特許 7300650 パネルの連結システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-06-22

(45)【発行日】2023-06-30

(54)【発明の名称】パネルの連結システム

(51)【国際特許分類】

   E05D 15/00 20060101AFI20230623BHJP

   E04B 2/74 20060101ALI20230623BHJP

【ＦＩ】

E05D15/00 A

E04B2/74 561A

E04B2/74 561E

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2019168410

(22)【出願日】2019-09-17

(65)【公開番号】P2021046681

(43)【公開日】2021-03-25

【審査請求日】2022-07-13

【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第２項適用 平成３１年４月１８日～２０日に開催された２０１９春の新作発表会にて公開

(73)【特許権者】

【識別番号】000119449

【氏名又は名称】磯川産業株式会社

(73)【特許権者】

【識別番号】000169329

【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001793

【氏名又は名称】弁理士法人パテントボックス

(72)【発明者】

【氏名】大出 育生

(72)【発明者】

【氏名】荒川 周也

(72)【発明者】

【氏名】木村 大作

【審査官】砂川 充

(56)【参考文献】

【文献】登録実用新案第３０１４１３４（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平１０－６１０７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１４－８８７４７（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００８－２５２８２（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０５Ｄ １５／００－１５／５８

Ｅ０４Ｂ ２／７４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、
扉パネルと、
前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、
前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、
前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、
を備え、
前記連結機構は、前記吊元パネル側に設置される、開位置と閉位置の間で回動可能な回動爪と、前記隣接パネル側に配置されて、前記回動爪と噛み合う固定爪と、から構成される、パネルの連結システム。

【請求項2】

移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、
扉パネルと、
前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、
前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、
前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、
を備え、
前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構であって、前記扉パネルを開く動作によって、前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構をさらに備える、パネルの連結システム。

【請求項3】

移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、
扉パネルと、
前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、
前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、
前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、
を備え、
前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構であって、前記扉パネルを開く動作によって、前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構をさらに備え、
前記連結機構は、前記吊元パネル側に設置される、開位置と閉位置の間で回動可能な回動爪と、前記隣接パネル側に配置されて、前記回動爪と噛み合う固定爪と、から構成され；
前記解除機構は、前記扉パネルが開かれることにより、前記扉パネルに押圧されて回動するアーム部材と、前記アーム部材と一体に形成されるカム部材であって、回動することで前記回動爪を開位置に回動させる、カム部材と、から構成される、パネルの連結システム。

【請求項4】

移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、
扉パネルと、
前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、
前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、
前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、
を備え、
前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構であって、前記扉パネルを開く動作によって、前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除する解除機構をさらに備え、
前記解除機構は、前記扉パネルが全開位置まで開かれることにより、前記吊元パネルと前記隣接パネルの連結を解除するようになっている、パネルの連結システム。

【請求項5】

移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、
扉パネルと、
前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、
前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、
前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、
を備え、
前記扉パネルが全開まで開かれた状態で、前記吊元パネルと前記扉パネルを一体に保持する保持機構をさらに備える、パネルの連結システム。

【請求項6】

前記保持機構は、前記吊元パネル側の表面に設置される保持爪と、前記扉パネル側に設置されて前記保持爪と噛み合う爪受部材と、から構成される、請求項５に記載された、パネルの連結システム。

【請求項7】

前記保持爪は、開閉可能に構成されて、前記保持爪が閉じた状態では前記扉パネルが全開位置まで開かれないようになっている、請求項６に記載された、パネルの連結システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、移動間仕切に扉パネルを設置する際に使用されるパネルの連結システムに関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来から、マンション、オフィス、ホテル等の建築物では、移動式の間仕切を使用することが多い。一般に、移動間仕切は、複数のパネルから構成されており、パネルを天井に取り付けられた上部レールに沿って所定の位置まで移動させて、内部空間を区画するようになっている。

