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特許7300929認知機能促進支援システム、学習システム、推定システム、及び認知機能促進支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】認知機能促進支援システム、学習システム、推定システム、及び認知機能促進支援方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/00 20180101AFI20230623BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20230623BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20230623BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H50/30
A61B5/16 120
A61B10/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019151398
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021033524
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】513283707
【氏名又は名称】株式会社電通サイエンスジャム
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】TOPPANエッジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】満倉 靖恵
(72)【発明者】
【氏名】神谷 俊隆
(72)【発明者】
【氏名】落合 俊行
(72)【発明者】
【氏名】榊 晶子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 さやか
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504216(JP,A)
【文献】特表2009-541863(JP,A)
【文献】特開2015-229040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 20/00
G16H 50/30
A61B 5/16
A61B 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出する感情分析部と、
前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定する促進タイプ判定部と、
不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習モデルに学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成部と、
推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得する推定対象脳波取得部と、
前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する推定部と、
を備える認知機能促進支援システム。
【請求項2】
所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出する感情分析部と、
前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定する促進タイプ判定部と、
不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成部と、
を備える学習システム。
【請求項3】
不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波における、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを示す情報と、を対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、
推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得する推定対象脳波取得部と、
前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する推定部と、
を備える推定システム。
【請求項4】
感情分析部が、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出し、
