(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/121 20230101AFI20230623BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230623BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230623BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230623BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20230623BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20230623BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20230623BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20230623BHJP
【FI】
H10K59/121
G02B5/30
G09F9/30 365
G09F9/00 313
G09F9/30 338
G09F9/30 309
G09F9/00 366A
G09F9/30 348A
H10K50/86
H10K50/84
H10K59/40
H10K50/10
(21)【出願番号】P 2018129752
(22)【出願日】2018-07-09
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520272868
【氏名又は名称】武漢天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】竹知 和重
(72)【発明者】
【氏名】田邉 浩
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-230107(JP,A)
【文献】特開2016-100126(JP,A)
【文献】国際公開第2013/137464(WO,A1)
【文献】特開2007-294403(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057228(WO,A1)
【文献】特開2005-063841(JP,A)
【文献】特開2011-129392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00
H10K 59/00
G02B 5/30
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
基板と、
前記基板上における、透明な第1領域と前記第1領域と異なる第2領域とをそれぞれ含む、複数の画素領域と、
前記第2領域内に配置された、1以上の発光素子と、
互いに分離された複数の円偏光要素を含む、円偏光パターンと、
を含み、
前記複数の円偏光要素の各円偏光要素は、前記複数の画素領域の各画素領域の前側に配置され、
前記1以上の発光素子のそれぞれは、
積層された反射電極及び透明電極と、
前記透明電極と前記反射電極との間に積層され、前記反射電極と前記透明電極との間で与えられた電流により発光する発光膜と、を含み、
前記円偏光要素は、前記表示装置の前側から見て、前記反射電極の全面を覆い、
前記第1領域の少なくとも一部は、前記表示装置の前側から見て、前記円偏光要素間の空隙と重な
り、
前記複数の画素領域の全面を覆うように前記基板上に積層され、前記複数の画素領域を封止している封止膜をさらに含み、
前記円偏光パターンは、
前記封止膜の前面上に配置され、
前記表示装置の前側から見て、前記複数の画素領域の全域を覆う1/4波長板と、
前記1/4波長板の前面上に積層された直線偏光パターンと、で構成されている、
表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記第1領域の全ては、前記表示装置の前側から見て、前記円偏光
要素間の空隙と重なる、
表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記複数の画素領域の間を延びる配線をさらに含み、
前記円偏光パターンは、前記表示装置の前側から見て、前記配線を覆う、
表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記封止膜と前記円偏光パターンとの間に、タッチセンサをさらに含み、
前記タッチセンサは、積層された、前側電極、後側電極、及び前記前側電極と前記後側電極との間に配置された絶縁膜と、を含み、
前記円偏光パターンは、前記タッチセンサの前面上に積層されている、
表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記円偏光パターンは、前記封止膜の段差部を覆う、
表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記1/4波長板と前記直線偏光パターンとは塗膜である、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの裏側の背景を見せつつ画像を表示する透明ディスプレイが提案されている。透明ディスプレイは、例えば、自動車の窓やショウウィンドウ等で利用することができる。透明ディスプレイは、自発光素子、例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)素子を使用することができる。OLED素子は電流駆動型の自発光素子であるため、バックライトが不要となる上に、低消費電力、高視野角、高コントラスト比が得られるなどのメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0260933号
