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特許7300914被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019130231
(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公開番号】P2020020789
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】18382571.0
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515116009
【氏名又は名称】グリフォルス・ワールドワイド・オペレーションズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRIFOLS WORLDWIDE OPERATIONS LIMITED
【住所又は居所原語表記】Grange Castle Business Park,Grange Castle,Clondalkin,Dublin 22,IRELAND
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ・ボイラ・ボンオラ
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・ロウラ・サリエッティ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・コカ・ガローテ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3174231(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0211958(US,A1)
【文献】特開平05-262360(JP,A)
【文献】特開2012-159456(JP,A)
【文献】特開2001-221748(JP,A)
【文献】特開2008-256647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包されたキャップおよびバイアルの組立体のクロージャにある欠陥を検出する方法において、
a)表面形状測定装置の測定を使用して、被包物および前記バイアルの外形を走査するステップであって、前記外形は、前記被包物の頭部、側部、および下方スカートを画定している、バイアルの母線に対応しており、前記被包物は、前記キャップの部分と前記バイアルの部分とを封止する、ステップと、
前記表面形状測定装置による走査の測定から点群を形成するステップと、
b)前記ステップa)において形成された前記点群から、
i. 前記被包物のクロージャ円周の直径または半径であって、前記クロージャ円周は、前記被包物の側部に対する、前記被包物の前記下方スカートの折れ曲がりにより画定されている円周によって画定されている、直径または半径、
ii. 前記被包物の前記下方スカートと前記側部との間の交差角度、
iii. 前記被包物の前記下方スカートの長さ、
iv. 前記被包物の前記下方スカートの端部から前記バイアルの首状部までの距離
のうちの少なくとも1つのパラメータを計算するステップと、
c)前記ステップb)において計算された任意のパラメータが所定の制限値を超過しているかどうかを判定するステップであって、前記制限値は被包が適正であるかないかを示す、判定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記点群はレーザ表面形状測定装置を使用して得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被包物の前記クロージャ円周の前記直径または前記半径の計算は、
a)前記被包物の前記側部および前記下方スカートの前記点群から、前記被包物の前記クロージャの回帰円周を計算するステップと、
b)前記回帰円周の前記直径または前記半径を測定し、前記回帰円周が前記被包物の前記クロージャ円周に等しいことを推測するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記被包物の前記下方スカートと前記側部との間の前記交差角度の前記計算は、
a)前記点群から、前記被包物の前記側部の回帰直線を計算するステップと、
b)前記点群から、前記被包物の前記下方スカートの回帰直線を計算するステップと、
c)両回帰直線間の交差点および前記回帰直線の間に形成される角度を決定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記下方スカートの前記長さの前記計算は、
a)前記下方スカートの終点を決定するステップと、
b)前記被包物の前記側部と前記下方スカートとの間の前記折れ曲がりの終点を決定するステップと、
c)両点間の距離を測定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記下方スカートの前記端部から前記バイアルまでの前記距離の前記計算は、
a)前もって決定されていない場合に、前記下方スカートの終点を決定するステップと、
b)前記バイアルの前記首状部の終点を決定するステップと、
c)両点間の距離を測定するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスにおいて、被包物および前記バイアルの外形を走査するように構成されている表面形状測定装置と、請求項1に記載の方法を実行するように構成されている制御デバイスとを含む、デバイス。
