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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ヘルメット用脈波測定器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20230623BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61B5/02 310D
A61B5/02 310F
A61B5/16 200
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018190619
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020058493
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(73)【特許権者】
【識別番号】515271607
【氏名又は名称】株式会社TAOS研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】酒井 一
(74)【代理人】
【識別番号】100082692
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵合 正博
(72)【発明者】
【氏名】丸山 能生
(72)【発明者】
【氏名】米田 秀人
(72)【発明者】
【氏名】苗 鉄軍
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭勝
(72)【発明者】
【氏名】東田 外史
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0296669(US,A1)
【文献】特開2017-196049(JP,A)
【文献】特開2016-123472(JP,A)
【文献】実開平03-101910(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000417(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
A42B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルメット内の着装体のヘルメットを着用する作業員の前額部に当たる部位を取付部として当該取付部に取り付けられ、作業員の前額部に当接させて脈波を測定するヘルメット用脈波測定器具であって、
柔軟性、ヒトの皮膚に対して密着性を有するベースシートと、
前記ベースシートの一方の面に光センサー部を露出させて前記ベースシートの他方の面に取り付けられる脈波センサーと、
前記ベースシートとヘルメット内の前記取付部とを繋ぎ、作業員の頭上でのヘルメット のずれに対して追従可能な可動域を有する繋ぎ部材と、
を備え、
前記繋ぎ部材は、前記ベースシートの両端側で前記ベースシートとヘルメット内の前記取付部との間に所定の空間を介して前記ベースシートと前記取付部との間に巻き付けて両者を繋ぐリング状の粘着テープと、前記ベースシートの他方の面に固定されて前記ベースシートと前記取付部との間に介装され、前記ベースシートを作業員の前額部に押さえ付けるための弾性材とを有してなり、
前記ベースシートを前記繋ぎ部材によりヘルメット内の前記取付部に取り付けて、前記脈波センサーを前記ベースシートを介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して前記繋ぎ部材の前記リング状の粘着テープの可動域により追従させ、前記脈波センサーを前記ベースシートの密着性により作業員の前額部に残置する、
ことを特徴とするヘルメット用脈波測定器具。
【請求項2】
ベースシートはシリコンゴムシートからなり、その中央に脈波センサーの光センサー部が嵌合可能な孔を穿設されて、前記光センサー部が前記ベースシートの孔に嵌装されて前記ベースシートに面一にして表出される請求項1に記載のヘルメット用脈波測定器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事の作業現場や工場内の作業現場などの作業員の疲労状況評価の要素(バイタルサイン)の一つとされる脈波を測定する技術に関し、特に、被検者である作業員の着用するヘルメットに取り付けて、作業員の作業行動に支障を与えることなく、脈波を確実に測定することのできるヘルメット用脈波測定器具に関する。
【背景技術】
【0002】
建設工事や工場内の労働環境においては、作業員の、作業中における疲労レベルの把握、朝や休憩時における疲労回復状態の把握、労働効率の改善や安全管理での使用、疲労が重大な事故を招く虞のある職種での予防措置などのために、作業員の疲労状況を知得したり評価したりする必要がある。
【0003】
