(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】走査型のX線源及びその画像形成システム
(51)【国際特許分類】
H01J 35/08 20060101AFI20230623BHJP
H01J 35/18 20060101ALI20230623BHJP
H05G 1/70 20060101ALI20230623BHJP
H05G 1/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H01J35/08 C
H01J35/18
H05G1/70 A
H05G1/00 E
(21)【出願番号】P 2020573347
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2019090988
(87)【国際公開番号】W WO2020001276
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】201810694166.6
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821016550.2
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517065220
【氏名又は名称】北京納米維景科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANOVISION TECHNOLOGY (BEIJING) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】崔 志立
(72)【発明者】
【氏名】高 建
(72)【発明者】
【氏名】刑 金輝
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-046408(JP,A)
【文献】特開2010-146902(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0185776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 35/00 - 35/32
H05G 1/00 - 1/70
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバー体を含む走査型のX線源において、前記真空チャンバー体内にはカソードと複数のアノードターゲット構造が設置されており、前記真空チャンバー体内の前記カソードに近い位置にはグリッドが設置されており、前記真空チャンバー体内の前記グリッドに近い位置には集束極が設置されており、前記真空チャンバー体の外周且つ前記グリッドに近い位置には偏向コイルが設置されており、
前記グリッドは、前記カソードにより生成される電子ビームが順番に前記集束極の集束、前記偏向コイルの作動方向の偏向を経過した後、事前に設定された規則に従って対応する前記アノードターゲット構造のターゲット面を順次に衝突して、前記ターゲット面の衝突側からX線を生成することによって、事前に設定された配列形状に沿って配置される複数の焦点を形成するように制御し、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記一体式の反射ターゲットの上面には散熱ブロックが設置されており、前記散熱ブロックの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板にはリニアアレイ式に従って複数のアライメント穴が配置されており、前記アライメント穴は一つのベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成
しており、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造はアレイ形状に配置される場合、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用し、前記独立した個体式の反射ターゲットの上面には散熱ブロックが設置されており、前記散熱ブロックの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板には前記独立した個体式の反射ターゲットに対応してアライメント穴が設置されており、前記アライメント穴は一つのベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成する、走査型のX線源。
【請求項2】
前記アライメント穴は前記鋼板に埋め込められており、前記ベリリウム窓は前記散熱ブロックと前記鋼板に埋め込まれ且つ対応する前記アライメント穴を貫通することを特徴とする、請求項
1に記載の走査型のX線源。
【請求項3】
真空チャンバー体を含む走査型のX線源において、前記真空チャンバー体内にはカソードと複数のアノードターゲット構造が設置されており、前記真空チャンバー体内の前記カソードに近い位置にはグリッドが設置されており、前記真空チャンバー体内の前記グリッドに近い位置には集束極が設置されており、前記真空チャンバー体の外周且つ前記グリッドに近い位置には偏向コイルが設置されており、
前記グリッドは、前記カソードにより生成される電子ビームが順番に前記集束極の集束、前記偏向コイルの作動方向の偏向を経過した後、事前に設定された規則に従って対応する前記アノードターゲット構造のターゲット面を順次に衝突して、前記ターゲット面の衝突側からX線を生成することによって、事前に設定された配列形状に沿って配置される複数の焦点を形成するように制御し、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してブロードビームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記一体式の反射ターゲットの下面には散熱ブロックが設置されており、前記一体式の反射ターゲットの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板にはリニアアレイ式に従って複数のアライメント穴が配置されており、前記アライメント穴はベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成