【請求項8】
前記表面形状測定装置はレーザ表面形状測定装置である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記表面形状測定装置は2次元表面形状測定装置である、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
バイアル供給デバイスをさらに含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項11】
前記バイアル供給デバイスは連続動作する、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記表面形状測定装置は、2つの異なる暴露期間を使用して、前記外形を測定する、請求項7に記載のデバイス。
【請求項13】
前記バイアルを長手方向軸上で回転させ、前記被包物および前記バイアルの全周囲に沿った、前記被包物および前記バイアルの前記外形を得るための手段を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項14】
前記バイアルの長手方向軸を中心として前記表面形状測定装置を回転させ、前記被包物および前記バイアルの全周囲に沿った、前記被包物および前記バイアルの前記外形を得るための手段を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項15】
前記表面形状測定装置で、2つの異なる暴露期間を使用して、前記外形を測定するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第1の暴露は、20μsと100μsとの間の期間を有し、第2の暴露は、150μsと500μsとの間の期間を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1の暴露は、30μsと50μsとの間の期間を有し、第2の暴露は、250μsと350μsとの間の期間を有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアルのクロージャにある欠陥を検出する新規の方法およびデバイスに関する。より詳細には、本発明は、被包されたバイアル(encapsulated vial)のクロージャにある欠陥を検出する新規の方法およびデバイスを開示している。
【背景技術】
【0002】
最近、特に製薬業界において、バイアルの使用が広まっている。バイアルは、一般に、液体、粉末、またはカプセルの形の薬剤、試料等を含有するのに使用され得る小さい入れ物である。バイアルは、被包キャップ、ねじ込み式キャップ、跳ね上げ式キャップ、ゴム製キャップ、または同様もの等の、様々なタイプのクロージャを有し得る。
【0003】
バイアルの内容物の損失および/または汚染を防止するために、バイアルの適正なクロージャを確実にすることが非常に重要である。バイアルのクロージャに生じ得る欠陥の中で、上記クロージャの封止の欠如が特に注目すべきであるが、これだけが欠陥ではなく、それは、封止されたクロージャを有するバイアルは、経時的に、最終的にクロージャの完全性または封止を損なう可能性がある別のタイプの欠陥を有する可能性があるからである。この種の欠陥の例が、被包されたバイアルの被包物(capsule)にある切れ目、詳細には被包物の下方スカートにある切れ目であると考えられる。
【0004】
バイアルの欠陥のあるクロージャに関連する、可能性のある問題を防止するために、上記クロージャの品質管理が導入されなければならない。小規模では、オペレータによるバイアルの手作業検査が実行可能であるが、中規模または大規模では、明らかな生産性の問題のせいで、手作業検査は実行可能でない。このため、時間と共に、バイアルのクロージャを自動的に検査する様々なデバイスが出現して来ている。
【0005】
国際公開第02/057709(A2)号の特許出願公開文献が、容器上のクロージャの存在を検出し、かつ上記クロージャが適正に取り付けられているかどうかを判定する方法および装置を開示している。上記装置は、コンベヤベルトまたは他のパッケージ運搬機構の両側に互いに対向して配置されている少なくとも2つの光ファイバ頭部を含む。該光ファイバ頭部は、パッケージの移動経路の向こう側に互いに対向している。受容頭部の該光ファイバは矩形形状で配置されおり、水平方向に狭く、垂直方向に長い。光頭部は、アナログ出力部を有する光学センサに接続されている。クロージャを有するパッケージが運搬機構を移動するので、該パッケージクロージャは、受容頭部に向けられている光線の部分を遮る。クロージャがコンベヤを移動する際、光学センサはアナログトレース信号を生成する。プロセッサがアナログ信号をサンプリングし、そこからクロージャの存在および/また位置を判定する。
【0006】
国際公開第2012/061441(A1)号の特許出願公開文献が、パッケージの複数の面を走査し、それによりパッケージクロージャのパラメータの合格/不合格状態を測定し、判定するレーザおよびレシーバを採用している、パッケージングされた製品のクロージャを検査するシステムを開示している。一実施形態では、該システムは、各々が互いに交差する光線を発する2つのレーザと、製品検査路とを採用している。評価されるパッケージクロージャのパラメータは、キャップの下面とバイアルの首状部の上面との間の分離であることが好ましい。
【0007】
前述の2つの文献はどちらも、光学的手段により、換言すれば検査デバイスとバイアルとの間の物理的接触を必要とせずに、バイアルのクロージャを検査するデバイスを開示しており、それらはパッケージに対するキャップの位置を評価するだけである。両システムは、上記キャップを封入する被包物にある可能性がある欠陥を評価することができず、したがって、その使用は被包されたバイアルの検査に推奨されない。
【0008】
国際公開第95/04267(A1)号の特許出願公開文献が、物品の壁をチェックするための検査場所を含む、半透明ボトルまたは同様の物品を検査する機械を開示しており、該検査場所は、照明デバイスと、撮像デバイスと、少なくとも2つの光線を作り出す中間ミラー組立体と、光線間を縦1列でボトルを運ぶコンベヤとを設けられている。そのような検査機械を改良するために、本発明は、異なる方向から、検査下のボトルの側壁を照明する少なくとも3つの光線を作り出すミラー組立体を提供する。上記デバイスは、ボトルの側壁を検査する第1のカメラと、検査されるボトルの輪郭線および/または高さおよび/または色を検査する第2のカメラとを有していてもよい。
【0009】
国際公開第95/04267(A1)号の文献により開示されている検査機械は、ボトルの壁のみを検査する。すなわち、上記機械はそれのクロージャを検査せず、その結果として、上記クロージャにある欠陥を検出することができない。
【0010】
国際公開第2016/202528(A1)号の特許出願公開文献が、容器、詳細にはボトル、を検査する方法を開示しており、閉鎖された容器は運搬装置により運搬され、容器に適用されているクロージャは、検査デバイスにより、締まりおよび/または適正な取付けに関して検査される。3D(3次元)光学測定法により、検査デバイスは、容器のクロージャと一緒の容器を少なくとも部分的に感知し、その3Dデータ、詳細には3D点、3D線要素、および/または3D面素を作り出す。上記3Dデータは評価装置により処理され、クロージャの締まりおよび/または適正な取付けはそれにより推測される。上記3D光学測定法は、少なくとも2つの視点から入れ物およびクロージャの少なくとも部分の画像をキャプチャすることによる3D立体測定を含む。
【0011】
また、国際公開第2016/202528(A1)号の文献は、上記容器に接続されているクロージャを含む、閉鎖された容器を運搬する運搬装置を含む容器検査デバイスと、容器およびクロージャの少なくとも部分の3D画像をキャプチャする3D光学測定デバイスと、容器に関連するクロージャの締まりおよび適正な取付けを判定するために3D画像を処理する評価デバイスとを開示している。上記3D光学測定デバイスは、散光源または構造化光源に接続されており、立体レンズ、または各々がレンズを含む2つ以上のカメラを含むカメラであってもよい。
【0012】
国際公開第2016/202528(A1)号の文献により開示されている方法およびデバイスは、様々な容器およびクロージャに用いられてもよいが、上記文献は、上記方法および上記デバイスが被包されたバイアルおよび/または被包されたクロージャを検査するのに用いられ得ることを開示しておらず、その結果として、どちらも、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出することができるように、何のパラメータが評価されるべきであるかを開示していない。さらに、上記方法および上記デバイスは、2つの画像からの三角測量点による3次元での対象の測定が高い計算負荷を必要とするという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第02/057709(A2)号
【文献】国際公開第2012/061441(A1)号
【文献】国際公開第95/04267(A1)号
【文献】国際公開第2016/202528(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、上記クロージャにある欠陥が検出されることを可能にし、かつ前述の方法の問題を克服する、被包されたバイアルのクロージャを検査する方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これを行うため、本発明は、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する方法を開示しており、a)表面形状測定装置を使用して、被包物およびバイアルの外形を走査し、点群を得るステップであって、上記外形は上記被包物の頭部、側部、および下方スカートを画定している、バイアルの母線に対応している、ステップと、b)前のステップa)で得られた点群から、i.被包物のクロージャ円周の直径または半径であり、上記クロージャ円周は、被包物の側部に対する、被包物の下方スカートの折れ曲がりにより画定されている円周により画定されている、直径または半径、ii.被包物の下方スカートと側部との間の交差角度、iii.下方スカートの長さ、iv.下方スカートの端部からバイアルの首状部までの距離、のうちの少なくとも1つのパラメータを計算するステップと、c)前のステップb)で計算された任意のパラメータが所定の制限値を超過しているかどうかを判定するステップであって、上記制限値は被包が適正であるかないかを示す、判定するステップと、を含む。
【0016】
