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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 19/00 20060101AFI20230623BHJP
   F25B 41/40 20210101ALI20230623BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
F25D19/00 510A
F25B41/40 A
F25B41/40 D
F25D19/00 510H
F25D21/04 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022115996
(22)【出願日】2022-07-21
(62)【分割の表示】P 2018002630の分割
【原出願日】2018-01-11
(65)【公開番号】P2022153504
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】堀井 愼一
(72)【発明者】
【氏名】中川 雅至
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-163885(JP,U)
【文献】実開昭54-81955(JP,U)
【文献】特開2017-20753(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130856(WO,A1)
【文献】実開昭57-87283(JP,U)
【文献】実開昭62-195052(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 19/00
F25D 21/04
F25B 41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫であって、
冷気を生成するための冷却器と、
冷媒が流れる複数の流路を一つの流路に合流させるための接続機構を備え、
前記冷媒が前記接続機構に流入する入口部が、前記冷媒が前記接続機構から流出する出口部よりも高い位置になるように、前記接続機構が傾斜した状態で前記接続機構が前記冷蔵庫に配置されていて、
前記接続機構は、前記冷却器の上方に設けられ、
前記接続機構は、断熱材の内部に埋設されていことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷蔵庫の前面に設けられた第1の放熱パイプと、
前記冷蔵庫の背面又は側面に設けられた第2の放熱パイプと、
前記冷媒の流路を切り替える三方弁と、
前記冷蔵庫の正面開口部に結露が発生しやすい状態であるか否かを判定する判定手段とを更に備え、
前記第1の放熱パイプおよび前記第2の放熱パイプはそれぞれキャピラリーチューブを介して前記入口部に接続され、
結露が発生しやすい状態であると前記判定手段によって判断されると、前記三方弁は前記第1の放熱パイプに前記冷媒が流れるように、前記冷媒の流路を切り替えることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記出口部に接続されている冷媒配管は、前記冷却器に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記入口部に接続されている冷媒配管の内径と、前記出口部に接続されている冷媒配管の内径とが等しいことを特徴とする請求項1乃至3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記入口部に接続されている冷媒配管は、内径が異なる複数の冷媒配管が連結した形態であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記入口部に接続されている冷媒配管は、キャピラリーチューブであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記入口部に接続されている冷媒配管と前記出口部に接続されている冷媒配管は、それぞれキャピラリーチューブであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記接続機構は、冷媒が流れる二つの流路を一つの流路に合流させるための接続機構であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、冷媒を循環させて冷却運転を行っている。近年の冷蔵庫は、冷媒が流れる冷媒配管を複数の循環経路に分岐させる構成をとるものがある。特許文献1には、ジョイント管を用いて2本の冷媒配管を1本の冷媒配管に合流させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-134331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のジョイント管のような接続機構を用いることで、冷媒が流れる複数の流路を一つの流路に合流させることができる。しかしながら、特許文献1のように接続機構が水平になるように接続機構を配置すると、流路の内径が大きくなる箇所(例えば複数の流路が合流する部分)に冷媒が溜まり、冷媒の状態が不安定になる箇所が発生してしまう。そして、冷媒の状態が不安定になった箇所に次の冷媒が流入すると、冷媒同士が混流することで音が発生する場合がある。冷蔵庫の近くのユーザは、この音を不快な音に感じてしまう。
