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  • 特許-視標提示装置及び眼科装置 図1
  • 特許-視標提示装置及び眼科装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】視標提示装置及び眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/032 20060101AFI20230623BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61B3/032
G02B27/01
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019214134
(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公開番号】P2020151454
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2019046433
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 英一
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-48753(JP,A)
【文献】特開2004-298315(JP,A)
【文献】特開平4-247489(JP,A)
【文献】特表2017-527859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G02B 27/00-30/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に視標像を表示する表示器と、
前記表示器から出射された光束を反射する反射ミラーと、
前記反射ミラーによって反射された反射光束により前記視標像の虚像を形成すると共に、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系と、
前記凸レンズ系を通過した反射光束の光路を折り曲げて、被検眼の前方の所定距離の像点位置に前記視標像の虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を有し、
前記表示器は、前記表示画面の位置が前記凸レンズ系の焦点距離以内に存在すると共に、被検者の視線の方向に対して側方から光束を出射する位置に配置され、
前記反射ミラーは、前記表示器からの光束を直接反射する第1ミラーと、前記第1ミラーによって反射された反射光束を前記凸レンズ系に向けて反射する少なくとも一枚の第2ミラーと、から構成されている
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された視標提示装置において、
前記第2ミラーにより前記凸レンズ系に向けて反射された反射光束の反射方向は、前記表示器からの光束の出射方向に対し、前記視線の方向から見たときに交差する
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された視標提示装置において、
前記表示器からの光束の出射方向は、前記視線の方向に対し、平面視で直交する
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された視標提示装置において、
前記第1ミラーは、前記表示画面に対向する位置に配置され、前記表示器からの光束を前記表示器よりも下方に向けて反射し、
前記第2ミラーは、前記表示器よりも下方の位置であって前記表示器からの光束に干渉しない位置に配置され、前記第1ミラーによって反射された光束を上方に向けて反射し、
前記凸レンズ系は、前記表示器よりも上方の位置であって前記表示器からの光束に干渉しない位置に配置されている
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項5】
請求項4に記載された視標提示装置において、
前記表示器は、前記光束の出射方向が水平方向又は前記水平方向よりも下方に向けられ、
前記第1ミラーは、反射面が前記水平方向よりも下方に向けられている
