(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ヒートシンク及び照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/77 20150101AFI20230623BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230623BHJP
F21V 29/75 20150101ALI20230623BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20230623BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20230623BHJP
H05K 7/20 20060101ALN20230623BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230623BHJP
【FI】
F21V29/77
F21V29/503
F21V29/75
F21S8/02 420
H01L23/36 Z
H05K7/20 B
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019039883
(22)【出願日】2019-03-05
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田辺 快全
(72)【発明者】
【氏名】大野 彰久
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068935(JP,A)
【文献】特開2017-021912(JP,A)
【文献】特開2014-170672(JP,A)
【文献】特表2015-500549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/00
F21S 8/02
H01L 23/36
H05K 7/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の面から起立する複数のフィンが環状に配置された第1フィン群
を備え、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第1フィン群の内側である中央領域には、
前記複数のフィンが起立する向きに開放された空間が形成されており、
前記複数のフィンのうち任意の前記隣接するフィンの間に形成された流路は、
前記中央領域に形成された前記空間を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路と、前記空間を介して繋がって
おり、
前記第1フィン群の前記複数のフィンは、
前記ベース部の前記一方の面の第1の仮想円周と重なるように環状に配置され、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
前記各フィンの板面が前記第1の仮想円周を有する第1の仮想円の半径方向と交わるように配置されているヒートシンク。
【請求項2】
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
平面視において、前記板面が、前記半径方向に対して右回りの方向に角度を持って交わるように配置されている請求項
1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の面から起立する複数のフィンが環状に配置された第1フィン群と、
前記ベース部の前記一方の面から起立する複数のフィンが前記第1フィン群の外側に環状に配置された第2フィン群と、
を備え、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第2フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第1フィン群の内側である中央領域には、
前記複数のフィンが起立する向きに開放された空間が形成されており、
前記複数のフィンのうち任意の前記隣接するフィンの間に形成された流路は、
前記中央領域に形成された前記空間を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路と、前記空間を介して繋がっているヒートシンク。
【請求項4】
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の面から起立する複数のフィンが環状に配置された第1フィン群と、
前記ベース部の前記一方の面から起立する複数のフィンが前記第1フィン群の外側に環
状に配置された第2フィン群と、
を備え、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第2フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他
のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第1フィン群の内側である中央領域には、
前記複数のフィンが起立する向きに開放された空間が形成されており、
前記複数のフィンのうち任意の前記隣接するフィンの間に形成された流路は、
