(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】表示装置の補修方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230623BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20230623BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230623BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H01L33/00 K
H01L33/00 L
G09F9/30 349Z
G09F9/33
(21)【出願番号】P 2019173422
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109713087(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0261582(US,A1)
【文献】国際公開第2017/094461(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0001396(US,A1)
【文献】米国特許第06159767(US,A)
【文献】特開2009-021595(JP,A)
【文献】特開平4-174538(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108183117(CN,A)
【文献】特開平5-102343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125374(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0181122(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L21/64-21/683
25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H05K3/30-3/34
13/00-13/08
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に並ぶ複数の無機発光体と、前記無機発光体の周囲に設けられる絶縁体とを備える表示装置の補修方法であって、
不良となっている前記無機発光体である不良無機発光体を検出する検出ステップと、
前記不良無機発光体の周囲の前記絶縁体に対して照射光を照射して、前記不良無機発光体を除去せずに残しつつ、前記不良無機発光体の周囲の前記絶縁体を除去する絶縁体除去ステップと、
周囲の前記絶縁体が除去された前記不良無機発光体を除去する無機発光体除去ステップと、を含む、
表示装置の補修方法。
【請求項2】
前記絶縁体除去ステップにおいて、前記無機発光体が発光する光の進行方向側から見て、前記不良無機発光体の中央部の放射方向外側に位置して前記中央部を囲う対象部分に対して、前記照射光を照射することで、前記対象部分に含まれる前記絶縁体を除去する、請求項1に記載の表示装置の補修方法。
【請求項3】
前記絶縁体除去ステップにおいて、前記表示装置の前記照射光を照射する照射位置を、前記不良無機発光体の中央部の周囲に沿って移動させることで、前記対象部分の全体に前記照射光を照射する、請求項2に記載の表示装置の補修方法。
【請求項4】
前記照射光は、波長が216nm以上316nm以下のレーザ光である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置の補修方法。
【請求項5】
前記表示装置の前記不良無機発光体が除去された空間に、前記無機発光体を搭載する搭載ステップをさらに含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置の補修方法。
【請求項6】
前記不良無機発光体は、前記無機発光体が発光する光の進行方向と反対側の端部が、電極に接続される接続導電部に固定されており、
前記無機発光体除去ステップにおいて、前記接続導電部から前記不良無機発光体を取り外すことで、前記接続導電部を残したまま前記不良無機発光体を除去して、
前記搭載ステップにおいて、前記接続導電部上に前記無機発光体を搭載し、前記接続導電部に向けて光を照射して前記接続導電部を溶融させた後、前記接続導電部を硬化させることで、前記無機発光体を前記接続導電部に固定する、請求項5に記載の表示装置の補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として微小サイズの発光ダイオード(マイクロLED(micro LED))を用いた表示装置が注目されている(例えば、特許文献1参照)。複数の発光ダイオードは、アレイ基板(特許文献1ではドライババックプレーン)に接続され、アレイ基板は、発光ダイオードを駆動するための画素回路(特許文献1では電子制御回路)を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、発光ダイオードを用いた表示装置は、発光ダイオードのサイズが小さいなどの理由により、発光ダイオードの基板への搭載など、製造が難しく、発光ダイオードの不良を招き易い。不良が起きた表示装置を破棄するなどして使用しない場合、歩留りが低下する。そのため、発光ダイオードを用いた表示装置において、不良が起きた場合にも、適切に使用可能とすることが求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、不良が起きた場合にも、適切に使用可能な表示装置の補修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による表示装置の補修方法は、マトリクス状に並ぶ複数の無機発光体と、前記無機発光体の周囲に設けられる絶縁体とを備える表示装置の補修方法であって、不良となっている前記無機発光体である不良無機発光体を検出する検出ステップと、前記不良無機発光体の周囲の前記絶縁体に対して照射光を照射して、前記不良無機発光体を除去せずに残しつつ、前記不良無機発光体の周囲の前記絶縁体を除去する絶縁体除去ステップと、周囲の前記絶縁体が除去された前記不良無機発光体を除去する無機発光体除去ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る無機発光体の構成例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る表示装置の補修方法を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7は、対象部分に照射光を照射した場合の例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、対象部分に照射光を照射した場合の例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、不良無機発光体を除去する工程を説明する模式図である。
【
図10】
図10は、不良無機発光体が除去された後の表示装置を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、代替無機発光体を搭載する工程を模式的に説明する図である。
【
図12】
図12は、代替無機発光体を搭載する工程を模式的に説明する図である。
【
図13】
図13は、代替絶縁体を形成する工程を模式的に説明する図である。
【
図14】
図14は、代替導電体を形成する工程を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(表示装置の構成)
図1は、本実施形態に係る表示装置の構成例を示す平面図である。
図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)210と、カソード配線60と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーン又はアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。アレイ基板2は、基板10、複数のトランジスタ、複数の容量及び各種配線等を有する。
