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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】内視鏡用術具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022025827
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2022132156
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】63/154,380
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕昌
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕亮
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/201823(WO,A1)
【文献】特表2019-500956(JP,A)
【文献】特開2009-240380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/32
A61B 18/12 - A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端、先端、および前記先端に開口を形成するアパーチャを有するハウジングと
前記アパーチャより先端側へ延伸するように構成される絶縁体と、
記アパーチャおよび前記絶縁体を通り、記アパーチャより先端側へ延伸する延伸位置と、前記基端へ向かって後退される後退位置とを有するナイフと
前記絶縁体が前記アパーチャから離れて、かつ、前記ナイフが前記延伸位置にある際、前記ナイフに前記ハウジングの基端側への付勢力が作用する、
内視鏡用術具。
【請求項2】
前記ナイフに結合され、前記絶縁体が前記アパーチャから離れて、かつ前記ナイフが前記延伸位置にある際、前記ナイフに前記ハウジングの前記基端側への前記付勢力を作用させる付勢部材を有する、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記絶縁体よりも前記ハウジングの前記基端側に設けられている、請求項2に記載の内視鏡用術具。
【請求項4】
前記絶縁体が前記アパーチャに近接した状態では、前記アパーチャおよび前記絶縁体に対して前記ナイフが延伸した状態で前記付勢部材により維持される、請求項2に記載の内視鏡用術具。
【請求項5】
前記ハウジングは、プレートを有し、
前記付勢部材は、前記ナイフを前記プレートに結合する、
請求項2に記載の内視鏡用術具。
【請求項6】
前記プレートは、前記ナイフの一部を通過可能な寸法および形状を有する開口を定義するプレートアパーチャを有する、請求項5に記載の内視鏡用術具。
【請求項7】
前記付勢部材は、
記ハウジングの中心軸に沿って延び、
前記ナイフに結合される第一端と、前記プレートに結合される第二端と、を有する、
請求項5に記載の内視鏡用術具。
【請求項8】
前記プレートは、前記ハウジングの前記基端よりも前記基端側に配置される、請求項5に記載の内視鏡用術具。
【請求項9】
前記プレートは、前記ハウジングの剰余部に対して固定され、前記ハウジングの内部に配置される、請求項5に記載の内視鏡用術具。
【請求項10】
前記ナイフの先端にチップを有し、
記絶縁体の先端は、前記ハウジングの中心軸に沿って基端側へ延びる凹部を有し、前記ナイフを前記ハウジングの前記基端側に付勢された状態では、前記チップが前記凹部の中に配置され、かつ前記絶縁体に連結された切断部が前記ハウジングから露出する、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項11】
前記絶縁体は、前記アパーチャより先端側へ延伸する絶縁体延伸位置を有し、
前記絶縁体が前記絶縁体延伸位置に位置することにより、前記ナイフが前記延伸位置に位置する、
請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項12】
前記ナイフは、第一刃先および第二刃先の間に配置されるロッドを有し、前記第一刃先が前記第二刃先よりも長い長さを有する、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項13】
前記内視鏡用術具は、針形状のナイフ構成と、前記絶縁体を先端に有するナイフ構成とに使用されるように構成される、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項14】
前記ナイフは、前記ハウジングの中心軸に沿って配置されるロッドと、少なくとも一つの切断部とを有し、前記切断部と前記ロッドは相対的に前記中心軸に沿って移動可能に構成されている、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項15】
前記絶縁体および前記切断部を前記ロッドに対して前進させた際に、前記絶縁体および前記切断部に前記ハウジングの基端側への付勢力が作用する、請求項14に記載の内視鏡用術具。
【請求項16】
前記付勢部材は、ばねである、請求項2に記載の内視鏡用術具。
【請求項17】
前記ハウジングは、実質的に可撓性を有する材料を有する、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【請求項18】
前記ナイフの先端にチップを有し、
前記チップは、電極である、請求項1に記載の内視鏡用術具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2021年2月26日に出願された米国仮出願第63/154,380号の利益を主張し、その全文が参照により本明細書に援用される。
本開示は、内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)に用いる内視鏡用術具に関する。より詳しくは、本開示は、内視鏡的粘膜下層はく離術において、腫瘍または生体組織を切除するための内視鏡用術具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)は、患者の消化管(GI)に発生する腫瘍を切除する処置である。従来技術によれば、消化管内の腫瘍を切除するために、針形状のナイフまたは先端チップに絶縁体を有するナイフを使用する必要がある。しかしながら、術中において、複数の処置具を切り替えることで、処置自体が煩雑になり、かつ、患者が麻酔状態である時間を含む処置の時間が延びる可能性がある。さらに、既存の各種のナイフは、針形状のナイフとも呼ばれ、高周波処置を行うように構成された、絶縁体の先端チップを有さない少なくとも一つの処置具と、絶縁体の先端チップを有するナイフとも呼ばれ、絶縁体の先端チップを有しながらも高周波処置を行う処置具とを含んでもよい。ただし、実際の使用過程において、針形状のナイフは、ナイフの絶縁体よりも突出して消化管および内蔵に穿孔させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の事情を鑑みて、本開示は、消化管などの処置を簡易に行える内視鏡用術具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一つの態様によれば、内視鏡用術具は、基端、先端、および前記先端に開口を形成するアパーチャを有するハウジングと、前記アパーチャより先端側へ延伸するように構成される絶縁体と、前記アパーチャおよび前記絶縁体を通り、記アパーチャより先端側へ延伸する延伸位置と、前記基端へ向かって後退される後退位置とを有するナイフと、前記絶縁体が前記アパーチャから離れて、かつ、前記ナイフが前記延伸位置にある際、前記ナイフに前記ハウジングの基端側への付勢力が作用する