そこで、従来より、運動動作中のヒトの生体疲労を評価するため、ヒトの脈波から得られる特徴量と疲労との関係性を明らかにし、脈波(波形変化)からヒトの疲労度を評価する方法が提案され、ヒトの腕や指などの生体に光を照射し、生体を透過した光の受光強度に基づいてヒトの脈波を検出する脈波センサー(いわゆる光電型の脈波センサー)やこれを用いた脈波測定器具が既に実用化され、製品として市販されている。
【0004】
この種の脈波測定器具が例えば特許文献1により提案されている。
この文献1の脈波センサ(脈波測定器具)は、発光部及び受光部からなる光センサ部と、フィルタ部と、制御部と、表示部と、通信部と、電源部とを有する本体ユニットと、本体ユニットの両端部に取り付けられて手首に巻き回される皮革、金属、樹脂などからなるベルトとを備えた腕時計型構造となっている。
この脈波センサは被検者の手首に装着されて、発光部から光が照射され、体内を透過して体外に出てくる光の強度を受光部で検出する。生体組織や静脈血(脱酸素化ヘモグロビンHb)による光の減衰量(吸光度)は一定であるが、動脈血(酸素化ヘモグロビンHbO2)による光の減衰量(吸光度)は拍動によって時間的に変動する。したがって、可視領域から近赤外領域にある「生体の窓」(光が生体を透過しやすい波長領域)を利用して、末梢動脈の吸光度変化を測定することにより、非侵襲で容積脈波を測定する。心臓及び自立神経(正しくは「自律神経」。原文のまま記載。)の支配を受けている脈波は、常に一定の挙動を示すものではなく、被検者の状態によって様々な変化(揺らぎ)を生じるものである。したがって、脈波の変化(揺らぎ)を解析することにより、被検者の様々な身体情報を得ることができる。例えば、心拍数からは、被検者の運動能力や緊張度などを知ることができ、心拍変動からは、被検者の疲労度、快眠度、及び、ストレスの大きさなどを知ることができる。また、脈波を時間軸で2回微分することにより得られる加速度脈波からは、被検者の血管年齢や動脈硬化度などを知ることができる。
【0005】
なお、この文献1には被検者の手首、耳たぶや耳孔に装着して脈波の測定を行うタイプのものが例示されているが、この他にも被検者の指先に装着して脈波の測定を行うものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-8310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の脈波センサーのようにセンサユニット(脈波センサー本体)にベルトを取り付けて、被検者の手首に装着する形式の脈波測定器具では、建設工事や工場内で作業中の作業員に適用した場合、作業員の手首の動きが激しく、測定値にノイズが入り易い、耳たぶに装着する形式の脈波測定器具(クリップ式の脈波測定器具)では、装着感が悪く、作業中に外れる恐れがある、被検者の耳孔に装着する形式の脈波測定器具では、この器具を耳に挿入したままで建設作業を行うことは、周囲の音や声が聞こえにくくなる恐れがあり危険である、などの問題がある。また、被検者の指先に装着する形式の脈波測定器具では、この器具を指先に付けたまま建設工事や工場内で作業を行うことは無理がある、という問題がある。
そこで、土木・建築作業現場や工場内の作業現場では脈波測定器具を作業者が着用するヘルメットに装着することが最適と考えられる。この場合、脈波センサーがヒトの皮膚に直接接する必要があるため、頭髪に邪魔されない前額部に接することが好ましく、脈波測定器具はヘルメット内の前額部に当たる部分に取り付けることが望ましい。
しかしながら、脈波センサー(一般に、光電型の脈波センサー)は脈波の測定中、体表面の一箇所、この場合、前額部に固定される必要があるところ、脈波測定装置をヘルメット内に固定して取り付けてしまうと、作業員が動く毎に作業員の頭上でヘルメットがずれ、脈波測定器具がヘルメットに追従して動き、その都度、脈波の測定結果に雑音が入り、脈波から算出する心拍数や心拍ゆらぎ、リアプノフ指数などの計算結果に悪い影響を与えることになる、という問題がある。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するもので、ヘルメットに取り付けて、脈波センサーを作業員の前額部に固定でき、作業員の頭上でヘルメットがずれても、脈波センサーを動かすことなく作業員の前額部に固定して、作業員が動いている間でも、雑音の少ない脈波(脈波データ)を取得することができ、しかも、作業員の前額部に簡単に装着でき、作業員にとって装着感が良く、作業の邪魔にならないヘルメット用脈波測定器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は
ヘルメット内の着装体のヘルメットを着用する作業員の前額部に当たる部位を取付部として当該取付部に取り付けられ、作業員の前額部に当接させて脈波を測定するヘルメット用脈波測定器具であって、
柔軟性、ヒトの皮膚に対して密着性を有するベースシートと、
前記ベースシートの一方の面に光センサー部を露出させて前記ベースシートの他方の面に取り付けられる脈波センサーと、
