(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】路面標示
(51)【国際特許分類】
E01F 9/50 20160101AFI20230623BHJP
【FI】
E01F9/50
(21)【出願番号】P 2019048849
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛生
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特許第2659114(JP,B2)
【文献】特開2014-074275(JP,A)
【文献】特開2014-009467(JP,A)
【文献】特表2015-507712(JP,A)
【文献】国際公開第2014/046381(WO,A1)
【文献】特表2019-525045(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012712(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0355564(US,A1)
【文献】永見豊 他,アナモルフォーシスを用いた逆走対策立体路面標示のデザイン,交通工学論文集,第4巻,第1号(特集号B),日本,2018年02月,B_57-B_63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の第1方向に沿った第1地点から第2地点までの区間において標示材を用いて形成された標示部を備える路面標示であって、
前記標示部が、通行者に該標示部を立体図形のように見せるための錯視惹起図形を含み、
前記錯視惹起図形が、それぞれが前記路面の第1方向に沿って延びる第1外縁および第2外縁を含み、
前記第1外縁と第2外縁との距離が前記第1地点から前記第2地点への方向に向かうにつれて次第に小さくなり、
前記錯視惹起図形によって、前記標示部が、前記路面を前記第2地点から前記第1地点に向かう逆方向に進む第1の人からは立体図形のように視認され、
前記標示部が、前記路面を前記第1地点から前記第2地点に向かう順方向に進む第2の人からは立体図形として視認され
ず、
前記錯視惹起図形が、
前記路面の第1方向に沿って延びる中心線と、
前記第1外縁の側から前記第2外縁の側に向かって延びる横断線と、
前記横断線が前記中心線の途中で該中心線と交差することで形成される交点とをさらに含む、
路面標示。
【請求項2】
前記路面が車道であり、
前記第1の人が、前記車道を前記逆方向に進む第1車両の運転者であり、
前記第2の人が、前記車道を前記順方向に進む第2車両の運転者である、
請求項1に記載の路面標示。
【請求項3】
前記標示部が、前記錯視惹起図形よりも前記第1地点の側に位置する標示本体をさらに含む、
請求項1または2に記載の路面標示。
【請求項4】
前記標示本体が、前記第1地点から前記第2地点に向かう矢印を表現する、
請求項3に記載の路面標示。
【請求項5】
前記錯視惹起図形において、前記中心線と前記横断線と前記交点とで形成される線領域以外の領域に前記標示材が固着され、該線領域は前記標示材で覆われない、
請求項
1~4のいずれか一項に記載の路面標示。
【請求項6】
前記路面の第2方向において前記標示部を挟み、且つ互いに平行な二つの補助直線をさらに備える請求項
1~5のいずれか一項に記載の路面標示。
【請求項7】
路面の第1方向に沿った第1地点から第2地点までの区間において標示材を用いて形成された標示部を備える路面標示であって、
前記標示部が、通行者に該標示部を立体図形のように見せるための錯視惹起図形を含み、
前記錯視惹起図形が、それぞれが前記路面の第1方向に沿って延びる第1外縁および第2外縁を含み、
前記第1外縁と第2外縁との距離が前記第1地点から前記第2地点への方向に向かうにつれて次第に小さくなり、
前記錯視惹起図形によって、前記標示部が、前記路面を前記第2地点から前記第1地点に向かう逆方向に進む第1の人からは立体図形のように視認され、
前記標示部が、前記路面を前記第1地点から前記第2地点に向かう順方向に進む第2の人からは立体図形として視認されず、
前記錯視惹起図形が立て看板を表現し、かつ台形を含み、
前記台形の下底、上底、および高さをそれぞれA、B、Hとして、B/Aが5以上かつ30以下であり、H/Aが20以上かつ150以下である、
路面標示。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は路面標示に関する。
【背景技術】
【0002】
