(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20230623BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20230623BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20230623BHJP
F21V 7/28 20180101ALI20230623BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230623BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V19/00 450
F21V7/09 500
F21V7/28 210
F21V7/28 220
F21Y115:10 300
(21)【出願番号】P 2020047189
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓮尾 真
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-069090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 19/00
F21V 7/09
F21V 7/28
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向の少なくとも一部が天井に設けられた孔に収容される筐体と、
第1基板、及びその第1基板の第1実装面に実装された第1発光部を有し、前記第1実装面の第1法線方向が前記高さ方向に対して傾斜している状態で前記筐体内に配置される第1光源と、
第2基板、及び第2基板の第2実装面に実装された第2発光部を有し、前記第2実装面の第2法線方向が高さ方向に対して傾斜していると共に前記第1光源に対して前記高さ方向に直交する直交方向に間隔をおいて位置している状態で前記筐体内に配置される第2光源と、
前記第1発光部に対して前記第1法線方向に対向する第1反射面部、及び前記第2発光部に対して前記第2法線方向に対向する第2反射面部を含むと共に、前記筐体内に配置される主反射面と、を備える、照明装置。
【請求項2】
前記第1光源と前記第2光源とを略面対称にすると共に前記主反射面を略面対称にする対称平面が存在し、
前記主反射面が、前記対称平面によって区切られる2つの領域の第1領域に位置すると共に前記高さ方向の光照射側とは反側に行くにしたがって前記第1光源側に位置するように湾曲する第1湾曲面部、及び前記2つの領域の第2領域に位置すると共に前記高さ方向の前記光照射側とは反対側に行くにしたがって前記第2光源側に位置するように湾曲する第2湾曲面部を、少なくとも前記高さ方向の光出射側とは反対側に有し、
第1湾曲面部と第2湾曲面部とは、滑らかに接続されていない請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
板形状を有して前記主反射面が反射した光を拡散させ、前記高さ方向の光照射側に行くにしたがって前記主反射面における前記高さ方向の光出射側の端部に近づくように前記高さ方向に対して傾斜する拡散板部を備える、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記高さ方向の光照射側かつ前記拡散板部の幅方向の第1の側に配置されて、前記幅方向の第1の側の進行方向成分を有する光を前記幅方向の第2の側に反射する第1補助反射面と、
前記高さ方向の光照射側かつ前記拡散板部の前記幅方向の第2の側に配置されて、前記幅方向の第2の側の進行方向成分を有する光を前記幅方向の第1の側に反射する第2補助反射面と、を備える、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記拡散板部によって区切られる2つの領域のうちの主反射面配置側の領域とは逆側の領域に前記拡散板部の幅方向に延在するように配置される入隅反射面を備え、
前記入隅反射面が、前記高さ方向の前記光照射側とは反対側に行くにしたがって前記拡散板部における前記高さ方向の光出射側の端部に近づくように前記高さ方向に対して傾斜して、前記拡散板部で拡散された光を外部に反射する、請求項3又は4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1法線方向が、前記高さ方向に直交する直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜すると共に、前記第2法線方向も、前記直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜する、請求項1から5のいずれか1つに記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置としては、特許文献1に記載されているウオールウォッシャーダウンライトがある。この照明装置は、筐体と、1つの光源と、屈折板とを備える。光源は、天井に固定された状態で鉛直方向下方に光を出射するように設置され、屈折板は、照射を意図する壁面に近づくにしたがって上側に位置するように水平方向に対して傾斜する。この照明装置は、光源から鉛直方向下側に出射された光を屈折板で壁面側に屈折させることで主に壁面上側を照らすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ウオールウォッシャーダウンライトに限らず従来のウオールウォッシャーダウンライトは、1つの光源しか有さないので、照射領域が暗くならないように器具効率を高くする必要がある。よって、光源からの主な光を筐体内において反射面で反射させることなく壁面に照射し、例えば、上記ウオールウォッシャーダウンライトのように、光源からの光を反射させることなく屈折板で屈折させて壁面に照射する。
【0005】
