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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】簡易設置型の日除け
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20230623BHJP
   E04F 10/04 20060101ALI20230623BHJP
   E04H 15/46 20060101ALI20230623BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230623BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
E04B1/343 102
E04F10/04
E04H15/46
E04H1/12 A
E04B1/58 505H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019122739
(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公開番号】P2021008743
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-04-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年2月19日~2月22日 タカノ株式会社がHCJ2019(第47回国際ホテル・レストラン・ショー/第40回フード・ケータリングショー/第19回厨房設備機器展)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】樋屋 隆雄
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217663(JP,U)
【文献】特開平09-112080(JP,A)
【文献】実開昭62-151302(JP,U)
【文献】実公昭26-014740(JP,Y1)
【文献】実開昭50-142312(JP,U)
【文献】特開2020-180461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 1/12
E04H 15/46,15/58
E04F 10/02-10/04
F16B 7/00-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開状態と閉状態との間で開閉可能な日除けシートを複数の支柱とこれら支柱間に跨がる桁とで構成される骨組みで支持する簡易設置型の日除けにおいて、
前記骨組みは、前記支柱と前記桁との間及び前記桁と前記桁との間に跨がって前記支柱と前記桁とが交わる隅部を囲うコーナージョイントを備え、
前記コーナージョイントは、互いに直交する天井面と両側面との3面及び前記支柱と前記桁との間あるいは前記桁と前記桁との間に跨がる斜辺部を有しており、かつ前記3面のそれぞれの内側には前記3面のうちのいずれか1つの面との間で前記支柱あるいは前記桁を挟持するL型の横断面で平面視もL型を成すアングル状の補強材を備え、前記3面のうちのいずれか1つの面とこれに対向する前記補強材との間に前記支柱及び桁をそれぞれ挿入することで位置決めと固定を図り、当該コーナージョイントを介在したボルト締めによって前記支柱及び前記桁と対向する前記コーナージョイントの前記各面とを相互に固定するものであり、前記支柱と前記桁及び前記コーナージョイントとをそれぞれ連結することによって前記骨組みが組み立てられ、
前記支柱はそれぞれ独立して少なくとも前記骨組みの組立及び前記日除けシートの装着作業に適した低位置と日除けとして使用する高位置との間で伸縮可能であると共に、さらに前記高位置において前記支柱の伸縮長さを複数位置で固定可能な固定機構を備え、前記固定機構による複数の前記支柱の伸縮長さの固定はそれぞれの支柱において設定可能であり、前記支柱を伸縮させることによって地面の不陸を調整して前記桁の水平を保持する
ことを特徴とする日除け。
【請求項2】
前記支柱の伸縮構造は、上部支柱の内部に下部支柱が収まるテレスコピック構造であることを特徴とする請求項1記載の日除け。
【請求項3】
前記支柱の固定機構は、前記下部支柱に設けた複数の孔に、前記上部支柱側から突出する凸部を挿入することで固定されることを特徴とする請求項2記載の日除け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日除けに関するものである。さらに詳述すると、本発明は、特にパラゴーラタイプの日除けに適用して好適な簡易設置型の日除けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、4本の支柱と4本の桁とから構成される骨組みと、該骨組みの矩形のルーフ枠部分に支持されて開閉可能な日除けシートを備えたパラゴーラタイプの日除けは存在する(例えば、特許文献1)。この日除けは、常設を目的としているため、強固なフレーム構造を採り、強風対策として強固に地盤に固定されることによって設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-169563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、日除けの利用方法としては、常設の場合に限られない。例えば、夏場の暑い時期の間だけ設置したり、あるいは期間限定のイベントなどで設置されるなど、種々の利用方法がある。この場合に、簡易式テントなどを設置することが多いが、テントでは天幕は開閉できないものが通常であるので、利用方法に制約を受ける。つまり、必要に応じて天幕が開閉できる日除けが簡易に設置できるようにすることが求められる。
【0005】
ところで、日除けの設置においては、外観面だけでなく、日よけシートをスムーズに開閉可能とするためにも、支柱の上の桁をほぼ水平に設置することが求められる。しかし、仮設的に設置される簡易設置型の日除けにおいては、常設を前提とする日除けと異なって、日除けの設置場所の地面全体あるいは少なくとも支柱部の設置個所の整地を行って水平にして高さを合わせたり、あるいは支柱そのものの長さを切って高さを調節したりするなどの方法により桁部の水平を担保することは、費用的にも期間的にも対応が困難である。そこで、桁部の傾きを簡単に調整可能な支柱の調整機構が求められる。
