(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】制御装置、それを備えた通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 40/32 20090101AFI20230623BHJP
H04W 40/02 20090101ALI20230623BHJP
H04W 40/22 20090101ALI20230623BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20230623BHJP
H04W 72/04 20230101ALI20230623BHJP
【FI】
H04W40/32
H04W40/02 130
H04W40/22
H04W84/20
H04W72/04
(21)【出願番号】P 2019054522
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-02-08
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「膨大な数の自律型モビリティシステムを支える多様な状況に応じた周波数有効利用技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【氏名又は名称】松山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】滕 睿
(72)【発明者】
【氏名】荒木 白幸
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義規
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09420513(US,B1)
【文献】特開2016-009977(JP,A)
【文献】特開2008-294838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するように前記クラスタヘッドを定期的に制御する制御装置であって、
前記クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、
前記複数の移動体がダウンロードするデータを保持する情報サーバからダウンロードするデータのデータ容量を基地局と前記候補クラスタヘッ
ドとの
間の無線通信
の通信レートで除算して前記基地局と前記候補クラスタヘッドとの間の第1の無線リソース量
を演算し、その演算した第1の無線リソース量で前記収容個数を除算して前記候補クラスタヘッドにおける前記クラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の前記候補クラスタヘッドについて実行する演算手段と、
前記複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する選択手段と、
クラスタを構成するように前記選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する制御手段とを備える制御装置。
【請求項2】
1つのチャネルにおいて空いている無線リソース量を前記候補クラスタヘッドが前記クラスタメンバとの無線通信に利用可能な最大無線リソース量とし、
前記演算手段は、前記クラスタメンバが取得するデータのデータ容量を前記候補クラスタヘッドと前記クラスタメンバとの通信レートで除算して第2の無線リソース量を演算する第2の演算処理を複数のクラスタメンバについて実行し、前記複数のクラスタメンバについて演算された複数の第2の無線リソース量に基づいて、総和が前記最大無線リソース量よりも小さくなる前記第2の無線リソース量の個数を前記収容個数として演算する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記演算手段は、1つのクラスタメンバについて前記第2の演算処理を実行して前記第2の無線リソース量を演算すると、その演算した第2の無線リソース量を前記最大無線リソース量から減算した減算結果が正であるとき前記収容個数のカウント値を“1”だけ増加させる処理を繰り返し実行し、前記減算結果が零以下になったときの前記収容個数のカウント値を前記収容個数として演算する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
複数のチャネルの各々について空いている無線リソース量を探索する探索手段を更に備え、
前記演算手段は、複数のチャネルにそれぞれ対応する複数の空いている無線リソース量から選択された1つの前記空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項2または請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記複数の空いている無線リソース量のうち、最大の空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記演算手段は、前記複数の空いている無線リソース量から任意に選択された1つの空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項4に記載の制御装置。
【請求項7】
前記演算手段は、前記候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径を有する円の面積によってクラスタを構成する複数の移動体の各々がダウンロードするデータのデータ容量を表し、前記候補クラスタヘッドの位置を中心とし、前記第1の半径の整数倍である第2の半径を有する円の面積によって前記候補クラスタヘッドが
前記情報サーバからダウンロードするデータの総データ容量を表したとき、前記総データ容量を前記候補クラスタヘッドと基地局との通信レートで除算して前記第1の無線リソース量を演算する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の制御装置と、
クラスタを構成する複数の移動体と、
前記複数の移動体がダウンロードするデータを保持する情報サーバとを備え、
前記複数の移動体は、
前記候補クラスタヘッドからなり、前記制御装置による制御に従ってクラスタを構成するクラスタヘッドと、
前記クラスタヘッドと無線通信を行うクラスタメンバとを含み、
前記クラスタヘッドは、前記クラスタヘッドおよび前記クラスタメンバのデータを前記情報サーバからダウンロードし、前記クラスタメンバのデータを前記クラスタメンバへ送信する、通信システム。
【請求項9】
複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するように前記クラスタヘッドの定期的な制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
演算手段が、前記クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、
前記複数の移動体がダウンロードするデータを保持する情報サーバからダウンロードするデータのデータ容量を基地局と前記候補クラスタヘッ
ドとの
間の無線通信
の通信レートで除算して前記基地局と前記候補クラスタヘッドとの間の第1の無線リソース量
を演算し、その演算した第1の無線リソース量で前記収容個数を除算して前記候補クラスタヘッドにおける前記クラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の前記候補クラスタヘッドについて実行する第1のステップと、
選択手段が、前記複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する第2のステップと、
制御手段が、クラスタを構成するように前記選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
1つのチャネルにおいて空いている無線リソース量を前記候補クラスタヘッドが前記クラスタメンバとの無線通信に利用可能な最大無線リソース量とし、
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記クラスタメンバが取得するデータのデータ容量を前記候補クラスタヘッドと前記クラスタメンバとの通信レートで除算して第2の無線リソース量を演算する第2の演算処理を複数のクラスタメンバについて実行し、前記複数のクラスタメンバについて演算された複数の第2の無線リソース量に基づいて、総和が前記最大無線リソース量よりも小さくなる前記第2の無線リソース量の個数を前記収容個数として演算する、請求項9に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、1つのクラスタメンバについて前記第2の演算処理を実行して前記第2の無線リソース量を演算すると、その演算した第2の無線リソース量を前記最大無線リソース量から減算した減算結果が正であるとき前記収容個数のカウント値を“1”だけ増加させる処理を繰り返し実行し、前記減算結果が零以下になったときの前記収容個数のカウント値を前記収容個数として演算する、請求項10に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
探索手段が、複数のチャネルの各々について空いている無線リソース量を探索する第4のステップを更にコンピュータに実行させ、
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、複数のチャネルにそれぞれ対応する複数の空いている無線リソース量から選択された1つの前記空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項10または請求項11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記複数の空いている無線リソース量のうち、最大の空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記複数の空いている無線リソース量から任意に選択された1つの空いている無線リソース量を前記最大無線リソース量として用いて前記収容個数を演算する、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項15】
前記演算手段は、前記第1のステップにおいて、前記候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径を有する円の面積によってクラスタを構成する複数の移動体の各々がダウンロードするデータのデータ容量を表し、前記候補クラスタヘッドの位置を中心とし、前記第1の半径の整数倍である第2の半径を有する円の面積によって前記候補クラスタヘッドが
前記情報サーバからダウンロードするデータの総データ容量を表したとき、前記総データ容量を前記候補クラスタヘッドと基地局との通信レートで除算して前記第1の無線リソース量を演算する、請求項9から請求項14のいずれか1項に記載のコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項9から請求項15のいずれか1項に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、制御装置、それを備えた通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低速で移動する膨大な数の移動体に対して、地図データ等の大容量な情報のやり取りを遅滞なく効率的に行う階層型ネットワークが知られている(非特許文献1,2)。
【0003】
この階層型ネットワークは、情報サーバと、制御サーバと、基地局(またはAP:Access Point)と、複数の移動体とを備える。複数の移動体は、クラスタを構成する。そして、複数の移動体のうちの1つの移動体は、クラスタヘッドであり、それ以外の移動体は、クラスタメンバである。
【0004】
情報サーバは、複数の移動体がダウンロードするデータを保持する。複数の移動体が情報サーバからダウンロードするデータは、相互に同じである。
【0005】
制御サーバは、クラスタ内における無線通信で用いるチャネルを割り当てる。より具体的には、制御サーバは、クラスタヘッドの移動体から、クラスタに含まれる移動体数を含むクラスタ情報を受信し、そのクラスタ情報を用いて、チャネルごとの移動体の個数が均一化されるように、クラスタにチャネルを割り当てる。そして、制御サーバは、割り当てたチャネルを示す情報を、それぞれ対応するクラスタヘッドの移動体に送信する。例えば、使用可能なチャネル数が10個であり、同程度の個数の移動体を含むクラスタが20個存在する場合、制御サーバは、各チャネルを使用する移動体の個数がより均等になるように、2個のクラスタごとに、1個のチャネルを割り当てる。
【0006】
クラスタヘッドの移動体は、制御サーバによって割り当てられたチャネルを基地局(またはAP)を介して制御サーバから受信し、その受信したチャネルを用いてクラスタ内のクラスタメンバの移動体と無線通信を行う。
【0007】
クラスタヘッドの移動体は、基地局(またはAP)を介して情報サーバからデータをダウンロードし、そのダウンロードしたデータを制御サーバから受信したチャネルを用いてクラスタメンバの移動体へ送信する。そして、クラスタメンバの各移動体は、クラスタヘッドの移動体からデータを受信する。
【0008】
このように、非特許文献1,2に開示された階層型ネットワークは、クラスタヘッドの移動体が情報サーバからデータをダウンロードするための広域の無線通信と、クラスタヘッドの移動体とクラスタメンバの移動体との間でデータの送受信を行う近域の無線通信とを行うネットワークである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Rui Teng, Kazuto Yano, and Tomoaki Kumagai, “A Distributed Clustering Scheme for Local Information Sharing in Hierarchical Robotic Wireless Networks,” IEICE-2018-Generalcon.