【0003】

ところで、このような移動間仕切には、区画された空間への出入りの必要のために、開閉可能な扉パネルを設置することも多い（例えば、特許文献１を参照）。この場合、扉パネルが取り付けられるパネル（吊元パネル）には、扉パネルの重量が作用するため、吊元パネルが傾斜して開閉不能になるおそれがある。そのため、従来は、移動間仕切に扉パネルを設ける際には、建築物の壁に近接するように扉パネルを設けていた。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【文献】特開２０１８－１７８５６６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら、扉パネルを壁に近接して設けると、壁の近くに障害物が存在する等の理由によって出入りが困難になる場合がある。そのため、移動間仕切の途中に扉パネルを設けることが希望されている。

【0006】

そこで、本発明は、移動間仕切の途中に扉パネルを設置することのできる、パネルの連結システムを提供することを目的としている。

【課題を解決するための手段】

【0007】

前記目的を達成するために、本発明のパネルの連結システムは、移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、扉パネルと、前記扉パネルが開閉自在に取り付けられる吊元パネルと、前記吊元パネルの前記扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、前記吊元パネルと前記隣接パネルを連結する連結機構と、を備える。

【発明の効果】

【0008】

このように、本発明のパネルの連結システムは、移動間仕切を構成するパネルの連結システムであって、扉パネルと、吊元パネルと、吊元パネルの扉パネルとは反対側に隣接する隣接パネルと、吊元パネルと隣接パネルを連結する連結機構と、を備えている。このように、吊元パネルと隣接パネルを連結することで、吊元パネルに対して扉パネルと反対側に、隣接パネルの重量による荷重が作用するため、吊元パネルが傾いてしまうことで扉パネルが開閉不能となることを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】移動間仕切の全体構成を説明する斜視図である。

【図2】連結機構の構成を説明する斜視図である。

【図3】連結機構の構成を説明する説明図である。（ａ）は固定爪の斜視図であり、（ｂ）は回動爪の斜視図であり、（ｃ）は回動爪の分解斜視図である。

【図4】連結機構及び解除機構の構成を説明する説明図である。（ａ）は閉位置の状態であり、（ｂ）は開位置の状態である。

【図5】連結機構の作用を説明する説明図である。（ａ）は閉位置の状態であり、（ｂ）は開位置の状態である。

【図6】保持機構の構成を説明する断面図である。（ａ）は保持爪を開いて扉パネルを一体に保持した状態であり、（ｂ）は保持爪を閉じた状態である。

【図7】吊元パネルと隣接パネルを連結する工程の説明図である。

【図8】吊元パネルと隣接パネルの連結を解除する工程の説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。

【実施例】

【0011】

（移動間仕切の構成）
まず、図１を用いて本実施例のパネルの連結システムＳを備える移動間仕切１の全体構成を説明する。本実施例の移動間仕切１は、図１に示すように、壁付近に形成した戸だまり１０と、移動間仕切１を構成するパネルとしての、扉パネル１１と、吊元パネル１２と、隣接パネル１３と、を備えている。なお、ここでは、図示する合計６枚のパネルによって移動間仕切１が構成される場合について説明するが、パネルの枚数は何枚であってもよい。さらに、扉パネル１１の位置は、図１に示す位置に限定されるものではない。

【0012】

これらの各パネルは、上端部に吊り車（不図示）を搭載しており、吊り車が天井に設置された上部レール（不図示）内を走行することによって、上部レールに沿って移動するようになっている（「上吊式」と称する）。そして、本発明の連結システムＳは、以下に説明するように、連結機構Ｃ、解除機構Ｕ、及び／又は、保持機構Ｍを備えている。

【0013】

扉パネル１１は、移動間仕切１全体において、壁際ではなく、中間位置に配置される。すなわち、扉パネル１１は、ヒンジ（不図示）を介して、他のパネルである吊元パネル１２に開閉自在（回動自在）に取り付けられている。扉パネル１１には、後述するように、保持機構Ｍの爪受部材（５２）が配置されている。

【0014】

吊元パネル１２は、ヒンジを介して扉パネル１１を開閉自在に支持している。吊元パネル１２には、後述するように、連結機構Ｃの回動爪（２２）と、解除機構Ｕのアーム部材（２４）及びカム部材（２４ａ）と、保持機構Ｍの保持爪（４２）と、が配置されている。

