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  • 特許-映像記録システム、映像記録方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】映像記録システム、映像記録方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20230623BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230623BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019120434
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021005350
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一臣
(72)【発明者】
【氏名】野口 功
(72)【発明者】
【氏名】松井 賢司
(72)【発明者】
【氏名】竹川 視野
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138694(JP,A)
【文献】特開2010-204785(JP,A)
【文献】特開2018-120429(JP,A)
【文献】特開2010-003110(JP,A)
【文献】特開2015-087891(JP,A)
【文献】特開2013-065246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が停車中であるか否かを判定するとともに、前記車両が停車中である場合には、前記車両がすぐに発進できる状態か否かを判定する車両状態判定手段と、
前記車両の前方に障害物が存在する場合に、前記障害物の位置の変化を検知する障害物検知手段と、
前記車両の運転者の脇見を検知する脇見検知手段と、
前記車両状態判定手段において前記車両が停車中であると判定され、前記脇見検知手段において前記運転者の脇見が検知され、かつ、前記障害物検知手段において前記障害物の位置の変化が検知されたときに、前記運転者に対して警告を行う警告部を制御する警告制御手段であって、前記車両状態判定手段において前記車両がすぐに発進できる状態であると判定されたときには、前記警告をより強く行うように前記警告部を制御する警告制御手段と、
前記車両に搭載されたデータ記録装置にデータを記録するように制御するとともに、前記警告制御手段により前記運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録されているデータが上書きされないように制御する記録制御手段と、
前記記録制御手段により上書きされないように制御された動作の頻度を測定することにより、前記運転者の危険度を算出する危険度算出手段と、を備える
映像記録システム。
【請求項2】
前記警告制御手段により前記警告をより強く行う制御がされたときに、前記データ記録装置が前記データを記録していない場合、前記記録制御手段は、前記データを記録するように制御する
請求項1に記載の映像記録システム。
【請求項3】
前記警告制御手段により前記警告をより強く行う制御がされた場合、前記記録制御手段は、記録されるデータの解像度を高精細にするように制御する
請求項1又は2に記載の映像記録システム。
【請求項4】
記録されたデータが上書きされないように制御されたことを前記運転者に通知する通知部をさらに備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項5】
前記記録制御手段は、上書きされないように制御されたデータに対して、前記データが編集されていないことを示すフラグを設定する
請求項1~4のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項6】
上書きされないように制御されたデータを外部に送信する送信部をさらに備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の映像記録システム。
【請求項7】
車両が停車中であるか否かを判定するとともに、前記車両が停車中である場合には、前記車両がすぐに発進できる状態か否かを判定する車両状態判定ステップと、
前記車両の前方に障害物が存在する場合に、前記障害物の位置の変化を検知する障害物検知ステップと、
前記車両の運転者の脇見を検知する脇見検知ステップと、
前記車両状態判定ステップにおいて前記車両が停車中であると判定され、前記脇見検知ステップにおいて前記運転者の脇見が検知され、かつ、前記障害物検知ステップにおいて前記障害物の位置の変化が検知されたとき、前記運転者に対して警告を行う警告部を制御する警告制御ステップであって、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両がすぐに発進できる状態であると判定されているときには、前記警告をより強く行うように前記警告部を制御する警告制御ステップと、
前記車両に搭載されたデータ記録装置にデータを記録するように制御するとともに、前記警告制御ステップにより、前記運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録されたデータが上書きされないように制御する記録制御ステップと、
前記記録制御ステップにより上書きされないように制御された動作の頻度を測定することにより、前記運転者の危険度を算出する危険度算出ステップと、を含む
