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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】接続可能なスーツケース
(51)【国際特許分類】
   A45C 5/03 20060101AFI20230623BHJP
   A45C 5/14 20060101ALN20230623BHJP
【FI】
A45C5/03
A45C5/14 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020528496
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 AU2018000127
(87)【国際公開番号】W WO2019023736
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】2017903057
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520038828
【氏名又は名称】アールティーエル グループ インヴェストメンツ プロプライアタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レデラー, ロバート
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/196238(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0308370(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0175129(US,A1)
【文献】特表平11-500050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0124786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 5/03
A45C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
他のスーツケースに接続可能なスーツケースであって、
スーツケースの前面に配置された第1の接続部であって、スーツケースの前面の外面に取り付け可能な支持プレートと、スーツケースの前面の内面に取り付け可能なロッキングプレートとロックプラグを含み、支持プレートとロッキングプレートは、両プレートの間のスーツケースの前面とともに接合可能であり、ロックプラグは支持プレートに接続されて、ロックプラグは支持プレート内に規定される開口内を引き込まれた位置と引き出された位置の間をスライド可能であり、引き込まれた位置ではロックプラグの端壁は支持プレートが取り付け可能なスーツケースの前面と同一平面内にあり、引き出された位置ではロックプラグの端壁はスーツケースの前面から外向きに延びる、第1の接続部と、
スーツケースの後面に配置され第2の接続部と、
第1の軸に沿って取り付けられ、互いに横方向に第1の距離だけ離れた前部の車輪ペアと、
第1の軸と平行な第2の軸に沿って取り付けられ、互いに横方向に第1の距離より大きな第2の距離だけ離れた後部の車輪のペアを備え、
前記第1の接続部は、ロックプラグによって他のスーツケースの後面に配置された他の第2の接続部に動作可能に接続され、後部のスーツケースの前部の車輪のペアは、前部のスーツケースの後部の車輪のペアの間に入る、スーツケース。
【請求項2】
第1の接続部はリング磁石を含み、第2の接続部は相補的なリング磁石を含み、前記リング磁石は他のスーツケースの後面に配置された第2の接続部の相補的なリング磁石に取り付けられる、請求項1に記載のスーツケース。
【請求項3】
更に、引き込まれた位置と引き出された位置の間を移動可能なハンドルを含み、該ハンドルはスーツケースに回転可能に接続されて、引き出された位置にてハンドルはスーツケースに対して所定角度まで回転可能である、請求項1又は2に記載のスーツケース。
【請求項4】
ハンドルはスーツケースから離れるように回転可能であり、移動中に前後の車輪ペアの両方が地面に係合することができる、請求項3に記載のスーツケース。
【請求項5】
ハンドルは、スーツケースにヒンジで回転可能に取り付けられた伸縮自在のアームのペアを含む,請求項3又は4に記載のスーツケース。
【請求項6】
第2の接続部は、他のスーツケースの前面に配置された第1の接続部の一部と係合するように付勢されたばねロック要素を含む,請求項1乃至5の何れかに記載のスーツケース。
【請求項7】
前記支持プレートは、補強リブを含む、請求項1に記載のスーツケース。
【請求項8】