【0015】

隣接パネル１３は、吊元パネル１２の、扉パネル１１が存在する側とは反対側に隣接して配置されている。すなわち、吊元パネル１２を中心として、一方に扉パネル１１が位置し、他方に隣接パネル１３が位置している。隣接パネル１３には、後述するように、連結機構Ｃの固定爪（３２）が配置されている。

【0016】

そして、後述するように、扉パネル１１の使用中には、吊元パネル１２と隣接パネル１３が連結機構Ｃを介して一体に連結される。さらに、扉パネル１１の使用中には、扉パネル１１は吊元パネル１２のみに支承され、吊元パネル１２に対して相対的に開閉（回動）できるようになっている。

【0017】

一方、扉パネル１１を含むパネルを収納する際には、後述するように、扉パネル１１を全開に開いた状態とすることで、解除機構Ｕが作動して連結が解除されて、吊元パネル１２と隣接パネル１３は分離される。同時に、扉パネル１１と吊元パネル１２は、保持機構Ｍによって表裏一体に保持されるようになっている。

【0018】

（連結機構及び解除機構の構成）
次に、図２～図５を用いて、連結機構Ｃ及び解除機構Ｕの構成について説明する。連結機構Ｃは、図２～図３に示すように、主として、吊元パネル１２の上端近傍の木口に設置される回動爪２２と、隣接パネル１３の上端近傍の木口に設置される固定爪３２と、によって構成される。解除機構Ｕは、主として、吊元パネル１２の上端近傍の側面（扉パネル１１が開かれると扉パネル１１が接触する側の側面）に設置されるアーム部材２４と、アーム部材２４と一体に形成されるカム部材２４ａと、から構成される。

【0019】

具体的に言うと、図２に示すように、連結機構Ｃ及び解除機構Ｕは、吊元パネル１２側に配置される、回動爪２２及びアーム部材２４を有する第１ユニット２０と、隣接パネル１３側に配置される、固定爪３２を有する第２ユニット３０と、から構成されている。第１ユニット２０は、吊元パネル１２の上端近傍の木口にビス等によって取り付けられている。同様に、第２ユニット３０は、隣接パネル１３の上端近傍の木口にビス等によって取り付けられている。

【0020】

第１ユニット２０は、図３（ｂ）、（ｃ）に示すように、後述する凹部３１ａ、３１ａに挿入される円柱状の凸部２１ａ、２１ａを有するベース２１と、ベース２１に軸２３を介して回動自在に取り付けられる回動爪２２と、後述するように、ベース２１に軸２５、２５を介して回動自在に取り付けられ、全開位置まで開かれた扉パネル１１によって押圧されるアーム部材２４と、を備えている。

【0021】

回動爪２２は、図５（ａ）、（ｂ）にも示すように、軸２３を回転中心として回動自在になっている、爪状の部分である。そして、図５（ａ）に示すように、回動爪２２が閉じた状態では固定爪３２と噛み合うことで、第１ユニット２０と第２ユニット３０が連結され、吊元パネル１２と隣接パネル１３が連結される。図５（ａ）に示す連結状態では、回動爪２２は、伸長部２２ｂがバネ２６によってアーム部材２４側に付勢されることで、固定爪３２の方向に押圧されて連結状態を維持するようにされている。

【0022】

さらに、この回動爪２２の鉤状になった先端部２２ａの反対側には、軸２５を超えて伸びる伸長部２２ｂが形成されている。そして、この伸長部２２ｂが、図５（ｂ）に示すように、カム部材２４ａが回動することで押圧されると、伸長部２２ｂとは反対側にある先端部２２ａも回動し、固定爪３２との噛み合い状態が解除され、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結が解除される。すなわち、図５（ｂ）に示す解除状態では、回動爪２２は、バネ２６の付勢力に抗して、伸長部２２ｂがアーム部材２４のカム部材２４ａによって押圧されることで、固定爪３２と反対方向に押圧されて連結状態を解除されるようにされている。