【発明の効果】
【0007】
本開示の上述各態様に係る内視鏡用術具によれば、消化管などの処置対象に意図しない穿孔の発生を回避しながら、処置を簡易にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】従来技術による内視鏡用術具の図である。
図1B】従来技術による内視鏡用術具の図である。
図1C】従来技術による内視鏡用術具の図である。
図2A】従来技術による内視鏡用術具の図である。
図2B】従来技術による内視鏡用術具の図である。
図3】本開示の一つの実施形態に係る内視鏡用術具が後退位置にある状態を示す断面図である。
図4図3に示す内視鏡用術具が部分延伸位置にある状態を示す断面図である。
図5図3に示す内視鏡用術具が延伸位置にある状態を示す断面図である。
図6A図3から図5に示す内視鏡用術具を示す側視図である。
図6B図3から図5に示す内視鏡用術具の絶縁部および切断面を示す側視図である。
図7A図5に示す内視鏡用術具が軸A-Aに沿った断面を示す断面図である。
図7B図5に示す内視鏡用術具が軸B-Bに沿った断面を示す断面図である。
図8図3に示す内視鏡用術具および操作ワイヤを一緒に示す断面図である。
図9図8に示す内視鏡用術具および追加操作ワイヤを一緒に示す断面図である。
図10A図3に示す内視鏡用術具がナイフ状態にあることを示す断面図である。
図10B図3に示す内視鏡用術具が中間状態にあることを示す断面図である。
図10C図3に示す内視鏡用術具が絶縁状態にあることを示す断面図である。
図11A図10Aに示す内視鏡用術具の断面図である。
図11B図10Aに示す内視鏡用術具の斜視断面図である。
図12A図10Bに示す内視鏡用術具の断面図である。
図12B図10Bに示す内視鏡用術具の斜視断面図である。
図13A図10Cに示す内視鏡用術具の断面図である。
図13B図10Cに示す内視鏡用術具の斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述の各図面は、本開示に係る内視鏡用術具の各実施形態の構成をよりよく理解するために用いられる。本開示に係る内視鏡用術具は、これらの図面に記載されている配置および手段などに限定されることがない。
【0010】
図1Aから図2Bを参照すると、内視鏡的粘膜下層はく離術(ESD)を行い、腫瘍を切除するための従来の内視鏡用術具が示されている。図1Aから図1Cを参照すると、公知の内視鏡用術具1は、シース3と、ナイフ5と、絶縁体11とを有してもよい。絶縁体11は、アパーチャ9を有し、ナイフ5が絶縁体11のアパーチャ9から突出することができる。ユーザは、内視鏡用術具1の二つの構成のいずれか一つ、すなわち、針形状のナイフ構成(図1Bおよび図2Aを参照、以下、「第一構成」と称する場合がある。)と、絶縁体を先端に有するナイフ構成(図1Cおよび図2Bを参照、以下、「第二構成」と称する場合がある。)と、を有する。例えば、ユーザは、ナイフ5が絶縁体11のアパーチャ9から突出し、かつ、絶縁体11がシース3内に残されるという第一構成である内視鏡用術具1を使用することが可能である。第一構成は、注意深くゆっくりとした処置に用いることにより、精密な切開や切除処置を行うことができる。例えば、ユーザは、ナイフ5および絶縁体11が内視鏡用術具1の先端において完全に伸張する第二構成である内視鏡用術具1を使用することも可能である。
【0011】
一つの実施形態において、ナイフ5のチップ7が絶縁体11内に配置され、絶縁体11がナイフ5による穿孔を防止するために用いられる。第二構成は、迅速な処置に用いられる。実際には、例えば、迅速な切除処置において、第二構成において、内視鏡用術具1のナイフ5および/またはチップ7は、絶縁体11を通って意図せず延びて、組織または消化管の偶発的な穿孔を引き起こす可能性がある。例えば、第二構成である内視鏡用術具1が急いで使用される、または迅速な切除処置に使用されると、第二構成である内視鏡用術具1をゆっくり使用する場合または第一構成を使用する場合と比較すると、消化管の穿孔を引き起こすリスクが増加する。ナイフ5は、チップ7の動作に関わらず、絶縁体11を意図せず挿通することにより、組織または消化管の穿孔を引き起こす可能性がある。消化管の穿孔は、激しい痛み、敗血症、内出血、またはその他の怪我を引き起こす可能性がある。
【0012】
図2Aおよび図2Bを参照すると、内視鏡用術具1は、シース3を有してもよい。シース3は、内層3aおよび外層3bを有してもよい。内層3aは、外層3bの内側に配置されて、ナイフ5を保護し、かつ、内視鏡用術具1に適宜な剛性を付与することができる。内層3aおよび外層3bは、内部のワイヤおよび内視鏡用術具1の部材に対して、ハウジングを提供することができる。ある実施形態において、シース3が内層3aおよび外層3bを含む2層で構成されることにより、内視鏡用術具1は、消化管などの管腔内に配置された内視鏡を挿通する際に湾曲しないように実質的に硬質に形成されている。例えば、シース3が内層3aおよび外層3bを含む2層で構成されることにより、内視鏡用術具1は、内視鏡用術具1が内視鏡に挿通される際に内視鏡の湾曲を減少また/および防止するよう硬く形成されている。
【0013】
本開示の例示的な実施形態は、内視鏡用術具を提供する。図3から図9に示すように、本開示の実施形態では、例示的な内視鏡用術具200を提供する。内視鏡用術具200は、使用時において、消化管内おける腫瘍の除去を容易にすることができる。より具体的に、内視鏡用術具200は、例えばESD処置などの処置中において、消化管に沿って位置する腫瘍を切開および切除するために使用することができる。内視鏡用術具200は、デュアルナイフ構成としても知られている針形状のナイフ構成(図3を参照、以下、「第一構成」と称する場合がある。)と、絶縁チップ(IT)ナイフ構成としても知られている絶縁体を先端に有するナイフ構成(図5を参照、以下、「第二構成」と称する場合がある。)と、を有してもよい。例えば、図3に示すように、デュアルナイフ構成は、ナイフが延伸される際、絶縁体が依然としてハウジング内に配置されてもよい。一方、図5に示すように、絶縁体を先端に有するナイフ構成は、絶縁体およびナイフの両方ともがハウジングより伸びており、かつ、ナイフの先端チップが絶縁体に形成された凹部に配置されてもよい。第一構成は、腫瘍などの組織をゆっくりと精密に切除するために使用できるが、第二構成は、組織または腫瘍を迅速かつ徹底的に除去するために使用できる。例えば、第二構成に比較して、第一構成では、延伸位置に絶縁体が配置されていないため、操作者または術者は、消化管に沿って位置し、剥離および切除が必要な腫瘍または組織を観察することができる。第一構成によれば、操作者または術者が組織または腫瘍をゆっくりと剥離することができることは、例えば、ESD処置中など、出血が予想される場合に重要である。
