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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】塗装システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 16/20 20180101AFI20230623BHJP
   B05B 13/02 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
B05B16/20
B05B13/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019169792
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2021045712
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】593081224
【氏名又は名称】タクボエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104488
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 良夫
(72)【発明者】
【氏名】西川 俊博
(72)【発明者】
【氏名】小島 光
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-029153(JP,A)
【文献】特開2008-155124(JP,A)
【文献】特開平05-112880(JP,A)
【文献】特開2002-050619(JP,A)
【文献】特開平11-253849(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 12/00-16/80
B05C 7/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV塗料を用いてワークの塗装を行う塗装システムであって、
中央エリア(2)と、
該中央エリア(2)の周囲に中央エリア(2)と連通した状態で設置された、ワークに塗料を塗布するための塗装エリア(3)と、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分を蒸発させるためのセッティングエリア(4)と、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化させるためのUV照射エリア(5)と、塗装が完了したワークを搬出するとともに塗装前のワークを搬入するための搬出入エリア(6)と、
前記塗装エリア(3)内においてワークに向けて塗料を噴射するための塗装装置(8)と、
前記中央エリア(2)に回動自在に設置され、回動することで、搬出入エリア(6)に搬入された塗装前のワークを塗装エリア(3)内へ搬送し、塗装エリア(3)内において塗料が塗布されたワークをセッティングエリア(4)の正面側へ搬送し、セッティングエリア(4)内で揮発成分が蒸発されたワークをUV照射エリア(5)の正面側へ搬送し、及び、UV照射エリア(5)で紫外線が照射されたワークを搬出入エリア(6)の正面側へ搬送するワーク搬送手段(7)と、
セッティングエリア(4)の正前側に搬送されたワークのセッティングエリア(4)内への移送、UV照射エリア(5)の正前側に搬送されたワークのUV照射エリア(5)内への移送、搬出入エリア(6)の正前側に搬送されたワークの搬出入エリア(6)内への移送をそれぞれ行い、又は、セッティングエリア(4)内、UV照射エリア(5)内、搬出入エリア(6)内のワークをそれぞれ、セッティングエリア(4)の正前側、UV照射エリア(5)の正前側、搬出入エリア(6)の正前側に戻すためのワーク移送手段(29)と、
前記セッティングエリア(4)、UV照射エリア(5)、搬出入エリア(6)をそれぞれ密閉するための開閉扉(28)と、を具備し、
前記ワーク搬送手段(7)は、
中央エリア()に回動自在に設置された回動部(10)と、回動部(10)の外周側に等角度で連設された複数本の第1旋回アーム(11)と、それぞれの第1旋回アーム(11)の先端側に回動自在に備えられたワーク連結部(13)と、該ワーク連結部(13)を回動するための駆動部と、を具備し、
塗装エリア(3)内で塗料が塗布されたワークをセッティングエリア(4)、UV照射エリア(5)、及び搬出入エリア(6)に順次移動して、ワークをセッティングエリア(4)及びUV照射エリア(5)においてそれぞれワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分の蒸発、ワークへの紫外線照射を行った後に、搬出入エリア(6)から搬出することを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
前記駆動部がモーターであり、該モーターと前記ワーク連結部(13)とをベルトで連結することで、ワーク連結部(13)を回動可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記モーターは、カップリング(19)と、該カップリング(19)を磁力により非接触の状態で回動するモーターベース(20)であることを特徴とする請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
前記第1旋回アーム(11)のそれぞれの先端部分に一対の第2旋回アーム(12)を連設し、該一対の第2旋回アーム(12)のそれぞれの先端側に前記ワーク連結部(13)を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗装システム。
【請求項5】
