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特許7300692時系列情報表示装置および時系列情報表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】時系列情報表示装置および時系列情報表示方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04815 20220101AFI20230623BHJP
【FI】
G06F3/04815
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023508502
(86)(22)【出願日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2022043699
【審査請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2021204057
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508218383
【氏名又は名称】アールシーソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】栗山 章
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080066(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/213070(WO,A1)
【文献】特開2001-202170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとった3次元空間の画像を有する表示画面において、上記時間軸に沿って時系列情報を表示する時系列情報表示装置であって、
上記時系列情報は、時間単位の異なる時系列情報を含み、
上記時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りを上記時間軸に沿って付与してなる上記3次元空間の画像を表示する空間表示部と、
上記3次元空間の上記時間軸において指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を表示する時系列情報表示部とを備え、
上記空間表示部は、上記時間単位の大きさごとに異なる上記複数種類の目盛りの上記時間軸に対する付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど上記時間軸の上記奥行き方向の手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど上記時間軸の上記奥行き方向の奥側の位置に設定した上記3次元空間の画像を表示する
ことを特徴とする時系列情報表示装置。
【請求項2】
上記空間表示部は、上記時間単位の異なる時系列情報が存在する時間帯に対応する上記時間軸上の範囲に、上記時間単位の大きさごとに異なる上記複数種類の目盛りを上記時間軸に沿って付与してなる上記3次元空間の画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の時系列情報表示装置。
【請求項3】
上記空間表示部は、最も短い時間単位に対応する種類の目盛りを上記奥行き方向の最も手前の範囲に付与し、最も長い時間単位に対応する種類の目盛りを上記奥行き方向の最も奥の範囲に付与するようにして、重複のない複数の範囲に対して上記複数種類の目盛りを分けて付与してなる上記3次元空間の画像を表示することを特徴とする請求項2に記載の時系列情報表示装置。
【請求項4】
上記3次元空間は、上記奥行き方向に延在する少なくとも1つの平面を有し、
上記時系列情報表示部は、上記3次元空間の上記時間軸において指定された時点の位置に、上記少なくとも1つの平面に対して辺が接する矩形形状のウインドウを表示し、当該ウインドウ内に上記時系列情報を表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時系列情報表示装置。
【請求項5】
上記時系列情報表示部は、上記3次元空間の上記時間軸において指定された時点を識別可能に表示するとともに、上記3次元空間の内側、外側または内側と外側との両側を含む領域にウインドウを表示し、当該ウインドウ内に上記時系列情報を表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時系列情報表示装置。
【請求項6】
上記3次元空間は、底面と、当該底面の両端から立ち上がる両側面と、当該両側面の上端の間を繋ぎ上記底面に対向する上面と、上記時間軸の終端位置において上記底面、上記両側面および上記上面の4面に対して4辺が接する大きさの矩形形状から成る終端面との5面を含む角筒の空間であり、
上記時系列情報表示部は、上記3次元空間の上記時間軸において指定された時点の位置に、上記底面、上記両側面および上記上面の4面に対して4辺が接する大きさの矩形形状から成るウインドウを表示し、当該ウインドウ内に上記時系列情報を表示することを特徴とする請求項4に記載の時系列情報表示装置。
【請求項7】
上記3次元空間は、底面と、当該底面の両端から立ち上がる両側面と、当該両側面の上端の間を繋ぎ上記底面に対向する上面と、上記時間軸の終端位置において上記底面、上記両側面および上記上面の4面に対して4辺が接する大きさの矩形形状から成る終端面との5面を含む角筒の空間であり、
上記時系列情報表示部は、上記3次元空間内で上記終端面が存在しない領域であって、上記3次元空間の画像の中心位置から一の方向に偏在した位置に配置された終端面と、当該一の方向とは反対側の方向に存在する上記3次元空間の画像の最外郭線との間の領域を含む範囲に上記時系列情報を表示することを特徴とする請求項5に記載の時系列情報表示装置。
【請求項8】
上記空間表示部は、上記3次元空間の画像の表示範囲内で上記終端面の位置を指定するユーザ操作を受け付けて、指定された位置に上記終端面を有するように形成した角筒から成る上記3次元空間の画像を表示することを特徴とする請求項7に記載の時系列情報表示装置。
【請求項9】
上記時系列情報表示部は、上記終端面が指定された位置に応じて、上記終端面が存在しない領域に表示する上記時系列情報の種類を変えることを特徴とする請求項8に記載の時系列情報表示装置。
【請求項10】
上記時系列情報表示部は、上記時系列情報が方位に関連する情報を含む場合に、上記表示画面のどの方向がどの方位であるかを示す方位情報を表示するとともに、当該方位情報に合わせて、上記時系列情報の上記方位に関連する情報に対応する図形を表示することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時系列情報表示装置。
【請求項11】
上記時系列情報表示装置は携帯端末に搭載され、