【文献】米国特許出願公開第2017/0263895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明表示装置は、自発光素子の電極及び画素回路等のため、一部の領域が外光を反射する。外光反射を低減する部材として、円偏光板が知られている。一般に、1枚の円偏光板が表示措置の前面の全域に貼り付けられる。しかし、そのように貼り付けられた円偏光板は、透明領域の透過率を低下させる。したがって、自発光の透明表示装置において、外光反射を効果的に低減すると共に、透明領域の透過率の低下を抑制する技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、表示装置であって、基板と、前記基板上における、透明な第1領域と前記第1領域と異なる第2領域とをそれぞれ含む、複数の画素領域と、前記第2領域内に配置された、1以上の発光素子と、前記複数の画素領域の前側に配置されている円偏光パターンと、を含み、前記1以上の発光素子のそれぞれは、積層された反射電極及び透明電極と、前記透明電極と前記反射電極との間に積層され、前記反射電極と透明電極との間で与えられた電流により発光する発光膜と、を含み、前記円偏光パターンは、前記表示装置の前側から見て、前記反射電極の全面を覆い、前記第1領域の少なくとも一部は、前記表示装置の前側から見て、前記円偏光パターン内の空隙と重なる。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、透明表示装置の外光反射を効果的に低減すると共に、透明領域の透過率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】一つの画素領域の構成例を模式的に示す平面図である。
【
図6】画素領域と円偏光パターン(円偏光要素及び空隙)との位置関係例を示す。
【
図7】画素領域と円偏光パターンとの位置関係の他の例を示す。
【
図8】OLED表示装置の断面構造の例を模式的に示す。
【
図9】封止基板と異なる封止構造部を含むOLED表示装置の構造例を示す。
【
図13】2つの画素領域と円偏光パターンとの位置関係例を示す。
【
図14】補助配線を覆う円偏光パターンの例を示す。
【
図15】ボトムエミッション型のOLED表示装置の構造例を示す。
【
図16】ボトムエミッション型のOLED表示装置の他の構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【0009】
本開示の特徴の一つは、透明表示装置における円偏光パターンである。透明表示装置の画素領域は、それぞれ、透明領域を含む。円偏光パターンは、外光の反射を低減することができる。円偏光パターンは、自発光素子の反射電極と重なるように配置される。これにより、ユーザにより視認される反射電極に反射された外光の量を低減する。さらに、透明領域の少なくとも一部が円偏光パターンの空隙と重なり、透明領域の透過光が円偏光パターンにより減少する量を少なくすることができる。
【0010】
[透明表示装置の全体構成]
図1を参照して、本実施形態に係る、透明表示装置の全体構成を説明する。説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。以下において、透明表示装置の例として、OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置を説明するが、本開示の特徴は、量子ドット表示装置等、OLED表示装置と異なる任意の種類の自発光型表示装置に適用することができる。
【0011】
以下において、表示装置がユーザのために画像を表示する側、つまり、画像がユーザによって視認される側を前側、その反対側を後側と呼ぶ。また、前側の面(つまり前面)の反対面を、後面又は背面と呼ぶ。発光素子が形成される基板上において、当該基板に近い側を下側、遠い側を上側と呼ぶ。
【0012】
図1は、OLED表示装置10の構成例を模式的に示す。
図1において、左右方向の延びる軸をX軸、上下方向に延びる軸をY軸で表わされている。OLED表示装置10は、OLED表示パネルと制御装置とを含む。OLED表示パネルは、発光素子が形成されるTFT(Thin Film Transistor)基板100と、OLED素子を封止する封止基板200と、TFT基板100と封止基板200とを接合する接合部(ガラスフリットシール部)300を含む。
【0013】
TFT基板100と封止基板200との間には、例えば、乾燥空気が封入されており、接合部300により封止されている。後述するように、封止基板200に代えて、薄膜封止(TFE)技術による封止膜を使用することができる。これらは共に、TFT基板100上の素子を封止するための封止構造部である。
【0014】
TFT基板100の表示領域125の外側のカソード電極形成領域114の周囲に、走査ドライバ131、エミッションドライバ132、保護回路133、及びドライバIC134が配置されている。これらは、FPC(Flexible Printed Circuit)135を介して外部の機器と接続される。
【0015】
走査ドライバ131はTFT基板100の走査線を駆動する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線を駆動して、各副画素の発光期間を制御する。保護回路133は素子を静電気放電から保護する。ドライバIC134は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)を用いて実装される。
【0016】