前記セッティングエリア(4)を密閉するための開閉扉(28)及び前記搬出入エリア(6)を密閉するための開閉扉(28)は、セッティングエリア(4)と中央エリア(2)との連通、及び搬出入エリア(6)と中央エリア(2)との連通を遮断した際に中央エリア(2)内に供給された空気を整流するための整流板(30)を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗装システム。
【請求項6】
前記塗装装置(8)が中央エリア(2)に設置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の塗装システム。
【請求項7】
前記塗装装置(8)が塗装エリア(3)に設置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の塗装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は塗装システムに係り、より詳しくは、UV塗料を用いたワークの塗装に際して、塗装エリアをコンパクトにすることで、コストを抑えるとともに塗装時間の短縮を可能とした塗装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワークの塗装に際しては、熱を加えることで硬化してワークに焼き付けることが可能な熱硬化塗料を用いることが一般的であったが、この熱硬化塗料を用いた塗装では、塗装が終了したワークに熱風を与えて焼き付けを行う工程に時間がかかるために、塗装ラインに大きなスペースが必要となり、そのために、塗装システムの全体が大型化してしまうという問題点が指摘されていた。
【0003】
即ち、熱硬化塗料を用いた塗装では、ワークへの塗料の吹き付けが終了した後は、セッティングエリアにおいて4~5分程度の乾燥を行って揮発成分を蒸発させ、その後に加熱室において、80度前後の熱風を加え、それにより塗料を硬化してワークへの焼き付けを行う必要がある。
【0004】
そのために、従来は、塗装が終了したワークをコンベアによりワークを搬送しつつ、搬送の途中で、乾燥、加熱の工程を行っていた。従ってそれにより、コンベアのラインが長くならざるを得ず、塗装システムの全体が大型化してしまい、大きなスペースを必要としていた。
【0005】
この点、従来から塗料の中には紫外線を照射することで硬化して塗膜になる塗料(以下「UV塗料」という。)が存在しており、このUV塗料を用いたワークの塗装では、塗膜を硬化するための時間が熱硬化塗料に比べると短いために、熱硬化塗料を用いた塗装システムに比べると塗装に要する時間が短くなるとともに、塗装ラインを小さくすることも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-024395号公報
【文献】特開2012-045513号公報
【文献】特開2012-040450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このUV塗料を用いたワークの塗装においても、従来は、コンベアによりワークを搬送していたために、ある程度の大きさのスペースを必要としているために、塗装エリアは大型化せざるを得なかった。
【0008】
そこで本発明は、UV塗料を用いたワークの塗装において、塗装システム全体をコンパクトすることにより、スペースをとらず、なおかつ短時間でワークの塗料を完了することが可能な塗装システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の塗装システムは、
UV塗料を用いてワークの塗装を行う塗装システムであって、
中央エリアと、
前記中央エリアの周囲に中央エリアと連通して設置された、ワークに塗料を塗布するための塗装エリアと、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分を蒸発させるためのセッティングエリアと、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化させるためのUV照射エリアと、塗装が完了したワークを搬出するとともに塗装前のワークを搬入するための搬出入エリアと、
前記塗装エリア内においてワークに向けて塗料を噴射するための塗装装置と、
前記中央エリアに回動自在に設置され、回動することで、搬出入エリアに搬入された塗装前のワークを塗装エリア内へ搬送し、塗装エリア内において塗料が塗布されたワークをセッティングエリアの正面側へ搬送し、セッティングエリア内で揮発成分が蒸発されたワークをUV照射エリアの正面側へ搬送し、及び、UV照射エリアで紫外線が照射されたワークを搬出入エリアの正面側へ搬送するワーク搬送手段と、
前記セッティングエリアの正前側に搬送されたワークのセッティングエリア内への移送、UV照射エリアの正前側に搬送されたワークのUV照射エリア内への移送、搬出入エリアの正前側に搬送されたワークの搬出入エリア内への移送をそれぞれ行い、又は、セッティングエリア内、UV照射エリア内、搬出入エリア内のワークをそれぞれ、セッティングエリアの正前、UV照射エリアの正前、搬出入エリアの正前に戻すためのワーク移送手段と、
前記セッティングエリア、UV照射エリア、搬出入エリアをそれぞれ密閉するための開閉扉と、を具備し、
前記ワーク搬送手段は、
中央エリアに回動自在に設置された回動部と、回動部の外周側に等角度で連設された複数本の第1旋回アームと、それぞれの第1旋回アームの先端側に回動自在に備えられたワーク連結部と、該ワーク連結部を回動するための駆動部と、を具備し、