係る背景において、そのような構成では、大きな光量の光が照射される局所部分が壁面に生じ易く、壁面に輝度ムラが生じ易い。よって、そのような輝度ムラを抑制するため、ウオールウォッシャーダウンライトを壁面から離して設置する必要が生じ、ウオールウォッシャーダウンライトが目立ち易くなって、美観上好ましくない。また、壁面を綺麗かつ均一に照射できれば好ましく、壁面を幅方向にワイドに照射し易くて、照明装置の設置間隔を広げることができれば好ましい。
【0006】
そこで、本開示の目的は、壁面に近づけても壁面を綺麗に照射し易くて、よりワイドな配光も実現し易い照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本開示に係る照明装置は、高さ方向の少なくとも一部が天井に設けられた孔に収容される筐体と、第1基板、及びその第1基板の第1実装面に実装された第1発光部を有し、第1実装面の第1法線方向が高さ方向に対して傾斜している状態で筐体内に配置される第1光源と、第2基板、及び第2基板の第2実装面に実装された第2発光部を有し、第2実装面の第2法線方向が高さ方向に対して傾斜していると共に第1光源に対して高さ方向に直交する直交方向に間隔をおいて位置している状態で筐体内に配置される第2光源と、第1発光部に対して第1法線方向に対向する第1反射面部、及び第2発光部に対して第2法線方向に対向する第2反射面部を含むと共に、筐体内に配置される主反射面と、を備える。
【0008】
なお、上記第1法線方向と上記第2法線とは、一致してもよく、一致しなくてもよい。また、第1基板と第2基板は、別体でもよく、第1基板が第2基板を兼用してもよい。また、上記高さ方向は、照明装置が天井に適切に固定された状態における鉛直方向と定義してもよい。また、第1光源と、第2光源は、同じ高さ位置に存在してもよく、異なる高さ位置に存在してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る照明装置によれば、壁面に近づけても壁面を綺麗に照射し易くて、よりワイドな配光も実現し易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る複数の照明装置が設置されている建物内の通路を示す斜視図である。
【
図4】照明装置から第1及び第2筐体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す状態を他の角度から見たときの斜視図である。
【
図6】第2反射部材を
図5に矢印Aで示す直交方向の外側から見たときの側面図である。
【
図7】
図4に示す状態から更に第2反射部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】第1筐体に対する第1及び第2反射部材の相対位置を示す斜視図である。
【
図10】取付バネを外した照明装置を斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図11】拡散部材を、反射部材側から見たときの斜視図である。
【
図12】拡散部材を高さ方向下側から見たときの斜視図である。
【
図13】入隅反射部材を斜め上方から見たときの斜視図である。
【
図14】入隅反射部材を斜め下側から見たときの斜視図である。
【
図15】補助反射部材を斜め下側からみたときの斜視図である。
【
図17】照明装置を、円板状の第2発光部における中心軸の延在方向と高さ方向とを含む平面で切断したときの断面における、第2光源、第2反射面、拡散板部、及び入隅反射面の位置関係と、典型的な光の進行経路を説明するための模式図である。
【
図18】照明装置を、下側から見たときの、第1及び第2光源、第1及び第2反射面、拡散板部、及び第1及び第2補助反射面の位置関係と、典型的な光の進行経路を説明するための模式図である。
【
図19】
図17及び
図18に図示されている典型的な光と、各光が照らす壁面部との関係を説明するための図である。
【
図20】(a)は、光源が1つで、その光源からの光を拡散板部のみを透過させて壁面を照射することだけが、本開示の照明装置と異なる参考例の照明装置を用いて壁面を綺麗な光で照射できたときの、その複数の照明装置の配置を説明する模式図である。また、(b)は、本開示の照明装置を用いて壁面を綺麗な光で照射できたときの、複数の照明装置の配置を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0012】
また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。また、図面及び以下の説明において、Z方向は、高さ方向であり、照明装置1が天井3に適切に固定された状態における鉛直方向に一致する。また、X方向は、以下に説明する基板取付部材32の第1面32aの法線方向であり、第1光源33の第1基板33aの第1実装面33cの第1法線方向に一致し、第2光源34の第2基板34aの第2実装面34cの第2法線方向にも一致する。また、Y方向は、直交方向であり、以下に説明する2つの第1及び第2反射部材30,31が隣接する方向に一致する。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。照明装置1は、照明装置1が天井3に適切に固定された状態で、Y方向が照射を意図する壁面4に略平行になるように配置されると好ましい。また、上側(上方)は、高さ方向における光出射側とは反対側であり、下側(下方)は、高さ方向における光出射側である。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る複数の照明装置1が設置されている建物の通路2を示す斜視図である。
図1に示すように、照明装置1は、所謂ウオールウォッシャーダウンライトであり、建物、例えば、美術館、水族館、高級ホテル、トレードセンター等の国際施設、国際会議場等の通路2の天井3に固定され、主に天井3と壁面4の上側を照射する。
図1に示すように、複数の照明装置1は、壁面4から一定間隔離れた通路2の天井部分に通路2の延在方向に間隔をおいて配置される。複数の照明装置1で天井3や壁面4を均一に照らすことで、天井3や壁面4を明るくでき、その結果、視覚的な明るさ感を高めることができ、空間全体を広く見せることができる。特に、ホテルロビーやエントランス等で、天井3や壁面4を明るくすることで、人に高級感や落ち着き感を与えることができる。