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の視標提示装置と、被検眼の視機能を矯正する検眼ユニットと、を備えたことを特徴とする眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視標提示装置及びこれを備えた眼科装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、視標像を表示する表示器と、表示器からの光束を反射する反射ミラーと、反射ミラーからの反射光束によって虚像を形成する凸レンズ系と、凸レンズ系を通過した反射光束の光路を折り曲げて所定の像点位置に虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を備え、検眼用の視標像を提示する視標提示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5835838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の視標提示装置では、表示器から出射された光束が反射ミラーによって鉛直方向の上方に反射される。また、これに対し、凸レンズ系は反射ミラーの鉛直方向上方に配置されている。そのため、反射ミラーから凸レンズ系までの高さ方向の距離は、反射ミラーから凸レンズ系までの必要な光路長を確保できる距離にしなければならず、装置の高さ方向の寸法が大きくなってしまうという問題が生じていた。また、視標提示装置を検眼テーブル等の卓上に載置するためには、高さ方向だけでなく、装置奥行き方向(前後方向)のコンパクト化も必要であった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、反射ミラーから凸レンズ系までの必要な光路長を確保しつつ、高さ方向及び奥行き方向のコンパクト化を図ることができる視標提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の視標提示装置は、表示画面に視標像を表示する表示器と、表示器から出射された光束を反射する反射ミラーと、反射ミラーによって反射された反射光束により視標像の虚像を形成すると共に、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系と、凸レンズ系を通過した反射光束の光路を折り曲げて、アイポイントの前方の所定距離の像点位置に視標像の虚像を提示する光路折り曲げミラーと、を有している。
そして、表示器は、表示画面の位置が凸レンズ系の焦点距離以内に存在すると共に、被検者の視線の方向に対して側方から光束を出射する位置に配置される。
また、反射ミラーは、表示器からの光束を直接反射する第1ミラーと、第1ミラーによって反射された反射光束を凸レンズ系に向けて反射する少なくとも一枚の第2ミラーと、から構成されている。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された視標提示装置では、表示器から出射された光束は、装置の奥行き方向に向けられる被検者の視線の方向に対して側方から出射される。このため、表示器からの光束は、視標提示装置の幅方向に向けられることになり、装置が奥行き方向に大型化することを防止できる。また、反射ミラーを第1ミラーと少なくとも一枚の第2ミラーによって構成したことで、反射ミラーから凸レンズ系までの光路を少なくとも二回折り曲げることができる。これにより、反射ミラーから凸レンズ系までの光路長を確保しながら、高さ方向の寸法を短くすることができる。よって、反射ミラーから凸レンズ系までの必要な光路長を確保しつつ、高さ方向及び奥行き方向のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の視標提示装置を備える眼科装置を示す外観斜視図である。
図2】実施例1の視標提示装置の視標提示光学系を示す側面図である。
図3】実施例1の視標提示装置の視標提示光学系を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の視標提示装置及びこれを備える眼科装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
実施例1の眼科装置100及び視標提示装置10の構成を、図1図3に基づいて説明する。
【0011】
眼科装置100は、被検者1(図2参照)の前方に配置され、被検者1に各種の視標を提示し、提示された視標を視認した被検者1の協力を得て被検眼Eの光学特性(屈折力等)を測定する装置である。この眼科装置100は、視標提示装置10と、検眼テーブル2と、検眼ユニット4と、照明ユニット5を備えている。
【0012】
視標提示装置10は、図1に示すように検眼テーブル2の上に載置され、ランドルト環等の遠用検眼用の視標を被検者1に提示する装置である。また、検眼テーブル2には、水平方向に回動可能な支柱3が設けられ、この支柱3によって、検眼ユニット4及び照明ユニット5が支持されている。ここで、検眼ユニット4は、屈折力の異なる複数の光学素子を有し、任意の光学素子を被検眼E(図2参照)の眼前に選択的に配置することで、被検眼Eの視機能を矯正する。
【0013】
実施例1の視標提示装置10は、図2及び図3に示すように、筐体11と、筐体11の内部に配置された視標提示光学系12と、を備えている。
【0014】
筐体11は、中空のほぼ直方体形状を呈し、下端部には検眼テーブル2に載置するための支持脚(不図示)が形成されている。また、筐体11は、被検者1に対向する前面にウインドウ11aが設けられている。ウインドウ11aは、ここではポリアクリルレート樹脂によって形成された板部材であり、透光性を有している。