【0014】
実際には、第一構成である内視鏡用術具200を使用する場合、操作者または術者は、不注意によりナイフによって消化管に穿孔を引き起こすことを防ぐために、ゆっくりと進めることができる。一方、第二構成によれば、操作者または術者は、不注意に消化管に穿孔を引き起こすことを心配することなく、腫瘍または組織を迅速に切除することを可能である。たとえば、ナイフの先端に配置された絶縁体は、ナイフが誤って消化管に穿孔を引き起こすことを防ぎ、操作者または術者が迅速に必要な手順を実行できる。
【0015】
図3から図5に示すように、内視鏡用術具200は、ハウジング202と、ナイフ204と、絶縁体210と、付勢部材216と、プレート218とを有してもよい。ハウジング202は、ハウジング202の中心の長さ方向に沿って延びる仮想軸である中心軸205を有してもよい。ハウジング202は、開口またはアパーチャ219と、基端220と、先端222とを有してもよい。基端220は、先端222の反対側に配置されてもよい。ナイフ204は、中心軸205に沿ってハウジング202内に配置されてもよい。絶縁体210は、ナイフ204の先端に隣接して配置されてもよい。ナイフ204は、絶縁体210内に配置され、チップ206を有してもよい。絶縁体210とナイフ204とは、中心軸205に沿ってハウジング202および開口219より先端側へ伸びて、かつ、中心軸205に沿ってハウジング202および開口219に向かって基端側へ後退するように構成してもよい。いくつかの実施形態において、開口219が先端222に配置され、プレート218が基端側における基端220に配置される。
【0016】
いくつかの実施形態において、ナイフ204は、ロッド212と、切断面217と、先端部211とを有してもよい。ナイフ204は、ロッド212を取り囲む刃先214a、214bを有してもよい。いくつかの実施形態において、刃先214a、214bは、切断面207を有してもよい。いくつかの実施形態において、先端部211および切断面207を有するナイフ204は、組織を切開および/または焼灼するために構成されている。例えば、先端部211および切断面207は、組織を焼灼するために、加熱されるまたは電流を受けるように構成されてもよい。先端部211および切断面207は、組織を切開するためのブレードまたは鋭いエッジで構成されてもよい。先端部211および切断面207は、組織を切開および/または焼灼することができるレーザーまたは他の要素を有してもよい。切断面207は、先端部211の基端から基端側へ延びて形成されてもよい。先端部211は、チップ206および切断面207の間に配置されてもよい。例えば、ロッド212および刃先214a、214bは、先端部211の基端から基端側へ延びてもよい。しかしながら、先端部211は、ロッド212および/または刃先214a、214bを有してもよい。一つの実施形態において、ロッド212および刃先214a、214bの代わりに、一体化した刃先から構成されてもよい。ナイフ204は、アパーチャ208を介して絶縁体210を通って中心軸205に沿って延びるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210は、ハウジング202内に配置され、中心軸205に沿ってハウジング202から先端側に延びるように構成される。例えば、絶縁体210は、ハウジング202の先端222の隣に配置され、かつ、ハウジング202の開口219に配置され、開口219を通って延びる。プレート218は、ハウジング202内において、基端220の隣に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、付勢部材216は、ナイフ204をプレート218に結合するために構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態において、ハウジング202は、先端222に位置する開口219を有してもよい。開口219は、ナイフ204および絶縁体210が選択的に、中心軸205に沿ってハウジング202から延在するまたはハウジング202内に後退することを可能にしてもよい。例えば、ナイフ204および絶縁体210は、中心軸205に沿ってハウジング202の内部226内に配置され、または開口219を通って先端側へ延びるように構成されてもよい。例えば、ナイフ204は、延伸位置および後退位置を有してもよい。延伸位置(図5参照)において、ナイフ204は、中心軸205に沿って開口219から先端側へ延伸してもよい。後退位置(図3および図4参照)において、ナイフ204は、中心軸205に沿って基端220に向かって後退されてもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210は、絶縁体延伸位置および絶縁体後退位置を有してもよい。絶縁体延伸位置(図5参照)において、絶縁体210は、中心軸205に沿って開口219から先端側へ延伸してもよい。後退位置(図3参照)において、絶縁体210は、中心軸205に沿って基端220に向かって後退されてハウジング202内に収容されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、ハウジング202は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成されている。しかしながら、ハウジング202は、ポリマー、コポリマー、ゴム、またはビニルなどの他の材料から構成されてもよい。ハウジング202は、生体適合性を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、非導電性材料で構成されている。ハウジング202は、内径が約1.5mmおよび約3.0mmの間、外径が約1.5mmおよび3.5mmの間、壁の厚さが約0.05mmおよび0.5mmの間、長さが約500mmおよび3000mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング202は、厚さが約0.45mmであるPTFEによって構成されている。