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特許7300819最適化された範囲の選択的レーザーアブレーションシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】最適化された範囲の選択的レーザーアブレーションシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/36 20140101AFI20230623BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20230623BHJP
   B23K 26/08 20140101ALI20230623BHJP
【FI】
B23K26/36
B23K26/352
B23K26/08 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018202528
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2019111580
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-10-26
(31)【優先権主張番号】15/796,128
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バークレイ, リチャード チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ワイス, トレント ティー.
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン, フィリップ ローレンス
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522089(JP,A)
【文献】特表平10-508256(JP,A)
【文献】特開2016-137522(JP,A)
【文献】特開2014-101090(JP,A)
【文献】国際公開第2013/061587(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元表面のレーザーアブレーション表面処理の方法(200)であって、
取り除かれるべき表面(128)の3D仮想モデルを受信すること(202)、
前記表面(128)を横断する予備的なアブレーション経路(136)を生成するために一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)であって、前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上のウェイポイント位置(156)に関連付けられ、レーザーヘッド位置(152)、レーザーシート配向(154)、及び走査幅(150)を含む、一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)、
各ウェイポイント(134)の前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)に基づいて、適合したアブレーション経路(138)を生成するために前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化すること(206)
レーザーヘッドを用いて、前記適合したアブレーション経路(138)に従って前記表面(128)を取り除くこと(208)、並びに
取り除いている間、前記レーザーヘッドの走査幅を、前記適合したアブレーション経路の前記ウェイポイントのそれぞれの前記走査幅に一致するように調整し、レーザーフルエンス及びレーザー放射照度のうち1以上を所望の範囲内に維持するように、前記レーザーヘッドの走査速度及び横断速度のうち1以上を独立して変更すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記予備的なアブレーション経路(136)が、前記表面(128)を横断するラスター経路である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生成すること(204)が、前記表面(128)の二次元投影(126)を横断する前記予備的なアブレーション経路(136)を生成するために、前記一連のウェイポイント(134)を生成することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各ウェイポイント位置(156)が、前記表面(128)の二次元投影(126)上の投影位置(158)に対応し、前記一連のウェイポイント(134)の前記投影位置(158)のうちの隣り合うものが、前記表面(128)の前記二次元投影(126)において、200mm未満だけ離間している、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各ウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)が、前記表面(128)の二次元投影(126)を横断する各位置において、所定の許容限界の範囲内にある一定量の洗浄効果を生成するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、前記表面(128)の二次元投影(126)に直交する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、又は前記走査幅(150)のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記ウェイポイント位置(156)を制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記最適化すること(206)が、全てのウェイポイント(134)における一定量の洗浄効果が所定の許容限界の範囲内になるまで実行される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント位置(156)のうちの1以上における一定量の洗浄効果が、所定の許容限界の外側にあると判定することを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記適合したアブレーション経路(138)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、対応する前記ウェイポイント(134)の前記ウェイポイント位置(156)において、前記表面(128)に垂直である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
レーザーアブレーションシステム(100)であって、
請求項1に記載の方法を実行するようにプログラムされているコントローラと、
レーザービーム(118)を放出するように構成されたレーザー(102)、
前記レーザービーム(118)をレーザーシート(120)として表面(128)上に供給するように構成されたレーザーヘッド(104)、及び
前記表面(128)と前記レーザーシート(120)の相対的な位置を調整するように構成されたレーザー位置決め装置(106)、
を備える、レーザーアブレーションシステム。
【請求項13】
前記レーザー位置決め装置(106)が、ガントリー又はロボット式位置決め器のうちの少なくとも一方を備える、請求項12に記載のレーザーアブレーションシステム。
【請求項14】
前記表面(128)が、加工対象物(124)の表面であり、前記加工対象物(124)が、型、構造、マンドレル、輸送体、又は構造的構成要素である、請求項12又は13に記載のレーザーアブレーションシステム。
【請求項15】
前記表面(128)が、金属、セラミック、ポリマー材料、ガラス、複合材料、又は炭素繊維強化ポリマーのうちの1以上から成る、請求項12から14のいずれか一項に記載のレーザーアブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、最適化された範囲(coverage)の選択的レーザーアブレーションシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーアブレーションは、表面の汚染物又は層を除去するために表面にレーザーエネルギーを印加することによって表面を洗浄し又はリフレッシュする方法である。レーザーは、下層の表面材料が損傷を受けない状態で表面の汚染物又は層を選択的に取り除く(ablate:アブレートする)又は除去するように調整される。レーザーアブレーションの効果は、実質的に、表面で吸収されるレーザーエネルギーによるものである。十分な量の汚染物が除去される一方で下層表面が損傷を受けないままであることを保証するために、適正な量のエネルギーが印加されるべきである。
【0003】
レーザーアブレーションの効果は、レーザー放射照度(レーザー出力の表面密度)、レーザーフルエンス(蓄積されたレーザーエネルギーの表面密度)、レーザー波長、取り除かれるべき材料(表面の汚染物又は層)、表面の材料、及び表面の形状などの、要因によって決定される。特に、大きい表面及びかなりの3D(三次元)形状を有する表面に対して、表面の基本的なラスター走査は、潜在的に過剰に又は過少に取り除かれ得るエリアを生み出し得る。その原因は、例えば、表面輪郭と矩形のラスター形状との間のミスマッチによるものである(矩形のラスター形状は、例えば、表面の端部を取り除かない又は表面の端部を超えて支持構造体を取り除く)。更にその原因は、表面の特徴によるシャドーイングによるものである(例えば、過少に取り除かれる表面エリアは近傍の突出によって覆い隠されている)。且つ/又は、更にその原因は、レーザーエネルギーの不均一な印加によるものである(例えば、湾曲した表面を横断するレーザービームの非線形な横断時間に基づいて、湾曲した表面を過剰に又は過少に取り除く)。
【0004】
したがって、従来のレーザーアブレーションは、殊に、取り除かれるべき表面がレーザーシートの幅に対して大きくなるとき、及び、表面がかなりの3D特徴を含むときに、過剰なアブレーション及び過少なアブレーションを被ることになる。
【発明の概要】
【0005】
最適化された範囲の選択的レーザーアブレーションシステム及び方法が、三次元表面を処理する(取り除く)ために利用され得る。方法は、取り除かれるべき表面の3D仮想モデルを受信すること、予備的なアブレーション経路を生成すること、及び適合したアブレーション経路を生成するために予備的なアブレーション経路を最適化することを含む。該方法は、適合したアブレーション経路に従って表面を取り除くことを含み得る。予備的なアブレーション経路は、表面の二次元投影を横断してレーザーシートを走査させることに基づき得る。その最適化は、予備的なアブレーション経路の1以上のウェイポイント(通過点)を調整して、表面の外側のアブレーションがほとんど或いは全くない状態で、且つ、表面を取り除くための許容可能な(例えば、少なくとも局所的に最小の)時間で、許容可能なレベルのアブレーションで表面を完全にカバーすること(coverage)を実現し得る。
【0006】
レーザーアブレーションシステムは、レーザー、レーザー走査ヘッド、及びレーザー位置決め装置を備える。レーザーアブレーションシステムは、概して、レーザー、レーザー走査ヘッド、及び/又はレーザー位置決め装置を制御するように構成された、コントローラも含む。レーザーは、レーザー走査ヘッドによって供給されるレーザービームをレーザーシートとして、取り除かれるべき表面に放出するように構成されている。レーザー位置決め装置は、レーザーシート及び表面の相対的な位置及び/又は配向を調整するように構成されている。コントローラは、表面の3D仮想モデルを受信し、予備的なアブレーション経路を生成し、適合したアブレーション経路を生成するために予備的なアブレーション経路を最適化し、適合したアブレーション経路に従って表面を取り除くようにプログラムされている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示による、レーザーアブレーションシステムの概略ブロック図である。
図2】表面を取り除いている例示的なアブレーションシステムの概略斜視図である。
