(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】電気式トルク・モータ・プレス
(51)【国際特許分類】
B30B 1/28 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
B30B1/28
(21)【出願番号】P 2020546375
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2019055250
(87)【国際公開番号】W WO2019170571
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-25
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520335370
【氏名又は名称】アルコフィル ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボウマン、イブ
(72)【発明者】
【氏名】デューベル、ミカエル
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102009055739(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 正規直交マーカXYZにおいて前記マーカのXZ平面に一致する上方ワーク平面P1を確定するワーク・テーブル(5)であって、形成されるべき1つ又は複数のサンプルが前記上方ワーク平面P1において1つ又は複数の所定の位置に配置され得る、ワーク・テーブル(5)と、
- 前記テーブル(5)の前記加工平面上に配置された前記サンプルから材料を変形させ且つ/又は切断することにより工作物を形成するためのデバイス(3)であって、前記テーブルの前記加工平面P1に直角をなし且つ交差する平面P2において並進的に移動可能であるように配置された形成ツール(35)を含む、工作物を形成するためのデバイス(3)と、
- 前記加工平面P1に対して所定の位置に固定されたフレーム(2)上で支持される、前記形成デバイス(3)を作動させるための電気機械式作動デバイス(4)であって、前記形成ツール(35)を前記平面P2において所与のストロークにわたって前後に移動させるために、前記形成デバイス(3)との運動力学的な接続において配置される、電気機械式作動デバイス(4)と、
を備える、サンプルから材料を変形させ且つ/又は切断することにより工作物を形成するための電気機械式プレス(1)であって、
前記電気機械式作動デバイス(4)が、前記形成デバイス(3)との運動力学的な接続において配置された偏心軸(43d、43g)を含む少なくとも1つのトルク型電気モータ(41)を備え、前記電気機械式作動デバイス(4)が、前記形成デバイスの運動の前記平面P2を横切る位置において前記フレーム(2)上で支持され、且つ、前記ワーク平面P1の下方で床面上の前記フレームのベース(23)と前記ワーク・テーブル(5)との間に配置され、一方で、前記形成ツール(35)が、前記ワーク・テーブル(5)の前記ワーク平面P1内又はその上方の任意の位置に保持され、前記ワーク・テーブルが、前記フレーム(2)と一体であることを特徴とする、電気機械式プレス(1)。
【請求項2】
前記電気機械式作動デバイス(4)が、前記トルク・モータ(41)の前記偏心シャフトの第1の端部において回転的に取り付けられ、また第2の端部において前記形成デバイス(3)に回転的に取り付けられた、少なくとも1つの連接棒(44d、44g)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項3】
前記フレーム(2)が、前記電気機械式作動デバイス(4)が前記フレームに取り付けられるように、前記ワーク・テーブル(5)及び前記係止ベース(23)に一体的に固定された仕切り壁(25)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項4】
前記形成デバイス(3)が、前記平面P2において並進的に移動可能であるように前記ワーク・テーブル(5)に取り付けられる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項5】
前記電気機械式作動デバイス(4)が、連接棒(44d、44g)にそれぞれ接続される2つの対向する偏心シャフト(43d、43g)を備える前記トルク型の電気モータ(41)を含み、前記連接棒(44d、44g)が、第1の端部において前記トルク・モータ(41)の前記偏心シャフト(43d、43g)に回転的に取り付けられ、且つ、第2の端部において前記形成デバイス(3)に取り付けられることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項6】
