IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-冷蔵庫 図1
  • 特許-冷蔵庫 図2
  • 特許-冷蔵庫 図3
  • 特許-冷蔵庫 図4
  • 特許-冷蔵庫 図5
  • 特許-冷蔵庫 図6
  • 特許-冷蔵庫 図7
  • 特許-冷蔵庫 図8
  • 特許-冷蔵庫 図9
  • 特許-冷蔵庫 図10
  • 特許-冷蔵庫 図11
  • 特許-冷蔵庫 図12
  • 特許-冷蔵庫 図13
  • 特許-冷蔵庫 図14
  • 特許-冷蔵庫 図15
  • 特許-冷蔵庫 図16
  • 特許-冷蔵庫 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20230623BHJP
   F25D 17/04 20060101ALI20230623BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F25D17/06 304
F25D17/04 303
F25D17/08 312
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021092007
(22)【出願日】2021-06-01
(62)【分割の表示】P 2017043909の分割
【原出願日】2017-03-08
(65)【公開番号】P2021139618
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】川崎 竜也
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 雅司
(72)【発明者】
【氏名】阿比留 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田中 逸雄
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113920(US,A1)
【文献】米国特許第05531267(US,A)
【文献】特開平04-009565(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0099875(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0042641(US,A1)
【文献】特開2014-134332(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0231297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0272670(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と冷却室とを前後に仕切る壁面ユニットと、前記冷却室に冷却器と、前記冷却器で生成した冷気を前記貯蔵室に供給するブロアファンと、前記ブロアファンを覆うガイドケースと、を備えた冷蔵庫であって、前記ブロアファンと前記ガイドケースとは前記壁面ユニットに固定され、前記ガイドケースは前記ブロアファンの回転軸の回転方向に従って径が拡大する螺旋状に設けられ、前記ブロアファンの前記冷却室側の面を覆う主面部と、前記ブロアファンの外周を囲む側壁部と、を備え、前記主面部には吸入開口部を設け、前記冷却器で生成された冷気は前記吸入開口部から前記ガイドケース内に入り前記側壁部に沿って上方に送風する構成のみで、前記ブロアファンは前記壁面ユニットにあらかじめ固定され、前記ガイドケースの下端部は前記冷却器の上端部よりも上方に配置し、前記ガイドケースの上端部は、前記壁面ユニットよりも上方に飛び出した構成となっていないことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ブロアファンの下方に前記冷却器があり、前記壁面ユニットを基準にすると、前記ガイドケースは前記冷却器よりも奥行き寸法が小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記吸入開口部の後方にはスペースが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記