ハウジング202は、厚さが0.1mmおよび0.5mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング202は、所望の長さを有する任意のサイズおよび形状に形成されてもよい。例えば、ハウジング202は、内視鏡用術具200が消化管のより深い部分内の組織または腫瘍の切除のために、消化管内により深い位置に移動できるように、より長く形成されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、一般的に、内視鏡用術具200が消化管をナビゲートできるように、ハウジング202は柔軟である。ハウジング202は、内視鏡用術具200が消化管の湾曲に沿って湾曲できるよう、非剛性材料の単一のシースから構成されてもよい。例えば、ハウジング202は、可撓性を有する材料から構成される単一のシースから構成されてもよい。しかしながら、ハウジング202は、複数のシースを有する材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング202は、ユーザまたは術者が内視鏡用術具200を制御できるように、非図示のアクチュエータに連結されている。アクチュエータは、ナイフ204および絶縁体210を延伸または後退させるように構成されてもよい。例えば、アクチュエータは、ナイフ204および絶縁体210のいずれか一方または両方を延伸し、かつ、ナイフ204および絶縁体210を所望の位置にロックするように構成されてもよい。
【0020】
図3および図4を参照すると、内視鏡用術具200は、中心軸205に沿ってハウジング202内に配置されるナイフ204を有してもよい。実際には、ナイフ204は、内視鏡用術具200が第一構成(図3参照)または第二構成(図5参照)であるときに利用される。ナイフ204は、所望の組織および/または腫瘍を切除/焼灼するために使用されてもよい。例えば、ナイフ204は、消化管に沿って発見された腫瘍を焼灼するために、ナイフ204を腫瘍の隣に位置させて腫瘍を焼灼することにより、腫瘍を剥がして消化管から除去する処置に使用されてもよい。内視鏡用術具200は、消化管内の出血を防ぐために焼灼処置を行うことができる。しかしながら、ナイフ204は、焼灼せずに組織の切断のみを行うように構成されてもよい。
【0021】
図3および図5を参照すると、ナイフ204は、切断面207と、先端部211と、チップ206とを有してもよい。チップ206は、ナイフ204の先端部211の先端に配置されて、約0.25mmおよび2.5mmの間の長さを有してもよい。先端部211は、チップ206の隣に配置され、かつ、チップ206および切断面207の間に配置されてもよい。切断面207は、先端部211の隣に配置されてもよい。ナイフ204の先端部211は、内視鏡用術具200が第一構成である際に使用されてもよい。内視鏡用術具200が第一構成である際、絶縁体210がハウジング202内に位置し、先端部211がアパーチャ208を介して絶縁体210およびハウジング202から延伸してもよい。チップ206および先端部211が露出することにより、先端部211が所望の組織に接触して組織を切除/焼灼できるように、先端部211は、絶縁体210およびハウジング202から伸びてもよい。第一構成において、先端部211およびチップ206がハウジング202の外部へ延伸すると同時に、切断面207は、絶縁体210およびハウジング202内に配置された状態が維持されてもよい。第二構成において、チップ206および先端部211は、絶縁体210内に配置され、開口219およびハウジング202より延伸してもよい。さらに、第二構成において、切断面207は、所望の組織に接触して組織を切除/焼灼できるように露出してもよい。
【0022】
図3から図5を参照すると、いくつかの実施形態において、切断面207は、絶縁体の先端に連結している。切断面207は、刃先214a、214bによって取り囲まれるロッド212を有してもよい。刃先214a、214bは、ブレード、ワイヤ、鋭いコーナー、焼灼処置のための導電性材料、または組織を切断するように構成された他の表面を有してもよい。ロッド212は、ハウジング202の中心軸205に沿って配置されてもよい。刃先214a、214bは、ロッド212の周りに円筒を形成して切断面207を形成するように、ロッド212の周りに沿ってロッド212を完全に取り囲むことができる。刃先214a、214bは、切断面207の円周または周囲に滑らかできれいな切断面および焼灼面を形成するように、ロッド212を完全に取り囲むことができる。いくつかの実施形態において、刃先214a、214bは、ロッド212の周りに円周方向に結合されてもよい。しかしながら、切断面207は、ロッド212を取り囲むように単一の一体に形成した刃先を有してもよい。刃先214aまたは214bのいずれか一方のみが切断面207および/またはナイフ204に電流を提供するワイヤに結合される必要があるように、刃先214a、214bは、互いに結合されるかまたは単一の部品であってもよい。いくつかの実施形態において、切断面207の刃先214aは、切断面207の刃先214bより長い長さを有する。例えば、刃先214aは、プレート218を通過してハウジング202の長さの大部分を完全にカバーして延びるが、刃先214bは、ハウジング202の長さの一部のみをカバーしプレート218の先端側まで延びてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、切断面207は、二つよりも多い刃先を有する。例えば、切断面207は、三つ、四つ、五つ、六つ、または六つよりも多い刃先を有してもよい。切断面207が二つよりも多い刃先を有するいくつかの実施形態において、それぞれの刃先は、基端220の隣に位置する部分の幅よりも大きい幅を有し、先端222の隣に位置する部分を有してもよい。基端220に隣接するより薄い部分と比較して、先端222に隣接するより広い部分を有する刃先214a、214bのそれぞれは、切断面207が切断面207の円周または周囲に沿ったギャップを防止する連続的な円周を有するように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態において、刃先214aは、プレート218を通過し、刃先214aおよび/または刃先214bに電流を供給するための電源に結合するように延びる。例えば、刃先214aがプレート218を通過し電源に結合し、かつ、刃先214bも電源に結合するように、刃先214aが刃先214bに電気的に結合または接触してもよい。いくつかの実施形態において、刃先214a、214bは、ナイフ204が組織を焼灼できるように、導電性を有する材料で構成される。いくつかの実施形態において、チップ206は、ナイフ204の先端に配置された電極であり、高周波電流がナイフ204を流れることにより、ナイフ204が焼灼処置に使用できるように構成されている。
【0025】