【0006】
本発明は、かかる要望に応えるものであり、簡易且つ迅速な支柱高さの調整が可能であり、桁部を水平に設置して日除けシートを開閉可能とする簡易設置型日除けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明は、開状態と閉状態との間で開閉可能な日除けシートを複数の支柱とこれら支柱間に跨がる桁とで構成される骨組みで支持する簡易設置型の日除けにおいて、骨組みは、支柱と桁との間及び桁と桁との間に跨がって支柱と桁とが交わる隅部を囲うコーナージョイントを備え、コーナージョイントは、互いに直交する天井面と両側面との3面及び支柱と桁との間あるいは桁と桁との間に跨がる斜辺部を有しており、かつ3面のそれぞれの内側には3面のうちのいずれか1つの面との間で支柱あるいは桁を挟持するL型の横断面で平面視もL型を成すアングル状の補強材を備え、3面のうちのいずれか1つの面とこれに対向する補強材との間に支柱及び桁をそれぞれ挿入することで位置決めと固定を図り、当該コーナージョイントを介在したボルト締めによって支柱及び桁と対向するコーナージョイントの各面とを相互に固定するものであり、支柱と桁及びコーナージョイントとをそれぞれ連結することによって骨組みが組み立てられ、支柱はそれぞれ独立して少なくとも骨組みの組立及び日除けシートの装着作業に適した低位置と日除けとして使用する高位置との間で伸縮可能であると共に、さらに高位置において支柱の伸縮長さを複数位置で固定可能な固定機構を備え、固定機構による複数の支柱の伸縮長さの固定はそれぞれの支柱において設定可能であり、支柱を伸縮させることによって地面の不陸を調整して桁の水平を保持するようにしている。
【0008】
ここで、支柱の伸縮構造は、上部支柱の内部に下部支柱が収まるテレスコピック構造であることが好ましい。
【0009】
また、支柱の固定機構は、下部支柱に設けた複数の孔に、上部支柱側から突出する凸部を挿入することで固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の簡易設置型日除けによれば、必要に応じて各支柱毎に独立して高さ調整が可能であることから、必要に応じて支柱毎に高さを変化させ得る。例えば、地面が低くなって浮いているところの支柱だけを伸ばして地面に接するようにしたり、逆に地面が高くなっているところでは支柱を短くして突き上げられないにしたりするなど、支柱毎の高さ調整によって支柱設置場所の地面の平坦度が出ていない場合(水平勾配など)でも骨組みの全体のがたつきや傾きをなくすことができる。そして、所望とする高さに日除け高さを設定すると共に、支柱の上の桁を水平に維持して日除けを設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明をパラゴーラ式日除けに適用した一実施形態を示す全閉状態の正面図である。
図2】同パラゴーラ式日除けの全閉状態の平面図である。
図3】同パラゴーラ式日除けの全開状態の側面図である。
図4】同パラゴーラ式日除けの全閉状態の平面図である。
図5】同パラゴーラ式日除けの全開状態の正面図である。
図6】同パラゴーラ式日除けの高位置と低位置の状態を示す正面図である。
図7】同パラゴーラ式日除けの低位置から高位置までの支柱の展開の一例を示す正面図であり、(A)は全ての支柱が縮められた低位置、(B)は片方の支柱を伸ばした状態、(C)は全ての支柱を伸ばした高位置の状態をそれぞれ示す。
図8】レール桁と日除けシートとの関係を示す横断面図である。
図9】レール桁と日除けシートとの関係を示す横断面図である。
図10】コーナージョイントの内側の構造を示す下から見た斜視図であり、支柱と側桁とレール桁との関係において示す。
図11】連結具の一例を示す側面図である。
図12】連結具の正面図である。
図13】連結具の位置における連結具とスライド柱並びに伸縮柱との関係を示す横断面図である。
図14】錘の一実施形態を示す図であり、(A)は上から見た斜視図、(B)は下から見た斜視図である。
図15】錘を積み上げた状態の斜視図である。
図16】本発明をドーム型日除けに適用した他の実施形態を示す斜視図である。
図17】同ドーム型日除けの縦断面図である。
図18】本発明の日除けの他の実施形態を示す斜視図である。
図19】同日除けの日除けシートの固定構造を上から見た斜視図である。
図20】同日除けの日除けシートの固定構造を下から見た斜視図である。
図21】同日除けの日除けシートの固定構造の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態では日除けシートを開く方向を前方向、閉じる方向を後方向とすると共に、前を向いた状態を基準に左右を定めて説明する。
【0013】
図1に、本発明の日除けを4本支柱のパラゴーラ式日除けに適用した実施形態の一例を示す。この実施形態にかかるパラゴーラ式日除けは、直方体状に組み付けられる骨組み1と、骨組み1に張られた折り畳み式の日除けシート6とを備えている。
【0014】
骨組み1は、例えば少なくとも低位置と高位置との間で伸縮可能であると共に少なくとも高位置において固定される支柱2と、該支柱2に両端が支持される桁3,4と、支柱2と桁4との間及び桁3と桁4との間に跨がり支柱2と相直交する2方向の桁3,4とが交わる隅部を囲うコーナージョイント5とを備え、支柱2と桁3,4とコーナージョイント5とをそれぞれ連結することによって組み立てられるものである。この骨組み1を用いる日除けは、支柱2を低位置に縮めた状態で骨組み1を組立てさらに日除けシート6を骨組み1に装着してから、支柱2を全て高位置に伸ばすことによって組立てを完了し、高位置にて日除けシート6が張られるようにしたものである。本実施形態の場合、4本の支柱2と、前後の桁(以下、側桁3と呼ぶ)とレールを備える左右の桁(以下、レール桁4と呼ぶ)との4本の桁と、支柱2と桁3,4とが交わる隅部を囲うコーナージョイント5とでパラゴーラ式日除けの骨組み1が構成されている。
【0015】
