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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20230623BHJP
   F24F 1/0358 20190101ALI20230623BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F1/0358
F24F3/14
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019028983
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020131132
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】源水 和夫
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104776739(CN,A)
【文献】実開昭61-066789(JP,U)
【文献】特開昭52-104349(JP,A)
【文献】実開昭59-180123(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
F24F 1/0083、1/02、
1/0358、3/14
F26B 1/00-25/22
D06F 1/00-19/00、
27/00-31/00、35/00、
41/00-51/02、58/00、
58/10-58/18、
59/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吹出口を有する本体ケースと、
前記本体ケース内に設けられた冷凍サイクルと、
環状流路の内部に、加熱されて蒸発しかつ放熱して凝縮する作動流体が封入された第1の循環型ヒートパイプと第2の循環型ヒートパイプと、
前記吸込口より吸込み、前記吹出口より吹き出す送風機とを備え、
前記冷凍サイクルは、圧縮機と、前記圧縮機の下流に順次設けた放熱器、膨張手段、吸熱器とを有し、
前記第1の循環型ヒートパイプは、第1の上流側ヒートパイプと第1の下流側ヒートパイプとを有し、
前記第2の循環型ヒートパイプは、第2の上流側ヒートパイプと第2の下流側ヒートパイプとを有し、
前記送風機によって、前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を、前記第1の上側ヒートパイプ、前記吸熱器、前記第1の下流側ヒートパイプ、前記放熱器を順次介して吹出口へと送風する第1の除湿風路と、
前記送風機によって、前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を、前記第2の上流側ヒートパイプ、前記熱器、前記第2の下流側ヒートパイプ、前記熱器を順次介して吹出口へと送風する第2の除湿風路とを形成し、
前記第1の下流側ヒートパイプにおける下部に発生する結露水が重力によって前記第1の下流側ヒートパイプから前記第2の下流側ヒートパイプに移動するように、前記第1の下流側ヒートパイプは、前記第2の下流側ヒートパイプの上方に配置されたことを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記第1の循環型ヒートパイプは、
前記第1の上流側ヒートパイプと、
前記第1の下流側ヒートパイプと、
前記第1の上流側ヒートパイプと前記第1の下流側ヒートパイプとを連通する複数の第1の連通管とを有し、
前記第1の下流側ヒートパイプは、
多数の第1の下流側フィンと、
多数の前記第1の下流側フィンを連結する第1の下流側連結管とを有し、
前記第1の上流側ヒートパイプは、
多数の第1の上流側フィンと、
多数の前記第1の上流側フィンを連結する第1の上流側連結管とを有し、
前記第2の循環型ヒートパイプは、
前記第2の上流側ヒートパイプと、
前記第2の下流側ヒートパイプと、
前記第2の上流側ヒートパイプと前記第2の下流側ヒートパイプとを連通する複数の第2の連通管とを有し、
前記第2の下流側ヒートパイプは、
多数の第2の下流側フィンと、
多数の前記第2の下流側フィンを連結する第2の下流側連結管とを有し、
前記第2の上流側ヒートパイプは、
多数の第2の上流側フィンと、
多数の前記第2の上流側フィンを連結する第2の上流側連結管とを有し、