前記形成デバイス(3)が、前記テーブル(5)上で摺動するガントリを備え、前記ガントリが、そのそれぞれの端部においてリンク・アーム(32d、32g)の第1の端部と一体である、前記形成ツール(35)を取り付けるためのクロス・メンバ(31)を含み、前記リンク・アーム(32d、32g)が、第2の端部において、回転するように前記電気機械式作動デバイス(4)の前記連接棒(44d、44g)に取り付けられることを特徴とする、請求項5に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項7】
前記形成デバイス(3)を前記ワーク・テーブル(5)上で前記平面P2において並進的に案内するための、具体的にはスライド型の部材(8)を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項8】
前記並進案内部材(8)が、一方では前記摺動ガントリの前記アーム(32d、32g)上に配置され、且つ、この目的のために前記平面P2に関して対称的に前記テーブル(5)に形成された前記アームを案内するための側方開口部(51)内に配置されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項9】
前記平面P2における前記ワーク・テーブル(5)からの前記可動クロスヘッド(31)の距離を動的に変位させ且つ調節するための手段を備えることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項10】
前記電気機械式作動デバイス(4)が、前記ワーク・テーブル(5)に対してY軸に平行なV軸に沿って変位可能に前記フレーム(2)上に配置されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項11】
前記作動デバイス(4)が、相補的な直線状案内部材(7)により前記フレーム(2)に摺動可能に取り付けられ、前記直線状案内部材(7)が、前記作動デバイス(4)及び前記フレーム(2)に固定され、且つ、前記ワーク・テーブル(5)に対する前記V軸に沿った並進的な直線状変位のためのモータ・ユニット(6)に運動力学的に接続されることを特徴とする、請求項10に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項12】
前記モータ組立体(6)が、ウォームねじと一体の液圧式ジャッキ又ははずみ車ジャッキを含むことを特徴とする、請求項11に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項13】
前記作動デバイス(4)のための数値制御デバイスをさらに備えることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項14】
前記数値制御デバイスが、前記直線状変位モータ組立体(6)を駆動するように構成されることを特徴とする、請求項11又は12に従属する請求項13に記載の電気機械式プレス(1)。
【請求項15】
前記作動デバイス(4)が、電気的に直列に取り付けられ且つそれらのそれぞれの駆動シャフトにおいて互いに運動力学的に結合された前記トルク型の複数の電気モータ(41)を含むことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか一項に記載の電気機械式プレス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工機の分野に関し、より詳細には、トルク・モータを含む電気機械式プレスに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧式、空気圧式、及び機械式のプレスの多くの変形形態が、材料、特に金属の形成及び成形の分野において長く知られてきた。これらのプレスは、具体的には、トン(T)で表わされるその力、その生産性、ツーリング及び用途(打抜き加工、切断、打抜き加工、等)に関するその多用途性によって異なる。機械式プレスの大半は、クランク棒型の作動デバイスの使用に基づくものであり、この作動デバイスは、ツールを、ツール及びツールの作動デバイスの下方に位置するワーク表面に向かって制御されたリズムで上から下まで直線的に往復させる。さらに、既存の液圧式、空気圧式、及び機械式のプレスのほぼ全ては、ワーク表面よりも高いところに位置するモータ/アクチュエータ組立体を有し、これは、実装の難しさ及び費用、並びにそれらの設備のメンテナンス及び修理は言うまでもなく、相当な設置寸法、安全性、及び係留制約を必要とする。
【0003】
