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特許7300916クランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】クランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20230623BHJP
   G01F 1/00 20220101ALI20230623BHJP
【FI】
G01F1/66 101
G01F1/00 G
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019131211
(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公開番号】P2021015090
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 修一
(72)【発明者】
【氏名】杉田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】横坂 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】林 智仁
(72)【発明者】
【氏名】五所尾 康博
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-200409(JP,A)
【文献】国際公開第2017/134835(WO,A1)
【文献】特開昭61-008031(JP,A)
【文献】特開昭61-005831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、
前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、
前記演算部は、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の波形および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の波形に対して相互相関を演算することにより得られる相関ピークの位置に基づいて、前記伝播時間差を算出し、
前記ヒータ制御部は、
前記演算部によって得られる前記相関ピークの値が第1閾値以下の場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、
前記演算部によって得られる前記相関ピークの値が前記第1閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、
クランプオン式超音波流量計。
【請求項2】
配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、
前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、
前記ヒータ制御部は、
前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、
前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比が前記第2閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、
クランプオン式超音波流量計。
【請求項3】
配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、
前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、
前記ヒータ制御部は、
前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できない場合、あるいは、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できない場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、
前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の前記壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できる場合であって、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できる場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、
クランプオン式超音波流量計。
【請求項4】
配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、
前記ヒータを制御するヒータ制御部と
少なくとも第1温度センサと第2温度センサとを更に備え、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、
前記第1温度センサおよび前記第2温度センサは、水平方向に延びている前記配管の上下方向の異なる位置に配置され、
前記ヒータ制御部は、
前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、
前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にする、
クランプオン式超音波流量計。
【請求項5】
前記ヒータがオン状態に維持されている期間中に、前記演算部が、前記湿り蒸気の流量に相当する前記乾き蒸気の流量を算出した後に、
前記ヒータ制御部は、前記ヒータをオン状態からオフ状態に切り替える、
請求項から請求項4のいずれか一項に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項6】
前記ヒータ制御部は、
前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えてから、予め設定された時間が経過した時に、前記ヒータをオン状態からオフ状態に切り替える、
請求項から請求項4のいずれか一項に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項7】
少なくとも第1温度センサと第2温度センサとを更に備え、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、
前記第1温度センサおよび前記第2温度センサは、水平方向に延びている前記配管の上下方向の異なる位置に配置され、
前記ヒータ制御部は、
前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、
前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にする、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項8】
温度センサを更に備え、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、
前記温度センサは、水平方向に延びている前記配管の下部に配置され、
前記温度センサによって検出される温度が飽和蒸気相当温度未満である場合に、前記ヒータをオン状態にし、
前記温度センサによって検出される温度が前記飽和蒸気相当温度以上である場合に、前記ヒータをオフ状態にする、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項9】
前記第1超音波トランスデューサ、前記第2超音波トランスデューサおよび前記ヒータが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、
前記ヒータは、前記配管の中心軸線よりも下側に配置されている、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のクランプオン式超音波流量計。
【請求項10】
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号の波形および前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号の波形に対して相互相関を演算することにより得られる相関ピークを算出する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて得られる前記相関ピークの値が第1閾値以下の場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第1ステップにおいて得られる前記相関ピークの値が前記第1閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する第2ステップと、
前記第2ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第ステップと、
前記第1受信信号と前記第2受信信号との前記相関ピークに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第ステップと、
前記第ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第ステップとを備える、
クランプオン式超音波流量計測方法。
【請求項11】
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号の信号/ノイズ比および前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号の信号/ノイズ比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比が前記第2閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第ステップと、
前記第1受信信号と、前記第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第ステップと、
前記第ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第ステップとを備える、
クランプオン式超音波流量計測方法。
【請求項12】
第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、
