる。
【0060】
したがって、この駆動軸14を用いて構成した前記フィルタ掃除ユニット11は、駆動軸14の分離損壊等の心配がなくなるので、その信頼性を高いものとすることができる。
【0061】
以上、本発明に係るフィルタ駆動軸及びそれを用いたフィルタ掃除ユニットについて、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
例えば、上記実施の形態では、フィルタ駆動軸及びフィルタ掃除ユニットを用いた機器として空気調和機の場合を例示したが、これは空気清浄機であってもよく、フィルタを用いる機器であればどのような機器であってもよいものである。
【0063】
以上のように、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、上記のように、フィルタ駆動軸を安価に提供することができるとともに、これを用いたフィルタ掃除ユニットも安価に提供することができる。よって、家庭用及び業務用の空気調和機に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 室内機
2 本体
2a 前面開口部
2b 上面開口部
3 前面パネル
4 熱交換器
5 ファン
6 吹出口
7 上下風向変更羽根
8 左右風向変更羽根
9 通風路
10 フィルタ
11 フィルタ掃除ユニット
12 フィルタ保持部
14 駆動軸
14a 第1駆動軸部材
14b 第2駆動軸部材
15 ブラシ
16 塵受け部材
17 軸
17a 第1軸部
17b 第2軸部
18a 第1歯車
18b 第2歯車
19 ラック歯
20 ブレード
21 凸部
22 凹部
23 第一補強リブ
24 第二補強リブ