交通の安全を図るために路面に形成される路面標示が知られている。例えば、特許文献1には、少なくとも明度が異なる複数のシート片が、立体図形状に配置され、相隣る各シート片間の明度差が陰影として表現され得る位置関係で配置されてなることを特徴とする立体図法による道路標示が記載されている。特許文献2には、隣接した2つの縦辺が相互鋭角を形成するように道路路面上に印刷されて、運転者の位置が基準距離に近づくほど該運転者の視野に路面表示の該隣接した2つの縦辺が徐々に平行に投影されて、該運転者に該路面表示が動くことと認識されることを特徴とする錯視効果路面表示が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2659114号公報
【文献】特表2015-507712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車の逆走、進入禁止領域への進入など、交通規則に反する走行または進入が近年問題になっている。そこで、このような問題を解消または緩和することができるような路面標示が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る路面標示は、路面の第1方向に沿った第1地点から第2地点までの区間において標示材を用いて形成された標示部を備える。標示部は、通行者に該標示部を立体図形のように見せるための錯視惹起図形を含む。錯視惹起図形は、それぞれが路面の第1方向に沿って延びる第1外縁および第2外縁を含む。第1外縁と第2外縁との距離は第1地点から第2地点への方向に向かうにつれて次第に小さくなる。錯視惹起図形によって、標示部は、路面を第2地点から第1地点に向かう逆方向に進む第1の人からは立体図形のように視認される。標示部は、路面を第1地点から第2地点に向かう順方向に進む第2の人からは立体図形として視認されない。
【0006】
このような側面においては、両外縁の幅が次第に小さくなる錯視惹起図形によって、望ましくない方向に進んでいる人(逆方向に進む第1の人)からは標示部が立体図形として認識されるので、その進行を止めることが期待できる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、交通規則に反する走行または進入の問題を解消または緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る路面標示の機能の例を概念的に示す図である。
【
図2】実施形態に係る路面標示の機能の例を概念的に示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る路面標示の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る路面標示の別の例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る路面標示のさらに別の例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る路面標示のさらに別の例を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る路面標示の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る路面標示の寸法を設定する一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に対応する実施例および比較例に係る路面標示を示す図である。
【
図10】第1実施形態に対応する一部の実施例および比較例に係る路面標示の写真を示す図である。
【
図11】第2実施形態に対応する実施例および比較例に係る路面標示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
本開示に係る路面標示は、交通の安全を図るために路面に形成される標示である。通行者は路面標示を見ることで通行の規則を認識することができ、通行者がその規則に従って通行することで、交通の安全が維持され得る。通行者とは、道路に沿って進む人のことをいい、歩行者と移動体の乗員(例えば運転者)とを含む概念である。移動体とは、人をある場所から別の場所へ輸送することが可能であり、且つ道路上を進行することが可能な機器である。移動体は道路上だけでなく空中、水上、または水中を進行可能であってもよい。移動体の例として自動車、バイク、自転車などの車両が挙げられるが、移動体はこれらの例に限定されない。
【0011】
本開示に係る路面標示は、交通規則に反する走行または進入の問題を解消または緩和することを目的として路面に形成される。交通規則に反する走行または進入の具体的な場面は限定されないが、例として、車の逆走、および進入禁止領域への進入が挙げられる。より具体的には、本開示に係る路面標示は、逆方向に進む第1の人には該路面標示が立体図形(3次元形状)のように視認され、順方向に進む第2の人からは立体図形として視認されない構成を備える。言い換えると、該第1の人からは路面標示が路面から高さ方向に突き出るかまたは浮いているように見え、該第2の人からは路面標示が路面上に敷かれているように(すなわち、路面標示が単なる平面図形のように)見える。本開示において、逆方向とは交通規則に違反する進行方向のことをいい、順方向とは交通規則に違反しない進行方向のことをいう。端的にいうと、本開示に係る路面標示は、逆方向に進む人には該路面標示をあたかも3次元形状の障害物のように見せることによって、現在の進行方向が間違っていることをその人に気付かせることを意図する。これにより、望ましくない進行を止めさせることが可能になる。一方、順方向に進む人には、路面標示は路面に形成された2次元上の標示にしか見えないので、その人はそのまま進み続けることができる。