ここで、支柱2は、伸縮可能な構造とされている。例えば、図13に示すような、大きさの異なる角筒を組み合わせて、一方の角柱に対して他方の角柱が摺動可能に連結される入れ子式の伸縮構造(テレスコピック構造)とすることで、支柱2が伸縮可能に設けられている。支柱2は、伸縮させるという観点からは、いずれの角筒を大としても良いが、本実施形態では、上側の角筒即ち上部支柱(以下、伸縮柱2aと呼ぶ)の内部に下側の角筒即ち下部支柱(以下、スライド柱2bと呼ぶ)が収まるテレスコピック構造として、雨水などがスライド柱2bと伸縮柱2aとの間の隙間から支柱2の内部に侵入して溜まることがないように設けられている。尚、テレスコピック構造を構成する上部支柱たる伸縮柱2aと下部支柱たるスライド柱2bとは、図示の角筒に限られず、円筒でも良いし、場合によっては楕円筒でも、あるいは多角筒であっても良い。
【0016】
支柱2となる角筒の横断面の一例を図13に示す。支柱2の上部側となる伸縮柱2aは例えば断面正方形の角筒である。他方、支柱2の下部側となるスライド柱2bは、伸縮柱2aの内側に収まる大きさの例えばほぼ断面正方形の角筒であり、一側面の幅方向中央位置には長手方向に連続する凹部13が設けられている。凹部13は伸縮ストッパー11の先端のロックピン11cを上下方向に通過させる(相対移動の際に干渉させないための)ためのものであり、少なくともロックピン11cの相対移動範囲に存在すれば足りるが、本実施形態の場合には角筒を押し出し成形により成形する関係で角筒の全長にわたり設けられていることが好ましい。
【0017】
伸縮柱2aとスライド柱2bとの間には、支柱2の伸縮長さを複数位置で固定可能な固定機構が備えられている。本実施形態の場合、固定機構は、伸縮柱2aとスライド柱2bとを連結して固定する連結具7として構成されている。連結具7は、例えば本実施形態の場合、伸縮柱2aの下端に備えられるストッパーホルダー10と、スライド柱2bの一側面に取り付けられるロックプレート12と、ストッパーホルダー10に取り付けると共に伸縮柱2aを貫通してロックプレート12に係合するロックピン11cを先端に有する伸縮ストッパー11とで構成され、ロックプレート12の孔12aに伸縮ストッパー11の先端のロックピン11cが貫入されることによって、ロックプレート12とロックピン11cとが軸方向に係合されて互いの軸方向移動、ひいてはこれらが取り付けられた伸縮柱2aとスライド柱2bとの軸方向移動(所謂、支柱2の伸縮)を拘束して支柱2の長さを固定する構造とされている。
【0018】
伸縮ストッパー11の詳細な構造は図示していないが、例えば先端にロックピン11cを備えるノブ部11aと、該ノブ部11aの図示していない軸部を一定範囲内で出し入れ自在に支持するボスプレート11bとを備え、ノブ部11aを掴んで前後動させることで伸縮柱2a並びにロックプレート12の孔12aを貫通する先端のロックピン11cを出し入れ可能に設けられている。尚、ボスプレート11bは、本実施形態の場合、ストッパーホルダー10の表面側に配置され、伸縮柱2aの内面に宛がわれている固定裏板11eを用いて、ストッパーホルダー10と伸縮柱2aとを挟むようにねじ11dによって締結されて固定されている。本実施形態の場合、ロックプレート12には、複数の孔12a例えば8箇所の孔12aが設けられ、それらの孔12aに選択的にロックピン11cが嵌入されることによって、高さ位置が8段階の範囲で調整可能な構造とされている。即ち、本実施形態の日除けは、少なくとも低位置(図6の仮想線で示す位置あるいは図7の(A)に示す位置)と高位置(図6の実線で示す位置あるいは図7の(C)に示す位置)との間で伸縮可能である上に、さらに高位置において複数段例えば8段階の範囲で支柱長さ換言すれば支柱高さが調整可能な構造とされている。また、この支柱2の高さ調整は、各支柱毎に独立して操作可能である。このため、必要に応じて日除け高さを8段階に調整可能であると共に、支柱毎に独自に高さ調整することで不陸に伴う桁の傾きを調整することができる。
【0019】
伸縮ストッパー11の先端のロックピン11cの行程端の位置と移動量は、ノブ部11aが最も押し込まれた押し込み位置では、ロックプレート12の孔12aを貫通しているが、凹部13の底には当接しない位置(スライド柱2bの凹部13の中を通過し得る位置)であり、手前側に最も引きだされた引き出し位置では先端のロックピン11cがロックプレート12の孔12aから抜け出す位置となるように設定されている。したがって、伸縮ストッパー11は先端のロックピン11cをロックプレート12の孔12aに嵌入させるときだけに操作すれば足りる。ロックプレート12は、本実施形態の場合、例えばビス12cによってスライド柱2bに連結されているが、同時に上端並びに下端が折り曲げられて成る爪部12bをスライド柱2bの凹部13の底に設けられた孔(図示省略)を貫通させることで位置決めされると同時に係止されている。
【0020】
他方、ストッパーホルダー10は、伸縮柱2aの外側を囲む外側部10aと伸縮柱2aの内側に回り込んで囲む内側部10bとを備える二重筒構造の底部を有し、伸縮柱2aの下端開口部に嵌め込まれる。ストッパーホルダー10の伸縮柱2aの内側に回り込む内側部10bの内周面には、スライド柱2bと接触し尚且つ摩擦を軽減させて滑らかに摺動可能に支持する構造とするため、長手方向に延びる突条14が全ての面に適宜形成されている。この突条14を含むストッパーホルダー10の内側部は伸縮柱2aとスライド柱2bとの間の間隔を一定に保つスペーサを兼ねている。また、スライド柱2bの凹部13が形成されている面の縁にもストッパーホルダー10の内側部に向けて突出する突条14’が形成され、ストッパーホルダー10の突条14に挟まれることで、ロックピン11cの移動方向と直交する水平方向へのがたつきを防ぐように設けられている。尚、ストッパーホルダー10は、本実施形態の場合、ボスプレート11bをストッパーホルダー10の表面側に取り付ける際に、伸縮柱2aにねじ11dによって締結されている。
【0021】
コーナージョイント5は、支柱2と桁3,4との間及び桁3と桁4との間に跨がって支柱2と桁3,4とが相直交する隅部を囲うものであり、相直交する3つの面(即ち、プレート15)を支柱2及び桁3,4にそれぞれ連結することによって、支柱2と桁3,4とを相互に連結するようにしている。本実施形態では、例えば、図10に示すように、ほぼ三角形状のプレート15(本実施形態では、矩形の一隅を切り落としたような変形の五角形を成すプレートであり、3つの角と斜辺部とを有する)を突き合わせて溶接したものである。コーナージョイント5の3つのプレート15のそれぞれの内側には、支柱2あるいは桁3,4とほぼ同じ幅の間隔を開けてL形アングル16が例えば栓溶接などで固着され、L形アングル16の立ち上がり辺(固着されている面15に対して垂直な辺)とこれに対向する他のプレート15の面との間のスペースに支柱2あるいは桁3,4を装入可能とされている。相直交する2面即ち2枚のプレート15とそれに設けられているL形アングル16の前述の2面とそれぞれ平行な2辺とが支柱2あるいは桁の4面(即ち支柱2あるいは桁3,4の相直交する2面と対向する2面の一部)にそれぞれ当接して支柱2あるいは桁3,4を挟むことによって、ガイドと位置決めの機能を発揮する。L型アングル16はL型の横断面を有すると共に平面視もL型を成すアングルであり、各プレート15の補強材としても機能する。尚、コーナージョイント5の形状は、図示するような形状に限らず、相直交する3面と支柱2と桁とが突き合わされた箇所から離れた位置で支柱2と桁3,4あるいは桁3と桁4との間に跨がるように鎖交する斜辺部を有するものであれば、特定の形状に限られない。
