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特許7300671原稿圧着板開閉装置及びこれを備えた事務機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】原稿圧着板開閉装置及びこれを備えた事務機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 27/62 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
G03B27/62
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019107487
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020201362
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 兼次
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-139317(JP,A)
【文献】特開2016-095430(JP,A)
【文献】特開2011-175130(JP,A)
【文献】特開2016-024440(JP,A)
【文献】特開2009-115928(JP,A)
【文献】米国特許第05621501(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0061212(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事務機器の機器本体の後部上端側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に対し第1ヒンジシャフトを介して回転可能に連結されたところの原稿圧着板を支持する支持部材と、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは反対方向へ回転可能に連結された原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、前記取付部材の側に設けられた受圧部材と、前記リフト部材の前記第2ヒンジシャフトを支点に旋回する位置に設けられた押圧部材と、この押圧部材に接し前記支持部材に対してスライド可能に設けられた押圧スライダーと、前記受圧部材に接して前記支持部材に対しスライド可能に設けられたカムスライダーと、前記押圧スライダーと前記カムスライダーの間に弾設した弾性部材とを含んだものにおいて、前記押圧部材の前記第2ヒンジシャフトからの距離を調整できる回転トルク調整機構を設けることにより、前記リフト部材の回転トルクを調整することができるように成したことを特徴とする、原稿圧着板開閉装置。
【請求項2】
前記回転トルク調整機構は、前記押圧部材と、前記リフト部材の左側板と右側板に設けられた前記押圧部材を上下方向へスライド可能に支持する一対のガイド長孔と、基部とこの基部の両側に設けられたところの前記押圧部材の両端部を保持する保持部と、この保持部の中央部分に設けられたところの雌ネジ孔を設けた取付部とを有するリフト調整部材と、前記リフト部材の前板から前方へ突設されたところの前記雌ネジ孔と軸心を共通にして設けた取付孔を有する調整ネジ取付部材と、この調整ネジ取付部材に取り付けられ前記雌ネジ孔にネジ着される調整ネジとで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項3】
前記取付部材には、前記取付部材の機器本体に対する前後方向の取付位置を調整できる前後方向調整機構設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項4】
前記リフト部材には、このリフト部材に取り付けた原稿圧着板の高さ位置を調整できる高さ調整機構が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項5】
前記一対のガイド長孔は、前記リフト部材の非動作時において前記押圧スライダーの当接面に対して平行に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項6】
前記押圧スライダーに設けられる前記押圧部材と当接する当接面は、請求項1に記載の弾性部材の作用方向に対して直交するように設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置。

【請求項7】
