(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-22
(45)【発行日】2023-06-30
(54)【発明の名称】スタックテーブル
(51)【国際特許分類】
A47B 3/08 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
A47B3/08 C
(21)【出願番号】P 2022063497
(22)【出願日】2022-04-06
(62)【分割の表示】P 2017213283の分割
【原出願日】2017-11-02
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 高央
(72)【発明者】
【氏名】本間 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 香代子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-20538(JP,U)
【文献】特開2015-213608(JP,A)
【文献】特開2013-153773(JP,A)
【文献】特開2010-136996(JP,A)
【文献】特開2009-172358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の脚体と、
前記脚体の上部に設けられた主軸を介して前記脚体に支持されるとともに、前記主軸回りに第1方向に回動することによって、略水平な水平姿勢から前記脚体の後縁に沿う起立姿勢に切り替え可能な天板と、
前記天板が前記水平姿勢のときに当該天板の下方であって前記脚体よりも後側に前記天板と所定の間隔を空けて垂下する使用姿勢と、前記天板が前記起立姿勢のときに前記脚体の後縁に沿うようにして当接した状態で収納される収納姿勢と、の間で姿勢を変化させる幕板と、
前記天板と前記幕板とを連結するとともに前記天板の回動に連動することによって、前記幕板の姿勢を制御する幕板制御機構と、
を備えるスタックテーブルであって、
前記幕板制御機構は、
前記天板の下面に固定され、前記主軸と平行に設けられた上部幕板回動軸を介して前記幕板を枢支する幕板支持部と、
ステー回動軸を介して前記脚体に枢支されたステーと、
前記幕板の前面に固定され、前記上部幕板回動軸よりも下方に位置する下部幕板回動軸を介して前記ステーと枢着される幕板側ステー支持部と、を有し、
前記下部幕板回動軸は、前記ステーに設けられた軸部によって形成され、
前記幕板側ステー支持部は、前記軸部を受け入れる軸受孔を有し、
前記軸受孔は、当該軸受孔に対する前記軸部の相対的な移動を許容する、
スタックテーブル。
【請求項2】
前記幕板側ステー支持部は、前記軸受孔の内縁を前記軸部に当接させることによって、前記幕板の前記上部幕板回動軸回りの前記第1方向への回動を規制する、
請求項1に記載のスタックテーブル。
【請求項3】
前記天板を前記水平姿勢から前記起立姿勢に切り替えるために前記天板を前記主軸回りに前記第1方向に回動させると、前記天板が前記起立姿勢に至るまでの間に、前記幕板が前記脚体の後縁に当接した当接状態となり、
前記軸受孔は、前記幕板が前記使用姿勢にある状態から前記当接状態に至るまでの間における、当該軸受孔に対する前記軸部の相対的な移動を許容する、
請求項1又は2に記載のスタックテーブル。
【請求項4】
前記ステーは、長さを変更可能に形成されている、
請求項
1から3の何れか一項に記載のスタックテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタックテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
天板を水平な水平姿勢と垂直に起立した起立姿勢とに変更自在であり、天板を起立姿勢とすることで複数のテーブルを水平方向に重ねて並べることができるスタックテーブル(折畳式テーブル)がある。このようなスタックテーブルとしては、左右の脚体の上端部に天板の下面両側部を回動可能に連結し、天板を回動させることによって天板を水平姿勢と起立姿勢とで切り替え可能なものが広く利用されている。そして、天板の後部の下方に幕板を設け、当該幕板を天板の回動動作と連動して回動させるようにリンク連結することで、天板が水平姿勢のときに幕板を略垂直とし、天板が起立姿勢のときに幕板を脚体と天板との間に収納するスタックテーブルが各種提供されている。
【0003】