前記第1の下流側フィンと前記第2の下流側フィンとは、一体で形成していることを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記第1の下流側フィンは縦長四角板形状であり、
前記第2の下流側フィンは縦長四角板形状であり、
前記第1の下流側フィンの縦方向の寸法は、前記第2の下流側フィンの縦方向の寸法より
大きいことを特徴とする請求項2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記第1の上流側フィンと前記第2の上流側フィンとは、一体で形成していることを特徴とする請求項2または3に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記第1の上流側フィンは縦長四角板形状であり、
前記第2の上流側フィンは縦長四角板形状であり、
前記第1の上流側フィンの縦方向の寸法は、前記第2の上流側フィンの縦方向の寸法より大きく、前記第1の上流側フィンの縦方向の寸法は、前記第の下流側フィンの縦方向の寸法より大きいことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルと循環型ヒートパイプを利用して冷却除湿をおこなう除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルと、循環型ヒートパイプとを備えた除湿装置は、冷凍サイクルである圧縮機と、圧縮機の下流に順次設けた放熱器、膨張手段、吸熱器と、循環型ヒートパイプである上流側ヒートパイプと下流側ヒートパイプとを有している。室内の空気は、送風機によって、上流側ヒートパイプ、吸熱器、下流側ヒートパイプ、放熱器と順次介して送風され、除湿装置を形成していた。(例えばこれに類似する先行文献としては、下記特許文献1が存在する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第960857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、この種の除湿装置の除湿能力を向上させるために、吸熱器、放熱器の面積を大きくすることは有効であるが、圧縮機の負荷が大きくなり入力が増加する。また、冷媒の循環量を増やすことも有効であるが、圧縮機の負荷が大きくなり入力が増加する。また、風量を増やすこともある程度は有効であるが、増加し過ぎると逆効果になり、騒音値と入力がアップするというデメリットがある。また、ヒートパイプ部分の体積を大きくすることも有効であるが、本体サイズが大きくなり重くなるというデメリットがある。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、循環型ヒートパイプを効率的に追加配置することで除湿効率を向上させ、入力を抑制した除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除湿装置は上記目的を達成するために、吸込口と吹出口を有する本体ケースと、前記本体ケース内に設けられた冷凍サイクルと、環状流路の内部に、加熱されて蒸発しかつ放熱して凝縮する作動流体が封入された第1の循環型ヒートパイプと第2の循環型ヒートパイプと、前記吸込口より吸込み、前記吹出口より吹き出す送風機とを備え、前記冷凍サイクルは、圧縮機と、前記圧縮機の下流に順次設けた放熱器、膨張手段、吸熱器とを有し、前記第1の循環型ヒートパイプは、第1の上流側ヒートパイプと第1の下流側ヒートパイプとを有し、前記第2の循環型ヒートパイプは、第2の上流側ヒートパイプと第2の下流側ヒートパイプとを有し、前記送風機によって、前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を、前記第1の上流側ヒートパイプ、前記吸熱器、前記第1の下流側ヒートパイプ、前記放熱器を順次介して吹出口へと送風する第1の除湿風路と、前記送風機によって、前記吸込口から前記本体ケース内に吸気した空気を、前記第2の上流側ヒートパイプ、前記吸熱器、前記第2の下流側ヒートパイプ、前記放熱器を順次介して吹出口へと送風する第2の除湿風路とを形成し、前記第1の下流側ヒートパイプにおける下部に発生する結露水が重力によって前記第1の下流側ヒートパイプから前記第2の下流側ヒートパイプに移動するように、前記第1の下流側ヒートパイプは、前記第2の下流側ヒートパイプの上方に配置されたことを特徴としたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、除湿効率を向上した除湿装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1の除湿装置の斜視図