前記ベースシートとヘルメット内の前記取付部とを繋ぎ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して追従可能な可動域を有する繋ぎ部材と、
を備え、
前記繋ぎ部材は、前記ベースシートの両端側で前記ベースシートとヘルメット内の前記取付部との間に所定の空間を介して前記ベースシートと前記取付部との間に巻き付けて両者を繋ぐリング状の粘着テープと、前記ベースシートの他方の面に固定されて前記ベースシートと前記取付部との間に介装され、前記ベースシートを作業員の前額部に押さえ付けるための弾性材とを有してなり、
前記ベースシートを前記繋ぎ部材によりヘルメット内の前記取付部に取り付けて、前記脈波センサーを前記ベースシートを介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して前記繋ぎ部材の前記リング状の粘着テープの可動域により追従させ、前記脈波センサーを前記ベースシートの密着性により作業員の前額部に残置する、
ことを要旨とする。
この場合、ベースシートはシリコンゴムシートからなり、その中央に脈波センサーの光センサー部が嵌合可能な孔を穿設されて、前記光センサー部が前記ベースシートの孔に嵌装されて前記ベースシートに面一にして表出されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヘルメット用脈波測定器具によれば、上記の構成により、ベースシートを繋ぎ部材によりヘルメット内の取付部に取り付けて、脈波センサーをベースシートを介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して繋ぎ部材のリング状の粘着テープの可動域により追従させ、脈波センサーをベースシートの密着性により作業員の前額部に残置するようにしたので、ヘルメット用脈波測定器具をヘルメットに取り付けて、脈波センサーを作業員の前額部に固定でき、作業員の頭上でヘルメットがずれても、脈波センサーを動かすことなく作業員の前額部に固定して、作業員が動いている間でも、雑音の少ない脈波(脈波データ)を取得することができ、しかも、作業員の前額部に簡単に装着でき、作業員にとって装着感が良く、作業の邪魔にならない、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るヘルメット用脈波測定器具の構成を示す図((a)は同器具を表面側から見た正面図(b)は同器具を上から見た平面断面図(c)は同器具を裏面側から見た背面図)
図2】同器具のヘルメットへの装着例を示す図((a)は同器具を斜め下方から見た斜視図(b)は同器具を下方から見た斜視図)
図3】同器具のヘルメットへの装着例、特に同器具から延びるユニットケーブルの取り回し、同器具に接続するコントロールユニットの装着状態を示す図(斜視図)
図4】同器具の使用例を示す図(概略平面図)
図5】同器具に用いるモバイル端末として使用するタブレット端末を示す図(正面図)
図6】本発明の第2の実施の形態に係るヘルメット用脈波測定器具の構成を示す図((a)は同器具を表面側から見た正面図(b)は同器具を上から見た平面断面図(c)は同器具を裏面側から見た背面図)
図7】同器具のヘルメットへの装着例を示す図(同器具を斜め下方から見た斜視図)
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
【0013】
図1に第1の実施の形態を示している。なお、図1はヘルメット用脈波測定器具の一部(特にベースシート及び脈波センサー)の構成を示すもので、全体の構成は図2図4に示しており、図2図4を併せて参照されたい。
図1に示すように、ヘルメット用脈波測定器具S1は、ヘルメット内の着装体のヘルメットを着用する作業員の前額部に当たる部位を取付部としてこの取付部に取り付けられ、作業員の前額部に当接させて脈波を測定するもので、柔軟性、ヒトの皮膚に対して密着性を有するベースシート1と、ベースシート1の一方の面(以下、表面という。)に光センサー部21を露出させてベースシート1の他方の面(以下、裏面という。)に取り付けられる脈波センサー2と、ベースシート1とヘルメット内の取付部とを繋ぎ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して追従可能な可動域を有する繋ぎ部材3A(図4参照)とを備えて構成される。
【0014】
ベースシート1はシリコンゴムシートからなり、その略中央に脈波センサー2の光センサー部21が嵌合可能な孔10が穿設される。
この場合、ベースシート1は、大きさが被検者の前額部の皮膚への圧力が十分に分散される程度に大きく、被検者の発汗時に装着感を悪くしない程度に小さく形成され、ここでは、長さ100mm、幅30mm、厚さ1mmの長方形の薄い板状に形成される。ベースシート1の中央に設けられる孔10は脈波センサー2の光センサー部21の外径に応じて、すなわち、光センサー部21がベースシート1の裏面側から表面側へ嵌め込まれて表面側に面一に表出するように形成され、ここでは直径約10mmの円形に空けられる。