【0010】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixが配置される領域であり、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0011】
複数の画素Pixは、基板10の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。なお、第1方向Dx及び第2方向Dyは、アレイ基板2の基板10の第1面10a(
図4参照)に対して平行な方向である。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向である。第3方向Dzは、例えば、基板10の法線方向に対応する。以下、平面視とは、第3方向Dzから見た場合の位置関係を示す。
【0012】
駆動回路12は、基板10の周辺領域GAに設けられる。駆動回路12は、駆動IC210からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線(例えば、発光制御走査線BG、リセット制御走査線RG、初期化制御走査線IG及び書込制御走査線SG(
図3参照))を駆動する回路である。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0013】
駆動IC210は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC210は、基板10の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。これに限定されず、駆動IC210は、基板10の周辺領域GAに接続された配線基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。なお、基板10に接続される配線基板は、例えば、フレキシブルプリント基板やリジット基板である。
【0014】
カソード配線60は、基板10の周辺領域GAに設けられる。カソード配線60は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の無機発光体100(
図4参照)のカソード(カソード電極114(
図4参照))は、共通のカソード配線60に接続され、固定電位(例えば、グランド電位)が供給される。より具体的には、無機発光体100のカソード電極114は、アレイ基板2上の対向カソード電極90eを介して、カソード配線60に接続される。なお、カソード配線14は、一部にスリットを有し、基板10上において、2つの異なる配線で形成されてもよい。
【0015】
図2は、複数の画素を示す平面図である。
図2に示すように、1つの画素Pixは、複数の画素49を含む。例えば、画素Pixは、第1画素49Rと、第2画素49Gと、第3画素49Bとを有する。第1画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。第2画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。第3画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。
図2に示すように、1つの画素Pixにおいて、第1画素49Rと第3画素49Bは第1方向Dxで並ぶ。また、第2画素49Gと第3画素49Bは第2方向Dyで並ぶ。なお、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1画素49Rと、第2画素49Gと、第3画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、画素49という。なお、1つの画素Pixに含まれる画素49は3つに限らず、4以上の画素49が対応づけられていてもよい。例えば、第4色として白色が対応付けられた第4画素49Wが含まれてもよい。また、複数の画素49の配置は、
図2に示す構成に限定されない。例えば、第1画素49Rは第2画素49Gと第1方向Dxに隣り合っていてもよい。また、第1画素49R、第2画素49G、及び、第3画素49Bが、この順で第1方向Dxに繰り返し配列されてもよい。
【0016】
画素49は、それぞれ無機発光体100を有する。表示装置1は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bにおいて、無機発光体100ごとに異なる光を出射することで画像を表示する。無機発光体100は、平面視で、数μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、一般的には、一つのチップサイズが100μm以上をミニLED(miniLED)、100μm未満~数μmのサイズをマイクロLED(micro LED)と呼ばれる。本発明ではいずれのサイズのLEDも用いることができ、表示装置の画面サイズ(一画素の大きさ)に応じて使い分ければよい。各画素にマイクロLED(micro LED)を備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、無機発光体100の大きさを限定するものではない。
【0017】
図3は、表示装置の画素回路の構成例を示す回路図である。
図3に示す画素回路PICAは、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれに設けられる。画素回路PICAは、基板10に設けられ、駆動信号(電流)を無機発光体100に供給する回路である。なお、
図3において、画素回路PICAについての説明は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれが有する画素回路PICAに適用できる。
【0018】
図3に示すように、画素回路PICAは、無機発光体100と、5つのトランジスタと、2つの容量と、を含む。具体的には、画素回路PICAは、発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、リセットトランジスタRST及び駆動トランジスタDRTを含む。一部のトランジスタは、隣接する複数の画素49で共有されていてもよい。例えば、発光制御トランジスタBCTは、共通配線を介して、3つの画素49で共有されていてもよい。また、リセットトランジスタRSTは、周辺領域GAに設けられ、例えば画素49の各行に1つ設けられていてもよい。この場合、リセットトランジスタRSTは、共通配線を介して複数の駆動トランジスタDRTのドレインに接続される。ただし、リセットトランジスタRSTは、駆動トランジスタDRTのソースに接続されていてもよい。
【0019】
画素回路PICAが有する複数のトランジスタは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。p型TFTを用いる場合は、適宜電源電位や保持容量Cs1及び容量Cs2の接続を適合させてもよい。
【0020】
発光制御走査線BGは、発光制御トランジスタBCTのゲートに接続される。初期化制御走査線IGは、初期化トランジスタISTのゲートに接続される。書込制御走査線SGは、書込トランジスタSSTのゲートに接続される。リセット制御走査線RGは、リセットトランジスタRSTのゲートに接続される。
【0021】
発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGは、それぞれ、駆動回路12(
図1参照)に接続される。駆動回路12は、発光制御走査線BG、初期化制御走査線IG、書込制御走査線SG及びリセット制御走査線RGに、それぞれ、発光制御信号Vbg、初期化制御信号Vig、書込制御信号Vsg及びリセット制御信号Vrgを供給する。
【0022】
駆動IC210(