【0022】
また、本実施形態のパラゴーラ式日除けは支柱2の上端に被せられるように配置されたコーナージョイント5を介して桁3,4を連結するので、各支柱2の上端開口がコーナージョイント5によって覆われる。また、桁3,4も同時に支柱2に両端開口部が押し当てられて連結されるため、その開口部が支柱2によって塞がれた上にさらにコーナージョイント5によって覆われる。したがって、コーナージョイント5は、支柱2並びに桁3,4の何れに対してもキャップとして機能する。
【0023】
図8及び図9に、各桁3,4の横断面を示す。側桁3は単純な構造物として機能すれば十分であることから例えばシンプルな角筒で構成されている。他方、レール桁4は、例えば角筒で構成され、その一隅例えば下の隅にガイドローラ25を収容し案内するレール部22が設けられている。レール部22には、中央にハングステー26を通過させるための溝が設けられると共にその両側にガイドローラ25を受け支えるガイドレールとして機能する底面が形成されている。
【0024】
レール部22はレール桁4と一体即ち1本の角筒として形成されても良いし、別体でも良いが、本実施形態の場合、桁4とレール部22とが例えば押し出し成形によって一度に同時に形成されている。勿論、別々に成形した桁4とレール部22とを溶接やリベット止めなどの固定手段で一体化するようにしても良い。レール桁4のうち、桁として機能する部分は支柱2に対して当接させられるが、レール部22の端部は支柱2との間に隙間(ガイドローラ装入口)を設けて日除けシート6のガイドローラ25を骨組み1を組み立てた後に組み入れ得るように設けても良い。また、レール部22は、本実施形態の場合、下向きに開口するように配置されて開口から装入されたローラを受け支えるように設けられているが、これに限られるものではなく、場合によっては桁材の側方(内側の面)に開口するようにしても良い。
【0025】
尚、レール桁4及び側桁3並びに支柱2のコーナージョイント5に締結ボルト18が止め付けられる部位には、雌ねじ(図示省略)が開けられたL形の雌ねじプレート19が内装されている。この雌ねじプレート19は、補強金具としても機能するので、レール桁4、側桁3及び支柱2の各開口端の内側に溶接付などで予め固着されていることが好ましい。
【0026】
また、上述の説明では、レール桁4のレール部22の開口を下向きに配置して日除けフレーム20をレール桁4の下に吊り下げるようにしていたが、場合によってはレール桁4の側方に開口を配置してレール桁4と同じ高さの位置あるいはレール桁4よりも高い位置で日除けフレーム20を支持するようにしても良い。日除けフレーム20の支持位置を高くすることで、日除けシート6の高さを高くすることができる。
【0027】
支柱2の下端には、支柱2から横にはみ出して錘9を受け止める荷重受け部8を備えている。本実施形態の荷重受け部8は例えば円板であり、支柱2の下部即ちスライド柱2bに内装される角筒部(図示省略)の下端に例えば溶接により固着されている。そして、図示していない角筒部をスライド柱2bの下端開口から挿入し締結ボルト(図示省略)などでスライド柱2bの側面に固定することで、荷重受け部8をスライド柱2bの下端即ち支柱2の下端に備えるようにしている。この荷重受け部8の上に錘9を載せることで支柱2が固定される。ここで、荷重受け部8は錘9を載せるだけでなく、支柱2の設置面積を広くして倒れ難くする機能も有している。一方、この荷重受け部8は余り大きすぎると、支柱2を傾ける際の妨げとなるので、錘9を受け止めるのに必要最小限の大きさとすることが好ましい。本実施形態では、円板としているが、正方形の板であっても良いし、三角板あるいは多角形の板であっても良い。
【0028】
錘9は、例えば図14に示すような半割リングであり、半割リングを支柱2を囲むように組み合わせることで1つのリング(錘組み)が構成され、さらにその上に積み重ねることで図15に示すように円筒状に構成される。半割リング状の錘9は、周方向の両端には相手側半割リングと嵌合する凹凸9a,9bが形成されている。即ち、半円筒状の錘9の周方向の端面の一方には凸部9bが形成され、反対側の端面には凸部9bが嵌合される凹部9aが形成されており、他の錘9の凹凸9a,9bと組み合わせようにしてリングを構成するように設けられている。本実施形態の凹部9a及び凸部9bは、例えば錘9自体の曲率と同じ曲率の湾曲面を有しており、上下方向にスライドさせて組み合わせることでのみ互いに噛み合う構成とされている。つまり、一対の半円形の錘9の嵌め合わせ及び取り外しは上下方向へは可能であるが、水平方向へは不可能となっている。即ち、水平方向への外れが防止される。
【0029】
他方、錘9には、例えば上半部9cと下半部9dとを互いに径方向にずらして上半部9cが下半部9dの内側に収まるような空間を形成する段差9gを設けることにより、錘9を積み重ねたときに上下の錘9の間での径方向(換言すれば水平方向)の移動を阻止するように設けられている。また、上半部9cの底面には突起9fが設けられる一方、上半部9cを軸方向に貫通する凹部9eが形成されている。そして、複数組みの錘9を積み重ねるときに、凹部9eと突起9fを組み合わせることで、錘9が周方向に回転するのを阻止するように働く。
【0030】
この錘9は、本実施形態の場合、鋳鉄製であり、例えば片方で10kg、1対で20kgとなるように設けられている。錘9の重量は積み上げる錘組みの段数を増減することで調整される。勿論、錘9は上述の鋳鉄製に限られず、コンクリート製や、水などを注入することで錘とするプラスチック製容器のようなものでも良いし、形状も半割のリング形状に限られず、矩形状やコ形のブロックでも良い。
【0031】