しており、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してブロードビームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造はアレイ形状に配置される場合、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用し、前記独立した個体式の反射ターゲットの上面には鋼板が設置されており、前記独立した個体式の反射ターゲットの下面には散熱ブロックが設置されており、前記鋼板には前記独立した個体式の反射ターゲットに対応してアライメント穴が設置されており、前記アライメント穴はベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成する、走査型のX線源。
【請求項4】
前記アライメント穴は前記鋼板に埋め込められており、前記ベリリウム窓は前記鋼板に埋め込められ且つ対応する前記アライメント穴を貫通することを特徴とする、請求項
3に記載の走査型のX線源。
【請求項5】
前記走査型のX線源にはグリッド制御スイッチが配設されており、前記グリッド制御スイッチはラックを介して前記真空チャンバー体に固定され、前記グリッド制御スイッチの出力端はリード線を介して前記グリッドに連結され、前記グリッド制御スイッチはグリッド制御電源に連結され、前記グリッド制御電源は外部の高圧電源に連結されることを特徴とする、請求項1
または3に記載の走査型のX線源。
【請求項6】
前記偏向コイルはX方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルとを含み、前記X方向の偏向コイルと前記Y方向の偏向コイルには制御インターフェースがそれぞれ設置されており、前記制御インターフェースはそれぞれ主制御回路に連結され、前記主制御回路は前記X方向の偏向コイルの前記制御インターフェースと前記Y方向の偏向コイルの前記制御インターフェースに対してそれぞれ事前に設定された電圧波形を印加することによって、前記カソードに
より生成される電子ビームの作動方向に対する制御を実現することを特徴とする、請求項1
または3に記載の走査型のX線源。
【請求項7】
一つの前記アノードターゲット構造を使用してX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記カソードが発射する電子ビームは前記一体式の反射ターゲットのターゲット面に向い合うことを特徴とする、請求項1
または3に記載の走査型のX線源。
【請求項8】
複数のリニアアレイ式に配置された前記アノードターゲット構造を使用してX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用する場合、前記カソードにより発射される電子ビームは前記独立した個体式の反射ターゲットのターゲット面に向い合うことを特徴とする、請求項1
または3に記載の走査型のX線源。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の走査型のX線源を含む、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型のX線源に関し、同時に該走査型のX線源を含む画像形成システムにも関し、放射画像形成技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
放射画像形成分野において、例えば、TOMO(Tomothynthesis、X線断層撮影)画像形成システム、反転ジオメトリ画像形成システム(Inversion Geometry)、CT(Computed Tomography、コンピュータトモグラフィー)画像形成システム等では、一般的に複数の投射角度でイメージングを取得する必要がある。
【0003】
異なる画像形成システムは、各自の方法を使用して複数の投射角度でイメージングを取得する。例えば、TOMO画像形成システムでは、複数の投射角度でイメージングを取得するように、X線源を回転または平行移動することによって、異なる角度または変位で露光させる。反転ジオメトリ画像形成システムではエリアアレイの多焦点のX線源を使用して、様々な角度から投影イメージングを取得する。主流のCT画像形成システムでは複数の角度から投影イメージングを取得するように、X線源と検出器を高速に回転させる。一方、新世代の静態CT画像形成システムでは、検出器リングと放射線源リングの二重リング構造を使用し、放射線源リング上に複数のX線源を均一に分散させ、各々のX線源は一つの角度の投影イメージングに対応している。
【0004】
複数の投射角度からイメージングを取得する応用シーンにおいて、従来のシステム設計では依然としてX線源を移動させる方法が多数を占めている。多焦点のX線源の方法がより明らかな利点を持つことは容易に分かり、また、移動式のX線源を用いて複数の投射角度からイメージングを取得する場合、作動機構を使用してX線源の回転または平行移動を実現する必要があり、よって、機械的なモーションアーチファクトが生成しやすく、再構築されたイメージングの品質に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする主な技術課題は、走査型のX線源を提供することである。
本発明が解決しようとする他の技術課題は、上述の走査型のX線源を含む画像形成システムを提供することである。
【0006】
上述の目的を実現するために、本発明は以下の技術方案を使用する。
本発明の実施例における第一の方面では、真空チャンバー体を含む走査型のX線源を提供し、前記真空チャンバー体内にはカソードと複数のアノードターゲット構造が設置されており、前記真空チャンバー体内の前記カソードに近い位置にはグリッドが設置されており、前記真空チャンバー体内の前記グリッドに近い位置には集束極が設置されており、前記真空チャンバー体の外周且つ前記グリッドに近い位置には偏向コイルが設置されており、
