(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】照明システム、端末装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/155 20200101AFI20230623BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20230623BHJP
【FI】
H05B47/155
H05B47/19
(21)【出願番号】P 2019006717
(22)【出願日】2019-01-18
【審査請求日】2021-10-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】密島 康一
(72)【発明者】
【氏名】万波 寛明
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0227998(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線メッシュネットワークを形成する複数の照明器具と、前記複数の照明器具の少なくとも1つである第1照明器具と無線通信する端末装置とを備える照明システムであって、
前記端末装置は、前記第1照明器具との間でブリッジ接続が確立される前までに、前記端末装置の操作に応じて、前記複数の照明器具に、アドバタイズ信号で
、前記アドバタイズ信号を受け取った前記照明器具が操作対象である場合に前記照明器具自体の点灯状態を制御させることを表す第1操作信号を送信し、前記ブリッジ接続の確立後は、前記第1照明器具に、前記ブリッジ接続を用いて、前記端末装置の操作に応じて
、前記複数の照明器具のうちの操作対象である前記照明器具に前記照明器具自体の点灯状態を制御させることを表す第2操作信号を送信する、
照明システム。
【請求項2】
請求項1に記載の照明システムにおいて、
前記ブリッジ接続の確立後に、前記端末装置は、前記第1照明器具が操作対象である場合には、前記第1照明器具に
前記第1照明器具自体の点灯状態を制御させ、前記第1照明器具が操作対象でない場合には、
前記第1照明器具に、前記複数の照明器具のうち、操作対象である第2照明器具に
向けて前記無線メッシュネットワークを介して前記第2操作信号を送信させ、操作対象
である前記第2照明器具
の点灯状態を制御させる、
照明システム。
【請求項3】
請求項1に記載の照明システムにおいて、
前記端末装置は、前記第1照明器具との間で前記ブリッジ接続が確立される前までに、前記端末装置の操作に応じて、前記ブリッジ接続のための信号に対し優先して、前記複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信する、
照明システム。
【請求項4】
請求項1に記載の照明システムにおいて、
前記端末装置は、前記第1照明器具に前記ブリッジ接続のための信号を送信する前に、前記端末装置の操作に応じて、前記複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信する、
照明システム。
【請求項5】
請求項4に記載の照明システムにおいて、
前記端末装置は、前記端末装置の操作のために用いられるプログラムの起動から一定時間経過したこと、またはユーザの前記端末装置の操作がない状態が一定時間続いたこと、または失敗により不具合発生リスクがある所定処理の開始が生じたことである、所定条件の成立に応じて、前記第1照明器具に、前記ブリッジ接続のための信号を送信する、
照明システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の照明システムに用いられる前記端末装置であって、
前記第1照明器具に前記ブリッジ接続のための信号を送信する機能と、前記複数の照明器具にアドバタイズ信号を送信する機能とを有する通信部と、
前記通信部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第1照明器具との間で前記ブリッジ接続が確立される前までに、前記端末装置の操作に応じて、前記複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、前記ブリッジ接続の確立後は、前記第1照明器具に、前記ブリッジ接続を用いて、前記端末装置の操作に応じて操作信号を送信させる、
端末装置。
【請求項7】