図1参照)は、第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bのそれぞれの画素回路PICAに、時分割で映像信号Vsigを供給する。第1画素49R、第2画素49G及び第3画素49Bの各列と、駆動IC210との間には、マルチプレクサ等のスイッチ回路が設けられる。映像信号Vsigは、映像信号線L2を介して書込トランジスタSSTに供給される。また、駆動IC210は、リセット信号線L3を介して、リセット電源電位VrstをリセットトランジスタRSTに供給する。駆動IC210は、初期化信号線L4を介して、初期化電位Viniを初期化トランジスタISTに供給する。
【0023】
発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST、書込トランジスタSST、及びリセットトランジスタRSTは、2ノード間の導通と非導通とを選択するスイッチング素子として機能する。駆動トランジスタDRTは、ゲートとドレインとの間の電圧に応じて、無機発光体100に流れる電流を制御する電流制御素子として機能する。
【0024】
無機発光体100のカソード(カソード電極114)は、カソード電源線L10に接続される。また、無機発光体100のアノード(アノード電極112)は、駆動トランジスタDRT及び発光制御トランジスタBCTを介してアノード電源線L1(第1電源線)に接続される。アノード電源線L1には、アノード電源電位PVDD(第1電位)が供給される。カソード電源線L10には、カソード電源電位PVSS(第2電位)が供給される。アノード電源電位PVDDは、カソード電源電位PVSSよりも高い電位である。カソード電源線L10は、カソード配線60を含む。
【0025】
また、画素回路PICAは、容量Cs1及び容量Cs2を含む。容量Cs1は、駆動トランジスタDRTのゲートとソースとの間に形成される保持容量である。容量Cs2は、駆動トランジスタDRTのソース及び無機発光体100のアノードと、カソード電源線L10との間に形成される付加容量である。
【0026】
なお、画素回路PICAは、発光制御トランジスタBCTと駆動トランジスタDRTとの間に、トランジスタCCTを設けてもよい。この場合、トランジスタCCTのソースが発光制御トランジスタBCTのドレインに接続され、トランジスタCCTのドレインが駆動トランジスタDRTのソースに接続される。そして、トランジスタCCTのゲートには、トランジスタCCTのゲートに電位を供給する配線CGが接続される。配線CGを介してトランジスタCCTのゲートに電位が供給されることで、発光制御トランジスタBCTのドレインと駆動トランジスタDRTのソースとを導通状態にし、配線CGを介してトランジスタCCTのゲートに電位が供給されない場合に、発光制御トランジスタBCTのドレインと駆動トランジスタDRTのソースとを非導通状態にする。
【0027】
表示装置1は、1行目の画素49から最終行の画素49まで駆動を行い1フレーム分の画像を1フレーム期間に表示する。
【0028】
リセット期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御走査線BGの電位がL(ロウ)レベルとなり、リセット制御走査線RGの電位がH(ハイ)レベルとなる。これにより、発光制御トランジスタBCTがオフ(非導通状態)となり、リセットトランジスタRSTがオン(導通状態)となる。
【0029】
これにより、画素49内に残留していた電荷が、リセットトランジスタRSTを通じて外部に流れ、駆動トランジスタDRTのソースがリセット電源電位Vrstに固定される。リセット電源電位Vrstは、カソード電源電位PVSSに対して所定の電位差を有して設定される。この場合、リセット電源電位Vrstとカソード電源電位PVSSとの電位差は、無機発光体100が発光を開始する電位差よりも小さい。
【0030】
次に、駆動回路12から供給される各制御信号により、初期化制御走査線IGの電位がHレベルとなる。初期化トランジスタISTは、オンとなる。初期化トランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲートが初期化電位Viniに固定される。
【0031】
次に、駆動回路12から供給される各制御信号により、初期化制御走査線IGの電位がHレベルとなる。初期化トランジスタISTは、オンとなる。初期化トランジスタISTを介して駆動トランジスタDRTのゲートが初期化電位Viniに固定される。
【0032】
また、駆動回路12は、発光制御トランジスタBCTをオンとし、リセットトランジスタRSTをオフとする。駆動トランジスタDRTは、ソース電位が(Vini-Vth)になるとオフになる。これにより、画素49ごとに駆動トランジスタDRTのしきい値電圧Vthを取得することができ、画素49ごとのしきい値電圧Vthのばらつきがオフセットされる。
【0033】
次に、映像信号書込動作期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御トランジスタBCTがオフになり、初期化トランジスタISTがオフになり、書込トランジスタSSTがオンになる。1行に属する画素49において、映像信号Vsigが駆動トランジスタDRTのゲートに入力される。映像信号線L2は、第2方向Dyに延在し、同列に属する複数行の画素49に接続される。このため、映像信号書込動作期間は、1行ごとに実施される。
【0034】
次に、発光動作期間では、駆動回路12から供給される各制御信号により、発光制御トランジスタBCTがオンになり、書込トランジスタSSTがオフになる。アノード電源線L1から、発光制御トランジスタBCTを介して駆動トランジスタDRTにアノード電源電位PVDDが供給される。駆動トランジスタDRTは、ゲートソース間の電圧に応じた電流を、無機発光体100に供給する。無機発光体100は、この電流に応じた輝度で発光する。
【0035】
なお、駆動回路12は、1行ごとに画素49を駆動してもよいし、2行の画素49を同時に駆動してもよいし、3行分以上の画素49を同時に駆動してもよい。
【0036】
なお、上述した
図3に示す画素回路PICAの構成はあくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば1つの画素49での配線の数及びトランジスタの数は異なっていてもよい。また、画素回路PICAはカレントミラー回路等の構成を採用することもできる。
【0037】
図4は、
図1のIV-IV’断面図である。
図4に示すように、表示装置1のアレイ基板2は、基板10と、複数のトランジスタと、を備える。基板10は、第1面10aと、第1面10aの反対側の第2面10bとを有する。基板10は、絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、石英基板、又は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、若しくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製のフレキシブル基板である。
【0038】
なお、本明細書において、基板10の表面に垂直な方向において、基板10から無機発光体100に向かう方向を「上側」又は単に「上」とする。また、無機発光体100から基板10に向かう方向を「下側」又は単に「下」とする。また、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0039】
アンダーコート層20は、基板10の第1面10a上に設けられる。なお、基板10の第1面10a上には、遮光層が設けられてもよい。この場合、アンダーコート層20が、遮光層を覆う。遮光層は、光を遮断するものであれば任意の材料であってよいが、例えば、モリブデンタングステン合金膜であってよい。
【0040】