前記第1の接続部は、第2のロックプラグを含み、該第2のロックプラグは支持プレートに連結されて、第2のロックプラグは支持プレートに規定される第2の開口部内をスライド可能であり、第1の接続部は第2のロックプラグによって他のスーツケースの後面に配置された他の第2の接続部に動作可能に接続可能であり、前記補強リブはロックプラグと第2のロックプラグの間に延びる、請求項7に記載のスーツケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続可能なスーツケース、特に他のスーツケースと接続可能なスーツケースに関する。
【背景技術】
【0002】
スーツケースなどの荷物は、通常、車輪のセット上でスーツケースを持ち上げたり、押したり引いたりするか、手荷物台車に複数のスーツケースを積み重ねて輸送する。しかし、荷物をどの方法で輸送する場合でも、荷物は個別のユニットとして扱われる。これにより、手荷物台車が利用できない環境で2つ以上のスーツケースを輸送することが難しくなる。空港のような環境で手荷物台車が利用できる場合、多くの場合、手荷物を片側に置いて台車を見つける必要がある。通常、手荷物台車はコインで作動し、輸送のために手荷物台車上の複数の手荷物を持ち上げてバランスをとるのは難しい場合がある。これを行うには、ある程度の肉体的な努力が必要になり、ユーザの背中に負担をかける可能性がある。従って、特に一人のユーザにとっては、手荷物台車を使用して複数の荷物を輸送するのは不便で、費用がかかり、潜在的に危険である。
【0003】
従来においては、複数の荷物のユーザは、ストラップやロープを使用して荷物を一緒に結合し、ユニットとしてより容易に持ち運びできるようにすることで、上記の問題の幾つかに対処している。しかし、この方法では、常にストラップや紐が緩んだり、荷物が上下し、段差の上を手荷物台車で運ぶと、バラバラになることを引き起こす。また、複数の荷物を結合するのにある程度の時間と労力が必要である。
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点の1つ以上を実質的に克服するか、少なくとも改善することである。
【発明の概要】
【0005】
本明細書には、容易な輸送のために他の同様のスーツケースに接続可能なスーツケースが開示されている。スーツケースには、ユーザが輸送中にスーツケースを転がすことができるように、前部の車輪セットと後部の車輪セットを含む。前部の車輪セットの各車輪は中央に向かって内向きに寄せられており(indented)、車輪は後部の車輪セットからオフセットした軸上にある。スーツケースは前面と、前面と間隔を空けて配置された後面を含む。2つの部分のコネクタの第1の接続部は、スーツケースの前面に配置され、2つの部分のコネクタの第2の接続部は、スーツケースの後面に配置される。両接続部は、磁気を帯びており、一緒にロックするように引き合う。
【0006】
上記のユニットの利点は、1つのユニットとして輸送用に、多数のスーツケースが素早く且つ容易に一緒にロックされることである。
【0007】
車輪のこの構成により、2つ以上のスーツケースが接続されている場合、後部のスーツケースの前輪を前部のスーツケースの後輪の間に入れることができる。これにより、スーツケースを地面に沿ってスムーズに動かすことができる。従って、スーツケースは持ち上げたり、台車を使用する必要なく、一緒に接続され輸送される。
【0008】
スーツケースには、上面と引込み可能なハンドル機構があるのが好ましい。引込み可能なハンドル機構は、一対の伸縮自在なアームと一対の伸縮自在なアームを接続する把持部を有するハンドルを含む。より好ましくは、スーツケースの横方向の寸法にまたがっている。好ましくは、伸縮可能なアームは、引込み可能なハンドルの回転のために、その基部に回転可能なヒンジを含む。好ましくは、引込み可能なハンドル機構は、スーツケースから離れるように傾けることができる。
【0009】
好ましくは、磁気コネクタの第1の接続部は2つの閉鎖モジュールを有するハウジングを備える。各閉鎖モジュールは、その基端部の端壁、ハウジングの内側に配置された少なくとも1つの磁石、その先端部にてハウジングに取り付けられた端部キャップ、及び端壁と端部キャップの間のハウジング上に配置された弾性を有する付勢手段を含む。磁気コネクタの第2の接続部は、2つの相補的な閉鎖モジュールを有するハウジングを含む。各閉鎖モジュールは、ハウジングの内側に配置された少なくとも1つの磁石を有し、それにより磁気コネクタの使用時には、弾性を有する付勢手段は、第1の接続部と第2の接続部が接続されていない場合、第2の接続部に対して第1の後退位置にある第1の部分のハウジング及び端壁を付勢するように構成され、第1の接続部と第2の接続部が接続されている際は、第2の接続部によって発せられる磁力の下で収縮して、第1の接続部のハウジング及び端壁を、第2の接続部と係合するために第2の接続部に対して第2の引き出された位置に移動させる。
