(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/10 20060101AFI20230623BHJP
E02D 3/11 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E02D3/10 103
E02D3/11
(21)【出願番号】P 2020059807
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】591159675
【氏名又は名称】錦城護謨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 敦史
(72)【発明者】
【氏名】小河 篤史
(72)【発明者】
【氏名】大塚 義一
(72)【発明者】
【氏名】今井 亮介
(72)【発明者】
【氏名】白石 祐彰
(72)【発明者】
【氏名】長 千佳
(72)【発明者】
【氏名】目黒 緑
(72)【発明者】
【氏名】三成 昌也
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-154525(JP,A)
【文献】特開平09-119128(JP,A)
【文献】特開平05-033330(JP,A)
【文献】特開平11-293615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/10
E02D 3/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒冷地において軟弱地盤の上に構造物を形成するための寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法であって、
軟弱地盤を覆って透水層を敷設する透水層敷設工程と、複数のドレーン材を上下方向に延設させて軟弱地盤に埋設するドレーン材埋設工程と、併設される供給流路及び返送流路を有すると共に可撓性を備える複数の循環流路材を、上下方向に延設させて軟弱地盤に埋設することにより循環流路を形成する循環流路形成工程と、軟弱地盤の圧密沈下後に形成される構造物の基礎地盤体となる載荷層の盛土を行なう載荷層盛土工程と、盛土された載荷層の外周面部分に、埋設された各々の前記循環流路材に加熱された熱媒体を供給する熱媒体供給手段を設置する熱媒体供給手段設置工程とを含んで構成されており、
前記熱媒体供給手段から供給される前記熱媒体を各々の前記循環流路材を介して循環させることにより、軟弱地盤を加温しながら圧密させて、基礎地盤体となる載荷層が沈下したら、
さらに、形成された基礎地盤体における構造物が設けられる部分の外周面領域の前記熱媒体供給手段を撤去する熱媒体供給手段撤去工程と、前記熱媒体供給手段が撤去された構造物が設けられる部分の外周面領域の基礎地盤体の表層部分に、熱媒体流路材を、横方向に延設させて埋設する横方向流路設置工程と、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域の基礎地盤体の上に、構造物を形成する構造物形成工程とを含んでおり、
形成された構造物の供用開始後に、前記熱媒体供給手段撤去工程で撤去されなかった前記熱媒体供給手段から供給される加熱された熱媒体を、前記循環流路材を介して循環させることで、地中に蓄熱し、蓄熱された熱を、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域の基礎地盤体の表層部分に、基礎地盤体の下方の地中に設けられた地中熱回収手段及び前記熱媒体流路材に熱媒体を循環させることによって、取り出し可能とする寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【請求項2】
前記地中熱回収手段が、前記熱媒体流路材と接続される、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域に残置された前記循環流路材となっている
請求項1記載の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【請求項3】
前記構造物が、路面を構成する路面構造物となっており、前記基礎地盤体が、路体となっている請求項1又は2記載の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【請求項4】
前記熱媒体供給手段は、太陽熱を捕集するソーラー装置を含んで構成されている請求項1~3のいずれか1項記載の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【請求項5】
前記熱媒体は、前記ソーラー装置によって加熱された温水である請求項1~4のいずれか1項記載の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【請求項6】