前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である第1受信信号を同定できない場合、あるいは、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である第2受信信号を同定できない場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の前記壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できる場合であって、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できる場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、第1ステップと、
前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第ステップと、
前記第1受信信号と、前記第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第ステップと、
前記第ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第ステップとを備える、
クランプオン式超音波流量計測方法。
【請求項13】
水平方向に延びている配管に配置されている第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、
第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側の、前記配管に配置されている第2超音波トランスデューサと、
前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータと、少なくとも第1温度センサと第2温度センサと、を用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、
前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にする第1ステップと、
前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第ステップと、
前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第ステップと、
前記第ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第ステップとを備える、
クランプオン式超音波流量計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有する超音波流量計と、加熱装置とを備える流量計測装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された流量計測装置では、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて液化した後の冷媒が、配管内を流れる。また、冷却装置が、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有する超音波流量計の上流側に配置され、加熱装置が、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有する超音波流量計の下流側に配置されている。
詳細には、特許文献1に記載された流量計測装置では、配管内の気液二相状態の冷媒が、冷却装置によって冷却され、液相状態(満液状態)にされる。次いで、超音波流量計が、配管内の液相状態(満液状態)の冷媒の流量を計測する。次いで、配管内の液相状態(満液状態)の冷媒が、加熱装置によって加熱されて気液二相状態に戻され、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて用いられる。
つまり、特許文献1に記載された流量計測装置では、超音波流量計が、冷却装置によって冷却されて液化した冷媒の流量(液相状態(満液状態)の冷媒の流量)を計測する。
【0003】
ところで、特許文献1に記載された技術では、例えば冷却しても、配管内が液体で満たされる満液状態にならない程度の湿り度を有する湿り蒸気の流量を計測することができない。
また、配管内を流れる蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計は、開発されたばかりであり、このクランプオン式超音波流量計によってどの範囲の湿り度を有する湿り蒸気の流量を計測できるかは定かでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-281255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が乾き蒸気である場合には、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(乾き蒸気)の流量を計測できることを見い出した。
また、本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が湿り蒸気である場合であって、配管の流路内を流れる流体の流動様式が層状流または波状流である場合に、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(湿り蒸気)の流量を計測できることを見い出した。
更に、本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が湿り蒸気である場合であって、配管の流路内を流れる流体の流動様式が環状噴霧流である場合には、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(湿り蒸気)の流量を計測できない可能性があるものの、その湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にすると、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体の流量を計測できることを見い出したのである。
つまり、本発明は、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができるクランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、前記演算部は、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の波形および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の波形に対して相互相関を演算することにより得られる相関ピークの位置に基づいて、前記伝播時間差を算出し、前記ヒータ制御部は、前記演算部によって得られる前記相関ピークの値が第1閾値以下の場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記演算部によって得られる前記相関ピークの値が前記第1閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、クランプオン式超音波流量計である。
【0007】
本発明の一態様は、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、前記ヒータ制御部は、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比が前記第2閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、クランプオン式超音波流量計である。
【0008】
本発明の一態様は、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、前記ヒータを制御するヒータ制御部とを備え、前記ヒータ制御部は、前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できない場合、あるいは、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できない場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の前記壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できる場合であって、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できる場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、クランプオン式超音波流量計である。
【0009】
本発明の一態様は、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計であって、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出することによって、前記湿り蒸気の流量を算出する演算部と、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置され、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にするヒータと、前記ヒータを制御するヒータ制御部と、少なくとも第1温度センサと第2温度センサとを更に備え、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、前記第1温度センサおよび前記第2温度センサは、水平方向に延びている前記配管の上下方向の異なる位置に配置され、前記ヒータ制御部は、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にする、クランプオン式超音波流量計である。
【0010】
本発明の一態様のクランプオン式超音波流量計では、前記ヒータがオン状態に維持されている期間中に、前記演算部が、前記湿り蒸気の流量に相当する前記乾き蒸気の流量を算出した後に、前記ヒータ制御部は、前記ヒータをオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0011】
本発明の一態様のクランプオン式超音波流量計では、前記ヒータ制御部は、前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えてから、予め設定された時間が経過した時に、前記ヒータをオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0012】