このような幕板を備えたスタックテーブルにおいては、天板の下面や幕板の前面に設けられた配線ダクトにアクセス可能とするために、天板が水平姿勢の際に、天板の下面と幕板の上端部との間に隙間を設けることが好ましい。また、天板の姿勢が水平姿勢から起立姿勢に切り替わる際に、天板の下面と幕板の上端部との間の隙間に使用者の指などが挟まれないように、当該隙間を所定の間隔以上に保つ必要がある。これに関連して、例えば、特許文献1には、幕板を上方位置と下方位置とで切り換え可能とするとともに、幕板が下方位置にあるときに天板と幕板との間から手を入れて天板の下面に配された配線ダクト上の配線作業が行えるように天板と幕板との間隔が設計されているスタックテーブルが開示されている。また、特許文献2には、幕板の前面に配された配線ダクトにアクセス可能とするために天板の下面との間に隙間を形成して幕板が配されたスタックテーブルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5232617号公報
【文献】特開2015-89425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、スタックテーブルにおいて、幕板に対して生じる負荷を低減することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を採用した。即ち、本発明に係るスタックテーブルは、
左右の脚体と、
前記脚体の上部に設けられた主軸を介して前記脚体に支持されるとともに、前記主軸回りに第1方向に回動することによって、略水平な水平姿勢から前記脚体の後縁に沿う起立姿勢に切り替え可能な天板と、
前記天板が前記水平姿勢のときに当該天板の下方であって前記脚体よりも後側に前記天板と所定の間隔を空けて垂下する使用姿勢と、前記天板が前記起立姿勢のときに前記脚体の後縁に沿うようにして当接した状態で収納される収納姿勢と、の間で姿勢を変化させる幕板と、
前記天板と前記幕板とを連結するとともに前記天板の回動に連動することによって、前記幕板の姿勢を制御する幕板制御機構と、
を備え、
前記幕板制御機構は、
前記幕板の前面に固定された幕板側リンク支持部と、
前記主軸と平行に設けられた第1回動軸を介して前記幕板側リンク支持部に枢着されるリンクと、
前記天板の下面に固定され、前記主軸と平行な第2回動軸を介して前記リンクを枢支する天板側リンク支持部と、を有し、
前記天板を前記水平姿勢から前記起立姿勢に切り替えるために前記天板を前記主軸回りに前記第1方向に回動させると、前記天板が前記起立姿勢に至るまでの間に、前記幕板が前記脚体の後縁に当接した当接状態となり、
前記幕板が前記当接状態となってから、前記天板を前記主軸回りに前記第1方向に更に回動させると、前記リンクが前記第2回動軸回りに前記第1方向とは反対の第2方向に回動することによって、前記天板が前記幕板に対向するようにして接近する。
【0008】
本発明に係るスタックテーブルによると、天板を水平姿勢から起立姿勢に変更する過程において、幕板が当接状態となってからリンクが第2方向に回動し、天板が幕板と接近する。これにより、幕板が当接状態に至るまでは、天板と幕板との間に所定の間隔を確保することができ、且つ、天板が起立姿勢となったときには、天板と幕板との間隔を短縮することができる。これによれば、天板を水平姿勢から起立姿勢に変更する過程において、天板と幕板との間に使用者の指等の介在物が挟まれることを防止しつつも、天板が起立姿勢となったときには、前後方向における収納効率を高めることができる。
【0009】
また、前記天板側リンク支持部は、前記幕板が前記使用姿勢にあるとき、前記リンクが前記第2回動軸回りに前記第1方向へ回動することを規制してもよい。
【0010】
これによると、幕板が使用姿勢にあるときにおいて、幕板の重量やリンクの自重によってリンクが第2回動軸回りに第1方向へ回動することが規制される。そのため、幕板の使用姿勢を維持することができる。
【0011】
また、前記リンクは、前記幕板が前記収納姿勢の状態において、前記第2回動軸回りに前記第2方向へ更に回動可能であってもよい。
【0012】
これによると、幕板と脚体との間に使用者の指等の介在物が挟まれた場合であっても、リンクが第2回動軸回りに第2方向へ回動するため、幕板を後方へ逃がすことができる。その結果、幕板と脚体との間に挟まれた介在物に大きな挟圧力が作用することを抑制することができる。
【0013】
また、前記幕板制御機構は、
第3回動軸を介して前記脚体に枢支されたステーと、
前記幕板の前面に固定され、前記第1回動軸よりも下方に位置する第4回動軸を介し
て前記ステーを枢着する幕板側ステー支持部と、を有し、
前記第4回動軸は、前記ステーに設けられた軸部によって形成され、
前記幕板側ステー支持部は、前記軸部を受け入れる軸受孔を有し、前記軸受孔の内縁を前記軸部に当接させることによって、前記幕板の前記第1回動軸回りの前記第1方向への回動を規制し、
前記軸受孔は、前記幕板が前記使用姿勢にある状態から前記当接状態に至るまでの間における、当該軸受孔に対する前記軸部の相対的な移動を許容してもよい。
