(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】コネクタ接続体およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20230623BHJP
【FI】
H01R12/71
(21)【出願番号】P 2021196410
(22)【出願日】2021-12-02
(62)【分割の表示】P 2020082593の分割
【原出願日】2016-04-28
【審査請求日】2021-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋二
(72)【発明者】
【氏名】南井 勇希
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-026489(JP,A)
【文献】特開2016-051630(JP,A)
【文献】特開2015-099694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、保持金具と、周壁部を有するハウジングと、を備えたコネクタ接続体であって、
前記周壁部は、第1方向に延在する第1壁部と、前記第1方向と交差する第2方向に延在し前記第1方向において対向する第2壁部と第3壁部と、を有し、
前記保持金具は、
前記ハウジングの内面側に配置され且つ前記第1方向と前記第2方向とに交差する上下方向に延在する立上り部を有し、前記第1壁部に配置され、前記第1方向に延在する第1のU字状部と、
前記ハウジングの内面側に配置され前記上下方向に延在する立上り部を有し、前記第2壁部に配置された第2のU字状部と、
前記第3壁部に配置された第3のU字状部と、
を備え、
前記コネクタ接続体を相手側のコネクタ接続体と対向する側が前記上下方向の上方を向くように配置した状態で、前記第1のU字状部、前記第2のU字状部および前記第3のU字状部は前記上下方向の上に凸となるように湾曲しており、
前記第1のU字状部の前記立上り部における前記上下方向の第1下端と、前記第2のU字状部の前記立上り部における前記上下方向の第2下端とが、連結部により連結され、
前記第1のU字状部と前記第3のU字状部とが、連結され、
前記第1のU字状部、前記第2のU字状部、及び前記連結部のそれぞれが、1つの金属板を構成する一部であり、
前記連結部における前記1つの金属板の板厚方向の一方側の板面は、前記上下方向と直交する水平面を有することを特徴とするコネクタ接続体。
【請求項2】
前記第3のU状部は、前記ハウジングの内面側に配置され前記上下方向に延在する立上り部を有し、
前記第2方向は、前記第1方向と直交しており、
前記水平面の少なくとも一部は、前記上下方向に沿って見て、前記第1方向において前記第2のU字状部の前記第2下端と前記第3のU字状部の前記立上り部における前記上下方向の下端との間に配置され、且つ前記第1のU字状部に対して前記第2方向に配置される部位を有する請求項1に記載のコネクタ接続体。
【請求項3】
前記水平面の少なくとも一部は、前記上下方向に沿って見て、前記第1のU字状部に対して前記第2方向に位置する部位を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ接続体。
【請求項4】
前記水平面の少なくとも一部が、前記ハウジングから露出していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ接続体。
【請求項5】
回路基板に固定される第1の固定部を有し、
前記第1の固定部は、前記第1のU字状部における前記第2のU字状部及び前記第3のU字状部と連結されていない側から延設されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のコネクタ接続体。
【請求項6】
回路基板に固定される第2の固定部と第3の固定部とを有し、
前記第2の固定部は、前記第2のU字状部における前記第1のU字状部に連結されていない側から延設され、
前記第3の固定部は、前記第3のU字状部における前記第1のU字状部に連結されていない側から延設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のコネクタ接続体。
【請求項7】
前記保持金具が、前記ハウジングにインサート成形されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコネクタ接続体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のコネクタ接続体と、前記相手側のコネクタ接続体を備えたことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続体およびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタとして、ソケットハウジングにソケット端子を配設したソケット(一方のコネクタ接続体)と、ヘッダハウジングにヘッダ端子を配設したヘッダ(他方のコネクタ接続体)と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、コネクタ接続体のハウジング(ソケットハウジングやヘッダハウジング)に保持金具を設けることで、コネクタ接続体のハウジングの強度の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術によっても、コネクタ接続体のハウジングの強度を向上させることが可能であるが、コネクタ接続体のハウジングの強度をより向上させられるようにするのが好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、ハウジングの強度をより向上させることのできるコネクタ接続体およびコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例にかかるコネクタ接続体は、端子と、保持金具と、周壁部を有するハウジングと、を備える。また、前記周壁部は、第1方向に延在する第1壁部と、前記第1方向と交差する第2方向に延在し前記第1方向において対向する第2壁部と第3壁部と、を有する。また、前記保持金具は、前記ハウジングの内面側に配置され且つ前記第1方向と前記第2方向とに交差する上下方向に延在する立上り部を有し、前記第1壁部に配置され、前記第1方向に延在する第1のU字状部と、前記ハウジングの内面側に配置され前記上下方向に延在する立上り部を有し、前記第2壁部に配置された第2のU字状部と、前記第3壁部に配置された第3のU字状部と、を備える。ここで、前記コネクタ接続体を相手側のコネクタ接続体と対向する側が前記上下方向の上方を向くように配置した状態で、前記第1のU字状部、前記第2のU字状部および前記第3のU字状部は前記上下方向の上に凸となるように湾曲している。そして、前記第1のU字状部の前記立上り部における前記上下方向の第1下端と、前記第2のU字状部の前記立上り部における前記上下方向の第2下端とが、連結され、前記第1のU字状部と前記第3のU字状部とが、連結され、前記第1下端と前記第2下端とを連結する連結部における板厚に沿う方向と交差する板面は、前記上下方向と直交する水平面を有する。
【0008】
また、本発明にかかるコネクタは、前記コネクタ接続体と、前記相手側のコネクタ接続体を備えるものである。
【0009】
本発明によれば、ハウジングの強度をより向上させることのできるコネクタ接続体およびコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダを裏面側から視た斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダを表面側から視た斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダを示す図であって、(a)は側面図、(b)は裏面図、(c)は平面図、(d)は正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダハウジングを裏面側から視た斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダハウジングを表面側から視た斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダハウジングを示す図であって、(a)は側面図、(b)は裏面図、(c)は平面図、(d)は正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第1のヘッダ端子を示す図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図、(c)は第3の斜視図、(d)は第4の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第1のヘッダ端子を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図9】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダ側保持金具を示す図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図、(c)は第3の斜視図、(d)は第4の斜視図である。
【
図10】本発明の一実施形態にかかるコネクタのヘッダ側保持金具を示す図であって、(a)は第1の側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図、(e)は背面図、(f)は第2の側面図である。
【
図11】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットを表面側から視た斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットを裏面側から視た斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図である。
【
図14】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットハウジングを表面側から視た斜視図である。
【
図15】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットハウジングを裏面側から視た斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケットハウジングを示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図である。
【
図17】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第1のソケット端子を示す図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図、(c)は第3の斜視図、(d)は第4の斜視図である。
【
図18】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第1のソケット端子を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図19】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第2のソケット端子を示す図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図、(c)は第3の斜視図、(d)は第4の斜視図である。
【
図20】本発明の一実施形態にかかるコネクタの第2のソケット端子を示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図、(e)は背面図である。
【
図21】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケット側保持金具を示す図であって、(a)は第1の斜視図、(b)は第2の斜視図、(c)は第3の斜視図、(d)は第4の斜視図である。
【
図22】本発明の一実施形態にかかるコネクタのソケット側保持金具を示す図であって、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は裏面図、(d)は正面図、(e)は第1の側面図、(f)は第2の側面図である。
【
図23】本発明の一実施形態にかかるヘッダとソケットとが嵌合する直前の状態を示す図であって、第1のヘッダ端子および第1のソケット端子が配置された部位で切断した断面図である。
【
図24】本発明の一実施形態にかかるヘッダとソケットとが嵌合した状態を示す図であって、第1のヘッダ端子および第1のソケット端子が配置された部位で切断した断面図である。
【
図25】本発明の一実施形態にかかるヘッダとソケットとが嵌合する直前の状態を示す図であって、ヘッダ側保持金具および第2のソケット端子が配置された部位で切断した断面図である。
【
図26】本発明の一実施形態にかかるヘッダとソケットとが嵌合した状態を示す図であって、ヘッダ側保持金具および第2のソケット端子が配置された部位で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
以下では、コネクタ(ヘッダ側ハウジングおよびソケット側ハウジング)の長手方向をX方向、コネクタ(ヘッダ側ハウジングおよびソケット側ハウジング)の幅方向(短手方向)をY方向、
図23から
図26におけるコネクタの上下方向をZ方向として説明する。また、ソケットおよびヘッダは、
図23から
図26に示す状態における上側を上下方向上側(表面側)、下側を上下方向下側(裏面側)として説明する。
【0013】
まず、
図23から
図26を参照しながら、本実施形態にかかるコネクタ10の概要を説明する。
【0014】
本実施形態にかかるコネクタ10は、
図23から
図26に示すように、相互に嵌合するヘッダ(コネクタ接続体)20とソケット(コネクタ接続体)30とを備えている。本実施形態では、ヘッダ20は、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22およびヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23が配設されるヘッダハウジング21を有している。一方、ソケット30は、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32およびソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が配設されるソケットハウジング31を有している。
【0015】
