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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】生体認証システム及び生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20230623BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20230623BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20230623BHJP
【FI】
G06V40/13
A61B5/1172
A61B5/1171 100
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019070821
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020170317
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】衣川 知克
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198690(WO,A1)
【文献】特開2005-235157(JP,A)
【文献】特開2003-323412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/13
G06T 1/00
A61B 5/1172
A61B 5/1171
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を取得する検出装置と、前記検出装置とネットワークを介して接続され、個人認証を行う認証装置と、を有する生体認証システムであって、
前記検出装置は、
複数のセンサ素子と、
複数の前記センサ素子に対応して設けられた複数のゲート線及び複数の信号線と、
複数の前記ゲート線を走査するゲート線駆動回路と、を有し、
前記認証装置は、
複数の前記センサ素子を制御するセンサ制御コードと、あらかじめ登録された生体情報である登録生体情報を記憶するメモリと、
認証を開始する認証要求信号を前記検出装置から受け取った場合に、前記センサ制御コードを設定するセンサ制御コード設定部と、
前記センサ制御コードを前記検出装置に送信する通信部と、を有し、
前記センサ制御コードには、複数の前記ゲート線の選択モードが複数含まれており、
前記ゲート線駆動回路は、前記認証装置から受け取った前記センサ制御コードに基づいて前記ゲート線を走査する
生体認証システム。
【請求項2】
前記センサ制御コードは、複数の前記ゲート線の選択モードとして、複数の前記ゲート線の走査方向の情報、複数の前記ゲート線を同時に選択する数に関する情報、複数の前記ゲート線のうち所定の前記ゲート線を選択する符号に関する情報及び複数の前記ゲート線をランダムに駆動する情報の少なくとも2つ以上を有する
請求項1に記載の生体認証システム。
【請求項3】
前記認証装置は、さらに、
前記選択モードにしたがって取得された取得生体情報を、前記センサ制御コードに基づいて変換する生体情報処理回路と、
前記生体情報処理回路により変換された生体情報と、前記登録生体情報とを照合する認証回路と、を有する
請求項1又は請求項2に記載の生体認証システム。
【請求項4】
前記認証装置は、さらに、
前記メモリに記憶された前記登録生体情報を、前記センサ制御コードに基づいて変換する生体情報処理回路と、
前記生体情報処理回路により変換された前記登録生体情報と、前記選択モードにしたがって取得された取得生体情報とを照合する認証回路と、を有する
請求項1又は請求項2に記載の生体認証システム。
【請求項5】
複数の前記センサ素子は、照射された光に応じた信号を出力する光電変換素子である
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の生体認証システム。
【請求項6】
前記検出装置は、前記光を照射する照明装置を有し、
前記センサ制御コードは、前記照明装置から照射される前記光の波長に関する情報を含む
請求項5に記載の生体認証システム。
【請求項7】
前記センサ制御コードには、複数の前記信号線の選択モードが複数含まれており、
前記検出装置は、前記センサ制御コードに基づいて、複数の前記信号線のうち選択された前記信号線と検出回路とを接続する信号線選択回路を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の生体認証システム。
【請求項8】
複数のセンサ素子と、
複数の前記センサ素子に対応して設けられた複数のゲート線及び複数の信号線と、
複数の前記ゲート線を走査するゲート線駆動回路と、を有し、
外部から供給され、前記ゲート線の選択モードが複数含まれたセンサ制御コードに基づいて前記ゲート線駆動回路は、前記ゲート線を走査する
生体情報検出装置。
【請求項9】
前記センサ制御コードは、複数の前記ゲート線の選択モードとして、複数の前記ゲート線の走査方向の情報、複数の前記ゲート線を同時に選択する数に関する情報、複数の前記ゲート線のうち所定の前記ゲート線を選択する符号に関する情報及び複数の前記ゲート線をランダムに駆動する情報の少なくとも2つ以上を有する
請求項8に記載の生体情報検出装置。
【請求項10】
前記選択モードにしたがって取得された取得生体情報を外部に出力する際、前記センサ制御コードが無ければ復元出来ない状態で出力される
請求項8又は請求項9に記載の生体情報検出装置。
【請求項11】
前記センサ素子は、照射された光に応じた信号を出力する光電変換素子である
請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【請求項12】
前記光を照射する照明装置を有し、
前記センサ制御コードは、前記照明装置から照射される前記光の波長に関する情報を含む
請求項11に記載の生体情報検出装置。
【請求項13】
前記センサ制御コードには、前記信号線の選択モードが複数含まれており、
前記センサ制御コードに基づいて、前記信号線と検出回路とを接続する信号線選択回路を有する
請求項8から請求項12のいずれか1項に記載の生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証システム及び生体情報検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指紋や静脈パターン等の生体情報をセンサで検出して個人認証を行う生体認証システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている個人認証方法は、ネットワークを介して生体情報取得装置と認証装置とが通信を行う。生体情報取得装置は、取得された生体情報を加工キーに基づいてコード化して認証装置に送信する。認証装置は、コード化された生体情報を受信し、コード化された生体情報を逆変換して、個人認証を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-91920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体情報を暗号化やコード化する方法では、ネットワーク上で生体情報が漏洩する可能性を抑制できる。しかし、生体情報取得装置は、検出された生体情報、すなわち暗号化又はコード化されていない状態の生体情報や、あらかじめ登録された生体情報を保有している場合がある。このため、生体情報取得装置から生体情報が漏洩する可能性がある。
【0005】
本発明は、生体情報の秘匿性を向上させることが可能な生体認証システム及び生体情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の生体認証システムは、生体情報を取得する検出装置と、前記検出装置とネットワークを介して接続され、個人認証を行う認証装置と、を有する生体認証システムであって、前記検出装置は、複数のセンサ素子と、複数の前記センサ素子に対応して設けられた複数のゲート線及び複数の信号線と、複数の前記ゲート線を走査するゲート線駆動回路と、を有し、前記認証装置は、複数の前記センサ素子を制御するセンサ制御コードと、あらかじめ登録された生体情報である登録生体情報を記憶するメモリと、認証を開始する認証要求信号を前記検出装置から受け取った場合に、前記センサ制御コードを設定するセンサ制御コード設定部と、前記センサ制御コードを前記検出装置に送信する通信部と、を有し、前記センサ制御コードには、複数の前記ゲート線の選択モードが複数含まれており、前記ゲート線駆動回路は、前記認証装置から受け取った前記センサ制御コードに基づいて前記ゲート線を走査する。
【0007】
本発明の一態様の生体情報検出装置は、複数のセンサ素子と、複数の前記センサ素子に対応して設けられた複数のゲート線及び複数の信号線と、複数の前記ゲート線を走査するゲート線駆動回路と、を有し、外部から供給され、前記ゲート線の選択モードが複数含まれたセンサ制御コードに基づいて前記ゲート線駆動回路は、前記ゲート線を走査する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る生体認証システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、検出装置の概略断面構成を示す断面図である。
図3図3は、検出装置が有するセンサを示す平面図である。
図4図4は、センサの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、図3のV-V’断面図である。
図6図6は、センサを示す回路図である。
図7図7は、複数の部分検出領域を示す回路図である。
図8図8は、センサの動作例を表すタイミング波形図である。
図9図9は、図8における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
図10図10は、センサの束ね駆動の動作例を表すタイミング波形図である。
図11図11は、ゲート線駆動回路の構成例を示すブロック図である。
図12図12は、CDM駆動の動作例を説明するための説明図である。
図13図13は、個人認証方法を示すフローチャートである。
図14図14は、センサ制御コードデータベースの一例を示す表である。
図15図15は、生体情報処理回路による取得生体情報の変換方法の一例を説明するための説明図である。
図16図16は、第1変形例に係る個人認証方法を示すフローチャートである。
図17図17は、第2変形例に係るセンサを示す平面図である。
図18図18は、第2変形例に係るセンサの側面図である。
