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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20230623BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230623BHJP
   A61K 31/7064 20060101ALI20230623BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230623BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20230623BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230623BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230623BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61K8/60
A61Q19/08
A61K31/7064
A61P17/00
A61P17/14
A61P37/08
A61P43/00 105
A61Q7/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019532585
(86)(22)【出願日】2018-07-23
(86)【国際出願番号】 JP2018027449
(87)【国際公開番号】W WO2019021988
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2017142718
(32)【優先日】2017-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(72)【発明者】
【氏名】河村 光章
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 幸代
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/084485(WO,A1)
【文献】特公昭46-019638(JP,B1)
【文献】特開2009-298752(JP,A)
【文献】特開2014-088329(JP,A)
【文献】特開平11-035468(JP,A)
【文献】特開2016-117683(JP,A)
【文献】国際公開第2006/090613(WO,A1)
【文献】Meso-Mask Anti-Wrinkle Lightening Mask,ID 964767,Mintel GNPD[online],2008 年9 月,[ 検索日2016.09.28], インターネット<http://www.portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K31/7064
A61P17/00
A61P37/08
A61P43/00
CAplus/KOSMET/MEDLINE/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩を脱毛の防止または育毛のための有効成分として含有し、
プリン系核酸関連物質を含有しない、
ことを特徴とする、脱毛の防止または育毛のための外用組成物。
【請求項2】
ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩を脱毛の防止または育毛のための有効成分として含有し、
脱毛の防止または育毛のための他の有効成分を有効量含まない
ことを特徴とする、脱毛の防止または育毛のための外用組成物。
【請求項3】
該組成物がヒト毛乳頭細胞増殖を促進する用途のために使用される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩をヒト毛乳頭細胞増殖促進のための有効成分として含有し、
プリン系核酸関連物質を含有しない、
ことを特徴とする、ヒト毛乳頭細胞増殖促進のための外用組成物。
【請求項5】
ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩をヒト毛乳頭細胞増殖促進のための有効成分として含有し、
ヒト毛乳頭細胞増殖促進のための他の有効成分を有効量含まない、
ことを特徴とする、ヒト毛乳頭細胞増殖促進のための外用組成物。
【請求項6】
該ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩が、ウリジン5’-リン酸またはその生理学的に許容される塩から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、アトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、またはヒアルロン酸産生促進のための他の有効成分を有効量含まないことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
該組成物が皮膚に使用される外用組成物である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