【0014】
これによると、幕板が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間における、軸受孔に対する軸部の相対的な移動によって、幕板側ステー支持部が付勢されることが抑制される。これにより、幕板が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間に、幕板が持ち上げられることが抑制されるため、幕板が当接状態に至るまでの間に天板と幕板との間に所定以上の間隔を確保することができる。
【0015】
また、本発明は、
左右の脚体と、
前記脚体の上部に設けられた主軸を介して前記脚体に支持されるとともに、前記主軸回りに第1方向に回動することによって、略水平な水平姿勢から前記脚体の後縁に沿う起立姿勢に切り替え可能な天板と、
前記天板が前記水平姿勢のときに当該天板の下方であって前記脚体よりも後側に前記天板と所定の間隔を空けて垂下する使用姿勢と、前記天板が前記起立姿勢のときに前記脚体の後縁に沿うようにして当接した状態で収納される収納姿勢と、の間で姿勢を変化させる幕板と、
前記天板と前記幕板とを連結するとともに前記天板の回動に連動することによって、前記幕板の姿勢を制御する幕板制御機構と、
を備えるスタックテーブルであって、
前記幕板制御機構は、
前記天板の下面に固定され、前記主軸と平行に設けられた上部幕板回動軸を介して前記幕板を枢支する幕板支持部と、
ステー回動軸を介して前記脚体に枢支されたステーと、
前記幕板の前面に固定され、前記上部幕板回動軸よりも下方に位置する下部幕板回動軸を介して前記ステーと枢着される幕板側ステー支持部と、を有し、
前記天板を前記水平姿勢から前記起立姿勢に切り替えるために前記天板を前記主軸回りに前記第1方向に回動させると、前記天板が前記起立姿勢に至るまでの間に、前記幕板が前記脚体の後縁に当接した当接状態となり、
前記下部幕板回動軸は、前記ステーに設けられた軸部によって形成され、
前記幕板側ステー支持部は、前記軸部を受け入れる軸受孔を有し、前記軸受孔の内縁を前記軸部に当接させることによって、前記幕板の前記上部幕板回動軸回りの前記第1方向への回動を規制し、
前記軸受孔は、前記幕板が前記使用姿勢にある状態から前記当接状態に至るまでの間における、当該軸受孔に対する前記軸部の相対的な移動を許容してもよい。
【0016】
これによっても、幕板が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間における、軸受孔に対する軸部の相対的な移動によって、幕板側ステー支持部が付勢されることが抑制される。その結果、幕板が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間に、幕板や幕板支持部に対して軸部によって生じる負荷を低減することができる。
【0017】
更に、前記ステーは、長さを変更可能に形成されていてもよい。
【0018】
これによると、天板の前後幅を変更した場合であっても、天板以外の部材を共通化する
ことができる。
【0019】
なお、上記課題を解決するための手段の内容は、本発明の課題や技術的思想を逸脱しない範囲で可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スタックテーブルにおいて、天板と幕板との間に使用者の指等の介在物が挟まれることを防止しつつも、前後方向における収納効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係るスタックテーブルが使用状態にあるときの全体斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るスタックテーブルが使用状態にあるときの側面図である。
【
図3】本実施形態に係るスタックテーブルが折畳状態にあるときの全体斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るスタックテーブルが折畳状態にあるときの側面図である。
【
図5】使用状態にあるスタックテーブルの中央を左右方向と直交する平面で中央を切断したときの断面図である。
【
図6】本実施形態に係る幕板制御機構の分解図である。
【
図7】リンク部材が天板側ブラケットと幕板側ブラケットに枢支された状態を示す図であって、軸方向と直交する平面で中央を切断したときの断面図である。
【
図10A】本実施形態に係るスタックテーブルを使用状態から折畳状態にするときの動作を説明するための図であって、天板が水平姿勢にある状態を示す図である。
【
図10B】本実施形態に係るスタックテーブルを使用状態から折畳状態にするときの動作を説明するための図であって、幕板が当接状態に至った状態を示す図である。