図19図19は、第2変形例に係るセンサの断面図の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る生体認証システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、生体認証システム1は、検出装置2と、認証装置3と、を有する。検出装置2は、生体情報として取得生体情報BI-Dを取得する装置である。認証装置3は、取得生体情報BI-Dを受け取って個人認証を行う装置である。検出装置2と認証装置3とは、ネットワークNWを介して接続される。ネットワークNWは、例えばインターネットやワイヤレス等の通信手段である。
【0011】
検出装置2は、通信機能を有する検出装置2単体の装置であってもよく、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット端末、携帯電話等の携帯端末に組み込まれたものであってもよく、パーソナルコンピュータ、ATM、入室管理装置、ICカード等の電子機器に適用したものであってもよい。
【0012】
図1に示す検出装置2は、表示パネル5、センサ6、照明装置7、メモリ21、通信部22、画像処理回路51、表示制御回路52、検出制御回路102及び検出回路40を備える。表示パネル5は、認証装置3から送信された認証要求や認証結果等、各種情報を表示する。表示パネル5は、例えば表示素子として液晶層を用いた液晶表示パネルである。ただし、表示パネル5は、これに限定されず、表示素子としてOLED(Organic Light Emitting Diode)を用いた有機EL又はμLED(マイクロLED)等の表示パネル、表示素子として電気泳動素子を用いた電気泳動型表示パネル(EPD:Electrophoretic Display)等、他の表示パネルであってもよい。また、表示パネル5は、指Fgの接触又は近接を検出するタッチセンサを有していてもよい。もちろんセンサ6に指Fgの接触又は近接を検出するタッチセンサの機能を持たせても良い。また、検出装置2は、表示パネル5を有さないものであってもよい。
【0013】
表示制御回路52は、表示パネル5の表示を制御する回路である。表示制御回路52は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)である。画像処理回路51は、表示制御回路52から入力される入力信号IPに基づいた各種信号の出力を行う。入力信号IPは、画像を表示させるための信号(例えばRGB画像信号)を含む。表示の際に、画像処理回路51は、入力信号IPに基づいて画像信号OPを生成し、画像信号OPを表示パネル5に出力する。
【0014】
センサ6は、指紋や静脈パターン等の各種生体情報を取得する装置である。センサ6は、複数のセンサ素子PDを有し、複数のセンサ素子PDごとに検出された信号に基づいて取得生体情報BI-Dを取得する。センサ素子PDは、照射された光に応じた信号を出力する光電変換素子である。なお、センサ6は、光学式センサに限定されず、静電容量式センサ等、他の検出方式であってもよい。
【0015】
照明装置7は、指Fg等の被検出体に向けて光L1を照射する。照明装置7は、例えば、検出領域AA(図2参照)に対応する位置に設けられた導光板と、導光板の一方端又は両端に並ぶ複数の光源とを有する、いわゆるサイドライト型のバックライトであってもよい。光源として、例えば、所定の色の光を発する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode))が用いられる。また、照明装置7は、検出領域AAの直下に設けられた光源(例えば、LED)を有する、いわゆる直下型のバックライトであっても良い。また、照明装置7は、バックライトに限定されず、センサ6の側方や上方に設けられていてもよく、指Fgの側方や上方から光L1を照射してもよい。また、表示パネル5とセンサとを重畳させ、表示パネル5を光源として利用してもよい。
【0016】
検出制御回路102は、センサ6及び照明装置7に各種制御信号を供給して、生体情報の取得を制御する回路である。検出制御回路102は、表示制御回路52と連携して認証要求等を行う。検出制御回路102は、例えば表示制御回路52を構成するMPUによって構成されるものあってもよい。検出制御回路102は、認証装置3から送信されたセンサ制御コードSCに基づいて、ゲート駆動信号VGCL、選択信号SELをセンサ6に出力する。これにより、センサ6は、センサ制御コードSCに基づいた方式で駆動する。また、検出制御回路102は、認証装置3から送信されたセンサ制御コードSCに基づいて、照明制御信号LCを照明装置7に出力する。これにより、照明装置7は、照明制御信号LCに対応した波長、光量/輝度、オン/オフの周波数等を有する光L1を出射する。
【0017】
検出回路40は、センサ制御コードSCに基づいてセンサ6で検出された検出信号Vdetの信号処理を行う回路である。メモリ21は、取得生体情報BI-Dを記憶する回路である。メモリ21は、検出回路40から順次出力されたセンサ出力信号Voを取得生体情報BI-Dとして記憶する。メモリ21は、例えば半導体メモリ、ハードディスクドライブ等、各種の記憶装置を適用できる。
【0018】
通信部22は、ネットワークNWで採用されているプロトコルに対応する通信を行うためのネットワークインタフェースコントローラを有する。通信部22は、ネットワークNWに接続され、通信に関する処理を行う。
【0019】
認証装置3は、認証制御回路31、センサ制御コード設定部32、生体情報処理回路33、認証回路35、メモリ36及び通信部37を有する。認証装置3は、ネットワークNWに設けられたサーバー装置であってもよく、スマートフォンやパーソナルコンピュータ等の電子機器等であってもよい。
【0020】
メモリ36は、センサ制御コードデータベース36a、登録生体情報データベース36bを記憶する。センサ制御コードデータベース36aは、センサ制御コードSCに関する情報を含む。センサ制御コードSCは、ゲート線GCLの駆動を制御するための複数の選択モード等の各種情報を含む。登録生体情報データベース36bは、生体認証システム1の利用者ごとにあらかじめ登録された、複数の登録生体情報BI-Rを含む。登録生体情報データベース36bは、利用者一人に関する指紋、静脈パターン等の複数種類の生体情報を含んでいてもよい。
【0021】
認証制御回路31は、認証装置3の各回路等に制御信号を供給して、生体情報の認証を制御する回路である。センサ制御コード設定部32は、認証制御回路31からの制御信号に基づいて、メモリ36に記憶された複数のセンサ制御コードSCのうち、検出する生体情報に応じたセンサ制御コードSCを設定する。センサ制御コード設定部32は、設定したセンサ制御コードSCを、生体情報処理回路33に送信し、また、通信部37を介して検出装置2に送信する。
【0022】
生体情報処理回路33は、検出装置2から送信された取得生体情報BI-Dを受け取る。生体情報処理回路33は、設定されたセンサ制御コードSCに基づいて、取得生体情報BI-Dの情報処理を行う。生体情報処理回路33は、変換後の生体情報BI-DCを認証回路35に出力する。
【0023】
認証回路35は、変換後の生体情報BI-DCと、メモリ36から取得した登録生体情報BI-Rとを照合して、個人認証を行う。認証回路35は、通信部37を介して認証結果を検出装置2に送信する。
【0024】
検出装置2は、認証装置3から認証結果を受け取って、認証結果に応じた所定の動作を行う。例えば、個人認証が一致した場合には、検出装置2は、各種機器やネットワークNWへのアクセスを許可する。また、個人認証が一致しない場合には、検出装置2は、認証不一致の結果を表示パネル5により表示し、再度の認証要求をユーザーに対して行ってもよい。この際、センサ制御コードSCを変更することも可能である。
【0025】
次に検出装置2及びセンサ6の構成について説明する。図2は、検出装置の概略断面構成を示す断面図である。図2に示すように、検出装置2は、センサ6の表面に垂直な方向において、照明装置7、センサ6、表示パネル5の順に積層されている。
【0026】
照明装置7は、光を照射する光照射面7aを有し、光照射面7aからセンサ6に向けて光L1を照射する。センサ6は、照明装置7の光照射面7aと対向して設けられる。言い換えると、センサ6は照明装置7と表示パネル5との間に設けられる。
【0027】
照明装置7から照射された光L1は、センサ6及び表示パネル5を透過する。センサ6は、例えば、光反射型の光学式センサであり、表示パネル5の表示面と空気との界面で反射した光L2を検出することで、指Fgの生体情報を検出することができる。生体情報は、例えば、指紋や静脈等の血管像(静脈パターン)や脈拍、脈波、血液の状態(血中酸素濃度等)等である。照明装置7からの光L1の色は、検出対象に応じて異ならせてもよい。例えば、指紋検出の場合には、照明装置7は可視光(例えば青色又は緑色)の光L1を照射し、静脈検出の場合には、照明装置7は赤外光の光L1を照射することができる。
【0028】
表示パネル5が液晶表示パネルである場合に、表示パネル5は照明装置7から照射された光L1で表示を行ってもよい。つまり、照明装置7は、センサ6の光源と、表示パネル5のバックライトを兼用してもよい。また、表示パネル5が有機ELパネルである場合には、検出装置2は照明装置7を備えず、表示パネル5の表示素子であるOLEDが照明装置7を兼用してもよい。また、図2では、表示パネル5のサイズとセンサ6のサイズとを同一としているが、表示パネル5の一部にセンサ6が重畳するものであってもよい。また、表示パネル5とセンサ6とを重畳させず、表示パネル5とセンサ6とをずらして配置してもよい。
【0029】
図3は、検出装置が有するセンサを示す平面図である。図4は、センサの構成例を示すブロック図である。図3に示すように、センサ6は、基材61と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、アナログフロントエンド回路(以下、AFE(Analog Front End)と表す)48とを有する。
【0030】
基材61には、フレキシブルプリント基板110を介して制御基板101が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板110には、AFE48が設けられている。制御基板101には、検出制御回路102及び電源回路103が設けられている。検出制御回路102は、AFE48、センサ部10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路103は、電源信号VDDSNS(図7参照)等の電圧信号をAFE48、センサ部10及びゲート線駆動回路15に供給する。
【0031】
