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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/40 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
A01F12/40 303
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020108741
(22)【出願日】2020-06-24
(65)【公開番号】P2022006499
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅林 竜司
(72)【発明者】
【氏名】光原 昌希
(72)【発明者】
【氏名】増本 涼太
(72)【発明者】
【氏名】菅 裕哉
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-028462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 12/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、
前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、
前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え
前記センサは、磁石と、前記磁石を検出するセンサ本体と、を有し、
前記磁石及び前記センサ本体は、前記揺動軸心方向に隣り合う状態で配置されているコンバイン。
【請求項2】
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、
前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、
前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え、
前記切り替えカバーは、カバー本体と、前記カバー本体を支持するカバーフレームと、を有し、かつ、前記カバー本体と前記カバーフレームとが前記揺動軸心周りで相対揺動可能に構成され、
前記カバー本体及び前記カバーフレームのうち一方は、前記揺動軸心周りで前記カバー本体及び前記カバーフレームのうち他方に近接する側に揺動付勢されており、
前記センサは、前記カバー本体と前記カバーフレームとが前記揺動軸心周りで離間したことを検出し、
前記センサは、前記カバーフレームの横隣りに設けられ、
前記センサのうち前記排藁切断装置の内部側部分を覆うセンサカバーを備えているコンバイン。
【請求項3】
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、
前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、
前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え、
前記センサは、磁石と、前記磁石を検出するセンサ本体と、を有し、
前記磁石のうち前記センサ本体に対向する面以外を覆う磁石カバーを備えているコンバイン。
【請求項4】
前記センサは、前記切り替えカバーが前記揺動軸心周りで前記開位置よりも前記閉位置とは反対側に位置していることを検出する請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが知られている。特許文献1に記載のコンバインには、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置(文献では「細断装置〔2〕」)と、が備えられている。排藁切断装置には、排藁が投入される投入口と、投入口に投入された排藁を切断するカッタ(文献では「回転刃〔4〕、〔5〕」)と、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心(文献では「支点〔X〕」)周りで投入口を開く開位置と投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバー(文献では「カバー体〔3〕」)と、が備えられている。特許文献1には、接触式のセンサによって排藁切断装置における排藁の詰まりを検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-154469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、排藁が排藁切断装置に詰まっても、排藁がセンサに接触しないと、排藁の詰まりがセンサによって検出されない。このため、排藁が排藁切断装置に詰まってから、排藁の詰まりがセンサによって検出されるまでに、時間的な遅れが生じ易い。
【0005】