前記中央領域に形成された前記空間を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路と、前記空間を介して繋がっており、
前記第1フィン群の前記複数のフィンは、
前記ベース部の前記一方の面の第1の仮想円周と重なるように環状に配置され、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
前記各フィンの板面が前記第1の仮想円周を有する第1の仮想円の半径方向と交わるように配置されており、
前記第2フィン群の前記複数のフィンは、
前記ベース部の前記一方の面の第2の仮想円周と重なるように環状に配置され、
前記第2フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
前記各フィンの板面が前記第2の仮想円周を有する第2の仮想円の半径方向と交わるように配置されているヒートシンク。
【請求項5】
前記ベース部と前記複数のフィンとは、
冷間鍛造によって一体に成形されており、
前記複数のフィンの各フィンは、
平面視において、板面に沿った長さが一定である請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記隣接するフィンの間の最小間隔は、
3mm以上5mm以下の範囲の寸法である請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記複数のフィンの各フィンは、
板厚が1mm以上2mm以下であり、板面に沿った最大の長さが30mm以下の寸法である請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記複数のフィンの各フィンは、
前記一方の面からの高さが80mm以下である請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の面から起立する複数のフィンが環状に配置された第1フィン群と、
を備え、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第1フィン群の内側である中央領域には、
前記ベース部の前記一方の面が凸形状に嵩上げされた嵩上部が形成されており、
前記嵩上部の上方には、
前記複数のフィンが起立する向きに開放された空間が形成されており、
前記複数のフィンは、
少なくとも一部が前記嵩上部から起立しており、
前記複数のフィンのうち任意の前記隣接するフィンの間に形成された流路は、
前記中央領域に形成された前記空間を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路と、前記空間を介して繋がっているヒートシンク。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のヒートシンクを備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートシンク及びヒートシンクを使用する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置には、光源の発生する熱を逃がすため、ヒートシンクを備える照明装置がある(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-207368号公報
【文献】特開2016-207369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2では、特許文献1,2の
図1、
図4、
図5、
図6に図示されるように、中心領域に円柱形状部が配置されており、側面から空気が流入しても側面反対側に抜けることが難しい。このため、放熱効果が十分ではないと考えられる。
【0005】
本発明は、効率よく熱を排出でき、また、小型化及び軽量化が可能なヒートシンクの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヒートシンクは、
板状のベース部と、
前記ベース部の一方の面から起立する複数のフィンが環状に配置された第1フィン群と、を備え、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立しており、
前記第1フィン群の内側である中央領域には、
前記複数のフィンが起立する向きに開放された空間が形成されており、
前記複数のフィンのうち任意の前記隣接するフィンの間に形成された流路は、
前記中央領域に形成された前記空間を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路と、前記空間を介して繋がっており、
前記第1フィン群の前記複数のフィンは、
前記ベース部の前記一方の面の第1の仮想円周と重なるように環状に配置され、
前記第1フィン群の前記複数のフィンの各フィンは、
前記各フィンの板面が前記第1の仮想円周を有する第1の仮想円の半径方向と交わるように配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的に光源部の熱をヒートシンクの外側に効率よく排出でき、且つヒートシンクの小型化、軽量化の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1の図で、照明装置10の斜視図。
【
図2】実施の形態1の図で、照明装置10を示す別の斜視図。
【