映像記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像記録システムおよび映像記録システムを利用した映像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が停車中であるか否か、及び、車両がすぐに発進できる状態か否かを判定し、車両の前方の障害物を検知し、車両の運転者の脇見を検知し、車両の停車中に運転者が脇見をしている場合、又は、障害物の位置が変化したとき、運転者への警告を行うとともに、車両がすぐに発進できる状態であるときには、運転者への警告をより強く行う安全監視装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-204785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、運転者に対して強く警告を行う場合というのは、事故が発生する可能性が高い場合であると考えられる。このような場合には、ドライブレコーダ等により映像を記録することで、事故が発生したときに、その状況を証拠として残すことが可能となる。
【0005】
しかしながら、ドライブレコーダ等により映像を記録する場合には、映像が上書きされてしまって事故発生時の映像を確認できないことが問題となっている。
【0006】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ドライブレコーダ等により映像を記録する場合に、映像が上書きされてしまって事故発生時の映像を確認できないことを避けることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の映像記録システムは、車両が停車中であるか否かを判定するとともに、前記車両が停車中である場合には、前記車両がすぐに発進できる状態か否かを判定する車両状態判定手段と、前記車両の前方に障害物が存在する場合に、前記障害物の位置の変化を検知する障害物検知手段と、前記車両の運転者の脇見を検知する脇見検知手段と、前記車両状態判定手段において前記車両が停車中であると判定され、前記脇見検知手段において前記運転者の脇見が検知され、かつ、前記障害物検知手段において前記障害物の位置の変化が検知されたときに、前記運転者に対して警告を行う警告部を制御する警告制御手段であって、前記車両状態判定手段において前記車両がすぐに発進できる状態であると判定されたときには、前記警告をより強く行うように前記警告部を制御する警告制御手段と、前記車両に搭載されたデータ記録装置にデータを記録するように制御するとともに、前記警告制御手段により前記運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録されているデータが上書きされないように制御する記録制御手段と、を備える。
【0008】
これにより、車両に搭載されたデータ記録装置によるデータの記録をより適切に行うことができる。
【0009】
本開示の一側面の映像記録方法は、車両が停車中であるか否かを判定するとともに、前記車両が停車中である場合には、前記車両がすぐに発進できる状態か否かを判定する車両状態判定ステップと、前記車両の前方に障害物が存在する場合に、前記障害物の位置の変化を検知する障害物検知ステップと、前記車両の運転者の脇見を検知する脇見検知ステップと、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両が停車中であると判定され、前記脇見検知ステップにおいて前記運転者の脇見が検知され、かつ、前記障害物検知ステップにおいて前記障害物の位置の変化が検知されたとき、前記運転者に対して警告を行う警告部を制御する警告制御ステップであって、前記車両状態判定ステップにおいて前記車両がすぐに発進できる状態であると判定されているときには、前記警告をより強く行うように前記警告部を制御する警告制御ステップと、前記車両に搭載されたデータ記録装置にデータを記録するように制御するとともに、前記警告制御ステップにより、前記運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録されたデータが上書きされないように制御する記録制御ステップと、を含む。
【0010】
これにより、車両に搭載されたデータ記録装置によるデータの記録をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示を適用した映像記録システムの一実施の形態を示すブロック図である。
図2】映像記録システムにより実行される映像記録処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して、本開示の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本開示を適用した映像記録システムの一実施の形態を示すブロック図である。図1の映像記録システム1は、自動車等の車両に設けられ、停車中に危険な状態や注意すべき状態が発生していないかを監視し、危険な状態や注意すべき状態を検知した場合、運転者に注意を促すとともに、映像等のデータの記録を適切に行うシステムである。映像記録システム1は、センサ部11、画像センサ12、監視部13、警告部14、ドライブレコーダ15、通知部16、及び、送信部17を含むように構成される。
【0014】
なお、以下、映像記録システム1が設けられている車両を、自車と称する。
【0015】
センサ部11は、例えば、超音波センサ、レーザレーダ、電波センサ等の測距センサにより構成される。センサ部11は、自車の前方の物体の有無及び位置を検知し、検知結果を示す信号を監視部13の障害物検知部23に供給する。
【0016】
なお、センサ部11は、自車の前方の物体の有無及び位置を確実に検知できる位置に設置されることが望ましい。例えば、センサ部11は、自車の前端部(例えば、バンパー付近等)に設置される。
【0017】
画像センサ12は、自車の運転席に座っている運転者の顔を撮影し、その結果得られた画像(以下、入力画像と称する)を監視部13の脇見検知部24に供給する。
【0018】