【0012】
図1および
図2はいずれも、このような路面標示の機能の例を概念的に示す図である。
図1は路面70に形成された路面標示1を示し、この路面標示1は正しい進行方向(すなわち順方向)を示す矢印を表現する。道路を逆方向71に進む自動車81の運転者91は、路面標示1を、現在の進行方向とは逆の向きを示す3次元形状の矢印のように錯覚する。運転者91にこのような錯覚を起こさせることで、運転者91の逆走を止めることが期待できる。一方、道路を順方向72に進む自動車82の運転者92は、路面標示1を、順方向72を示す2次元形状の矢印と認識し、そのまま自動車82を運転し続ける。
【0013】
図2は路面70に形成された路面標示2を示し、この路面標示2は車両通行止めを示す立て看板を表現する。道路を逆方向71に進む自動車83の運転者93は、路面標示2を、前方に立ちはだかる3次元形状の看板のように錯覚する。運転者93にこのような錯覚を起こさせることで、運転者93の進行を止めることが期待できる。一方、道路を順方向72に進む特殊車両84の運転者94は、路面標示2を、単に2次元形状の何らかの図形と認識し、そのまま特殊車両84を運転し続ける。
【0014】
本開示に係る路面標示は、標示材を路面に固着することで形成される。標示材の種類および構成は限定されず、任意の標示材が用いられてよい。例えば、標示材は液状塗料でもよいし、溶融型の粉体塗料でもよいし、フィルム、テープなどのシート材でもよい。高屈折率を持つガラスビーズを含むことで再帰反射性を実現する路面標示材を用いて路面標示を形成してもよい。標示材を路面に固着する方法も限定されず、例えば、標示材は塗布、印刷、または接着により路面に固着されてもよい。
【0015】
本開示に係る路面標示は一または複数の色を用いて表現される。色は何ら限定されず、路面標示は任意の1以上の色を用いて設計されてよい。路面標示を単色で表現する場合には、白、黄などのような、人から視認されやすい色の標示材が用いられてもよい。
【0016】
本開示に係る路面標示が設けられる場所は限定されない。例えば、路面標示は車道、自転車道、歩道などの道路に設けられてもよいし、人または移動体が通行し得る他の場所(例えば駐車場)に設けられてもよい。
【0017】
(第1実施形態)
図3~
図6を参照しながら、第1実施形態に係る路面標示について説明する。
図3~
図6はいずれも、第1実施形態に係る路面標示の例を示す図である。
【0018】
まず、
図3に示す路面標示1について説明する。路面標示1は、標示部10と二つの補助直線20とを備える。標示部10は、路面70の第1方向73に沿った第1地点75から第2地点76までの区間において形成される部分である。二つの補助直線20は、第1方向73と直交する路面70の第2方向74において標示部10を挟み、且つ互いに平行である。本開示において、「路面の第1方向」とは路面での通行者の進行方向に対応する方向のことをいう。路面の第1方向の例として、道路の延伸方向と、駐車場などの広場における通路の延伸方向とが挙げられ、したがって、路面の第1方向は路面の延伸方向であり得る。「路面の第2方向」とは、路面に対応する2次元空間において路面の第1方向と直交する方向である。路面の第1方向が道路の延伸方向である場合には、路面の第2方向は該道路の幅方向である。路面の第1方向が駐車場などの広場における通路の延伸方向である場合には、路面の第2方向は該通路の幅方向である。したがって、路面の第2方向は路面の幅方向であり得る。
【0019】
標示部10は標示の意味を通行者に伝える役割を担う部分である。標示部10は標示の意味を表現する部分である標示本体11を含む。
図3の例では、標示本体11は第1地点75から第2地点76に向かう矢印を示す。この標示は、第1地点75から第2地点76に向かう方向に進むことが正しく、第2地点76から第1地点75に向かう方向に進むことができないことを通行者に伝えることを意図する。
【0020】