前記調整ネジ取付部材は、前記リフト部材の背板から突設されていることを特徴とする、請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置。
【請求項8】
請求項1~7に各記載の原稿圧着板開閉装置を備えたことを特徴とする、事務機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の事務機器に装備される原稿圧着板を事務機器本体に対し、開閉可能に取り付ける際に用いて好適な原稿圧着板開閉装置及びこれを備えた事務機器に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の原稿読み取り機能を備えた事務機器においては、事務機器の機器本体の上部に、複写或は印刷する原稿を載置するコンタクトガラスとも称せられる原稿載置台が設置されており、その上面を開閉可能に覆う原稿圧着板が配置されている。原稿圧着板は、機器本体の手前側から上方へ開放できるように、機器本体の上面後部側の左右に配置した一対の原稿圧着板開閉装置を介して開閉可能に機器本体に取付けられている。
【0003】
この原稿圧着板開閉装置の中には、その構成として、下記特許文献1に記載されているように、機器本体の後部上端側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に対し第1ヒンジシャフトを介して回転可能に連結されたところの原稿圧着板を支持する支持部材と、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して支持部材とは反対方向へ回転可能に連結されたところの原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、取付部材の側に設けられた受圧部材と、リフト部材の第2ヒンジシャフトを支点に旋回する箇所に設けられた押圧部材と、支持部材に対してスライド可能に設けられ、受圧部材と押圧部材の間に弾設した弾性部材と、で構成されたものが公知である。このように構成された従来公知の原稿圧着板開閉装置において、原稿圧着板は支持部材と共に第1ヒンジシャフトを支点に回転して開閉され原稿載置台上に載置された原稿を原稿載置台上に圧着させると共に、原稿圧着板を開く際にはそれ本来の重量を感じさせることなく軽い操作力で開くことができ、さらには、弾性部材の弾力と原稿圧着板が第1ヒンジシャフトの軸周りに創出させる回転トルクとがバランスした中間開閉角度で原稿圧着板をフリーストップに停止保持することができるように構成されている。
【0004】
さらに、この従来公知の原稿圧着板開閉装置は、原稿が本のように厚い厚物原稿の場合には、この厚物原稿を原稿載置台上に載置させた状態で原稿圧着板を閉じると、原稿圧着板は厚物原稿の端部に当たって傾斜した状態となるが、さらに原稿圧着板を下押しすると当該原稿圧着板が弾性部材の弾力に抗して第2ヒンジシャフトを支点にリフト部材と共に反転して厚物原稿の上面を水平状態で覆うことができるように構成されている。
【0005】
この従来公知の原稿圧着板開閉装置は、弾性部材の弾力を調整する機構を有しており、このものについては、特許文献2に記載されているものを含めて何種類かのものが公知である。しかるに、この従来公知の弾力調整機構によると、リフト部材の回転トルクを調整しようとすると同時に弾性部材の弾力調整も同時になされることになってしまう。リフト部材の回転トルクは、これがあまり強いと厚物原稿の複写時の原稿圧着板の反転時に大きな力を必要とし、弱いと原稿圧着板の閉成操作時に原稿圧着板が先端部側を下げてしまうという問題があった。上記構成の原稿圧着板開閉装置にあっては、リフト部材だけのトルク調整をすることのできる原稿圧着板開閉装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-139317号公報
【文献】特開2009-115928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、支持部材に対する弾性部材の弾力を維持した状態、或は支持部材に対する弾力変化をあまり変えることなくリフト部材即ち原稿圧着板の回転トルクを調整できるように成した原稿圧着板開閉装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を実現するために請求項1に記載の原稿圧着板開閉装置は、事務機器の機器本体の後部上端側に取り付けられる取付部材と、この取付部材に対し第1ヒンジシャフトを介して回転可能に連結されたところの原稿圧着板を支持する支