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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】家庭用薄葉紙収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/16 20060101AFI20230623BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20230623BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B65D43/16 200
B65D83/08 B
B65D25/52 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019010734
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020117289
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 昭晃
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-76110(JP,A)
【文献】特開2011-168341(JP,A)
【文献】国際公開第2010/055778(WO,A1)
【文献】国際公開第98/19933(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266633(US,A1)
【文献】特開2010-1046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B65D 83/08
B65D 25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体にその上部との接続部分を回転軸として回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
前記弾性材料によって形成されており、前記開閉蓋の一部に前記回転軸に沿う方向に線接触している制動手段と、
を備え、
前記制動手段は、前記開閉蓋が開放された後、前記開閉蓋の回動が止まるまで、前記開閉蓋に摺接するように構成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体にその上部との接続部分を回転軸として回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記開閉蓋は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記開閉蓋は、
前記弾性材料によって形成されており、前記容器本体の一部に前記回転軸に沿う方向に線接触している制動手段を備え、
前記制動手段は、前記開閉蓋が開放された後、前記開閉蓋の回動が止まるまで、前記容器本体に摺接するように構成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記制動手段が複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭用薄葉紙であるウェットティッシュ等の収納容器としては、開閉蓋を板バネ等の付勢部材によって開放方向に付勢しつつ、その開閉蓋を所定の係止部材によって閉塞状態で係止しておき、使用者が係止部材に設けられたボタンを操作した際に、ワンタッチで開閉蓋が開くようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5280743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の収納容器のボタンを操作すると、付勢部材によって付勢されている開閉蓋は全開となるまで減速することなく一気に開き、その開いた反動で開閉蓋がぐらぐらと振動するので、その振動により容器自体が揺れるなどして置かれた位置からずれてしまうことがあった。収納容器が置かれた位置からずれて向きが変わってしまうと、その収納容器から家庭用薄葉紙を取り出し難くなることがある。
【0005】
本発明の目的は、開閉蓋を好適に開くことができる家庭用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体にその上部との接続部分を回転軸として回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
前記弾性材料によって形成されており、前記開閉蓋の一部に前記回転軸に沿う方向に線接触している制動手段と、
を備え、
前記制動手段は、前記開閉蓋が開放された後、前記開閉蓋の回動が止まるまで、前記開閉蓋に摺接するように構成されていることを特徴とする。
かかる構成の家庭用薄葉紙収納容器であれば、容器本体に備えられている制動手段が、開放された開閉蓋の一部に接触し、回動する開閉蓋に摩擦力を付与するようにして、その開閉蓋が回動する勢いを抑えることができるので、開閉蓋が開いた反動で家庭用薄葉紙収納容器が置かれた位置からずれたり向きが変わったりすることがない。
そして、所望する位置に置かれた家庭用薄葉紙収納容器の開閉蓋を好適に開くことができ、その収納容器から家庭用薄葉紙を取り出して使用することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
内部に家庭用薄葉紙が収納され、その家庭用薄葉紙を取り出す取出孔を有する容器本体と、
前記容器本体にその上部との接続部分を回転軸として回動自在に取り付けられ、前記取出孔を閉塞する開閉蓋と、