上記点群はレーザ表面形状測定装置を使用して得られること、すなわち上記表面形状測定装置は、光学的手段により、すなわち接触することなく、被包物およびバイアルの表面を測定することが好ましい。上記表面形状測定装置は二次元すなわち2Dで、すなわち1つの平面において、測定することが有利である。2D表面形状測定装置を使用して、デカルト平面において、すなわち横軸および縦軸により画定されている平面において、点群が得られ、切断面により切断が行われたかのように被包物およびバイアルの外形を得る。あるいは、上記表面形状測定装置は3次元で測定する。
【0017】
被包物およびバイアルの外形は、少なくとも2つの異なる暴露時間を使用して、表面形状測定装置により測定されることが有利である。
【0018】
被包物のクロージャ円周の直径または半径の計算は、a)被包物の側部および下方スカートの点群から、被包物のクロージャの回帰円周(regression circumference)を計算するステップと、b)該回帰円周の直径または半径を測定し、上記回帰円周が被包物のクロージャ円周に等しいことを推測するステップと、を含むことが好ましい。
【0019】
被包物の下方スカートと側部との間の交差角度の計算は、a)点群から、被包物の側部の回帰直線を計算するステップと、b)点群から、被包物の下方スカートの回帰直線を計算するステップと、c)両回帰直線とそれらの間に形成される角度との間の交差点を決定するステップと、を含むことが有利である。
【0020】
下方スカートの長さの計算は、a)下方スカートの終点を決定するステップと、b)被包物の側部と下方スカートとの間の折れ曲がりの終点を決定するステップと、c)両点間の距離を測定するステップと、を含むことが好ましい。
【0021】
下方スカートの端部からバイアルまでの距離の計算は、a)前もって決定されていない場合に、下方スカートの終点を決定するステップと、b)バイアルの首状部の終点を決定するステップと、c)両点間の距離を測定するステップと、を含むことが有利である。
【0022】
本発明の別の態様によれば、また、被包物およびバイアルの外形を走査するように構成されている表面形状測定装置と、前述のものなどの方法を実行するように構成されている制御デバイスとを含む、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスが、開示されている。
【0023】
上記表面形状測定装置はレーザ表面形状測定装置、すなわち非接触測定デバイスであることが好ましい。上記表面形状測定装置は2次元表面形状測定装置、すなわち2次元で測定するものであることが有利である。したがって、点群が、被包物およびバイアルの外形に対応する単一の平面において得られる。この測定は、直接かつ三角測量、画像処理、または他のタイプの複雑な動作を実施する必要なく、行われる。
【0024】
また、上記制御デバイスは、バイアル供給デバイスを含むことが好ましい。上記バイアル供給デバイスは連続動作することが有利である。バイアルの検査が完了すると、上記バイアル供給デバイスは次のバイアルを制御デバイスへ運搬することに関与しているので、上記は、制御デバイスが自動で、かつ中断せずに動作することを可能にする。また、上記バイアル供給デバイスは、検査された後、制御デバイスからバイアルを除去し得ることが有利である。
【0025】
上記表面形状測定装置は、2つの異なる暴露時間を使用して、外形の測定を実施することが好ましい。第1の暴露時間は20μsと100μsの間であり、第2の暴露時間は150μsと500μsの間であることが好ましい。第1の暴露時間は30μsと50μsの間であることがより好ましい。第2の暴露時間は250μsと350μsの間であることがより好ましい。上記被包物および上記バイアルは通常は異なる材料で作製されているので、それらはやはり異なる光学特性を有し、したがって特定の反射時間が被包物を測定するために効果的であるがバイアル上で高反射を引き起し、またはその逆も同様であるため、2つの異なる暴露時間の使用のおかげで、正確な測定が被包物およびバイアルの外形全体に沿って行われ得る。換言すれば、上記反射時間は、バイアルを測定するために効果的であるが、被包物上で高反射を引き起こす。両暴露時間を使用して得られる測定を組み合わせることにより、被包されたバイアルの外形の全長に沿って、正確な測定値が得られ得る。
【0026】
一実施形態では、表面形状測定装置は、3つ以上の異なる暴露時間を使用して、外形の測定を行う。上記実施形態では、そのバイアルおよび被包物の外形の正確な測定値を得るために、複数の測定が組み合わされる。別の代替的実施形態では、表面形状測定装置は、単一の暴露時間を使用して、外形の測定を行う。
【0027】
デバイスは、バイアルをそれ自体の長手方向軸上で回転させ、上記被包物および上記バイアルの全周囲に沿った、被包物およびバイアルの外形を得るための手段を含むことが好ましい。制御デバイスは、バイアルの回転軸とその幾何学的長手方向軸との間の僅かなずれを是正し、かつ/または吸収するように構成されていることが有利であり、換言すれば、制御デバイスは、被包されたバイアルが偏心して回転した場合に引き起こされる可能性があると考えられる変動を是正するように構成されている。
【0028】
代替的に、デバイスは、バイアルの長手方向軸を中心として表面形状測定装置を回転させ、上記被包物および上記バイアルの全周囲に沿った、被包物およびバイアルの外形を得るための手段を含む。制御デバイスは、表面形状測定装置の回転軸と被包されたバイアルの幾何学的長手方向軸との間の僅かなずれを是正し、かつ/または吸収するように構成されていることが好ましく、換言すれば、制御デバイスは、表面形状測定装置の経路により描かれる円周とバイアルとが同心でない場合に引き起こされる可能性があると考えられる変動を是正するように構成されている。