【0015】
視標提示光学系12は、表示器13と、反射ミラー14と、凸レンズ系15と、光路折り曲げミラー16と、を有している。
【0016】
表示器13は、例えば、液晶表示装置から構成され、物点Oの位置に存在する表示画面13aに任意の視標像を表示する。また、この表示器13は、筐体11の下部に設けられ、被検者1の視線Sの方向(視標提示装置10の奥行き方向)に対して側方から光束K1を出射する位置に配置されている。このとき、光束K1は、被検者1の視線Sに交差(実施例1では直交)する平面H(図2参照)に沿って出射される。すなわち、表示器13は、図3に示すように、光束K1を視標提示装置10の幅方向に出射すると共に、この光束K1出射方向は、視線Sの方向に対して、視標提示装置10の上方から見たときの平面視で直交する。また、この表示器13の表示画面13aは、光束K1の出射方向が水平になる向きに向けられている。
【0017】
反射ミラー14は、表示器13から出射された光束K1を反射し、反射光束を凸レンズ系15に向けるミラーである。この反射ミラー14は、光束K1を直接反射する第1ミラー14aと、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を凸レンズ系15に向けて反射する第2ミラー14bと、から構成されている。
【0018】
第1ミラー14aは、表示器13の表示画面13aに対し、水平方向に対向する位置に配置されると共に、反射面を表示器13の下方に向けた一枚のミラーである。第1ミラー14aの反射面の傾斜角度θ1は、ここでは、水平方向に対して75°に設定され、第1ミラー14aの反射面は、水平方向よりも下方に向けられている。そして、第1ミラー14aは、表示器13からの光束K1を、被検者1の視線Sに交差(実施例1では直交)する平面Hに沿って表示器13よりも下方に向けて反射する。
【0019】
一方、第2ミラー14bは、表示器13よりも下方であって、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を反射可能な位置に配置された一枚のミラーである。この第2ミラー14bは、表示器13からの光束K1に干渉しない位置であって、凸レンズ系15に対し、鉛直方向に対向する位置に配置されている。実施例1では、第2ミラー14bは、表示器13からの光束K1が通過する領域よりも下側であって、視線Sの方向(装置奥行き方向)から見たとき表示器13と第1ミラー14aの中間になる位置に配置されている。また、第2ミラー14bの反射面は、上方に向けられると共に、鉛直方向に対して傾斜している。第2ミラー14bの反射面の傾斜角度θ2は、ここでは、鉛直方向に対して60°に設定されている。そして、第2ミラー14bは、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を、被検者1の視線Sに交差(実施例1では直交)する平面Hに沿って鉛直上方に向けて反射する。ここで、反射光束K2の反射方向は、表示器13からの光束K1の出射方向に対し、視線Sの0方向(装置奥行き方向)から見たときに交差する(図3参照)。
【0020】
凸レンズ系15は、第2ミラー14bによって反射された反射光束K3を透過し、この反射光束K3により虚像を形成するレンズ系である。この凸レンズ系15は、表示器13よりも上方の位置であって、表示器13からの光束K1に干渉しない位置に配置されている。ここでは、一個の平凸レンズにより構成されているが、二個以上のレンズからなる構成でもよい。また、凸レンズ系15を構成する平凸レンズには、BK7等のガラス材料が用いられる。そして、この凸レンズ系15の焦点距離fは、800ミリメートルよりも長く、ここでは、f=1314.0ミリメートルに設定されている。
【0021】
また、図3において、符号fは凸レンズ系15の焦点を示している。ここで、物点Oは凸レンズ系15の焦点距離f以内にある。すなわち、表示器13は、表示画面13aの位置が凸レンズ系15の焦点距離f以内に存在する位置に配置されている。
【0022】
光路折り曲げミラー16は、凸レンズ系15を通過した反射光束K3の光路を反射することで折り曲げ、被検者1の被検眼EのアイポイントIの前方の所定距離の像点位置に虚像を提示するミラーである。ここで、凸レンズ系15の焦点距離fを、f=1314.0ミリメートルとしているが、凸レンズ系15の焦点距離fを800ミリメートルよりも長くすることで、視標像の歪みを小さくできる。また、光路折り曲げミラー16は、傾斜角度を変更可能とされており、被検眼Eの床面からの高さに応じて、その傾斜角度を調節できるようにされている。これにより、光路折り曲げミラー16は、表示画面13aからの光束K1を被検眼Eに導くことができ、被検眼Eに対して視標像を支障なく提示することができる。
【0023】
以下、実施例1の眼科装置100及び視標提示装置10の作用効果を説明する。