【文献】Rui Teng, Kazuto Yano, and Tomoaki Kumagai, “Efficient Acquisition of Map Information using Local Data Sharing over Hierarchical Wireless Network for Service Robots,” APMC2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、非特許文献1,2に開示されたクラスタの構成方法では、クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を多くすることは困難である。
【0011】
そこで、この発明の実施の形態によれば、クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を増加させるように制御する制御装置を提供する。
【0012】
また、この発明の実施の形態によれば、クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を増加させるように制御する制御装置を備える通信システムを提供する。
【0013】
更に、この発明の実施の形態によれば、クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を増加させる制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供する。
【0014】
更に、この発明の実施の形態によれば、クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を増加させる制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(構成1)
この発明の実施の形態によれば、制御装置は、複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するようにクラスタヘッドを定期的に制御する制御装置であって、演算手段と、選択手段と、制御手段とを備える。演算手段は、クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、候補クラスタヘッドが基地局との無線通信に使用可能な第1の無線リソース量で収容個数を除算して候補クラスタヘッドにおけるクラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の候補クラスタヘッドについて実行する。選択手段は、複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する。制御手段は、クラスタを構成するように、選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する。
【0016】
(構成2)
構成1において、1つのチャネルにおいて空いている無線リソース量を候補クラスタヘッドがクラスタメンバとの無線通信に利用可能な最大無線リソース量とする。演算手段は、クラスタメンバが取得するデータのデータ容量を候補クラスタヘッドとクラスタメンバとの通信レートで除算して第2の無線リソース量を演算する第2の演算処理を複数のクラスタメンバについて実行し、複数のクラスタメンバについて演算された複数の第2の無線リソース量に基づいて、総和が最大無線リソース量よりも小さくなる第2の無線リソース量の個数を収容個数として演算する。
【0017】
(構成3)
構成2において、演算手段は、1つのクラスタメンバについて第2の演算処理を実行して第2の無線リソース量を演算すると、その演算した第2の無線リソース量を最大無線リソース量から減算した減算結果が正であるとき収容個数のカウント値を“1”だけ増加させる処理を繰り返し実行し、減算結果が零以下になったときの収容個数のカウント値を収容個数として演算する。
【0018】
(構成4)
構成2または構成3において、制御装置は、探索手段を更に備える。探索手段は、複数のチャネルの各々について空いている無線リソース量を探索する。演算手段は、複数のチャネルにそれぞれ対応する複数の空いている無線リソース量から選択された1つの空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0019】
(構成5)
構成4において、演算手段は、複数の空いている無線リソース量のうち、最大の空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0020】
(構成6)
構成4において、演算手段は、複数の空いている無線リソース量から任意に選択された1つの空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0021】
(構成7)
構成1から構成6のいずれかにおいて、演算手段は、候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径を有する円の面積によってクラスタを構成する複数の移動体の各々がダウンロードするデータのデータ容量を表し、候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径の整数倍である第2の半径を有する円の面積によって候補クラスタヘッドが情報サーバからダウンロードするデータの総データ容量を表したとき、総データ容量を候補クラスタヘッドと基地局との通信レートで除算して第1の無線リソース量を演算する。
【0022】
(構成8)
また、この発明の実施の形態によれば、通信システムは、構成1から構成7のいずれかに記載の制御装置と、クラスタを構成する複数の移動体と、複数の移動体がダウンロードするデータを保持する情報サーバとを備える。複数の移動体は、クラスタヘッドとクラスタメンバとを含む。クラスタヘッドは、候補クラスタヘッドからなり、制御装置による制御に従ってクラスタを構成する。クラスタメンバは、クラスタヘッドと無線通信を行う。そして、クラスタヘッドは、クラスタヘッドおよびクラスタメンバのデータを情報サーバからダウンロードし、クラスタメンバのデータをクラスタメンバへ送信する。
【0023】
(構成9)
更に、この発明の実施の形態によれば、プログラムは、複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するようにクラスタヘッドの定期的な制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
演算手段が、クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、候補クラスタヘッドが基地局との無線通信に使用可能な第1の無線リソース量で収容個数を除算して候補クラスタヘッドにおけるクラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の候補クラスタヘッドについて実行する第1のステップと、
選択手段が、複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する第2のステップと、
制御手段が、クラスタを構成するように選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0024】
(構成10)
構成9において、1つのチャネルにおいて空いている無線リソース量を候補クラスタヘッドがクラスタメンバとの無線通信に利用可能な最大無線リソース量とする。演算手段は、第1のステップにおいて、クラスタメンバが取得するデータのデータ容量を候補クラスタヘッドとクラスタメンバとの通信レートで除算して第2の無線リソース量を演算する第2の演算処理を複数のクラスタメンバについて実行し、複数のクラスタメンバについて演算された複数の第2の無線リソース量に基づいて、総和が最大無線リソース量よりも小さくなる第2の無線リソース量の個数を収容個数として演算する。
【0025】
(構成11)
構成10において、演算手段は、第1のステップにおいて、1つのクラスタメンバについて第2の演算処理を実行して第2の無線リソース量を演算すると、その演算した第2の無線リソース量を最大無線リソース量から減算した減算結果が正であるとき収容個数のカウント値を“1”だけ増加させる処理を繰り返し実行し、減算結果が零以下になったときの収容個数のカウント値を収容個数として演算する。
【0026】
(構成12)
構成10または構成11において、プログラムは、探索手段が、複数のチャネルの各々について空いている無線リソース量を探索する第4のステップを更にコンピュータに実行させる。そして、演算手段は、第1のステップにおいて、複数のチャネルにそれぞれ対応する複数の空いている無線リソース量から選択された1つの空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0027】
(構成13)
構成12において、演算手段は、第1のステップにおいて、複数の空いている無線リソース量のうち、最大の空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0028】
(構成14)
構成12において、演算手段は、第1のステップにおいて、複数の空いている無線リソース量から任意に選択された1つの空いている無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容個数を演算する。
【0029】
(構成15)
構成9から構成14のいずれかにおいて、演算手段は、第1のステップにおいて、候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径を有する円の面積によってクラスタを構成する複数の移動体の各々がダウンロードするデータのデータ容量を表し、候補クラスタヘッドの位置を中心とし、第1の半径の整数倍である第2の半径を有する円の面積によって候補クラスタヘッドが情報サーバからダウンロードするデータの総データ容量を表したとき、総データ容量を候補クラスタヘッドと基地局との通信レートで除算して第1の無線リソース量を演算する。
【0030】
(構成16)
更に、この発明の実施の形態によれば、記録媒体は、構成9から構成15のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0031】
クラスタに収容されるクラスタメンバの個数を増加できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。
【
図3】受信信号強度と通信レートとの対応関係を示す対応表の概略図である。
【
図4】チャネルと利用可能な無線リソース量との対応関係を示す対応表の概略図である。
【
図5】移動体の識別子、位置、受信信号強度および接続数の対応関係を示す対応表の概略図である。
【
図6】この発明の実施の形態におけるデータ容量を説明するための概略図である。