ドライバIC134は、表示制御機能を有する。ドライバIC134は、走査ドライバ131及びエミッションドライバ132に電源及びタイミング信号(制御信号)を与え、さらに、データ線に映像データに対応する信号を与える。
【0017】
以下において、赤(R)、緑(G)、又は青(B)の三色の副画素からなる画素を、主画素と呼ぶ。副画素及び主画素を、それぞれ、画素と呼ぶことがある。本開示の特徴は、上記3色と異なる色セットの表示装置に適用することができ、白黒表示の表示装置に適用することもできる。
【0018】
[画素回路]
TFT基板100上には、複数の副画素のアノード電極にそれぞれ供給する電流を制御する複数の画素回路が形成されている。
図2Aは、画素回路の構成例を示す。各画素回路は、第1のトランジスタT1と、第2のトランジスタT2と、第3のトランジスタT3と、保持容量C1とを含む。画素回路は、OLED素子E1(発光素子)の発光を制御する。トランジスタは、TFT(Thin Film Transistor)である。以下、第1のトランジスタT1~第3のトランジスタT3をそれぞれトランジスタT1~トランジスタT3と略記する。
【0019】
トランジスタT2は副画素選択用のスイッチである。トランジスタT2はnチャネル型TFTであり、ゲート端子は、走査線106に接続されている。ドレイン端子は、データ線105に接続されている。ソース端子は、トランジスタT1のゲート端子に接続されている。
【0020】
トランジスタT1はOLED素子(自発光素子)E1の駆動用のトランジスタ(駆動TFT)である。トランジスタT1はnチャネル型TFTであり、そのゲート端子はトランジスタT2のソース端子に接続されている。トランジスタT1のドレイン端子は電源線108(Vdd)に接続されている。ソース端子は、トランジスタT3のドレイン端子に接続されている。トランジスタT1のゲート端子とソース端子との間に保持容量C1が形成されている。
【0021】
トランジスタT3は、OLED素子E1への駆動電流の供給と停止を制御するスイッチである。トランジスタT3はnチャネル型TFTであり、ゲート端子はエミッション制御線107に接続されている。トランジスタT3のドレイン端子はトランジスタT1のソース端子に接続されている。ソース端子は、OLED素子E1に接続されている。
【0022】
次に、画素回路の動作を説明する。走査ドライバ131が走査線106に選択パルスを出力し、トランジスタT2をON状態にする。データ線105を介してドライバIC134から供給されたデータ電圧は、保持容量C1に格納される。保持容量C1は、格納された電圧を、1フレーム期間を通じて保持する。保持電圧によって、トランジスタT1のコンダクタンスがアナログ的に変化し、トランジスタT1は、発光諧調に対応した順バイアス電流をOLED素子E1に供給する。電流は、OLED素子E1からカソード電源線110(Vss)に流れる。カソード電源線110は、カソード電極に所定の電位Vssを与える。
【0023】
トランジスタT3は、駆動電流の供給経路上に位置する。エミッションドライバ132は、エミッション制御線107に制御信号を出力して、トランジスタT3ON/OFF状態を制御する。トランジスタT3がON状態のとき、駆動電流がOLED素子E1に供給される。トランジスタT3がOFF状態のとき、この供給が停止される。トランジスタT3のON/OFFを制御することにより、1フィールド周期内の点灯期間(デューティ比)を制御することができる。
【0024】
図2Bは、画素回路の他の構成例を示す。
図2Aの画素回路との相違は、トランジスタT2aと、トランジスタT3である。トランジスタT2aは、
図2AのトランジスタT2の機能(副画素選択用のスイッチ)と同じ機能を有するスイッチである。
【0025】
トランジスタT3は、様々な目的で使用することができる。トランジスタT3は、例えば、OLED素子E1間のリーク電流によるクロストークを抑制するために、一旦、OLED素子E1のアノード電極を黒信号レベル以下の十分低い電圧にリセットする目的で使用しても良い。
【0026】
他にも、トランジスタT3は、トランジスタT1の特性を測定する目的で使用してもよい。例えば、トランジスタT1を飽和領域、スイッチングトランジスタT3を線形領域で動作するようにバイアス条件を選んで、電源線108(Vdd)から基準電圧供給線109(Vref)に流れる電流を測定すれば、トランジスタT1の電圧・電流変換特性を正確に測定することができる。副画素毎のトランジスタT1の電圧・電流変換特性の違いを補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、均一性の高い表示画像を実現できる。
【0027】
一方、トランジスタT1をオフ状態にしてトランジスタT3をリニア領域で動作させ、OLED素子E1を発光させる電圧を基準電圧供給線109から印加すれば、副画素毎のOLED素子E1の電圧・電流特性を正確に測定することができる。例えば、長時間の使用によってOLED素子E1が劣化した場合にも、その劣化量を補償するデータ信号を外部回路で生成すれば、長寿命化を実現できる。
【0028】
図2A及び2Bの画素回路は例であって、画素回路は他の回路構成を有してよい。
図2A及び2Bの画素回路はnチャネル型TFTを使用しているが、画素回路はpチャネル型TFTを使用してもよい。
【0029】
[表示領域の構成]
図3は、表示領域125内の一部の構成例を示す。表示領域125は、複数の画素領域251と、複数の配線領域253と、を含む。
図3の例において、一つの画素領域のみが例として符号251で指示され、一つの配線領域のみが例として符号253で指示されている。画素領域251は、一つの主画素に対応し、3色の発光素子(副画素領域)を含む。主画素が含む発光素子の数は1つでもよい。配線領域253は、配線が配置されている領域である。
【0030】