前記グリッドは、前記カソードにより生成される電子ビームが順番に前記集束極の集束、前記偏向コイルの作動方向の偏向を経過した後、事前に設定された規則に従って対応する前記アノードターゲット構造のターゲット面を順次に衝突して、前記ターゲット面の衝突側からX線を生成することによって、事前に設定された配列形状に沿って配置される複数の焦点を形成し、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記一体式の反射ターゲットの上面には散熱ブロックが設置されており、前記散熱ブロックの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板にはリニアアレイ式に従って複数のアライメント穴が配置されており、前記アライメント穴は一つのベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成しており、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造はアレイ形状に配列される場合、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用し、前記独立した個体式の反射ターゲットの上面には散熱ブロックが設置されており、前記散熱ブロックの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板には前記独立した個体式の反射ターゲットに対応してアライメント穴が設置されており、前記アライメント穴は一つのベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成する。
【0009】
好ましくは、前記アライメント穴は前記鋼板に埋め込められ、前記ベリリウム窓は前記散熱ブロックと前記鋼板に埋め込まれ且つ対応する前記アライメント穴を貫通する。
【0010】
真空チャンバー体を含む走査型のX線源において、前記真空チャンバー体内にはカソードと複数のアノードターゲット構造が設置されており、前記真空チャンバー体内の前記カソードに近い位置にはグリッドが設置されており、前記真空チャンバー体内の前記グリッドに近い位置には集束極が設置されており、前記真空チャンバー体の外周且つ前記グリッドに近い位置には偏向コイルが設置されており、
前記グリッドは、前記カソードにより生成される電子ビームが順番に前記集束極の集束、前記偏向コイルの作動方向の偏向を経過した後、事前に設定された規則に従って対応する前記アノードターゲット構造のターゲット面を順次に衝突して、前記ターゲット面の衝突側からX線を生成することによって、事前に設定された配列形状に沿って配置される複数の焦点を形成するように制御し、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してブロードビームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記一体式の反射ターゲットの下面には散熱ブロックが設置されており、前記一体式の反射ターゲットの上面には鋼板が設置されており、前記鋼板にはリニアアレイ式に従って複数のアライメント穴が配置されており、前記アライメント穴はベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成しており、
少なくとも一つの前記アノードターゲット構造を使用してブロードビームX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造はアレイ形状に配置される場合、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用し、前記独立した個体式の反射ターゲットの上面には鋼板が設置されており、前記独立した個体式の反射ターゲットの下面には散熱ブロックが設置されており、前記鋼板には前記独立した個体式の反射ターゲットに対応してアライメント穴が設置されており、前記アライメント穴はベリリウム窓に対応し、複数のX線の出射口を形成する。
【0011】
好ましくは、前記アライメント穴は前記鋼板に埋め込められており、前記ベリリウム窓は前記鋼板に埋め込められ且つ対応する前記アライメント穴を貫通する。
好ましくは、前記走査型のX線源にはグリッド制御スイッチが配設されており、前記グリッド制御スイッチはラックを介して前記真空チャンバー体に固定されており、前記グリッド制御スイッチの出力端はリード線を介して前記グリッドに連結され、前記グリッド制御スイッチはグリッド制御電源に連結されており、前記グリッド制御電源は外部の高圧電源に連結される。
【0012】
好ましくは、前記偏向コイルはX方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルを含み、前記X方向の偏向コイルと前記Y方向の偏向コイルには制御インターフェースがそれぞれ設置されており、前記制御インターフェースはそれぞれ主制御回路に連結されており、前記主制御回路は前記X方向の偏向コイルと前記Y方向の偏向コイルとの前記制御インターフェースに対してそれぞれ事前に設定された電圧波形を印加することによって、前記カソードにより生成される電子ビームの作動方向に対する制御を実現する。
【0013】
好ましくは、一つの前記アノードターゲット構造を使用してX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は一体式の反射ターゲットを使用する場合、前記カソードにより発射される電子ビームは前記一体式の反射ターゲットのターゲット面に向い合う。
好ましくは、複数のリニアアレイ式に配置された前記アノードターゲット構造を使用してX線を生成且つ出射させ、また、前記アノードターゲット構造は独立した個体式の反射ターゲットを使用する場合、前記カソードにより発射される電子ビームは前記独立した個体式の反射ターゲットのターゲット面に向い合う。
【0014】
本発明の実施例における第二の方面において、上述の走査型のX線源を含む画像形成システムを提供する。
本発明にて提供される走査型のX線源はカソードを通じて電子ビームを生成し、グリッドを介して電子ビームのオン/オフを制御し、及び偏向コイルは電子ビームの作動方向に対して制御することによって、事前に設定された規則に従って対応するターゲット面を順次に衝突させ、多焦点との間の切り替えを完成する。このような方法は、本走査型のX線源の効率を向上させると共に、走査型のX線源及び複数の投射角度でイメージングを取得することに対する画像形成システムの要件を満足させ、作動機構を使用してX線源の回転または平行移動を実現する際に機械的なモーションアーチファクトが生成される問題を解決する。他に、本走査型のX線源はさらに大きい効率と熱容量を有すると共に、体積が小さく、焦点密度が高い特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明にて提供される走査型のX線源の構造を示す図である。