塗装エリア内で塗料が塗布されたワークをセッティングエリア、UV照射エリア、及び搬出入エリアに順次移動して、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分の蒸発、ワークへの紫外線照射を行った後に、搬出入エリアから搬出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗装システムでは、UV塗料を用いてワークの塗装を行う塗装システムにおいて、ワークを搬送するワーク搬送手段が回動自在に設置された中央エリアの周囲に、ワークに塗料を塗布するための塗装エリアと、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分を蒸発せるためのセッティングエリアと、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化させるためのUV照射エリアと、塗装が完了したワークを搬出するとともに塗装前のワークを搬入するための搬出入エリアを配置して、ワーク搬送手段によって、搬出入エリアに搬入されたワークを塗装エリア、セッティングエリア、UV照射エリアに順次移送して、塗装を完了することとしている。
【0011】
従って、コンベアを用いてワークを搬送しつつセッティング、紫外線照射の工程を行う従来の塗装システムと異なり、塗装システム全体をコンパクトにすることができ、大きなスペースを必要とせず、なおかつ短時間でワークの塗料を完了することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の塗装システムの実施例の外観を示す図である。
図2】本発明の塗装システムの実施例の内部を説明するための図である。
図3】本発明の塗装システムの実施例の内部を説明するための図である。
図4】本発明の塗装システムの実施例における塗装装置とワーク搬送手段を説明するための図である。
図5】本発明の塗装システムの実施例における塗装装置とワーク搬送手段を説明するための図である。
図6】本発明の塗装システムの実施例における塗装装置とワーク搬送手段を説明するための図である。
図7】本発明の塗装システムの実施例における塗装装置とワーク搬送手段を説明するための図である。
図8】本発明の塗装システムの実施例におけるワーク取付治具を説明するための図である。
図9】本発明の塗装システムの実施例におけるワーク移送手段を説明するための図である。
図10】本発明の塗装システムの実施例におけるワーク移送手段を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の塗装システムは、UV塗料を用いてワークの塗装を行う塗装システムであって、ワークを搬送するワーク搬送手段が回動自在に設置される中央エリアを有しており、この中央エリアの周囲には、塗装エリアと、セッティングエリアと、UV照射エリアと、搬出入エリアが配置されている。
【0014】
そして、塗装エリアは、ワークに塗料を塗布するためのエリアとしており、セッティングエリアは、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分を蒸発させるためのエリアとし、UV照射エリアは、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化させるためのエリアとし、搬出入エリアは、塗装が完了したワークを搬出するとともに塗装前のワークを搬入するためのエリアとしており、中央エリア又は塗装エリアには、ワークに向けて塗料を噴射してワークに塗料を塗布するための塗装装置が備えられている。
【0015】
また、中央エリアに回動自在に設置されたワーク搬送手段は、回動することで、搬出入エリアに搬入された塗装前のワークを塗装エリア内へ搬送し、塗装エリア内において塗料が塗布されたワークをセッティングエリアの正面側へ搬送し、セッティングエリア内で揮発成分が蒸発されたワークをUV照射エリアの正面側へ搬送し、及び、UV照射エリアで紫外線が照射されて塗料が硬化したワークを搬出入エリアの正面側へ搬送することとしている。
【0016】
更に、本発明の塗装システムでは、セッティングエリア用のワーク移送手段と、UV照射エリア用のワーク移送手段と、搬出入エリア用のワーク移送手段を有している。そして、セッティングエリア用のワーク移送手段は、ワーク搬送手段によりセッティングエリアの正前側に搬送されたワークをセッティングエリア内へ移送し、又はセッティングエリア内に移送されたワークをワーク搬送手段に戻すために用いられる。また、UV照射エリア用のワーク移送手段は、ワーク搬送手段によりUV照射エリアの正前側に搬送されたワークをUV照射エリア内へ移送し、又はUV照射エリア内に移送されたワークをワーク搬送手段に戻すために用いられる。更に、搬出入エリア用のワーク移送手段は、ワーク搬送手段により搬出入エリアの正前側に搬送されたワークを搬出入エリア内へ移送し、又は搬出入エリア内に搬入された塗装前のワークを搬出入エリアの正前に移送するために用いられる。
【0017】
また、本発明の塗装システムでは、セッティングエリアを密閉するためのセッティングエリア用の開閉扉と、UV照射エリアを密閉するためのUV照射エリア用の開閉扉と、搬出入エリアを密閉するための搬出入エリア用の開閉扉を具備している。
【0018】
更に、ワーク搬送手段は、中央エリアに回動自在に設置された回動部と、回動部の外周側に等角度で連設された複数本の第1旋回アームと、それぞれの第1旋回アームの先端側に回動自在に備えられたワーク連結部と、ワーク連結部を回動するための駆動部を具備している。
【0019】
そして、塗装エリア内で塗料が塗布されたワークを、セッティングエリア、UV照射エリア、及び搬出入エリアに順次移動して、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分の蒸発、ワークへの紫外線照射を行った後に、搬出入エリアから搬出することとしている。
【0020】
ここで、ワーク搬送手段におけるワーク連結部を回動するための駆動部としてモーターを用いて、このモーターとワーク連結部とをベルトで連結することで、ワーク連結部を回動可能にするとよく、このとき、モーターは、カップリングと、このカップリングを磁力により非接触の状態で回動するモーターベースで構成すると良い。