他方、日除けシート6は、本実施形態の場合、複数枚の小さなシート状部材21を日除けフレーム20で連接することにより、一枚の大きな日除けシート6を構成している。具体的には、本実施形態では、スライド手段24によってレール桁4に沿って移動可能に支持された複数の日除けフレーム20と、これら日除けフレーム20の間に張られる複数枚のシート状部材21とで、1つの日除けシート6が構成されている。
【0032】
日除けフレーム20は短冊状の複数のシート状部材21を連結する所謂骨であり、本実施形態では例えば図9に示すような断面形状のアルミ押し出し型材のパイプを使用している。日除けフレーム20は角筒部20aとシート係止部20bより構成され、角筒部20aの下にシート係止部20bが一体に形成されている。シート係止部20bの底面には例えばC形の2本の長溝20cが設けられている。各長溝20cの横断面形状は奥部分よりも開口部分が狭くなっている。角筒部20a及びシート係止部20bは日除けフレーム20の全長にわたり設けられている。このような横断面形状の日除けフレーム20は例えば押し出し成形によって形成される。日除けフレーム20の両端開口は図示していない側板によって塞がれる。尚、日除けフレーム20とシート状部材21との連結構造は、上述の方式に特に限られず、ファスナーなどの他の連結手段の適用も可能である。
【0033】
各日除けフレーム20の間に張られるシート状部材21としては、特定の素材に限定されるものではないが、例えば高張力ポリエステル、再生ポリエチレンなどを用いたキャンバス地の使用が好適である。本実施形態の場合、短冊状の複数のシート状部材21を複数の日除けフレーム20に取り付けて相互に連結することで1つの大きな日除けシート6として構成するように設けられている。本実施形態の場合、シート状部材21は、前後方向の長さ(レール桁に沿った短手方向の長さ)を同じとして日除けシート6を開いた時の各日除けフレーム20の間隔を同じにしているが、場合によっては一部あるいは全部のシート状部材21の長さを異ならせても良い。
【0034】
シート状部材21の前端部及び後端部には、心棒23を通す筒部がそれぞれ設けられており、心棒23を通すことによって膨らまされた筒部をそれぞれ日除けフレーム20の各長溝20cに端から挿入して各長溝20cの長手方向の開口部分より引き出すことで、前後の日除けフレーム20にそれぞれ連結される。即ち、前後の日除けフレーム20がシート状部材21によって連結される。シート状部材21の日除けフレーム20への取付は、日除けフレーム20の各長溝20cの端の開口から筒部を挿入するようにして、長溝20cの開口部分にシート状部材21を通すように挿入することにより、長溝20cの狭まった開口部に筒部に通された芯棒23を引っ掛けて、シート状部材21が抜け出ないようにしている。因みに、本実施形態においては、各日除けフレーム20の長さと各シート状部材21の幅は、前後の桁フレーム3の長さとほぼ同じになっており、日除けシート6が全開状態で骨組み1とほぼ同じ大きさになるように設けられているが、これに特に限られるものではない。
【0035】
スライド手段24としては、例えば本実施形態の場合、ガイドレール22上を転動する双輪のガイドローラ25と、ローラ25が回転自在に取り付けられたハングステー26と、日除けフレーム20の端部を吊り下げる吊り下げ具27及びハングステー26と吊り下げ具27とを首振り可能に連結する角度可変の連結具例えばカナビラフック28とで構成されている。各吊り下げ具27の上端はハングステー26にカナビラフック28によって取り付けられているが、これに特に限られるものでは無く、吊り下げ具27とハングステー26とを直接連結するようにしても良い。各ローラ25がレール部22の底面(ガイドレール)上を転がることで、日除けフレーム20をガイドレール22即ちレール桁4に沿って移動させることができる。尚、本実施形態の先頭のガイドローラ25は、安定のため2組みのローラ25を設けているが、これに限られない。
【0036】
本実施形態の場合、日除けフレーム20の両端に固定される吊り下げ具27とレール桁4のレール部22内に装入されるガイドローラ25のハングステー26とは、角度可変の連結具例えばカラビナフック28などを介して吊り下げられている。この場合、日除けフレーム20からのガイドローラの取り外しも、カナビラフック28のゲートを開けるだけで簡単に取り外せる。勿論、本実施例では、カナビラフック28を採用しているが、これに特に限られるものでは無く、例えば吊り紐のようなものでも良いことは言うまでもない。また、本実施形態では吊り下げ具27としてはプレートを用いているが、これに限定されるものではなく、チェーン(図示省略)などを介在させるようにしても良い。
【0037】
また、レール桁4のガイドローラ25の装入口の付近には、ガイドローラ25が通過するときにばね弾性によりガイドローラ25に負荷を与えてガイドレール内に装入されたガイドローラが装入口側へ戻らないようにする脱落防止のスライダーストッパ29が備えられている。スライダーストッパー29は例えば板ばねから成り、レール部の天井面にビス止めされることにより、ローラが通過する際にばね弾性を働かせて付勢するように設けられている。
【0038】
他方、レール桁4の最も奥側(装入口の反対側)に配置される日除けフレーム(以下、固定日除けフレーム20’という)は、吊り下げ具27が取り付けられたステー31をレール桁4に対して締結手段例えば摘み付きボルト30などで固定して吊り下げられている。これによって、先頭の日除けフレームが装入口側に引き出される際に最後尾の日除けフレーム20は固定されているので、日除けシート6が展開される。
【0039】
本実施形態では、日除けフレーム20を吊り下げる吊り金具は、一端側に対し他端側が長く設定されることにより、左右の支持高さを異ならせ全体に僅かな傾斜を持ってほぼ平らに張られる構造とされている。勿論、日除けシート6の左右の支持高さを揃えて水平に張ることもできる。ここで、シート状部材21を「張る」とは、シート状部材21を弛み無くピンと張る場合を含むのは勿論のこと、ある程度弛んでいる場合も含まれる。
【0040】
以上のように構成されたパラゴーラ式日除けによれば、コーナージョイント5を使って支柱2と側桁3及びレール桁4が相互に連結されて簡単に組立てられる。特に、本実施形態の場合、コーナージョイント5の各プレート15とL型アングル16との間のスペース(所謂凹部)に支柱2と側桁3,4とをそれぞれ挿入して突き合わせ、コーナージョイント5の外から締結用ボルト18を孔17に通して支柱2及び側桁3,4に締め付けるだけで、コーナージョイント5と支柱2及び側桁3,4とを締結して骨組み1の組立が完了する。