壁面ユニットの上部に前記貯蔵室へ供給する冷気量を制御するダンパ装置を備え、前記ダンパ装置は前記ガイドケースの上部に一体形成したケースで覆われていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記ダンパ装置は、前記ブロアファンから上方へ送風された冷気の向きを前方へ変えることを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記壁面ユニットは前記貯蔵室に面する貯蔵室側壁面板と前記冷却室に面する冷却室側壁面板とで構成され、前記貯蔵室側壁面板と前記冷却室側壁面板との間に吹出風路を形成し前記ガイドケースに連通することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の冷
蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にワインボトルや缶類の収納保存に利用される冷蔵庫、例えばワイン庫は、システムキッチン等にビルトインされて使用されることが多い。
【0003】
このようなワイン庫に保存するワインは、白ワイン、赤ワイン及びそれらの種類にもよるが14℃~18℃程度で保存するのが好ましいとされ、かつ、その飲み頃温度は7℃~9℃前後とされている。
【0004】
そのため、ワインボトルを保存するワイン庫の中には保存温度帯の異なる複数の貯蔵室を備えたものが見られ、本体背面部の冷却室内の冷却室で冷却した冷気を冷却ファンで各貯蔵室に供給し各貯蔵室を所定温度に冷却保存するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図16は上記特許文献1に記載されたワイン庫を示し、このワイン庫は電子冷却方式のワイン庫ではあるが、本体101内に複数の貯蔵室102、103を備えている。そして、上記貯蔵室102、103の背面部に設けた冷却室104内の冷却器105で冷気を生成し、この冷気を冷却ファン106によりそれぞれの貯蔵室102、103に供給して、冷却するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-159910号公報
【文献】特開2007-309633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1記載のワイン庫は、保存温度帯の異なる貯蔵室102、103を複数有するので使い勝手が良いという利点がある。しかしながら、冷却器105及び冷却ファン106を各貯蔵室102、103に応じて複数必要とするため高価なものとなる。しかも、上記冷却ファン106は前方に向けて送風するプロペラファンを用いているので、冷却ファン106の吐出口107、108から前方に向かう風路部分を必要とするため、冷却室104部分の前後方向の寸法が大きなものとなる。そのため、システムキッチンに組み込まれてその奥行き寸法が規制されるアンダーカウンター式のワイン庫とする場合は、貯蔵室102、103の奥行き寸法が小さなものとならざるを得ず、本体外形寸法の割に収納容量が小さいものになる、という課題があった。
【0008】
このような課題を解決するためには、冷却器をひとつにして当該冷却器からの冷気を各貯蔵室に分岐供給する構成とするとともに、冷却ファンは周方向に送風可能で前後方向寸法を小さくできる多翼ファンを用いて構成すればよい(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
図17は上記特許文献2に記載された冷気供給構成を示し、この特許文献2に記載されている冷蔵庫はワイン庫のようなものではないが、冷却器105を一つにしてある。そして、冷却ファン106は前方方向に送風するプロペラファンに比べ周方向に送風可能で前後方向寸法を小さくできる多翼ファンを用いて構成してある。さらに多翼ファンのファンケーシングの側壁にそってその左右に吐出口107、108を設け、この吐出口107、108に各貯蔵室へのダクト109、110を接続して構成してある。
【0010】
