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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】動的に作動可能な回折光学要素
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20230623BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20230623BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
G02B26/08 H
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019569930
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018038029
(87)【国際公開番号】W WO2018236725
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】62/521,804
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヨー, イヴァン リー チェン
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン, ライオネル アーネスト
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-500618(JP,A)
【文献】特開2010-004040(JP,A)
【文献】特開昭58-065381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0097507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0228108(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00315443(EP,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1965702(KR,B1)
【文献】D J Laser, J G Santiago,A review of micropumps,JOURNAL OF MICROMECHANICS & MICROENGINEERING,IOP Publishing Ltd,2004年04月19日,Vol.14 No.6,R35-R64
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 27/02
G02B 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想コンテンツの画像を形成するための画像光を視認者の眼に投影するための接眼レンズであって、前記接眼レンズは、
第1の波長に中心を置かれた第1の波長範囲内の光を伝搬するように構成された第1の平面導波管と、
第1の側方位置において、前記第1の平面導波管の表面の第1の領域上に形成された第1の動的に作動可能な回折光学要素(DOE)であって、前記第1の動的に作動可能なDOEは、その上に入射する前記画像光を受信するように構成され、
前記第1の動的に作動可能なDOEは、
第1の屈折率を有する表面レリーフ回折格子であって、前記表面レリーフ回折格子は、複数の隆起と、隣接する隆起間の複数の溝とを含む、表面レリーフ回折格子と、
前記第1の領域に隣接した前記第1の平面導波管の前記表面の第2の領域上に配置されたある量の流体であって、前記流体は、前記表面レリーフ回折格子の第1の屈折率に実質的に合致した第2の屈折率を有する、ある量の流体と、
前記第2の領域に隣接して配置された流体ディスプレーサであって、前記流体ディスプレーサは、前記第1の平面導波管の前記表面に機械的に結合された1つ以上の電気機械的変換器を備える、流体ディスプレーサと、
前記流体ディスプレーサに結合され、電気信号を前記流体ディスプレーサに送信するように構成された駆動信号源と
を備え、
前記電気信号は、第1の状態または第2の状態を有し、
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、前記1つ以上の電気機械的変換器が、前記ある量の流体の一部を、前記第2の領域から前記表面レリーフ回折格子の前記溝の中に変位させられるように押し進めるようにし、それによって、前記表面レリーフ回折格子が「オフ」状態にあるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記ある量の流体の前記一部が前記表面レリーフ回折格子の前記溝から前記第2の領域に後退するようにし、それによって、前記表面レリーフ回折格子が「オン」状態にあるようにすることと
を行うように構成され、
前記表面レリーフ回折格子は
「オン」状態にある間、前記第1の平面導波管の中で伝搬されるように前記第1の平面導波管の中に前記表面レリーフ回折格子の上に入射する前記画像光の一部を回折することと、
「オフ」状態にある間、その上に入射する前記画像光を透過させることと
を行うように構成されている、第1の動的に作動可能なDOEと、
前記第1の平面導波管の平面と実質的に平行に位置付けられた第2の平面導波管であって、前記第2の平面導波管は、前記第1の波長と異なる第2の波長に中心を置かれた第2の波長範囲内の光を伝搬するように構成されている、第2の平面導波管と、
前記画像光の入射の方向において前記第1の側方位置と実質的に整列させられた第2の側方位置において、前記第2の平面導波管の表面の領域上に形成された第2のDOEであって、
前記第2のDOEは、
前記表面レリーフ回折格子が「オフ」状態にある間、前記表面レリーフ回折格子によって透過させられた前記画像光を受け取ることと、
前記第2の平面導波管の中で伝搬されるように前記第2の平面導波管の中に前記画像光の第2の部分を回折することと
を行うように構成されている、第2のDOEと
を備えている、接眼レンズ。
【請求項2】
前記画像光は、複数のサブフレーム期間において時間多重化された前記第1の波長範囲内の光と前記第2の波長範囲内の光とを含み、前記駆動信号源は、
前記第2の波長範囲内の光に対応するサブフレーム期間において、前記第1の状態における前記電気信号を送信することと、
前記第1の波長範囲内の光に対応するサブフレーム期間において、前記第2の状態における前記電気信号を送信することと
を行うように構成されている、請求項に記載の接眼レンズ。
【請求項3】
前記第1の平面導波管は、親水性材料を備え、前記表面レリーフ回折格子は、疎水性材料を備えている、請求項に記載の接眼レンズ。
【請求項4】
前記親水性材料は、ガラスを備え、前記疎水性材料は、ポリマーを備えている、請求項に記載の接眼レンズ。
【請求項5】
前記第1の平面導波管の前記表面の前記第2の領域は、親水性として挙動するように化学的に処理され、前記表面レリーフ回折格子の表面は、疎水性として挙動するように化学的に処理されている、請求項に記載の接眼レンズ。
【請求項6】
前記流体ディスプレーサは、圧電要素を備えている、請求項に記載の接眼レンズ。
【請求項7】
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の平面導波管の前記表面の前記第2の領域に取り付けられたバイメタルレバーと、
前記バイメタルレバーに取り付けられ、前記表面レリーフ回折格子を覆っている光学窓と、
前記バイメタルレバーおよび前記駆動信号源に結合された加熱要素と
を備え、
前記加熱要素は、
前記駆動信号源からの前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、オフ状態になることと、
前記駆動信号源からの前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、オン状態になることと
を行うように構成され、
バイメタルレバーは、
前記加熱要素が前記オフ状態にあることに応答して、直線状態に留まり、前記光学窓が前記表面レリーフ回折格子を押し付けるようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記表面レリーフ回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記加熱要素が前記オン状態にあることに応答して、湾曲状態に留まり、前記光学窓が前記表面レリーフ回折格子から持ち上がるようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面レリーフ回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項8】
前記第1の動的に作動可能なDOEは、前記表面レリーフ回折格子を覆っている透明カバーをさらに備え、前記流体ディスプレーサは、
U形状のダムと、
前記U形状のダムに結合され、前記表面の前記第2の領域に隣接して配置された弾性壁であって、前記透明カバー、前記U形状のダム、および前記弾性壁は、前記表面レリーフ回折格子および前記ある量の流体を包囲している、弾性壁と、
前記弾性壁に取り付けられた押し部材と、
前記押し部材および前記駆動信号源に結合された駆動機構と
を備え、
前記駆動機構は、
前記駆動信号源からの前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、前記押し部材が前記表面レリーフ回折格子に向かって移動するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記表面レリーフ回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記駆動信号源からの前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記押し部材が前記表面レリーフ回折格子から離れるように移動するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面レリーフ回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項9】
前記駆動機構は、微小電気機械システム(MEMS)アセンブリを備え、前記MEMSアセンブリは、
前記第1の平面導波管に固定して取り付けられた第1の櫛と、
前記第1の平面導波管に移動可能に取り付けられ、前記第1の櫛と互いに組み合わせられた第2の櫛と
を備え、
前記第2の櫛は、前記押し部材に取り付けられており、
前記駆動機構は、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電位を前記第1の櫛と前記第2の櫛との間に印加し、前記第2の櫛および前記押し部材が前記第1の櫛から前記表面レリーフ回折格子に向かって離れるように移動するようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、どんな電位も前記第1の櫛と前記第2の櫛との間に印加せず、前記第2の櫛および前記押し部材が元の位置に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項10】
前記駆動機構は、第1の端部と、第2の端部とを有するらせん形態における形状記憶合金を備え、前記第2の端部は、前記押し部材に取り付けられ、
第1の電極が、前記第1の平面導波管に取り付けられ、前記形状記憶合金の前記第1の端部は、前記第1の電極に取り付けられ、
第2の電極が、前記透明カバーに取り付けられ、前記形状記憶合金の前記第2の端部は、前記第2の電極にスライド接触し、
前記駆動機構は、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電位を前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加し、前記形状記憶合金が拡張するようにし、それによって、前記形状記憶合金の前記第2の端部が前記押し部材を前記表面レリーフ回折格子に向かって押すようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、どんな電位も前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加せず、前記形状記憶合金が元の状態に収縮するようにし、それによって、前記押し部材が元の位置に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項8に記載の接眼レンズ。
【請求項11】
前記表面レリーフ回折格子を覆っている光学窓をさらに備え、前記流体ディスプレーサは、
前記第1の平面導波管の前記表面の前記第2の領域に隣接して前記光学窓を覆っているトラスと、
前記トラスと前記光学窓との間に配置され、前記駆動信号源に結合されたアクチュエータと
を備え、