化粧料、外用医薬品、または外用医薬部外品である、請求項1~のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、アトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、およびヒアルロン酸産生促進のための外用組成物に関する。さらに本願は皮膚の保湿を高める方法、シワを抑制する方法、たるみを抑制する方法、創傷を治療する方法、脱毛を防止する方法、育毛を促進する方法、アトピー性皮膚炎を予防/治療する方法、細胞の増殖を促進する方法、およびヒアルロン酸の産生を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚はもともと保湿機能を備えており、皮膚表面の皮脂膜が体内からの水分の蒸散を防ぎ、また、皮膚の中のアミノ酸、無機塩類等の天然保湿因子が皮膚内部の水分を保持している。しかしながら、皮膚が老化したり、乾燥状態が続いたりすると、皮脂や天然保湿因子の量が減少して皮膚の保湿機能は衰える。
【0003】
天然保湿因子の一つであるヒアルロン酸はβ-D-N-アセチルグルコサミンとβ-D-グルクロン酸が交互に結合してできた直鎖状の高分子多糖であり、高い水分保持能を有する。皮膚は外側から順に、表皮、真皮、および皮下組織の層状の構造をしている。ヒアルロン酸は表皮に存在する角化細胞および真皮に存在する線維芽細胞で主につくられ、表皮の細胞外空間や真皮の網目構造を満たして、細胞の機能維持、皮膚の恒常性維持に深く関与している。皮膚では特に真皮に多く含まれ、生理的老化により皮膚のヒアルロン酸量は減少する。
【0004】
ヒアルロン酸は代表的な保湿成分として多くの化粧品等に使用されている。また、ヒアルロン酸はその高い保水能に加え、依然全貌は明らかになってはいないものの、組織再生を促進するなどの多くの機能を有することが報告されており、さらに多くの用途、例えば、シワおよびたるみの治療(非特許文献1および2)、創傷の治療(非特許文献3および4)、アトピー性皮膚炎の治療(非特許文献5)に使用されている。
【0005】
経皮吸収されるには分子量500以下であることが望ましいことが知られるところ、一般的に化粧品などに配合されているヒアルロン酸の分子量は100万以上であり、皮膚に塗布しても皮膚内に送達させることは困難である。つまり、ヒアルロン酸を含有する外用剤は皮膚表面を保湿することはできるものの、皮膚内部の保水能を高めることはできない。そのため、例えば、ヒアルロン酸含有外用剤は表皮性シワには有用であるものの、真皮性シワには効果は期待できず、真皮性シワには皮膚内へのヒアルロン酸の直接注入といった侵襲的手法が行われている(非特許文献1)。
【0006】
皮膚のヒアルロン酸産生能自体を高める化粧料等が開発されており、特許文献1、特許文献2には、アセチルグルコサミン、グルクロン酸等がヒアルロン酸産生を促進する物質であることが開示されている。しかし、これらの文献で開示されているのは表皮の最外層である角層に対する効果のみであって、多くのヒアルロン酸が存在する真皮に対する効果は確認されていない。
【0007】
使用者の状態に応じた外用剤を開発できるよう、ヒアルロン酸産生促進物質の種類の増加、特に皮膚表皮に加え皮膚真皮の細胞にも効果があるヒアルロン酸産生促進物質が強く望まれている。
【0008】
毛乳頭細胞は発毛シグナルの司令塔といわれ、ヘアケア研究の中心的存在となっている。育毛・脱毛に関しこれまで多くの毛乳頭細胞に着目した研究が積み重ねられ、毛乳頭細胞増殖促進は増毛効果をもたらすことが知られている。毛乳頭細胞増殖促進作用に基づくこれらの薬剤が開発されているにも関わらず(例えば特許文献6および7)、依然新たな育毛促進剤、脱毛防止剤を求めるニーズは高い。
【0009】
ウリジン一リン酸はヌクレオチドの一つで、ウリジンのリン酸エステルである。
特許文献2、特許文献3、特許文献4にはウリジン一リン酸が他の有効成分の増強剤として使用されることが開示されているが、これらの文献いずれにもウリジン一リン酸が単独で有効成分として機能することは開示されていない。
【0010】
特許文献5には、角膜実質細胞をウリジンで処置したとき、ヒアルロン酸の産生が促進されたことが開示されている。当該特許文献は眼球乾燥症候群の予防/治療用組成物に関するものであって、皮膚のヒアルロン酸産生促進を対象とするものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2001-2551号公報
【文献】特開2014-88329号公報
【文献】国際公開第2003/084485号
【文献】国際公開第2005/034902号
【文献】特表2009-517380号公報
【文献】国際公開第2016/079912号
【文献】特開2015-13849号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】宮地、外2名著、Advanced Cosmetic Dermatology 2、 しわ・たるみを取る 患者の満足度を高める治療法のすべて、南江堂、2006年6月、53~59頁
【文献】Nobile V, Buonocore D, Michelotti A, Marzatico F (2014) Anti-aging and filling efficacy of six types hyaluronic acid based dermo-cosmetic treatment: double blind, randomized clinical trial of efficacy and safety. J Cosmet Dermatol 13: 277-287.
【文献】WYJ Chen, G Abatangelo (1999) Functions of hyaluronan in wound repair. Wound Repair and Regeneration, Vol 7, No. 2: 79-89
【文献】Neuman, M.G.; Nanau, R.M.; Oruna-Sanchez, L.; Coto, G. Hyaluronic acid and wound healing. J. Pharm. Pharm. Sci. 2015, 18, 53-60.