【0015】
脈波センサー2は既知のもの(一般に知られている反射型の光電型脈波センサー)で、発光部及び受光部からなる光センサー部21と、光センサー部21を駆動し、光センサー部21からの測定信号を外部に取り出すための電子回路をプリントされた基板22とを備える。
この場合、光センサー部21は基板22の電子回路上に実装され、基板22の電子回路にはユニットケーブルCが電気的に接続される。光センサー部21は筐体210が円形偏平状に形成されて、その内部に発光部及び受光部が収容され、筐体210の一方の円形の面には発光用の窓211及び受光用の窓212が並設される。この光センサー部21は基板22がベースシート1の裏面に設置されて一方の面(発光用及び受光用の窓211、212を有する面)からベースシート1中央の孔10にベースシート1の裏面側から表面側に嵌め込まれて、光センサー部21の一方の面(発光用及び受光用の窓211、212を有する面)がベースシート1の表面に面一にして表出される。かくしてベースシート1の裏面に基板22が光センサー部21とともに設置され、ベースシート1の裏面に基板22の上から室温型シリコンゴム硬化剤23が塗布されゴム弾性体23に硬化されて、ベースシート1の裏面に接着され、ゴム弾性体23により密封されて保護される。このゴム硬化体23内の基板22から外部にユニットケーブルCが延ばされ、このユニットケーブルCに携帯用のコントロールユニット24(図3参照)が接続される。このコントロールユニット24もまた既知のもので、ここでは装置構成について特に図示していないが、脈波センサー2他各部をコントロールし、脈波センサー2などで測定された測定信号を取り出す制御部、測定信号をA/D変換するA/D変換部、A/D変換後のデータ(脈波データ)をスマートフォンやタブレット型端末などのモバイル端末へ無線送信するための通信部、電源を必要とする各部に電源を供給する電源部などを備えて構成され、全体として手の平サイズのコンパクトな箱型の装置になっている。このようなコントロールユニット24がユニットケーブルCを介して基板22に接続され、脈波データ他各種のデータをモバイル端末へ送り、モバイルネットワークで所定のサーバー(クラウド上のサーバー)へ転送して、当該サーバーにおいて転送されたデータを基に作業員の疲労状態などを判定するようになっている。
なお、ベースシート1の裏面には、脈波センサー2に加えて、被検者の動作を測定する加速度センサーや、被検者の体表面の温度を測定する体表面温度センサーが取り付けられてもよく、この場合、これらのセンサーもまた同様に基板22に電気的に接続される。
【0016】
また、脈波センサー2は、特に図示しないが、発光部及び受光部からなる光センサー部と、光センサー部にセンサーケーブルを介して電気的に接続され、光センサー部を駆動し、光センサー部からの測定信号を外部に取り出すための電子回路をプリントされた基板と、基板の電子回路に電気的に接続され、携帯用のコントロールユニットを接続するためのコネクタ付きのユニットケーブルとにより構成することができる。この場合、光センサー部は既述のとおり、筐体が円形偏平状に形成されて、その内部に発光部及び受光部が収容され、筐体の一方の円形の面に発光用の窓及び受光用の窓が並設され、この光センサー部のみが一方の面(発光用及び受光用の窓を有する面)からベースシート中央の孔にベースシートの裏面側から表面側に嵌め込まれて設置され、光センサー部の一方の面(発光用及び受光用の窓を有する面)をベースシートの表面に面一にして表出される。このようにしてベースシートの裏面に設置された光センサー部は、ベースシートの裏面に光センサー部の上から室温型シリコンゴム硬化剤が塗布されゴム弾性体に硬化されて、ベースシートの裏面に接着され、光センサー部がこのゴム弾性体により密封されて保護される。そして、このゴム硬化体内の光センサー部からセンサーケーブルが延ばされ、このセンサーケーブルに接続された基板がこの基板に接続されるコネクタ付きのユニットケーブルとともにベースシートから分離される。このように光センサー部と基板とを分離した構造としてもよい。
【0017】
繋ぎ部材3A(図4参照)は、ベースシート1の両端側でベースシート1とヘルメット内の取付部との間に所定の空間を介してベースシート1と取付部との間に巻き付けて両者を繋ぐリング状の粘着テープ31と、ベースシート1の裏面に固定されてベースシート1と取付部との間に介装され、ベースシート1を作業員の前額部に押さえ付けるための弾性材32とを備える。
この場合、粘着テープ31はテープの一方の面に粘着剤が塗布されたもので、粘着剤がベースシート1とヘルメット内の取付部に固定可能な接着力を有すればよい。このような粘着テープ31が所定の長さに切られてリング状に丸められ、ベースシート1の両端側でベースシート1とヘルメット内の取付部との間に所定の空間を介してベースシート1と取付部との間に巻き付けられ(粘着テープ31がベースシート1の表面と取付部(後述するヘッドバンド)の裏面に接着されて)、ベースシート1が取付部に対して少し浮いた状態に取り付けられる。