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電流を前記アクチュエータに印加し、前記アクチュエータが力を前記光学窓に及ぼすようにし、前記光学窓が前記表面レリーフ回折格子に向かって下向きに撓むようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記表面レリーフ回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記電流を前記アクチュエータに印加せず、前記光学窓が元の位置に後退するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面レリーフ回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【請求項12】
前記アクチュエータは、圧電要素、ボイスコイルモータ、または熱膨張可能体のうちの1つを備えている、請求項11に記載の接眼レンズ。
【請求項13】
前記流体ディスプレーサは、前記ある量の流体と熱接触している加熱要素を備え、前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電流を前記加熱要素に印加し、前記ある量の流体が熱くなり、膨張するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記表面レリーフ回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記電流を前記加熱要素に印加せず、前記ある量の流体が冷え、収縮するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面レリーフ回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、請求項1に記載の接眼レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2017年6月19日出願の米国仮特許出願第62/521,804号の利益を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、回折光学要素に関し、より具体的に、切り替え可能な回折光学要素に関する。
【背景技術】
【0003】
回折格子は、光をある角度だけ偏向させる光学コンポーネントであり、その角度は、光の波長および格子上への入射角に依存する。回折格子は、使用されるべき光の波長ほどの周期を伴う周期的構造を有する。周期的構造は、表面レリーフプロファイルまたは透明材料の屈折率の体積変調であることができる。回折格子の動作は、以下の格子方程式によって統制され、
【数10】
式中、θは、格子の表面に対して垂直であるベクトルに対する回折格子から出射する光の角度(回折角度)であり、λは、波長であり、mは、「次数」として知られる整数値パラメータであり、dは、格子の周期であり、θは、格子の表面に対して垂直であるベクトルに対する光の入射角である。
【0004】
格子は、ブレーズドでもあり得、すなわち、光を集中させるような特定の周期的プロファイルを所与として、位数パラメータmの特定の値によって規定された特定の「位数」に回折する。格子は、反射性であり得る(その場合、光は、光が格子上に入射した同じ側で格子から離れて行く)か、または主に透過性であり得る(その場合、光は、光が入射した側と反対の格子の側から主に退出する)。
【0005】
本出願人は、画像ごとに変調された光をユーザの眼に結合する複数の導波管を含む透明接眼レンズを含む拡張現実システムを開発した。そのようなシステムは、「Separated Pupil Optical System for Virtual and Augmented Reality and Methods for Displaying Images Using the Same」と題された本出願人の同時係属中の米国特許出願第15/146,296号(特許文献1)に開示される。光を導波管から外に結合する光学特徴は、ユーザの眼からの接眼レンズの距離を越えるあるオブジェクト距離(例えば、数メートル離れた距離)をシミュレートするように、異なる発散像面湾曲を出射光に授けるように適合されることができる。(像面湾曲は、例えば、数十センチメートルまたは数メートル離れた点から発出する球面波に対応し得る。)発散像面湾曲を接眼レンズによって放出される光に授けることは、ヒトの眼の集中機構が、そのような発散像面湾曲を眼の位置に有するであろう球面波の仮想点源の距離と等しい距離に集中するように誘起し、これは、仮想3Dオブジェクトのより現実的錯覚を作成することに役立つ。各導波管が異なる発散像面湾曲を出射光に授ける光学特徴を有する複数の導波管のスタックを提供することは、仮想3Dオブジェクトの錯覚の改良を可能にし、発散像面湾曲に基づく眼の遠近調節キューとオブジェクトまでの距離を示す他の3D知覚キューとの間に不整合が存在する3D可視化システムの長期使用から生じる潜在的に不快な影響も回避する。本出願人の上で参照される係属中の米国特許出願は、複数の導波管の各々が、空間変調光源(例えば、ファイバスキャナ、2-D光変調器)からの光を内部結合する内部結合回折格子を有するシステムを開示する。内部結合格子は、空間的に分離され、すなわち、互いに重ならず、それは、空間変調光源が空間変調光を広域にわたって提供することを要求する。2-D光変調器(例えば、LCoSまたはDLP)の場合、広域の空間変調光のための要件は、関連付けられた光学系(例えば、プリズム、レンズ要素)のサイズおよびコストを増加させ、かつ、画像野サイズを増加させ、それは、概して、光学系のコストがかかる強化によって補償されない場合、画像野の周辺における画質の劣化につながる。したがって、光を拡張現実接眼レンズの複数の導波管の中に結合するとき、増加した画像野サイズの必要性を排除しながら、光を結合することが可能であることが望ましいであろう。
【0006】
回折格子を越えて、回折光学要素は、より軽量の代替を従来の反射性および屈折性光学要素に提供する。他のタイプの回折光学要素は、正および負の回折レンズを含む。最近、新規表面レリーフ回折レンズ設計が、メタ材料の研究に基づいて開発されている。より新しいメタ材料レンズは、それらが波長スケール表面レリーフ構造を含み得るという点で、従来の回折光学要素に類似する。オンおよびオフを切り替えられることができる光学要素を提供することが、望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願第15/146,296号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態によると、動的に作動可能な回折光学要素(DOE)は、表面を有する基板を含む。表面は、第1の領域と、第1の領域から側方に変位させられた第2の領域とを含む。動的に作動可能なDOEは、基板の表面の第1の領域上に配置された回折格子をさらに含む。回折格子は、第1の屈折率を有し、複数の隆起と、隣接する隆起間の複数の溝とを含む。動的に作動可能なDOEは、基板の表面の第2の領域上に配置されたある量の流体をさらに含む。流体は、回折格子の第1の屈折率に実質的に整合する第2の屈折率を有する。動的に作動可能なDOEは、基板の表面の第2の領域に隣接して配置された流体ディスプレーサと、流体ディスプレーサに結合され、電気信号を流体ディスプレーサに送信するように構成された駆動信号源とをさらに含む。電気信号は、第1の状態と、第2の状態とを有し得る。流体ディスプレーサは、第1の状態における電気信号を受信すると、ある量の流体の一部を表面の第2の領域から回折格子の溝の中に変位させ、それによって、回折格子を「オフ」状態にさせ、第2の状態における電気信号を受信すると、ある量の流体の一部を回折格子の溝から表面の第2の領域に後退させ、それによって、回折格子を「オン」状態にさせるように構成されている。
【0009】
いくつかの他の実施形態によると、仮想コンテンツの画像を形成するための画像光を視認者の眼に投影するための接眼レンズは、第1の波長に中心を置かれた第1の波長範囲内の光を伝搬するように構成された第1の平面導波管と、第1の側方位置において、第1の導波管の表面の第1の領域上に形成され、その上に入射する画像光を受信するように構成された第1の動的に作動可能な回折光学要素(DOE)とを含む。第1の動的に作動可能なDOEは、第1の屈折率を有し、複数の隆起と、隣接する隆起間の複数の溝とを含む表面レリーフ回折格子と、第1の領域に隣接した第1の導波管の表面の第2の領域上に配置されたある量の流体とを含む。流体は、回折格子の第1の屈折率に実質的に合致する第2の屈折率を有する。第1の動的に作動可能なDOEは、第2の領域に隣接して配置される流体ディスプレーサと、流体ディスプレーサに結合され、電気信号を流体ディスプレーサに送信するように構成された駆動信号源とをさらに含む。電気信号は、第1の状態または第2の状態を有し得る。流体ディスプレーサは、第1の状態における電気信号を受信すると、ある量の流体の一部を第2の領域から回折格子の溝の中に変位させ、それによって、回折格子を「オフ」状態にさせ、第2の状態における電気信号を受信すると、ある量の流体の一部を回折格子の溝から第2の領域に後退させ、それによって、回折格子を「オン」状態にさせるように構成されている。回折格子は、「オン」状態にある間、その中で伝搬されるように、その上に入射する画像光の一部を第1の導波管の中に回折し、「オフ」状態にある間、その上に入射する画像光を透過させるように構成されている。接眼レンズはさらに、第1の導波管の平面と実質的に平行に位置付けられ、第1の波長と異なる第2の波長に中心を置かれた第2の波長範囲内の光を伝搬するように構成された第2の平面導波管と、第1の側方位置と実質的に整列させられた第2の側方位置において、第2の導波管の表面の領域上に形成された第2のDOEとを含む。第2のDOEは、回折格子が「オフ」状態にある間、回折格子によって透過させられる画像光を受け取り、その中で伝搬されるように、画像光の第2の部分を第2の導波管の中に回折するように構成される。
【0010】
いくつかのさらなる実施形態によると、動的に作動可能なレンズは、表面を有する基板と、基板の表面上に形成されたメタ表面回折光学要素(DOE)とを含む。メタ表面DOEは、表面の上方に突出し、隣接した隆起部分間の複数の陥凹を画定する複数の隆起部分を含む。動的に作動可能なレンズは、メタ表面DOEを覆い、親水性材料を備えている移動可能なカバーと、移動可能なカバー上に配置されたある量の流体と、移動可能なカバーに結合された駆動機構とをさらに含む。駆動機構は、第1の状態における制御信号を受信すると、移動可能なカバーをメタ表面DOEに向かって移動させ、ある量の流体の一部を複数の陥凹の中に変位させ、それによって、メタ表面DOEを「オフ」状態にし、第2の状態における制御信号を受信すると、移動可能なカバーをメタ表面DOEから離れるように移動させ、ある量の流体の一部を複数の陥凹から後退させ、それによって、メタ表面DOEを「オン」状態にするように構成されている。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
動的に作動可能な回折光学要素(DOE)であって、前記動的に作動可能なDOEは、
表面を有する基板であって、前記表面は、第1の領域と、前記第1の領域から側方に変位させられた第2の領域とを含む、基板と、
前記基板の表面の第1の領域上に配置された回折格子であって、前記回折格子は、第1の屈折率を有し、複数の隆起と、隣接する隆起間の複数の溝とを含む、回折格子と、
前記基板の表面の第2の領域上に配置されたある量の流体であって、前記ある量の流体は、前記回折格子の前記第1の屈折率に実質的に合致した第2の屈折率を有する、ある量の流体と、
前記基板の前記表面の前記第2の領域に隣接して配置された流体ディスプレーサと、
前記流体ディスプレーサに結合され、電気信号を前記流体ディスプレーサに送信するように構成された駆動信号源と
を備え、
前記電気信号は、第1の状態と、第2の状態とを有し、
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、前記ある量の流体の一部が前記表面の前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位させられるようにし、それによって、前記回折格子が「オフ」状態にあるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにし、それによって、前記回折格子が「オン」状態にあるようにすることと
を行うように構成されている、動的に作動可能なDOE。
(項目2)
前記基板は、親水性材料を備え、前記回折格子は、疎水性材料を備えている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目3)
前記親水性材料は、ガラスを備え、前記疎水性材料は、ポリマーを備えている、項目2に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目4)
前記流体ディスプレーサは、圧電要素を備えている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目5)
前記流体ディスプレーサは、
前記基板の前記表面の前記第2の領域に取り付けられたバイメタルレバーと、