【
図10C】本実施形態に係るスタックテーブルを使用状態から折畳状態にするときの動作を説明するための図であって、天板が起立姿勢に至った状態を示す図である。
【
図11A】
図10Aに示す状態における、第4軸長孔と第4軸部との関係を示す図である。
【
図11B】
図10Bに示す状態における、第4軸長孔と第4軸部との関係を示す図である。
【
図11C】
図10Cに示す状態における、第4軸長孔と第4軸部との関係を示す図である。
【
図12】幕板が使用姿勢から当接状態に至るまでの間における、天板に対する幕板及びリンクの姿勢の変化を示す図である。
【
図13】本実施形態に係るスタックテーブルにおいて、天板が水平姿勢にあるときの説明図である。
【
図14】本実施形態に係るスタックテーブルにおいて、幕板と脚体との間に使用者の指が挟まれた状態を示す図である。
【
図15】本実施形態に係るスタックテーブルの変形例を示す図である。
【
図16】本実施形態に係るスタックテーブルの変形例におけるステーの回動軸を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。本実施形態に係るスタックテーブ
ル100は、
図1及び
図2に示すような使用状態と、
図3及び
図4に示すような折畳状態とに状態を変更自在である。
図1はスタックテーブル100が使用状態のときの全体斜視図、
図2はスタックテーブル100が使用状態のときの側面図、
図3はスタックテーブル100が折畳状態のときの全体斜視図、
図4はスタックテーブル100が折畳状態のときの側面図である。スタックテーブル100は、折畳状態となることによって、前後にスタッキング(積み重ね)可能となる。
【0023】
図1及び
図3に示すように、本実施形態に係るスタックテーブル100は、全体として左右対称に形成されている。以下、左右対称に設けられた構成については、同一の符号を付して説明する。スタックテーブル100は、天板1と、天板1を支える左右の脚体2,2と、左右方向に延在するとともに脚体2を接続するビーム3と、天板1の下面両側端に固定され天板1をビーム3回りに回動可能に連結する天板回動機構10,10と、天板1及び脚体2に連結されるとともに天板1の下方に略垂直に配置される幕板4と、天板1と幕板4とを連結するとともに天板1の回動に連動することによって幕板4の姿勢を制御する幕板制御機構20,20と、天板1の下面に固定される棚50と、を備える。スタックテーブル100は、全体として左右対称に形成されている。なお、本明細書では、使用者が着座する側を「手前」側とし、その反対側、即ち幕板4側を「奥(後)」側とする。また、使用状態において、天板1、脚体2で囲まれる領域を「下肢空間」とする。
図5は、左右方向と直交する平面で使用状態におけるスタックテーブル100の中央を切断したときの断面図である。
【0024】
天板1は、主には、使用状態にあるスタックテーブル100において、その上面にPC等を載置して使用者が作業可能とするための部材である。
図1に示すように、天板1は、上面視において左右方向に長尺な略長方形状の外形を有する。
図1及び
図2に示すように、スタックテーブル100が使用状態にあるときは、天板1は、略水平な水平姿勢となる。また、
図3及び
図4に示すように、スタックテーブル100が折畳状態にあるときは、天板1は、脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして略垂直に起立した起立姿勢となる。ここで、以下の説明において、天板1の上面、下面、前端部、後端部について言及するときは、天板1の姿勢に関わらず、天板1が水平姿勢のときの天板1における上面、下面、前端部、後端部のことを指す。天板1の前後幅は、W1である。天板1の上面における後部には、天板1を上下に貫通する開口によって、天板1の下面に連通するとともに内部にタップ等を収納可能なコードホール30が形成されている。
【0025】
天板1は、水平姿勢若しくは起立姿勢において、天板回動機構10によって、それぞれの姿勢にロック(維持)されている。使用者は、天板回動機構10から露出した操作レバー101を天板1に近づく方向に押し上げることによって天板回動機構10のロックを解除し、天板1を水平姿勢と起立姿勢との間で回動変位させることができる。スタックテーブル100は、天板1が水平姿勢若しくは起立姿勢に至ったとき、天板回動機構10によってロックが掛かるようになっている。
【0026】
脚体2は、天板回動機構10を介して天板1を支持する部材である。
図2、
図3、
図5に示すように、脚体2は側面視において略倒T字形状を有している。脚体2は、手前側に若干傾斜するようにして斜め上方に延在する支持脚21と、支持脚21の下端部より前後二方向に延在し地面に接地する接地脚22とを有する。また、