上記状況に鑑み、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早く検出することが可能なコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え、前記センサは、磁石と、前記磁石を検出するセンサ本体と、を有し、前記磁石及び前記センサ本体は、前記揺動軸心方向に隣り合う状態で配置されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、切り替えカバーが排藁の圧力を受けて開位置と閉位置との間以外の位置に位置すると、切り替えカバーが開位置と閉位置との間に位置していないことが、非接触式のセンサによって検出されることになる。すなわち、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、排藁がセンサに接触しなくても、排藁の詰まりがセンサによって検出されることになる。これにより、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早く検出することができる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
発明の特徴は刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え、前記切り替えカバーは、カバー本体と、前記カバー本体を支持するカバーフレームと、を有し、かつ、前記カバー本体と前記カバーフレームとが前記揺動軸心周りで相対揺動可能に構成され、前記カバー本体及び前記カバーフレームのうち一方は、前記揺動軸心周りで前記カバー本体及び前記カバーフレームのうち他方に近接する側に揺動付勢されており、前記センサは、前記カバー本体と前記カバーフレームとが前記揺動軸心周りで離間したことを検出し、前記センサは、前記カバーフレームの横隣りに設けられ、前記センサのうち前記排藁切断装置の内部側部分を覆うセンサカバーを備えていることにある。
【0013】
本特徴構成によれば、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、切り替えカバーが排藁の圧力を受けて開位置と閉位置との間以外の位置に位置すると、切り替えカバーが開位置と閉位置との間に位置していないことが、非接触式のセンサによって検出されることになる。すなわち、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、排藁がセンサに接触しなくても、排藁の詰まりがセンサによって検出されることになる。これにより、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早く検出することができる。
本特徴構成によれば、排藁が排藁切断装置に詰まると、カバー本体が排藁の圧力を受けてカバーフレームから揺動軸心周りで離間することになる。そして、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、カバー本体が排藁の圧力を受けてカバーフレームから揺動軸心周りで離間すると、カバー本体がカバーフレームから揺動軸心周りで離間したことが、非接触式のセンサによって検出されることになる。これにより、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早くかつ確実に検出することができる。
本特徴構成によれば、センサがカバーフレーム及びセンサカバーによって横側及び排藁切断装置の内部側から覆われることになる。これにより、排藁がセンサに絡み付かないようにすることができる。
【0014】
発明の特徴は刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記脱穀装置の後方に設けられ、排藁を切断する排藁切断装置と、を備え、前記排藁切断装置は、排藁が投入される投入口と、前記投入口に投入された排藁を切断するカッタと、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心周りで前記投入口を開く開位置と前記投入口を閉じる閉位置とに亘って揺動可能な切り替えカバーと、を有しているコンバインであって、前記切り替えカバーが前記開位置と前記閉位置との間に位置していないことを検出する非接触式のセンサを備え、前記センサは、磁石と、前記磁石を検出するセンサ本体と、を有し、前記磁石のうち前記センサ本体に対向する面以外を覆う磁石カバーを備えていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、切り替えカバーが排藁の圧力を受けて開位置と閉位置との間以外の位置に位置すると、切り替えカバーが開位置と閉位置との間に位置していないことが、非接触式のセンサによって検出されることになる。すなわち、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、排藁がセンサに接触しなくても、排藁の詰まりがセンサによって検出されることになる。これにより、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早く検出することができる。