前記バイメタルレバーに取り付けられ、前記回折格子を覆っている光学窓と、
前記バイメタルレバーおよび前記駆動信号源に結合された加熱要素と
を備え、
前記加熱要素は、
前記駆動信号源からの前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、オフ状態になることと、
前記駆動信号源からの前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、オン状態になることと
を行うように構成され、
バイメタルレバーは、
前記加熱要素が前記オフ状態にあることに応答して、直線状態に留まり、前記光学窓が前記回折格子を押し付けるようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記加熱要素が前記オン状態にあることに応答して、湾曲状態に留まり、前記光学窓が前記回折格子から持ち上がるようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目6)
前記回折格子を覆っている透明カバーをさらに備え、前記流体ディスプレーサは、
U形状のダムと、
前記U形状のダムに結合され、前記表面の前記第2の領域に隣接して配置された弾性壁であって、前記透明カバー、前記U形状のダム、および前記弾性壁は、前記回折格子および前記ある量の流体を包囲している、弾性壁と、
前記弾性壁に取り付けられた押し部材と、
前記押し部材および前記駆動信号源に結合された駆動機構と
を備え、
前記駆動機構は、
前記駆動信号源からの前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、前記押し部材が前記回折格子に向かって移動するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記駆動信号源からの前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記押し部材が前記回折格子から離れるように移動するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目7)
前記駆動機構は、微小電気機械システム(MEMS)アセンブリを備え、前記MEMSアセンブリは、
前記基板に固定して取り付けられた第1の櫛と、
前記基板に移動可能に取り付けられ、前記第1の櫛と互いに組み合わせられた第2の櫛と
を備え、
前記第2の櫛は、前記押し部材に取り付けられており、
前記駆動機構は、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電位を前記第1の櫛と前記第2の櫛との間に印加し、前記第2の櫛および前記押し部材が前記第1の櫛から前記回折格子に向かって離れるように移動するようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、任意の電位を前記第1の櫛と前記第2の櫛との間に印加せず、前記第2の櫛および前記押し部材が元の位置に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目6に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目8)
前記駆動機構は、第1の端部と、第2の端部とを有するらせん形態における形状記憶合金を備え、前記第2の端部は、前記押し部材に取り付けられ、
第1の電極が、前記基板に取り付けられ、前記形状記憶合金の前記第1の端部は、前記第1の電極に取り付けられ、
第2の電極が、前記透明カバーに取り付けられ、前記形状記憶合金の前記第2の端部は、前記第2の電極にスライド接触し、
前記駆動機構は、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電位を前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加し、前記形状記憶合金が拡張するようにし、それによって、前記形状記憶合金の前記第2の端部が前記押し部材を前記回折格子に向かって押すようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、どんな電位も前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加せず、前記形状記憶合金が元の状態に収縮するようにし、それによって、前記押し部材が元の位置に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目6に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目9)
前記回折格子を覆っている光学窓をさらに備え、前記流体ディスプレーサは、
前記基板の前記表面の前記第2の領域に隣接して前記光学窓を覆っているトラスと、
前記トラスと前記光学窓との間に配置され、前記駆動信号源に結合されたアクチュエータと
を備え、
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電流を前記アクチュエータに印加し、前記アクチュエータが力を前記光学窓に及ぼすようにし、前記光学窓が前記回折格子に向かって下向きに撓むようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記電流を前記アクチュエータに印加せず、前記光学窓が元の位置に後退するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目10)
前記アクチュエータは、圧電要素、ボイスコイルモータ、または熱膨張可能体のうちの1つを備えている、項目9に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目11)
前記流体ディスプレーサは、前記ある量の流体と熱接触している加熱要素を備え、前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、電流を前記加熱要素に印加し、前記ある量の流体が熱くなり、膨張するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記表面の前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位させられるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記電流を前記加熱要素に印加せず、前記ある量の流体が冷え、収縮するようにし、それによって、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記表面の前記第2の領域に後退するようにすることと
を行うように構成されている、項目1に記載の動的に作動可能なDOE。
(項目12)
仮想コンテンツの画像を形成するための画像光を視認者の眼に投影するための接眼レンズであって、前記接眼レンズは、
第1の波長に中心を置かれた第1の波長範囲内の光を伝搬するように構成された第1の平面導波管と、
第1の側方位置において、前記第1の導波管の表面の第1の領域上に形成された第1の動的に作動可能な回折光学要素(DOE)であって、前記動的に作動可能なDOEは、その上に入射する前記画像光を受信するように構成され、
前記動的に作動可能なDOEは、
第1の屈折率を有する表面レリーフ回折格子であって、前記表面レリーフ回折格子は、複数の隆起と、隣接する隆起間の複数の溝とを含む、表面レリーフ回折格子と、
前記第1の領域に隣接した前記第1の導波管の前記表面の第2の領域上に配置されたある量の流体であって、前記流体は、前記回折格子の第1の屈折率に実質的に合致した第2の屈折率を有する、ある量の流体と、
前記第2の領域に隣接して配置された流体ディスプレーサと、
前記流体ディスプレーサに結合され、電気信号を前記流体ディスプレーサに送信するように構成された駆動信号源と
を備え、
前記電気信号は、第1の状態または第2の状態を有し、
前記流体ディスプレーサは、
前記第1の状態における前記電気信号を受信すると、前記ある量の流体の一部が前記第2の領域から前記回折格子の前記溝の中に変位するようにし、それによって、前記回折格子が「オフ」状態にあるようにすることと、
前記第2の状態における前記電気信号を受信すると、前記ある量の流体の前記一部が前記回折格子の前記溝から前記第2の領域に後退するようにし、それによって、前記回折格子が「オン」状態にあるようにすることと
を行うように構成され、
前記回折格子は
「オン」状態にある間、前記第1の導波管の中で伝搬されるように前記第1の導波管の中に前記回折格子の上に入射する前記画像光の一部を回折することと、
「オフ」状態にある間、その上に入射する前記画像光を透過させることと
を行うように構成されている、前記第1の動的に作動可能なDOEと、
前記第1の導波管の平面と実質的に平行に位置付けられた第2の平面導波管であって、前記第2の平面導波管は、前記第1の波長と異なる第2の波長に中心を置かれた第2の波長範囲内の光を伝搬するように構成されている、第2の平面導波管と、
前記第1の側方位置と実質的に整列させられた第2の側方位置において、前記第2の導波管の表面の領域上に形成された第2のDOEであって、
前記第2のDOEは、
前記回折格子が「オフ」状態にある間、前記回折格子によって透過させられた前記画像光を受け取ることと、
前記第2の導波管の中で伝搬されるように前記第2の導波管の中に前記画像光の第2の部分を回折することと
を行うように構成されている、第2のDOEと
を備えている、接眼レンズ。
(項目13)
前記画像光は、複数のサブフレーム期間において時間多重化された前記第1の波長範囲内の光と前記第2の波長範囲内の光とを含み、前記駆動信号源は、
前記第2の波長範囲内の光に対応するサブフレーム期間において、前記第1の状態における前記電気信号を送信することと、
前記第1の波長範囲内の光に対応するサブフレーム期間において、前記第2の状態における前記電気信号を送信することと
を行うように構成されている、項目12に記載の接眼レンズ。
(項目14)
前記第1の導波管は、親水性材料を備え、前記回折格子は、疎水性材料を備えている、項目12に記載の接眼レンズ。
(項目15)
前記親水性材料は、ガラスを備え、前記疎水性材料は、ポリマーを備えている、項目14に記載の接眼レンズ。
(項目16)
前記第1の導波管の前記表面の前記第2の領域は、親水性として挙動するように化学的に処理され、前記回折格子の表面は、疎水性として挙動するように化学的に処理されている、項目12に記載の接眼レンズ。
(項目17)
前記流体ディスプレーサは、圧電要素を備えている、項目12に記載の接眼レンズ。
(項目18)
動的に作動可能なレンズであって、前記動的に作動可能なレンズは、
表面を有する基板と、
前記基板の前記表面上に形成されたメタ表面回折光学要素(DOE)であって、前記メタ表面DOEは、前記表面の上方に突出した複数の隆起部分を含み、前記複数の隆起部分は、隣接した隆起部分間の複数の陥凹を画定する、メタ表面DOEと、
前記メタ表面DOEを覆い、親水性材料を備えている移動可能なカバーと、
前記移動可能なカバー上に配置されたある量の流体と、
前記移動可能なカバーに結合された駆動機構と
を備え、
前記駆動機構は、
第1の状態における制御信号を受信すると、前記移動可能なカバーを前記メタ表面DOEに向かって移動させ、前記ある量の流体の一部を前記複数の陥凹の中に変位させ、それによって、前記メタ表面DOEを「オフ」状態にすることと、
第2の状態における制御信号を受信すると、前記移動可能なカバーを前記メタ表面DOEから離れるように移動させ、前記ある量の流体の前記一部を前記複数の陥凹から後退させ、それによって、前記メタ表面DOEを「オン」状態にすることと
を行うように構成されている、動的に作動可能なレンズ。
(項目19)
前記メタ表面DOEは、疎水性材料を備えている、項目18に記載の動的に作動可能なレンズ。
(項目20)
前記複数の隆起部分は、100ナノメートルより小さい最大横寸法を有する、項目18に記載の動的に作動可能なレンズ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計および有用性を図示し、類似要素は、共通参照番号によって参照される。本発明の上記および他の利点ならびに目的が取得される方法をより深く理解するために、上で簡単に説明される本発明のより具体的説明は、付随の図面に図示されるその具体的実施形態を参照することによって与えられるであろう。これらの図面は、本発明の典型的実施形態のみを描写し、したがって、その範囲の限定と見なされないことを理解した上で、本発明は、付随の図面の使用を通して、追加の特異性および詳細とともに、説明および解説されるであろう。
【0012】
図1図1は、ある実施形態による一対の拡張現実眼鏡の概略斜視図である。
【0013】
図2図2は、ある実施形態による図1に示される拡張現実眼鏡の接眼レンズの一部の概略端面図である。
【0014】
図3図3は、ある実施形態による動的に作動可能な回折光学要素の概略分解図である。
【0015】