図2】同除湿装置の本体ケース内を示す断面図
図3】同除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図
図4】同除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図
図5】同除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の除湿装置の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1の除湿装置の本体ケース内を示す断面図である。図1図2に示すように、除湿装置は、本体ケース1と、冷凍サイクル2と、第1の循環型ヒートパイプ3と、第2の循環型ヒートパイプ4と、送風機5とを備えている。
【0011】
本体ケース1は、箱形状であり、背面には吸込口6を備え、天面の前面側には吹出口7を有している。本体ケース1内には、吸込口6と吹出口7とを連通する除湿風路8と、制御部9と、集水部10と、集水タンク11を有している。除湿風路8内には、冷凍サイクル2の一部と、第1の循環型ヒートパイプ3と、第2の循環型ヒートパイプ4と、送風機5が配置されている。
【0012】
冷凍サイクル2は、圧縮機12と、圧縮機12の下流に順次設けた放熱器13、膨張器としてキャピラリーチューブ14、吸熱器15とからなり、これらを、この順に冷媒配管16で接続して形成している。この吸熱器15で除湿対象となる空気を冷却除湿するものである。放熱器13と吸熱器15とは、対向して配置されている。放熱器13は、本体ケース1における前面側に配置され、吸熱器15は、本体ケース1における背面側に配置されている。
【0013】
図3は、本発明の実施の形態1の除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図であり、本体ケースにおける背面側から熱交換器およびヒートパイプ部分を見た図である。図4は、本発明の実施の形態1の除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図であり、本体ケースにおける左側から熱交換器およびヒートパイプ部分を見た図である。図5は、本発明の実施の形態1の除湿装置の熱交換器およびヒートパイプ部分の斜視図であり、本体ケースにおける右側から熱交換器およびヒートパイプ部分を見た図である。
【0014】
図3図4図5に示すように、第1の循環型ヒートパイプ3は、第1の上流側ヒートパイプ3aと、第1の下流側ヒートパイプ3bと、複数の第1の連通管30とを有している。
【0015】
第1の上流側ヒートパイプ3aは、多数の第1の上流側フィン31aと、多数の第1の上流側フィン31aを連結する第1の上流側連結管32aとを有している。
【0016】
第1の上流側フィン31aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の第1の上流側フィン31aは、隣り合う第1の上流側フィン31aの面と面とが対向するように配置されている。
【0017】
第1の上流側連結管32aは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である第1の上流側連結管32aは、第1の上流側フィン31aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。第1の上流側連結管32aの直管部分には、多数の第1の上流側フィン31aが固定されている。多数の第1の上流側フィン31aは、第1の上流側連結管32aの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0018】
第1の下流側ヒートパイプ3bは、多数の第1の下流側フィン31bと、多数の第1の下流側フィン31bを連結する第1の下流側連結管32bとを有している。
【0019】
第1の下流側フィン31bは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の第1の下流側フィン31bは、隣り合う第1の下流側フィン31bの面と面とが対向するように配置されている。
【0020】