複数のトランジスタは、アンダーコート層20上に設けられる。例えば、基板10の表示領域AAには、複数のトランジスタとして、画素49に含まれる駆動トランジスタDRT及び書込トランジスタSSTがそれぞれ設けられている。基板10の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12に含まれるトランジスタTrCが設けられている。なお、複数のトランジスタのうち、駆動トランジスタDRT、書込トランジスタSST、及び、トランジスタTrCを示しているが、画素回路PICAに含まれる発光制御トランジスタBCT、初期化トランジスタIST及びリセットトランジスタRSTも、駆動トランジスタDRTと同様の積層構造を有する。なお、以下の説明において、複数のトランジスタを区別して説明する必要が無い場合は、単にトランジスタTrと表す。
【0041】
トランジスタTrは、例えば両面ゲート構造のTFTである。トランジスタTrは、それぞれ、第1ゲート電極21と、第2ゲート電極31と、半導体層25と、ソース電極41sと、ドレイン電極41dと、を有する。第1ゲート電極21は、アンダーコート層20上に設けられる。絶縁膜24は、アンダーコート層20上に設けられて第1ゲート電極21を覆う。半導体層25は、絶縁膜24上に設けられる。半導体層25は、例えば、ポリシリコンが用いられる。ただし、半導体層25は、これに限定されず、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、低温ポリシリコン等であってもよい。絶縁膜29は、半導体層25上に設けられる。第2ゲート電極31は、絶縁膜29上に設けられる。
【0042】
アンダーコート層20、絶縁膜24、29、45は、無機絶縁膜であり、例えば、酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)などからなる。第3方向Dzにおいて、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31は、絶縁膜24、半導体層25及び絶縁膜29を介して、対向している。絶縁膜24、29において、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31とに挟まれた部分がゲート絶縁膜として機能する。また、半導体層25において、第1ゲート電極21と第2ゲート電極31とに挟まれた部分がトランジスタTrのチャネル領域27となる。半導体層25において、ソース電極41sと接続する部分がトランジスタTrのソース領域であり、ドレイン電極41dと接続する部分がトランジスタTrのドレイン領域である。チャネル領域27とソース領域との間及びチャネル領域27とドレイン領域との間には、それぞれ低濃度不純物領域が設けられる。なお、トランジスタTrとして、n型TFTのみ示しているが、p型TFTを同時に形成しても良い。
【0043】
ゲート線31aは、駆動トランジスタDRTの第2ゲート電極31に接続される。基板10とゲート線31aとの間に絶縁膜29が設けられ、ゲート線31aと基板10との間に容量CSが形成される。第1ゲート電極21、第2ゲート電極31及びゲート線31aは、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)又はこれらの合金膜で構成されている。
【0044】
本実施形態において、トランジスタTrは両面ゲート構造に限定されるものではない。トランジスタTrは、ゲート電極が第1ゲート電極21のみで構成されるボトムゲート型であってもよい。また、トランジスタTrは、ゲート電極が第2ゲート電極31のみで構成されるトップゲート型であってもよい。また、アンダーコート層20は無くてもよい。
【0045】
表示装置1は、基板10の第1面10a上に設けられて複数のトランジスタTrを覆う絶縁膜35を有する。ソース電極41sは、絶縁膜35上に設けられ、絶縁膜35に設けられた貫通孔を介して複数のトランジスタTrの各ソースに接続される。ドレイン電極41dは、絶縁膜35上に設けられ、絶縁膜35に設けられた貫通孔を介して複数のトランジスタTrの各ドレインに接続される。周辺領域GAにおいてカソード配線60は、絶縁膜35上に設けられる。絶縁膜42は、ソース電極41s、ドレイン電極41d及びカソード配線60を覆う。絶縁膜35は無機絶縁膜、絶縁膜42は、有機絶縁膜である。ソース電極41s及びドレイン電極41dは、チタンとアルミニウムとの積層構造であるTiAlTi又はTiAlの積層膜で構成されている。また、絶縁膜42は、感光性アクリル等の有機材料が用いられる。
【0046】
ソース電極41sの一部は、ゲート線31aと重なる領域に形成される。絶縁膜35を介して対向するゲート線31aとソース電極41sとで、容量Cs1が形成される。また、ゲート線31aは、半導体層25の一部と重なる領域に形成される。容量Cs1は、絶縁膜24を介して対向する半導体層25とゲート線31aとで形成される容量も含む。
【0047】
表示装置1は、ソース接続配線43sと、ドレイン接続配線43dと、絶縁膜45と、対向アノード電極50eと、絶縁膜66と、接続層50fと、接続導電部52と、無機発光体100と、絶縁膜70と、平坦化膜80と、対向カソード電極90eと、カバー部92と、を有する。ソース接続配線43sは、絶縁膜42上に設けられ、絶縁膜42に設けられた貫通孔を介してソース電極41sに接続される。ドレイン接続配線43dは、絶縁膜42上に設けられ、絶縁膜42に設けられた貫通孔を介してドレイン電極41dに接続される。絶縁膜45は、絶縁膜42上に設けられてソース接続配線43sとドレイン接続配線43dとを覆う。対向アノード電極50eは、絶縁膜45上に設けられ、絶縁膜45に設けられた貫通孔を介して駆動トランジスタDRTのドレイン接続配線43dに接続される。ソース接続配線43sおよびドレイン接続配線43dは、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)等の透明性導電体で形成される。
【0048】
絶縁膜66は、絶縁膜45上に設けられて、対向アノード電極50eを覆う。接続層50fは、絶縁膜66上に設けられ、絶縁膜66に設けられた貫通孔を介して対向アノード電極50eに接続される。接続導電部52は、接続層50fに設けられる。無機発光体100は、接続導電部52の上に設けられる、対向アノード電極50eは、接続層50f及び接続導電部52を介して、無機発光体100のアノード電極112と接続されている。絶縁膜45を介して対向する対向アノード電極50eとソース接続配線43sとの間に、容量Cs2が形成される。
【0049】
絶縁膜70は、絶縁膜45上に設けられて、接続層50fと、接続導電部52と、無機発光体100のアノード電極112の側面とを覆う。絶縁膜70は、アノード電極112と重なる位置に、無機発光体100を実装するための開口を有する。絶縁膜70の開口の面積は、平面視において、無機発光体100の対向アノード電極50eとの接地面より大きい。また、対向アノード電極50eは、平面視において、無機発光体100の対向アノード電極50eとの接地面より大きい。平坦化膜80は、絶縁膜70上に設けられて無機発光体100の側面を覆う。対向カソード電極90eは、平坦化膜80上に設けられる。絶縁膜70は、無機絶縁膜であり、例えば、シリコン窒化膜(SiN)からなる。平坦化膜80は、有機絶縁膜あるいは無機有機ハイブリッド絶縁膜(Si-O主鎖に、たとえば有機基(メチル基あるいはフェニル基)が結合した材料)である。無機発光体100の上面(カソード電極114)は、平坦化膜80から露出している。対向カソード電極90eは、無機発光体100のカソード電極114に接続される。以下、絶縁膜70と平坦化膜80とを区別しない場合は、絶縁体72と記載する。絶縁体72は、無機発光体100の周囲に設けられているといえる。本実施形態では、絶縁体72は、絶縁膜70と平坦化膜80との2つの絶縁体の層で構成されるが、1つの絶縁体の層で構成されていてもよい。
【0050】
電極としての対向アノード電極50eは、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、対向アノード電極50eは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを含み、例えば、チタンの層とアルミニウムの層とが第3方向Dzに沿って積層されている。対向アノード電極50eは、画素電極として、無機発光体100(画素49)毎に設けられている。
【0051】