前記ドレーン材及び前記循環流路材は、いずれもプラスチック複合成形品からなっており、同様の打込み用重機を用いて軟弱地盤の中に埋設される請求項1~5のいずれか1項記載の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法に関し、特に、寒冷地において軟弱地盤の上に構造物を形成するための寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟弱地盤を地盤改良する工法として、例えば軟弱地盤の上方に透水層を介在させた状態で盛土を施工することにより載荷層を形成し、形成した載荷層の重量によって、軟弱地盤中の過剰間隙水を滲出させて透水層に排水させながら、軟弱地盤を圧密沈下させる工法が一般に採用されている。また圧密沈下を促進するために、砂杭や、透水性を備える袋に砂を詰めた袋詰め砂杭によるドレーン材を、軟弱地盤に複数本打ち込んで、排水距離を短縮させるようにしたサンドドレーン工法やパックドレーン工法等も公知である。
【0003】
さらに、砂杭や袋詰め砂杭に換えて、ドレーン材として、長手方向に延設する凹溝を適宜数並設せしめた、可撓性を有する合成樹脂による帯状の条板の表面に、透水性シートとして例えば不織布を張設させてなる、プラスチック複合成形品であるプラスチックボード(例えば、特許文献1参照)を用いることで、打込み用重機によりドレーン材を軟弱地盤に打ち込む作業を、容易にする技術も開発されている。
【0004】
上記の従来の軟弱地盤を圧密沈下させる工法では、好ましくはドレーン材を軟弱地盤に複数本打ち込んで、圧密沈下を促進させるようにした場合でも、圧密沈下が収束するまでには、例えば半年から数年程度の長期間を要することになり、その間、軟弱地盤や盛土された載荷層は、使用することが困難な地盤領域となることから、軟弱地盤の圧密沈下をさらに促進させて、迅速に利用可能な状態にできるようにする新たな技術の開発が望まれている。
【0005】
また、軟弱地盤については、当該軟弱地盤を加温して高温条件下で圧密させることにより、間隙水の粘性の低下と、間隙水の膨張による過剰間隙水圧の発生とによって、圧密沈下量を増加させ、圧密速度を向上させることで、圧密沈下の促進を図れるようになることが実証されている(例えば、非特許文献1参照)。また非特許文献1には、近年、太陽熱や工業排熱をアクティブに利用する地中蓄熱等の地盤技術が、欧米を中心に積極的に研究・開発されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】2018年10月に公益社団法人日本材料学会が発行した第13回地盤改良シンポジウム論文集
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、軟弱地盤を加温して高温条件下で圧密させる場合、軟弱地盤は広大な面積の領域を占めるものとなっていることから、太陽熱や工場排熱や生活排熱等の未利用熱を使用して加温しようとしても、これらの未利用熱を使用可能とする設備や施設もまた広大なものとなるため、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後も、これらの設備や施設を有効に利用でき
るようにすることが望ましい。
【0009】
特に、寒冷地においては、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後、これの上方の載荷層である盛土地盤に例えば道路構造物等の構築物を形成した場合に、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにする必要があることから、軟弱地盤を加温して圧密沈下を促進させるために使用した設備や施設を、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにする手段として、簡易に転用できるようにすることが望ましい。
【0010】
本発明は、寒冷地において、軟弱地盤を加温して、圧密沈下の促進を効果的に図ることを可能にすると共に、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後、これの上方の盛土地盤に形成された構築物に、冬季に積雪や凍害による影響が及ばないようにすることのできる寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、寒冷地において軟弱地盤の上に構造物を形成するための寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法であって、軟弱地盤を覆って透水層を敷設する透水層敷設工程と、複数のドレーン材を上下方向に延設させて軟弱地盤に埋設するドレーン材埋設工程と、併設される供給流路及び返送流路を有すると共に可撓性を備える複数の循環流路材を、上下方向に延設させて軟弱地盤に埋設することにより循環流路を形成する循環流路形成工程と、軟弱地盤の圧密沈下後に形成される構造物の基礎地盤体となる載荷層の盛土を行なう載荷層盛土工程と、盛土された載荷層の外周面部分に、埋設された各々の前記循環流路材に加熱された熱媒体を供給する熱媒体供給手段を設置する熱媒体供給手段設置工程とを含んで構成されており、前記熱媒体供給手段から供給される前記熱媒体を各々の前記循環流路材を介して循環させることにより、軟弱地盤を加温しながら圧密させて、基礎地盤体となる載荷層が沈下したら、さらに、形成された基礎地盤体における構造物が設けられる部分の外周面領域の前記熱媒体供給手段を撤去する熱媒体供給手段撤去工程と、前記熱媒体供給手段が撤去された構造物が設けられる部分の外周面領域の基礎地盤体の表層部分に、熱媒体流路材を、横方向に延設させて埋設する横方向流路設置工程と、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域の基礎地盤体の上に、構造物を形成する構造物形成工程とを含んでおり、形成された構造物の供用開始後に、前記熱媒体供給手段撤去工程で撤去されなかった前記熱媒体供給手段から供給される加熱された熱媒体を、前記循環流路材を介して循環させることで、地中に蓄熱し、蓄熱された熱を、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域の基礎地盤体の表層部分に、基礎地盤体の下方の地中に設けられた地中熱回収手段及び前記熱媒体流路材に熱媒体を循環させることによって、取り出し可能とする寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0012】
そして、本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、前記地中熱回収手段が、前記熱媒体流路材と接続される、前記熱媒体供給手段が撤去された外周面領域に残置された前記循環流路材となっていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、前記構造物が、路面を構成する路面構造物となっており、前記基礎地盤体が、路体となっていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、前記熱媒体供給手段が、太陽熱を捕集するソーラー装置を含んで構成されていることが好ましい。
【0015】
さらにまた、本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、前記熱媒体が、前記ソーラー装置によって加熱された温水であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、前記ドレーン材及び前記循環流路材が、いずれもプラスチック複合成形品からなっており、同様の打込み用重機を用いて軟弱地盤の中に埋設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法によれば、寒冷地において、軟弱地盤を加温して、圧密沈下の促進を効果的に図ることができると共に、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後、これの上方の盛土地盤に形成された構築物に、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を実施可能にする圧密促進システムの構成を説明する略示断面図である。
【
図2】(a)~(c)は、本発明の好ましい一実施形態に係る寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を説明図する略示断面図である。
【
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を説明図する略示断面図である。
【
図4】(a)~(d)は、本発明の好ましい一実施形態に係る寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を説明図する略示平面図である。
【
図5】(a)~(d)は、プラスチックドレーン工法によって軟弱地盤に循環流路材を埋設する状況の説明図である。
【
図6】循環流路材を地中に残置させるアンカー材の説明図である。
【
図7】プラスチックドレーン工法の施工を管理する施工管理装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい一実施形態に係る寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、
図1に示すように、寒冷地において、例えば支持地盤51の上に堆積した軟弱地盤50を地盤改良する際に、軟弱地盤50の圧密沈下を促進させて、盛土される載荷層13を削減できるようにすると共に、沈下が収束するまでの期間を短縮できるようにし、且つ沈下が収束して盛土した載荷層13の上に形成した構造物10である例えば道路(
図4(d)参照)に、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにするための施工方法として採用されたものである。本実施形態の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、軟弱地盤50を加温して圧密沈下を促進させるために使用した設備や施設を、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにするための手段として簡易に転用して、効率良く施工できるようになっている。
【0020】
そして、本実施形態の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、寒冷地において軟弱地盤の上に構造物を形成するための施工方法であって、