【0010】
好ましくは、磁気コネクタの第1の接続部は、ユニットの前面に取り付けられて、前面プレートはユニットの前面にあり、端壁はその引き込まれた位置で前面と同じ高さにある。
【0011】
好ましくは、第1の接続部の端部キャップは、第2の接続部との係合部を含み、第2の接続部のハウジングは第1の接続部の第2の接続部との係合部に係合する第1の接続部との係合部を含む。
【0012】
好ましくは、第1の接続部の第2の接続部との係合部は雄要素であり、第1の接続部との係合部は雌要素である。
【0013】
好ましくは、磁気コネクタの第2の接続部は、ユニットの後面に設置されて、雌係合部がそこから突出する。
【0014】
好ましくは、第1の接続部の第2の接続部との係合部は端壁の周縁フランジを含む。
【0015】
好ましくは、第2の接続部の第1の接続部との係合部は、少なくとも1つの弾性部材を含む。特に好ましいのは、第1の接続部との係合部は、ハウジングの側壁の一部の周りに互いに離れて配置された複数の弾性部材であり、多数の弾性部材は、一緒になって約270度以下の角度を成す。
【0016】
好ましくは、端部キャップは端部キャップから延びるハウジング係合部材を含む。
【0017】
好ましくは、第1の接続部のハウジングは開口部を備えた側壁を有し、該開口部内に端部キャップのハウジング係合部材を受け入れる。
【0018】
好ましくは、ハウジング係合部材の先端部は、第1の接続部のハウジング内部の磁石に隣接するように配置されている。
【0019】
好ましくは、ハウジング係合部材の先端部は、カム面を備え、該カム面はラグを形成するように先端部から所定距離だけ離れてリベート(rebate)で終端する。より好ましくは、ラグは、ハウジングの側壁の開口部に係合可能である。
【0020】
好ましくは、第1の接続部はその中に中央開口部を有する面プレートを含み、面プレートは、端壁の周縁フランジに隣接してハウジングの側壁に適合するように配置されている。
【0021】
好ましくは、第2の接続部のハウジングは側壁を含み、磁石が側壁内に配置される。好ましくは、ハウジングはハウジングの上に配置された端部キャップをさらに含み、ハウジングの内側に磁石を保持する。
【0022】
好ましくは、弾性を有する付勢手段はつる巻きばねである。より好ましくは、つる巻きばねはばね鋼で作られている。
【0023】
好ましくは、第1の接続部のハウジング及び端部キャップ、及び第2の接続部のハウジング及び端部キャップはプラスチックで作られ、より好ましくはナイロンから作られる。
【0024】
第2の態様に従って、第1の態様に従った複数のユニットを備えるモジュラユニットシステムがここに提供される。
【0025】
好ましくは、複数のユニットは第1のユニットと第2のユニットを備え、第1のユニットの前面上の2つの部分のコネクタの第1の接続部の位置及び第2のユニットの後面上の2つの部分のコネクタの第2の接続部の位置は、ユニットが互いに隣接して置かれたときに、第1のユニットと第2のユニットの各々を通る軸上にある。好ましくは、第1のユニットの前面は互いに離れた2つの第1の接続部を含み、第2のユニットの後面は互いに離れた2つの第2の接続部を含み、対応して間隔を空けた第1の接続部と第2の接続部は、夫々第1軸と第2軸に沿って位置し、第1軸と第2軸は互いに横方向に間隔を空けてユニとが互いに隣接して置かれたときに、第1のユニットと第2のユニットの各々を通る。
【0026】
更に、モジュラユニットシステムの第1のユニットと第2のユニットを一緒にロックする方法がここに開示され、第1のユニットと第2のユニットの各々は前面と後面を有し、各前面はその中に開口部を有し、磁気コネクタの少なくとも1つの第1の接続部は開口部内に埋め込まれ、各後面はその中に開口部を有し、磁気コネクタの少なくとも1つの第2の接続部は開口部内に埋め込まれる。方法は、第1のユニットの前面が第2のユニットの後面に隣接し、1つの磁気コネクタの第1の接続部が磁気コネクタの第2の接続部に隣接するように第1のユニットを第2のユニットに隣接して置き、第1の接続部の弾性を有する付勢手段が第2の接続部の磁石の磁力の下で収縮し、それによって第1の接続部を第2の接続部に対して引き出された位置に置き、それによって第1の接続部の雄係合部を第2の接続部の雌係合部にロックさせ、それによって両ユニットを一緒にロックするステップを有している。
【0027】