一つの好ましい実施形態において、ナイフ204は、ステンレス鋼で構成されている。例えば、ロッド212および刃先214a、214bは、ステンレス鋼で構成されていてもよい。しかしながら、ナイフ204は、他の導電性を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、ナイフ204は、ハウジング202内に配置され得る絶縁体210のアパーチャ208を介して、ハウジング202の外部へ延伸し、またはハウジング202の内部に引き込まれるように構成される。例えば、ナイフ204の先端部211は、絶縁体210を通ってハウジング202の外部に部分的に延伸するように構成されてもよい(図3参照)。先端部211および切断面207は、絶縁体210とともにハウジング202から完全に延伸してもよい(図5参照)。先端部211および切断面207は、絶縁体210がハウジング202の開口219の隣に配置される際、絶縁体210内に後退してもよい(図4参照)。内視鏡用術具200が第一構成であり、先端部211が所望の組織に接触できるように、先端部211およびナイフ214がハウジング202より部分的に延伸してもよい(図3参照)。例えば、ナイフ204の先端部211およびチップ206が所望の組織に対して露出するように、ナイフ204が部分的に延伸してもよい。ナイフ204の先端部211は、絶縁体210がハウジング202内に配置された状態が維持されながら、部分的にハウジング202から延伸してもよい。
【0026】
実際には、操作者または術者は、ナイフ204の伸縮を制御するために、非図示のアクチュエータを使用してもよい。例えば、操作者または術者は、第一構成である内視鏡用術具200を使用する際、先端部211およびチップ206のみが開口219およびハウジング202から延伸して露出するように、アクチュエータを係合してナイフ204を延伸させてもよい。いくつかの実施形態において、第一構成において(図3参照)、ナイフ204のチップ206が絶縁体210から1.5mmおよび2mmの間に延伸することの結果、先端部211が1.5mmおよび2mmの間である。例えば、第一構成において、先端部211およびチップ206が露出し、切断面207およびナイフ204の残りの部分がハウジング202内に位置する絶縁体210内に配置されるように、ナイフ204が延伸してもよい。第一構成において、チップ206および絶縁体210の間の距離、そして先端部211の長さは、0.5mmおよび3mmの間、0.75mmおよび2.5mmの間、および1mmおよび2mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210の長さは、3mmおよび4mmの間である。しかしながら、絶縁体210の長さは、2mmおよび5mmの間、2.5mmおよび4.5mmの間、および3mmおよび3.5mmの間であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、ナイフ204は、絶縁体210を挿通するように配置される。絶縁体210は、開口および中心軸205に沿って配置された中心ボア215によって定義されたアパーチャ208を有し、ナイフ204が中心ボア215に沿って移動し、アパーチャ208から出入りしてもよい。例えば、ナイフ204は、ハウジング202から出入りする際、アパーチャ208および中心ボア215を通過するように構成されてもよい。実際には、第一構成(図3参照)において、ナイフ204の先端部211は、ハウジング202および絶縁体210の外部に一部延伸してもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210は、約5mmの最大径を有する。しかしながら、絶縁体210は、0.5mmおよび1mmの間、1mmおよび3.5mmの間、または1.5mmおよび3mmの間の最大径を有してもよい。さらに、絶縁体210は、約5mmの長さを有してもよい。しかしながら、絶縁体210は、0.5mmおよびら5mmの間、0.75mmおよび3mmの間、1mmおよび2.5mmの間、または1.5mmおよび2mmの間の長さを有してもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210は、例えば、セラミックのような非導電性を有する材料で構成されている。しかしながら、絶縁体210は、PTFE、ポリマー、共重合体、ゴム、または他の非導電性材料から構成されてもよい。絶縁体210は、絶縁性の材料で構成され、あるいは、絶縁コーティングを有する導電性または非導電性の材料で構成されてもよい。いくつかの実施形態において、絶縁体210の外面は、絶縁体210が組織を破壊したり、組織に害を及ぼしたりすることなく組織に接触できるように、実質的に滑らかであってもよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、絶縁体210は、凹部224を有する。凹部224は、ナイフ214が引き込まれた位置にあるとき、または絶縁体210がナイフ204に沿って開口部219から先端側に延びるときに、チップ206を収容できる寸法および形状に形成されてもよい。例えば、ナイフ204が固定位置にロックされた際、絶縁体210が先端側へ延びることにより、絶縁体210は、ナイフ204および/または中心軸205に沿って先端側へ移動してもよい。凹部224は、絶縁体210の先端に配置され、かつ、中心軸205に沿って絶縁体の先端から基端側へ延びてもよい。いくつかの実施形態において、ナイフ204は、後退位置にあり、初期状態でハウジング202内部に配置された絶縁体210内に配置されてもよい。例えば、チップ206は、絶縁体210が先端側へ延びる際、チップ206およびナイフ204も先端側へ延びるように、凹部224内に配置されてもよい。
【0029】
図3から図5を参照すると、凹部224は、チップ206の半径よりも大きい半径を有し、かつ、チップ206の長さよりも大きい深さを有してもよい。例えば、チップ206は、約0.25mmおよび1.5mmの間の半径、および0.10mmおよび0.5mmの間の長さを有してもよい。いくつかの実施形態において、凹部224は、約0.5mm以上の深さを有する。例えば、凹部224は、0.2mmおよび2.5mmの間、0.5mmおよび2mmの間、または1mmおよび1.5mmの間、または0.5mmよりも大きい深さを有してもよい。凹部224は、チップ206が一旦凹部224内に配置されてからさらに基端側へ移動することを防止することにより、ナイフ204がさらにハウジング202内に後退されることを防止するように構成されてもよい。例えば、凹部224は、中心ボア215よりも大きい直径を有することにより、チップ206が凹部224を超えて基端側へ後退することを防止できる。いくつかの実施形態において、ナイフ204のチップ206が凹部224内に配置され、かつ、絶縁体210が先端側へ延びることにより、絶縁体210は、チップ206およびナイフ204を先端側へ押し出す。例えば、ナイフ204のチップ206が凹部224内に配置される際、絶縁体210がナイフ204のチップ206を押すことにより、絶縁体210の延伸がナイフ204の延伸を引き起こす。チップ206が凹部224内に配置されることにより、先端部211が中心ボア215内に配置される。例えば、第二構成において、絶縁体210がハウジング202から先端側へ延びるとき、チップ206は、凹部224内に配置され、かつ、先端部211が絶縁体210の中心ボア215内に配置されることにより、切断面207が露出し所望の組織に接触することができる。