【0041】
即ち、骨組み1は、支柱2及び桁3,4をコーナージョイント5に3方向から差し込んで、コーナージョイント5の直交する2つの面にボルト止めでそれぞれ固定されることによって組立てられる。例えば、まず、支柱2の上端開口部をコーナージョイント5で覆うようにしてから2面でボルト締めして、支柱2にコーナージョイント5を固定する。その後、コーナージョイント5に支柱2を差し込み対向する面(天井面)に突き当たるまで押し込み、あるいは孔17と支柱2のねじ孔(図示省略)とが合う位置まで押し込み、コーナージョイント5に開けられた孔17から締結用ボルト18をねじ込んで、コーナージョイント5を支柱2に連結する。
【0042】
次いで、支柱2の側面に突き当てるようにして、側桁3あるいはレール桁4のいずれか一方あるいは双方を挿入してから、2面でボルト締めして、レール桁4あるいは側桁3のいずれか一方あるいは双方にコーナージョイント5を固定する。これを繰り返すことによって2組の門型フレームが構築される。その後、2組の門型フレームを連結するように、それぞれのコーナージョイント5の空いた一角に残る桁を挿入して、支柱2に突き当ててからコーナージョイント5に締結ボルトによって固定することによって、骨組み1を組立てる。このとき、骨組み1は支柱2が縮められた低位置、即ち支柱2を短くした状態で組立てられることが好ましい。例えば、作業者が立姿勢のまま作業できる1800mm程度の高さで組み立てられることが、組立を安全に行うために好ましい。
【0043】
尚、上述の実施形態では、まず2組の門型フレームを組み立ててから、それらの間に残りの桁例えばレール桁4をそれぞれコーナージョイント5に連結することによりフレームの組立を完了するようにしているが、これに特に限られるものでは無く、支柱2とレール桁4並びに側桁3とを同時に連結するようにしても良い。
【0044】
次いで、支柱2が縮められた低位置のままで日除けシート6のレール桁4への組み付けを行うことが好ましい。例えば、工場出過時に予め日除けシート6の側にガイドローラ25を取付けておくことができるので、レール桁4の端の装入口(レール桁4のレール部22と支柱2との間の隙間)からレール部22にガイドローラ25を装入するだけで日除けシート6を迅速且つ極めて容易に取り付けることができる。このとき、レール桁の最も奥側(装入口の反対側)に配置される固定日除けフレーム20’は、レール部22に装入せずにレール桁4の外に摘み付きボルト30で取り付けて吊り下げる。尚、本実施形態では、骨組み1を組み立てた後にレール桁4にガイドローラ25を挿入することにより日除けシート6を取り付けるようにしているが、これに特に限られるものではなく、例えば予め工場出過時にレール桁4のレール部22にガイドローラ25をセットしておく場合には、現場ではレール桁4のガイドローラ25のハングステー26に日除けフレーム20の両端の吊り下げ具27をカラビナフック28を使ってワンタッチで取り付けることもできる。
【0045】
本実施形態の日除けによれば、骨組み1への日除けシート6の取り付け及び骨組み1からの日除けシート6の取り外しを簡単且つ容易に行うことができるので、日除けシート6に纏わるメンテナンスの手間などを低減させることが可能になると共に利用状況に合わせた日除けシート6の選択及び取替えを容易に行うことが可能になり、延いてはオーニングとしての利便性や汎用性の向上を図ることが可能になる。
【0046】
そして、日除けシート6のレール桁4への組み付けが完了した後、支柱2を延ばして高くすることで、所定の高さのパラゴーラが組み立てられる。ここで、支柱2の伸張は、4本同時に行っても良いが、図7(A)~(C)に示すように、片側ずつ延ばして高くすることで、脚立などを使わずに簡単に2人で所定の高さのパラゴーラが組み立てられる。コーナージョイント5は、相直交する三つの面が閉じた構造で支柱2と桁3,4との間及び桁3と桁4との間に跨がって支柱2と桁3,4とが相直交する隅部を囲うため、筋交いとしても機能して剛性が高い。このため、支柱2が傾けられても、コーナージョイント5が座屈したり、フレーム間の角度が変化することはないので、支柱2を片方ずつ伸ばしてフレームを全体的に傾けることを可能とする。また、解体するときにも、骨組み1を全体的に傾けた状態で片側の支柱2を縮め、その縮めた支柱2を地上に降ろしてから反対側の支柱を持ち上げて傾け、支柱を縮めることで簡単に低位置に日除けを下ろすことができる。そして、低位置で日除けシートを取り外し、さらにコーナージョイント5のボルトを取り外すだけで骨組み1を分解することが地上で簡単且つ短時間に行うことができる。
【0047】
作業者が立姿勢のまま地上で全ての作業、即ち、骨組み1の組立、骨組み1への日除けシート6の取付などを脚立を使わずに実施することができ、最後に支柱2を延ばして持ち上げるだけで、パーゴラ式日除けを簡易で安全且つ迅速に組立ることができる。また、解体も、支柱2を縮めてから、地上で全ての作業を行うことができるので、短時間で簡単に解体することができる。しかも、ある程度の組み付け、例えば日除けシート6に対するガイドローラ-付き吊り金具の取付や、溶接などは工場出荷時に完了させ得るので、現場での作業がボルト締め程度に省力化できるので、トータルで更なる時間短縮が可能となる。例えば、2人の作業員によって20分程度、即ち従来のパラゴーラの1/5~1/6程度の時間で組立を完了させ得る。
【0048】
ここで、日除けの設置においては、支柱2の上の桁3,4を水平に設置することが求められる。外観面だけでなく、開閉可能な日除けシート6をスムーズに開閉するためにも桁3,4は水平である必要がある。しかし、簡易型日除けを設置することが求められる場所は必ずしも整地されて平坦で水平な場所とは限らない。尚、本明細書中において、支柱2の高さ調整により求められる桁3,4の「水平」とは、厳密な意味での水平だけに限られず、「おおよそ水平」、「ほぼ水平」等も含める実質的な水平を意味するものとして使用されている。
【0049】