本発明の一態様のクランプオン式超音波流量計は、少なくとも第1温度センサと第2温度センサとを更に備え、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、前記第1温度センサおよび前記第2温度センサは、水平方向に延びている前記配管の上下方向の異なる位置に配置され、前記ヒータ制御部は、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にしてもよい。
【0013】
本発明の一態様のクランプオン式超音波流量計は、温度センサを更に備え、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、前記温度センサは、水平方向に延びている前記配管の下部に配置され、前記温度センサによって検出される温度が飽和蒸気相当温度未満である場合に、前記ヒータをオン状態にし、前記温度センサによって検出される温度が前記飽和蒸気相当温度以上である場合に、前記ヒータをオフ状態にしてもよい。
【0014】
本発明の一態様のクランプオン式超音波流量計では、前記第1超音波トランスデューサ、前記第2超音波トランスデューサおよび前記ヒータが配置されている位置において前記配管は水平方向に延びており、前記ヒータは、前記配管の中心軸線よりも下側に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の一態様は、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号の波形および前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号の波形に対して相互相関を演算することにより得られる相関ピークを算出する第1ステップと、前記第1ステップにおいて得られる前記相関ピークの値が第1閾値以下の場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第1ステップにおいて得られる前記相関ピークの値が前記第1閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する第2ステップと、前記第2ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第ステップと、前記第1受信信号と前記第2受信信号との前記相関ピークに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第ステップと、前記第ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第ステップとを備える、クランプオン式超音波流量計測方法である。
本発明の一態様は、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号の信号/ノイズ比および前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号の信号/ノイズ比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第2受信部によって出力される前記第1受信信号の信号/ノイズ比および前記第1受信部によって出力される前記第2受信信号の信号/ノイズ比が前記第2閾値より大きい場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する第1ステップと、前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第2ステップと、前記第1受信信号と、前記第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第3ステップと、前記第3ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第4ステップとを備える、クランプオン式超音波流量計測方法である。
本発明の一態様は、第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータとを用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である第1受信信号を同定できない場合、あるいは、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である第2受信信号を同定できない場合に、前記ヒータをオフ状態からオン状態にし、前記第1送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第1超音波と、前記第1送信部から送信されて前記配管の前記壁部内を伝播した管内伝播波とを受信した前記第2受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第1超音波の受信信号である前記第1受信信号を同定できる場合であって、前記第2送信部から送信されて前記流路内を透過した気中伝播波としての前記第2超音波と、前記第2送信部から送信されて前記壁部内を透過した管内伝播波とを受信した前記第1受信部によって出力されるノイズを含む信号から、前記第2超音波の受信信号である前記第2受信信号を同定できる場合に、前記ヒータをオフ状態に維持する、第1ステップと、前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第2ステップと、前記第1受信信号と、前記第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第3ステップと、前記第3ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第4ステップとを備える、クランプオン式超音波流量計測方法である。
本発明の一態様は、水平方向に延びている配管に配置されている第1超音波を送信する第1送信部と第1受信部とを有する第1超音波トランスデューサと、第2超音波を送信する第2送信部と第2受信部とを有し、前記第1超音波トランスデューサよりも配管の流路内を流れる湿り蒸気の流れの下流側の、前記配管に配置されている第2超音波トランスデューサと、前記第1超音波トランスデューサおよび前記第2超音波トランスデューサよりも前記湿り蒸気の流れの上流側に配置されているヒータと、少なくとも第1温度センサと第2温度センサと、を用いることによって、前記湿り蒸気の流量を計測するクランプオン式超音波流量計測方法であって、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが等しい場合に、前記ヒータをオン状態にし、前記第1温度センサによって検出される温度と前記第2温度センサによって検出される温度とが異なる場合に、前記ヒータをオフ状態にする第1ステップと、前記第1ステップにおいて前記ヒータをオフ状態からオン状態に切り替えると判定された場合に、前記流路内を流れる前記湿り蒸気を、前記ヒータによって加熱して乾き蒸気にする第2ステップと、前記流路内を透過した前記第1超音波を受信した前記第2受信部によって出力される第1受信信号と、前記流路内を透過した前記第2超音波を受信した前記第1受信部によって出力される第2受信信号とに基づいて、前記第1超音波の伝播時間と前記第2超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する第3ステップと、前記第3ステップにおいて算出された前記伝播時間差に基づいて前記湿り蒸気の流量を算出する第4ステップとを備える、クランプオン式超音波流量計測方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、配管の流路内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができるクランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態のクランプオン式超音波流量計の機能ブロックの一例を示す図である。
図2】第1実施形態のクランプオン式超音波流量計の構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態のクランプオン式超音波流量計の構成の他の例を示す図である。
図4】第1実施形態のクランプオン式超音波流量計の第2例を説明するための図である。
図5】第1実施形態のクランプオン式超音波流量計の各例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図6】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第1例の機能ブロックを示す図である。
図7】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第1例の構成を示す図である。
図8】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第1例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図9】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第2例の機能ブロックを示す図である。
図10】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第2例の構成を示す図である。
図11】第2実施形態のクランプオン式超音波流量計の第2例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明のクランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法の実施形態について説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の機能ブロックの一例を示す図である。図2は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の構成の一例を示す図である。詳細には、図2(A)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の主要部の概略図(Z軸方向のプラス側から見た概略的な水平断面図)であり、図2(B)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の主要部をY軸方向のプラス側から見た概略的な鉛直断面図であり、図2(C)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の主要部をX軸方向のマイナス側から見た概略的な鉛直断面図である。