第1の下流側連結管32bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である第1の下流側連結管32bは、第1の下流側フィン31bにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。第1の下流側連結管32bの直管部分には、多数の第1の下流側フィン31bが固定されている。多数の第1の下流側フィン31bは、第1の下流側連結管32bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0021】
複数の第1の連通管30は、第1の上連通管30aと、第1の下連通管30bとを有している。
【0022】
第1の上連通管30aは、第1の上流側連結管32aにおける上方に配置された一方側端部と、第1の下流側連結管32bにおける上方に配置された一方側端部との間に配置されている。第1の上連通管30aは、第1の上流側連結管32aと第1の下流側連結管32bとを連通する。第1の上連通管30aは、第1の下流側ヒートパイプ3bから第1の上流側ヒートパイプ3aに向かうにつれて下方へ傾斜している。
【0023】
第1の下連通管30bは、第1の上流側連結管32aにおける下方に配置された一方側端部と、第1の下流側連結管32bにおける下方に配置された一方側端部との間に配置されている。第1の下連通管30bは、第1の上流側連結管32aと第1の下流側連結管32bとを連通する。第1の下連通管30bは、第1の下流側ヒートパイプ3bから第1の上流側ヒートパイプ3aに向かうにつれて下方へ傾斜している。
【0024】
第2の循環型ヒートパイプ4は、第2の上流側ヒートパイプ4aと、第2の下流側ヒートパイプ4bと、複数の第2の連通管40とを有している。
【0025】
第2の上流側ヒートパイプ4aは、多数の第2の上流側フィン41aと、多数の第2の上流側フィン41aを連結する第2の上流側連結管42aとを有している。
【0026】
第2の上流側フィン41aは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の第2の上流側フィン41aは、隣り合う第2の上流側フィン41aの面と面とが対向するように配置されている。
【0027】
第2の上流側連結管42aは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である第2の上流側連結管42aは、第2の上流側フィン41aにおける長手方向に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。第2の上流側連結管42aの直管部分には、多数の第2の上流側フィン41aが固定されている。多数の第2の上流側フィン41aは、第2の上流側連結管42aの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0028】
第2の下流側ヒートパイプ4bは、多数の第2の下流側フィン41bと、多数の第2の下流側フィン41bを連結する第2の下流側連結管42bとを有している。
【0029】
第2の下流側フィン41bは、縦長四角板形状であり、材質がアルミニウムである。多数の第2の下流側フィン41bは、隣り合う第2の下流側フィン41bの面と面とが対向するように配置されている。
【0030】
第2の下流側連結管42bは、円筒形状であり、材質が銅である。円筒である第2の下流側連結管42bは、第2の下流側フィン41bにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられ、かつ複数回蛇行状に曲げられている。第2の下流側連結管42bの直管部分には、多数の第2の下流側フィン41bが固定されている。多数の第2の下流側フィン41bは、第2の下流側連結管42bの直管部分の中心軸方向に、所定の間隔を有して積層されている。
【0031】
複数の第2の連通管40は、第2の上連通管40aと、第2の下連通管40bとを有している。
【0032】
第2の上連通管40aは、第2の上流側連結管42aにおける上方に配置された一方側端部と、第2の下流側連結管42bにおける上方に配置された一方側端部との間に配置されている。第2の上連通管40aは、第2の上流側連結管42aと第2の下流側連結管42bとを連通する。第2の上連通管40aは、第2の下流側ヒートパイプ4bから第2の上流側ヒートパイプ4aに向かうにつれて下方へ傾斜している。
【0033】