図1及び
図2(a)~(c)に示すように、軟弱地盤50を覆って透水層12を敷設する透水層敷設工程(
図2(a)参照)と、複数のドレーン材11を上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設するドレーン材埋設工程(
図2(b)参照)と、併設される供給流路14a及び返送流路14bを有すると共に可撓性を備える複数の循環流路材14を、上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設することにより循環流路を形成する循環流路形成工程(
図2(b)参照)と、好ましくは圧密沈下後の天端部の高さが、形成される構造物10の基礎地盤体10aの設計高さとなるように設定して、軟弱地盤50の圧密沈下後に形成される構造物の基礎地盤体10aとなる載荷層13の盛土を行なう載荷層盛土工程(
図2(c)参照)と、盛土された載荷層13の外周面部分に、埋設された各々の循環流路材14に加熱された熱媒体を供給
する熱媒体供給手段15を設置する熱媒体供給手段設置工程(
図1参照)とを含んで構成されている。
【0021】
また、本実施形態の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法は、熱媒体供給手段15から供給される熱媒体を各々の循環流路材14を介して循環させることにより、軟弱地盤50を加温しながら圧密させて、
図3に示すように、基礎地盤体10aとなる載荷層13が、好ましくは天端部が構造物10の基礎地盤体10aの設計高さとなるまで沈下したら、さらに、
図4(a)~(d)に示すように、形成された基礎地盤体10aにおける構造物10が設けられる部分の外周面領域10bの熱媒体供給手段15を撤去する熱媒体供給手段撤去工程(
図4(a)、(b)参照)と、熱媒体供給手段15が撤去された構造物10が設けられる部分の外周面領域10bの基礎地盤体10aの表層部分に、基礎地盤体10aの下方の地中に設けられた地中熱回収手段18(
図3参照)として、好ましくは熱媒体供給手段15が撤去された外周面領域10bの下方の地中に残置された循環流路材14と接続される熱媒体流路材16を、横方向に延設させて埋設する横方向流路設置工程(
図4(c)参照)と、熱媒体供給手段15が撤去された外周面領域10bの基礎地盤体10aの上に、構造物10として、路面を構成する路面構造物である道路を形成する構造物形成工程(
図4(d)参照)とを含んでいる。
【0022】
これによって、形成された路面構造物である道路10の供用開始後に、熱媒体供給手段撤去工程で撤去されなかった熱媒体供給手段15から供給される加熱された熱媒体を、循環流路材14を介して循環させることで、地中に蓄熱し、蓄熱された熱を、熱媒体供給手段15が撤去された外周面領域10bの基礎地盤体10aの表層部分に、好ましくは当該外周面領域10bの下方の地中に残置された循環流路材14、及び熱媒体流路材16に熱媒体を循環させることによって、取り出し可能とすることができるようになっている。
【0023】
さらに、本実施形態では、熱媒体供給手段15は、太陽熱を捕集するソーラー装置15aを含んで構成されており、熱媒体は、好ましくはソーラー装置15aによって加熱された温水となっている。
【0024】
本実施形態では、寒冷地における軟弱地盤50は、例えば軟弱な粘土地盤となっており、例えば砂礫層からなる支持地盤51の上に、軟弱層として例えば15~30m程度の厚さで堆積している。軟弱地盤50は、土粒子間に多くの間隙水を含んでいることにより、上方から荷重が載荷されることで、間隙水を排除しながら圧密沈下するようになっている。
【0025】
本実施形態の施工方法では、透水層敷設工程(
図2(a)参照)において、軟弱地盤50を覆って透水層12を敷設する。透水層12は、透水性の高い砂や砂礫を敷設することで、サンドマットとして機能して、ドレーン材11を介して汲み上げられた間隙水や地下水を、横方向に流して排水させる機能を備えている。本実施形態では、透水層12は、軟弱地盤50を覆って例えば50~100cm程度の厚さで敷設されている。
【0026】
また、本実施形態の施工方法では、ドレーン材埋設工程(
図2(b)参照)において、複数のドレーン材11を上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設する。軟弱地盤50に埋設設置されるドレーン材11は、地盤改良工法として公知のバーチカルドレーン工法に使用するドレーン材として、好ましくはプラスチックボードドレーン工法に用いるプラスチックボードドレーン材を使用することができる。ドレーン材11としてプラスチックボードドレーン材を用いることにより、好ましくは軽量の打込み用重機30(
図5(a)~(e)参照)による静的圧入方式によって、低振動で且つ低騒音で、ドレーン材11を軟弱地盤50に上下方向に延設させるように打ち込むことが可能になる。
【0027】