図4図4は、ある実施形態によるオン状態で示されるバイメタル要素駆動式流体変位機構を含む動的に作動可能な回折光学デバイスを図式的に描写する。
【0016】
図5図5は、ある実施形態によるオフ状態における図4に示される動的に作動可能な回折光学デバイスを示す。
【0017】
図6図6は、ある実施形態による静電MEMS櫛駆動部を含む動的に作動可能な回折光学デバイスの概略分解図である。
【0018】
図7図7は、ある実施形態による形状記憶合金ベースのアクチュエータを含む動的に作動可能な回折光学デバイスの概略断面立面図である。
【0019】
図8図8は、ある実施形態によるトラスと光学窓との間に位置するアクチュエータを含む動的に作動可能な回折光学デバイスの概略斜視図である
【0020】
図9図9は、ある実施形態による流体の熱膨張を利用して作動を駆動する動的に作動可能な回折光学デバイスの概略斜視図である。
【0021】
図10図10は、ある実施形態によるオン状態で示される静電流体ディスプレーサを含む動的に作動可能な回折光学デバイスの概略断面図である。
【0022】
図11図11は、ある実施形態によるオフ状態で示される図10に示される動的に作動可能な回折光学デバイスの断面図である。
【0023】
図12図12は、ある実施形態によるメタ材料回折光学要素の概略上面図である。
【0024】
図13図13は、ある実施形態によるオン状態で示される図12に示されるメタ材料回折光学要素を含む動的に作動可能なレンズの概略断面立面図である。
【0025】
図14図14は、ある実施形態による図13に示される動的に作動可能なレンズであるが、オフ状態で示されるその概略断面立面図である。
【0026】
図15図15は、いくつかの実施形態による電気浸透効果を介して動的に作動可能な回折格子動作可能の分解図を図式的に示す。
【0027】
図16図16は、いくつかの実施形態による図15に示される動的に作動可能な回折格子の組み立てられた図を示す。
【0028】
図17図17Aおよび17Bは、いくつかの実施形態による図15および16に示される動的に作動可能な回折格子の動作原理を図示する。
【0029】
図18図18Aおよび18Bは、いくつかの実施形態による電気浸透効果に基づいて動的に切り替え可能な回折格子を図式的に図示する。
【0030】
図19図19Aおよび19Bは、いくつかの他の実施形態による電気浸透効果に基づいて動的に切り替え可能な回折格子を図式的に図示する。
【0031】
図20図20は、いくつかの実施形態による動的回折格子の断面図を図式的に図示する。
【0032】
図21図21は、いくつかの実施形態による図20に示される動的回折格子の斜視図を示す。
【0033】
図22図22は、いくつかの実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に切り替え可能な光学系を伴う接眼レンズを図式的に図示する。
【0034】
図23図23は、いくつかの他の実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に切り替え可能な光学系を伴う接眼レンズを図式的に図示する。
【0035】
図24図24は、いくつかの実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に作動可能な回折格子を伴う接眼レンズを図示する。
【0036】
図25図25は、いくつかの他の実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に作動可能な回折格子を伴う接眼レンズを図示する。
【0037】
図26図26A-26Dは、種々の実施形態によるエレクトロウェッティングに基づくいくつかの動的に切り替え可能な回折格子を図式的に図示する。
【0038】
図27図27A-27Bは、いくつかの実施形態による光エレクトロウェッティングに基づく動的回折格子を図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、ある実施形態による拡張現実眼鏡100の斜視図である。眼鏡100は、正面部品108によって接続される左アーム104と右アーム106とを含むフレーム102を含む。正面部品108は、左接眼レンズ110と、右接眼レンズ112とを支持する。議論の目的のために、特に、右接眼レンズ112を参照すると、右接眼レンズ112は、複数の導波管114の右スタックを含む。導波管114の右スタックは、透明であり、それによって、眼鏡100を装着している人物は、拡張現実眼鏡100を装着しながら実世界を見ることができ、仮想コンテンツが、実世界と共に重ね合わせられ、表示されることができる。図1に見られるように、右スタック導波管114に含まれる右正面導波管116は、右正面の選択的に作動可能な内部結合格子118と、右正面の直交瞳エクスパンダ120と、右正面の射出瞳エクスパンダ122とを含む。「Planar Waveguide Apparatus with Diffraction elemnt(s) and System Employing Same」と題されたAbovitz et al.の本出願人の同時係属中の特許出願第14/696,346号に教示されるように、射出瞳エクスパンダは、異なる仮想源光に対応する異なる像面湾曲を出射光に授けるように設計されることができる。同様に、左接眼レンズ110は、左正面導波管126を含む導波管124の左スタックを含む。図1に見られるように、左正面導波管は、左正面の選択的に作動可な能内部結合格子128と、左側の直交瞳エクスパンダ130と、左側の射出瞳エクスパンダ132とを含む。左接眼レンズ110も、透明である。画像ごとに変調された光の左側源134および画像ごとに変調された光の右側源136は、それぞれ、フレーム102の左アーム104および右アーム106の内周側に支持され、それらは、それぞれ、導波管124の左スタックおよび導波管114の右スタックに選択的に光学的に結合される。
【0040】
図2は、右接眼レンズ112の概略端面図である。内部結合格子118、直交瞳エクスパンダ120、および射出瞳エクスパンダ122の場所は、図2では、例証目的のために、図1に示される場所に対して改変されていることに留意されたい。図示されないが、左接眼レンズ110の構造は、右接眼レンズ112の構造の鏡像である。図2に示されるように、右正面導波管116に加え、右接眼レンズ112の複数の導波管の右スタック114は、右正面導波管116の背後に配置される右の第2の導波管202と、右の第2の導波管202の背後に配置される右の第3の導波管204と、右の第3の導波管204の背後に配置される右の第4の導波管206と、右の第4の導波管206の背後に配置される右の第5の導波管208と、右の第5の導波管208の背後に配置される右背面導波管210とを含む。第2-第5の導波管202、204、206、208および背面導波管210は、それぞれ、第2-第6の選択的に作動可能な内部結合格子118b、118c、118d、118e、118fを有する。選択的に作動可能な内部結合格子118a、118b、118c、118d、118e、118fは、導波管116、202、204、206、208のための臨界角を上回るある角度に、垂直に入射する画像ごとに変調された光を偏向させるように設計され、すなわち、それらは、格子ピッチおよびプロファイル(例えば、ブレーズドプロファイル)を有することができる。第2-第5の導波管202、204、206、208および背面導波管210の各々も、直交瞳エクスパンダ214の追加の組のうちの1つと、射出瞳エクスパンダ216の追加の組のうちの1つとを含む。
【0041】
6チャネル駆動信号源218が、右正面および第2-第6の選択的に作動可能な内部結合格子118a、118b、118c、118d、118e、118fに電気的に結合され、選択的に作動可能な内部結合格子118a、118b、118c、118d、118e、118fの状態を切り替えるために使用される。動作時、選択的に作動可能な内部結合格子118a、118b、118c、118d、118e、118fのうちの1つは、画像ごとに変調された光の右側源136からの画像ごとに変調された光を導波管114の右スタック内の導波管116、202、204、206、208、210、212のうちの1つの中に選択的に経路を決定するために、一度に動作させられることができる。画像ごとに変調された光の右側源136は、別個の時間サブフレーム期間中、異なる色チャネルのために、および異なる仮想オブジェクト深度のために、画像ごとに変調された光を適切に出力する。色チャネルおよび深度平面の特定のひと続きは、あるビデオフレームの時に周期的に繰り返されることができる。6つの導波管114のスタックは、3つの導波管の2つの組を含むことができ、2つの組の各々は、赤色、緑色、および青色チャネル導波管を含み、2つの組の各々は、放出される光の像面湾曲によって決定される2つの仮想オブジェクト距離のうちの1つを伴う光を放出する。6チャネル駆動信号源218は、画像ごとに変調された光132の源と適切に同期させられ、それによって、特定の色チャネルおよび特定の仮想オブジェクト距離のための画像ごとに変調された光が画像ごとに変調された光の源136によって出力されているとき、6チャネル駆動信号源218は、特定の色チャネルおよび特定の仮想オブジェクト距離に対応する導波管の選択的に作動可能な内部結合格子を選択的にオンにするように動作させられる。故に、各選択的に作動可能な内部結合格子は、ビデオフレーム期間ごとに1回、オンにされるであろう。右接眼レンズ110の正面から出射する光は、後方に向けられ、眼位置220に移る。
【0042】
図3は、ある実施形態による動的に作動可能な回折光学要素300の分解図である。図3に示される動的に作動可能な回折光学要素300は、例えば、拡張現実眼鏡の選択的に作動可能な内部結合格子118a-118fのうちの1つ以上のものとして使用されることができる。示されるものと異なる格子プロファイル、例えば、ブレーズド格子プロファイルが、使用され得る。図3を参照すると、光学要素300は、透明底部基板302と、透明上部基板304とを含む。動的に作動可能な回折光学要素が、選択的に作動可能な内部結合格子118a-118fのうちの1つとして使用される場合、透明底部基板302は、導波管116、202、204、206、208、210のうちの1つの形態をとることができる。「上部」および「底部」等の相対的位置付けの指示は、図に示される視点に対応し、実世界使用では、描写されるデバイスの向きは、図に示されるものに対して変動し得ることを理解されたい。円周シール306が、透明底部基板302の上部表面308上に示され、光学要素300が組み立てられると、円周シール306は、透明上部基板304の底部表面310にも係合し、シールされた空間312を透明底部基板302と透明上部基板304との間に形成するであろう。円周シール306は、例えば、可撓性ポリマー材料等の可撓性材料から適切に形成される。4つの底部金属化パターン314の組が、底部基板302の上部表面304上に位置し、4つの上部金属化パターン316の対応する組が、上部基板の底部表面310上の4つの底部金属化パターン314と反対に位置する。4つの底部金属化エリア314の各々は、底部搭載パッド318を含み、4つの上部金属化エリア316の各々は、上部搭載パッド320を含む。4つの電気機械的変換器322の組の各々は、底部搭載パッド318および上部搭載パッド320を介して、底部基板302および上部基板304に機械的に結合される。電気機械的変換器322は、例えば、圧電要素、熱膨張可能な電気活性ポリマーの電気的に加熱可能な材料のブロック、対向する搭載パッド318、320に印加される反対電荷間の静電電位によって変形させられる変形可能材料、ヒータを装備するバイメタル要素、加熱電流が通過され得るように対向する搭載パッド318、320間を橋渡しする形状記憶合金、またはボイスコイルモータ等のローレンツ力ベースの変換器等の磁力を利用する変換器を含むことができる。4つの底部金属化エリア314の各々は、底部外部回路接触パッド324も含み、4つの上部金属化エリア316の各々も、上部外部回路接触パッド326を含む。駆動信号源328は、底部外部接触回路パッド324および上部外部回路接触パッド326に結合される。動的に作動可能な回折光学要素300が、選択的に作動可能な内部結合格子118a-118fのうちの1つとして使用される場合、駆動信号源328は、6チャネル駆動信号源218に含まれることができる。
【0043】
透過性表面レリーフ回折格子330が、円周シール306の内側のシールされた容積312内の底部基板302の上部表面308上に位置付けられる。透過性表面レリーフ回折格子330は、チャネル331の組を含む。回折格子の動作を理解するために使用される電磁理論の状況では、回折格子330が作製される材料は、第1の媒体と称され、回折格子330の上方の材料または真空は、第2の媒体と称される。回折格子330の表面は、境界を第1の媒体と第2の媒体との間に形成する。透明スペーサブロック332が、上部基板304の底部表面310上に位置付けられる。流体334のフィルムが、スペーサブロック332の底部表面336に接着されて示される。流体334は、例えば、水であるか、またはそれを含むことができる。底部表面336は、任意の有機汚染物質のない清浄ガラスであり得る。清浄ガラスは、親水性である。透過性表面レリーフ回折格子330は、ポリマー(例えば、有機、シリコーンベースの)材料から作製されることができる。ポリマー材料は、概して、疎水性である。透過性表面レリーフ回折格子330は、例えば、マイクロインプリントされた紫外線光硬化ポリマーであることができる。随意に、透過性表面レリーフ回折格子330は、透過性表面レリーフ回折格子330のバルクが作成される材料より疎水性の材料でコーティングされることができる。代替として、底部表面336は、親水性として挙動するように化学的に処理され得、透過性表面レリーフ回折格子330の表面が、疎水性として挙動するように化学的に処理され得る。