持部材と、この支持部材の自由端側に第2ヒンジシャフトを介して前記支持部材とは反対方向へ回転可能に連結された原稿圧着板に取り付けられるリフト部材と、前記取付部材の側に設けられた受圧部材と、前記リフト部材の前記第2ヒンジシャフトを支点に旋回する位置に設けられた押圧部材と、この押圧部材に接し前記支持部材に対してスライド可能に設けられた押圧スライダーと、前記受圧部材に接して前記支持部材に対しスライド可能に設けられたカムスライダーと、前記押圧スライダーと前記カムスライダーの間に弾設した弾性部材とを含んだものにおいて、前記押圧部材の前記第2ヒンジシャフトからの距離を調整できる回転トルク調整機構を設けることにより、前記リフト部材の回転トルクを調整することができるように成したことを特徴とする。
【0009】
次に、本発明に係る請求項2に記載の原稿圧着板開閉装置は、前記回転トルク調整機構を、前記押圧部材と、前記リフト部材の左側板と右側板に設けられた前記押圧部材を上下方向へスライド可能に支持する一対のガイド長孔と、基部とこの基部の両側に設けられたところの前記押圧部材の両端部を保持する保持部と、この保持部の中央部分に設けられたところの雌ネジ孔を設けた取付部とを有するリフト調整部材と、前記リフト部材の前板から前方へ突設されたところの前記雌ネジ孔と軸心を共通にして設けた取付孔を有する調整ネジ取付部材と、この調整ネジ取付部材に取り付けられ前記雌ネジ孔にネジ着される調整ネジとで構成したことを特徴とする。
【0010】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前記取付部材には、前記取付部材の機器本体に対する前後方向の取付位置を調整できる前後方向調整機構設けられていることを特徴とする。
【0011】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前記リフト部材には、このリフト部材に取り付けた原稿圧着板の高さ位置を調整できる高さ調整機構が設けられていることを特徴とする。
【0012】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前記回転トルク調整機構の前記一対のガイド長孔は、前記リフト部材の非動作時において前記押圧スライダーの当接面に対して平行に設けられていることを特徴とする。
【0013】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前記回転トルク調整機構の前記押圧スライダーに設けられる前記押圧部材と当接する当接面は、請求項1に記載の弾性部材の作用方向に対して直交するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前記回転トルク調整機構の前記調整ネジ取付部材は、前記リフト部材の背板から突設されていることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明に係る事務機器は、上記した各構成の原稿圧着板開閉装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載したように構成すると、通常の原稿圧着板開閉装置として機能する以外に、リフト部材の回転トルクを調整できることにより、より操作性の優れた原稿圧着板開閉装置を提供できるものである。
【0017】
請求項2に記載したように構成すると、支持部材に作用している弾性部材の弾力に影響を与えることなく、リフト部材の回転トルクを調整することができるものである。
【0018】
請求項3に記載したように構成すると、請求項1の効果に加えて、原稿圧着板の原稿載置台に対する平行度を調整できる原稿圧着板開閉装置を提供することができるものである。
【0019】
請求項4に記載したように構成すると、請求項1の効果に加えて、原稿圧着板の原稿載置台に対する高さ位置を調整できることにより、原稿圧着板を原稿載置台に対して水平に圧着することができるものである。
【0020】
請求項5のように構成すると、押圧部材の移動調整時において弾性部材の弾力が変化するのを防止できるものである。
【0021】
請求項6のように構成しても、本願発明の回転トルク調整機構として機能できるものである。
【0022】
請求項7のように構成すると、上記した効果を持つ事務機器を提供することができるものである
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による原稿圧着板開閉装置を備えた複写機の外観斜視図である。
図2図1に示す原稿圧着板開閉装置を全開した状態における外観斜視図である。