図3】予備的なアブレーション経路を示す例示的なレーザーアブレーションシステムの概略側面図である。
図4】適合したアブレーション経路を示す例示的なレーザーアブレーションシステムの概略側面図である。
図5】本開示による、レーザーアブレーションの方法の概略図である。
図6】本開示による、計算デバイスの概略図である。
図7】航空機の製造及び保守方法のブロック図である。
図8】航空機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図8は、最適化された範囲の選択的レーザーアブレーションのためのシステム及び方法を示している。概して、図面では、所与の実施形態に含まれる可能性が高い要素は実線で示されているが、任意選択的又は代替的な要素は破線で示されている。しかし、実線で示される要素が本開示の全ての実施形態に必須というわけではなく、本開示の範囲を逸脱しなければ、実線で示される要素が特定の実施形態から省略されることもある。類似の目的又は少なくとも実質的に類似の目的を果たす要素には、図面を通して一貫した番号が付されている。図面の各々における類似の番号及び対応する要素は、図面の各々を参照して、本明細書で詳細に説明されることはないだろう。同様に、図面の各々において全ての要素が符号を付けられ又は示されるわけではないが、それらに関連する参照番号は一貫して使用され得る。図面のうちの1以上を参照して説明される要素、成分、及び/又は特性は、本発明の範囲から逸脱することなく、図面の何れかに含まれ且つ/又は図面の何れかで使用され得る。
【0009】
図1及び図2で概略的に表されているように、レーザーアブレーションシステム100は、加工対象物124の表面128にレーザーシート120を印加することによって表面128を洗浄又はリフレッシュするように(すなわち、レーザーアブレーションによって表面128を取り除くように)構成されている。レーザーアブレーションシステム100は、レーザー102、レーザー走査ヘッド104、及びレーザー位置決め装置106を含む。レーザーアブレーションシステム100は、概して、レーザー102、レーザー走査ヘッド104、及び/又はレーザー位置決め装置106を制御するように構成された、コントローラ110も含む。
【0010】
レーザー102は、レーザービーム118を放出するように構成されている。レーザー走査ヘッド104は、レーザービーム118を受信し、レーザービーム118をレーザーシート120として(加工対象物124の表面128を取り除くために)表面128に供給するように構成されている。レーザー走査ヘッド104は、レーザーシート120の走査幅150(図2)を調整及び/又は選択するように構成されている。走査幅150は、表面128に入射するレーザーシート120の幅であり、概して、走査方向144に延在する。レーザー位置決め装置106は、少なくとも横断方向146において、表面128に対してレーザーシート120の位置を調整するように構成されている。レーザー走査ヘッド104とレーザー位置決め装置106のうちの一方又は両方が、表面128に対してレーザーシート配向154(図2)を調整及び/又は選択するように構成されている。レーザーシート配向154は、(ウェイポイント位置156によって示されている、レーザーシート120の中央における)表面128上のレーザーシート120の入射角度を含み、走査方向144に対する走査幅150の相対角度(すなわち、走査幅150が、走査方向144と横断方向146の平面内で作る角度)を含む。レーザー走査ヘッド104は、表面128上のレーザーシート120の相対位置を調整及び/又は選択するように構成され得る。
【0011】
従来のレーザーアブレーションでは、レーザーが、一定の操作パラメータ(例えば、走査幅及びレーザーシート配向)を用いて操作され、取り除かれるべき表面の矩形状領域の全体にわたり走査する。レーザーは、一定の速度で、且つ一定の走査幅を有する各走査線(レーザーシート)を用いて、ラスター方式で走査する。(アブレーションが望ましい)関心対象領域が、非矩形状、不規則、又はかなりの3D特徴を有するならば、従来のレーザーアブレーションは、あるエリアでは過剰な出力及び/若しくはエネルギーを印加し、且つ/又は、他のエリアでは十分でない出力及び/若しくはエネルギーを印加することとなる。
【0012】
図1及び図2では、表面128が、不規則な特徴及び/又はかなりの3D特徴の例として、隆起及び/又は溝を有するように示されている。更に又は代替的に、表面128は、(図2の実施例で示されているように)非矩形状の輪郭を有し得る。図1の実施例の表面128を取り除くために、従来のレーザーアブレーションシステムでは、レーザーが、一定の速度で隆起/溝を横断して(横断方向146に)走査し得る。それにより、隆起/溝の端部における壁に沿って過少の出力及びエネルギーが加えられる事態をもたらす。レーザーアブレーションにより過少に取り除かれる壁を完全に整えるために、更なる処理が必要とされ得る。更に、表面の非矩形状の輪郭は、表面の端部を超えてレーザー出力及びエネルギーを印加することをもたらし得る。それは、取り除かれた表面を有する加工対象物のための支持構造体を過剰に取り除く場合がある。領域を過剰に取り除く時間、(過少なアブレーションのために必要とされる)表面の再処理の時間、及び表面を超えて走査する時間は、全て、アブレーション処理の効果を低減させる(表面を取り除くための全時間に不必要な時間を追加する)。
【0013】
表面128は、レーザーアブレーションシステム100によるレーザーアブレーションによって洗浄又はリフレッシュされるべき加工対象物124の表面である。加工対象物124は、レーザーアブレーションシステム100の加工対象物であり、必ずしも形成されているプロセス中の構造体ではない。加工対象物124の例は、型、構造(form)、マンドレル、輸送体、構造的構成要素、及びそれらの要素を含む。概して、加工対象物124は、金属及び/又はセラミックなどの、硬い且つ/又は弾力性のある材料を含む。表面128は、実質的に金属及び/又はセラミックの表面であり得る。加工対象物124及び/又は表面128は、ポリマー材料、ガラス、及び/又は複合材料を含み得る。例えば、加工対象物124は、炭素繊維強化ポリマーを含み得る。表面128及び/又は加工対象物124は、大きく、例えば、航空機の胴体などの輸送体の全部若しくは一部であり、又は航空機の主翼などの構成要素の全部又は一部を形成するための型であり得る。表面128は、5m(平方メートル)より大きい、10mより大きい、20mより大きい、且つ/又は200m未満の表面積を有し得る。表面128は、2m(メートル)より大きい、5mより大きい、10mより大きい、且つ/又は100m未満の長さ(最も長い寸法)を有し得る。
【0014】
表面128は、各々、表面128の連続的な表面領域である1以上のエリア130を含み得る。レーザーアブレーションシステム100及び/又はコントローラ110は、表面128のエリア130を取り除くように構成されている。組み合されて、エリア130の全ては、必ずしも、表面128の全体、又は表面128の1以上の面、ファセット、及び/若しくは平面の全体ではない。すなわち、レーザーアブレーションシステム100は、集合的なエリア130によって指定されるような表面128の一部分をレーザーで取り除くように構成され得る。エリア130の各々は、種々のアブレーションパラメータを用いてレーザーで取り除かれ得る。エリア130の外側の表面128の領域は、排除された区域又は排除区域として指定され得る。そこでは、アブレーションが生じない。
【0015】
エリア130は、各々、表面128の異なる領域である。エリア130は互いに連続し、1以上のエリア130は他のエリア130から分離され、且つ/又は2以上のエリア130は部分的に重なっていてもよい。レーザーシート120は、エリア130の間で実質的に連続的に且つ順番に移動するように、レーザーアブレーションシステム100によって(例えば、レーザー位置決め装置106によって)導かれる。したがって、概して、エリア130の全部が走査されるまで、エリア130のうちの1つの完了の後に、エリア130の別の1つの開始が継続する。
【0016】
レーザーアブレーションシステム100は、特に、不規則な表面形状及び/又は表面の突出(すなわち、非平坦な形状及び/又は非矩形状の突出)を受け入れるように構成されている。すなわち、表面128、及び/又はエリア130のうちの少なくとも1つは、非平坦であり且つ/又は非矩形状の輪郭を有し得る(その輪郭は、それぞれの表面128及び/又はエリア130の平均的な表面法線と平行な方向における2D(二次元)投影、例えば、走査方向144と横断方向146の表面の中への投影である)。したがって、表面128は、3D表面及び/又は3D特徴を有する表面と称され得る。
【0017】
本明細書で更に説明されるように、コントローラ110は、計算デバイスであり、本明細書で更に説明される方法の1以上を実行するようにプログラムされ得る。コントローラ110は、レーザーシート120によって表面128のカバー計画(coverage planning)を実行するようにプログラムされている。このカバー計画のプロセスは、過剰なアブレーション及び指定されたエリア130の外側のアブレーションを緩和及び/又は最小化する一方で、十分なレーザーエネルギー及び出力が表面128を効率的に取り除くように使用されることを保証しようとするものである。カバー計画は、予備的なアブレーション経路136(一連のウェイポイント134、例えば、図3)を生成すること、及び、ウェイポイント134の1以上のアブレーションパラメータを調整して、全体のアブレーション経路を横断する許容可能なレーザーアブレーションを実現すること(任意選択的に、ウェイポイント134を追加又は消去すること)を含む。アブレーションパラメータの調整は、概して、最適化と称されるが、ある実施形態は、計算による最適化ではなく且つ/又は反復的ではない技法を利用することができる。アブレーションパラメータの調整は、表面128及び/又はエリア130の3D仮想モデルに基づき、適合したアブレーション経路138(予備的なアブレーション経路136に対して調整された一連のウェイポイント134、例えば、図4)をもたらす。コントローラ110は、表面128(及び/又はエリア130)の3D仮想モデルを受信し、表面128を横断するレーザーシート120の予備的なアブレーション経路136を生成し、適合したアブレーション経路138を生成するために予備的なアブレーション経路136を最適化(調整)し、且つ/又は適合したアブレーション経路138に従ってレーザーシート120を用いて表面128を取り除く、ようにプログラムされている。
【0018】
表面128(及び/又はエリア130)の3D仮想モデルは、表面128及び/又は加工対象物124を描写する表面、境界、及び/又はポイントの電子描写であり得る。例えば、3D仮想モデルは、CAD(コンピュータ援用設計)モデル、境界表現、及び/又は表面のテセレーションであり得る。3D仮想モデルは、指定される、製造される、且つ/又は使用される、表面128及び/又は加工対象物124のモデル(すなわち、意図された設計に基づくモデルであるよりもむしろ、実際の表面128及び/又は加工対象物124に基づくモデル)であり得る。
【0019】
3D仮想モデルは、1以上のエリア130を示し且つ/又は指定し得る。3D仮想モデルは、全体の表面128に対するアブレーションの目標量と関連付けられ得る。更に又は代替的に、エリア130は、アブレーションの目標量と関連付けられ得る。各エリア130は、同じ目標を有し得る。個別のエリア130又はエリア130の群は、異なる目標を有し得る。
【0020】
3D仮想モデルは、表面128の画像(又は表面128の他の寸法)に基づき得る。表面128の画像(又は他の寸法)は、表面128上で実際存在するような、表面128の形状及び/又は構造についての情報を提供し得る。設計データに基づく3D仮想モデルは、製造又は使用の後で、表面128の現在の形状及び/又は構造を反映していない場合がある。
【0021】
3D仮想モデルは、表面128に対するレーザー走査ヘッド104の位置及び/又は配向を決定することを容易にし得る。例えば、3D仮想モデルは、レーザーシート配向154、走査間隔148、及び/又は本明細書で更に説明される他の制御可能なパラメータ、を規定及び/又は維持するために使用される。
【0022】