第2の下連通管40bは、第2の上流側連結管42aにおける下方に配置された一方側端部と、第2の下流側連結管42bにおける下方に配置された一方側端部との間に配置されている。第2の下連通管40bは、第2の上流側連結管42aと第2の下流側連結管42bとを連通する。第2の下連通管40bは、第2の下流側ヒートパイプ4bから第2の上流側ヒートパイプ4aに向かうにつれて下方へ傾斜している。
【0034】
第1の循環型ヒートパイプ3の第1の上流側ヒートパイプ3aと、第2の循環型ヒートパイプ4の第2の上流側ヒートパイプ4aとは、本体ケース1の吸込口6と冷凍サイクル2の吸熱器15との間に配置されている。
【0035】
第1の循環型ヒートパイプ3の第1の下流側ヒートパイプ3bと、第2の循環型ヒートパイプ4の第2の下流側ヒートパイプ4bとは、冷凍サイクル2の放熱器13と冷凍サイクル2の吸熱器15との間に配置されている。
【0036】
図2図3に示すように、送風機5は、スクロール形状のケーシング部17と、このケーシング部17に固定されたモータ部18と、このモータ部18によって回転する羽根部19とから形成している。モータ部18は、水平方向に延びた回転軸20を有している。ケーシング部17は、吸入口17aと吐出口17bとを備えている。この吸入口17aは、放熱器13に対向している。ケーシング部17の吸入口17aと、放熱器13と、吸熱器15と、本体ケース1の吸込口6とは、モータ部18の回転軸20の中心軸上に配置されている。
【0037】
本体ケース1内には、吸込口6と吹出口7とを連通し、吸込口6から吸い込まれた空気を除湿する除湿風路8を備えている。除湿風路8は、第1の除湿風路8aと第2の除湿風路8bとを有する。
【0038】
第1の除湿風路8aは、送風機5によって本体ケース1の吸込口6からに吸い込まれた空気が、第1の上流側ヒートパイプ3a、吸熱器15、第1の下流側ヒートパイプ3b、放熱器13を順次介して吹出口7へと送風される風路である。
【0039】
第1の除湿風路8aにおける除湿動作について説明する。
【0040】
まず、第1の上流側ヒートパイプ3aには、第1の下流側ヒートパイプ3bによって冷却された冷媒が、流れ込む。この冷媒によって、第1の上流側ヒートパイプ3aは冷される。吸込口6から吸い込まれた空気が、この第1の上流側ヒートパイプ3aに送風され、第1の上流側ヒートパイプ3aと熱交換を行い、予冷される。
【0041】
次に、予冷された空気が、吸熱器15へ送風され、予冷された空気の一部が吸熱器15で更に冷却され、除湿される。
【0042】
次に、吸熱器15を通過した空気が、第1の下流側ヒートパイプ3bへ送風される。第1の下流側ヒートパイプ3bは、吸熱器15を通過した空気によって冷却され、この第1の下流側ヒートパイプ3bで冷却された冷媒が、第1の下流側ヒートパイプ3bにおける上部から下部へ移動する。これによって、第1の下流側ヒートパイプ3bの下部は、第1の下流側ヒートパイプ3bの上部に比べ、温度が低くなる。この第1の下流側ヒートパイプ3bにおける下部は、吸熱器15よりは高い温度ではあるが、第1の下流側ヒートパイプ3bに送風される空気の一部を冷却し、除湿する。
【0043】
最後に、第1の下流側ヒートパイプ3bを通過した空気が、放熱器13へ送風され、放熱器13と熱交換を行い温められる。この温められた空気が、吹出口7を介して、室内へ送風される。
【0044】
第2の除湿風路8bは、送風機5によって本体ケース1の吸込口6からに吸い込まれた空気が、第2の上流側ヒートパイプ4a、吸熱器15、第2の下流側ヒートパイプ4b、放熱器13を順次介して吹出口7へと送風される風路である。
【0045】
第2の除湿風路8bにおける除湿動作について説明する。
【0046】
まず、第2の上流側ヒートパイプ4aには、第2の下流側ヒートパイプ4bによって冷却された冷媒が、流れ込む。この冷媒によって、第2の上流側ヒートパイプ4aは冷される。吸込口6から吸い込まれた空気が、この第2の上流側ヒートパイプ4aに送風され、第2の上流側ヒートパイプ4aと熱交換を行い、予冷される。
【0047】
次に、予冷された空気が、吸熱器15へ送風され、予冷された空気の一部が吸熱器15で更に冷却され、除湿される。
【0048】
次に、吸熱器15を通過した空気が、第2の下流側ヒートパイプ4bへ送風される。第2の下流側ヒートパイプ4bは、吸熱器15を通過した空気によって冷却され、この第2の下流側ヒートパイプ4bで冷却された冷媒が、第2の循環型ヒートパイプ4の第2の下流側ヒートパイプ4bにおける上部から下部へ移動する。これによって、第2の循環型ヒートパイプ4の第2の下流側ヒートパイプ4bの下部は、第2の下流側ヒートパイプ4bの上部に比べ、温度が低くなる。この第2の下流側ヒートパイプ4bにおける下部は、吸熱器15よりは高い温度ではあるが、第2の下流側ヒートパイプ4bに送風される空気の一部を冷却し、除湿する。