【0044】
例えば、溝331の深度が、約200ナノメートルであり、格子330の長さおよび幅が、約1ミリメートルを有すると仮定すると、溝331を充填するために十分な流体を提供するために必要である流体334のフィルムの体積は、約10分の1ピコリットルを有する量となるであろう。特定の形状の流体の塊のサイズが、縮小されると、体積に対する表面積の比率は、増加する。その結果、毛細管力が、流体の塊の慣性と比較して、増加し、それは、親水性表面に誘引される流体の変位が加速されることを意味する。この場合、溝331を充填するために必要である流体334の量の小規模性は、スペーサブロック332の底部表面336が上向きに変位させられるとき、流体334の排出における高速性につながる。
【0045】
透明スペーサブロック330の底部336と透過性表面レリーフ回折格子330の上部との間の間隔は、電気機械的変換器322が第1の状態にあるとき、流体334が、回折格子330の溝331の中に侵入せずに透明スペーサブロック332の底部表面336上にコーティングされるために十分な空間を提供するように設定されることができる。流体334が水である場合、透明スペーサブロック332の底部表面336は、親水性であり、回折格子330の表面は、疎水性であるので、水は、必然的に、溝から流出し、透明スペーサブロック332の底部表面336に接着する傾向にあるであろう。駆動信号源328が、電気機械的変換器322の状態を第2の状態に変化させるように動作させられると、透明スペーサブロック332の底部表面336と回折格子330との間の距離は、低減させられ、流体334を溝331の中に押し進める。流体334は別として、シールされた容積322は、他の流体を実質的に欠いていか、または部分的に真空化され(すなわち、大気圧未満におけるガスを含む)、圧力抵抗を低減させ得、電気機械的変換器322の作用下、底部基板302と上部基板との間の間隔を低減させる。流体334は、シールされた容積312内に封入された真空または任意のガスより透過性表面レリーフ回折格子330を形成するために使用される材料の屈折率に近い屈折率を有するので、流体334を溝331の中に押し進めることは、回折格子330の動作を実質的に改変するであろう。流体334が、溝331の中に押し進められると、光束は、より高い回折次数から0次数にシフトするであろう。透過格子に対して、0次数は、光が回折格子330上に入射した同じ方向に伝搬し続ける光に対応する(上記式1参照)。再び図2を参照すると、動的に作動可能な回折光学要素300が、選択的に作動可能な内部結合格子118a-118fの各々のために使用される場合、エネルギーを0次数に切り替えることによって、格子330の任意のものをオフに効果的に選択的に切り替える能力は、源136からの画像ごとに変調された光を導波管116、202、204、206、208、210のうちの1つの中に選択的に結合することを可能にする。内部結合格子118a-118fは、互いに重なって配列されているので、画像変調0次数光は、流体334が格子溝331から外に変位させられた内部結合格子に到達するまで、導波管スタック114を横断し、そして、TIRのための臨界角を上回るより高い次数に回折され、それによって、導波管116、202、204、206、208、210のうちの1つの中に経路を決定されるであろう。
【0046】
図4は、オン状態で示されたバイメタル要素駆動式流体変位機構を含む動的に作動可能な回折光学デバイス400を描写し、図5は、オフ状態における光学デバイスを示す。図4を参照すると、光学デバイス400は、その上に表面レリーフ透過性回折格子404が支持される透明基部402を含む。透過性回折格子404は、左から右に延びている溝406の並列アレイを含む。溝の隣に、親水性表面408がある。親水性表面408は、透明基部402の表面であり得るか、または透明基部402上のコーティングの表面であり得る。透明基部402は、自然に親水性であるガラスを含み得る。図4では、ある量の流体410が、親水性表面408上に示され、流体410は、親水性表面408の親水性引力によって親水性表面408に引き付けられている。光学窓412が、親水性表面の上方のバイメタルアーム414によって支持される。加熱要素416が、バイメタルアーム414上に形成されている。典型的に、バイメタルアーム414は、室温では、直線であり、電流を加熱要素416に通すことによって生じる加熱によって、図4に示される湾曲状態に誘発されるであろう。電流が、オフに切り替えられると、バイメタルアーム414は、図5に示される直線のオフ状態の構成に戻り、光学窓412を透明基部402まで下げ、流体の量を回折格子404の溝406の中に変位させる。防水ダム(図示せず)が、流体410を含むために、光学窓412およびバイメタルアーム414の周辺の周りに提供され得る。流体410を溝406の中に変位させることは、例えば、格子404が選好に応じてブレーズドされる回折次数等、より高い回折次数への光の回折を低減させ、またはそれを効果的に排除するであろう。流体410の屈折率が、伝送回折格子404の屈折率と等しい場合、溝408を流体410で充填することは、より高い回折次数(例えば、格子が選好に応じてブレーズドされる次数)への光の回折を排除するであろう。流体410の屈折率が、格子404の屈折率に合致し、流体410が、透明である場合、溝408が流体410で充填されると、入射光は、ゼロ次において伝搬されるであろう。図5では、溝406は、低減させられた線の太さで描かれ、溝の部分的事実上の消失を示し、それは、屈折率流体410が格子404の屈折率に正確に合致しない場合に当てはまるであろうことに留意されたい。溝406を充填する流体410の量は、図5では、はっきりと見えない。流体410が、吸収性である場合、入射光の一部は、吸収されるであろう。図4に示されるように、光学デバイス400がオン状態にあるとき、入射光線418が、格子404を通過するとき、回折によって偏向させられ、回折された光線420を生産する。回折された光線は、デカルト座標系三軸424に対して向けられて示される。図5に示されるように、光学デバイス400がオフ状態にあるとき、入射光線418は、流体410で充填された格子404を通過し、ゼロ次透過光線422として継続する。
【0047】
図6は、ある実施形態による静電MEMS櫛駆動部602を含む動的に作動可能な回折光学デバイス600の分解図である。デバイス600は、透明基部606上に支持される表面レリーフ回折格子604を含む。表面レリーフ回折格子604は、格子の表面607に形成される溝605の形態におけるチャネルの並列アレイを含む。溝は、回折格子606の上部表面607に位置するが、代替として、チャネルは、完全に封入され、上部表面607の下で伸びることができ、その場合、上部表面は、平坦であり得るが、その中にも刻印された第2の表面レリーフ回折光学を有し得る。親水性表面608が、透明基部606上の回折格子604に隣接して位置する。U形状の周辺ダム610が、3つの側を含み、格子604および親水性表面608を部分的に包囲する。U-形状の周辺シール610の開放端を橋渡しする残りの側は、弾性壁612によって占有される。光学窓614が、U形状の周辺ダムおよび弾性壁612に取り付けられ、封入された容積616を形成する。U形状の周辺ダム610の高さは、回折格子604の高さを上回る。透明スペーサブロック618が、回折格子604に面した光学窓614の底部表面620に取り付けられる。回折格子604とスペーサブロック618の底部表面622との間に、わずかな間隙があるか、または全く間隙がない。ある量の流体624が、親水性表面608を覆って回折格子604に隣接して位置して示される。回折格子604の溝605の領域内の断面積(X-Z平面における面積)は、親水性表面608の上方の断面積より小さい。
【0048】
櫛駆動部602は、第2の櫛628と互いに組み合わせられる第1の櫛626を含む。電位が、第1の櫛626と第2の櫛628との間の静電力を確立するために、第1の櫛626および第2の櫛628に印加されることができる(例えば、6チャネル駆動信号源218によって)。第1の櫛626は、透明基部606に実質的に強固に固定され得、第2の櫛628は、例えば、一体的に形成されるフレクシャ(図示せず)を通して、透明基部606に移動可能かつ機械的に結合され得る。プッシャ630が、第2の櫛駆動部616と一体的に形成される。プッシャ630は、弾性壁612に対寄りかかり、それに取り付けられ得る。動作時、電圧が、櫛626、628に印加され、プッシャ630が引っ張り力または押し付け力を弾性壁616上に授けるように誘発し、流体624が、親水性表面608の上の空間を占有し、それを覆うことを可能にするか、または流体624の少なくとも一部を格子604の溝605の中に押し進める。親水性表面608の上の断面積と比較した格子604の上の断面(X-Z平面)積における差異により、親水性表面608の上の領域が、格子オン状態において、流体624の量で実質的に充填され、流体624の量が、親水性表面608の上の領域に実質的に閉じ込められる場合、弾性壁612のわずかな変位は、流体624の量の少なくとも一部が格子604の長さを進行し、格子604の溝605を充填することを引き起こすであろう。
【0049】
図7は、ある実施形態による形状記憶合金702ベースのアクチュエータを含む動的に作動可能な回折光学デバイス700の断面立面図である。デバイス700は、透明基部706上に支持される表面レリーフ回折格子704を含む。回折格子704は、一連の溝703を含む(その限定数が、図を密集させることを回避するために列挙される)。透明カバー708が、表面レリーフ回折格子704を覆って位置付けられる。透明スペーサ710が、表面レリーフ回折格子704に面した透明カバー708の内側表面712に取り付けられる。縁シール714が、透明基部706と透明カバー708との間をシールし、図7に描写されるように、デバイス700の右側において可視である。可撓性隔壁716が、格子704の左に位置する。ある量の流体718が、縁シール714、透明スペーサ710、格子704、透明基部706、および隔壁716によって境を限られる空間720内に配置される。形状記憶合金702は、らせんの形態であり、第1の端部722において、スペーサブロック726と二次シール728との間に延びている第1の電極724に接続される。形状記憶合金702の第2の端部730が、隔壁716の格子704と反対側の透明カバー上に形成される第2の電極732にスライド接触している。第1の電極724および第2の電極732は、電源(図示せず)に接続される。形状記憶合金702の第2の端部730は、スライドするピストン734にも寄りかかり、次に、隔壁716に寄りかかりる。代替として、ピストン734は、形状記憶合金702と一体的に形成され得る。電力が、第1の電極720および第2の電極730を通して、形状記憶合金702に印加されると、形状記憶合金702は、伸び(形状記憶合金702のらせん形状のらせんピッチの延長を伴う)、スライドするピストン734を押し、次に、隔壁716を押し、それは、流体718を格子の溝703の中に変位させる。図7に示されるように、溝703は、図面シートの平面と垂直に伸びるが、代替として、溝703は、図面シートの平面と平行または別の方向に伸び得る。回折格子704は、好適に、疎水性材料から作製され、透明基部706の露出された上部表面736は、好適に、形状記憶合金に印加される電力によって誘発される変位作用がないとき、流体718が、露出された上部表面736に引き付けられ、回折格子の溝703から出るように、親水性である。流体718は、流体718が溝703内にあるとき、格子704の回折効率が実質的に減らされるように、空間720内の残留ガスより回折格子の屈折率に近い屈折率を有する。したがって、動的に作動可能な回折格子700は、流体718を溝703の内外に選択的に変位させることによって、オンまたはオフに効果的に切り替えられることができる。
【0050】