対向カソード電極90eは、表示領域AAの外側に設けられたコンタクトホールCH1を介して、アレイ基板2側に設けられたカソード配線60と接続される。具体的には、コンタクトホールCH1は、平坦化膜80及び絶縁膜42に設けられ、コンタクトホールCH1の底面にカソード配線14が設けられる。カソード配線60は、絶縁膜35の上に設けられる。つまり、カソード配線60は、ソース電極41s、ドレイン電極41dと同層に設けられ、同じ材料で形成される。対向カソード電極90eは、表示領域AAから周辺領域GAまで連続して設けられ、コンタクトホールCH1の底部でカソード配線60と接続される。カバー部92は、対向カソード電極90e上に設けられる。カバー部92は、例えばガラスなど、光を透過する部材で構成されるカバーである。ただし、カバー部92は必須の構成ではない。
【0052】
次に、無機発光体100の構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る無機発光体の構成例を示す断面図である。
図5に示すように、無機発光体100は、無機発光素子102と、アノード電極112と、カソード電極114とを有している。
【0053】
無機発光素子102は、発光を行う発光層である。無機発光素子102は、n型クラッド層104と、p型クラッド層106と、p型クラッド層106とn型クラッド層104との間に設けられる発光層108と、を有する。本実施形態において、無機発光素子102は、上側に向かって、p型クラッド層106、発光層108、n型クラッド層104の順で積層されて構成される。無機発光素子102としては、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlInGaP)あるいはアルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)あるいはガリウムヒ素リン(GaAsP)等の化合物半導体が用いられる。さらに言えば、本実施形態において、p型クラッド層106及びn型クラッド層104は、窒化ガリウム(GaN)などが用いられる。また、発光層108としては、窒化インジウムガリウム(InGaN)などが用いられる。発光層108は、InGaN、GaNが積層された多量子井戸構造(MQW)でもよい。
【0054】
無機発光体100は、上側に向かって、アノード電極112、p型クラッド層106、発光層108、n型クラッド層104、カソード電極114の順で積層されている。無機発光体100の下には、接続導電部52と、接続導電部52の下に設けられて対向アノード電極50eに接続される接続層50fと、が設けられる。無機発光体100の上には、対向カソード電極90eが設けられる。
【0055】
接続層50fは、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、接続層50fは、対向アノード電極50eと同じ材料で構成されている。すなわち例えば、接続層50fは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とを含み、例えば、チタンの層とアルミニウムの層とが第3方向Dzに沿って積層されている。
【0056】
接続導電部52は、導電性の部材、ここでは金属材料を含む。本実施形態では、接続導電部52は、接続層50fや対向アノード電極50eよりも融点が低い材料で構成されている。具体的には、接続導電部52は、はんだ又は導電ペーストなどであり、接続層50fとアノード電極112とを接合する。
【0057】
アノード電極112は、接続導電部52の上に設けられる。アノード電極112は、接続導電部52に固定されている。アノード電極112は、接続導電部52及び接続層50fを介して、対向アノード電極50eに接続される。アノード電極112は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばインジウムスズ酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)である。アノード電極112は、対向アノード電極50eに電気的に接続されている。アノード電極112の上には、p型クラッド層106が設けられている。アノード電極112は、p型クラッド層106と接続されている。
【0058】
カソード電極114は、n型クラッド層104の上に設けられる。カソード電極114は、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。カソード電極114は、対向カソード電極90eに接続されている。
【0059】
対向電極としての対向カソード電極90eは、透光性を有する導電性の部材であり、例えばITOである。対向カソード電極90eは、複数の(ここでは全ての)無機発光体100(画素49)に共通して設けられる共通電極であり、複数の(ここでは全ての)無機発光体100のカソード電極114に接続されている。
【0060】
(表示装置の補修)
以上のように構成される表示装置1は、複数の無機発光体100の発光によって画像を表示する。無機発光体100を備える表示装置1は、例えば無機発光体100のサイズが小さいことによる搭載の困難性などが原因で、製造が難しく、不良を招く場合がある。不良とされた表示装置1を使用せず破棄処分にしたりすると、歩留りが低下してしまう。それに対し、本実施形態においては、不良とされた表示装置1を補修することで、不良となった表示装置1を使用可能な状態として、歩留りの低下を抑える。ここでの不良とは、表示装置1に搭載された少なくとも一部の無機発光体100が適切に発光しないことを指す。無機発光体100が適切に発光しない状態としては、例えば、滅点状態又は輝点状態が挙げられる。滅点状態とは、無機発光体100を発光させるための電流を流した場合にも、その無機発光体100が発光しない状態を指す。本実施形態では、無機発光体100を発光させるための電流を流した場合とは、発光動作期間に、アノード電源線L1から駆動トランジスタDRTを介して、無機発光体100に表示階調に応じた電流が供給された場合を指す。この場合、通常であれば、駆動トランジスタDRTから、ドレイン接続配線43d及び対向アノード電極50eを介して、無機発光体100のアノード電極112に、表示階調に応じた電流が供給され、無機発光体100はこの電流により発光する。しかし、滅点状態においては、アノード電源線L1から駆動トランジスタDRTを介して、無機発光体100に電流が供給される状態とした場合においても、無機発光体100が発光しない。一方、輝点状態とは、無機発光体100を発光させるための電流を流していない場合にも、その無機発光体100が発光する状態を指す。すなわち、無機発光体100を発光させるための電流を流していない場合、すなわちその無機発光体100に接続される駆動トランジスタDRTが本来オフとなっていなければならない場合においても、その無機発光体100が発光する状態が、輝点状態である。
【0061】
滅点状態に考えられる不良モードとしては、アノード電源線L1から無機発光体100までの間での断線、トランジスタの導通特性不良、接続導電部52や対向カソード電極90eの形成不良による実装不良、又は無機発光体100自体の特性不良等が考えられる。この中で、前2者については、基板側の問題となるため、補修によって正常な状態を回復することはできないが、残りのモードについては、補修を通じて正常な状態を回復し得る。
【0062】
輝点状態に考えられる不良モードとしては、アノード電源線L1から無機発光体100までの間での、異物等による電源ショート、トランジスタのスイッチング特性不良が考えられる。つまり、輝点状態の場合は、基板側の問題となるため、補修によって正常な状態を回復することはできないが、不良部分の無機発光体100を除去することで、滅点化することが可能である。滅点は不良であるが、デバイスの品質として見たとき、輝点不良よりも許容度があるため、輝点不良の滅点化は有効である。
【0063】