【
図7】クラスタヘッドを選択する方法を説明するための図である。
【
図8】収容個数N_husの好ましい演算方法を説明するための図である。
【
図10】
図1に示す通信システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図10のステップS2の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図11のステップS21の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図10のステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図10のステップS4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【
図15】総データ容量D_totalを求める方法を説明するための図である。
【
図16】総データ容量D_totalを求める別の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0034】
図1は、この発明の実施の形態による通信システムの概略図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態による通信システム100は、移動体1~10と、AP20と、LTE(Long Time Evolution)基地局30と、ネットワーク40と、制御装置50と、情報サーバ60とを備える。
【0035】
移動体1~10の各々は、自律的に移動するものであればよく、例えば、電動車いす等のモビリティであってもよく、エンターテインメントロボットおよび運搬ロボット等であってもよい。
【0036】
移動体1~10は、後述する方法によって、クラスタヘッドとクラスタメンバとからなるクラスタを構成する。そして、クラスタヘッドは、クラスタヘッドおよびクラスタメンバのデータをAP20(またはLTE基地局30)を介して情報サーバ60からダウンロードし、クラスタメンバのデータをクラスタメンバへ送信する。
【0037】
また、クラスタを構成しない移動体(移動体1~10のうちのいずれか)は、自己のデータをAP20(またはLTE基地局30)を介して情報サーバ60からダウンロードする。
【0038】
AP20は、移動体1~10と制御装置50または情報サーバ60との間の通信を仲介する。LTE基地局30は、移動体1~10と制御装置50または情報サーバ60との間の通信を仲介する。
【0039】
制御装置50は、後述する方法によって、クラスタヘッドCHの候補である候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体1~10のうちの一部の移動体)からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するように制御する。
【0040】
情報サーバ60は、移動体1~10がそれぞれダウンロードするデータD1~D10を保持する。データD1~D10の各々は、例えば、地図データである。そして、データD1~D10は、同一のデータ容量DCを有する。
【0041】
図2は、
図1に示す制御装置50の概略図である。
図2を参照して、制御装置50は、通信手段501と、制御手段502と、選択手段503と、演算手段504と、探索手段505と、データベース506とを備える。
【0042】
通信手段501は、AP20(またはLTE基地局30)およびネットワーク40を介して移動体1~10からHelloパケットを受信し、その受信したHelloパケットを制御手段502へ出力する。
【0043】
また、通信手段501は、制御情報IF_CTLを制御手段502から受け、その受けた制御情報IF_CTLを、クラスタヘッドとして選択された移動体(移動体1~10のいずれか)にネットワーク40およびAP20(またはLTE基地局30)を介して送信する。
【0044】
制御手段502は、Helloパケットを通信手段501から受け、その受けたHelloパケットから移動体の識別子Addi(i=1~n)、位置[xi,yi]、受信信号強度RSSI1、受信信号強度RSSI2および接続数N_CN_iを検出する。ここで、受信信号強度RSSI1は、基地局(AP20またはLTE基地局30)と候補クラスタヘッドCH_CADとの間の受信信号強度であり、受信信号強度RSSI2は、候補クラスタヘッドCH_CADと候補クラスタメンバCM_CADとの間の受信信号強度であり、接続数N_CN_iは、各移動体が自己と無線リンクで接続される移動体の個数である。
【0045】
制御手段502は、識別子Addi、位置[xi,yi]、受信信号強度RSSIiおよび接続数N_CN_iを検出すると、識別子Addi、位置[xi,yi]、受信信号強度RSSI1、受信信号強度RSSI2および接続数N_CN_iを相互に対応付けてデータベース506に格納する。
【0046】
制御手段502は、タイマーを内蔵しており、タイマーを参照して、1つの移動体がクラスタヘッドCHとしてクラスタ内に収容可能なクラスタメンバCMの個数N_husを、候補クラスタヘッドCH_CADとAP20(またはLTE基地局30)との間の無線リソース量で除算した収容効率EFF_husを複数の候補クラスタヘッドCH_CADについて演算するように定期的に演算手段504を制御する。
【0047】
制御手段502は、最大の収容効率EFF_hus_maxと、クラスタヘッドCHとして選択された候補クラスタヘッドCH_CAD_Sの識別子Addi_CH_Sと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られるときのチャネルCHN_maxと、候補クラスタヘッドCH_CAD_Sに収容される複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CM_Sとを選択手段503から受けると、識別子Addi_CH_Sを有する候補クラスタヘッドCH_CAD_SがクラスタヘッドCHとして選択されたことを示す選択情報IF_CHを生成する。そして、制御手段502は、選択情報IF_CHと、チャネルCHN_maxと、複数の識別子Addi_CM_Sとを含む制御情報IF_CTLを生成し、その生成した制御情報IF_CTLと識別子Addi_CH_Sとを通信手段501へ出力し、制御情報IF_CTLを識別子Addi_CH_Sの移動体へ送信するように通信手段501を制御する。
【0048】
選択手段503は、複数の収容効率EFF_husと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数の候補クラスタヘッドCH_CADの複数の識別子Addi_CHと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CMと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数のチャネルCHN_maxとを演算手段504から受け、その受けた複数の収容効率EFF_husから最大の収容効率EFF_husを選択する。そして、選択手段503は、最大の収容効率EFF_husと、最大の収容効率EFF_husに対応する識別子Addi_CH_Sと、最大の収容効率EFF_husに対応する複数の識別子Addi_CM_Sと、最大の収容効率EFF_husに対応するチャネルCHN_maxとを制御手段502へ出力する。
【0049】
演算手段504は、制御手段502からの制御に従って、後述する方法によって収容効率EFF_husを複数の候補クラスタヘッドCH_CADについて演算する。そして、演算手段504は、複数の収容効率EFF_husと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数の候補クラスタヘッドCH_CADの複数の識別子Addi_CHと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CMと、複数の収容効率EFF_husにそれぞれ対応する複数のチャネルCHN_maxとを選択手段503へ出力する。
【0050】
探索手段505は、複数のチャネルCHN1~CHNq(qは、2以上の整数)の各々について、利用可能な無線リソース量(=空いている無線リソース量)を探索し、その探索した利用可能な無線リソース量をチャネルCHNqに対応付けてデータベース506に格納する。この場合、探索手段505は、1つのチャネルの観測時間に対する空いている時間の総和の比を利用可能な無線リソース量として探索する。なお、探索手段505は、この利用可能な無線リソース量の探索を定期的に行い、その探索結果をデータベース506に格納する。
【0051】
データベース506は、受信信号強度と通信レートとの対応表、チャネルと、利用可能な無線リソース量との対応表、および移動体の識別子と、移動体の位置と、移動体の受信信号強度と、移動体の接続数との対応表を格納する。
【0052】
図3は、受信信号強度と通信レートとの対応関係を示す対応表の概略図である。
図3を参照して、対応表TBL1は、受信信号強度と通信レートとを含む。受信信号強度および通信レートは、相互に対応付けられる。
【0053】
-82[dBm]未満の受信信号強度は、6[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-82[dBm]以上-81[dBm]未満の受信信号強度は、9[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-81[dBm]以上-79[dBm]未満の受信信号強度は、12[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-79[dBm]以上-77[dBm]未満の受信信号強度は、18[Mbps]の通信レートに対応付けられる。また、-77[dBm]以上-74[dBm]未満の受信信号強度は、24[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-74[dBm]以上-70[dBm]未満の受信信号強度は、36[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-70[dBm]以上-66[dBm]未満の受信信号強度は、48[Mbps]の通信レートに対応付けられ、-66[dBm]以上の受信信号強度は、54[Mbps]の通信レートに対応付けられる。
【0054】
なお、一般的に、対応表TBL1における受信信号強度と通信レートとの対応関係は、無線システム毎に異なるので、例えば、LTEと無線LAN(Local Area Network)では、それぞれ、異なる対応表を用いてもよい。
【0055】
図4は、チャネルと利用可能な無線リソース量ACORとの対応関係を示す対応表の概略図である。
【0056】