図1および図2に示す例では、クランプオン式超音波流量計1が、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測する。クランプオン式超音波流量計1は、第1超音波トランスデューサ11と、第2超音波トランスデューサ12と、演算部13と、ヒータ14と、ヒータ制御部15と、トランスデューサ制御部16とを備えている。
【0020】
図1および図2に示す例では、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12およびヒータ14が配置されている位置において、配管Aが水平方向(図2(B)の左右方向)に延びている。
他の例では、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12およびヒータ14が配置されている位置において、配管Aが水平方向に延びていなくてもよい。
【0021】
図1および図2に示す例では、第1超音波トランスデューサ11が、送信部11Aと、受信部11Bとを備えており、第2超音波トランスデューサ12は、送信部12Aと、受信部12Bとを備えている。第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aは、超音波を送信し、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bは、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波などを受信する。詳細には、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bは、受信した第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aからの超音波などを受信信号(電圧信号)に変換して出力する。
第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aは、超音波を送信し、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bは、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波などを受信する。詳細には、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bは、受信した第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aからの超音波などを受信信号(電圧信号)に変換して出力する。
第2超音波トランスデューサ12は、第1超音波トランスデューサ11よりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れ(図2(A)および図2(B)の右向き)の下流側(図2(A)および図2(B)の右側)に配置されている。
【0022】
図2に示す例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で反射することなく第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって受信されるように、かつ、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で反射することなく第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって受信されるように、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とが配置され、いわゆるZ法の流体の流量計測が行われる。
他の例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で1回反射した後に配管Aの流路A2内を透過して第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって受信されるように、かつ、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で1回反射した後に配管Aの流路A2内を透過して第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって受信されるように、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とが配置され、いわゆるV法の流体の流量計測が行われてもよい。
更に他の例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で2回反射した後に配管Aの流路A2内を透過して第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって受信されるように、かつ、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波が、配管Aの壁部A1の内側表面で2回反射した後に配管Aの流路A2内を透過して第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって受信されるように、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とが配置され、いわゆるN法の流体の流量計測が行われてもよい。
【0023】
また、図2に示す例では、ダンピング材が、配管Aの壁部A1の外側に配置されていないが、他の例では、ダンピング材が、配管Aの壁部A1の外側に配置されていてもよい。
【0024】
図1および図2に示す例では、演算部13が、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信された超音波などを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信された超音波などを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号とに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する等の演算を行う。
ヒータ14は、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にする。ヒータ14は、第1超音波トランスデューサ11および第2超音波トランスデューサ12よりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れの上流側(図2(A)および図2(B)の左側)に配置されている。
ヒータ制御部15は、ヒータ14の制御を実行する。詳細には、ヒータ制御部15は、ヒータ14が配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気を加熱するオン状態と、ヒータ14が配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気を加熱しないオフ状態とを切り替える制御を実行する。
トランスデューサ制御部16は、第1超音波トランスデューサ11の制御および第2超音波トランスデューサ12の制御を実行する。
【0025】
図1および図2に示す例では、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出するために、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aが超音波を送信し、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bは、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信された超音波を受信して、受信信号(電圧信号)を出力する。
更に、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aも超音波を送信し、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bが、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信された超音波を受信して、受信信号(電圧信号)を出力する。
つまり、演算部13は、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信された超音波などを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信された超音波などを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号とに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
詳細には、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出するために、演算部13は、第1受信信号取得部13Aと、第2受信信号取得部13Bと、相関値算出部13Cと、伝播時間差算出部13Dと、流量算出部13Eとを備えている。
図1および図2に示す例では、演算部13が、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流速を算出する流速算出部を備えていないが、他の例では、演算部13が流速算出部を備えていてもよい。
【0026】
第1受信信号取得部13Aは、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号(つまり、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bが、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信された超音波などを受信して電圧信号に変換したもの)を取得する。
第2受信信号取得部13Bは、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号(つまり、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bが、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信された超音波などを受信して電圧信号に変換したもの)を取得する。
【0027】
相関値算出部13Cは、例えば特開2013-088322号公報に記載された手法を用いることにより、第1受信信号取得部13Aによって取得された受信信号(第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号)の波形、および、第2受信信号取得部13Bによって取得された受信信号(第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号)の波形に対して相互相関を演算する。つまり、相関値算出部13Cは、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