図8は、トラス804と光学窓806との間に位置するアクチュエータ802を含む動的に作動可能な回折光学デバイス800の斜視図である。デバイス800は、透明基板810上に支持される表面レリーフ透過性回折格子808を含む。回折格子808は、一連の溝807を含む。光学窓806は、格子808が位置する内部空間814を形成する縁シール812によって、透明基板810上に支持される。トラス804は、光学窓806の両側において、透明基板810に接合され、アクチュエータは、トラス804と光学窓806との間に位置付けられる。親水性表面816(例えば、透明基板810の裸表面)が、格子808に隣接する内部空間818内に位置付けられる。ある量の流体817が、内部空間818内に提供され、表面816の親水性特性および格子808の疎水性特性に起因して、それは、必然的に、親水性表面816上に集中する傾向にある。アクチュエータ802は、非限定的例として、圧電要素、ボイスコイルモータ、または電気的に加熱可能かつ熱膨張する材料体等の電気機械的変換器の形態をとることができる。トラス804およびアクチュエータ802は、親水性表面814の上に位置付けられる。アクチュエータ802の作動は、下向き力を光学窓806に及ぼし、光学窓806が下向きに撓むこと、および/または縁シール812が親水性表面816の近傍で収縮することを引き起こし、それによって、流体817の量(またはその一部)を格子808の溝807の中に変位させる。したがって、動的に作動可能な回折光学デバイス800は、流体817の量を溝807の内外に選択的に変位させることによって、オンまたはオフに効果的に切り替えられることができる。
【0051】
図9は、流体の熱膨張を利用して、作動を駆動する動的に作動可能な回折光学デバイス900の斜視図である。デバイス900は、流体906を保持する流体リザーバ904と接触するヒータ要素902を含む。リザーバ904は、表面レリーフ回折格子910を格納する格子チャンバ908と流体連通する。表面レリーフ回折格子910は、一連の溝912を含む。流体リザーバ904は、親水性表面914を含む。動作時、ヒータ要素902は、アクティブにされ、ヒータ要素902は、流体906を格子チャンバ908の中に膨張させ、回折格子910の溝912を充填し、回折格子910の効率を実質的に低減させ、回折格子910を効果的にオフにする。続いて、ヒータ要素902は、オフにされ、流体が、冷却し、流体リザーバ904の中に戻るように収縮することを可能にすることができる。
【0052】
図10は、オン状態で示される静電流体ディスプレーサ1016を含む動的に作動可能な回折光学デバイス1000の断面図であり、図11は、オフ状態における動的に作動可能な回折光学デバイス1000の断面図である。図10-11を参照すると、デバイス1000は、透明基部1002と、縁スペーサ1006および縁シール1008によって透明基部1002の上方に支持される透明窓1004とを含む。透過性表面レリーフ回折格子1010が、透明基部1002上に支持される。表面レリーフ回折格子1010は、一連の溝1011を含む。透明スペーサブロック1012が、回折格子1010の上方の透明窓1004の内側表面1014に付着される。透明ブロック1012の目的は、比較的に少量の流体1030の変位が領域を充填し得るように、回折格子1010の上方の領域の体積を低減させることである。静電流体ディスプレーサ1016は、回折格子1010に隣接して位置し、透明基部1002上に支持される固定電極1018と、固定電極1018上に支持される第1の親水性層1020(例えば、ガラス)と、固定電極1018および第1の親水性層1020の上方に位置付けられる、移動電極1022と、第1の親水性層1020に面した移動電極1022上にある第2の親水性層1024(例えば、ガラス)と、移動電極1022と固定電極1018との間をシールする第1の可撓性シール1026と、移動電極1022と窓1004との間をシールする第2の可撓性シール1028とを含む。溝1011は、図面シートの平面と垂直に整列させられるように描写されるが、実際は、溝1011は、紙の平面と平行に整列させられ、第1の親水性層1024まで延び得る。回折格子1010の屈折率に整合する、または空気より回折格子の屈折率に近い、屈折率を有する流体1030が、デバイス1000内に配置される。1つの可能な動作モードによると、固定電圧が、固定電極1018に印加され、正または負の極性のいずれかの電圧が、移動電極1022に印加される。電極1018、1022の役割は、説明される電圧が印加される限り、逆転されることができる。電極1018、1022の両方に印加される電圧の極性が、同一(オン状態)であるとき、移動電極1022は、固定電極1018から反発され、第1の親水性層1020と第2の親水性層1024との間の間隙1032を開放し、流体1030の少なくとも一部が、親水性層1020、1024に引き付けられるその自然な親和性に従って、間隙の中に引き付けられることを可能にするであろう。他方で、2つの電極1018、1022に印加される電圧の極性が、反対(オフ状態)であるとき、電極1018、1022は、互いに向かって引き付けられ、それによって、流体1030の量を親水性層1020、1024の間から排出し、流体1030を回折格子1010の溝1011の中に押し進める。デバイス1000がオン状態にある図10に示されるように、電極1018、1022は、比較的により離れて間隔を置かれ、流体1030は、親水性層1020、1024によって引き付けられ、主として、第1の親水性層1020を覆う領域に閉じ込められ、回折格子910は、その最大効率で機能している。他方で、デバイス1000がオフ状態にある図11に示されるように、電極1018、1022は、比較的に一緒により近づいて間隔を置かれ、流体1030は、親水性層1020、1024間の領域から回折格子1010の溝1011の中に実質的に排出され、格子1010の回折効率は、実質的に低減させられる。
【0053】
図12は、メタ材料回折光学要素1200の上面図である。メタ材料回折光学要素1200は、レンズとして機能する。光学要素1200は、複数の隆起部分1204を含む表面レリーフ構造1202を含む(その限定数が、図を密集させることを回避するために標識されている)。ある実施形態では、隆起部分1204は、100ナノメートル未満、かつメタ材料回折光学要素1200に光学的に結合される光源(図示せず)の実質的波長未満の最大横方向寸法を有する。メタ材料回折光学要素1200に光学的に結合される光源は、例えば、レーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)であることができる。
【0054】
図13は、図12に示されるメタ材料回折光学要素1200を含む動的に作動可能なレンズ1300の概略断面立面図である。図13では、動的に作動可能なレンズ1300は、オン状態で示される。図13に示されるように、流体1302は、流体1302を変位させる役割を果たす移動可能表面1304に接着されている。流体1302および表面1304は、互いに対して自然な親和性を有するように選定されることができる。図14は、図13に示される動的に作動可能なレンズ1300の断面立面図であるが、オフ状態で示される。図14に示されるように、表面1304は、図13に示される位置に対して下向きに移動させられ、それによって、流体1302を表面レリーフ構造1202の中に変位させている。流体1302は、表面レリーフ構造1202が相互作用する光波に及ぼす表面レリーフ構造1202の影響を効果的に低減させるように、表面レリーフ構造1202の屈折率にほとんど合致するように選定される。
【0055】
種々の回折格子実施形態が、上で説明されるが、2つの媒体間(例えば、光学グレードポリマーと空気との間)の断面境界を含む他の回折光学要素も提供されることができ、断面境界は、光を回折し、流体中に被覆され、それによって、回折機能を改変し得る。例は、上で説明される実施形態における回折格子を正または負の表面レリーフパターン回折レンズで置換することを含むであろう。
【0056】
代替実施形態によると、動的に作動可能な反射性表面レリーフ回折格子は、反射性回折格子の溝の内外に変位させるための流体と、流体を溝の内外に変位させるための流体ディスプレーサとを含む。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によると、ナノ流体工学が、回折光学に適用され得る(ナノ光流体工学と称され得る)。切り替え可能または同調可能回折格子が、ナノメートルスケール構造内の流体を使用することによって、形成され得る。これらのナノ光流体工学デバイスは、ナノ流体工学回路内で動作する複数の非混和性流体(例えば、屈折率合致流体に加えて、有意に異なる屈折率を伴う流体)を潜在的に採用することができ、ナノ流体工学回路は、光学状態間で切り替えるために、ナノ流体工学作動技法によって作動させられる。
【0058】
ナノ流体工学は、ナノスケール構造(例えば、1~100nm)内に閉じ込められた流体の研究である。ナノスケールにおける流体の物理学は、流体の挙動をマクロスケール構造(例えば、タービン)またはさらにマイクロスケール構造(例えば、インクジェット印刷ヘッド)におけるものと著しく異ならせる。例えば、電気浸透性現象は、ナノスケールにおいてはるかに顕著である。
【0059】
電気浸透性流動(電気浸透とも称される)は、毛細管、膜、マイクロチャネル、または任意の他の流体導管等の多孔性材料を横断して印加される電位によって誘発される流体の運動である。電気浸透は、水または電解液等の極性流体における正味移動電荷による電場によって誘発されるクーロン力によって生じる。固体表面と電解液との間の化学平衡は、典型的に、正味固定電荷を獲得する界面につながるので、電気二重層またはデバイ層として知られる、移動イオンの層が、界面の近傍の領域に生じる。電場が流体に印加される(通常、入口および出口に設置された電極を介して)と、電気二重層内の正味電荷は、結果として生じるクーロン力によって、移動するように誘発される。流動の特性は、固体表面と流体との間の化学相互作用、チャネルの特性長スケール、および印加される電場に依存する。
【0060】
図15は、本発明のいくつかの実施形態による電気浸透効果に基づいて動作可能な動的に作動可能な回折格子1500の分解図を図式的に示す。図16は、動的に作動可能な回折格子1500の組み立てられた図を示す。回折格子1500は、光学導波管1510上に製作され得、光学導波管1510のための内部結合格子として機能し得る。導波管1510は、例えば、サファイアまたは他の誘電性材料を備え得る。回折格子1500は、導波管1510の表面に結合される第1の透明電極1520を含み得る。第1の透明電極1520は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、グラフェン、または他の透明伝導性材料を備え得る。
【0061】
回折格子1500は、導波管1510の表面上に形成されるチャンバ1530をさらに含む。チャンバ1530は、二酸化ケイ素または他の好適な材料を備え得る。回折格子1500は、第1の透明電極1520上およびチャンバ1530内に形成されるナノスケール回折格子構造1540をさらに含む。回折格子構造1540は、例えば、二酸化ケイ素または他の誘電性材料を備え得る。回折格子構造1540は、複数の隆起1542を含み得、複数のチャネル1544を隣接する隆起1542間に伴う。回折格子構造1540の屈折率と実質的に合致する屈折率を伴う流体が、電気浸透を介して、チャネル1544の内外に圧送され、それによって、回折格子1500を動的にアクティブまたは非アクティブにし得る。チャンバ1530は、回折格子構造1540および流体の両方を格納する。
【0062】
回折格子1500は、回折格子構造1540の上部に結合される第2の透明電極1550を含む。第2の透明電極1550は、酸化インジウムスズ(ITO)、グラフェン、または他の透明伝導性材料をさらに備え得る。第1の透明電極1520および第2の透明電極1550は、それらに印加される電位が回折格子1500をアクティブまたは非アクティブにすることを可能にする一方、光が影響されずに通過することを可能にし得る。回折格子1500はさらに、カバー1560を含み得る。カバー1560は、二酸化ケイ素または他の誘電性材料を備え得る。カバー1560は、チャンバ1530をシールし、流体を保持し得る。
【0063】
図17Aおよび17Bは、本発明のいくつかの実施形態による図15および16に示される回折格子1500の動作原理を図示する。「オン」状態では、図17Aに図示されるように、流体1570は、複数のチャネル1544の底部に約100nmの高さを伴って、均一に分散させられ得る。「オフ」状態では、図17Bに図示されるように、流体1570は、約200nmの高さまで上向きに引き付けられ、複数のチャネル1544を実質的に充填する。流体1570は、電圧を第2の透明電極1550と第1の透明電極1520との間に印加することによって、電気浸透を介して、上向きに引き付けられ得る。回折格子構造1540と流体1570とは、合致した屈折率を有し、回折格子構造1540は、流体1570内に浸されると、光学的に不可視である。電気浸透電圧を反転させること、または減じることは、流体1570を回折格子構造1540から排出し、それによって、回折格子1500を「オン」状態に戻し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、流体1570は、約1.33の屈折率を有し得る。流体1570は、純水または電解液等の極性流体であり得る。液体安定性を確実にするために、流体1570の蒸発および凝縮が、考慮され得る。蒸発および凝縮は、閉じ込められたナノスケール体積では、無視可能であり得る。蒸発および凝縮は、蒸気圧力、表面処理、温度等を操作することによって制御され得る。
【0065】