高いツール打撃力を必要としない、小寸法(ミリメートル又はセンチメートル)の少部品連に対しては、ジャッキを含む電気機械式プレスが提案されてきた。これらのプレスは、より優れた使い易さ、容易なツール交換を提供し、且つ、それらのプレスを一般により多用途にする数値制御によって自動化され得る。しかし、ジャッキのサイズに関係するそれらの垂直寸法は、一般に非常に大きいままである(1m以上)。加えて、それらの打撃速度は、制限されたままである。
【0004】
したがって、優れた多用途性を提供すると同時に知られた機械式プレスに類似した動作速度をも提供するために、数値制御及び自動ツール交換機との組み合わせによって制御され得るコンパクトなプレス技術を提供することが必要である。
【0005】
電気機械式プレスのサイズ及び使い易さに加えて、それらがどのような動作状態にあってもユーザに対する完全な安全性を確保すること、並びに打撃サイクル中であろうと急停止が起きた場合であろうと設定及び操作に関して優れた融通性及び反応性を確保することもまた、不可避である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、これらの要求を満たす電気機械式プレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、請求項1に記載の電気機械式プレスに関する。より詳細には、本発明のプレスは、サンプルから材料を変形させ且つ/又は切断することにより部品を形成するためのものとされ、且つ、
- 正規直交マーカXYZにおいてマーカのXZ平面に一致するワーク平面P1を確定するワーク・テーブルであって、形成されるべき1つ又は複数のサンプルが1つ又は複数の所定の位置に配置され得る、ワーク・テーブルと、
- 前述のテーブルの加工平面上に配置された前述のサンプルから材料を変形させ且つ/又は切断することにより工作物を形成するためのデバイスであって、テーブルの加工平面P1に直角をなし且つ交差する平面P2において並進的に移動可能であるように配置された形成ツールを含む、工作物を形成するためのデバイスと、
- 加工平面P1に対して所定の位置に固定されたフレーム上で支持される、形成デバイスを作動させるための電気機械式作動デバイスであって、前述の形成ツールを平面P2において所与のストロークにわたって前後に移動させるために、形成デバイスとの運動力学的な接続において配置される、電気機械式作動デバイスと、
を備える。
【0008】
本発明のプレスは、電気機械式作動デバイスが、形成デバイスとの運動力学的な接続において配置された偏心軸を含む少なくとも1つのトルク型電気モータを備え、電気機械式作動デバイスが、形成デバイスの運動の平面P2を横切る位置においてフレーム上で支持され、且つ、ワーク平面P1の下方で床面上のフレームのベースとワーク・テーブルとの間に配置され、一方で、形成ツールが、ワーク・テーブルのワーク平面P1内又はその上方の任意の位置に保持され、ワーク・テーブルが、フレームと一体であることを、特徴とする。
【0009】
したがって、本発明のプレスは、ワーク・テーブルの下方且つ加工ツールの運動の平面における作動デバイスのまたより詳細にはそのトルク・モータの統合された実質的に中央の配置により、よりコンパクト且つ安定した構造を提供する。
【0010】
加えて、トルク・モータの使用は、本発明のプレスに、比類なき多用途性及び動作の融通性を与える。トルク・モータの使用は、歯車箱を伴わずに、高トルク及び高反応性を伴う形成デバイスの直接駆動を可能にする。加えて、トルク・モータの使用は、以下でより詳細に説明される他の利点を有する。
【0011】
本発明によれば、好ましくは、フレームは、電気機械式作動デバイスがフレームに取り付けられるように、ワーク・テーブル及び係止ベースに一体的に固定された仕切り壁を含む。これらの仕切り壁は、フレームが遙かに堅く且つ重く作られることを可能にし、したがって、プレスの共鳴振動数を高め、動作中にプレスが移動すること及び跳ねることを回避し、且つ、プレスのK安全係数(K safety factor)を著しく高める。したがって、本発明のプレスでは、床面上での側方変位は、0.01mm未満であることが測定され、また、K=1000の最大Von Mise応力(安全係数)が測定された。
【0012】
仕切り壁はまた、有利には、作動デバイスの動作騒音を吸収しまたフレームの振動を少なくとも部分的に吸収するために、内部の遮音ライニングを備える。
【0013】
実施例にもよるが、電気機械式作動デバイスは、第1の端部においてトルク・モータの偏心シャフトに回転可能に取り付けられ、且つ、第2の端部において形成デバイスに回転可能に取り付けられた、少なくとも1つの連接棒を有する。
【0014】
