IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-半導体装置 図1
  • 特許-半導体装置 図2
  • 特許-半導体装置 図3
  • 特許-半導体装置 図4
  • 特許-半導体装置 図5
  • 特許-半導体装置 図6
  • 特許-半導体装置 図7
  • 特許-半導体装置 図8
  • 特許-半導体装置 図9
  • 特許-半導体装置 図10
  • 特許-半導体装置 図11
  • 特許-半導体装置 図12
  • 特許-半導体装置 図13
  • 特許-半導体装置 図14
  • 特許-半導体装置 図15
  • 特許-半導体装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20230623BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20230623BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20230623BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/48 S
H01L23/48 G
H01L21/60 321E
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021513161
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2019049098
(87)【国際公開番号】W WO2020208867
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/015603
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】梅田 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】久徳 淳志
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-184525(JP,A)
【文献】特開2017-112280(JP,A)
【文献】特開2005-136018(JP,A)
【文献】特開2008-153432(JP,A)
【文献】特開2008-227131(JP,A)
【文献】特開2012-069703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/48
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された、折り曲げられていない平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記金属板は、前記電気接続部材の板厚よりも薄く、板厚方向に弾性変形可能な平板である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記金属板は、前記凸部が前記主電極に当接した状態で配置された請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電気接続部材は、金属フレームであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記金属板は、前記電気接続部材と対向する面側にも、前記電気接続部材側に突出する少なくとも一つの凸部を有する請求項1~4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子の前記主電極は、複数の領域に分割されており、
前記金属板は、前記主電極の前記複数の領域の各々に対応した位置に形成された複数の前記凸部を有する請求項1~5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の領域はそれぞれ独立して形成されていることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子は、前記主電極が設けられた面に副電極を有し、
前記金属板は、前記副電極を避けるように切り欠きが設けられている請求項1~7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電気接続部材における前記金属板に対応する位置にも凸部が形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記金属板は前記主電極の中心に対して対称となるように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子は、前記電気接続部材と対向する側の面に前記主電極としてのソース電極と副電極としてのゲート電極とが形成され、前記電気接続部材と対向する側とは反対側の面にドレイン電極が形成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記半導体素子は、前記半導体素子の前記電気接続部材側の面に前記主電極としてのソース電極及びドレイン電極、並びに副電極としてのゲート電極が形成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記半導体素子として、複数の前記半導体素子を有し、前記半導体素子の前記主電極と前記電気接続部材との間にそれぞれ前記金属板が配されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体装置。
【請求項14】
セラミック基板である回路基板を備えることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
平面的に見て、前記金属板の面積は、前記半導体素子の面積よりも狭いことを特徴とする請求項1~14のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
回路基板と、
前記電気接続部材を貫通して配置され、一方の端部が外部に突出し、他方の端部が前記回路基板の配線パターンと接続されたピン端子を備えることを特徴とする請求項1~15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配され、
前記金属板は、前記電気接続部材と対向する面側にも、前記電気接続部材側に突出する少なくとも一つの凸部を有する半導体装置。
【請求項18】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配され、
前記半導体素子は、前記主電極が設けられた面に副電極を有し、
前記金属板は、前記副電極を避けるように切り欠きが設けられている半導体装置。
【請求項19】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配され、
前記電気接続部材における前記金属板に対応する位置にも凸部が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項20】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配され、
前記半導体素子は、前記半導体素子の前記電気接続部材側の面に前記主電極としてのソース電極及びドレイン電極、並びに副電極としてのゲート電極が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項21】
半導体素子と、
前記半導体素子の主電極に電気的に接続された電気接続部材と、
前記電気接続部材と前記主電極の間に配置された平板状の金属板と、を備え、
前記金属板は、前記主電極側に突出する少なくとも一つの凸部を有し、
前記電気接続部材は、前記主電極と前記金属板の間に配置された第一導電性接合材、前記金属板、及び、前記金属板と前記電気接続部材の間に配置された第二導電性接合材を介して、前記主電極に電気的に接続されており、
前記金属板が、前記第一及び第二導電性接合材に加わる応力を緩和するように構成され、
前記金属板における前記凸部が形成されていない領域と前記主電極との間にも前記第一導電性接合材が配され、
回路基板と、
前記電気接続部材を貫通して配置され、一方の端部が外部に突出し、他方の端部が前記回路基板の配線パターンと接続されたピン端子を備えることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、はんだ等の導電性接合材を用い、回路基板に実装された半導体素子とリードフレーム等の金属フレームとを接合する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照。従来の半導体装置900)。