上記特許文献2に記載されている冷気供給構成を用いれば、一つの冷却器105によって各貯蔵室を冷却することができ、安価に提供することができるともに、多翼ファンを用いたたことにより、冷却室部分の前後方向寸法を小さくしてその分貯蔵室収納容量を増加させることができる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2に記載の構成では、冷却ファン106の吐出口107、108を複数設けて冷却ファン106からの冷気を冷却ファン106の曲線状の側壁に沿って供給する構成としているため、各貯蔵室に繋がるダクト109、110の間隔が広いものとなる。したがって、冷蔵庫単体として使用されるものには適用できても、システムキッチンの下部に組み込んで使用されるアンダーカウンター式のワイン庫としてはそのまま適用することができない、というものであった。すなわち、アンダーカウンター式のワイン庫は、システムキッチンの下部に組み込まれる他の機器との関係で幅方向の寸法も規制されるため、そのままでは横幅が広くなりすぎて適用することができないのであった。そして、上記冷気供給構成では各貯蔵室に供給され冷気はその量が制御されることがないので、貯蔵室ごとの適切な冷却がし難いというものでもあった。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなしたもので、ブロアファンから吐出する冷気の送風損失を低減し、効率の良い冷却が可能となる冷蔵庫を提供することを目的としたのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するため、貯蔵室と冷却室とを仕切る壁面ユニットと、前記冷却室に冷却器と、前記冷却器で生成した冷気を前記貯蔵室に供給するブロアファンと、前記ブロアファンを覆うガイドケースと、を備えた冷蔵庫であって、前記ブロアファンと前記ガイドケースとは前記壁面ユニットに固定され、前記ガイドケースは前記ブロアファンの前記冷却室側の面を覆う主面部と、前記ブロアファンの外周を囲む側壁部と、を備え、前記主面部には吸入開口部を設け、前記冷却器で生成された冷気は前記吸入開口部から前記ガイドケース内に入り前記側壁部に沿って上方に送風する構成としてある。
【0014】
これにより、ブロアファンから吐出する冷気の送風損失を低減し、効率の良い冷却が可能となる冷蔵庫を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記構成によって、ブロアファンによる冷気の送風により、効率よく貯蔵室の冷却が可能な冷蔵庫とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1における冷蔵庫の外観斜視図
図2】同冷蔵庫の半裁斜視図
図3】同冷蔵庫の扉を開けて底面側から見た斜視図断面図
図4】同冷蔵庫の内箱の斜視図
図5】同冷蔵庫の内箱側面に設けた庫内照明ユニットの斜視図
図6図5のA-A断面図
図7】同冷蔵庫の天井面に設けた庫内照明ユニットの半裁斜視図
図8】同冷蔵庫の冷蔵庫本体、壁面ユニット、扉を示す分解斜視図
図9】同冷蔵庫の壁面ユニットを貯蔵室側から見た分解斜視図
図10】同冷蔵庫の壁面ユニットを冷却室側から見た分解斜視図
図11】同冷蔵庫の壁面ユニットを冷却室側から見た斜視図
図12図11のB-B断面図
図13】同冷蔵庫の壁面ユニットを貯蔵室側から見た正面図
図14】(a)同冷蔵庫の壁面ユニットに冷却ファンを装着する前の斜視図、(b)同冷却ファン装着後の壁面ユニットの斜視図
図15】同冷蔵庫の壁面ユニットの分解斜視図
図16】従来の冷蔵庫を示す断面図
図17】(a)従来の他の冷蔵庫における冷気供給構成を示す正面図、(b)同側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、貯蔵室と冷却室とを仕切る壁面ユニットと、前記冷却室に冷却器と、前記冷却器で生成した冷気を前記貯蔵室に供給するブロアファンと、前記ブロアファンを覆うガイドケースと、を備えた冷蔵庫であって、前記ブロアファンと前記ガイドケースとは前記壁面ユニットに固定され、前記ガイドケースは前記ブロアファンの前記冷却室側の面を覆う主面部と、前記ブロアファンの外周を囲む側壁部と、を備え、前記主面部には吸入開口部を設け、前記冷却器で生成された冷気は前記吸入開口部から前記ガイドケース内に入り前記側壁部に沿って上方に送風する構成としてある。
【0018】
これにより、ブロアファンから吐出する冷気の送風損失を低減し、効率の良い冷却が可能となる冷蔵庫とすることができる。