図3のレイアウト例において、画素領域251は、直角四角形であり、マトリックス状に配列されている。
図3のレイアウト例において、Y軸に沿って配列された画素領域251は空隙なく連続している。X軸に沿った方向において、画素領域251と配線領域253が交互に配列されている。配線領域253は、画素領域251の間において、Y軸に沿って延びている。
【0031】
なお、画素領域251の境界は、副画素の組を繰り返し配置した場合における隣り合う副画素の組との関係で規定されるものである。境界は、矩形でもよく、矩形以外の形状でもよい。画素領域251のレイアウトは、
図3の例と異なっていてもよい。配線領域253の形状及びレイアウトも、
図3の例と異なっていてもよい。
【0032】
図4は、一つの画素領域251の構成例を模式的に示す平面図である。一つの画素領域251は透明領域521(第1領域)とアクティブ領域522(第2領域)とで構成されている。アクティブ領域522は、赤副画素発光領域525R、緑副画素発光領域525G、及び青副画素発光領域525Bを含む。発光領域は、電流を供給された有機発光膜が発光する部分の領域である。
【0033】
図4の例において、発光領域525R、525G、525Bの形状(サイズを含む)は同一であるが、これらは異なっていてもよい。また、発光領域525R、525G、525Bのレイアウトも一例であって、他のレイアウトであってもよい。
【0034】
画素領域251内には、画素回路内に含まれる複数のTFT(TFTs)153R、153G及び153Bが配置されている。複数のTFTは、
図2A及び2Cを参照して説明した画素回路に含まれるTFTである。
図4の例において、TFTs153R、153G及び153Bは、それぞれ、赤副画素発光領域525R、緑副画素発光領域525G及び青副画素発光領域525Bの駆動制御のためのTFTsであり、それぞれ、一部が発光領域と重なっている。
【0035】
副画素発光領域を駆動制御するためのTFTsの配置は設計に依存する。画素領域251内に配置されているTFTsは、当該画素領域251外の有機発光素子の駆動制御を実行してもよい。トップエミッション型のOLED装置において、一般に、
図4の例に示すように、TFTsの少なくとも一部は、発光領域と重なる。一方、ボトムエミッション型のOLED装置において、後述するように、TFTsは発光領域と重なることなく、発光領域の外側に配置される。
【0036】
透明領域521は、表示パネルの後側から前側に可視光を透過させる。ユーザは、OLED表示装置10の前側において、表示画像を視認する。各画素領域251が透明領域521を含むことで、表示領域125の全体が、表示パネルの後側が見える透明領域と視認される。
【0037】
アクティブ領域522は、画素領域251における透明領域521の外側の領域である。上述のように、OLED発光素子(EL)及び画素回路内の複数のTFTは、アクティブ領域522内に配置されている。
【0038】
[様々な構造例]
図5は、円偏光パターンの構成例を示す。円偏光パターン400は、円偏光機能を有するパターンであり、内部に空隙431が存在する。円偏光パターン400は、円偏光機能を有する複数の部分411で構成されており、この部分411を本開示において円偏光要素と呼ぶ。
【0039】
円偏光パターン400は、表示領域125の前側に配置される。円偏光パターン400(円偏光要素411)は、外光を円偏光に変換し、内部の要素で反射された円編光の外光を遮蔽(吸収)する。円偏光パターン400(円偏光要素411)は、内部の発光素子ELからの発光光の一部及びOLED表示装置10の後側からの外光の一部を透過させる。
【0040】
図5において、円偏光要素411は島状であり、互いに離間している。つまり、円偏光要素411は、周囲を空隙431に囲まれている。円偏光要素411はマトリックス状に配置されている。
図5において、一つの円偏光要素のみが例として符号411で示され、円偏光パターンの内部空隙の一部のみが、例として、破線及び符号431で示されている。
図5は、円偏光要素の形状及びレイアウトの一例を示すに過ぎず、円偏光要素は、他の形状を有し、他のレイアウトで配置されてよい。
【0041】
図6は、画素領域251と円偏光パターン400(円偏光要素411及び空隙431)との位置関係例を示す。円偏光パターン400の一部を構成する円偏光要素411は、平面視において、アクティブ領域522の全域を覆う。円偏光要素411は、画素領域251の前側に位置している。円偏光要素411は、OLED表示装置10の前側から見て、アクティブ領域522の全域を覆う。
【0042】
アクティブ領域522は、発光領域525R、525G、525Bを含む。さらに、発光領域525R、525G、525Bそれぞれのアノード電極も、アクティブ領域522内に配置されている。つまり、アノード電極は、OLED表示装置10の前側から見て(平面視において)、アクティブ領域522内に収容されている。トップエミッション型OLED表示装置において、アノード電極は反射電極であり、外光を反射する。
【0043】
図6に示す例において、円偏光要素411はアクティブ領域522の全域を覆う。したがって、OLED表示装置10の前側から見て、発光領域525R、525G、525Bのアノード電極の全域が円偏光要素411に覆われている。この円偏光要素411により、アクティブ領域522内の全てのアノード電極による外光の反射光を抑制することができる。
【0044】
図5及び6に示すように、画素領域251の透明領域521の全域は、円偏光パターン400内の空隙431と重なっている。円偏光パターン400は、OLED表示装置10の後側から光の一部を遮蔽し得る。円偏光パターン400が透明領域521の外側のみに存在し、透明領域521の全域が空隙431内に存在するので、円偏光パターン400による透明領域521の透過率の低下を避けることができる。