【文献】Draelos ZD. A clinical evaluation of the comparable efficacy of hyaluronic acid-based foam and ceramide-containing emulsion cream in the treatment of mild-to-moderate atopic dermatitis. J Cosmet Dermatol. 2011;10:185-188
【0013】
本明細書において引用する先行技術文献の開示は全て参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本願の課題は、皮膚表皮および皮膚真皮においてヒアルロン酸の産生を促進する、保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療に有用な外用組成物を提供することである。さらに本願の課題は皮膚の保湿を高める方法、シワを抑制する方法、たるみを抑制する方法、創傷を治療する方法、脱毛を防止する方法、育毛を促進する方法、およびアトピー性皮膚炎を予防/治療する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことにウリジンのリン酸エステルが単独で優れた細胞増殖促進作用を有すること、および皮膚表皮と皮膚真皮においてヒアルロン酸産生を促進することができることを見出し、本願発明に至った。
【0016】
本願発明は、下記を提供する:
[1] ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を、保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療のための有効成分として含有することを特徴とする、外用組成物。
[2] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を単独の有効成分として含む、[1]に記載の組成物。
[3] 保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療のための他の有効成分を有効量含まない、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン一リン酸、ウリジン二リン酸、ウリジン三リン酸、またはそれらの生理学的に許容される塩から選択される、[1]~[3]のいずれか1項に記載の組成物。
[5] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩から選択される、[1]~[4]のいずれか1項に記載の組成物。
[6] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン5’-リン酸またはその生理学的に許容される塩から選択される、[1]~[5]のいずれか1項に記載の組成物。
[7] 該組成物が皮膚に使用される外用組成物である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の組成物。
[8] 該組成物が細胞増殖を促進する用途のためにまたはヒアルロン酸産生を促進する用途のために使用される、[1]~[7]のいずれか1項に記載の組成物。
[9] 化粧料、外用医薬品、または外用医薬部外品である、[1]~[8]のいずれか1項に記載の組成物。
【0017】
[10] ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を細胞増殖促進またはヒアルロン酸産生促進のための有効成分として含有することを特徴とする、外用組成物。
[11] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を単独の有効成分として含む、[10]に記載の組成物。
[12] 細胞増殖促進またはヒアルロン酸産生促進のための他の有効成分を有効量含まない、[10]または[11]に記載の組成物。
[13] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン一リン酸、ウリジン二リン酸、ウリジン三リン酸、またはそれらの生理学的に許容される塩から選択される、[10]~[12]のいずれか1項に記載の組成物。
[14] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン一リン酸またはその生理学的に許容される塩から選択される、[10]~[13]のいずれか1項に記載の組成物。
[15] 該ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が、ウリジン5’-リン酸またはその生理学的に許容される塩から選択される、[10]~[14]のいずれか1項に記載の組成物。
[16] 該組成物が皮膚に使用される外用組成物である、[10]~[15]のいずれか1項に記載の組成物。
[17] 保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療から選択される用途のために使用される、[10]~[16]のいずれか1項に記載の組成物。