【0003】
図16は、従来の半導体装置900を説明するために示す図である。
従来の半導体装置900は、図16に示すように、半導体素子995に対向する(金属フレームの)端子911(913)に凸部941を設け、半導体素子995・端子911(913)間に導電性接合材(導電性接着剤、はんだ等)975を配するものである。なお、符号999は冶具である。
【0004】
従来の半導体装置900によれば、半導体素子995に対向する(金属フレームの)端子911(913)に凸部941を設けられているため、半導体素子995と端子911との間隔を一定以上に保つことができる。従って、凸部が形成されていない領域と半導体素子995との間に配される導電性接合材の厚みを一定以上とすることができ、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6346717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、特に、電力用等に使用する半導体装置では、大きな電流を流すために比較的厚い金属フレームが用いられているが、近年の電気機器の小型化の要請に伴って半導体装置(及び半導体素子)の小型化が進められているため、比較的厚い金属フレームを加工して従来の半導体装置900の凸部を形成しようとしても、(小型化された)半導体素子の微細な主電極に対応する凸部を形成することは容易ではなく、凸部によって導電性接合材の厚みを一定以上とし半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することが難しい、という問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、比較的厚い金属フレームを用いる場合であっても、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]本発明の半導体装置は、回路基板と、前記回路基板に搭載され前記回路基板と対向する側とは反対側の面に主電極を有する半導体素子と、前記半導体素子の前記主電極側に配された金属フレームと、前記金属フレームと前記主電極との間に配置された平板状の金属板とを備え、前記金属板と前記主電極との間、及び、前記金属板と前記金属フレームとの間には導電性接合材が配され、前記金属板及び前記導電性接合材は、前記金属フレームと前記半導体素子との間の前記金属板及び前記導電性接合材に加わる応力を緩和する応力緩和構造を構成し、前記応力緩和構造は、前記金属板の厚さが前記金属フレームの厚さよりも薄く、かつ、前記金属板における前記主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有することを特徴とする。
【0009】
本明細書中、「金属フレーム」とは、金属製の平板(例えば、リードフレーム)そのものや、金属製の平板を打ち抜き加工や折り曲げ加工を施して形成したもの(例えば、クリップリード(接続子))のことをいう。また、「平板状の金属板」とは、大きく折り曲げられていない金属製の板をいい、厳密には多少の凹凸があっても全体的に見て平板状であればよい。言い換えると、打ち出し加工された金属製の板は「平板状の金属板」に該当するが、折り曲げ加工された金属製の板は、「平板状の金属板」に該当しない。
【0010】
[2]本発明の半導体装置においては、前記応力緩和構造は、前記金属板が弾性部材からなる構造を有することが好ましい。
【0011】
[3]本発明の半導体装置においては、前記応力緩和構造は、前記凸部が前記金属板の前記主電極側の面に形成された構造を有することが好ましい。
【0012】
[4]本発明の半導体装置においては、前記応力緩和構造において、前記凸部が前記金属板の両面に形成された構造を有することが好ましい。
【0013】
[5]本発明の半導体装置においては、前記主電極は、複数の領域を有し、前記応力緩和構造は、前記金属板における前記主電極の前記複数の領域の各々に対応した位置に前記凸部が形成された構造を有することが好ましい。
【0014】
[6]本発明の半導体装置においては、前記複数の領域はそれぞれ独立して形成されていることが好ましい。
【0015】
なお、本明細書中、「独立して」とは、例えば、導電性接合材52が隣接する別の領域にまで流れない程度に実質的に独立して形成されていることを意味する。なお、完全に分離している場合のみならず、非常に細いパターンで複数の領域間がいわば名目的に結ばれている場合も「独立して」に含まれるものとする。
【0016】
[7]本発明の半導体装置において、前記半導体素子は、前記回路基板と対向する側とは反対側の面において、前記主電極とは離隔した位置に設けられた副電極をさらに有し、前記金属板は、前記副電極を避けるように切り欠きが設けられていることが好ましい。
【0017】
[8]本発明の半導体装置においては、前記金属フレームにおける前記金属板に対応する位置に凸部が形成されていることが好ましい。
【0018】
[9]本発明の半導体装置においては、前記金属板は前記主電極の中心に対して対称となるように構成されていることが好ましい。
【0019】
[10]本発明の半導体装置においては、前記半導体素子は、前記回路基板と対向する側とは反対側の面に前記主電極としてのソース電極と副電極としてのゲート電極が形成され、前記回路基板側にドレイン電極が形成されていることが好ましい。
【0020】
[11]本発明の半導体装置においては、前記半導体素子は前記半導体素子の前記金属フレーム側の面に前記主電極としてのソース電極及びドレイン電極、並びに副電極としてのゲート電極が形成されていることが好ましい。
【0021】
[12]本発明の半導体装置においては、前記回路基板上には前記半導体素子が複数搭載され、前記半導体素子のそれぞれの前記主電極と前記金属フレームとの間に前記金属板が配されていることが好ましい。
【0022】
[13]本発明の半導体装置においては、前記回路基板は、セラミック基板であることが好ましい。
【0023】
[14]本発明の半導体装置においては、平面的に見て、前記金属板の面積は、前記半導体素子の面積よりも狭いことが好ましい。
【0024】
[15]本発明の半導体装置においては、前記金属フレームを貫通して配置され、一方の端部が外部に突出し、他方の端部が前記回路基板の配線パターンと接続されたピン端子をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の半導体装置によれば、応力緩和構造は、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、凸部によって、金属板と主電極との間に少なくとも凸部の高さ分の間隔を確保でき、凸部が形成されていない領域と主電極との間隔を一定以上とすることができる。従って、凸部が形成されていない領域と主電極との間に配される導電性接合材の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0026】
また、本発明の半導体装置によれば、応力緩和構造は、金属板の厚さが金属フレームの厚さよりも薄く、かつ、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、比較的厚い金属フレームを加工して凸部を形成する必要がない。このことから、金属フレームの厚さよりも薄く微細加工が容易な金属板を用いて、半導体素子の微細な主電極に対応する凸部を形成することができる。特に、金属板が打ち出し加工で凸部を形成することができる程度に薄い場合には、金属板を打ち出して容易に凸部を形成することができる。
【0027】
ところで、一般に、高い耐電圧を確保する場合には、絶縁距離を確保するために(金属フレームと回路基板との短絡を防ぐために)導電性接合材の厚みを厚く形成する必要があるが、金属フレームに凸部を形成しない状態、又は、金属フレームと主電極との間隔よりもかなり短い凸部しか金属フレームに形成しない状態で、金属フレームと主電極との間を導電性接合材で満たす場合には、製造過程において、金属フレームを導電性接合材上に配置したときに導電性接合材が潰れてしまうおそれがあり、半導体装置の信頼性を高くすることが難しい。