本特徴構成によれば、磁石の磁力をセンサ本体が磁石を検出するのに適した磁力に容易に調整することができる。
さらに、本発明において、前記センサは、前記切り替えカバーが前記揺動軸心周りで前記開位置よりも前記閉位置とは反対側に位置していることを検出すると好適である。
本特徴構成によれば、排藁が排藁切断装置に詰まると、切り替えカバーが排藁の圧力を受けて揺動軸心周りで開位置よりも閉位置とは反対側の位置まで揺動することになる。そして、排藁が排藁切断装置に詰まった際に、切り替えカバーが排藁の圧力を受けて揺動軸心周りで開位置よりも閉位置とは反対側の位置まで揺動すると、切り替えカバーが揺動軸心周りで開位置よりも閉位置とは反対側に位置していることが、非接触式のセンサによって検出されることになる。これにより、排藁切断装置における排藁の詰まりを素早くかつ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】コンバインを示す左側面図である。
図2】コンバインを示す平面図である。
図3】脱穀装置を示す左側面断面図である。
図4】切り替えカバーを示す右側面図である。
図5】切り替えカバーを示す正面図である。
図6】切り替えカバーの右端部を示す正面図である。
図7】切り替えカバーの右端部を示す背面図である。
図8】センサ及びロック機構を示す図であって、カバー本体とアームとを連結した状態を示す図である。
図9】センサ及びロック機構を示す図であって、カバー本体とアームとを連結解除した状態を示す図である。
図10】センサを示す右側面図であって、磁石がセンサ本体に対して離間した状態を示す右側面図である。
図11】別実施形態であって、排藁切断装置及び結束装置を示す左側面図である。
図12】別実施形態であって、ロック機構を示す左側面図である。
図13】別実施形態であって、排藁切断装置及び結束装置の右側部を示す背面図である。
図14】別実施形態であって、排藁切断装置及び結束装置を示す右側面図である。
図15】別実施形態であって、支持部材を示す斜視図である。
図16】別実施形態であって、図14におけるXVI-XVI断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」とする。
【0018】
〔コンバインの全体構成〕
図1及び図2には、自脱型コンバインを示している。本コンバインには、走行機体1が備えられている。走行機体1には、機体フレーム2と、機体フレーム2を支持するクローラ走行装置3と、が備えられている。走行機体1の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部4が設けられている。走行機体1の前部には、運転部5が設けられている。運転部5の下方には、エンジンEが設けられている。
【0019】
刈取部4の後方には、刈取穀稈を脱穀して脱穀処理物を選別する脱穀装置6が設けられている。脱穀装置6の左側部には、刈取穀稈を搬送するフィードチェーン7が設けられている。脱穀装置6は、走行機体1において、左側に配置されている。脱穀装置6の右隣には、穀粒を貯留する穀粒貯留タンク8が設けられている。脱穀装置6及び穀粒貯留タンク8は、機体フレーム2に支持されている。穀粒貯留タンク8には、穀粒貯留タンク8内の穀粒を排出する穀粒排出装置9が接続されている。脱穀装置6の後部には、排藁を搬送する排藁搬送装置17が設けられている。脱穀装置6の後方には、排藁を切断する排藁切断装置18が設けられている。排藁切断装置18は、上下方向に沿って延びる揺動軸心Z1周りで排藁切断装置18の前部を開く開位置(非作業位置)と、排藁切断装置18の前部を閉じる閉位置(作業位置)とに亘って揺動可能に構成されている。
【0020】
〔脱穀装置〕
図3に示すように、脱穀装置6には、刈取穀稈を脱穀する脱穀部10と、脱穀部10の下方に設けられ、脱穀処理物を選別する選別部11と、が備えられている。脱穀部10には、機体前後方向に沿って延びる回転軸心Y1周りで回転可能な扱胴12と、扱胴12を収容する扱室13と、扱胴12の周囲に設けられる受網14と、脱穀処理物を拡散させながら切れ藁と穀粒とを分離する分離ドラム15と、塵埃を外部に排出する排塵ファン16と、が備えられている。
【0021】
選別部11には、穀粒を揺動選別する揺動選別装置21と、揺動選別装置21に選別風を送風する唐箕22と、揺動選別装置21の下方に設けられ、一番物の穀粒(単粒化穀粒等)を回収する一番回収部23と、揺動選別装置21の下方に設けられ、二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)を回収する二番回収部24と、が備えられている。一番回収部23には、一番物の穀粒を右方に搬送する一番スクリュ25が備えられている。一番回収部23の右端部には、一番スクリュ25からの一番物の穀粒を穀粒貯留タンク8に向けて揚穀する揚穀装置26が接続されている。二番回収部24には、二番物の穀粒を右方に搬送する二番スクリュ27が備えられている。二番回収部24の右端部には、二番スクリュ27からの二番物の穀粒を揺動選別装置21に還元する二番還元装置28が接続されている。
【0022】
〔排藁切断装置〕