標示部10は、通行者に標示部10を立体図形のように見せるための図形である錯視惹起図形12をさらに含む。錯視惹起図形12は標示本体11よりも第2地点76の側に位置し、言い換えると、標示本体11は錯視惹起図形12よりも第1地点75の側に位置する。錯視惹起図形12の第2地点76側の端縁は、標示本体11の第2地点76側の外縁と相似である。具体的には、錯視惹起図形12の該端縁は矢印の先端に対応するV字状を呈する。錯視惹起図形12は、それぞれが路面70の第1方向73に沿って延びる第1外縁13および第2外縁14を含む。第1外縁13および第2外縁14は、該二つの外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくなるように形成され、したがって、錯視惹起図形12は、第2地点76に近づくにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0021】
錯視惹起図形12は、路面70の第1方向73に沿って延びる直線である中心線15をさらに含む。錯視惹起図形12は、この中心線15を対称軸とする線対称な図形である。第1外縁13および第2外縁14のいずれも、第1地点75の側から第2地点76の側に向かうにつれて中心線15に近づく。錯視惹起図形12は、第1外縁13の側から第2外縁14の側に向かって延びる横断線16をさらに含む。
図3の例では、横断線16は、標示本体(矢印)11の第2地点76側の外縁と相似である。具体的には、横断線16は矢印の先端に対応するV字状を呈する。
図3に示すように、横断線16は中心線15より太くてもよい。錯視惹起図形12は、横断線16が中心線15の途中で該中心線15と交差することで形成される交点17をさらに含む。本開示では、中心線および横断線はいずれも所与の幅を有するので、交点は実際には、2次元状に広がる領域で表現され得る点に留意されたい。
【0022】
錯視惹起図形12の構成要素である中心線15、横断線16、および交点17のうちの少なくとも一つは、人の視線を錯視惹起図形12に誘導する視線誘導表示としての機能を発揮し得る。人の視線を錯視惹起図形12に誘導することで、標示部10をより簡単に立体図形に見せることが可能になる。
【0023】
それぞれの補助直線20は、路面70の第1方向73に沿って延びるように形成される。それぞれの補助直線20は、該第1方向73に沿った標示本体11の仮想的な中心線と平行であるということもできるし、錯視惹起図形12の中心線15と平行であるということもできる。それぞれの補助直線20は、路面70の第2方向74において標示部10から所与の間隔をおいて形成される。二つの補助直線20は、第1地点75から第2地点76にかけて標示部10を挟むように形成される。補助直線20のペアは、人に標示部10をより確実に注目させることを意図する。
【0024】
図3の例では、標示本体11の外縁と、中心線15、横断線16、および交点17で形成される線領域以外の領域とに標示材が固着されることで標示部10が形成される。標示本体11の内部、および該線領域は標示材で覆われない。
【0025】
次に、
図4に示す路面標示1Aについて説明する。
図3の路面標示1と同一または同等の構成については必要に応じて説明を省略する。
図4に示す路面標示1Aは、標示部10Aと二つの補助直線20とを備える。この例でも、標示部10Aの標示本体11Aは第1地点75から第2地点76に向かう矢印を示す。
【0026】
標示部10Aは、標示本体11Aよりも第2地点76の側に位置する錯視惹起図形12Aをさらに含む。錯視惹起図形12Aの第2地点76側の端縁は、標示本体11Aの第2地点76側の外縁(矢印の先端)と相似である。錯視惹起図形12Aの第1外縁13Aおよび第2外縁14Aは、該二つの外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくなるように形成され、したがって、錯視惹起図形12Aは、第2地点76に近づくにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0027】
錯視惹起図形12Aは、路面70の第1方向73に沿って延びる直線である中心線15Aをさらに含む。錯視惹起図形12Aは、この中心線15Aを対称軸とする線対称な図形である。第1外縁13Aおよび第2外縁14Aのいずれも、第1地点75の側から第2地点76の側に向かうにつれて中心線15Aに近づく。錯視惹起図形12Aは、第1外縁13Aの側から第2外縁14Aの側に向かって延びる二つの横断線16Aをさらに含む。
図4の例では、それぞれの横断線16Aは、標示本体11Aの第2地点76側の外縁(矢印の先端)と相似である。それぞれの横断線16Aは中心線15Aより細い。錯視惹起図形12Aは、横断線16Aが中心線15Aの途中で該中心線15Aと交差することで形成される二つの交点17Aをさらに含む。錯視惹起図形12Aは、第1外縁13Aまたは第2外縁14Aと中心線15Aとの間に位置し、且つ路面70の第1方向73に沿って延びる複数の中間線18をさらに含む。
【0028】
図4の例では、標示本体11Aの外縁と、中心線15A、横断線16A、交点17A、および中間線18で形成される線領域とに標示材が固着されることで標示部10Aが形成される。標示本体11Aの内部と、錯視惹起図形12Aの残りの領域とは標示材で覆われない。
【0029】