これに対して、本発明の半導体装置によれば、金属フレームと主電極との間に配置された平板状の金属板を備えるため、金属フレームと主電極との間をすべて導電性接合材で満たさなくてもよくなる。従って、製造過程において、金属フレームを導電性接合材上に配置したときに導電性接合材が潰れてしまうことを防ぐことができ、半導体装置の信頼性が低下し難くなる。また、応力緩和構造は、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、金属フレームと主電極との間を広くした場合でも、金属板と主電極との間を所定の間隔に保ち易くなる。従って、金属板と金属フレームとの間の導電性接合材を厚くしすぎなくて済み、導電性接合材が潰れ難くなることから、半導体装置の信頼性がより低下し難くなる。
【0028】
また、本発明の半導体装置によれば、応力緩和構造は、金属板の厚さが金属フレームの厚さよりも薄い構造を有するため、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)によって金属板自身が変形して応力を吸収することができる。その結果、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)をより一層緩和することができる。さらに、応力緩和構造は、金属板の厚さが金属フレームの厚さよりも薄く、かつ、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、凸部が形成されていない領域と主電極との間に配される導電性接合材の厚みを一定以上とすることができ、金属板自身が変形して応力を吸収するのに加えて、凸部が形成されていない領域と主電極との間に配される導電性接合材によってもさらに応力を吸収することができる。その結果、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)をより一層緩和することができる。
【0029】
また、本発明の半導体装置によれば、応力緩和構造は、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、金属板の凸部の箇所を中心に導電性接合材が集まって接合する構造をとり、はんだが濡れ広がる起点を作ることで確実に電極と金属板を接合することができる。また、金属板に副電極を避けるように切り欠きを設けることで、副電極へ向かうはんだの濡れ広がりを抑制でき、主電極と副電極との間の短絡が生じる可能性が低くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。
図2】金属フレームと半導体素子との間の導電性接合材及び金属板に加わる応力を説明するために示す図である。
図3】実施形態2に係る半導体装置100aを説明するために示す要部拡大平面図である。
図4】実施形態2における半導体素子20周辺の分解図である。
図5】変形例に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。
図6】変形例に係る半導体装置100bの回路図である。
図7】変形例に係る半導体装置100bの要部拡大断面図である。
図8】実施形態3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。
図9】実施形態3に係る半導体装置100cの要部拡大断面図である。
図10】実施形態4に係る半導体装置100dを説明するために示す図である。
図11】実施形態5に係る半導体装置100eを説明するために示す図である。
図12】実施形態6~8に係る半導体装置100f~100hを説明するために示す図である。
図13】実施形態9~11に係る半導体装置100i~100kを説明するために示す図である。
図14】実施形態12に係る半導体装置100lの模式断面図である。
図15】実施形態13に係る半導体装置100mを説明するために示す図である。
図16】従来の半導体装置900を説明するために示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の半導体装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。
【0032】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る半導体装置100の構成
図1は、実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。図1(A)は半導体装置100の模式断面図であり、図1(B)は半導体装置100の要部拡大平面図である。
【0033】
半導体装置100は、回路基板10と、半導体素子20と、金属フレーム30と、金属板40とを備え絶縁性のモールド樹脂60で覆われている(図1(A)参照。)。半導体装置100は、電力制御等に用いられるパワー半導体装置である。半導体装置100は、半導体モジュールとも称される。
【0034】
回路基板10は、絶縁性基板11の一方の表面にパターン配線層12が形成された基板である。パターン配線層12は、半導体素子20を載置する半導体素子載置部14と、半導体素子20のソース電極23(表面電極)と金属フレーム30を介して接続される電極部15とを有し、図示しない外部接続の端子と接続されている。
【0035】
回路基板10としては、線膨張係数が半導体素子20と近いセラミックス基板を用いることが好ましく、実施形態1においては、アルミナセラミック基板の表面にパターン配線層12が形成され、裏面に放熱板13が形成されたDCB基板(Direct Copper Bonding基板)を用いる。回路基板10として、プリント基板等適宜の基板を用いることもできる。この場合には、裏面に(例えば、銅、鉄、アルミニウム等の板状の金属層で形成された)放熱部材が設けられていることが好ましい。
DCB基板の裏面の放熱板13や放熱部材は、半導体素子20とは電気的に絶縁されているが、半導体装置100を使用する機器のアース電極と接続してもよい。
【0036】
半導体素子20は、回路基板10のパターン配線層12(半導体素子載置部14)上に配置され、導電性接合材51(例えば、はんだ)を介して接合されている。半導体素子20は、いわゆるパワー半導体素子である。
半導体素子20は、基体21と、基体21の回路基板10と対向する側に形成されたドレイン電極22と、回路基板10と対向する側とは反対側の面に形成された主電極としてのソース電極23と、副電極としてのゲート電極24とを有する。基体21は、適宜の素材(例えばシリコン、シリコンカーバイド、ガリウムナイトライド等)の基体からなる。
【0037】
金属フレーム30は、半導体素子20のソース電極23側に導電性接合材52、後述する金属板40及び導電性接合材53を介して配置されている。このため主電流が流れる経路に対して主電流を阻害せず、大電流を導通可能となる。金属フレーム30は、金属製の平板を打ち抜き加工及び折り曲げ加工等を施して形成されたクリップリード(いわゆる接続子)である。金属フレーム30は、一方端はソース電極23と電気的に接続されており、他方端は、回路基板10の電極部15と導電性接合材55を介して電気的に接続されている。
【0038】
なお、ゲート電極24は導電性接合材54(例えば、はんだ)を介して配線部材32と接合される(図1参照)が、ゲート電極24を流れる電流は、ソース電極23とドレイン電極22との間を流れる電流に比べて極めて小さいため、配線部材32の厚さ(断面積)は、金属フレーム30より小さくてよく、また、ゲート電極24と配線部材32との間に金属板を入れなくてもよい。配線部材32としては、クリップリードを用いてもよいし、ワイヤを用いてもよい。
【0039】
金属板40は、金属フレーム30とソース電極23との間に配置された平板状の部材である。金属板40は、ソース電極23に対応する位置(回路基板10に対して垂直方向から半導体装置100を見たときに、金属板40とソース電極23とが重なる位置)に配されている。
金属板40とソース電極23との間、及び、金属板40と金属フレーム30との間には導電性接合材52、53(例えば、はんだ)が配されている。金属板40及び導電性接合材52,53は、応力緩和構造を構成するが、このことについては後述する。
【0040】
金属板40は、弾性部材からなる。金属板40の厚さは、金属フレーム30の厚さよりも薄い。また、金属板40には、ソース電極23側にソース電極23に対応する位置に複数(6つ)の凸部41が形成されている。
【0041】
金属板40は、平面的に見て矩形形状をしており、矩形の角部近傍にそれぞれ1つずつ凸部41が形成されており、さらに、中央部に適切な間隔で(バランスよく)2つの凸部41が形成されている。なお、凸部41が3つ以上形成されていると、製造過程において、凸部41を下にして金属板40を半導体素子20上に置く場合に、金属板40を半導体素子20上に安定的に配置することができる。