そして、ヘッダハウジング21とソケットハウジング31とを嵌合させることで、ヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32とを接触させるとともに、ヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33とを接触させるようにしている。
【0016】
さらに、ヘッダハウジング21にはヘッダ側保持金具24が配設されており、ソケットハウジング31にはソケット側保持金具34が配設されている。
【0017】
ヘッダ側保持金具24は、ヘッダハウジング21の強度を高めるとともに、ヘッダ側保持金具24が有する固定部を第2の回路基板40に取付固定するために用いられるものである。
【0018】
一方、ソケット側保持金具34は、ソケットハウジング31の強度を高めるとともに、ソケット側保持金具34が有する固定部を第1の回路基板60に取付固定するために用いられるものである。
【0019】
ここで、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子23とヘッダ側保持金具24とを一体に設け、ヘッダ側保持金具24にヘッダ側電源用端子としての機能も持たせるようにしている。一方、ソケット側保持金具34は、ソケット側電源用端子33とは別部材で形成されている。すなわち、ソケット側保持金具34を、ソケット側電源用端子33とは別体に設けている。
【0020】
なお、ヘッダ側電源用端子23とヘッダ側保持金具24とを別体に設けることも可能であるし、ソケット側保持金具34とソケット側電源用端子33とを一体に設けることも可能である。
【0021】
なお、ヘッダ20は第2の回路基板40に装着されるものであり、ソケット30は第1の回路基板60に装着されるものである。
【0022】
したがって、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させると、ヘッダ20を装着した第2の回路基板40と、ソケット30を装着した第1の回路基板60とが電気的に接続されることとなる。
【0023】
具体的には、本実施形態にかかるヘッダ20を第2の回路基板40上に実装することで、ヘッダ側信号用端子22およびヘッダ側電源用端子23が第2の回路基板40上の回路パターン41に電気的に接続されるようにしている。この第2の回路基板40としては、プリント配線基板(Printed Circuit Board)やFPC(Flexible Printed Circuit)等を用いることができる。
【0024】
また、本実施形態にかかるソケット30を第1の回路基板60上に実装することで、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33が第1の回路基板60上の回路パターン61に電気的に接続されるようにしている。この第1の回路基板60としても、プリント配線基板(Printed Circuit Board)やFPC(Flexible Printed Circuit)等を用いることができる。
【0025】
なお、本実施形態にかかるコネクタ10も、スマートフォーン等の携帯端末としての電子機器における回路基板同士を電気的に接続するために用いられることが想定されている。ただし、本発明のコネクタは、電子機器に用いられるのであれば、いかなる部品同士の電気的な接続に用いられてもよい。
【0026】
次に、
図1から
図10を参照しながら、コネクタ10で用いられるヘッダ20の構成を説明する。
【0027】
ヘッダ20は、上述したようにヘッダハウジング21を備えている。このヘッダハウジング21は、本実施形態では、絶縁性の合成樹脂によって平面視で全体的に矩形(長方形)状に成形されている(
図1から
図6参照)。
【0028】
そして、ヘッダハウジング21には、金属製のヘッダ側信号用端子22、金属製のヘッダ側電源用端子23および金属製のヘッダ側保持金具24が配設されている。ヘッダ側信号用端子22は、信号線に電気的に接続されて信号を伝達するために用いられる端子である。一方、ヘッダ側電源用端子23は、電源線に電気的に接続されて電源を供給するために用いられる端子である。そして、上述したように、ヘッダ側保持金具24は、ヘッダ側電源用端子23と一体に形成されている。したがって、本実施形態では、ヘッダ側保持金具24は、ヘッダハウジング21の強度を高めつつ、電源線に電気的に接続されて電源を供給するために用いられている。
【0029】
さらに、本実施形態では、ヘッダ側信号用端子22とヘッダ側電源用端子23とを、ヘッダハウジング21の長手方向Xに沿って列状に配置している。
【0030】
具体的には、ヘッダハウジング21の一方の長辺に沿って、複数のヘッダ側信号用端子22が所定ピッチをもって並設されている。そして、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの一方側に並設された複数のヘッダ側信号用端子22で、ヘッダ側信号用端子群(第1のヘッダ端子群)G3を構成している。
【0031】
さらに、ヘッダハウジング21の一方の長辺に沿って、1つのヘッダ側電源用端子23が、1つのヘッダ側信号用端子群G3から離間するように並設されている。そして、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの一方側に並設された1つのヘッダ側信号用端子群G3および1つのヘッダ側電源用端子23で、ヘッダ側端子群G1を構成している。
【0032】
また、ヘッダハウジング21の他方の長辺に沿っても、複数のヘッダ側信号用端子22が所定ピッチをもって並設されている。そして、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの他方側に並設された複数のヘッダ側信号用端子22で、ヘッダ側信号用端子群G3を構成している。
【0033】
さらに、ヘッダハウジング21の他方の長辺に沿って、1つのヘッダ側電源用端子23が、1つのヘッダ側信号用端子群G3から離間するように並設されている。そして、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの他方側に並設された1つのヘッダ側信号用端子群G3および1つのヘッダ側電源用端子23で、ヘッダ側端子群G1を構成している。
【0034】
このように、本実施形態では、ヘッダハウジング21には、当該ヘッダハウジング21の長手方向Xに沿って配設されたヘッダ側信号用端子群G3およびヘッダ側電源用端子23で構成されるヘッダ側端子群G1が2列(複数列)配置されている。
【0035】
また、本実施形態では、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの一方側に形成されたヘッダ側端子群G1においては、ヘッダハウジング21の長手方向Xの一方側にヘッダ側電源用端子23が配置されている。そして、ヘッダハウジング21の幅方向(短手方向)Yの他方側に形成されたヘッダ側端子群G1においては、ヘッダハウジング21の長手方向Xの他方側にヘッダ側電源用端子23が配置されている。
【0036】
このように、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子23が、ヘッダハウジング21の長手方向Xの一方側かつ幅方向(短手方向)Yの一方側、および、ヘッダハウジング21の長手方向Xの他方側かつ幅方向(短手方向)Yの他方側の2箇所のみに配置されている。
【0037】
言い換えると、ヘッダハウジング21にはヘッダ側電源用端子23が2つだけ配置されており、2つのヘッダ側電源用端子23は、矩形(長方形)状のヘッダハウジング21の対角部分にそれぞれ配置されている。
【0038】
このとき、2つのヘッダ側電源用端子23は、ヘッダハウジング21の長手方向Xの両端に各ヘッダ側保持金具24が配置されるようにした状態(ヘッダ側電源用端子23よりもヘッダハウジング21の長手方向Xの外側にヘッダ側保持金具24が位置した状態)で、ヘッダハウジング21に配置されている。
【0039】
さらに、本実施形態では、一方の長辺側のヘッダ側信号用端子群G3と他方の長辺側のヘッダ側信号用端子群G3とが、ヘッダハウジング21の長手方向Xにずれた状態で形成されるようにしている。
【0040】
具体的には、一方のヘッダ側信号用端子群G3が、他方のヘッダ側信号用端子群G3に対してヘッダハウジング21の長手方向Xに1ピッチだけずれた状態で形成されるように、ヘッダ側信号用端子22を配置している。
【0041】
こうすることで、一方のヘッダ側信号用端子群G3のX方向一端に配置されたヘッダ側信号用端子22および他方のヘッダ側信号用端子群G3のX方向他端に配置されたヘッダ側信号用端子22以外のヘッダ側信号用端子22については、Y方向で対向するように配置することができる。
【0042】
そして、本実施形態では、一方のヘッダ側信号用端子群G3のX方向一端に配置されたヘッダ側信号用端子22とY方向で重なり合うように、他方のヘッダ側端子群G1を構成するヘッダ側電源用端子23を配置している。
【0043】
また、他方のヘッダ側信号用端子群G3のX方向他端に配置されたヘッダ側信号用端子22とY方向で重なり合うように、一方のヘッダ側端子群G1を構成するヘッダ側電源用端子23を配置している。
【0044】
次に、
図4から
図6を参照しながら、ヘッダハウジング21の構成を説明する。
【0045】
ヘッダハウジング21は、板状壁部21aと、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部21bとで一方側(
図5の下側)が開口した略箱状に形成されている。
【0046】
そして、この周壁部21bの内方には、凹部21c(
図4参照)が形成されている。また、周壁部21bの外周側下端には、外側に向かうにつれて上方(板状壁部21a側)に位置するように傾斜したテーパ部21dが形成されている。
【0047】
なお、隣り合うヘッダ側信号用端子22の間や、ヘッダ側信号用端子群G3とヘッダ側電源用端子23との間の周壁部21bは、R状(逆U字状)に湾曲形成されている。
【0048】
また、本実施形態では、周壁部21bは、幅方向(短手方向)Yに対向する一対の長手方向壁部21eと、長手方向Xに対向する一対の短手方向壁部21fと、を備えている。
【0049】
そして、短手方向壁部21fの幅方向Yの長さが、対向する2つの長手方向壁部21eの距離(一方の長手方向壁部21eの外面21kから他方の長手方向壁部21eの外面21kまでの距離)とほぼ同一となるように形成されている。さらに、長手方向壁部21eの長手方向Xの長さが、対向する2つの短手方向壁部21fの距離(一方の短手方向壁部21fの外面21mから他方の短手方向壁部21fの外面21mまでの距離)とほぼ同一となるように形成されている。
【0050】
このように、本実施形態では、ヘッダハウジング21は、全体的に平面視略矩形状に形成されている。したがって、長手方向壁部21eの外面21kおよび短手方向壁部21fの外面21mが周壁部21bの外面21hとなっており、長手方向壁部21eの内面21nおよび短手方向壁部21fの内面21pが周壁部21bの内面21iとなっている。
【0051】
次に、
図7および
図8を参照しながら、ヘッダ側信号用端子22の構成を説明する。
【0052】
ヘッダ側信号用端子22は、金属成形により製造されており、導電体である。そして、このヘッダ側信号用端子22は、ヘッダハウジング21の側面から突出する付け根部(第1のヘッダ端子側固定部)22aを備えている。付け根部22aは、第2の回路基板40の回路パターン41に半田50によって固定される部位である。また、付け根部22aの上面は、
図23から分かるように、ヘッダハウジング21の上面(板状壁部21aの外表面21j)に対して略平行に延びている。
【0053】
また、ヘッダ側信号用端子22は、付け根部22aに連続する内側部22bを備えている。内側部22bは、ヘッダハウジング21の板状壁部21aと長手方向壁部21eとの接合部を曲がりながら貫通し、長手方向壁部21eの内面21nに沿って長手方向壁部21eの先端部まで延びている。
【0054】
そして、ヘッダ側信号用端子22の内側部22bの内側表面上には、凹部22cが形成されている。本実施形態では、凹部22cは、長手方向Xの両側に連設された傾斜面22hと、上下方向Zの両側に連設された傾斜面22iとで、略三角柱状に形成されている。この凹部22cには、後述するソケット側信号用端子32の円弧状突起部32kが嵌まり込む。
【0055】
さらに、ヘッダ側信号用端子22は、内側部22bの一方端に連続する先端部22dを備えている。先端部22dは、ヘッダハウジング21の長手方向壁部21eの先端の形状に沿って曲がっている。
【0056】
ヘッダ側信号用端子22は、先端部22dに連続する被係止部22eを備えている。本実施形態では、被係止部22eは、ヘッダ側信号用端子22におけるヘッダハウジング21の長手方向Xの一端から他端にかけて形成されている。すなわち、ヘッダ側信号用端子22の幅方向全体に亘って、段差状の被係止部22eが形成されている。
【0057】
この被係止部22eは、
図23および
図24を対比すれば分かるように、ヘッダ側信号用端子22がソケット側信号用端子32に嵌め込まれるときに、段差部としての係止部32dよりも奥へ挿入される。そのため、被係止部22eは、ヘッダ側信号用端子22がソケット側信号用端子32から引き抜かれるときに、係止部32dに当接する。つまり、ヘッダ側信号用端子22の被係止部22eは、ソケット側信号用端子32の係止部32dによって係止される。したがって、ヘッダ側信号用端子22のソケット側信号用端子32からの引き抜けが抑制されている。つまり、ヘッダ側信号用端子22は、所定値よりも小さな外力をかけただけでは、ソケット側信号用端子32から引き抜くことができない。一方、ヘッダ側信号用端子22は、所定値以上の大きな外力をかけると、ソケット側信号用端子32から引き抜かれ得る。つまり、ヘッダ側信号用端子22の被係止部22eおよびソケット側信号用端子32の係止部32dは、所定値以上の外力を加えることにより、互いの係止を解除することが可能なロック機構を構成している。
【0058】
被係止部22eは、ヘッダ側信号用端子22の厚さを部分的に異ならせる母材の圧延により製造されてもよいが、ヘッダ側信号用端子22の母材を厚さ方向に曲げる成形により製造されてもよい。
【0059】
さらに、ヘッダ側信号用端子22は、被係止部22eを介して、先端部22dに連続し、長手方向壁部21eの外面21kに沿って延びる外側部22fを備えている。本実施形態では、長手方向壁部21e(周壁部21b)の外周に突設された突出壁部21gによって、ヘッダ側信号用端子22の外側部22fの先端の位置決めがなされている。
【0060】
このようなヘッダ側信号用端子22は、所定厚さを持った帯状の金属材を湾曲成形することにより形成することができる。
【0061】