【0014】
図2は、照明装置1の斜視図である。
図2に示すように、照明装置1は、筐体10を備える。筐体10は、内部に光源33,34(
図5参照)を取り付ける取付台として機能し、光源33,34に対して静止する。筐体10は、Z方向上側にZ方向に延びる複数のフィン12を有し、筐体全体が、光源33,34で発生する熱を放散させるヒートシンクとしても機能し、特にフィン12が光源33,34からの熱を外気に放熱する。このため、筐体10は、金属材料等の熱伝導率の高い材料によって構成されると好ましい。筐体10は、例えば、アルミダイカスト等で一体成形することで構成される。なお、筐体は、金属以外の材料、例えば、樹脂等で構成されてもよく、フィンを有さなくてもよい。
【0015】
照明装置1は、更に、3つの取付バネ13を備える。筐体10は、下方側に略円筒外周面14を有する。3つの取付バネ13は、円筒外周面14のθ方向に略等間隔に配置され、各取付バネ13は、筐体下側に固定される。取付バネ13は、例えば、屈曲部を有する金属板によって構成され、板バネ構造を有する。取付バネ13を歪ませて、取付バネ13の根元側部分13aが、天井3に設けられて略鉛直方向に延在する貫通孔(埋込孔)の内周面(例えば、円筒内周面)の周囲に沿ってZ方向に延在するように取付バネ13を変位させ、根元側部分13aの少なくとも一部が当該貫通孔の内周面を径方向外方側に押圧するようにする。そして、根元側部分13aよりも先端側に位置する静止部13bを、貫通孔から径方向の外方側に延在すると共に天井裏に沿うように天井裏に静止させる。このようにして、取付バネ13を貫通孔の周囲に固定する。取付バネ13は、筐体10に固定されている。よって、筐体10は、貫通孔の周囲に固定される。照明装置1が天井3に適切に固定されている状態で筐体10のZ方向の少なくとも一部は、貫通孔に収容される。なお、取付バネは2つ又は4以上設けられてもよい。また、天井に設けられる孔は、貫通孔でなくて有底の孔でもよく、照明装置は、取付バネを有さなくてもよい。
【0016】
図3は、照明装置1の主要構成の分解斜視図である。
図3に示すように、筐体10は、第1筐体20、第2筐体21、及び第3筐体22を有する。第1筐体20は、上端の一部とそれにつながる側壁の周方向の一部に亘る開口20aを有すると共に、下端に貫通孔20bを有する。また、第2筐体21は、開口20aを被覆できる形状を有する。第1筐体20の上面は、第1端面20cと、第1端面20cに段部20dを介して繋がって第1端面20cよりも下側に位置する第2端面20eを有する。また、第2端面20eと、第2筐体21は、Z方向から見たときに重なる箇所に複数のねじ孔20f,21aを有する。
【0017】
第3筐体22は、上記円筒外周面14を有し、上側に開口する。第3筐体22には、光源を含む複数の部品が取り付けられる。第3筐体22は、第1筐体20の下側に取り付けられる。詳しくは、第1筐体20は、下端にねじ孔20gを有し、第3筐体22は上端にねじ孔22bを有する。また、第1筐体20は、内部に内面からZ方向に直交する方向(XY平面方向)に広がる板部20hを有し、その板部20hには、ねじ孔20iが設けられる。第3筐体22には、後で詳述する2つの第1及び第2反射部材30,31が取り付けられている。各反射部材30,31は、第3筐体22から突出する突出部30a,31aを有し、各突出部30a,31aの上端には、ねじ孔30b,31bが設けられている。
【0018】
各突出部30a,31aを、第1筐体20の下側から貫通孔20bをくぐらせた後、ねじを、ねじ孔20i、ねじ孔30b(又は、ねじ孔20i、ねじ孔31b)の順に締め込むと共に、ねじを、第1筐体20のねじ孔20g、第3筐体22のねじ孔22bの順に締め込んで、各反射部材30,31を第1筐体20に固定すると共に、第3筐体22を第1筐体20に固定する。その後、ねじを、第2筐体21のねじ孔21a、第2端面20eのねじ孔20fの順に、締め込むことで第1筐体20の開口20aが第2筐体21によって隙間なく覆われ、3つの第1乃至第3筐体20,21,22が一対に統合される。
【0019】
図4は、照明装置1から第1及び第2筐体20,21を取り除いた状態を示す斜視図であり、
図5は、その状態を他の角度から見たときの斜視図である。
図4及び
図5に示すように、照明装置1は、第1及び第2反射部材30,31に加えて板状の基板取付部材32を備える。
図5に示すように、基板取付部材32の厚さ方向の一方側に位置する第1面32aには、2つの略同一の第1及び第2光源33,34が、同じ高さ位置に固定される。第1及び第2光源33,34は、Z方向と第1面32aの法線方向(以下、X方向という)の両方に直交する直交方向(以下、Y方向という)に間隔をおいて位置する。後述するが、基板取付部材32は、第1筐体20(
図3参照)に固定される。第1面32aは、平面である。基板取付部材32が第1筐体20に固定された状態で、第1面32aは、Z方向を含む。
【0020】
第1光源33は、第1基板33aと、第1発光部33bとを含み、第1基板33aは、第1面32aに図示しない固定手段、例えば、締結部材や接着剤等で取り付けられる。また、同様に、第2光源34は、第2基板34aと、第2発光部34bとを含み、第2基板34aは、第1面32aに図示しない固定手段、例えば、締結部材や接着剤等で取り付けられる。各基板33a,34aは、平面視が略矩形の平板形状を有する。また、各発光部33b,34bは、円板状の形状を有し、対応する基板33a,34aの実装面33c,34cの略中央に配設される。各発光部33b,34bは、例えば、COB(Chip On Board)構造を有し、各発光部33b,34bは、対応する基板33a,34aに実装された1以上のLED(light emitting diode)と、1以上のLEDを封止する封止部材33d,34dを含む。
【0021】