また、本実施形態では、プラスチックボードドレーン材によるドレーン材11として、例えば実開昭49-104107号公報に記載されるような、熱可塑性樹脂により作った条板を所要の巾にして任意長さとし、その表面に長手方向に延設する凹溝を適宜数並設せしめ、各凹溝上に透水性を備える不織布を跨らせて張貼してなる、プラスチック複合成形品である排水板(ドレーン)を用いることができる。より具体的には、プラスチックボードドレーン材によるドレーン材11として、プラスチック複合成形品である、商品名「キャッスルボード(登録商標)」(錦城護謨株式会社製)や、消費期限が切れて廃棄される資源米を芯体として使用した、商品名「キャッスルボードエコk」(錦城護謨株式会社製)を用いることができる。
【0028】
そして、実施形態では、好ましくはプラスチックボードドレーン材によるドレーン材11は、
図5~
図7に示す、公知の埋設施工システムを用いることによって、上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設設置することができる。すなわち、埋設施工システムは、例えばクローラ式の移動機構30aを介して移動可能な打込み用重機30と、打込み用重機30の基台部30bに設けられた、供給リール部31、タワー部32、施工管理装置33等を含んで構成されている。打込み用重機30は、アンカー材34(
図6参照)を介してドレーン材11の下端部をケーシング35の下端部に係止した状態で、供給リール部31からドレーン材11を繰り出しながら、垂直に立設するタワー部32に沿ってケーシング35を下方に移動させることにより、ドレーン材11と共にケーシング35を支持地盤51に向けて打ち込むようになっている(
図5(a)、(b)参照)。
【0029】
また、ケーシング35を、ドレーン材11と共に好ましくは支持地盤51まで打ち込んだら、
図5(c)に示すように、打ち込んだケーシング35を、軟弱地盤50から引き抜くようにしてタワー部32に沿って上方に移動させる。これによって、下端部がアンカー材34に係止されたドレーン材11は、アンカー材34が周囲の地盤に埋入されてアンカー効果を発揮することで、地中に残置されたままの状態で、ケーシング35のみが上方に引き抜かれることになる(
図5(d)参照)。ケーシング35を軟弱地盤の50の上方まで引き抜いたら、地中に残置されたドレーン材11の直上部分を切断して、供給リール部31側に連続するドレーン材11と切り離すと共に、切り離されて地中に残置されたドレーン材11の上端部を、軟弱地盤50を覆って敷設された透水層12の中に埋設する。これによって、ドレーン材11を介して汲み上げられた間隙水や地下水を、透水層12に流入させることが可能になると共に、打込み用重機30を次のドレーン材11の設置個所まで移動させて、順次ドレーン材11を軟弱地盤50に埋設設置する作業を行うことが可能になる。
【0030】
埋設施工システムは、
図7に示すように、例えば供給リール部31からのドレーン材11の繰出し量を検知する公知の送出し量検知器33aや、ケーシング35の打込み時の抵抗を検知する公知の抵抗検出器33b等を備えており、これらの機器による計測データは、好ましくは施工管理装置33に送られて、記録されると共に、施工管理装置33において、ドレーン材11を埋設設置する際の施工を管理できるようになっている。
【0031】
なお、軟弱地盤50に埋設設置されるドレーン材11は、バーチカルドレーン工法に使用するプラスチックボードドレーン材の他、公知のサンドドレーン工法によって設置される砂杭や、公知のパックドレーン工法によって設置される袋詰め砂杭等であっても良い。
【0032】
本実施形態の施工方法では、さらに、循環流路形成工程(
図2(b)参照)において、併設される供給流路14a及び返送流路14bを有すると共に可撓性を備える複数の循環流路材14を、上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設することにより循環流路を形成する。本実施形態では、循環流路材14は、
図1及び
図6に示すように、併設される供給流路14a及び返送流路14bを有すると共に可撓性を備える部材となっており、好まし
くはドレーン材11と同様に、プラスチック複合成形品を用いて形成することができる。すなわち、循環流路材14は、熱可塑性樹脂で作った条板を所要の巾にして任意長さとし、その表面に長手方向に延設する凹溝を適宜数並設せしめ、各凹溝上に、透水性を備える不織布に換えて、不透水性を備えるシート材を跨らせて張貼することにより形成される、プラスチック複合成形品である通水板を用いることができる。
【0033】
より具体的には、循環流路材14は、プラスチック複合成形品である、商品名「キャッスルボード(登録商標)」(錦城護謨株式会社製)に、簡易な改良を加えたものを用いて形成することができる。すなわち、循環流路材14は、これらのプラスチック複合成形品における、芯体を覆う透水性を有するフィルター層に換えて、不透水性を備えるシート材を、芯体を覆うようにして取り付けたものを使用することができる。
【0034】
また、循環流路材14は、このようなプラスチック複合成形品の下端部を、アンカー材34を介して打込み用重機30のケーシング35の下端部に係止する際に、アンカー材34で折り返される部分を、軟弱地盤50の上方にまで至る長さとなるよう延設させた状態で、アンカー材34に係止する。これによって循環流路材14は、好ましくは上述のドレーン材11を軟弱地盤50に打ち込む打込み用重機30と同様の重機を使用して、地中に打ち込まれ、アンカー材34で折り返された一方を供給流路14aとし、他方を返送流路14bとして(