[18] 保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療のための他の有効成分を有効量含まない、[17]に記載の組成物。
[19] 化粧料、外用医薬品、または外用医薬部外品である、[10]~[18]のいずれか1項に記載の組成物。
【0018】
[20] ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を皮膚に適用することを特徴とする方法であって、該方法が下記(1)~(9):
(1)皮膚の保湿を高める
(2)シワを抑制する
(3)たるみを抑制する
(4)創傷を治療する
(5)脱毛を防止する
(6)育毛を促進する
(7)アトピー性皮膚炎を予防/治療する
(8)細胞の増殖を促進する
(9)ヒアルロン酸の産生を促進する
から選択される目的のために使用される方法。
【0019】
[21] 保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、またはヒアルロン酸産生促進のための有効成分としてウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を含有する外用組成物の製造における、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の使用。
【0020】
[22] 保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、アトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、またはヒアルロン酸産生促進における使用のための、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩。
【発明の効果】
【0021】
本願の組成物は細胞の増殖を促進することができる。本願の組成物は皮膚表皮細胞および皮膚真皮細胞においてヒアルロン酸の産生を促進することができ、皮膚に保湿性および柔軟性を与え、健やかでハリのある皮膚を保つことができる。本願の組成物は脱毛を防止または育毛を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】試験例1において、各種濃度のUMP2Naまたはウリジン含有培地でヒト表皮角化細胞を培養した際に、産生されたヒアルロン酸量を示す図である。
図2】試験例1において、各種濃度のUMP2Naまたはウリジン含有培地でヒト真皮線維芽細胞を培養した際に、産生されたヒアルロン酸量を示す図である。
図3】試験例2において、各種濃度のUMP2Naまたはウリジン含有培地でヒト真皮線維芽細胞を培養した際の、細胞数を示す図である。
図4】試験例3において、各種濃度のUMP2Na含有培地でヒト毛乳頭細胞を培養した際の、細胞数を示す図である。
図5】試験例4において、各種濃度のAMP2Na含有培地でヒト真皮線維芽細胞を培養した際の、産生されたヒアルロン酸量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の組成物は、保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、アトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、またはヒアルロン酸産生促進のための有効成分としてウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を含有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明において有効成分とは、皮膚に対して目的の生理的作用を単独で呈することができる物質であって、当該有効成分を含有する組成物がその目的の生理的作用を呈することを期待して当該組成物中に含有される物質を意味する。当該目的の生理的作用の例としては、保湿作用、抗シワ作用、抗たるみ作用、創傷治療作用、脱毛防止作用、育毛促進作用、アトピー性皮膚炎予防/治療作用、細胞(例えばヒアルロン酸産生細胞(例えば角化細胞、線維芽細胞)、毛乳頭細胞)増殖促進作用、またはヒアルロン酸産生促進作用が挙げられる。本発明において有効成分は単独で目的の生理的作用を呈しうるものの、他の成分と併用されることによってその目的の生理的作用が相加的にまたは相乗的に増強されても良い。
【0025】
本発明において単独の有効成分とは、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩が他の有効成分との相互作用によらず、保湿作用、抗シワ作用、抗たるみ作用、創傷治療作用、脱毛防止作用、育毛促進作用、アトピー性皮膚炎予防/治療作用、細胞(例えばヒアルロン酸産生細胞(例えば角化細胞、線維芽細胞)、毛乳頭細胞)増殖促進作用、またはヒアルロン酸産生促進作用を奏し得ることを意味するものであって、本発明の組成物に他の有効成分が含有されることを排除するものではない。
【0026】
本明細書において「有効量」とは、保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、アトピー性皮膚炎の予防/治療、細胞増殖促進、またはヒアルロン酸産生促進をするのに有効な量を意味する。