【0021】
また、第1旋回アームのそれぞれの先端部分に一対の第2旋回アームを連設し、この一対の第2旋回アームのそれぞれの先端側にワーク連結部を備えるとよい。
【0022】
更に、セッティングエリアを密閉するための開閉扉搬出入エリアを密閉するための開閉扉に、セッティングエリアと中央エリアとの連通、及び搬出入エリアと中央エリアとの連通を遮断した際に、中央エリア内に供給された空気を整流する整流板を備えるとよい。
【実施例1】
【0023】
本発明の塗装システムの実施例について図を参照して説明すると、図1乃至図3は、本実施例の塗装システムを説明するための図であり、図1は外観を示している。また、図2及び図3は内部構成を説明するための図であり、イメージ図としている。そして、図において1が本実施例の塗装システムであり、本実施例の塗装システム1は、UV塗料を用いてワークを塗装するためのシステムとしている。
【0024】
ここで、本実施例の塗装システム1の構成を説明すると、本実施例の塗装システム1は、中央エリアを有しており、この中央エリアの周囲に、ワークを塗装するための各工程を行うエリアを配置している。そして、中央エリアには、回動自在にしてワーク搬送手段が設置されており、このワーク搬送手段によって、ワークを各エリアに搬送し、各エリアで所定の工程を行うことで、ワークの塗装を完了する構成としている。
【0025】
即ち、図2、3において2が中央エリアであり、この中央エリア2の周囲には、塗装エリア3、セッティングエリア4、UV照射エリア5、及び搬出入エリア6が、時計回りに配置されており、塗装エリア3、セッティングエリア4、UV照射エリア5、及び搬出入エリア6はそれぞれ、中央エリア2と通じている。
【0026】
そして、塗装エリア3は、ワークに向けて塗料を噴射してワークに塗料を塗布するためのエリアであり、セッティングエリア4は、ワークに塗布された塗料に含まれるシンナー等の揮発成分を蒸発させるためのエリアであり、UV照射エリア5は、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化するためのエリアであり、搬出入エリア6は、塗装が完了したワークをシステムから取り出して、塗装前のワークを新たにシステムに入れるためのエリアである。
【0027】
まず、前記中央エリア2について説明すると、図3及び図4において、前記中央エリア2には、ワーク搬送手段7が回動自在に配置されており、このワーク搬送手段7の上方部分には塗装装置8が設置されている。そして、ワーク搬送手段7は、回動することで、搬出入エリア6に搬入されたワークを、前記塗装エリア3、セッティングエリア4、UV照射エリア5、及び搬出入エリア6に順次搬送するために用いられる。
【0028】
ここで前記ワーク搬送手段7について説明すると、図4乃至図7はワーク搬送手段7を説明するための図であり、ワーク搬送手段7とこのワーク搬送手段7の上方部分に設置された塗装装置8を示しており、図4は側面から示した図、図5は底面から示した図、図6及び図7は下方部分から示した斜視図としている。
【0029】
そして、ワーク搬送手段7は、前記中央エリア2に設置された基台9に回動自在に設置された回動部10を有しており、この回動部10には外周側に向けて、メインアームとしての4本の第1旋回アーム11が、等角度で連設されている。即ち、本実施例において前記回動部10は四角形状としており、四隅部分の4か所に前記第1旋回アーム11が連設されており、これにより、隣り合う第1旋回アーム11が形成する角度は約90度とし、1回の回転角度は90度としている。なお、回動部10は四角形状にする必要はなく、丸形状でもよい。また、回動部10は、図示しないモーターを介して回動することとしている。
【0030】
次に、それぞれの第1旋回アーム11の先端部分には、第1旋回アーム11の長手方向に直交する左右方向に向けて第2旋回アーム12が連設されている。そしてこの第2旋回アーム12は、わずかに湾曲した弓なり形状として、両端が外側に向く配置で、中央部分が前記第1旋回アーム11に連設されている。
【0031】
また、第2旋回アームの先端部分にはそれぞれ、ワーク連結部13が具備されている。そして、ワーク連結部13は、駆動部によって第2旋回アーム12に対して回動自在としており、軸心方向に挿入孔が形成され、ワークを取り付けたワーク取付治具を連結可能としている。
【0032】
但し、第2旋回アーム12を用いることなく、第1旋回アーム11の先端にワーク連結部13を具備した構成にしてもよい。
【0033】
なお、図において21はカバーである。即ち、本実施例において前記ワーク搬送手段7は、上部及び側部をカバー21で覆っており、前記ワーク連結部13はカバー21を貫通して上方に突設している。
【0034】
次に、前記ワーク連結部13に連結されるワーク取付治具について図8を参照して説明すると、図8はワーク取付治具の一例を示した図であり、図8において14がワーク取付治具であり、Wはワーク取付治具14に取り付けられたワークである。そして、図8に示すワーク取付治具14は、ワーク連結部13の挿入孔に挿入されることでワーク連結部13に連結される主軸15と、この主軸15の上方部分に放射状に連設された複数のアーム16を有しており、アーム16の先端には板状の支持手段17が取り付けられている。そして、支持手段17にワークWを装着することとしており、図8においてワークWはドアミラーとしている。但し、ワーク取付治具14の形態は特に限定されない。また、図2及び図3においては、理解を容易にするために、ワーク取付治具14を円形のテーブル状で示した。
【0035】