図6参照)、これらが併設された状態で、軟弱地盤50に埋設設置されることになる。
【0035】
すなわち、循環流路材14は、ドレーン材11を軟弱地盤50に埋設する際に用いた、公知の埋設施工システムを使用して、上下方向に延設させて軟弱地盤50に埋設設置することが可能であり、アンカー材34を介して下端部をケーシング35の下端部に係止した状態で、ケーシング35が下方に移動することにより、供給リール部31から繰り出されながら、ケーシング35と共に支持地盤51に向けて打ち込まれるようになっている。また、ケーシング35と共に循環流路材14を所定深さまで打ち込んだら、打ち込んだケーシング35を上方に移動させる。これによって、アンカー材34に折返し部が係止された循環流路材14は、アンカー材34が地中に残置されたままの状態で、ケーシング35のみが上方に引き抜かれることにより、供給流路14a及び返送流路14bの上部の所定の長さ部分を、軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた状態で、軟弱地盤50に埋設設置されることになる。
【0036】
本実施形態の施工方法では、さらに、載荷層盛土工程(
図2(c)参照)において、軟弱地盤50の圧密沈下後に形成される構造物10の基礎地盤体10aとなる載荷層13の盛土を行なう。載荷層13の盛土は、載荷層13の荷重が、圧密沈下後の基礎地盤体10aの荷重と形成される構造物10の荷重との和と同等であるようにすることが好ましく、なるべく手を加えずに基礎地盤体10aとして使用できるように施工することが望ましい。盛土される載荷層13は、その自重により軟弱地盤50に載荷重を負荷して、軟弱地盤50から過剰間隙水が滲出し易くなるようにする機能を備えている。盛土される載荷層13は、例えば他の土工現場で発生した残土のうち、良質なものを選定して使用して形成することが好ましい。盛土される載荷層13は、十分な載荷重量が得られるように、本実施形態では、例えば3~12m程度の高さとなるように盛土されると共に、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後の載荷層13による基礎地盤体10bを、好ましくは路面構造物である道路10の路体として使用することが可能なように、盛土された載荷層13による地盤を安定させるために、載荷層13の外周部分の法面を例えば1:1.5~1:3.0程度の安定勾配で、傾斜させた状態で盛土されるようになっている。
【0037】
また、本実施形態では、載荷層13を盛土する際に、上述のようにして軟弱地盤50に埋設された循環流路材14の上部の、軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた所定の
長さ部分を、上下方向に起こしながら載荷層13の各層に順次埋設して行くことができる。これによって、循環流路材14の上端部分を、盛土された載荷層13の外周面部分からさらに突出させて、盛土された載荷層13の外周面部分に設置される、太陽熱を捕集するソーラー装置15aを含む複数の熱媒体供給手段15に、各々接続できるようになっている。
【0038】
なお、載荷層13は、循環流路材14を軟弱地盤50に埋設した後に、軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた所定の長さ部分を、盛土される各層に順次埋設しながら施工する必要は必ずしも無く、載荷層13を、循環流路材14を軟弱地盤50に埋設するのに先立って、先行して施工することもできる。この場合には、載荷層13を盛土した後に、盛土された載荷層13の上から、上述と同様の打込み用重機30を用いて、載荷層13及び透水層12を貫通させて、循環流路材14を軟弱地盤50に埋設することができる。
【0039】
本実施形態の施工方法では、さらに、熱媒体供給手段設置工程(
図1参照)において、盛土された載荷層13の外周面部分に、埋設された各々の循環流路材14に加熱された熱媒体を供給する熱媒体供給手段15を設置する。熱媒体供給手段15は、好ましくは太陽熱を捕集する公知のソーラー装置15aを含んで構成されており、ソーラー装置15aは、盛土された載荷層13の外周面部分の略全域に、分散配置された状態で複数設置される。これによって、本実施形態の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法を実施可能にする、圧密促進システム40が構成される。ソーラー装置15aは、太陽熱を捕集する採光面に沿って循環水を循環させることで、太陽熱によって循環水を加熱し、加熱されて温水となった循環水を熱媒体として循環流路材14に送り出すことによって、循環流路材14を介して軟弱地盤50の中を循環させ、軟弱地盤50を加温させることができるようになっている。
【0040】