各基板33a,34aは、例えば、セラミックス基板、樹脂基板、又はメタルベース基板等で構成される。詳述しないが、各基板33a,34aには、一対の電極端子と、所定パターンの金属配線が形成される。一対の電極端子は、LEDを発光させるための直流電力を外部から受電するために設けられる。また、所定パターンの金属配線は、例えば、LEDに電力を供給するために設けられる。
【0022】
LEDは、例えば、単色の可視光を発するベアチップで構成され、通電されれば青色光を発する青色LEDチップで構成される。複数のLEDは、例えば基板33a,34aにマトリクス状に配置される。なお、LEDは、各基板に1つのみ実装されてもよい。封止部材33d,34dは、例えば、透光性樹脂で構成され、蛍光体を含む。蛍光体は、LEDからの光を波長変換する役割を果たす。封止部材33d,34dは、例えば、シリコーン樹脂に蛍光体粒子を分散させた蛍光体含有樹脂で構成される。光源33,34が白色光を出射し、LEDが青色光を発光する青色LEDチップである場合、蛍光体粒子は、例えばYAG系の黄色蛍光体で構成される。
【0023】
なお、封止部材33d,34dは、全てのLEDを一括封止してもよく、複数のLEDを列ごとにライン状に封止してもよく、各LEDを1つずつ個別に封止してもよい。また、光源33,34は、LED以外の発光素子を含んでもよく、半導体レーザ素子や、有機EL(Electro Luminescence)素子若しくは無機EL素子等の固体発光素子等を含んでもよい。
【0024】
各発光部33b,34bから出射される光の色は、如何なる色でもよく、例えば、電球色、温白色、白色、昼白色、昼光色、又は明光色等でもよい。ここで、電球色の色温度は、3000K付近の温度であり、温白色の色温度は3500K付近であり、白色の色温度は、4200K付近である。また、昼白色の色温度は、5000K付近であり、昼光色の色温度は、6500K付近であり、明光色の色温度は、8000K付近である。
【0025】
図5に示すように、2つの反射部材30,31は、略同一の部材であり、Y方向に隙間なく隣接配置される。第1反射部材30は、第1面32aにX方向に間隔をおいて対向する第1対向部を含む第1反射面30cを有し、第2反射部材31は、第1面32aにX方向に間隔をおいて対向する第2対向部を含む第2反射面31cを有する。
図4に示すように、各反射面30c,31cは、曲面になっている。各反射面30c,31cをZ方向に直交する平面(XY平面)で切断したときの切断線31d(
図6参照)は、X方向の基板取付部材32側に凸の曲線になっており、その曲線において隣りの反射面30c,31cに接触する点31e(
図6参照)は、当該曲線においてX方向に関して基板取付部材32から最も離れた点になっている。
図6は、第2反射部材31を
図5に矢印Aで示すY方向の外側から見たときの側面図である。
図6に示すように、第2反射面31cをY方向に直交する平面(XZ平面)で切断したときの切断線は、Z方向上側に行くにしたがってX方向の基板取付部材32側に位置する上側曲線部31fをZ方向上側に有する。
【0026】
図7は、
図4に示す状態から更に第2反射部材31を取り外した状態を示す斜視図である。
図7に示すように、第1光源33の第1発光部33b(
図5参照)は、第1反射部材30の第1反射面30cのY方向の中央部かつZ方向の中央部にX方向に間隔をおいて対向し、第2光源34の第2発光部34bは、第2反射部材31の第2反射面31cのY方向の中央部かつZ方向の中央部にX方向に間隔をおいて対向する。
図4、
図5、及び
図7を参照して、第1反射面30cは、第1発光部33bに対してX方向に対向する第1反射面部を含み、第2反射面31cは、第2発光部34bに対してX方向に対向する第2反射面部を含む。第1反射面30c、及び第2反射面31cは、主反射面を構成する。
【0027】
なお、各反射面30c,31cは、公知の如何なる方法で形成さてもよく、例えば、金属や樹脂で構成される各反射部材30,31の基材に、蒸着、メッキ、スパッタリング等によりアルミニウム層等の金属層を設けることで形成されてもよく、又は、白色顔料を含有する白色の塗膜を設けることで形成されてもよい。又は、各反射面30c,31cは、各反射部材30,31を、銀、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成し、その金属の一部を鏡面加工することで形成してもよい。又は、各反射面30c,31cは、金属や樹脂で構成される各反射部材30,31の基材に、鏡面アルミ材を固着することで形成してもよい。
【0028】
照明装置1には、第1光源33と第2光源34とを略面対称にすると共に主反射面36を略面対称にする平面である対称平面(図示せず)が存在する。
図4を参照して、主反射面36は、その対称平面によって区切られる2つの領域の第1領域に位置すると共にZ方向の光照射側とは反側に行くにしたがって第1光源33側に位置するように湾曲する第1湾曲面部42、及び2つの領域の第2領域に位置すると共にZ方向の光照射側とは反対側に行くにしたがって第2光源34側に位置するように湾曲する第2湾曲面部43(
図6も参照)を、少なくともZ方向上側に有する。第1湾曲面部42と第2湾曲面部43とは、接続されているが、滑らかに接続されておらず、主反射面36は、第1湾曲面部42と第2湾曲面部43との交線上で、直交方向(Y方向)に微分不可能になっている。
【0029】
詳述しないが、第1及び第2光源33,34が固定される基板取付部材32は、次のように第1筐体20(
図2参照)に取り付けられる。詳しくは、
図8、すなわち、開口20a側から見た第1筐体20の斜視図に示すように、第1筐体20内の内面における板部20hよりも下側のY方向中央に、Z方向に間隔をおいて複数のねじ孔20jが設けられている。他方、
図7に示すように、基板取付部材32のY方向中央には、Z方向に間隔をおいて複数のねじ38が、第1面32a側から締めこまれるようになっている。このねじ38をねじ孔20jに締め込むことで基板取付部材32が照明装置1の所定位置に固定される。
【0030】
図9は、第1筐体20に対する第1及び第2反射部材30,31の相対位置を示す斜視図である。
