(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】多孔質脊椎固定インプラント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20230623BHJP
A61B 17/70 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B17/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021183036
(22)【出願日】2021-11-10
(62)【分割の表示】P 2018531394の分割
【原出願日】2016-12-16
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】アンガー,ジェシー
(72)【発明者】
【氏名】マリク,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ドナホー,ライアン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0150299(US,A1)
【文献】国際公開第2014/143719(WO,A1)
【文献】特表2004-537370(JP,A)
【文献】登録実用新案第3184817(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0222098(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071635(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0276492(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0043398(US,A1)
【文献】独国特許発明第102013005398(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2006/0276925(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均孔径を有する複数の不規則な形状の孔を含み、前記孔は複数のストラットによって形成される、上部骨接触面と、
平均孔径を有する複数の不規則な形状の孔を含み、前記孔は複数のストラットによって形成される、下部骨接触面と、
平均孔径を有する複数の不規則な形状の孔を含み、前記孔は複数のストラットによって形成されている、中心体と、を含み、
前記上部及び下部骨接触面の前記平均孔径は、前記中心体の前記平均孔径と異なり、前記上部骨接触面、前記下部骨接触面、及び前記中心体の各々は、弾性率を有し、前記中心体の弾性率は、前記上部及び下部骨接触面の弾性率と異なり、前記上部及び下部骨接触面の弾性率は、外周から内部中心点に向かって減少する、
外科用インプラント。
【請求項2】
前記上部及び下部骨接触面の前記平均孔径は、前記中心体の前記平均孔径よりも小さい、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項3】
前記上部骨接触面及び前記下部骨接触面の前記平均孔径は、100マイクロメートル~1,500マイクロメートルの間である、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項4】
前記上部及び下部骨接触面の前記平均孔径は、約500マイクロメートルである、請求項3に記載の外科用インプラント。
【請求項5】
弾性係数の変化が前記外周から前記内部中心点に向かって段階的である、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項6】
固定穴を更に含む、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項7】
インプラントフレームを更に含む、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項8】
1つ又はそれよりも多くの放射線不透過性マーカを更に含む、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項9】
当該外科用インプラントの前記下部骨接触面に対する当該外科用インプラントの前記上部骨接触面の角度が0度~40度である、請求項1に記載の外科用インプラント。
【請求項10】
上部骨接触面と、
下部骨接触面と、
前記上部骨接触面と前記下部骨接触面との間に位置する中心体と、を含み、
前記上部骨接触面及び前記下部骨接触面は、外周から内部中心点に向かって減少する弾性率を有し、前記上部骨接触面は、第1の平均孔径を有する第1の複数の不規則な形状の孔を含み、該第1の複数の不規則な形状の孔は、複数のストラットによって形成され、前記下部骨接触面は、第2の平均孔径を有する第2の複数の不規則な形状の孔を含み、該第2の複数の不規則な形状の孔は、複数のストラットによって形成され、前記中心体は、第3の平均孔径を有する第3の複数の不規則な形状の孔を含み、該第3の複数の不規則な形状の孔は、複数のストラットによって形成され、前記上部及び下部骨接触面の前記平均孔径は、前記中心体の前記平均孔径と異なる、
外科用インプラント。
【請求項11】
前記第1及び第2の平均孔径は、前記第3の平均孔径よりも小さい、請求項10に記載の外科用インプラント。
【請求項12】
前記上部及び下部骨接触面の前記第1及び第2の平均孔径は、100マイクロメートル~1,500マイクロメートルの間である、請求項10に記載の外科用インプラント。
【請求項13】
前記第1及び第2の平均孔径は、約500マイクロメートルである、請求項12に記載の外科用インプラント。