すなわち、本実施形態では、形成された載荷層13の外周面部分からさらに突出する部分の循環流路材14の供給流路14aを、ソーラー装置15aにおける循環水の流出口(図示せず)と接続し、返送流路14bをソーラー装置15aにおける循環水の流入口(図示せず)と接続して、例えばソーラー装置15aにおける循環水の流出口に設けた循環ポンプ(図示せず)を駆動する。これによって、軟弱地盤50に埋設された各々の循環流路材14に、ソーラー装置15aで加熱された熱媒体である温水が、供給流路14aを介して地中に供給されて、軟弱地盤50との間で熱交換がなされると共に、熱交換がなされた後の循環水を、返送流路14bを介してソーラー装置15aに返送することが可能になる。またこれによって、軟弱地盤50とソーラー装置15aとの間で、加熱された温水による循環水を循環させ、軟弱地盤50との間の熱交換によって軟弱地盤50を加温することにより、軟弱地盤50中の過剰間隙水のドレーン材11に向けた滲出を、促進することが可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、工期の短縮を図ることができるように、
図8に示すように、載荷層13を盛土する際に、盛土される領域の外側にソーラー装置15aを設置すると共に、軟弱地盤50に埋設された循環流路材14の上部の、軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた所定の長さ部分を、例えば透水層12の上面に沿わせて横方向に配設し、これの先端部分の供給流路14aや返送流路14bを、ソーラー装置15aに接続するようにすることもできる。これによって、盛土される載荷層13の施工中に、軟弱地盤50に埋設された循環流路材14にソーラー装置15aで加熱された温水を循環させることが可能になるので、載荷層13の施工中においても、軟弱地盤50を加温することにより、軟弱地盤50の圧密沈下の促進を図ることが可能になる。
【0042】
本実施形態の施工方法では、上述のようにして構成される圧密促進システム40(
図1参照)によって、熱媒体供給手段15から供給される熱媒体を各々の循環流路材14を介
して循環させることで、軟弱地盤50を加温しながら圧密させて、
図3に示すように、好ましくは基礎地盤体10aとなる載荷層13の天端部が設計高さとなるまで沈下したら、
図4(a)、(b)に示すように、熱媒体供給手段撤去工程(
図4(a)、(b)参照)において、形成された基礎地盤体10aを路体として路面構造物10である道路が設けられる、好ましくは載荷層13の天端部の外周面領域10bの熱媒体供給手段15を撤去する。
【0043】
また、本実施形態の施工方法では、路面構造物10である道路が設けられる、載荷層13の天端部の外周面領域10bにおける熱媒体供給手段15を撤去したら、切土又は盛土を適宜行って高さを調節した後、
図4(c)に示すように、横方向流路設置工程(
図4(c)参照)において、熱媒体供給手段15が撤去された天端部の外周面領域10bにおける基礎地盤体10aの表層部分に、熱媒体流路材16を、横方向に延設させて埋設する。熱媒体流路材16は、地中に蓄熱された熱を汲み上げる地中熱回収手段18として、好ましくは熱媒体供給手段15が撤去された天端部の外周面領域10bにおいて地中に残置された循環流路材14と接続して用いることができる。熱媒体流路材16は、例えば載荷層13による基礎地盤体10aの法面から、地中熱回収手段18として機能する新たな公知の循環流路材(図示せず)を設置して、接続することもできる。新たに設置される循環流路材は、軟弱地盤50の圧密沈下が既に完了しているため、可撓性のあるものである必要はない。また、熱媒体流路材16は、循環流路材14と同様のプラスチック複合成形品を用いて形成することができる。すなわち、熱媒体流路材16として、例えば熱可塑性樹脂で作った条板を所要の巾にして任意長さとし、その表面に長手方向に延設する凹溝を適宜数並設せしめ、各凹溝上に、不透水性を備えるシート材を跨らせて張貼することにより形成される、プラスチック複合成形品である通水板を用いることができる。熱媒体流路材16は、路面構造物10である道路の下方の地盤に横方向に延設して埋設されるものであることから、より耐久に優れた、プラスチック複合成形品を用いて形成することが好ましい。
【0044】
熱媒体流路材16は、例えば供給流路の一端部を循環流路材14の供給流路14aと連通するように接続すると共に、返送流路の一端部を循環流路材14の返送流路14bと連通するように接続して用いることができる。また、熱媒体流路材16は、例えば供給流路の一端部を新たに設置した循環流路材の供給流路と連通するように接続すると共に、返送流路の一端部を新たに設置した循環流路材の供給流路と連通するように接続して用いることもできる。さらに、熱媒体流路材16は、これらの供給流路や返送流路の他端部を、基礎地盤体10aの外周面部分における熱媒体供給手段15が残置された領域である路体の法面まで延設させて、循環用ポンプ17と各々接続されるようになっている。これによって、循環用ポンプ17を駆動することで、循環水を、基礎地盤体10aの天端部の表層部分に埋設された熱媒体流路材16と、地中に残置された地中熱回収手段18として機能する循環流路材14との間で、循環させることができるようになっている。
【0045】