【0024】
実施例1の眼科装置100において、被検者1の被検眼Eの光学特性(屈折力等)を測定するには、視標提示装置10を用いて被検者1に対して視標像を提示する。すなわち、まず、図示しない電源スイッチやリモートコントロールスイッチを操作し、表示器13の表示画面13aに視標像を表示する。ここで、表示器13は、被検者1の視線Sに直交する平面Hに沿って光束K1を水平方向に出射する。このため、表示器13からの光束K1の出射方向は、視線Sの方向(装置奥行き方向)に対し、視標提示装置10の上方から見たときの平面視で直交することになる。
【0025】
これに対し、表示器13の表示画面13aには、反射ミラー14を構成する第1ミラー14aが対向し、第1ミラー14aの反射面は下方に向けられている。そのため、表示器13から水平方向に出射された光束K1は、第1ミラー14aによって、表示器13よりも下方に反射される。またこのとき、第1ミラー14aは、表示器13からの光束K1を平面Hに沿って反射する。
【0026】
そして、表示器13よりも下方であって、第1ミラー14aで反射された反射光束K2を反射可能な位置には、反射ミラー14を構成する第2ミラー14bが配置されている。また、この第2ミラー14bは、反射面を上方に向けると共に、鉛直方向に対して傾斜されている。そのため、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2は、さらに第2ミラー14bによって鉛直上方に反射される。またこのとき、第2ミラー14bは、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を平面Hに沿って反射する。
【0027】
そして、第2ミラー14bによって反射された反射光束K3は、凸レンズ系15を透過することで虚像を形成する。さらに、凸レンズ系15を透過した反射光束K3は、光路折り曲げミラー16で反射されることで光路が折り曲げられ、この結果、所定の像点位置に虚像が提示される。
【0028】
このように、実施例1の視標提示装置10では、表示器13からの光束K1は、表示画面13aから水平方向に出射されると、第1ミラー14aで反射することにより光路が折り曲げられて下方に向かう。さらに、第2ミラー14bで反射することにより再度光路が折り曲げられて鉛直上方に向けられる。つまり、表示器13から出射された光束K1は、凸レンズ系15を透過するまでに二回反射される。しかも、第1ミラー14aは、表示器13と第1ミラー14aとの間に向かって光束K1を反射するので、第1ミラー14aで反射した反射光束K2は、表示器13の方に戻される。また、第2ミラー14bは、表示器13と第1ミラー14aの中間に配置されており、第2ミラー14bで反射した反射光束K3は、表示器13と第1ミラー14aの間を通る。この結果、表示器13と第1ミラー14aの間の領域に3つの光束K1~K3が存在することになる。このため、例えば、焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系を有する視標提示装置において、表示画面から水平方向に出射された光束K1を反射ミラーによって一回だけ反射し、光路を一度だけ折り曲げて鉛直上方にある凸レンズ系に向ける場合と比べて、表示画面13aから凸レンズ系15までの光路長を縮めることなく、高さ方向の光路長を短くすることができる。
【0029】
これにより、表示画面13aから凸レンズ系15までの必要な光路長を確保しつつ、視標提示装置10の高さ方向のコンパクト化を図ることができる。また、例えば焦点距離が800ミリメートルよりも長い凸レンズ系を有する視標提示装置において、表示器からの光束を一枚の反射ミラーで凸レンズ系に向けて直線反射する場合と比較して、奥行寸法を同程度に設定した場合、高さ寸法を約半減することができる。そして、高さ寸法を半減することで、装置筐体の体積を約半分にすることが可能になる。
【0030】
また、この実施例1の視標提示装置10では、表示器13は、被検者1の視線Sに直交する平面Hに沿って光束K1を水平方向に出射すると共に、第1ミラー14a及び第2ミラー14bがこの平面Hに沿って光束を反射する。つまり、光束K1は、視標提示装置10の奥行き方向に向けられる被検者1の視線Sに交差する同一の平面Hに沿って反射が繰り返される。このため、反射光束K2、K3の反射方向は平面Hによって拘束され、視標提示装置10の奥行き方向に向けられることがない。これにより、視標提示装置10が奥行き方向に大型化することを防止でき、視標提示装置10の奥行き方向のコンパクト化を図ることができる。
【0031】
また、実施例1では、第2ミラー14bによって反射された反射光束K3の反射方向は、表示器13からの光束K1の出射方向に対し、視線Sの方向から見たときに交差する。そのため、反射光束K3の光路は、表示器13と第1ミラー14aとの間に位置することになり、視標像の反射領域を狭くすることができる。この結果、視標提示装置10をさらにコンパクト化することができる。