回折格子構造1540の材料は、流体1570の屈折率に実質的に合致する屈折率を有するように選択され得る。極性流体は、典型的に、約1.33の低屈折率を有するので、合致した屈折率を有する回折格子構造1540を生産することは、技術的に困難であり得る。斜角堆積等のいくつかの新しい技法は、非常に低屈折率(例えば、約1.1未満)を伴う二酸化ケイ素のフィルムを生産することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、回折格子1500の表面の湿潤特性が、最適動作のために、化学処理によって調整され得る。例えば、チャンバの床(すなわち、第1の透明電極1520の表面)は、デフォルトで、「オン」状態で、流体1570がチャンバの床に接着し得るように、最高湿潤親和性を有するように調整され得る。未処理ITOは、容認可能な湿潤特性を有し得る。回折格子構造1540の側面は、チャネル1544の上下への流体移動に対して最小限のインピーダンスが存在し得るように、中性湿潤表面を有するように調整され得る。チャンバの上部(すなわち、第2の透明電極1550の表面)は、流体1570が上部に接着せず、「オン」と「オフ」との間の高速切り替えを可能にするように、疎水性であるように調整され得る。
【0067】
電気浸透は、ナノスケールにおいて高度に効果的な輸送機構であり得る。一方の電荷種は、ナノチャンバ壁に誘引され得る一方、反対流体電荷種は、反発され得る。各種は、層(電気二重層またはEDLと称される)を流体中に形成し得る。EDLの誘引層が、ほぼナノ細孔であるとき、ある正味電荷濃度がナノ細孔内に存在し得、ナノ細孔内の流体は、印加された電場のもとで、移動を経験するであろう。
【0068】
電気浸透性流動を維持するために、典型的に、ファラデー反応(還元または酸化)が、種を平衡化するために電極において利用され得る。しかしながら、回折格子1500は、いくつかの実施形態では、連続流動を保証せず、静電押し変位または引き変位しか保証しない。したがって、ファラデー反応は、いくつかの実施形態では、利用されないこともある。電解が、生じ得るが、電極材料選択によって軽減されることができる。例えば、電解質が、水に添加され、電気浸透性力を増進し得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1の透明電極1520と第2の透明電極1550との間の距離は、約300nmであり得る。第1の透明電極1520と第2の透明電極1550との間に印加される3V電圧は、約10MV/mの電場を生成し得る。空気の誘電性強度は、約3MV/mであり、水の誘電性強度は、約35~70MV/mであり、ガラスの誘電性強度は、約9~14MV/mであることに留意されたい。5mm×5mmおよび50%デューティサイクル格子に対して、2.5ナノリットルの流体が、格子の200nm高さを沈めるために変位させられる必要があり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、完成な回路が、電気浸透を開始するために確立される必要がある場合、小ミクロン寸法のチャネルが、格子の小部分上の選択的湿潤処理によって形成されることができる。
【0071】
図18Aおよび18Bは、本発明のいくつかの実施形態による電気浸透効果に基づいて動的に切り替え可能な回折格子1800を図式的に図示する。回折格子1800は、基板1810の表面を横断して側方に延びている複数のチャネル1820を含む基板1810を含む。複数のチャネルは、周期的アレイとして配列される。複数のチャネル1820の各々は、基板1810の屈折率に実質的に合致する屈折率を有する第1の流体1870で充填され得る。流体リザーバ1850が、ある量の第2の流体1860を保持するために、各チャネル1820の第2の端部1840形成され得る。第2の流体1860は、基板1810の屈折率と異なる屈折率を有し得る。第2の流体1860は、第1の流体1870と非混和性であり得る。
【0072】
回折格子1800は、複数のチャネル1820の第1の横端に接触している基板1810の縁に形成された第1の電極1830と、複数のチャネル1820の第2の横端に接触している基板1810の反対縁に形成された第2の電極1840とをさらに含む。第1の電極1830と第2の電極1840との間の電位のないとき、第2の流体1860の量は、各チャネル1820の第2の端部におけるリザーバ1850内に留まり、図18Aに図示されるように、各チャネル1820を第1の流体1870で充填されたままにし得る。第1の流体1870の屈折率は、基板1810の屈折率に実質的に合致しているので、回折格子1800は、「オフ」状態にあり、その上に入射する光を回折しないであろう。
【0073】
電位が、第1の電極1830と第2の電極1840との間に印加されると、第2の流体1860の量は、図18Bに図示されるように、電気浸透を介して、各それぞれのチャネル1820の第1の端部に向かって引き付けられ、それぞれのチャネル1820を充填し得る一方、第1の流体1870をそれぞれのチャネル1820から変位させる。第2の流体1860の屈折率が基板1810の屈折率と異なるので、回折格子1800は、「オン」状態にある。電位が、除去されると、第2の流体1860の量は、各チャネル1820の第2の端部におけるリザーバ1850まで後退し、第1の流体1870に各チャネル1820を再び充填させ得る。したがって、このように、第1の電極1830と第2の電極1840との間の電位をオンおよびオフに切り替えることによって、回折格子1800は、それに応じてオンおよびオフにされ得る。
【0074】
図19Aおよび19Bは、本発明のいくつかの他の実施形態による電気浸透効果に基づいて動的に切り替え可能な回折格子1900を図式的に図示する。動的に切り替え可能な回折格子1900は、図18Aおよび18Bに図示される動的に切り替え可能な回折格子1800に類似するが、単一の第1の電極1830を有する代わりに、複数の第1の電極1930を有し、各第1の電極1930は、それぞれのチャネル1820に結合される。したがって、各チャネル1820は、個々に、それぞれの第1の電極と第2の電極1840との間の電位をオンまたはオフにすることによって制御され得る。
【0075】
例えば、図19Aに図示される例では、全てのチャネル1820は、第2の流体1860で充填され、隣接するチャネル1820間の間隔と等しい周期を伴う回折格子を形成する。他方では、図19Bに図示される例では、1つおきの群の3つの隣接するチャネル1820が、第2の流体1860で充填され、隣接するチャネル1820間の間隔の6倍の周期を伴う回折格子を形成する。したがって、格子の周期性は、各チャネル1820に印加される電位を変調させることによって、動的に変化させられ得る。
【0076】
上で説明されるように、格子ピッチまたは格子ベクトル等の格子パラメータが動的に変動させられ得る回折格子は、1つのみの動的可変格子が、全ての色(例えば、RGB色)および連続的に変動する深度を供給するために利用される接眼レンズ構成を可能にし得る。範囲および応答時間に応じて、これらの動的可変格子は、1つの軸における入力ビームの高速走査または直交軸における入力ビームの低速走査のために利用され得る。
【0077】
図20は、本発明のいくつかの実施形態による動的回折格子2000の断面図を図式的に図示する。回折格子2000は、周期的アレイとして配列される複数のチャネル2020(ページと垂直に延びている)を有する基板2010を含む。動的回折格子2000は、基板2010の反対表面上に形成される第1の電極2030と、第2の電極2040とをさらに含む。ある第1の流体2050の量が、各チャネル2020内に配置され得る。ある量の第2の流体2060は、第1の流体2050の上部において、各チャネル2020内に配置され得る。第2の流体2060は、第1の流体2050と非混和性であり得る。図21は、動的回折格子2000の斜視図を示す。
【0078】
第1の電極2030と第2の電極2040との間の電位がないとき、第1の流体2050は、各チャネル2020の底部部分内に留まり、したがって、第2の流体2060が各チャネル2020を充填することを可能にする。電位を第1の電極2030と第2の電極2040との間に印加することによって、第1の流体2050は、各チャネル2020内の上方に引き付けられ、したがって、第1の流体2060を変位させ得る。いくつかの実施形態では、動的回折格子2000は、第1の流体2050を保持するために、リザーバ(図示せず)を各チャネル2020下に含み得る。各チャネル2020の底部に、各チャネル2020をリザーバと接続する複数の孔または連続スリットがあり、第1の流体2050は、電位が印加されると、チャネル2020の上方に引き付けられ、電位が除去されると、リザーバに戻るように後退し得る。
【0079】
第1の流体2050は、第1の屈折率を有し得、第2の流体2060は、第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有し得る。したがって、回折格子2000は、電位がオフであるときの第1の回折状態(例えば、回折角度の観点から)と、電位がオンであるときの第2の回折状態とを有し得る。例えば、第1の回折状態では、回折格子2000は、特定の波長のための第1の回折角度を有し得、第2の回折状態では、回折格子2000は、特定の波長のための第1の回折角度と異なる第2の回折角度を有し得る。したがって、電位をオンおよびオフにすることによって、回折格子2000は、第1の回折状態と第2の回折状態との間で動的に切り替えられ得る。
【0080】
図22は、本発明のいくつかの実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に切り替え可能な光学系を伴う接眼レンズ2200を図式的に図示する。接眼レンズ2200は、第1の平面導波管2210と、第1の導波管2210の背後に位置付けられた第2の平面導波管2220と、第2の導波管2220の背後に位置付けられた第3の平面導波管2230とを含み得る。第1の導波管2210、第2の導波管2220、および第3の導波管2230の各々の片側(例えば、図22に図示されるように、各導波管の左側)は、各それぞれの導波管の平面に対してある角度で傾けられたファセットを有し得る。各導波管上の傾けられたファセットは、入力光ビーム2250の各々が導波管上に入射する領域内に位置付けられ得る。
【0081】
第1のナノ流体工学チャネル2212が、第1の導波管2210の傾けられたファセット上に形成され得、第2のナノ流体工学チャネル2222が、第2の導波管2220の傾けられたファセット上に形成され得、第3のナノ流体工学チャネル2232が、第3の導波管2220の傾けられたファセット上に形成され得る。流体2240は、電気浸透の原理を動的に使用して、第1のナノ流体工学チャネル2212、第2のナノ流体工学チャネル2222、および第3のナノ流体工学チャネル2232のそれぞれの内外に圧送され得る。流体2240が、ナノ流体工学チャネル2212、2222、または2232内にないとき、入射光ビーム2250は、ファセットにおいて対応する導波管を通して伝送され得る。例えば、図22に図示される例では、入射光ビーム2250は、ファセットにおいて第1の導波管2210を通して伝送され、第2の導波管2220上に入射する。
【0082】
いくつかの実施形態では、流体2240は、流体2240が、ナノ流体工学チャネル2212、2222、または2232の中に圧送されると、入射光ビーム2250が、導波管-流体界面において反射され得るように、高度に反射性(例えば、金属流体)であり得る。例えば、図22に図示される例では、第2のナノ流体工学チャネル2222は、流体2240で充填されている。その結果、第2の導波管2220上に入射する光ビーム2250は、導波管-流体界面において反射され得、全内部反射(TIR)によって、第2の導波管2220内を伝搬し得る。いくつかの他の実施形態では、流体2240は、全内部反射が導波管-流体界面において生じ得るように、導波管の屈折率より低い屈折率を有し得る。したがって、流体2240を各ナノ流体工学チャネル2212、2222、または2232の内外に動的に圧送することによって、入射光ビーム2250は、対応する導波管2210、2220、または2230の中に選択的に結合されることができる。したがって、ナノ流体工学チャネル2212、2222、および2232は、接眼レンズ2200のための動的に作動可能な内部結合光学要素としての役割を果たし得る。
【0083】
図23は、本発明のいくつかの他の実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に切り替え可能な光学系を伴う接眼レンズ2300を図式的に図示する。接眼レンズ2300は、第1の平面導波管2310と、第1の導波管2310の背後に位置付けられた第2の平面導波管2320と、第2の導波管2320の背後に位置付けられた第3の平面導波管2330とを含み得る。回折光学要素(DOE)2312は、第1の導波管2310の表面上に形成され得る。DOE2312は、入力光ビーム2350が第1の導波管2310上に入射する領域内に位置付けられ得る。DOE2312は、図23に図示されるように、ある回折角度において回折される光ビーム2360として、入射光ビーム2350の一部を第1の導波管2310の中に回折するように構成され得る。