【
図2】本発明にて提供される走査型のX線源において、アノードターゲット構造の1つの構造を示す図である。
【
図3】本発明にて提供される走査型のX線源において、アノードターゲット構造の他の1つの構造を示す図である。
【
図4】本発明にて提供される走査型のX線源において、アノードターゲット構造の他の1つの構造を拡大して示す図である。。
【
図5】本発明にて提供される走査型のX線源において、アノードターゲット構造の上面図である。
【
図6】本発明の実施例にて提供される走査型のX線源において、一つの10×10アレイに配置された走査型のX線源の構造を示す図である。
【
図7】本発明の実施例にて提供される走査型のX線源において、リニアアレイに配置された走査型のX線源の1つの構造を示す図である。
【
図8】本発明の実施例にて提供される走査型のX線源において、電子ビームの作動方向を制御するように、偏向コイルに印加される電圧波形の調整を示す図である。
【
図9】本発明にて提供される画像形成システムにおいて、反転ジオメトリの画像形成システムを使用した画像形成システムの1つのレイアウト構造を示す図である。
【
図10】本発明にて提供される画像形成システムにおいて、デジタルTOMOシステムを使用した画像形成システムの1つのレイアウト構造を示す図である。
【
図11】本発明にて提供される画像形成システムにおいて、デジタルTOMOシステムを使用した画像形成システムの1つのレイアウト構造を示す図である。
【
図12】本発明にて提供される画像形成システムにおいて、静態CTシステムを使用した画像形成システムの1つのレイアウト構造を示す図である。
【
図13】本発明にて提供される画像形成システムにおいて、静態CTシステムを使用した画像形成システムの1つのレイアウト構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面と具体的な実施例を組合わせて本発明の技術内容をさらに詳細に説明する。
図1に示すように、本発明にて提供される走査型のX線源は真空チャンバー体1を含み、真空チャンバー体1内には1つのカソード2と複数のアノードターゲット構造3が設置されており、真空チャンバー体1内のカソード2に近い位置にはグリッド4が設置されており、真空チャンバー体1内のグリッド4に近い位置には集束極5が設置されており、真空チャンバー体1の外周且つグリッド4に近い位置には偏向コイル6が設置されている。グリッド4を制御することによって、カソードにより生成される電子ビームを順番に集束極5の集束、偏向コイル6の作動方向を経過させ、事前に設定された規則に従って対応するアノードターゲット構造3のターゲット面を順番に走査衝突させ、ターゲット面の衝突側からX線を生成し、事前に設定された配列形状に沿って配置される複数の焦点を形成する。その中、焦点が配置される事前に設定された配列形状は画像形成システムの必要によって決定することができる。
【0017】
具体的に、真空チャンバー体1はカソード2と複数のアノードターゲット構造3を高い真空環境下に処し、一方、カソード2により生成される電子ビームが空気分子との衝突により損なわれることなく、対応するアノードターゲット構造3に順調に到達することができ、他の一方、真空の絶縁特性により、アノードターゲット構造3は容易に破壊や火打ちが生じなく、カソード2より高電圧の状態になることができる。
【0018】
カソード2はカソードフィラメントを使用し、カソードフィラメントをフィラメント電源に連結させ、フィラメント電源は外部の高電圧電源に連結され、外部の高電圧電源を通じてフィラメント電源の電流の大きさを制御し、フィラメント電源の作用下で、カソードフィラメントを事前に設定された温度、例えば、2000℃~3000℃までに加熱することによって、カソードフィラメントの表面で事前に設定された数量を満足させる電子(十分に多くて活発な電子)を生成させ、電子ビーム(電子ビームの大きさはカソードフィラメントにより発射される必要がある電子ビーム流の大きさに関係がある)を形成する。その中、カソードフィラメントは高融点のタングステンフィラメントにより製造されることができる。
【0019】
図2と
図3に示すように、各々のアノードターゲット構造3は反射ターゲット301、散熱ブロック302、鋼板303、ベリリウム窓304及びアライメント穴305を含み、アノードターゲット構造3はナロービームX線またはブロードビームX線を生成且つ出射することができる。
図2に示すように、少なくとも一つのアノードターゲット構造3を使用してナロービームX線(X線の出射角度が比較的に小さい)を生成且つ出射させ、また、各々のアノードターゲット構造3は一体式の反射ターゲット301を使用する場合、該一体式の反射ターゲット301の上面には散熱ブロック302が設置されることによって、一体式の反射ターゲット301に対する散熱が実現する。散熱ブロック302の上面には鋼板303が設置されており、該鋼板303はベリリウム窓304とアライメント穴305のキャリアにすることができると共に、必要としない放射線を遮断することができ、同時に、ある程度の散熱作用も果たす。利用する画像形成システムが必要とするX線の出射位置に基づいて、鋼板303にリニアアレイ式(アライメント穴305のライン数(Y方向)は1)に従って複数のアライメント穴305を配置することができ、各々のアライメント穴305は鋼板303に埋め込められており、各々のアライメント穴305は一つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は散熱ブロック302と鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現できる。
【0020】