【0032】
そして、実施例1では、平面Hが被検者1の視線Sに対して直交している。これにより、表示器13からの光束K1の出射方向は、視線Sの方向に対して平面視で(装置上方から見たときに)直交する。このため、表示器13の装置奥行き方向の位置と、第1ミラー14aの装置奥行き方向の位置と、第2ミラー14bの装置奥行き方向の位置とを一致させることができる。これにより、視標提示装置10の奥行き方向への大型化をさらに抑制することができる。
【0033】
さらに、実施例1では、第1ミラー14aが表示器13の表示画面13aに対向する位置に配置され、表示器13からの光束K1を表示器13よりも下方に向けて反射する。また、第2ミラー14bは、表示器13よりも下方の位置であって表示器13からの光束K1に干渉しない位置に配置されている。さらに、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を上方に向けて反射する。そして、凸レンズ系15は、表示器13よりも上方の位置であって、表示器13からの光束K1に干渉しない位置に配置されている。
【0034】
これにより、第2ミラー14bを一枚のミラーによって構成しても、表示器13から出射された光束K1を凸レンズ系15まで適切に導光することができ、ミラー数の増加を抑制することができる。
【0035】
また、実施例1では、表示器13の表示画面13aが、光束K1の出射方向を水平にする向き(水平方向)に向けられ、第1ミラー14aは、反射面が水平方向よりも下方に向けられている。これにより、表示器13の表示画面13aや、表示画面13aからの距離が第2ミラー14bよりも近い第1ミラー14aの反射面に、埃やごみ等が付着することを防止できる。なお、第2ミラー14bは、反射面が鉛直上方に向けられている。しかしながら、表示器13の表示画面13aから第2ミラー14bまでの距離は、表示画面13aから第1ミラー14aまでの距離よりも長い。そのため、第2ミラー14bの反射面には焦点が合いにくく、反射面に埃等が付着しても被検者1からはほとんど見えない。そのため、第2ミラー14bに埃等が付着していても検眼への影響は少ないので問題にならない。
【0036】
そして、この実施例1では、眼科装置100が、上述の実施例1の視標提示装置10と、検眼ユニット4と、を備えている。そのため、この眼科装置100では、高さ方向及び奥行き方向のコンパクト化を図ることができる視標提示装置10を備えることができ、例えば、図1に示すように、検眼テーブル2上にこの眼科装置100を設置することができる。これにより、省スペースの眼科装置100を提供することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の視標提示装置及び眼科装置を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0038】
実施例1では、視標提示装置10における第2ミラー14bを一枚のミラーによって構成する例を示した。しかしながら、これに限らない。第2ミラー14bは、第1ミラー14aによって反射された反射光束K2を凸レンズ系15に向け、任意の平面Hに沿って反射できればよい。そのため、二枚以上の複数のミラーによって第2ミラー14bを構成してもよい。
【0039】
また、実施例1では、表示器13からの光束K1と、第1ミラー14aによる反射光束K2、第2ミラー14bによる反射光束K3がそれぞれ沿う平面Hが、被検者1の視線Sに対して直交する例を示した。しかしながらこれに限らない。光束K1及び反射光束K2、K3は、視線Sに交差する同一の平面に沿っていれば装置奥行き方向の寸法拡大を抑制できるので、この平面Hは、視線Sに対して直角以外の角度で交差していてもよい。
【0040】
また、実施例1に示す視標提示装置10において、筐体11の内壁面による反射を防止するために、筐体11の内壁面に静電植毛によって短繊維を付着させてもよい。
【0041】
さらに、実施例1に示す視標提示装置10において、表示器13からの光束K1に干渉しない位置に絞りを設け、筐体11内に拡散した光が被検者1から見えないようにしてもよい。
【0042】
また、実施例1では、表示器13の表示画面13aが、光束Kの出射方向を水平にする向きに向けられた例を示したが、これに限らない。表示器13を設置する際、表示画面13aを水平方向よりも下方に向けてもよい。これにより、表示画面13aに埃やごみが付着することをさらに防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 被検者
100 眼科装置
10 視標提示装置
13 表示器
13a 表示画面
14 反射ミラー
14a 第1ミラー
14b 第2ミラー
15 凸レンズ系
16 光路折り曲げミラー
E 被検眼
H 平面
K1 光束
K2 反射光束
K3 反射光束
S 視線
2 検眼テーブル
4 検眼ユニット
図1
図2
図3