図4を参照して、対応表TBL2は、チャネルと、利用可能な無線リソース量ACORとを含む。チャネルおよび無線リソース量ACORは、相互に対応付けられる。チャネルCHN1~CHNqは、それぞれ、0.9,0.8,0.6,・・・,0.5の無線リソース量ACORに対応付けられる。そして、チャネルCHN1~CHNqは、例えば、利用可能な無線リソース量ACORの大きい順に対応表TBL2に格納される。
【0057】
図5は、移動体1~10の識別子、位置、受信信号強度および接続数の対応関係を示す対応表の概略図である。
【0058】
図5を参照して、対応表TBL3は、移動体1~10の識別子、位置、受信信号強度1、受信信号強度2および接続数を含む。識別子、位置、受信信号強度1、受信信号強度2および接続数は、相互に対応付けられる。
【0059】
識別子は、移動体のIPアドレスAdd
iからなり、位置は、例えば、x-y座標[x
i,y
i]によって表される。受信信号強度1は、AP20(またはLTE基地局30)と移動体mとの間の受信品郷強度RSSI
AP-m_iからなり、受信信号強度2は、移動体miと移動体mjとの間の受信信号強度RSSI
mi-mj_iからなる。なお、jは、接続数N_CN_iに等しい。従って、
図5においては、各識別子Addiに対して1つの受信信号強度RSSI
mi-mj_iが格納されているが、実際には、各識別子Addiに対してj(jは、1≦j≦N_CN_iを満たす整数)個の受信信号強度が格納されている。接続数N_CN_iは、1つの移動体と無線リンクを有する移動体の個数からなる。
【0060】
図6は、この発明の実施の形態におけるデータ容量を説明するための概略図である。
図6を参照して、候補クラスタヘッドCH_CADの位置を中心とし、中心から半径r(例えば、10m)の円CIR1は、候補クラスタヘッドCH_CADおよびクラスタメンバCMの各々のデータを表すものとする。
【0061】
そして、位置が円CIR1の内部および円CIRの円周上にあるクラスタメンバCMを候補クラスタヘッドCH_CADに近接する近接移動体とする。この発明の実施の形態においては、クラスタは、クラスタヘッドCHと、クラスタヘッドCHの近接移動体とによって構成される。
【0062】
クラスタメンバCMの位置が円CIR1の円周上に存在するとき、そのクラスタメンバCMのデータは、円CIR2によって表される。また、クラスタメンバCMの位置が円CIR1の内部に存在するとき、そのクラスタメンバCMのデータは、円CIR3によって表される。
【0063】
ここで、候補クラスタヘッドCH_CADの位置を中心とし、半径2r(=20m)の円CIR_totalを想定すると、クラスタメンバCMのデータを表す円は、必ず、円CIR_totalによって表される領域内に存在する。クラスタメンバCMの位置は、円CIR1によって表される領域内に存在するからである。
【0064】
1つのデータのデータ容量Dcは、円CIR1の面積によって表されるので、円CIR_totalによって表されるデータのデータ容量は、(4πr2/πr2)×Dc=4Dcである。
【0065】
クラスタヘッドCH(=クラスタヘッドCHとして選択された候補クラスタヘッドCH_CAD)は、自己のデータとクラスタメンバCMのデータとを情報サーバ60からダウンロードする。この場合、クラスタヘッドCH(=クラスタヘッドCHとして選択された候補クラスタヘッドCH_CAD)は、円CIR_totalによって表されるデータ容量4Dcのデータを情報サーバ60からダウンロードする。
【0066】
なお、この発明の実施の形態においては、円CIR_totalは、円CIR1の半径rの2倍に限らず、一般的には、円CIR1の半径rの整数倍であればよい。
【0067】
図7は、クラスタヘッドを選択する方法を説明するための図である。
図7を参照して、制御手段502は、データベース506に格納された対応表TBL3を参照して、各移動体1~10の位置[x
i,y
i]に基づいて、移動体1~10の分布状態を認識する。そして、制御手段502は、対応表TBL3の接続数N_CN_iに基づいて、閾値以上の接続数N_CN_i’を有する移動体を候補クラスタヘッドCH_CADとして抽出する。その結果、
図7に示す候補クラスタヘッドCH_CADの集合SET_CH、および候補クラスタメンバCM_CADの集合SET_CMが得られる。集合SET_CMは、候補クラスタヘッドCH_CAD以外の移動体からなる。
【0068】
図7に示す例では、移動体2,6,9を候補クラスタヘッドCH_CADとして選択し、移動体1,3,4,5,7,8,10を候補クラスタメンバCM_CADとして選択する。
【0069】
そして、制御手段502は、候補クラスタヘッドCH_CAD(=移動体2,6,9)の識別子Add2,Add6,Add9と、候補クラスタメンバCM_CAD(=移動体1,3,4,5,7,8,10)の識別子Add1,Add3,Add4,Add5,Add7,Add8,Add10とを演算手段504へ出力する。この場合、制御手段502は、対応表TBL2を参照して、利用可能な無線リソース量ACORが最大であるチャネルに対応する無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容効率EFF_husを計算するように演算手段504を制御する。なお、制御手段502は、対応表TBL2を参照して、任意のチャネルを選択し、その選択したチャネに対応する無線リソース量を最大無線リソース量として用いて収容効率EFF_husを計算するように演算手段504を制御してもよい。また、制御手段502は、実際に収容効率EFF_husを計算する際に、他の候補クラスタヘッドCH_CADを候補クラスタメンバCMに含めてもよい。
【0070】
演算手段504は、候補クラスタヘッドCH_CAD(=移動体2,6,9)の識別子Add2,Add6,Add9と、候補クラスタメンバCM_CAD(=移動体1,3,4,5,7,8,10)の識別子Add1,Add3,Add4,Add5,Add7,Add8,Add10とを制御手段502から受ける。
【0071】
そして、演算手段504は、対応表TBL2を参照して、利用可能な無線リソース量が最大であるチャネルCHN1に対応する無線リソース量(=0.9)を選択し、その選択した無線リソース量(=0.9)をA_COR_initialに設定する。
【0072】
また、演算手段504は、対応表TBL3を参照して、移動体2と、移動体1,3,4,5,7,8,10との間の受信信号強度RSSI2-1,RSSI2-3,RSSI2-4,RSSI2-5,RSSI2-7,RSSI2-8,RSSI2-10を検出し、その後、対応表TBL1を参照して、その検出した受信信号強度RSSI2-1,RSSI2-3,RSSI2-4,RSSI2-5,RSSI2-7,RSSI2-8,RSSI2-10にそれぞれ対応する通信レートR1,R3,R4,R5,R7,R8,R10を検出する。そして、演算手段504は、通信レートR1,R3,R4,R5,R7,R8,R10を、それぞれ、移動体2と移動体1,3,4,5,7,8,10との間の通信レートRCH_CAD(2)-CM_CAD(1),RCH_CAD(2)-CM_CAD(3),RCH_CAD(2)-CM_CAD(4),RCH_CAD(2)-CM_CAD(5),RCH_CAD(2)-CM_CAD(7)RCH_CAD(2)-CM_CAD(8)RCH_CAD(2)-CM_CAD(10)に設定する。
【0073】
その後、演算手段504は、1つのデータのデータ容量Dc、通信レートRCH_CAD(2)-CM_CAD(1)およびデータをダウンロードする周期長Tdを次式に代入して候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)と候補クラスタメンバCM_CAD(移動体1)との間の無線リソース量COR(1)を算出する。
【0074】
【0075】
式(1)の右辺の分母は、通信レートRCH_CAD(2)-CM_CAD(1)に周期長Tdを乗算したものであり、[bit]の単位を有する。また、データDcも[bit]の単位を有するので、式(1)の無線リソース量COR(k)は、無次元の単位である。
【0076】
そして、演算手段504は、無線リソース量COR(1)を次式のCOR(k)に代入して全体の無線リソース量CM_COR_totalを演算する。
【0077】
【0078】
なお、全体の無線リソース量CM_COR_totalを最初に演算するとき、式(2)の右辺のCM_COR_totalは、“0”に設定されている。
【0079】
引き続いて、演算手段504は、演算した全体の無線リソース量CM_COR_totalを次式に代入して利用可能な無線リソース量A_CORを演算する。
【0080】
【0081】
式(3)のA_COR_initialは、上述したように、対応表TBL2の利用可能な無線リソース量からなるので、無次元の単位である。そして、全体の無線リソース量CM_COR_totalは、無線リソース量COT(k)を加算したものであり、無線リソース量COR(k)は、上述したように、無次元の単位である。従って、利用可能な無線リソース量A_CORは、無次元の単位である。
【0082】
そうすると、演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きいか否かを判定する。そして、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きいと判定されたとき、演算手段504は、候補クラスタメンバCM_CADの収容個数N_husを“1”だけインクリメントする。
【0083】
その後、演算手段504は、データ容量Dc、移動体2と移動体3との間の通信レートRCH_CAD(2)-CM_CAD(3)、および周期長Tdを式(1)に代入して候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)と候補クラスタメンバCM_CAD(移動体3)との間の無線リソース量COR(3)を算出する。
【0084】
そして、演算手段504は、無線リソース量COR(3)を式(2)に代入して全体の無線リソース量CM_COR_totalを演算する。この場合、全体の無線リソース量CM_COR_totalは、無線リソース量COR(1)と無線リソース量COR(3)との総和になっている。
【0085】
引き続いて、演算手段504は、演算した全体の無線リソース量CM_COR_totalを式(3)に代入して利用可能な無線リソース量A_CORを演算する。
【0086】
そうすると、演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きいか否かを判定し、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きいと判定されたとき、収容個数N_husを“1”だけインクリメントする。
【0087】