【0045】
円偏光パターン400は、OLED表示装置10の前側から見て、透明領域521の一部と重なっていてもよい。透明領域521の少なくとも一部は、円偏光パターン400内の空隙431と重なる。透明領域521の少なくとも一部が、OLED表示装置10の前側から見て、円偏光パターン400内の空隙431と重なることで、円偏光パターン400による透明領域521の透過率の低下を小さくすることができる。
【0046】
図7は、画素領域251と円偏光パターンとの位置関係の他の例を示す。
図7は、円偏光パターンを構成する円偏光要素421の一部を示す。
図7においては、一つの円偏光要素のみが、例として、符号421で指示されている。
図7は、円偏光パターン内の空隙を明示していないが、円偏光要素421の外の全ての領域は円偏光パターン内の空隙である。
【0047】
離間した3つの円偏光要素421が、それぞれ、OLED表示装置10の前側から見て、アクティブ領域522の一部を覆う。具体的には、円偏光要素421は、それぞれ、発光領域525R、525G及び525Bの全領域及びそれら周囲の領域を覆う。後述するように、発光領域は、平面視において、アノード電極の内部に位置する。つまり、発光領域は、アノード電極の外形で確定される領域内に含まれている。アノード電極の外周は発光領域の外周を囲み、発光領域の全域はアノード電極の一部と重なる。
【0048】
図7に示す円偏光要素421は、それぞれ、OLED表示装置10の前側から見て、発光領域525R、525G及び525Bのアノード電極の全面を覆う。円偏光要素421の外形はアノード電極の外形と一致又はそれより大きい。円偏光要素421により、アクティブ領域522内の全てのアノード電極による外光の反射光を抑制することができる。
【0049】
図7に示すように、円偏光要素421の全域は、OLED表示装置10の前側から見てアクティブ領域522の一部と重なっている。円偏光要素421は、透明領域521の外側に配置されており、OLED表示装置10の前側から見てそれらは全く重なっていない。画素領域251の透明領域521の全域は、円偏光パターン内の空隙431と重なっている。このため、円偏光パターンによる透明領域521の透過率の低下を避けることができる。なお、透明領域521の一部が、円偏光要素421の一部と重なっていてもよい。
【0050】
図8は、OLED表示装置10の断面構造の例を模式的に示す。画素領域251内の透明領域521及びアクティブ領域522それぞれの一部における断面構造が示されている。アクティブ領域522において、一つのOLED素子が示されている。OLED表示装置10は、絶縁性の透明基板151上に、下部電極であるアノード電極162と、上部電極であるカソード電極166と、有機発光膜652とを含む。
【0051】
図8の構造は、有機発光膜652からの光を透明基板151の反対側に出射する。透明基板151は、例えばリジッドなガラス基板である。アノード電極162は、有機発光膜652からの光を反射する反射電極である。アノード電極162は、例えば、ITO、IZO、ZnO、In
2O
3等の透明膜、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr又はこれらの金属の反射膜、及び、上記透明膜の3層を含む。
【0052】
カソード電極166は、有機発光膜652からの光を封止基板200に向けて透過させる透明電極である。透明カソード電極166は、例えば、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、又はMgを蒸着して形成される。透明カソード電極166は、ITOの層を含んでもよい。
【0053】
図8において、カソード電極166は、例えば表示領域125の全域を覆うように形成されている。アノード電極162は、副画素毎に分離して形成されている。有機発光膜652からの光の一部は、アノード電極162によって反射され、カソード電極166を透過して、封止基板200を通って表示装置10の表示面に出射する。なお、アノード電極が上部透明電極であり、カソード電極が下部反射電極であってもよい。
【0054】
発光素子を駆動制御するためのTFT回路150が、アノード電極162と透明基板151との間の層に形成されている。TFT回路150上に、絶縁性の平坦化膜161が形成されている。平坦化膜161上に、アノード電極162が形成されている。アノード電極162は、平坦化膜161のコンタクトホールに形成されたコンタクト部によってTFT回路150内の駆動TFTのソース/ドレイン電極に接続されている。
【0055】
アノード電極162の上に、OLED素子を分離する絶縁性の画素定義層(Pixel Defining Layer:PDL)163が形成されている。OLED素子は、積層された、アノード電極162、有機発光膜652、及びカソード電極166を含む。画素定義層163の開口が、各副画素それぞれの発光領域を規定する。
【0056】
カソード電極166とアノード電極162との間に、有機発光膜652が配置されている。アノード電極162と有機発光膜652との間に、不図示の正孔供給膜が積層されていてもよい。正孔供給膜は、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層からなる又はそれら層の機能を有する1層以上の層からなる。カソード電極166と有機発光膜652との間に、不図示の電子供給膜が配置されていてもよい。電子供給膜は、例えば、電子注入層及び電子輸送層からなる又はそれら層の機能を有する1層以上の層からなる。
【0057】
TFT基板100と封止基板200とは所定の間隔で固定される。封止基板200は、透明でリジッドな絶縁基板であって、例えばガラス基板である。TFT基板100と封止基板200との間には空間が保持され、この空間に乾燥した空気等の気体が密封される。この密封構造により、水分等がOLED素子へ侵入して劣化するのを防いでいる。