【0029】
被包されたバイアルまたは表面形状測定装置を回転させることにより、被包されたバイアルの3次元測定が、2次元測定から得られることが可能であり、したがって、被包物およびバイアルの全周囲に亘る欠陥を検出することが可能である。この場合、異なる測定平面間の分離は小さい、例えば円周の0.5度または1度である、ことが好ましい。しかし、また、例えば45度、90度、または120度で分離された平面において、より多く分離された測定を行い、8点、4点、または3点それぞれで、被包をチェックすることが可能である。上記の例は単に例示的であり、制限的でなく、必要に応じて平面間の分離を修正することが可能であることが理解されるべきである。
【0030】
前述の、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスは、独立してすなわち他の機械もしくはデバイスと関連することなく、または製造ラインもしくはパッケージングラインの一部を形成する他の設備と関連してのどちらかで、使用されてもよい。
【0031】
本文献では、水平、垂直、上方、下方等の方向は、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの通常の作動位置に関して、すなわち地面に対して垂直な被包されたバイアルの長手方向に関して、理解される。
【0032】
さらなる理解のために、添付図面は、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する本方法および本デバイスの実施形態の説明的なしかし非制限的な例として与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】適正に被包された2つの異なるバイアルの図である。
図2】欠陥のある被包を有する、図1のバイアルの図である。
図3】被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態の概略図である。
図4】本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する方法の実施形態のフロー図である。
図5】本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態を使用し、かつ40μsの暴露時間を使用する、被包されたバイアルの外形の測定の結果の図である。
図6】本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態を使用し、かつ300μsの暴露時間を使用する、被包されたバイアルの外形の測定の結果の図である。
図7図5および図6の測定の組合せの結果として生じる、被包されたバイアルの外形に対応する点群のグラフである。
図8図7のグラフにおける、バイアルの被包物の下方スカートの端部に対応する点の図である。
図9図8のグラフに基づく、バイアルの被包物の下方スカートの長さの測定の図である。
図10図7のグラフに基づく、バイアルの被包物の下方スカートと側部との間の交差角度の決定の図である。
図11図7のグラフからの、被包物のクロージャ円周の半径の決定の図である。
図12図7のグラフからの、下方スカートの端部からバイアルの首状部までの距離の決定の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図では、同様のまたは同等の要素が同一の参照番号を用いて特定されている。
【0035】
図1は、適正に被包された2つの異なるバイアルを示す。図示の通り、両バイアル100、200は、キャップ110、210と、とりわけ、封止された閉鎖が作り出されるように、各バイアル100、200にしっかりと取り付けられているキャップ110、210を保持することに関与している被包物120、220とを有する。2つのバイアル100、200間の主な差異は、バイアル100が、その首状部の上方に配置されている平面キャップ110を有するが、一方、バイアル200は、その首状部または口部内に挿入されているキャップ210を有することに起因する。両バイアル100、200上に、各被包物120、220が該バイアル100、200の頭部をしっかりと取り巻いており、さらに、各バイアル100、200の頭部の下部上にしっかりと適合しており、被包物120、220の下方スカート121、221は、頭部のものと同様の長さを有し、したがって、バイアル100、200の首状部まで、または実質的にそこまで到達する。
【0036】
図1では、2つのタイプの被包されたバイアルのみが示されているが、本発明はいずれのタイプの被包されたバイアルのクロージャにある欠陥も検出されることを可能にする。これを行うため、必要な全てのことは、パラメータおよび制限値を、検査される各バイアルタイポロジー(typology)に適合させることである。さらに、バイアルのクロージャにある欠陥を検査するデバイスは、ねじ込み式キャップ、跳ね上げ式キャップ等の他のタイプのクロージャを有するバイアルにある欠陥を検出するのに使用されてもよい。これを行うため、必要な全てのことは、各タイプのクロージャに固有のパラメータを評価するために、制御デバイスのプログラミングを修正することである。
【0037】