【0049】
最後に、第2の下流側ヒートパイプ4bを通過した空気が、放熱器13へ送風され、放熱器13と熱交換を行い温められる。この温められた空気が、吹出口7を介して、室内へ送風される。
【0050】
本実施形態における特徴は、第1の下流側ヒートパイプ3bは、第2の下流側ヒートパイプ4bの上方に配置された点である。
【0051】
具体的には、第1の下流側ヒートパイプ3bには、吸熱器15を通過した空気が、送風される。第1の下流側ヒートパイプ3bは、吸熱器15を通過した空気によって冷却され、この第1の下流側ヒートパイプ3bで冷却された冷媒が、第1の下流側ヒートパイプ3bにおける上部から下部へ移動する。これによって、第1の下流側ヒートパイプ3bの下部は、第1の下流側ヒートパイプ3bの上部に比べ、温度が低くなる。この第1の下流側ヒートパイプ3bにおける下部は、吸熱器15よりは高い温度ではあるが、第1の下流側ヒートパイプ3bに送風される空気の一部を冷却し、除湿する。この除湿時に、第1の下流側ヒートパイプ3bにおける下部には、結露水が発生する。
【0052】
次に、第1の下流側ヒートパイプ3bは、第2の下流側ヒートパイプ4bの上方に配置され、この結露水は、重力によって第1の下流側ヒートパイプ3bから第2の下流側ヒートパイプ4bに移動する。結露水は、温度が低い為、第2の下流側ヒートパイプ4bは、吸熱器15を通過した空気だけでなく、この結露水によっても冷却される。このように冷却された第2の下流側ヒートパイプ4bの下部が、第2の循環型ヒートパイプ4に送風される空気の一部を冷却し、除湿するので、除湿量が多くなる。
【0053】
また、第1の下流側フィン31bと第2の下流側フィン41bとは、一体で形成している。第1の下流側フィン31bと第2の下流側フィン41bとは、一枚の金属板によって形成している。これにより、第1の下流側ヒートパイプ3bにおける下部で発生した結露水が、第1の下流側フィン31bから第2の下流側フィン41bに移動し易くなる。
【0054】
また、第1の下流側フィン31bと第2の下流側フィン41bとは、一枚のアルミニウム板によって形成し、親水処理を行っている。親水処理の一例は、エアコン室内機の熱交換器や除湿機の吸熱器15等で利用され、水が水滴形状になり通風抵抗になるのを防止するおよび液の流動性向上によりスムーズに結露水を排水できるものである。
【0055】
これにより、第1の下流側ヒートパイプ3bにおける下部で発生した結露水が、更に第1の下流側フィン31bから第2の下流側フィン41bに移動し易くなる。加えて、第1の下流側フィン31bにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられた第1の下流側連結管32bと、第2の下流側フィン41bにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられた第2の下流側連結管42bとは、材質が銅である。第1の下流側フィン31bと第2の下流側フィン41bとに親水処理を行うことによって、結露水が介在する銅とアルミニウムとの接触部分で発生する電食を抑制できる。
【0056】
また、一体で形成することで熱交換器組立も簡略化でき、第1の下流側ヒートパイプ3bと第2の下流側ヒートパイプ4bの固定方法は放熱器13や吸熱器15と同様の上下方向から挟み込む方式で簡単に固定することが可能になり、第1の下流側ヒートパイプ3bと第2の下流側ヒートパイプ4bを別途連結する必要がなくなる。
【0057】
また、第1の下流側フィン31bは縦長四角板形状であり、第2の下流側フィン41bは縦長四角板形状である。第1の下流側フィン31bの縦方向の寸法は、第2の下流側フィン41bの縦方向の寸法より大きい。これにより、第1の下流側フィン31bの縦方向の寸法は、第2の下流側フィン41bの縦方向の寸法より大きいので、第1の下流側フィン31bでは、第2の下流側フィン41bに比べて結露水が発生しやすくなる。第2の下流側フィン41bは、第1の下流側フィン31bからの結露水によって、冷やされるので、第2の下流側フィン41bの縦方向の寸法は、第1の下流側フィン31bの縦方向の寸法に比べて小さい場合にも、第1の下流側フィン31bの下部の温度と、第2の下流側フィン41bの下部の温度とが近づくので、第1の下流側フィン31bの下部での除湿量と、第2の下流側フィン41bの下部での除湿量とが近づき、全体の除湿量が向上する。