なお、画像センサ12は、運転者の体格及び姿勢等の違いに関わらず、運転者の顔を確実に撮影することができる位置に設置されることが望ましい。例えば、画像センサ12は、自車内のセンタミラー(ルームミラー)の根元付近(センタミラーが自車に取り付けられているあたり)に設置される。
【0019】
監視部13は、例えば、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置により構成される。監視部13は、所定の制御プログラムを実行することにより、車両情報取得部21、車両状態判定部22、障害物検知部23、脇見検知部24、警告制御部25、記録制御部26、及び、危険度算出部27を含む機能を実現する。
【0020】
車両情報取得部21は、自車に設けられている各種のセンサ、ECU(Electronic Control Unit)等から、自車の各種の状態を示す車両情報を取得し、車両状態判定部22に供給する。
【0021】
車両状態判定部22は、車両情報取得部21により取得された車両情報に基づいて、自車の状態を判定する。具体的には、車両状態判定部22は、自車が停車中であるか否かを判定し、自車が停車中であると判定した場合には、自車がすぐに発進できる状態か否かを判定する。車両状態判定部22は、判定結果を障害物検知部23及び警告制御部25に通知する。
【0022】
障害物検知部23は、センサ部11から供給される信号に基づいて、自車の前方の障害物の有無、位置、移動方向、属性等を検知する。障害物検知部23は、検知結果を脇見検知部24及び警告制御部25に通知する。
【0023】
脇見検知部24は、画像センサ12から供給される入力画像に基づいて、自車の運転者が脇見をしているか否かを検知する。脇見検知部24は、検知結果を警告制御部25に通知する。
【0024】
警告制御部25は、車両状態判定部22による自車の状態の判定結果、障害物検知部23による自車の前方の障害物の検知結果、及び、脇見検知部24による運転者の脇見の検知結果に基づいて、運転者に対する警告内容を設定する。警告制御部25は、設定した警告内容を、記録制御部26に通知し、また、警告部14を用いて運転者に通知する。
【0025】
記録制御部26は、映像や音声のデータを記録するように、自車に搭載されたドライブレコーダ15を制御する。一般的なドライブレコーダでは、常時映像を録画して記録済みの映像に上書き保存するため、時として保存が必要な映像も上書きで消えてしまう可能性がある。そこで、本開示の記録制御部26は、警告制御部25の設定結果に基づいて、ドライブレコーダ15を制御する。例えば、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録制御部26は、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないように、ドライブレコーダ15の制御の内容を設定する。さらに、ドライブレコーダ15の制御に合わせて、記録制御部26は、通知部16及び送信部17を制御する。また、記録制御部26は、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないように制御したことを、危険度算出部27に通知する。
【0026】
危険度算出部27は、記録制御部26の制御結果に基づいて、運転者の危険度を算出する。例えば、危険度算出部27は、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないように記録制御部26により制御された動作の頻度を測定することにより、運転者の危険度を算出する。
【0027】
警告部14は、例えば、スピーカ、アラーム、ベル等の音声出力手段、ディスプレイ、インストルメントパネル、カーナビゲーションシステム等の表示手段、LED(Light Emitting Diode)、ランプ等の発光手段、バイブレータ等の振動手段により構成される。警告部14は、警告制御部25の制御の基に、運転者への警告を行う。
【0028】
ドライブレコーダ15は、自車に搭載され、映像及び音声を記録する。すなわち、ドライブレコーダ15において記録されるデータとは、動画像データ、静止画像データ、音声データなどのコンテンツデータである。ドライブレコーダ15は、記録制御部26の制御の基に、自車の内部及び外部を撮影し、その映像及び音声を記録する。
【0029】
通知部16は、例えば、スピーカ、アラーム、ベル等の音声出力手段、ディスプレイ、インストルメントパネル、カーナビゲーションシステム等の表示手段により構成される。通知部16は、記録制御部26の制御の基に、運転者への通知を行う。
【0030】
送信部17は、記録制御部26の制御の基に、データを外部に送信する。送信部17は、例えば、ドライブレコーダ15によって上書きされないように記録されたデータを、事故等の証拠資料として警察等に送信する。
【0031】
次に、図2のフローチャートを参照して、映像記録システム1により実行される映像記録処理について説明する。なお、この処理は、例えば、自車のアクセサリ(ACC)用の電源がオンされたとき開始され、アクセサリ用の電源がオフされたとき終了する。
【0032】
ステップS1において、映像記録システム1は、自車の状態を判定する。具体的には、車両情報取得部21は、自車に設けられている各種のセンサ、ECU等から、自車の状態を示す車両情報を取得し、取得した車両情報を車両状態判定部22に供給する。なお、車両情報には、例えば、以下の情報が含まれる。
【0033】
・ハザードランプの点滅の有無
・車速
・フットブレーキのブレーキ圧
・サイドブレーキのブレーキ圧
・アクセルペダルの踏み込み量
・シフトレバーの位置
【0034】
車両状態判定部22は、車両情報に基づいて、自車の状態を判定する。
以下に、自車の状態の判定方法を具体的に説明する。
【0035】