【0042】
このように、実施形態1においては、小さな凸部を形成することが困難な厚い金属フレーム30の代わりに、金属フレーム30に比べて薄い金属板40に凸部を形成することにより、金属フレーム30に凸部を作らなくても半導体素子20と金属フレーム40との間隔を一定以上に保つことができる。
【0043】
金属フレーム30の厚さをt2、金属板40のうちの凸部41が形成される領域の厚さt12、金属板40のうちの凸部41が形成されていない領域の厚さをt1としたときに、t1<t2、t12<t2を満たす。また凸部の高さをt11(=t12-t1)とすると、t11<t1を満たし、例えば、t11<0.5×t1を満たす。
【0044】
平面的に見て、金属板40の面積は、半導体素子の面積よりも狭く、さらに言えば、ソース電極23が形成されている領域の面積よりも狭い。
また、金属板40は、ソース電極23の中心に対して対称になるように、すなわち、折り曲げられることなく平板状のまま配置されている。また、凸部41も金属板40の各辺の垂直二等分線に対して対称となる位置に設けられている。
【0045】
2.応力緩和構造について
応力緩和構造を説明する前に、金属フレーム30と半導体素子20との間の金属板40及び導電性接合材52,53に加わる応力について説明する。
図2は、金属フレームと半導体素子との間の導電性接合材及び金属板に加わる応力を説明するために示す図である。
【0046】
半導体装置100を実装した電気機器は、使用環境によっては環境温度が高くなる場合がある。特に、本発明で想定している大電流を使用する電子機器においては、周囲の部品も発熱しやすく、高温環境になり易い傾向がある。
このような場合に、回路基板10が反る方向に応力がかかることになる(図2参照。)。このとき、半導体装置100においては、半導体素子20(シリコンやシリコンカーバイド等)と、金属フレーム30(銅)との線膨張係数の差が大きいため、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40には応力が最もかかることになる。このような応力は、導電性接合材にクラックが発生し易くなったり、導電性接合材と金属フレーム(又は半導体素子)との間がはがれ易くなったりする等の不具合の原因となる。
【0047】
このような応力を緩和するために、実施形態1に係る半導体装置100において、金属板40及び導電性接合材52,53は、金属フレーム30と半導体素子20との間の金属板40及び導電性接合材52,53に加わる応力を緩和する応力緩和構造を構成する。
応力緩和構造は、金属板40の厚さが金属フレーム30の厚さよりも薄く、かつ、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つ(6つ)の凸部が形成され、凸部が金属板40のソース電極23側の面に形成された構造を有する。このような構成とすることにより、凸部41によって少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保することができ、導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができる。また、金属フレーム30と半導体素子20との間隔を比較的広くすることができるため、金属板40を挟んだ状態の導電性接合材を比較的厚くしても導電性接合材がつぶれ難くなり、高い信頼性を確保した状態で導電性接合材の応力を緩和することができる。
【0048】
また、応力緩和構造は、金属板40が弾性部材からなる構造を有することから、金属板40自体が変形して応力を緩和することができる。
【0049】
3.実施形態1に係る半導体装置100の効果
実施形態1に係る半導体装置100によれば、応力緩和構造は、金属板40における主電極(ソース電極23)に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、凸部41によって、金属板40とソース電極23との間に少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保でき、凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板40における凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0050】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、応力緩和構造は、金属板40の厚さが金属フレーム30の厚さよりも薄く、かつ、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、比較的厚い金属フレーム30を加工して凸部を形成する必要がない。このことから、金属フレーム30の厚さよりも薄く、微細加工が容易な金属板40を用いて、半導体素子20の微細なソース電極23に対応する凸部41を形成することができる。特に、金属板40が打ち出し加工で凸部41を形成することができる程度に薄い場合には、金属板40を打ち出して容易に凸部41を形成することができる。
【0051】
ところで、一般に、高い耐電圧を確保する場合には、絶縁距離を確保するために(金属フレームと回路基板との短絡を防ぐために)導電性接合材の厚みを比較的厚く形成する必要があるが、金属フレームに凸部を形成しない状態、又は、金属フレームと主電極との間隔よりも大幅に短い凸部しか金属フレームに形成しない状態で、金属フレームと主電極との間(図1の間隔t3参照。)をすべて導電性接合材で満たす場合には、製造過程において、金属フレームを導電性接合材上に配置したときに導電性接合材が潰れてしまうおそれがあり、半導体装置の信頼性を高くすることが難しい。
これに対して、実施形態1に係る半導体装置100によれば、金属フレーム30とソース電極23との間に配置された平板状の金属板40を備えるため、金属フレーム30とソース電極23との間をすべて導電性接合材で満たさなくてもよくなる。従って、製造過程において、金属フレーム30を導電性接合材53上に配置したときに導電性接合材が潰れてしまうことを防ぐことができ、半導体装置の信頼性が低下し難くなる。また、応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、金属フレーム30とソース電極23との間を広くした場合でも、金属板40とソース電極23との間(図1(A)の符号t11参照。)を所定の間隔に保ち易くなるため、金属板40と金属フレーム30との間の導電性接合材53を厚くしすぎなくて済むことから、導電性接合材が潰れ難く、半導体装置の信頼性がより低下し難くなる。
【0052】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、応力緩和構造は、金属板40の厚さが金属フレーム30の厚さよりも薄い構造を有するため、金属板自身が変形することで半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)を吸収することができる。その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)をより一層緩和することができる。さらに、応力緩和構造は、金属板40の厚さが金属フレーム30の厚さよりも薄く、かつ、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、金属板40の凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、金属板40自身が変形して応力を吸収するのに加えて、凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間に配される導電性接合材52によっても金属板40の変形で吸収しきれなかった応力を吸収することができる。その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)をさらにより一層緩和することができる。
【0053】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有し、金属板40の凸部41の箇所を中心に導電性接合材52が集まって接合する構造をとり、はんだが濡れ広がる起点を作ることで確実に電極と金属板を接合することができる。また、金属板に副電極を避けるように切り欠きを設けることで、副電極へ向かうはんだの濡れ広がりを抑制できるので主電極と副電極との間の短絡が生じる可能性が低くなる。