図2では、図1のバイアルが示されているが、欠陥のある被包を有している。図示の通り、バイアル100では、下方スカート121は開き過ぎており、換言すれば、上記バイアル100の頭部の下部に十分にしっかりと適合されていない。バイアル200では、下方スカート221の長さは短過ぎ、したがって、被包物220のバイアル200の頭部への適正な適合を阻んでいる。両タイプの欠陥は、クロージャの気密封止の損失、またはさらには各バイアル内に含有されている製品の損失を引き起こす可能性がある。
【0038】
前段で示されている欠陥は、本発明の本方法および本デバイス物体を使用して検出され得る欠陥の2例のみである。しかし、本発明は、バイアルの被包のクロージャにあるより多くの種類の欠陥が検出されることを可能にする。
【0039】
図3は、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態の概略図である。図示の通り、表面形状測定装置10が、光学的手段を使用して、すなわち非接触で、被包されたバイアル20の外形を測定する。図示の実施形態では、測定が1つの平面において、すなわち2次元で、より具体的には表面形状測定装置10により発せられるレーザ光線の入射平面において、実施される。
【0040】
前述のように、図示の実施形態では、バイアルおよび被包物の外形の測定は2次元で行われ、したがって、上記平面に存在する、バイアルの被包における欠陥のみが検出され得る。しかし、被包の外周上の複数の点、例えば90度で互いに分離されている4つの点、において欠陥が検出されることを可能にする実施形態が存在する。異なる測定平面間の上記分離は、例えば円周の0.5度または1度毎に測定することにより、被包物およびバイアルの外周の全長に沿って、測定が連続的であると見なされ得るある点へ単純化されることが可能である。したがって、1つの平面においてまたは2次元で行われた複数の測定を関連づけることにより、バイアルの本質的な3次元測定が得られる。
【0041】
被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する前述のデバイスは、独立して、換言すれば製造ラインまたは瓶詰めラインと無関係に、品質管理場所として使用されてもよく、またはバイアルの製造ラインもしくは瓶詰めラインと関連していてもよい。
【0042】
バイアルの円周に沿った複数の測定点を可能にするために、表面形状測定装置が固定位置にある一方で、バイアルがその長手方向軸を中心として回転する、本発明の様々な実施形態が存在する。他の実施形態では、バイアルは固定位置に留まっており、バイアルの長手方向軸を中心として回転するのは表面形状測定装置である。両実施形態では、回転は対応する機構を作動させるモータにより生み出される。
【0043】
任意選択的であるが、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの制御デバイスは、バイアルもしくは表面形状測定装置の回転における僅かな偏心を吸収し、かつ/または是正するように構成されていることが好ましい。実施形態のタイプに応じて、上記偏心はバイアルの長手方向軸と表面形状測定装置の回転軸との間のずれ、またはバイアルの回転軸とその幾何学的軸との間のずれに因る可能性がある。
【0044】
バイアルおよびその各被包物の外周に沿った複数の測定平面の使用は、検査品質が向上させられることを可能にする。すなわち、それは、万一上記欠陥が存在するならば、被包における欠陥を検出する可能性を高める。さらに、連続のまたは実質的に連続の測定を用いることにより、被包物の下方スカートにある切れ目などの、より分離した測定によって検出することが困難な欠陥が見つけられ得る。
【0045】
図4は、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出する方法の実施形態のフロー図である。上記方法は、被包物およびバイアルの上記外形に対応する点群(point cloud)を得るために、表面形状測定装置を使用して、被包物およびバイアルの外形を走査するかまたは測定するステップで構成される第1のステップ1000で開始する。図示の実施形態では、上記測定は1つの平面において、換言すれば2次元で、行われる。
【0046】
第1のステップ1000に続いて、被包物のクロージャ円周の直径または半径を計算するサブステップ2001と、被包物の下方スカートと側部との間の交差角度を計算するサブステップ2002と、下方スカートの長さを計算するサブステップ2003と、下方スカートの端部からバイアルの首状部までの距離を測定するサブステップ2004と、のうちの少なくとも1つが実施される。
【0047】
第3のステップ3000は、ステップ2001、2002、2003、2004において計算されたパラメータのいずれかが所定の制限値を超過しているかどうかを判定するステップで構成されている。上記パラメータのいずれかが各制限値を超過している場合、これは、被包が適正でないかまたはそれに欠陥があることを意味する。また、上記パラメータのうちの1つだけが評価されるという、可能な実施形態が存在するが、より多くのパラメータが評価されるほど、バイアルの被包が十分であり、かつ設定された要件に適合する確実性が高くなるので、それらの全てまたは少なくとも一対が評価されることが推奨される。また、ステップ2001、2002、2003、2004において計算されたものより多いパラメータを評価する実施形態が可能であることに言及することが重要である。