演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きくなくなるまで(即ち、利用可能な無線リソース量A_CORが零以下になるまで)、上記の動作を繰り返し実行する。そして、演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きくなくなったとき(即ち、利用可能な無線リソース量A_CORが零以下になったとき)のN_husのカウント値を候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)が収容可能な収容個数とする。
【0088】
演算手段504は、候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)が収容可能な収容個数N_husを演算すると、対応表TBL3を参照して、AP20(またはLTE基地局30)と候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)との間の受信信号強度RSSIAP-m_2を検出し、対応表TBL1を参照して、受信信号強度RSSIAP-m_2に対応する通信レートRAP-2を検出する。そして、演算手段504は、通信レートRAP-2をAP20(またはLTE基地局30)と候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)との間の通信レートRAP-CH_CAD(2)に設定する。
【0089】
そうすると、演算手段504は、情報サーバ60からダウンロードするデータのデータ容量4Dcを通信レートRAP-CH_CAD(2)で除算してAP20(またはLTE基地局30)と候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)との間の無線リソース量CORAP-CH_CAD(2)を演算する。そして、演算手段504は、収容個数N_husを無線リソース量CORAP-CH_CAD(2)で除算して候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体2)の収容効率EFF_hus(2)を演算する。
【0090】
演算手段504は、上述した動作を繰り返し実行し、候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体6)の収容効率EFF_hus(6)および候補クラスタヘッドCH_CAD(移動体9)の収容効率EFF_hus(9)を演算する。
【0091】
そして、演算手段504は、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)と、識別子Add2,Add6,Add9と、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)が得られたときのチャネルCHN_EFF_hus(2),CHN6_EFF_hus(6),CHN9_EFF_hus(9)と、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)が得られたときの候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CMとを選択手段503へ出力する。
【0092】
選択手段503は、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)と、識別子Add2,Add6,Add9と、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)が得られたときのチャネルCHN_EFF_hus(2),CHN6_EFF_hus(6),CHN9_EFF_hus(9)と、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)が得られたときの候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CMとを演算手段504から受ける。そして、選択手段503は、収容効率EFF_hus(2),EFF_hus(6),EFF_hus(9)のうち、最大の収容効率EFF_hus_maxを選択し、その選択した最大の収容効率EFF_hus_maxと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られる候補クラスタヘッドCH_CAD_Sの識別子Addi_CH_Sと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られるときのチャネルCHN_maxと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られるときの複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CM_Sとを制御手段502へ出力する。
【0093】
制御手段502は、最大の収容効率EFF_hus_maxと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られる候補クラスタヘッドCH_CAD_Sの識別子Addi_CH_Sと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られるときのチャネルCHN_maxと、最大の収容効率EFF_hus_maxが得られるときの複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子Addi_CM_Sとを選択手段503から受ける。
【0094】
そして、制御手段502は、識別子Addi_CH_Sを有する移動体をクラスタヘッドCHとし、上述した制御情報IF_CTLを生成し、その生成した制御情報IF_CTLを、識別子Addi_CH_Sを有する移動体へ通信手段501を介して送信する。この場合、制御情報IF_CTLは、例えば、移動体6へ送信されたとする。
【0095】
移動体6は、制御情報IF_CTLを受信し、その受信した制御情報IF_CTLに基づいて、クラスタヘッド宣言DEC_CHを生成して複数の識別子Addi_CM_Sをそれぞれ有する移動体へ送信する。この場合、移動体6は、クラスタヘッド宣言DEC_CHを移動体1,3,7,10へ送信したものとする。
【0096】
移動体1,3,7,10は、移動体6からクラスタヘッド宣言DEC_CHを受信して移動体6がクラスタヘッドCHであることを認識する。そして、移動体1,3,7,10の各々は、クラスタメンバCMであることを示すクラスタメンバ情報IF_CMを生成して他の移動体(移動体1,3,6,7,10のうちの他の移動体)へ送信する。クラスタメンバ情報IF_CMを受信した移動体は、移動体1,3,7,10がクラスタメンバCMであることを認識する。これによって、クラスタヘッド(=移動体6)とクラスタメンバ(=移動体1,3,7,10)とからなるクラスタが構成される。
【0097】
図8は、収容個数N_husの好ましい演算方法を説明するための図である。
図8の(a)を参照して、候補クラスタヘッドである移動体2と、候補クラスタメンバである移動体1,3,4,5,7,8,10との間の無線リソース量COR(1),COR(3),COR(4),COR(5),COR(7),COR(8),COR(10)は、それぞれ、0.3,0.5,0.2,0.7,0.4,0.6,0.1であるとする。また、式(3)におけるA_COR_initialは、0.9であるとする。
【0098】
この場合、移動体1、移動体3、移動体4、移動体5、移動体7、移動体8および10の順番に無線リソース量COR(1),COR(3),COR(4),COR(5),COR(7),COR(8),COR(10)を式(2)に代入して全体の無線リソース量CM_COR_totalを演算し、その演算した全体の無線リソース量CM_COR_totalを式(3)に代入して利用可能な無線リソース量A_CORを算出すると、移動体1の無線リソース量(=0.3)、移動体3の無線リソース量(=0.5)および移動体4の無線リソース量(0.2)を式(2)によって加算した時点で、全体の無線リソース量CM_COR_totalが“1.0”となり、A_COR_initial(=0.9)よりも大きくなる。つまり、移動体1の無線リソース量(=0.3)、移動体3の無線リソース量(=0.5)および移動体4の無線リソース量(0.2)を加算した時点で、式(3)によって演算される利用可能な無線リソース量A_CORが負(-0.1)になり、収容個数N_husは、“2”になる。
【0099】
一方、
図8の(b)に示すように、無線リソース量COR(k)を昇順に配列した場合、移動体10の無線リソース量(=0.1)、移動体4の無線リソース量(=0.2)、移動体1の無線リソース量(=0.3)および移動体7の無線リソース量(0.4)を加算した時点で、全体の無線リソース量CM_COR_totalが“1.0”になり、利用可能な無線リソース量A_CORが負(-0.1)になる。その結果、収容個数N_husは、“3”になる。
【0100】
このように、無線リソース量COR(k)を昇順に配列して収容個数N_husをカウントする方が収容個数N_husを増加させることができる。従って、この発明の実施の形態においては、演算手段504は、好ましくは、無線リソース量COR(k)を昇順に配列して収容個数N_husをカウントする。
【0101】
図9は、
図1に示す移動体1の概略図である。
図9を参照して、移動体1は、通信手段11と、クラスタ構成手段12と、データ取得手段13とを備える。
【0102】
通信手段11は、無線モジュール111,112を含む。無線モジュール111は、AP20(またはLTE基地局30)を介して制御装置50または情報サーバ60と通信を行う広域の無線モジュールである。無線モジュール112は、クラスタ内で無線通信を行う近域の無線モジュールである。
【0103】
無線モジュール111は、AP20(またはLTE基地局30)を介して制御装置50から制御情報IF_CTLを受信し、その受信した制御情報IF_CTLをクラスタ構成手段12へ出力する。
【0104】
また、無線モジュール111は、AP20(またはLTE基地局30)からパケットを受信すると、パケットを受信したときの受信信号強度RSSIBSを検出し、その検出した受信信号強度RSSIBSをクラスタ構成手段12へ出力する。
【0105】
更に、無線モジュール111は、移動体1の識別子Add1、位置[x1,y1]、受信信号強度RSSI1および接続数N_CN_1を含むHelloパケットをクラスタ構成手段12から受け、その受けたHelloパケットをAP20(またはLTE基地局30)を介して制御装置50へ送信する。
【0106】
更に、無線モジュール111は、移動体1がクラスタヘッドCHであるとき、AP20(またはLTE基地局30)からデータを受信し、その受信したデータをデータ取得手段13へ出力する。
【0107】