図3図1に示す原稿圧着板開閉装置を全閉した状態における外観斜視図である。
図4図3に示す原稿圧着板開閉装置の全閉状態における平面図である。
図5図3に示す原稿圧着板開閉装置の全閉状態における背面図である。
図6図4のA-A線断面図である。
図7図4のB-B線断面図であり、前後方向調整機構の部分を表している。
図8図1の左側と図2図7に示す原稿圧着板開閉装置の分解斜視図である。
図9】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の取付部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)はその背面図である。
図10】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の支持部材を示し、(a)はその後方から見た斜視図、(b)はその側面図、(c)はその背面図である。
図11】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の前後方向調整機構を示し、(a)はその平面図、(b)はその背面図である。
図12】本発明に係る原稿圧着板開閉装置に取り付けた原稿圧着板を中間角度まで開き、当該原稿圧着板を反転させてみた縦断面図である。
図13】本発明に係る原稿圧着板開閉装置の押圧部材のガイド長孔に対する位置を変えた見た縦断面図である。
図14図13に示した原稿圧着板開閉装置において厚物原稿に対応してリフト部材を反転させた状態を示す縦断面図である。
図15図13に示した原稿圧着板開閉装置を用いて原稿圧着板を90度まで開いてみた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、事務機器の一例として複写機を挙げるが、上述したように、印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の原稿圧着板を用いるものにも適用できるものである。
【実施例
【0025】
図1は本発明による原稿圧着板開閉装置を備えた複写機の一例を示す斜視図である。図面によれば、事務機器の一例である複写機1は、機器本体2と、この機器本体の上面に設置したコンタクトガラスと称せられる原稿載置台3と、機器本体2の上面後端部側に所定間隔を空けて取り付けられたところの本発明に係る一対の原稿圧着板開閉装置4、4と、この原稿圧着板開閉装置4、4にその後端部側を取り付けられ原稿載置台3に対して開閉可能に設けられた原稿圧着板5とで構成されている。原稿圧着板開閉装置4、4は、図面では同じ構成のものが示されているので、以下の説明では、左側の原稿圧着板開閉装置4についてのみ説明し、右側の原稿圧着板開閉装置4の説明は省略する。但し、右側の原稿圧着板開閉装置4については、別な構成のものが用いられる場合がある。また、事務機器としては複写機1或は複合機を図示してあるが、他にも、上記したように印刷機、ファクシミリ、スキャナー等の原稿圧着板を用いる事務機器にも適用できるものである。
【0026】
本発明に係る原稿圧着板開閉装置4は、図2以降に詳しく説明されており、特許請求の範囲の請求項1に記載されているように、事務機器1の機器本体2の後部上端側に取り付けられる取付部材10と、この取付部材10に対し第1ヒンジシャフト13を介して回転可能に連結されたところの原稿圧着板5を支持する支持部材20と、この支持部材20の自由端側に第2ヒンジシャフト23を介して前記支持部材20とは反対方向へ回転可能に連結された原稿圧着板5に取り付けられるリフト部材30と、前記取付部材10の側に設けられた受圧部材23と、前記リフト部材30の前記第2ヒンジシャフト23を支点に旋回する箇所に設けられた押圧部材35と、この押圧部材35に接し前記支持部材20に対してスライド可能に設けられた押圧スライダー32と、前記受圧部材23に接して前記支持部材20に対しスライド可能に設けられたカムスライダー33と、前記押圧スライダー32と前記カムスライダー33の間に弾設した弾性部材34とを含んだものにおいて、前記押圧部材35の前記第2ヒンジピン23からの距離を調整できる回転トルク調整機構Dを設けることにより、前記リフト部材30の回転トルクを調整することができるように成したものである。以下に詳しく説明する。
【0027】