請求項6に記載の端末装置において、前記第1照明器具との間で前記ブリッジ接続が確立される前までに、前記端末装置の操作に応じて、前記複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、前記ブリッジ接続の確立後は、前記第1照明器具に、前記ブリッジ接続を用いて、前記端末装置の操作に応じて操作信号を送信させるように、前記制御部に実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システム、端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御装置から複数の照明器具に対し無線通信を行うことで、複数の照明器具の点灯の指示信号を送信することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の照明器具により無線メッシュネットワークを形成し、端末装置が、複数の照明器具の少なくとも1つである第1照明器具と無線通信し、第1照明器具から操作対象の他の照明器具にその信号を転送させる場合がある。この場合に、端末装置と第1照明器具との間で、仮想的な専用通信路を確立し、その通信路を用いて、異なるネットワークセグメント同士を、同一のネットワークセグメントとして接続するブリッジ接続を行うことで、送受信の失敗が生じにくい通信が可能となる。これにより、照明器具に対し操作信号の安定した通信が可能となる。しかしながら、ブリッジ接続の確立までに待ち時間が生じるため、照明操作を早く行いたいユーザに不快感を生じさせる原因となる。
【0005】
本開示の目的は、照明器具に対し操作信号の通信の安定性を高くでき、かつ、照明操作を早く行いたいユーザの不快感を解消できる照明システム、端末装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である照明システムは、無線メッシュネットワークを形成する複数の照明器具と、複数の照明器具の少なくとも1つである第1照明器具と無線通信する端末装置とを備える照明システムであって、端末装置は、第1照明器具との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置の操作に応じて、複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信し、ブリッジ接続の確立後は、第1照明器具に、ブリッジ接続を用いて、端末装置の操作に応じて操作信号を送信する、照明システムである。
【0007】
本開示の一態様である端末装置は、本開示の照明システムに用いられる端末装置であって、第1照明器具にブリッジ接続のための信号を送信する機能と、複数の照明器具にアドバタイズ信号を送信する機能とを有する通信部と、通信部を制御する制御部と、を有し、制御部は、第1照明器具との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置の操作に応じて、複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、ブリッジ接続の確立後は、第1照明器具に、ブリッジ接続を用いて、端末装置の操作に応じて操作信号を送信させる、端末装置である。
【0008】
本開示の一態様であるプログラムは、本開示の端末装置において、第1照明器具との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置の操作に応じて、複数の照明器具に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、ブリッジ接続の確立後は、第1照明器具に、ブリッジ接続を用いて、端末装置の操作に応じて操作信号を送信させるように、制御部に実行させるための、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様である照明システム、端末装置及びプログラムによれば、端末装置と第1照明器具との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置の操作に応じて複数の照明器具にアドバタイズ信号で操作信号を送信するので、ユーザが照明器具を早期に操作できる。これにより、照明操作を早く行いたいユーザの不快感を解消できる。さらに、ブリッジ接続の確立後は、第1照明器具に、ブリッジ接続を用いて端末装置の操作に応じて操作信号を送信するので、照明器具に対し操作信号の通信の安定性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の一例の照明システムを示す図である。
【
図2】実施形態の一例の照明システムの端末装置と複数の照明器具との構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の一例の照明システムにおいて、端末装置による操作信号の送信方法を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態の一例の照明システムにおいて、端末装置からのブリッジ接続用信号及びアドバタイズ信号の送信タイミングを示す図である。
【