本明細書において「保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療のための他の有効成分」とは保湿、抗シワ、抗たるみ、創傷治療、脱毛の防止、育毛、またはアトピー性皮膚炎の予防/治療のための有効成分として知られる、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩以外の成分を意味する。
本明細書において「細胞増殖促進またはヒアルロン酸産生促進のための他の有効成分」とは細胞増殖促進またはヒアルロン酸産生促進のための有効成分として知られる、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩以外の成分を意味する。
【0027】
本明細書において、ウリジンのリン酸エステルの例として、ウリジン一リン酸(ウリジン5’-リン酸、ウリジン3’-リン酸、ウリジン2’-リン酸)、ウリジン二リン酸、ウリジン三リン酸、ウリジン環状リン酸が挙げられる。好ましいウリジンのリン酸エステルの例としてウリジン一リン酸、より好ましくはウリジン5’-リン酸が挙げられる。
【0028】
ウリジンのリン酸エステルの生理学的に許容される塩の例として、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩およびバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルギニンやリジン等の塩基性アミノ酸塩;アンモニウム塩やトリシクロヘキシルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩およびトリイソプロパノールアミンなどの各種のアルカノールアミン塩を挙げることができる。
好ましい塩はナトリウム塩などのアルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属塩の例として、ウリジン一リン酸一ナトリウム、およびウリジン一リン酸二ナトリウム(以下、UMP2Na)が挙げられる。
【0029】
本発明において、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩は、単一のウリジンのリン酸エステルまたはその塩であっても、複数の種類のウリジンのリン酸エステルまたはその塩の混合であっても良い。
【0030】
本発明の組成物に配合されるウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の量としては、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の種類、および該組成物の用途や形態等によっても異なるが、例えば、該組成物の総重量に対して、通常0.0001~20重量%、好ましくは0.0001~10重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.001重量%~10重量%、さらに好ましくは0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.01重量%~5重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~10重量%、特に好ましくは0.5重量%~5重量%、また好ましくは0.05重量%~3重量%、さらに好ましくは0.1重量%~1重量%が例示される。
本願の組成物に含まれるウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の含量の上限値の更なる例として、該組成物の総重量に対して、好ましくは10重量%、7重量%、5重量%、3重量%、および2重量%、および特に好ましくは1重量%が挙げられる。
本願の組成物に含まれるウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の含量の下限値の更なる例として、該組成物の総重量に対して、好ましくは0.01重量%、0.05重量%、0.1重量%、0.5重量%、および0.7重量%、および特に好ましくは1重量%が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物は、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩の他に、薬学的又は香粧的に許容される基剤や担体を組み合わせて各種の形態に調製され得る。薬学的又は香粧的に許容される基剤や担体については、従来公知のものを用いることができる。また、本発明の組成物には、必要に応じて化粧料や外用の医薬品・医薬部外品等の皮膚や粘膜に適用される外用組成物に配合される公知の各種成分を配合することができる。このような成分として、例えば、界面活性剤、色素(染料、顔料)、香料、防腐剤、殺菌剤(抗菌剤)、増粘剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、清涼化剤、防臭剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、ビタミン類、植物エキス、皮膚収斂剤、抗炎症剤(消炎剤)、美白剤、細胞賦活剤、血管拡張剤、血行促進剤、および皮膚機能亢進剤等を挙げることができる。