特別な実施例では、トルク型の電気モータは、それぞれが連接棒に接続された2つの対向する偏心シャフトを備え、連接棒は、第1の端部においてトルク・モータの前述のシャフトに回転可能に取り付けられ、第2の端部において形成デバイスに回転可能に取り付けられる。
【0015】
さらなる利点によれば、形成デバイスは、平面P2において並進的に移動され得るように、前述のワーク・テーブルに取り付けられる。
【0016】
形成デバイスは、前述のテーブル上で摺動するガントリを備えることが好ましく、前述のガントリは、そのそれぞれの端部においてリンク・アームの第1の端部と一体である、形成ツールを取り付けるためのクロス・メンバを含み、リンク・アームは、第2の端部において電気機械式作動デバイスの前述の連接棒に取り付けられる。
【0017】
プレスは、有利には、ワーク・テーブル上の平面P2における形成デバイスのために、特にスライド型のものである並進ガイドを有して設計される。
【0018】
具体的には、並進ガイド部材は、一方では摺動ガントリのアーム上に配置され、且つ、この目的のためにテーブル内で平面P2に対して対称的に形成された前述のアームの側方案内開口部内に配置される。
【0019】
なおも有利には、本発明のプレスは、P2平面における可動クロスヘッドからワーク・テーブルまでの距離を移動させ且つ動的に調節するための手段を備える。これらの移動及び調節の手段は、クロスヘッドに取り付けられた形成ツールの下死点を調節するための台形ねじを含み得る。加えて、これは、日中の膨張及びツールの摩耗に対する補償を可能にする。
【0020】
本発明の有利な特徴は、フレーム上のワーク・テーブルに対してY軸に沿って並進的に移動可能であるように作動デバイスが配置されることである。具体的には、作動デバイスは、相補的な直線状案内部材によりフレームに摺動可能に取り付けられ、この直線状案内部材は、作動デバイス及びフレーム上に固定され、且つ、ワーク・テーブルに対するY軸に沿った並進的な直線状変位のためのモータ・ユニットに運動力学的に接続される。
【0021】
このプレス駆動部の摺動取り付けは、優れた多用途性及びプレス調節の容易さを提供するのに、特に有利である。作動デバイスを移動させることにより、それは、作動デバイスだけでなく、Y軸に沿って動かされる連接棒の高さにおいて作動デバイスに運動力学的に連結された形成デバイスもそうであり、したがって、それは、プレスの基準平面P1を画定するワーク・テーブルに対して所定の位置において調節される。
【0022】
特別な実例として、機関組立体は、ウォーム歯車と一体の液圧式ピストン又ははずみ車ピストンを含み得る。
【0023】
本発明の電気機械式プレスは、さらに好ましくは、作動デバイスのための数値制御デバイスを備える。この数値制御デバイスは、例えば、具体的には形成ツールの正確な打撃速度を保証するために、作動デバイスのトルク・モータの動作をリアルタイムで調整するように特に構成される。有利には、数値制御デバイスはまた、アクチュエータの直線運動モータ組立体を駆動するように構成される。したがって、自動的な方法で1つの系列から別の系列に切り替わるようにプレスの構成を変更することが可能であり、すると、オペレータ、又はプレスに関連付けられたロボット化された組立体は、調節中のマスク時間(masked time)において形成デバイス上の形成ツールを交換するだけでよい。
【0024】
本発明のプレスはまた、電気的に直列に取り付けられ且つそれらのそれぞれの駆動シャフトにおいて互いに運動力学的に結合された複数のトルク型電気モータを作動デバイスにおいて組み合わせることによりプレスの力を変化させるように提供された可能性により、さらに拡張可能な構成を提供することができる。
【0025】
本発明によるプレスの固有の特性及び詳細は、添付の図面を参照しながら以下の説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の好ましい実施例による電気機械式プレスの斜視図である。
【
図2】
図1に示されたプレスの中央サジタルP2平面による断面図である。
【
図3】
図1に示されたプレスの中央横断P3平面による断面図である。
【
図4】第2の好ましい実施例のための代替的な実施例の、
図1に類似した図である。
【
図5】
図4の第2の実施例による本発明のプレスの、
図2に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、
図1から3における第1の好ましい実施例において表わされ、また第2の好ましい実施例では
図4及び5に表わされた、サンプルから材料を変形させ且つ/又は切断することによって工作物を形成するための電気機械式プレス1に関する。
【0028】