【0048】
図示の実施形態では、各パラメータの制限値はバイアルのタイプ、被包物のタイプ等に応じて修正され得る。これを行うため、制御デバイスは、バイアルおよび被包物の各タイプに関するデータベースまたは同様の包含する最適な制限値を格納し得る。
【0049】
図5は、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態を使用する、かつ40μsの暴露時間を使用する、被包されたバイアルの外形の測定の結果を示す。
【0050】
図6は、本発明による、被包されたバイアルのクロージャにある欠陥を検出するデバイスの実施形態を使用する、かつ300μsの暴露時間を使用する、被包されたバイアルの外形の測定の結果を示す。
【0051】
バイアルおよび各キャップおよび/またはその被包物が通常は異なる材料で作製され、その結果として異なる光学特性を有すると仮定すると、表面形状測定装置の特定の暴露時間がバイアル-被包物組立体の外形の部分を確実に測定することができ、それにも関わらず、測定される表面上でのレーザ光線の反射のせいで、別の部分で不正確な測定を引き起こす可能性がある。これらの問題を回避するために、図に示されている実施形態では、表面形状測定装置10は、2つの異なる暴露時間を使用して、バイアル20の特定の外形を測定する(図3参照)。換言すれば、それは、後で両測定を組み合わせるために、同じ外形を2回測定し、各時間は異なる暴露時間を使用し、バイアル20の外形全体に沿った正確な測定を得る(図7参照)。
【0052】
図5および図6に示されている通り、図示の実施形態では、第1の暴露時間が40μsであり、第2の暴露時間が300μsである。しかし、他の実施形態では、上記暴露時間は異なる可能性がある。両図は、いかなる処理も実施することなく表面形状測定装置10により得られる生測定を示す。図示の実施形態は、2つの異なる暴露時間のみを使用しているが、本発明の他の実施形態が、3つ以上の異なる暴露時間を使用する可能性がある。
【0053】
本発明による、クロージャまたは被包されたバイアルにある欠陥を検出するデバイスは、測定されるバイアルおよび被包物のタイポロジーに応じて暴露時間を変化させ得る。これを行うため、制御デバイスは、バイアルおよび被包物の各タイプに関するデータベースまたは同様の含有する最適な暴露時間を格納し得る。
【0054】
図7は、図5および図6の測定の組合せの結果として生じる、被包されたバイアルの外形に対応する点群のグラフである。この図は、細い線として、レーザ表面形状測定装置10および300μsの暴露時間を使用する測定(図6参照)から得られた点と、太い線として、レーザ表面形状測定装置10および40μsの暴露時間を使用する測定(図5参照)から得られた点とを示す。
【0055】
図示の通り、図7では、横軸および縦軸の単位はmmであり、一方、図5および図6では、単位はピクセルである。分かるように、図8から12まででは、横軸および縦軸において使用される単位はやはりmmである。図5から図12までにおいて使用される単位は例示的なものに過ぎず、単なる例である。他の実施形態では、異なる単位、例えばインチ、が使用され得る。
【0056】
図7では、そのバイアルおよび被包物の外形を表す、本質的な実線が示されている。しかし、被包物の下方スカートの端部とバイアル20の首状部との間の分離または距離に対応して、上記線に不連続または間隙が示されている。
【0057】
図7のグラフに基づいて、図8から図12までは、バイアルの被包における欠陥の存在が評価されることを可能にする様々なパラメータの決定を示す。表面形状測定装置がデータを得た暴露時間に応じて細い線または太い線を用いて外形が示されている図7と異なり、図8から図12までの明瞭さを向上させるために、外形は一様の線で示されている。例示的理由および教訓的理由のために、図8から図12までの各々は、計算が実施される、図7の特定領域の拡大のみを示しており、したがって他の部分の図示を省略している。しかし、図7に例として示されているように、本発明によるデバイスおよび方法は、得られる外形全体に関して動作することが理解されるべきである。
【0058】
図8では、バイアルの被包物の下方スカートの端部に対応する点が示されている。この図では、下方スカートの終点は中空の矢印により示されている。以下に詳述される通り、下方スカートの終点の決定は、それ自体、バイアルの被包の適正な状態または非適正な状態を示さないが、それは、評価される様々なパラメータを決定するために、確かに重要である。
【0059】
図9は、バイアルの被包物の下方スカートの長さの測定を示す。バイアルの被包物の下方スカートの長さを判定するために、バイアルの2つの端部が決定されなければならない。そのうちの1つ、より具体的には遠い端部、の該決定は図8に示されている。その結果として、下方スカートの初期点、より具体的には、被包物の側部と下方スカートとの間の折れ曲がりの終点、すなわち側部とスカート端部との間の折れ曲がりおよび上記下方スカートが始まる点、は決定されなければならない。円周の弧または円周(図11参照)に対する、側部と下方スカートとの間の折れ曲がりを概算することにより、かつ直線(図10参照)に対する下方スカートを概算することにより、スカートの初期点は上記円周と上記直線との間の接触点として概算され得る。
【0060】