図8に示すように、第1及び第2反射部材30,31は、第1筐体20内において板部20hよりも下側に位置するスペース39(
図8参照)のX方向の開口を封鎖するように配置される。より詳しく説明すると、第1筐体20、第1反射部材30、及び第2反射部材31は、貫通孔20b(
図3参照)を除いて周囲が封鎖されたスペース39を画定し、光源33,34は、各発光部33b,34b(
図5参照)が対応する反射面30c,31c(
図4参照)に対向するようにスペース39内に配置される。
【0031】
図10は、取付バネ13を外した照明装置1を斜め下側から見たときの斜視図である。
図10に示すように、照明装置1は、拡散部材(分散部材)40、入隅反射部材50、及び補助反射部材60を更に備える。拡散部材40は、透明のシリコン樹脂、アクリル樹脂、透明のポリカーボネート樹脂、又はガラス等で構成される。ここで、シリコン樹脂は、シリコン(ケイ素)を含み、シロキサン結合を含む樹脂という条件を満たしてもよい。また、アクリル樹脂は、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体を含み、透明性を有する樹脂という条件を満たしてもよい。また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸エステル(-O-CO-O-)を有する重合体を含む樹脂という条件を満たしてもよい。
【0032】
図7及び
図10に示すように、拡散部材40は、板形状を有してXY平面に対して傾斜する拡散板部40aを有する。
図7に示すように、拡散板部40aは、Z方向下側に行くにしたがって反射面30cにおけるZ方向下側の端部に近づくようにZ方向に対して傾斜する。
図11は、拡散部材40を、反射部材30,31側から見たときの斜視図であり、
図12は、拡散部材40をZ方向下側から見たときの斜視図である。
図11に示すように、拡散部材40は、一体の部材であり、拡散板部40aに加えて、板状の土台部40bを有する。後で説明するが、入隅反射部材50も、照明装置1の底部の一部を構成すると共にXY平面上に広がってZ方向に位置決めされる土台部50g(
図13参照)を有する。拡散部材40の土台部40bは、各反射部材30,31の底面と、入隅反射部材50の土台部50gの上面とで挟持され、Z方向の位置決めがされると共にXY平面に平行に配置される。更には、土台部40bは、Y方向の両側に凹部40dを有し、この凹部40dは、筐体10に設けられた突出部(図示せず)に係合する。これにより、拡散部材40のXY平面上の位置が位置決めされ、拡散部材40が照明装置1に対して正確に位置決めされる。
【0033】
拡散部材40が照明装置1に対して正確に位置決めされた状態で、土台部40bは、XY平面に略平行に配置され、拡散板部40aは、Z方向上側に行くにしがってX方向に土台部40bから遠ざかるように土台部40bに対して傾斜する。また、
図4を参照して、第3筐体22は、Y方向に間隔をおいて位置すると共に、XZ平面上に広がる板状の一対の内部側壁22cを有する。一方の内部側壁22cには、第1反射部材30のY方向の外側がねじで固定され、他方の内部側壁22cには、第2反射部材31のY方向の外側がねじ35で固定される。
図4及び
図11を参照して、拡散板部40aのY方向の寸法は、一方の内部側壁22cのY方向の距離よりも僅かに小さく、第1筐体20の貫通孔20b(
図3参照)のY方向の寸法よりも小さくなっている。照明装置1に対して拡散部材40が適切に固定された状態で、拡散板部40aは、XY平面に傾斜するように広がり、拡散板部40aの上側の少なくとも一部は、スペース39(
図8参照)内に位置する。
【0034】
図11に示すように、拡散板部40aにおける反射部材30,31側(上側)の上側傾斜面40eには、複数のプリズム41が設けられている。プリズム41は、例えば、円錐台状の孔、円錐状の孔、ディンプル、三角柱状の溝、畝に対応する形状の溝、円錐台状の突起、円錐状の突起、半球状の突起、三角柱状の突出部、又は畝状の突出部等で構成される。複数のプリズム41は、同一形状のプリズムのみを含んでいてもよく、又は2以上の異なるプリズムを含んでもよい。
図11に示す例では、複数のプリズム41は、Y方向に隣接配置された畝状の三角柱の突出部を含み、各三角柱状の突出部は、Y方向に直交する方向に上側傾斜面40eの下端から上端まで延在している。後で詳述するが、プリズム41は、光源33,34で出射されて反射面30c,31cで反射された光を拡散(分散)したり屈折させたりして、視覚的に柔らかい光にし、視覚的に柔らかい光が、拡散板部40aから下側に照射させる。
【0035】
次に、入隅反射部材50の構成について説明する。
図10に示すように、入隅反射部材50は、拡散板部40aにおける下側傾斜面40fの下側端40gに接触すると共に、下側端40gから下側に行くにしたがって下側端40gに対してX方向に離れるように傾斜する入隅反射面50aを有する。入隅反射面50aは、公知の如何なる方法で形成さてもよく、例えば、金属や樹脂で構成される入隅反射部材50の基材に、蒸着、メッキ、スパッタリング等によりアルミニウム層等の金属層を設けることで形成されてもよく、又は、白色顔料を含有する白色の塗膜を設けることで形成されてもよい。又は、入隅反射面50aは、入隅反射部材50を、銀、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成してその金属の一部を鏡面加工することで形成してもよい。又は、入隅反射面50aは、金属や樹脂で構成される入隅反射部材50の基材に、鏡面アルミ材を固着することで形成してもよい。
【0036】
図13は、入隅反射部材50を斜め上方から見たときの斜視図であり、
図14は、入隅反射部材50を斜め下側から見たときの斜視図である。
図13に示すように、入隅反射部材50は、Z方向から見たときの平面形状が略半円形状の板部材であり、入隅反射面50aは、入隅反射部材50のX方向の一方側端部にY方向に延在するように存在する。入隅反射面50aは、平面であり、Z方向下側に行くにしたがってX方向一方側に位置する。照明装置1が天井3に適切に固定された状態で、照明装置1が、Y方向が照射を意図する壁面4に略平行になるように配置されている場合、入隅反射面50aは、Y方向に延在すると共に、Z方向下側に行くにしたがって壁面4に近づくように傾斜する。