【0054】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、応力緩和構造は、金属板40が弾性部材からなる構造を有するため、金属板40自身が弾性変形しやすくなり、応力をより一層吸収しやすくなる。
【0055】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、金属板40はソース電極23の中心に対して対称になるように構成されているため、金属板40をソース電極23上に安定的に配置することができる。従って、製造過程において、金属板40が傾き難くなり、金属板40とソース電極23との間の導電性接合材52の厚みを一定に保ちやすくなる。その結果、高い信頼性を保つことができる。
【0056】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体素子20は、回路基板10と対向する側とは反対側の面に主電極としてのソース電極23と副電極としてのゲート電極24が形成され、回路基板10側にドレイン電極22が形成されているため、大電流を用いる電子機器に適した半導体装置となる。
【0057】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、回路基板10は、セラミック基板(アルミナセラミック基板)を用いているため、半導体素子20との線膨張係数の差が小さく、半導体素子20と回路基板10との間の導電性接合材52に応力がかかり難くなる。
【0058】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、平面的に見て、金属板40の面積は、半導体素子20の面積よりも狭いため、金属板40全体が導電性接合材52上に載置された状態となる。よって、製造過程において、はんだリフローしたときに金属板40が安定性を保った状態で接合することができ、実装ずれを起こし難くなる。
【0059】
[実施形態2]
図3は、実施形態2に係る半導体装置100aを説明するために示す要部拡大平面図である。図4は、実施形態2における半導体素子20周辺の分解図である。
【0060】
実施形態2に係る半導体装置100aは、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、主電極の構成が実施形態1に係る半導体装置100と異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体装置100aにおいて、ソース電極23aは、複数の領域を有し、応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23の複数の領域の各々に対応した位置に凸部41が形成された構造を有する。
【0061】
ソース電極23aは、複数の領域として長方形の4つの領域で構成されており、表面においては絶縁層や溝等でそれぞれ隔離されているが、内側ではこれらの領域は、相互に導通している。
【0062】
金属板40aは、ソース電極23aと平面的に重なるように配置されており、ソース電極23aの大部分を覆うように形成されている。金属板40aは、全体的に矩形形状でゲート側の辺及びそれと対向する辺には切り欠きが設けられている(図3参照。)。
【0063】
金属板40aは、ソース電極23aに対向する側において、ソース電極23に対応する位置、具体的には、ソース電極23aの複数の領域に対応する位置に形成されている。ソース電極23の複数の領域のうち、ゲート電極24から遠い(切り欠きが形成されていない)領域に対応する金属板40aの領域には凸部が2つ(端部近傍に1つずつ)形成されており、ソース電極23の複数の領域のうち、ゲート電極24に近い(切り欠きが形成されている)領域に対応する金属板40aの領域には各領域の中央部分に凸部がそれぞれ1つ形成されている。
【0064】
実施形態2においては、図4に示すように、ソース電極23aの各領域にディスペンサ―等で導電性接合材(例えば、はんだ)を載せ、当該導電性接合材上に金属板40aを配置し、金属板40aの上にさらに導電性接合材53を載せ、当該導電性接合材53上に金属フレーム30を搭載する。
【0065】
このように、実施形態2に係る半導体装置100aは、主電極の構成が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、応力緩和構造は、金属板40aにおける主電極(ソース電極)23aに対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、凸部41によって、金属板40aとソース電極23aとの間に少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保でき、凸部41が形成されていない領域とソース電極23aとの間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板40aにおける凸部41が形成されていない領域とソース電極23aとの間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40aに作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0066】
また、実施形態2に係る半導体装置100aによれば、ソース電極23aは、複数の領域を有するため、ソース領域が単一の領域である場合と比較して(例えば、ソース電極の中央部と周辺部とで)電流分布の偏りが生じ難くなり、電流の均一化を図ることができる。また、金属板40aとソース電極23aとの間の導電性接合材にかかる応力を分散させる効果があり、熱応力を緩和しやすくなる。
【0067】
また、実施形態2に係る半導体装置100aによれば、ソース電極23aは、複数の領域を有し、応力緩和構造は、金属板40aにおけるソース電極23aの複数の領域の各々に対応した位置に凸部41が形成された構造を有するため、ソース電極23aの各々の領域で凸部41に導電性接合材52が集まって接合する構造をとる。従って、金属板40aとソース電極23aの各領域との間を確実に接続することができ、大電流をより流し易くなる。また、ソース電極23aの各領域に対応した位置に凸部41が形成されているため、各領域と金属板40aとの間の導電性接合材52の厚さを一定以上とすることができる。このため、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができ、また、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0068】
また、実施形態2に係る半導体装置100aによれば、ソース電極23aの複数の領域はそれぞれ独立して形成されているため、それぞれの領域で導電性接合材52が凸部41を中心に集まって接合する。従って、ソース電極23aと金属フレーム30との間の導電性接合材52,53を厚く形成しやすくなり、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0069】
また、実施形態2に係る半導体装置100aによれば、金属板40aは、ゲート電極24を避けるように切り欠きが設けられているため、金属板40aとゲート電極24との間、ひいては、導電性接合材52,53とゲート電極24との間の距離を一定以上とすることができ、その結果、ソース電極23aとゲート電極24との間が短絡することを防ぐことができる。
【0070】
なお、実施形態2に係る100aは、ソース電極の構成以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0071】
[変形例(適用例)]
図5は、変形例に係る半導体装置100bを説明するために示す図である。図5(A)は半導体装置100bの外観斜視図であり、図5(B)は半導体装置100bの内部構造を示す図である。なお、図5(B)においては、モールド樹脂60の図示を省略している。図6は、変形例に係る半導体装置100bの回路図である。図7は、変形例に係る半導体装置100bの模式断面図である。
【0072】
変形例に係る半導体装置100bは、基本的には実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するが、回路基板10a上には半導体素子が複数搭載され、半導体素子のそれぞれのソース電極(主電極)23S1,23S2と金属フレーム30a,30bとの間に金属板40が配されている。すなわち、変形例に係る半導体装置100bにおいては、半導体素子として、半導体素子20a及び半導体素子20bの2つの半導体素子が内蔵されている(図5(B)及び図6参照。)。