図5】実施形態の別例の照明システムにおいて、端末装置による操作信号の送信方法を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態の別例の照明システムにおいて、端末装置からのブリッジ接続用信号及びアドバタイズ信号の送信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る照明システムの実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下で説明する実施形態に限定されない。
【0012】
本開示のシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示のシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
図1は、実施形態の一例の照明システム10を示す図である。照明システム10は、照明器具12と、複数の照明器具14とを含む複数の照明器具12,14と、端末装置30とを備える。照明器具12は、第1照明器具に相当する。照明システム10が備える照明器具の数は特に限定されない。複数の照明器具12,14のそれぞれは、例えばシーリングライトである。照明器具は、ダウンライト、スポットライト等の他の種類としてもよい。複数の照明器具12,14は、互いに無線通信可能となっている。
【0014】
照明器具12は、ユーザが操作する端末装置30と無線通信可能に接続される。照明器具12は、端末装置30がユーザに操作された場合に、その操作に応じて操作信号を受信する。具体的には、照明器具12と端末装置30とは、ブリッジ接続を用いたデータ通信で送受信される。ブリッジ接続は、端末装置30と照明器具12との間で、仮想的な専用通信路を確立し、その通信路を用いて、異なるネットワークセグメント同士を、ソフトウェア処理またはハードウェアブリッジ装置等により、同一のネットワークセグメントとして接続する方法である。ブリッジ接続では、信号の送受信の失敗の可能性が低い仮想的な専用通信路が確立される。この専用通信路を通じた通信は、信号を送信した相手に信号が到着したことを確認しながら通信を行うため、通信の信頼性が高い。例えば、専用通信路を用いた通信では、所定のインターバル期間毎に必ずデータ送信を行い、送信したいデータがない場合でもEmpty PDU(Protocol Data Unit)というデータ形式のデータを送信して、相互の通信を維持する。また、送信したいデータがある場合には所定のインターバルで通信している間に、予め定められた通信プロトコルを通じてデータを送信する。インターバル期間中に返信がない場合にはデータを再送する。
【0015】
一方、ブリッジ接続では、専用通信路の確立のためにブリッジ接続のための信号を、通信する装置間で送受信する必要がある。これにより、ブリッジ接続の確立には時間がかかる。このため、ブリッジ接続の確立の前までは、端末装置30を用いた操作信号を照明器具12に送信できず、照明操作を早く行いたいユーザの不快感を生じさせる原因となる。実施形態では、このような不都合を解消するために、後述のように、ブリッジ接続の確立の前に、端末装置30からアドバタイズ信号を用いて端末装置30の操作に応じて操作信号を送信可能とする。
【0016】
一方、照明器具12及び複数の照明器具14は、同一の無線メッシュネットワークMを形成する。
【0017】
無線メッシュネットワークは、無線通信機能を持った複数の装置が互いに信号の送受信を可能に接続されることにより、網目状に形成された通信ネットワークである。無線メッシュネットワーク上では、信号が1つ以上の装置を介して転送される。これにより、無線メッシュネットワーク上の1つの装置が外部から受信した信号を、他の装置も受信することができる。
【0018】
実施形態では、照明器具12は、ブリッジ接続を用いて端末装置30から、操作信号を受信し、受信した信号を、無線メッシュネットワークMを通じて他の複数の照明器具14に転送する。端末装置30と照明器具12とは、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の無線通信により通信可能に接続される。複数の照明器具12,14も、BLEの無線通信により通信可能に接続される。例えば、複数の照明器具12,14は、BLEのアドバタイズ信号で操作信号を送信する。アドバタイズ信号は、自機の存在を周囲の装置に知らせるためにデータを定期的に送信するために用いられる信号である。複数の照明器具12,14には器具IDが設定されており、送信先の器具IDを含む信号を発信することで、送信先の照明器具12,14が、その受信信号が自機のIDを含む場合にその信号を読み取って照明器具12,14の点灯状態を制御、または別の照明器具12,14に信号を転送してもよい。