【0023】

アーム部材２４は、図５（ａ）、（ｂ）にも示すように、軸２５、２５を回転として回動自在になっている、アーム状の部分である。そして、図４（ａ）、図５（ａ）に示すように、扉パネル１１によって押圧されていない状態では、アーム部材２４と一体のカム部材２４ａの小半径部が伸長部２２ｂと当接することで、伸長部２２ｂを押圧することなく、回動爪２２を連結状態にする。

【0024】

一方、図４（ｂ）、図５（ｂ）に示すように、扉パネル１１によって押圧されている状態では、回動されたアーム部材２４と一体のカム部材２４ａの大半径部が伸長部２２ｂと当接することで、伸長部２２ｂを押圧して、回動爪２２を解除状態にする。より詳細に言うと、アーム部材２４及びカム部材２４ａは、扉パネル１１が全開位置まで開かれることによって、はじめて回動爪２２を解除状態まで回動させることができる。逆に言うと、扉パネル１１が全開位置になっておらず、途中の状態では、回動爪２２は固定爪３２と噛み合ったままで解除状態にはならないようにされている。

【0025】

第２ユニット３０は、図３（ａ）に示すように、第１ユニット２０の凸部２１ａ、２１ａが挿入される長孔である凹部３１ａ、３１ａを有するベース３１と、ベース３１の略中央に形成された爪状の固定爪３２と、を備えている。固定爪３２は、図５（ａ）、（ｂ）にも示すように、ベース３１の中央部近傍に形成されている、可動式ではない爪状の部分である。そして、図５（ａ）に示すように、回動爪２２が閉じた状態では、固定爪３２と回動爪２２が噛み合うことで、第２ユニット３０と第１ユニット２０が連結され、隣接パネル１３と吊元パネル１２が連結される。一方、図５（ｂ）に示すように、回動爪２２が開いた状態では、固定爪３２と回動爪２２が噛み合わないことで、第２ユニット３０と第１ユニット２０の連結が解除され、隣接パネル１３と吊元パネル１２の連結が解除される。

【0026】

そして、連結機構Ｃは、上述した構成のうち、吊元パネル側１２に設置される、開位置と閉位置の間で回動可能な回動爪２２と、隣接パネル１３側に配置されて、回動爪２２と噛み合う固定爪３２と、から構成される。

【0027】

また、解除機構Ｕは、連結機構Ｃの構成を前提としており、さらに上述した構成のうち、扉パネル１１が開かれると、扉パネル１１に押圧されて回動するアーム部材２４と、アーム部材２４と一体に形成されて、回動されることによって回動爪２２を開位置に回動させるカム部材２４ａと、から構成される。

【0028】

（保持機構の構成）
次に、図６を用いて、保持機構Ｍの構成について説明する。保持機構Ｍは、吊元パネル１２の表面に設置される保持爪４５と、扉パネル１１に設置されて保持爪４５と噛み合う爪受部材５２と、から構成される。

【0029】

より具体的に言うと、保持機構Ｍは、吊元パネル１２の表面にビス等によって取り付けられる雄ユニット４０であって、保持爪４５を有する雄ユニット４０と、扉パネル１１の木口にビス等によって取り付けられる雌ユニット５０であって、爪受部材５２を有する雌ユニット５０と、スペーサ６１、６２と、を備えている。すなわち、雄ユニット４０は、２つのスペーサ６１、６２を間に介在させて、吊元パネル１２に取り付けられている。

【0030】

雄ユニット４０は、図６（ａ）、（ｂ）に示すように、板状のベース４１と、ベース４１に軸４４を介して回動自在に取り付けられる回動部材４３と、を備えている。ベース４１には、爪４２と凹部４７とが形成されるとともに、回動部材４３には、保持爪４５と凸部４６とが形成される。そして、回動部材４３を閉じた状態で、回動部材４３の凸部４６がこの凹部４７に嵌合し、さらに保持爪４５がこの爪４２と噛み合うことで、雄ユニット４０が単体で閉じた状態を維持するようになっている。さらに、回動部材４３は、保持状態を手動で解除できるように、その先端は扉パネル１１を保持した状態で扉パネル１１の厚みよりも突出している。