図6は、本実施形態に係る表示装置の補修方法を説明するフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態に係る表示装置1の補修方法においては、アレイ基板2上に対向カソード電極90eを形成してから(ステップS10)、点灯検査を実行することで(ステップS12)、表示装置1に搭載された無機発光体100のうちから、不良となっている無機発光体100である不良無機発光体100Aを検出する(ステップS14;検出ステップ)。具体的には、例えば、アレイ基板2上に、対向アノード電極50e、無機発光体100、及び対向カソード電極90eを積層して、表示装置1を形成する。言い換えれば、表示装置1の、対向カソード電極90eより下側の各部と、対向カソード電極90eとを、形成する。そして、その表示装置1に対して点灯検査を行って、不良無機発光体100Aを検出する。本実施形態において、不良無機発光体100Aは、輝点状態、又は滅点状態となっている無機発光体100である。点灯検査では、例えば、全ての無機発光体100に対し、無機発光体100を発光させるための電流を流して、発光しない無機発光体100を、滅点状態の不良無機発光体100Aとして検出する。また、無機発光体100のうち、その無機発光体100を発光させるための電流を流していないのに発光している無機発光体100を、輝点状態の不良無機発光体100Aとして検出する。ただし、不良無機発光体100Aの検出方法は、点灯検査に限られない。
【0064】
不良無機発光体100Aが検出された場合(ステップS14;Yes)、対象部分AR1を決定して(ステップS16)、対象部分AR1に照射光LIを照射して、対象部分AR1に含まれる対向カソード電極90eと絶縁体72(本実施形態では絶縁膜70及び平坦化膜80)とを、除去する(ステップS18;絶縁体除去ステップ)。以下、具体的に説明する。
【0065】
図7及び
図8は、対象部分に照射光を照射した場合の例を示す模式図である。
図7の(A)は、対象部分AR1に照射光LIを照射している際の表示装置1の断面を模式的に示す図であり、
図7の(B)は、対象部分AR1に照射光を照射している際の表示装置1の上面を模式的に示す図である。以降の
図8から
図14においても、(A)が断面図であり、(B)が上面図である。
図8は、対象部分AR1が除去された後の表示装置1を模式的に示す図である。
【0066】
本実施形態に係る補修方法においては、不良無機発光体100Aを検出したら、検出した不良無機発光体100Aの位置に基づき、対象部分AR1を決定する。対象部分AR1は、絶縁体72及び対向カソード電極90eの、これから除去しようとする部分である。すなわち、本実施形態に係る補修方法においては、不良無機発光体100Aの位置に基づき、絶縁体72及び対向カソード電極90eの除去する部分を決める。
図7の(B)に示すように、対象部分AR1は、無機発光体100が発光する光の進行方向側から見て、すなわち第3方向Dz側から見て(平面視において)、不良無機発光体100Aの周囲の部分を含む。言い換えれば、対象部分AR1は、第3方向Dz側から見て、不良無機発光体100Aを囲う部分である。より詳しくは、対象部分AR1は、第3方向Dzから見て、不良無機発光体100Aの中央部100A1の放射方向外側に位置して、中央部100A1を囲う部分であることが好ましい。ここで、放射方向外側とは、第3方向Dzから見た不良無機発光体100Aの中心を中心Ceとして、第3方向Dzから見て中心Ceから遠ざかる方向を指す。また、中央部100A1は、第3方向Dzから見た、不良無機発光体100Aの中央の部分である。中央部100A1は、第3方向Dzから見て、中心Ceを中心とする中央側の部分である。第3方向Dzから見た場合において、中央部100A1は、不良無機発光体100Aの全体に対し、例えば50%以上90%以下の面積であってよい。また、不良無機発光体100Aの中央部100A1より放射方向外側の部分を、外縁部100A2とする。外縁部100A2は、第3方向Dzから見て、中央部100A1の放射方向外側に位置して、中央部100A1を囲う部分である。この場合、対象部分AR1は、第3方向Dzから見て、不良無機発光体100Aの外縁部100A2に重なる部分と、外縁部100A2よりも放射方向外側の部分とを含むことが好ましいともいえる。なお、不良無機発光体100Aが複数検出された場合は、不良無機発光体100A毎に、対象部分AR1を決定する。
【0067】
なお、
図7の例では、中央部100A1は、上側に向けて面積が小さくなる不良無機発光体100Aにおける、上側の面(カソード電極114)と一致しているが、それに限られず、例えば上側の面より狭い部分であってもよい。言い換えれば、
図7の例では、対象部分AR1の内周は、不良無機発光体100Aの上側の面の外周に沿っているが、不良無機発光体100Aの上側の面の外周よりも放射方向内側に位置していてもよい。また、対象部分AR1は、第3方向Dzから見て、不良無機発光体100Aの外縁部100A2に重なることに限られず、外縁部100A2の放射方向外側に位置して、外縁部100A2を囲ってもよい。
【0068】
対象部分AR1の位置を決定したら、本実施形態においては、
図7の(A)に示すように、光照射装置150によって、対象部分AR1に対して、照射光LIを照射する。照射光LIは、本実施形態では、レーザ光である。照射光LIは、絶縁体72及び対向カソード電極90eに当たった場合に、絶縁体72及び対向カソード電極90eを除去可能であるが、無機発光体100に当たった場合には、無機発光体100を除去しない波長の光である。具体的には、照射光LIの波長は、216nm以上316nm以下であることが好ましく、240nm以上282nm以下であることがより好ましい。
【0069】
ここで、照射光LIが表示装置1上に照射される位置である照射位置が固定されている状態で、照射光LIが表示装置1上に照射される領域を、照射領域AR0とする。この場合、
図7の(B)に示すように、第3方向Dzから見て、照射領域AR0の面積は、対象部分AR1の面積よりも狭く設定されている。そのため、本補修方法において、光照射装置150は、照射位置を固定した状態で(ワンショットで)対象部分AR1の全体に照射光LIを照射せずに、照射領域AR0(照射位置)を動かして(走査して)、対象部分AR1の全体に照射光LIを照射する。すなわち、光照射装置150は、第3方向Dzから見て、対象部分AR1の範囲内に照射領域AR0が位置するように照射位置を設定して、照射光LIを照射させた状態で照射領域AR0(照射位置)を軌跡TRに沿って移動させることで、対象部分AR1の全体に照射光LIを照射する。
図7の(B)の例では、軌跡TRは、不良無機発光体100Aの中央部100A1の周囲に沿った経路である。すなわち、光照射装置150は、中央部100A1の外周に沿って、照射領域AR0(照射位置)を移動させる。さらに言えば、光照射装置150は、中央部100A1の外周に沿った一周分、照射領域AR0(照射位置)を移動させて、対象部分AR1の全体に照射光LIを照射する。ただし、照射領域AR0(照射位置)の軌跡TRは、これに限られず、例えば中央部100A1の外周に沿った複数周分など、任意の経路であってもよい。
【0070】
対象部分AR1は、すなわち対象部分AR1に含まれる絶縁体72及び対向カソード電極90eは、照射光LIが照射されることで、除去される。言い換えれば、本補修方法においては、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72や対向カソード電極90eに照射光LIを照射することで、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72や対向カソード電極90eを除去する。これにより、
図8の(A)及び(B)に示すように、対象部分AR1が除去された箇所に、空間ARが形成される。すなわち、空間ARは、対象部分AR1に含まれる絶縁体72及び対向カソード電極90eが除去されて形成される空間である。
図8の(A)に示すように、対象部分AR1が除去されることにより、不良無機発光体100Aの側面は、空間ARに露出する。なお、本実施家形態では、第3方向Dzから見て、対象部分AR1が不良無機発光体100Aの外縁部100A2と重なるため、不良無機発光体100Aにも照射光LIが当たるが、不良無機発光体100Aは、照射光LIによって除去されることはなく、表示装置1内に、すなわちアレイ基板2上に、残る。さらに言えば、不良無機発光体100Aの中央部100A1には照射光LIが照射されないため、少なくとも中央部100A1に接合されている接続導電部52は、溶融することなく、不良無機発光体100Aと接合したままとなる。そのため、照射光LIを照射しても、不良無機発光体100Aを接続導電部52に固定されたままに保ち、不良無機発光体100Aをアレイ基板2上に残すことができる。なお、