【0073】
まずは、変形例に係る半導体装置100bの外観について説明する。
変形例に係る半導体装置100bは、モールド樹脂60で封止されており、外部の回路との電気的な接続のための5本の端子(70D1、70S2、70S1(D2)、70G1、70G2)がモールド樹脂60の外部に露出している(図5(A)参照。)。また、放熱部材(図示せず。)も放熱効果を上げるため露出している。主電流経路となっている端子70D1、70S2、70S1(D2)は大電流を流すことができるように断面積が大きくなっている。なお、変形例に係る半導体装置100bにおいては、各端子は、内部から延在する金属フレームを回路基板10aから見て表面側(半導体素子搭載面側)に折り曲げられてなる。
【0074】
次に、変形例に係る半導体装置100bの内部構造について説明する。
変形例に係る半導体装置100bにおいては、半導体素子20aと半導体素子20bとが直列に接続されており、半導体素子20aのソース電極23S1と半導体素子20bのドレイン電極22D1とが接続されている(図6参照。)。
【0075】
回路基板10aは、パターン配線層として、パターン配線層12D1,12D2,12G1,12G2を有する(図5(B)参照。)。
半導体素子20aは、一方面側にドレイン電極22D1を有し、他方面側にソース電極23S1及びゲート電極24G1を有する。また、半導体素子20bは、一方面側にドレイン電極22D2を有し、他方面側にソース電極23S2及びゲート電極24G2を有する(図5(B)参照。)。
【0076】
半導体素子20aは、ドレイン電極22D1がパターン配線層12D1と対向するようにパターン配線層12D1上に載置され、半導体素子20bは、ドレイン電極22D2がパターン配線層12D2と対向するようにパターン配線層12D2上に載置されている。
【0077】
端子70D1は、パターン配線層12D1を介して半導体素子20aのドレイン電極22D1と接続されている。
端子70G1は、配線部材32G1及びパターン配線層12G1を介して半導体素子20aのゲート電極24G1と電気的に接続されている。
端子70S1(D2)は、パターン配線層12D2及び金属フレーム30aを介して半導体素子20aのソース電極23S1と接続されている。また、端子70S1(D2)は、パターン配線層12D2を介して半導体素子20bのドレイン電極22D2とも接続されている。
端子70G2は、配線部材32G2及びパターン配線層12G2を介して半導体素子20bのゲート電極24G2と電気的に接続されている。
端子70S2は、金属フレーム30bの端部を折り曲げて形成されたものであり、半導体素子20bのソース電極と接続されている。
【0078】
金属フレーム30aは、半導体素子20aとパターン配線層12D2とを接続するクリップリード(いわゆる接続子)であり、実施形態2の場合と同様に、金属フレーム30aとソース電極23S1との間に配置された平板状の金属板40を備え(図7参照。)、金属板40とソース電極23S1との間、及び、金属板40と金属フレーム30aとの間には導電性接合材52が配され、金属板40a及び導電性接合材52は、金属フレーム30aと半導体素子20aとの間の金属板40a及び導電性接合材52に加わる応力を緩和する応力緩和構造を構成する。
【0079】
金属フレーム30bは、一方端が半導体素子20bのソース電極23S2に接続され、他方端が端子70S2となる金属フレームであり、実施形態2と同様に、金属フレーム30bとソース電極23S2との間に配置された平板状の金属板40を備え(構成としては図7と同様。)、金属板40とソース電極23S2との間、及び、金属板40と金属フレーム30bとの間には導電性接合材52が配され、金属板40b及び導電性接合材52は、金属フレーム30bと半導体素子20bとの間の金属板40b及び導電性接合材52に加わる応力を緩和する応力緩和構造を構成する。
【0080】
なお、変形例に係る半導体装置100bは、半導体素子として、半導体素子20a及び半導体素子20bの2つの半導体素子が内蔵されている点以外の点においては実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するため、実施形態2に係る半導体装置100aが有する効果のうち該当する効果を有する。
【0081】
[実施形態3]
図8は、実施形態3に係る半導体装置100cを説明するために示す図である。図8(A)は半導体装置100cの斜視図を示し、図8(B)は半導体装置100cの内部構成を示す平面図である。なお、図8(B)においては、説明を簡潔にするためにモールド樹脂60aの図示を省略している。図9は、実施形態3に係る半導体装置100cの要部拡大断面図(図8(B)のB-B断面図)である。
【0082】
実施形態3に係る半導体装置100cは、基本的には変形例に係る半導体装置100bと同様の構成を有するが、接続部材、金属フレーム及び外部端子の構成が変形例に係る半導体装置100bと異なる。すなわち、実施形態3に係る半導体装置100cにおいては、図8(B)に示すように、接続部材及び金属フレームが、平板状のリード(リードフレーム)30c、30d、30e、30f、30gであり、外部端子が、当該リードを貫通して配置され、一方の端部が外部に突出し、他方の端部が回路基板のパターン配線層と接続されたピン端子である。
【0083】
ピン端子は、中央部に径が大きな部分のフランジ部を有する細長い円柱状の導電性ピンである。ピン端子は、外部接続用の端子として用いられるとともに、リードと配線パターンとを接続する部材として用いられる。
【0084】
ピン端子は、半導体素子20aのゲート電極24G1と接続されているピン端子70G1と、半導体素子20aのドレイン電極22D1と接続されているピン端子70D1と、半導体素子20aのソース電極23S1及び半導体素子20bのドレイン電極22D2と接続されているピン端子70S1(D2)と、半導体素子20bのソース電極23S2と接続されている3つのピン端子70S2と、半導体素子20bのゲート電極24G2と接続されているピン端子70G2とで構成されている。
【0085】
実施形態3に係る半導体装置100cは、図8(B)に示すように、半導体素子として、2つの半導体素子20a、20bを備える。2つの半導体素子はそれぞれ、回路基板10のパターン配線層12側にドレイン電極(図示せず。)を有し、回路基板10とは反対側にソース電極23S1,23S2及びゲート電極24G1、24G2を有する。そして、2つの半導体素子20a、20b、回路基板10のパターン配線層12、リード30c、30d、及び、各ピン端子でスイッチング素子が2つ直列に接続された回路を構成している(回路構成は図6と同じ。)。
【0086】
リード30cは、図8(B)に示すように、半導体素子20aのソース電極23S1上に配置され、半導体素子20aのソース電極23S1と電気的に接続された第1の電極接続部33cと、パターン配線層12D1とピン端子70S1(D1)を介して接続された第2の電極接続部34cと、パターン配線層の電極部(図示せず。)とピン端子70S1(D2)を介して接続された第3の電極接続部35cとを備える。
【0087】
リード30dは、図8(B)に示すように、半導体素子20bのソース電極23S2上に配置され、導電性接合材を介して半導体素子20bのソース電極23S2と電気的に接続された第1の電極接続部33dと、パターン配線層12S2とピン端子70S2を介して接続された2つの第2の電極接続部34dとを備える。
【0088】
応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23S1,23S2に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有する(図9参照。)。
【0089】