図3に示すように、排藁切断装置18は、脱穀部10の後方に設けられている。排藁切断装置18には、カッタケース44と、カッタ45と、が備えられている。
【0023】
カッタケース44には、カッタ45が収容されている。カッタケース44の上面部には、排藁が投入される投入口44aが形成されている。カッタケース44には、切り替えカバー48が備えられている。
【0024】
切り替えカバー48は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで投入口44aを開く開位置P1と投入口44aを閉じる閉位置P2とに亘って揺動可能に構成されている。切り替えカバー48が開位置P1の状態では、排藁搬送装置17からの排藁が投入口44aに投入されてカッタ45によって切断されることになる。切り替えカバー48が閉位置P2の状態では、排藁搬送装置17からの排藁が切り替えカバー48の上面を滑って地面に落下することになる。
【0025】
カッタ45は、投入口44aに投入された排藁を切断するように構成されている。カッタ45には、切断部49と、供給部50と、が備えられている。
【0026】
切断部49には、切断軸51と、複数の切断刃52と、が備えられている。切断軸51は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X2周りで回転可能に構成されている。切断軸51には、脱穀装置6からの動力がベルト伝動機構(図示省略)によって伝達されるように構成されている。複数の切断刃52は、切断軸51に回転軸心X2方向に間隔をあけて設けられている。
【0027】
供給部50には、供給軸53と、複数の掻き込み刃54と、が備えられている。供給軸53は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X3周りで回転可能に構成されている。供給軸53には、切断軸51の動力がチェーン伝達機構(図示省略)によって伝達されるように構成されている。複数の掻き込み刃54は、供給軸53に回転軸心X3方向に間隔をあけて設けられている。
【0028】
〔切り替えカバー〕
図4及び図5に示すように、切り替えカバー48には、カバー本体55と、カバー本体55を支持するカバーフレーム56と、が備えられている。カバーフレーム56には、支軸57と、左右のアーム58と、が備えられている。
【0029】
支軸57は、機体左右方向に沿って延びる状態で設けられている。支軸57は、左右のステー59に揺動軸心X1周りで回転可能に支持されている。支軸57の右端部には、切り替えカバー48を揺動駆動するためのアクチュエータ(例えば、電動モータ。図示省略)が連係されるリンク60が設けられている。前記アクチュエータの駆動力がリンク60を介して支軸57に伝達されることにより、切り替えカバー48が揺動駆動されることになる。
【0030】
左側のアーム58は、支軸57と一体揺動可能なように、支軸57の左端部に連結されている。右側のアーム58は、支軸57と一体揺動可能なように、支軸57の右端部に連結されている。アーム58には、第一アーム部61と、第一アーム部61に対して横外側に位置する第二アーム部62と、が備えられている。第一アーム部61と第二アーム部62とは、一体に構成されている。第一アーム部61には、カバー本体55を揺動軸心X1周りでカバーフレーム56に近接する側に揺動付勢する板バネ63が設けられている。
【0031】
カバー本体55は、支軸57に揺動軸心X1周りで揺動可能に支持されている。カバー本体55の左端部は、左側のアーム58に支持されている。カバー本体55の右端部は、右側のアーム58に支持されている。カバー本体55のうち支軸57側の端部において、左側のアーム58と右側のアーム58との間の部分には、挿通部55aが形成されている。挿通部55aには、支軸57が揺動軸心X1周りで回転可能に挿通されている。すなわち、切り替えカバー48は、カバー本体55とカバーフレーム56とが揺動軸心X1周りで相対揺動可能に構成されている。カバー本体55は、左右の板バネ63によって、揺動軸心X1周りでカバーフレーム56(左右のアーム58)に近接する側に揺動付勢されている。
【0032】
図6から図9に示すように、カバー本体55とアーム58とに亘って、カバー本体55とアーム58とを連結するロック機構64が左右に設けられている。左側のロック機構64は、カバー本体55の左端部と左側の第一アーム部61とに亘って構成されている。右側のロック機構64は、カバー本体55の右端部と右側の第一アーム部61とに亘って構成されている。
【0033】
ロック機構64は、カバー本体55とアーム58とを連結する連結状態(図8参照)とカバー本体55とアーム58との連結を解除する連結解除状態(図9参照)とに切り替え可能に構成されている。ロック機構64には、ピン65と、ピン65に引っ掛け可能なフック66と、が備えられている。ピン65は、第一アーム部61の両横側部に亘って設けられている。ピン65は、頭付きピンによって構成されている。第一アーム部61の両横側部には、ピン65が差し込まれる長孔61aが夫々形成されている。長孔61aは、揺動軸心X1周りに長い長孔によって構成されている。