【0019】
第2の発明は、第1の発明において、前記ガイドケースは前記ブロアファンの回転軸の回転方向に従って径が拡大する螺旋状に設けられている。
【0020】
これにより、効率よく冷気を送風することができる。
【0021】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ブロアファンの下方に前記冷却器があり、前記壁面ユニットを基準にすると、前記ガイドケースは前記冷却器よりも奥行き寸法が小さく形成されている。
【0022】
これにより、冷却器で生成された冷気をガイドケースに導くスペースを確保できる。
【0023】
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれか1つの発明において、前記ガイドケースの吸入開口部の後方にはスペースが形成されている構成としてある。
【0024】
これにより、吸入開口部の吸入スペースを確保することができる。
【0025】
第5の発明は、第1~第4のいずれか1つの発明において、前記壁面ユニットの上部に前記貯蔵室へ供給する冷気量を制御するダンパ装置を備え、前記ダンパ装置は前記ガイドケースで覆われている構成としてある。
【0026】
これにより、ダンパ装置はガイドケースで覆われるので接続部分の冷気漏れを抑制し、構成の簡素化と品質向上を図ることができる。
【0027】
第6の発明は、第5の発明において、前記ダンパ装置は、前記ブロアファンから上方に送風された冷気の向きを前方へ変える構成としてある。
【0028】
これにより、ブロアファンで上方へ送風される冷気を前方へ送風し貯蔵室を冷却することができる。
【0029】
第7の発明は、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記壁面ユニットは前記貯蔵室に面する貯蔵室側壁面板と前記冷却室に面する冷却室側壁面板とで構成され、前記貯蔵室側壁面板と前記冷却室側壁面板との間に吹出風路を形成し前記ガイドケースに連通する構成としてある。
【0030】
これにより、貯蔵室を効率よく冷却することができる。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0032】
(実施の形態1)
まず図1図7を用いて冷蔵庫の全体構成を説明する。
【0033】
図1は本発明の実施の形態1における冷蔵庫の外観斜視図、図2は同冷蔵庫の半裁斜視図、図3は同冷蔵庫の扉を開けて底面側から見た斜視図断面図、図4は同冷蔵庫の内箱の斜視図、図5は同冷蔵庫の内箱側面に設けた庫内照明ユニットの斜視図、図6図5のA-A断面図、図7は同冷蔵庫の天井面に設けた庫内照明ユニットの半裁斜視図である。
【0034】
図1図7において、本実施の形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体1内に仕切板2を設けて上下二つの貯蔵室3、4が区画形成してあり、更にこの各貯蔵室3、4内にはワインボトル等を載せる棚5が設置してある。仕切板2は内部に断熱材を有していてもいなくてもよい。
【0035】
上記冷蔵庫本体1は、図2に示すように、前方を開口する金属製(例えば鉄板)の外箱6と、硬質樹脂製(例えばABS製)の内箱7と、これら外箱6と内箱7との間に発泡充填した硬質ウレタン等の発泡断熱材(図示せず)とで構成してある。そして、上記冷蔵庫本体1の開口両側部及び天井面開口部分には、図3に示すように貯蔵室3、4内を照射する照明ユニット8、9が設けてある。
【0036】
上記照明ユニット8、9のうち両側部に設けた照明ユニット8は、図4図6に示すように、内箱7の照明用開口10の内側に装着した台座11と、この台座11に取付けた照明基板12と、照明基板12の上下方向に列接したLED13と、LED13の前面を覆うカバー14とからなる。
【0037】
上記カバー14は断面略L字状に形成して内箱7の前端面7aまで回り込んでこれを覆うように形成してある。つまり、カバー14は、前面カバー部14aと側面カバー部14bとを備えている。そして、側面カバー部14bは、図6に示すように、前端面7a側とは反対側に傾斜させて設けた係合リブ15を有している。カバー14は、係合リブ15を台座11に設けた保持穴16に圧入することによって取り付けられる。これによってカバー14はその前面カバー部14aが内箱7の前端面7aに圧接する。