下方スカートの2つの端部が決定されたら、その長さは、2点間の直線距離(グラフ上の寸法線参照)、横軸上の両点の寸法補助部(projection)間の距離(グラフ上の寸法線参照)、および/または縦軸上の両点の寸法補助部間の距離(例示目的のために、その図面は図9では省略されている)として測定されることが可能である。
【0061】
バイアルおよび被包物のタイプに応じて、下方スカートの長さが所定の閾値未満である場合に、これは、被包がバイアルの首状部に適正に取り付けられていない可能性があること、およびしたがって上記被包には欠陥があることを意味する。この種の欠陥の例が図2において示されている。また、下方スカートの長さが許可された長さまたは所望の長さより長いこと、すなわち該長さが上限値を超過していることもあり得る。
【0062】
図10は、バイアルの被包物の下方スカートと側部との間の交差角度の決定を示す。これを行うため、被包物の側部および上記被包物の下方スカートの回帰直線r1およびr2それぞれが計算される。両回帰直線r1、r2が計算されたら、それらの間に形成される角度αが計算される。上記角度αは、被包物の下方スカートが「どのように開かれているかまたは閉じられているか」を示す。図示の実施形態では、小角度αが、下方スカートが開き過ぎているすなわちバイアルの首状部に適正に取り付けられておらず、したがって、他の可能性の中でも、被包物が気密を形成しない可能性があると考えられるかまたは緩んで来さえする可能性があると考えられることを示す。上記欠陥の例が図2に示されている。
【0063】
図11は、被包物のクロージャ円周の半径の決定を示す。これを行うため、被包物の側部と下方スカートとの間の折れ曲がりに対応する点群から、回帰円周c1が計算され、それは、レーザ表面形状測定装置10を使用して測定される点に可能な限り近接して一致している。回帰円周c1が計算されると、クロージャ円周は上記回帰円周c1に等しいと推測され、次いで上記クロージャ円周の直径および/または半径は測定され、かつ/または計算される。過剰な直径および/または半径、換言すれば所定の制限値を超過しているものは、下方スカートが開き過ぎているか、または言い換えれば、不十分に折り曲げられていることを示すものであるので、クロージャ円周の上記半径および/または上記直径は、下方スカートが適正に折り曲げられているかどうかを示すものである。
【0064】
図12は、下方スカートの端部からバイアルの首状部までの距離の決定を示す。この計算では、下方スカートの終点は決定されていなければならない。終点が前もって決定されていた場合に、本発明によるデバイスおよび方法は、既に行われた計算を活用する。上記計算がまだ決定されていない場合に、下方スカートの終点は図8に例として示されているものと同様の方法で決定される。
【0065】
バイアルの被包物の下方スカートの終点が決定されていたら、次のステップは、バイアルの首状部の終点、換言すれば、レーザ表面形状測定装置10により測定される点群全体の中から、バイアルの首状部に対応する第1の点、より具体的には、測定される点群において出現する間隙に続く第1の点、を決定するステップで構成されている。図7から図12まででは、上記間隙は点線で示されており、被包物の下方スカートとバイアルの首状部との間の分離を表している。
【0066】
図示の実施形態では、被包物の下方スカートとバイアルの首状部との間の上記分離は、2つ異なる方法で測定され得る。第1は、2つの終点を接続する直線の長さ、換言すれば下方スカートの終点をバイアルの首状部の終点に接続する直線の長さ、を測定するステップで構成されている。第2は、縦軸上の、その各寸法補助部内の両点間の距離としての、下方スカートの終点とバイアルの首状部の終点との間の分離を測定するステップで構成されている。図12では、一対の寸法線が、被包物の下方スカートとバイアルの首状部との間の分離または距離を測定する両測定手段として例示して、示されている。
【0067】
本実施形態では、下方スカートの端部からボトルの首状部までの距離を決定するために、バイアルの下方スカートの終点は最初に決定され、次いで、バイアルの首状部の終点が決定され、上記順序が逆にされている実施形態も存在する。
【0068】
図示のデータおよびグラフ処理の全ては、本発明による、被包されたバイアルにある欠陥を検出するデバイス内に含まれている制御デバイスにおいて自動的に実施され得る。これを行うため、上記制御デバイスは、データおよびグラフを処理し、分析する特別なソフトウェアを有する。
【0069】
本発明を、その実施形態を参照して示し、説明したが、上記実施形態は本発明を制限しないので、本明細書、特許請求の範囲、および図面において開示されている発明の対象を解釈した後、当業者に明白であろうと考えられる複数の構造的詳細または他の詳細を変更することが可能であることが理解されるべきである。詳細には、原則として、かつ明示的に別段の定めをした場合を除き、示され、かつ/または提案されている様々な実施形態および代替案の各々の全ての特性は、互いに組み合わせられることが可能である。したがって、それらが以下の特許請求の範囲の最も広い範囲により包含されると考えられ得る場合、全ての変形形態および同等物は本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10 表面形状測定装置
20 被包されたバイアル
100、200 バイアル
110、210 キャップ
120、220 被包物
121、221 下方スカート
c1 回帰円周
r1、r2 回帰直線
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12