コントローラ110は、任意選択的にレーザーアブレーションシステム100のオペレータからの(直接的又は間接的な)リクエストに基づいて、仮想加工対象物のデータベース又は3D仮想モデルの他の保存場所から3D仮想モデルを受信し得る。コントローラ110は、レーザーアブレーションシステム100に配置された加工対象物124の検出の際に3D仮想モデル(例えば、取り除かれるべく位置決めされた加工対象物124を示す画像)を受信し得る。
【0023】
コントローラ110は、予備的なアブレーション経路136を生成するようにプログラムされている。予備的なアブレーション経路136は、表面128の基本的若しくは単純な描写及び/又は表面128の適切なアブレーションのための要件に基づくアブレーション経路である。予備的なアブレーション経路136は、標準的にサイズ決定され且つ形作られた加工対象物に基づき、且つ/又は3D仮想モデルに基づき得る。
【0024】
図3で示されているように、予備的なアブレーション経路136は、表面128を取り除くためにそこを通ってレーザーシート120が移動し得るところの一連のウェイポイント134である。各ウェイポイント134は、ウェイポイント位置156、走査幅150、レーザーヘッド位置152、レーザーシート配向154、及び走査間隔148などの、調整可能且つ/又は選択可能なアブレーションパラメータによって特徴付けられる。
【0025】
予備的なアブレーション経路136は、表面128の2D投影126をカバーし得る横断方向146におけるウェイポイント134の間の一連の走査であり得る。2D投影126は、表面128の平均表面法線(又は名目上の表面法線)と平行な方向における表面128の投影、例えば、走査方向144と横断方向146の平面の中への投影である。図3及び図4では、走査方向144が、紙面と直交し得るために示されていない。2D投影126は平坦であるため、レーザーシート120による2D投影126の均一なカバーは、(3D特徴を有する)表面128を均一にカバーすることができないだろう。
【0026】
予備的なアブレーション経路136は、1以上のパラメータの種類に対する均一な、デフォルトの、最小な、及び/又は最大の値を有する、ウェイポイント134から生成され得る。例えば、予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134は、2D投影126に沿って均一に分布し得る(すなわち、投影位置158が、均一に分布している)。他の実施例として、予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134は、均一な走査幅150(例えば、最大の走査幅、最小の走査幅、又は名目上の走査幅)を有し得る。予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134は、全てが2D投影126に対して垂直な(直交する)レーザーシート配向154を有し得る。均一な値は、それとは異なるように特定されていなければ、10%未満の変動係数を有し得る。
【0027】
ウェイポイント134は、表面128及び/又は2D投影126を適切にカバーするために、表面128及び/又は2D投影126を横断して密に間隔を空けられ得る。更に又は代替的に、多数のウェイポイント134は、アブレーション経路(予備的なアブレーション経路136及び/又は適合したアブレーション経路138)のより微細な制御を可能にし得る。ウェイポイントのうちの隣り合うもの(すなわち、一連のウェイポイント134のうちの次のもの及び前のもの)のウェイポイント位置156及び/又は投影位置158は、それぞれの表面128及び/又は2D投影126上で、200mm未満、100mm未満、又は50mm未満だけ離間し得る。
【0028】
ウェイポイント位置156及び投影位置158は、それぞれの表面128及び2D投影126上の、レーザーシート120の断面中央の位置である。ウェイポイント位置156は、表面128上のレーザーシート120の断面中央の3D位置(すなわち、直交座標)によって特徴付けられ、且つ/又は表面128上のレーザーシート120の断面中央の相対的な2D表面座標によって特徴付けられ得る。投影位置158は、表面128の2D投影126内のレーザーシート120の断面中央の3D位置(すなわち、直交座標)によって特徴付けられ、且つ/又は2D投影126内のレーザーシート120の断面中央の相対的な2D表面の座標(すなわち、2D投影126の平面内の2D位置)によって特徴付けられ得る。更に又は代替的に、ウェイポイント位置156及び投影位置158は、ウェイポイント位置156及び投影位置158に影響を与える1以上の構成要素、すなわち、レーザー位置決め装置106、レーザー走査ヘッド104、及び/又はそれらの位置決め構成要素の、局所的な座標によって特徴付けられ得る。例えば、特定のウェイポイント位置156は、レーザー位置決め装置106の特定のモータ及び/又はステージの位置に対応し得る。
【0029】
レーザーシート配向154は、ウェイポイント位置156における表面128に対する(又は、ある実施形態では、予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134に対する投影位置158における2D投影126に対する)レーザーシート120の断面中央の角度配向を含む。レーザーシート配向154は、走査方向144に対するレーザーシート120の走査幅150の角度配向(すなわち、走査方向144と横断方向146の平面内で走査幅150が作る角度)も含む。レーザーシート配向154は、ロール、ピッチ、及びヨーなどの、表面128(又は2D投影126)に対するレーザーシート120の角度位置によって特徴付けられ得る。レーザーシート配向154は、少なくとも部分的にレーザー走査ヘッド104及び/又はレーザー位置決め装置106によって制御され得る。例えば、ある実施形態では、レーザー走査ヘッド104が、レーザー走査ヘッド104に対して固定された、すなわち、静的な配向でレーザーシート120を放出し得る。そのような実施形態では、レーザー位置決め装置106が、レーザーシート配向154を完全に制御することができる。別の実施例では、レーザー走査ヘッド104が、制限された範囲のチルト角にわたり、レーザー走査ヘッド104に対してレーザーシート120を傾けることができる。そのような実施形態では、レーザー位置決め装置106が、全体的な配向(global orientation)を制御することができ、レーザー走査ヘッド104が、全体的な配向に対して局所的な配向を制御し得る。したがって、レーザーシート配向154は、レーザー走査ヘッド104とレーザー位置決め装置106の両方の局所的な配向(例えば、ロール、ピッチ、及び/又はヨー)によって特徴付けられ得る。更に又は代替的に、レーザーシート配向154は、レーザーシート配向154に影響を与える1以上の構成要素の局所的な座標によって特徴付けられ得る。例えば、特定のレーザーシート配向154は、レーザー位置決め装置106及び/又はレーザー走査ヘッド104の特定のモータ及び/又はステージの位置に対応し得る。
【0030】
レーザーヘッド位置152は、概して、ウェイポイント位置156及び/又は投影位置158に対応するが、レーザーシート120ではなくレーザー走査ヘッド104の3D位置である。レーザーシート120は、レーザー走査ヘッド104から放出され、レーザー走査ヘッド104によって走査方向144及び/又は横断方向146に位置決めされ得る。すなわち、ウェイポイント位置156及び/又は投影位置158の局所的な位置は、(概して、制限された範囲内で)レーザー走査ヘッド104によって制御され得る。レーザーヘッド位置152は、レーザー位置決め装置106によって制御され、(その範囲内で、レーザー走査ヘッド104が、ウェイポイント位置156の局所的な位置を決定し得るところの)ウェイポイント位置156の全体的な位置を決定する。レーザーヘッド位置152は、レーザーアブレーションシステム100の全体的な座標に対するレーザー走査ヘッド104の基準位置によって特徴付けられ得る。更に又は代替的に、レーザーヘッド位置152は、レーザー位置決め装置106及び/又はその構成要素の局所的な座標によって特徴付けられ得る。例えば、特定のレーザーヘッド位置152は、レーザー位置決め装置106の特定のモータ及び/又はステージの位置に対応し得る。
【0031】
走査間隔148は、(レーザーシート120が放出される)レーザー走査ヘッド104と、表面128(又は、ある実施形態では、予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134に対する2D投影126)と、の間の距離である。走査間隔148は、ウェイポイント位置156(又は投影位置158)と、レーザー走査ヘッド104からレーザーシート120が現れる際のレーザーシート120の断面中央と、の間の距離によって特徴付けられる。走査間隔148は、レーザーヘッド位置152及び/又はレーザーヘッド位置152を特徴付けた基本的な座標によって特徴付けられ得る。
【0032】
走査間隔148は、レーザー走査ヘッド104と表面128との間の何もない空間を特定及び/又は規定し得る。更に又は代替的に、走査間隔148は、アブレーション効率に関連し得る。ある実施形態では、レーザーシート120が、そこでレーザーエネルギー及び出力が最も集中し得るところの焦点距離を有する。焦点距離に表面128を配置すること(すなわち、焦点距離と実質的に等しい走査間隔148を作ること)は、(所与のレーザーシート配向154に対して)最も大きい量のエネルギー及び出力をレーザーシート120から引き出すことができる。
【0033】
アブレーション効果とも称される、洗浄の効果は、表面128の特定の位置におけるアブレーションの速度、すなわち、単位時間当たりに達成されるアブレーションの量である。したがって、洗浄の効果は、アブレーションの量とアブレーションの速度を包含する。概して、特定の位置における洗浄の効果は、レーザーエネルギー、レーザー出力、レーザーフルエンス(レーザーエネルギーの表面密度)、レーザー放射照度(レーザー出力の表面密度)、及び表面128の特定の位置におけるレーザーシート120の滞留時間によって影響を受ける(したがって、それらを含むものであると列挙され得る)。平均出力、繰り返し率、パルス幅、ピーク出力、波長などの、レーザーパラメータが、アブレーション効率に影響を与える。走査間隔148を変更することは、表面128上に多かれ少なかれレーザーエネルギー及び/又は出力を集中させることによって、したがって、レーザーフルエンス及び/又はレーザー放射照度を変更することによって、アブレーション効率に影響を与え得る。走査幅150を変更することは、(例えば、一定の速度でレーザービーム118を走査させることによって、如何にしてレーザーシート120が生成されるかに応じて)レーザーシート120によって衝突されるエリア、レーザーシート120内のエネルギー、及び/又はレーザーシート120内の出力を変更することによって、アブレーション効率に影響を与え得る。したがって、走査幅150を変更することは、レーザーエネルギー、レーザー出力、レーザーフルエンス、及び/又はレーザー放射照度を変更し得る。レーザーヘッド位置152及び/又はウェイポイント位置156の間の距離を変更することは、レーザーシート120の滞留時間を変更すること、したがって、レーザーエネルギー、レーザー出力、レーザーフルエンス、及び/又はレーザー放射照度を変更することによって、アブレーション効率に影響を与え得る。レーザーシート配向154、特に、レーザーシート120の入射角度を変更することは、レーザーシート120によって衝突される表面エリア、したがって、レーザーフルエンス及び/又はレーザー放射照度に影響を与え得る。
【0034】
コントローラ110は、予備的なアブレーション経路136を最適化(調整)し、予備的なアブレーション経路136が提供し得るよりも効率的な表面128のアブレーションを実現するようにプログラムされている。この最適化は、(表面128の単純なモデル及び/又はアブレーションの制約に基づく)予備的なアブレーション経路136を、(例えば、3Dの幾何学的形状、非矩形状の表面の輪郭、異なるエリア130内の目標アブレーションにおける変動、及び/又は取り除かれるべきではない表面128の区域、を包含する)実際の表面128及びアブレーションの制約に適合させる。最適化は、予備的なアブレーション経路136が許容可能(例えば、十分に効率的)であるか否かを特定することを含み得る。予備的なアブレーション経路136が許容可能ではないと仮定すれば、コントローラ110は、図4で概略的に表されているように、(予備的なアブレーション経路136のウェイポイント134を最適化して、許容可能な解決法を実現することに基づいて)適合したアブレーション経路138を生成し得る。