また、本実施形態では、ヘッダ側信号用端子22は、インサート成形によってヘッダハウジング21に配設されるようにしている。なお、ヘッダ側信号用端子22をヘッダハウジング21に圧入することで、ヘッダ側信号用端子22をヘッダハウジング21に配設させるようにしてもよい。
【0062】
次に、
図9および
図10を参照しながら、ヘッダ側電源用端子23およびヘッダ側保持金具24の構成を説明する。
【0063】
ヘッダ側電源用端子23は、金属成形により製造されており、導電体である。そして、このヘッダ側電源用端子23は、ヘッダハウジング21の内面に沿うように配置される内側部23aを備えている。この内側部23aは、ヘッダハウジング21の板状壁部21aと長手方向壁部21eとの接合部から長手方向壁部21eの内面21nに沿って長手方向壁部21eの先端部まで延びている。
【0064】
そして、ヘッダ側電源用端子23の内側部23aの内側表面上には、凹部23bが形成されている。本実施形態では、凹部23bは、平坦状の奥面23gと、奥面23gの長手方向Xの両側に連設された傾斜面23hと、奥面23gの上下方向Zの両側に連設された傾斜面23iとで、略四角錐台状に形成されている。この凹部23bには、後述するソケット側電源用端子33の円弧状突起部33kが嵌まり込む。
【0065】
さらに、ヘッダ側電源用端子23は、内側部23aの一方端に連続する先端部23cを備えている。先端部23cは、ヘッダハウジング21の長手方向壁部21eの先端の形状に沿って曲がっている。
【0066】
また、ヘッダ側電源用端子23は、先端部23cに連続する被係止部23dを備えている。
図25および
図26を対比すれば分かるように、被係止部23dは、ヘッダ側電源用端子23がソケット側電源用端子33に嵌め込まれるときに、段差部としての係止部33dよりも奥へ挿入される。そのため、被係止部23dは、ヘッダ側電源用端子23がソケット側電源用端子33から引き抜かれるときに、係止部33dに当接する。つまり、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dは、ソケット側電源用端子33の係止部33dによって係止される。したがって、ヘッダ側電源用端子23のソケット側電源用端子33からの引き抜けが抑制されている。つまり、ヘッダ側電源用端子23は、所定値よりも小さな外力をかけただけでは、ソケット側電源用端子33から引き抜くことができない。一方、ヘッダ側電源用端子23は、所定値以上の大きな外力をかけると、ソケット側電源用端子33から引き抜かれ得る。つまり、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dおよびソケット側電源用端子33の係止部33dは、所定値以上の外力を加えることにより、互いの係止を解除することが可能なロック機構を構成している。
【0067】
被係止部23dは、ヘッダ側電源用端子23の厚さを部分的に異ならせる母材の圧延により製造されてもよいが、ヘッダ側電源用端子23の母材を厚さ方向に曲げる成形により製造されてもよい。
【0068】
また、ヘッダ側電源用端子23は、被係止部23dに連続し、ヘッダハウジング21の外面に沿うように配置される外側部23eを備えている。この外側部23eは、被係止部23dから長手方向壁部21eの外面21kに沿って板状壁部21aまで延びている。
【0069】
また、ヘッダ側電源用端子23は、外側部23eに連続し、ヘッダハウジング21の側面から突出する付け根部(第2のヘッダ端子側固定部)23fを備えている。付け根部23fは、第2の回路基板40の回路パターン41に半田50によって固定される部位である。また、付け根部23fの上面は、
図25から分かるように、ヘッダハウジング21の上面(板状壁部21aの外表面21j)に対して略平行に延びている。
【0070】
なお、本実施形態では、付け根部23fは、ヘッダハウジング21の長手方向Xに沿った幅が、外側部23e(ヘッダ側電源用端子23の他の部位)の長手方向Xに沿った幅よりも狭くなるように形成されている。そして、付け根部23fは、外側部23eの長手方向Xの外側の部分(X方向で隣り合うヘッダ側信号用端子22から離れた側)に連設されている。
【0071】
すなわち、ヘッダ側信号用端子22およびヘッダ側電源用端子23をヘッダハウジング21に配置した状態で、付け根部(第1のヘッダ端子側固定部)22aと付け根部(第2のヘッダ端子側固定部)23fとの間の距離が、後述するヘッダ側信号用端子32の接点部(第1のソケット端子側接点部)R1,R2と、ヘッダ側電源用端子23の接点部(第2のヘッダ端子側固定部)R3,R4との間の距離よりも大きくなるようにしている。
【0072】
こうすることで、ヘッダ側電源用端子23とヘッダ側信号用端子22との絶縁距離を長くして、絶縁性を確保している。
【0073】
また、上述したように、ヘッダ側信号用端子22およびヘッダ側電源用端子23は、ヘッダハウジング21の長手方向Xに沿って配設されている。そして、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子23は、ヘッダハウジング21の長手方向Xに沿った幅が、ヘッダ側信号用端子22の長手方向Xに沿った幅よりも広くなるように形成されている。
【0074】
すなわち、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子23よりもヘッダハウジング21の長手方向Xの幅が狭いヘッダ側信号用端子22を有するようにしている。なお、本実施形態では、全てのヘッダ側信号用端子22が、ヘッダ側電源用端子23よりもヘッダハウジング21の長手方向Xの幅が狭くなっている。
【0075】
さらに、本実施形態では、被係止部23dが、ヘッダ側電源用端子23におけるヘッダハウジング21の長手方向Xの一端から他端にかけて形成されている。すなわち、幅広のヘッダ側電源用端子23の幅方向全体に亘って、段差状の被係止部23dを形成している。こうすることで、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dおよびソケット側電源用端子33の係止部33dによるロック力を向上させることができる。また、ヘッダ20およびソケット30の挿抜を繰り返した際にも、被係止部23dが摩耗しにくくなるため、製品の長寿命化を図ることが可能となる。
【0076】
また、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子23は、インサート成形によってヘッダハウジング21に配設されるようにしている。なお、ヘッダ側電源用端子23をヘッダハウジング21に圧入することで、ヘッダ側電源用端子23をヘッダハウジング21に配設させるようにしてもよい。
【0077】
そして、このヘッダ側電源用端子23には、連結部25を介してヘッダ側保持金具24が固定されている。
【0078】
ヘッダ側保持金具24は、ヘッダ側信号用端子22やヘッダ側電源用端子23と同様に金属成形により製造されており、導電体である。
【0079】
そして、ヘッダ側電源用端子23とヘッダ側保持金具24とを一体化させた部材は、所定厚さを持った金属板を湾曲成形することにより形成することができる。
【0080】
ヘッダ側保持金具24は、短手方向壁部21fの先端(下端)のほぼ全体を覆うように配置される略矩形板状の下壁部24aを備えている。
【0081】
また、ヘッダ側保持金具24は、下壁部24aの幅方向(短手方向)Yの両端から板状壁部21a側に向けて延設された一対の第1側壁部24bを備えている。
【0082】
この第1側壁部24bは、長手方向壁部21eの外面21kに沿うように延設されており、先端が板状壁部21aの外表面21jよりも若干突出するように形成されている。そして、第1側壁部24bの先端が第2の回路基板40の回路パターン41に半田50によって固定される固定部24dとなっている。
【0083】
さらに、一対の第1側壁部24bのうちの一方の第1側壁部24bに連結部25が連設されている。本実施形態では、連結部25は、一端(長手方向Xの外側)が一方の第1側壁部24bにおける上下方向Zの中央部に連設されており、他端(長手方向Xの内側)がヘッダ側電源用端子23の外側部23eに連設されている。
【0084】
さらに、ヘッダ側保持金具24は、下壁部24aの長手方向Xの一端(外側)から板状壁部21a側に向けて延設された一対の側片(第2側壁部)24cを備えている。この側片24cは、短手方向壁部21fの外面21mに沿うように延設されており、先端が板状壁部21aの外表面21jよりも若干突出するように形成されている。そして、この側片24cの先端も、第2の回路基板40の回路パターン41に半田50によって固定される固定部24dとなっている。
【0085】
このように、本実施形態では、ヘッダ側保持金具24は、4つの固定部24dで第2の回路基板40の回路パターン41に固定されており、3方向(長手方向Xの一端および幅方向Yの両端)に固定箇所が形成されている。なお、一体化させたヘッダ側電源用端子23およびヘッダ側保持金具24は、上記4つの固定部24dおよび付け根部22aで第2の回路基板40の回路パターン41に固定されることとなる。
【0086】
また、固定部(4つの固定部24dおよび付け根部23f)とヘッダハウジング21との間には、隙間d1が形成されている。この隙間d1は、固定部を半田付けする際の半田の逃げ部としての機能やヘッダハウジング21の温度が高くなりすぎてしまうのを抑制する放熱部としての機能を有している。
【0087】
また、本実施形態では、一対の側片24cは、下壁部24aの幅方向(短手方向)Yの両端から延設されており、一対の側片24cの間(幅方向Yの中央部)には、切り欠き状の隙間24eが形成されている。
【0088】
さらに、本実施形態では、第1側壁部24bと側片24cとの間(ヘッダハウジング21の角部)にも切り欠き状の隙間24fが形成されている。
【0089】
そして、ヘッダ側電源用端子23およびヘッダ側保持金具24は、インサート成形により、ヘッダハウジング21の長手方向Xの両端部に形成された係合溝部21rに埋め込まれた状態で、ヘッダハウジング21に取り付けられている。
【0090】
このとき、切り欠き状の隙間24e,24fやヘッダ側電源用端子23とヘッダ側保持金具24との間の隙間にも樹脂が入り込むようにしている。こうすることで、ヘッダ側電源用端子23およびヘッダ側保持金具24のヘッダハウジング21への固定強度を高めている。
【0091】
なお、本実施形態では、一体化させたヘッダ側電源用端子23およびヘッダ側保持金具24を、インサート成形によってヘッダハウジング21に配設しているが、圧入によりヘッダハウジング21に配設させるようにしてもよい。
【0092】
次に、
図11から
図22を用いてコネクタ10で用いられるソケット30の構成を説明する。
【0093】
ソケット30は、上述したようにソケットハウジング31を備えている。このソケットハウジング31は、本実施形態では、絶縁性の合成樹脂によって平面視で全体的に矩形(長方形)状に成形されている(
図11から
図16参照)。
【0094】
そして、ソケットハウジング31には、金属製のソケット側信号用端子32および金属製のソケット側電源用端子33が配設されている。ソケット側信号用端子32は、信号線に電気的に接続されて信号を伝達するために用いられる端子である。一方、ソケット側電源用端子33は、電源線に電気的に接続されて電源を供給するために用いられる端子である。
【0095】
さらに、本実施形態では、ソケット側信号用端子32とソケット側電源用端子33とを、ソケットハウジング31の長手方向Xに沿って列状に配置している。
【0096】
具体的には、ソケットハウジング31の一方の長辺に沿って、複数のソケット側信号用端子32が所定ピッチをもって並設されている。そして、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの一方側に並設された複数のソケット側信号用端子32で、ソケット側信号用端子群(第1のソケット端子群)G4を構成している。
【0097】
さらに、ソケットハウジング31の一方の長辺に沿って、1つのソケット側電源用端子33が、1つのソケット側信号用端子群G4から離間するように並設されている。そして、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの一方側に並設された1つのソケット側信号用端子群G4および1つのソケット側電源用端子33で、ソケット側端子群G2を構成している。
【0098】
また、ソケットハウジング31の他方の長辺に沿っても、複数のソケット側信号用端子32が所定ピッチをもって並設されている。そして、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの他方側に並設された複数のソケット側信号用端子32で、ソケット側信号用端子群G4を構成している。
【0099】
さらに、ソケットハウジング31の他方の長辺に沿って、1つのソケット側電源用端子33が、1つのソケット側信号用端子群G4から離間するように並設されている。そして、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの他方側に並設された1つのソケット側信号用端子群G4および1つのソケット側電源用端子33で、ソケット側端子群G2を構成している。
【0100】
このように、本実施形態では、ソケットハウジング31には、当該ソケットハウジング31の長手方向Xに沿って配設されたソケット側信号用端子群G4およびソケット側電源用端子33で構成されるソケット側端子群G2が2列(複数列)配置されている。
【0101】
また、本実施形態では、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの一方側に形成されたソケット側端子群G2においては、ソケットハウジング31の長手方向Xの一方側にソケット側電源用端子33が配置されている。そして、ソケットハウジング31の幅方向(短手方向)Yの他方側に形成されたソケット側端子群G2においては、ソケットハウジング31の長手方向Xの他方側にソケット側電源用端子33が配置されている。
【0102】
このように、本実施形態では、ソケット側電源用端子33が、ソケットハウジング31の長手方向Xの一方側かつ幅方向(短手方向)Yの一方側、および、ソケットハウジング31の長手方向Xの他方側かつ幅方向(短手方向)Yの他方側の2箇所のみに配置されている。
【0103】
言い換えると、ソケットハウジング31にはソケット側電源用端子33が2つだけ配置されており、2つのソケット側電源用端子33は、矩形(長方形)状のソケットハウジング31の対角部分にそれぞれ配置されている。
【0104】
さらに、本実施形態では、一方の長辺側のソケット側信号用端子群G4と他方の長辺側のソケット側信号用端子群G4とが、ソケットハウジング31の長手方向Xにずれた状態で形成されるようにしている。
【0105】