このように、実施形態3に係る半導体装置100cは、接続部材及び外部端子の構成が変形例に係る半導体装置100bの場合とは異なるが、変形例に係る半導体装置100cの場合と同様に、応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23S1,23S2に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、凸部41によって、金属板40とソース電極23S1,23S2との間に少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保でき、凸部41が形成されていない領域とソース電極23S1,23S2との間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板40における凸部41が形成されていない領域とソース電極23S1,23S2との間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30c、30dとの間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0090】
また、実施形態3に係る半導体装置100cによれば、金属フレーム30c、30dを貫通して配置され、一方の端部が外部に突出し、他方の端部が回路基板10のパターン配線層12と接続されたピン端子70S1(D2),70S2を備える。このような構成とすることにより、金属フレーム(リード)30c、30dがピン端子70S1(D2),70S2を介して回路基板10と固定されていることによって金属フレーム(リード)30b、30cにセルフアライメントが働きにくい場合であっても、導電性接合材52,53に加わる熱収縮応力に差が生じ難く導電性接合材に偏りが生じ難くなる。従って、導電性接合材52,53の固化時(はんだ凝集時)に半導体素子20a、20bに傾きが生じ難くなり、導電性接合材の厚みを一定に保つことができることから、高い信頼性を有する半導体装置となる。
【0091】
また、実施形態3に係る半導体装置100cによれば、金属フレームとして、クリップリードを用いる場合(図5(B)の符号30a参照。)や端子の一部を用いる(図5(B)の符号70S2参照。)場合のみならず、半導体素子の電極と端子(ピン端子)を接続するリード(リードフレーム)を用いる場合であっても本発明を適用することができる。
【0092】
なお、実施形態3に係る半導体装置100cは、接続部材及び外部端子の構成以外の点においては変形例に係る半導体装置100bと同様の構成を有するため、変形例に係る半導体装置100bが有する効果のうち該当する効果を有する。
【0093】
[実施形態4]
図10は、実施形態4に係る半導体装置100dを説明するための図である。図10(A)は金属板40bを説明するための要部拡大平面図であり、図10(B)は半導体装置100dの要部拡大断面図である。なお、(モールド樹脂60を省略して図示した図)である。
【0094】
実施形態4に係る半導体装置100dは、基本的には実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するが、金属板の構成が実施形態2に係る半導体装置100aと異なる。すなわち、実施形態4に係る半導体装置100dにおいては、図10に示すように、応力緩和構造は、金属板40bのソース電極23側に凸部41が形成されているだけでなく、金属板40bのソース電極23側とは反対側(金属フレーム30側)にも凸部42が形成されている構造(すなわち、応力緩和構造において、凸部が金属板40bの両面に形成された構造)を有する。
【0095】
実施形態4においては、凸部42は、高さが凸部41とほぼ同じ高さを有するが、適宜の高さとしてもよい。
例えば、凸部42の高さを金属フレーム30に達するまでの高さとしてもよい。この場合には、凸部42の高さ分の間隔(=金属フレーム30と金属板40bとの間隔)を確実に一定以上とすることができる。従って、金属板40bと金属フレーム30との間の導電性接合材53の厚さを確実に一定以上とすることができ、導電性接合材53に係る応力を緩和することができる。なお、凸部42の平面的な配置位置は適宜の位置とすることができる。
【0096】
このように、実施形態4に係る半導体装置100dは、金属板の構成が実施形態2に係る半導体装置100aの場合とは異なるが、実施形態2に係る半導体装置100aの場合と同様に、応力緩和構造は、金属板40bにおけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、凸部41によって、金属板40bとソース電極(主電極)23との間に少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保でき、凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板40bにおける凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40bに作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0097】
なお、凸部42の上部が金属フレーム30の近傍にくるようにし、凸部41の下部がソース電極23の近傍にくるようにする、即ち、凸部42の頂上部から凸部41の頂上部までの長さが、半導体素子20と金属フレーム30との間の長さとほぼ同じにしてもよい。
【0098】
なお、実施形態4に係る半導体装置100dは、接続部材及び外部端子の構成以外の点においては実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するため、実施形態2に係る半導体装置100aが有する効果のうち該当する効果を有する。
【0099】
[実施形態5]
図11は、実施形態5に係る半導体装置100eを説明するために示す要部拡大断面図である。
実施形態5に係る半導体装置100eは、基本的には実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するが、金属フレームの構成が実施形態1に係る半導体装置とは異なる。すなわち、実施形態5に係る半導体装置100eにおいては、金属フレーム30hにおける金属板40に対応する位置にも凸部31が形成されている。
【0100】
金属フレーム30hの凸部31は、金属フレーム30hを打ち出してなる。金属フレーム30hは、大電流を流すことができるように比較的厚いため、金属フレーム30hを打ち出し加工をすると比較的大きな(高さ(金属フレームの凸部31が形成されていない領域を基準として凸部31までの高さ)や幅が大きい)凸部が形成される。しかしながら、金属板40に対応していれば、微小なソース電極23に対応した凸部としなくてもよく、金属板40と金属フレーム30hとの間隔を一定以上に保つことができる。
【0101】
このように、実施形態5に係る半導体装置100eは、金属フレームの構成が実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aの場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aの場合と同様に、応力緩和構造は、金属板40におけるソース電極23に対応する位置に少なくとも1つの凸部41が形成された構造を有するため、凸部41によって、金属板40とソース電極との間に少なくとも凸部41の高さ分の間隔を確保でき、凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板40における凸部41が形成されていない領域とソース電極23との間に配される導電性接合材52の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30との間の導電性接合材52,53及び金属板40に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0102】
また、実施形態5に係る半導体装置100eによれば、金属フレーム30hにおける金属板40に対応する位置にも凸部31が形成されているため、凸部31によって、金属フレーム30hと金属板40との間に少なくとも凸部31の高さ分の間隔を確保でき、凸部31が形成されていない領域と金属板40との間隔を一定以上とすることができる。従って、凸部31が形成されていない領域と金属板40との間に配される導電性接合材53の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子20と金属フレーム30hとの間の導電性接合材に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0103】
なお、実施形態5に係る半導体装置100eは、金属フレームの構成以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aが有する効果のうち該当する効果を有する。
【0104】