を備えた家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記開閉蓋は、その少なくとも一部が弾性材料によって形成されており、
前記容器本体は、
前記開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、これを解除して前記開閉蓋を開放させることができる係止手段と、
前記開閉蓋を開放方向に付勢する付勢手段と、
を備え、
前記開閉蓋は、
前記弾性材料によって形成されており、前記容器本体の一部に前記回転軸に沿う方向に線接触している制動手段を備え、
前記制動手段は、前記開閉蓋が開放された後、前記開閉蓋の回動が止まるまで、前記容器本体に摺接するように構成されていることを特徴とする。
かかる構成の家庭用薄葉紙収納容器であれば、開閉蓋に備えられている制動手段が、開閉蓋の開放時に容器本体の一部に接触し、その接触面に摩擦力を付与するようにして、その開閉蓋が回動する勢いを抑えることができるので、開閉蓋が開いた反動で家庭用薄葉紙収納容器が置かれた位置からずれたり向きが変わったりすることがない。
そして、所望する位置に置かれた家庭用薄葉紙収納容器の開閉蓋を好適に開くことができ、その収納容器から家庭用薄葉紙を取り出して使用することができる。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記制動手段が複数設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記付勢手段は、前記弾性材料によって形成された部分と一体的に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開閉蓋を好適に開くことができる家庭用薄葉紙収納容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
図2】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
図3】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す断面図であり、図1のY方向中央部における断面図である。
図4】本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す断面図であり、図2のY方向中央部における断面図である。
図5】容器本体上部と容器本体下部との篏合を外した状態における家庭用薄葉紙収納容器の断面図である。
図6】家庭用薄葉紙収納容器の制動手段の変形例を示す斜視図である。
図7】家庭用薄葉紙収納容器の制動手段の変形例を示す斜視図である。
図8】家庭用薄葉紙収納容器の制動手段の変形例を示す断面図である。
図9】家庭用薄葉紙収納容器の制動手段の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る家庭用薄葉紙収納容器の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、以下においては、図1,2に示すように、X軸、Y軸及びZ軸並びに前後方向、左右方向及び上下方向を定めて説明する。すなわち、家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2が備えられた側を「上」、その反対側を「下」、容器本体1と開閉蓋2とが接続されている側を「後」、その反対側を「前」、容器の前面を正面視した状態における右手側を「右」、容器の前面を正面視した状態における左手側を「左」とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向の沿った軸をZ軸とする。
【0015】
[実施形態の構成]
{全体構成}
家庭用薄葉紙収納容器100は、例えば、図1図5に示すように、内部の家庭用薄葉紙Pを取り出す取出孔112aを有する容器本体1と、取出孔112aを覆うように開閉自在に容器本体1に接続された開閉蓋2と、開閉蓋2を開放方向に付勢する付勢手段3と、開放された開閉蓋2の一部に接触する制動手段4と、を備え、容器本体1の内部に家庭用薄葉紙Pが収納される収納空間Sが形成されている。
容器本体1と、開閉蓋2とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0016】
{家庭用薄葉紙}
家庭用薄葉紙Pとしては、例えば、小型のウェットシート、ウェットティッシュ等が交互に折り重ねられた状態で積層され、1枚のウェットシート、ウェットティッシュ等を引き出した際に次のウェットシート、ウェットティッシュ等も引き出されるように形成された、所謂ポップアップ式のシートが用いられる。その他には、例えば、長さ方向に一定の間隔でミシン目が施された長大なウェットシート、ウェットティッシュ等がロール状に巻かれ、ミシン目に沿って切り離して使用するロールシートを用いることもできる。
【0017】
{容器本体}
容器本体1は、図1,2に示すように、全体として、X方向及びZ方向に比してY方向に長い略直方体状に形成され、これがZ方向略中央部付近において上下に二分され、容器本体1の上側を構成する容器本体上部11と、容器本体1の下側を構成する容器本体下部12と、が形成されている。容器本体上部11と、容器本体下部12とは容器本体1の後側において接続されている。
容器本体上部11と、容器本体下部12とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成することができる。
【0018】