具体的には、一方のソケット側信号用端子群G4が、他方のソケット側信号用端子群G4に対してソケットハウジング31の長手方向Xに1ピッチだけずれた状態で形成されるように、ソケット側信号用端子32を配置している。
【0106】
こうすることで、一方のソケット側信号用端子群G4のX方向一端に配置されたソケット側信号用端子32および他方のソケット側信号用端子群G4のX方向他端に配置されたソケット側信号用端子32以外のソケット側信号用端子32については、Y方向で対向するように配置することができる。
【0107】
そして、本実施形態では、一方のソケット側信号用端子群G4のX方向一端に配置されたソケット側信号用端子32とY方向で重なり合うように、他方のソケット側端子群G2を構成するソケット側電源用端子33を配置している。
【0108】
また、他方のソケット側信号用端子群G4のX方向他端に配置されたソケット側信号用端子32とY方向で重なり合うように、一方のソケット側端子群G2を構成するソケット側電源用端子33を配置している。
【0109】
なお、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33は、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させた際に、対応するヘッダ側信号用端子22およびヘッダ側電源用端子23にそれぞれ接触するように、ソケットハウジング31に配設されている。
【0110】
さらに、本実施形態では、ソケットハウジング31の長手方向Xの両端(ソケット側端子群G2の長手方向Xの外側)に、金属製のソケット側保持金具34が配設されている。このソケット側保持金具34は、ソケットハウジング31の強度を高めるとともに、ソケット側保持金具34が有する固定部を上述した第1の回路基板60に取付固定するために用いられるものである。
【0111】
次に、
図14から
図16を参照しながら、ソケットハウジング31の構成を説明する。
【0112】
ソケットハウジング31は、板状壁部31aと、その周縁部に沿って略矩形環状に連続的に形成される周壁部31bとで一方側(
図14の上側)が開口した略箱状に形成されている。さらに、本実施形態では、板状壁部31aの中央部に、周壁部31bから所定間隔をあけて略矩形状の島部31cが形成されている。そして、これら周壁部31bと島部31cとの間にヘッダ20の周壁部21bを嵌合するための略枠状の嵌合溝部31dが形成されている。なお、島部31cは、凹部21cに嵌合される。
【0113】
また、嵌合溝部31dには、短手方向壁部21fおよび長手方向壁部21eが嵌合されるため、嵌合溝部31dは、長手方向Yの両端部が若干幅広となるように形成されている。
【0114】
さらに、本実施形態では、周壁部31bの内周側上端に、内側に向かうにつれて下方(板状壁部31a側)に位置するように傾斜したテーパ部31eが形成されている。このテーパ部31eは、周壁部31bの長手方向壁部31hの長手方向両端および周壁部31bの短手方向壁部31iに形成されている。
【0115】
また、隣り合うソケット側信号用端子32とソケット側電源用端子33との間の周壁部31bにもテーパ部31eが形成されている。そして、隣り合うソケット側電源用端子33とソケット側保持金具34との間の周壁部31bにもテーパ部31eが形成されている。このように、本実施形態では、周壁部31bのほぼ全周にわたってテーパ部31eが形成されている。
【0116】
また、本実施形態では、周壁部31bは、幅方向(短手方向)Yに対向する一対の長手方向壁部31hと、長手方向Xに対向する一対の短手方向壁部31iと、を備えている。
【0117】
そして、短手方向壁部31iの幅方向Yの長さが、対向する2つの長手方向壁部31hの距離(一方の長手方向壁部31hの外面31sから他方の長手方向壁部31hの外面31sまでの距離)とほぼ同一となるように形成されている。さらに、長手方向壁部31hの長手方向Xの長さが、対向する2つの短手方向壁部31iの距離(一方の短手方向壁部31iの外面31tから他方の短手方向壁部31iの外面31tまでの距離)とほぼ同一となるように形成されている。
【0118】
このように、本実施形態では、ソケットハウジング31は、全体的に平面視略矩形状に形成されている。したがって、長手方向壁部31hの外面31sおよび短手方向壁部31iの外面31tが周壁部31bの外面31pとなっており、長手方向壁部31hの内面31uおよび短手方向壁部31iの内面31vが周壁部31bの内面31rとなっている。
【0119】
また、本実施形態では、ソケットハウジング31には、ソケット側信号用端子32が収容されるソケット側信号用端子収容部31fが板状壁部31aを貫通するように形成されている(
図14から
図16参照)。また、ソケットハウジング31には、ソケット側電源用端子33が収容されるソケット側電源用端子収容部31gが板状壁部31aを貫通するように形成されている。
【0120】
ソケット側信号用端子収容部31fは、長手方向壁部31hにソケット側信号用端子収容凹部31jを嵌合溝部31dと連通するように形成するとともに、島部31cにソケット側信号用端子収容凹部31mを嵌合溝部31dと連通するように形成することで、形成されている。
【0121】
また、ソケット側電源用端子収容部31gは、長手方向壁部31hにソケット側電源用端子収容凹部31kを嵌合溝部31dと連通するように形成するとともに、島部31cにソケット側電源用端子収容凹部31nを嵌合溝部31dと連通するように形成することで、形成されている。
【0122】
そして、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33は、ソケットハウジング31の裏面側からソケット側信号用端子収容部31fおよびソケット側電源用端子収容部31gにそれぞれ圧入される。
【0123】
次に、
図17および
図18を参照しながら、ソケット側信号用端子32の構成を説明する。
【0124】
ソケット側信号用端子32は、金属成形により製造されており、導電体である。そして、このソケット側信号用端子32は、ソケットハウジング31の側面から突出する付け根部(第1のソケット端子側固定部)32aを備えている。付け根部32aは、第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される部位である。また、付け根部32aの下面は、第1の回路基板60の主表面Mに沿って延び、ソケットハウジング31の底面(板状壁部31aの裏面)と同一平面内に位置付けられている。
【0125】
ソケット側信号用端子32は、付け根部32aから立上がり、第1の回路基板60から離れるように延びる立上り部32bを備えている。立上り部32bは、付け根部32aから曲がってソケット側信号用端子収容凹部31j内に入り、長手方向壁部31hの内面31uに沿って延びている。
【0126】
ソケット側信号用端子32は、立上り部32bの上端にその一方端が連続する反転U字状部32cを備えている。反転U字状部32cは、文字「U」が上下逆さまに配置された形状を有している。なお、反転U字状部32cは、先端面32nと、当該先端面32nの長手方向X両側に連設される傾斜面32pとを有しており、水平断面視で略台形状に突出する突状に形成されている。
【0127】
ソケット側信号用端子32は、反転U字状部32cの他方端に連続する係止部32dを備えている。本実施形態では、係止部32dは、ソケット側信号用端子32におけるソケットハウジング31の長手方向Xの一端から他端にかけて形成されている。すなわち、ソケット側信号用端子32の幅方向全体に亘って、段差状の係止部32dが形成されている。
【0128】
この係止部32dは、上述したように、ヘッダ側信号用端子22がソケット側信号用端子32から引き抜かれるときに、被係止部22eの移動を抑制する部分として機能する。つまり、ソケット側信号用端子32の係止部32dは、ヘッダ側信号用端子22の被係止部22eに当接し、被係止部22eを係止し得る。ソケット側信号用端子32の係止部32dおよびヘッダ側信号用端子22の被係止部22eは、所定値以上の外力を加えることにより、係止を解除することが可能なロック機構を構成している。
【0129】
係止部32dは、ソケット側信号用端子32の厚さを部分的に異ならせる母材の圧延により製造されてもよいが、ソケット側信号用端子32の母材を厚さ方向に曲げる成形により製造されてもよい。
【0130】
また、ソケット側信号用端子32は、係止部32dに連続し、立上り部32bにほぼ平行に延びる立下り部32eを有している。
【0131】
そして、ソケット側信号用端子32は、立下り部32eの下端に連続する傾斜部32fを備えている。なお、ソケット側信号用端子32が、傾斜部32fにかえて第1の円弧状部32fを備えるようにしてもよい。
【0132】
ソケット側信号用端子32は、
図23および
図24に示すように、傾斜部32fに連続する対向部32zを備えている。対向部32zは、次に説明する平坦部32g、第1の斜め部32h、第2の円弧状部32i、第2の斜め部32j、円弧状突起部32k、および先端部32mを含んでいる。対向部32zは、具体的には次のようなものである。
【0133】
対向部32zは、傾斜部32fの下端に連続する平坦部32gを備えている。平坦部32gは、
図23に示すように、立下り部32eから離れるように、第1の回路基板60の主表面Mに沿って延びている。ただし、平坦部32gは、主表面Mに平行である必要はない。平坦部32gは、後述するばね部のばね長を大きくするために設けられている。
【0134】
対向部32zは、
図23に示すように、平坦部32gに連続し、第1の回路基板60の主表面Mに対して斜め方向に延びる第1の斜め部32hを備えている。第1の斜め部32hは、第1の回路基板60から離れるにしたがって、立下り部32eから離れるように延びている。第1の斜め部32hは第2の円弧状部32iに連続している。第2の円弧状部32iは、立下り部32eから離れるように突出する湾曲部である。第2の円弧状部32iは、第1の回路基板60の主表面Mに対して斜め方向に延びる第2の斜め部32jに連続している。第2の斜め部32jは、第1の回路基板60から離れるにしたがって、立下り部32eに近づくように延びている。したがって、第2の斜め部32jは、第1の斜め部32hの上方に位置付けられている。
【0135】
対向部32zは、
図23に示すように、第2の斜め部32jの上端に、その一方端が連続する円弧状突起部32kを備えている。円弧状突起部32kは、先端面32rと、当該先端面32rの長手方向X両側に連設される傾斜面32sとを有しており、水平断面視で略台形状に突出する突状に形成されている。
【0136】
この円弧状突起部32kは、
図23に示すように、ヘッダ側信号用端子22の凹部22cに嵌まり込む。円弧状突起部32kの他方端は先端部32mに連続している。先端部32mは、第2の斜め部32jにほぼ平行に延びている。
図23および
図24から分かるように、対向部32z(32g,32h,32i,32j,32k,32m)は、傾斜部32fの下端に連続し、全体として立下り部32eに対向している。
【0137】
本実施形態においては、ヘッダ20とソケット30とが嵌合する時には、
図24に示すように、ヘッダ側信号用端子22は、反転U字状部32cと円弧状突起部32kとの間に挿入される。このとき、立下り部32e、傾斜部32f、平坦部32g、第1の斜め部32h、円弧状部32i、第2の斜め部32j、円弧状突起部32k、および先端部32mは、一体となって、ばね部として機能する。ばね部(32e,32f,32g,32h,32i,32j,32k,32m)は、ヘッダ側信号用端子22の凸部がソケット側信号用端子32の凹部に挿入されると、弾性変形する。それにより、立下り部32eおよび反転U字状部32cとの2つの部分と円弧状突起部32kとの間の距離が大きくなる。このとき、ヘッダ側信号用端子22の被係止部22eが、ソケット側信号用端子32の係止部32dよりも下方に挿入される。それにより、ソケット側信号用端子32の円弧状突起部32kがヘッダ側信号用端子22の凹部22cに嵌まり込む。
【0138】
ヘッダ側信号用端子22がソケット側信号用端子32に嵌合した状態では、弾性変形したばね部に復元力が生じる。この復元力により、円弧状突起部32kは、ヘッダ側信号用端子22を立下り部32eおよび反転U字状部32cのそれぞれに対して押し付ける。それにより、ヘッダ側信号用端子22は、ソケット側信号用端子32に挟持される。このとき、ヘッダ側信号用端子22は、ソケット側信号用端子32の反転U字状部32c、立下り部32e、および円弧状突起部32kのそれぞれに接触する。
【0139】
具体的には、
図23および
図24に示すように、ヘッダ側信号用端子22の先端部22dが、ソケット側信号用端子32の立下り部32eに接触する。すなわち、ソケット側信号用端子32の接点部(第1のソケット端子側接点部)R1およびヘッダ側信号用端子22の接点部(第1のヘッダ端子側接点部)R1が互いに接触することとなる。
【0140】
また、ヘッダ側信号用端子22の凹部22cは、ソケット側信号用端子32の円弧状突起部32kに接触する。すなわち、ソケット側信号用端子32の接点部(第1のソケット端子側接点部)R2およびヘッダ側信号用端子22の接点部(第1のヘッダ端子側接点部)R2が互いに接触することとなる。
【0141】
このように、ヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32は、幅方向Yに離間した複数の接点(接点部R1および接点部R2の2つの接点部)で接触する。そのため、ヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32との電気的接続の信頼性が高い。
【0142】
さらに、本実施形態では、互いに接触するソケット側信号用端子32の接点部R2およびヘッダ側信号用端子22の接点部R2のうちいずれか一方の接点部であるヘッダ側信号用端子22の接点部R2に、凹部22cが形成されている。そして、他方の接点部であるソケット側信号用端子32の接点部R2が、凹部22cにおけるソケットハウジング31の長手方向X両端部で接触するようにしている。
【0143】
具体的には、ソケット側信号用端子32の円弧状突起部32kが凹部22cに嵌まり込む際に、円弧状突起部32kの先端面32rと傾斜面32sとの境界部分が傾斜面22hにそれぞれ接触している。このように、本実施形態では、ソケット側信号用端子32の接点部R2が、ヘッダ側信号用端子22の接点部R2に2点で接触するようにしている。
【0144】
なお、ばね部の弾性変形に起因して、接点部R1、接点部R2以外に、平坦部32gと第1の斜め部32hとの境界部が第1の回路基板60に接点部R5で接触する場合もある。
【0145】