【0034】
フック66は、揺動軸心X1方向に沿って延びる揺動軸心X4(図10参照)周りで揺動可能なように、カバー本体55に支持されている。フック66を揺動操作して、フック66をピン65に引っ掛けると、ロック機構64が連結状態(図8参照)となる。ロック機構64が連結状態では、カバー本体55とカバーフレーム56とが揺動軸心X1周りで一体揺動可能であり、かつ、ピン65が長孔61aに沿って移動可能な範囲内で、カバー本体55がカバーフレーム56に対して揺動軸心X1周りで相対揺動可能である。
【0035】
フック66を揺動操作して、ピン65に対するフック66の引っ掛けを解除すると、ロック機構64が連結解除状態(図9参照)となる。ロック機構64が連結解除状態では、カバー本体55がカバーフレーム56に対して揺動軸心X1周りで相対揺動可能である。
【0036】
〔センサ〕
図6から図9に示すように、切り替えカバー48が開位置P1と閉位置P2との間に位置していないことを検出するセンサ67が設けられている。センサ67は、カバー本体55が揺動軸心X1周りで開位置P1よりも閉位置P2とは反対側(例えば、図4における離間位置P3)に位置していることを検出するように構成されている。すなわち、センサ67は、カバー本体55とカバーフレーム56とが揺動軸心X1周りで離間したことを検出するように構成されている。
【0037】
センサ67は、カバーフレーム56の横隣りに設けられている。具体的には、センサ67は、右側の第一アーム部61の右隣りに設けられている。すなわち、センサ67は、切り替えカバー48のうちリンク60が位置する側の端部(右端部)に設けられている。
【0038】
センサ67は、非接触式のセンサによって構成されている。本実施形態では、センサ67は、近接センサによって構成されている。センサ67には、磁石68と、磁石68を検出するセンサ本体69と、が備えられている。磁石68及びセンサ本体69は、揺動軸心X1方向に隣り合う状態で配置されている。
【0039】
磁石68は、カバー本体55に設けられている。磁石68は、センサ本体69に対して右側に配置されている。磁石68は、ステー70を介してカバー本体55に支持されている。
【0040】
磁石68のうちセンサ本体69に対向する面以外を覆う磁石カバー71が設けられている。磁石カバー71は、センサ本体69側に開口する部材によって構成されている。本実施形態では、磁石カバー71は、磁石68の四面を覆うように構成されている。具体的には、磁石カバー71は、磁石68のうちセンサ本体69に対向する面及びカバー本体55に対向する面以外を覆うように構成されている。磁石カバー71は、磁石68と共にステー70にボルト固定されている。
【0041】
センサ67のうち排藁切断装置18の内部側部分を覆うセンサカバー72が設けられている。センサカバー72は、右側の第一アーム部61の右側部に固定されている。センサカバー72は、右側及び支軸57側に開口する部材によって構成されている。センサカバー72には、カバー本体55に対して略平行な第一面部72aと、カバー本体55及び第一面部72aに対して略垂直な第二面部72bと、カバー本体55及び第一面部72aに対して略垂直な第三面部72cと、が備えられている。
【0042】
第三面部72cは、右側の第一アーム部61の右側面に沿う状態で右側の第一アーム部61の右側部に固定されている。第三面部72cには、ピン65が差し込まれる長孔72dが形成されている。長孔72dは、揺動軸心X1周りに長い長孔によって構成されている。
【0043】
センサ本体69は、カバーフレーム56に設けられている。センサ本体69は、センサカバー72を介して右側の第一アーム部61に支持されている。センサ本体69は、第一面部72aにボルト固定されている。
【0044】
このような構成によれば、図4及び図10に示すように、排藁切断装置18において、切り替えカバー48が開位置P1の状態で、排藁の切断を行っている最中に、排藁が排藁切断装置18に詰まると、カバー本体55が排藁の圧力を受けてカバーフレーム56から揺動軸心X1周りで離間位置P3に離間することになる。これに伴って、磁石68がセンサ本体69に対して揺動軸心X1周りで離間することになる。
【0045】
そうすると、センサ67によって切り替えカバー48が開位置P1と閉位置P2との間に位置していないことが検出されることになる。そして、センサ67によって切り替えカバー48が開位置P1と閉位置P2との間に位置していないことが検出されると、エンジンEが停止されることになる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)図11に示すように、排藁搬送装置17及び排藁切断装置18の後方に、排藁搬送装置17によって搬送された排藁を結束する結束装置19が設けられていてもよい。結束装置19は、排藁切断装置18に連結されている。
【0047】