【請求項14】
固定穴を更に含む、請求項10に記載の外科用インプラント。
【請求項15】
インプラントフレームを更に含む、請求項10に記載の外科用インプラント。
【請求項16】
1つ又はそれよりも多くの放射線不透過性マーカを更に含む、請求項10に記載の外科用インプラント。
【請求項17】
当該外科用インプラントの前記下部骨接触面に対する当該外科用インプラントの前記上部骨接触面の角度が0度~40度である、請求項10に記載の外科用インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して脊椎インプラントに関する。
[関連出願の相互参照]
本出願は、(i)2015年12月16日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/268,430号;(ii)2016年6月23日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/354,077及び(iii)2016年8月26日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/379,988号に対する優先権及びその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背中の問題は、全ての民族の人々の中で最も一般的で衰弱させる出来事の一つである。米国内だけでも、毎年500,000件を超える脊椎腰部及び頸部の固定処置が行われる。背中の痛み及び障害の原因の一つは、背骨内の一つ又はそれ以上の椎間板の破裂又は変性に起因する。外科的処置は、外傷、疾患又は加齢により、転位、損傷又は変性させられた椎間板の問題を矯正するために一般的に行われる。概して、脊椎固定処置は、罹患した又は損傷した椎間板の全部を除去し、一つ又はそれ以上の椎間板インプラントを結果として生じる椎間板空間の中に挿入することを伴う。傷害を負うか又は劣化した脊椎骨の人工的なインプラントによる置換は、脊椎に固有の応力の機構並びに装置に応答する身体の生物学的特性の知識のバランスを要求する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、一つの態様において、外科用インプラントであって、ある平均孔径をもつ複数の不規則な形状の孔を有し、孔は複数のストラットによって形成されている、上部骨接触面、ある平均孔径をもつ複数の不規則な形状の孔を有し、孔は複数のストラットによって形成されている、下部骨接触面;及び、ある平均孔径をもつ複数の不規則な形状の孔を有し、孔は複数のストラットによって形成されている、中心体、を有し、上部骨接触面及び下部骨接触面上の平均孔径は、中心体上の平均孔径と異なっている、外科用インプラントを提供する。
【0004】
他の態様において、本開示は、外科用インプラントであって、上部骨接触面;下部骨接触面;及び、上部骨接触面と下部骨接触面との間に配置されている、中心体、を有し、上部骨接触面及び下部骨接触面は、外周から内部中心点に向かって減少する弾性係数をもつ、外科用インプラントを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示の多くの利点は、添付の図面と合わせてこの明細書を読むことにより、当業者にとって明らかになるであろう。
【0006】
【
図1A】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの様々な図を示す。
【
図1B】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの様々な図を示す。
【
図1C】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの様々な図を示す。
【
図1D】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの様々な図を示す。
【0007】
【
図2A】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの設計の格子透視図を示す。
【
図2B】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの設計の格子透視図を示す。
【
図2C】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの設計の格子透視図を示す。
【0008】
【
図3】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラントの微多孔質エンドプレート内の密度変化を示す。
【0009】
【
図4A】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラント内の非均一で変化するストラット形状を示す。
【
図4B】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラント内の非均一で変化するストラット形状を示す。
【
図4C】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラント内の非均一で変化するストラット形状を示す。
【
図4D】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラント内の非均一で変化するストラット形状を示す。
【
図4E】本開示の一つの例示的な実施形態による、インプラント内の非均一で変化するストラット形状を示す。
【0010】
【