促進タイプ判定部が、前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定し、
学習済みモデル生成部が、不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成し、
推定対象脳波取得部が、推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得し、
推定部が、前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する、
認知機能促進支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認知機能促進支援システム、学習システム、推定システム、及び認知機能促進支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では、高齢化の進展とともに、認知症の人数も増加している。平成24年度の時点において、65歳以上の高齢者のうち7人に1人程度が認知症であると言われている。年齢を重ねるほど、認知症を発症する可能性が高まり、高齢者の数の増加に伴って、認知症の人が今後も増え続けることが予想される。
認知症の患者が増えていく傾向にあることから、認知症の患者と、その支援者との間のコミュニケーションが重要となってくる。お互いのコミュニケーションがうまく取れないと、被支援者、支援者共に、大きな精神的負担となる可能性があるためである。
特許文献1には、認知症の患者(被支援者)の特異行動を感知し、その特異行動をより抑えるような「落ち着いた曲」と「落ち着いた画像」などの刺激を発生する支援システムが開示されている。特許文献1では、被支援者のパーソナルデータから、患者の趣味に応じた曲を選択したり、好みのバンドグループのライブ映像を選択したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/212134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、趣味に応じた曲を聞かせることにより、必ずしも特異行動が抑えられるとは限らない。単なる「落ち着いた曲」よりは、患者の趣味の「落ち着いた曲」のほうが、患者の反応がよい傾向にあるかも知れないが、患者の趣味の「落ち着いた曲」により、特異行動が抑えられるかは、実際に試してみないと判らない。しかも、趣味の曲は一曲に限らず、多数あることが一般である。趣味の曲が多数ある場合、全ての曲について特異行動が抑えられるか否かを試すのは、大変な手間がかかり、現実的でない。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、実際に試さなくとも、刺激に対するユーザの反応を予め推定することができる認知機能促進支援システム、学習システム、推定システム、及び認知機能促進支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上述した課題を解決するために、本発明は、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出する感情分析部と、前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定する促進タイプ判定部と、不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成部と、推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得する推定対象脳波取得部と、前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する推定部と、を備える認知機能促進支援システムである。
【0007】
また、本発明は、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出する感情分析部と、前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定する促進タイプ判定部と、不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成部と、を備える学習システムである。
【0008】
また、本発明は、不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波における、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを示す情報と、を対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを記憶する学習済みモデル記憶部と、推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得する推定対象脳波取得部と、前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する推定部と、を備える推定システムである。