【0035】
概して、最適化は、各ウェイポイント134に対する、走査間隔148、走査幅150、レーザーヘッド位置152、レーザーシート配向154、及び/又はウェイポイント位置156を修正し得る。最適化の目標は、概して、エリア130を横断するアブレーションの許容可能なレベルで、エリアの外側130でほとんど又は全くアブレーションがなく、且つカバーされたエリア130を取り除くための許容可能な(例えば、少なくとも局所的に最小の)時間で、指定されたエリア130(例えば、全体の表面128)の完全なカバーを実現することである。
【0036】
完全なカバーは、(エリア130のうちの1以上に対して異なり得る)目標範囲内で、レーザーエネルギー、レーザー出力、レーザーフルエンス(レーザーエネルギーの表面密度)、及び/又はレーザー放射照度(レーザー出力の表面密度)を受ける、エリア130のうちの一部分によって特徴付けられ得る。(すなわち、表面128の領域が、任意のレーザーエネルギーを受ける)カバーの幾何学的な態様は、ウェイポイント位置156、レーザーヘッド位置152、及び/又は走査幅150によって影響を受け、概して、より低い程度においてレーザーシート配向154及び/又は走査間隔148によって影響を受け得る。カバーのアブレーション効率の態様(すなわち、十分なレーザーエネルギーを受けることなど)は、レーザーシート配向154(特に、入射角度)及び/又は走査間隔148によって影響を受け、より低い程度において走査幅150によって影響を受け得る(より狭い又はより広い走査幅150は、レーザーエネルギー及び/又は出力の密度に影響を与え得る)。
【0037】
アブレーションの外側のエリア130は、エリア130の外側で取り除かれた全(及び/又は全相対的な)表面エリアによって特徴付けられ得る。全相対的な表面エリアは、エリア130のうちの表面エリアの全てに対するものであり得る。アブレーションの外側のエリア130は、エリア130の外側の領域に供給されるエネルギー及び/又は出力の全ての量によって特徴付けられ得る。エネルギー及び/又は出力の全ての量は、(位置によって変動し得る)所与の閾値よりも大きい各ポイントでの量として評価され得る。例えば、最適化は、表面128の部分ではない他の位置に対して、表面128の排除区域(エリア130の部分ではない区域)内で低い閾値を有することによって、排除区域内でのアブレーションに対してより敏感になり得る。アブレーションの外側のエリア130は、ウェイポイント位置156、レーザーシート配向154、レーザーヘッド位置152、走査幅150、及び/又は走査間隔148によって影響を受け得る。
【0038】
カバーされたエリア130を取り除くための許容可能な時間は、表面128(エリア130の全て)を処理するための全時間、予備的なアブレーション経路136に対する適合したアブレーション経路138の差分時間又は相対的な処理時間によって特徴付けられ得る。カバーされたエリア130を取り除くための許容可能な時間は、レーザーアブレーションシステム100の全てのアクチュエータ(又は、レーザー位置決め装置106及びレーザー走査ヘッド104などの、その1以上の構成要素)の全ての動きによって特徴付けられ得る。全ての動きは、使用される全電流によって評価され得る。カバーされたエリア130を取り除くための許容可能な時間は、ウェイポイント位置156、レーザーシート配向154、レーザーヘッド位置152、走査幅150、及び/又は走査間隔148によって影響を受け得る。
【0039】
最適化は、勾配降下、確率的最適化、逐次二次計画などの、様々な非線形最適化アルゴリズムのうちの何れかを使用して実行され得る。最適化問題は、以下の形態を採り得る。すなわち、
ここで、qは、N個のウェイポイントを有するアブレーション経路であり、q(n)は、qのうちのn番目のウェイポイントを指し、h(q(n))は、特定のウェイポイントの費用(例えば、そのウェイポイントで消費された時間)を返すウェイポイントの費用関数であり、g(q)は、全体としての完全な経路の費用(例えば、許容可能なレベルのアブレーションを用いた、指定されたエリア130のカバーの測定値)を返す経路費用関数である。最適化は、最小化問題又は最大化問題として実施され得る。ウェイポイント及び費用経路関数は、所望の最適化目標を達成し得る測定値、閾値、及び/又は目標値のうちの何れかを包含し得る。
【0040】
ウェイポイント134の最適化は、アブレーション経路を再計画することとして言及され、非反復式及び/又は非最適化技術(すなわち、計算上の最適化ではない技術)を含み得る。例えば、コントローラ110は、印加されたエネルギーが許容範囲を超え得る(すなわち、許容範囲よりも大きい又は小さい)ウェイポイント134を特定するようにプログラムされ得る。許容不可能なエネルギーを有する予備的なアブレーション経路136内のそれらのウェイポイント134に対して、コントローラ110は、レーザーシート配向154、走査間隔148、及び/又は走査幅150を調整して、目標エネルギーを実現するように構成され得る。
【0041】
最適化プロセス中に、調整されているパラメータの各々は、有効範囲に限定され得る。例えば、走査幅150は、レーザー走査ヘッド104の物理的な限界に相当する最大値及び最小値を有し得る。
【0042】
コントローラ110は、適合したアブレーション経路138の一連のウェイポイント134のパラメータを連続的に適用することによって、レーザー走査ヘッド104に表面128を横断してレーザーシート120を移動させるようにプログラムされ得る。すなわち、レーザー102、レーザー走査ヘッド104、及びレーザー位置決め装置106は、適合したアブレーション経路138の各ウェイポイント134に対する走査間隔148、走査幅150、レーザーヘッド位置152、レーザーシート配向154、及びウェイポイント位置156を実現するように操作される。ウェイポイント134の間で、ウェイポイントのパラメータは、(各々個別に)連続的に又は非連続的に変更され得る。例えば、第1のウェイポイント134の第1の走査幅150は、レーザー位置決め装置106が、第1のウェイポイント134から第2のウェイポイント134へ、ウェイポイント位置156を移動する間に維持され得る。第2のウェイポイント134の第2のウェイポイント位置156を実現した後で、走査幅150は、第2の走査幅150に設定され得る。
【0043】
コントローラ110は、走査間隔148が表面128のエリア130からレーザー走査ヘッド104を離間させた状態で、レーザー走査ヘッド104に表面128を横断してレーザーシート120を移動させるようにプログラムされ得る。レーザー走査ヘッド104と表面128との間の走査間隔148は、レーザー走査ヘッド104と表面128との間に隙間を提供し且つ/又はそれらの接触を避け得る。走査間隔148は、レーザーシート120又はレーザーシート120を生成する(1以上の)レーザービームの焦点にあり得る。
【0044】
表面128からレーザー走査ヘッド104を離間させている、走査間隔148は、ウェイポイント134の群(任意選択的には全て)に対して実質的に一定であり得る。2以上のウェイポイント134に対する実質的に一定の(又は均一な)走査間隔148は、それらのウェイポイント134における実質的に一定の(又は均一な)レーザーシートのスポットエリアを規定し得る。ウェイポイント134の各々に対して、走査間隔148は、実質的に一定(又は均一)であり得るが、ウェイポイント134うちの異なるものは、異なる走査間隔148の値で走査されてもよい。走査間隔148(及び、したがって、レーザービームのスポットエリア)は、ウェイポイント134のうちの各1つに対して独立して最適化され得る。
【0045】
コントローラ110は、1以上のウェイポイント134において表面128に実質的に垂直な(すなわち、それぞれのウェイポイント位置156において表面128に垂直な)入射角度で、レーザー走査ヘッド104に表面128を横断してレーザーシート120を移動させるようにプログラムされ得る。直交する(垂直の)入射角度でレーザーシートを印加することは、表面128の(1以上の)選択された位置において効果的なアブレーションを提供し得る。レーザーシート120が、(それぞれのウェイポイント位置156において)表面128に対して垂直に方向付けられたときに、レーザーシート120は、より高い(又は最大の)目標放射照度を有し得る。レーザーシート120が、垂直な(直交する)方向とは大幅に異なる角度で表面128に衝突するならば、レーザーシート120のビームエリアは、歪み、より大きくなり得る(したがって、フルエンス及び放射照度、及び、したがって、アブレーション効率を低減させる)。本明細書で使用される際に、垂直な入射角度は、(約90度において、例えば、80度から90度までの範囲(80度及び90度を含む)内で)表面128と近似的に直交する。
【0046】
レーザー102は、表面128を取り除くように構成された波長、エネルギー、及び/又は出力を有するレーザービーム118を提供するように構成されている。例えば、レーザー102は、UV(紫外線)、可視光線、NIR(近赤外線)、及び/又はIR(赤外線)の光を放出し得る。レーザー102の例は、ガスレーザー、固体レーザー、ファイバーレーザー、二酸化炭素レーザー、及びネオジムガラスレーザーを含む。レーザー102は、連続的に又は一時的に調節された出力を有し得る。例えば、レーザー102は、連続波レーザー(CWレーザー)、(例えば、モードロックされた、キャビティダンプされた、Qスイッチされた、などの)パルスレーザーであり、且つ/又は、レーザーシート120内で経時的構造を課すために、ゲート、シャッター、チョッパー、電気光学セル、音響光学セルなどを含み得る。
【0047】
レーザー102は、パルスの形態を採り得る経時的構造を有するレーザービーム118を放出し得る。パルスレーザー、モードロックレーザー、及びQスイッチレーザーは、本来的にパルスレーザービームを放出する。パルスレーザービームは、平均出力よりもかなり高いピーク出力を有し得る。パルスレーザービームのピーク出力は、レーザービームのデューティーサイクル(レーザー反復期間に対するレーザーパルス幅)に逆相関する。本明細書で使用されるように、パルスレーザー出力に対して、レーザーパルス幅は、最大の半分の強度におけるパルスの完全な幅である。パルスレーザービームは、0.001未満のデューティーサイクルを有し、したがって、平均出力の1,000倍大きいピーク出力を有し得る。高いピーク出力は、高い放射照度、並びに、したがって、高い洗浄効果及び/又は短いレーザーアブレーション時間をもたらし得る。
【0048】
レーザー102は、レーザー走査ヘッド104にレーザービーム118を供給するように構成されている。例えば、レーザー102は、光ファイバー又は自由空間光学経路のうちの少なくとも一方を介して、レーザー走査ヘッド104と光学的に結合され得る。光ファイバー又は自由空間光学経路は、レーザー102に対するレーザー走査ヘッド104の動きを可能にし得る。更に又は代替的に、光ファイバー又は自由空間光学経路は、レーザー走査ヘッド104、レーザー位置決め装置106、及び/又は加工対象物124から、遠隔にレーザー102が配置され得ることを可能にする。レーザー102及び/又は加工対象物124は、大きい物体であり得る。レーザー102は、概して、高出力のレーザーであり、専用の電気接続及び/又は冷却装置を使用し得る。遠隔の位置は、加工対象物124、レーザー位置決め装置106、レーザー走査ヘッド104、及び/又はレーザー102へのアクセスを容易にし得る。遠隔の位置は、レーザー102(例えば、冷却水及び/又は電気接続)に対する実用的なアクセスを容易にし得る。
【0049】
レーザー102は、レーザー位置決め装置106に対して機械的に連結及び/又は支持され得る。連結及び/又は支持されることは、レーザーアブレーションシステム100のコンパクトな設計を容易にし得る。更に又は代替的に、連結及び/又は支持されることは、レーザー102からレーザー位置決め装置106によって位置決めされ得るレーザー走査ヘッド104への、レーザービーム118の光学的な経路指定を容易にし得る。