このように、日除けを設置することが求められる場所に不陸がある場合には、支柱2のそれぞれの高さを調整することで桁3,4の水平を確保する必要がある。ロックプレート12には、複数の孔12a例えば本実施形態の場合には8箇所の孔12aが設けられ、それらの孔12aに選択的にロックピン11cが嵌入されることによって、高位置における高さ位置が8段階の範囲で調整可能な構造とされている。即ち、本実施形態の日除けは、必要に応じて日除け高さを8段階に調整可能である。また、この支柱2の高さ調整は、各支柱2毎に独立して操作可能であることから、必要に応じて支柱2毎に高さを調整することが可能である。例えば、地面が低くなって浮いているところの支柱2だけを伸ばして地面に接するようにしたり、逆に地面が高くなっているところでは支柱2を短くして突き上げられないにしたりするなど、支柱2毎の高さ調整によって支柱設置場所の地面の平坦度が出ていない場合(水平勾配など)でも骨組み1の全体のがたつきや傾きをなくすことができる。そして、所望とする高さに日除け高さを設定すると共に、支柱2の上の桁3,4を水平に維持して日除けを設置することができる。尚、図12には、15mm間隔で8箇所の孔12aが設けられて合計105mmの調整が可能とされた実施形態が示されているが、これはあくまで一例であり、例えば図示していないが20mm間隔で6箇所の孔が設けられて合計100mmの調整が可能としても良い。
【0050】
また、コーナージョイント5が支柱の頂部開口と桁との連結箇所を覆うキャップとしても機能するので、雨水等の侵入を防ぐことができると共に後付けのキャップが不要となる簡潔な構造とすることができ、部品点数の削減と共に組立工程並びに解体工程も削減できる。
【0051】
しかも、脚立を使わずに平地の上で全ての作業が実施できるので、脚立からの落下などの虞がなく安全である。日除けシート6の取付、取り外しは特殊な工具は不要であり、簡単に行える。しかも、支柱は錘9を載せて固定するだけなので、基礎工事などの大がかりな工事がいらない。このため、簡易且つ迅速な組立と解体とを可能とし、仮設的な簡易設置などに最適である。
【0052】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態にかかる日除けは、仮設的に設置される日除けに適用することが効果的ではあるが、これは常設される日除けに適用できないということを意味するものではない。例えば、支柱2を地上に埋め込み、あるいはアンカーボルトを備えて固定する据え置き式基礎工法を採用して常設する日除けに適用する場合においても、支柱2毎の高さ調整によって支柱設置場所の地面の平坦度が出ていない場合(水平勾配など)でも骨組み1の全体のがたつきや傾きをなくすことができる。したがって、日除けの設置前の整地や基礎作りを簡略化して日除けの設置が可能であるという利点や、組立時間を大幅に短縮できるという利点を失うものではない。
【0053】
また、本発明の日除けは、図1図6に示すような、キャンバス6がほぼ平らに張られるパラゴーラ式に限られるものではなく、図16及び図17に示すような支柱2と桁3との骨組み1の上にドーム型フレーム32を取り付けてその上にキャンバス6を被せたドーム型の日除けに適用することも可能である。ドーム型フレーム32は、中央のハブ33から放射状に広がるキャンバス支持フレーム34の先端を支柱2のコーナージョイント5に着脱自在に取り付けたフレーム固定金具35に支持させる一方、キャンバス支持フレーム34の支柱2の近傍が支柱2の側面に取り付けた補助フレーム36で下から受け支えられることにより、ドーム型にキャンバス6を張るようにしている。補助フレーム36は支柱2の側面に設けた補助フレーム支持金具37によって支柱2に着脱自在に取り付けられている。この場合においても、低位置で骨組み1の組立とキャンバス6の取付を完了させた後に、支柱2を片側ずつあるいは全部を一度に伸ばして高位置に持ち上げれば、脚立に乗って骨組み1の組立やキャンバスの取付を行わなければならなかった従来の日除けとは異なり、組立時間を大幅に短縮できるという効果を奏する利点を失うものではない。ドーム型のキャンバス6は、矩形状に組まれた桁3の対角線上に配置されたドーム型フレーム32の上から被せられると共に、それぞれの辺の下端縁部を桁に巻きつけてから面ファスナーやホックなどで固定される。また、キャンバス6の途中は、例えば、ドーム型フレーム32に対して、紐やバンドなどで固定される。
【0054】
また、図18図21に他の実施形態を示す。この実施形態の日除けは、日除けシート6を展開した閉状態(桁3,4で囲まれた空間が日除けシート6で閉ざされた状態)での日除けシート6の固定方法を上述の実施形態とは異ならせたものである。即ち、日除けシート6の前端と後端との両端に配置された日除けフレーム20並びに固定日除けフレーム20’の幅方向中央に設けた係止部材38を、側桁3から吊り下げたフック39に引っ掛けることにより、日除けシート6の端を固定する構造としている。係止部材38は、例えばクリップ41を介して日除けフレーム20並びに固定日除けフレーム20’に取り付けられている。クリップ41の一端には日除けフレーム20,20’の底部のC形の長溝20cに嵌め込まれる円筒状の固定部45が備えられ、C形の長溝20cの弾発力で保持されて固定されている。また、クリップ41は、係止部材38の平行に配置された2本のベルト通し46に折り返されるように通されて係止部材38を保持している。係止部材38の自由端側には、フック39の先端39aが貫通する孔部42と、把持用のリング部43が備えられている。ここで、固定日除けフレーム20’に備えられる係止部38は、通常、日除けシート6のレール桁4へのセット後には位置固定されるため、フック39の先端39aを42に通した後に抜け止めのための部材例えばカラビナフック40が孔44に引っ掛けられて吊り下げれている。勿論、抜け止めのための部材としてはカラビナフック40に限られず、ピン類などでも構わない。尚、日除けシート6を収納した開状態(桁3,4で囲まれた空間の大部分が開放された状態)では、日除けシート6の日除けフレーム20のガイドローラ25がレール桁4の内部の板ばね(図示省略)を乗り越えることで戻りが阻止されるように止められている。
【0055】
上述の日除けシート6の固定方法によれば、先端の日除けフレーム20に取り付けられた固定部材38のリング部43に操作棒47の先端のフックを引っ掛けて日除けシート6を引き出すことにより、任意の広さに日除けシート6を展開することができる。そして、全面に展開する場合には、固定部材38を引っ張って側桁3のフック39に固定部材38の孔42を引っ掛けて先端部39aを貫通させるだけで、先端側の日除けフレーム20を側桁3に固定することができる。尚、操作棒47は、支柱2の上部支柱にフックなどを介して取り付けられて収納されている。