【0009】
また、本発明は、感情分析部が、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくとも高揚度、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出し、促進タイプ判定部が、前記感情分析部により抽出された複数種類の感情の度合いに基づいて、前記刺激時脳波について、認知機能を促進する観点から分類される促進タイプを判定し、学習済みモデル生成部が、不特定のユーザ各々における、安静閉眼時の脳波を示す安静時脳波と前記刺激時脳波の前記促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、前記安静時脳波と前記促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成し、推定対象脳波取得部が、推定対象とする前記安静時脳波である推定対象脳波を取得し、推定部が、前記推定対象脳波、及び前記学習済みモデルを用いて、前記推定対象脳波における前記促進タイプを推定する、認知機能促進支援方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実際に試さなくとも、刺激に対するユーザの反応を予め推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る認知機能促進支援システム1の構成の例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る記憶部23に記憶される情報の例を示す図である。
図3A】実施形態に係る刺激種別情報230の例を示す図である。
図3B】実施形態に係る刺激時脳波情報231の例を示す図である。
図3C】実施形態に係る重みづけ情報232の例を示す図である。
図3D】実施形態に係る刺激種スコア情報233の例を示す図である。
図3E】実施形態に係る認知機能促進スコア情報234の例を示す図である。
図3F】実施形態に係る評価タイプ対応情報235の例を示す図である。
図3G】実施形態に係る促進タイプ情報236の例を示す図である。
図4】実施形態に係る認知機能促進支援システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
認知機能促進支援システム1は、認知症の患者に対し、個々の患者に適した刺激を選択することにより、患者の認知機能を促進させるための支援を行うシステムである。
図1は、実施形態に係る認知機能促進支援システム1の構成の例を示すブロック図である。認知機能促進支援システム1は、例えば、脳波計測装置10と、脳波分析装置20と、学習装置30と、推定装置40とを備える。
【0014】
脳波計測装置10は、人間(被計測者)の脳波を計測する装置である。脳波計測装置10は、例えば、被計測者の頭部に電極付きのヘッドバンド等を装着させることにより、被計測者の頭部における所定の位置に電極を接触させ、所定の計測周期で被計測者の脳波を取得する。
【0015】
脳波計測装置10は、被計測者の安静閉眼時における脳波(安静時脳波)を、所定時間(例えば、30秒間)計測する。ここでの安静閉眼時とは、椅子に腰かける等の安静にした状態で、起きたまま眼を閉じている状態である。脳波計測装置10は、計測した安静時脳波の時系列変化を示す情報を、脳波を一意に識別する識別情報(脳波ID)に対応づけて、学習装置30に出力する。
【0016】
脳波計測装置10は、被計測者に刺激を与えた場合の脳波(刺激時脳波)を、所定時間(例えば、5分間)計測する。ここでの刺激とは、被計測者が感じることができる複数の感覚のうち、少なくとも1つの感覚を刺激するものである。複数の感覚は、例えば、聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚で構成される、いわゆる五感である。例えば、聴覚を刺激する場合、被計測者に音楽や音声などの音を聞かせる。視覚、触覚、味覚、嗅覚を刺激する場合にも同様な方法を適用する。
【0017】
本実施形態では、複数の刺激が用意され、複数の刺激の全部、又は一部の刺激を与えた場合における被計測者の脳波を計測する。これにより、刺激と脳波の傾向の関係を取得する。
複数の刺激は、認知機能を促進する観点から用意されるものであって、懐かしさや面白さを感じさせるようなものである。このような刺激により、脳が高揚してワクワクしたり、ストレスが軽減されたりして脳が活性化し、認知機能が促進する可能性が高まる。
複数の刺激は、例えば、童謡、お笑い、思い出等である。