このように、本実施形態のヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32とは、幅方向Yに離間した複数の接点で接している。しかしながら、本発明のヘッダ側信号用端子とソケット側信号用端子とは、例えば、ヘッダ側信号用端子の内側面とソケット側信号用端子の対向部との1接点のみで接触するものであってもよい。
【0146】
なお、ばね部(32e,32f,32g,32h,32i,32j,32k,32m)は、U字状部(32e,32f,32g,32h,32i,32j)と、当該U字状部(32e,32f,32g,32h,32i,32j)の一端(32j側)に連設された自由端部(32k,32m)とで構成されている。そして、自由端部(32k,32m)の円弧状突起部32kに、ソケット側信号用端子32の接点部R2が設けられている。
【0147】
このように、ソケット側信号用端子32は、U字状部(32e,32f,32g,32h,32i,32j)を有しており、当該U字状部(32e,32f,32g,32h,32i,32j)の一端(32j側)には、接点部R2が設けられる自由端部(32k,32m)が連設されている。
【0148】
このようなソケット側信号用端子32は、所定厚さを持った帯状の金属材を湾曲成形することにより形成することができる。
【0149】
また、ソケット側信号用端子32は、ソケット30を組み立てる際に、ソケットハウジング31の裏面側(
図14の下側)からソケット側信号用端子収容部31fに挿入(圧入)することで、ソケットハウジング31に装着されている。
【0150】
なお、ソケット側信号用端子32をソケットハウジング31にインサート成形する等して、ソケット側信号用端子32をソケットハウジング31に装着するようにしてもよい。
【0151】
次に、
図19および
図20を参照しながら、ソケット側電源用端子33の構成を説明する。
【0152】
ソケット側電源用端子33は、金属成形により製造されており、導電体である。そして、このソケット側電源用端子33は、ソケットハウジング31の側面から突出する付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aを備えている。付け根部33aは、第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される部位である。また、付け根部33aの下面は、第1の回路基板60の主表面Mに沿って延び、ソケットハウジング31の底面(板状壁部31aの裏面)と同一平面内に位置付けられている。
【0153】
ソケット側電源用端子33は、付け根部33aから立上がり、第1の回路基板60から離れるように延びる立上り部33bを備えている。立上り部33bは、付け根部33aから曲がってソケット側電源用端子収容凹部31k内に入り、長手方向壁部31hの内面31uに沿って延びている。
【0154】
ソケット側電源用端子33は、立上り部33bの上端にその一方端が連続する反転U字状部33cを備えている。反転U字状部33cは、文字「U」が上下逆さまに配置された形状を有している。なお、反転U字状部33cは、先端面33rと、当該先端面33rの長手方向X両側に連設される傾斜面33sとを有しており、水平断面視で略台形状に突出する突状に形成されている。
【0155】
ソケット側電源用端子33は、反転U字状部33cの他方端に連続する係止部33dを備えている。この係止部33dは、上述したように、ヘッダ側電源用端子23がソケット側電源用端子33から引き抜かれるときに、被係止部23dの移動を抑制する部分として機能する。つまり、ソケット側電源用端子33の係止部33dは、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dに当接し、被係止部23dを係止し得る。ソケット側電源用端子33の係止部33dおよびヘッダ側電源用端子23の被係止部23dは、所定値以上の外力を加えることにより、係止を解除することが可能なロック機構を構成している。
【0156】
係止部33dは、ソケット側電源用端子33の厚さを部分的に異ならせる母材の圧延により製造されてもよいが、ソケット側電源用端子33の母材を厚さ方向に曲げる成形により製造されてもよい。
【0157】
また、ソケット側電源用端子33は、係止部33dに連続し、立上り部33bにほぼ平行に延びる立下り部33eを有している。
【0158】
そして、ソケット側電源用端子33は、立下り部33eの下端に連続する傾斜部33fを備えている。なお、ソケット側電源用端子33が傾斜部33fにかえて第1の円弧状部33fを備えるようにしてもよい。
【0159】
ソケット側電源用端子33は、
図25および
図26に示すように、傾斜部33fに連続する対向部33zを備えている。対向部33zは、次に説明する平坦部33g、第1の斜め部33h、第2の円弧状部33i、第2の斜め部33j、円弧状突起部33k、および先端部33mを含んでいる。対向部33zは、具体的には次のようなものである。
【0160】
対向部33zは、傾斜部33fの下端に連続する平坦部33gを備えている。平坦部33gは、
図25に示すように、立下り部33eから離れるように、第1の回路基板60の主表面Mに沿って延びている。ただし、平坦部33gは、主表面Mに平行である必要はない。平坦部33gは、後述するばね部のばね長を大きくするために設けられている。
【0161】
対向部33zは、
図25に示すように、平坦部33gに連続し、第1の回路基板60の主表面Mに対して斜め方向に延びる第1の斜め部33hを備えている。第1の斜め部33hは、第1の回路基板60から離れるにしたがって、立下り部33eから離れるように延びている。第1の斜め部33hは第2の円弧状部33iに連続している。第2の円弧状部33iは、立下り部33eから離れるように突出する湾曲部である。第2の円弧状部33iは、第1の回路基板60の主表面Mに対して斜め方向に延びる第2の斜め部33jに連続している。第2の斜め部33jは、第1の回路基板60から離れるにしたがって、立下り部33eに近づくように延びている。したがって、第2の斜め部33jは、第1の斜め部33hの上方に位置付けられている。
【0162】
対向部33zは、
図35に示すように、第2の斜め部33jの上端に、その一方端が連続する円弧状突起部33kを備えている。円弧状突起部33kは、先端面33vと、当該先端面33vの長手方向X両側に連設される傾斜面33wとを有しており、水平断面視で略台形状に突出する突状に形成されている。
【0163】
この円弧状突起部33kは、
図25に示すように、ヘッダ側電源用端子23の凹部23bに嵌まり込む。円弧状突起部33kの他方端は先端部33mに連続している。先端部33mは、第2の斜め部33jにほぼ平行に延びている。
図25および
図26から分かるように、対向部33z(33g,33h,33i,33j,33k,33m)は、傾斜部33fの下端に連続し、全体として立下り部33eに対向している。
【0164】
このように、本実施形態では、ソケット側信号用端子32の側面形状とソケット側電源用端子33の側面形状とが略同一形状をしている(
図18(a)および
図20(a)参照)。
【0165】
そして、本実施形態においては、ヘッダ20とソケット30とが嵌合する時には、
図26に示すように、ヘッダ側電源用端子23は、ソケット側信号用端子32と同様に、反転U字状部33cと円弧状突起部33kとの間に挿入される。このとき、立下り部33e、傾斜部33f、平坦部33g、第1の斜め部33h、円弧状部33i、第2の斜め部33j、円弧状突起部33k、および先端部33mは、一体となって、ばね部として機能する。ばね部(33e,33f,33g,33h,33i,33j,33k,33m)は、ヘッダ側電源用端子23の凸部がソケット側電源用端子33の凹部に挿入されると、弾性変形する。
【0166】
なお、本実施形態では、傾斜部33fから先端部33mまでの部位における幅(長手方向Xに沿った幅)が、立上り部33b、反転U字状部33c、係止部33dおよび立下り部33eの幅(長手方向Xに沿った幅)よりも狭くなっている。したがって、ばね部(33e,33f,33g,33h,33i,33j,33k,33m)は、傾斜部33fから先端部33mまでの部分が特に弾性変形し易くなっている。
【0167】
そして、ばね部(33e,33f,33g,33h,33i,33j,33k,33m)が弾性変形すると、立下り部33eおよび反転U字状部33cとの2つの部分と円弧状突起部33kとの間の距離が大きくなる。このとき、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dが、ソケット側電源用端子33の係止部33dよりも下方に挿入される。それにより、ソケット側電源用端子33の円弧状突起部33kがヘッダ側電源用端子23の凹部23bに嵌まり込む。
【0168】
ヘッダ側電源用端子23がソケット側電源用端子33に嵌合した状態では、弾性変形したばね部に復元力が生じる。この復元力により、円弧状突起部33kは、ヘッダ側電源用端子23を立下り部33eおよび反転U字状部33cのそれぞれに対して押し付ける。それにより、ヘッダ側電源用端子23は、ソケット側電源用端子33に挟持される。このとき、ヘッダ側電源用端子23は、ソケット側電源用端子33の反転U字状部33c、立下り部33e、および円弧状突起部33kのそれぞれに接触する。
【0169】
具体的には、
図25および
図26に示すように、ヘッダ側電源用端子23の先端部23cが、ソケット側電源用端子33の立下り部33eに接触する。すなわち、ソケット側電源用端子33の接点部(第2のソケット端子側接点部)R3およびヘッダ側電源用端子23の接点部(第2のヘッダ端子側接点部)R3が互いに接触することとなる。
【0170】
また、ヘッダ側電源用端子23の凹部23bは、ソケット側電源用端子33の円弧状突起部33kに接触する。すなわち、ソケット側電源用端子33の接点部(第2のソケット端子側接点部)R4およびヘッダ側電源用端子23の接点部(第2のヘッダ端子側接点部)R4が互いに接触することとなる。
【0171】
このように、ヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33は、幅方向Yに離間した複数の接点(接点部R3および接点部R4の2つの接点部)で接触する。そのため、ヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33との電気的接続の信頼性が高い。
【0172】
そして、ソケット側電源用端子33の2箇所に設けられた接点部R3および接点部R4は、接点部R3が接点部R4よりも付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aに近い側に位置している。
【0173】
そして、本実施形態では、接点部R3および接点部R4のうち付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aに近い側に位置する接点部R3の断面積が、他方側に位置する接点部R4の断面積よりも大きくなるようにしている。かかる構成は、例えば、ソケット側電源用端子33の接点部R3および接点部R4における幅(長手方向Xに沿った幅)や厚さ(板厚)を適宜設定することで得ることができる。
【0174】
本実施形態では、ソケット側電源用端子33の接点部R3における幅(長手方向Xに沿った幅)が、接点部R4における幅(長手方向Xに沿った幅)よりも広くなるようにしている。
【0175】
また、本実施形態では、付け根部33aは、ソケットハウジング31の長手方向Xに沿った幅が、立上り部33bの長手方向Xに沿った幅よりも狭くなるように形成されている。そして、付け根部33aは、立上り部33bの長手方向Xの外側の部分(X方向で隣り合うソケット側信号用端子32から離れた側)に連設されている。
【0176】
さらに、付け根部33aは、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33をソケットハウジング31に配置した状態で、接点部R3および接点部R4に対して付け根部(第1のソケット端子側固定部)32aから離れる方向にオフセットしている。
【0177】
すなわち、付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aは、立上り部33bよりも長手方向Xの外側に突出した状態で立上り部33bに連設されている。
【0178】
こうすることで、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33をソケットハウジング31に配置した状態で、付け根部(第1のソケット端子側固定部)32aと付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aとの間の距離が、ソケット側信号用端子32の接点部(第1のソケット端子側接点部)R1,R2と、ソケット側電源用端子33の接点部(第2のソケット端子側接点部)R3,R4との間の距離よりも大きくなるようにしている。
【0179】
こうすれば、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33とソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32との絶縁距離(X方向で互いに隣り合う付け根部33aと付け根部32aとの距離)を長くすることができる。
【0180】
なお、付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aを立上り部33bよりも長手方向Xの外側に突出させずに、付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aの幅を小さくすることで、絶縁距離を長くすることも可能である。
【0181】
また、上述したように、ソケット側信号用端子32の側面形状とソケット側電源用端子33の側面形状とが略同一形状をしている。
【0182】
さらに、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33は、ソケットハウジング31の長手方向Xに沿って列状に配設されている。
【0183】
そして、ソケット側電源用端子33は、ソケットハウジング31の長手方向Xに沿った幅が、ソケット側信号用端子32の長手方向Xに沿った幅よりも広くなるように形成されている。
【0184】
すなわち、本実施形態では、ソケット側電源用端子33よりもソケットハウジング31の長手方向Xの幅が狭いソケット側信号用端子32を有するようにしている。なお、本実施形態では、全てのソケット側信号用端子32が、ソケット側電源用端子33よりもソケットハウジング31の長手方向Xの幅が狭くなっている。
【0185】
さらに、本実施形態では、ソケット側電源用端子33の厚さ(板厚)を、ソケット側信号用端子32の厚さ(板厚)よりも薄くなるようにしている。
【0186】