示された2つの実施例のどちらにおいても、プレス1は、まず、フレーム2を備え、このフレーム2上には、工作物形成デバイス3の電気機械式作動デバイス4が、プレス1の垂直平面P2において並進往復運動するように取り付けられる。形成デバイス3は、形成デバイス3に取り付けられた形成ツール35がワーク・テーブル5に対して前後に移動されるように、以下で説明される形態での作動デバイス4との運動力学的な接続において配置され、ワーク・テーブル5は、フレーム2に固定され、且つ、フレーム2上で動かない。形成ツール35は、例えば切断、打抜き加工、又は再加工などの行われるべき形成作業に応じて、様々なタイプのものとされ得る。
【0029】
ワーク・テーブル5は、正規直交マーカXYZにおける水平加工平面P1を確定し、この水平加工平面P1は、マーカのXZ平面に一致し、この水平加工平面P1上では、形成ツール35の衝撃によって形成されるべき1つ又は複数のサンプルが、プレスのための慣例的な態様で画定された1つ又は複数の位置に配置され得る。ワーク・テーブル5は、形成ツールの各ストロークによって除去されるべき打抜き加工屑のための空間を提供するために、ワーク・ツール35の中央に開口部を有することが好ましい。形成デバイス3が移動される垂直平面P2は、テーブル5の加工平面P1に直角をなし且つ交差する。
【0030】
フレーム2は、金属又はコンクリートで作られた、重みをつけられたベース・プレート23よりなり、その下には、調節可能な足22が固定される。
図1から3の第1の実施例では、例えば鉄骨で作られた4つの柱21が、ボルト留め及び/又は溶接及び/又は埋込みなどの任意の適切な手段により、ベース・プレートに係止される。これらの柱21は、それらの上端部においてワーク・テーブル5を支持し、ワーク・テーブル5は、柱21にしっかりと係止される。図示されていない代替的な実施例では、フレーム2及びワーク・テーブル5は、典型的には金属製で、一体に形成され得る。
【0031】
ベース・プレート上の柱21、及び柱21上のテーブル5を安定させるために、一方では柱21のそれぞれとプレート23との間の角部に、また他方では柱21とテーブル5との間の角部に、補強ブラケット24が取り付けられる。これにより、堅固且つ安定したフレーム2がもたらされ、このフレーム2上に電気機械式作動デバイス4が設置され、また、以下で説明されるように、電気機械式作動デバイス4により、形成デバイス3がこのフレーム2に対して移動される。
【0032】
図4及び5の実施例では、柱21は、好ましくはスチール又はアルミニウム合金鍛造物で作られた、4つの仕切り及び補剛用壁25に置き換えられ、これらの壁25は、ボルト留め及び/又は溶接及び/又は埋込みなどの任意の適切な手段により、ベース23及びワーク・テーブル5に係止されている。壁25は、電気機械式作動デバイス4がフレーム2に完全に納められることを可能にし、且つ、
図1から3において使用された方法と比較してフレーム2の剛性を向上させる。実際には、壁25は、それらの長手方向縁部に窪みが付けられるように成形され、それにより、プレス1の動作サイクル中のベース23に対するワーク・テーブル5のねじれのいかなる影響をも排除するか又は少なくとも大幅に減少させることが可能になり、また、振動を大幅に減少させることが可能になる。
【0033】
さらに、仕切り壁及び補剛部25を含むこの第2の実施例は、
図1から3の実施例と比較してプレスの固有共振周波数を倍にするとともに動作中の地面上での動きを10倍以上減少させることを、有利に可能にする。最後に、Von Miseの制約によって制限されるプレスの安全係数Kは、Kmax=1000のかなりの値において、最大限に高められる。
【0034】
壁25は、遮音及び防振用の表面仕上げ層によりサンドイッチの形態でさらに被覆されるか、又は金属シート構造に一体化される。そのようなクラッディングは、特に天然及び/若しくは合成の圧縮繊維又は熱成形合成フォームをベースとする、任意の適切な耐火絶縁材で作られ得る。したがって、プレス作業中の騒音公害の吸収が強化されることにより、生産現場でのオペレータの安全性及び快適さが向上される。
【0035】
当然ながら、例えば仕切り壁25を
図1から3のプレス1の柱21、テーブル5、及びベース23に取り付けることによる、
図1から3及び
図4から5の2つの構成方法の純粋な組み合わせである、示されていない別の実施例が考えられ得る。
【0036】
本発明によれば、電気機械式作動デバイス4は、有利には、ベース・プレート23とテーブル5との間の中間位置において、即ち、形成デバイス3の移動の平面における中央位置において、また理想的には加工平面P1より下に配置された形成ツールのV軸上で、フレーム2に取り付けられる。加えて、形成デバイス3は、形成ツール35がワーク・テーブル5のワーク表面P1内又はワーク表面P1上の任意の位置において保持されるように、作動デバイスに結合される。