錯視惹起図形12Aの構成要素である中心線15A、横断線16A、交点17A、および中間線18のうちの少なくとも一つは、人の視線を錯視惹起図形12Aに誘導する視線誘導表示としての機能を発揮し得る。この機能によって、標示部10Aをより簡単に立体図形に見せることが可能になる。
【0030】
次に、
図5に示す路面標示1Bについて説明する。
図3の路面標示1と同一または同等の構成については必要に応じて説明を省略する。
図5に示す路面標示1Bは、標示部10Bと二つの補助直線20とを備える。この例でも、標示部10Bの標示本体11Bは第1地点75から第2地点76に向かう矢印を示す。
【0031】
標示部10Bは、標示本体11Bよりも第2地点76の側に位置する錯視惹起図形12Bをさらに含む。錯視惹起図形12Bの第2地点76側の端縁は、標示本体11Bの第2地点76側の外縁(矢印の先端)と相似である。錯視惹起図形12Bの第1外縁13Bおよび第2外縁14Bは、該二つの外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくなるように形成され、したがって、錯視惹起図形12Bは、第2地点76に近づくにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0032】
錯視惹起図形12Bは、路面70の第1方向73に沿って延びる直線である中心線15Bをさらに含む。錯視惹起図形12Bは、この中心線15Bを対称軸とする線対称な図形である。第1外縁13Bおよび第2外縁14Bのいずれも、第1地点75の側から第2地点76の側に向かうにつれて中心線15Bに近づく。
【0033】
図5の例では、標示本体11Bの外縁と、錯視惹起図形12Bのうち中心線15B(線領域)以外の領域とに標示材が固着されることで標示部10Bが形成される。標示本体11Bの内部、および該線領域(中心線15B)は標示材で覆われない。
【0034】
錯視惹起図形12Bの構成要素である中心線15Bは、人の視線を錯視惹起図形12Bに誘導する視線誘導表示としての機能を発揮し得る。この機能によって、標示部10Aをより簡単に立体図形に見せることが可能になる。
【0035】
次に、
図6に示す路面標示1Cについて説明する。
図3の路面標示1と同一または同等の構成については必要に応じて説明を省略する。
図6に示す路面標示1Cは、標示部10Cと二つの補助直線20とを備える。この例でも、標示部10Cの標示本体11Cは第1地点75から第2地点76に向かう矢印を示す。
【0036】
標示部10Cは、標示本体11Cよりも第2地点76の側に位置する錯視惹起図形12Cをさらに含む。錯視惹起図形12Cの第2地点76側の端縁は、標示本体11Cの第2地点76側の外縁(矢印の先端)と相似である。錯視惹起図形12Cの第1外縁13Cおよび第2外縁14Cは、該二つの外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくなるように形成され、したがって、錯視惹起図形12Cは、第2地点76に近づくにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0037】
図6の例では、標示本体11Cの外縁と錯視惹起図形12Cの全体とに標示材が敷かれることで標示部10Cが形成される。標示本体11Cの内部には標示材は敷かれない。
【0038】
第1実施形態に係る路面標示は、標示本体と錯視惹起図形とを含む標示部を備える。この路面標示は
図3~
図6の例に限定されず、様々な変形が可能である。
【0039】
図3~
図6では標示本体が矢印を表現するが、標示本体の形状および内容は限定されず、任意に設計されてよい。例えば、標示本体は任意の交通標識を表してもよいし、矢印以外の記号または図形を表してもよい。標示本体は文字を含んでもよい。これに対応して、錯視惹起図形およびその横断線の形状も限定されない。錯視惹起図形の第2地点76側の端縁は標示本体の第2地点76側の外縁と相似でもよいし相似でなくてもよい。横断線は標示本体の第2地点76側の外縁と相似でもよいし相似でなくてもよい。横断線は錯視惹起図形の第1外縁および第2外縁の少なくとも一方まで至らなくてもよい。横断線の個数は限定されず、したがって交点の個数も限定されない。錯視惹起図形は文字を含んでもよい。中心線は錯視惹起図形を貫通しなくてもよく、したがって、中心線の少なくとも一つの端部が錯視惹起図形の対応する端部よりも内側に位置してもよい。
図3~
図6では錯視惹起図形の第1外縁および第2外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくなるが、二つの外縁の位置関係はそれに限定されない。例えば、第1外縁および第2外縁は互いに平行であってもよい。あるいは、第1外縁および第2外縁間の距離が第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に大きくなってもよい。視線誘導表示として機能し得る中心線、中間線、および横断線はいずれも、実線以外の線種(例えば破線)で表現されてもよい。中心線と横断線との間で線幅(線幅)は同じでもよいし異なってもよい。横断線の方が中心線より太くてもよいし、この逆でもよい。