更に、無線モジュール111は、移動体1がクラスタを構成していない移動体であるとき、AP20(またはLTE基地局30)からデータを受信し、その受信したデータをデータ取得手段13へ出力する。
【0108】
更に、無線モジュール111は、移動体1の位置[xi,yi]、識別子Addi、受信信号強度RSSIiおよび接続数N_CN_iを含むHelloパケットをクラスタ構成手段12から受け、その受けたHelloパケットをAP20(またはLTE基地局30)を介して制御装置50へ送信する。
【0109】
無線モジュール112は、移動体1がクラスタを構成する前、他の移動体からビーコンを受信し、ビーコンを受信したときの受信信号強度RSSIBCを検出する。そして、無線モジュール112は、ビーコンおよび受信信号強度RSSIBCをクラスタ構成手段12へ出力する。無線モジュール112は、移動体1の識別子を含むビーコンをクラスタ構成手段12から受けると、その受けたビーコンを他の移動体へ送信する。
【0110】
また、無線モジュール112は、移動体1がクラスタを構成するとき、チャネルCHN_maxをクラスタ構成手段12から受ける。そして、無線モジュール112は、クラスタヘッド宣言DEC_CHをクラスタ構成手段12から受けると、その受けたクラスタヘッド宣言DEC_CHをチャネルCHN_maxで他の移動体へ送信する。
【0111】
更に、無線モジュール112は、クラスタヘッド宣言DEC_CHをチャネルCHN_maxで他の移動体から受信すると、その受信したクラスタヘッド宣言DEC_CHをクラスタ構成手段12へ出力する。無線モジュール112は、クラスタメンバ情報IF_CMをチャネルCHN_maxで他の移動体から受信すると、その受信したクラスタメンバ情報IF_CMをクラスタ構成手段12へ出力する。無線モジュール112は、クラスタメンバ情報IF_CM(移動体1がクラスタメンバであることを示す情報)をクラスタ構成手段12から受けると、その受けたクラスタメンバ情報IF_CMをチャネルCHN_maxで他の移動体へ送信する。
【0112】
更に、無線モジュール112は、移動体1のデータ以外のデータをデータ取得手段13から受けると、その受けたデータをチャネルCHN_maxで他の移動体へ送信する。
【0113】
更に、無線モジュール112は、移動体1がクラスタメンバCMであるとき、移動体1のデータをチャネルCHN_maxでクラスタヘッドCHの移動体から受信し、その受信したデータをデータ取得手段13へ出力する。
【0114】
クラスタ構成手段12は、無線モジュール112からビーコンおよび受信信号強度RSSI
BC(=
図5の対応表TBL3に含まれる受信信号強度RSSI
mi-mj_i)を受ける。そして、クラスタ構成手段12は、受信信号強度RSSI
BCが閾値以上であるか否かを判定し、受信信号強度RSSI
BCが閾値よりも小さいとき、受信信号強度RSSI
BCを有するビーコンを破棄する。
【0115】
一方、クラスタ構成手段12は、受信信号強度RSSIBCが閾値以上であるとき、その受けたビーコンに含まれる識別子Addi、位置[xi,yi]および受信信号強度RSSIBCを検出する。クラスタ構成手段12は、この処理を無線モジュール112から受けた全てのビーコンについて行い、閾値以上の受信信号強度RSSIBCを有するビーコンの個数をカウントして接続数N_CN_iを得る。
【0116】
また、クラスタ構成手段12は、無線モジュール111から受信信号強度RSSI
BS(=
図5の対応表TBL3に含まれる受信信号強度RSSI
AP-m_i)を受ける。
【0117】
更に、クラスタ構成手段12は、例えば、GPS(Global Positioning System)によって移動体1の位置[x1,y1]を検出する。
【0118】
そうすると、クラスタ構成手段12は、移動体1の位置[xi,yi]、識別子Addi、受信信号強度RSSImi-mj_i、受信信号強度RSSIAP-m_iおよび接続数N_CN_iを含むHelloパケットを生成し、その生成したHelloパケットを無線モジュール111へ出力する。
【0119】
クラスタ構成手段12は、制御情報IF_CTLを無線モジュール111から受けると、制御情報IF_CTLから選択情報IF_CH、チャネルCHN_max、複数の識別子Addi_CM_Sを検出する。そして、クラスタ構成手段12は、チャネルCHN_maxを無線モジュール112へ出力する。
【0120】
また、クラスタ構成手段12は、選択情報IF_CHに基づいて、クラスタヘッド宣言DEC_CHを生成し、その生成したクラスタヘッド宣言DEC_CHを無線モジュール112を介して複数の識別子Addi_CM_Sをそれぞれ有する複数の移動体へ送信する。そして、クラスタ構成手段12は、選択情報IF_CHをデータ取得手段13へ出力する。
【0121】
更に、クラスタ構成手段12は、他の移動体から受信したクラスタヘッド宣言DEC_CHを無線モジュール112から受けると、クラスタメンバ情報IF_CMを生成してデータ取得手段13および無線モジュール112へ出力する。
【0122】
データ取得手段13は、クラスタ構成手段12から受けた選択情報IF_CHに基づいて移動体1がクラスタヘッドCHであることを認識する。そして、データ取得手段13は、クラスタヘッドCHおよびクラスタメンバCMのデータの取得要求を無線モジュール111を介して情報サーバ60へ送信する。
【0123】
また、データ取得手段13は、クラスタ構成手段12から受けたクラスタメンバ情報IF_CMに基づいて移動体1がクラスタメンバCMであることを認識する。そして、データ取得手段13は、移動体1のデータの取得要求を無線モジュール112を介してクラスタヘッドCHの移動体へ送信する。
【0124】
データ取得手段13は、無線モジュール111からクラスタヘッドCHおよびクラスタメンバCMのデータを受けると、移動体1のデータを取り出して移動体1のデータを取得する。そして、データ取得手段13は、他の移動体のデータを無線モジュール112へ出力する。
【0125】
なお、
図1に示す移動体2~10の各々は、
図9に示す移動体1の構成と同じ構成からなる。
【0126】
図10は、
図1に示す通信システム100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0127】
図10を参照して、通信システム100の動作が開始されると、制御装置50は、内蔵したタイマーによって周期Tが到来したか否かを判定する(ステップS1)。そして、制御装置50は、周期Tが到来したと判定したとき、収容効率EFF_husが最大である候補クラスタヘッドCH_CADを選択し、その選択した候補クラスタヘッドCH_CADがクラスタを構成するように制御する(ステップS2)。
【0128】
移動体1~10のうち、選択された候補クラスタヘッドCH_CADは、制御装置50からの制御に従ってクラスタを構成する(ステップS3)。
【0129】
そして、クラスタヘッドCHは、無線モジュール(広域)111によって、AP20(またはLTE基地局30)およびネットワーク40を介して情報サーバ60へアクセスし、情報サーバ60から自己のデータおよびクラスタメンバCMのデータをダウンロードする(ステップS4)。即ち、クラスタヘッドCHは、無線モジュール(広域)111によってデータを情報サーバ60からダウンロードする。
【0130】
その後、クラスタヘッドCHは、ダウンロードしたデータから自己のデータを取得するとともに、無線モジュール(近域)112によって、クラスタメンバCMのデータをチャネルCHN_maxでクラスタメンバCMへ送信する(ステップS5)。即ち、クラスタヘッドCHは、無線モジュール(近域)112によってデータをクラスタメンバCMへ送信する。
【0131】
このように、クラスタヘッドCHおよびクラスタメンバCMは、無線モジュール(広域)111と無線モジュール(近域)112とを用いた階層型ネットワークによってデータを取得する。
【0132】
そして、ステップS5の後、一連の動作は、ステップS1へ移行し、上述したステップS1~ステップS5が繰り返し実行される。その結果、クラスタヘッドCHの選択、選択されたクラスタヘッドCHによるクラスタの構成、および情報サーバ60からのデータのダウンロードが周期的に行われる。
【0133】
図11は、
図10のステップS2の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
図11を参照して、
図10のステップS1において、周期Tが到来したと判定されたとき、制御装置50の演算手段504は、候補クラスタヘッドCH_CADの収容効率EFF_husを演算し(ステップS21)、その演算した収容効率EFF_husを選択手段503へ出力する。
【0134】
選択手段503は、収容効率EFF_husを演算手段504から受け、その受けた収容効率EFF_husをランク付けする(ステップS22)。そして、選択手段503は、収容効率が最大である候補クラスタヘッドCH_CADを選択し(ステップS23)、その選択した候補クラスタヘッドCH_CADを制御手段502へ出力する。
【0135】
制御手段502は、選択された候補クラスタヘッドCH_CAD_Sを選択手段503から受け、その受けた候補クラスタヘッドCH_CAD_Sがクラスタを構成するように候補クラスタヘッドCH_CAD_Sを制御する(ステップS24)。
【0136】
そして、制御手段502は、クラスタ化の対象となる候補クラスタヘッドCH_CADおよび候補クラスタメンバCM_CADの集合を更新する(ステップS25)。
【0137】
そうすると、制御手段502は、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了したか否かを判定する(ステップS26)。制御手段502は、移動体1~10の全てがクラスタ化されたとき、または利用可能な無線リソース量A_CORが零以下になったとき、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了すると判定し、移動体1~10の全てがクラスタ化されていないとき、または利用可能な無線リソース量A_CORが零よりも大きいとき、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了しないと判定する。
【0138】
ステップS26において、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS21へ移行し、ステップS26において、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了すると判定されるまで、ステップS21~ステップS26が繰り返し実行される。そして、ステップS26において、候補クラスタヘッドCH_CADの選択を終了すると判定されると、一連の動作は、
図10のステップS3へ移行する。
【0139】
図12は、
図11のステップS21の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0140】