また、この場合、弾性材32は、ベースシート1内の光センサー部21を作業員の前額部の皮膚に押え込み可能な押し付け力が出る程度の厚さで、作業員がヘルメットを被ったときに違和感のない薄さにすることが好ましく、この場合、弾性材32のヤング率が0.001~0.01GPa(ギガパスカル)の範囲にあり、長さ30mm、幅20mm、高さ10mmの直方体にカットして形成される。この弾性材32はベースシート1裏面の中央で室温型シリコンゴム硬化剤23上に接着固定されて、(このヘルメット用脈波測定器具S1がヘルメット内の取付部に取り付けられた際に)ベースシート1とヘルメット内の取付部との間に介在される。なお、ここでは弾性材32にスポンジが使用される。以下、弾性材32をスポンジ32という。
【0018】
このようにしてヘルメット用脈波測定器具S1は構成され、ベースシート1を繋ぎ部材3によりヘルメット内の取付部に取り付けて、脈波センサー2をベースシート1を介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して繋ぎ部材3をその可動域により追従させ、脈波センサー2をベースシート1の密着性により作業員の前額部に残置するようになっている。
【0019】
図2図3にこのヘルメット用脈波測定器具のヘルメットへの装着例を示している。
なお、図2図3に一般的なヘルメット(保護帽)の基本的な構造を併せて示している。図2図3に示すように、ヘルメットHは、帽体41と、帽体41内に取り付けられるヘッドバンド421及びハンモック422からなる着装体42と、あご紐43とからなり、着装体42によって帽体41と着用者の頭部の間に隙間が作られて、ヘルメットHに加えられる衝撃から着用者の頭部を保護するようになっている。このようなヘルメットHにおいて、ヘルメット用脈波測定器具S1の取付部Pはヘッドバンド421の前側でヘルメットHの着用者の前額部に当たる部位の中央のヘルメット用脈波測定器具S1のベースシート1の大きさに相当する範囲となる。
図2に示すように、ヘルメット用脈波測定器具S1をヘルメットHに取り付ける場合、まず、ベースシート1を、裏面のスポンジ32をヘルメットH内の取付部Pの中央に当てて、この取付部Pに対向配置する。続いて、ベースシート1の両端側でベースシート1とヘルメットH内のヘッドバンド421との間に両者間に所定の間隔を取って粘着テープ31をリング状に巻き付け、粘着テープ31の粘着面をベースシート1の表面とヘッドバンド421の裏面(前額部が当たる面を表面としてその反対の面)に接着し、ベースシート1の中央とヘッドバンド421の前側中央との間にスポンジ32を介して、ベースシート1を取付部Pに対して少し浮かせた状態にして取り付ける。これでヘルメット用脈波測定器具S1それ自体の取り付けは完了する。
次いで、図3に示すように、ベースシート1内の基板22から延びるユニットケーブルCをヘルメットH内から外に取り出し、ユニットケーブルCにコントロールユニット24を接続する。このユニットケーブルCをヘルメットHの外面側部に這わせ、コントロールユニット24をヘルメットHの外面後部に配置して、コントロールユニット24をユニットケーブルCとともに拘束バンド5で拘束する。これでコントロールユニット24の装着とユニットケーブルCの取り回しを完了する。
また、脈波センサー2を光センサー部と基板とを分離した構造にした場合は、ヘルメットにヘルメット用脈波測定器具S1それ自体の取り付けを完了した後、ベースシート内の光センサー部から延びるセンサーケーブルに接続された基板をヘルメット内の着装体で作られた隙間に配置し、基板から延びるユニットケーブルをヘルメット内から外に取り出し、ユニットケーブルにコントロールユニットを接続する。このユニットケーブルをヘルメットの外面側部に這わせ、コントロールユニットをヘルメットの外面後部に配置して、コントロールユニットをユニットケーブルとともに拘束バンドで拘束する。このようなコントロールユニットの装着とセンサーユニット、基板、ユニットケーブルの取り回しにしてもよい。
なお、ここでは、コントロールユニット24をヘルメットHの外面後部に配置して拘束バンド5で拘束するものとしたが、コントロールユニット24はヘルメットHの外面の例えば側部(横)や後方の斜め上部など作業の邪魔にならない限りどこに配置してもよく、また、このコントロールユニット24を拘束バンド5に代えて面ファスナーなどを使って固定してもよい。
【0020】
図4にこのヘルメット用脈波測定器具の使用例を示している。