【0037】
図13に示すように、板状の入隅反射面50aのX方向一方側の端面50bは、Y方向の両側にX方向他方側に窪む凹部50fを有する。
図14に示すように、入隅反射部材50は、第1下面50cと、第1下面50cに段部50dを介して繋がる第2下面50eとを有する。第2下面50eは、入隅反射部材50の下側における円弧上の縁部の端面であり、第1下面50cよりも上側に位置する。図示しないが、第3筐体22は、下側端部に環状の内側フランジ部を有する。第2下面50eがその内側フランジ部の上面の一部に当接すると共に、段部50dがその内側フランジ部の先端面の一部に当接し、その状態で、入隅反射部材50が、XY平面に略平行に広がるようになっている。
【0038】
図13には、図示しないが、入隅反射部材50は、その上面50hに複数のねじ孔(図示せず)を有する。図示しないねじを、拡散部材40の土台部40bに設けられた複数のねじ孔40c(
図11参照)、入隅反射部材50の当該ねじ孔の順に締め込むことで、入隅反射部材50が第3筐体22と拡散部材40に対して位置決めされ、その結果、照明装置1に対して位置決めされる。
【0039】
続いて、補助反射部材60の構成について説明する。
図10に示すように、補助反射部材60は、拡散板部40aの下側傾斜面40fのY方向の第1の側に第1補助反射面60aを有し、下側傾斜面40fのY方向の第2の側に第2補助反射面60bを有する。各補助反射面60a,60bは、公知の如何なる方法で形成さてもよく、例えば、金属や樹脂で構成される補助反射部材60の基材に、蒸着、メッキ、スパッタリング等によりアルミニウム層等の金属層を設けることで形成されてもよく、又は、白色顔料を含有する白色の塗膜を設けることで形成されてもよい。又は、各補助反射面60a,60bは、補助反射部材60を、銀、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成してその金属の一部を鏡面加工することで形成してもよい。又は、各補助反射面60a,60bは、金属や樹脂で構成される補助反射部材60の基材に、鏡面アルミ材を固着することで形成してもよい。各補助反射面60a,60bは、略平面であり、下側に行くにしたがって2つの補助反射面60a,60bのY方向の距離が短くなるようにXZ平面に対して傾斜する。
図15は、補助反射部材60を斜め下側からみたときの斜視図であり、
図16は、補助反射部材60の正面図である。
【0040】
図15に示すように、補助反射部材60も、入隅反射部材50と同様に、第1下面60cと、第1下面60cに段部60dを介して繋がる第2下面60eとを有する。第2下面60eは、補助反射部材60下側における円弧上の縁部の端面であり、第1下面60cよりも上側に位置する。また、補助反射部材60は、Y方向の両端部にX方向に突出する突出部60fを有する。第2下面60eが、第3筐体22の上記内側フランジ部の上面の一部に当接すると共に、段部60dが、その内側フランジ部の先端面の一部に当接し、その状態で、補助反射部材60が、XY平面に略平行に広がるようになっている。
【0041】
入隅反射部材50と補助反射部材60とが照明装置1に適切に固定されている状態で、入隅反射部材50の第2下面50eと補助反射部材60の第2下面60eが、互いに相まって略円環状の平面を構成し、入隅反射部材50の段部50dと補助反射部材60の段部60dも、互いに相まって略環状の段部を構成する。また、補助反射部材60の突出部60fが入隅反射部材50の凹部50f(
図13参照)に係合する。また、図示しないが、第1筐体20と第3筐体22(
図3参照)を統合する際に、筐体10に設けられて径方向内方に突出する突起が補助反射部材60の上面60g(
図16参照)を下側に押圧する。これにより、補助反射部材60が照明装置1に対して位置決めされる。
【0042】
上述のように、第1光源33と第2光源34とを略面対称にすると共に主反射面36を略面対称にする平面である図示しない対称平面が存在する。対称平面は、XZ平面に略平行に広がる。照明装置1では、拡散部材40、入隅反射部材50、及び補助反射部材60の夫々も、当該対称平面で略面対称になる。
【0043】
上記構成において、第2光源34から出射された光は、次のように進行する。なお、第1光源33と第2光源34は同一であり、当該対称平面で略面対称になり、主反射面36、拡散部材40、入隅反射部材50、及び補助反射部材60の夫々も、当該対称平面で略面対称になる。したがって、第1光源33から出射された光と第2光源34から出射された光は、当該対称平面で略面対称になるように進行する。よって、第1光源33から出射された光の進行方向は、第2光源34から出射された光の進行方向の説明をもって省略する。
【0044】
図17は、照明装置1を、円板状の第2発光部34b(
図7参照)の中心軸を通過するXZ平面で切断したときの断面における、第2光源34と、第2反射面31cと、拡散板部40aと、入隅反射面50aの位置関係と、典型的な光の進行経路を示す模式図である。また、
図18は、照明装置1を、下側から見たときの、第1及び第2光源33,34と、第1及び第2反射面30c,31cと、拡散板部40aと、第1及び第2補助反射面60a,60bとの位置関係と、典型的な光の進行経路を示す模式図である。また、
図19は、それらの典型的な光で照らされる壁面4の位置を示す模式図である。
【0045】
図17及び
図19を参照して、矢印Aで示す光、すなわち、第2光源34から略X方向に平行に進んだ後に、第2反射面31cで拡散板部40aの厚さ方向に略平行な方向に反射して、拡散板部40aを透過した光は、照明装置1が照射する壁面の照射領域のY方向の中央部かつ下側を照らす。また、矢印Bで示す光、すなわち、第2光源34からY方向成分を有さずにX方向片側かつZ方向下側に進行して、第2反射面31cのZ方向中央付近で反射した後、拡散板部40aでX方向の壁面4側とは反対側かつZ方向下側に屈折して、入隅反射面50aで反射した光は、上記照射領域におけるY方向の中央部かつ上側を照らす。