上記時系列情報表示部は、上記携帯端末が存在する位置の周囲環境を含むクロスリアリティ画像によって上記時系列情報を表示する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時系列情報表示装置。
【請求項12】
上記時系列情報は、上記携帯端末が存在する位置の周囲環境に形として現れる現象に関する情報であり、
上記時系列情報表示部は、ユーザのアバターを含めて上記クロスリアリティ画像を表示し、上記時系列情報で示される上記現象の影響を受けた状態が表現されたアバターを表示するようにした
ことを特徴とする請求項11に記載の時系列情報表示装置。
【請求項13】
上記時系列情報表示部は、
上記3次元空間の上記時間軸において任意の時点が指定されていないときに、複数の時点の位置に複数のウインドウを設定し、当該複数の時点に対応する複数の時系列情報を、それぞれ透明度を0パーセントより大きく且つ100パーセントより小さく設定したクロスリアリティ画像によって各ウインドウに表示し、
上記3次元空間の上記時間軸において任意の時点が指定されたときに、当該指定された時点の位置より手前のウインドウの表示を消去、または上記手前のウインドウのクロスリアリティ画像の透明度を100パーセントにする
ことを特徴とする請求項11に記載の時系列情報表示装置。
【請求項14】
上記時系列情報表示装置は携帯端末に搭載され、
上記時系列情報表示部は、上記携帯端末が存在する位置を含む所定範囲の現在エリアに関する上記時系列情報と、上記現在エリアの周囲における所定範囲の周囲エリアに関する上記時系列情報とをユーザによる操作に基づいて選択的に表示する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の時系列情報表示装置。
【請求項15】
上記時系列情報表示部は、上記周囲エリアに関する上記時系列情報を表示する際に、上記携帯端末により検出される上記携帯端末が向いている方向の周囲エリアに関する上記時系列情報を選択的に表示する
ことを特徴とする請求項14に記載の時系列情報表示装置。
【請求項16】
遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとった3次元空間の画像を有する表示画面において、上記時間軸に沿って時間単位の異なる時系列情報を表示する時系列情報表示方法であって、
時系列情報表示装置の空間表示部が、上記時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りを上記時間軸に沿って付与してなる上記3次元空間であって、上記時間単位の大きさごとに異なる上記複数種類の目盛りの上記時間軸に対する付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど上記時間軸の上記奥行き方向の手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど上記時間軸の上記奥行き方向の奥側の位置に設定した上記3次元空間の画像を表示するステップと、
上記の時系列情報表示装置が、上記3次元空間の上記時間軸において指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を表示する時系列情報表示部ステップとを有する
ことを特徴とする時系列情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列情報表示装置および時系列情報表示方法に関し、特に、遠近法を用いて表現した時間軸に対するユーザ操作に応じて時系列の情報を表示する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、気象情報や自然災害情報(自然災害に伴い発生する被害の情報を含む)など、現在から未来にわたって予想される時系列情報を提供するシステムが知られている。この種のシステムの中には、時系列情報を時系列の時間軸に沿って表示させるようにしたものも存在する。例えば、2次元空間の画像を有する表示画面において、横軸または縦軸の何れかに時間軸を設定し、その時間軸に沿って時系列情報を並べて表示したり、時間軸に沿って移動させたカーソルの位置に該当する時系列情報をポップアップ表示したりするシステムが広く提供されている。
【0003】
しかしながら、時系列情報を横軸または縦軸に沿って表示する場合、次のような問題があった。すなわち、長い時間軸の時系列情報が存在する場合に、その時間軸の全てを1画面内に収めて表示しようとすると、目盛りの間隔が細かくなって視認性が悪くなってしまう。逆に、良好な視認性を確保するために目盛りの間隔を大きくすると、全ての時間軸を1画面に収めて表示することができず、画面のスクロールや切り替えが必要になってしまう。
【0004】
これに対して、遠近法を用いて表現した時間軸に沿って時系列情報を表示するようにしたシステムも知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のシステムでは、奥行き方向に時間軸をとった3次元空間の表示画面上に時系列情報を表示するようにしている。このような3次元表示によれば、2次元表示において画面スクロール操作により時系列情報を切り替えて表示する場合と比較して、時間軸を途切れさせることなく時系列情報を提供することが可能というメリットがある。
【0005】
ところで、気象情報や自然災害情報のように、現在から未来にわたって予想される時系列情報は、一般的に次のような性質を有している。すなわち、現在時刻から近い未来の予想情報については、短い単位時間ごとに予想精度の高い情報を提供することが可能であるのに対し、現在時刻から遠い先の未来については、短い時間単位で正確な予想を行うことが困難となるため、提供可能な予想情報の単位時間は長くなる。例えば、現在時刻から近い未来については5分単位の予想情報が提供されるのに対し、現在時刻から長い時間が経過するに従って1時間単位、1日単位の予想情報しか提供されなくなるといった具合である。
【0006】
【文献】WO2016/080066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