【0028】
伝播時間差算出部13Dは、例えば特開2013-088322号公報に記載された手法を用いることにより、相関値算出部13Cによって算出された相互相関値のピーク(相関ピーク)から、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信され、配管Aの流路A2内を透過し、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって受信された超音波の伝播時間と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信され、配管Aの流路A2内を透過し、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって受信された超音波の伝播時間との差分である伝播時間差を算出する。詳細には、伝播時間差算出部13Dは、相関ピークの位置に基づいて伝播時間差を算出する。
【0029】
流量算出部13Eは、伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差に基づいて、配管Aの流路A2内を流れる流体の流量を算出する。詳細には、流量算出部13LEは、伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差、音速、配管Aの内径、角度θ(図2(A)参照)、公知の流量算出式などに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0030】
上述したように、本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が乾き蒸気である場合には、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(乾き蒸気)の流量を計測できることを見い出した。
つまり、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とを有する第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1は、配管Aの流路A2内を流れる流体が乾き蒸気である場合に、配管Aの流路A2内を流れる乾き蒸気の流量を計測することができる(つまり、演算部13の流量算出部13Eが、配管Aの流路A2内を流れる乾き蒸気の流量を算出することができる)。
【0031】
また、上述したように、本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が湿り蒸気である場合であって、配管の流路内を流れる流体の流動様式が層状流または波状流である場合に、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(湿り蒸気)の流量を計測できることを見い出した。
つまり、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とを有する第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1は、配管Aの流路A2内を流れる流体が層状流または波状流の湿り蒸気である場合に、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができる(つまり、演算部13の流量算出部13Eが、配管Aの流路A2内を流れる層状流または波状流の湿り蒸気の流量を算出することができる)。
【0032】
更に、上述したように、本発明者等は、鋭意研究において、配管の流路内を流れる流体が湿り蒸気である場合であって、配管の流路内を流れる流体の流動様式が環状噴霧流である場合には、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体(湿り蒸気)の流量を計測できない可能性があるものの、その湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にすると、上流側トランスデューサと下流側トランスデューサとを有するクランプオン式超音波流量計によって、配管の流路内を流れる流体の流量を計測できることを見い出した。
つまり、第1超音波トランスデューサ11と第2超音波トランスデューサ12とを有する第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1は、配管Aの流路A2内を流れる環状噴霧流の湿り蒸気の流量を計測できない可能性がある。
そのような場合に、図1および図2に示す例では、ヒータ制御部15がヒータ14をオン状態に制御し、ヒータ14は、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にする。更に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる乾き蒸気の流量を算出する。
すなわち、図1および図2に示す例では、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。このようにして、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1は、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができる。
【0033】
詳細には、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、ヒータ14による加熱が行われていない状態(ヒータ14のオフ状態)において演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの値が第1閾値(例えば「0.8」など)以下の場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。更に、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。
演算部13の流量算出部13Eによって乾き蒸気の流量が算出された後に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
他の例では、ヒータ14がオフ状態からオン状態に切り替えられてから、予め設定された時間が経過した時に、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0034】
また、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、ヒータ14による加熱が行われていない状態において演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの値が第1閾値より大きい場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態に切り替えることなく、ヒータ14をオフ状態に維持する。更に、演算部13の流量算出部13Eは、ヒータ14による加熱が行われていない状態において演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0035】
上述したように、図1および図2に示す例では、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12およびヒータ14が配置されている位置において、配管Aが水平方向(図2(A)および図2(B)の左右方向)に延びている。
更に、図1および図2に示す例では、図2(B)および図2(C)に示すように、ヒータ14が、配管Aの中心軸線AXよりも下側(図2(B)および図2(C)の下側)に配置されている。
【0036】
図3は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の構成の他の例を示す図である。詳細には、図3(A)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の主要部をY軸方向のプラス側から見た概略的な鉛直断面の他の例を示しており、図3(B)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の主要部をX軸方向のマイナス側から見た概略的な鉛直断面の他の例を示している。
図3に示す例においても、図1および図2に示す例と同様に、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12およびヒータ14が配置されている位置において、配管Aが水平方向(図3(A)の左右方向)に延びている。
更に、図3に示す例では、図3(A)および図3(B)に示すように、環状のヒータ14が、配管Aの壁部A1の外側表面上に配置されている。
【0037】
図4は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例を説明するための図である。詳細には、図4(A)および図4(B)は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波などを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号の波形と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した超音波などを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号の波形とを示す図である。
【0038】
図4(A)および図4(B)に示す例では、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって受信される超音波には、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が含まれるのみならず、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波も含まれる。つまり、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号には、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(本信号)と、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)とが含まれる。