図5】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図6】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図7】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図8】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図9】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図10】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図11】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【
図12】本開示の一つの例示的な実施形態による、側方インプラントの様々な透視図を示す。
【0011】
【0012】
【0013】
【
図15】本開示の側方インプラントの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図16】本開示の側方インプラントの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図17】本開示の側方インプラントの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図18】本開示の側方インプラントの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図19】本開示の側方インプラントの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【0014】
【
図20】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【
図21】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【
図22】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【
図23】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【
図24】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【
図25】本開示の前方インプラントの一つの例示的な実施形態を示す。
【0015】
【
図26】本開示のインプラントのエンドプレートの一つの代替的、例示的な実施形態を示す。
【0016】
【
図27】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【0017】
【
図28】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図29】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【0018】
【
図30】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図31】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【0019】
【
図32】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【
図33】本開示のインプラントの他の代替的、例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての用語(専門用語及び科学用語を含む)は、本開示の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般に使用される辞書において定義されるような用語は、本明細書の本文脈における意味と整合する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが理解されよう。簡潔さ又は明瞭さのために、周知の機能又は構造は、詳細には説明されないことがある。
【0021】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけにあり、限定することを意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が複数形でないことを明確に示す場合を除き、複数形も含むことが意図されている。
【0022】
本明細書においては、「下(under)」、「より下(below)」、「下部(lower)」、「上方(over)」、「上部(upper)」などのような空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、装置が正しい上下関係にある(right side up)場合の、一つの要素又は特徴の他との関係を説明するように使用されることがある。
【0023】
「約」及び「おおよそ」という用語は、概して、測定の性質又は精度を所与として測定された量に対する誤差又は変動の許容可能な程度を意味するものとする。誤差又は変動の典型的な程度の例は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。本明細書において与えられる数量は、別途記載されない限りおおよそのものであり、「約」又は「おおよそ」という用語が、明示されていない場合に推測され得ることを意味する。
【0024】