【0005】
そこで本発明では、冷媒が流れる複数の流路を一つの流路に合流させる接続機構を備える冷蔵庫において、接続機構が原因となる不快な音が発生する可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明が提供する冷蔵庫は、冷気を生成するための冷却器と、冷媒が流れる複数の流路を一つの流路に合流させるための接続機構を備え、冷媒が接続機構に流入する入口部が、冷媒が接続機構から流出する出口部よりも高い位置になるように、接続機構が傾斜した状態で接続機構が冷蔵庫に配置されていて、接続機構は、冷却器の上方に設けられ、接続機構は、断熱材の内部に埋設されていことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷媒が流れる複数の流路を一つの流路に合流させる接続機構を備える冷蔵庫において、接続機構が原因となる不快な音が発生する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】冷蔵庫100の外観を示す図である。
図2】冷蔵庫100の縦断面を示す図である。
図3】冷蔵庫100の背面を示す図である。
図4】冷凍サイクルを示す図である。
図5】接続機構409を示す図である。
図6】接続機構409の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(実施形態)
図1は冷蔵庫100の外観を示す図、図2は冷蔵庫100の縦断面を示す図、図3は冷蔵庫100の背面を示す図である。冷蔵庫100は、金属製(例えば鉄板)の外箱と、硬質樹脂製(例えばABS)の内箱と、外箱と内箱との間に充填した発泡断熱材(例えば硬質ウレタン)とで構成される。冷蔵庫100は、冷蔵室200、切替室201、製氷室202、冷凍室203、野菜室204とで構成される複数の貯蔵室を備える。図1の扉101、102、103、104、105は、それぞれ冷蔵室200、切替室201、製氷室202、冷凍室203、野菜室204を開閉するための扉である。
【0010】
冷蔵室200は、冷蔵保存のために、保存物が凍らない冷蔵温度帯に設定されている。野菜室204は、野菜の保存に適した温度として、冷蔵室200よりやや高い温度帯に設定されている。冷凍室203は、冷凍保存のために、冷凍温度帯に設定されている。切替室201の温度帯は、複数の温度帯の中からユーザが所望の温度帯に切り替えることができる。
【0011】
また、冷蔵庫100は、冷蔵庫100の上部に位置する第1の機械室205、冷蔵庫100の下部に位置する第2の機械室207、冷蔵庫100の背面に位置する冷却室208を備える。冷却室208には、冷気を生成する冷却器209や、冷却器209に付着した霜を除去するための除霜ヒータ等が収容されている。第1の機械室205には、圧縮機206等が収用されている。第2の機械室207には、冷媒の流れを切り替える三方弁301、除霜ヒータの除霜によって発生した除霜水を貯める除霜皿、除霜皿に溜まった除霜水を蒸発させるための除霜ファン等が収容されている。
【0012】
次に、図4を用いて、冷蔵庫100が備える冷凍サイクルについて説明する。冷蔵庫100が備える冷凍サイクルは、圧縮機206と、コンデンサ401と、放熱パイプ402、403、404と、キャピラリーチューブ407、408、410と、冷却器209と、サクションパイプ411とで構成される。冷蔵庫100は、この冷凍サイクルに冷媒を封入して冷却運転を行う。
【0013】
放熱パイプ402は、三方弁301を介して放熱パイプ403と放熱パイプ404とに分岐する。放熱パイプ403は冷蔵庫100の前面に設けられていて、放熱パイプ404は冷蔵庫100の背面又は側面に設けられている。冷蔵庫100には、外気の温度や湿度を検知するセンサが設けられている。冷蔵庫100は、これらのセンサの検出結果に基づいて、冷蔵庫100の正面開口部に結露が発生しやすい状態であるか否かを判定する。通常、冷媒は放熱パイプ404を流れているが、結露が発生しやすい状態であると判定されると、三方弁301は、放熱パイプ403に冷媒が流れるように、冷媒の流路を切り替える。放熱パイプ403に冷媒を流すことで、冷蔵庫100の正面開口部に結露が発生することを防止できる。
【0014】