複数の一体式の反射ターゲット301により構成されたアノードターゲット構造を使用する場合、隣接する2つのアノードターゲット構造に配置される複数のアライメント穴305は一対一に対応するか、または、隣接する二つのアノードターゲット構造に配置される複数のアライメント穴305は一対一に対応しないこともでき、即ち、全てのアライメント穴305は配置された後に異形面、例えば、円面、長方形面等を構成することができ、各々のアライメント穴305は1つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は散熱ブロック302と鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現でき、複数の出射口は一体式の反射ターゲット301の電子が衝突するターゲット面に位置合せられることによって、カソードフィラメントにより生成される大量の電子が一体式の反射ターゲット301のターゲット面に衝突した後、該ターゲット面は直接にX線を生成し、且つ該ターゲット面に対応する出射口からX線を出射することを強調する。
【0021】
少なくとも一つのアノードターゲット構造3を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、また、アノードターゲット構造3がアレイ形状(エリアアレイ式とリニアアレイ式を含む)に配置される場合、各々のアノードターゲット構造3は独立した個体式の反射ターゲット301を使用することができ、該独立した個体式の反射ターゲットの301の上面には散熱ブロック302が設置されており、散熱ブロック302の上面には鋼板303が設置されており、鋼板303には独立した個体式の反射ターゲット301に対応して1つのアライメント穴305が設置されており、アライメント穴305は鋼板303に埋め込められており、各々のアライメント穴305は1つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は散熱ブロック302と鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現できる。同様に、複数の出射口は独立した個体式の電子の衝突ターゲット面に位置合わせられることによって、カソードフィラメントにより生成される大量の電子を独立した個体式の反射ターゲット301のターゲット面に衝突させた後、該ターゲット面は直接にX線を生成し、且つ該ターゲット面に対応する出射口からX線を出射する。
【0022】
図3と
図4に示すように、少なくとも一つのアノードターゲット構造3を使用してブロードビームX線(X線の出射角度は比較的に大きい)を生成且つ出射させ、また、各々のアノードターゲット構造3は一体式の反射ターゲット301を使用する場合、該一体式の反射ターゲット301の下面には散熱ブロック302が設置されることによって、反射ターゲット301に対する散熱を実現すると共に、アライメント穴305の設計のためにより多い空間を確保することができる。各々の一体式の反射ターゲット301の上面には鋼板303が設置されており、該鋼板303はベリリウム窓304とアライメント穴305のキャリアになることができると共に、不要な放射線を遮断することもでき、同時にある程度の散熱作用を果たす。利用する画像形成システムが必要とするX線の出射位置に基づいて、各々の鋼板303にはリニアアレイ式(アライメント穴305のライン数(Y方向)は1)に従って複数のアライメント穴305を配置することができ、各々のアライメント穴305は鋼板303に埋め込められており、各々のアライメント穴305は一つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現できる。
【0023】
複数の一体式の反射ターゲット301により構成されたアノードターゲット構造3を使用する場合、隣接する二つのアノードターゲット構造3に配列される複数のアライメント穴305は一対一に対応するか、または、隣接する二つのアノードターゲット構造3に配列される複数のアライメント穴305は一対一に対応しないこともでき、全てのアライメント穴305は配置された後に異形面、例えば、円面、長方形面等を構成することができ、各々のアライメント穴305は一つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現でき、複数の出射口は一体式の反射ターゲット301の電子が衝突するターゲット面に位置合わせられることによって、カソードフィラメントにより生成される大量の電子が一体式の反射ターゲット301のターゲット面に衝突された後、該ターゲット面は直接にX線を生成し、且つ該ターゲット面に対応する出射口からX線を出射することを強調する。
【0024】
少なくとも一つのアノードターゲット構造3を使用してナロービームX線を生成且つ出射させ、またアノードターゲット構造3はアレイ形状(エリアアレイ式とリニアアレイ式とを含む)に配置される場合、各々のアノードターゲット構造3は独立した個体式の反射ターゲット301を使用することができ、各々の独立した個体式の反射ターゲットの301の上面には何れも鋼板303が設置されており、各々の独立した個体式の反射ターゲット301の下面には散熱ブロック302が設置されており、各々の鋼板303には独立した個体式の反射ターゲット301に対応して1つのアライメント穴305が設置されており、アライメント穴305は鋼板303に埋め込められており、各々のアライメント穴305は1つのベリリウム窓304に対応し、各々のベリリウム窓304は鋼板303に埋め込められ且つ対応するアライメント穴305を貫通することによって、アライメント穴305を密封し、複数のX線の出射口を形成することが実現できる。同様に、複数の出射口は独立した個体式の電子が衝突するターゲット面に位置合わせされることによって、カソードフィラメントにより生成される大量の電子を独立した個体式の反射ターゲット301のターゲット面に衝突させた後、該ターゲット面は直接にX線を生成し、且つ該ターゲット面に対応する出射口からX線を出射する。
【0025】
その中、上述の幾つのアノードターゲット構造3において、各々のアライメント穴305と、アライメント穴305に対応するベリリウム窓304の位置は、利用する画像形成システムが必要とするX線の出射位置に基づいて決定される。アノードターゲット構造3と真空チャンバー
体1との間のより良い接合を確保し、また、真空チャンバー体1の密封効果を確保するために、複数のアノードターゲット構造3は同じ一枚の一体式の鋼板303を共用することができ、即ち、本走査型のX線源の全てのアライメント穴305と、アライメント穴305に対応するベリリウム窓304は同じ一枚の一体式の鋼板303に埋め込められることができる。例えば、