次に、前記ワーク連結部13を回動するための駆動部について説明すると、本実施例において前記駆動部は、マグネットモーターとしており、このマグネットモーターは、カップリングとこのカップリングを磁力により非接触の状態で回動するモーターベースを具備している。即ち、本実施例においては、第1旋回アーム11のそれぞれが連設される回動部10の四隅部分に、磁石製又は磁性体のカップリング19が回動自在に備えられている。そして、前記第1旋回アーム11の内部のそれぞれの先端部分、又は第2旋回アーム12の内部における第1旋回アーム11との連結部分近傍には、図示しない回転体が回動自在に備えられ、カップリング19と回転体は図示しないベルトで連結されている。また、回転体と前記ワーク連結部13とは図示しないベルトで連結され、これにより、カップリング19が回転するとワーク連結部13のみを回転することが可能となる。
【0036】
一方、回動部10の下方において前記基台9には、カップリング19を回動するためのモーターベース20が備えられており、このモーターベース20は、モーター本体とこのモーター本体の先端に備えられた磁石製の円盤を備えている。
【0037】
ここで、カップリング19は、第1旋回アーム11のそれぞれが連設される回動部10の四隅部分に備えられているため、ワーク搬送手段7が塗装エリア3内にワークを搬送したときに、それぞれの位置が確定する。
【0038】
そこで、本実施例では、回動部10における、塗装エリア3内にワークが搬送されることでカップリング19の位置が確定したときに、塗装エリア3内にワークを搬送した第1旋回アーム11が連設されている四隅部分に備えたカップリング19の下方に位置するようにして、前記基台9にモーターベース20を備えており、モーターベース20は、上方にカップリング19が移動してきた時にカップリング19との間に隙間が形成される配置としている。
【0039】
従って、これによって、ワーク搬送手段7が塗装エリア3内にワークを搬送すると、回動部10における、塗装エリア3内にワークを搬送した第1旋回アーム11が連設されている四隅部分に備えたカップリング19がモーターベース20の上方に移動してくる。そしてその状態で、モーター本体を駆動することでモーターベース20の円盤が回転すると、円盤の磁力により、上方に位置するカップリング19が円盤と非接触の状態で回転し、それにより、前述したように、ワーク連結部13のみを回転することが可能となる。
【0040】
一方、塗装エリア3における塗料の塗布が終了してワーク搬送手段7が回転すると、モーターベース20の上方に位置していたカップリング19は、モーターベース20と非接触であるため、モーターベース20から水平方向に引き離されてセッティングエリア4の正面側に搬送される。そしてそれとともに、搬出入エリア6で搬入された塗装前のワークが塗装エリア3内に搬送され、回動部10における、新たなワークを搬入した第1旋回アーム11が連設されている四隅部分に備えたカップリング19が、モーターベースの上方に移動する。そうすると、前述と同様に、モーター本体を駆動することで円盤が回転し、円盤の磁力により、モーターベースの上方に位置するカップリング19が円盤と非接触の状態で回転し、塗装エリア3内においてワーク連結部13のみを回転することが可能となる。図7がワークが塗装エリア3内に搬送されてモーターベース20の上方にカップリング19がある状態を示している。また図6は、図7の状態でワーク搬送手段7が回転し、モーターベース20の上方に位置していたカップリング19がモーターベース20から水平方向に引き離された状態を示しており、この状態は、ワーク搬送手段7が回転を完了する前の状態である。
【0041】
なお、駆動部は、必ずしもマグネットモーターを用いる必要はなく、通常のモーターを用いてもよい。そしてそのとき、前記カップリング19の箇所のそれぞれにモーターを備えてもよく、前記モーターベース20の箇所に、カップリング19に連結可能なようにして、昇降自在に通常のモーターを備えてもよい。更に、カップリング19は必ずしも回動部10の四隅部分に備える必要は無く、第1旋回アーム11に備えても良い。
【0042】
次に、本実施例においてワーク搬送手段7は、4本の第1旋回アーム11の先端に備えたワーク連結部13がそれぞれ、塗装エリア3内,セッティングエリア4の正面側,UV照射エリア5の正面側,搬出入エリア6の正面側に配置可能としている。そしてこれにより、搬出入エリア6において、ワーク取付治具14によってワーク連結部13に新たに連結されたワークは、ワーク搬送手段7を回動することで、塗装エリア3の内部、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、及び搬出入エリア6の正面側へ搬送することとしている。なおワーク搬送手段7は、前記基台9内に備えたモーターにより回動することとしている。
【0043】
次に前記塗装装置8について説明すると、本実施例において塗装装置8は、据え置き型の塗装ロボットとしており、ワーク搬送手段7の回動部10を貫通して基台9に立設された本体ピラー22を有し、本体ピラー22には第1アーム23が上下方向へ回動自在に連結され、第1アーム23には第2アーム24が上下方向へ回動自在に連結されている。また、第2アーム24の先端部分には長尺のボールネジスプライン25が連結され、本実施例においてボールネジスプライン25は、第2アーム24の幅方向、即ち、左右方向へ移動自在であるとともに、円周方向に沿って回動自在としている。そして、ボールネジスプライン25の両端にスプレーガン26が装着されている。なお本発明において塗装装置8は、必ずしも中央エリア2に備えた据え置き型の塗装ロボットである必要はなく、塗装エリア3の上方に吊り下げた天吊型の塗装ロボットとしてもよく、この場合は、塗装ロボットのロボットアームにスプレーガンを取り付けることとする。
【0044】
次に、前記塗装エリア3について説明すると、本実施例において前記塗装エリア3は、ワークに向けて塗料を噴射してワークに塗料を塗布するためのエリアとしている。即ち前述したように、ワーク搬送手段7の第1旋回アーム11の先端に備えたワーク連結部13は、塗装エリア3に配置されることとしている。そして、塗装エリア3内に配置されたワーク連結部13に連結されたワークに向けて、塗装ロボット8のスプレーガン26から塗料が噴射され、これにより、ワークの塗装が行われることとしている。