図3】実施の形態1の図で、照明装置10の分解斜視図。
【
図4】実施の形態1の図で、照明装置10の断面図。
【
図5】実施の形態1の図で、ヒートシンク100の平面図。
【
図6】実施の形態1の図で、半分に切断した状態のヒートシンク100の斜視図。
【
図7】実施の形態1の図で、ヒートシンク100での気体の流れを示す、ヒートシンク100の平面図。
【
図8】実施の形態1の図で、ヒートシンク100での熱の流れを示す、ヒートシンク100の
図7のA-A断面図。
【
図9】実施の形態1の図で、ヒートシンク100での熱の流れを示す、ヒートシンク100の
図7のB-B断面図。
【
図10】実施の形態2のヒートシンク100-1を示す図。
【
図11】実施の形態2のヒートシンク100-2を示す図。
【
図12】実施の形態2のヒートシンク100-3を示す図。
【
図13】実施の形態2のヒートシンク100-4を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1から
図9を参照して、実施の形態1の照明装置10を説明する。照明装置10の特徴は、ヒートシンク100にある。具体的には、ヒートシンク100のベース部110の嵩上部119と、ヒートシンク100のフィンの配置とに、特徴がある。これらの特徴によって、放熱効率のよい、小型で軽量なヒートシンク、及びこのヒートシンクを備える照明装置を提供できる。ヒートシンク100は、冷間鍛造によってベース部110と複数のフィンとが一体に成形されることを想定している。
【0010】
図1及び
図2は、照明装置10の斜視図である。
図3は、照明装置10の分解斜視図である。
図4は、照明装置10の断面図である。
図5は、照明装置10の平面図である。
図6は、ヒートシンク100を2つに切断したうちの一方の斜視図である。
【0011】
***照明装置の構成の説明***
図3に示すように、照明装置10は、ヒートシンク100、光源部200、リフレクタ300、拡散板400及び反射板枠500を備える。また照明装置10は、図示していない点灯装置を備える。光源部200は、ヒートシンク100に取り付けられる。リフレクタ300は、光源部200をヒートシンク100に固定する機能を有する。拡散板400は、光源部200の光を拡散させる機能を有する。反射板枠500は、照明装置10を天井穴に取り付ける機能を有する。
【0012】
ヒートシンク100の材質は、光源部200の発生する熱を放熱するため、放熱性のよい金属が好ましいが、放熱性が良ければ金属に限定はされない。実施の形態1では、ヒートシンク100の材質は、アルミニウム合金である。
【0013】
光源部200には、図示していない複数のLEDが実装されている。
【0014】
リフレクタ300は、外装がプラスチック樹脂で成形され、内部に導電金具を内蔵している。
【0015】
拡散板400は、透光性材料により形成されている。拡散板400は、光源部200から直接放射された光とリフレクタ300で反射された光とを拡散し、透過させる。
【0016】
反射板枠500は、取付けバネ501を3つ有している。取付けバネ501は、照明装置10を天井穴に取付けた際、照明装置10の落下防止を防ぐ。なお
図3は、照明装置10を構成するための主要な部材のみを記載している。
【0017】
図3、
図4に示している光源部200及びリフレクタ300は、ヒートシンク100にネジで締結される。拡散板400は、リフレクタ300に取付けられる。反射板枠500は、リフレクタ300に取付けられるか、あるいはヒートシンク100に取り付けられる。
【0018】
***ヒートシンク100の構成の説明***
次にヒートシンク100の構成を説明する。
図6に示すように、ヒートシンク100は、板状のベース部110と、ベース部110の一方の面111から起立する複数のフィン121が環状に配置された第1フィン群120を備えている。
【0019】
<第1フィン群>
図5において、フィン121-1から左周りにフィン121-18までの18のフィン121が第1フィン群120である。特に区別の必要がない場合は、フィン121-1等はフィン121と記す。
図5、
図6に示すように、第1フィン群120の複数のフィンの各フィン121は、板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィン121と接続することなく単独で起立している。
なお、気体とは大気、つまり空気を想定するが、ヒートシンク100は大気以外の環境でも使用できるので気体の用語を用いる。
【0020】
図5に示すように、第1フィン群120の内側である中央領域101には、複数のフィン121,121...が起立する向きに開放された空間102が形成されている。
【0021】
図5に示すように、複数のフィン121、121...のうち任意の隣接するフィンの間に形成された流路11は、中央領域101に形成された空間102を間にして配置された、別の任意の隣接するフィンの間に形成された別の流路18と、空間102を介して繋がっている。
図5では、隣接するフィンどうしであるフィン121-9とフィン121-10の間に形成された流路11が、空間102を間にして配置された、別のフィンどうしであるフィン121-16とフィン121-17との間に形成された別の流路18と、空間102を介して繋がっている状態を示す。流路11との流路18とが繋がって、吹き抜け経路103を形成している。