気象情報や自然災害情報は、現在からどのくらい先の時間でどのような状況が予想されているかの情報を、ユーザが正しく理解できるような態様で提供することが望まれる。しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、上述のような予想情報の有する性質を考慮した方法での情報提供は行っていない。そこで本発明は、時間単位の異なる時系列情報を長い時間軸に沿って提供する際に、画面のスクロールや切り替えを行うことなく、良好な視認性を確保した状態で分かりやすく提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとり、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りを時間軸に沿って付与してなる3次元空間の画像を表示し、当該3次元空間の時間軸において指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を表示するようにしている。ここで、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りの時間軸に対する付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の奥側の位置に設定している。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、遠近法を用いて奥行き方向に設定された時間軸において、小さな時間単位の目盛りほど手前側から付与され、大きな時間単位の目盛りほど奥側から付与される。このため、時間軸の手前側においても奥側においても目盛りの間隔が細かくなり過ぎて視認性や指定の操作性が悪くなってしまうことを回避して、画面のスクロールや切り替えを行うことなく時系列情報を提供することができる。また、本発明によれば、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りが時間軸に沿って付与されているので、時間軸のどの位置を指定したときにどの大きさの時間単位の時系列情報が表示されるのかが直感的に理解しやすい状態で情報を提供することが可能となる。以上により、本発明によれば、時間単位の異なる時系列情報を長い時間軸に沿って提供する際に、画面のスクロールや切り替えを行うことなく、良好な視認性を確保した状態で分かりやすく提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による時系列情報表示装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】時系列情報の一例を示す図である。
図3】本実施形態の空間表示部により表示される3次元空間の画像の一例を示す図である。
図4】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の一例を示す図である。
図5】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図6】本実施形態による時系列情報表示装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態の空間表示部により表示される3次元空間の画像の他の例を示す図である。
図8】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図9】時系列情報と共に方位情報を表示する場合の例を示す図である。
図10】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図11】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図12】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図13】本実施形態の時系列情報表示部により表示される時系列情報の表示態様の他の例を示す図である。
図14】現在エリアおよび周囲エリアの一例を示す図である。
図15】現在エリアまたは周囲エリアの選択方法の一例を示す図である。
図16】空間表示部により表示される3次元空間の画像の他の例を示す図である。
図17】時系列情報の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による時系列情報表示装置10の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の時系列情報表示装置10は、機能構成として、空間表示部11、時系列情報表示部12および時点指定部13を備えている。また、時系列情報表示装置10には、時系列情報記憶部20およびディスプレイ21が接続されている。
【0012】
上記機能ブロック11~13は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記機能ブロック11~13は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラム(以下、時系列情報表示プログラムという)が動作することによって実現される。
【0013】
時系列情報記憶部20は、時系列情報表示装置10に有線または無線で接続された記憶媒体である。時系列情報表示装置10と時系列情報記憶部20との間は、インターネットまたは携帯電話網などの通信ネットワークを介して接続される構成であってもよい。例えば、時系列情報記憶部20をインターネット上の情報提供サーバが備え、時系列情報表示装置10が当該情報提供サーバから時系列情報を取得する構成であってもよい。また、時系列情報表示装置10が時系列情報記憶部20を内蔵する構成であってもよい。
【0014】
時系列情報記憶部20が記憶する時系列情報は、時間単位の異なる時系列情報を含む。例えば、時系列情報は、気象情報や自然災害情報のように、現在から未来にわたって予想される情報であり、第nの時間単位Tn(n=1,2,・・・:nは2以上の整数)で未来を予想した情報である。ここで、現在時刻から近い未来の予想情報ほど、短い単位時間ごとに未来の状況を予想した情報である。一方、現在時刻から遠い先の未来の予想情報ほど、長い時間単位ごとに未来の状況を予想した情報である。
【0015】
以下ではn=3として本実施形態を説明し、第1の時間単位T1<第2の時間単位T2<第3の時間単位T3の順で時間単位が大きくなるものとする。時系列情報記憶部20には、第1の時間単位T1の時系列情報がj個記憶され、第2の時間単位T2の時系列情報がk個記憶され、第3の時間単位T3の時系列情報がm個記憶されている(j,k,mは何れも1以上の整数)。すなわち、図2に示すように、現在時刻から時間[T1×1]後の予想情報、・・・現在時刻から時間[T1×j]後の予想情報と、現在時刻から時間[T2×1]後の予想情報、・・・現在時刻から時間[T2×k]後の予想情報と、現在時刻から時間[T3×1]後の予想情報、・・・現在時刻から時間[T3×m]後の予想情報とがそれぞれ時系列情報記憶部20に記憶されている。ここで、例えばT1=1,T2=5であるとすると、現在時刻から時間[T1×5]後の予想情報と、現在時刻から時間[T2×1]後の予想情報とは内容的に同じものとなる。
【0016】
各時間単位の時系列情報は、現在時刻が進むごとに内容が更新される。例えば、第1の時間単位T1の時系列情報は、現在時刻が時間T1進むごとに内容が更新される。更新後も第1の時間単位T1の時系列情報の個数はj個のままである。また、第2の時間単位T2の時系列情報は、現在時刻が時間T2進むごとに内容が更新される。更新後も第2の時間単位T2の時系列情報の個数はk個のままである。同様に、第3の時間単位T3の時系列情報は、現在時刻が時間T3進むごとに内容が更新される。更新後も第3の時間単位T3の時系列情報の個数はm個のままである。