図6に示すように、1つの10×10アレイの走査型のX線源を例として、鋼板303には10x10アレイに配置された複数のアライメント穴305と、アライメント穴305に対応するベリリウム窓304が埋め込められることによって、複数のX線の出射口306を形成する。
【0026】
上述の幾つのアノードターゲット構造3の散熱ブロック302には事前に設定された数量の散熱管3020が均一に分布されており、該散熱管3020内には冷却剤を注ぎ込むことによって、反射ターゲット301の散熱を実現する。冷却剤は流動可能な高圧絶縁材料、例えば、トランス油(高圧絶縁油)でも良く、散熱ブロック302は銅等の熱伝導係数が高い金属または金属合金材料を用いて製造することができ、また、散熱ブロック302の形状と大きさは反射ターゲット301の形状、X線の出射位置及び散熱効果に基づいて決定することができる。利用する画像形成システムの実際の必要(例えば、X線焦点の形状と大きさ、画像形成システムが必要とする出線の角度)に基づいて、上述の幾つのアノードターゲット構造3のアライメント穴305の出射面の形状、大きさ(例えば、円錐形、多面コーン形状)及び出射角度を調節する。例えば、
図5に示すように、利用する画像形成システムは、本走査型のX線源が長方形のX線の焦点を出射する必要がある場合、アライメント穴305の出射面の形状は長方形にすることができ、アライメント穴305は四面コーン形状に立体表現される。
【0027】
上述の幾つのアノードターゲット構造3のベリリウム窓304は、基本的X線を減衰させない原子番号が小さくて軽量のベリリウム材料を使用することができる。同様に、利用する画像形成システムの実際の必要(例えば、X線焦点の形状及びサイズ)に基づいて、ベリリウム窓304の形状及びサイズを調節する。例えば、
図5に示すように、利用する画像形成システムで本走査型のX線源が長方形のX線焦点を出射する必要がある場合、ベリリウム窓304の出射面の形状は長方形であることができる。また、反射ターゲット301は金属のタングステン、モリブデン、レニウムタングステン合金などの原子番号が高く、融点が高い金属材料または金属合金材料を用いて製造されることができる。
【0028】
また、アノードターゲット構造3は独立した個体式の反射ターゲット301を使用する場合、カソードフィラメントにより生成される電子ビームがラインごとに(X方向)独立した個体式の反射ターゲット301のターゲット面を順次に走査衝突する過程において、電子ビームが独立した個体式の反射ターゲット301のターゲット面の位置に到達した場合のみにX線を生成し、且つベリリウム窓304とアライメント穴305により形成された出射口を介して放出される。アノードターゲット構造3は一体式の反射ターゲット301を使用する場合、カソードフィラメントにより生成される電子ビームがラインごとに(X方向)一体式の反射ターゲット301のターゲット面を順次に走査衝突する過程において、一体式の反射ターゲット301のターゲット面は常にX線を生成するが、ベリリウム窓304とアライメント穴305により形成された出射口のみでX線が放出される。1つの選択として、グリッド4を用いて電子ビームの発射状態(オン/オフ)の特性を制御することによって、グリッド制御スイッチの制御状態を電子ビームがラインごとに(X方向)順次に走査することに同期させ、即ち、電子ビームがX線の出射口の位置に対応するターゲット面に到達する際、グリッド制御スイッチをオフさせ、電子ビームがターゲット面を正常に出射且つ衝突することによって,X線を出射口から放出させることができ、電子ビームがX線の出射口の位置に対応するターゲット面を離れる際、グリッド制御スイッチをオンさせ、電子ビーがグリッドスイッチの制御を受け正常に放出されずターゲット面を衝突することができず、よって、X線の発射は停止される。
【0029】
本走査型のX線源にはグリッド制御スイッチ(図に示せず)が配設されており、グリッド制御スイッチはラックを介して真空チャンバー体1に固定され、また、グリッド制御スイッチの出力端は、本走査型のX線源のカソードフィラメントに対して発射される電子ビームのオン/オフ(通過または切断)を制御するように、リード線を介して本走査型のX線源のグリッド4に連結され、本走査型のX線源の放出線に対する制御を実現する。具体的に、グリッド制御スイッチをグリッド制御電源に連結させ、グリッド制御電源を外部の高圧電源に連結させ、グリッド制御電源3を介してグリッド制御スイッチがオンまたはオフ状態になるように制御することによって、本走査型のX線源のオン/オフに対して制御し、放出線に対する制御を実現する。
【0030】
本走査型のX線源の複数のアノードターゲット構造3を接地させることを例として、グリッド制御スイッチがオン状態になるようにグリッド制御電源で制御する場合、また、グリッド制御電源を通じてグリッド4に1つの負の高圧(例えば、負の高圧は-130KV)を印加し、グリッド4に印加された負の高圧の絶対値が本走査型のX線源のカソード2の負の高圧(例えば、カソードの負の高圧は-120KV)の絶対値より大きい絶対値で、グリッド4とカソード2との間に負の電界を形成させることによって、カソードフィラメントの表面で生成される事前に設定された数量を満足させる電子がアノードターゲット構造3のターゲット面へ飛ぶことを制御し、カソードフィラメントが発射する電子に対する切断を実現する。グリッド制御スイッチに印加される負の高圧が充分に大きい場合、カソードフィラメントの表面で生成される電子は全部カソードフィラメントの表面に抑制され、アノードターゲット構造3のターゲット面へ飛ぶことができない。グリッド制御スイッチがオフ状態になるようにグリッド制御電源で制御する場合、グリッド制御スイッチに印加される負の高圧は消えることによって、アノードターゲット構造3とカソード2との間に圧力差を形成させ、この時、カソードフィラメントの表面で生成される大量の電子は比較的に大きい電力量の作用下で電子ビームを形成しアノードターゲット構造3のターゲット面に飛び、X線を生成し、且つ、対応する放出口からX線を放出することによって、1つの焦点を形成する。
【0031】
本走査型X線において、集束極5はカソードフィラメントにより生成される電子ビームを集束し、電子ビームの発散を制限することによって、アノードターゲット構造3で適切なサイズの焦点を取得するように、電子ビームを拘束する。具体的に、集束極5を外部の主制御回路に連結させ、カソードフィラメントから発射される電子ビームは、主制御回路を通じて集束極5を制御し電子ビームを集束する。集束の効果は電子ビームがアノードターゲット構造3のターゲット面を衝突するスポット面のサイズに影響を与える。電子学の慣用の手段で集束極5の集束は電場集束と磁場集束に分けられ、ここでは具体的に説明しない。