【0050】
レーザー走査ヘッド104は、レーザー102から放出されたレーザービーム118を受信して、レーザービーム118をレーザーシート120の中へそして加工対象物124の表面128上へ導くように構成されている。レーザー走査ヘッド104は、選択可能な走査幅150を有するレーザーシート120を生成するように構成されている。レーザー走査ヘッド104は、レーザービーム118を導きレーザーシート120を生成するための、光学素子(例えば、反射、屈折、及び/又は回折光学素子)を含み得る。ある実施形態では、レーザーシート120が、例えば、反照検流計及び/又は多面鏡などのレーザー走査装置を用いて、レーザービーム118を一直線に走査させることによって生成され得る。多面鏡は、比較的一定な走査幅150にわたり一貫した走査速度を生成するように使用され得る。反照検流計は、走査幅150に沿った異なる位置を独立してアドレスするために、且つ/又は、ウェイポイント134の各々に対して異なる走査幅150を選択するために使用され得る。
【0051】
レーザービーム118が走査幅150に沿って走査する実施形態では、走査速度が、概して、横断速度(レーザーシート120が表面128をスイープする速度)よりもかなり速い。レーザーシート120は、10走査/秒より大きい、50走査/秒より大きい、又は200走査/秒より大きい繰り返し速度で、走査幅150を走査するレーザービーム118によって生成され得る。更に又は代替的に、レーザービーム118は、少なくとも1m/s(秒当たりのメートル)、少なくとも5m/s、又は少なくとも20m/sの表面速度で、表面128を横断して走査し得る。
【0052】
レーザー走査ヘッド104は、通常、レーザーシート120を光学的に生成するように構成されている。何故ならば、概して、光学的な技術は機械的な技術よりもかなり速いからである。光学的な走査に加えて又は代えて、レーザー走査ヘッド104は、レーザー102からレーザーシート120を生成する広い連続的なビームへ、レーザービーム118を回折し又はさもなければ散乱させ得る。更に、レーザー走査ヘッド104は、レーザー102から走査線に分布した複数のビームレットの中へレーザービーム118を分割して、レーザーシート120を生成し得る。
【0053】
レーザーシート120は、走査幅150である幅とかなり狭い広がり(breadth)とを有するシートプロファイル(断面)を有する(例えば、幅が100mm(ミリメートル)であり、広がりが10μm(ミクロン)である)。通常の態様のレーザーシートの広がりに対する幅の比率は、少なくとも100又は少なくとも1,000である。レーザーシート120の幅は、概して、走査方向144に整列している。レーザーシート120が表面128に衝突する際に、レーザーシート120の中央は、表面128上のレーザーシート120の関連位置(例えば、ウェイポイント位置156)である。
【0054】
レーザービーム118の走査は、概して、走査方向144に沿っている。しかし、レーザーシート120及び(レーザーシート120が表面128に衝突する)走査線は、必ずしも平坦及び/又は直線的ではない。例えば、走査線は、円弧状、湾曲、及び/又は平坦な表面上に形成された区分けされた線であり得る。
【0055】
レーザー位置決め装置106は、表面128と(レーザーシート120を表面128に供給する)レーザー走査ヘッド104との相対的な位置を調整することによって、表面128にわたり横断方向146へレーザーシート120をスイープするように構成されている。レーザー位置決め装置106は、ウェイポイント134の各々に対する所望の横断走査速度に従って、その相対的な位置を調整し得る。
【0056】
レーザー位置決め装置106は、表面128に対するレーザーシート120の相対的な動きを実現するように、レーザー走査ヘッド104及び/又は加工対象物124を移動させ得る。レーザー位置決め装置106は、レーザー走査ヘッド104及び/又は加工対象物124を移動させるために、ガントリー、ステージ、レール、ロボット式位置決め器などを含み得る。レーザー位置決め装置106は、自動的な動作のために構成され、多用途な位置決めのために構成され得る。ガントリーは、オープン支持空間に対するレーザー走査ヘッド104の比較的任意な位置決めを可能にする。ガントリーは、大きな距離にわたる位置決めを可能にし、大きな且つ/又は複雑な加工対象物の幾何学的形状を受け入れ得る。大きな且つ/又は複雑な幾何学的形状の例として、加工対象物124は、航空機の翼、又は胴体セクションを形成するための型であってもよい。(ロボティックアームとも称される)ロボット式位置決め器は、オープン支持空間に対するレーザー走査ヘッド104の比較的任意な位置決めを可能にする。ロボット式位置決め器は、大きな空間にわたる位置決めを可能にし、大きな且つ/又は複雑な加工対象物の幾何学的形状を受け入れ得る。
【0057】
レーザー位置決め装置106は、レーザーアブレーションシステム100の他の構成要素(例えば、レーザー102及び/又はコントローラ110)を支持し且つ/又は移動させるように構成され得る。
【0058】
(例えば、レーザー走査ヘッド104による)走査方向144への動きは、(例えば、レーザー位置決め装置106による)横断方向146への動きから独立し得る。例えば、走査速度と横断速度は、無関係に変動し得る。別の実施例として、走査速度と横断速度は、表面128に対するレーザーシート120の位置から独立し得る。
【0059】
レーザーアブレーションシステム100は、表面128を撮像するように構成された、機械視覚システム112を備え得る。すなわち、機械視覚システム112は、表面128の画像を生成し得る。機械視覚システム112は、レーザーアブレーションシステム100に対して配置されたときに、自動的に、表面128の画像を収集し且つ/又は表面128の画像を提供し得る。機械視覚システム112は、加工対象物124及び/又は表面128の位置合わせのための画像を取得するように使用され得る。機械視覚システム112は、コントローラ110によって制御され得る。機械視覚システム112をレーザーアブレーションシステム100内に統合することは、表面128の3D仮想モデルを生成するための、表面128の位置合わせ及び/又は画像の取得を容易にし得る。
【0060】
コントローラ110は、機械視覚システム112に表面128の画像を取得させ、機械視覚システム112によって取得された表面128の画像に少なくとも部分的に基づいて、レーザーアブレーションシステム100の座標系内の表面128の位置及び配向を特定するようにプログラムされ得る。例えば、機械視覚システム112からの1以上の画像は、レーザー位置決め装置106及び/又はレーザーアブレーションシステム100に対する加工対象物124及び/又は表面128の位置合わせを特定し得る。
【0061】
機械視覚システム112は、レーザーアブレーションシステム100の他の構成要素に対して既知の位置及び/又は配向に位置決めされ得る。更に又は代替的に、機械視覚システム112は、画像フレーム内の基準マーク又は他のマーカーを有する表面128を撮像するように構成され得る。既知の位置、既知の配向、基準マーク、及び/又は他のマーカーは、レーザーアブレーションシステム100の座標系を規定する且つ/又はその座標系に関連した基準を提供する。
【0062】
図5は、レーザーアブレーション表面処理(例えば、加工対象物124の表面128の1以上のエリア130の処理)の方法200を概略的に表している。方法200は、取り除かれるべき表面の(本明細書で説明される)3D仮想モデルを受信すること202、(予備的なアブレーション経路136などの)予備的なアブレーション経路を生成すること204、及び(適合したアブレーション経路138などの)適合したアブレーション経路を生成するために予備的なアブレーション経路を最適化(調整)すること206を含む。方法200は、適合したアブレーション経路に従って表面を取り除くこと208(例えば、レーザーアブレーションシステム100などのレーザーアブレーションシステムを制御して、適合したアブレーション経路に従って表面を取り除くこと)を含み得る。方法200、受信すること202、生成すること204、最適化すること206、及び/又は取り除くこと208は、コントローラ110などのコントローラによって実行され得る。
【0063】
3D仮想モデルを受信すること202は、仮想加工対象物のデータベース又は3D仮想モデルの他の保存場所から3D仮想モデルを読み出すことを含み得る。受信すること202は、コントローラ及び/又はレーザーアブレーションシステムのオペレータから(直接的に又は間接的に)リクエストを受信したことに応じ得る。受信すること202は、取り除かれるべき加工対象物の存在及び/又は特定を判定したこと(例えば、レーザーアブレーションシステムに配置された加工対象物を検出したこと)に応じ得る。
【0064】
予備的なアブレーション経路を生成すること204は、(ウェイポイント134などの)一連のウェイポイントを生成して、予備的なアブレーション経路を規定することを含む。予備的なアブレーション経路は、表面をレーザーシートに実質的に又は完全に曝して、表面を取り除くように構成されている。予備的なアブレーション経路は、概して、取り除かれるべき表面の基本的若しくは単純な描写及び/又は表面の適切なアブレーションのための要件に基づくアブレーション経路である。例えば、予備的なアブレーション経路は、標準的にサイズ決定され形作られた加工対象物に基づき得る。別の実施例として、予備的なアブレーション経路は、取り除かれるべき表面の(2D投影126などの)2D投影に基づき得る。ある実施形態では、予備的なアブレーション経路が、3D仮想モデルに基づく。予備的なアブレーション経路は、表面の基本的若しくは単純な描写及び/又はアブレーションの要件に基づき得るので、予備的なアブレーション経路に従って表面を取り除くことは、表面を不完全に取り除き得る(例えば、過剰に取り除かれた領域、過少に取り除かれた領域、エリアを完全にカバーできなかった、且つ/又はゆっくりと実行した)。
【0065】
予備的なアブレーション経路のウェイポイントは、概して、表面及び/又は表面の2D投影を横断して均一に間隔が空けられ得る。ウェイポイントは、表面及び/又は2D投影を横断した(且つ/又はエリア130の各々若しくはエリアの対応する2D投影の各々を横断した)単純なラスター経路内に配置され得る。ウェイポイントは、表面及び/又は表面の2D投影を横断して密に間隔を空けられ得る。例えば、(ウェイポイント位置156などの)隣り合うウェイポイント位置の間、及び/又は、(投影位置158などの)隣り合う投影位置の間の分離は、取り除かれるべきそれぞれの表面及び/又は取り除かれるべき表面の2D投影上で、200mm未満、100mm未満、又は50mm未満であり得る。
【0066】
予備的なアブレーション経路のウェイポイントは、(例えば、取り除かれるべき表面の基本的又は単純な描写に基づいて)アブレーション経路のウェイポイント位置(又は投影位置)の各々において、概して、均一な量の洗浄効果を生成するように構成され得る。ウェイポイントは、(レーザーヘッド位置152などの)レーザーヘッド位置、(レーザーシート配向154などの)レーザーシート配向、(レーザーシート120の走査幅150などの)レーザーシートの走査幅、又は(レーザー走査ヘッド104と表面との間の走査間隔148などの)レーザーヘッドと表面との間の走査間隔のうちの1以上を、選択すること、決定すること、及び/又は調整することによって、洗浄効果を生成するように構成されている。各ウェイポイントの目標洗浄効果は、均一な目標洗浄効果、及び/又は許容可能な洗浄効果値の範囲を規定する所定の許容限界によって規定され得る。予め規定された許容限界は、ウェイポイントの全ての中で、20%未満、10%未満、又は5%未満の変動係数を規定し得る。
【0067】
予備的なアブレーション経路のウェイポイントは、入射角度及び/又は(レーザーシート配向154などの)レーザーシート配向が、取り除かれるべき表面の2D投影に対して垂直である(又は直交する若しくは実質的に直交する)ように構成され得る。更に又は代替的に、予備的なアブレーション経路のウェイポイントは、入射角度及び/又はレーザーシート配向が、取り除かれるべき表面に対して垂直である(又は直交する若しくは実質的に直交する)ように構成され得る。