童謡は、子供向けの歌であり、懐かしさを感じるような歌である。
お笑いは、人を笑わせるための芸であって、例えば、落語、漫才、コント等である。
思い出は、懐かしさを感じさせるような過去の出来事であり、例えば、思い出の曲や、思い出の場所の写真等である。
上述したような、複数の刺激のそれぞれは、個々の被計測者に応じて選択されたものであってもよいし、被計測者の性別や年齢に応じて共通に選択される曲や写真であってもよい。
【0018】
脳波計測装置10は、計測した刺激時脳波の時系列変化を示す情報を、脳波ID、及び刺激の種類を一意に識別する情報(刺激種別ID)に対応づけて、脳波分析装置20、及び学習装置30に出力する。
【0019】
脳波分析装置20は、脳波を分析する装置である。具体的に、脳波分析装置20は、認知機能を促進する観点に基づいて刺激時脳波を複数のタイプ(後述する促進タイプ)に分類する。脳波分析装置20は、例えば、感情分析部21と、促進タイプ判定部22と、記憶部23とを備える。
【0020】
感情分析部21は、脳波の時系列変化に応じて、少なくともワクワク度(高揚度)、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いの時系列変化を抽出する。ワクワク度(高揚度)は、気持ちが興奮した時のような感覚のことであり、一般的にテンションが上がっていると表現される度合いのことを言う。すなわち、ワクワク度(高揚度)は、脳波から導出される、被計測者が高揚する度合いである。ストレス度は、脳波から導出される、被計測者がストレスを受けた度合いである。複数種類の感情には、ワクワク度及びストレス度の他に、好き度、集中度、及び沈静度などがある。好き度は、脳波から導出される被計測者が好感を抱く度合いである。集中度は、脳波から導出される被計測者が集中した度合いである。沈静度は、脳波から導出される被計測者が落ち着きを示す度合いである。
【0021】
感情分析部21は、例えば、計算モデルを用いて、これら複数種類の感情の度合いを脳波から抽出する。この計算モデルは、例えば、複数の人間に対して、ワクワク度、好き度、ストレス度、集中度及び沈静度などの複数種類の感情の各々を生じさせた脳波を取得し、この脳波に対して統計処理を行いて生成されたモデルである。このような計算モデルを用いることで、脳波から、複数種類の感情の度合いをそれぞれ抽出することができる。
【0022】
感情分析部21は、被計測者の脳波から抽出した複数種類の感情のそれぞれの度合いの時系列変化を、脳波ID、及び刺激種別IDと対応付けて、促進タイプ判定部22に出力する。
【0023】
促進タイプ判定部22は、感情分析部21からの複数種類の感情それぞれの度合いの時系列変化に基づいて、促進タイプを判定する。促進タイプとは、何れの刺激の種類により、どの程度認知機能が促進されるかに応じて分類される複数のタイプである。
【0024】
促進タイプ判定部22は、例えば、感情分析部21から取得した複数種類の感情それぞれの度合いの時系列変化における、開始時の度合いと、開始後の度合いを抽出する。開始時の度合いとは、例えば、刺激時脳波の計測が開始された後、所定時間(例えば、30秒間)の度合いの平均値である。開始後の度合いとは、刺激時脳波の取得が開始された後、所定時間(例えば、30秒間)経過後から刺激時脳波の計測が終了するまでの、任意の時間区間(例えば、30秒間)の度合いの平均値である。
【0025】
促進タイプ判定部22は、抽出した開始時と開始後の度合いそれぞれの差分を示す変化度合いを算出する。促進タイプ判定部22は、開始時の度合い、開始後の度合い、変化度合いを、脳波ID、及び刺激種別IDと対応付けて、記憶部23の刺激時脳波情報231(図3B参照)として記憶させる。
【0026】
促進タイプ判定部22は、算出した変化度合いのそれぞれに、感情に応じた重みづけを行う。重みづけは、例えば、記憶部23の重みづけ情報232(図3C参照)に記憶されている。例えば、ワクワク度が上がり、ストレス度が下がった場合に、最も認知機能が促進されるとすれば、ワクワク度の重みは正(プラス)の値であって、他の感情と比較して、大きな値(例えば、0.8)に設定される。ストレス度の重みは負(マイナス)の値であって、他の感情と比較して絶対値で大きな値(例えば、-0.8)に設定される。好き度、集中度、及び沈静度は、ワクワク度の重みづけと比較して、絶対値で小さな値(例えば、0.3、0.1、-0.1)に設定される。すなわち、認知機能が促進される観点から、刺激に対して上昇することが重要な感情は、正(プラス)の絶対値が大きな重みづけが設定され、下降することが重要な感情は、負(マイナス)の絶対値が大きな重みづけが設定される。
【0027】
促進タイプ判定部22は、重みづけした変化の度合いのそれぞれを合算することにより、促進スコアを算出する。促進タイプ判定部22は、変化の度合い、重みづけした変化の度合い、及び促進スコアを、脳波ID、刺激種別IDと対応付けて、記憶部23に促進スコア情報233(図3D参照)として記憶させる。