更にモジュラユニットシステムの第1のユニットと第2のユニットを一緒に接続する磁気コネクタがここに開示され、該磁気コネクタはその基端部に端壁を有するハウジングと、該ハウジングの内側に配置された少なくとも1つの磁石と、ハウジングの先端部に取り付けられた端部キャップと、端壁と端部キャップの間にてハウジングに配置された弾性を有する付勢手段を含む第1の接続部を備える。磁気コネクタは更に、ハウジングと、該ハウジングの内側に配置された少なくとも1つの磁石とを含む第2の接続部を備え、それにより、弾性を有する付勢手段は使用時に、第1の接続部のハウジングと端部キャップを第2の接続部に対して引き込まれた位置に付勢し、第2の接続部から発せられる磁力の下で収縮し、第1の接続部のハウジングと端部キャップを第2の接続部に対して第2の引き出された位置に動かし、第2の接続部と係合させるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の好ましい実施形態が添付の図面を参照して、例のみを以て記載される。
図1】実施形態に従った3つのスーツケースの側面図であり、スーツケースは互いに分離されている。
図2図1の3つのスーツケースの側面図であり、スーツケースは一緒にロックされている。
図3図1の3つのスーツケースの前面図である。
図4】スーツケースの背面図である。
図5】スーツケースの底面図である。
図6】第1の接続部の分解正面図である。
図7】第1の接続部の分解背面図である。
図8】第2の接続部の分解正面図である。
図9】第2の接続部の分解背面図である。
図10】ハンドルが格納されたスーツケースの側面図である。
図11】ハンドルが引き出されたスーツケースの側面図である。
図12】ハンドルが引き出されたスーツケースの前面図である。
図13】第1の磁気アセンブリと第2の磁気アセンブリの係合工程を示す。
図14】第1の磁気アセンブリと第2の磁気アセンブリの係合が外れた状態の断面図である。
図15】第1の接続部と第2の接続部が係合した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に従って、図面は接続可能なスーツケース10A、10B、10Cの実施形態を示す。接続可能なスーツケース10A、10B、10Cは異なるサイズであり、或いは同じサイズである。スーツケースのサイズに拘わらず、各スーツケースの構成は本開示の目的から同じである。以下の記載は、参照の簡易さからスーツケース10Aに言及する。
【0030】
図1図2及び図3に最もよく見られるように、各スーツケース10A、10B、10Cは前後に接続される。図面は、最大から最小(10A、10B、10C)を示すが、スーツケース10A、10B、10Cは任意の順序で接続され得る。例えば、より大きなスーツケース10Aは中間の大きさのスーツケース10Bの前にあるか、または同じサイズの2つ(またはそれ以上)のスーツケースが一緒に接続されている。スーツケース10A、10B、10Cは、ハードシェルタイプのものであり、各スーツケースは、ベース11A、11B、11Cにスーツケース10A、10B、10Cを地面に転がす為の一組の車輪12A、12B、12Cを有する。図3図4及び図5に見られるように、各スーツケース10A、10B、1OCの前部の車輪13のペアは、後部の車輪15のペアよりも中央に近く配置されている。これにより、後部スーツケース10Aの前部の車輪13のペアは、前部スーツケース10Bの後部の車輪15のペアの間に入れられ、車輪12は、スーツケース10A、10Bが互いに接続されたときに抑制されず、スーツケース10A、10Bは容易に転がる。車輪12は、取り外し可能であり、蛍光黄色、緑色又はオレンジなどの審美的に好ましい色で利用可能であってもよい。
【0031】
各スーツケース10A、10B、10Cは、引込み位置(図10)と引き出された位置(図11)との間でスーツケースのユーザによって移動される引込み式ハンドル14、114を有し、ハンドル14、114は、スーツケース10A、10B、10Cが地面の上を転がることができるように、ユーザの後ろに引っ張られる。
【0032】
図1図2は、引込み可能なハンドル14がT形である第1の実施形態を示す。ハンドル14は第1の部分16と第2の部分17を含む。第2の部分17はスーツケース10A、10B、10Cの上部からほぼ垂直に伸長可能であり、第1の部分は、スーツケース10A、10B、10Cの後方に所定の角度で引き出される。
【0033】