本実施形態の施工方法では、好ましくは熱媒体供給手段15が撤去された部分の外周面領域10bの地中に残置された循環流路材14と接続して、熱媒体流路材16を横方向に延設させて埋設したら、
図4(d)に示すように、構造物形成工程(
図4(d)参照)において、熱媒体供給手段15が撤去された部分の外周面領域10bの基礎地盤体10aの上に、構造物10として、路面を構成する路面構造物である道路を形成する。路面構造物10である道路は、従来から公知の各種の工法によって、熱媒体供給手段15が撤去された部分の外周面領域10bの基礎地盤体10aを路体として、容易に形成することが可能である。
【0046】
そして、本実施形態によれば、上述の施工方法によって寒冷地における軟弱地盤の上に形成された路面構造物10である道路においては、当該道路10の供用開始後に、熱媒体
供給手段撤去工程で撤去されなかった熱媒体供給手段15から供給される加熱された熱媒体を、循環流路材14を介して循環させることで、地中に蓄熱できるようになっており、また蓄熱された熱を、熱媒体供給手段15が撤去された外周面領域10bの基礎地盤体10aの表層部分に、好ましくは載荷層13の法面に新たに設置された循環流路材や当該外周面領域10bに残置された循環流路材14を地中熱回収手段18として、これらと熱媒体流路材16との間で熱媒体を循環させることによって、取り出すことができるようになっている。これによって、寒冷地における軟弱地盤の圧密沈下が収束した後、これの上方の盛土地盤である基礎地盤体10aを路体として形成された、路面構造物10である道路に、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにすることが可能になる。
【0047】
したがって、本実施形態の寒冷地の軟弱地盤における構造物の施工方法によれば、寒冷地において、軟弱地盤50を加温して、圧密沈下の促進を効果的に図ることができると共に、軟弱地盤50の圧密沈下が収束した後、これの上方の盛土地盤に形成された路面構造物10である道路に、冬季に積雪や凍害よる影響が及ばないようにすることが可能になる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、熱媒体供給手段は、太陽熱を捕集するソーラー装置を含んで構成されている必要は必ずしも無く、工業排熱による温水等を循環流路材に送り出すものあっても良い。循環流路材を介して軟弱地盤中を循環する加熱された熱媒体は、温水である必要は必ずしも無く、加熱された温風等であっても良い。可撓性を有する前記循環流路材は、プラスチック複合成形品以外の、その他の材料からなるものであっても良い。また、軟弱地盤の圧密沈下が収束した後に盛土地盤の上に形成される構造物は、路面構造物である道路である必要は必ずしも無く、その他の種々の構造物であっても良い。
【0049】
さらに、軟弱地盤50に埋設される循環流路材14は、形成された盛土載荷層13の外周面部分から盛土載荷層13及び透水層12を貫通させて設けられる必要は必ずしも無く、
図9に示すように、軟弱地盤50に埋設された循環流路材14の上部の、軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた所定の長さ部分を、例えば透水層12の上面に沿わせて横方向に配設し、さらに載荷層13の周囲の法面に沿って延設させることで、各々のソーラー装置15aによる熱媒体供給手段15と接続させて、圧密促進システム40’とすることもできる。
図9に示す圧密促進システム40’は、特に
図8に示すように、載荷層13を盛土する際に、盛土される領域の外側にソーラー装置15aを設置すると共に、軟弱地盤50に埋設された循環流路材14の上部の軟弱地盤50の上面よりもさらに延設させた所定の長さ部分を、透水層12の上面に沿わせて配設してソーラー装置15aに接続し、載荷層13の施工中においても軟弱地盤50の圧密沈下の促進を図るようにした場合に、このような工程に続けて効率良く設けることが可能になる。また、
図9に示す圧密促進システム40’によれば、循環流路材14を載荷層13の上から打込む必要がないため、打込み用重機30を載荷層13の上に移動させる等の必要がなく、施工手間を軽減することが可能になる。循環用のポンプの電源とするために、ソーラー装置15aの一部を太陽電池にしても良い。構造物10が道路の場合、冬季以外にも熱媒体流路材16と循環流路材14に熱媒体を循環させて、道路の路面をソーラー装置15aと同様に地中に蓄熱するための装置の構成部分として利用しても良い。
【符号の説明】
【0050】
10 構造物(路面構造物、道路)
10a 基礎地盤体(路体)
10b 熱媒体供給手段が撤去された部分の外周面領域(構造物が設けられる部分の外周面領域)
11 ドレーン材
12 透水層
13 載荷層
14 循環流路材
14a 供給流路
14b 返送流路
15 熱媒体供給手段
15a ソーラー装置
16 熱媒体流路材
17 循環用ポンプ
18 地中熱回収手段
30 打込み用重機
30a 移動機構
30b 基台部
31 供給リール部
32 タワー部
33 施工管理装置
33a 送出し量検知器
33b 抵抗検出器
34 アンカー材
35 ケーシング
40,40’圧密促進システム
50 軟弱地盤
51 支持地盤