【0017】
本実施形態の時系列情報表示装置10は、空間表示部11、時系列情報表示部12および時点指定部13の機能により、遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとった3次元空間の画像を有する表示画面において、時間軸に沿って時系列情報を表示する。以下に、空間表示部11、時系列情報表示部12および時点指定部13の機能の詳細を説明する。
【0018】
空間表示部11は、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りを時間軸に沿って付与してなる3次元空間の画像をディスプレイ21に表示する。ここで、空間表示部11は、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛りの時間軸に対する付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の奥側の位置に設定する。
【0019】
図3は、空間表示部11により表示される3次元空間の画像の一例を示す図である。図3に示す3次元空間30は、奥行き方向に延在する少なくとも1つの平面を有する空間の一例である。ここでは、底面31と、当該底面31の両端から立ち上がる両側面32,33と、当該両側面32,33の上端の間を繋ぎ底面31に対向する上面34と、時間軸の終端位置において4面31~34に対して4辺が接する大きさの矩形形状から成る終端面35との5面を含む有底の角筒形状の3次元空間30を示している。なお、終端面35を含まない4面31~34の角筒形状によって3次元空間30を形成するようにしてもよい。
【0020】
ここで、3次元空間30は、3次元空間30の画像の中心位置(3次元空間30の中心位置ではなく、画像の矩形形状の中心位置)から一の方向に偏在した位置に終端面35を配置するのが好ましい。このようにすると、終端面35と、当該一の方向とは反対側の方向に存在する3次元空間30の画像の最外郭線との間の距離が長くなり、以下に説明する目盛り41~43を付与する領域を広くとって、目盛り41~43の視認性を向上させることができる。
【0021】
この3次元空間30において、奥行き方向が時間軸となっており、最も手前の位置が現在時刻を示し、それよりも奥側が全て未来の時刻を示している。終端面35がある位置の時刻は、時系列情報記憶部20に記憶されている時系列情報のうち最も遠い未来の時系列情報に対応する時刻、つまり現在時刻から時間[T3×m]後の時刻を示している。
【0022】
また、3次元空間30には、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛り41~43が付与されている。複数種類の目盛り41~43は、それぞれ時間単位の異なる時系列情報に対応している。また、目盛り41~43のそれぞれの数は、時間単位の異なる時系列情報の数に対応している。これら複数種類の目盛り41~43は、時間単位の異なる時系列情報が存在する時間帯に対応する時間軸上の範囲にそれぞれ付与されている。すなわち、3次元空間30における時間軸上で、時間単位の異なる時系列情報ごとに情報が存在し始める始端時間に対応する位置から、時間単位の異なる時系列情報ごとに情報が存在しなくなる終端時間に対応する位置まで、時間軸に沿って目盛り41~43が付与されている。
【0023】
最も単位時間が短い第1の目盛り41は、第1の時間単位T1の時系列情報に対応して付与されたものであり、3次元空間30における時間軸の奥行き方向の最も手前の位置(第1の時間単位T1の時系列情報が存在し始める始端時間に対応する時間軸上の位置)から、第1の時間単位T1の時系列情報が存在しなくなる終端時間に対応する時間軸上の位置まで、符号401に示す時間帯の範囲内にj個の目盛りが付与されている。図3の例において、第1の目盛り41は、底面31の左半分および左側面32の下半分の領域に付与されたL字状の目盛りである。なお、第1の目盛り41よりも単位時間が長い第2の目盛り42と重複する位置(奥行き方向の最も手前の位置から5番目の位置)および第3の目盛り43と重複する位置(奥行き方向の最も手前の位置から10番目の位置)については、第1の目盛り41を付与しなくてもよい。この場合、第1の目盛り41の数はj-2個となる。
【0024】
また、次に単位時間が短い第2の目盛り42は、第2の時間単位T2の時系列情報に対応して付与されたものであり、3次元空間30における時間軸の奥行き方向で第1の目盛り41の付与開始位置よりも奥側の位置(第2の時間単位T2の時系列情報が存在し始める始端時間に対応する時間軸上の位置)から、第2の時間単位T2の時系列情報が存在しなくなる終端時間に対応する時間軸上の位置まで、符号402に示す時間帯の範囲内にk個の目盛りが付与されている。図3の例において、第2の目盛り42は、底面31の左端から右端までおよび左側面32の上端から下端までの領域に付与されたL字状の目盛りである。なお、第2の目盛り42よりも単位時間が長い第3の目盛り42と重複する位置については、第2の目盛り42を付与しなくてもよい。
【0025】
最も単位時間が長い第3の目盛り43は、第3の時間単位T3の時系列情報に対応して付与されたものであり、3次元空間30における時間軸の奥行き方向で第2の目盛り42の付与開始位置よりも奥側の位置(第3の時間単位T3の時系列情報が存在し始める始端時間に対応する時間軸上の位置)から、第3の時間単位T3の時系列情報が存在しなくなる終端時間に対応する時間軸上の位置(角筒の終端面35の位置)まで、符号403に示す時間帯の範囲内にm個の目盛りが付与されている。図3の例において、第3の目盛り43は、底面31、両側面32,33および上面34を周回する矩形形状の目盛りである。
【0026】
図3の3次元空間30は、例えば、第1の時間単位T1=6分で時系列情報の個数j=10個、第2の時間単位T2=30分で時系列情報の個数k=6個、第3の時間単位T3=60分で時系列情報の個数m=4個の場合の例を示している。この場合、例えば、現在時刻から時間[T1×5]後における第1の時間単位T1の時系列情報と、現在時刻から時間[T2×1]後における第2の時間単位T2の時系列情報とは内容的に同じものとなる。また、現在時刻から時間[T1×10]後における第1の時間単位T1の時系列情報と、現在時刻から時間[T2×2]後における第2の時間単位T2の時系列情報と、現在時刻から時間[T3×1]後における第3の時間単位T3の時系列情報とは内容的に同じものとなる。
【0027】