【0045】
なお、図1において塗装エリア3の正面側は理解を容易にするために開放して示しているが、塗装エリア3の正面側には塗料ミストを回収するためのフィルターが配置されており、また、前記中央エリア2の後方側の天井には給気用の窓27が形成されている。そして、塗装が行われている過程では、給気窓27より中央エリア2内にエアーを供給し、このエアーをフィルター側に向けて流しながら、中央エリア2及び塗装エリア3内の塗料ミストをフィルターで回収しつつ、供給したエアーを室外に排気している。
【0046】
次に、前記セッティングエリア4について説明すると、本実施例においてセッティングエリア4は、前述したように、塗装エリア3においてワークに塗布された塗料に含まれるシンナー等の揮発成分を蒸発させるためのエリアである。即ち、本実施例において前記セッティングエリア4には、ヒーター等の加熱手段が備えられており、この加熱手段によってワークを加熱することで、塗料に含まれる揮発成分を蒸発させることとしている。但し、揮発成分を蒸発させる方法はヒーターによる加熱に限定されるものではなく、その他の方法を用いてもよい。従って例えば、セッティングエリア4内においてワークを回転させることで揮発成分を蒸発させてもよい。
【0047】
次に、前記UV照射エリア5について説明すると、本実施例においてUV照射エリア5は前述したように、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化するためのエリアである。即ち、UV照射エリア5内には紫外線照射装置が備えられており、セッティングエリア4で揮発成分が蒸発されたワークに向けて、紫外線照射装置から紫外線を照射することで、ワークに塗布されたUV塗料を硬化させ、これにより塗装を完了することとしている。
【0048】
そして、前記搬出入エリア6は、前述したように、UV照射エリア5において塗料が硬化して塗装が完了したワークをシステムから取り出すとともに、塗装前のワークを新たにシステムに入れるためのエリアとしている。また搬出入エリア6では、新たに搬入されたワークについて除塵、除電を行うこととしている。従ってこれにより、本実施例の塗装システムでは、搬出入エリア6に搬入された塗装前のワークを、ワーク搬送手段7を回動することで順次、塗装エリア3、セッティングエリア4、UV照射エリア5に搬送して、各エリアで塗料の塗布、揮発成分の蒸発、UV照射を行うことで、塗装を完了することが可能である。
【0049】
次に、図2、3において28は、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6を密閉状態にするための開閉扉である。即ち、本実施例において前記セッティングエリア4では、ワークを加熱することで塗料に含まれる揮発成分を蒸発させることとしているが、効率を高めるために、ワークを加熱する際にはセッティングエリア4内を密閉状態にすることが必要である。また、UV照射エリア5においては、ワークに向けて紫外線を照射するために、紫外線が漏れることによる作業者への悪影響を防止して安全を確保のためにも、UV照射を行っている際には内部を密閉する必要がある。更に、搬出入エリア6では、新たに搬入されたワークの除塵、除電を行うために、新たなワークを搬入したときには内部を密閉状態にする必要がある。更にまた、中央エリアへの熱や紫外線の漏洩を防止する必要もある。
【0050】
一方、前述したように、ワーク搬送手段7は、セッティングエリア4の正面、UV照射エリア5の正面、及び搬出入エリア6の正面へワークを搬送するために、搬送されてきたワークをセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6に移送するためにはそれぞれのエリアは中央エリア2と通じていなければならない。
【0051】
そこで、本実施例では、セッティングエリア4と中央エリア2との連通を遮断し又は遮断を解除する開閉扉28、UV照射エリア5と中央エリア2との連通を遮断し又は遮断を解除する開閉扉28、及び搬出入エリア6と中央エリア2との連通を遮断し又は遮断を解除する開閉扉28をそれぞれ具備し、これにより、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6を密閉状態にすることを可能としている。
【0052】
次に、図において29は、前記ワーク搬送手段7により搬送されてきたワークをセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6に移送し、又はセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6に移送されたワークをワーク搬送手段7に戻すための移送手段である。
【0053】
即ち、前述したように、ワーク搬送手段7は、回動することで、ワークを、塗装エリア3の内部、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、及び搬出入エリア6の正面側へ搬送することとしているため、搬送されてきたワークについて、セッティングエリア4で揮発成分の蒸発を行い、及びUV照射エリア5で紫外線の照射を行い、及び搬出入エリア6から搬出するためには、ワークをそれぞれ、セッティングエリア4、UV照射エリア5、及び搬出入エリア6へ移送する必要がある。そこで、本実施例では、ワーク搬送手段7によりセッティングエリア4の正面側に搬送されてきたワークをセッティングエリア4に移送し、又はセッティングエリア4に移送されたワークをワーク搬送手段7に戻すための移送手段29と、ワーク搬送手段7によりUV照射エリア5の正面側に搬送されてきたワークをUV照射エリア5に移送し、又はUV照射エリア5に移送されたワークをワーク搬送手段7に戻すための移送手段29と、ワーク搬送手段7により搬出入エリア6の正面側に搬送されてきたワークを搬出入エリア6に移送し、又は搬出入エリア6に移送されたワークをワーク搬送手段7に戻すための移送手段29をそれぞれ、備えている。