【0046】
また、
図17乃至
図19に示すように、矢印Cで示す光、すなわち、第2光源34から、X方向の片側、Y方向の第1光源33側、かつZ方向下側に進行して、第2反射面31cのY方向の第1光源33側かつZ方向下側で反射し、その後、拡散板部40aを透過した光は、上記照射領域におけるY方向の第1光源側かつ下側を照らす。また、
図18及び
図19に示すように、矢印Dで示す光、すなわち、第2光源34から、Y方向の第1光源33側とは反対側かつZ方向下側に進行して、拡散板部40aで屈折して、その後、第2光源34側の第2補助反射面60bで反射した光は、上記照射領域におけるY方向の第1光源33側かつZ方向上側を照らす。
【0047】
図20(a)は、光源が1つで、その光源からの光を拡散板部のみを透過させて壁面を照射することだけが、本開示の照明装置1と異なる参考例の照明装置101を用いて壁面4を綺麗な光で照射できたときの、その複数の照明装置101の配置を示す模式図である。また、
図20(b)は、本開示の照明装置1を用いて壁面4を綺麗な光で照射できたときの、複数の照明装置1の配置を示す模式図である。
【0048】
図20に示すように、参考例の照明装置101では、壁面4から600mm離さなければ綺麗な光で壁面4を照射できない一方、本開示の照明装置1では、壁面4からの距離が600mmの半分の300mmの位置でも、壁面4を均一で美しい光で照射することができた。更には、参考例の照明装置101では、綺麗な光を実現できる照明装置101間の距離が750mmであったのに対し、本開示の照明装置1では、綺麗な光を実現できる照明装置101間の距離を900mmと大幅に長くできた。このため、本開示の照明装置1は、参考例の照明装置101との比較で、通路2内で目立たなくすることができ、通路2の高級感を演出できる。また、参考例の照明装置101を用いる場合との比較において、通路2に設置する照明装置1の数も、低減できるので、通路2の照明に要する照明設備の製造コストも低減し易い。
【0049】
以上、照明装置1は、高さ方向の少なくとも一部が天井3に設けられた孔内に収容される筐体10と、第1基板33a(
図5参照)、及びその第1基板33aの第1実装面33cに実装された第1発光部33b(
図5参照)を有し、第1実装面33cの第1法線方向(X方向)がZ方向に対して傾斜している状態で筐体10内に配置される第1光源33とを備える。また、照明装置1は、第2基板34a、及び第2基板34aの第2実装面34cに実装された第2発光部34bと有し、第2実装面34cの第2法線方向(X方向)がZ方向に対して傾斜していると共に第1光源33に対してZ方向に直交する直交方向(Y方向)に間隔をおいて位置している状態で筐体10内に配置される第2光源34を備える。また、照明装置1は、第1発光部33bに対して第1法線方向に対向する第1反射面部、及び第2発光部34bに対して第2法線方向に対向する第2反射面部を含むと共に、筐体10内に配置される主反射面36を備える。
【0050】
本構成によれば、照明装置1が、Z方向に直交するY方向に間隔をおいて位置する複数の光源33,34を備える。したがって、各光源33,34が出射する光の光量を低減できるので、
図20を用いて説明したように、照明装置1を壁面4に近づけても壁面4に局所的に明るい箇所が生じ難くて、色ムラが生じ難い。したがって、照明装置1を壁面4に近づけることで、照明装置1を目立たなくできて、意匠性を優れたものにできるだけでなく、均一な光で壁面4を美しく照射できる。
【0051】
更には、照明装置1が、Z方向に直交するY方向に間隔をおいて位置する複数の光源33,34を備えるので、
図20を用いて説明したように、光源が1つの場合との比較において、照射領域のY方向の照射範囲を広げることができ、よりワイドな配光を実現し易い。
【0052】
また、照明装置1には、第1光源33と第2光源34とを略面対称にすると共に主反射面36を略面対称にする対称平面が存在してもよい。また、主反射面36が、その対称平面によって区切られる2つの領域の第1領域に位置すると共にZ方向の光照射側とは反側に行くにしたがって第1光源33側に位置するように湾曲する第1湾曲面部42、及び2つの領域の第2領域に位置すると共にZ方向の光照射側とは反対側に行くにしたがって第2光源34側に位置するように湾曲する第2湾曲面部43を、少なくともZ方向の上側部分に有してもよい。また、第1湾曲面部42と第2湾曲面部43とは、滑らかに接続されていなくてもよく、主反射面36は、第1湾曲面部42と第2湾曲面部43との交線上で、直交方向(Y方向)に微分不可能になっていてもよい。
【0053】
本構成によれば、第1光源33の配光制御を、第2光源34の配光制御に対して独立に実行できる。よって、2つの光源33,34の配光制御の自由度を高くでき、特に、ワイド方向(壁面4(通路2)の延在方向)の照射範囲が広い配光制御を容易に実現できる。
【0054】
また、照明装置1は、板形状を有して主反射面36が反射した光を拡散(分散)させ、Z方向の光照射側(Z方向下側)に行くにしたがって主反射面36におけるZ方向の光出射側の端部に近づくようにZ方向に対して傾斜する拡散板部40aを備えてもよい。
【0055】
本構成によれば、主反射面36で反射した光を、拡散板部40aで拡散でき、柔らかくて色むらが殆どない光とできる。したがって、柔らかくて美しい光を、壁面4に照射できる。
【0056】
また、照明装置1は、Z方向の光照射側かつ拡散板部40aの幅方向の第1の側に配置されて、その幅方向の第1の側の進行方向成分を有する光を幅方向の第2の側に反射する第1補助反射面60aを備えてもよい。また、照明装置1は、Z方向の光照射側かつ拡散板部40aの幅方向の第2の側に配置されて、その幅方向の第2の側の進行方向成分を有する光を幅方向の第1の側に反射する第2補助反射面60bと、を備えてもよい。
【0057】
図18及び