取付部材10は、矩形状の底板10aと、この底板10aの左右両側から立ち上げた左側板10b及び右側板10cから成る両側板と、左側板10bと右側板10cの各端部から内側に折り曲げた一対の折曲片10d、10dと、この折曲片10d、10dに取り付けられた背板から構成されており、図示のものはステンレス鋼などの金属プレートをプレス加工により折り曲げて構成されている。しかし、ABS樹脂のような機械的強度のある合成樹脂成型品とすることも考えられる。また、後板10eは、図示してように独立した部材とすることなく、底板10a或は左側板10b及び右側板10cから一体に折り曲げて形成してもよく実施例のものに限定されない。後板10eにはその上部両側部に一対の突起部10f、10fが設けられると共に、その上部中央部からは折曲片10gが内側に向けて設けられている。また、この背板は、取付ビス10h、10hにより左側板10bと右側板10cへ取り付けられている。また、この後板10eに調整ネジ15を避ける切欠10iが設けられている。さらに、底板10aには、矩形状の取付孔10kと、円形の係合孔10mと直条孔10nが連結した係止孔10pと矩形状を呈した調整プレート取付孔10rと、目盛10sが設けられている。また、右側板10cと左側板10bには、とくに図9に示したように、その後部上方に軸心を共通にして第1ヒンジシャフト連結孔10t、10uが設けられ、前部側には同じく軸心を共通にして受圧部材取付孔10v、10wが設けられている。
【0028】
第1ヒンジシャフト連結孔10t、10uには、軸受部材11、11が嵌装され、この軸受部材11、11に支持部材20の後述する左側板12bと右側板12cが、第1ヒンジシャフト13を介して回転可能に連結されている。この第1ヒンジシャフト13は、図示したものは1本のピン状のものであるが、これを2分割して支持部材12の両側板12b、12cが取付部材10の左側板10bと右側板10cへそれぞれ連結してもよい。また、受圧部材取付孔10v、10wにはピン状の受圧部材14が取り付けられているが、これを合成樹脂製のものとして、取付部材10の左側板10bと右側板10c間へ取り付けても良いし、湾曲させた金属プレート製のものを左側板10b、右側板10c間へ取り付けるようにしても良い。合成樹脂製のものは、第1ヒンジシャフト13へ連結させる場合が考えられ金属プレートを湾曲化したものは、後板10eに溶着その他の手段で取り付けるようにしても良い。受圧部材14には、その一端部にフランジ部14aが設けられ、他端部側にはかしめ部14bが設けられている。
【0029】
原稿圧着板開閉装置4の前後方向の取付位置を調整する前後方向調整機構Aは、とくに図7図11に示したように、取付部材10に設けられている。この前後方向調整機構Aは、取付部材10の右側板10cから折り曲げた折曲片10dに設けた係止孔10xにネジ着された調整ネジ15と、底板10aの上面側に重ね合わされて設けた調整プレート16とから成り、この調整プレート16には、その底板部16aと、この底板部16aから取付部材10の右側板10cに接して立ち上げた側板部16bと、同じく側板部16aから、取付部10の折曲片10dに対抗させて立ち上げた調整板部16cを有し、底板部16aには、取付部材10の底板10aに設けた調整プレート取付孔10rと重ね合わされる取付孔16dが設けられており、取付孔16dと調整プレート挿通孔10rを通した取付ネジ17を介して機器本体2側へ取り付けられる構成である。そして、調整板部16cに設けた雌ネジ孔16eへ、上記した調整ネジ15がその先端側をネジ着させている。
【0030】
この前後方向調整機構Aは、調整ネジ15を回すことにより、調整プレート16に対して取付部材10の底板10aが前後方向へ移動して、取付部材10の前後方向のしかして原稿圧着板5の原稿載置台3に対する前後方向の調整がなされる。目盛10sはその際に移動幅を確認するためのものである。この前後方向調整機構Aの構成は、実施例のものに限定されない。それは様々な公知構成のものに変えることができる。
【0031】
次に、支持部材20であるが、この支持部材20は、とくに図8図10に示したように、矩形状を呈した背板20aと、この背板20aの両側部から下方に垂下して設けた左側板20bおよび右側板20c(以下、単に両側板という場合がある。)と、この左側板20bと右側板20cの下端部から内側に折り曲げて設けた一対の抱持片20d、20dとを有し、このことによって、内側に後述する押圧スライダー32とカムスライダ33をスライド可能に収容する略直立方体形状を呈したスライダー収容部21が形成されている。そして、支持部材20は左側板20bと右側板20cの後端部側に設けた連結孔20e、20eを通した第1ヒンジシャフト13によって、取付部材10の左側板10bと右側板10cに取り付けた軸受部材11、11を貫通して、取付部材10の各左側板10bと右側板10cの外側へ回転可能に連結されている。第1ヒンジシャフト13はその左側板側にフランジ部13aが設けられ、取付部材10の左側板10bと右側板10cを貫通して支持部材20の右側板20cから突出した側をかしめてカシメ部13bを形成させることにより、抜け出ることなく連結状態を保っている。また、背板20aの後端部側には、その中央部に切欠部20fが、この切欠部20fを挟んで左右に遮蔽片20g、20gが垂設されている。