【0022】
図5に示すように、第1フィン群120の複数のフィン121、121...は、ベース部110の一方の面111の破線で示す第1の仮想円周113と重なるように環状に配置されている。第1フィン群120の複数のフィンの各フィン121は、各フィンの板面121Fが、第1の仮想円周113を有する第1の仮想円114の半径方向115と交わるように配置されている。フィン121の板面121Fとは、
図6に示すように、フィン121における板幅Bの面である。また後述のフィン131の板面111Fとは、
図6に示すように、フィン131における板幅Bの面である。
図5では、フィン121-1を例にとれば、フィン121-1の板面121Fの幅方向124が、第1の仮想円114の半径方向115に対して角度θを持って交わるように配置されている。フィン121-1以外の他のフィン121についても同様である。具体的には、
図5におけるフィン121-1をみてわかるように、第1フィン群120の複数のフィン121の各フィン121は、平面視において、板面121Fの幅方向124が、半径方向115に対して、右回りの方向に角度θを持って交わるように配置されている。
【0023】
<第2フィン群>
また、ヒートシンク100は、
図5、
図6に示すように、第2フィン群130を備えている。
図5において、フィン131-1から左周りにフィン131-2、131-7、131-9、131-10、131-17、131-18を経て131-31に至る31のフィンが第2フィン群130である。区別の必要がない場合は、フィン131-1等はフィン131と記す。このように、第2フィン群130は、ベース部110の一方の面111から起立する複数のフィン131が第1フィン群120の外側に環状に配置されている。複数のフィンの各フィン131は、板状をなし、隣接するフィンの間に気体が通過自在である流路が形成されるように、他のフィンと接続することなく単独で起立している。
【0024】
図5に示すように、第2フィン群130の複数のフィン131,131...は、ベース部110の一方の面111の第2の仮想円周116と重なるように環状に配置される。第2フィン群130の複数のフィン131,131...の各フィン131は、各フィン131の板面131F(
図6)の幅方向134が、第2の仮想円周116を有する第2の仮想円117の半径方向118と交わるように配置されている。具体的には、
図5におけるフィン131-7をみてわかるように、第2フィン群130の各フィン131は、平面視において、半径方向118と、板面131F(
図6)の幅方向134とが、右回りの方向に角度φで交わるように配置されている。
【0025】
<ベース部の構成>
図3、
図4に示すように、ベース部110は、他方の面112に光源部200が配置される。
図6に示すようにベース部110は、複数のフィン121,121...が起立する向きに沿って、各フィン121の端部が配置される一方の面111の一部が凸形状に嵩上げされた嵩上部119を有する。嵩上部119は円盤状に盛り上がっている。
図5では
図6の上側円周119Aと下側円周119Bが見えている。
【0026】
図6に示すように、ベース部110は、他方の面112のうち光源部200が配置される光源部配置領域112Aの裏面となる一方の面111の対応領域111Bが、凸形状111Aの嵩上部119である。
嵩上部119を除くベース部110の厚みと、嵩上部119との厚みの比は、例えば、0.3以上0.6以下の範囲である。
図6では一例として、ベース部110の厚みは4.7mmであり、嵩上部119の厚みは10.7mmである場合を示している。
【0027】
図6に示すように、空間102は、嵩上部119の上方に形成されている。嵩上部119の上方に、吹き抜け経路103を形成する空間102が存在するので、放熱の効率が向上する効果がある。
【0028】
<フィンの具体的な構成>
図5、
図6に示すように、ヒートシンク100では、第1フィン群120の各フィン121は、少なくとも一部が、嵩上部119から起立している。よって、光源部200から熱を吸い上げる嵩上部119から一つのフィン121に関してその少なくとも一部が起立するので、放熱の効率が向上する効果がある。
図6では、フィン121の下端の一部が嵩上部119から起立しているが、下端の全部が嵩上部119から起立する構成でもよい。
【0029】
ヒートシンク100では、隣接するフィンの間の最小間隔△h(
図5)は、3mm以上5mm以下の範囲の寸法である。隣接するフィンとは、第1フィン群120のフィン121どうし、第2フィン群130のフィン131どうし、及びフィン121とフィン131との3つの場合を含む。第1フィン群120の各フィン及び第2フィン群130の各フィン131は、他のフィンと接続することなく単独で起立している。「隣接するフィンの間の最小間隔△h」とは、単独で起立しているフィンどうしの最小間隔△hが、3mm以上5mm以下の範囲の寸法であることであり、また、最小間隔△hは、三次元の距離である。
図5にフィン121-17とフィン121-18との最小間隔△hを両矢印105で示した。
【0030】
ヒートシンク100では、複数のフィンの各フィンは、板厚t(
図6)が1mm以上2mm以下であり、板面に沿った最大幅Bmaxが30mm以下の寸法である。複数のフィンとは、第1フィン群120のフィン121及び第2フィン群130のフィン131の両方である。板面に沿った幅とは、フィンの形状を根元から先端まで上方向にストレート形状で製造する際の、横方向のフィンの板幅Bである。