【0032】
偏向コイル6は、カソードフィラメントにより生成される電子ビームをX、Y面で移動させる、X方向の偏向コイル及びY方向の偏向コイルを含む。偏向コイル6を通じてカソードフィラメントにより生成される電子ビームに対するさらなる集束を実現し、及び電子ビームの作動方向を制御することができる。X方向の偏向コイル及びY方向の偏向コイルには制御インターフェースが設置されており、該制御インターフェースはそれぞれ主制御回路に連結され、事前に設定された規則に基づいて、主制御回路において、X方向の偏向コイル及びY方向の偏向コイルに対応して、事前に様々な電圧波形が設置されており、主制御回路を通じてX方向の偏向コイル及びY方向の偏向コイルの制御インターフェースに対して、事前に設定された電圧波形をそれぞれ印加することができ、即ち、電子ビームの作動方向を制御することができる。その中、事前に設定された規則は、電子ビームの走査制御方法で、ラインごとに順次に走査することであり、即ち、グリッド制御スイッチ及びX方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルに印加される電圧波形を制御することによって、電子ビームがラインごとに(X方向)アノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突することによって、X線を生成させ、また、列ごとに(Y方向)順次に走査することであり、即ち、グリッド制御スイッチ及びX方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルに印加される電圧波形を制御することによって、電子ビームが列ごとに(Y方向)アノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突することによって、X線を生成させ、事前に設定された配列形状に従って配置された複数の焦点の位置を順次に走査し、即ち、グリッド制御スイッチ及びX方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルに印加される電圧波形を制御することによって、電子ビームは事前に設定された配列形状に従って配置された複数の焦点の位置で対応するアノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突することによって、X線を生成させ、電子ビームの走査制御方式は、実際の応用方法に基づいて異なる制御方法の設計を行うことができる。それによって、偏向コイル6を介して電子ビームを制御して複数のターゲット面との間で任意の走査の切り替えを完成することができ、よって、複数の焦点(X線焦点)と間の切り替えを完成し、本走査型のX線源の効率を向上させる。
【0033】
本発明の一つの実施例において、1つのアノードターゲット構造3を使用してX線(ブロードビームX線またはナロービームX線)を生成且つ出射させ、また、アノードターゲット構造3は一体式の反射ターゲット301を使用し、一体式の反射ターゲット301の鋼板303でリニアアレイ式(アライメント穴305のライン数(Y方向)は1)に従って複数のアライメント穴305が配置される場合、または、複数のリニアアレイ式に配置されたアノードターゲット構造3を使用してX線(ブロードビームまたはナロービームX線)を生成且つ出射させ、また、アノードターゲット構造3は独立した個体式の反射ターゲット301を使用する場合、電子ビームはY方向で1つラインのみのアノードターゲット構造3のターゲット面を走査衝突するため、Y方向の偏向コイルには一つの固定の入力レベルを与えれば充分で、該レベルはカソードフィラメントにより発射される高速電子ビームがY方向でターゲット面が所在する位置を衝突するように確保することができる。1つのより簡単な設計を考慮すると、
図7に示すように、本走査型のX線源のカソードフィラメントにより発射される電子ビームをターゲット面が所在する位置に向い合わせることによって、Y方向の偏向コイルは不必要になり、本走査型のX線源の体積をより小さくすることができる。
【0034】
以下、
図8を組合わせ、また以下の幾つかの電子ビームの走査制御方法を例として、X方向の偏向コイル及びY方向の偏向コイルに電圧波形を印加して、如何に電子ビームの作動方向を制御するかに対して詳細に説明する。
図8に示すように、出射面上のブロックは放射線の出射口306を表し、矢印は電子ビームがターゲット面を走査衝突する作動方向を示し、出射面の上方の曲線はX方向の偏向コイルに印加される電圧波形を表し、出射面の左方の曲線はY方向の偏向コイルに印加される電圧波形を表し、電子ビームが左から右へ、上から下への順番にアノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突することによって、X線を生成させるように、X方向の偏向コイルとY方向の偏向コイルに印加される電圧波形はマッチングされる。
【0035】
具体的に、X方向の偏向コイルに三角波形の電圧を印加した後、電子ビームはX方向の偏向コイルに印加される三角波形電圧の増加に従って、X方向で左から右へアノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突することによって、X線を生成し、X方向の偏向コイルに印加される三角波形電圧が最大の電圧から最小の電圧になる場合、電子ビームは再び最も左の起点に戻り、アノードターゲット構造3のターゲット面を左から右へ走査衝突する一回りの新しい過程を開始する。
【0036】
同様に、Y方向の偏向コイルに三角波形の電圧を印加した後、電子ビームはY方向の偏向コイルに印加される三角波形電圧の増加に従って、アノードターゲット構造3のターゲット面をY方向で上から下へ順次に走査衝突することによって、X線を生成し、Y方向の偏向コイルに印加される三角波形電圧が最大の電圧から最小の電圧になる場合、電子ビームは再び最も上の起点に戻り、アノードターゲット構造3のターゲット面を上から下へ走査衝突する一回りの新しい過程を開始する。
【0037】