容器本体1は、全体が、X方向に好ましくは60mmから150mm、さらに好ましくは80mmから100mm、Y方向に好ましくは80mmから200mm、さらに好ましくは145mmから165mm、Z方向に好ましくは30mmから100mm、さらに好ましくは50mmから70mmの大きさとなるように形成されている。また、各面の厚みは、好ましくは0.5mmから3mm、さらに好ましくは1mmから2mmである。
この大きさ及び厚みであれば、成形効率が高く、かつ実使用に問題ない強度を達成することができる。
【0019】
容器本体1は、図5に示すように、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を支点とし、容器本体上部11を上方へと回動させることによって、内部の収納空間Sを外部に開放することができる。
容器本体1後側の、容器本体上部11と容器本体下部12との接続部分が、図3図5に示すように、容器本体1の他の部分と比較して薄くなるように形成されていることによって、当該接続部分において容器本体の後面を容易に曲げることができ、容器本体上部11を、当該接続部分を支点として、容器本体下部12に対して回動させ易くなる。
【0020】
なお、生産性は低下するものの、容器本体上部11と、容器本体下部12とを別体として形成の上、これらをヒンジ等によって回動自在に接続することも可能である。
また、容器本体1が容器本体上部11と容器本体下部12とに二分される位置は、図においては、Z方向中央部付近とした場合につき図示したが、Z方向中央部よりも上部であれば、さらに好ましい。この場合、収納された家庭用薄葉紙Pが所定の包装体によって覆われた状態で、容器本体1内に収納される場合において、容器の閉塞時に包装体のエンドシール部等を挟み込んでしまうおそれを低減することができ、家庭用薄葉紙Pをさらに詰め替え易くなる。
【0021】
(容器本体上部)
容器本体上部11は、図1図5に示すように、下面が開口部となった略直方体状に形成され、上部に下方に凹状となる凹部111が形成されている。
その凹部111の中央側の取出し部112には、収納空間Sの家庭用薄葉紙Pを取り出す取出孔112aが設けられ、取出孔112aを囲むようにして、本体側密閉環部113が形成されている。換言すれば、凹部111内における本体側密閉環部113に囲まれた部分が取出し部112として形成されており、取出し部112の中央部に取出孔112aが設けられている。
また、上面の前側には、開閉蓋2を開閉するための係止手段114が形成されている。
また、下面の開口部の周囲には、後述の容器本体下部12の下部嵌合部121と嵌合する上部嵌合部116が形成されている。
【0022】
(取出孔)
取出孔112aは、容器本体上部の上面略中央に形成された、収納空間Sにつながる孔部である。
図2においては、十字型に2本の切り込みを入れることにより形成されている場合につき図示したが、これに限られず、切り込みの本数はこれより多数でもよく、また、例えば、直角三角形の重心点と各頂点とを結ぶように、3本の切り込みを形成するようにしてもよい。
この取出孔112aは、後述するようにその周囲が弾性を有する材料によって形成されており、家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けることで、収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pが引き出された後に、次の家庭用薄葉紙Pを保持する機能を果たす。また、家庭用薄葉紙Pがロールシートである場合において、家庭用薄葉紙Pに設けられている切断用のミシン目で、これを切断することを可能とする。
【0023】
(本体側密閉環部)
本体側密閉環部113は、図2に示すように、取出孔112aを囲むように環状に上方へと突出する凸部であり、図3図5に示すように、その外周側の面が後述の開閉蓋2に形成された開閉蓋側密閉環部22の内周側の面と嵌合するように形成されている。
【0024】
(係止手段)
係止手段114は、図1図5に示すように、本体側爪部1141を備えるボタン状に形成され、本体側爪部1141が後述の開閉蓋2に形成される開閉蓋側爪部21と係合することによって、これを閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0025】
(上部嵌合部)
上部嵌合部116は、図1図5に示すように、容器本体上部11の下側の開口部の周囲に、容器本体上部11と容器本体下部12とが接続された後側を除いて形成され、図3図5に示すように、下端部が外周側のみ突出し、上部突出部1161が形成されており、上部突出部1161の内周側の面が、後述の容器本体下部12に形成される下部嵌合部121の下部突出部1211の外周側の面と嵌合するように形成されている。
上部嵌合部116は、上部突出部1161が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0026】
(容器本体上部の材質)
容器本体上部11のうち、上面の取出し部112と本体側密閉環部113と付勢手段3と制動手段4とが、例えば、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料(以下、「弾性材料」という。)によって形成されている。弾性材料の性質としては、硬度が20から90であることが望ましい。なお、上記硬度は、JIS K 6253(タイプAデュロメータ)によって測定されたものである。
また、容器本体上部11のうち、上部嵌合部116も、同様の弾性材料によって形成されている。
容器本体上部11のその他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