【0030】
図6Aおよび図6Bを参照すると、絶縁体210は、ナイフ204の一部を収容する寸法および形状に構成されてもよい。例えば、ナイフ204の先端部211は、絶縁体210の中心ボア215内に配置され、中心ボア215に沿って延びることが可能である。いくつかの実施形態において、先端部211は、直径Dを有し、ロッド212は、直径Dを有する。直径Dは、約0.2mmおよび0.8mmの間であり、直径Dは、約0.05mmおよび0.5mmの間であってもよい。直径Dは、直径Dよりも大きくてもよい。直径Dは、約0.4mmであってもよい。しかしながら、直径Dは、0.1mmおよび2mmの間、0.3mmおよび0.6mmの間、または0.5mmおよび1mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、先端部211の直径Dは、切断面207の直径と同じである。いくつかの実施形態において、ロッド212の直径Dと刃先214a、214bの厚さとの合計が直径Dと同じである。図6Bを参照すると、中心ボア215は、直径Dよりも大きい直径Dを有してもよい。例えば、直径Dは、直径DよりもデルタΔだけ大きくてもよい。直径Dは、約0.25mmおよび0.75mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、内視鏡用術具200は、直径Dを有する。直径Dは、切断面207が中心軸205に沿って中心ボア215内において、長手軸方向で移動するための十分の空間を確保するために、直径DおよびデルタΔの合計と同じであってもよい。例えば、直径Dは、中心ボア215の直径Dよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態において、直径Dは、約0.05mmおよび0.5mmの間であってもよい。いくつかの実施形態において、デルタΔは、約0.01mmおよび0.05mmの間であってもよい。デルタΔは、例えば、にかわまたは接着剤などのボンディング材を添加するために、切断面207と中心ボア215との間のクリアランスを確保できる。そして、デルタΔは、絶縁体210が後退位置にあるときにおけるその自然な長さである。付勢部材216は、絶縁体210が絶縁体延伸位置にある際、延伸されるようになってもよい。延伸位置において、付勢部材216は、ナイフ204およびチップ206に対し、ナイフ204およびチップ206を基端220側に牽引するための付勢力を提供する。
【0031】
代替の実施形態において、付勢部材216がプレート218の基端側243に隣接するロッド212に結合するように、ロッド212がプレート218を通って延びて、かつ、付勢部材216がプレート218の基端側243に結合してもよい。例えば、付勢部材216が基端側へ延びて、かつ、ロッド212を基端220に向けて押すように構成されるように、付勢部材216は、プレート218の基端側243に結合してもよい。プレート218の基端側243に結合し、かつ、ロッド212を基端220に向けて押すように構成された付勢部材216は、ナイフ204およびチップ206が意図せず絶縁体210を通って延びることを防止することができる。
【0032】
図3から図5を参照すると、内視鏡用術具200は、針形状のナイフ構成(図3を参照、第一構成)と、絶縁体を先端に有するナイフ構成(図4を参照、第二構成)と、に構成されてもよい。内視鏡用術具200は、先端部211およびナイフ204のチップ206が開口219から離れて、絶縁体210の外部に延びる際、第一構成になる。例えば、第一構成は、ナイフ204が開口219から先端側に延びる一方、絶縁体210が依然としてハウジング202内に配置される際に構成されてもよい。第一構成において、ナイフ204の先端部211は、非図示のアクチュエータによって、ハウジング202内に格納されることが防止される。実際には、第一構成(図3を参照)から第二構成(図5を参照)に遷移する際、絶縁体210を延伸させるために、非図示のアクチュエータが使用される。図4に示すように、チップ206およびナイフ204が絶縁体210の凹部224内に配置されるように、絶縁体210が開口219から延伸してもよい。絶縁体210が開口219およびハウジング202から延伸する一方、ナイフ204の先端部211が延伸または後退しないことにより、絶縁体210の凹部224がチップ206に接触するため、チップ206が凹部224に接触し、凹部224内に配置されるようになる。図5に示すように、絶縁体210が引き続き開口219から先端側へ延伸することに伴い、絶縁体210がチップ206を開口219から先端側へ押し出すことにより、ナイフ204が絶縁体210とともに先端側へ延伸される。
【0033】
いくつかの実施形態において、付勢部材216は、チップ206およびナイフ204に付勢力を作用させることにより、絶縁体210が開口219およびハウジング202から離れて延びる際、チップ206が依然として凹部224内に配置される。例えば、付勢部材216によってチップ206を基端220に向かって牽引するための付勢力は、絶縁体210がチップ206を開口219から先端側へ延伸させる力量と反対方向に作用する。いくつかの実施形態において、絶縁体210が先端側へ延伸する際、付勢部材216による付勢力は、絶縁体210がチップ206に作用力量よりも小さいため、絶縁体210が先端側へ延伸するとともに、チップ206が依然に基端220に向かって付勢される。絶縁体210が使用中に延伸位置にロックされることが可能であり、かつ、付勢部材216によってナイフ204のチップ206に作用する付勢力によれば、チップ206が凹部224内に牽引されて、チップ206およびナイフ204が意図せず突出することが防止される。
【0034】
いくつかの実施形態において、絶縁体210が開口219から延伸し、ロックされた延伸位置にある際、プレート218およびロッド212に結合された付勢部材216は、延伸される。付勢部材216の延伸により、ロッド212を基端220に向かって牽引する付勢力が発生する。付勢部材216によってロッド212を基端220に向かって牽引する付勢力によれば、ナイフ204のチップ206が凹部224内に位置することが維持される。
【0035】