図6にフィン121、フィン131の板幅Bを示した。また
図6にフィン131を例に板厚tを示した。
フィンの板幅の最大幅Bmaxを30mm以下としているので、冷間鍛造製法を用いた場合、フィンの型に抜き勾配を設けずにヒートシンク100を製造できる。また、最大幅Bmaxを30mm以下としているので、ヒートシンク100を型から抜く際に、フィンの変形あるいはフィンの倒れ防止をする効果がある。フィンの板幅が30mmをこえる場合は、型からフィンを抜く際にフィンに変形が生じる可能性が大きい。また型に抜き勾配を設けないフィンとした場合は、フィンの形状を根元から先端までストレート形状とできるため、軽量化の効果がある。つまり複数のフィンの各フィンは、平面視において、板面に沿った長さ、つまり板幅Bが一定である。
フィンの板厚tについては、板厚tが1mm以上2mm以下であれば、ヒートシンク100の製法に冷間鍛造製法を用いた場合、フィンの型に抜き勾配を設けずにヒートシンク100を製造出来る。このため、冷間鍛造製法を用いた場合の、フィンの形状を根元から先端までストレート形状で製造でき、上記のように軽量化の効果がある。なおフィンとは、第1フィン群120のフィン121及び第2フィン群130のフィン131の両方である。
【0031】
ヒートシンク100では、複数のフィンの各フィンは、一方の面111からの高さHが80mm以下である。高さHを80mm以下とすることで、小型、軽量のヒートシンク100を提供できる。なお複数のフィンの各フィンとは、第1フィン群120のフィン121及び第2フィン群130のフィン131の両方である。「一方の面111からの高さH」であるので、
図6に示すように、フィンが嵩上部119以外の一方の面111から起立する場合は
一方の面111からの高さH1≦80mmであり、
フィンが嵩上部119の上面に相当する一方の面111から起立する場合は、
一方の面111からの高さH2≦80mmである。
【0032】
<気体の流れの説明>
図7は、ヒートシンク100における気体の流れを示す。
図7は
図5と同じ、ヒートシンク100の平面図である。
図7において破線矢印106Aは、気体の進行方向を示す。実線矢印106Bは、破線矢印106Aに沿ってヒートシンク100の流路に流入する気体の進行方向が第2フィン群130によって徐々に変化する進行方向を示している。破線矢印106A,実線矢印106B及び後述の矢印107は説明のためのものであり現実の流れを示すものではない。中央の太い10本の矢印107は、第1フィン群120によって、一方の面111の対応領域111Bに、渦巻き状の流れが生じることを示している。
つまり、ヒートシンク100のフィンは、中心に向かうように想像線を引いた場合、ヒートシンク100の中心を通らず、ヒートシンク100の中心からオフセットされた位置を通るように設置されている。このため、外周から流入する気体の流れを滞留させないように渦巻き状に変化させ、ヒートシンク100を通過する気体の対流を促進している。
具体的に説明すれば、各フィン121の幅方向124は、半径方向115に対して右周りに角度θ傾いており、各フィン131の幅方向134は、半径方向118に対して右周りに角度φ傾いている。この構成により、対応領域111Bにおいて気体の流れを滞留させることなく、渦巻き状の気体の流れをつくることによって、対応領域111Bの上方の空間102に向かって、スムーズに進行する気体の流れをつくることができる。この渦巻き状の気体の流れにより冷却効率を向上できる。
【0033】
<熱の流れの説明>
図8は、
図7のA-A断面図である。
図9は、
図7のB-B断面図である。
図8、
図9を参照してヒートシンク100における熱の流れを説明する。矢印108は熱の流れを示す。
図8、
図9に示すように、光源部200で発生した熱は、主に、嵩上部119によって引っ張り上げられる。嵩上部119によって引っ張り上げられた熱は、第1フィン群120のフィン121から大気中に放熱され、及び第2フィン群130のフィン131から放熱される。
【0034】
***実施の形態1の効果***
(1)ヒートシンク100は、光源部200が配置される光源部配置領域112Aの裏面に相当する対応領域111Bに、凸形状111Aの嵩上部119を有する。嵩上部119は、光源部200からの熱を引っ張り上げることができるので、光源部200で発生した熱を、第1フィン群120の各フィンへ効率よく伝えることができる。
(2)
図5で説明したように、ヒートシンク100の中央領域101には、気体の流れを阻害する構造物がなく、吹き抜け経路103が形成されている。このため、気体は吹き抜け経路103を吹き抜けることができる。なお、フィンどうしは3mm以上5mm以下の間隔で形成されているので、フィンどうしは、気体の流入を阻害しない。よって、光源部200から伝わる熱を効率的にヒートシンク100の外部に排出できる。
(3)ヒートシンク100のフィン121、フィン131は、上記で述べたように、板厚保方向が、仮想円の中心方向に対して角度θ、角度φだけオフセットされた位置に設置されている。このため、外周から流入する気体の流れを滞留させることなく、渦巻き状にして、対応領域111Bの上方の空間102に向かって、対流しやすくできる。このため、放熱効率を高めることができる。
【0035】
実施の形態2.