本発明の例示的な実施形態が以下で説明される。明瞭さのために、実際の実施形態の全ての特徴が、本明細書において説明されるわけではない。そのような実際の実施形態の開発において、開発者の具体的な目標を達成するために、システム関連制約及びビジネス関連制約に対する準拠等、実装に応じて変わるであろう、多数の実装特有の決定を行わなければならないことが当然ながら理解されよう。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかるかもしれないが、それでも、本開示の恩恵を受ける当業者にとって日常的な仕事であろうことが理解されよう。本出願において開示される患者配置システム及び関連する方法は、個々と組合せとの両方において、特許保護を保証する種々の新規な特徴及び構成要素を有する。
【0025】
本対象事項(発明)は、様々な変更及び代替形態の影響を受けやすいが、その特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、特定の実施形態に関する本明細書における説明は、本対象事項を開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、むしろ、本対象事項は、本明細書等において定義される本対象事項の範囲及び精神に含まれる全ての変更、均等物、及び代替物を包含することが、理解されるべきである。例えば、本明細書において説明される特定の実施例の特徴のいずれも、本主題の範囲から逸脱することなく、本明細書において説明される如何なる他の実施例とも共に使用され得る。
【0026】
本開示は、上部エンドプレート101、下部エンドプレート102、固定穴(fusion aperture)103、工具受容穴のような一つ又はそれ以上の係合機構105を含む、器具係合機構(instrument engagement feature)104を有する脊椎固定インプラント装置100に向けられている。一つの例示的な実施形態によれば、器具係合機構104は、定着(fixation)プレート、定着タブ又は骨ネジのような定着要素の少なくとも一部分を受容するように構成された部分を含む。さらに、上部エンドプレート101及び下部エンドプレート102は、微多孔質(microporous)エンドプレート構造110を有する。また、上部エンドプレート101と下部エンドプレート102との間に配置された、装置100の内部部分(又は中心体130)は、マクロ多孔質(macroporous)格子構造体120を有する。インプラント100は、任意の生体適合性材料で構築されてもよい。インプラント100は、単一の生体適合性材料で構築されてもよく、或いは、それはいくつかの生体適合性材料で構築されてもよい(例えば、器具係合機構104は、上部及び下部微多孔質エンドプレート101,102と異なる材料であってもよい;マクロ多孔質体構造120は、上部及び下部エンドプレート101,102と異なる材料であってもよい;等)。
【0027】
一つの実施形態によれば、インプラント100は、チタニウム合金で構築され、マクロ多孔質体格子構造120を持ち、骨成長を誘導することを助け、それが間の空間(interspace)内のより迅速な初期安定性に転じる。マクロ多孔質体格子構造120は、固有の可撓性(inherent flex)をもつように設計され、それは、応力遮蔽(stress-shielding)、及びそれが移植される患者の椎体(vertebral body)の中へのインプラント100の陥没を低減することを助ける。
【0028】
他の実施形態によれば、脊椎固定インプラント100は、インプラントの骨接触面を形成する、可撓性構造で形成された微多孔質エンドプレート(又は終板)構造110を更に有する。可撓性構造は、インプラントが高度に変動しやすいヒト椎骨エンドプレート形態により良く順応する(conform)ことを可能にする。この順応の能力は、インプラントの表面全体にわたるより良好な荷重分布を介して、インプラント100の安定性、及び脊椎骨の中へのインプラントの陥没を低減する能力を更に増す。自己調節式の可撓性構造は、インプラントの骨接触面が患者毎に異なる椎体エンドプレートの形態にカスタムフィットすることを可能にする。可撓性構造は、図示されていない追加的な方法、例えば、可撓性トラス、バネから伸びるか或いはくさびを介して展開される、きつく詰め込まれたカラム、又は金属製の椎間体(interbody)よりも可撓性をもつ医療用のエラストマーで構築され得ることが、企図されている。目標は、各々の場合において同じ‐インプラント100と椎体エンドプレート面との間の最適化された適合(フィット)を達成すること、である。
【0029】
本明細書において説明される脊椎固定インプラント100は、向上した荷重分布並びに独特のエンドプレート整合(matching)及び順応面を含む、従来のシステムを超える、多くの改善点を有する。
図1‐
図4Eにおいて前方椎間体装置(anterior interbody device)として示されるが、直接側方、前側方、前方、後方及び後側方アプローチを含む、背骨の頸部領域、胸部領域又は腰部領域への全ての外科的アプローチに適応させる(accommodate)ために、インプラント100の大きさ及び形状の変化が企図されている(例えば、
図28‐
図33を参照されたい)。図示された特徴を備える棘突間(interspinous)インプラント100も可能である。
【0030】
図1‐
図4Eは、インプラント100が、例えばチタニウム合金のような適切な生体適合性材料から構築され、マクロ多孔質体格子構造120を持ち、骨成長を誘導することを助け、それが椎間板間の空間(disc interspace)内のより迅速な初期安定性に転じる、一つの実施形態を示す。マクロ多孔質体格子構造120は、ある程度の固有の可撓性をもつように設計され、それは、応力遮蔽及び陥没を低減することを助ける。上部エンドプレート101は、椎体エンドプレートの形態を補完するように輪郭を描かれている。図示されていないが、下部エンドプレート102が輪郭を描かれるのではなく平面的である別の実施形態が企図されている。