【0032】
支持部材20の左側板20bと右側板20cの各自由端側には連結孔20h、20hが設けられ、この連結孔20h、20hを通した第2ヒンジシャフト23により、リフト部材30の左側板30bと右側板30cが支持部材20とは逆方向へ回転可能となるように連結されている。連結孔20h、20hの隣りに指示記号20i、20i(一方のみ表示)で示されたものは、ガタ防止用の凸部である。第2ヒンジシャフト23には、その一端部側にフランジ部23aが、他端部側にはかしめ部23bが設けられている。
【0033】
リフト部材30は、矩形平板形状に形成された背板30aと、この背板30aの両側から下方に垂下させた左側板30bと右側板30cと、この左側板30bと右側板30cの下端部から各外側へ折り曲げて設けた原稿圧着板に対する一対の取付板30d、30dとを有し、背板30aの後端部には上方へ折り曲げることによりストッパー部30eが設けられると共に、前端部側からは前板30fが取付板30d、30dの部分まで垂下されている。この前板30fの前側には、左側板30bと右側板30cから折り曲げられた押え片30g、30gが当接している。さらに、背板30aの後端部側には原稿圧着板5の高さを調整する高さ調整機機構Bの調整ネジ31をネジ着させる雌ネジ孔30hが設けられている。第2ヒンジシャフト23を連結させる連結孔30i、30iの下方には、押圧部材35を取り付けるガイド長孔30j、30jが設けられている。原稿圧着板5は、このリフト部材30の背板30aと取付板30d、30dに図示してない取付ビスで取り付けられるものである。
【0034】
支持部材20に背板20aと左側板20bと右側板20cと一対の抱持片20d、20dとによって形成された断面略矩形状のスライダー収容部21に、例えば図6図7に示したように、矩形平板形状に形成された後述する押圧スライダー32とカムスライダー33が互いに対向する方向へスライド可能に収容されている。また、背板20aの後端部側には、その中央部に切欠部20fが、この切欠部20fを挟んで左右に遮蔽片20g、20gが垂設されている。
【0035】
次に、本発明に係る原稿圧着板開閉装置4へ取り付けた原稿圧着板の開閉付勢機構Cについて説明する。即ち、支持部材20を図中、時計方向へ回転付勢させ、リフト部材30を図中を反時計方向へ回転付勢させる開閉付勢機構Cは、支持部材20に形成させたスライダー収容部21内に、押圧部材35をその当接部32aに当接させて断面矩形状を呈した押圧スライダー32がスライド可能に収容されると共に、受圧部材14にそのカム部33aを当接させてカムスライダー33が押圧スライダー32に向けてスライド可能に収容されている。押圧スライダー32とカムスライダー33にはその対向側にスプリング収容凹部32b、33bそれぞれ設けられており、この各スプリング収容部32b、33bに両端部を収容させて圧縮コイルスプリングから成る弾性部材34が押圧スライダー32とカムスライダー33の間に収容弾設されている。また、押圧スライダー32には、ガイド凸条部32c、32cが設けられ、カムスライダー33にはこのガイドガイド凸条部32c、32cを収容するガイド凹状部33c、33cが設けられている。
【0036】
そして、本発明の要旨であるリフト部材30の回転トルク調整機構Dについて説明する。とくに図2~4と図6図8図12図15に示したように、回転トルク調整機構Dは、リフト部材30の左側板30bと右側板30cが第2ヒンジシャフト23を支点に旋回する部分に背板部30aと直交する方向に向けられた一対のガイド長孔30j、30jと、このガイド長孔30j、30jに後述する押圧スライダー32の当接部32aに当接させてスライド可能に取り付けられた押圧部材35と、この押圧部材35がリフト部材30の左側板30bと右側板30cの外側から突出した部分に連結された両端部側の保持部36a、36aと、中央部から外方向へ突設された昇降部36bを有する調整部材36と、リフト部材30の前板30fの下端部側らから外方向へ昇降部36bと重なり合うように突設された基板部30mと、この基板部30mに設けた取付孔30nに回転可能に取り付けられ、昇降部36bに設けた雌ネジ孔3にネジ着された調整ネジ37とで構成されている。
【0037】