【0056】
さらに、上述の実施形態においては、4本の支柱2と2本ずつの桁3,4が組み合わされた四角形状のパラゴーラタイプの日除けに適用した例を挙げて主に説明したが、支柱等の本数や日除けの形状には特に限られるものでは無く、3本支柱のオーニング(例えば、特開2019-49161号)でも5本支柱のオーニングでも、あるいはそれ以上の本数の支柱のものでも成り立つものであり、さらには日除けの形状も多角形でも円形であっても良く、開閉可能なシートを有する形状であれば良い。矩形以外のフレーム構造とする場合には、支柱とそれに接続される桁との成す角が90°未満あるいは90°を超えるものとなるので、コーナージョイント5を用いる場合には、支柱2とそれに接続される2本の桁(この場合には、一方の桁が上述のレール桁のような構造であるとは限られず、単なる桁材となる場合も含まれる。)3,4との間及び桁3と桁4との間に跨がって支柱2と桁3,4とが交わる隅部を囲うものとして、相交わる3つの面(即ち、プレート15)を支柱2及び桁3,4にそれぞれ連結することによって、支柱2と桁3,4とを相互に連結するようにしても良い。
【0057】
さらに、上述の実施形態において、短冊状の複数のシート状部材21を複数の吊りフレームに取り付けて相互に連結することで1つの大きな日除けシート6として構成するようにしているが、これに特に限られず、場合によってはタープのようにフレームの四隅や途中に紐でキャンバスを吊すようにしても良いし、またはフレームの上によしずを被せるだけで使用しても良い。
【0058】
また、上述の実施形態の場合、L形アングル16とコーナージョイント5とは、溶接例えばプラグ溶接やスポット溶接などで永久固定されているが、これに特に限られるものではない。L形アングル状の構造物が、対向する2面即ち2枚のプレート15に向けて進退移動するように配置されることで、固定的なコーナージョイント5の各面15と可動的なL形アングル状構造物との間で支柱2あるいは桁3,4を挟むことによって、ガイドと位置決めの機能を発揮させるようにしても良い。
【0059】
また、上述の実施形態における支柱2は、少なくとも低位置と高位置との間で伸縮可能である上に、さらに少なくとも高位置において複数段例えば8段階の範囲で高さ位置が調整可能な構造とされているが、これに特に限られるものでは無く、不陸調整を図る上では任意の位置で段階的にあるいは連続的に高さ位置が調整可能な構造とされるだけでも良い。即ち、支柱2は、骨組み1の組立及び日除けシート6の装着作業に適した高さ位置と、日除けを使用するに適した高さ位置との間で伸縮させるのではなく、地盤の不陸から桁の水平を保つためだけに支柱高さを調整し得るようにしても良い。
【0060】
また、上述の実施形態における支柱2は、テレスコピック構造を採用して伸縮可能としているが、これに特に限られるものでは無く、その他の伸縮構造例えば伸縮はしごやラチス構造(菱格子)、流体圧シリンダ、蛇腹構造などを用いても良い。あるいは、一方にのみ折れ曲がる一対の連鎖を線対称に配置して巻き取り、互いに内向きに折れ曲がるように向かい合わせにして送り出すことで互いに屈曲しないようにして支柱として伸ばす伸縮構造であっても良い。
【0061】
さらに、上述の実施形態における支柱2は、上部支柱(伸縮柱2a)と下部支柱(スライド柱2b)との2部材で構成しているが、これに特に限られるものでは無く、3本以上の支柱部材で構成すると共に2箇所以上の接合箇所に備える2組以上の連結具7によって2箇所以上で伸縮構造を構成するようにしても良い。
【0062】
また、支柱2の伸縮長さを複数位置で固定可能な固定機構としては、上述の実施形態では、ロックピン11cと孔12aとを嵌合させる連結具7として構成しているが、このような嵌合構造に必ずしも限られない。例えば、伸縮柱2a側に備えたねじ対偶のねじ先端をスライド柱2bの表面に押し当てることで発生する摩擦で固定する制動機構にしても良いし、凹凸を嵌合させて係止させる構造としても良い。相手部材の凹部などに嵌め込んで係合させたりすることで、テレスコピックパイプの伸び縮みを拘束することが可能である。凸部材と凹部材とは半球面状でも良いし、矩形状の断面の凹凸であっても良い。
【0063】
さらには直線移動する支柱部材の一方に対して制動を掛けるようにした、拘束機構であっても良い。例えば、鋸刃状の凹凸面を有するロッドと該ロッドの凹凸面に噛み合ってロッドの動きを制止する爪との組み合わせから成る拘束機構を適用しても良い。鋸刃状の凹凸面と爪との組み合わせの場合、鋸刃状の凹凸は相対的に上に向かって爪が移動するときには斜面となって爪を後退させる力を付与し、相対的に下に向かって爪が移動するときには水平面となる部分が爪と係合してその降下を阻止するストッパとして機能する構造とすることができるので、爪をロッドに向けてばねなどで常時付勢するだけで、出し入れさせずともスライド柱2b側を押し上げるだけで移動可能であり、手を離したときに自動的に凹凸面と爪とが係合状態に移り、高さ方向の移動が固定される構造とすることができる。この固定状態を解除するための解除機構としては、例えば爪に連結されたノブを備え、該ノブを引っ張ることで爪をロッドの凹凸面から離脱させるようにしても良い。伸縮柱2aと爪との間には、図示していないが、弾性付与手段例えば板ばねや圧縮コイルばねなどのばね構造物などが介在され、通常はばね構造物のばね力で爪が凹凸面に向けて付勢されるように設けられても良い。そして、ノブを引っ張ったときに、爪が凹凸面から退避するように設けられても良い。
【0064】
また、支柱2の伸縮長さを複数位置で固定可能な固定機構としては、ラックとピニオンの組み合わせによって、ギアの回転でラックを昇降させるようにしても良い。この場合、ギア列にウォームギヤとウォームホイールとの組み合わせを介在させてセルフロック性を持たせることで、支柱の縮み即ち逆転防止機構としても良い。この場合他の制動機構との併用で完全な逆転防止機構を構成しても良い。連続的に高さを変化させ得るので、微調整が容易である。
【符号の説明】
【0065】
1 骨組み
2 支柱
2a 伸縮柱
2b スライド柱
3 側桁
4 レール桁
6 日除けシート(キャンバス)
7 連結具
10 ストップホルダー
11 伸縮ストッパー
12 ロックプレート
17 孔
18 締結ボルト
図1
図2
図3
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