【0031】

雌ユニット５０は、板状のベース５１を備えている。ベース５１には、爪受部材５２と凹部５３とが形成される。そして、回動部材４３を開いた状態で、回動部材４３の凸部４６がこの凹部５３に嵌合し、さらに保持爪４５がこの爪受部材５２と噛み合うことで、雄ユニット４０と雌ユニット５０とが連結されるようになっている。

【0032】

そして、図６（ａ）に示すように、扉パネル１１の不使用時であり、移動間仕切１を収納する際には、連結機構Ｃによる吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結を解除機構Ｕによって解除し、扉パネル１１が全開まで開かれた状態で、吊元パネル１２と扉パネル１１を一体に保持する。すなわち、吊元パネル１２側の保持爪４５と、扉パネル１１側の爪受部材５２が噛み合うことで、吊元パネル１２と扉パネル１１が一体に保持される。

【0033】

一方、図６（ｂ）に示すように、扉パネル１１の使用中には、連結機構Ｃによって吊元パネル１２と隣接パネル１３を連結し、扉パネル１１が全開まで開かれた状態になっても、吊元パネル１２と扉パネル１１は一体にはならない。さらに言うと、この図６（ｂ）に示す閉じた状態では、連結機構Ｃのアーム部材２４のストロークが制限されるため（すなわち、図５（ｂ）に示す開位置まで回動しないため）、解除機構Ｕによって連結機構Ｃが解除されることはない。

【0034】

（作用）
次に、図７、図８を用いて、本実施例のパネルの連結システムＳを用いた、移動間仕切１の設置手順と収納手順について説明する。

【0035】

まず、図７を用いて、移動間仕切１の設置手順について説明する。設置手順では、まず、隣接パネル１３を定位置まで移動させる。次に、一体にされた状態の吊元パネル１２及び扉パネル１１を一体のまま定位置まで移動させる。そして、保持機構Ｍの保持爪４５を手で持って解除することによって、第1ユニット２０のバネ２６の弾性力によって、アーム部材２４が押し返されて解除機構Ｕが無効化され、連結機構Ｃの回動爪２２が回動して固定爪３２と噛み合うようになる。その後、隣接パネル１３の木口と、吊元パネル１２の木口とを当接（衝突）させる。このようにして、隣接パネル１３と吊元パネル１２が連結され、扉パネル１１は自由に開閉できるようになる。

【0036】

次に、図８を用いて、移動間仕切１の収納手順について説明する。収納手順では、まず、扉パネル１１を全開位置まで開く（吊元パネル１２側に重ね合わせる）ことで、アーム部材２４及びカム部材２４ａを回動させて、回動爪２２を開位置まで回動させ、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結機構Ｃによる連結を、解除機構Ｕによって解除する。そして、保持機構Ｍの雄ユニット４０を開き、扉パネル１１を吊元パネル１２に押し付けたまま、保持爪４５を爪受部材５２と噛み合わせる。このようにして、扉パネル１１と吊元パネル１２が一体に保持され、かつ、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結状態が解除されて互いに分離して移動できるようになる。

【0037】

（効果）
次に、本実施例のパネルの連結システムＳの奏する効果を列挙して説明する。
（１）上述してきたように、本実施例のパネルの連結システムＳは、移動間仕切１を構成するパネルの連結システムＳであって、扉パネル１１と、扉パネル１１が開閉自在に取り付けられる吊元パネル１２と、吊元パネル１２の扉パネル１１とは反対側に隣接する隣接パネル１３と、吊元パネル１２と隣接パネル１３を連結する連結機構Ｃと、を備えている。このように、吊元パネル１２と隣接パネル１３を連結することで、吊元パネル１２に対して扉パネル１１と反対側に、隣接パネル１３の重量による荷重が作用するため、吊元パネル１２が傾いてしまうことで扉パネル１１が開閉不能となることを防止できる。