放熱パイプ403は、ストレーナ405を介してキャピラリーチューブ407に接続する。また、放熱パイプ404は、ストレーナ406を介してキャピラリーチューブ408に接続する。キャピラリーチューブ407とキャピラリーチューブ408は、図5に後述する接続機構409に接続する。接続機構409の出口部501にはキャピラリーチューブ410が接続されていて、接続機構409によって二つの冷媒の流路が一つの流路に合流する。キャピラリーチューブ410は冷却器209に接続し、冷却器209を出た冷媒はサクションパイプ411を介して圧縮機206に戻る。
【0015】
図5は、接続機構409を示す図である。接続機構409の入口部500には、キャピラリーチューブ407とキャピラリーチューブ408が接続され、接続機構409の出口部501には、キャピラリーチューブ410が接続される。冷媒は、入口部500から接続機構409に流入し、出口部501から流出する。
【0016】
図5からも明らかなように、キャピラリーチューブ407とキャピラリーチューブ408を冷媒が流れる際の流路の内径と、接続機構409の内径は異なる。特に、キャピラリーチューブ407を流れる冷媒とキャピラリーチューブ408を流れる冷媒が合流する合流箇所502は、内径の変化が大きい箇所である。もし、接続機構409が水平になるように接続機構を配置すると、合流箇所502に冷媒が溜まり、冷媒の状態が不安定になる。そして、合流箇所502に次の冷媒が流入すると、冷媒同士が混流することで音が発生する場合がある。冷蔵庫100の近くのユーザは、この音を不快な音に感じてしまう。そこで本実施形態の冷蔵庫100では、入口部500が出口部501よりも高い位置になるように接続機構409を配置することを特徴とする。これにより、合流箇所502に冷媒が溜まることを抑制し、上述した音が発生する可能性を低減できる。
【0017】
図6は、上述した接続機構409の配置を、冷蔵庫100の背面側から説明する図である。接続機構409は、入口部500が出口部501よりも高い位置になるように、傾斜した状態で接続機構409が配置される。なお、図6では入口部500に一本のキャピラリーチューブが接続されているように示されているが、実際にはキャピラリーチューブ407の奥側(冷蔵庫100の正面側)にキャピラリーチューブ408が配置されている。
【0018】
検証の結果、接続機構409の傾斜角度を10度以上にすると、接続機構409の合流箇所400に冷媒が留まることが抑制され、冷媒が出口部501からキャピラリーチューブ410に円滑に流れた。そして、合流箇所502に冷媒が溜まることで発生する、冷蔵庫100の近くのユーザが不快と感じる音の発生も抑制された。
【0019】
また、図示していないが、接続機構409の周囲には、各種パイプや他の貯蔵室との仕切り壁等の機構が存在するため、接続機構409の傾斜角度を大きくし過ぎることも望ましくない。検証の結果、接続機構409の傾斜角度が45度までであれば、他の機構への干渉を抑えた状態で接続機構409を配置できた。即ち、接続機構409の傾斜角度を10度以上、かつ、45度以下とすることが、好適な実施形態の一例と言える。
【0020】
また、接続機構409は発泡断熱材の内部に埋設されている。これにより、キャピラリーチューブ410と冷却器209を溶接連結するための作業空間、及び、冷却器209とサクションパイプ411とを溶接連結するための作業空間を確保できる。また、冷蔵室200等の各貯蔵室の容量を大きくできる。
【0021】
また、キャピラリーチューブ407、408、410の内径が等しくなるように接続機構409を設計することで、冷媒流路の内径の変化を最小限に抑えることができる。また、キャピラリーチューブ407、408、410を共通の部品として設計でき、コスト面でも優位になる。
【0022】
また、キャピラリーチューブ407、408の内径は、入口部500の内径より小さい場合がある。この場合、キャピラリーチューブ407、408と、入口部500との間に、別の冷媒配管を挟む構成としても良い。即ち、キャピラリーチューブ407、408を、内径が異なる複数の冷媒配管が連結した形態で実現しても良い。
【0023】
また、本実施形態では、接続機構409を二つの冷媒の流路を一つの流路に合流するための機構として説明したが、三つ以上の複数の冷媒の流路を一つの流路に合流するための接続機構にも、本実施形態を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、家庭用の冷蔵庫や冷凍庫、業務用の冷蔵庫や冷凍庫に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
100 冷蔵庫
209 冷却器
407 キャピラリーチューブ
408 キャピラリーチューブ
409 接続機構
410 キャピラリーチューブ
500 入口部
501 出口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6