図12を参照して、
図10のステップS1において、周期Tが到来したと判定されたとき、制御装置50の演算手段504は、h=1を設定する(ステップS211)。なお、h=1~Hであり、Hは、候補クラスタヘッドCH_CADの総数である。
【0141】
ステップS211の後、演算手段50は、データ容量Dc、データのダウンロード周期長Td、近接移動体の個数N_CNおよび候補クラスタヘッドCH_CADと候補クラスタメンバCM_CADとの間の通信レートRCH_CAD-CM_CADを受け付ける(ステップS212)。
【0142】
そして、演算手段504は、対応表TBL2から利用可能な最大の無線リソース量を検出し、その検出した利用可能な最大の無線リソース量に対応するチャネルCHNをチャネルCHN_maxとして決定し、利用可能な最大の無線リソース量をA_COR_initialに設定する。即ち、演算手段504は、チャネルCHN_maxを決定するとともに、A_COR_initial=利用可能な最大の無線リソース量を設定する(ステップS213)。なお、ステップS213においては、演算手段504は、対応表TBL2の任意のチャネルCHNqをチャネルCHN_maxとして決定し、任意のチャネルCHNqに対応する利用可能な無線リソース量をA_COR_initialに設定してもよい。
【0143】
その後、演算手段504は、収容個数N_hus=0を設定し(ステップS214)、全体の無線リソース量CM_COR_total=0を設定し(ステップS215)、k=1を設定する(ステップS216)。なお、k=1~Kであり、Kは、候補クラスタメンバCM_CADの総数である。
【0144】
ステップS216の後、演算手段504は、COR(k)=Dc/(RCH_CAD-CM_CAD(k)・Td)を演算する(ステップS217)。
【0145】
そして、演算手段504は、全体の無線リソース量CM_COR_totalにステップS217で演算した無線リソース量COR(k)を加算し、その加算結果を全体の無線リソース量CM_COR_totalとする(ステップS218)。
【0146】
その後、演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORを式(3)によって演算する(ステップS219)。
【0147】
そうすると、演算手段504は、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)よりも大きいか否かを判定する(ステップS220)。
【0148】
ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)よりも大きいと判定されたとき、演算手段504は、収容個数N_husを“1”だけインクリメントする(ステップS221)。そして、演算手段504は、k=k+1を設定する(ステップS222)。
【0149】
その後、一連の動作は、ステップS217へ移行し、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)以下であると判定されるまで、ステップS217~ステップS222が繰り返し実行される。
【0150】
そして、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)以下であると判定されると、演算手段504は、基地局(AP20またはLTE基地局30)と候補クラスタヘッドCH_CADとの間の無線リソース量で収容個数N_husを除算して収容効率EFF_husを演算する(ステップS223)。
【0151】
その後、演算手段504は、h=Hであるか否かを判定する(ステップS224)。ステップS224において、h=Hでないと判定されたとき、演算手段504は、h=h+1を設定する(ステップS225)。そして、一連の動作は、ステップS212へ移行し、ステップS224において、h=Hであると判定されるまで、ステップS212~ステップS225が繰り返し実行される。そして、ステップS224において、h=Hであると判定されると、一連の動作は、
図11のステップS22へ移行する。
【0152】
ステップS217~ステップS222は、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)以下になるまで、収容個数N_husをカウントアップするステップである。そして、ステップS220において、1個目の候補クラスタメンバCM_CAD(1)の無線リソース量COR(1)からk+1個目の候補クラスタメンバCM_CAD(k+1)の無線リソース量COR(k+1)までの総和(=CM_COR_total)がA_COR_initialから減算されたときの利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)以下であると判定されたとき、1個目の候補クラスタメンバCM_CAD(1)の無線リソース量COR(1)からk個目の候補クラスタメンバCM_CAD(k)の無線リソース量COR(k)までの総和(=CM_COR_total)がA_COR_initialから減算されたときの収容個数N_husが、1つの候補クラスタヘッドCH_CADが収容可能な最終的な収容個数N_husになる。
【0153】
なお、ステップS217~ステップS222を繰り返し実行するとき、好ましくは、
図8の(b)に示すように、無線リソース量COR(k)を昇順に配列してステップS217~ステップS222を繰り返し実行する。これによって、最終的な収容個数N_husを増加でき、より多くの候補クラスタメンバCM_CADをクラスタメンバCMとしてクラスタに収容できる。
【0154】
そして、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)以下であると判定されるまで、ステップS217~ステップS222を繰り返し実行することは、クラスタヘッドCHの候補である候補クラスタヘッドCH_CADが収容可能なクラスタメンバCMの個数である収容個数N_husを演算することに相当する。
【0155】
また、ステップS224において、h=Hであると判定されるまで、ステップS223を繰り返し実行することは、候補クラスタヘッドCH_CADが基地局(AP20またはLTE基地局30)との無線通信に使用可能な第1の無線リソース量(
図12のステップS223の「AP-CH_CAD間の無線リソース量」)で収容個数N_husを除算して候補クラスタヘッドCH_CADにおけるクラスタメンバCMの収容効率EFF_husを演算する第1の演算処理を複数の候補クラスタヘッド(H個の候補クラスタヘッドCH_CAD)について実行することに相当する。
【0156】
更に、ステップS213において、A_COR_initial=利用可能な最大の無線リソース量を設定することは、「1つのチャネルにおいて空いている無線リソース量(=
図4の利用可能な無線リソース量)を候補クラスタヘッドCH_CADがクラスタメンバCMとの無線通信に利用可能な最大無線リソース量とする」ことに相当する。
【0157】
更に、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)よりも大きくないと判定されるまで、ステップS217を繰り返し実行することは、クラスタメンバ(=候補クラスタメンバCM_CAD)が取得するデータのデータ容量Dcを候補クラスタヘッドとクラスタメンバ(=候補クラスタメンバCM_CAD)との通信レートで除算して第2の無線リソース量COR(k)を演算する第2の演算処理を複数のクラスタメンバ(=複数の候補クラスタメンバCM_CAD)について実行することに相当する。
【0158】
更に、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)よりも大きくないと判定されるまで、ステップS221を繰り返し実行することは、複数のクラスタメンバ(=複数の候補クラスタメンバCM_CAD)について演算された複数の第2の無線リソース量(=複数のCOR(k))に基づいて、総和CM_COR_totalが最大無線リソース量A_COR_initialよりも小さくなる第2の無線リソース量COR(k)の個数を収容個数N_husとして演算することに相当する。
【0159】
更に、ステップS220において、利用可能な無線リソース量A_CORが零(=0)よりも大きくないと判定されるまで、ステップS220,S221を繰り返し実行することは、1つのクラスタメンバについて第2の演算処理を実行して第2の無線リソース量COR(k)を演算すると、その演算した第2の無線リソース量COR(k)を最大無線リソース量A_COR_initialから減算した減算結果A_CORが正であるとき収容個数N_husのカウント値を“1”だけ増加させる処理を繰り返し実行し、減算結果A_CORが零以下になったときの収容個数N_husのカウント値を収容個数として演算することに相当する。
【0160】
図13は、
図10のステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0161】
図13を参照して、
図10のステップS2の後、クラスタヘッドCHとして選択された候補クラスタヘッドCH_CAD_Sが、制御情報IF_CTLを制御装置50から受信する(ステップS31)。
【0162】
そして、候補クラスタヘッドCH_CAD_Sが、制御情報IF_CTLから選択情報IF_CH、チャネルCHN_maxおよび複数の識別子Addi(=候補クラスタヘッドCH_CAD_Sがクラスタヘッドとして選択されたときの複数の候補クラスタメンバCM_CADの複数の識別子)を検出する(ステップS32)。
【0163】
その後、候補クラスタヘッドCH_CAD_Sが、選択情報IF_CHに基づいてクラスタヘッド宣言DEC_CHを生成し(ステップS33)、その生成したクラスタヘッド宣言DEC_CHをチャネルCHN_maxで候補クラスタメンバCM_CAD_S(=候補クラスタヘッドCH_CAD_Sがクラスタヘッドとして選択されたときの複数の候補クラスタメンバCM_CAD)へ送信する(ステップS34)。
【0164】
引き続いて、候補クラスタメンバCM_CAD_S(=候補クラスタヘッドCH_CAD_Sがクラスタヘッドとして選択されたときの複数の候補クラスタメンバCM_CAD)が、クラスタヘッド宣言DEC_CHをチャネルCHN_maxで受信する(ステップS35)。
【0165】
そして、候補クラスタメンバCM_CAD_S(=候補クラスタヘッドCH_CAD_Sがクラスタヘッドとして選択されたときの複数の候補クラスタメンバCM_CAD)が、クラスタメンバ情報IF_CMを生成し、その生成したクラスタメンバ情報IF_CMをチャネルCHN_maxで候補クラスタヘッドCH_CAD_Sへ送信する(ステップS36)。
【0166】
そうすると、候補クラスタヘッドCH_CAD_Sが、クラスタメンバ情報IF_CMをチャネルCHN_maxで受信する(ステップS37)。これによって、クラスタが構成され、一連の動作は、