電子ビームがラインごとに(X方向)アノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突する必要がある場合、Y方向の偏向コイルには段差波の電圧を印加し、X方向の偏向コイルには三角波形の電圧を印加することができ、即ち、Y方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が維持されて変化しないことによって、電子ビームのY方向における位置は変化せず、電子ビームがX方向でアノードターゲット構造3のターゲット面を左から右へ順次に走査衝突することによって、X線を生成し、Y方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が1ライン下の電子ビームが走査する位置に対応する電圧までに増加し且つ維持される場合、電子ビームはX方向でアノードターゲット構造3のターゲット面を左から右へ走査衝突する一回りの新しい過程を開始する。同様に、Y方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が1ステップを増加するたびに、電子ビームは1行下に移動することによって、電子ビームがアノードターゲット構造3のターゲット面の表面全体をラインごとに列ごとに順次に走査衝突することが実現できる。
【0038】
電子ビームが列ごとに(X方向)アノードターゲット構造3のターゲット面を順次に走査衝突する必要がある場合、X方向の偏向コイルには段差波の電圧を印加し、Y方向の偏向コイルには三角波形の電圧を印加することができ、即ち、X方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が維持され変化しないことによって、電子ビームのX方向における位置は変化せず、電子ビームはY方向でアノードターゲット構造3のターゲット面を上から下へ順次に走査衝突することによって、X線を生成し、X方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が1列下の電子ビームが走査する位置と対応する電圧までに増加し且つ維持される場合、電子ビームはY方向でアノードターゲット構造3のターゲット面を上から下へ走査衝突する一回りの新しい過程を開始する。同様に、X方向の偏向コイルに印加される段差波の電圧が1ステップ増加されるたびに、電子ビームは1列右に移動することによって、電子ビームがアノードターゲット構造3のターゲット面の表面全体を、列ごとにラインごとに順次に走査衝突することが実現できる。
【0039】
本走査型のX線源は、アノード接地型のX線源だけでなく、カソード接地型のX線源または中性点接地型のX線源に適用されることができる。カソード接地型のX線源の場合、カソードは接地され、外部の高圧電源を使用して各々のアノードターゲット構造3に正の高電圧を印加する。中性点接地型のX線源の場合、カソードに負の高電圧を印加し、各々のアノードターゲット構造3に正の高電圧を印加する。
【0040】
本発明にて提供される走査型のX線源は、一つのカソードを使用して電子ビームを生成させ、且つグリッドを介して電子ビームのオン/オフを制御し、及び偏向コイルが電子ビームの作動方向を制御することによって、事前に設定された規則に従って対応するターゲット面を順次に衝突し、複数の焦点との間の切り替えを完成し、本走査型のX線源の効率を向上させると共に、走査型のX線源と複数の投射角度からイメージングを取得するという画像形成システムの要件を満足させることもでき、また、作動機構を使用してX線源の回転または平行移動を実現する時に、機械的なモーションアーチファクトが生成される問題を解決した。また、本走査型のX線源はより大きい効率と熱容量を有すると共に、体積が小さく、焦点の密度が高い特徴を有する。
【0041】
本発明はさらに画像形成システムを提供し、該画像形成装置は上述の走査型のX線源含むことによって、走査型のX線源及び複数の投射角度からイメージングを取得するという画像形成システムの要件を満足させると共に、作動機構を使用してX線源の回転または平行移動を実現する時に、機械的なモーションアーチファクトが生成しやすい現象の発生を回避し、画像形成システムの画像形成品質を向上させる。画像形成システムのその他の構造(本走査型のX線源以外の構造)及び操作原理は従来技術であり、ここでは改めで述べない。
【0042】
本画像形成システムに対する理解を容易にするために、以下、
図9~13を組合わせて、本画像形成システムと本走査型のX線源を組合わせた幾つかのレイアウト構造を簡単に説明する。
図9に示すように、反転ジオメトリの画像形成システムにおいて、本走査型のX線源のアノードターゲット構造3を用いて生成且つ出射されたナロービームX線を使用すると共に、本走査型のX線源を該反転ジオメトリの画像形成システムのフレームを満足させる平面上に分散させる必要がある。
【0043】
図10と
図11に示すように、デジタルTOMOシステム(例えば、乳腺TOMO機能)において、本走査型のX線源のアノードターゲット構造3を用いて生成且つ出射されたブロードビームX線を使用すると共に、本走査型のX線源を前記デジタルTOMOシステムのフレームを満足させる弧面または直線面上に分散させる必要がある。
【0044】
図12と
図13に示すように、静態CTシステムにおいて、本走査型のX線源のアノードターゲット構造3により生成且つ出射されたブロードビームX線を使用すると共に、本走査型のX線源を該整体CTシステムのフレームを満足させる放射線の円環上に分散させる必要がある。例えば、該静態CTシステムの設計の必要に基づいて、複数の本走査型のX線源を放射線の円環上に分散させ、各々の走査型のX線源を独立に制御することができ、その中、各々の走査型のX線源のアノードターゲット構造3は一つの一体式の反射ターゲットを使用し、一体式の反射ターゲットの鋼板にはリニアアレイ式(アライメント穴のライン数(Y方向)は1)に従って、複数のアライメント穴を配置させ、また、各々の走査型のX線源のカソードフィラメントにより発射される電子ビームはターゲット面が所在する位置に向かい合う。
【0045】
以上、本発明にて提供される走査型のX線源及びその画像形成システムに対して詳細に説明した。当業者において、本発明の実質的な内容を逸脱しない前提下で本発明に対して行われた如何なる明らかな変更は、何れも本発明の特許権の侵害を構成し、対応する法的責任を引き受ける。