【0028】
促進タイプ判定部22は、算出した促進スコアの値に応じた評価を対応付ける。評価は、例えば、A~Cの三段階で行われるものであり、促進スコアが0点~100点までの間を取り得る場合、0点以上40点未満を「C」評価とし、40点以上80点未満を「B」評価とし、80点以上100点以下を「A」評価とする。促進タイプ判定部22は、促進スコアと評価を、脳波ID、刺激種別IDと対応付けて、記憶部23に評価情報234(図3E参照)として記憶させる。
【0029】
なお、上記は、あくまでも一例であり、評価が「A」~「C」の三段階である場合に限定されない。評価は二段階以下で行われてもよいし、四段階以上であってもよい。また、評価は、「A」~「C」などの記号でなくともよく、数値(つまり、評価値)であってもよい。
【0030】
促進タイプ判定部22は、複数の刺激のそれぞれについて、促進スコアを算出し、算出した評価を対応付ける。促進タイプ判定部22は、複数の刺激のそれぞれ評価の組合せに応じて、記憶部23の評価タイプ対応情報235(図3F参照)を参照し、促進タイプを判定する。評価タイプ対応情報235には、複数の刺激の評価の組合せと、促進タイプとが対応付けられて記憶されている。促進タイプ判定部22は、判定した促進タイプを、脳波IDと対応付けて、記憶部23に促進タイプ情報236(図3G参照)として記憶させる。また、促進タイプ判定部22は、判定した促進タイプを、脳波IDと対応付けて学習装置30に送信する。
【0031】
図2は、実施形態に係る記憶部23に記憶される情報の例を示す図である。図2に示すように記憶部23は、例えば、刺激種別情報230と、刺激時脳波情報231と、重みづけ情報232と、促進スコア情報233と、評価情報234と、評価タイプ対応情報235と、促進タイプ情報236を備える。
【0032】
図3Aは、実施形態に係る刺激種別情報230の例を示す図である。刺激種別情報230は、複数の刺激のそれぞれに関する情報である。この例では、刺激種別情報230は、刺激種別ID、内容、備考等の各項目により構成される。刺激種別IDは刺激の種別(刺激種別)を一意に識別する情報である。内容は刺激種別の具体的な内容を示し、この例では、童謡、お笑い、思い出が示されている。備考には刺激のより具体的な内容(例えば、童謡であれば、ジャンルや、タイトルなど)が示される。
【0033】
図3Bは、実施形態に係る刺激時脳波情報231の例を示す図である。刺激時脳波情報231は、刺激時脳波に関する情報である。刺激時脳波情報231は、同一の脳波IDにつき、つまり同一の被計測者の刺激時脳波に対し、刺激種別ごとに生成される。この例では、刺激時脳波情報は、脳波ID、刺激種別ID、感情度等の各項目を備える。脳波IDは脳波を一意に識別する情報である。刺激種別IDは刺激種別を一意に識別する情報である。感情度は、感情の度合いであって、複数種類の感情(ワクワク度、好き度、ストレス度、集中度、沈静度)のそれぞれの項目を備える。複数の種類の感情のそれぞれには、開始時、開始後、変化の度合いの各項目があり、各項目には、開始時の感情の度合い、開始後の感情の度合い、変化の度合いが示される。この例では、脳波ID(0001)の刺激時脳波について、刺激種別ID(1002)(お笑い)の刺激により、ワクワク度が27(=72-45)上昇し、ストレス度が21(=|45-66|)下降したことが示されている。
【0034】
図3Cは、実施形態に係る重みづけ情報232の例を示す図である。重みづけ情報232は、認知機能が促進される観点から決定された、複数種類の感情のそれぞれの重みづけである。この例では、ワクワク度の重みづけが0.8、好き度の重みづけが0.3、ストレス度の重みづけが-0.8、集中度の重みづけが0.1、沈静度の重みづけが-0.1である場合が示されている。重みづけ情報は、性別や年齢などのカテゴリに応じて生成されてもよい。
【0035】
図3Dは、実施形態に係る促進スコア情報233の例を示す図である。促進スコア情報233は、刺激時脳波に基づいて算出される促進スコアに関する情報である。促進スコア情報233は、同一の脳波IDにつき、刺激種別ごとに生成される。この例では、促進スコア情報は、脳波ID、刺激種別ID、感情度等の各項目を備える。これらの項目は、刺激時脳波情報231と同等であるため、その説明を省略する。複数種類の感情のそれぞれには、変化の度合い、重みづけ変化度合いの各項目がある。変化の度合いは、刺激時脳波情報231の変化度合いと同等である。重みづけ変化度合いには、変化の度合いに、重みづけ情報232に示される感情に応じた重みづけを乗算した値が示される。また、複数種類の感情のそれぞれを統合して促進スコアの項目がある。促進スコアには、重みづけ変化度合いを合算した値が、促進スコアを示す点数として示される。この例では、脳波ID(0001)の刺激時脳波について、刺激種別ID(1002)(お笑い)の刺激による促進スコアが46点であったことが示されている。