【0037】
より具体的には、電気機械式作動デバイス4は、トルク型電気モータ41を備え、このトルク型電気モータ41は、単一ユニットとして取り付けられ、且つ、柱21の内部凹部内に固定されたレール又はスライド7上のキャリッジ45によりフレーム2の柱21に沿って並進的に移動可能である。したがって、キャリッジ45及びガイドウェイ7は、アクチュエータ4の相補的な直線状案内要素をフレーム2上で形成する。電気機械式作動デバイス4はまた、ワーク・テーブル5に対する平面P2内に含まれた中央垂直軸Vに沿った直線並進運動のために、モータ組立体6との運動力学的な接続において配置される。したがって、電気機械式アクチュエータ4は、平面P2において高さ調節可能である。モータ・ユニット6は、有利には、フレーム2のベース・プレートのプレート23上に配置され、且つ、任意の適切な手段によりフレーム2に固定され、同様にアクチュエータ4のモータ41のモータ・ハウジング42に固定される。
【0038】
図1から3に示された特別な実施例では、モータ組立体6は、プレート23上でV軸において自由に回転可能であるようにプレート内の中央穴内に取り付けられた、押しねじ61を有する。ウォームねじ61は、駆動軸上に共軸に取り付けられたモータはずみ車62と一体で駆動軸を形成する、下方セクション611を有する。ウォームねじ61はまた、上方ねじ付きセクション612を有し、この上方ねじ付きセクション612は、はずみ車62をプレート23の穴231内に固定してねじ61のV軸に沿ったいかなる並進をも防ぐために、下方セクション611の延長線においてV軸に沿ってベル63を貫通して延在し、且つ、ねじ61のねじ付きセクションの外径に実質的に等しい内径を有するV軸に沿っためくら孔内へ延在する。ねじ61の回転方向に従ったねじ61による平面P2におけるモータ組立体4の変位を可能にするために、ねじ61は、モータ41のハウジング42上に前述のめくら孔に対して同軸性に固定されたナット64を介して、そのねじ付き部分によりモータに結合される。したがって、一方向におけるハンドホイール62の回転が、ねじ61をハンドホイール62上で同じ方向に回転させ、これはナット64における係合の作用によって、フレーム2のガイド7上のそのキャリッジ45により上方又は下方へ案内される作動デバイス4の垂直並進を誘導する。ハンドホイール62を反対方向に回転させることにより、反対方向におけるアクチュエータ4の垂直移動がもたらされる。
【0039】
はずみ車62は、有利には、工業オートメーションの分野における標準的な技法に従って、機械式、電気式、及び/又は液圧式の駆動システムによって制御され得る。この作動は、以下でより詳細に説明されるように、プレス及び電気モータ41全体の中央数値制御によって電気制御されることが好ましい。
【0040】
電気機械式アクチュエータの電気モータ41は、トルク型モータであることが好ましい。そのようなモータは、実質的に瞬間的に即ち慣性を伴わずに電子的な設定値信号によって基本的に駆動され且つ制御され得るという利点を有する。これは、所望の動作速度に非常に迅速に達することができること、又は、モータの回転、したがって関連する形成デバイス3が即時に停止され得ることを意味する。機関制御設定値を調節して機関の電子的消費(electronic consumption)を最適化することも可能である。これは、必要に応じてモータの動作制御が形成デバイス3の特定の運動力学に対して調節され得ることを意味する。
【0041】
加えて、このタイプのモータは、処理されている工作物に応じて、必要であればサイクル中の速度及びパワー/トルクの変動により、完全に電子的に制御可能である。
【0042】
加えて、このタイプのモータは、500ストローク/minの形成ツール・ストローク速度において約10°~20°の範囲内の非常に狭い停止角度による極度の動作安全性を提供するが、ハンドホイール及びブレーキを含む機械式プレスは、350ストローク/minにおいて約120°~150°の範囲内の停止角度を有する。
【0043】
最後に、トルク・モータは、例えば打抜き加工される部品の表面仕上げを向上させるために、必要であれば調節可能なピッチにより、形成デバイスがサイクル中に振動することを可能にする。したがって、これまでの他のいかなるタイプの電気機械式プレスによっても可能とされない、形成デバイス3の振動を組み込んだ部品の打抜き加工サイクルを開始することが可能であり、さらに、振動の周波数及び振幅を調節する可能性を提供することが可能である。
【0044】