引込み可能なハンドル114の更に好ましい実施形態が図3図4図11及び図12に示される。図3は、引き出されたハンドル114を示し、図4は、ハンドル114が引き込まれたスーツケース10Aの背面図を示す。図12に見られるように、ハンドル14は、大凡「U」字形であり、1対の伸縮自在のサイドアーム116と、スーツケース10Aの幅にわたる中央把持部115とを有する。各サイドアーム116は、各端部117で回転可能であり、スーツケース10A内に引き込むための略垂直位置と、両方の車輪13、15のペアが移動の容易さのために地面との接触を維持できる角度位置(図11)との間で回転可能であり、ユーザがスーツケース10Aを傾けて地面に沿って転がす必要はない。スーツケースが地面上で引っ張られると、前部の車輪13のペア及び後部の車輪15のペアは、両方が地面に残る。図10に示すように、ハンドル114が引き込まれた位置にあるとき、伸縮するアーム116は、中央把持部115がスーツケース10Aの上面111と同一平面上にあるように引っ込められる。図11及び図12に示すように、引き出された位置では、伸縮するアーム116は、直立位置に完全に引き出されている。伸縮するアーム116はそれぞれ、その基部に回転可能なヒンジ117を含む。回転可能なヒンジ117により、ハンドル114をスーツケース10Aから離れるように傾けることができ、ユーザはスーツケース10Aを傾けずに快適に引っ張ることができる。この実施形態の幅広のハンドル構成は、スーツケースに横方向の安定性を提供し、ハンドル機構に過度のストレスをかけることなく、複数の接続されたスーツケースをユニットとして一緒に輸送することを可能にする。
【0034】
図1に言及して、スーツケース10Aは、前面20Aと後面30Aを有する。前面20Aは第1の接続部40Aを有し、後面30Aは第2の接続部70Aを有する。図2に示すように、スーツケース10Aの第1の接続部40Aは、同様のスーツケース10の第2の接続部70Aと接続して、輸送用の単一ユニットを形成する。スーツケースの順番が重要でないように、第1の接続部40Aと第2の接続部70Aは、スーツケース10A上に位置する。例えば、大きなスーツケース10Aは、中間の大きさのスーツケース10Bの前に接続されて、又はこの逆もあり得る。
【0035】
図6及び図7は夫々、第1の接続部40Aの分解正面図及び背面図である。第1の接続部40Aは、スーツケース10Aの内面に取り付け可能なロッキングプレート102Aと、スーツケース10Aの外面に取り付け可能な支持(bracing)プレート100Aとを含む。ロッキングプレート102A及び支持プレート100Aは、ネジなどの留め具(図示せず)を介して互いに接合され、スーツケース10Aの前面20Aをその間に挟み、下記の接続要素を収容する。
【0036】
第1の接続部40Aは、管状ハウジング41Aであるロックプラグ104Aを含み、ハウジング41Aの直径よりわずかに大きい直径を有する端壁42Aを先端部に有して、フランジ43Aを形成する。リング磁石60A及び圧縮ばね117Aが、保持器50Aを使用して配置される。保持器50Aは、リム112Aによって囲まれた円形ベース110Aと、ベース110Aから延びる円錐形アーム114Aとを含む。リブ116Aは、アーム114Aに沿ってベース110Aから延び、アーム114Aの上面で終端する。アーム114Aは、ねじ穴118Aを含む。保持器50Aは、リム112Aの内側にばね117Aを配置し、ばね47Aの横方向の動きを防止する。保持器50Aはまた、磁石60Aの位置を保持する。アーム116Aの上面に配置された円形リム117Aは、リング磁石60Aの内径よりわずかに小さい直径を有し、該内径内に隣接して磁石60Aを所定箇所にしっかりと位置決めする。
【0037】
第1の接続部40Aを組み立てるべく、管状ハウジング41Aは、支持プレート100Aの開口部106Aを通して供給され、ばね117A及び磁石60Aは、管状ハウジング41A内にて組み立てられる。保持器50Aのアーム114Aは、ばね47Aを通して挿入され、磁石60Aを位置決めして、カバー104Aの端壁42Aに当接するように使用される。セルフタッピングねじ108Aは、保持器50Aを管状ハウジング41Aに固定する。支持プレート100Aは、各磁気アセンブリ122Aの間に延在する補強リブ120Aを含み、該補強リブは支持プレート100Aが荷重を支持し、これにより各磁気アセンブリ122Aから負荷を取り除くことを可能にする。支持プレート100A及びロッキングプレート102Aにより、組み立てが容易になり、閉じ動作中の正しい整列が保証される。
【0038】
圧縮ばね47Aは待機位置に付勢されており、この待機位置ではロックプラグ104Aが引き込まれた位置にあり、管状ハウジング41Aの基端部17及び端部キャップ48Aがスーツケース10Aの前面20A内に突出し、端壁42Aは、前面20Aと同一平面上にある。リング磁石60Aに加えられる十分に強い磁力の影響下で、リング磁石60Aは、端壁42Aが先端方向に引き出された位置に位置し、圧縮ばね47Aのばね力に打ち勝ち、ばね47Aを収縮させる。
【0039】
図8及び図9は、夫々第2の接続部70Aの正面図及び背面図を示す。第2の接続部70Aは、支持プレート71Aと面プレート130Aとを含む。支持プレート71Aと面プレート130Aとは協働して、第1の接続部40Aと同様の方法で、スーツケース10Aの後面を挟む。支持プレート71Aと面プレート130Aは磁気アセンブリ119Aのペアを収容する。面プレート130Aは、窪んだ中央凹部72Aと2つの側凹部144Aとを有する。各側凹部144Aは、第1の接続部70Aの各カバー104Aを受け入れるように構成される。各側凹部144Aは、底部湾曲部分148Aを備えてカバー104Aを受け入れるための略長方形である。斜面部150Aは、別のスーツケース10に接続するときに滑らかな動きを促進する。