【0036】
図3Eは、実施形態に係る評価情報234の例を示す図である。評価情報234は、刺激時脳波に対する評価に関する情報である。評価情報234は、同一の脳波IDにつき、刺激種別ごとに生成される。この例では、評価情報は、脳波ID、刺激種別ID、促進スコア、評価等の各項目を備える。脳波ID、刺激種別IDの各項目は刺激時脳波情報231と同等であり、促進スコアは促進スコア情報233の促進スコアと同等である。評価には、促進スコアに応じた評価が示される。この例では、脳波ID(0001)の刺激時脳波について、刺激種別ID(1002)(お笑い)の刺激による評価が「B」であったことが示されている。
【0037】
図3Fは、実施形態に係る評価タイプ対応情報235の例を示す図である。評価タイプ対応情報235は、複数種類の感情ごとの評価の組合せと、促進タイプとの関係を示す情報である。このように、促進タイプは、タイプ1からタイプN(Nは2以上の任意の自然数)…といった、複数のタイプに分類されてよい。この例では、童謡が評価A、お笑いが評価C、思い出が評価Cである刺激時脳波が促進タイプ1に分類されることを示している。また、童謡が評価A、お笑いが評価B、思い出が評価Cである刺激時脳波が促進タイプ2に分類されることを示している。
【0038】
図3Gは、実施形態に係る促進タイプ情報236の例を示す図である。促進タイプ情報236は、被計測者の刺激時脳波が何れの促進タイプであるかを示す情報である。促進タイプ情報236は、脳波IDごとに生成される。この例では、脳波ID(0001)の被計測者の刺激時脳波が、促進タイプ2に分類されたことを示している。促進タイプ2は、評価タイプ対応情報235のタイプに該当し、童謡が評価A、お笑いが評価B、思い出が評価Cである。つまり、この被計測者の刺激時脳波から、被計測者の認知機能が最も促進される刺激が「童謡」であり、やや促進される刺激が「お笑い」である、ほとんど促進されない刺激が「思い出」であることが判定されたことを示している。
【0039】
図1に戻り、学習装置30は、安静時脳波と促進タイプとの関係を機械学習により学習した学習済みモデルを生成する。学習装置30は、例えば、学習対象脳波取得部31と、促進タイプ取得部32と、学習用データセット生成部33と、学習済みモデル生成部34とを備える。
【0040】
学習対象脳波取得部31は、脳波計測装置10により計測された被計測者の安静時脳波を示す情報を取得し、取得した情報を学習用データセット生成部33に出力する。
促進タイプ取得部32は、脳波分析装置20により判定された被計測者の刺激時脳波の促進タイプを示す情報を取得し、取得した情報を学習用データセット生成部33に出力する。
学習用データセット生成部33は、学習対象脳波取得部31から取得した安静時脳波と、促進タイプ取得部32から取得した促進タイプとを用いて、学習用のデータセットを生成する。学習用データセット生成部33は、同一の脳波IDで紐づけられる安静時脳波と促進タイプとを組み合わせることにより学習用のデータセットを生成する。
【0041】
これにより、安静時脳波の特徴と、促進タイプとが対応付けられる。例えば、ワクワク度とストレス度の平均値が一定数値以上の安静時脳波が、「童謡」の刺激により最も認知機能が促進されるが、他の刺激ではほとんど促進されない、促進タイプ1に対応付けられる。また、例えば、ストレスの平均値が中程度(例えば、40~60程度)の安静時脳波が、「童謡」の刺激により最も認知機能が促進されるが、「お笑い」の刺激でやや促進され、「思い出」の刺激ではほとんど促進されない促進タイプ2に対応付けられる。
【0042】
学習用データセット生成部33は、不特定多数の被計測者における安静時脳波(「学習対象脳波」の一例))と促進タイプとを取得し、所定数の学習用のデータセットを生成する。学習用のデータセットの数が多い程、様々な安静時脳波と促進タイプとの関係を学習することが可能である。
また、学習用データセット生成部33は、被計測者の属性(例えば、性別や年代、認知機能の程度など)に応じて学習用のデータセットを複数生成するようにしてもよい。この場合、学習用データセット生成部33は、脳波IDに基づいて、属性情報を参照する。属性情報は、脳波IDと被計測者の属性情報とが紐づけられた情報であって、例えば、学習装置30の図示しない記憶部に記憶された情報である。
【0043】