時系列情報表示部12は、3次元空間30の時間軸において時点指定部13により指定された時点に対応する時間単位の時系列情報をディスプレイ21に表示する。時点指定部13は、例えば、3次元空間30の時間軸上(例えば、第1~第3の目盛り41~43が全て表示されている底面31と左側面32との接線上)に、マウス操作またはタッチパネル操作に応じて摺動するポインタ画像を表示し、このポインタ画像の位置で示される時点を指定する。なお、時点指定部13は、隣接する2つの目盛りの間の位置にポインタ画像が停止された場合、その停止位置から近い方の位置にある目盛りの時点を指定する。あるいは、第1~第3の目盛り41~43と重なる位置においてのみポインタ画像が停止可能となるようなユーザインタフェースとするようにしてもよい。
【0028】
時系列情報表示部12は、例えば、3次元空間30の時間軸において指定された時点を識別可能に表示するとともに、3次元空間30の内側、外側または両側を含む領域にウインドウを表示し、指定された時点に対応する時系列情報を当該ウインドウ内に表示する。
【0029】
図4は、時系列情報の表示態様の一例を示す図である。図4の例では、スマートフォン等の携帯端末の表示画面100に3次元空間30の画像を表示し、その3次元空間30の時間軸において任意の時点がポインタ画像51によって指定された状態を示している。この場合、時系列情報表示部12は、例えば図4に示すように、ポインタ画像51によって指定された時点の位置に、少なくとも1つの平面に対して辺が接する矩形形状のウインドウを表示し、当該ウインドウ内に時系列情報を表示する。ここでは一例として、角筒の4面31~34に対して4辺が接する大きさの矩形形状のウインドウ52を表示し、当該ウインドウ52内に時系列情報を表示している。この場合、ポインタ画像51によって指定された時点の位置にウインドウ52を表示することで、3次元空間30の時間軸において指定された時点が識別可能に表示されている。なお、図4ではウインドウ52の中に時系列情報を図形として表示した状態を示しているが、時系列情報を文字情報や画像情報の形態で表示するようにしてもよい。
【0030】
図4の例では、表示画面100の中で3次元空間30の画像が表示されていない領域に情報表示領域53を有している。この情報表示領域53には任意の情報を表示することが可能である。例えば、ウインドウ52に表示された時系列情報に関連する情報を情報表示領域53に表示するようにしてもよい。一例として、ウインドウ52に表示される時系列情報が自然災害情報の場合に、避難に関する情報や、2次災害の回避に関する情報などを情報表示領域53に表示することが考えられる。情報表示領域53に表示する情報は、例えば、時系列情報に関連付けて時系列情報記憶部20または別の記憶媒体に記憶されている。
【0031】
なお、図4では、角筒の4面31~34に対して4辺が接する大きさの矩形形状のウインドウ52を表示する例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、4面31~34のうち少なくとも1つに対して辺が接するウインドウであればよく、例えば、角筒の4面31~34に対して4辺が接する矩形形状より小さい矩形形状のウインドウ52を表示するようにしてもよい。
【0032】
また、角筒の4面31~34に対して4辺が接する矩形形状より大きい矩形形状のウインドウ52を表示するようにしてもよい。この場合、3次元空間30の内側の範囲内に収まるようにウインドウ52を表示するようにしてもよいし、3次元空間30の内側から外側にまたがる領域にウインドウ52を表示するようにしてもよい。
【0033】
また、ウインドウ52の形状は矩形形状に限らず、その他の形状であってもよい。また、ウインドウ52の数は1つに限らず、複数であってもよい。
【0034】
また、図4では、3次元空間30の時間軸上においてポインタ画像51によって指定された時点の位置にウインドウ52を表示する例を示したが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、3次元空間30の画像の外側の領域にウインドウ52を表示し、ポインタ画像51によって指定された時点の位置からウインドウ52までを引き出し線54によって接続するようにしてもよい。この場合、この引き出し線54により、3次元空間30の時間軸において指定された時点が識別可能に表示される。
【0035】
図6は、以上のように構成した本実施形態による時系列情報表示装置10の動作例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、時系列情報表示プログラムが起動されたときに開始する。
【0036】
時系列情報表示プログラムが起動されると、まず空間表示部11は、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛り41~43を時間軸に沿って付与してなる3次元空間30の画像を表示画面100に表示する(ステップS1)。次に、時点指定部13は、3次元空間30の時間軸において任意の時点がポインタ画像51の位置により指定されたか否かを判定する(ステップS2)。任意の時点が指定されていない場合は、ステップS2の処理が繰り返される。
【0037】
一方、時間軸上の任意の時点が指定されたと時点指定部13により判定された場合、時系列情報表示部12は、指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を時系列情報記憶部20から取得する(ステップS3)。そして、時系列情報表示部12は、表示画面100の中の所定位置にウインドウ52を表示し、時系列情報記憶部20から取得した時系列情報をウインドウ52に表示する(ステップS4)。
【0038】
その後、時系列情報表示装置10は、時系列情報表示プログラムの動作を終了する操作が行われたか否かを判定する(ステップS5)。当該終了操作が行われていない場合、処理はステップS2に戻る。一方、当該終了操作が行われた場合、図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0039】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとり、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛り41~43を時間軸に沿って付与してなる3次元空間30の画像を表示し、当該3次元空間30の時間軸において指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を表示するようにしている。ここで、複数種類の目盛り41~43の時間軸に対する付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど時間軸の奥行き方向の奥側の位置に設定している。
【0040】