【0038】
一方、冷蔵庫本体1の天井面開口部分に設けた照明ユニット9は、図7に示すように、冷蔵庫本体1、すなわち内箱7の天井面前端部分に設けた凹部9aに組み込んで設けてある。なお、この照明ユニット9の台座は天井壁面を構成する如く幅広に形成してある。照明ユニット9のカバーは単純な平面形状である。
【0039】
また、前記冷蔵庫本体1の各貯蔵室3、4の前面は、回動自在な扉20によって開閉可能としてある。そして、上記扉20は、図2に示すように、アルゴンガス等の断熱性ガスを封入した三重のガラス板ユニット等からなる中央板21を有し、断熱扉として作用しつつ貯蔵室3、4内を外部から目視できるようにしてある。なお、上記扉20には把手22が設けてある。
【0040】
さらに、前記扉20の上部略中央には前記各貯蔵室3、4の温度の設定と表示を行う操作表示部23(図8参照)が設けてある。この操作表示部23は扉20の前面側からタッチすることによって操作できる。また、操作表示部23に表示される内容は前方から視認できる。
【0041】
また、上記冷蔵庫本体1の背面には冷却室25が設けてあり、冷却器26と冷却ファン27が設置してある。冷蔵庫本体1の下部、つまり冷却室25の下方には、機械室28が設けてある。冷却器26は機械室28に組み込んだ圧縮機29で圧縮した冷媒の蒸発により冷却室25内で冷気を生成する。また、冷却ファン27は、上記冷却室25で生成した冷気を前記各貯蔵室3、4に供給し、その後冷却室25に回収して再び各貯蔵室3、4へと循環させる。
【0042】
以下、上記冷気の供給構成について図8図15を用い説明する。
【0043】
図8は冷蔵庫の分解斜視図、図9は同冷蔵庫の壁面ユニットを貯蔵室側から見た分解斜視図、図10は同冷蔵庫の壁面ユニットを冷却室側から見た分解斜視図、図11は同冷蔵庫の壁面ユニットを冷却室側から見た斜視図、図12図11のB-B断面図、図13は同冷蔵庫の壁面ユニットを貯蔵室側から見た正面図、図14(a)は同冷蔵庫の壁面ユニットに冷却ファンを装着する前の斜視図、(b)は同冷却ファン装着後の壁面ユニットの斜視図、図15は同冷蔵庫の壁面ユニットの分解斜視図である。
【0044】
上記各貯蔵室3、4へ冷気を供給する風路は、前記各貯蔵室3、4と冷却室25とを仕切る壁面ユニット30に形成してある。
【0045】
壁面ユニット30は、図9図10等に示すように、前記各貯蔵室3、4に面する貯蔵室側壁面板31と冷却室25に面する冷却室側壁面板32とを嵌合して構成してある。
【0046】
冷却室側壁面板32には冷却室側の面の前記上側の貯蔵室3(以下、上側貯蔵室と称す)と対向する部分に冷却ファン27が設けてある。冷却ファン27はブロアファンのような周方向に送風する多翼ファンである。冷却ファン27は、回転軸に平行な複数枚の羽根を有する多翼ファン27aを、ガイドケース33で覆って構成してある。ガイドケース33は、多翼ファン27aの冷却室側の面を覆う主面部と、多翼ファン27aの回転方向外周を囲む側壁部とを備えている。そして、上記ガイドケース33の主面部には、吸入開口部34が設けてある。また、側壁部の上部一箇所に吐出開口部35が設けてある。
【0047】
側壁部の主要部分は、多翼ファン27aの回転軸を中心とし、回転軸の回転方向にしたがって、径が拡大するアルキメデス螺旋状に設けられている。
【0048】
また、前記冷却ファン27の吐出開口部35にはダンパ装置36が設けてある。このダンパ装置36は、図9に示すように、第1開口部37と第2開口部38を形成したダンパ枠体39と、モータ等の駆動源(図示せず)により駆動されて前記各開口を開閉する第1フラップ40及び第2フラップ41とを備えている。
【0049】
上記ダンパ装置36の第1開口部37と第2開口部38は、駆動源を介して隣接して設けてある。第1開口部37と第2開口部38は、前記冷却ファン27の吐出開口部35に対応して位置している。そして、本実施の形態では図10図11等に示すようにダンパ装置36のケース42を前記冷却ファン27のガイドケース33の上部に一体形成して、多翼ファン27aとダンパ装置36を覆っている。つまり、冷却ファン27とダンパ装置36とを一体化して直結してある。
【0050】