学習済みモデル生成部34は、学習用データセット生成部33により生成された学習用のデータセットを用いて、学習モデルに機械学習させることにより、学習済みモデルを生成する。学習済みモデル生成部34は、教師有り学習により学習モデルを学習させる。学習モデルは、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)である。CNNは、入力層、隠れ層(中間層)、出力層の3つの階層により構成されるモデルである。入力層には推定の対象となるデータ(入力データ)が入力される。出力層からは、学習された結果を示すデータ(推定結果)が出力される。隠れ層は、学習の核となる処理を行う。例えば、隠れ層は、入力を活性化関数(伝達関数)と呼ばれる関数により表現される値に変換して出力する。例えば、活性化関数は、正規化線形関数や、シグモイド関数、ステップ関数などであるが、これに限定されず、任意の関数が用いられてよい。
本実施形態における学習用のデータセットの入力は安静時脳波であり、出力は促進タイプである。
【0044】
学習済みモデル生成部34は、学習モデルに、学習用のデータセットの入力データを入力させる。学習モデルは、入力データに対する隠れ層の処理を経て、出力層から推定結果を出力する。学習モデルは、出力層から出力された推定結果が学習用のデータセットの出力に近づくように、隠れ層の処理パラメータを調整する。学習済みモデル生成部34は、所定数の学習用のデータセットの全てについて、出力層から出力された推定結果が学習用のデータセットの出力に近づくように、隠れ層の処理パラメータの調整を繰り返し行う。このようにして、学習用のデータセットの入力に対し、学習用のデータセットの出力に近い値を、推定結果として出力することができるように学習させた学習モデルが、学習済みモデルとなる。学習済みモデル生成部34は、生成した学習済みモデルを示す情報を、推定装置40に送信する。
【0045】
推定装置40は、推定対象とする被計測者の安静時脳波(「推定対象脳波」の一例))と、学習済みモデルとを用いて、推定対象とする安静時脳波の促進タイプを推定する。推定装置40は、例えば、推定対象脳波取得部41と、促進タイプ推定部42と、学習済みモデル記憶部43とを備える。推定対象脳波取得部41は、脳波計測装置10から、促進タイプを推定する対象となる安静時脳波を取得し、取得した安静時脳波を、促進タイプ推定部42に出力する。学習済みモデル記憶部43は、学習装置30により生成された学習済みモデルを記憶する。促進タイプ推定部42は、推定対象脳波取得部41からの安静時脳波を、学習済みモデルに入力させる。促進タイプ推定部42は、学習済みモデルからの出力を、安静時脳波に対する促進タイプを推定した推定結果とする。促進タイプ推定部42は、推定結果を、例えば、推定装置40の図示しない表示部に表示させる。或いは、促進タイプ推定部42は、推定結果を、推定装置40の図示しない記憶部に記憶させるようにしてもよい。
【0046】
図4は、実施形態に係る認知機能促進支援システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。認知機能促進支援システム1が行う処理には、学習段階と実行段階がある。
【0047】
まず、学習段階の処理の流れを説明する。
脳波計測装置10は、安静閉眼時の脳波(安静時脳波)を計測し(ステップS10)、計測した安静時脳波を示す情報を学習装置30に送信する。学習装置30は、脳波計測装置10から安静時脳波を示す情報を取得する(ステップS11)。
脳波計測装置10は、刺激時の脳波(刺激時脳波)を計測し(ステップS12)、計測した刺激時脳波を示す情報を脳波分析装置20に送信する。脳波分析装置20は、脳波計測装置10から刺激時脳波を示す情報を取得する(ステップS13)。
脳波分析装置20は、脳波計測装置10から取得した刺激時脳波の促進タイプを判定し(ステップS14)、判定した促進タイプを学習装置30に送信する。学習装置30は、脳波分析装置20から促進タイプを示す情報を取得する(ステップS14)。
脳波分析装置20は、ステップS11で取得した安静時脳波と、ステップS14で取得した促進タイプとを組み合わせることにより学習用のデータセットを生成する(ステップS15)。
認知機能促進支援システム1は、ステップS100(ステップS10~S15)を繰り返すことにより、所定数の学習用のデータセットを生成する。
学習装置30は、学習用のデータセットを用いて、学習済みモデルを生成し(ステップS20)、生成した学習済みモデルを推定装置40に送信する。推定装置40は、学習装置30から取得した学習済みモデルを記憶させる(ステップS21)。
【0048】
次に、実行段階の処理の流れを説明する。
脳波計測装置10は、安静閉眼時の脳波(安静時脳波)を計測し(ステップS30)、計測した安静時脳波を示す情報を推定装置40に送信する。推定装置40は、脳波計測装置10から安静時脳波を示す情報を取得する(ステップS31)。推定装置40は、取得した安静時脳波を、ステップS21で記憶させた学習済みモデルに入力させることにより得られる出力に基づいて、安静時脳波の促進タイプを推定する(ステップS32)。
【0049】