【0032】
上記成分の内、界面活性剤の具体例としては、高級脂肪酸石けん、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩、アシルN-メチルタウリン塩等のアニオン界面活性剤;塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシ-N-ヒドロキシイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤;ポリオキシエチレン型、多価アルコールエステル型、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体などの非イオン界面活性剤等を挙げることができる。また特に制限されることなく、高分子界面活性剤や天然界面活性剤に属する界面活性剤も使用することができる。
【0033】
また防腐剤の具体例として、パラオキシ安息香酸エチル、サリチル酸、およびソルビン酸等を例示することができる。増粘剤の具体例として、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー等を例示することができる。金属封鎖剤の具体例として、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、リン酸、クエン酸等を例示することができる。
【0034】
本発明の組成物は、皮膚に塗布又は噴霧される外用組成物として使用され得る。具体的には、本発明の組成物は、化粧料、外用医薬品又は外用医薬部外品等の外用剤(外皮用剤)として使用され得る。これらの内、曰常的に皮膚のヒアルロン酸産生を促進できるという観点から化粧料が好ましい。なお、かかる外用剤には、養毛剤や育毛剤、または養毛や育毛に効果のあるシャンプー、リンス、ヘアローション(トニック、リキッドを含む)等の各種のヘア化粧料が含まれる。
【0035】
本発明の組成物が頭髪の育毛または脱毛の予防のために使用される場合には、本発明の組成物は、上記に例示するヘア化粧料に製剤化されることが好ましい。また、本発明の組成物は、頭髪に加え、眉毛、まつげ等、使用者が増量/伸長を希望する毛の生成促進/脱毛予防剤としても使用されうる。
育毛とは、産毛を含め既存の毛が健康に育つことを意味し、新しい毛の生成が促進されることも含まれる。脱毛の予防とは、既存の毛が抜けることを防ぐことを意味する。
【0036】
本発明の組成物が育毛または脱毛の予防のために使用される場合には、本発明の組成物は、これらの用途に付随する用途(例えば、薄毛の予防または治療、毛生促進、発毛促進、病後・産後の脱毛の治療、養毛等)のために使用されうる。
【0037】
本発明の組成物の形態については、皮膚や粘膜に適用可能なものであれば特に制限されず、例えば、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、懸濁液状、クリーム状、軟膏状、固形状、シート状、エアゾール状、スプレー状、リニメント剤を例示することができる。特に化粧料とする場合であれば、ローション;エモリエント乳液、ミルキーローション、ナリシング乳液、クレンジング乳液等の乳液;エモリエントクリーム、マッサージクリーム、クレンジングクリーム、メイクアップクリーム等のクリーム;リップクリーム等を例示することができる。また、特に養毛剤や育毛剤等のヘア製品とする場合であれば、トニック、ヘアクリーム、ヘアローション、エアゾール(噴霧剤)、ムース、シャンプー、リンス、リキッド等を例示することができる。
【0038】
本発明の組成物は、化粧料、外用医薬品又は外用医薬部外品として、皮膚に直接塗布、噴霧又は貼付して使用することができる。その使用割合は、使用者(ヒト)の年齢、性別、用途、患部の症状の程度等に応じて、目的の作用を呈する有効量を、1回/日から5又は6回/日の回数で皮膚に経皮的に投与される。本発明の組成物の使用期間は限定されるものではないが、細胞増殖促進および/またはヒアルロン酸産生促進を効果的に持続させるために継続的に使用することが好ましく、例えば1箇月(好ましくは2箇月間以上)使用されうる。
【0039】
本発明の組成物は、細胞の増殖を促進することにより、および/またはヒアルロン酸の産生を促進することにより、抗老化、保湿、抗シワ、抗たるみ、育毛、脱毛の予防、創傷治療、アトピー性皮膚炎の予防/治療、老人性乾皮症等のの予防/治療効果を奏しうる。故に、本発明の組成物は、抗老化、保湿、抗シワ、抗たるみ、育毛、脱毛の予防、創傷治療、アトピー性皮膚炎予防/治療、老人性乾皮症等の予防/治療を目的とする化粧料、外用医薬品又は外用医薬部外品として用いることができる。
【0040】
本願発明の一態様として、特開2014-88329号公報においてウリジンのリン酸エステルと組み合わせて化粧料に配合することが提案されている、アセチルグルコサミン、グルクロン酸、グルクロン酸の塩、またはそれらの誘導体を含まない組成物が挙げられる。
【0041】
本明細書において、アセチルグルコサミンの誘導体は、下記化学式(1):
【化1】
(R1は水素原子又は炭素数2~18のアルキル基である。R2、R3およびR4は水素原子又は炭素数2~18のアシル基であり、すべてが同じであっても何れかが異なっていてもよい。1位の立体構造はαあるいはβのどちらであってもよい。但し、R1、R2、R3、R4のすべてが水素原子であってはならない。)