【0054】
次に、図9、10は、前記開閉扉28及びワーク移送手段29を説明するための図である。即ち本実施例では、前記開閉扉28及びワーク移送手段29のそれぞれをドアユニットとして一体化しており、このドアユニットを前記セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6における中央エリア2との連結部分近傍に設置している。また、ドアユニットの幅は、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6における中央エリア2との連結部分の幅とほぼ同じ幅としている。なお、図2、3においては、理解を容易にするために、ユニットは省略し、開閉扉28とワーク移送手段29のみを示している。
【0055】
ここで、ドアユニットを説明すると、図9、10において31がドアユニットである。そして、ドアユニット31は枠状のハウジング32を有しており、このハウジング32内には基台33が備えられるとともに、ハウジング32内において基台33には、開閉扉としての板状の回転扉28が、回動自在に設置されている。そして、回転扉28の正面を中央エリア2側に向けることで、ハウジング32の左右側の内壁と回転扉28の左右側の端部とは、ほぼ隙間がない状態で接触し、これにより、セッティングエリア4と中央エリア2との連通、UV照射エリア5と中央エリア2との連通、搬出入エリア6と中央エリア2との連通を、それぞれ遮断し、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6を密閉状態にし、この状態で回転扉28を任意の角度だけ回動することで、遮断を解除することを可能にしている。
【0056】
次に図において29がワーク移送手段であり、本実施例においてこのワーク移送手段29は、前記回転扉28と同様に前記基台33に回動自在に設置されており、回転扉28の回転とともに回転することとしている。
【0057】
ここで、前記ワーク移送手段29について説明すると、図9においてワーク移送手段29はアーム34を有し、このアーム34は昇降自在としている。また、アーム34の両端には可動部35が連結されており、この可動部35は前後方向へ可動自在としている。更に、可動部35の正面側には、ワーク取付治具14の主軸15の任意の箇所に周設した把持部18(図8参照)を挟持して把持する挟持部36が備えられている。なお、挟持部36はそれぞれ、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、及び搬出入エリア6の正面側にワーク取付治具14が搬送された状態で可動部35が前進することで、それぞれのワーク取付治具14の把持部18を挟持可能な位置に設定されている。
【0058】
次に、ハウジング32内において回転扉28の背面側には、設置テーブル37が備えられており、この設置テーブル37は固定されており、ワーク取付治具14を連結するためのワーク連結具38が備えられている。なおワーク連結具38は、ワーク搬送手段7に備えたワーク連結部13とほぼ同様の構成としている。
【0059】
このように構成されるドアユニット31の作用を説明すると、ワーク搬送手段7によって、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、及び搬出入エリア6の正面側にワーク取付治具14が搬送されてくると、それぞれの可動部35が前進し、それぞれの挟持部36が、ワーク取付治具14の把持部18を挟持する。
【0060】
次に、アーム34が上昇し、更に可動部35が後退して元の位置に戻り、それにより、ワーク取付治具14の主軸15がワーク連結部13の挿入孔から抜け出て、ワーク取付治具14はワーク連結部13との連結が解除される。
【0061】
そして次に、ワーク移送手段29がワーク取付治具14を挟持した状態で、回転扉28及びワーク移送手段29が回転する。そうすると、ワーク取付治具14がセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6内に移送され、更に、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6は回転扉28によって密閉状態になる。
【0062】
更にその後、可動部35が前進し、アーム34が下降し、ワーク取付治具14は設置テーブル37に備えたワーク連結具38に連結され、その後可動部35が後退することで、ワーク取付治具14及びワークはセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6内にセットされる。そして、セッティングエリア4、UV照射エリア5内にセットされたワークはそれぞれエリア内において、揮発成分の蒸発、紫外線照射が行われ、搬出入エリア6内にセットされたワークは塗装前のワークと交換される。従って、回転扉29及びワーク移送手段29が回転し、可動部35が前進し、アーム34が下降したときに、ワーク取付治具14が設置テーブル37に備えたワーク連結具38に連結されるようにして、予めワーク連結具38を設置テーブル37に配置しておく。
【0063】
そして、各エリアにおける処理がおこなわれた後は、可動部35が前進し、挟持部36によって、設置テーブル37に備えたワーク連結具38に連結されているワーク取付治具14が挟持され、その後アーム34が上昇し、可動部35が後退することで、ワーク取付治具14が設置テーブル37に備えたワーク連結具38から外され、ワーク移送手段29がワーク取付治具14を支持する。
【0064】