【0040】
図3~
図6の例では路面標示が二つの補助直線をさらに備えるが、この補助直線は省略されてもよい。
図3~
図6の例では、路面70の第2方向74に沿って見た場合に、二つの補助直線20が第1地点75から第2地点76までの範囲にわたって標示部10,10A,10B,10Cを挟む。しかし、補助直線は第1地点75から第2地点76までの区間の一部においてのみ標示部を挟んでもよい。補助直線は実線以外の線種(例えば破線)で表現されてもよい。
【0041】
路面標示の各構成要素の寸法も限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、路面70の第1方向73に沿った標示部、標示本体、および錯視惹起図形の間の長さの関係は、通行する物体の種類(例えば、人、各種の移動体など)、制限速度などを考慮して設定されてもよい。
【0042】
このように、第1実施形態に係る路面標示の具体的な構成は
図3~
図6の例に限定されず、様々な変形が可能である。いずれにしても、錯視惹起図形によって、第2地点76から第1地点75に向かう逆方向に進む第1の人に標示部を立体図形のように見せることが可能になる。第1の人から見ると錯視惹起図形は標示本体よりも手前に位置するので、該第1の人からは、錯視惹起図形が鉛直方向に沿って延びる面(立体図形の側面)であり標示部が立体図形の上面であるように見える。しかし、第1地点75から第2地点76に向かう順方向に進む第2の人から見ると錯視惹起図形は標示本体よりも奥に位置するので、錯視惹起図形は第2の人にそのような錯視を生じさせず、したがって、第2の人は標示部を平面図形として認識する。
図1に示すように、路面が車道であり、第1の人が、該車道を逆方向に進む自動車81(第1車両)の運転者91であり、第2の人が、車道を順方向に進む自動車82(第2車両)の運転者92であるとする。この場合、標示部は、第1の人からは立体図形のように視認されるが、第2の人からは立体図形のように視認されない(該第2の人からは標示部は平面図形として認識される。)。錯視惹起図形において、第1外縁と第2外縁との間の距離を、第1地点75から第2地点76への方向に向かうにつれて次第に小さくした場合には、逆方向に進む人に標示部を、より本物に近い立体図形のように見せることが可能になる。
【0043】
(第2実施形態)
図7を参照しながら、第2実施形態に係る路面標示について説明する。
図7は第2実施形態に係る路面標示の例を示す図である。
【0044】
路面標示2は標示部30を備える。標示部30は、路面70の第1方向73に沿った第1地点75から第2地点76までの区間において形成される部分である。標示部30は標示の意味を通行者に伝える役割を担う部分である。本実施形態では、標示部30の全体が、通行者に標示部30を立体図形のように見せるための図形である錯視惹起図形31であり、標示の意味を表現する部分である標示本体としても機能する。
図7の例では、標示部30は車両通行止めを示す立て看板を表現する。この標示は、第2地点76から第1地点75に向かう方向に進むことができないことを通行者に伝えることを意図する。錯視惹起図形31は、それぞれが路面70の第1方向73に沿って延びる第1外縁32および第2外縁33を含む。第1外縁32および第2外縁33は、該二つの外縁間の距離が第1地点75から第2地点76に向かうにつれて次第に小さくなるように形成され、したがって、錯視惹起図形31は、第2地点76に近づくにつれて窄むテーパ状を呈する。
【0045】
錯視惹起図形31は、立て看板の板状部分(立て看板の脚以外の部分)を表現する台形を含む。台形の第2地点76側の辺を下底とし、台形の第1地点75側の辺を上底とし、これら2辺の距離(すなわち、路面の第1方向73に沿った台形の長さ)を高さとする。下底の長さをAとし、上底の長さをBとし、高さをHで表すとする。これを前提として、下底に対する上底の比(=B/A)の下限は5、8、または10でもよく、この比(B/A)の上限は35、30、または23でもよい。また、下底に対する高さの比(=H/A)の下限は20、30、または37でもよく、この比(H/A)の上限は150、130、または110でもよい。
図8は、そのような比の関係を求める方法の一例を示す。その関係は、逆方向に進んでいて路面標示まで残り距離Yまで迫っている人に、高さH´および幅Wである画像(擬似画像)39を錯視によって擬似的に見せることができるように設定される。路面からその人の眼の位置100までの距離をZ
oとすると、H´に対するZ
oの比(Z
o/H´)が1.05以上かつ1.14以下の範囲となる条件で擬似画像39を路面に射影することで、錯視惹起図形31の台形31aの寸法(下底A、上底B、および高さH)が得られる。