【0038】

つまり、吊元パネル１２を中心として、左右に扉パネル１１と隣接パネル１３があれば、左右の重量の均衡がとれるため、扉パネル１１（及び、扉パネル１１にヒンジを介して固定された吊元パネル１２）が扉パネル１１側に傾くことを防止できる。

【0039】

（２）また、連結機構Ｃは、吊元パネル１２側に設置される、開位置と閉位置の間で回動可能な回動爪２２と、隣接パネル１３側に配置されて、回動爪２２と噛み合う固定爪３２と、から構成されている。このような構成であれば、回動爪２２を開閉することによって、連結状態／解除状態を選択することができる。

【0040】

（３）さらに、吊元パネル１２と隣接パネル１３の、連結機構Ｃによる連結を解除する解除機構Ｕであって、扉パネル１１を開く動作によって、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結を解除する解除機構Ｕをさらに備えることができる。このような解除機構Ｕを備えていれば、扉パネル１１を開く動作を利用して、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結機構Ｃによる連結を解除することができる。

【0041】

（４）また、連結機構Ｃは、吊元パネル１２側に設置される、開位置と閉位置の間で回動可能な回動爪２２と、隣接パネル１３側に配置されて、回動爪２２と噛み合う固定爪３２と、から構成され；解除機構Ｕは、扉パネル１１が開かれることにより、扉パネル１１に押圧されて回動するアーム部材２４と、アーム部材２４と一体に形成されるカム部材２４ａであって、回動することで回動爪２２を開位置に回動させる、カム部材２４ａと、から構成されることが好ましい。このように構成されることで、扉パネル１１を開く動作によって生じるモーメントを効率よく利用して、連結を解除することができる。

【0042】

（５）さらに、解除機構Ｕは、扉パネル１１が全開位置まで開かれることにより、吊元パネル１２と隣接パネル１３の連結を解除するようになっていることが好ましい。この際、保持機構Ｍの雄ユニット４０を閉じておけば、アーム部材２４が全開位置まで移動することを防止でき、誤って連結が解除されることを防止できる。

【0043】

（６）また、扉パネル１１が全開まで開かれた状態で、吊元パネル１２と扉パネル１１を一体に保持する保持機構Ｍをさらに備えることで、解除機構Ｕによる解除状態を保持することができる。

【0044】

（７）この保持機構Ｍは、吊元パネル１２側の表面に設置される保持爪４５と、扉パネル１１側に設置される保持爪４５と噛み合う爪受部材５２と、から構成されることが好ましい。このように構成されることで、簡易な構成によって扉パネル１１と吊元パネル１２を一体に保持できる。

【0045】

さらに、この保持爪４５は、開閉可能に構成されており、保持爪４５が閉じた状態では扉パネル１１が全開位置まで開かれないようになっていることで、アーム部材２４が全開位置まで移動することを防止でき、誤って連結が解除されることを防止できる。

【0046】

以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。

【符号の説明】

【0047】

１ ：移動間仕切
１１ ：扉パネル
１２ ：吊元パネル
１３ ：隣接パネル
２０ ：第１ユニット
２１ ：ベース
２１ａ ：凸部
２２ ：回動爪
２２ａ ：先端部
２２ｂ ：伸長部
２３ ：軸
２４ ：アーム部材
２４ａ ：カム部材
２５ ：軸
２６ ：バネ
３０ ：第２ユニット
３１ ：ベース
３１ａ ：凹部
３２ ：固定爪
４０ ：雄ユニット
４１ ：ベース
４２ ：爪
４３ ：回動部材
４４ ：軸
４５ ：保持爪
４６ ：凸部
４７ ：凹部
５０ ：雌ユニット
５１ ：ベース
５２ ：爪受部材
５３ ：凹部
６１ ：スペーサ
６２ ：スペーサ
Ｃ ：連結機構
Ｍ ：保持機構
Ｓ ：連結システム
Ｕ ：解除機構

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】