そしてその状態で回転扉28が回転し、その後は前記と逆の動作により、ワーク取付治具14がワーク搬送手段7のワーク連結部13に連結される。ワークが搬送されてきた状態を示すイメージ図が図2であり、ワーク取付治具14を挟持した状態で回転してワーク取付治具をセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6内に移送した状態を示したイメージ図が図3である。
【0065】
なお、図において30は整流板である。即ち本実施例においては、セッティングエリア4と搬出入エリア6を密閉する回転扉28は、背面側に回転扉28の正面と直交する方向に向けて、メッシュ状の整流板30を連設している。また塗装ロボット8の後方側にも整流版が設置され、回転扉28を回転してワーク取付治具をセッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6内に移送した際に、中央エリア2の中央部分で中央エリア2を前後に遮断し、中央エリア2の後方側の天井の給気用窓27から供給されるが、均等にフィルター側に向けて流されるようにしている。但し、整流板は必ずしも必要なものではない。
【0066】
次に、このように構成される本実施例の塗装システムを用いたワークの塗装について説明すると、図2は、ワーク搬送手段7によって、塗装エリア3の内部、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、搬出入エリア6の正面側に、ワークが取り付けられた状態でワーク取付治具14が搬送されてきた状態を示している。
【0067】
そしてこの状態で、セッティングエリア4の正面側、UV照射エリア5の正面側、搬出入エリア6の正面側に搬送されてきたワーク取付治具14はそれぞれ、前述の機構によりドアユニット31によって、セッティングエリア4、UV照射エリア5、搬出入エリア6に移送される。
【0068】
次に、ワーク搬送手段7によって塗装エリア3内に搬送されてきたワーク取付治具14が、前述の方法によりワーク連結部13を回動することで回動し、塗装ロボット8は、ワーク取付治具14に取り付けられているワークに向けて塗料が噴射され、塗料の塗布が行われる。
【0069】
一方、塗装エリア3で塗料の塗布が行われている間に、セッティングエリア4においては、塗装エリア3においてワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分の蒸発が行われる。またUV照射エリア5においては、セッティングエリア4において塗料に含まれる揮発成分の蒸発が行われたワークにむけて紫外線が照射され、塗料の硬化が行われる。更に搬出入エリア6においては、UV照射エリア5において塗料が硬化して塗装が完了したワークが取り出されるとともに塗装前の新たなワークがワーク連結部13に連結されることでワークの入れ替えが行われ、更に、新たなワークがワーク連結部13に連結された後に、搬出入エリア6で除塵、除電処理が行われる。
【0070】
そしてこれらの処理は、それぞれ、1分前後の間に行われ、1分前後の間に、塗料の塗布、揮発成分の蒸発、紫外線照射による塗料の硬化、ワークの入れ替えが行われる。そしてその後は、ワーク搬送手段7が約90度回転して、搬出入エリア6に新たに搬入されたワークが塗装エリア3に搬送され、塗装エリア3において塗料の塗布が行われたワークがセッティングエリア4の正面側に搬送され、セッティングエリア4において揮発成分の蒸発が行われたワークがUV照射エリア5の正面側に搬送され、UV照射エリア5において紫外線照射により塗料が硬化して塗装が完了したワークが搬出入エリア6の正面側に搬送され、それぞれのエリアで前述の同じ処理が行われる。そして、その後はワーク搬送手段7が約90度回転し、以後は、予定数量のワークの塗装が完了するまで前述の処理が繰り返される、
【0071】
このように、本実施例の塗装システムでは、UV塗料を用いてワークの塗装を行う塗装システムにおいて、ワーク搬送手段が回動自在に設置された中央エリアの周囲に、ワークに塗料を塗布するための塗装エリアと、ワークに塗布された塗料に含まれる揮発成分を蒸発せるためのセッティングエリアと、ワークに紫外線を照射してワークに塗布された塗料を硬化させるためのUV照射エリアと、塗装が完了したワークを搬出するとともに塗装前のワークを搬入するための搬出入エリアを配置して、ワーク搬送手段を回転することで、ワークを順次、塗装エリア、セッティングエリア、UV照射エリア、搬出入エリアに搬送して塗装を完了することとしている。
【0072】
従って、コンベアを用いてワークを搬送しつつセッティング、紫外線照射の工程を行う従来の塗装システムと異なり、塗装システム全体をコンパクトにすることができ、大きなスペースを必要とせず、なおかつ短時間でワークの塗料を完了することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の塗装システムは、UV塗料を用いた塗装システムの全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 塗装システム
2 中央エリア
3 塗装エリア
4 セッティングエリア
5 UV照射エリア
6 搬出入エリア
7 ワーク搬送手段
8 塗装装置
9 基台
10 回動部
11 第1旋回アーム
12 第2旋回アーム
13 ワーク連結部
14 ワーク取付治具
15 主軸
16 アーム
17 支持手段
18 把持部
19 マグネットモーターのカップリング
20 モーターベース
21 カバー
22 本体ピラー
23 第1アーム
24 第2アーム
25 ボールネジスプライン
26 スプレーガン
27 給気窓
28 開閉扉
29 ワーク移送手段
30 整流板
31 ドアユニット
32 ハウジング
33 基台
34 アーム
35 可動部
36 挟持部
37 設置テーブル
38 ワーク連結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10