【0068】
予備的なアブレーション経路のウェイポイントは、1以上のパラメータの種類に対して均一な、デフォルトの、最小の、且つ/又は最大の値を有し得る。例えば、ウェイポイントは、均一な走査幅(例えば、最大の走査幅、最小の走査幅、又は名目上の走査幅)を有する。
【0069】
予備的なアブレーション経路を最適化すること206(調整すること)は、予備的なアブレーション経路が提供し得るものよりも(すなわち、1以上の指定されたエリアにおいて)表面の効率的なアブレーションを実現する、適合したアブレーション経路を生成する。最適化すること206の目標又はゴールは、許容可能なアブレーションのレベルで、指定されたエリアの外側でほとんど又は全くアブレーションがなく、且つ、指定されたエリアを取り除くための許容可能な(例えば、少なくとも局所的に最小の)時間で、指定されたエリア(例えば、全体の表面)の完全なカバーを実現することである。最適化すること206は、概して、コントローラ110に関して説明された最適化を実行することを含む。例えば、最適化206は、勾配降下、確率的最適化、逐次二次計画などの、様々な非線形最適化アルゴリズムを採用し得る。
【0070】
適合したアブレーション経路を生成するために予備的なアブレーション経路を最適化すること206は、予備的なアブレーション経路のウェイポイントを調整して、適合したアブレーション経路を生成する調整されたウェイポイントを生成する。最適化すること206は、予備的なアブレーション経路の1以上のウェイポイントのレーザーヘッド位置、レーザーシート配向、走査幅、ウェイポイント位置、及び/又は走査間隔を変更し得る。更に又は代替的に、最適化すること206は、ウェイポイントを追加又は消去し得る。適合したアブレーション経路では、ウェイポイントが、集合的に、十分な洗浄効果で且つ許容可能な(通常は最小の)全アブレーション時間で実行される、表面の指定されたエリアの十分なカバーを提供するように配置されている。
【0071】
最適化すること206は、(各々が、表面の1以上のエリアの範囲内の均一性に対して最適化され得る)洗浄効果、レーザーフルエンス、及び/又はレーザー放射照度の均一性を最適化すること及び/又はそれらに対する均一性の目標を実現することを含み得る。更に、最適化すること206は、(個別のエリア、一群のエリア、及び/又は表面の全てのエリアを)取り除くためのアブレーション範囲(coverage)及び/又は全時間を最適化することを含み得る。均一性は、関連したパラメータの名目上の値を有する全てのウェイポイントによって、又は所定の許容限界などの値の範囲内の値を有する全てのウェイポイントによって規定され得る。予め規定された許容限界は、適合したアブレーション経路のウェイポイントの全ての中で、20%未満、10%未満、又は5%未満の変動係数を規定し得る。
【0072】
最適化すること206は、走査間隔(例えば、レーザーシートの集中)及び/又はレーザーシート配向(例えば、入射角度)の均一性を最適化すること及び/又はそれらに対する均一性の目標を実現することを含み得る。更に又は代替的に、最適化すること206は、目標走査間隔(例えば、目標許容限界内の全てのウェイポイント)を実現すること及び/又は目標レーザーシート配向(例えば、目標許容限界内の全てのウェイポイント)を実現することを含み得る。走査間隔に対する目標走査間隔及びそれに対応する目標許容限界は、レーザーシートの焦点に関連し得る。レーザーシート配向に対して、目標レーザーシート配向及びそれに対応する許容限界は、垂直な(直交する)レーザーシートの入射角度に関連し得る。
【0073】
最適化すること206は、予備的なアブレーション経路が許容可能(例えば、十分に効率的)であるか否かを特定すること及び/又は判定することを含み得る。最適化すること206は、そのように特定したこと及び/又は判定したことに応じて、許容可能な(例えば、十分に効率的な)適合したアブレーション経路を生成するために実行され得る。許容可能性の基準は、予備的なアブレーション経路のウェイポイント位置のうちの1以上における洗浄効果が所定の許容限界の外側にあることを含み得る。所定の許容限界は、予備的なアブレーション経路の全てのウェイポイントの中で、20%未満、10%未満、又は5%未満の変動係数を規定し得る。所定の許容限界は、最小の許容可能なアブレーション量及び/又は最大の許容可能なアブレーション量を規定し得る。
【0074】
図6は、本明細書で説明された方法、構成要素、及び特徴を実施及び/又は開始するために使用され得る、計算デバイス500を概略的に表している。例えば、コントローラ110は、計算デバイス500のうちの1つを含み得る且つ/又はその1つであり得る。計算デバイス500は、通信インフラ510によってコンピュータ可読メモリ506に動作可能に接続された処理ユニット502を含む。処理ユニット502は、1以上のコンピュータプロセッサ504を含み、コンピュータプロセッサ504の分散された群を含み得る。処理ユニット502は、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ、及び/又は特定用途向け集積回路などの、プログラム可能、再構成可能、且つ/又は専用のハードウェアを含み、又はそれに実装され得る。
【0075】
計算デバイス500は、例えば、通信インフラ510によって、処理ユニット502及び/又はコンピュータ可読メモリ506に動作可能に接続された、コンピュータ可読記憶媒体アセンブリッジ512も含み得る。コンピュータ可読記憶媒体アセンブリッジ512は、1以上の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体514を含み、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体514の分散された群を含み得る。コンピュータ可読メモリ506、コンピュータ可読記憶媒体アセンブリ512、及び非一過性のコンピュータ可読媒体514は、各々、コンピュータ可読媒体である。コンピュータ可読媒体は、有形であり、単なる一過性の信号ではない。
【0076】
通信インフラ510は、局所的なデータバス、通信インターフェース、並びに/又はネットワークインターフェース(例えば、パーソナルエリアネットワークインターフェース、ローカルエリアネットワークインターフェース、ワイドエリアネットワークインターフェース、及び/若しくはインターネットインターフェース)を含み得る。通信インフラ510は、電気信号、電磁信号、光信号、及び/又は音響信号などの、信号を送信し且つ/又は受信するように構成され得る。
【0077】
計算デバイス500は、処理ユニット502、コンピュータ可読メモリ506、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体アセンブリ512に動作可能に接続された、1以上の入力出力デバイス516を含み得る。入力出力デバイス516は、計算デバイス500のユーザ若しくはオペレータからの又はそれらへの視覚的、聴覚的、及び/若しくは触覚的入力並びに/又は出力のために構成され得る。各入力出力デバイス516は、独立して、入力のみのために、出力のみのために、主として入力のために、主として出力のために、且つ/又は入力と出力との組み合わせのために、構成され得る。入力出力デバイス516の例は、モニタ(例えば、ビデオモニタ)、ディスプレイ(例えば、英数字のディスプレイ、ランプ、及び/又はLED)、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス)、タッチスクリーン、スピーカー、ブザー、並びに制御手段(例えば、ボタン、ノブなど)を含む。
【0078】
計算デバイス500は、各々が直接的に又は間接的に相互接続され得る構成要素の分散された群を含み得る。したがって、計算デバイス500は、1以上の処理ユニット502、コンピュータ可読メモリ506、コンピュータ可読記憶媒体アセンブリッジ512、及び/又は入力出力デバイス516を含み得る。
【0079】
コンピュータ可読メモリ506とコンピュータ可読記憶媒体アセンブリ512のうちの一方又は両方が、制御論理520及び/又はデータ522を含む。(ソフトウェア、ファームウェア、ゲートウェイ、及び/又はハードウェアとも称され得る)制御論理520は、処理ユニット502によって実行されたときに、計算デバイス500に本明細書で説明された方法のうちの1以上を実行させる、指示命令及び/又は情報を含み得る。制御論理520及び/又はデータ522は、アプリケーション(例えば、制御アプリケーション)、リソース、アクセス制御手段、及び/又は関連した情報を含み得る。
【0080】
コントローラ110が、1以上の関数を実行するように説明されたが、コントローラ110は、(1以上の)関数を実行するように構成され、例えば、プログラムされている。それぞれのデバイスは、プログラム、モジュール、及び/又は構成要素が、処理ユニット502によって実行される、又はさもなければ計算デバイス500によって操作されるときに、(1以上の)関数を実行するように構成され、例えば、プログラムされた、1以上のプログラム、モジュール、及び/又は構成要素を含み得る。制御論理520及び/又はデータ522は、プログラム、モジュール、及び/又は構成要素に対応した、指示命令及び/又は情報を含み得る。
【0081】
本開示のデバイス及び方法は、図7に示した航空機の製造及び保守方法1100、並びに図8に示した航空機1102に照らして説明することができる。製造前の段階では、例示的な方法1100は、航空機1102の仕様及び設計1104と、材料調達1106とを含み得る。製造段階において、航空機1102の構成要素及びサブアセンブリの製造1108とシステムインテグレーション1110とが行われる。その後、航空機1102は、認可及び納品1112を経て、運航1114に供され得る。顧客によって運航されている期間中、航空機1102には、定期的な整備及び保守1116(改変、再構成、改修なども含み得る)が予定される。
【0082】
方法1100の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行され得る。本明細書の目的のために、システムインテグレータは、限定しないが、任意の数の航空機製造者及び主要システムの下請業者を含み得、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含み得、且つ、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであり得る。
【0083】
図8に示すように、例示的な方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を備えた機体1118を含み得る。高レベルのシステム1120の例は、推進システム1124、電気システム1126、油圧システム1128、及び環境システム1130のうちの1以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれてよい。航空宇宙の例が示されているが、本発明の原理は、自動車産業などの他の産業にも適用され得る。そのため、本明細書で開示されている原理は、航空機1102に加え、陸上輸送体、海洋輸送体、宇宙輸送体、などの他の輸送体にも適用し得る。
【0084】
本明細書で具現化される装置及び方法は、製造及び整備方法1100中の任意の1以上の段階において用いられ得る。例えば、製造プロセス1108に対応する構成要素またはサブアセンブリは、航空機1102の運航中に製造される構成要素またはサブアセンブリと同様の方法で作製または製造され得る。また、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、製造段階1108及び1110において、例えば、大幅に、航空機1102の組立てを効率化すること、又は航空機1102のコストを削減することで利用され得る。同様に、装置の実施形態、方法の実施形態、或いはそれらの組み合わせのうちの1つ以上を、航空機1102の運航中に、例えば限定しないが、保守及び整備1116に利用することができる。
【0085】
本発明による発明の主題の例が、続いて列挙される段落に記載される。
A1.