図4に示すように、このヘルメット用脈波測定器具S1を使用する際は、被検者である作業員がヘルメットHを被ってあご紐43を締めればよい。このようにするだけで、ヘルメットH内の取付部Pとベースシート1との間のスポンジ32の弾性作用により、ベースシート1が作業員の前額部の皮膚に押し付けられて、ベースシート1の表面中央に表出される脈波センサー2の光センサー部21が作業員の前額部に接するので、作業員の前額部に簡単に装着でき、作業員にとって装着感が良く、作業の邪魔になることもない。そして、ヘルメット用脈波測定器具S1を起動させて、作業員がルーティンワークに入る。ヘルメット用脈波測定器具S1が起動(動作開始)されると、作業員の前額部に接する脈波センサー2(光センサー部21)によって脈波(すなわち、人体の毛細血管を流れるヘモグロビンの増減)の測定が行われ、その測定信号がユニットケーブルCを通してコントロールユニット24に送られる。コントロールユニット24では脈波センサー2から送られた測定信号がA/D変換され、A/D変換後の脈波データがスマートフォンやタブレット端末(図5参照)などのモバイル端末に無線送信されて、このモバイル端末からモバイルネットワークを通して所定のサーバー(クラウド上のサーバー)へ転送される。このサーバーで脈波データの解析が行われ、作業員の疲労状態などが判定される。なお、脈波センサー2に加速度センサーや体表面温度センサーが併せて設けられた場合は、加速度センサーによって作業員の行動(身体の動き)が測定され、体表面温度センサーによって作業員の体表面温度が測定され、これらの行動測定信号及び体表面温度測定信号もまた、同様に、コントロールユニット、モバイル端末を通して、所定のサーバー(クラウド上のサーバー)へ送られ、このサーバーで行動データ及び体表面温度データの解析が行われる。
ここでヘルメットは作業の安全のために必須とされる道具であるから、このヘルメットが邪魔になることはなく、また、ヘルメットはあご紐によって作業者の頭部に固定されるから、作業中に脱落するといったトラブルが起きることはなく、そして、作業者は、その作業中はヘルメットを脱ぐことがほとんどないから、作業の間(休憩時間を含めて)、脈波(加速度センサーや体表面温度センサーを有する場合は、作業者の行動及び体表面温度)を確実に測定することができる。
こうした中で、作業員が動く毎に作業員の頭上でヘルメットがずれる。このヘルメットのずれに対しては、繋ぎ部材3、この場合、リング状の粘着テープ31がヘルメット内のベースシート1の両端側でベースシート1と取付部P(ヘッドバンド421)との間に所定の間隔を介して巻き付けられて、ベースシート1が取付部P(ヘッドバンド421)に対して少し浮いた状態に繋止されているので、このリング状の粘着テープ31の可動域の範囲内で、このリング状の粘着テープ31のみがヘルメットのずれに追従し、脈波センサー2(光センサー部21)はベースシート1の密着性により作業員の前額部に残置されて、脈波の測定が雑音が入ることなく継続される。したがって、作業員が動いている間でも、作業員の前額部で脈波センサー2により雑音の少ない脈波データを採取することができる。
【0021】
以上説明したように、このヘルメット用脈波測定器具S1によれば、柔軟性、密着性を有するベースシート1と、ベースシート1の表面に光センサー部21を露出させてベースシート1の裏面に取り付けられる脈波センサー2と、ベースシート1とヘルメット内の取付部とを繋ぎ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して追従可能な可動域を有する繋ぎ部材3とを備え、脈波センサー2付きのベースシート1を繋ぎ部材3によりヘルメット内の取付部に取り付けて、脈波センサー2をベースシート1を介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して繋ぎ部材3をその可動域により追従させ、脈波センサー2をベースシート1の密着性により作業員の前額部に残置するようにしたので、このヘルメット用脈波測定器具S1をヘルメットに取り付けて、脈波センサー2を作業員の前額部に固定でき、作業員の頭上でヘルメットがずれても、脈波センサー2を動かすことなく作業員の前額部に固定して、作業員が動いている間でも、雑音の少ない脈波(脈波データ)を取得することができ、しかも、作業員の前額部に簡単に装着でき、作業員にとって装着感が良く、作業の邪魔になることもない。
また、このヘルメット用脈波測定器具S1では、ベースシート1がシリコンゴムシートからなり、その略中央に脈波センサー2の光センサー部21が嵌合可能な孔10を穿設されて、光センサー部21がベースシート1の孔10に嵌装されてベースシート1に面一にして表出されるようにしたので、このヘルメット用脈波測定器具S1を簡易な構造として製造コストを低く押え、安価に提供することができる。
さらに、このヘルメット用脈波測定器具S1では、繋ぎ部材3が、ベースシート1の両端側でベースシート1とヘルメット内の取付部との間に所定の空間を介してベースシート1と取付部との間に巻き付けて両者を繋ぐリング状の粘着テープ31と、ベースシート1と取付部との間に介装され、ベースシート1を作業員の前額部に押さえ付けるためのスポンジ32とにより構成されるので、このヘルメット用脈波測定器具S1を簡易な構造として製造コストを低く押え、安価に提供することができる。