基材61は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数のセンサ素子PDと重なる領域である。センサ部10は、光電変換素子であるセンサ素子PDを有する光センサである。センサ素子PDは検出領域AAにマトリクス状に配列される。周辺領域GAは、検出領域AAの外側の領域であり、センサ素子PDと重ならない領域である。すなわち、周辺領域GAは、検出領域AAの外周と基材61の端部との間の領域である。ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。上述した通り、センサ素子PDは静電容量方式のセンサであってもよい。
【0032】
図4に示すように、センサ部10が有するセンサ素子PDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号VGCLに従って検出を行う。
【0033】
検出制御回路102は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出回路40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路102は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路102は、選択信号SEL等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。
【0034】
ゲート線駆動回路15は、認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCに基づいて複数のゲート線GCL(図6参照)を走査する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数のセンサ素子PDを選択する。
【0035】
信号線選択回路16は、認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCに基づいて複数の信号線SGL(図6参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、検出制御回路102から供給される選択信号SELに基づいて、選択された信号線SGLと、検出回路40とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、センサ素子PDの検出信号Vdetを検出回路40に出力する。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0036】
検出回路40は、AFE48と、信号処理部44と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御回路102から供給される制御信号に基づいて、AFE48と、信号処理部44とが同期して動作するように制御する。なお、検出回路40の機能の一部又は全部は、検出制御回路102に含まれていてもよい。
【0037】
AFE48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0038】
信号処理部44は、AFE48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。例えば、信号処理部44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、AFE48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸を検出できる。信号処理部44は、センサ制御コードSCに基づいた駆動方式(ゲート線GCLの選択モード)により走査されたセンサ素子PDの順にセンサ出力信号Voを出力する。なお、センサ制御コードSCに基づき、信号処理部44に入力されたデジタル信号をさらに処理してセンサ出力信号Voとして出力することも可能である。
【0039】
メモリ21は、信号処理部44で演算されたセンサ出力信号Voを順次保存する。メモリ21に保存される取得生体情報BI-Dは、センサ制御コードSCに基づいて各センサ素子PDから出力される検出信号Vdetに基づいた情報である。より具体的には、取得生体情報BI-Dは、各センサ素子PDの検出座標の演算が行われず、例えば、ゲート線GCLの選択モードにしたがって順次出力された情報として保存される。
【0040】
図5は、図3のV-V’断面図である。図5では、検出領域AAの層構造と周辺領域GAの層構造との関係を示すために、V-V’線に沿う断面と、周辺領域GAの第2スイッチング素子TrGを含む部分の断面とを、模式的に繋げて示している。さらに、図5では、周辺領域GAの端子部85を含む部分の断面を模式的に繋げて示している。
【0041】
なお、センサ6の説明において、基材61の表面に垂直な方向において、基材61からセンサ素子PDに向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。センサ素子PDから基材61に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、「平面視」とは、基材61の表面に垂直な方向から見た場合の配置関係を示す。
【0042】
図5に示すように、センサ素子PDは、半導体層81と、上部電極82と、下部電極83とを含む。センサ素子PDは、例えば、PIN(Positive Intrinsic Negative Diode)型のフォトダイオードである。
【0043】
具体的には、センサ素子PDは、アレイ基板SUBの第1有機絶縁層63aの上に、下部電極83、半導体層81、上部電極82の順に積層される。アレイ基板SUBは、所定の検出領域ごとにセンサ素子PDを駆動する駆動回路基板である。アレイ基板SUBは、基材61と、基材61に設けられた第1スイッチング素子Tr、第2スイッチング素子TrG及び各種配線等を有する。
【0044】
半導体層81は、アモルファスシリコン(a-Si)である。半導体層81は、i型半導体81a、p型半導体81b及びn型半導体81cを含む。i型半導体81a、p型半導体81b及びn型半導体81cは、光電変換素子の一具体例である。図5では、基材61の表面に垂直な方向において、n型半導体81c、i型半導体81a及びp型半導体81bの順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、p型半導体81b、i型半導体81a及びn型半導体81cの順に積層されていてもよい。
【0045】
下部電極83は、センサ素子PDのアノードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極83は、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、下部電極83は、これらの金属材料が複数積層された積層膜であってもよい。下部電極83は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料であってもよい。
【0046】
n型半導体81cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体81bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体81aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、n型半導体81c及びp型半導体81bよりも低い導電性を有する。
【0047】
上部電極82は、センサ素子PDのカソードであり、電源信号VDDSNSを光電変換層に供給するための電極である。上部電極82は、例えばITO等の透光性導電層であり、センサ素子PDごとに複数設けられる。
【0048】
図5に示すように、第1有機絶縁層63aの上に第6無機絶縁層62f及び第7無機絶縁層62gが設けられている。第6無機絶縁層62fは、上部電極82の周縁部を覆い、上部電極82と重なる位置に開口が設けられている。接続配線84は、上部電極82のうち、第6無機絶縁層62fが設けられていない部分で上部電極82と接続される。第7無機絶縁層62gは、上部電極82及び接続配線84を覆って第6無機絶縁層62fの上に設けられる。第7無機絶縁層62gの上に平坦化層である第2有機絶縁層63bが設けられる。上部電極82は、接続配線84を介して電源信号VDDSNSが供給される。
【0049】
第1スイッチング素子Trは、基材61の上に設けられる。第1スイッチング素子Trの少なくとも一部は、基材61とセンサ素子PDとの間に配置される。第1スイッチング素子Trは、第1半導体91、ソース電極92、ドレイン電極93、第1ゲート電極94A及び第2ゲート電極94Bを含む。基材61の上に、第1無機絶縁層62a、第2無機絶縁層62b、第2ゲート電極94B、第3無機絶縁層62c、第1半導体91、第4無機絶縁層62d、第1ゲート電極94A、第5無機絶縁層62e、ソース電極92及びドレイン電極93の順に積層される。
【0050】
第1半導体91は、酸化物半導体である。より好ましくは、第1半導体91は、酸化物半導体のうち透明アモルファス酸化物半導体(TAOS:Transparent Amorphous Oxide Semiconductor)である。第1スイッチング素子Trに酸化物半導体を用いることにより、第1スイッチング素子Trのリーク電流を抑制できる。
【0051】
第1半導体91は、基材61に垂直な方向において、第1ゲート電極94Aと第2ゲート電極94Bとの間に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trは、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、第1スイッチング素子Trは、第1ゲート電極94Aが設けられ、第2ゲート電極94Bが設けられないトップゲート構造でもよく、第1ゲート電極94Aが設けられず、第2ゲート電極94Bのみが設けられるボトムゲート構造でもよい。
【0052】
第1導電層65は、第1半導体91のうちソース電極92と接続される端部を覆って設けられる。第2導電層66は、第1半導体91のうちドレイン電極93と接続される端部を覆って設けられる。コンタクトホールH1の底部には第1導電層65が露出する。ソース電極92は、コンタクトホールH1及び第1導電層65を介して第1半導体91と電気的に接続される。同様に、コンタクトホールH2の底部には第2導電層66が露出する。ドレイン電極93は、コンタクトホールH2及び第2導電層66を介して第1半導体91と電気的に接続される。
【0053】