【0084】
接眼レンズ2300は、第1の導波管2310と第2の導波管2320との間に位置付けられた第1のナノ流体工学チャネル2322と、第2の導波管2320と第3の導波管2330との間に位置付けられた第2のナノ流体工学チャネル2332とをさらに含む。流体2340は、電気浸透の原理を動的に使用して、第1のナノ流体工学チャネル2322および第2のナノ流体工学チャネル2332の各々の内外に圧送され得る。流体2340は、流体2340がナノ流体工学チャネル2322または2332内にあるとき、導波管-流体界面上に入射する回折される光ビーム2360が、透過させられ得るように、導波管の屈折率より高い屈折率を有し得る。他方では、流体2340が、ナノ流体工学チャネル2322または2332内にないとき、導波管と空ナノ流体工学チャネルとの間の界面上に入射する回折される光ビーム2360は、全内部反射(TIR)を受け、対応する導波管内で伝搬され得る。
【0085】
例えば、図23に図示される例では、第1のナノ流体工学チャネル2322は、流体2340で充填される一方、第2のナノ流体工学チャネル2332は、空(または部分的に、空)である。したがって、第1の導波管2210と流体2340との間の界面上に入射する回折される光ビーム2360は、第2の導波管2320の中に透過させられ、第2の導波管2320と空の第2のナノ流体工学チャネル2332との間の界面上に入射する透過させられた光ビーム2360は、反射され、続いて、全内部反射(TIR)によって、第2の導波管2320内で伝搬される。したがって、流体2340を各ナノ流体工学チャネル2322、2222、および2332の内外に動的に圧送することによって、入射光ビーム2350は、対応する導波管2310、2320、または2330の中に選択的に結合されることができる。
【0086】
図24は、本発明のいくつかの実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に作動可能な回折格子を伴う接眼レンズ2400を図示する。接眼レンズ2400は、第1の平面導波管2410と、第1の導波管2410の背後に位置付けられた第2の平面導波管2420と、第2の導波管2420の背後に位置付けられた第3の平面導波管2430とを含み得る。第1の動的回折格子2412は、第1の導波管2410の表面上に形成され得る。第1の動的回折格子2412は、入力光ビーム2450が第1の導波管2410上に入射する側方領域内に位置付けられ得る。第2の動的回折格子2422は、第2の導波管2420の表面上に形成され得る。第3の動的回折格子2432は、第3の導波管2430の表面上に形成され得る。第2の動的回折格子2422および第3の動的回折格子2432は、第1の動的回折格子2412と実質的に整列させられた側方位置に位置付けられる。
【0087】
第1の動的回折格子2412、第2の動的回折格子2422、および第3の動的回折格子2432の各々は、図18Aおよび18Bに図示され、上で説明されるものに類似する電気浸透効果に基づいて、動的にオンまたはオフにされ得る。例えば、図24に図示される例では、第1の動的回折格子2412は、回折格子2422のチャネルを屈折率が合致した流体2440で充填することによって、オフにされる。したがって、入射光ビーム2450は、第1の動的回折格子2412によって透過させられ、第2の導波管2420上に入射する。第2の動的回折格子2422は、屈折率が合致した流体2440をチャネルから左側に後退させることによって、オンにされる。したがって、第2の動的回折格子2422上に入射する光ビーム2450は、第2の動的回折格子2422によって回折され、第2の導波管2420の中に結合され、続いて、全内部反射(TIR)によって、第2の導波管2420内で伝搬される。したがって、第1の動的回折格子2412、第2の動的回折格子2422、および第3の動的回折格子2432の各々を動的にオンまたはオフにすることによって、入射光ビーム2450は、対応する導波管2410、2420、または2430の中に選択的に結合されることができる。第1の動的回折格子2412、第2の動的回折格子2422、および第3の動的回折格子2432の各々は、対応する導波管2410、2420、または2430のためのICGとしての役割を果たし得る。
【0088】
図25は、本発明のいくつかの他の実施形態によるナノ流体工学に基づいて動的に作動可能な回折格子を伴う接眼レンズ2500を図示する。接眼レンズ2400は、第1の平面導波管2510と、第1の導波管2510の背後に位置付けられた第2の平面導波管2520と、第2の導波管2520の背後に位置付けられた第3の平面導波管2530とを含み得る。第1の動的回折格子2512は、第1の導波管2510の表面上に形成され得る。第1の動的回折格子2512は、入力光ビーム2550が第1の導波管2510上に入射する側方領域内に位置付けられ得る。第2の動的回折格子2522は、第2の導波管2520の表面上に形成され得る。第3の動的回折格子2532は、第3の導波管2530の表面上に形成され得る。第2の動的回折格子2522および第3の動的回折格子2532は、第1の動的回折格子2512と実質的に整列させられる側方位置に位置付けられる。
【0089】
第1の動的回折格子2512、第2の動的回折格子2522、および第3の動的回折格子2532の各々は、図20および21に図示され、上で説明されるものに類似する電気浸透効果に基づいて、動的にオンまたはオフにされ得る。例えば、図25に図示される例では、第1の動的回折格子2512は、屈折率が合致した流体2540を第1の回折格子2512のチャネルを充填するまで引き付けることによって、オフにされる。したがって、入射光ビーム2550は、第1の動的回折格子2512によって透過させられ、第2の導波管2520上に入射する。第2の動的回折格子2522は、屈折率が合致した流体2540をチャネルから低下させることによって、オンにされている。したがって、第2の動的回折格子2522上に入射する光ビーム2550は、第2の動的回折格子2522によって回折され、第2の導波管2520の中に結合され、続いて、全内部反射(TIR)によって、第2の導波管2520内で伝搬される。したがって、第1の動的回折格子2512、第2の動的回折格子2522、および第3の動的回折格子2532の各々を動的にオンまたはオフにすることによって、入射光ビーム2550は、対応する導波管2510、2520、または2530の中に選択的に結合されることができる。第1の動的回折格子2512、第2の動的回折格子2522、および第3の動的回折格子2532の各々は、対応する導波管2510、2520、または2530のためのICGとしての役割を果たし得る。
【0090】
エレクトロウェッティングは、印加される電場を用いた表面の湿潤特性(典型的に、疎水性であり得る)の修正である。絶縁体層が、伝導性基板上に形成される。流体の液滴が、次いで、絶縁体層の表面上に設置される。液滴と伝導性基板との間の任意の電位がないとき、絶縁体層の表面は、疎水性であり、したがって、比較的にわずかな表面湿潤が存在する。非ゼロ電位が、流体の液滴と伝導性基板との間に印加されると、絶縁体層の表面は、親水性となり、したがって、流体の液滴は、絶縁体層の表面をぬらす。この現象を使用して、2次元グリッド(デジタルマイクロ流体工学)上での別々の液滴の操作が、実証されている。
【0091】
光エレクトロウェッティングは、伝導性基板を半導体基板と置換し、液体/絶縁体/半導体スタックを形成することによって観察され得る。光を半導体基板上に絶縁体(透明であり得る)を通して照らすことによって、半導体基板は、光伝導性を介して、伝導性となり得る。したがって、絶縁体の表面は、流体の液滴と半導体基板との間の電位の印加を用いて親水性となり得る。
【0092】
図26A-26Dは、本発明の種々の実施形態によるその動作原理としてエレクトロウェッティングを使用するいくつかの動的に切り替え可能な回折格子を図式的に図示する。図26Aを参照すると、動的に切り替え可能な回折格子は、基部プレート2610と、基部プレート2610の表面から上向きに延びている(ページと垂直方向に延びている)、複数の壁2620とを含む。複数の壁2620は、複数の縦方向チャネル2630(ページと垂直方向に延びている)を画定する。チャネル2630は、約200nmの幅を有し得る。チャネル2630の幅は、光の波長に応じて、変動させられ得る。流体リザーバ2640は、ある量の流体2650を保持するために、基部プレート2610下に位置付けられる。基部プレート2610は、流体2650の各々がチャネル2630の中に流動し得るように、孔またはスリット2612を各それぞれのチャネル2630下に有し得る。
【0093】
基部プレート2610は、伝導性基板と、その上に形成される絶縁層とを含み得る。チャネル2630の底部を形成する絶縁層は、典型的に、疎水性であり得る。チャネル2630の壁2620も、典型的に、疎水性であり得る。絶縁層および壁2620の材料に応じて、絶縁層の表面および壁2620の表面は、疎水性として挙動するように化学的に処理され得る。したがって、流体2650は、典型的に、図26Aに図示されるように、リザーバ2640内に留まるが、チャネル2630内に留まらない。電位が、各それぞれの壁2620と基部プレート2610の伝導性基板との間に印加され、それぞれの壁および対応するチャネル2630の底部の湿潤特性を疎水性から親水性に変化させ得る。したがって、各それぞれの壁2620に印加される電位を制御することによって、個々のチャネル2630は、流体2650で選択的に充填され得る。
【0094】
例えば、図26Bに図示される例では、1つおきのチャネル2630が、流体2650で充填され、各チャネル2630の幅の2倍の周期を伴う回折格子を形成する。図26Cに図示される例では、1つおきの対の隣接するチャネル2630が、流体2650で充填され、各チャネル2630の幅の4倍の周期を伴う回折格子を形成する。したがって、格子の周期性は、各壁2620に印加される電位を変調させることによって、動的に変化させられ得る。いくつかの実施形態によると、1つの動的可変格子が、全ての色(例えば、RGB色)および連続的に変動する深度を供給するために使用され得る。範囲および応答時間に応じて、これらの動的可変格子は、1つの軸における入力ビームの高速走査または直交軸における入力ビームの低速走査のために利用され得る。
【0095】
図26Dを参照すると、いくつかの実施形態では、各壁2620の片側は、恒久的疎水性表面を有するように構成され得、流体は、壁2620の他の側にのみ接着し得る。各チャネル2630の底部は、チャネルの片側から他の側に側方に異なるエレクトロウェッティング特性を有するように構成され得る。したがって、チャネル2630を充填する流体2650は、三角形断面を有し得る。図26Cに図示される例では、各チャネル2630は、流体2650で部分的に充填され、各チャネル2630の幅と等しい周期を伴う鋸歯形状の回折格子を形成する。鋸歯形状の回折格子は、ブレーズド格子としての役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、流体は、圧力を印加することによって、チャネル2630の内外に圧送され得る。
【0096】
図27A-27Bは、本発明のいくつかの実施形態による光エレクトロウェッティングに基づく、動的回折格子2700を概略的に図示する。動的回折格子2700は、半導体上に形成される絶縁体を含み得る基板2710を含む。ある量の流体2720が、基板2710の表面上に設置され得る。電場を流体2720と基板2730との間に印加することと併せて、光ビーム2730を基板上に照らすことによって、基板2710の湿潤特性が、疎水性から親水性またはその逆に変化させられ得る。いくつかの実施形態では、光ビーム2730は、ある強度パターンを有し得る。故に、流体2720の量は、図27Bに図示されるストライプ等、強度パターンに従って、基板2710上にパターンを形成し得る。流体2720のストライプは、回折格子として機能し得る。例えば、規則的に間隔を置かれたストライプの強度パターンが、2つのコヒーレント光ビームの干渉縞として形成され得る。このように、回折格子2700は、光ビームをオンまたはオフのすることによって、動的にオンまたはオフにされ得る。加えて、または代替として、回折格子2700の周期性または向きは、光ビーム2730の強度パターンを変化させることによって、動的に変化させられ得る。
【0097】
本明細書に説明される例および実施形態が、例証目的のためだけのものであり、それらに照らした種々の修正および変更が、当業者に示唆され、本願の精神および権限ならびに添付の請求項の範囲内に含まれるべきであることも理解されたい。
図1
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図14
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図18A
図18B
図19A
図19B
図20
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図23
図24
図25
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B