モータ41は、軸受に取り付けられた2つの偏心シャフト43d、43gを備えることが好ましく、偏心シャフト43d、43gのそれぞれには、第1の玉継手(又は任意の類似の結合器)により、連接棒44d、44gの第1の端部が結合され、連接棒の第2の端部は、第2の玉継手(又は任意の類似の結合器)により、形成デバイス3に取り付けられる。当然ながら、図に示されるように、2つの偏心軸43d、43gは、プレス1の中央平面P2、P3に関して互いに正確に対称なものである。実際には、これらの2つの平面に対する偏心のほんの少しの軸方向オフセットが、プレスの動作にとって、特に形成デバイスの円滑な誘導及びモータ41の完全性にとって、重要であり得る。
【0045】
トルク・モータ41の使用はまた、特に出力を変化させるためのアクチュエータ4の構成における優れた多用途性を提供する利点を有する。具体的には、複数のトルク・モータ41を連続して組み合わせること、及び、プレスの出力を倍増するためにトルク・モータ41を軸方向に結合することが、可能である。
【0046】
形成デバイス3は、前述のワーク・テーブル5上に、又は前述のワーク・テーブル5に関して、垂直平面P2において並進的に移動可能であるように取り付けられる。形成デバイス3は、有利には、前述のテーブル5上のスライド8によって摺動するガントリを備え、前述のガントリは、ツール保持器34により形成ツール35を取り付けるための横材31を含み、前述の横材は、そのそれぞれの端部において、例えば溶接又はボルト留めにより、リンク・アーム32d、32gの第1の端部と一体であり、当業者(the man of the trade)にとって慣例的な態様で、リンク・アーム32d、32gは、第2の端部において、36d、36gピンによって横断される前述の第2の玉継手を介して、前述の36d、36gピンにより電気機械式作動デバイス4の前述の連接棒44d、44gのうちの1つに回転可能に取り付けられる。したがって、形成デバイス3は、機械加工プレスの分野では古典的である連接棒及びクランクのシステムにより、平面P2においてテーブル5上で並進的に駆動される。
【0047】
ガイド8は、好ましくは、一方では摺動門形フレームのアーム32d、32g上に配置され、且つ、この目的のために平面P2に対して対称的にテーブル5内に形成されたアームの側方案内開口部51内に配置される。有利には、可動クロスヘッド31-加工テーブル5の距離の動的変位及び調節のための手段が、下死点及びテーブル上の絶対目盛の調節並びにプレスの動作中の膨張の補償のために、形成デバイス上に設けられる。
【0048】
本発明のプレス1は、有利には、図には示されていない数値制御デバイスをさらに備える。それ自体は工作機械及び工業オートメーションの分野における職人に良く知られているこのNC制御デバイスは、NC制御に予めプログラムされるか又は社内ネットワークを介してNC制御にロードされる所望の加工サイクルに従って作動デバイス4を電子的に制御するように構成されることが好ましい。これは、例えば、プレスから特定の出力を送達するためにCNC制御がトルク・モータ41の送りパラメータ及び速度を無限に調節することを可能にする。CNC制御はまた、有利には、フレーム2上のトルク・モータ41の高さを、したがってワーク・テーブル5の平面P1に対する形成ツール35の打撃高さを、必要とされる通りに調節する前に、直線運動モータ組立体6を制御し得る。
【0049】
必要とされるのであれば、CNC制御はまた、プレス1に装填するためのまたツール保持器35上の形成ツール35を交換するための補助的なPLCと組み合わせられ得る。
【0050】
プレス1の動作そのものは、当業者には良く知られているクランク・プレスの動作によくあるものである。トルク・モータ41がオンにされると、偏心部43d、43g及びそれに結合された連接棒42d、42gの端部が回転され、その端部は、ワーク・テーブル5上で並進的に案内される形成デバイス3に、平面P2における並進往復運動を伝達し、この並進往復運動は、ワーク・ツール35を平面P1において交互に駆動させて、サンプル形成作業を行う。本発明において、サンプルとは、形成されるべき金属原料の任意の片若しくはスラグ、又は再加工されるべき予形成された部品を意味する。
【0051】
ワーク・テーブル5の下方の電気機械式作動デバイスの位置は、向上されたコンパクトさ及び安定性をプレスに与える。加えて、トルク・モータの使用は、実行される作業に従ってモータの電力消費が最適化されることを可能にする、基本的に電子的な瞬時モータ制御の利点を提供する。
【0052】
最後に、提案されたプレス構造はまた、プレス・フレーム2が90°回転され、作動デバイス4及び形成デバイス3も同様に90°回転される、水平プレスに使用され得る。トルク・モータ41の垂直配向は、トルク・モータ41の動作を妨げることはなく、また、ワーク・テーブル5上の形成デバイス3の直線状スライド・ガイドは、いかなる場合においても、適切な潤滑とともに、傾斜した位置においてすらプレスの良好な性能を確保する。