【0031】
図1‐
図33に示されるような特定の例示的な実施形態において、本開示は、微多孔質エンドプレート構造110及びマクロ多孔質体格子構造120のようなマルチスケール格子機構を含む脊椎固定インプラント100であり、それは、インプラント100の機械的特性及び放射線透過性、並びにインプラント100への生物学的応答を向上させる。以下の全体的な説明は、
図1‐
図32に示される実施形態の全てに当てはまる。
【0032】
図1Aに示されるように、インプラント100は、微多孔質エンドプレート構造110を有する上部及び下部の骨接触面101,102(又はエンドプレート)、上部及び下部の骨接触面101,102の間のマクロ多孔質体格子構造120を有する中心体(central body)部分130、並びに、工具係合機構105を含むインプラントの後端部(trailing end)の器具係合機構104で構成される、マルチスケール構造設計を具現化する。微多孔質エンドプレート構造110及びマクロ多孔質体格子構造120の両方は、様々な太さ(thickness)の、不規則且つ不均一な形状、大きさのストラット140のネットワークを含む。ストラット140のこのネットワークは、不規則且つ不均一な形状及び大きさの非多角形の孔150のシステムを規定する。例えば、
図3に示されるように、ストラット及び対応する孔のネットワークのスケールは、微多孔質エンドプレート構造110において、マクロ多孔質体格子構造120よりも小さい。インプラントの例示的な実施形態は固定穴103を含むが、図示されたものに対する代替的な実施形態では、固定穴103を含まない(すなわち、マクロ多孔質体格子が微多孔質エンドプレートの間のインプラントの全部分を包含する)ことが企図されている。さらに、以下の説明は、例えば、直接側方、前側方、前方又は後方の、椎間板空間への任意の既知の外科的アプローチを介して背骨の中に移植されるように形成された、脊椎固定インプラント装置にでも当てはまり得ることが企図されている。
【0033】
全体的な設計の概念は、
図1Aに示されるような、上部及び下部の骨接触面101,102の中への微多孔質エンドプレート110の組み込みを伴い、これは、インプラント100全体にわたって連続的な多孔性を可能にする、すなわち、微多孔質エンドプレートによって形成される孔は、本体格子(body lattice)120の中心体部分130によって形成される孔と流体連通/接触している。これは、骨が、インプラント100の微細構造110及びマクロ構造120の両方の中に、途切れなく(連続的に)統合することを可能にする。本体格子120は、人が、患者固有の荷重条件に基づいてインプラント100を調整(tailor)及び最適化することを可能にする。さらに、設計パラメータは、骨に類似した特性を示し、骨結合(osseointegration)を促進するように変更されてもよい。同様に、微多孔質エンドプレート110の機能は、移植にすぐ後に続いて構築物の中への骨の成長を助長することである。一つの例示的な実施形態によれば、インプラント100の生産は、3D印刷を含むがこれに限定されない追加的な製造技術を使用して達成される。一つの代替的な実施形態によれば、インプラントは、追加的な製造と減法的(subtractive)な製造との組み合わせを使用して製造される。
【0034】
マルチスケール格子インプラント100の構成部品は:構造的、機械的、及び生物学的な特徴を含む。インプラントは、任意の適切な生体適合性金属、高分子、及び/又はセラミックの材料で構成されてもよい。インプラント100は、単一の生体適合性材料で構築されてもよく、或いは、それはいくつかの生体適合性材料で構築されてもよい(すなわち、器具係合機構104は、上部及び下部微多孔質エンドプレート101,102と異なる材料であってもよい)。一つの実施形態によれば、インプラント100は、チタニウム合金で構築されてもよい。
【0035】
図2A‐
図2Cは、マクロ多孔質体格子120は、圧縮、剪断及び捩り111を含む、インプラントに付与される荷重条件に基づいて構造を調整する最適化アルゴリズムを含む、ソフトウェアの使用を通じて設計されてもよいことを示す(
図2B内の矢印を参照されたい)。同様に、微細及び/又は本体格子構造110,120は、孔の大きさ、ストラットの太さ及び/又は表面粗さに関して機能的に勾配を付けられてもよい。微多孔質エンドプレート110は、上位から下位へ(superior-to-inferior)の方向、中間から側方へ(medial-to-lateral)の方向、上位から下位へ及び中央から側方への組み合わせで、機能的に勾配を付けられてもよい。一つの実施形態によれば、上部及び下部の骨接触面101,102の多孔性は、微細格子からマクロ格子への移行が連続的であることを可能にするように、機能的に勾配を付けられ(graded)てもよい。代替的に、微多孔質エンドプレートからマクロ多孔質体格子への移行は、明確(distinct)であってもよい。さらに、微多孔質エンドプレートの剛性のグラデーションは、骨と接触する領域が、個々の患者の独特の椎骨エンドプレート形態により良く順応するように歪み(deflect)、変形することを可能にするであろう。これは、荷重を分散すること及び陥没の可能性を低減することの二重の利益を可能にする。
【0036】
図26に示される例示的な実施形態によれば、微多孔質エンドプレート構造110は、上部及び下部の骨接触面101,102の周囲から、上部及び下部の骨接触面101,102の中心に向かって多孔性(porosity)が減少する。
図27に示される例示的な実施形態によれば、マクロ多孔質格子体構造120の孔密度は、インプラント100の周囲に沿って増加させられており、インプラント100の中心に向かって減少する。
図26‐