なお、弾性材料の硬度が上記よりも低くなると、柔らか過ぎて成形が難しく、成形効率が悪くなる。更に、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が十分でなくなる。
また、硬度が上記よりも高くなると、取出孔112a周辺が硬くなり、抵抗が掛かり過ぎて、シートが一枚ずつ取り出しにくくなり、かつ、シートを引っ張り出す際に容器内部まで指を入れ難くなる。更に、付勢手段3が開閉蓋2を開放方向へと付勢する力が強くなり過ぎる。
したがって、弾性材料の硬度は、上記範囲とすることが望ましい。
【0027】
(容器本体下部)
容器本体下部12は、図1図5に示すように、上面が開口部となった略直方体状に形成され、上面の開口部の周囲には、容器本体上部11の上部嵌合部116と嵌合する下部嵌合部121が形成されている。また、下面には、下部滑り止め部122が形成されている。
【0028】
(下部嵌合部)
下部嵌合部121は、図1図5に示すように、容器本体下部12の上側の開口部の周囲に、容器本体下部12と容器本体上部11とが接続された後側を除いて形成され、図3図5に示すように、上端部が内周側のみ突出し、下部突出部1211が形成されており、下部突出部1211の外周側の面が、容器本体上部11に形成される上部嵌合部116の上部突出部1161の内周側の面と嵌合するように形成されている。
下部嵌合部121は、下部突出部1211が、上下方向に好ましくは0.5mmから5mm、さらに好ましくは1mmから3mmの長さを有するように形成される。
【0029】
なお、上部嵌合部116の上部突出部1161が、内周側のみ突出するように形成され、下部嵌合部121の下部突出部1211が、外周側のみ突出するように形成され、上部突出部1161の外周側の面と、下部突出部1211の内周側の面とが嵌合するようにしてもよい。
また、上部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、上部突出部と、下部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。反対に、上部突出部が、内周側と外周側の両側において突出し、間に凹部が生じるように形成され、下部突出部が、内周側と外周側の間の中央部が突出するように形成され、下部突出部と、上部突出部の間の凹部とが嵌合するようにしてもよい。
【0030】
(下部滑り止め部)
下部滑り止め部122は、家庭用薄葉紙収納容器100を載置した際にこれを滑りにくくするための部分であり、容器本体下部12の下面に、弾性材料によって形成された部分を、他の部分と一体的に設けることにより形成されている。
【0031】
(容器本体下部の材質)
容器本体下部12は、下部嵌合部121及び下部滑り止め部122が、容器本体上部11において用いられるのと同様の弾性材料によって形成され、その他の部分は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
これらは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0032】
{開閉蓋}
開閉蓋2は、図1図5に示すように、容器本体上部11の凹部111後方に回動自在に接続された扁平な略矩形状の部材であり、前側に開閉蓋側爪部21を備え、下面側に開閉蓋側密閉環部22を備える。
開閉蓋2は、図1図5に示すように、閉塞時の平面視における形状が容器本体上部11の凹部111の平面視における形状と略同一となるように形成されており、閉塞時において、凹部111に嵌め込むことができるように形成されている。
なお、開閉蓋2と容器本体上部11との接続部分が、図4に示すように、他の部分と比較して薄くなるように形成されていることによって、当該接続部分を容易に曲げることができ、開閉蓋2を、当該接続部分を支点として回動させ易くなる。
【0033】
(開閉蓋側爪部)
開閉蓋側爪部21は、図1図5に示すように、開閉蓋2の前方に突出する爪部であり、容器本体上部11の係止手段114に形成される本体側爪部1141と係合することによって、開閉蓋を閉塞状態で係止するとともに、使用者が係止手段114を押圧した際には、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れ、後述の付勢手段3によって、開閉蓋2が開放状態となるように形成されている。
【0034】
(開閉蓋側密閉環部)
開閉蓋側密閉環部22は、図2に示すように、開閉蓋2の閉塞時における下面側中央部に形成された、下方へと環状に突出する凸部であり、図3図5に示すように、その内周側の面が、容器本体上部11に形成された本体側密閉環部113の外周側の面と嵌合するように形成されている。
【0035】
(開閉蓋の材質)
開閉蓋2は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
この開閉蓋2と、容器本体1とは、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。
【0036】
{付勢手段}
付勢手段3は、開閉蓋2を開放方向へと付勢しており、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れた際に、開閉蓋2を後方の容器本体上部11との接続部分を回転軸として回転させるようにして開放させるための部材である。
【0037】
付勢手段3は、図2図5に示すように、容器本体上部11の本体側密閉環部113の後方と繋ぐようにして、容器本体上部11に弾性材料によって形成された部分を設けることによって形成されている。すなわち、付勢手段3は、容器本体上部11の弾性材料によって形成された本体側密閉環部113と一体的に形成されている。