【0022】
図6に第2の実施の形態を示している。
図6に示すように、ヘルメット用脈波測定器具S2は、第1の実施の形態と同様に、ヘルメット内の着装体のヘルメットを着用する作業員の前額部に当たる部位を取付部としてこの取付部に取り付けられ、作業員の前額部に当接させて脈波を測定するもので、柔軟性、ヒトの皮膚に対して密着性を有するベースシート1と、ベースシート1の表面に光センサー部21を露出させてベースシート1の裏面に取り付けられる脈波センサー2と、ベースシート1とヘルメット内の取付部とを繋ぎ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して追従可能な可動域を有する繋ぎ部材3Bとを備えて構成される。
【0023】
ベースシート1は、第1の実施の形態と同様に、シリコンゴムシートからなり、その略中央に脈波センサー2の光センサー部21が嵌合可能な孔10が穿設される。
この場合も、ベースシート1は長さ100mm、幅30mm、厚さ1mmの長方形の薄い板状に形成され、ベースシート1の中央に設けられる孔10は脈波センサー2の光センサー部21の外径に応じて、すなわち、光センサー部21がベースシート1の裏面側から表面側へ嵌め込まれて表面側に面一に表出するように形成され、ここでは直径約10mmの円形に空けられる。
【0024】
脈波センサー2は、第1の実施の形態と同様で、光センサー部21が一方の面(発光用及び受光用の窓211、212を有する面)からベースシート1中央の孔10にベースシート1の裏面側から表面側に嵌め込まれて設置され、光センサー部21の一方の面(発光用及び受光用の窓211、212を有する面)をベースシート1の表面に面一にして表出される。この場合、光センサー部21は基板22に実装され、基板22がベースシート1の裏面に設置される。かくしてベースシート1の裏面に設置された基板22は、ベースシート1の裏面全体に基板22の上から室温型シリコンゴム硬化剤23が厚く塗布されゴム弾性体23に硬化されて、ベースシート1の裏面に接着され、光センサー部、基板共に厚いゴム弾性体23により包み込まれて保護される。また、この場合、ベースシート1は被検者の前額部に沿って隙間なく接するように、湾曲状に形成される。そして、このゴム硬化体23内の基板22からはユニットケーブルCが延ばされ、このユニットケーブルCにはコントロールユニット24が接続される。コントロールユニット24は既述のとおりである。
なお、ベースシート1の裏面には、第1の実施の形態と同様に、脈波センサー2に加えて、被検者の動作を測定する加速度センサー、被検者の体表面の温度を測定する体表面温度センサーが取り付けられてもよく、この場合、これらのセンサーもまた同様に基板22に電気的に接続される。
【0025】
繋ぎ部材3Bは、ベースシート1の裏面に取り付けられる面ファスナー33と、ヘルメット内の取付部に被着され、面ファスナー33に対して所定の可動域を持たせて係合可能な固定部材34(図7参照)とを備えてなる。この場合、面ファスナー33はフック側の面ファスナーで、ベースシート1の裏面と同じ大きさ、形状に形成され、この面ファスナー33がベースシート1の裏面に室温型シリコンゴム硬化剤23を介して貼り付けられる。また、この場合、固定部材34にはヘルメット用の汗取り部材(汗取りパッドなど)が用いられる。以下、固定部材34を汗取り部材34という。この種の汗取り部材34は表面がタオル地などの布材になっており、面ファスナー33に対して所定の可動域を持たせて係合可能である。このような汗取り部材34がヘルメット内のヘッドバンドの前側に被着される。
【0026】
このようにしてヘルメット用脈波測定器具S2は構成され、ベースシート1を繋ぎ部材3Bによりヘルメット内の取付部に取り付けて、脈波センサー2をベースシート1を介してヘルメットを着用する作業員の前額部に密着させ、作業員の頭上でのヘルメットのずれに対して繋ぎ部材3Bをその可動域により追従させ、脈波センサー2をベースシート1の密着性により作業員の前額部に残置するようになっている。
【0027】
図7にこのヘルメット用脈波測定器具のヘルメットへの装着例を示している。なお、ヘルメットHの基本的な構造は既述のとおりであり、このヘルメットH内のヘッドバンド421の前側には既述の汗取り部材(汗取りパッド)34を被着してある。このヘルメットHにおいても、ヘルメット用脈波測定器具S2の取付部Pはヘッドバンド421の前側でヘルメットHを着用する作業員の前額部に当たる部位の中央のヘルメット用脈波測定器具S2のベースシート1の大きさに相当する範囲である。
図7に示すように、このヘルメット用脈波測定器具S2をヘルメットHに取り付ける場合、ベースシート1裏面の面ファスナー33をヘルメットH内の取付部Pに当てて結合させるだけでよい。これでヘルメット用脈波測定器具S2それ自体の取り付けは完了する。次いで、(図3参照)ベースシート1内の基板22から延びるユニットケーブルCをヘルメットHの外面側部に這わせ、このユニットケーブルCに接続されたコントロールユニット24をヘルメットHの外面後部に配置して、コントロールユニット24をユニットケーブルCとともに拘束バンド5で拘束する。これでコントロールユニット24の装着とユニットケーブルCの取り回しを完了する。