多翼ファン27aの回転軸の回転方向は、図13に示すように、貯蔵室側から見て反時計周りである。つまり、回転軸は、後述する第1開口部37側から、第2開口部38側へと回転する。第1開口部37は、回転軸の反回転方向に設けられた開口部であり、第2開口部は、回転軸の回転方向に設けられた開口部である。
【0051】
また、上記冷却ファン27の回転軸は、前記ダンパ装置36の開口部のうち前記冷却ファン27の回転方向側に位置する開口部である第2開口部38側に偏らせて設けてある。また、上記第1開口部37に連通する第1吹出風路47は、第2開口部38に連通する第2吹出風路48より長い。
【0052】
更に、上記冷却ファン27と、ダンパ装置36と、ガイドケース33およびケース42とは、冷却室側壁面板32に取り付付けて壁面ユニット30にユニット化し、壁面ユニット30を冷蔵庫本体1に取付けることによって組み込み可能としてある。
【0053】
なお、上記冷却ファン27のガイドケース33とダンパ装置36のケース42とは別体に構成して後から接続してもよい。
【0054】
また、前記冷却室側壁面板32のダンパ装置36と対向する部分には、ダンパ装置36の第1開口部37と第2開口部38に対応させて第1透孔43および第2透孔44がそれぞれ形成してある。
【0055】
図9に示すように、上記冷却室側壁面板32と貯蔵室側壁面板31の相対向する面には風路形成用リブ45、46を設けて、第1透孔43から下側貯蔵室4へ冷気を供給する第1吹出風路47と、第2透孔44から上側貯蔵室3へ冷気を供給する第2吹出風路48を形成している。更に上記冷却室側壁面板32と貯蔵室側壁面板31の相対向する面には戻り風路形成用リブ49を設けて、上側貯蔵室3と下側貯蔵室4との共用の戻り風路50が設けてある。戻り風路50は、各貯蔵室3、4に供給された冷気を冷却室25に戻すための風路である。
【0056】
そして、上記冷却室側壁面板32の第1吹出風路47と対向する部分に下吹出口51a、第2吹出風路48と対向する部分に上吹出口51bが設けてある。更に、下側貯蔵室4と対向する部分に下戻り口52a、上側貯蔵室3と対向する部分に上戻り口52bが形成してある。そして冷却室側壁面板32の下端部には切欠き開口を形成して戻り風路50からの冷気を冷却室25に戻す冷気戻り口52が設けてある。
【0057】
つまり、第1吹出風路47は、一端に第1透孔43を備え、少なくとも他端に下吹出口51aを備えている。第2吹出風路48は、一端に第2透孔44を備え、少なくとも他端に上吹出口51bを備えている。
【0058】
本実施の形態では、上記第1吹出風路47は図15に示すように戻り風路50の略中央部分を通して下側貯蔵室4に冷気を供給するように構成してあり、上戻り口52bは前記第1吹出風路47の左右両側に分散するように設けてある。換言すると、戻り風路50は、第1吹出風路47によって、左右に分断されている。左右に分断された戻り風路50の端部のそれぞれには、上戻り口52bが設けられている。
【0059】
また、図15に示すように、上記第1吹出風路47と戻り風路50とが隣接する部分では、第1吹出風路47を形成する風路形成用リブ45と、戻り風路50を形成する戻り風路形成用リブ49とを隙間をおいて配置している。つまり、それぞれの風路形成用リブの間に空気層である断熱層54を形成してある。すなわち当該部分は多重壁構成として両者間に断熱層54が形成される構成としてある。
【0060】
また、同様に、上記第1吹出風路47と第2吹出風路48とが隣接する部分では、第1吹出風路47を形成する風路形成用リブ45と、第2吹出風路48を形成する風路形成用リブ46とを隙間をおいて配置している。つまり、それぞれの風路形成用リブの間に空気層である断熱層54を形成してある。
【0061】
なお、本実施の形態では第1吹出風路47と戻り風路50とが隣接する部分の一部のみを多重壁構成としているが、すべての領域において多重壁構成とするのが好ましい。
【0062】
また、第1吹出風路47、第2吹出風路48および戻り風路50を形成する各風路形成用リブは冷却室側壁面板32と貯蔵室側壁面板31の両方に設けたものを例示したが、これはいずれか一方側に設けただけのものであってもよく、特に限定されるものではない。
【0063】
次に上記のように構成した冷蔵庫の作用効果について説明する。
【0064】