の化合物である。
【0042】
具体的には、オクチル(2-アセトアミド-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、2-アセトアミド-1,3,4,6-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-β-D-グルコピラノシド、2-アセトアミド-2-デオキシ-6-O-オクタノイル-α-D-グルコピラノース、オクチル(2-アセトアミド-2-デオキシ-6-O-オクタノイル)β-D-グルコピラノシド、ブチル(2-アセトアミド-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、ペンチル(2-アセトアミド-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、ラウリル(2-アセトアミド-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、2-アセトアミド-2-デオキシ-6-O-パルミトイル-α-D-グルコピラノース、ゲラニル(2-アセトアミド-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、エチル(2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、ペンチル(2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、オクチル(2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシド、ゲラニル(2-アセトアミド-3,4,6-トリ-O-アセチル-2-デオキシ)β-D-グルコピラノシドである。
【0043】
グルクロン酸の塩はカリウム塩、ナトリウム塩、およびその他生理学的に許容される塩である。グルクロン酸の誘導体は、グルクロノラクトン、およびグルクロノキシランである。
【0044】
本願発明の別の態様として、国際公開第WO2003/084485号および国際公開WO2005/034902号においてウリジンのリン酸エステルと組み合わせて化粧料等に配合することが提案されている、プリン系核酸関連物質を含まない組成物が挙げられる。
【0045】
本明細書において、プリン系核酸関連物質は、アデニン、アデノシン、アデノシンのリン酸エステル〔アデノシン2’-リン酸、アデノシン3’-リン酸、アデノシン5’-リン酸、アデノシン5’-二リン酸、アデノシン5’-三リン酸、アデノシン環状リン酸、アデニロコハク酸、ニコチンアミドアデニンモノジヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)〕、これらの代謝産物〔ヒポキサンチン、イノシン、イノシン酸〕、およびこれらの塩;グアニン、グアノシン、グアノシンのリン酸エステル〔グアノシン3’-リン酸、グアノシン5’-リン酸、グアノシン5’-二リン酸、グアノシン5’-三リン酸等〕、これらの代謝産物〔キサンチル酸、キサンチン〕、およびこれらの塩である。
上記の塩は、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩およびバリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルギニンやリジン等の塩基性アミノ酸塩;アンモニウム塩やトリシクロヘキシルアンモニウム塩等のアンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン塩、ジイソプロパノールアミン塩およびトリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン塩である。
【0046】
本発明は、皮膚の保湿を高める方法、シワを抑制する方法、たるみを抑制する方法、創傷を治療する方法、脱毛を防止する方法、育毛を促進する方法、アトピー性皮膚炎を予防/治療する方法、細胞(例えばヒアルロン酸産生細胞(例えば角化細胞、線維芽細胞)、毛乳頭細胞)の増殖を促進する方法、およびヒアルロン酸の産生を促進する方法を提供する。当該方法は、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を皮膚に適用することによって実施される。
本発明の方法において、上記物質の皮膚への適用は、簡便には、本願発明にかかる組成物を皮膚に塗布、噴霧又は貼付することにより行うことができる。
本発明の方法において、ウリジンのリン酸エステルまたはその生理学的に許容される塩を皮膚に適用する頻度および量については、特に制限されない。例えば、対象者の年齢、性別、期待される効果、皮膚症状の程度等に応じて、1回/日から5又は6回/日の回数で、適当量を皮膚に経皮的に適用される。具体的には、本願発明にかかる組成物を使用して本発明の方法を実施する場合であれば、例えば適用される皮膚の面積に対する該組成物の適用割合が0.5~10mg/cmの範囲となるような量を1回適用量の目安とすることができる。本発明の方法の使用期間は限定されるものではないが、細胞増殖促進およびヒアルロン酸産生促進を効果的に持続させるために継続的に使用することが好ましく、例えば1箇月(好ましくは2箇月間以上)使用されうる。