【0046】
図7では標示部30(錯視惹起図形31)が車両通行止めを示す立て看板を表現するが、標示部30(錯視惹起図形31)の形状および内容は限定されず、任意に設計されてよい。例えば、標示部30(錯視惹起図形31)は他の交通標識を表してもよいし、矢印などの任意の記号または図形を表してもよいし、文字を含んでもよい。いずれにしても、錯視惹起図形31によって、第2地点76から第1地点75に向かう逆方向に進む人に標示部30を立体図形のように見せることが可能になる。一方、第1地点75から第2地点76に向かう順方向に進む第2の人から見ると錯視惹起図形31は第2の人にそのような錯視を生じさせず、したがって、第2の人は標示部30を平面図形として認識する。
図2に示すように、路面が車道であり、第1の人が、該車道を逆方向に進む自動車83(第1車両)の運転者93であり、第2の人が、車道を順方向に進む特殊車両84(第2車両)の運転者94であるとする。この場合、標示部30は、第1の人からは立体図形のように視認されるが、第2の人からは立体図形のように視認されない(該第2の人からは標示部30は平面図形として認識される。)。錯視惹起図形31において、第1外縁と第2外縁との間の距離を、第1地点75から第2地点76に向かうにつれて次第に小さくすることで、逆方向に進む人に標示部を、より本物に近い立体図形のように見せることが可能になる。
【0047】
路面標示2の寸法は限定されず、任意の方針で設計されてよい。例えば、その寸法は、通行する物体の種類(例えば、人、各種の移動体など)、制限速度などを考慮して設定されてもよい。
【0048】
以上説明したように、本開示の一側面に係る路面標示は、路面の第1方向に沿った第1地点から第2地点までの区間において標示材を用いて形成された標示部を備える。標示部は、通行者に該標示部を立体図形のように見せるための錯視惹起図形を含む。錯視惹起図形は、それぞれが路面の第1方向に沿って延びる第1外縁および第2外縁を含む。第1外縁と第2外縁との距離は第1地点から第2地点に向かうにつれて次第に小さくなる。錯視惹起図形によって、標示部は、路面を第2地点から第1地点に向かう逆方向に進む第1の人からは立体図形のように視認される。標示部は、路面を第1地点から第2地点に向かう順方向に進む第2の人からは立体図形として視認されない。
【0049】
このような側面においては、両外縁の幅が次第に小さくなる錯視惹起図形によって、望ましくない方向に進んでいる人(逆方向に進む第1の人)からは標示部が立体図形として認識されるので、その進行を止めることが期待できる。
【0050】
他の側面に係る路面標示では、路面が車道であり、第1の人が、車道を逆方向に進む第1車両の運転者であり、第2の人が、車道を順方向に進む第2車両の運転者であってもよい。この場合には、車両の逆走を防止することが可能になる。例えば、高速道路、一方通行の道路などでの逆走を防止し得る。
【0051】
他の側面に係る路面標示では、標示部が、錯視惹起図形よりも第1地点の側に位置する標示本体をさらに含んでもよい。この構成により、逆方向に進む第1の人には標示本体を浮き上がらせるように見せることができるので、該第1の人の進行を止めることが期待できる。
【0052】
他の側面に係る路面標示では、標示本体が、第1地点から第2地点に向かう矢印を表現してもよい。この矢印によって、逆方向に進む人に正しい進行方向を伝えることができる。
【0053】
他の側面に係る路面標示では、錯視惹起図形が、路面の第1方向に沿って延びる中心線を含んでもよい。中心線が視線誘導表示として機能して、人の視線を錯視惹起図形に誘導することができるので、より簡単に標示部を立体図形に見せることが可能になる。
【0054】
他の側面に係る路面標示では、錯視惹起図形が、第1外縁の側から第2外縁の側に向かって延びる横断線と、横断線が中心線の途中で該中心線と交差することで形成される交点とをさらに含んでもよい。中心線、横断線、および交点のうちの少なくとも一つが視線誘導表示として機能して、人の視線を錯視惹起図形に誘導することができるので、より簡単に標示部を立体図形に見せることが可能になる。
【0055】
他の側面に係る路面標示では、錯視惹起図形において、中心線と横断線と交点とで形成される線領域以外の領域に標示材が固着され、該線領域は標示材で覆われなくてもよい。錯視惹起図形の大部分を標示材で覆うことで、人の視点をより簡単に錯視惹起図形に誘導し易くなるので、より簡単に標示部を立体図形に見せることが可能になる。
【0056】
他の側面に係る路面標示は、路面の第2方向において標示部を挟み、且つ互いに平行な二つの補助直線をさらに備えてもよい。この構成によって、人に標示部をより確実に注目させることができる。
【0057】
他の側面に係る路面標示では、錯視惹起図形が立て看板を表現してもよい。この構成によって、逆方向に進む人に正しい通行に関する情報を伝えることができる。