以上説明したように、実施形態の認知機能促進支援システム1は、感情分析部21と、促進タイプ判定部22と、学習済みモデル生成部34と、推定対象脳波取得部41と、促進タイプ推定部42とを備える。感情分析部21は、所定の刺激を受けた際の脳波を示す刺激時脳波から、少なくともワクワク度(高揚度)、及びストレス度を含む複数種類の感情の度合いを抽出する。促進タイプ判定部22は、感情分析部21により抽出された複数種類の感情の度合いから、刺激時脳波が、認知機能を促進する観点から分類される複数の促進タイプのいずれであるかを判定する。学習済みモデル生成部34は、不特定の被計測者の各々における、安静時脳波と促進タイプを示す情報とを対応付けた学習用のデータセットを学習させることにより、安静時脳波と促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成する。推定対象脳波取得部41は、推定対象の安静時脳波を取得する。促進タイプ推定部42は、推定対象の安静時脳波、及び学習済みモデルを用いて、推定対象の安静時脳波における促進タイプを推定する。
【0050】
これにより、実施形態の認知機能促進支援システム1では、推定対象とする対象ユーザの安静時脳波から、その対象ユーザの促進タイプを推定することができる。促進タイプは、どのような刺激が認知機能を促進するかという観点で分類されたタイプである。したがって、実際に試さなくとも、刺激に対するユーザの反応を予め推定することができる。
【0051】
また、促進タイプは、感情分析部21により抽出した、刺激時脳波において変化した感情の度合いを用いて判定されている。このような促進タイプと安静時脳波との関係を学習した学習済みモデルを用いることで、対象ユーザが意識して把握している趣味や嗜好だけでなく、深層心理を踏まえた促進タイプを推定することが可能である。
実施形態の認知機能促進支援システム1が、このような促進タイプを予め推定することにより、あらゆる刺激に対する反応を実際に試すことなく、効率よく促進タイプに応じた刺激を選択して、効果的に認知機能を促進させることができる。
また、対象ユーザから趣味や嗜好について質問しても正しい回答が得られない状況であったとしても、その対象ユーザの促進タイプを推定することが可能である。
【0052】
また、促進タイプは、感情分析部21により抽出した、刺激時脳波において変化した感情の度合いを用いて判定されている。同一人物の安静時脳波と刺激時脳波とはその人物の脳波として密接に関係することから、安静時脳波と、刺激時脳波に基づいて判定された促進タイプとは相関関係を有する。このため、安静時脳波と促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを用いた推定を行うことで、対象ユーザの安静時脳波から促進タイプを精度よく推定することが可能である。
【0053】
実施形態の認知機能促進支援システム1を学習システムとして機能させてもよい。この場合、学習システムは、感情分析部21と、促進タイプ判定部22と、学習済みモデル生成部34とを備える。これにより、学習システムは、安静時脳波と促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを生成することができる。このような学習済みモデルを用いることで実際に試さなくとも、刺激に対するユーザの反応を予め推定することができ、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0054】
実施形態の認知機能促進支援システム1を推定システムとして機能させてもよい。この場合、推定システムは、学習済みモデル記憶部43と、促進タイプ推定部42を備える。学習済みモデル記憶部43は、学習装置30により生成された学習済みモデルを記憶する。これにより、推定システムは、安静時脳波と促進タイプとの関係を学習した学習済みモデルを用いて、実際に試さなくとも、刺激に対するユーザの反応を予め推定することができ、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0055】
上述した実施形態における認知機能促進支援システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…認知機能促進支援システム
10…脳波計測装置
20…脳波分析装置
21…感情分析部(感情分析部)
22…促進タイプ判定部(促進タイプ判定部)
23…記憶部
30…学習装置
31…学習対象脳波取得部
32…促進タイプ取得部
33…学習用データセット生成部
34…学習済みモデル生成部(学習済みモデル生成部)
40…推定装置
41…推定対象脳波取得部(推定対象脳波取得部)
42…促進タイプ推定部(推定部)
43…学習済みモデル記憶部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4