図1では、各照明器具12,14に付されたID:1~4の数字がそれぞれの器具IDを示している。また、端末装置30からブリッジ接続のための信号を発信する前に、複数の照明器具12,14がアドバタイズ信号を発信し、端末装置30は、複数の照明器具12,14から電波強度が最大の照明器具を、端末装置30に最も近い器具と認識してもよい。このとき、端末装置30は、最も近い器具にブリッジ接続のための信号を送信する。本例では、端末装置30は、IDが4の照明器具12を最も近い器具と認識してブリッジ接続するが、端末装置30の位置によって、ブリッジ接続する照明器具は変更され、ブリッジ接続する照明器具が第1照明器具となる。
【0019】
なお、端末装置30及び照明器具12の間、複数の照明器具12,14の間を、それぞれWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の他の無線通信により通信可能に接続してもよい。
【0020】
端末装置30は、照明器具12,14の点灯または消灯等の点灯状態を制御するための操作信号を送信する機能を有する通信端末である。端末装置30は、例えば信号を送受信する機能を有するスマートフォンであるが、リモートコントローラとしてもよい。操作信号の操作対象である照明器具は、操作信号を受信した場合に、端末装置30へ信号を受信したことを表す受信確認信号を返信する。例えば、
図1では、丸内に1,2,3の符号を付した矢印で、通信の順序を示している。白抜き矢印2で示すように、端末装置30からブリッジ接続で照明器具12に操作信号が送信される場合がある。
図1の例では、その操作信号が、IDが2の照明器具14を点灯させる指示である場合を示している。以下、IDが2の照明器具14を対象照明器具14と記載する場合がある。この場合、細い実線矢印3で示すように、無線メッシュネットワークM上で複数の照明器具12,14間で操作信号が転送され、対象照明器具14が操作信号を受信する。これに応じて、対象照明器具14が点灯される。このとき、対象照明器具14からは、端末装置30に、受信確認信号が返信される。この受信確認信号をアドバタイズ信号としてもよい。
【0021】
さらに、後述するように、端末装置30からは、太い実線矢印1で示すように、端末装置30は、照明器具12との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置30の操作に応じて、複数の照明器具12,14のすべてに、アドバタイズ信号で操作信号を送信する。より具体的には、端末装置30は、照明器具12との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置30の操作に応じて、ブリッジ接続のための信号に対し、時分割の割り込みまたは優先して、複数の照明器具12,14のすべてに、アドバタイズ信号で操作信号を送信する。
【0022】
アドバタイズ信号は、ブリッジ接続を用いて送信される信号の周波数より少ない周波数のチャンネル数を用いて送信される。例えばブリッジ接続は、40チャンネルで送信され、アドバタイズ信号は3チャンネルで送信される。また、アドバタイズ信号を送信する場合には、ブリッジ接続を用いて送信する場合と異なり、予め専用通信路を確立する必要がない。これにより、端末装置30がアドバタイズ信号を用いて操作信号を、複数の照明器具12,14に送信することで、ブリッジ接続の確立前に、端末装置30を用いて対象照明器具14を早期に操作することができる。このとき、端末装置30は、照明器具12を操作してもよい。また、端末装置30からアドバタイズ信号で操作信号を送信するときに、端末装置から所定時間内において、所定回数(1回のみ、または複数回)操作信号を発信することもでき、受信確認信号を受信したときにその発信を停止してもよい。
【0023】
図2は、照明システム10の端末装置30と複数の照明器具12,14との構成を示すブロック図である。
図2では、複数の照明器具12,14として、照明器具12と、1つの照明器具14のみとを示している。照明器具12は、通信部16、制御部18、光源部20、及び記憶部22を備える。また、照明器具14は、通信部17、制御部19、光源部21、及び記憶部23を備える。照明器具12と照明器具14とは、端末装置30とブリッジ接続を行うか否かの違いだけで、基本構成は同一である。
【0024】
通信部16は、照明器具12が、端末装置30及び他の照明器具14と無線通信するためのインターフェースである。通信部17は、照明器具14が、端末装置30及び他の照明器具12,14と無線通信するためのインターフェースである。
【0025】