第3導電層67は、第5無機絶縁層62eの上に設けられる。本実施形態では、ドレイン電極93は、第1半導体91の上に第4無機絶縁層62d及び第5無機絶縁層62eを介して設けられた第3導電層67である。また、センサ素子PDの下部電極83は、コンタクトホールH3を介して第3導電層67と接続される。すなわち、第3導電層67は、センサ素子PDのアノードである下部電極83と電気的に接続されるとともに、センサ素子PDと、第1スイッチング素子Trの第1ゲート電極94Aとの間に設けられる。また、第3導電層67は、第1スイッチング素子Trを保護する保護層としての機能を有する。
【0054】
第4導電層68は、第2導電層66と第3導電層67との間に設けられる。これにより、第2導電層66と第4導電層68との間に容量が形成され、第3導電層67と第4導電層68との間に容量が形成される。第2導電層66、第3導電層67及び第4導電層68により形成される容量は、図7に示す容量素子Caの容量である。
【0055】
第1導電層65から第4導電層68は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)等の金属材料又はこれらの合金が用いられる。各無機絶縁層は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等が用いられる。また、各無機絶縁層は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0056】
周辺領域GAには、ゲート線駆動回路15の第2スイッチング素子TrGが設けられている。第2スイッチング素子TrGは、第1スイッチング素子Trと同一の基材61に設けられる。第2スイッチング素子TrGは、第2半導体95、ソース電極96、ドレイン電極97及びゲート電極98を含む。
【0057】
第2半導体95は、ポリシリコンである。より好ましくは、第2半導体95は、低温ポリシリコン(以下、LTPS(Low Temperature Polycrystalline Silicone)と表す)である。第2半導体95は、第1無機絶縁層62aの上に設けられる。つまり、第1スイッチング素子Trの第1半導体91は、基材61に垂直な方向において、第2スイッチング素子TrGの第2半導体95よりも基材61から離れた位置に設けられる。ただし、第2半導体95は、第1半導体91と同じ材料で形成され、第1半導体91と同層に設けられていてもよい。
【0058】
ソース電極96は、コンタクトホールH4を介して第2半導体95と電気的に接続される。ドレイン電極97は、コンタクトホールH5を介して第2半導体95と電気的に接続される。なお、図6に示す第3スイッチング素子TrS及び第4スイッチング素子TrRの半導体は、TAOS等からなる酸化物半導体であってもよい。
【0059】
端子部85は、周辺領域GAのうち、ゲート線駆動回路15が設けられた領域とは異なる位置に設けられる。端子部85は、第1端子導電層86、第2端子導電層87、第3端子導電層88及び第4端子導電層89を有する。第1端子導電層86は、第2ゲート電極94Bと同層に、第2無機絶縁層62bの上に設けられる。コンタクトホールH6は、第3無機絶縁層62c、第4無機絶縁層62d、第5無機絶縁層62e及び第1有機絶縁層63aを連通して設けられる。
【0060】
第2端子導電層87、第3端子導電層88及び第4端子導電層89は、コンタクトホールH6内に、この順で積層され、第1端子導電層86と電気的に接続される。なお、図5では1つの端子部85を示しているが、端子部85は間隔を有して複数配列される。複数の端子部85は、例えばACF(Anisotropic Conductive Film)等により、フレキシブルプリント基板110(図3参照)と電気的に接続される。
【0061】
なお、センサ素子PDは、アモルファスシリコン(a-Si)に限定されない。例えば、センサ素子PDは、ポリシリコンより好ましくはLTPSにより形成されたPIN型フォトダイオードでもよく、有機材料により形成されていてもよい。
【0062】
次に、センサ6の回路構成例及び動作例について説明する。図6は、センサを示す回路図である。図7は、複数の部分検出領域を示す回路図である。図8は、センサの動作例を表すタイミング波形図である。図9は、図8における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。図10は、センサの束ね駆動の動作例を表すタイミング波形図である。
【0063】
図6に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。複数の部分検出領域PAAには、それぞれセンサ素子PDが設けられている。ゲート線GCL及び信号線SGLは、センサ素子PDに対応して設けられる。
【0064】
ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。ゲート線GCLの数は8本であるが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、M本(Mは8以上、例えばM=256)配列されていてもよい。
【0065】
なお、第1方向Dxは、基材61と平行な面内の一方向であり、例えば、ゲート線GCLと平行な方向である。また、第2方向Dyは、基材61と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基材61に垂直な方向である。
【0066】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAに接続される。また、複数の信号線SGL1、SGL2、…、SGL12は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。信号線SGLの数は12本であるが、あくまで一例であり、信号線SGLは、N本(Nは12以上、例えばN=252)配列されていてもよい。また、図6では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0067】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、レベルシフタ151を介して受け取る。ゲート線駆動回路15は、複数の第2スイッチング素子TrG(図示は省略する)を有している。ゲート線駆動回路15は、第2スイッチング素子TrGの動作により、複数のゲート線GCL1、GCL2、…、GCL8を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号VGCLを供給する。これにより、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。なお、検出制御回路102は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、センサ制御コードSCに基づいて生成する。
【0068】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL1、SGL2、…、SGL6は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL7、SGL8、…、SGL12は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれAFE48に接続される。
【0069】
ここで、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6を第1信号線ブロックとし、信号線SGL7、SGL8、…、SGL12を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。
【0070】
具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、信号線SGL1、SGL2、…、SGL6に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL1に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL7に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL2に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL8に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0071】
検出制御回路102(図1参照)は、レベルシフタ161を介して、選択信号SELを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックで同時に1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、センサ6は、AFE48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。なお、検出制御回路102は、センサ制御コードSCに従い信号線ブロックを順次選択(SEL1,SEL2・・・SEL6の順序で選択)したり、逆順(SEL6、SEL5・・・SEL1)で選択したり、前記以外の任意の選択順(SEL2、SEL6、・・・SEL1等)に適宜変更するものであってもよい。また、任意の選択順は、後述する読み出し期間Pdet毎に変更してもよいし、読み出し期間Pdet内の任意のタイミングで変更するものであってもよい。
【0072】
図6に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0073】
検出制御回路102は、リセット信号RST2を、レベルシフタ171を介してリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路103は、基準信号COMを基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Caに基準信号COMが供給される。
【0074】
なお、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、指紋の検出及び異なる複数の生体情報(脈波、脈拍、血管像、血中酸素濃度等)のそれぞれの検出モードごとに、異なる選択モードを実行してもよい。例えば、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。また、信号線選択回路16は、複数の信号線SGLを束ねてAFE48に接続してもよい。これにより、検出領域グループPAG1、PAG2で検出された信号がAFE48に出力される。この場合、検出領域グループPAG1、PAG2に含まれる複数の部分検出領域PAA(センサ素子PD)からの信号が統合されてAFE48に出力される。
【0075】