【0058】
円偏光要素170(円偏光パターン)は、封止基板200の前面に配置されている。円偏光要素170は、封止基板200の後面に配置されてもよい。
図8に示すように、封止基板200の法線方向(平面視)において、つまり、OLED表示装置10の前側から見て、円偏光要素170は、アノード電極162の全面を覆う。
【0059】
円偏光要素170は、積層された1/4波長板173と直線偏光板171とを含む。直線偏光板171が前側で1/4波長板173が後側である。直線偏光板171と1/4波長板173の形状は平面視における形状は同一であり、これらの全域が互いに重なっている。
【0060】
直線偏光板171は、入射した外光において偏光軸に平行な偏光(直線偏光)のみを通過させる。1/4波長板173は、入射した直線偏光を円偏光に変換する。1/4波長板173からの円偏光の一部は、アノード電極162により反射される。アノード電極162の反射光は、入射光と逆に回転する円偏光である。反射光は、1/4波長板173を通過することで、直線偏光になる。この直線偏光は、直線偏光板171の偏向軸と垂直であり、直線偏光板171に吸収される。
【0061】
円偏光要素170は、有機発光膜652からの光を通過させる。円偏光要素170は、直線偏光板171を含むため、後側から入射した光の一部を遮蔽(吸収する)。
図8の構成例において、円偏光要素170の一部は、透明領域521の一部と重なっているが、透明領域521の大部分は、円偏光要素170と重なっていない。そのため、円偏光要素170による透明領域521の透過光の減少を小さくすることができる。
【0062】
図9は、封止基板200と異なる封止構造部を含むOLED表示装置10の構造例を示す。
図8に示す構造例との相違点を主に説明する。
図9の構造は、リジッドな透明基板151に代わり、透明フレキシブル基板152を含む。透明フレキシブル基板152は例えばポリイミドで形成されている。
図9で省略されているが、TFT回路150の層と透明フレキシブル基板152との間には、バリア層が形成される。バリア層は例えば窒化シリコン層である。
【0063】
さらに、封止構造部は、薄膜封止技術による封止膜250である。封止膜250は、無機膜と有機膜の積層構造を有する。封止膜250は、例えば、複数の無機膜と複数の有機膜とを含む。無機膜と有機膜が交互に積層されている。無機膜は酸素や水分の侵入を防ぐためのバリア膜であり、例えば、窒化シリコンや酸化アルミニウムである。無機膜は例えば、10nm程度である。有機膜は樹脂の平坦化膜である。有機膜は、例えば、2μm程度のアクリルである。
【0064】
封止膜250は、透明フレキシブル基板152上に積層されている。封止膜250は、カソード電極166の面上に成膜されている。無機膜は、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(物理気相堆積)、又はALD(原子層堆積)により成膜できる。
【0065】
円偏光要素170は、封止膜250の前面に配置されている。これにより、円偏光パターンの形成におけるOLED素子へのダメージを低減できる。円偏光要素170は、平面視において、同一形状の直線偏光板171と1/4波長板173とで構成されている。OLED表示装置10の前側から見て、円偏光要素170は、アノード電極162の全面を覆う。
【0066】
円偏光要素170は、OLED表示装置10の前側から入射し、アノード電極162により反射された外光を吸収することができる。透明領域521の大部分は、円偏光要素170と重なっておらず、円偏光要素170による透明領域521の透過光の減少を小さくすることができる。
【0067】
図10は、OLED表示装置10の他の構造例を示す。以下において、
図9に示す構造例との相違点を主に説明する。OLED表示装置10は、表示領域125の全域を覆う1/4波長板178と、分離形成された複数の直線偏光板176(直線偏光パターン)とを含む。一つの円偏光要素175は、一つの直線偏光板176と、1/4波長板178の一部であって当該直線偏光板176と重なる部分とで構成されている。1/4波長板178は封止膜250の全域を覆ってもよい。
【0068】
各直線偏光板176は、上述のように、OLED表示装置10の前側から見て、アノード電極162の全域又はアクティブ領域522の全域を覆う。直線偏光板176の一部は、透明領域521の一部と重なっているが、透明領域521の大部分は、直線偏光板176と重なっていない。
【0069】
1/4波長板178は、直線偏光板176を所望の位置にパターニングする際のウエットプロセスで、薬液に対するバリア膜として作用し、OLED素子又は封止膜250のウエットダメージを低減することができる。1/4波長板178は薄く、また、直線偏光板176のように透過光を減少させないため、1/4波長板178による透明領域521の透過光への影響は小さい。
【0070】
図11は、OLED表示装置10の他の構造例を示す。以下において、
図9に示す構造例との相違点を主に説明する。
図11の構造例において、透明領域521と重なる部分を除去するように、カソード電極181がパターニングされている。これにより、透明領域521の透過光量を増加させることができる。また、カソード電極181を厚くすることで、OLED素子のキャビティ効果を可能とする。例えば、副画素それぞれのカソード電極181は島状であってもよく、又はストライプ状のカソード電極の一部であってもよい。カソード電極181の一部は透明領域521の一部と重なっていてもよい。
【0071】