制御部18は、通信部16を制御する。制御部18は、端末装置30から受信した操作信号に応じて光源部20の点灯状態を制御する。制御部18は、例えば、CPUを有し、記憶部22に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。制御部18は、操作信号を受信し、その操作対象が自機である場合に受信確認信号を端末装置30に返信する。また、制御部18は、操作対象が自機でない場合に操作信号を他の照明器具14に転送する。制御部19の機能は、制御部18の機能と同様である。
【0026】
光源部20,21は、照明光を発する。例えば光源部20,21は、LED、蛍光灯、ハロゲンランプ等である。
【0027】
記憶部22,23は、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部22,23は、受信した操作信号を記憶する機能を有する。
【0028】
端末装置30は、操作部31、通信部32、制御部33、及び記憶部34を備える。操作部31は、例えば端末装置30がスマートフォンである場合にタッチパネルスクリーンに設けられる。ユーザは、操作部31を用いて、1つ以上の照明器具12,14の点灯状態を操作することが可能である。
【0029】
通信部32は、端末装置30が複数の照明器具12,14と無線通信するためのインターフェースである。通信部32は、照明器具12にブリッジ接続のための信号を送信する機能と、複数の照明器具12,14にアドバタイズ信号を送信する機能とを有する。
【0030】
制御部33は、通信部32を制御する。制御部33は、例えば、CPUを有し、記憶部34に記憶されたプログラムによって演算処理が実行される。制御部33は、照明器具12との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置30の操作に応じて、複数の照明器具12,14に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、ブリッジ接続の確立後は、照明器具12に、ブリッジ接続を用いて、端末装置30の操作に応じて操作信号を送信させる機能を有する。
【0031】
記憶部34は、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部34は、操作部31の操作による照明操作の指示内容を記憶する機能を有する。また、端末装置30がスマートフォンである場合に、記憶部34には、照明操作のアプリケーションプログラムが記憶される。ユーザは、制御部33にアプリケーションプログラムを実行させることで、照明器具12,14を操作するための画面をタッチパネルスクリーンに表示させることができる。上記プログラムは、例えば、照明器具12との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置30の操作に応じて、複数の照明器具12,14に、アドバタイズ信号で操作信号を送信させ、ブリッジ接続の確立後は、照明器具12に、ブリッジ接続を用いて、端末装置30の操作に応じて操作信号を送信させるように、制御部33に実行させるために用いられる。
【0032】
図3は、照明システム10において、端末装置30による操作信号の送信方法を示すフローチャートである。
図3では、端末装置30がスマートフォンであり、照明操作のアプリケーションプログラムの起動によって、制御部33が信号送信を行う場合を示している。
【0033】
ステップS10において、端末装置30で上記アプリケーションプログラムが起動されると、ステップS11で制御部33が、照明操作がされたか否かを判定する。ステップS11の判定結果が肯定(YES)の場合は、ステップS12に移行する。ステップS12では、制御部33が通信部32を制御して、照明器具12にブリッジ接続のための信号(ブリッジ接続用信号)を送信させるとともに、ブリッジ接続用信号に対し時分割の割り込みまたは優先して、アドバタイズ信号で操作信号を、複数の照明器具12,14に送信させる。
【0034】
一方、ステップS11の判定結果が否定(NO)の場合には、ステップS13で制御部33が通信部32を制御して、照明器具12にブリッジ接続用信号を送信させる。
【0035】
ステップS12,S13の後、ステップS14でブリッジ接続が確立されると、制御部33は、通信部32を制御して、照明器具12にブリッジ接続を用いたデータ通信で操作信号を送信させる。照明器具12からは、無線メッシュネットワークMで他の複数の照明器具14に操作信号が転送される。
【0036】
上記の照明システム10、端末装置30、及びプログラムによれば、端末装置30と照明器具12との間でブリッジ接続が確立される前までに、端末装置30の操作に応じて複数の照明器具12,14にアドバタイズ信号で操作信号を送信するので、ユーザが照明器具12,14を早期に操作できる。例えば、端末装置30がスマートフォンであり、アプリケーションプログラムが制御部33で実行される場合に、このプログラムの起動後、初期の照明器具12,14の操作を行う画面上で、早期に操作を行うことが可能となる。これにより、照明操作を早く行いたいユーザの不快感を解消できる。さらに、ブリッジ接続の確立後は、照明器具12に、ブリッジ接続を用いて端末装置30の操作に応じて操作信号を送信するので、照明器具12,14に対し操作信号の通信の安定性を高くできる。