このように構成した本実施形態によれば、画面のスクロールや切り替えを行うことなく時系列情報を提供することができ、その際、時間軸の手前側においても奥側においても目盛り41~43の間隔が細かくなり過ぎて視認性や指定の操作性が悪くなってしまうことを回避することができる。また、本実施形態によれば、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛り41~43が時間軸に沿って付与されているので、時間軸のどの位置を指定したときにどの大きさの時間単位の時系列情報が表示されるのかが直感的に理解しやすい状態で情報を提供することができる。以上により、本実施形態によれば、時間単位の異なる時系列情報を長い時間軸に沿って提供する際に、画面のスクロールや切り替えを行うことなく、良好な視認性を確保した状態で分かりやすく提供することができる。
【0041】
<変形例1>
なお、上記本実施形態では、3次元空間30の形状が固定である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ユーザ操作に応じて3次元空間30の形状を変形可能に構成してもよい。一例として、図7に示すように、空間表示部11は、3次元空間30の画像の表示範囲内で終端面35の位置を指定するユーザ操作を受け付けて、指定された位置に終端面35を有するように形成した角筒から成る3次元空間30の画像を表示するようにしてもよい。
【0042】
例えば、初期状態では図7(a)のような3次元空間30A(図3に示した3次元空間30と同様)の画像を表示し、その後のユーザ操作に応じて、図7(b)~(d)に示す何れかの位置に終端面35を有する3次元空間30B~30Dの画像を表示可能に構成することが考えられる。すなわち、図7(a)~図7(d)に示す4つの位置の何れかに終端面35を有する3次元空間30A~30Dの画像の何れかをユーザ操作に応じて表示可能に構成する。この場合のユーザ操作は、例えば、マウス操作またはタッチパネル操作によって終端面35をドラッグ&ドロップするような操作である。または、メニュー画面において上下左右の何れかを選択する操作であってもよい。
【0043】
終端面35を移動させて3次元空間30を変形させることを可能に構成した場合において、時系列情報表示部12は、3次元空間30A~30D内で終端面35が存在しない領域にウインドウ52を表示し、当該ウインドウ52内に時系列情報を表示するようにしてもよい。例えば、図8に示すように、3次元空間30A~30Dの画像の中心位置から一の方向に偏在した位置に配置された終端面35と、当該一の方向とは反対側の方向に存在する3次元空間30A~30Dの画像の最外郭線との間の領域(角筒の一面を形成する領域)を含む範囲にウインドウ52を表示し、当該ウインドウ52内に時系列情報を表示する。例えば、3次元空間の時間軸においてユーザにより指定された時点の位置から最外郭線の側にウインドウ52を表示する。終端面35と最外郭線との間の領域を「含む」範囲とは、最外郭線を越えて手前側の領域まで含んでもよいことを意味する。例えば、ユーザにより指定された時点の位置が最外郭線に近い位置の場合は、当該指定された時点の位置から最外郭線までの範囲が狭くなる。この場合は、最外郭線を越えて手前側の領域まで含む範囲にウインドウ52を表示することにより、時系列情報を十分に視認可能な大きさのウインドウ52を確保する。なお、ウインドウ52は表示せず、終端面35と最外郭線との間の領域(角筒の一面を形成する領域)を含む範囲に時系列情報を表示するようにしてもよい。
【0044】
この場合において、時系列情報表示部12は、終端面35が指定された位置に応じて、終端面35が存在しない領域に表示する時系列情報の種類を変えるようにしてもよい。例えば、図8(a)のように終端面35が上寄りの位置に配置された3次元空間30Aを表示する場合、終端面35よりも下寄りの領域に表示される時系列情報は、例えば土壌雨量の予想情報など、地面に近い場所で起こる事象に関連する情報とする。また、図8(b)または(c)のように終端面35が左寄りまたは右寄りの位置に配置された3次元空間30B,30Cを表示する場合、終端面35よりも右寄りまたは左寄りの領域に表示される時系列情報は、例えば河川の水位や高波、洪水の予想情報など、水関連の事象に関連する情報とする。また、図8(d)のように終端面35が下寄りの位置に配置された3次元空間30Dを表示する場合、終端面35よりも上寄りの領域に表示される時系列情報は、例えば空模様の予想情報など、空で起こる事象に関連する情報とする。
【0045】
このようにすれば、指定された時点に対応する時間単位の時系列情報が複数種類の多くの情報を含んでいる場合に、終端面35の指定位置ごとに表示される異なるウインドウ52に複数種類の情報を分けて表示することができる。これにより、複数種類の情報を全て1つのウインドウ52に表示する場合に比べて、各種の情報を大きく分かりやすく表示することができる。
【0046】
また、終端面35を所望の位置に移動させることにより、ユーザが希望する種類の情報のみを選んで表示させることができる。この場合、終端面35の指定位置に応じて、例えば終端面35より上側の領域には空で起こる事象に関連する情報が表示され、終端面35より下側の領域には地面に近い場所で起こる事象に関連する情報が表示されるといったように、表示させる情報の種類と表示位置との間に関連性を持たせることができ、どの位置に終端面35を移動させるとどの種類の情報が表示されるのかをユーザが直感的に理解しやすくすることができる。
【0047】
なお、図8のようなウインドウ52の設定方法は、終端面35の位置が図3の位置に固定されている場合に適用してもよい。
【0048】
<変形例2>
また、時系列情報表示部12は、時系列情報が方位に関連する情報を含む場合に、表示画面100のどの方向がどの方位であるかを示す方位情報を表示するとともに、当該方位情報に合わせて、時系列情報の方位に関連する情報に対応する図形を表示するようにしてもよい。方位に関連する情報とは、例えば風向き、台風や線状降水帯などの進行方向などの情報である。方位に関連する情報に対応する図形とは、例えば矢印などである。また、方位に関連する情報に対応する図形として、時系列情報を表す図形(例えば、風向きの場合に雲の図形など)を用い、この図形を方位を表す方向に動かすといったアニメーション表示を行うようにしてもよい。
【0049】
図9は、方位に関連する情報を含む表示画面100の一例を示す図である。図9は、表示画面100内の上下左右の周辺領域に余白を残したほぼ全域に3次元空間30の画像が表示され、下辺側を除く3方向の余白部分に東西南北の方位情報が表示されている。また、下辺側の余白部分に、時系列情報の方位に関連する情報に対応する図形として矢印91が表示されている。この矢印91は、西から東に向かう矢印となっている。これは、例えば時系列情報が風向きに関連する情報を含んでいる場合に、西よりの風であることを示している。
【0050】