また、係止部33dが、ソケット側電源用端子33におけるソケットハウジング31の長手方向Xの一端から他端にかけて形成されている。すなわち、幅広のソケット側電源用端子33の幅方向全体に亘って、段差状の係止部33dを形成している。こうすることで、ヘッダ側電源用端子23の被係止部23dおよびソケット側電源用端子33の係止部33dによるロック力を向上させることができる。また、ヘッダ20およびソケット30の挿抜を繰り返した際にも、係止部33dが摩耗しにくくなるため、製品の長寿命化を図ることが可能となる。
【0187】
さらに、本実施形態では、ばね部(33e,33f,33g,33h,33i,33j,33k,33m)は、U字状部(33e,33f,33g,33h,33i,33j)と、当該U字状部(33e,33f,33g,33h,33i,33j)の一端(33j側)に連設された自由端部(33k,33m)とで構成されている。そして、自由端部(33k,33m)の円弧状突起部33kに、ソケット側信号用端子33の接点部R4が設けられている。
【0188】
このように、ソケット側電源用端子33は、U字状部(33e,33f,33g,33h,33i,33j)を有しており、当該U字状部(33e,33f,33g,33h,33i,33j)の一端(33j側)には、接点部R4が設けられる自由端部(33k,33m)が連設されている。
【0189】
さらに、本実施形態では、互いに接触するソケット側電源用端子33の接点部R4およびヘッダ側電源用端子23の接点部R4のうちいずれか一方の接点部であるヘッダ側電源用端子23の接点部R4に、凹部23bが形成されている。そして、他方の接点部であるソケット側電源用端子33の接点部R4が、凹部23bにおけるソケットハウジング31の長手方向X両端部で接触するようにしている。
【0190】
具体的には、ソケット側電源用端子33の円弧状突起部33kが凹部23bに嵌まり込む際に、円弧状突起部33kの先端面33vと傾斜面33wとの境界部分が傾斜面23hにそれぞれ接触している。このように、本実施形態では、ソケット側電源用端子33の接点部R4が、ヘッダ側電源用端子23の接点部R4に2点で接触するようにしている。
【0191】
なお、ばね部の弾性変形に起因して、接点部R3、接点部R4以外に、平坦部33gと第1の斜め部33hとの境界部が第1の回路基板60に接点部R5で接触する場合もある。
【0192】
このように、本実施形態のヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33とは、幅方向Yに離間した複数の接点で接している。しかしながら、本発明のヘッダ側電源用端子とソケット側電源用端子とは、例えば、ヘッダ側電源用端子の内側面とソケット側電源用端子の対向部との1接点のみで接触するものであってもよい。
【0193】
このようなソケット側電源用端子33は、所定厚さを持った帯状の金属材を湾曲成形することにより形成することができる。
【0194】
また、ソケット側電源用端子33は、ソケット30を組み立てる際に、ソケットハウジング31の裏面側(
図15の下側)からソケット側電源用端子収容部31gに挿入(圧入)することで、ソケットハウジング31に装着されている。
【0195】
なお、ソケット側電源用端子33をソケットハウジング31にインサート成形する等して、ソケット側電源用端子33をソケットハウジング31に装着するようにしてもよい。
【0196】
次に、
図21および
図22を参照しながら、ソケット側保持金具34の構成を説明する。
【0197】
ソケット側保持金具34は、金属成形により製造されており、導電体である。このソケット側保持金具34は、例えば、所定厚さの金属板をプレス成形することにより形成された保持金具板を折曲形成することによって形成することができる。
【0198】
本実施形態では、ソケット側保持金具34は、幅方向(短手方向:一方向)Yに延在する第1の反転U字状部(第1のU字状部)35を備えている。
【0199】
また、ソケット側保持金具34は、長手方向(一方向と交差する方向)Xに延在し、第1の反転U字状部35の幅方向Yの一方側に配置される第2の反転U字状部(第2のU字状部)36を備えている。
【0200】
さらに、ソケット側保持金具34は、長手方向(一方向と交差する方向)Xに延在し、第1の反転U字状部35の幅方向Yの他方側に配置される第3の反転U字状部(第3のU字状部)37を備えている。
【0201】
本実施形態では、第2の反転U字状部36がソケット側電源用端子33と長手方向Xで隣り合うように配置されており、第3の反転U字状部37がソケット側信号用端子32と長手方向Xで隣り合うように配置されている。
【0202】
また、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37は、互いに離間した状態で配置されている。
【0203】
第1の反転U字状部35は、ソケットハウジング31の内面(短手方向壁部31iの内面31v)に沿うように配置される立上り部35aを備えている。この立上り部35aは、ソケットハウジング31の板状壁部31aと短手方向壁部31iとの接合部から立上がり、第1の回路基板60から離れるように延びている。
【0204】
また、第1の反転U字状部35は、立上り部35aの上端に連続する傾斜部35bを備えている。この傾斜部35bは、ソケットハウジング31のテーパ部31eと同様に、内側に向かうにつれて下方(板状壁部31a側)に位置するように傾斜している。
【0205】
また、第1の反転U字状部35は、傾斜部35bの上端に連続する円弧状部35cを備えている。円弧状部35cは、傾斜部35bから離れるように突出する湾曲部である。
【0206】
また、第1の反転U字状部35は、円弧状部35cに連続し、立上り部35aにほぼ平行に延びる立下り部35dを備えている。立下り部35dは、短手方向壁部31iの外面31tに沿って延びている。
【0207】
さらに、第1の反転U字状部35は、第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第1の固定部35eを備えている。
【0208】
本実施形態では、立下り部35dの先端(下端)の一部を板状壁部31aの外表面31wよりも若干突出させている。そして、外表面31wよりも若干突出させた立下り部35dの先端(下端)を第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第1の固定部35eしている。
【0209】
なお、本実施形態では、立下り部35dは、幅(幅方向Yの長さ)が円弧状部35cの幅(幅方向Yの長さ)よりも広く(大きく)なるように形成されている。そして、立下り部35dの幅方向Yの両端および中央部に、第1の固定部35eを形成している。
【0210】
さらに、立下り部35dの幅方向Yの両端側の先端は、XY平面(第1の回路基板60の主表面M)に沿って延在するように屈曲させた形状をしている。すなわち、立下り部35dの幅方向Yの両端側の先端をX方向外側に突出させることで、第1の固定部35eを立下り部35dの幅方向Yの両端側に形成している。一方、立下り部35dの幅方向Yの両端側の先端は屈曲された形状をしておらず、かかる部位に形成された第1の固定部35eは、先端を第1の回路基板60の主表面Mに突き当てるようにした状態で、第1の回路基板60の回路パターン61に固定される。
【0211】
このように、幅広の立下り部35dの両端および中央に第1の固定部35eを設けることで、ソケット側保持金具34をより強固に第1の回路基板60に固定することができるようになる。
【0212】
第2の反転U字状部36は、ソケットハウジング31の内面(長手方向壁部31hの内面31u)に沿うように配置される立上り部36aを備えている。この立上り部36aは、ソケットハウジング31の板状壁部31aと長手方向壁部31hとの接合部から立上がり、第1の回路基板60から離れるように延びている。
【0213】
また、第2の反転U字状部36は、立上り部36aの上端に連続する傾斜部36bを備えている。この傾斜部36bは、ソケットハウジング31のテーパ部31eと同様に、内側に向かうにつれて下方(板状壁部31a側)に位置するように傾斜している。
【0214】
また、第2の反転U字状部36は、傾斜部36bの上端に連続する円弧状部36cを備えている。円弧状部36cは、傾斜部36bから離れるように突出する湾曲部である。
【0215】
また、第2の反転U字状部36は、円弧状部36cに連続し、立上り部36aにほぼ平行に延びる立下り部36dを備えている。立下り部36dは、長手方向壁部31hの外面31sに沿って延びている。
【0216】
さらに、第2の反転U字状部36は、第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第2の固定部36eを備えている。
【0217】
本実施形態では、立下り部36dの先端(下端)の一部(X方向中央部)を板状壁部31aの外表面31wよりも若干突出させている。そして、外表面31wよりも若干突出させた立下り部36dの先端(下端)を第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第2の固定部36eしている。
【0218】
なお、本実施形態では、第2の固定部36eは、先端を第1の回路基板60の主表面Mに突き当てるようにした状態で、第1の回路基板60の回路パターン61に固定される。
【0219】
第3の反転U字状部37、ソケットハウジング31の内面(長手方向壁部31hの内面31u)に沿うように配置される立上り部37aを備えている。この立上り部37aは、ソケットハウジング31の板状壁部31aと長手方向壁部31hとの接合部から立上がり、第1の回路基板60から離れるように延びている。
【0220】
また、第3の反転U字状部37は、立上り部37aの上端に連続する傾斜部37bを備えている。この傾斜部37bは、ソケットハウジング31のテーパ部31eと同様に、内側に向かうにつれて下方(板状壁部31a側)に位置するように傾斜している。
【0221】
また、第3の反転U字状部37は、傾斜部37bの上端に連続する円弧状部37cを備えている。円弧状部37cは、傾斜部37bから離れるように突出する湾曲部である。
【0222】
また、第3の反転U字状部37は、円弧状部37cに連続し、立上り部37aにほぼ平行に延びる立下り部37dを備えている。立下り部37dは、長手方向壁部31hの外面31sに沿って延びている。
【0223】
さらに、第3の反転U字状部37は、第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第3の固定部37eを備えている。
【0224】
本実施形態では、立下り部37dの先端(下端)の一部(X方向中央部)を板状壁部31aの外表面31wよりも若干突出させている。そして、外表面31wよりも若干突出させた立下り部37dの先端(下端)を第1の回路基板60の回路パターン61に半田70によって固定される第3の固定部37eしている。
【0225】
なお、本実施形態では、第3の固定部37eは、先端を第1の回路基板60の主表面Mに突き当てるようにした状態で、第1の回路基板60の回路パターン61に固定される。
【0226】
このように、本実施形態では、ソケット側保持金具34は、第1の反転U字状部35の近傍に形成された第1の固定部35eと、第2の反転U字状部36の近傍に形成された第2の固定部36eと、第3の反転U字状部37の近傍に形成された第3の固定部37eと、を有している。
【0227】
そして、第1の固定部35eが第1の反転U字状部35に連設され、第2の固定部36eが第2の反転U字状部36に連設され、第3の固定部37eが第3の反転U字状部37に連設されている。
【0228】
さらに、本実施形態では、第2の反転U字状部36における第2の固定部36eが形成されていない側が第1の反転U字状部35における第1の固定部35eが連設されていない側に連設されている。
【0229】
具体的には、第2の反転U字状部36の立上り部36aと第1の反転U字状部35の立上り部35aとが連結部38によって連設されている。
【0230】
連結部38は、立上り部36aの下端の長手方向Xの外側と立上り部35aの下端の幅方向Yの外側とを連結している。
【0231】
一方、第3の反転U字状部37における第3の固定部37eが形成されていない側も、第1の反転U字状部35における第1の固定部35eが連設されていない側に連設されている。
【0232】
具体的には、第3の反転U字状部37の立上り部37aと第1の反転U字状部35の立上り部35aとが連結部39によって連設されている。
【0233】
連結部39は、立上り部37aの下端の長手方向Xの外側と立上り部35aの下端の幅方向Yの外側とを連結している。
【0234】
このように、本実施形態では、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37の連設されていない自由端に、第1の固定部35e、第2の固定部36eおよび第3の固定部37eを設けている。
【0235】
こうすることで、3方向(長手方向Xの一端および幅方向Yの両端)に固定箇所が形成されることとなるため、ソケット側保持金具34をより強固に第1の回路基板60に固定することができるようになる。
【0236】
特に、ソケット側保持金具34自由端に固定部を設けているため、ソケット側保持金具34が変形し難くなって、ソケット側保持金具34をより一層強固に第1の回路基板60に固定することができるようになる。
【0237】
また、本実施形態では、ソケット側保持金具34は、インサート成形によって、ソケットハウジング31に装着(配設)されている。このとき、ソケット側保持金具34の少なくとも一部がソケットハウジング31に沿って露出するようにしている。
【0238】
すなわち、ソケット側保持金具34の少なくとも一部がソケットハウジング31の外面に沿って露出している。
【0239】
具体的には、第1の反転U字状部35を、短手方向壁部31iの内面(周壁部31bの内面31r)31v側から短手方向壁部31iの外面(周壁部31bの外面31p)31t側にかけて露出させている。
【0240】
本実施形態では、第1の反転U字状部35のほぼ全体(立上り部35a、傾斜部35b、円弧状部35c、立下り部35dおよび第1の固定部35e)をソケットハウジング31の外面に沿って露出させている。
【0241】
このとき、周壁部31bおよび板状壁部31aの外面の一部とソケット側保持金具34の立下り部35dとが略面一の状態となるようにしている。換言すると、周壁部31bの外面にソケット側保持金具34の立下り部35dが略面一の状態で露出するように、ソケットハウジング31にソケット側保持金具34が一体成形されている。
【0242】
また、第2の反転U字状部36を、長手方向壁部31hの内面(周壁部31bの内面31r)31u側から長手方向壁部31hの外面(周壁部31bの外面31p)31s側にかけて露出させている。
【0243】