【0037】
図4は、照明システム10において、端末装置30からのブリッジ接続用信号及びアドバタイズ信号の送信タイミングを示す図である。
図4の実施形態の欄で示すように、照明システム10によれば、ブリッジ接続用信号の送信とアドバタイズ信号での操作信号の送信とをほぼ同時に、または優先して行える。そして、ブリッジ接続の確立後は、ブリッジ接続を用いて操作信号を送信できる。これにより、ユーザの操作が有効となる時点を早くできる。また、
図4では、比較例として、ブリッジ接続の確立の前にはアドバタイズ信号で操作信号を送信しない場合も示している。この比較例では、ブリッジ接続用信号の送信中でブリッジ接続の確立の前には、ユーザの操作が無効となるので、ユーザが照明器具を早期には操作できない。実施形態の照明システム10によればこのような不都合を解消できる。
【0038】
図5は、実施形態の別例の照明システムにおいて、端末装置30による操作信号の送信方法を示すフローチャートである。
図6は、実施形態の別例の照明システムにおいて、端末装置30からのブリッジ接続用信号及びアドバタイズ信号の送信タイミングを示す図である。
【0039】
本例の照明システムは、
図6に示すように、端末装置30が、照明器具12にブリッジ接続のための信号(ブリッジ接続用信号)を送信する前(送信開始前)に、端末装置30の操作に応じて、複数の照明器具12,14に、アドバタイズ信号で操作信号を送信する。また、端末装置30は、所定条件の成立に応じて、照明器具12に、ブリッジ接続用信号を送信する。例えば、端末装置30がスマートフォンであり、アプリケーションプログラムが制御部33で実行される場合には、このプログラムの起動後、所定条件が成立した後に、ブリッジ接続用信号を照明器具12に送信する。「所定条件」は、例えば、所定時間の経過である。例えば、「所定条件」は、プログラムの起動から一定時間(例えば10秒)経過したこと、またはユーザの操作がない状態が一定時間続いたこと等である。また、「所定条件」は、ユーザの登録作業、照明器具12,14の名称送信など、複数の通信シーケンスを要する処理が発生したこと、または照明器具12,14の初期化など、失敗した場合に不具合発生リスクがある重要な処理の開始が生じたこと等としてもよい。「所定条件」の内容は予め記憶部34に記憶されている。
【0040】
図5に示すように、端末装置30により操作信号を送信する場合には、ステップS20において、端末装置30で上記アプリケーションプログラムが起動されると、ステップS21で制御部33が、照明操作がされたか否かを判定する。ステップS21の判定結果が肯定(YES)の場合は、ステップS22に移行する。ステップS22では、制御部33が通信部32を制御して、アドバタイズ信号で操作信号を、複数の照明器具12,14に送信させ、ステップS23に移行する。
【0041】
一方、ステップS21の判定結果が否定(NO)の場合には、ステップS23に移行する。ステップS23では、制御部33が上記の所定条件が成立したか否かを判定する。ステップS23の判定結果が肯定(YES)の場合には、ステップS24で制御部33が通信部32を制御して、照明器具12にブリッジ接続用信号を送信させる。
【0042】
ステップS25,S26の処理は、
図3のステップS14,S15の処理と同様である。一方、ステップS23の判定結果が否定(NO)の場合には、ステップS21に戻って、ステップS21からステップS23の処理を繰り返す。
【0043】
本例の構成によっても、
図1~
図4の構成と同様に、照明器具12,14に対し操作信号の通信の安定性を高くでき、かつ、照明操作を早く行いたいユーザの不快感を解消できる。具体的には、本例では、
図6に示すように、端末装置30がブリッジ接続用信号を送信する時点が、端末装置30がアドバタイズ信号で操作信号を送信可能となった時点よりも遅くなる。この場合でも、ユーザの操作が有効となる時点を早くできるのでユーザの不快感を解消できる。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図4の構成と同様である。
【0044】
なお、上述の実施形態は本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
【符号の説明】
【0045】
10 照明システム、12 照明器具(第1照明器具)、14 照明器具、16,1 7 通信部、18,19 制御部、20、21 光源部、22,23 記憶部、30 端末装置、31 操作部、32 通信部、33 制御部、34 記憶部。