図10のステップS4へ移行する。
【0167】
図14は、
図10のステップS4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0168】
図14を参照して、
図10のステップS3の後、クラスタメンバCMが、データの取得要求をチャネルCHN_maxでクラスタヘッドCHへ送信する(ステップS41)。
【0169】
そして、クラスタヘッドCHが、データの取得要求をチャネルCHN_maxで受信する(ステップS42)。
【0170】
そうすると、クラスタヘッドCHが、基地局(AP20またはLTE基地局30)を介して情報サーバ60へアクセスし、情報サーバ60からクラスタヘッドCHおよびクラスタメンバCMのデータをダウンロードする(ステップS43)。その後、一連の動作は、
図10のステップS5へ移行する。
【0171】
この発明の実施の形態においては、制御装置50の動作は、ソフトウェアによって実現されてもよい。この場合、制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。そして、ROMは、
図11に示すフローチャート(
図12に示すフローチャートを含む)の各ステップからなるプログラムProg_Aを記憶する。
【0172】
CPUは、ROMからプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して、収容効率EFF_husが最大になるように候補クラスタヘッドCH_CADからクラスタヘッドCHを選択し、その選択したクラスタヘッドCHがクラスタを構成するように制御する。RAMは、無線リソース量COR(k)、全体の無線リソース量CM_COR_total、最大の無線リソース量A_COR_initial、収容個数N_husおよび収容効率EFF_husを一時的に記憶する。
【0173】
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。プログラムProg_Aを記録した記録媒体がコンピュータに装着されると、コンピュータは、記録媒体からプログラムProg_Aを読み出して実行し、収容効率EFF_husが最大になるように候補クラスタヘッドCH_CADからクラスタヘッドCHを選択し、その選択したクラスタヘッドCHがクラスタを構成するように制御する。
【0174】
従って、プログラムProg_Aを記録した記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0175】
なお、この発明の実施の形態においては、以下に説明する方法によって、候補クラスタヘッドCH_CADのデータと、候補クラスタメンバCM_CADのデータとの総データ容量D_totalを算出してもよい。
【0176】
図15は、総データ容量D_totalを求める方法を説明するための図である。
図15を参照して、データD_CH,D_CMの各々を示す円の半径をrとし、データD_CHの中心を点Aとし、データD_CH,D_CMの交点を点B,Cとする。角∠BACをθとする。円弧BC、辺ABおよび辺ACによって形成される扇型の面積S
FSは、次式によって表される。
【0177】
【0178】
そして、点Aから線分BCへ下ろした垂線の長さhは、次式によって表される。
【0179】
【0180】
線分BCと点Aからの垂線との交点を点Dとすると、線分CDの長さは、rsin(θ/2)によって表されるので、点A,点Cおよび点Dを頂点とする三角形の面積STG1は、次式によって表される。
【0181】
【0182】
そうすると、点A、点Bおよび点Cを頂点とする三角形の面積STGは、次式によって表される。
【0183】
【0184】
その結果、線分BCおよび円弧BCによって囲まれた部分の面積SARCは、SFS-STGに等しいので、次式によって表される。
【0185】
【0186】
よって、データD_CHとデータD_CMとの重複部分の面積SDUPは、2×SARCであるので、次式によって表される。
【0187】
【0188】
データD_CH,D_CMの各々のデータ容量は、Dcであるので、データD_CHとデータD_CMとの重複部分のデータ容量DDUPは、次式によって表される。
【0189】
【0190】
2つのデータD_CH,D_CMをまとめて情報サーバ60からダウンロードするときのトータルのデータ容量D_totalは、2つのデータD_CH,D_CMのデータ容量の和2×DcからデータD_CHとデータD_CMとの重複部分のデータ容量DDUPを差し引いたものである。従って、総データ容量D_totalは、次式によって表される。
【0191】
【0192】
図6に示すように、クラスタヘッドCHのデータ(円CIR1によって表される)は、クラスタメンバCMのデータ(円CIR2または円CIR3によって表される)と一部が重複する。従って、クラスタヘッドCHのデータとクラスタメンバCMのデータとの総数をm(mは、2以上の整数)個とすると、m個のデータの総データ容量D_total(m)は、次式によって表される。
【0193】
【0194】
クラスタヘッドCHのデータとm-1個のクラスタメンバCMのm-1個のデータとの重複部分は、m-1個であり、1つのDDUP(p)は、1つの重複部分のデータ容量を表すので、m×DCからm-1個の重複部分のデータ容量の総和を減算することによって、総データ容量D_total(m)が得られる。
【0195】
クラスタヘッドCHの位置およびクラスタメンバCMの位置からクラスタヘッドCHとクラスタメンバCMとの距離(=2h)を算出し、距離(=2h)からhを算出し、hおよび半径r(=既知(例えば、10m))から余弦定理(cos(θ/2)=h/r)を用いて角度θを算出できるので、総データ容量D_total(m)を算出できる。そして、2つのデータD_CH,D_CMの重複部分が大きくなれば、式(12)のDDUP(p)が大きくなるので、総データ容量D_total(m)は、小さくなる。一方、2つのデータD_CH,D_CMの重複部分が小さくなれば、式(12)のDDUP(p)が小さくなるので、総データ容量D_total(m)は、大きくなる。
【0196】
図16は、総データ容量D_totalを求める別の方法を説明するための図である。
図16を参照して、2つのデータD_CH,D_CMの配置領域にメッシュを設け、2つのデータD_CH,D_CMが配置されたメッシュ(斜線で表されるメッシュ)の総面積を求める。そして、D_total=Dc×(総面積)/πr
2によって総データ容量D_totalを求めてもよい。
【0197】
この場合、2つのデータD_CH,D_CMの重複部分が大きくなれば、総面積が小さくなるので、総データ容量D_totalは、小さくなる。一方、2つのデータD_CH,D_CMの重複部分が小さくなれば、総面積が大きくなるので、総データ容量D_totalは、大きくなる。従って、
図16に示す方法によってm個のデータの総データ容量D_total(m)を算出してもよい。
図15または
図16に示す方法によって算出された総データ容量D_total(m)は、
図12のステップS223における「AP-CH_CAD間の無線リソース量」を算出するために用いられる。そして、「AP-CH_CAD間の無線リソース量」は、総データ容量D_total(m)をAP-CH_CAD間の通信レートR
AP-CH_CADで除算することによって算出される。
【0198】
上述した実施の形態によれば、この発明の実施の形態による制御装置は、複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するようにクラスタヘッドを定期的に制御する制御装置であって、
クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、候補クラスタヘッドが基地局との無線通信に使用可能な第1の無線リソース量で前記収容個数を除算して候補クラスタヘッドにおけるクラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の候補クラスタヘッドについて実行する演算手段と、
複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する選択手段と、
クラスタを構成するように選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する制御手段とを備えていればよい。
【0199】
また、この発明の実施の形態による通信システムは、この発明の実施の形態による制御装置と、クラスタを構成する複数の移動体と、複数の移動体がダウンロードするデータを保持する情報サーバとを備え、
複数の移動体は、
候補クラスタヘッドからなり、制御装置による制御に従ってクラスタを構成するクラスタヘッドと、クラスタヘッドと無線通信を行うクラスタメンバとを含み、
クラスタヘッドは、クラスタヘッドおよびクラスタメンバのデータを情報サーバからダウンロードし、クラスタメンバのデータをクラスタメンバへ送信すればよい。
【0200】
更に、この発明の実施の形態によるプログラムは、複数の移動体からクラスタヘッドを選択し、その選択したクラスタヘッドがクラスタを構成するようにクラスタヘッドの定期的な制御をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
演算手段が、クラスタヘッドの候補である候補クラスタヘッドが収容可能なクラスタメンバの個数である収容個数を演算し、候補クラスタヘッドが基地局との無線通信に使用可能な第1の無線リソース量で収容個数を除算して候補クラスタヘッドにおけるクラスタメンバの収容効率を演算する第1の演算処理を複数の候補クラスタヘッドについて実行する第1のステップと、
選択手段が、複数の候補クラスタヘッドについて演算された複数の収容効率から最大の収容効率を検出し、その検出した最大の収容効率を有する候補クラスタヘッドをクラスタヘッドとして選択する第2のステップと、
制御手段が、クラスタを構成するように選択手段によって選択された候補クラスタヘッドを制御する第3のステップとをコンピュータに実行させればよい。
【0201】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0202】
この発明は、制御装置、それを備えた通信システム、プログラムおよびプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に適用される。
【符号の説明】
【0203】
1~10 移動体、11,501 通信手段、12 クラスタ構成手段、13 データ取得手段、20 AP、30 LTE基地局、40 ネットワーク、50 制御装置、60 情報サーバ、100 通信システム、111 無線モジュール(広域)112 無線モジュール(近域)、502 制御手段、503 選択手段、504 演算手段、505 探索手段、506 データベース。