レーザーアブレーションシステム(100)であって、
レーザービーム(118)を放出するように構成されたレーザー(102)、
前記レーザービーム(118)をレーザーシート(120)として表面(128)上に供給するように構成されたレーザー走査ヘッド(104)、
前記表面(128)と前記レーザーシート(120)の相対的な位置を調整するように構成されたレーザー位置決め装置(106)、並びに
コントローラ(110)を備え、前記コントローラ(110)が、
前記表面(128)の3D仮想モデルを受信し、
前記表面(128)を横断する前記レーザーシート(120)の予備的なアブレーション経路(136)を生成するために一連のウェイポイント(134)を生成し、前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上の前記レーザーシート(120)のウェイポイント位置(156)に関連付けられ、レーザーヘッド位置(152)、レーザーシート配向(154)、及び走査幅(150)を含み、
各ウェイポイント(134)の前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)に基づいて、前記表面(128)を横断する前記レーザーシート(120)の適合したアブレーション経路(138)を生成するために、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化し、
前記適合したアブレーション経路(138)に従って前記表面(128)に対して前記レーザーシート(120)を走査させることによって前記表面(128)を取り除く、ようにプログラムされているコントローラ(110)である、レーザーアブレーションシステム(100)。
A2.
前記レーザー位置決め装置(106)が、ガントリー又はロボット式位置決め器のうちの少なくとも一方を備える、段落A1に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A3.
前記レーザー走査ヘッド(104)が、多面鏡又は反照検流計のうちの少なくとも一方を備える、段落A1又はA2に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A4.
前記レーザー(102)が、光ファイバー又は自由空間光学経路のうちの少なくとも一方を介して、前記レーザー走査ヘッド(104)と光学的に結合されている、段落A1からA3のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A5.
前記レーザー(102)が、前記レーザー位置決め装置(106)と機械的に連結されている、段落A1からA4のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A6.
前記レーザー(102)が、パルスレーザー、モードロックレーザー、及びQスイッチレーザーのうちの少なくとも1つである、段落A1からA5のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A7.
前記レーザーシート(120)が、前記表面(128)を取り除くように構成されている、段落A1からA6のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A8.
前記表面(128)の前記3D仮想モデルが、前記表面(128)の画像に基づいている、段落A1からA7のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A8.1.
前記表面(128)を撮像するように構成された機械視覚システム(112)を更に備え、前記表面(128)の前記画像が、前記機械視覚システム(112)によって取得される、段落A8に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A9.
機械視覚システム(112)を更に備え、前記コントローラ(110)が、前記機械視覚システム(112)に前記表面(128)の画像を取得させ、前記機械視覚システム(112)によって取得された前記表面(128)の前記画像に少なくとも部分的に基づいて、前記レーザーアブレーションシステム(100)の座標系内の前記表面(128)の位置及び配向を特定するように更にプログラムされている、段落A1からA8.1のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A10.
前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上のそれぞれの前記ウェイポイント位置(156)から前記レーザー走査ヘッド(104)を離間させている走査間隔(148)を有する、段落A1からA9のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A10.1.
前記ウェイポイント(134)の各々の前記走査間隔(148)が均一である、段落A10に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A11.
前記コントローラ(110)が、前記レーザー走査ヘッド(104)に、前記ウェイポイント位置(156)のうちの各1つに垂直な入射角度で、前記表面(128)を横断して前記レーザーシート(120)を移動させるようにプログラムされている、段落A1からA10.1のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A12.
前記表面(128)が、加工対象物(124)の表面であり、任意選択的に、前記加工対象物(124)が、型、構造、マンドレル、輸送体、及び/又は構造的構成要素である、段落A1からA11のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A13.
前記表面(128)が、金属、セラミック、ポリマー材料、ガラス、複合材料、又は炭素繊維強化ポリマーのうちの1以上から成る、段落A1からA12のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A14.
前記表面(128)が、5mより大きい、10mより大きい、20mより大きい、且つ/又は200m未満の表面積を有する、段落A1からA13のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
A15.
前記表面(128)が、2mより大きい、5mより大きい、10mより大きい、且つ/又は100m未満の長さを有する、段落A1からA14のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)。
B1.
三次元表面のレーザーアブレーション表面処理の方法(200)であって、
取り除かれるべき表面(128)の3D仮想モデルを受信すること(202)、
前記表面(128)を横断する予備的なアブレーション経路(136)を生成するために一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)であって、前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上のウェイポイント位置(156)に関連付けられ、レーザーヘッド位置(152)、レーザーシート配向(154)、及び走査幅(150)を含む、一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)、
各ウェイポイント(134)の前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)に基づいて、適合したアブレーション経路(138)を生成するために前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化すること(206)、並びに
前記適合したアブレーション経路(138)に従って前記表面(128)を取り除くこと(208)を含む、方法(200)。
B2.
前記方法の少なくとも一部分が、段落A1からA15のうちのいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム(100)を用いて実行される、段落B1に記載の方法(200)。
B3.
前記予備的なアブレーション経路(136)が、前記表面(128)を横断するラスター経路である、段落B1又はB2に記載の方法(200)。
B4.
前記生成すること(204)が、前記表面(128)の二次元投影(126)を横断する前記予備的なアブレーション経路(136)を生成するために、前記一連のウェイポイント(134)を生成することを含む、段落B1からB3のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B5.
前記一連のウェイポイント(134)の前記ウェイポイント位置(156)のうちの隣り合うものが、前記表面(128)上で、200mm未満、100mm未満、又は50mm未満だけ離間している、段落B1からB4のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B6.
各ウェイポイント位置(156)が、前記表面(128)の(前記)二次元投影(126)上の投影位置(158)に対応し、前記一連のウェイポイント(134)の前記投影位置(158)のうちの隣り合うものが、前記表面(128)の前記二次元投影(126)において、200mm未満、100mm未満、又は50mm未満だけ離間している、段落B1からB5のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B7.
各ウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)が、前記表面(128)の(前記)二次元投影(126)を横断する各位置において、所定の許容限界の範囲内にある一定量の洗浄効果を生成するように構成されている、段落B1からB6のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B7.1.
前記表面(128)の前記二次元投影(126)を横断する各位置における前記一定量の洗浄効果が均一である、段落B7に記載の方法(200)。
B7.2.
前記所定の許容限界が、20%未満、10%未満、又は5%未満の変動係数である、段落B7又はB7.1に記載の方法(200)。
B7.3.
前記一定量の洗浄効果が、レーザーフルエンス及び/又はレーザー放射照度を含む、段落B7からB7.2に記載の方法(200)。
B8.
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、前記表面(128)の(前記)二次元投影(126)に直交する、段落B1からB7.3のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B9.
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、対応する前記ウェイポイント(134)の前記ウェイポイント位置(156)において、前記表面(128)に垂直である、段落B1からB8のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B10.
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、又は前記走査幅(150)のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、段落B1からB9のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B11.
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記ウェイポイント位置(156)を制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、段落B1からB10のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B12.
前記最適化すること(206)が、洗浄効果の均一性、レーザーフルエンスの均一性、レーザー放射照度の均一性、アブレーション範囲、又は取り除くための全時間、のうちの少なくとも1つを最適化することを含む、段落B1からB11のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B13.
前記最適化すること(206)が、全てのウェイポイント(134)における一定量の洗浄効果が所定の許容限界の範囲内になるまで実行され、任意選択的に、前記所定の許容限界が、20%未満、10%未満、又は5%未満の変動係数である、段落B1からB12のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B14.
前記最適化すること(206)が、前記ウェイポイント位置(156)のうちの1以上における一定量の洗浄効果が所定の許容限界の外側にあるならば実行され、任意選択的に、前記一定量の洗浄効果が、レーザーフルエンス及び/又はレーザー放射照度を含む、段落B1からB13のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B15.
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント位置(156)のうちの1以上における一定量の洗浄効果が、所定の許容限界の外側にあると判定することを更に含む、段落B1からB14のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B15.1.
前記最適化すること(206)が、前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント位置(156)のうちの1以上における前記一定量の洗浄効果が、前記所定の許容限界の外側にあると判定したことに応じて実行される、段落B15に記載の方法(200)。
B15.2.
前記一定量の洗浄効果が、レーザーフルエンス及び/又はレーザー放射照度を含む、段落B15又はB15.1に記載の方法(200)。
B16.
前記適合したアブレーション経路(138)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、対応する前記ウェイポイント(134)の前記ウェイポイント位置(156)において、前記表面(128)に垂直である、段落B1からB15.2のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B17.