図12は、円偏光パターンの構成例を示す。円偏光パターン440は連続しており、格子状である。分離された複数の空隙471が、円偏光パターン440内部に存在する。円偏光パターン440の内の一つの空隙のみが、例として、符号471で示されている。円偏光パターン440は、連続する円偏光要素で構成されている。
【0072】
図12は、2種類の円偏光要素451及び452を破線で示す。2種類それぞれの一つの円偏光要素のみが符号451及び452で指示されている。円偏光要素451は、画素領域におけるアクティブ領域を覆う部分であり、円偏光要素452はTFT基板100の配線領域を覆う部分である。
【0073】
円偏光要素451は、画素領域と合うようにマトリックス状に配置されている。円偏光要素452は、Y軸に沿って延びており、Y軸に沿って配列された2列の円偏光要素451の間に存在する。空隙471は、2つの円偏光要素451と2つの円偏光要素452とに囲まれている。
【0074】
図13は、2つの画素領域251と円偏光パターン440との位置関係例を示す。円偏光パターン440は、平面視において、アクティブ領域522の全域を覆う。アクティブ領域522は、
図6を参照して説明した通りである。より具体的には、円偏光パターン440の一部を構成する円偏光要素451は、アクティブ領域522の全域を覆う。円偏光パターン440は、画素領域251の前側に位置している。円偏光パターン440は、OLED表示装置10の前側から見て、アクティブ領域522の全域を覆う。
【0075】
OLED表示装置10の前側から見て、発光領域525R、525G、525Bのアノード電極の全域が円偏光パターン440に覆われている。この円偏光要素451により、アクティブ領域522内の全てのアノード電極による外光の反射光を抑制することができる。
【0076】
円偏光パターン440は、さらに、画素領域251間の配線領域253を覆う。具体的には、円偏光要素452は、配線領域253を覆う。配線領域253は、TFT基板100において配線が延びている領域である。配線領域253には、例えば、電源線108や、カソード電極181に接続してカソード電位Vssを与える配線が形成される。または、
図14に示すように、表示領域125全域を覆うカソード電極166と表示領域125外のカソード電源線とを接続する補助配線169が形成される。補助配線169は、カソード抵抗による表示品質の低下を抑えることができる。
【0077】
電源線108や補助配線は、TFT回路150と同一層に形成され、例えば、Mo、Al、Ti、又はこれらの合金で構成される。そのため、配線領域253の配線は外光を反射する。円偏光パターン440は、OLED表示装置10の前側から見て、配線領域253内の配線の全面を覆うことで、配線による外光の反射光を抑制することができる。
【0078】
図5及び6に示すように、画素領域251の透明領域521の全域は、円偏光パターン440内の空隙471と重なっている。円偏光パターン440は、OLED表示装置10の後側から光の一部を遮蔽し得る。円偏光パターン440が透明領域521の外側のみに存在し、透明領域521の全域が空隙471内に存在するので、円偏光パターン440による透明領域521の透過率の低下を避けることができる。
【0079】
円偏光パターン440は、OLED表示装置10の前側から見て、透明領域521の一部と重なっていてもよい。透明領域521の少なくとも一部は、円偏光パターン440内の空隙471と重なる。透明領域521の少なくとも一部が、OLED表示装置10の前側から見て、円偏光パターン440内の空隙471と重なることで、円偏光パターン440による透明領域521の透過率の低下を小さくすることができる。
【0080】
なお、円偏光パターン440は、
図8~11を参照して説明したいずれの構造においても、円偏光パターン400に代えて使用することができる。
【0081】
図15はボトムエミッション型のOLED表示装置10の構造例を示す。OLED表示装置10の前側は、
図15における下側である。以下では、
図11に示す構造との相違点を主に説明する。
【0082】
アノード電極141は、透明電極であり、例えば、ITOで構成されている。カソード電極143は反射電極であり、例えば、アルミニウムで構成される。TFT基板100の透明フレキシブル基板152の前面に、透明フレキシブル基板323が貼り付けられている。透明フレキシブル基板323の前面に、複数の円偏光要素320からなる円偏光パターンが形成されている。円偏光パターンが形成された透明フレキシブル基板323が、TFT基板100の前面に位置合わせして貼り付けられる。
【0083】
円偏光要素320は、透明フレキシブル基板323の前面に積層された、直線偏光板321及び1/4波長板322を含む。直線偏光板321が前側であり、1/4波長板322が後側である。円偏光要素320は、OLED表示装置10の前側から見て、カソード電極143の全面を覆う。なお、透明フレキシブル基板323を省略し、透明フレキシブル基板152の前面に円偏光パターンを形成してもよい。
【0084】
図16はボトムエミッション型のOLED表示装置10の他の構造例を示す。以下では、
図15に示す構造との相違点を主に説明する。TFT基板100の内部、つまり、透明フレキシブル基板152と封止膜250との間に、円偏光パターンが形成されている。直線偏光板331及び1/4波長板332は、平坦化膜161とアノード電極141又は画素定義層163との間に積層されている。
【0085】
直線偏光板331が前側であり、1/4波長板332は後側である。アノード電極141とTFT回路150との間のコンタクト部が直線偏光板331及び1/4波長板332を貫通しているが、TFT回路150がOLED表示装置10の前側からの可視光を遮蔽する。したがって、OLED表示装置10の前側から見て、直線偏光板331及び1/4波長板332からなる円偏光要素は、カソード電極143の全面を覆う。