図10~
図13を参照して、実施の形態2のヒートシンク100-1、100-2,100-3,100-4を説明する。実施の形態2の各ヒートシンクは、実施の形態1のヒートシンク100に対してフィン形状が異なる。実施の形態2において、実施の形態1と同様の部分は説明を省略する。
【0036】
図10は、ヒートシンク100-1を示す。
図11は、ヒートシンク100-2を示す。
図12は、ヒートシンク100-3を示す。
図13は、ヒートシンク100-4を示す。
【0037】
図10を参照してヒートシンク100-1を説明する。
(1)ヒートシンク100-1は、第1フィン群120の外側に配置されたすべてのフィンが第2フィン群130を構成する。
図5に示すように、ヒートシンク100の場合、フィン131-9とフィン131-10の間にフィンがあるが、これらは第2フィン群130には含まれない。ヒートシンク100-1では、第1フィン群120の周囲に配置されたすべてのフィンがフィン131として第2フィン群130を構成する。
【0038】
図11を参照してヒートシンク100-2を説明する。
(1)ヒートシンク100-2では、第1フィン群120が嵩上部119の上面から起立している。これは破線範囲119Cに示すように、第2フィン群130のフィン131の下側底辺の一部が接触状態にあることからわかる。
(2)ヒートシンク100-2では、第2フィン群130の各フィン131が平坦ではなくて曲率を持っている。
(3)ヒートシンク100-2では、第2フィン群130を囲む第3フィン群140が存在する。第3フィン群140は複数のフィン141から構成される。フィン141は、フィン131と同様に、曲率を持つ。フィン141-1に曲率半径Rを示した。フィン131もフィン141と同様の曲率半径を有する。
【0039】
図12を参照してヒートシンク100-3を説明する。
(1)ヒートシンク100では、第2フィン群130は存在しない。第1フィン群120は存在する。
(2)第1フィン群120のフィン121で囲まれた空間には、柱形状の柱状部150が4本存在する。4本の柱状部150は、嵩上部119の上面から起立している。
【0040】
図13を参照してヒートシンク100-4を説明する。
(1)ヒートシンク100-4は、第1フィン群120、第2フィン群130、第3フィン群140及び第4フィン群160を有している。第1フィン群120は複数のフィン121からなり、第2フィン群130は複数のフィン131からなり、第3フィン群140は複数のフィン141からなり、第4フィン群160は複数のフィン161からなる。
(2)第2フィン群130、第3フィン群140及び第4フィン群160の各フィンは、フィンの板厚が各仮想の周に沿うように、仮想の周に沿って配置されている。
【0041】
実施の形態2のヒートシンク100-1からヒートシンク100-2についても、実施の形態1のヒートシンク100の効果を得ることができる。
【0042】
以上、本発明の実施の形態1,2について説明したが、実施の形態1,2を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、実施の形態1または実施の形態2を部分的に実施しても構わない。あるいは、実施の形態1,2を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
B 板幅、Bmax 最大板幅、H 高さ、hmin 最小間隔、t 板厚、10 照明装置、11,18 流路、100 ヒートシンク、101 中央領域、102 空間、103 吹き抜け経路、104 気体、105 両矢印、106A 破線矢印、106B 実線矢印、107,108 矢印、110 ベース部、111 一方の面、111A 凸形状、111B 対応領域、112 他方の面、112A 光源部配置領域、113 第1の仮想円周、114 第1の仮想円、115 半径方向、116 第2の仮想円周、117 第2の仮想円、118 半径方向、119 嵩上部、119A 上側円周、119B 下側円周、119C 破線範囲、120 第1フィン群、121 フィン、121F 板面、124 幅方向、130 第2フィン群、131 フィン、131F 板面、134 幅方向、140 第3フィン群、141 フィン、150 柱状部、160 第4フィン群、161 フィン、200 光源部、300 リフレクタ、400 拡散板、500 反射板枠、501 取付けバネ。