本実施形態では、第2の反転U字状部36のほぼ全体(立上り部36a、傾斜部36b、円弧状部36c、立下り部36dおよび第2の固定部36e)をソケットハウジング31の外面に沿って露出させている。
【0244】
このとき、周壁部31bおよび板状壁部31aの外面の一部とソケット側保持金具34の立下り部36dとが略面一の状態となるようにしている。換言すると、周壁部31bの外面にソケット側保持金具34の立下り部36dが略面一の状態で露出するように、ソケットハウジング31にソケット側保持金具34が一体成形されている。
【0245】
また、第3の反転U字状部37を、長手方向壁部31hの内面(周壁部31bの内面31r)31u側から長手方向壁部31hの外面(周壁部31bの外面31p)31s側にかけて露出させている。
【0246】
本実施形態では、第3の反転U字状部37のほぼ全体(立上り部37a、傾斜部37b、円弧状部37c、立下り部37dおよび第3の固定部37e)をソケットハウジング31の外面に沿って露出させている。
【0247】
このとき、周壁部31bおよび板状壁部31aの外面の一部とソケット側保持金具34の立下り部37dとが略面一の状態となるようにしている。換言すると、周壁部31bの外面にソケット側保持金具34の立下り部37dが略面一の状態で露出するように、ソケットハウジング31にソケット側保持金具34が一体成形されている。
【0248】
なお、本実施形態では、連結部38および連結部39が、ソケットハウジング31の底面(板状壁部31aの外表面31w)に対して面一の状態でなく露出しているが、連結部38および連結部39を、ソケットハウジング31の底面(板状壁部31aの外表面31w)に対して面一の状態で露出させることも可能である。また、ソケット側保持金具34は、周壁部31bの外面31pに露出させる必要はなく、また、露出させる場合であっても、周壁部31bの外面31pに対して面一の状態で露出させる必要はない。
【0249】
そして、
図25および
図26に示すように、ヘッダハウジング21の周壁部21bをソケットハウジング31の嵌合溝部31dに挿入して嵌合することで、ヘッダ20がソケット30に嵌合される。
【0250】
なお、ヘッダ20をソケット30に嵌合させる際には、例えば、Y方向(幅方向:短手方向)一端側の長辺部分に形成されたテーパ部31eとテーパ部21dとを重ね合わせ、Y方向(幅方向:短手方向)他端側にずらしながら嵌合させるようにすることができる。
こうすれば、テーパ部31eおよびテーパ部21dを誘い込み部として機能させることができ、より容易にヘッダ20をソケット30に嵌合させることができるようになる。
【0251】
このとき、ヘッダ側保持金具24における下壁部24aと側壁部との接合部分(湾曲部分)が傾斜部35b,36b,37bの少なくともいずれかに接触しながら嵌合溝部31d内に導入される。
【0252】
そして、ヘッダ20をソケット30に嵌合させた状態では、ソケット側信号用端子32の接点部R1およびヘッダ側信号用端子22の接点部R1が互いに接触することとなる。
【0253】
また、ソケット側信号用端子32の接点部R2およびヘッダ側信号用端子22の接点部R2が互いに接触することとなる。
【0254】
そして、ソケット側電源用端子33の接点部R3およびヘッダ側電源用端子23の接点部R3が互いに接触することとなる。
【0255】
また、ソケット側電源用端子33の接点部R4およびヘッダ側電源用端子23の接点部R4が互いに接触することとなる。
【0256】
その結果、ソケット側信号用端子32とヘッダ側信号用端子22とが電気的に接続されるとともに、ソケット側電源用端子33とヘッダ側電源用端子23とが電気的に接続される。
【0257】
また、ヘッダ側保持金具24とソケット側保持金具34とが、ソケット側電源用端子33およびヘッダ側電源用端子23を介して電気的に接続される。
【0258】
こうして、第1の回路基板60の回路パターン61と第2の回路基板40の回路パターン41とが相互に電気的に接続されることとなる。
【0259】
このとき、ヘッダ側保持金具24の第1側壁部24bや側片24cが、ソケット側保持金具34の立下り部35d,36d,37dのいずれかに接触するようにしてもよい。また、ヘッダ20をソケット30に嵌合させた状態で、ヘッダ側保持金具24とソケット側保持金具34とが接触しない構成とすることも可能である。
【0260】
一方、ヘッダ20とソケット30とを離脱させる際には、これら両者を引き剥がし方向に抜去する。すると、段差状の係止部32dと段差状の被係止部22eとが相対摺動しつつ、ソケット側信号用端子32のばね部(32e,32f,32g,32h,32i,32j,32k,32m)が弾性変形し、係止部33dと被係止部32eとの係止が解除される。このとき、円弧状突起部32kの凹部22cへの嵌まり込みも解除される。
【0261】
また、段差状の係止部33dと段差状の被係止部23dとが相対摺動しつつ、ソケット側電源用端子33のばね部(33e,33f,33g,33h,33i,33j,33k,33m)が弾性変形し、係止部33dと被係止部23dとの係止が解除される。このとき、円弧状突起部33kの凹部23bへの嵌まり込みも解除される。
【0262】
こうして、ヘッダ20とソケット30とを分離させることができるようになる。
【0263】
なお、ヘッダ側保持金具24およびソケット側保持金具34にロック機構を設け、ヘッダ20をソケット30に嵌合させた状態で、ヘッダ側保持金具24とソケット側保持金具34とが互いに係合するようにしてもよい。
【0264】
なお、本実施形態では、ヘッダ側信号用端子22およびヘッダ側電源用端子23は、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させる際にソケット30側となる先端部分のZ方向の高さが略同じとなるようにヘッダハウジング21に取り付けられている。
【0265】
一方、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33は、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させる際にヘッダ20側となる先端部分のZ方向の高さが略同じとなるようにソケットハウジング31に取り付けられている。
【0266】
したがって、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させる際には、ヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33との接触と、ヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32との接触とが略同時になされることとなる。
【0267】
また、ヘッダ20とソケット30とを分離させる際には、ヘッダ側電源用端子23とソケット側電源用端子33との接触解除と、ヘッダ側信号用端子22とソケット側信号用端子32との接触解除とが略同時になされることとなる。
【0268】
また、本実施形態では、上述したように、ヘッダハウジング21の長手方向X両端部にはヘッダ側保持金具24が、ソケットハウジング31の長手方向X両端部にはソケット側保持金具34が配設されている。このヘッダ側保持金具24およびソケット側保持金具34は、ヘッダハウジング21およびソケットハウジング31の強度を高めるとともに、上述した回路基板にそれぞれ取付固定するために用いられるものである。
【0269】
本実施形態では、ヘッダ側保持金具24の固定部を第2の回路基板40に半田付けすることで、ヘッダ20が第2の回路基板40に対して強固に結合されるようにしている。
【0270】
また、ソケット側保持金具34の固定部を第1の回路基板60に半田付けすることで、ソケット30が第1の回路基板60に対して強固に結合されるようにしている。
【0271】
このような構成によれば、各回路基板に強固に結合されたヘッダ20とソケット30とを相互に嵌合させることができる。
【0272】
以上、説明したように、本実施形態のソケット側保持金具(一方のコネクタ接続体で用いられる保持金具)34は、ソケット30のソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31にインサート成形されるものである。
【0273】
このソケット側保持金具34は、幅方向(一方向)Yに延在する第1の反転U字状部(第1のU字状部)35と、長手方向(一方向と交差する方向)Xに延在し、第1の反転U字状部35の幅方向(一方向)Yの一方側に配置される第2の反転U字状部(第2のU字状部)36と、長手方向(一方向と交差する方向)Xに延在し、第1の反転U字状部35の幅方向(一方向)Yの他方側に配置される第3の反転U字状部(第3のU字状部)37と、を備えている。
【0274】
そして、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37が、ソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31の周壁部31bにインサート成形されている。
【0275】
こうすれば、ソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31の強度をより向上させることができるようになる。
【0276】
このように、本実施形態によれば、ソケット(コネクタ接続体)30のソケットハウジング(ハウジング)31の強度をより向上させることのできるソケット側保持金具(保持金具)34を得ることができる。また、ソケット側保持金具(保持金具)34を備えるソケット(コネクタ接続体)30およびコネクタ10を得ることができる。
【0277】
また、本実施形態では、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37が、周壁部31bの内面31r側に露出している。
【0278】
例えば、各反転U字状部をソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31に埋設した場合には、ソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31が分断されてしまう。これに対して、本実施形態のように、各反転U字状部を周壁部31bの内面31r側に露出させるようにすれば、ソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31が分断されてしまうのを抑制することができる。その結果、ソケットハウジング(コネクタ接続体のハウジング)31の強度をより向上させることができるようになる。
【0279】
また、本実施形態では、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37が、周壁部31bの内面31r側から外面31p側にかけて露出している。
【0280】
こうすれば、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させる際等に、周壁部31bが変形してしまうのを抑制することができるようになる。
【0281】
また、本実施形態では、第1の回路基板(回路基板)60に固定される固定部をさらに備えている。
【0282】
そして、この固定部は、第1の反転U字状部35の近傍に形成された第1の固定部35eと、第2の反転U字状部36の近傍に形成された第2の固定部36eと、第3の反転U字状部37の近傍に形成された第3の固定部37eと、を有している。
【0283】
こうすれば、ソケット30をより強固に第1の回路基板(回路基板)60に固定することが可能となる。
【0284】
また、本実施形態では、第1の固定部35eが第1の反転U字状部35に連設され、第2の固定部36eが第2の反転U字状部36に連設され、第3の固定部37eが第3の反転U字状部37に連設されている。
【0285】
さらに、本実施形態では、第2の反転U字状部36における第2の固定部36eが形成されていない側が第1の反転U字状部35における第1の固定部35eが連設されていない側に連設されている。
【0286】
こうすれば、ソケット30をより一層強固に第1の回路基板(回路基板)60に固定することが可能となる。
【0287】
なお、固定部(第1の固定部35e、第2の固定部36eおよび第3の固定部37e)とソケットハウジング31との間には、隙間d2が形成されている。この隙間d2は、固定部を半田付けする際の半田の逃げ部としての機能やソケットハウジング31の温度が高くなりすぎてしまうのを抑制する放熱部としての機能を有している。
【0288】
また、本実施形態では、第1の反転U字状部35、第2の反転U字状部36および第3の反転U字状部37が、ヘッダ(コネクタ接続体の相手側の部材)20に設けられたヘッダ側保持金具(金具)24に電気的に接続されている。
【0289】
こうすれば、ソケット側保持金具34やヘッダ側保持金具(金具)24で生じる熱をより効率よく放熱させることができるようになる。その結果、定格電流をより向上させることができるようになる。
【0290】
また、本実施形態のコネクタ10は、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32と、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32よりも幅広のソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33と、が配設される略矩形状のソケットハウジング31を有するソケット30を備えている。
【0291】
また、コネクタ10は、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22と、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22よりも幅広のヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23と、が配設される略矩形状のヘッダハウジング21を有するヘッダ20を備えている。
【0292】
そして、ソケット側電源用端子(第2のヘッダ端子)33が、ソケットハウジング31の長手方向Xの一方側かつ短手方向Yの一方側、および、ソケットハウジング31の長手方向Xの他方側かつ短手方向Yの他方側の2箇所のみに配置されている。
【0293】
すなわち、ソケットハウジング31にはソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が2つだけ配置されており、2つのソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33は、矩形(長方形)状のソケットハウジング31の対角部分にそれぞれ配置されている。
【0294】