ハザードランプが消灯しており、且つ、車速が所定の閾値未満であり、且つ、シフト位置がニュートラルに設定されており、且つ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の閾値未満である場合、自車は停車していると判定される。ここで、停車とは、信号待ち等の要因により自車が一時的に停止し、所定の時間内に発進する可能性が高いと推定される状態のことである。
【0036】
ハザードランプが消灯しており、且つ、車速が所定の閾値未満であり、且つ、シフト位置がドライブに設定されており(又は、前進ギアに設定されており)、且つ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の閾値以上である場合、自車は停車しており、且つ、発車の準備をしている状態であると判定される。ここで、発車の準備をしている状態とは、自車がすぐに発進できると推定される状態のことである。
【0037】
ハザードランプが消灯しており、且つ、車速が所定の閾値未満であり、且つ、シフト位置がドライブに設定されており(又は、前進ギアに設定されており)、且つ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の閾値未満であり、且つ、フットブレーキのブレーキ圧が所定の閾値以上である場合、自車は停車していると判定される。
【0038】
ハザードランプが消灯しており、且つ、車速が所定の閾値未満であり、且つ、シフト位置がドライブに設定されており(又は、前進ギアに設定されており)、且つ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の閾値未満であり、且つ、フットブレーキのブレーキ圧が所定の閾値未満であり、且つ、サイドブレーキのブレーキ圧が所定の閾値未満である場合、自車は停車しており、且つ、発車の準備をしている状態であると判定される。
【0039】
ハザードランプが消灯しており、且つ、車速が所定の閾値未満であり、且つ、シフト位置がドライブに設定されており(又は、前進ギアに設定されており)、且つ、アクセルペダルの踏み込み量が所定の閾値未満であり、且つ、フットブレーキのブレーキ圧が所定の閾値未満であり、且つ、サイドブレーキのブレーキ圧が所定の閾値以上である場合、自車は停車していると判定される。
【0040】
なお、以上に説明した自車の状態の判定方法は、その一例であり、上述した情報の一部を用いたり、他の情報を用いたり、別の手法を用いたりして、自車の状態を判定するようにすることも可能である。
【0041】
ステップS2において、車両状態判定部22は、ステップS1の処理の結果に基づいて、自車が停車中であるか否かを判定する。車両状態判定部22は、自車が停車中であると判定した場合、自車が停車中であることを、障害物検知部23及び警告制御部25に通知する。その後、処理はステップS3に進む。
【0042】
ステップS3において、障害物検知部23は、障害物の検知を行う。すなわち、障害物検知部23は、センサ部11からの信号に基づいて、自車の前方の障害物の有無を検知し、自車の前方に障害物が存在する場合、その障害物の自車に対する相対位置を検知する。
【0043】
ステップS4において、障害物検知部23は、障害物の位置が変化したか否かを判定する。具体的には、障害物検知部23は、ステップS3の処理による障害物の検知結果を時系列で比較し、自車の前方に存在する障害物の自車に対する相対位置の変化を検知する。このとき、障害物検知部23は、障害物の移動方向も検知し、移動方向の分類を行う。
【0044】
障害物検知部23は、自車の前方に存在する障害物のうちの少なくとも1つの位置が移動した場合、障害物の位置が変化したと判定し、障害物の位置が変化したことを、脇見検知部24に通知する。その後、処理はステップS5に進む。
【0045】
ステップS5において、障害物検知部23は、障害物の属性を判定する。例えば、障害物検知部23は、検知した障害物の物理的特徴に基づいて、障害物の属性(例えば、車両であるか、又は、歩行者であるか)を判定する。例えば、センサ部11にレーザレーダが備えられている場合、障害物までの距離と障害物からの反射光量により、障害物の物性の1つである反射率を推測することができる。そして、障害物の反射率が高い場合、反射板の装備が法規で定められている車両であると推測し、障害物の反射率が低い場合、衣服のように反射率の低いものを身につけた歩行者であると推測することが可能である。
【0046】
障害物検知部23は、位置が変化した自車の前方の障害物の移動方向及び属性の検知結果を、警告制御部25に通知する。
【0047】
なお、障害物の有無、位置、移動方向、及び、属性の検知に用いる手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より正確に、より迅速に、かつ、より簡単に検知できる手法を用いるのが望ましい。
【0048】
ステップS6において、脇見検知部24は、運転者の視線方向を検知する。具体的には、脇見検知部24は、運転者の顔を撮影した結果得られた入力画像を画像センサ12から取得する。脇見検知部24は、取得した入力画像に基づいて、所定の手法を用いて、運転者の視線方向を検知する。
【0049】
なお、運転者の視線方向の検知に用いる手法は、特定の手法に限定されるものではなく、より正確に、より迅速に、かつ、より簡単に検知できる手法を用いるのが望ましい。
【0050】
ステップS7において、脇見検知部24は、運転者の視線方向に基づいて、運転者が脇見をしているか否かを判定する。脇見検知部24は、例えば、自車の正面方向に対する運転者の左右の視線方向が所定の角度(例えば、30度)以上である場合、運転者が脇見をしていると判定し、運転者が脇見をしていることを警告制御部25に通知する。その後、処理はステップS8に進む。
【0051】