図27に示される実施形態の両方において、多孔性の変化は、漸進的であってもよく、又は代替的に変化は段階的であってもよい。
【0037】
一つの実施形態において、微多孔質エンドプレート構造110は、骨成長を促進し、応力遮蔽を低減するために、ヒト骨と同じ範囲(すなわち、0.2GPAと30GPaとの間)よりも小さいか又は等しい弾性係数(elastic modulus)を示すように調整される。一つの代替的、例示的な実施形態によれば、インプラント100全体のバルク弾性係数は、ヒト骨と同じ範囲(0.2GPa-30GPa)よりも小さいか又は等しい。他の例示的な実施形態によれば、上部及び下部の骨接触面101,102が、特定の患者自身の骨と一致するか、又は同じ範囲内にある弾性係数をもつように調整される。更に他の例示的な実施形態によれば、インプラント全体が、特定の患者自身の骨と一致するか、又は同じ範囲内にある弾性係数をもつように調整される。追加的な製造技術を使用してインプラント100が生産される例示的な実施形態によれば、インプラント設計ソフトウェアは、低密度で、材料効率のよいインプラントを生産するために、インプラント100に適用され得る最適化アルゴリズムを含む。これは、
図2にみられるように、設計プログラムにおいて複数の、臨床的に関連する荷重条件をインプラント100に適用すること、及び、有限要素ソルバーがインプラント100の本体格子構造を最適化及び精緻化することを可能にすることによって、達成される。材料を除去するために最適化されたインプラント100は、インプラント100の放射線透過性を増加させ、人がインプラント100の中へ成長中の骨をより良く視覚化することを可能にすることによって、外科医に臨床的利益をもたらし得る。
【0038】
一つの代替的な実施形態において、上部及び下部の骨接触面101,102は、異なる弾性係数の領域を有してもよい。例えば、挿入後に隣接する椎体の皮質領域と接触する上部及び下部の骨接触面101,102の外側領域は、第1の弾性係数をもっていてもよく、一方、挿入後に隣接する椎体の海綿質領域と接触する上部及び下部の骨接触面101,102の内側領域第2の弾性係数を有する。一つの実施形態において、第1の弾性係数は約6GPaであり、一方で第2の弾性係数は約3GPaである。
【0039】
上部及び下部のエンドプレート101及び102は、移植部位で骨成長を促進し、骨形成応答を誘発するような、孔150の大きさ、孔150の体積、ストラット140の太さ及び表面粗さの設計を有する微多孔質エンドプレート構造110で形成される。一つの例示的な実施形態によれば、微多孔質エンドプレート110内の孔150は、直径が100μmから1500μmの範囲にあり、ストラット140の厚みは、100μmから500μmの範囲にある。いくつかの実施形態において、微多孔質エンドプレート110内の孔140は、300μmから1200μmの範囲にあり、ストラット140の厚みは、150μmから300μmの範囲にある。一つの例示的な実施形態において、平均孔150直径は500μmであり、平均ストラット140太さは200μmである。一つの代替的な実施形態によれば、平均孔150直径は800μmであり、平均ストラット140太さは200μmである。他の例示的な実施形態によれば、上部及び下部の接触面101,102を形成する微多孔質エンドプレート構造110は、周囲における500μmの平均孔150直径、並びに、上部及び下部の接触面101,102の中心に向かって、800μmの平均孔150直径への移行部(transitions)をもっている。移行は、漸進的であってもよく又は離散的であってもよい。これらの例示的な実施形態によれば、微多孔質エンドプレート101,102は、エンドプレート表面から最大で300μmまで伸びる突起を含むマクロ表面粗さと、0.45μmから7μmまでの範囲の深さの表面組織(surface texture)を含むナノ/マイクロ表面粗さとを有する。
【0040】
上述されたように、微多孔質エンドプレート構造110からマクロ多孔質構造120への移行は、離散的であってもよく(すなわち、構造間に重なりがない)、勾配(グラジエント)であってもよく(すなわち、微多孔質構造110の平均孔150大きさは、マクロ多孔質格子構造120にみられる平均孔150大きさまで漸進的に(徐々に)増大する)又は構造間にいくらかの重なりが存在してもよい(すなわち、マクロ多孔質格子構造120は、微多孔質エンドプレート構造110の中に延在してもよい)。
【0041】
一つの実施形態において、移行は、マクロ多孔質格子構造120が微多孔質エンドプレート構造110の中に、ある特定の深さdまで延在する、重なりである。重なりの深さdは、特定のインプラントの必要な設計要求に応じて変化させられてもよい。
いくつかの実施形態において、構造間の重なりは、深さdが微多孔質エンドプレート構造110の厚さの5から95パーセントの間であることを意味する。例えば、微多孔質エンドプレート構造110が約1000μmの厚さをもつ場合、深さdは5μmから950μmの間の範囲であり得る。一つの実施形態において、深さdは、微多孔質構造110の厚さの25から75パーセントの間であり、一つの好ましい実施形態において、深さdは微多孔質エンドプレート構造110の厚さの約50‐66パーセントである。例えば、微多孔質エンドプレート構造110が1000μmの厚さをもつ場合、そのとき、深さdは約500‐660μmとなるであろう。本明細書において説明されるように、微多孔質エンドプレート構造110の厚さは、上部及び下部エンドプレート101,102の異なる領域で変化し得る可能性がある。これらの実施形態において、深さdもまた、様々な厚さの領域において変化し得る。上部エンドプレート101の第1の領域が1000μmの厚さの微多孔質構造110をもつ場合、深さdは約500‐660mmであってもよく、一方、1500μmの微多孔質構造を有する上部エンドプレート101の隣接領域においては、そのとき、深さdは約750‐1,000μmであってもよい。代替的に、深さdは、微多孔質エンドプレート構造110の厚さ又は微多孔質エンドプレート構造110の特定の領域に関係なく一定であってもよい。