まず、冷気の流れを説明する。冷気は、圧縮機29の駆動により冷却器26を設けた冷却室25内で生成される。冷却室25で生成した冷気は冷却ファン27に吸引され、ダンパ装置36を経由して第1透孔43および第2透孔44から第1吹出風路47および第2吹出風路48に供給される。
【0065】
第1吹出風路47および第2吹出風路48に供給された冷気は、上吹出口51b、下吹出口51aから上側貯蔵室3、下側貯蔵室4に供給され、これら各貯蔵室3、4内のワインボトルを冷却する。
【0066】
そして、上側貯蔵室3を冷却した後の冷気は上戻り口52bから、また下側貯蔵室4を冷却した後の冷気は下戻り口52aから戻り風路50に吸い込まれ、合流して冷気戻り口52より冷却室25へと回収され。
【0067】
上記、各貯蔵室3、4に供給される冷気はダンパ装置36によってそれぞれ別個に制御され、各貯蔵室3、4を所定温度に冷却する。
【0068】
また、上記各貯蔵室3、4の冷却温度は扉20の前面上部に設けた操作表示部23をタッチ操作することによって設定することができる。また、操作表示部23に表示される温度によって、各貯蔵室3、4の冷却温度を知ることもできる。
【0069】
そして、上記各貯蔵室3、4内に収納したワインボトルは中央板21を介して目視することができるので、ユーザは扉20を開けて所望するワインボトルを探すことなく迅速に取り出すことができる。
【0070】
ここで上記冷蔵庫は、一つの冷却室25で生成した冷気を二つの貯蔵室3、4に供給して冷却する構成とし、各貯蔵室に供給する冷気はダンパ装置36によって制御するようにしているので、各貯蔵室ごとに異なる温度帯に冷却することができる。しかも上記ダンパ装置36は第1フラップ40、第2フラップ41によって各貯蔵室への冷気を個々に独立して制御するので、所定の温度に正確に冷却することができる。
【0071】
また、上記冷気を各貯蔵室3、4に供給する冷却ファン27は周方向に送風する多翼ファン27aで構成しているので、前向きに吹出すプロペラファンのような前向きの風路を設ける必要がない。又、ダンパ装置36もファンの前方に設ける必要がない。よって、冷却器26と冷却ファン27を設けた冷却室25の前後方向の寸法を小さくでき、その分貯蔵室3、4の前後寸法を増大させて収納容量を大きなものとすることができる。
【0072】
特にこの冷蔵庫では、貯蔵室3、4と冷却室25との間を仕切る壁面ユニット30の冷却室側壁面板32に第1透孔43および第2透孔44を設けて冷却ファン27のダンパ装置36と第1、第2吹出風路47、48を連通させてあるから、前後方向の寸法を更に小さなものとすることができる。すなわち、冷却ファン27からの冷気は第1透孔43および第2透孔44を介して、それぞれ直接、第1吹出風路47、第2吹出風路48に供給される。したがって、冷却ファン27と第1吹出風路47および第2吹出風路48との間をダクト部材等によって接続するものに比べ、冷却ファン27と第1吹出風路47、第2吹出風路48との前後・上下両方向の位置関係を最小寸法にすることができる。これによって、貯蔵室3、4の収納容量を更に大きくすることができる。
【0073】
つまり、上記したような構成によって風路構成をコンパクト化でき、本体外形寸法の割に収納容量が大きく、かつ、高い冷却制御が可能な冷蔵庫とすることができる。
【0074】
また、上記冷却ファン27のガイドケース33は、吐出開口部35を一カ所としている。当該吐出開口部35は、ダンパ装置36に覆われ、当該ダンパ装置36の第1開口部37と第2開口部38を隣接形成している。このため、上記第1開口部37と第2開口部38それぞれに接続する第1吹出風路47と第2吹出風路48も隣接設置し、両者間の間隔を狭めることができる。これにより、本体横幅寸法を所定寸法内に抑えることができ、本体横幅寸法が規制されるアンダーカウンター式のワイン庫等としても容易に適用することができる。
【0075】
また、上記冷却ファン27のガイドケース33と前記ダンパ装置36のケース42とは一体化した構成としてあるから、部品点数の削減が図れる。しかも上記冷却ファン27のガイドケース33と前記ダンパ装置36のケース42を別体にして接続する構成とした場合に懸念される冷気漏れ等を防止できる。したがって、構成を簡素化しつつ品質を向上させることができる。
【0076】