【0058】
また、第1の上流側フィン31aと第2の上流側フィン41aとは、一体で形成している。第1の上流側フィン31aと第2の上流側フィン41aとは、一枚の金属板によって形成している。これにより、熱交換器組立が簡略化でき、第1の上流側ヒートパイプ3aと第2の上流側ヒートパイプ4aの固定方法は放熱器13や吸熱器15と同様の上下方向から挟み込む方式で簡単に固定することが可能になり、第1の上流側ヒートパイプ3aと第2の上流側ヒートパイプ4aを別途連結する必要がなくなる。
【0059】
また、第1の上流側フィン31aと第2の上流側フィン41aとは、一枚のアルミニウム板によって形成し、親水処理を行っている。加えて、第1の上流側フィン31aにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられた第1の上流側連結管32aと、第2の上流側フィン41aにおける長手方向(上下方向)に複数段設けられた第2の上流側連結管42aとは、材質が銅である。第1の上流側フィン31aと第2の上流側フィン41aとに親水処理を行うことによって、吸熱器15および第1の下流側ヒートパイプ3bと第2の下流側ヒートパイプ4bの下部で発生した結露水が介在する銅とアルミニウムとの接触部分で発生する電食を抑制できる。
【0060】
また、第1の上流側フィン31aと第2の上流側フィン41aとは、一体で形成している。第1の上流側フィン31aは縦長四角板形状であり、第2の上流側フィン41aは縦長四角板形状である。第1の上流側フィン31aの縦方向の寸法は、第2の上流側フィン41aの縦方向の寸法より大きく、第1の上流側フィン31aの縦方向の寸法は、第2の流側フィン41aの縦方向の寸法より大きい。
【0061】
これにより、第1の上流側フィン31aの縦方向の寸法は、第2の上流側フィン41aの縦方向の寸法より大きいので、第1の上流側フィン31aでは、第2の上流側フィン41aに比べて熱交換量が多く予冷効果が大きくなり、第1の除湿風路8a上の吸熱器15および第1の下流側ヒートパイプ3bで結露水が発生しやすくなる。これにより、第2の下流側ヒートパイプ4bは、第1の下流側ヒートパイプ3bからの結露水によって、より冷やされることになる。ここで、第1の上流側フィン31aの縦方向の寸法は、第2の上流側フィン41aの縦方向の寸法に比べて小さい場合にも、第2の下流側フィン41bが十分冷えることで、第1の上流側フィン31aの下部の温度と、第2の上流側フィン41aの下部の温度とが近づく。結果として、第1の下流側フィン31bの下部での除湿量と、第2の下流側フィン41bの下部での除湿量とが近づき、全体の除湿量が向上する。
【0062】
また、実施例では第1の上流側連結管32aと第2の上流側連結管42aと第1の下流側連結管32bと第2の下流側連結管42bの材質を銅で説明したが、フィンと同じ材質のアルミニウムで形成しても同様の効果を得られる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る除湿装置は、除湿効率が向上し入力抑制を可能とするもので、室内の洗濯物を乾燥させる家庭用や事務所用などに使用される除湿装置として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 本体ケース
2 冷凍サイクル
3 第1の循環型ヒートパイプ
3a 第1の上流側ヒートパイプ
3b 第1の下流側ヒートパイプ
4 第2の循環型ヒートパイプ
4a 第2の上流側ヒートパイプ
4b 第2の下流側ヒートパイプ
5 送風機
6 吸込口
7 吹出口
8 除湿風路
8a 第1の除湿風路
8b 第2の除湿風路
9 制御部
10 集水部
11 集水タンク
12 圧縮機
13 放熱器
14 キャピラリーチューブ
15 吸熱器
16 冷媒配管
17 ケーシング部
17a 吸入口
17b 吐出口
18 モータ部
19 羽根部
20 回転軸
30 第1の連通管
30a 第1の上連通管
30b 第1の下連通管
31a 第1の上流側フィン
31b 第1の下流側フィン
32a 第1の上流側連結管
32b 第1の下流側連結管
40 第2の連通管
40a 第2の上連通管
40b 第2の下連通管
41a 第2の上流側フィン
41b 第2の下流側フィン
42a 第2の上流側連結管
42b 第2の下流側連結管
図1
図2
図3
図4
図5