【0038】
付勢手段3は、容器本体上部11の取出し部112や本体側密閉環部113に用いられているのと同様の弾性材料によって形成されている。
付勢手段3は、幅が好ましくは2mm~30mm、さらに好ましくは8mm~10mm、厚みが好ましくは0.5mm~3mm、さらに好ましくは1mm~2mmの帯状となるように形成されている。
付勢手段3がこのような大きさに形成されていることによって、開閉蓋2を無理なく押し上げることが可能であり、かつ、開閉蓋2の閉塞時において、凹部111内において付勢手段3を容易に折り曲げることができる。
【0039】
付勢手段3は、図3に示すように、開閉蓋2の閉塞時において、開閉蓋2の付け根近傍において折り曲げられることとなる。そして、使用者が係止手段114を押圧し、本体側爪部1141と開閉蓋側爪部21との係合が外れた際には、折り曲げられていた付勢手段3が復元しようとする反発力によって、開閉蓋2が開放され、図4に示す状態となる。
また、使用者が開閉蓋2を閉塞する際には、開閉蓋2を上方から押せば、付勢手段3が折り曲げられ、図3に示す状態となる。
【0040】
{制動手段}
制動手段4は、容器本体上部11の上面側に露出するように設けられており、開放された状態の開閉蓋2の一部に接触して、その開閉蓋2の回動が止まるまで開閉蓋2に摺接する配置に設けられている。
【0041】
制動手段4は、図2図5に示すように、容器本体上部11の本体側密閉環部113の後方と繋ぐようにして、容器本体上部11に弾性材料によって形成された部分を設けることによって形成されている。すなわち、制動手段4は、容器本体上部11の弾性材料によって形成された本体側密閉環部113や付勢手段3と一体的に形成されている。
この制動手段4は、容器本体上部11の上面における、開閉蓋2と容器本体上部11の接続部分(あるいは開閉蓋2と容器本体上部11の接続部分に接する位置)に形成されている挿通孔を通じて、容器本体上部11の上面側に制動手段4の先端部を突き出して露出するように設けられている。
【0042】
制動手段4は、容器本体上部11の取出し部112、本体側密閉環部113、付勢手段3に用いられているのと同様の弾性材料によって形成されている。
制動手段4は、幅が好ましくは5mm~100mm、さらに好ましくは20mm~40mm、厚みが好ましくは0.5mm~3mm、さらに好ましくは1mm~2mmの帯状となるように形成されている。
また、制動手段4の先端側は、容器本体上部11から0.5mm~5mm、さらに好ましくは1mm~3mmの長さを突き出して露出している。
制動手段4がこのような大きさに形成されて、容器本体上部11から露出していることによって、その制動手段4の露出部分が回動する開閉蓋2に確実に接触し、回動する開閉蓋2に好適に摺接して、その開閉蓋2に摩擦力を付与することができる。
【0043】
つまり、この制動手段4は、開閉蓋2の開放時において、開放された開閉蓋2の一部に接触して、回動する開閉蓋2に摩擦力を付与するようにして、その開閉蓋2が回動する勢いを抑えるようにブレーキをかける機能を有している。
この制動手段4が、開放された開閉蓋2の一部に接触して、その開閉蓋2が回動する勢いを抑えることができるので、開閉蓋2が開いた反動でその開閉蓋2がぐらぐらと振動することはなく、容器本体1が揺れるなどして置かれた位置からずれてしまうことがない。
【0044】
[実施形態の効果]
本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100によれば、使用者が係止手段114を操作し、開閉蓋2の係止が外れると、付勢手段3によって、開閉蓋2が自動的に跳ね上げられることから、家庭用薄葉紙使用時の開閉蓋2の開放が容易となる。
特に、この家庭用薄葉紙収納容器100は、開放された開閉蓋2の一部に接触して、回動する開閉蓋2に摩擦力を付与するようにして、その開閉蓋2が回動する勢いを抑えるようにブレーキをかける制動手段4を備えているので、開閉蓋2が開いた反動でその開閉蓋2や容器本体1がぐらつくことはなく、家庭用薄葉紙収納容器100が置かれた位置からずれたり向きが変わったりしてしまうことがない。
【0045】
また、この制動手段4は、容器本体上部11における取出し部112や付勢手段3等の弾性部材によって形成された部分と同一の弾性材料によって形成され、容器本体1と一体的に形成することができる。したがって、異なる材料を用いる必要がなく、部品点数も増加しないことから、制動手段4を備えることによって、生産性の低下を招くこともない。
【0046】
このような制動手段4を備えた家庭用薄葉紙収納容器100であれば、開閉蓋2を開いた反動で家庭用薄葉紙収納容器100が置かれた位置からずれてしまうことがないので、所望する位置に置かれた家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2を好適に開くことができ、その収納容器100から家庭用薄葉紙Pを取り出して使用することができる。
【0047】
また、取出孔112aが設けられている取出し部112は、弾性材料によって形成されているので、取出孔112aから引き出した家庭用薄葉紙Pに対して適切な抵抗を掛けることができ、収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pが引き出された後に、次の家庭用薄葉紙Pを好適に保持することができる。また、家庭用薄葉紙Pがロールシートである場合、家庭用薄葉紙Pに設けられている切断用のミシン目で好適に切断することができる。
【0048】
また、容器本体1が、容器本体上部11と容器本体下部12とによって構成され、これらが後面において接続されていることで、容器本体1をその中央部で開けて、内部の収納空間Sに収納された家庭用薄葉紙Pを詰め替えることができる。