図7に示すように、部分検出領域PAAは、センサ素子PDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。図7では、複数のゲート線GCLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GCL(m)、GCL(m+1)を示す。また、複数の信号線SGLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SGL(n)、SGL(n+1)を示す。部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域である。第1スイッチング素子Trは、センサ素子PDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0076】
第1方向Dxに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第2方向Dyに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、センサ素子PD及び容量素子Caに接続される。
【0077】
センサ素子PDには、電源回路123からセンサ電源信号VDDSNSが供給される。また、信号線SGL及び容量素子Caには、電源回路123から、信号線SGL及び容量素子Caの初期電位となる基準信号COMが供給される。
【0078】
部分検出領域PAAに光が照射されると、センサ素子PDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介してAFE48に接続される。これにより、センサ6は、部分検出領域PAAごとに、又は検出領域グループPAG1、PAG2ごとにセンサ素子PDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0079】
AFE48は、読み出し期間Pdet(図8参照)にスイッチSSWがオンになり、信号線SGLと接続される。AFE48の検出信号増幅部42は、信号線SGLから供給された電流の変動を電圧の変動に変換して増幅する。検出信号増幅部42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電圧Vrefが入力され、反転入力端子(-)には、信号線SGLが接続される。本実施形態では、基準電圧Vrefとして基準信号COMと同じ信号が入力される。また、検出信号増幅部42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間Prst(図8参照)において、リセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0080】
図8に示すように、センサ6は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。電源回路123は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、センサ電源信号VDDSNSをセンサ素子PDに供給する。また、リセット期間Prstが開始する前の時刻に、制御回路122は、基準信号COM及び高レベル電圧信号のリセット信号RST2を、リセット回路17に供給する。検出制御回路102は、ゲート線駆動回路15にスタート信号STVを供給し、リセット期間Prstが開始する。
【0081】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号VGCLをゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号VGCLは、高レベル電圧である電源電圧VDDと低レベル電圧である電源電圧VSSとを有するパルス状の波形を有する。図8では、M本(例えばM=256)のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号VGCL(1)、…、VGCL(M)が順次供給される。
【0082】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準信号COMが供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。
【0083】
ゲート駆動信号VGCL(M)がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pexが開始する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧の電源電圧VDDから低レベル電圧の電源電圧VSSに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号VGCLが電源電圧VSSから電源電圧VDDに変化したタイミングで終了する。露光期間Pex(1)、…、Pex(M)の露光時間の長さは等しい。
【0084】
露光期間Pexでは、各部分検出領域PAAで、センサ素子PDに照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0085】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、検出制御回路102は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCL(1)、…、VGCL(M)を順次供給する。
【0086】
具体的には、図9に示すように、ゲート線駆動回路15は、期間t(1)において、ゲート線GCL(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号VGCL(1)を供給する。検出制御回路102は、ゲート駆動信号VGCL(1)が高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号SEL1、…、SEL6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号VGCL(1)により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時に検出回路40(AEF48)に接続される。この結果、検出信号Vdetが部分検出領域PAAごとに検出回路40(AEF48)に供給される。
【0087】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間t(2)、…、t(M-1)、t(M)において、ゲート線GCL(2)、…、GCL(M-1)、GCL(M)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号VGCL(2)、…、VGCL(M-1)、VGCL(M)を供給する。すなわち、ゲート線駆動回路15は、期間t(1)、t(2)、…、t(M-1)、t(M)ごとに、ゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。各ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧となる期間ごとに、信号線選択回路16は選択信号SELに基づいて、順次信号線SGLを選択する。信号線選択回路16は、信号線SGLごとに順次、1つのAFE48に接続する。これにより、読み出し期間Pdetで、センサ6は、全ての部分検出領域PAAの検出信号VdetをAFE48に出力することができる。
【0088】
なお、図9では、ゲート線駆動回路15が期間tごとに1本のゲート線GCLを選択する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は、2以上の所定数のゲート線GCLを同時に選択し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号VGCLを供給してもよい。また、信号線選択回路16も、2以上の所定数の信号線SGLを同時に1つのAFE48に接続してもよい。また更には、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを間引いて(複数本のゲート線GCLを飛び越して)走査してもよい。
【0089】
図10は、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16による束ね駆動の動作例を示す。図10に示すように、ゲート線駆動回路15は、期間ta(1)において、複数のゲート線GCLを含むゲート線ブロックBKG(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号VGCLを供給する。ゲート線ブロックBKG(1)は、例えば、図6に示す6本のゲート線GCL(1)からゲート線GCL(6)を含む。検出制御回路102は、ゲート駆動信号VGCLが高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号SEL1、…、SEL6を、同時に信号線選択回路16に供給する。これにより、信号線選択回路16は、6本の信号線SGLを同時にAFE48に接続する。この結果、図6に示す検出領域グループPAG1、PAG2の検出信号VdetがそれぞれAFE48に供給される。
【0090】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間ta(2)、…、ta(s-1)、ta(s)において、ゲート線ブロックBKG(2)、…、BKG(s-1)、BKG(s)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号VGCL(2)、…、VGCL(s-1)、VGCL(s)を供給する。つまり、ゲート線駆動回路15は、期間taごとに、複数のゲート線GCLに同時にゲート駆動信号VGCLを供給する。
【0091】
これにより、読み出し期間Pdetで、センサ6は、検出領域グループPAGごとに検出信号VdetをAFE48に出力することができる。センサ6は、部分検出領域PAAごとに検出する場合に比べて、検出におけるS/N比を高めることができる。したがって、センサ6は、血管像等の生体に関する情報を良好に検出することができる。また、図10に示す動作例では、検出領域AAの全領域の検出に要する時間を短縮して、迅速に検出することができるので、脈波等の血管像の時間的な変化を良好に検出することができる。
【0092】
図10では、ゲート線駆動回路15が6本のゲート線GCLを束ねて駆動する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は5本以下のゲート線GCLを束ねて駆動してもよいし、7本以上のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。また、信号線選択回路16は、5本以下の複数の信号線SGLを同時にAFE48に接続してもよいし、7本以上の複数の信号線SGLを同時にAFE48に接続してもよい。