[実施形態6~13]
図12は、実施形態6~8に係る半導体装置100f~100hを説明するために示す図である。図12(A)は実施形態6に係る半導体装置100fの要部拡大断面図であり、図12(B)は実施形態7に係る半導体装置100gの要部拡大断面図であり、図12(C)は実施形態8に係る半導体装置100hの要部拡大断面図である。図13は、実施形態9~11に係る半導体装置100i~100kを説明するために示す図である。図13(A)は実施形態9に係る半導体装置100iを説明するために示す図であり、図13(B)は実施形態10に係る半導体装置100jを説明するために示す図であり、図13(C)は実施形態11に係る半導体装置100kを説明するために示す図である。図14は、実施形態12に係る半導体装置100lの要部拡大断面図である。図15は、実施形態13に係る半導体装置100mを説明するために示す図である。図15(A)は半導体装置100mの要部の回路図を示し、図15(B)は半導体装置100mの要部拡大断面図を示す。
【0105】
実施形態6~13に係る半導体装置100f~100mは、基本的には実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するが、金属板、凸部及びソース電極のうちの少なくとも1つの構成が実施形態2に係る半導体装置100aとは異なる。
【0106】
実施形態6に係る半導体装置100fにおいては、図12(A)に示すように、金属板40cには、切り欠きが設けられておらず、略長方形状である。また、ソース電極23aの4つの領域の各々に対して、2つずつ、各々の領域の同様な位置に凸部41を形成した点が異なる。このようにすることにより、4つの領域を流れる電流が均等化されやすくなる。
【0107】
実施形態7に係る半導体装置100gにおいては、図12(B)に示すように、ソース電極23aが複数の領域(4つの領域)に分かれているが、4つの領域のうち、ゲート電極24に近い領域は短く形成されており、金属板40dは、当該ソース電極23bの形状に対応した形状(略コの字形状)となるように構成されている。これにより、ソース電極側の導電性接合材52,53とゲート電極24と間の短絡をより確実に抑制することができる。
【0108】
実施形態8に係る半導体装置100hにおいては、図12(C)に示すように、ソース電極23cは4つの領域を有するが、それらが独立しておらず、一方の端部同士で連結されており、平面的に見て1本の電極が蛇行した形状となっている。金属板40は、平面的に見て略長方形状をしており、ソース電極23cの横長の領域に対応した位置に凸部が形成された金属板を用いる。
【0109】
実施形態9に係る半導体装置100iにおいては、図13(A)に示すように、ソース電極23dは,3つの領域に分かれているが、完全に分離されているわけではなく、複数の領域同士の間が2か所接続されていてもよい(複数の領域を区切る領域が穴になっていてもよい、図13(A)参照。)し、複数の領域同士の間が1か所接続されていてもよい(複数の領域を区切る領域が切り欠き状になっていてもよい、図13(A)参照。)。また、金属板40e及びソース電極23dのいずれもゲート電極24を避けるように丸く切り欠かれている。また、金属板40eは略矩形形状をしており、各角部及び中央にそれぞれ凸部41が形成されている。このように、ソース電極23dの形状が特殊な形状をしていても本発明を適用することができる。
【0110】
実施形態10に係る半導体装置100jにおいては、図13(B)に示すように、半導体素子20aの金属フレーム側の面(回路基板10とは反対側の面)に主電極としてのソース電極23e及びドレイン電極22aの両方、並びに、副電極としてのゲート電極が形成されており、それぞれ金属フレーム(図示せず)と接続されている。そして、金属フレーム(図示せず)とソース電極23eとの間に金属板40fが配置され、金属フレーム(図示せず)とドレイン電極22aとの間に金属板40gが配置されている。
また、実施形態11に係る半導体装置100kにおいては、図13(C)に示すように、ソース電極23f及びドレイン電極22bがそれぞれ複数の領域に分割されている。
【0111】
実施形態12に係る半導体装置100lにおいては、図14に示すように、ソース電極が複数の領域に分割されており、当該複数の領域ごとに金属板40j、40k及び導電性接合材52,53が配置されている。なお、金属フレーム30は共通である。また、ソース電極が分割されたものである代わりに、異なる電極(ただし、電位が同じになる)であってもよい。
【0112】
実施形態12に係る半導体装置100lにおいては、図14に示すように、異なる半導体素子の主電極を共通の金属フレームで接続し、共通の金属フレームと各主電極との間にそれぞれ金属板を配置してもよい。
【0113】
実施形態13に係る半導体装置100mにおいては、図15に示すように、半導体素子として、ダイオードを回路基板10上に配置し、共通の配線パターン上で2つのダイオードを並列に接続してもよい。
【0114】
このように、実施形態5~13に係る半導体装置100e~100mは、金属板、凸部及びソース電極のうちの少なくとも1つの構成が実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aの場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aの場合と同様に、応力緩和構造は、金属板における主電極に対応する位置に少なくとも1つの凸部が形成された構造を有するため、凸部によって、金属板と主電極との間に少なくとも凸部の高さ分の間隔を確保でき、凸部が形成されていない領域と主電極との間隔を一定以上とすることができる。従って、金属板における凸部が形成されていない領域と主電極との間に配される導電性接合材の厚みを一定以上とすることができ、その結果、半導体素子と金属フレームとの間の導電性接合材及び金属板に作用する応力(例えば熱応力)を緩和することができる。
【0115】
なお、実施形態5~13に係る半導体装置100e~100mは、金属板、凸部及びソース電極のうちの少なくとも1つの構成以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aと同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aが有する効果のうち該当する効果を有する。
【0116】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0117】
(1)上記各実施形態において記載した構成要素の数、位置等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0118】
(2)上記実施形態3~13においては、実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置100aを基にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。各実施形態の特徴を組み合わせた半導体装置に対しても本発明は適用される。
【0119】
(3)上記実施形態1~12においては、半導体素子としてMOSFETを用い、実施形態13においては、半導体素子としてダイオードを用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態1~12において、半導体素子としてダイオードを用いてもよいし、上記実施形態3において、半導体素子としてMOSFETを用いてもよいし、上記実施形態1~13において、IGBTなど、MOSFET以外のスイッチング素子、ショットキーバリアダイオード等の整流素子、サイリスタ等の制御整流子、その他適宜の素子を用いてもよい。
【符号の説明】
【0120】
10,10a…回路基板、11…絶縁性基板、12…パターン配線層、13…放熱板、14…半導体素子載置部、15…電極部、20,955…半導体素子、21…基体、22…ドレイン電極、23…ソース電極(主電極)、24…ゲート電極(副電極)、30…金属フレーム(クリップリード、リード、端子、)、31,941…(金属フレームの)凸部、32…配線部材、33…第1の電極接続部、34…第2の電極接続部、35c…第3の電極接続部、40…金属板、41,42…(金属板の)凸部、51,52,53,54,55…導電性接合材、60…モールド樹脂、70、911…端子、100,900…半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16