図3から5および図7Aから図7Bを参照すると、付勢部材216は、プレート218に結合してもよい。プレート218は、硬質な材料で構成され、例えば、金属、鋼、樹脂、またはポリマーなどで構成されてもよい。プレート218は、円形に形成され、ハウジング202の内部226内に配置されてもよい。しかしながら、プレート218は、長方形、楕円形、正方形、三角形、半円形、または任意の他の所望の形状で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、プレート218は、ハウジング202の内径と実質的に同様の直径を有する。いくつかの実施形態において、プレート218は、ハウジング202の内周全体に延びて形成され、ハウジング202の外径よりも小さい直径を有してもよい。しかしながら、プレート218は、ハウジング202の内周の一部のみに延びて形成されてもよい。例えば、プレート218は、10°および345°の間、45°および300°の間、90°および270°の間、120°および225°の間、または180°および200°の間でのみ延びて形成されてもよい。プレート218は、中心軸205に対して実質的に垂直になるようにハウジング202内に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、プレート218は、約0.5mmおよび5mmの間の厚さを有する。プレート218の厚さは、内視鏡用術具200の湾曲を妨げないようなサイズに設定することができる。いくつかの実施形態において、プレート218は、ロッド212および刃先214a、214bを含む切断面207を固定し安定化するために構成され、意図しない横方向の移動を防止する。
【0036】
いくつかの実施形態において、プレート218は、プレート開口またはプレートアパーチャ230を有する。プレート218は、二つ以上のプレート開口230を有してもよい。例えば、プレート218は、二つ、三つ、四つ、五つ、または六つのプレート開口230を有してもよい。いくつかの実施形態において、プレート218は、二つ以上のプレート開口230を有することにより、複数の刃先をプレート218に通過させることができる。いくつかの実施形態において、内視鏡用術具200は、複数の刃先を有し、少なくとも一つの刃先が二つ以上のプレート開口230を通過するように配置されてもよい。いくつかの実施形態において、プレート218は、二つ以上のプレート開口230を有し、それぞれのプレート開口230は、隣接するプレート開口230から等距離であってもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、プレート開口またはプレートアパーチャ230は、少なくとも一つの刃先214a、214bがプレート218を通過できるような寸法および形状に形成されてもよい。好ましい実施形態では、プレート218は、付勢部材216がプレート218に結合できるように、刃先214aまたは214bのうちの1つのみを通過させる。例えば、それぞれがプレート218の半分をまたがる刃先214a、214bの両方ともをプレート218を通過させることにより、中心軸205に沿って、付勢部材216がプレート218に結合する点231に穴を形成する。このため、点231において、付勢部材216をプレート218に結合するために、プレート218は、刃先214aまたは214bのいずれか一方がプレート218を通過するように構成された一つのプレート開口230を有する。しかしながら、プレート218は、付勢部材216をプレート218に結合するための点231を維持するとともに、複数の刃先がプレート218を通過させるために構成された複数のプレート開口230を有してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、刃先214aは、刃先214bよりも大きい長さを有することにより、刃先214aがプレート218のプレート開口230を通って延びることが可能である。例えば、刃先214bは、約2mmおよび約5mmの間の長さを有し、刃先214aは、約4mmおよび約10mmの間の長さを有してもよい。プレート開口230は、刃先214aまたは刃先214bが通過可能な寸法および形状に形成してもよい。例えば、プレート開口230は、半円形の形状で形成されてもよい。しかしながら、プレート開口230は、長方形、三角形、楕円形、または任意の他の所望の形状で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、プレート開口230は、プレート218において、中心軸205からオフセットされた位置に配置されている。いくつかの実施形態において、プレート開口230は、プレート218の周りに360°未満に伸びている。例えば、プレート開口230は、プレート218の周りに10°および345°の間、45°および300°の間、90°および270°の間、120°および225°の間、または180°および200°の間で延びてもよい。いくつかの実施形態において、プレート開口230は、プレート218の周りに30°および330°の間で延びている。プレート開口230は、刃先214aまたは刃先214bのいずれか一つを受け入れる寸法および形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、プレート218は、約0.01mmから0.05mmの間の長さを有している。
【0039】
図7Aおよび図7Bを参照すると、内視鏡用術具200の断面図が示されている。図7Aは、図5における軸A-Aに沿ったプレート218の断面図が示されている。図7Bは、図5における軸B-Bに沿ったプレート218の断面図が示されている。軸A-Aは、開口219および先端222に隣接しており、軸B-Bは、付勢部材216がプレート218に結合する点231および基端220に隣接している。軸A-Aにおいて、刃先214aおよび刃先214bの両方とも存在する。しかしながら、点231に隣接する軸B-Bにおいて、刃先214aが存在しないため、付勢部材216が点231に結合している。刃先214aおよび214bの両方がプレート開口230を通過した場合、刃先214aおよび214bがロッド212の周りに円柱体を形成するため、刃先214aおよび214bが点231に孔を作成する。これにより、付勢部材216は、点231において、プレート218に結合することが不可能になる。
【0040】
図8を参照すると、内視鏡用術具200は、ナイフ204に電流を供給するための導電ワイヤを有してもよい。一つの実施形態において、図8に示すように、内視鏡用術具200は、単一の操作ワイヤ234を有してもよい。操作ワイヤ234は、溶接スポット232を介して刃先214aに溶接されてもよい。操作ワイヤ234は、ナイフ204に電流を流して組織を切除または焼灼できるように、非図示の電源から刃先214aを通って刃先214bに電流を供給するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、切断面207は、操作ワイヤ234の先端に接続されている。操作ワイヤ234は、内視鏡用術具200が第一構成または第二構成であるかに関係なく、ナイフ204に電流を供給できるように構成されてもよい。
【0041】