本実施形態では、2次元空間の横軸または縦軸の何れかに時間軸を設定する形態ではなく、3次元空間30の奥行方向に時間軸を設定しているので、図9のように横方向に表示された矢印91が時間の経過を意味しているとの誤解をユーザに与える心配はない。これにより、時系列情報と共に方位の情報をユーザに分かりやすく提供することができる。
【0051】
なお、表示画面100に表示する東西南北の方位情報は、固定の位置に同じ方位情報が表示される状態としてもよいし、時系列情報表示装置10がスマートフォンやタブレット等の携帯端末に搭載される場合には当該携帯端末が備える方位センサにより検出される方位に合わせて動的に変わる状態としてもよい。前者の場合は、表示画面100の上辺側の余白が常に「北」の表示となるように東西南北の方位情報を表示する。後者の場合は、方位センサにより検出された方位の情報が表示画面100の上辺側の余白に配置されるように東西南北の方位情報を表示する。
【0052】
時系列情報表示装置10が携帯端末に搭載される場合に、時系列情報表示部12は、図10に示すように、携帯端末が存在する位置の周囲環境を含むクロスリアリティ画像(以下、XR画像という)によって時系列情報を表示するようにしてもよい。ここで、時系列情報表示部12は、携帯端末が存在する位置を含む所定範囲のエリアに関する時系列情報をXR画像によって表示する。図10は、携帯端末が備えるカメラで撮影した周辺画像と、時系列情報(図10の例では、時系列情報を表す図形が方位を表す方向に徐々に移動するアニメーション表示)とを含む拡張現実画像(AR画像)をウインドウ52内に表示する例を示している。
【0053】
<変形例3>
上記変形例2では、図10に示すように、時系列情報が方位に関連する情報を含んでいる場合において、当該方位に関連する情報を含む時系列情報をウインドウ52内にAR画像によって表示する例について説明した。これに対し、時系列情報が方位に関連する情報を含んでいない場合においても、時系列情報をAR画像によって表示するようにしてもよい。すなわち、図4図5または図8に示すウインドウ52内に、時系列情報を含んだAR画像を表示するようにしてもよい。また、AR画像に代えて、仮想現実画像(VR画像)または複合現実画像(MR画像)を表示するようにしてもよい。これは変形例2も同様である。
【0054】
さらに、図11に示すように、時系列情報表示部12は、ユーザのアバター55を含めてXR画像を表示してもよい。時系列情報が気象情報や自然災害情報の場合、当該時系列情報は、携帯端末が存在する位置の周囲環境に形として現れる現象に関する情報と言える。ユーザのアバター55を含めてXR画像を表示する場合、時系列情報で示される現象の影響を受けた状態が表現されたアバター55を表示するようにしてもよい。例えば、図11に示すように時系列情報が降雨を示している場合に、雨に濡れている状態のアバター55を表示する。
【0055】
このようにすると、ユーザが時間軸において指定した時点で周囲環境に生じている現象の影響を受けている自分の様子をアバター55の表示によってイメージすることができる。なお、図12に示すように周囲環境の画像をユーザ操作に応じて任意にズーミングできるようにし、それに合わせてアバター55の存在位置や大きさを変えて表示するようにしてもよい。
【0056】
<変形例4>
XR画像を表示する場合において、時系列情報表示部12は、時系列情報の表示を次のように行ってもよい。すなわち、時系列情報表示部12は、図13に示すように、3次元空間の時間軸において任意の時点が指定されていないときに、複数の時点の位置に複数のウインドウ52-1,52-2,・・・,52-nを設定し、当該複数の時点に対応する複数の時系列情報を、それぞれ透明度を0パーセントより大きく且つ100パーセントより小さく設定したXR画像によって各ウインドウ52-1,52-2,・・・,52-nに表示する。
【0057】
図13では、3次元空間30に設定されている全ての目盛り41~43のそれぞれごとにウインドウ52-1,52-2,・・・,52-nを設定している。なお、一部の目盛りに対して複数のウインドウ52を設定するようにしてもよい。例えば、第1の目盛り41、第2の目盛り42および第3の目盛り43についてそれぞれ1つずつウインドウ52-1,52-2,52-3を設定するようにしてもよい。
【0058】
各ウインドウ52-1,52-2,・・・,52-nに表示するXR画像の透明度は、最も手前のウインドウ52-1から最も奥のウインドウ52-nまでXR画像が透けて見える状態に設定する。このようにすることにより、複数の時点に対応する複数の時系列情報を、ユーザが任意の時点を指定する前からある程度把握することができるようになる。
【0059】
その後、3次元空間の時間軸においてユーザにより任意の時点が指定されたときに、時系列情報表示部12は、当該指定された時点の位置より手前のウインドウ52の表示を消去する。例えば、時間軸において手前から5番目の時点が指定された場合、時系列情報表示部12は、1番目から4番目までのウインドウ52-1~52-4の表示を消去する。このようにすれば、指定された時点の位置に対応するウインドウ52-5のXR画像を鮮明に表示させることができる。
【0060】
このとき、ウインドウ52-5のXR画像の透明度を0パーセントに変えてもよい。このようにすれば、指定された時点よりも奥側のウインドウ52-6~52-nのXR画像が透けて見えることがなくなるので、指定された時点の位置に対応するウインドウ52-5のXR画像をより鮮明に視認しやすく表示させることができる。
【0061】
なお、指定された時点の位置より手前のウインドウの表示を消去することに代えて、当該手前のウインドウのXR画像の透明度を100パーセントにするようにしてもよい。また、指定された時点の位置より手前のウインドウに加えて、指定された時点の位置より奥のウインドウについても表示を消去し、またはXR画像の透明度を100パーセントにするようにしてもよい。
【0062】
<変形例5>
時系列情報表示装置10が携帯端末に搭載される場合において、時系列情報表示部12は、携帯端末が存在する位置を含む所定範囲の現在エリアに関する時系列情報と、現在エリアの周囲における所定範囲の周囲エリアに関する時系列情報とをユーザによる操作に基づいて選択的に表示するようにしてもよい。この変形例5は、上記実施形態および変形例1~4の何れにも適用することが可能である。特に、時系列情報をXR画像によって表示する場合に有用である。
【0063】
図14は、現在エリアおよび周囲エリアの一例を示す図である。図14において、斜線を付した矩形領域が、携帯端末が存在する位置を含む所定範囲の現在エリア141である。所定範囲の矩形領域は、例えば250メートル四方のメッシュ領域である。図14において、斜線を付していない8つ矩形領域が周囲エリア142であり、現在エリア141を中心として複数の方向に設定されている。
【0064】