【0093】
なお、図6に示す検出領域グループPAG1、PAG2は、それぞれ6×6、計36個の部分検出領域PAA(センサ素子PD)を含む。ただし、検出領域グループPAG1、PAG2に含まれる部分検出領域PAA(センサ素子PD)の数は、35個以下でもよく、37個以上でもよい。また、図10において、ゲート線駆動回路15が選択するゲート線GCLの数と、信号線選択回路16が選択する信号線SGLの数とが異なっていてもよい。すなわち、検出領域グループPAG1、PAG2のそれぞれにおいて、第1方向Dxに並ぶ部分検出領域PAA(センサ素子PD)の数と、第2方向Dyに並ぶ部分検出領域PAA(センサ素子PD)の数とは異なっていてもよい。
【0094】
図11は、ゲート線駆動回路の構成例を示すブロック図である。図11に示すように、ゲート線駆動回路15は、シリアルアクセス回路15a、ランダムアクセス回路15b及びCDMアクセス回路15cを含む。ゲート線駆動回路15は、認証装置3から供給されるセンサ制御コードSCの選択モードに基づいて、シリアルアクセス回路15a、ランダムアクセス回路15b及びCDMアクセス回路15cのいずれか1つを動作させる。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLの走査方法を切り換えることができる。
【0095】
シリアルアクセス回路15aは、上述したように、複数のゲート線GCLを順次選択するように動作する。シリアルアクセス回路15aは、1本のゲート線GCLごとに時分割で選択してもよく、ゲート線ブロックBKGごとに時分割で選択してもよい。ランダムアクセス回路15bは、複数のゲート線GCLをランダムに選択する。なお、ここでのランダムアクセスとは、選択するゲート線GCLの全てのアクセス順番を設定するもの、任意の開始位置を設定し、当該開始位置から所定のゲート線GCLを順次選択するもの等、各種のアクセス方法含む。CDMアクセス回路15cは、所定の符号に基づいて、複数のゲート線GCLのうち所定のゲート線GCLを選択する。センサ6は、CDMアクセス回路15cにより符号分割選択駆動(以下、CDM(Code Division Multiplexing)駆動と表す)により、の生体情報の検出を行ってもよい。
【0096】
図12は、CDM駆動の動作例を説明するための説明図である。図12では、説明をわかりやすくするために、4つのセンサ素子PD-1、PD-2、PD-3、PD-4についてCDM駆動の動作例を示す。図12に示すように、CDMアクセス回路15c(図11参照)は、センサ素子ブロックBKの4つのセンサ素子PD-1、PD-2、PD-3、PD-4のうち、所定の符号に基づいて決められたセンサ素子PDを選択する。選択されたセンサ素子PDに対応するゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを供給する。
【0097】
例えば、所定の符号は、下記式(1)の正方行列で定義され、正方行列の次数はセンサ素子PDの数である4になる。所定の符号は、「1」又は「-1」、若しくは「1」又は「0」を要素とし、任意の異なった2つの行が直交行列となる正方行列、例えば、アダマール行列に基づく符号である。下記式(1)の正方行列の対角成分「-1」は、当該正方行列の対角成分以外の成分「1」と異なる。CDMアクセス回路15cは、下記式(1)の正方行列に基づいて、正方行列の対角成分以外の成分「1」に対応するゲート線GCLにゲート駆動信号VGCLを印加する。成分「1」に対応するセンサ素子PDが、第1選択対象のセンサ素子PDとして選択される。また、第1選択対象のセンサ素子PDが選択された期間において、成分「-1」に対応するゲート線GCLにはゲート駆動信号VGCLが印加されず、成分「-1」に対応するセンサ素子PDは、非選択となる。
【0098】
【数1】
【0099】
センサ素子PDのうちセンサ素子PD-2に、指Fg等の検出対象部分Fg-a(例えば、指Fgの凹凸や静脈)がある場合、センサ素子PD-2に照射される光L2の強度が他のセンサ素子PDと異なる。このため、複数のセンサ素子PDから出力される検出信号Vdetにおいて、差分の電圧が生じる(例えば差分の電圧は20%とする)。
【0100】
第1時間帯では、式(1)の正方行列の1行目の成分「1」に対応するセンサ素子PD-2、PD-3、PD-4が第1選択対象として選択される。検出回路40が第1時間帯で検出する第1検出信号Vdet1は、(0)+(0.8)+(1)+(1)=2.8になる。次に、第2時間帯では、式(1)の正方行列の1行目の成分「-1」に対応するセンサ素子PD-1が第2選択対象として選択される。検出回路40が第2時間帯で検出する第2検出信号Vdet2は、(1)+(0)+(0)+(0)=1になる。信号処理部44は、第1時間帯で検出された第1検出信号Vdet1=2.8と、第2時間帯で検出された第2検出信号Vdet2=1.0との差分から、第3検出信号Vdet3=1.8を演算する。
【0101】
第3時間帯では、式(1)の正方行列の2行目の成分「1」に対応するセンサ素子PD-1、PD-3、PD-4が第1選択対象として選択される。第4時間帯では、式(1)の正方行列の2行目の成分「-1」に対応するセンサ素子PD-2が第2選択対象として選択される。信号処理部44は、第3時間帯で検出された第1検出信号Vdet1=3.0と、第4時間帯で検出された第2検出信号Vdet2=0.8との差分から、第3検出信号Vdet3=2.2を演算する。第5時間帯から第8時間帯も同様であり、信号処理部44は、第1時間帯から第8時間帯で4つの第3検出信号Vdet3=(1.8、2.2、1.8、1.8)を演算する。
【0102】
信号処理部44は、第3検出信号Vdet3を取得生体情報BI-Dとして認証装置3(図1参照)に送信する。生体情報処理回路33は、第3検出信号Vdet3を、式(1)の正方行列で掛け合わせ、復号を行う。これにより、生体情報処理回路33は、復号信号Vdet4としてVdet4=(4.0、3.2、4.0、4.0)を演算する。生体情報処理回路33は、復号信号Vdet4に基づいて、変換後の生体情報BI-DCを演算し、センサ素子PD-2の位置に、検出対象部分Fg-aの有無を認識できる。このように、センサ6は、CDM駆動では、時分割選択(TDM)駆動の4倍の検出感度で検出することができる。
【0103】
尚、行列の1行目からn行目までを、センサ6のゲート線GCLの1本目からn本目に対応させることに限定されず、別に持つテーブルに従い、行列の1行目をセンサ6のゲート線GCLのX本目、行列の2行目をX本目とは隣接しないY本目に対応させることも可能である。このように行列の行とセンサ6のゲート線GCLとの対応関係を別途定める規定に従わせることで、センサ6の出力のセキュリティ性を高めることが可能となる。同様に、行列の列とセンサ6の信号線SGLとの関係も別途定める規定に従い、行列上では隣接した列であったとしても、センサ6の信号線SGLは隣接しないように駆動することも可能である。以上に示した別途定める規定は認証装置3が有し、センサ制御コードSCに含ませて検出装置2に転送するもよいし、それら規定を複数格納したテーブルを認証装置3と検出装置2との双方が保有し、テーブル中のどれを選択するかを制御コードSCに含ませるものであってもよい。また、復号化を複数の手続に分割し、一部の復号化は信号処理部44で行った後に認証装置3に送信し、認証装置3の生体情報処理回路33が残りの復号化を実行するものであってもよい。この場合、どのステージまでを信号処理部44に行わせるかについての指示をセンサ制御コードSCに含ませてもよい。例えば、検出装置2は、センサが読み出したデータ(RAWデータ)を所定の方法で行列にソートするまでを行い、認証装置3がソートされたデータに対する行列演算を行うものであってもよい。より具体的には、図9のように、期間t(1)から期間t(M)の各期間で行列の1行目からM行目に対応するゲート線GCLを選択して駆動し、各期間tにおいて信号線SGL1から信号線SGL6を順次選択した場合、検出装置2が信号線SGL毎の行列の1行目からM行目に対応するデータにソートし、信号線SGL毎にソートされたデータを信号線SGL毎に行列演算を行ってもよい。また、行列を分解し、行列演算を認証装置3と検出装置2との双方で行うものであってもよい。
【0104】
図12は、あくまで一例であり、適宜変更できる。例えば、所定の符号は、下記の式(2)に示す正方行列Hで定義されてもよい。CDM駆動及びCDMアクセス回路15cは、例えば特願2018-005178号公報に記載されているので、特願2018-005178号公報の記載を本実施形態に含め、記載を省略する。
【0105】
【数2】
【0106】
次に、図1図6図11及び図13から図15を参照しつつ、生体認証システム1による、認証方法について説明する。図13は、個人認証方法を示すフローチャートである。図14は、センサ制御コードデータベースの一例を示す表である。図15は、生体情報処理回路による取得生体情報の変換方法の一例を説明するための説明図である。
【0107】
図13に示すように、検出制御回路102は、認証要求信号を認証装置3に送信する(ステップST11)。検出制御回路102は、センサ6が、指Fg等の接触又は近接を検出した場合に、認証要求信号を送信する。これに限定されず、検出制御回路102は、表示パネル5が備えるタッチセンサからの検出信号に基づいて認証要求信号を送信してもよい。検出制御回路102は、認証要求信号とともに利用者の情報(ID)や、検出する生体情報の種類等の各種情報を送信する。また、検出装置2が認証装置3に近接した等のトリガーにより、認証要求が認証装置3から検出装置2に送信されるものであってもよい。
【0108】
認証制御回路31は、認証要求信号を受信した場合に、認証要求信号及び各種情報をセンサ制御コード設定部32に送信する。センサ制御コード設定部32は、各種情報に基づいてセンサ制御コードSCを設定する(ステップST12)。センサ制御コード設定部32は、センサ制御コードデータベース36aが有する複数の選択モードから所定の選択モードを決定することで、センサ6及び照明装置7を駆動するためのセンサ制御コードSCを設定する。認証制御回路31は、センサ制御コード設定部32から受け取ったセンサ制御コードSCを、通信部37を介して検出装置2に送信する。
【0109】
図14に示すようにセンサ制御コードデータベース36aには、複数のセンサ素子PD及び照明装置7を制御するためのセンサ制御コードSCが含まれる。センサ制御コードSCには、ゲート線駆動回路15によるゲート線GCLの駆動を制御するための複数の選択モードが複数含まれている。センサ制御コードデータベース36aは、複数の選択モードとして、例えば、スキャン方向コード、シリアルアクセスコード、CDMアクセスコード、ランダムアクセスコード等を記憶している。