図8の例では、不良無機発光体100Aの上側には対向カソード電極90eが残っているが、不良無機発光体100Aの上側の対向カソード電極90eも除去してよい。また、
図8の例では、対象部分AR1が除去されることで、不良無機発光体100Aの側面が露出するが、不良無機発光体100Aの側面に、絶縁体72が残っていてもよい。この場合、不良無機発光体100Aの側面に残る絶縁体72は、その周囲の絶縁体72と繋がっていないことが好ましい。
【0071】
このようにして、照射光LIの照射により対象部分AR1に含まれる絶縁体72及び対向カソード電極90eを除去したら、
図6に示すように、アレイ基板2上に残っている不良無機発光体100Aを、アレイ基板2上から、すなわち表示装置1から、除去する(ステップS20;無機発光体除去ステップ)。
図9は、不良無機発光体を除去する工程を説明する模式図であり、
図10は、不良無機発光体が除去された後の表示装置を模式的に示す図である。
図9に示すように、本補修方法においては、例えば工具(ピックアップツール)152を用いて、表示装置1から不良無機発光体100Aを除去する。工具152は、例えば不良無機発光体100Aを把持するツールである。ここでは、空間AR内に工具152を入れて、工具152で不良無機発光体100Aの側面を把持して、工具152を引き上げることで、不良無機発光体100Aを表示装置1から取り外す。不良無機発光体100Aは、接続導電部52に固定されているが、工具152で引っ張られることで、接続導電部52から取り外される(固定が解除される)。すなわち、不良無機発光体100Aと接続導電部52との接合力よりも、工具152の引っ張る力よりを大きくして、工具152で不良無機発光体100Aを引っ張ることで、接続導電部52や接続層50fなどへのダメージを抑制させつつ、不良無機発光体100Aを取り外すことができる。このようにして表示装置1から不良無機発光体100Aを除去することにより、
図10の(A)に示すように、表示装置1には、すなわちアレイ基板2上には、不良無機発光体100Aに接続されていた接続導電部52、接続層50f、及び対向カソード電極90e(図示略)が、残る。また、表示装置1の空間ARは、照射光LIによって絶縁体72及び対向カソード電極90eが除去された後の空間と、工具152によって不良無機発光体100Aが除去された後の空間とを、含むことになる。なお、
図9に示した工具152の構造は一例であって任意のものであってよい。工具152は、周囲の絶縁体72が除去された不良無機発光体100Aを保持して、表示装置1から取り外すことが可能なものであってよい。
【0072】
不良無機発光体100Aを除去したら、
図6に示すように、不良無機発光体100Aを除去した箇所に、無機発光体100を再搭載可能か判断する(ステップS22)。例えば、不良無機発光体100A自体に不具合があり、不良無機発光体100Aより下側の接続導電部52、接続層50f、及び対向カソード電極90eなどに不具合が無い場合には、無機発光体100を再搭載可能と判断する。また、例えば不良無機発光体100A自体に不具合は無いが、不良無機発光体100Aと対向カソード電極90eとの接続に不具合がある場合にも、無機発光体100を再搭載可能と判断する。一方、例えば、不良無機発光体100Aより下側の接続導電部52、接続層50f、及び対向カソード電極90eなどに不具合がある場合には、無機発光体100を取り替えても不具合が解消しないとして、無機発光体100を再搭載できないと判断する。
【0073】
無機発光体100を再搭載可能と判断した場合(ステップS22;Yes)、空間ARの不良無機発光体100Aが除去された後の空間に、すなわち不良無機発光体100Aが搭載されていた空間に、代替無機発光体100Bを搭載する(ステップS24)。代替無機発光体100Bは、例えば不良無機発光体100Aが正常である場合に発光した光と同じ色の光を発光する無機発光体100である。代替無機発光体100Bは、不良無機発光体100Aとは別の無機発光体100であるが、例えば不良無機発光体100A自体に不具合が無い場合(不良の原因が、接続導電部や対向カソード電極の形成不良であった場合など)には、不良無機発光体100Aを、代替無機発光体100Bとして再度搭載してもよい。
【0074】
代替無機発光体100Bの搭載方法について、具体的に説明する。
図11及び
図12は、代替無機発光体を搭載する工程を模式的に説明する図である。
図11に示すように、本補修方法においては、空間ARの不良無機発光体100Aが除去された後の空間、より詳しくは不良無機発光体100Aが接合されていた接続導電部52の上に、代替無機発光体100Bを配置する。そして、
図12の(A)に示すように、光照射装置154により、上面に代替無機発光体100Bが設置された接続導電部52に向けて、照射光LJを照射する。照射光LJは、本実施形態ではレーザ光である。照射光LJは、無機発光体100に当たった場合にも、無機発光体100を除去しない波長の光である。具体的には、照射光LJの波長は、照射光LIの波長よりも長いことが好ましく、例えば、800nm以上の赤外光が好ましく、1014nm以上1114nm以下であることがさらに好ましい。
図12の例においては、接続導電部52上に配置された代替無機発光体100Bの上から、代替無機発光体100Bに照射光LJを照射する。この場合でも、代替無機発光体100Bの下に接続導電部52が位置しているため、接続導電部52に向けて照射光LJを照射しているといえる。代替無機発光体100Bは、照射光LJの照射により加熱され、代替無機発光体100Bの熱が接続導電部52に伝わる。接続導電部52は、代替無機発光体100Bから伝わった熱により加熱されて、溶融する。その後、照射光LJの照射が停止することで、接続導電部52の加熱が停止され、接続導電部52は、例えば自然冷却や強制冷却により冷却されて、硬化する。接続導電部52が溶融した後硬化することで、代替無機発光体100Bは、接続導電部52に固定(接合)される。これにより、代替無機発光体100Bは、接続導電部52を介して接続層50fに固定され、言い換えれば、接続導電部52及び接続層50fを介して、対向アノード電極50eに固定される。また、代替無機発光体100Bは、接続導電部52及び接続層50fを介して、対向アノード電極50eに電気的に接続されるともいえる。なお、本実施形態の例では、照射光LJが照射された代替無機発光体100Bの熱を接続導電部52に伝えることで、接続導電部52を加熱していたが、接続導電部52の加熱方法はこれに限られない。例えば、接続導電部52に直接照射光LJを照射して、接続導電部52を加熱してもよいし、代替無機発光体100Bを透過する照射光LJを代替無機発光体100Bに照射して、代替無機発光体100Bを透過した照射光LJを接続導電部52に到達させることで、接続導電部52を加熱してもよい。
【0075】
代替無機発光体100Bを搭載したら、
図6に示すように、代替無機発光体100Bの周囲に、代替絶縁体72A及び代替導電体90eAを形成する(ステップS26)。
図13は、代替絶縁体を形成する工程を模式的に説明する図であり、
図14は、代替導電体を形成する工程を模式的に説明する図である。
図13の(A)に示すように、接続導電部52上に代替無機発光体100Bを搭載したら、代替無機発光体100Bの周囲に、言い換えれば空間ARの絶縁体72が設けられていた空間(絶縁体72が除去されて形成された空間)に、代替絶縁体72Aを形成する。代替絶縁体72Aは、代替無機発光体100Bのカソード電極114が露出したまま残るように、代替絶縁体72Aを充填する。代替絶縁体72Aは、絶縁性の材料で構成されており、例えば絶縁性の樹脂である。