【0040】
支持プレート71Aは、スーツケース10Aの後面30Aの内側に設置されるように構成され、面プレート130Aは後面30Aの外側に設置されるように構成されて、組み立てられた2つのプレート71A、130Aがスーツケース10Aの後面30Aを挟む。ばねロック要素134Aが、面プレート130Aの各凹部144A内に取り付けられている。ばねロック要素134Aは、互いにスナップ嵌めされる第1のアーム138A及び第2のアーム140Aを含む。ねじりばね142Aは、組み立てられたアーム138A、140Aの内側に位置し、アーム138A、140Aを一緒に付勢する。ばねロック要素134Aは、開くように撓んで、第1の接続部40Aの管状ハウジング41Aを受け入れ、ねじりばね142Aは、アーム138A、140Aを閉じて管状ハウジング41Aを適所にロックする。ばねロック要素134Aは、積極的なロックのフィードバックを提供し、接続するのに最小限の労力しか必要としない。図8に最もよく見られるように、ねじ146Aは、後部ハウジング141A及びリング磁石119Aを面プレート130Aに取り付けるために使用される。固定穴73A及び留め具(図示せず)が、面プレート130Aを支持プレート71Aに取り付けるために使用される。
【0041】
ここで図13図14及び図15を参照すると、図1のスーツケース10A及び10Bは、以下のように磁気コネクタによって接続されている。
【0042】
図12に見られるように、第1の接続部40Aは、スーツケース10Aの前面20Aに設置されている。図4に見られるように、第2の接続部70Bは、スーツケース10Bの後面20Bに設置されている。
【0043】
輸送のために2つのスーツケース10A、10Bが一緒に接続されるとき、スーツケース10Aの前面20Aは、スーツケース10Bの後面70Bに近接する。コネクタの第1の接続部40Aとコネクタの第2の接続部70Bは、スーツケース10A、10Bのベース11A、11Bの上にて同じ高さに設置されて、図13(1)及び図14(1)に略示すように、スーツケース10A、10Bが隣り合って配置されると、それらは互いに整列する。
【0044】
磁石60A及び136Aは、互いに近接して互いに引き合うように反対の磁極である。
【0045】
図13は、分離された磁気コネクタの第1の磁気アセンブリ122A及び第2の磁気アセンブリ119Aを示している。第1の磁気アセンブリ122Aは、ロックプラグ(アンダーカット)104Aを備えたばね駆動式引き込みプラグまたはカバー及び1つの磁石60A及び磁石保持器50Aを含む。第2の磁気アセンブリ119Aは、ばねロック要素134A、磁石136A、及び磁石保持器132Aを含む。図14は、第1の磁気アセンブリ122A及び第2の磁気アセンブリ119Aを示す。両接続部40A、70Aは、磁気吸引力によって位置付けられ、機械的締結具によって固定される。接続部40A、70Aを近接して配置することにより、接続部40Aからロックプラグ104Aが第2の接続部70Aに向かって前進する。第2の接続部70Aからのばねロック要素134Aは撓んで、第1の接続部40Aからのロックプラグ104Aが通過してロック位置に入ることを可能にする。ロックプラグ104Aがロック位置に入ると、ねじりばね142Aにより、ばねロック要素134Aが屈曲して開き、次に閉じることが可能になる。これにより、良いフィードバックが得られ、スーツケース10を接続する手間が減る。
【0046】
スーツケース10Aをスーツケース10Bから外すには、スーツケース10Aは、磁石122A、119Aを外すために僅かに垂直に持ち上げられる。斜面部150Aは、スムーズなロック解除動作を提供する。
【0047】
荷物用台車が不要になるように、幾つかのスーツケースをこの方法で一緒にロックして、一緒に輸送することは明らかである。
【0048】
磁気コネクタは、ソフトシェルスーツケース、ゴルフバッグ、またはその他のスポーツ用品バッグや保管ユニットなど、他のユニットをロックするために使用され得る。
【0049】
他のタイプの磁石が適切として用いられる。
【0050】
スーツケースの他の実施形態では、コネクタは素早い解除コネクタ又はラッチ機構である。
【0051】
本発明は特定の例を参照して記載されてきたが、本発明は他の多くの形式で実現されることは当業者によって理解される。


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図15