図19を用いて説明したように、補助反射面60a,60bで反射した光は、壁面4におけるワイド方向の外側かつ上側に進行する。ここで、仮に、補助反射面60a,60bが存在しなかった場合、補助反射面60a,60bが存在していた位置に到達した光は、筐体内面で吸収され易く、外部に照射されにくい。よって、本構成によれば、よりワイドな配光を実現でき、光の取り出し効率も高くできる。
【0058】
また、照明装置1は、拡散板部40aによって区切られる2つの領域のうちの主反射面配置側の領域とは逆側の領域に拡散板部40aの幅方向に延在するように配置される入隅反射面50aを備えてもよい。また、入隅反射面50aが、Z方向の光照射側とは反対側(Z方向上側)に行くにしたがって拡散板部40aにおけるZ方向の光出射側(Z方向下側)の端部に近づくようにZ方向に対して傾斜して拡散板部40aで拡散された光を外部に反射してもよい。
【0059】
図18及び
図19を用いて説明したように、入隅反射面50aで反射した光は、壁面4における上側に進行する。ここで、仮に、入隅反射面50aが存在しなかった場合、入隅反射面50aが存在していた位置に到達した光は、筐体内面で吸収され易く、外部に照射されにくい。よって、本構成によれば、従来、明るく照らしにくかった壁面4の上側を明るく照らすことができ、より視覚的な明るさ感を高めることができ、空間全体をより広く見せることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、第1基板33aの第1法線方向と第2基板34aの第2法線方向が共にX方向であって、Z方向に直交する直交平面(XY平面)に含まれる場合について説明した。しかし、第1光源の第1基板の第1法線方向が、Z方向に直交する直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜してもよく、第2光源の第2基板の第2法線方向も、当該直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜してもよい。
【0061】
この場合、光が第1及び第2光源から当該直交平面に対する傾斜角度が小さい方向に出射されることになるので、壁面に近づけても壁面を綺麗に照射し易くて、よりワイドな配光を実現し易い配光を実現できる主反射面の設計や配置を行い易く、拡散板(存在する場合)の設計や配置も行い易い。
【0062】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、主反射面36を、別体の2つの反射部材30,31をY方向に隣接配置することで構成したが、反射部材は、一つの一体の部材でもよく、主反射面は、その一体の部材の一部でもよい。また、第1基板33aと、第2基板34aが互いに別体である場合について説明したが、第1基板と第2基板が同一の基板で、第1基板が第2基板を兼用してもよい。
【0064】
また、第1基板33aの第1実装面33cの第1法線と、第2基板34aの第2実装面34cの第2法線が、一致する場合について説明したが、第1基板の第1実装面の第1法線と、第2基板の第2実装面の第2法線は、一致しなくてもよい。例えば、第1法線と、第2法線は、高さ方向に直交する直交平面上に含まれる方向であって、公差する角度が鋭角になるような方向でもよい。
【0065】
また、第1光源、第2光源、主反射面を、面対称にする対称平面が存在しなくてもよく、拡散板部、補助反射面、入隅反射面のうちの1以上は存在しなくてもよい。また、第1光源の第1基板の第1法線方向が、Z方向に直交する直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜していなくてもよく、第2光源の第2基板の第2法線方向も、当該直交平面に対して±30°の範囲に含まれる傾斜角度で傾斜していなくてもよい。
【0066】
また、光の一部が拡散板部40aを通過した後に入隅反射面50aで反射されて照射領域に進行する場合について説明した。しかし、光の一部が、入隅反射面で反射された後に拡散板部を通過して照射領域に進行する構成でもよい。また、光の一部が拡散板部40aを通過した後に補助反射面60a,60bで反射されて照射領域に進行する場合について説明した。しかし、光の一部が、補助反射面で反射された後に拡散板部を通過して照射領域に進行する構成でもよい。また、主反射面、補助反射面、入隅反射面のうちの2以上の反射面を有する一体の部材を用いてもよい。また、そのような場合、その一体の部材の照明領域側に拡散板部が存在する構成でもよく、その一体の部材で反射した光が、拡散板部を透過したり屈折したりする構成でもよい。
【0067】
また、拡散板部40aにプリズム41を設けることで、光を拡散(分散)させるようにしたが、板状の透光性の材質の少なくとも一面にショット加工(ショット(鋼粒など)を圧縮空気又は遠心力等で加速させ、これを被処理物の表面に高速で衝突させて、鋳物砂、機械加工バリ、或いは錆びなどの除去を行う表面加工)を施すことで、光を拡散(分散)させるようにしてもよく、板状の透光性の材質の少なくとも一面にドット印刷を施すことで、光を拡散(分散)させるようにしてもよい。又は、プリズム41に加えるか又はプリズム41を用いる代わりに、グレアカットを行うことで、光を拡散(分散)させてもよい。また、照明装置が、2つの光源33,34を有する場合について説明したが、照明装置は、3以上の光源を有してもよく、例えば、3以上の光源を、高さ方向に直交する直交平面上に含まれる同一の直線上に互いに間隔をおいて配置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 照明装置、 2 通路、 3 天井、 4 壁面、 10 筐体、 33 第1光源、 33a 第1基板、 33b 第1発光部、 33c 第1実装面、 34 第2光源、 34a 第2基板、 34b 第2発光部、 34c 第2実装面、 36 主反射面、 40 拡散部材、 40a 拡散板部、 41 プリズム、 42 第1湾曲面部、 43 第2湾曲面部、 50 入隅反射部材、 50a 入隅反射面、 60 補助反射部材、 60a 第1補助反射面、 60b 第2補助反射面。