ステップS8において、警告制御部25は、警告内容を設定する。例えば、警告制御部25は、脇見検知部24により検知された運転者の脇見の有無、車両状態判定部22により判定された自車の状態、並びに、障害物検知部23により検知された自車の前方の障害物の属性及び移動方向からなる判定条件に基づいて、危険度を段階的に分類し、運転者への警告内容を設定する。
【0052】
具体的には、運転者が脇見をしており、且つ、自車が停車している場合に、自車の前方に障害物が存在し、その障害物が移動しているとき、自車が発車準備をしている状態か否かに関わらず、危険であると判定され、何らかの警告内容が設定される。また、自車が発車準備をしている状態の方が、発車準備をしていない状態と比較して、発車するまでの時間が短いと推測されるため、より危険度が高いと判定され、より厳しい警告内容が設定される。
【0053】
ステップS9において、警告部14は、警告制御部25の制御の基に、運転者への警告を行う。具体的には、警告制御部25は、設定した内容の警告を行うように警告部14に指令する。例えば、警告部14は、音声により警告内容を運転者に通知する。この場合、警告部14は、危険度に応じて、音量、音色、音声の出力時間等を変えたり、メッセージの表現を変えたりする。
【0054】
ステップS10において、記録制御部26は、ドライブレコーダ15の制御の内容を設定する。例えば、記録制御部26は、警告制御部25により設定された警告内容に基づいて、ドライブレコーダ15及び通知部16の制御の内容を設定する。
【0055】
具体的には、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされた場合、記録制御部26は、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないようにドライブレコーダ15の制御の内容を設定する。さらに、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされない場合よりも、ドライブレコーダ15による記録の解像度を高くするようにドライブレコーダ15の制御の内容を設定するようにしてもよい。
【0056】
また、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないように記録制御部26で制御する方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされた場合の記録については、警告をより強く行う制御がされない場合の記録とは別のフォルダに格納するようにしてもよい。あるいは、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされた場合の記録には、上書きを禁止するフラグを設定するようにしてもよい。さらに、上書きされないように制御して記録されたデータに対して、記録制御部26は、データが編集されていないことを示すフラグを設定するようにしてもよい。
【0057】
ステップS11において、ドライブレコーダ15は、記録制御部26の制御の基に、自車の内部や外部の撮影を行い、その映像を記録する。ドライブレコーダ15は、自車の内部を撮影してもよいし、自車の外部を撮影してもよいし、両方を撮影してもよい。
【0058】
ステップS12において、通知部16は、記録制御部26の制御の基に、運転者への通知を行う。具体的には、記録制御部26は、ドライブレコーダ15による記録が上書きされないように設定したことを知らせる通知を行うように通知部16に指令する。例えば、通知部16は、スピーカ、アラーム、ベル等の音声出力手段、あるいは、ディスプレイ、インストルメントパネル、カーナビゲーションシステム等の表示手段を用いて視覚的に運転者への通知を行う。
【0059】
その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0060】
一方、車両状態判定部22は、自車が停車中でないと判定した場合(ステップS2においてNO)、自車が停車中でないことを警告制御部25に通知する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0061】
また、障害物検知部23は、障害物の位置が変化していないと判定した場合(ステップS4においてNO)、障害物の位置が変化していないことを警告制御部25に通知する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0062】
さらに、脇見検知部24は、運転者が脇見をしていないと判定した場合(ステップS7においてNO)、運転者が脇見をしていないことを警告制御部25に通知する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が実行される。
【0063】
なお、ステップS10において、警告制御部25により運転者への警告をより強く行う制御がされたときに、ドライブレコーダ15による記録が開始されていない場合には、記録制御部26は、ドライブレコーダ15による記録を開始するようにドライブレコーダ15の制御の内容を設定する。
【0064】
なお、本明細書において、システムの用語は、複数の装置、手段等により構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0065】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 映像記録システム
11 センサ部
12 画像センサ
13 監視部
14 警告部
15 ドライブレコーダ(データ記録装置)
16 通知部
17 送信部
21 車両情報取得部
22 車両状態判定部(車両状態判定手段)
23 障害物検知部(障害物検知手段)
24 脇見検知部(脇見検知手段)
25 警告制御部(警告制御手段)
26 記録制御部(記録制御手段)
27 危険度算出部(危険度算出手段)
図1
図2