前記適合したアブレーション経路(138)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記走査間隔(148)が均一である、段落B1からB16のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B18.
前記表面(128)の前記仮想モデルが、前記表面(128)の画像に基づいている、段落B1からB17のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B19.
前記表面(128)が、加工対象物(124)の表面であり、任意選択的に、前記加工対象物(124)が、型、構造、マンドレル、輸送体、及び/又は構造的構成要素である、段落B1からB18のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B20.
前記表面(128)が、金属、セラミック、ポリマー材料、ガラス、複合材料、又は炭素繊維強化ポリマーのうちの1以上から成る、段落B1からB19のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B21.
前記表面(128)が、5mより大きい、10mより大きい、20mより大きい、且つ/又は200m未満の表面積を有する、段落B1からB20のいずれか一段落に記載の方法(200)。
B22.
前記表面(128)が、2mより大きい、5mより大きい、10mより大きい、且つ/又は100m未満の長さを有する、段落B1からB21のいずれか一段落に記載の方法(200)。
C1.
三次元表面のレーザーアブレーション表面処理の方法(200)であって、
取り除かれるべき表面(128)の3D仮想モデルを受信すること(202)、
前記表面(128)を横断する予備的なアブレーション経路(136)を生成するために一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)であって、前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上のウェイポイント位置(156)に関連付けられ、レーザーヘッド位置(152)、レーザーシート配向(154)、及び走査幅(150)を含む、一連のウェイポイント(134)を生成すること(204)、
各ウェイポイント(134)の前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)に基づいて、適合したアブレーション経路(138)を生成するために前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化すること(206)、並びに
前記適合したアブレーション経路(138)に従って前記表面(128)を取り除くこと(208)を含む、方法。
C2.
前記予備的なアブレーション経路(136)が、前記表面(128)を横断するラスター経路である、段落C1に記載の方法。
C3.
前記生成すること(204)が、前記表面(128)の二次元投影(126)を横断する前記予備的なアブレーション経路(136)を生成するために、前記一連のウェイポイント(134)を生成することを含む、段落C1又はC2に記載の方法。
C4.
各ウェイポイント位置(156)が、前記表面(128)の二次元投影(126)上の投影位置(158)に対応し、前記一連のウェイポイント(134)の前記投影位置(158)のうちの隣り合うものが、前記表面(128)の前記二次元投影(126)において、200mm未満だけ離間している、段落C1からC3のいずれか一段落に記載の方法。
C5.
各ウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)が、前記表面(128)の二次元投影(126)を横断する各位置において、所定の許容限界の範囲内にある一定量の洗浄効果を生成するように構成されている、段落C1からC4のいずれか一段落に記載の方法。
C6.
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、前記表面(128)の二次元投影(126)に直交する、段落C1からC5のいずれか一段落に記載の方法。
C7.
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、又は前記走査幅(150)のうちの少なくとも1つを制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、段落C1からC6のいずれか一段落に記載の方法。
C8.
前記最適化すること(206)が、1以上のウェイポイント(134)に対する前記ウェイポイント位置(156)を制御することによって、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化することを含む、段落C1からC7のいずれか一段落に記載の方法。
C9.
前記最適化すること(206)が、全てのウェイポイント(134)における一定量の洗浄効果が所定の許容限界の範囲内になるまで実行される、段落C1からC8のいずれか一段落に記載の方法。
C10.
前記予備的なアブレーション経路(136)の前記ウェイポイント位置(156)のうちの1以上における一定量の洗浄効果が、所定の許容限界の外側にあると判定することを更に含む、段落C1からC9のいずれか一段落に記載の方法。
C11.
前記適合したアブレーション経路(138)の前記ウェイポイント(134)の各々の前記レーザーシート配向(154)が、対応する前記ウェイポイント(134)の前記ウェイポイント位置(156)において、前記表面(128)に垂直である、段落C1からC10のいずれか一段落に記載の方法。
C12.
レーザーアブレーションシステム(100)であって、
レーザービーム(118)を放出するように構成されたレーザー(102)、
前記レーザービーム(118)をレーザーシート(120)として表面(128)上に供給するように構成されたレーザー走査ヘッド(104)、
前記表面(128)と前記レーザーシート(120)の相対的な位置を調整するように構成されたレーザー位置決め装置(106)、並びに
コントローラ(110)を備え、前記コントローラ(110)が、
前記表面(128)の3D仮想モデルを受信し、
前記表面(128)を横断する前記レーザーシート(120)の予備的なアブレーション経路(136)を生成するために一連のウェイポイント(134)であって、前記ウェイポイント(134)の各々が、前記表面(128)上の前記レーザーシート(120)のウェイポイント位置(156)に関連付けられ、レーザーヘッド位置(152)、レーザーシート配向(154)、及び走査幅(150)を含む、一連のウェイポイント(134)を生成し、
各ウェイポイント(134)の前記レーザーヘッド位置(152)、前記レーザーシート配向(154)、及び前記走査幅(150)に基づいて、前記表面(128)を横断する前記レーザーシート(120)の適合したアブレーション経路(138)を生成するために、前記予備的なアブレーション経路(136)を最適化し、
前記適合したアブレーション経路(138)に従って前記表面(128)に対して前記レーザーシート(120)を走査させることによって前記表面(128)を取り除く、ようにプログラムされているコントローラ(110)である、レーザーアブレーションシステム。
C13.
前記レーザー位置決め装置(106)が、ガントリー又はロボット式位置決め器のうちの少なくとも一方を備える、段落C12に記載のレーザーアブレーションシステム。
C14.
前記表面(128)が、加工対象物(124)の表面であり、前記加工対象物(124)が、型、構造、マンドレル、輸送体、又は構造的構成要素である、段落C12又はC13に記載のレーザーアブレーションシステム。
C15.
前記表面(128)が、金属、セラミック、ポリマー材料、ガラス、複合材料、又は炭素繊維強化ポリマーのうちの1以上から成る、段落C12からC14のいずれか一段落に記載のレーザーアブレーションシステム。
【0086】
本書で使用されているように、「適合し(adapted)」及び「構成され(configured)」という用語は、要素、構成要素、又はその他の対象が、所与の機能を果たすよう設計され、且つ/又は意図されていることを意味する。したがって、「適合し」及び「構成され」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、又はその他の対象が、単に所与の機能を果たすことが「可能である(capable of)」ことを意味すると解釈すべきではなく、要素、構成要素、及び/又はその他の対象が、その機能を果たすという目的のために、特に選択され、作り出され、実装され、利用され、プログラムされ、且つ/又は設計されていることを意味すると、解釈すべきである。特定の機能を果たすよう適合していると記載されている要素、構成要素、及び/又はその他の記載対象が、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう構成されていると表現され得ること、及びその逆も、本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を果たすよう構成されていると記載される対象は、追加的又は代替的に、その機能を果たすよう動作可能であるとも表現され得る。
【0087】
本書で使用されるように、「例えば(for example)」という表現、「一例として(as an example)」という表現、及び/又は、単なる「例(example)」という用語は、本開示による一又は複数の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して使用される場合、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的で非限定的な例であることを、伝えることを意図している。したがって、前述の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定されること、必要とされること、又は限定的/網羅的であることは意図されない。構造的及び/又は機能的に類似した、かつ/又は同等の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法も、本開示の範囲に含まれる。
【0088】
本明細書で使用される際に、2以上のエンティティーのリストに言及する「~のうちの少なくとも1つ」及び「~のうちの1以上」という言い回しは、エンティティーのリスト内のエンティティーの任意の1以上を意味し、エンティティーのリスト内で特に挙げられた各及び全てのエンティティーのうちの少なくとも1つに限定されるものではない。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」(又は同等に「A又はBのうちの少なくとも1つ」、又は同等に「A及び/又はBのうちの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、又はA及びBの組み合わせを指し得る。
【0089】
本明細書で使用される際に、第1のエンティティーと第2のエンティティーの間に配置される「及び/又は」という用語は、(1)第1のエンティティー、(2)第2のエンティティー、並びに(3)第1のエンティティー及び第2のエンティティーのうちの1つを意味する。「及び/又は」を伴って挙げられた複数の項目も、同じやり方で、すなわち、そのように結合されたエンティティーのうちの「1以上」のように解釈されるべきである。「及び/又は」によって特に特定されたエンティティーとは異なる他のエンティティーも任意選択的に存在し得る。それらは、特に特定されたエンティティーと関連するか又は関連しないかに関わらない。したがって、非限定的な実施例として、「備える(comprising)」などのオープンエンドな言語と併せて使用されるときに、「A及び/又はB」への言及は、一実施形態ではAのみ(任意選択的にB以外のエンティティーを含む)、別の一実施形態ではBのみ(任意選択的にA以外のエンティティーを含む)、更に別の一実施形態では、AとBの両方(任意選択的に他のエンティティーを含む)を指し得る。これらのエンティティーは、要素、作動、構造体、ステップ、動作、値などを指し得る。
【0090】
本明細書で使用されているように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限りは、複数形も同様に含むことが意図され得る。
【0091】
本明細書で開示されるシステム及び方法のステップの様々な開示要素は、本開示に係る全てのシステム及び方法に必要とされているわけではなく、本開示は、本明細書で開示される様々な要素及びステップの全ての新規及び非自明の組み合わせ並びに部分的組み合わせを含む。更に、本明細書で開示される、様々な要素及びステップのうちの何れか、又は様々な要素及び/又はステップのうち任意の組み合わせは、開示されるシステム又は方法全体とは別個の分離した独立した発明の対象を規定し得る。従って、そのような発明の対象は、本明細書中で明確に開示される特定のシステム、及び方法と関連付けられる必要はなく、そのような発明の対象は、本明細書で明確に開示されないシステム、及び/又は方法の有用性を見出し得る。
【0092】
以下の特許請求の範囲は、特に、本開示の発明のうちの1つを対象とした且つ新規で非自明的な特定の組み合わせ及び部分的組み合わせを指摘するものと考えられる。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及び部分的組み合わせで具現化された発明は、本出願又は関連出願における本請求項の修正又は新規請求項の提示を通して請求することができる。更に、そのような補正された又は新しい請求項は、それらが異なる発明に関するものであるか又は同じ発明に関するものであるかにかかわらず、元の請求項と範囲が異なるか、広いか、狭いか、又は等しいかにかかわらず、同様に本発明の主題の範囲内に含まれるとみなされる。
図1
図2
図3
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図7
図8