こうすれば、矩形(長方形)状のソケットハウジング31のソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が配置されていない対角部分にソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32を配置させることができるようになる。
【0295】
その結果、ソケットハウジング31の長手方向Xの小型化を図ることができる。
【0296】
また、本実施形態のソケット30は、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32と、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32よりも幅広のソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33と、が配設される略矩形状のソケットハウジング31を備えている。
【0297】
そして、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が、ソケットハウジング31の長手方向Xの一方側かつ短手方向Yの一方側、および、ソケットハウジング31の長手方向Xの他方側かつ短手方向Yの他方側の2箇所のみに配置されている。
【0298】
こうすれば、ソケットハウジング31の長手方向Xの小型化を図ることができる。
【0299】
また、本実施形態のヘッダ20は、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22と、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22よりも幅広のヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23と、が配設される略矩形状のヘッダハウジング21を備えている。
【0300】
そして、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23が、ヘッダハウジング21の長手方向Xの一方側かつ短手方向Yの一方側、および、ヘッダハウジング21の長手方向Xの他方側かつ短手方向Yの他方側の2箇所のみに配置されている。
【0301】
こうすれば、ヘッダハウジング21の長手方向Xの小型化を図ることができる。
【0302】
このように、本実施形態によれば、より小型化を図るこのできるコネクタ10、ヘッダ20およびソケット30を得ることができる。
【0303】
また、本実施形態では、ヘッダ20が、平面視で当該ヘッダ20の中心に対して点対称となるように形成されているとともに、ソケット30が、平面視で当該ソケット30の中心に対して点対称となるように形成されている。そのため、逆嵌合によるヘッダ20やソケット30の破損を抑制することができるようになる。
【0304】
また、本実施形態では、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32の側面形状とソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の側面形状とが略同一形状をしている。
【0305】
そして、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32およびソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が、ソケットハウジング31の長手方向Xに沿って列状に配置されている。
【0306】
こうすれば、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32およびソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の嵌合バランスがよくなるため、ヘッダ20をソケット30に嵌合させやすくなる。
【0307】
また、接触信頼性を向上させることのできる端子をより容易に設計することができるようになる上、ヘッダ20とソケット30との嵌合保持力をより向上させることができるようになる。
【0308】
また、本実施形態では、ソケット側信号用端子32がソケットハウジング31の長手方向Xに沿って複数配置されたソケット側信号用端子群(第1のソケット端子群)G4を有している。
【0309】
そして、ソケット側電源用端子33は、ソケット側信号用端子群G4よりもソケットハウジング31の長手方向Xの外側に配置されている。
【0310】
このように、発熱量の大きいソケット側電源用端子33をソケット側信号用端子群G4よりもソケットハウジング31の長手方向Xの外側に配置することで、放熱性を高めることができるようになる。
【0311】
また、複数のソケット側信号用端子32を、ソケット側電源用端子33に対して長手方向Xの片側だけに配置することで、ソケット側信号用端子32に生じるノイズを低減させることができるようになる。
【0312】
また、本実施形態では、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32は、ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22が接触する第1のソケット端子側接点部R1,R2と、第1の回路基板(回路基板)60に固定される付け根部(第1のソケット端子側固定部)32aと、を備えている。
【0313】
一方、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33は、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23が接触する第2のソケット端子側接点部R3,R4と、第1の回路基板(回路基板)60に固定される付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aと、を備えている。
【0314】
そして、ソケット側信号用端子32およびソケット側電源用端子33をソケットハウジング31に配置した状態で、付け根部(第1のソケット端子側固定部)32aと付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aとの間の距離が、ソケット側信号用端子32の接点部(第1のソケット端子側接点部)R1,R2と、ソケット側電源用端子33の接点部(第2のソケット端子側接点部)R3,R4との間の距離よりも大きくなるようにしている。
【0315】
こうすれば、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33とソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32との絶縁距離(X方向で互いに隣り合う付け根部33aと付け根部32aとの距離)を長くすることができる。
【0316】
また、本実施形態では、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33には、第2のソケット端子側接点部がR3とR4の2箇所に設けられている。
【0317】
そして、接点部R3および接点部R4のうち付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aに近い側に位置する接点部R3の断面積が、他方側に位置する接点部R4の断面積よりも大きくなるようにしている。第2のソケット端子側接点部R3,R4のうち付け根部(第2のソケット端子側固定部)33aに近い側に位置する第2のソケット端子側接点部R3の断面積を、他方側の第2のソケット端子側接点部R4の断面積よりも大きくしている。
【0318】
こうすれば、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の導体抵抗をより効率的に下げることができるようになる。
【0319】
また、本実施形態では、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の厚さを、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32の厚さよりも薄くしている。
【0320】
こうすれば、幅広のソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33のヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23との接触力を、幅狭のソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32のヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)22との接触力に近づけることができるようになる。
【0321】
その結果、ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)32およびソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の嵌合バランスがよくなるため、ヘッダ20をソケット30に嵌合させやすくなる。
【0322】
また、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33を形成する際の曲げ加工性をより向上させることができるため、クラック等が発生してしまうのを抑制することができるようになる。その結果、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33導体抵抗やヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23との接触力をより安定させることができるようになる。
【0323】
また、本実施形態では、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33には、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23が係止される係止部33dが形成されている。
【0324】
こうすれば、ヘッダ20とソケット30との嵌合保持力をより向上させることができるようになる。
【0325】
また、本実施形態では、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23には、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の係止部33dに係止される被係止部23dが形成されている。
【0326】
こうすれば、ヘッダ20とソケット30との嵌合保持力をより一層向上させることができるようになる。
【0327】
また、本実施形態では、ソケットハウジング31には、ソケット側保持金具34が配設されており、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33が、ソケット側保持金具34とは別体に設けられている。
【0328】
こうすれば、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33の構成やソケット側保持金具34の構成をより簡素化させることができるようになる。
【0329】
また、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33とソケット側保持金具34とを一体化させた場合に較べて、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33およびソケット側保持金具34を、より正確に製造することができるようになる。
【0330】
また、本実施形態では、ヘッダハウジング21には、ヘッダ側保持金具24が配設されており、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23とヘッダ側保持金具24とが一体に設けられている。
【0331】
こうすれば、ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23で生じる熱をより効率よく放熱させることができるようになる。
【0332】
また、本実施形態では、ソケット側保持金具34とヘッダ側保持金具24とが電気的に接続されるようにしている。
【0333】
こうすれば、ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)33やヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)23で生じる熱をより効率よく放熱させることができるようになる。その結果、定格電流をより向上させることができるようになる。
【0334】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0335】
例えば、上記実施形態では、ヘッダ20が、平面視で当該ヘッダ20の中心に対して点対称となるように形成されているとともに、ソケット30が、平面視で当該ソケット30の中心に対して点対称となるように形成されているもの(極性がないコネクタ)を例示した。
【0336】
しかしながら、極性を有するコネクタ(180度回転させた際に、同一の形状とならないようにしたコネクタ)に本発明を適用することも可能である。
【0337】
また、ヘッダ20とソケット30とを嵌合させた状態で、ヘッダ側保持金具とソケット側保持金具とが係合する構成とすることも可能である。
【0338】
また、第2のソケット端子および第2のヘッダ端子をグランド接続用の端子として用いることも可能である。こうすれば、グランド接続の信頼性をより向上させることができる。
【0339】
また、第2のソケット端子およびソケット側保持金具を別体に設けるとともに、第2のヘッダ端子および第2のソケット端子を電源用端子として用い、ソケット側保持金具およびヘッダ側保持金具をグランド接続用の端子として用いることも可能である。
【0340】
また、コネクタ接続体としてのヘッダに本発明を適用することも可能である。
【0341】
また、ソケット側ハウジングやヘッダ側ハウジング、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0342】
10 コネクタ
20 ヘッダ
21 ヘッダハウジング
22 ヘッダ側信号用端子(第1のヘッダ端子)
23 ヘッダ側電源用端子(第2のヘッダ端子)
24 ヘッダ側保持金具
30 ソケット
31 ソケットハウジング
32 ソケット側信号用端子(第1のソケット端子)
33 ソケット側電源用端子(第2のソケット端子)
34 ソケット側保持金具
35 第1の反転U字状部(第1のU字状部)
36 第2の反転U字状部(第2のU字状部)
37 第3の反転U字状部(第3のU字状部)
60 第1の回路基板(回路基板)
R1~R5 接点部
X 長手方向
Y 短手方向(幅方向)
Z 上下方向