【0110】
選択モードのうち、例えばスキャン方向コードは、複数のゲート線GCLのスキャン方向を制御するための信号である。ゲート線駆動回路15は、スキャン方向コードの「0」に基づいて、順方向SCAN1(図11参照)に沿ってゲート線GCL1からゲート線GCL(M)に走査する。また、ゲート線駆動回路15は、スキャン方向コードの「1」に基づいて、逆方向SCAN2(図11参照)に沿ってゲート線GCL(M)からゲート線GCL1に走査する。
【0111】
また、選択モードのうち、シリアルアクセスコードは、複数のゲート線GCLを同時に選択する数を制御するための信号である。ゲート線駆動回路15は、シリアルアクセスコードの「01」又は「10」に基づいて、シリアルアクセス回路15aを動作させる。シリアルアクセス回路15aは、シリアルアクセスコードの「01」(方式1)に基づいて、ゲート線GCLを1つずつ順次走査する。シリアルアクセス回路15aは、シリアルアクセスコードの「10」(方式2)に基づいて、複数のゲート線GCLを束ねて順次走査する。
【0112】
CDMアクセスコードは、ゲート線駆動回路15によるCDM駆動を制御するための信号である。CDMアクセスコードは、複数のゲート線GCLのうち所定のゲート線GCLを選択する符号に関する情報を含む。ゲート線駆動回路15は、CDMアクセスコードの「01」又は「10」に基づいて、CDMアクセス回路15cを動作させる。CDMアクセス回路15cは、CDMアクセスコードの「01」(方式1)に基づいて、ゲート線GCLを所定の符号(例えば、式(1)に示す符号)に基づいて選択してCDM駆動を行う。CDMアクセス回路15cは、CDMアクセスコードの「10」(方式2)に基づいて、方式1とは異なる所定の符号(例えば、式(2)に示す符号)に基づいてゲート線GCLを選択してCDM駆動を行う。
【0113】
ランダムアクセスコードは、ゲート線駆動回路15によりゲート線GCLをランダムに駆動させるための信号である。ゲート線駆動回路15は、ランダムアクセスコードの「01」又は「10」に基づいて、ランダムアクセス回路15bを動作させる。ランダムアクセス回路15bは、ランダムアクセスコードの「01」(方式1)に基づいて、複数のゲート線GCLをランダムに走査する。また、ランダムアクセス回路15bは、ランダムアクセスコードの「10」(方式2)に基づいて、複数のゲート線GCLのうち、所定数のゲート線GCLごとにランダムに走査する。
【0114】
センサ制御コードSCは、照明装置7から照射される光L1の波長に関する情報を含む。照明装置7は、照明装置コードに基づいて、点灯させる光源(例えばLED)を切り換える。例えば、照明装置7は、照明装置コードの「0」に基づいて、可視光の光L1を照射する。照明装置7は、照明装置コードの「1」に基づいて、近赤外光の光L1を照射する。
【0115】
また、センサ制御コードSCには、複数の信号線SGLの選択モードが複数含まれている。信号線選択回路16は、信号線アクセスコードに基づいて、信号線SGLと検出回路40との接続方法を切り換える。信号線選択回路16は、例えば、信号線アクセスコードの「00」(方式1)に基づいて、図9に示したように選択された信号線SGLを時分割で検出回路40に接続する。信号線選択回路16は、例えば、信号線アクセスコードの「01」(方式2)に基づいて、図10に示したように選択された複数の信号線SGLを同時に検出回路40に接続する。また、信号線選択回路16は、例えば、信号線アクセスコードの「10」(方式3)に基づいて、複数の信号線SGLをCDM駆動してもよい。
【0116】
センサ制御コード設定部32は、例えば、指紋検出の場合にCDMアクセスコードの「01」又は「10」を設定する。又は、センサ制御コード設定部32は、シリアルアクセスコード、CDMアクセスコード、ランダムアクセスコードを任意に設定してもよい。また、センサ制御コード設定部32は、例えば、指紋検出の場合に照明装置コードの「0」を設定し、例えば、静脈パターン等の検出の場合に照明装置コードの「1」を設定する。センサ制御コード設定部32は、時刻、気象等に応じて選択モードを選んでもよい。また、検出装置2の置かれている状況、例えば直射日光下においてはより赤外線の影響を受けづらい指紋の認証を選択する、等適宜選択可能である。また、一度認証が失敗し再度認証を行う場合は、失敗が起きないと考えられるモードを選択してもよい。例えばスキャン方向を順方向で駆動した際に認証が失敗した場合、次回は逆方向にスキャンする、等が可能である。
【0117】
次に、検出制御回路102は、センサ制御コードSCに基づいてセンサ6及び照明装置7を駆動し、生体情報を取得する(ステップST13)。図15の上図には、ランダムアクセスコードの「01」に基づいて検出された取得生体情報BI-Dを示す。ランダムアクセス回路15bは、センサ制御コードSCに基づいて、図15の矢印SCAN-Rに示すように、ゲート線GCL8、GCL10、GCL15、…の順にランダムに複数のゲート線GCLを駆動する。
【0118】
検出回路40は、ゲート線GCLが走査された順番に各センサ素子PDの検出信号Vdetに基づく信号を順次メモリ21に記憶させる。これにより、検出装置2は、取得生体情報BI-Dを取得することができる。つまり、取得生体情報BI-Dは、各センサ素子PDの信号が再配列されず、センサ素子PDの駆動、すなわち、センサ制御コードSCに基づいて走査されたゲート線GCLの順に応じた配列で取得される。取得生体情報BI-Dは、実際の利用者の生体情報とは異なる情報であり、実際の利用者の生体情報は、検出装置2に保持されない。
【0119】
図15では、ランダムアクセスの場合の取得生体情報BI-Dを示したが、同一の被検出体を検出した場合であっても、シリアルアクセスコード、CDMアクセスコード、ランダムアクセスコード及びスキャン方向コードの組み合わせで、それぞれ異なるパターンの取得生体情報BI-Dが検出される。
【0120】
また、図15では、信号線SGLを1つずつ順次、検出回路40に接続した場合を示している。これに限定されず、信号線アクセスコードに基づいて、信号線選択回路16の動作(信号線SGLと検出回路40との接続の順番、本数等)を異ならせてもよい。シリアルアクセスコード、CDMアクセスコード、ランダムアクセスコード及びスキャン方向コードと、信号線アクセスコードの組み合わせで、それぞれ異なるパターンの取得生体情報BI-Dが検出される。
【0121】
次に、検出制御回路102は、通信部22を介して、取得生体情報BI-Dを認証装置3に送信する(ステップST14)。つまり、生体認証システム1では、検出装置2と認証装置3との間で、実際の利用者の生体情報は送受信されない。つまり、検出装置2が、選択モードにしたがって取得された取得生体情報BI-Dを外部に出力する際、センサ制御コードSCが無ければ復元出来ない状態で取得生体情報BI-Dが出力される。
【0122】
生体情報処理回路33は、取得生体情報BI-Dを受け取る。また、生体情報処理回路33は、センサ制御コード設定部32から、センサ制御コードSCに関する情報を受け取る。生体情報処理回路33は、選択モードにしたがって取得された取得生体情報BI-Dをセンサ制御コードSCに基づいて変換する(ステップST15)。具体的には、生体情報処理回路33は、図15に示すように、センサ制御コードSCに基づいて、走査されたゲート線GCLの順に配列された取得生体情報BI-Dを、ゲート線GCL1、GCL2、…、GCL17のように、ゲート線GCLの配置の順番に並べる。これにより、生体情報処理回路33は、変換された生体情報BI-DCを得ることができる。
【0123】
認証回路35は、生体情報処理回路33から受け取った変換された生体情報BI-DCと、メモリ36から受け取った登録生体情報BI-Rとを照合することで、個体認証を行う(ステップST16)。
【0124】
認証制御回路31は、認証回路35から受け取った個体認証結果を検出装置2に送信する(ステップST17)。検出装置2は、個体認証結果に基づいて利用者本人であることを確認した場合に、所定の処理(例えば、検出装置2が搭載される機器へのアクセス許可等)を実行する。
【0125】
以上説明したように、生体認証システム1は、生体情報を取得する検出装置2と、検出装置2とネットワークNWを介して接続され、個人認証を行う認証装置3とを有する。検出装置2は、複数のセンサ素子PDと、複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLと、ゲート線駆動回路15とを有する。複数のゲート線GCL及び複数の信号線SGLは、複数のセンサ素子PDに第1スイッチング素子Trを介して接続される。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを走査する。認証装置3は、検出装置2が取得した取得生体情報BI-Dと、記憶された登録生体情報BI-Rとを照合して個人認証を行う。認証装置3は、メモリ36と、センサ制御コード設定部32と、通信部37とを有する。メモリは、検出装置2の複数のセンサ素子PDを制御するセンサ制御コードSCと、あらかじめ登録された登録生体情報BI-Rを記憶する。センサ制御コード設定部32は、認証を開始する認証要求信号を検出装置2から受け取った場合に、センサ制御コードSCを設定する。通信部37は、センサ制御コードSCを検出装置2に送信する。複数のセンサ制御コードSCには、複数のゲート線GCLの選択モードが複数含まれており、ゲート線駆動回路15は、認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCに基づいてゲート線GCLを走査する。
【0126】
認証装置3は、さらに、生体情報処理回路33と、認証回路35と、を有する。生体情報処理回路33は、選択モードにしたがって取得された取得生体情報BI-Dを、センサ制御コードSCに基づいて変換する。認証回路35は、生体情報処理回路33により変換された生体情報BI-DCと、登録生体情報BI-Rとを照合する。
【0127】