【0086】
TFTアレイ形成工程において、直線偏光板331及び1/4波長板332は、有機発光膜652の形成前に形成することができる。したがって、直線偏光板331及び1/4波長板332の形成による有機発光膜652へのダメージを避けることができる。なお、
図15及び16に示す円偏光パターンは、リジッドなボトムエミッション型OLED表示装置にも適用できる。
【0087】
図17は、OLED表示装置の他の構造例を示す。OLED表示装置10は、タッチセンサを含む。
図11に示す構造との相違点を主に説明する。タッチセンサは、封止膜250の前面に配置されている。タッチセンサは、複数の透明な上部電極601(前側電極)と、複数の透明な下部電極602(後側電極)と、上部電極601と下部電極602との間の透明な絶縁膜603とを含む。例えば、上部電極601及び下部電極602はITOで構成され、絶縁膜603は有機膜である。
【0088】
複数の上部電極601は、例えば、Y軸に沿って延び、X軸に沿って離間して配列されている。複数の下部電極602は、例えば、X軸に沿って延び、Y軸に沿って離間して配列されている。なお、タッチセンサは、どのような構造を有していてもよく、電極の形状及び配置も任意である。
【0089】
円偏光パターンは、タッチセンサの前面に積層されている。円偏光要素170は、積層された直線偏光板171と1/4波長板173で構成されている。タッチセンサの絶縁膜603は、円偏光パターンの形成による有機発光膜652へのダメージを低減することができる。
【0090】
図18は、OLED表示装置の他の構造例を示す。
図11に示す構造との相違点を主に説明する。円偏光要素350は、透明領域521とアクティブ領域522との境界における封止膜250の段差部357を覆う。具体的には、積層された直線偏光板351及び1/4波長板352は、段差部357を覆っている。これにより、段差部357の割れの可能性を小さくすることができる。
【0091】
[円偏光パターンの形成方法]
以下において、OLED表示装置の製造における、円偏光パターンの形成方法を説明する。TFT基板100、封止基板200及び封止膜250の製造プロセスは、公知の技術が使用することができる。
【0092】
図19は、円偏光パターンの形成方法の例を示す。当該方法は、封止膜上に円偏光板の材料を塗布し、パターニングすることで円偏光パターンを作成する。まず、当該方法は、封止膜250の全面に、1/4波長板802及び直線偏光板801を作成する(S101)。
【0093】
当該ステップは、まず、光重合性液晶材料膜を塗布し、当該塗膜にUV照射を施すことで重合・ポリマー化して、配向状態を固定化する。これにより、1/4波長板802が封止膜250上に形成される。次に、当該ステップは、配向PVA分子鎖に沿って二色性染料を吸着配向させた染料系直線偏光板801を1/4波長板802上に塗膜形成する。
【0094】
次に、当該形成方法は、直線偏光板801上にフォトレジストパターン810を形成し、フォトレジストパターン810内の空隙を介して、直線偏光板801及び1/4波長板802に紫外光を照射する(S102)。さらに、直線偏光板801及び1/4波長板802を現像して、円偏光パターン(円偏光要素170)を形成する(S103)。ステップS102は、フォトレジストパターンに代えてマスクを使用してもよい。
【0095】
図20は、円偏光パターンの形成方法の例を示す。当該方法は、封止膜250上の円偏光板をレーザアブレーションによりパターニングする。当該方法は、まず、封止膜250の全面に、1/4波長板802及び直線偏光板801を作成する(S201)。当該ステップは、
図19におけるステップS101と同様である。次に、当該形成方法は、直線偏光板801及び1/4波長板802にレーザ光を照射し(S202)、円偏光パターン(円偏光要素170)を形成する(S203)。
【0096】
図21は、円偏光パターンの形成方法の例を示す。当該方法は、円偏光パターン(円偏光要素170)が形成された透明フレキシブル基板260を封止膜250の前面に位置合わせして貼り付ける(S301)。これにより、封止膜250の前面に円偏光パターン(円偏光要素170)が配置される(S302)。円偏光パターン(円偏光要素170)は、透明フレキシブル基板260の前面に存在し、透明フレキシブル基板260の後面が封止膜250の前面に貼り付けられている。
【0097】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 OLED表示装置、100 TFT基板、105 データ線、106 走査線、107 エミッション制御線、108 電源線、109 基準電圧供給線、110 カソード電源線、114 カソード電極形成領域、125 表示領域、131 走査ドライバ、132 エミッションドライバ、133 保護回路、141 アノード電極、143 カソード電極、150 TFT回路、151 透明基板、152 透明フレキシブル基板、161 平坦化膜、162 アノード電極、163 画素定義層、166 カソード電極、170、175、320、350、411、421、451、452 円偏光要素、171、176、321、331、351、801 直線偏光板、173、178、322、332、352、802 1/4波長板、181 カソード電極、200 封止基板、250 封止膜、251 画素領域、253 配線領域、260 透明フレキシブル基板、300 接合部、323 透明フレキシブル基板、357 段差部、400、440 円偏光パターン、431、471 空隙、521 透明領域、522 アクティブ領域、525B 青副画素発光領域、525G 緑副画素発光領域、525R 赤副画素発光領域、601 上部電極、602 下部電極、603 絶縁膜、652 有機発光膜、810 フォトレジストパターン