図11及び図12に示すように、排藁切断装置18を閉位置に固定するためのロック機構73が設けられている。ロック機構73には、ピン74と、ピン74に係合可能な係合部材75と、ピン74に引っ掛け可能なフック76と、が備えられている。ピン74は、機体左右方向に沿って延びる状態で脱穀装置6の左側部に設けられている。係合部材75及びフック76は、排藁切断装置18の左側部に設けられている。係合部材75には、ピン74が係合する係合溝75aと、ピン74を係合溝75aに案内するガイド部75bと、ガイド部75bを上側に延長する延長ガイド部75cと、が備えられている。
【0048】
このような構成によれば、ピン74を係合溝75aに係合させた状態で、フック76をピン74に引っ掛けると、排藁切断装置18が閉位置に固定されることになる。ここで、仮に、排藁切断装置18が開位置の状態で、排藁切断装置18の自重及び結束装置19の重量によって、排藁切断装置18のうち揺動軸心Z1とは反対側の横側部(左側部)が垂れ下がったとしても、排藁切断装置18が揺動軸心Z1周りで閉位置側に揺動するのに伴って、延長ガイド部75cがピン74に接触することにより、ピン74を係合溝75aに容易に案内することができる。
【0049】
図13及び図14に示すように、排藁切断装置18の右側部には、カッタフレーム46が設けられている。排藁切断装置18は、揺動軸心Z1周りで揺動可能なように、カッタフレーム46を介して支柱77に支持されている。支柱77には、排藁切断装置18を支持する支軸78が上下に設けられている。
【0050】
カッタフレーム46には、上側の支軸78に取り付けられる上取り付け部79と、下側の支軸78に取り付けられる下取り付け部80と、が備えられている。上取り付け部79には、上側の支軸78が差し込まれる孔(図示省略)が形成されている。下取り付け部80には、下側の支軸78が差し込まれる孔(図示省略)が形成されている。
【0051】
図13及び図15に示すように、カッタフレーム46の下端部と下側の支軸78とに亘って、カッタフレーム46を下側から支持する支持部材81が設けられている。支持部材81には、カッタフレーム46の下端部(開口)に差し込まれる軸部82と、下側の支軸78に取り付けられる取り付け部83と、下取り付け部80を下側から受ける受け部84と、受け部84と軸部82とに亘って設けられるリブ85と、が備えられている。取り付け部83には、下側の支軸78の下端部が差し込まれる孔83aが形成されている。
【0052】
このような構成によれば、下取り付け部80が下側の支軸78に加えて支持部材81にも支持されることになる。これにより、下取り付け部80にかかる負荷を軽減することができる。
【0053】
図13及び図14に示すように、結束装置19の右側部には、結束フレーム86が設けられている。カッタフレーム46と結束フレーム86とを連結する連結部材87設けられている(図16参照)。連結部材87には、カッタフレーム46及び結束フレーム86を挟み込む一対の板材88と、両板材88をカッタフレーム46及び結束フレーム86を挟み込んだ状態で固定する一対のボルト89と、が備えられている。
【0054】
このような構成によれば、カッタフレーム46と結束フレーム86とが連結部材87によって連結されることになる。これにより、排藁切断装置18のうち揺動軸心Z1とは反対側の横側部(左側部)が垂れ下がらないように、カッタフレーム46と結束フレーム86とをしっかりと連結することができる。
【0055】
(2)上記実施形態では、センサ67は、近接センサによって構成されている。しかし、本発明に係る「センサ」は、近接センサに限定されるものではない。例えば、本発明に係る「センサ」は、超音波センサによって構成されていてもよいし、あるいは、レーザーセンサによって構成されていてもよい。
【0056】
(3)上記実施形態では、センサ67は、切り替えカバー48の右端部に設けられている。しかし、センサ67は、切り替えカバー48の左端部に設けられていてもよい。あるいは、センサ67は、切り替えカバー48の左右両端部に夫々設けられていてもよい。すなわち、センサ67は、複数設けられていてもよい。
【0057】
(4)上記実施形態では、センサカバー72が設けられている。しかし、センサカバー72が設けられていなくてもよい。
【0058】
(5)上記実施形態では、磁石カバー71は、磁石68のうちセンサ本体69に対向する面以外を覆うように構成されている。しかし、磁石カバー71は、磁石68のうちセンサ本体69に対向する面の一部又は全部を覆うように構成されていてもよい。
【0059】
(6)上記実施形態では、磁石カバー71が設けられている。しかし、磁石カバー71が設けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、自脱型コンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
6 脱穀装置
18 排藁切断装置
44a 投入口
45 カッタ
48 切り替えカバー
55 カバー本体
56 カバーフレーム
67 センサ
68 磁石
69 センサ本体
71 磁石カバー
72 センサカバー
P1 開位置
X1 揺動軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16