これによれば、複数のセンサ素子PDは認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCの選択モードに基づいて駆動する。検出装置2は、センサ制御コードSCによる駆動で取得した取得生体情報BI-Dを認証装置3に送信する。また、登録生体情報BI-Rは、認証装置3に記憶される。このため、検出装置2を有する端末側には、実際の生体情報とは異なる取得生体情報BI-Dが記憶されており、検出装置2は、実際の生体情報及び登録生体情報BI-Rを保持しない。また、検出装置2と認証装置3との間で、実際の生体情報の送受信が行われない。これにより、生体認証システム1は、生体情報の秘匿性を高めることができる。つまり、検出装置2は生体情報を暗号化(符号化)した状態で認証装置3に転送することとなる。尚、検出装置2は、ユーザーの血流情報や脈拍等のユーザーが現在生体活動を行っていることを示す情報を取得することも可能である。これら生体活動を示す情報についても暗号化を施すことも可能である。また、生体認証のための指紋、静脈等のデータは暗号化を施し、生体活動を示す情報については暗号化を施さずに認証装置3に送信することも可能である。
【0128】
また、取得生体情報BI-Dは、センサ制御コードSCに基づくセンサ6の駆動で取得されるので、センサ制御コードSCが漏洩した場合でも、センサ6の情報がないと取得生体情報BI-Dの変換が困難である。したがって、いわゆる暗号鍵等による暗号化を行う方法に比べて、生体認証システム1は、生体情報の秘匿性を高めることができる。
【0129】
(第1変形例)
図16は、第1変形例に係る個人認証方法を示すフローチャートである。図13では、生体情報処理回路33が、取得生体情報BI-Dをセンサ制御コードSCに基づいて変換する場合を示したが、これに限定されない。
【0130】
図16に示すように、生体認証システム1は、図13と同様にステップST11からステップST14を実行する。生体情報処理回路33は、メモリ36に記憶された登録生体情報BI-Rを受け取って、登録生体情報BI-Rをセンサ制御コードSCに基づいて変換する(ステップST21)。例えば、センサ制御コードSCがランダムアクセスコードの場合、生体情報処理回路33は、ランダムアクセス回路15bによるゲート線GCLのランダムな駆動の順番と同じ順番で登録生体情報BI-Rを変換する。
【0131】
認証回路35は、検出装置2から受け取った取得生体情報BI-Dと、生体情報処理回路33から受け取った変換された登録生体情報BI-Rとを照合することで、個体認証を行う(ステップST22)。認証制御回路31は、認証回路35から受け取った認証結果を検出装置2に送信する(ステップST23)。
【0132】
なお、第1変形例では、認証装置3において取得生体情報BI-Dの変換が行われない。このため、生体情報処理回路33は、ステップST21に示した登録生体情報BI-Rの変換を、検出装置2が取得生体情報BI-Dを取得するステップST13(図13参照)と、並行して実行することができる。
【0133】
(第2変形例)
図17は、第2変形例に係るセンサを示す平面図である。第2変形例のセンサ6Aは、静電容量方式のセンサである。図17に示すように、第2変形例のセンサ6Aは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、複数のセンサ素子PDAと、複数のゲート線GCLAと、複数の信号線SGLAと、ゲート線駆動回路15Aと、信号線選択回路16Aと、を有する。
【0134】
複数のセンサ素子PDAは、センサ電極SEを有し、それぞれが、指Fgとの間の容量変化に応じた検出信号Vdetを出力する。複数のセンサ電極SEは、第1基板SUB1の検出領域AAにマトリクス状に設けられる。図17では、複数のセンサ電極SEは4行4列で配置されているが、あくまで模式的に示したものであり、これに限定されない。複数のセンサ電極SEは、検出の解像度等に応じて、面積、配置ピッチ、個数を変更できる。
【0135】
ゲート線GCLAは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数のセンサ電極SEとゲート線駆動回路15Aを接続する。信号線SGLAは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数のセンサ電極SEと信号線選択回路16Aを接続する。センサ素子PDAは、例えば、センサ電極SEと接続された検出スイッチDS1を有し、ゲート線GCLA及び信号線SGLAはスイッチ素子を介してセンサ電極SEと接続される。ゲート線駆動回路15Aは、認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCに基づいて、ゲート線GCLAを介して選択信号を供給し、駆動対象のセンサ電極SEを選択する。言い換えると、ゲート線駆動回路15Aは、第2方向Dyに配列されたセンサ電極SE行を選択する。信号線選択回路16Aは、信号線SGLAを介してセンサ電極SEに指紋検出のための駆動信号を供給し、又はセンサ電極SEで検出された検出信号Vdetを受け取って検出回路40(図4参照)に出力する。言い換えると、信号線選択回路16Aは、第1方向Dxに配列されたセンサ電極SE列を選択する。
【0136】
図18は、第2変形例に係るセンサの側面図である。図18に示すように、第1基板SUB1の上に、第2基板SUB2が重ねられている。すなわち、2枚の基板の間にセンサ電極SEが挟まれた構造となっている。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、例えば、ガラス基板や樹脂基板である。なお、第2基板SUB2は、無機絶縁膜又は有機絶縁膜で構成されたコーティング層でもよい。
【0137】
第1基板SUB1より、第2基板SUB2のほうが、基板の主面の面積が狭くなっている。第2基板SUB2の端部Tの近傍には段差Dが形成される。第1基板SUB1の上に第2基板SUB2が重畳しない領域には、例えば信号配線、フレキシブル基板、端子(コネクタ)等を配置できる。
【0138】
センサ6Aは、第2基板SUB2の上に指Fgが近接又は接触した場合に、指Fgの表面の凹凸による、センサ電極SEと指Fgとの間の容量変化に応じた検出信号Vdetがセンサ電極SEから出力される。
【0139】
図19は、第2変形例に係るセンサの断面図の一部の拡大図である。図19は、図17のセンサ6Aの、第1方向Dxに沿った断面図の拡大概略図である。図19に示すように、第1基板SUB1の上に、さらに、検出スイッチDS1、補助ガード電極SGE、制御線C1、補助配線A1、導電層CL1及び対向電極CE1が設けられる。対向電極CE1は、絶縁膜14を介してセンサ電極SEと対向する。また、対向電極CE1は、絶縁膜13を介して検出スイッチDS1の上に設けられる。
【0140】
検出スイッチDS1は、第1スイッチング素子DS1aと、第2スイッチング素子DS1bと、を含む。第1基板SUB1の上に、ゲート線GCLA及び制御線C1、絶縁膜11、半導体層SC1、絶縁膜12、信号線SGLA及補助配線A1の順に積層される。第1スイッチング素子DS1a及び第2スイッチング素子DS1bは、連続して形成された半導体層SC1を有する。センサ電極SEは、導電層CL1を介して半導体層SC1と接続される。
【0141】
第1スイッチング素子DS1aは、ゲート線GCLAに供給された選択信号に基づいて、センサ電極SEと信号線SGLAとの接続状態を切り換えるスイッチング素子である。第2スイッチング素子DS1bは、制御線C1に供給された制御信号に基づいて、センサ電極SEと対向電極CE1との接続状態を切り換えるスイッチング素子である。対向電極CE1は、絶縁膜13に設けられたコンタクトホールCHa1を介して補助配線A1と接続される。補助配線A1は半導体層SC1に接続される。
【0142】
第1スイッチング素子DS1a及び第2スイッチング素子DS1bは、いずれか一方がオン(導通状態)になると、他方がオフ(非導通状態)になるように動作する。つまり、センサ制御コードSCに基づいて、ゲート線駆動回路15Aにより選択されたセンサ電極SEは、第1スイッチング素子DS1aがオン、第2スイッチング素子DS1bがオフとなり、信号線SGLAと電気的に接続される。これにより、センサ電極SEに信号線SGLAから駆動信号が供給され、また検出信号Vdetが信号線SGLAに出力されるようになっている。
【0143】
一方、非選択のセンサ電極SEは、第1スイッチング素子DS1aがオフ、第2スイッチング素子DS1bがオンとなり、センサ電極SEに補助配線A1からアクティブガード電位が供給されるようになっている。アクティブガード電位は、例えば、センサ電極SEの駆動信号に同期した電位である。これにより、非選択のセンサ電極SEと、信号線SGLAや制御線C1との寄生容量を低減させることができる。なお、非選択のセンサ電極SEは、固定された電位が供給されてもよいし、浮遊電位でもよい。
【0144】
また、補助ガード電極SGEは、信号線SGLAと第1基板SUB1との間に設けられる。これにより、第1基板SUB1の下側(センサ電極SEが形成された面と反対側の面)から信号線SGLAへのノイズを遮蔽することができる。
【0145】
第2変形例においても、複数のセンサ電極SEは認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCの選択モードに基づいて駆動する。検出装置2は、センサ制御コードSCによる駆動で取得したセンサ6Aからの取得生体情報BI-Dを認証装置3に送信する。つまり、検出装置2は、センサ6Aで検出された生体情報を暗号化(符号化)した状態で認証装置3に転送することとなる。これにより、生体認証システム1は、生体情報の秘匿性を高めることができる。なお、センサ6Aは、自己静電容量方式のタッチ検出に限定されない。センサ6Aは、相互静電容量方式のタッチ検出を実行してもよい。この場合、センサ6Aは、センサ電極SEに換えて、駆動電極と検出電極が設けられ、ゲート線駆動回路15Aに換えて駆動電極選択回路によって選択された駆動電極に駆動信号が供給され、信号線駆動回路16Aに換えて検出電極選択回路によって選択された検出電極は、指Fg等の表面の凹凸の状態に伴い変化する検出信号を出力する。駆動電極選択回路又は検出電極選択回路の少なくとも一方は、認証装置3から受け取ったセンサ制御コードSCの選択モードに基づいて駆動電極又は検出電極を選択する。
【0146】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0147】
1 生体認証システム
2 検出装置
3 認証装置
5 表示パネル
6、6A センサ
7 照明装置
10 センサ部
15、15A ゲート線駆動回路
16、16A 信号線選択回路
17 リセット回路
21、36 メモリ
22、37 通信部
31 認証制御回路
32 センサ制御コード設定部
33 生体情報処理回路
35 認証回路
40 検出回路
51 画像処理回路
52 表示制御回路
61 基材
102 検出制御回路
BI-D 取得生体情報
BI-R 登録生体情報
BI-DC 変換後の生体情報
GCL、GCLA ゲート線
NW ネットワーク
PD センサ素子
SGL、SGLA 信号線
Tr 第1スイッチング素子
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