【0042】
中心体部分130のマクロ多孔質格子構造120は、X、Y及びZ平面の各々において、2mmから10mmまでの大きさの孔150を有し、ストラット140の太さは、0.3mmから5mmまでの大きさの範囲である。一つの例示的な実施形態によれば、孔150は、約5.5mm×5.5mm×4mmであり、ストラット140の太さは0.5mmから2mmの範囲である。本体‐格子構造120を構成する個々のストラット140は、非平面的、不規則であり、規則的又は繰り返しのパターンに従って配置されていない。ストラット140の太さは、個々のストラット140の長さ全体にわたって変化する-換言すれば、個々のストラット140はそのストラット140にわたって変化する太さを有する。これらの例示的な実施形態によれば、マクロ多孔質格子体120は、0.45μmから7μmまでの範囲の深さの表面組織を含む表面粗さをもつ。
図4に示される実施形態において、個々のストラット140は、ストラット140の各端部、すなわち、個々のストラット140が終端となる且つ/或いは別の個々のストラット140に接続する場所において、ストラット140の中央よりも太さが大きい。
図4に示される例示的な実施形態の他の面によれば、各ストラット140の最小太さ及び最大太さは、ストラット毎に様々である。
【0043】
インプラント100は、インプラント100上への骨の成長を更に助長するためのテクスチャ付き表面コーティング160をもち、含んでもよい。テクスチャ付き表面コーティング160は、リン酸カルシウムのようなセラミックコーティング、又は生体適合性金属コーティングであってもよい。いくつかの実施形態において、テクスチャ付き表面コーティング160は、微多孔質エンドプレート構造110に適用される。他の実施形態において、テクスチャ付き表面コーティング160は、マクロ多孔質格子体構造120に適用される。更に他の実施形態において、テクスチャ付き表面コーティング160は、インプラント100全体にわたって適用される。
【0044】
図5‐
図14は、一つの例示的な側方脊椎固定インプラント100の様々な図を示す。インプラント100は、微多孔質エンドプレート構造110で形成される上部面及び下部面101,102、並びに本体格子構造120で形成される中心体部分130をもつ。インプラント100は、先端部(leading end)170及び反対側の後端部(trailing end)180、並びに上部骨接触面101から下部骨接触面102までインプラント100を通って延びる固定穴103をもつ。後端部180は、挿入工具の係合のための、少なくとも一つの係合部分105を含む器具係合機構104を含む。先端部170は、椎間板空間の中への挿入を容易にするために先細りであってもよい。一つの代替的な実施形態において、先端部170の少なくとも一部分は、中実(solid)である。この例示的な実施形態によれば、先端部170から後端部180までのインプラント100の長さ寸法は、45mmから65mmまでの範囲内であり、前方(anterior)から後方(posterior)までのインプラント100の幅寸法は、18mmから26mmまでの範囲内であり、前弯(lordosis)の角度は0°から15°の範囲内である。本開示のインプラント100は15°から40°の範囲にわたる、脊柱前弯過度の前弯の角度(hyperlordotic angle of lordosis)をもってもよいことも、企図されている。
【0045】
図5‐
図14の実施形態による脊椎固定インプラントは、インプラントフレーム190を更に含む。フレーム190は、上部及び下部の接触面101,102の外周及び内周を縁取る中実リムを有してもよい。この実施形態において、上部及び下部の接触面101,102の内部に沿った中実リムは、固定穴103を形成する。
【0046】
いくつかの実施形態において、インプラント100は、インプラント100の中間平面(medial plane)内に少なくとも一つの放射線不透過性付与部200を含む。いくつかの実施形態において、インプラント100は、中間平面内に少なくとも二つの放射線不透過性付与部200を含む。本開示のインプラント100は、インプラント100の後端部180に連結され、定着プレートがインプラント100に連結されたときに定着穴が椎体の側面(lateral aspect)に隣接して位置するような、それを通る定着要素が受容するための少なくとも一つの定着穴を含む定着プレートと共に使用されてもよいことが、更に企図されている。いくつかの実施形態において、定着プレートは、二つの定着穴を含み、一つは上位の椎体の側面に隣接して位置することができ、もう一つは下位の椎体の側面に隣接して位置することができる。
【0047】
図15‐
図19は、
図10‐
図18に関して説明されたような全ての同じ特徴をもつが、フレーム190を含まない、側方インプラント(lateral implant)の一つの代替的な実施形態を示す。
【0048】
図20‐
図25は、前方アプローチを介した椎間板空間の中への挿入に適するような寸法に作られた前方インプラント(anterior implant)100の一つの例示的な実施形態を示す。
図20‐