同様に、図4(A)および図4(B)に示す例では、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって受信される超音波には、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が含まれるのみならず、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波も含まれる。つまり、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号には、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(本信号)と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)とが含まれる。
【0039】
図4(A)に示す例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(本信号)が、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)に埋もれてしまっており、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号を同定することができない。
詳細には、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比(信号/ノイズ比)が、第2閾値(例えば「1.5」など)以下である。
また、図4(A)に示す例では、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(本信号)が、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)に埋もれてしまっており、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号を同定することができない。
詳細には、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比が、第2閾値以下である。
【0040】
一方、図4(B)に示す例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(本信号)が、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)に埋もれておらず、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号を同定することができる。
詳細には、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比が、第2閾値より大きい。
また、図4(B)に示す例では、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(本信号)が、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波が、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって信号に変換されたもの(ノイズ)に埋もれておらず、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号を同定することができる。
詳細には、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比が、第2閾値より大きい。
【0041】
第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、図4(A)に示す例のように、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比、および、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。更に、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。
演算部13の流量算出部13Eによって乾き蒸気の流量が算出された後に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
他の例では、ヒータ14がオフ状態からオン状態に切り替えられてから、予め設定された時間が経過した時に、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0042】
また、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、図4(B)に示す例のように、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比、および、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比が第2閾値より大きい場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態に切り替えることなく、ヒータ14をオフ状態に維持する。更に、演算部13の流量算出部13Eは、ヒータ14による加熱が行われていない状態において演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0043】
第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第3例では、図4(A)に示す例のように、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できない場合、あるいは、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できない場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。更に、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。
演算部13の流量算出部13Eによって乾き蒸気の流量が算出された後に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
他の例では、ヒータ14がオフ状態からオン状態に切り替えられてから、予め設定された時間が経過した時に、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替えてもよい。
【0044】
また、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第3例では、図4(B)に示す例のように、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できる場合であって、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できる場合に、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態に切り替えることなく、ヒータ14をオフ状態に維持する。更に、演算部13の流量算出部13Eは、ヒータ14による加熱が行われていない状態において演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0045】
図5は第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の各例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図5に示す例では、ステップS10において、例えばヒータ制御部15が、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があるか否かを判定する。ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がない場合には、ステップS11Aに進む。一方、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がある場合には、ステップS11Bに進む。
上述したように、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの値が第1閾値以下の場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があると判定する。一方、演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの値が第1閾値より大きい場合には、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がないと判定する。
また、上述したように、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比、および、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比の少なくとも一方が第2閾値以下である場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があると判定する。一方、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比、および、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比が第2閾値より大きい場合には、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がないと判定する。
【0046】
また、上述したように、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第3例では、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できない場合、あるいは、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できない場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があると判定する。一方、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第1超音波トランスデューサ11の送信部11Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できる場合であって、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの流路A2内を透過した気中伝播波としての超音波と、第2超音波トランスデューサ12の送信部12Aから送信されて配管Aの壁部A1内を伝播した管内伝播波としての超音波とを受信した第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から、本信号を同定できる場合には、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がないと判定する。