【0058】
他の側面に係る路面標示では、錯視惹起図形が台形を含んでもよい。台形の下底、上底、および高さをそれぞれA、B、Hとして、B/Aが5以上かつ30以下であり、H/Aが20以上かつ150以下であってもよい。このように錯視惹起図形(立て看板)の寸法を設定することで、逆方向に進む人に対してより確実に錯視を惹起させることができる。
【0059】
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0060】
以下、実施例を具体的に説明するが、本開示はそれらに何ら限定されるものではない。
【0061】
(第1実施形態に対応する実施例)
図9は、第1実施形態に対応する9個の実施例および1個の比較例に係る路面標示を示す。これら10個のサンプルについて路面標示の視覚効果を確かめた。実施例1~9はいずれも、矢印を表す標示本体と錯視惹起図形とを含む路面標示であり、比較例は単に矢印のみを示す路面標示である。10個のサンプルでは、路面の第1方向および第2方向に沿った矢印(標示本体)の長さをそれぞれ2400mmに設定した。路面の第1方向に沿った標示部の長さは、実施例1~6では6175mmに、実施例7,8では3850mmに、実施例9では3080mmにそれぞれ設定した。
【0062】
それぞれの路面標示から5m離れた地点において該路面標示が人からどのように見えるかを確かめた。人の眼の位置は路面から1200mmの高さに位置することを想定した。具体的には、上記のように寸法を設定した10個のサンプルのそれぞれについて1/16スケールの路面標示の小型模型を作成した。そして、その小型模型から312.5(=5000/16)mm離れ且つ床面から75(=1200/16)mmの高さにカメラを設置して小型模型を撮影した。撮影は小型模型を逆方向から見た場合と順方向から見た場合とのそれぞれについて行った。そして、カメラから得られた画像を確認して、路面標示を逆方向から見た場合の錯視効果(すなわち、人に路面標示を立体図形であるかのように見せる効果)を確かめた。
【0063】
線領域に標示材を固着させた実施例1~4ではその錯視効果を確認できた。実施例5~8では、実施例1~4よりも高い錯視効果を確認できた。交点を有し、且つ線領域以外の領域に標示材を固着させた実施例6,8では、実施例5,7,9よりも高い錯視効果を確認できた。一方、比較例では錯視効果を確認できなかった。
図10は、実施例2,6,8および比較例についての、逆方向および順方向のそれぞれから路面標示を撮影した写真を示す。
【0064】
(第2実施形態に対応する実施例)
図11は、第2実施形態に対応する3個の実施例および3個の実施例に係る路面標示を示す。これら6個のサンプルについて路面標示の視覚効果を確かめた。6個のサンプルはいずれも、車両通行止めを示す板状部分と二本脚とから成る立て看板を表現する路面標示である。
図11は、板状部分に関するパラメータ(下底A、上底B、高さH、比B/A、および比H/A)と、射影に関するパラメータ(路面からの人の眼の高さZ
o、疑似画像の高さH´、人から路面標示までの距離Y、および比Z
o/H´)と、路面標示のデザインとを示す。これらのパラメータの単位はミリメートル(mm)である。
【0065】
6個のサンプルのそれぞれについて、1/16スケールの路面標示の小型模型を作成した。そして、その小型模型から312.5(=5000/16)mm離れ且つ床面から75(=1200/16)mmの高さにカメラを設置して小型模型を撮影した。撮影は小型模型を逆方向から見た場合と順方向から見た場合とのそれぞれについて行った。
【0066】
カメラから得られた画像を確認して、逆方向および順方向のそれぞれからの路面標示の見え方を確かめた。
図11は、逆方向および順方向のそれぞれから路面標示を撮影した写真をさらに示す。実施例1~3では、路面標示を逆方向から見た場合の錯視効果(すなわち、人に路面標示を立体図形であるかのように見せる効果)を確認できた。また、実施例1~3では、路面標示を順方向から評価した場合には、該路面標示が車両通行止めを示す(進行を妨げるような標示である)ようには見えなかった。一方、比較例1では、順方向からは路面標示が車両通行止めを示すようには見えなかったが、逆方向から見た場合の錯視効果を確認できなかった。比較例2,3では、錯視効果は確認できたが、順方向から見た場合にも路面標示が車両通行止めを示すように見えた。
【符号の説明】
【0067】
1,1A,1B,1C,2…路面標示、10,10A,10B,10C,30…標示部、11,11A,11B,11C…標示本体、12,12A,12B,12C,31…錯視惹起図形、13,13A,13B,13C,32…第1外縁、14,14A,14B,14C,33…第2外縁、15,15A,15B…中心線、16,16A…横断線、17,17A…交点、18…中間線、20…補助直線、73…第1方向、74…第2方向、75…第1地点、76…第2地点、70…路面。