図25のインプラント100は、微多孔質エンドプレート構造110で形成される上部面及び下部面101,102、並びに本体格子構造120で形成される中心体部分130をもつ。インプラントは、前端部170及び反対側の後端部180、並びに上部骨接触面101から下部骨接触面102までインプラント100を通って延びる固定穴103をもつ。後端部180は、挿入工具の係合のための、少なくとも一つの係合部分105を含む器具係合機構104を含む。この例示的な実施形態によれば、インプラント100は、0°から15°の範囲内の前弯の角度をもつ。本開示の脊椎固定インプラントの一つの例示的な実施形態が、15°から40°の範囲にわたる、脊柱前弯過度の前弯の角度をもつことも、企図されている。一つの例示的な実施形態によれば、インプラント100は、インプラントフレーム190を含む。
【0049】
図28‐
図29は及び
図32‐
図33は、前方アプローチを介した椎間板空間の中への挿入に適するような寸法に作られた前方インプラント100の代替的な実施形態を示す。この実施形態によるインプラントは、上述され、
図20‐
図25に示されたインプラントと同じ基本的、構造的な特徴の全てを含み、定着穴106を含む器具係合機構104を更に有する。
図28‐
図29において三つの穴、
図32‐
図33において二つの穴を有するものとして示されているが、インプラントが少なくとも一つの定着穴をもつことが企図されている。これらの例示的な実施形態によれば、定着穴は、骨ネジを受容するような寸法に作られている。また、固定穴103及びフレーム190をもつものとして示されているが、インプラントが固定穴を有しない(すなわちマクロ多孔質格子体が微多孔質エンドプレートの間で連続的であり、微多孔質エンドプレートも連続的である)、且つ/或いは、インプラントがフレームを有しない、代替的な実施形態が企図されている。
【0050】
図30‐
図31は、後方アプローチを介した椎間板空間の中への挿入に適するような寸法に作られた後方インプラントの他の代替的な実施形態を示す。この実施形態によるインプラントは、第一及び第二の微多孔質エンドプレート101,102、マクロ多孔質格子体120並びに器具係合機構104を含む、
図1‐
図27に記述されたインプラントと同じ基本的、構造的な特徴の全てを含む。
【0051】
一つの例示的な実施形態によれば、インプラントは、インプラントを分離して複数の別個の構造にすること、それらの構造を設計すること及び/又は最適化すること、並びに単一のビルドプロセスでの印刷のために、それらを組わせることによって製造されてもよい。一つの実施形態によれば、インプラントは、本体格子及び微多孔質エンドプレートを含む二つの別個の構造として設計される。この実施形態によれば、本体格子は、製造される各インプラントの大きさについて有効な強度対重量(strength-to-weight)の構造を生み出すように最適化される。全てのインプラントの大きさは、特定の最大許容可能格子応力と共に同じ荷重条件に耐えるように最適化され、各インプラントの大きさについて独特の本体格子構造を結果として生じる。
【0052】
その例示的な実施形態によれば、各インプラント構成部品(例えば、本体格子及び微多孔質エンドプレート)は、モデリングソフトウェアプログラムを使用して設計される。次いで、格子体構造は、特定の理論的荷重条件をインプラントに適用することによって、有限要素分析及び最適化アルゴリズムを使用して最適化される(例えば、個々の格子ストラットの太さは、強度を最大化し且つ構造の材料を最小化するために要求されるように決定される)。微多孔質エンドプレートの設計は、所望の構造を達成するように定義され、エンドプレートは、最適化された本体格子と組み合わされて、組み立てられた装置を生み出す。最終的な装置構成部品は.STLファイルとしてエクスポートされ、3D印刷機を用いて造られるように準備される。
【0053】
一つの代替的な実施形態によれば、インプラントを製造する方法は、装置構成部品が.STLファイルとしてエクスポートされ、3D印刷機を用いて造られるように準備される前に、所望の設計を達成するように器具係合機構を設計するステップ、及び器具係合機構を微多孔質エンドプレート及び最適化された格子体と組み合わせるステップを更に含む。一つの態様によれば、装置が印刷された後に、穴などの追加的な特徴が機械加工されて器具係合機構となる。
【0054】
他の代替的な実施形態によれば、インプラントを製造する方法は、所望の構造を達成するようにリムを設計するステップ、それを、器具係合機構を備えるか又は備えない微多孔質エンドプレート及び最適化された格子体と組み合わせるステップ、最終的な装置構成部品を.STLファイルとしてエクスポートするステップ、並びに3D印刷機を用いてインプラントを造るように準備するステップを更に含む。
【0055】
本開示の例示的な実施形態の前述の開示は、例示及び説明のために提示されている。
包括的であること、又は本開示を開示された正確な形態に限定することは意図されていない。本明細書において説明された実施形態の多くの変形及び変更は、上記の開示に照らして当業者には明らかであろう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ規定されるべきである。
【0056】
さらに、本開示の代表的な実施形態を説明する際に、明細書は、本開示の方法及び/又はプロセスを特定の一連のステップとして提示している可能性がある。しかしながら、方法又はプロセスが本明細書に記載の特定の順序に頼らない限り、方法又はプロセスは、説明された特定の一連のステップに限定されるべきではない。当業者が理解するであろうように、他の一連のステップが可能であり得る。したがって、明細書に記載されたステップの特定の順序は、特許請求の範囲に対する限定として解釈されるべきではない。加えて、本開示の方法及び/又はプロセスに向けられた請求項は、記述された順序でのそれらのステップの実行に限定されるべきではなく、順序は本開示の精神及び範囲内で変えられてもよく、依然として本開示の精神及び範囲内とどまることを、当業者は容易に理解することができる。