図14の例では、現在エリア141およびその周囲の8個の周囲エリア142を含めて、全部で9個のエリアの時系列情報を選択的に表示することが可能である。どのエリアの時系列情報を表示するかの選択方法は任意である。例えば、ユーザによる所定の操作に応じて、現在エリア141または周囲エリア142の何れかを選択するとともに、周囲エリア142を選択した場合は更に8方向の中から何れかを選択する。
【0065】
現在エリア141または周囲エリア142の何れか選択する方法の一例として、携帯端末が備える加速度センサによる検出値を利用して、携帯端末が傾けられている方向に応じて選択を行うようにすることが可能である。例えば、携帯端末の表示画面100の上辺側が地面方向に傾けられていることが検知された場合に現在エリア141を選択し、上辺側が上空方向に傾けられていることが検知された場合に周囲エリア142を選択する。
【0066】
別の方法として、図15に示すように、XR画像が表示されているウインドウ52に上側領域151(遠方側の領域)と下側領域152(近方側の領域)とを設定し、上側領域151がタッチ操作されたことが検知された場合に周囲エリア142を選択し、下側領域152がタッチ操作されたことが検知された場合に現在エリア141を選択するようにしてもよい。
【0067】
また、8方向の周囲エリア142の中から何れかを選択する方法の一例として、携帯端末が備える方位センサにより検出される方位(携帯端末が向いている方向)の周囲エリアを選択するようにすることが可能である。別の方法として、8方向の中から何れかを選択可能なユーザインタフェースを表示画面100に表示させ、当該ユーザインタフェースに対する操作によって何れかの方向の周囲エリア142を選択するようにしてもよい。
【0068】
なお、現在エリア141または周囲エリア142の何れかの選択と、周囲エリア142の方向の選択とを分けて行う方法に限定されるものではない。例えば、9個のエリアの中から何れかを選択可能なユーザインタフェースを表示画面100に表示させ、当該ユーザインタフェースに対する操作によって何れかのエリアを選択するようにしてもよい。
【0069】
<変形例6>
上記実施形態では、図3に示したように、第1の目盛り41が付与される範囲401と第2の目盛り42が付与される範囲402とで重複範囲が存在し、第2の目盛り42が付与される範囲402と第3の目盛り43が付与される範囲403とで重複範囲が存在する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図16に示すように、最も短い時間単位に対応する第1の目盛り41を奥行き方向の最も手前の範囲401’に付与し、最も長い時間単位に対応する第3の目盛り43を奥行き方向の最も奥の範囲403’に付与するようにして、重複のない複数の範囲401’~403’に対して複数種類の目盛り41~43を分けて付与するようにしてもよい。
【0070】
この変形例6は、時系列情報記憶部20に記憶される時系列情報が図17のように構成されている場合に用いて好適である。図17に示す例において、時系列情報記憶部20には、現在時刻から時間(T1×1)後の予想情報、現在時刻から時間(T1×2)後の予想情報、・・・現在時刻から時間(T1×j+T2×1)後の予想情報、現在時刻から時間(T1×j+T2×2)後の予想情報、・・・現在時刻から時間(T1×j+T2×k+T3×1)後の予想情報、・・・現在時刻から時間(T1×j+T2×k+T3×m)後の予想情報がそれぞれ時系列情報として記憶されている。
【0071】
図2に示した時系列情報に対応して図3のような3次元空間30の画像を表示する場合、3種類の目盛り41~43の縮尺は何れも同じにして基準を統一する必要がある。3種類の目盛り41~43を表示する範囲401~403に重複領域が存在するからである。これに対し、図17に示した時系列情報に対応して図16のような3次元空間30’の画像を表示する場合、3種類の目盛り41~43の縮尺は必ずしも同じにして基準を統一することを要しない。
【0072】
これにより、図16に示しているように、3次元空間30’の奥側の範囲402’,403’に表示する目盛り42,43をそれぞれ視認しやすい縮尺に調整することが可能である。このため、時間単位の異なる時系列情報をかなり長い時間軸に沿って提供する場合であっても、時間軸の奥側の範囲402’,403’に配置される目盛り42,43をそれぞれ視認および指定操作しやすい状態で表示することが可能となる。
【0073】
<その他の変形例>
上記実施形態では、3次元空間30を角筒形状とする例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上面34が存在しない形状としてもよい。また、上面34と、左側面32または右側面33の何れか一方とが存在しない形状としてもよい。また、底面31、左側面32または右側面33の何れか1つの面のみが存在する形状としてもよい。また、円筒形状としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、時系列情報の一例として現在から未来の予想情報を表示する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、現在から過去の時系列情報を遡って表示するようにしてもよい。また、過去から未来の時系列情報を表示するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、時系列情報の例として気象情報や自然災害情報を挙げたが、これに限定されない。例えば、自然災害に対する防災情報(時系列の対策情報)などであってもよい。図4では、避難に関する情報や、2次災害の回避に関する情報などを情報表示領域53に表示するようにしたが、これらの情報を時系列情報としてウインドウ52に表示するようにしてもよい。
【0076】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 時系列情報表示装置
11 空間表示部
12 時系列情報表示部
13 時点指定部
30,30’ 3次元空間の画像
41 第1の目盛り
42 第2の目盛り
43 第3の目盛り
51 ポインタ画像
52 ウインドウ
55 アバター
【要約】
遠近法を用いて奥行き方向に時間軸をとり、時間単位の大きさごとに異なる複数種類の目盛り41~43を付与してなる3次元空間30の画像を表示する空間表示部11と、時間軸上で指定された時点に対応する時間単位の時系列情報を表示する時系列情報表示部12とを備え、目盛り41~43の付与開始位置を、小さな時間単位の目盛りほど手前側に設定し、大きな時間単位の目盛りほど奥側に設定することにより、時間軸の手前側においても奥側においても目盛りの間隔が細かくなり過ぎて視認性や指定の操作性が悪くなることを回避するとともに、時間軸のどの位置を指定したときにどの大きさの時間単位の時系列情報が表示されるのかを直感的に理解しやすくなるようにする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17