以下に、上記した本発明に係る原稿圧着板開閉装置4の作用効果について説明する。以下の説明では、図1に示した一対の原稿圧着板開閉装置4、4のうち、主として片側の上記した原稿圧着板開閉装置4の作用効果について説明する。本発明に係る原稿圧着板開閉装置4、4は、左右同一の構成のものを前提つぃているが、右側の原稿圧着板開閉装置に異なる構成のものを用いる場合もある。この場合には、左側の構成の異なる原稿圧着板開閉装置の作用効果と合わさっているものである。
【0038】
原稿圧着板開閉装置4は、その取付部材10を機器本体2の後部上端部へ取付ネジ18、19、17を用いて取り付ける。この際、取付ネジ18は取付孔10kを介して、取付ネジ19は係止孔10pを介して、取付ネジ17は調整プレート16を介して取付孔10rへ取り付けられることによって機器本体2へ取り付けられる。各取付ネジ18、19、17の径は、各取付孔10k、10p、10rより小さく、前後方向調整機構Aの調整ネジ15による調整によって、前後方向へスライド可能となっている。
【0039】
とくに図3図7に示したように、原稿圧着板5が原稿載置台3に対して閉じられている閉成状態においては、カムスライダー33に設けたカム部33aの下り面部30eに受圧部材14が接していることから、支持部材20は図中反時計方向へ回転付勢されており、リフト部材30は押圧スライダー32を介して押圧部材35に作用している弾性部材34の弾力により、反時計方向へ回転付勢され、支持部材20と重なり合った状態にある。したがって、リフト部材30にその後端部側を固着した原稿圧着板5は、原稿載置台3に対し圧着された状態にある。
【0040】
この原稿圧着板5の原稿載置台3に対する閉成状態から、複写のために原稿を原稿載置台3上へ載置すべく原稿圧着板5の手前側をもって持ち上げると、最初は原稿圧着板5が閉成方向(時計方向)へ回転付勢されているのと、受圧部材11がカムスライダー33のカム面33aの隆起部33dを乗り越える抵抗に遭遇することから、多少の力は必要とするが、すぐに受圧部材11がカムスライダー33の隆起部33dを脱して傾斜部33eに至ることから、第1ヒンジシャフト13を支点に時計方向へ回転付勢される支持部材20により、原稿圧着板5はそれ本来の重さを感じさせることなく開かる。原稿圧着板5の開成角度25度から65度の範囲で、原稿圧着板5の回転トルクと弾性部材34の弾力が均衡することから、任意の開成角度でフリーストップで開かれ、手を放しても原稿圧着板5は自然落下することがない。この間の開閉角度で図示してない原稿を原稿載置台3へ載置させ、原稿圧着板5を閉じると、リフト部材30に作用している押圧部材35を介しての第2ヒンジシャフト23を支点とする回転トルクにより、原稿圧着板5は反転することなく閉じられるので、原稿の複写を行うことができるものである。
【0041】
図15に示したように、原稿圧着板5を90度まで開くと、リフト部材30の背板30aに設けたストッパー部30eが、後板10eに設けた突起部10f、10fに当接して停止させられ、それ以上は開かれない。その際に、第1ヒンジピン13は、カムスライダー33の受入れ凹部33f内に収容或は当接する。さらに、他図の図6、7と図12~14にもあるように、カムスライダー33の指示記号33gで示したものは、原稿載置台3上へ載置させた原稿の端部が原稿圧着板開閉装置4のとくに受圧部材14に当接してそこに付着している潤滑オイルに接触して汚れてしまうのを防止する防御板部である。
【0042】
原稿が本のように厚い厚物原稿40の場合には、図12図14に示したように、原稿圧着板5を開き、この厚物原稿40を原稿載置台3上に載置させて原稿圧着板5を閉じると、原稿圧着板5の下面部に厚物原稿40の端部が当たるので、さらに原稿圧着板5を下押しすると、今度は、弾性部材34によって押圧部材35を介して反時計方向へ回転付勢されているリフト部材30が、弾力に抗して第2ヒンジシャフト23を支点に原稿圧着板5と共に反時計方向へ反転して、厚物原稿40の上面を水平状態で覆うことができるものである。このことにより、外光が原稿載置台3を構成する透明部材を介して機器本体2内部の光学系に影響を及ぼすことを可及的に防ぐことができるものである。反転した原稿圧着板5は、当該原稿圧着板5に対する押圧力を解くと、弾性部材34が押圧部材35に作用させている弾力により、自動的に元位置に戻るものである。
【0043】