【0028】
このヘルメット用脈波測定器具S2を使用する際は、第1の実施の形態と同様で、被検者である作業員がヘルメットHを被ってあご紐43を締めればよい。このようにするだけで、ヘルメットH内の取付部Pに取り付けられたヘルメット用脈波測定器具S2のベースシート1が作業員の前額部の皮膚に押し付けられて、ベースシート1の表面中央に表出される脈波センサー2の光センサー部21が作業員の前額部に接するので、作業員の前額部に簡単に装着でき、作業員にとって装着感も良く、作業の邪魔になることもない。そして、ヘルメット用脈波測定器具S2を起動させて、作業員がルーティンワークに入る。ヘルメット用脈波測定器具S2が起動(動作開始)されると、作業員の前額部に接する脈波センサー2(光センサー部21)によって脈波(すなわち、人体の毛細血管を流れるヘモグロビンの増減)の測定が行われ、その測定信号がユニットケーブルCを通してコントロールユニット24に送られる。コントロールユニット24では脈波センサー2から送られた測定信号がA/D変換され、A/D変換後の脈波データがスマートフォンやタブレット端末(図5参照)などのモバイル端末に無線送信されて、このモバイル端末からモバイルネットワークを通して所定のサーバー(クラウド上のサーバー)へ転送される。このサーバーで脈波データの解析が行われ、作業員の疲労状態などが判定される。なお、脈波センサー2に加えて加速度センサーや体表面温度センサーが併せて設けられた場合は、加速度センサーによって作業員の行動(身体の動き)が測定され、体表面温度センサーによって作業員の体表面温度が測定され、これらの行動測定信号及び体表面温度測定信号もまた、同様に、コントロールユニット、モバイル端末を通して、所定のサーバー(クラウド上のサーバー)へ送られ、このサーバーで行動データ及び体表面温度データの解析が行われる。
ここでヘルメットHは作業の安全のために必須とされる道具であるから、このヘルメットHが邪魔になることはなく、また、ヘルメットHはあご紐43によって作業者の頭部に固定されるから、作業中に脱落するといったトラブルが起きることはなく、そして、作業者は、その作業中はヘルメットHを脱ぐことがほとんどないから、作業の間(休憩時間を含めて)、脈波(加速度センサーや体表面温度センサーを有する場合は、作業者の行動、及び体表面温度)を確実に測定することができる。
こうした中で、作業員が動く毎に作業員の頭上でヘルメットHがずれる。このヘルメットHのずれに対しては、繋ぎ部材3B、この場合、ベースシート1裏面の面ファスナー33とヘルメットH内の取付部P(ヘッドバンド421)の汗取り部材(汗取りパッド)34が、汗取り部材34の表面の布地がループ側の面ファスナーの役割を果たすことで、緩い結合(固定)状態になっているので、面ファスナー33に対する汗取り部材34の可動域の範囲内で、この汗取り部材34がヘルメットHのずれに追従し、脈波センサー2(光センサー部21)はベースシート1の密着性により作業員の前額部に残置されて、脈波の測定が雑音が入ることなく継続される。したがって、作業員が動いている間でも、作業員の前額部で脈波センサー2により雑音の少ない脈波データを採取することができる。
【0029】
このようにしても上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、このヘルメット用脈波測定器具S2では、ベースシート1がシリコンゴムシートからなり、その略中央に脈波センサー2の光センサー部21が嵌合可能な孔10を穿設され、光センサー部21がベースシート1の孔10に嵌装されてベースシート1に面一にして表出され、繋ぎ部材3は、ベースシート1の裏面に取り付けられる面ファスナー33と、ヘルメットH内の取付部Pに被着され、面ファスナー33に対して所定の可動域を持たせて係合可能な固定部材34、この場合、ヘルメット用の汗取り部材34とにより構成されるので、このヘルメット用脈波測定器具S2を簡易な構造として製造コストを低く押え、安価に提供することができる。
【符号の説明】
【0030】
S1、S2 ヘルメット用脈波測定器具
1 ベースシート
10 孔
2 脈波センサー
21 光センサー部
210 筐体
211 発光用の窓
212 受光用の窓
22 基板
C ユニットケーブル
23 室温型シリコンゴム硬化剤(ゴム弾性体)
24 コントロールユニット
3A 繋ぎ部材
31 粘着テープ
32 弾性材(スポンジ)
3B 繋ぎ部材
33 面ファスナー
34 固定部材(汗取り部材)
H ヘルメット
41 帽体
42 着装体
421 ヘッドバンド
422 ハンモック
43 あご紐
P 取付部
5 拘束テープ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7