【0047】
ステップS11Aにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態に維持する。
次いで、ステップS12Aでは、ヒータ14がオフ状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS13Aでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS12Aにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS14Aでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS13Aにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0048】
ステップS11Bにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。
次いで、ステップS12Bでは、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS13Bでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS12Bにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS14Bでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS13Bにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として算出する。
次いで、ステップS15において、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0049】
[第2実施形態]
以下、本発明のクランプオン式超音波流量計およびクランプオン式超音波流量計測方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1と同様に構成されている。従って、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1と同様の効果を奏することができる。
【0050】
図6は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例の機能ブロックを示す図である。図7は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例の構成を示す図である。詳細には、図7(A)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例の主要部の概略図(Z軸方向のプラス側から見た概略的な水平断面図)であり、図7(B)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例の主要部をY軸方向のプラス側から見た概略的な鉛直断面図であり、図7(C)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例の主要部をX軸方向のマイナス側から見た概略的な鉛直断面図である。
図6および図7に示す例では、クランプオン式超音波流量計1が、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測する。クランプオン式超音波流量計1は、第1超音波トランスデューサ11と、第2超音波トランスデューサ12と、演算部13と、ヒータ14と、ヒータ制御部15と、トランスデューサ制御部16と、温度センサ17A、17Bとを備えている。
【0051】
図6および図7に示す例では、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12、ヒータ14および温度センサ17A、17Bが配置されている位置において、配管Aが水平方向(図7(B)の左右方向)に延びている。温度センサ17A、17Bは、水平方向に延びている配管Aの上下方向(図7(B)および図7(C)の上下方向)の異なる位置に配置されている。詳細には、温度センサ17Aが、配管Aの中心軸線AXよりも下側(図7(B)および図7(C)の下側)に配置され、温度センサ17Bは、配管Aの中心軸線AXよりも上側(図7(B)および図7(C)の上側)に配置されている。
【0052】
図6および図7に示す例では、第2超音波トランスデューサ12は、第1超音波トランスデューサ11よりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れ(図7(A)および図7(B)の右向き)の下流側(図7(A)および図7(B)の右側)に配置されている。
ヒータ14は、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12および温度センサ17A、17Bよりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れの上流側(図7(A)および図7(B)の左側)に配置されている。
【0053】
上述したように、第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、ヒータ制御部15が、演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関値に基づいて、ヒータ14を制御する。
第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、ヒータ制御部15が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される受信信号のS/N比と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される受信信号のS/N比とに基づいて、ヒータ14を制御する。
第1実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第3例では、ヒータ制御部15が、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から本信号を同定できるか否かと、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力される本信号とノイズとを含む信号から本信号を同定できるか否かとに基づいて、ヒータ14を制御する。
一方、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、ヒータ制御部15が、温度センサ17Aによって検出された温度と、温度センサ17Bによって検出された温度とに基づいて、ヒータ14を制御する。
【0054】
温度センサ17Aによって検出される温度と温度センサ17Bによって検出される温度とが等しい場合には、環状噴霧流の湿り蒸気が配管Aの流路A2内を流れていると推定することができる。また、温度センサ17Aによって検出される温度と温度センサ17Bによって検出される温度とが異なる場合には、層状流または波状流の湿り蒸気が配管Aの流路A2内を流れていると推定することができる。
そこで、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、温度センサ17Aによって検出される温度と温度センサ17Bによって検出される温度とが等しい場合に、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオン状態にする。その結果、ヒータ14は、配管Aの流路A2内を流れる環状噴霧流の湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にする。更に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる環状噴霧流の湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。
また、温度センサ17Aによって検出される温度と温度センサ17Bによって検出される温度とが異なる場合には、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオフ状態にする。更に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる層状流または波状流の湿り蒸気の流量を算出する。
このようにして、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができる。
【0055】
図8は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図8に示す例では、ステップS20において、例えばヒータ制御部15が、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があるか否かを判定する。ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がない場合には、ステップS21Aに進む。一方、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がある場合には、ステップS21Bに進む。
上述したように、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第1例では、温度センサ17Aによって検出された温度と温度センサ17Bによって検出された温度とが等しい場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があると判定する。一方、温度センサ17Aによって検出された温度と温度センサ17Bによって検出された温度とが異なる場合には、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がないと判定する。
【0056】
ステップS21Aにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態に維持する。