図13の例では、絶縁体供給装置156から、例えばペースト状の代替絶縁体72Aを噴射して、代替無機発光体100Bのカソード電極114が露出したまま残るように、代替無機発光体100Bの周囲に代替絶縁体72Aを充填して、充填した代替絶縁体72Aを硬化させる。
【0076】
代替絶縁体72Aを形成したら、
図14の(A)に示すように、代替無機発光体100Bのカソード電極114上に、代替導電体90eAを形成する。より詳しくは、代替無機発光体100Bのカソード電極114と、除去されずに残っていた対向カソード電極90eとを、代替導電体90eAを介して接続するように、言い換えれば、代替無機発光体100Bのカソード電極114と、除去されずに残っていた対向カソード電極90eとの両方に接触するように、代替導電体90eAを形成する。代替導電体90eAは、導電性の部材であり、例えば、導電性の樹脂(ポリマー)や、導電性金属のペーストである。
図14の例では、導電体供給装置158から、例えばペースト状の代替導電体90eAを、代替無機発光体100Bのカソード電極114と対向カソード電極90eとの両方に接触するように噴射して、噴射した代替導電体90eAを硬化させる。このようにして代替導電体90eAを形成することにより、代替無機発光体100Bと対向カソード電極90eとを、代替導電体90eAを介して電気的に接続する。
【0077】
このように代替絶縁体72A及び代替導電体90eAを形成したら、表示装置1の補修は終了する。
図6において不良無機発光体100Aがないと判断した場合(ステップS14;No)は、補修を行うことなく処理を終了する。また、無機発光体100を再搭載できないと判断した場合(ステップS22;No)、代替無機発光体100Bを搭載することなく、補修処理を終了する。この場合、代替無機発光体100Bを除去した後の空間ARの全体に、代替絶縁体72Aを充填してもよい。なお、不良無機発光体100Aが複数ある場合は、不良無機発光体100A毎に、
図6に示すステップS16からステップS26を実行する。また、以上説明した補修処理を終了した後に、対向カソード電極90e上に、カバー部92を形成してもよい。
【0078】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1の補修方法は、マトリクス状に並ぶ複数の無機発光体100と、無機発光体100の周囲に設けられる絶縁体72とを備える表示装置1を補修するものであり、検出ステップS14と、絶縁体除去ステップS18と、無機発光体除去ステップS20とを含む。検出ステップS14においては、不良となっている無機発光体100である不良無機発光体100Aを検出する。絶縁体除去ステップS18においては、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72に対して照射光LIを照射して、不良無機発光体100Aを除去せずに残しつつ、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72を除去する。絶縁体除去ステップS18においては、周囲の絶縁体72が除去された不良無機発光体100Aを、除去する。無機発光体100を備える表示装置においては、無機発光体100に不良が生じることがある。それに対し、本実施形態に係る補修方法においては、不良無機発光体100Aの周囲を覆う絶縁体72を照射光LIで除去してから、不良無機発光体100Aを表示装置1から除去することで、例えば輝点状態となっている不良無機発光体100Aを表示装置1から除くことができるため、表示装置1を使用可能な状態として、歩留りの低下を抑えることができる。また、除去した不良無機発光体100Aを他の無機発光体100に換装することもできるため、無機発光体100の不良を解消して、表示装置1を適切に使用可能な状態とすることもできる。
【0079】
さらに言えば、表示装置1の補修にあたり、照射光の照射により、絶縁体72と共に、不良無機発光体100Aも除去することも考えられる。すなわち例えば、高エネルギーの照射光を絶縁体72に照射して、絶縁体72と共に、不良無機発光体100Aを吹き飛ばすことも可能である。しかし、この場合、吹き飛ばした不良無機発光体100Aの位置が把握できず、例えば表示装置1上の不適切な箇所に残ったままとなったり、不良無機発光体100Aの発見に時間を要したりするなどの、製造上の懸念がある。それに対し、本実施形態においては、照射光LIの照射により、不良無機発光体100Aを残したまま、絶縁体72を除去するため、不良無機発光体100Aが吹き飛ばされて位置が不明になることを抑制できる。また、照射光LIの照射により不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72を除去することで、例えば工具152で不良無機発光体100Aを取り出すことが容易となる。このように、本実施形態によると、表示装置1の補修を適切に実施することができる。
【0080】
また、絶縁体除去ステップS18において、対象部分AR1に対して照射光LIを照射することで、対象部分AR1に含まれる絶縁体72を除去する。対象部分AR1は、無機発光体100が発光する光の進行方向側、すなわち第3方向Dz側から見て、不良無機発光体100Aの中央部100A1の放射方向外側に位置して、中央部100A1を囲う部分である。本実施形態によると、不良無機発光体100Aの中央部100A1の外側の絶縁体72に照射光LIを照射することで、例えば中央部100A1とアレイ基板2(より詳しくは接続導電部52)とを接合されたままに保って、照射光LIの照射により不良無機発光体100Aが吹き飛ぶことを抑制できる。また、中央部100A1の周囲に照射光LIを照射することで、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72を除去して、工具152などによる不良無機発光体100Aの取外しを容易にできる。
【0081】
また、絶縁体除去ステップS18において、表示装置1の照射光LIを照射する照射位置を、不良無機発光体100Aの中央部100A1の周囲に沿って移動させることで、対象部分AR1の全体に照射光LIを照射する。本実施形態においては、このように照射光LIを走査して対象部分AR1の全体に照射光LIを照射するため、不良無機発光体100Aの周囲の絶縁体72を適切に除去することができる。
【0082】
また、照射光LIは、波長が216nm以上316nm以下のレーザ光であることが好ましい。照射光LIの波長をこの範囲とすることで、光の強度が高くなり過ぎて不良無機発光体100Aが吹き飛ぶことを抑制できる。
【0083】
また、本実施形態においては、表示装置1の不良無機発光体100Aが除去された空間に、無機発光体100(代替無機発光体100B)を搭載する搭載ステップS24をさらに含むことが好ましい。不良無機発光体100Aの代わりに代替無機発光体100Bを搭載することで、例えば輝点状態や滅点状態などの、表示装置1の不良を解消することができる。
【0084】
また、不良無機発光体100Aは、第3方向Dz(発光する光の進行方向)と反対側の端部、ここではアノード電極112が、電極(対向アノード電極50e)に接続される接続導電部52に固定されている。そして、無機発光体除去ステップS18においては、接続導電部52から不良無機発光体100Aを取り外すことで、接続導電部52を残したまま不良無機発光体100Aを除去する。そして、搭載ステップS24においては、接続導電部52上に代替無機発光体100Bを搭載し、接続導電部52に向けて照射光LJを照射して接続導電部52を溶融させた後、接続導電部52を硬化させることで、代替無機発光体100Bを接続導電部52に固定する。本実施形態においては、このようにして代替無機発光体100Bを接続導電部52に固定するため、代替無機発光体100Bを適切に搭載して、表示装置1の不良を解消することができる。
【0085】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0086】
1 表示装置
50e 対向アノード電極
50f 接続層
52 接続導電部
72 絶縁体
90e 対向カソード電極
100 無機発光体
100A 不良無機発光体
100B 代替無機発光体
AR1 対象部分
AR 空間
LI 照射光