したがって、家庭用薄葉紙Pの詰め替えの際に、家庭用薄葉紙収納容器100を持ち上げることを要せず、テーブル等に載置した状態のままで、詰め替え作業を行うことができる。
【0049】
また、容器本体上部11と容器本体下部12とは、後面で接続されており、当該接続部分を支点として、容器本体上部11を、容器本体下部12に対して回動させるようにして、収納空間Sを開閉することができる。したがって、詰め替え後等において、容器本体上部11と容器本体下部12との位置を逐一合わせることなく、容易にこれらを嵌合させて容器本体を閉じた状態とすることができ、内部の家庭用薄葉紙Pの詰め替えの手間を低減することができる。
【0050】
また、容器本体上部11に弾性材料によって上部嵌合部116が形成され、容器本体下部12に弾性材料によって下部嵌合部121が形成され、容器本体1の閉塞時に、これらが嵌合することで、容器本体1の気密性も向上することができる。この効果は、上部嵌合部116及び下部嵌合部121の双方が弾性材料によって形成されていることで、特に高めることができる。
【0051】
また、容器本体1の下面に弾性材料によって下部滑り止め部122が形成されていることで、容器本体1をテーブルの上等に載置した際の安定性を向上させることができる。
【0052】
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図6に示すように、家庭用薄葉紙収納容器100が複数(本実施形態では3つ)の制動手段4を備えていてもよい。
また、図7に示すように、家庭用薄葉紙収納容器100が開閉蓋2の幅とほぼ同じ寸法を有する幅広の制動手段4を備えていてもよい。
このように、制動手段4の数やサイズを変更する設計を適宜行うようにして、開閉蓋2が回動する勢いを調整することができる。
【0053】
[他の実施形態]
なお、以上の実施の形態においては、家庭用薄葉紙収納容器100の容器本体1側に制動手段4が設けられていたが、家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2側に制動手段4が設けられていてもよい。
【0054】
例えば、図8図9に示すように、家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2のうち、開閉蓋側密閉環部22が、スチレン-ブタジエン系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ウレタン系等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料によって形成されており、開閉蓋2側に設けられている制動手段4も同様の弾性材料によって形成されている。
また、開閉蓋2のその他の部分は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料によって形成されている。
この開閉蓋2は、射出成形(2色成形)によって一体的に形成されている。すなわち、制動手段4は、開閉蓋2の弾性材料によって形成された開閉蓋側密閉環部22と一体的に形成されている。
【0055】
制動手段4は、開閉蓋2の上面に設けられており、制動手段4の自由端部を容器本体上部11の上面側に突き出した態様に形成されている。
この制動手段4は、開閉蓋2が開放された状態で、容器本体1(容器本体上部11)の一部に接触して、開閉蓋2の回動が止まるまで容器本体1に摺接する配置に設けられている。
つまり、この制動手段4は、開閉蓋2の開放時において、容器本体1の一部に摺接し、その接触面に摩擦力を付与するようにして、開閉蓋2が回動する勢いを抑えるようにブレーキをかける機能を有している。
開閉蓋2に設けられている制動手段4が容器本体1の一部に接触して、その開閉蓋2が回動する勢いを抑えることができるので、開閉蓋2が開いた反動でその開閉蓋2がぐらぐらと振動することはなく、容器本体1が揺れるなどして置かれた位置からずれてしまうことがない。
【0056】
このような制動手段4を備えた家庭用薄葉紙収納容器100であっても、開閉蓋2を開いた反動で家庭用薄葉紙収納容器100が置かれた位置からずれてしまうことがないので、所望する位置に置かれた家庭用薄葉紙収納容器100の開閉蓋2を好適に開くことができ、その収納容器100から家庭用薄葉紙Pを取り出して使用することができる。
【0057】
なお、以上の実施の形態においては、射出成形(2色成形)によって容器本体1と開閉蓋2を一体的に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、生産性は低下するものの、容器本体1と開閉蓋2とを別体として形成の上、これらをヒンジ等によって回動自在に接続することも可能である。
【0058】
また、以上の実施の形態においては、付勢手段3は、容器本体1や開閉蓋2と一体的に形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、容器本体1や開閉蓋2とは別体に形成した付勢手段3を、容器本体1や開閉蓋2に取り付けるようにしてもよい。
【0059】
また、本発明の適用は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 容器本体
111 凹部
112 取出し部
112a 取出孔
113 本体側密閉環部
114 係止手段
2 開閉蓋
3 付勢手段
4 制動手段
100 家庭用薄葉紙収納容器
P 家庭用薄葉紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9