一方、上記冷却ファン27のガイドケース33は、多翼ファン27aの外周を覆う側壁を、前記多翼ファン27aの回転軸を中心とするアルキメデス螺旋状に形成した構成としてあるから、多翼ファン27aから吐出する冷気の送風損失を最小限にでき、効率の良い冷却が可能となる。
【0077】
しかも上記冷却ファン27の回転軸は、前記ダンパ装置36の前記冷却ファン27の回転方向側に位置する開口部、本実施の形態では第2開口部38側に偏らせて設けた構成としてあるから、ファン回転方向と反対側に偏って供給されがちな多翼ファン27aからの冷気を第1開口部37及び第2開口部38に略均等に供給することができる。これにより、各貯蔵室3、4を効率よく冷却することができる。
【0078】
また、上記のように構成しても冷気の偏りが残る傾向がある。したがって、本実施の形態では冷気が多く供給されがちな第1開口部37に連通する第1吹出風路47を、第2開口部38に連通する第2吹出風路48より長くしてある。これにより、冷気が多く供給される第1開口部37側の風路抵抗が大きくなり、第1吹出風路47及び第2吹出風路48から吹出す冷気量をより均一化して各貯蔵室を効率よく冷却することができる。
【0079】
加えて、上記上側貯蔵室3からの冷気を戻り風路50に戻す上戻り口52bは前記第1吹出風路47の左右に分散させて設けてあるから、上側貯蔵室3内の冷気は上側貯蔵室3の両側部分に分散するようになる。これによって、上側貯蔵室3の冷却を偏りの少ない均等なものとすることができる。
【0080】
また、上記第1吹出風路47と第2吹出風路48とが隣接する部分、及び第1吹出風路47や第2吹出風路48と戻り風路50とが隣接する部分は、断熱層54を有する多重壁構成としてあるから、各風路間での熱移動を最小限に抑制することができ、効率の良い冷却が可能となる。
【0081】
以上、本発明に係る冷蔵庫について、上記実施の形態を用いて説明してきたが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の目的を達成する範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0082】
例えばこの実施の形態の冷蔵庫はシステムキッチン等にビルトインされて使用されるアンダーカウンター式の冷蔵庫としたが、ビルトインされることなく使用される冷蔵庫であってもよく、またワイン保存に適した冷蔵庫として示したが、食材を冷却保存する普通の冷蔵庫であってもよいものである。
【0083】
また、この実施の形態では貯蔵室が二つの場合を例示したが、貯蔵室は二つ以上であってそのそれぞれの温度帯を異なるものとしてもよいものである。
【0084】
以上のように、今回開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように本発明は、本体横幅寸法を所定寸法内に抑制しつつ収納容量を大きくすることができる冷蔵庫とすることができる。よって、ワインセラーはもちろん、アンダーカウンター冷蔵庫等として一般用及び業務用を問わず幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0086】
1 冷蔵庫本体
3 貯蔵室(上側貯蔵室)
4 貯蔵室(下側貯蔵室)
5 棚
6 外箱
7 内箱
8、9 照明ユニット
9a 凹部
11 台座
12 照明基板
13 LED
14 カバー
14a 前面カバー部
14b 側面カバー部
15 係合リブ
16 保持穴
20 扉
21 中央板
22 把手
25 冷却室
26 冷却器
27 冷却ファン
27a 多翼ファン
28 機械室
29 圧縮機
30 壁面ユニット
31 貯蔵室側壁面板
32 冷却室側壁面板
33 ガイドケース
34 吸入開口部
35 吐出開口部
36 ダンパ装置
37 第1開口部
38 第2開口部
39 ダンパ枠体
40 第1フラップ
41 第2フラップ
42 ケース
43 第1透孔
44 第2透孔
45 風路形成用リブ
46 風路形成用リブ
47 第1吹出風路
48 第2吹出風路
49 戻り風路形成用リブ
50 戻り風路
51a 下吹出口
51b 上吹出口
52a 下戻り口
52b 上戻り口
52 冷気戻り口
54 断熱層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17