次いで、ステップS22Aでは、ヒータ14がオフ状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS23Aでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS22Aにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS24Aでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS23Aにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を算出する。
【0057】
ステップS21Bにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。
次いで、ステップS22Bでは、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS23Bでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS22Bにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS24Bでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS23Bにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として算出する。
次いで、ステップS25において、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0058】
図9は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例の機能ブロックを示す図である。図10は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例の構成を示す図である。詳細には、図9(A)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例の主要部の概略図(Z軸方向のプラス側から見た概略的な水平断面図)であり、図9(B)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例の主要部をY軸方向のプラス側から見た概略的な鉛直断面図であり、図9(C)は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例の主要部をX軸方向のマイナス側から見た概略的な鉛直断面図である。
図9および図10に示す例では、クランプオン式超音波流量計1が、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測する。クランプオン式超音波流量計1は、第1超音波トランスデューサ11と、第2超音波トランスデューサ12と、演算部13と、ヒータ14と、ヒータ制御部15と、トランスデューサ制御部16と、温度センサ17Aとを備えている。
【0059】
図9および図10に示す例では、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12、ヒータ14および温度センサ17Aが配置されている位置において、配管Aが水平方向(図10(B)の左右方向)に延びている。温度センサ17Aは、水平方向に延びている配管Aの下部(図7(B)および図7(C)の下側の部分)に配置されている。詳細には、温度センサ17Aが、配管Aの中心軸線AXよりも下側(図7(B)および図7(C)の下側)に配置されている。
【0060】
図9および図10に示す例では、第2超音波トランスデューサ12は、第1超音波トランスデューサ11よりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れ(図10(A)および図10(B)の右向き)の下流側(図10(A)および図10(B)の右側)に配置されている。
ヒータ14は、第1超音波トランスデューサ11、第2超音波トランスデューサ12および温度センサ17Aよりも、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流れの上流側(図10(A)および図10(B)の左側)に配置されている。
【0061】
第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、ヒータ制御部15が、温度センサ17Aによって検出された温度に基づいて、ヒータ14を制御する。
【0062】
温度センサ17Aによって検出される温度が飽和蒸気相当温度未満である場合には、湿り蒸気が配管Aの流路A2内を流れていると推定することができる。また、温度センサ17Aによって検出される温度が飽和蒸気相当温度以上である場合には、乾き蒸気が配管Aの流路A2内を流れていると推定することができる。
そこで、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、温度センサ17Aによって検出される温度が飽和蒸気相当温度未満である場合に、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオン状態にする。その結果、ヒータ14は、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気を加熱して乾き蒸気にする。更に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を算出する。
また、温度センサ17Aによって検出される温度が飽和蒸気相当温度以上である場合には、ヒータ制御部15が、ヒータ14をオフ状態にする。更に、演算部13の流量算出部13Eは、配管Aの流路A2内を流れる乾き蒸気の流量を算出する。
このようにして、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量を計測することができる。
【0063】
図11は第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例において実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図11に示す例では、ステップS30において、例えばヒータ制御部15が、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があるか否かを判定する。ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がない場合には、ステップS31Aに進む。一方、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がある場合には、ステップS31Bに進む。
上述したように、第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の第2例では、温度センサ17Aによって検出された温度が飽和蒸気相当温度未満である場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要があると判定する。一方、温度センサ17Aによって検出された温度が飽和蒸気相当温度以上である場合に、例えばヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える必要がないと判定する。
【0064】
ステップS31Aにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態に維持する。
次いで、ステップS32Aでは、ヒータ14がオフ状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS33Aでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS32Aにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS34Aでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS33Aにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、配管Aの流路A2内を流れる乾き蒸気の流量を算出する。
【0065】
ステップS31Bにおいて、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオフ状態からオン状態に切り替える。
次いで、ステップS32Bでは、ヒータ14がオン状態に維持されている期間中に、演算部13の相関値算出部13Cが、第2超音波トランスデューサ12の受信部12Bによって出力された受信信号の波形と、第1超音波トランスデューサ11の受信部11Bによって出力された受信信号の波形との相互相関値を算出する。
次いで、ステップS33Bでは、演算部13の伝播時間差算出部13Dが、ステップS32Bにおいて演算部13の相関値算出部13Cによって算出された相関ピークの位置に基づいて、伝播時間差を算出する。
次いで、ステップS34Bでは、演算部13の流量算出部13Eが、ステップS33Bにおいて演算部13の伝播時間差算出部13Dによって算出された伝播時間差などに基づいて、ヒータ14による加熱によって得られた配管Aの流路A2内の乾き蒸気の流量を、配管Aの流路A2内を流れる湿り蒸気の流量として算出する。
次いで、ステップS35において、ヒータ制御部15は、ヒータ14をオン状態からオフ状態に切り替える。
【0066】
<適用例>
第1または第2実施形態のクランプオン式超音波流量計1の演算部13の流量算出部13Eによって算出された湿り蒸気の流量を、公知の流動様式線図にプロットすることによって、配管Aの流路A2内を流れる蒸気の湿り度を把握することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態および各例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1…クランプオン式超音波流量計、11…第1超音波トランスデューサ、11A…送信部、11B…受信部、12…第2超音波トランスデューサ、12A…送信部、12B…受信部、13…演算部、13A…第1受信信号取得部、13B…第2受信信号取得部、13C…相関値算出部、13D…伝播時間差算出部、13E…流量算出部、14…ヒータ、15…ヒータ制御部、16…トランスデューサ制御部、17A、17B…温度センサ、A…配管、A1…壁部、A2…流路、AX…中心軸線
図1
図2
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