図9に示すように、いくつかの実施形態において、内視鏡用術具200は、二つ以上の操作ワイヤを有してもよい。例えば、内視鏡用術具200は、操作ワイヤ236および操作ワイヤ238を有してもよい。操作ワイヤ236は、非図示の電源から刃先214aを通って切断面207に電流を供給するように、刃先214aに結合してもよい。さらに、操作ワイヤ238は、プレート218に結合され、かつ、例えば、付勢部材216を通って切断面207および先端部211の少なくとも一方または両方に電流を供給するように構成されてもよい。しかしながら、内視鏡用術具200は、所望のように複数の操作ワイヤを有してもよい。例えば、内視鏡用術具200は、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八、または八つよりも多い操作ワイヤを有してもよい。
【0042】
図3および図10Aから図13Bまでを参照すると、内視鏡用術具200は、第二絶縁体240を有してもよい。第二絶縁体240は、内面240aおよび外面240bを有し、基端240cおよび先端240dを有してもよい。第二絶縁体240の基端240cは、ハウジング202内に位置してもよい。第二絶縁体240の先端240dは、ハウジング202の先端222に隣接し、あるいは同一平面に位置してもよい。第二絶縁体240の内面240aは、先端240dにおける径が基端240cにおける径よりも狭い断面を有してもよい。
【0043】
内視鏡用術具200は、連結部材242と、一つ以上の突起244とを有してもよい。連結部材242は、付勢部材216を囲み込んで、かつ、第二絶縁体240の内面240aに挿入可能であってもよい。
【0044】
図10Aから図13Bに示す構成によれば、操作ワイヤ234を進退させることにより、上述の針形状のナイフ構成(ナイフ状態)と、絶縁体210をチップ206に有するナイフ204の構成(絶縁体状態)とを切り換えることが可能である。図10Aに示すナイフ状態では、操作ワイヤ234が完全に格納され、付勢部材216が平衡状態にある。図10Bには、ナイフ状態および絶縁体状態の間にある中間状態が示されている。図10Cに示す絶縁体状態では、絶縁体がチップに位置する。図10Cに示す絶縁体状態において、操作ワイヤ234が完全に延伸されて、かつ、付勢部材216が圧縮状態にある。
【0045】
図10Aおよび図11Aから図11Bに示すナイフ状態において、内視鏡用術具200は、針形状のナイフ構成に使用されることが可能である。絶縁体210は、切断面207の先端に連結されてもよい。切断面207の基端は、連結部材242の基端に連結されてもよい。連結部材242は、操作ワイヤ234に連結されてもよい。連結部材の円周面は、1つまたは複数の突起244に対応する1つまたは複数の細長い開口242aを有してもよい。連結部材242の内部は、付勢部材216を収容してもよい。付勢部材216は、連結部材242の内部に連結されてもよい。
【0046】
図10Bおよび図12Aから図12Bに示す中間状態において、操作ワイヤ234は、部分的に前進または後退される。付勢部材216は、平衡状態にあってもよい。一つ以上の突起244は、第二絶縁体240の基端240cに接触してもよい。絶縁体210は、第二絶縁体240の先端240dから分離されてもよい。図10Bおよび図12Aから図12Bに示す例において、操作ワイヤ234は、一つ以上の突起244が第二絶縁体240の基端240cに接触するまで前進されてもよい。第二絶縁体240の貫通穴の基端の直径、例えば、第二絶縁体240の基端240cに隣接する内面240aの直径は、一つ以上の突起244よりも小さくてもよいため、上方内部バリア240eを形成する。このため、操作ワイヤ234が前進されると、一つ以上の突起244は、第二絶縁体240の基端240cに接触してからさらに前進することがない。このため、ナイフ204は、さらに前進することもない。しかしながら、一つ以上の突起244が連結部材242に設けられた開口242aに沿って移動することにより、連結部材242がさらに前進することが可能である。
【0047】
操作ワイヤ234が図10Bおよび図12Aから図12Bに示された中間状態から前方へ移動されると、図10Cおよび図13Aから図13Bの例に示された絶縁体状態が得られる。操作ワイヤ234が前進されると、連結部材242は、連結部材242の先端が上方内部バリア240eにおける第二絶縁体240の先端240dの近傍にある狭窄部に接触するまで前進される。上方内部バリア240eにおける接触は、連結部材242が第二絶縁体240の先端240dより押し出されることを阻止すると同時に、切断面207および絶縁体210が引き続き前進されることが可能である。連結部材242が前進されると、付勢部材216が圧縮状態になるまで切断面207および絶縁体210も前進される。このため、絶縁体210は、ナイフ204よりもさらに前進されることが可能である。この結果、チップ206は、凹部224内に配置され、かつ、絶縁体210内によって横方向に囲まれる。図10Cおよび13Aから図13Bに示す絶縁体状態において、内視鏡用術具200は、絶縁体210がチップ206に位置するナイフ204として使用されることが可能である。
【0048】
内視鏡用術具200は、図10Aから図13Bに示された操作を逆にすることにより、絶縁体状態からナイフ状態に変更されることが可能である。このような逆操作は、少なくとも操作ワイヤ234が平衡長さになるまで後退されることにより実現できる。このため、内視鏡用術具200は、絶縁体状態から中間状態に、そしてナイフ状態に遷移される。
【0049】
当業者は、その広範な発明概念から逸脱することなく、上記に示し、説明した例示的な実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明は、示され説明された例示的な実施形態に限定されないが、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内の変更をカバーすることを意図していることが理解される。例えば、例示的な実施形態の特定の特徴は、特許請求される発明の一部である場合もそうでない場合もあり、開示された実施形態の様々な特徴を組み合わせることができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
200 内視鏡用術具
202 ハウジング
204,214 ナイフ
206 チップ
207,217 切断面
208 アパーチャ
210 絶縁体
211 先端部
214a,214b 刃先
215 中心ボア
216 付勢部材
220,240c 基端
222,240d 先端
224 凹部
230 プレート開口
231 点
234,236,238 操作ワイヤ
240a 内面
240e 上方内部バリア
242 連結部材
242a 開口
244 突起
D1,D2,D3,D4 直径
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B