機器本体2内部の点検、修理その他の理由により、原稿圧着板5をさらに開くことが必要な場合には、原稿圧着板5をさらに開いてゆくと、弾性部材34が第1ヒンジシャフト13の軸周りに創出させる回転トルクが、原稿圧着板5が第1ヒンジシャフト13の軸周りに創出させる回転トルクより勝ることとなり、原稿圧着板5は、自動的に開かれる。実施例では、原稿圧着板5が図15に示したように、90度まで開かれると、リフト部材30のストッパー部30e、30eが、取付部材10側の後板10eに設けた突起部10f、10fに当たり、原稿圧着板5は90度の開成角度で停止する。したがって、この状態で機器本体3内部の点検、修理が可能となる。
【0044】
開いた原稿圧着板5を閉じる際には、それがどの開成角度であっても、原稿圧着板5を手前側に手をかけて下押しすると、支持部材20が共に弾性部材34の弾力に抗してして閉じられることになる。所定の閉成角度(5度前後)で弾性部材34の作用軸線が第1ヒンジシャフト23の軸心部より下方に移動することと、原稿圧着板5の重力により、当該原稿圧着5は原稿載置台3上へ圧着することになる。
【0045】
以上の説明からわかるように、原稿圧着板5は、弾性部材34の弾力によって、リフト部材30に作用させる回転トルクが弱いと、原稿圧着板5を開いた後、閉じる際に原稿圧着板5が不必要に反転して前側を垂れさせてしまうので、原稿圧着板5の閉成時の操作に支障が生じる。また、弾性部材34の弾力が強すぎると、厚物原稿に対処するために下押しする原稿圧着板5の反転操作が重くなり、スムーズな閉成操作に支障をきたすことになる。そこで、リフト部材30の回転トルクを調整する回転トルク調整機構Dが必要となる。この場合、リフト部材30の回転トルクの調整と共に、弾性部材34の弾力が変化してしまったのでは、支持部材20の回転トルクに影響が出ることから好ましくない。そこで、支持部材20の回転トルクに影響が出ないように本発明に係るトルク調整手段Dが考えられた。
【0046】
本発明に係るリフト部材30の回転トルク調整機構Dは、押圧スライダー32の当接面32aと平行となるように押圧部材35の連結孔を、リフト部材30の左側板30bと右側板30cにガイド長孔30j、30jとして設け、さらに押圧部材35の両端部側を保持する調整部材36を設け、この調整部材34を昇降部36bに取り付けた調整ネジ37で上下動するように構成することにより、押圧部材35が図6図7に示したガイド長孔30j、30jの上端部にある位置から、図13図15に示したようにガイド長孔30j、30jの下端部に至また、その際に押圧部材35が押圧スライダー32の当接面32aに対し、直角方向に動くことから、押圧スライダー32とカムスライダー33の間隔が変化せずに第2ヒンジシャフト23と押圧部材32の間の距離が変化するので、支持部材20に対する弾力が変化せず、リフト部材30の回転トルクだけを調整することが可能となったものである。
【0047】
以上の説明から明らかなように、図6図7に示したように、押圧部材35の位置が第2ヒンジピン23の位置が近い場合には、図12に示したように、リフト部材30、しかして原稿圧着板5の反転操作は弾性部材34を深く押し込まなくとも反転できるので軽い操作力で済むが、図13に示したように押圧部材35と第2ヒンジシャフト23との間の距離が離れると、図14に示したように、弾性部材35を深く押し込む必要のあることから、強い操作力を必要とすることになる。これは説明のための図面であり、実際はその中間位置で押圧部材35の位置調整がなされるものである。もちろん、ここのところは押圧スライダー32とカムスライダー33の間の間隔が若干変化し、弾性部材34の弾力が変化する場合も含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は以上のように構成したので、支持部材に作用する弾性部材の弾力に変化を及ぼすことなく、リフト部材の回転トルクを調整できる、とくに複写機や印刷機などの事務機器の原稿着板開閉装置並びにこの原稿圧着板開閉装置を用いた事務機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0049】
A 前後方向調整機構
B 高さ調整機構
C 開閉付勢機構
D 回転トルク調整機構
1 複写機
2 機器本体
3 原稿載置台(コンタクトガラス)
4、4 原稿圧着板開閉装置
5 原稿圧着板
10 取付部材
13 第1ヒンジシャフト
14 受圧部材b
16 調整プレート
15 調整ネジ
20 支持部材
23 第2ヒンジシャフト
30 リフト部材
30m 基板部
31 調整ネジ
32 押圧スライダー
33 カムスライダー
34 弾性部材
35 押圧部材
36 調整部材
36a 保持部
36b 昇降部
37 調整ネジ
40 厚物原稿
図1
図2
図3
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