【実施例
【0047】
以下、実施例および試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の試験例において、w/v%とは、100mL中に含まれる重量(g)を意味するものである。
【0048】
[実施例1] 化粧水 (pH6.5)
UMP2Na 3.0(重量%)
ポリオキシエチレン(E.O.60)硬化ヒマシ油 0.7
エタノール 5.0
グリセリン 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
pH調整剤 適量
精製水 残余
合 計 100.0重量%
常法にしたがって、上記処方の化粧水を調製する。
【0049】
[実施例2] 乳液 (pH6.5)
UMP2Na 1.5(重量%)
カルボキシビニルポリマー 0.3
モノミリスチン酸デカグリセリン 2.0
スクワラン 5.0
エタノール 1.0
グリセリン 6.0
防腐剤 適量
pH調整剤 適量
精製水 残余
合 計 100.0重量%
【0050】
[実施例3] 育毛剤(pH7.0)
UMP2Na 3(重量%)
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
デシルテトラデシルエーテル 0.5
エタノール 30
1,3-ブチレングリコール 2.5
防腐剤 適量
香料 適量
pH調整剤 適量
精製水 残余
合 計 100.0重量%
常法にしたがって、上記処方の育毛剤を調製する。
【0051】
<試験例1:UMP2Naおよびウリジンの培養ヒト表皮角化細胞および真皮線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生促進効果の評価>
前培養した初代培養ヒト表皮角化細胞(クラボウ社製)を96ウェルマイクロプレートにて、増殖因子含有EpiLife液体培地(ThermoFisher Scientific社製)で培養後、増殖因子不含培地にて各濃度(0、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2mol/L)に調製したUMP2Naまたはウリジン溶液に交換した。
前培養した初代培養真皮線維芽細胞(クラボウ社製)を96ウェルマイクロプレートにて、血清含有Medium106液体培地(ThermoFisher Scientific社製)で培養後、無血清培地にて各濃度(0、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2mol/L)に調製したUMP2Naまたはウリジン溶液に交換した。
これらを37℃、5%COの条件下で48および72時間培養した。培養後、各ウェル中の培養上清を回収し、当該培養上清中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸定量キット(コスモバイオ社製)を用いて検出し、マイクロプレートリーダーにて測定した。
図1に表皮角化細胞の結果を示す。
図2に真皮線維芽細胞の結果を示す。
【0052】
<試験例2:UMP2Naおよびウリジンの培養ヒト皮膚線維芽細胞における増殖促進効果の評価>
前培養した初代培養ヒト皮膚線維芽細胞(クラボウ社製)を96ウェルマイクロプレートにて、血清含有Medium106液体培地(ThermoFisher Scientific社製)で培養し、接着安定化後に同培地にて各濃度(0、10-6、10-5、10-4、10-3、10-2mol/L)に調製したUMP2Naまたはウリジン溶液に交換した。これを37℃、5%COの条件下で48、72および96時間培養した。各時間培養後、各ウェル中の細胞数をWST-1試薬(タカラバイオ社製)を用いて検出後、マイクロプレートリーダーにて測定した。
結果を図3に示す。
【0053】
<試験例3:UMP2Naの培養ヒト毛乳頭細胞の増殖促進効果の評価>
前培養した初代培養ヒト毛乳頭細胞(タカラバイオ社製)を96ウェルマイクロプレートにて、毛乳頭細胞増殖培地(タカラバイオ社製)で培養し、接着安定化後に各種濃度に調製した薬剤含有試験培地に交換した。これを37℃、5%COの条件下で72、96及び120時間培養した。各時間培養後に細胞核を染色し、各ウェル中の細胞数のカウントを行った。
結果を図4に示す。
【0054】
<試験例4:アデノシン一リン酸二ナトリウムの培養ヒト真皮線維芽細胞におけるヒアルロン酸産生促進効果の評価>
前培養した初代培養真皮線維芽細胞(クラボウ社製)を96ウェルマイクロプレートにて、血清含有Medium106液体培地(ThermoFisher Scientific社製)で培養後、無血清培地にて各濃度(0、10-8、10-6、10-4w/v%)に調製したアデノシン一リン酸二ナトリウム(AMP2Na)に交換した。
これを37℃、5%COの条件下で48および96時間培養した。培養後、各ウェル中の培養上清を回収し、当該培養上清中のヒアルロン酸量を、ヒアルロン酸定量キット(コスモバイオ社製)を用いて検出し、マイクロプレートリーダーにて測定した。
結果を図5に示す。
図1
図2
図3
図4
図5