図5に示すように、支持脚21の上部であって、スタックテーブル100における内側の面には、ビーム3が接続されるビーム接続プレート23が設けられている。更に、ビーム接続プレート23には、天板回動機構10の内部でビーム3を支持するとともに後述する幕板制御機構20のステー8を枢支する補強体24が設けられている。補強体24は、支持脚21に沿うようにしてビーム接続プレート23に固定されている。また、接地脚22の端部には、スタックテーブル100を円滑に移動させるためのキャスター25が設けられている。
【0027】
ビーム3は、脚体2同士を接続することでスタックテーブル100の剛性を高める梁部材であり、且つ、天板1の回動軸となる部材である。ビーム3は、鉄鋼系材料で成形された鋼管であり、
図5に示すように、円筒形状を有している。上述したように、ビーム3は、ビーム接続プレート23を介して左右の脚体2同士を接続する。ビーム3が天板回動機構10を介して左右の脚体2同士を接続することによって、梁部材として機能するため、スタックテーブル100の構造体としての剛性を確保することができる。また、ビーム3は、天板1の回動軸としての機能も備えている。そのため、本実施形態に係るスタックテーブル100は、天板1の回動軸を別途設けたスタックテーブル100と比較して、より広い下肢空間を確保することができる。但し、ビーム3は、回動軸しての機能を有さなくともよく、天板1を回動させるための回動軸を別途設けてもよい。
【0028】
天板回動機構10は、天板1をビーム3に対して回動可能とする機構であり、天板1の姿勢を水平姿勢若しくは起立姿勢にロックする機能を備えている。
図2~
図5に示すように、天板回動機構10は、天板1の下面に設けられており、その内部に脚体2と係合して天板1の姿勢をロックするロック構造を有している。また、天板回動機構10は、ビーム3の側面を摺動可能に構成されている。使用者が天板回動機構10から露出する操作レバー101を天板1に近づく方向に押し上げることによって、ロック構造と脚体2との係合が解除され、天板1をビーム3回りに回動して天板1の姿勢を変化させることが可能となる。このような天板回動機構10には、既存の様々な構成を採用することができる。天板回動機構10,10は、図示しない連動パイプによって連結されることによって互いに連動するようになっている。これにより、使用者が一方の操作レバー101を回動操作するのみで、天板回動機構10,10を同時に操作することができる。
【0029】
幕板4は、主に、使用状態にあるスタックテーブル100を奥側から見たときに下肢空間を隠すための部材である。
図3に示すように、幕板4は、正面視において左右方向に長尺な略長方形状の外形を有する。幕板4の左右幅は、脚体2同士の間隔よりも長尺となっている。幕板4は、後述する幕板制御機構20を介して天板1と連動するようにリンク連結されたものであり、天板1の姿勢の切り替えに伴って、姿勢を変化可能に設けられている。より具体的には、
図1及び
図2に示すように、天板1が水平姿勢のときにおいては、幕板4は、天板1の下方であって脚体2よりも後側に位置し、天板1の下面とd1の間隔を空けて垂下する使用姿勢となる。ここで、幕板4は、使用姿勢の状態において、下肢空間を確保するために、天板1の後端部近くに配置されることが好ましい。幕板4は、天板1の後端部とd2だけ間隔を空けて手前側にオフセットして配置されている。また、
図3及び
図4に示すように、天板1が起立姿勢のときにおいては、幕板4は、その前面が脚体2の支持脚21の後縁に当接した状態で天板1の下面と脚体2の支持脚21の後縁の間に収納される収納姿勢となる。これにより、スタックテーブル100は、天板1を起立姿勢とした折畳状態となることによって、前後にスタッキング(積み重ね)可能となっている。なお、幕板4が収納姿勢においては、必ずしも天板1と脚体2の支持脚21との間に幕板4が収納される必要はなく、少なくとも幕板4が脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして脚体2に当接した状態となればよい。また、
図5に示すように、幕板4の前面における上部には、配線を載置可能な配線トレー40が設けられている。配線トレー40は、幕板4の前面に対して略直角に設けられるとともに左右に延在する板状部分を有しており、天板1に設けられたコードホール30から引き回した配線を載置可能となっている。
【0030】
次に、幕板制御機構20について説明する。幕板制御機構20,20は、左右対称に構成されており、基本的な構造を同一とするため、一方の幕板制御機構20についてのみ説明する。なお、以下の説明において、ビーム3に対する天板1の回動軸を天板回動軸Aとし、天板回動軸Aと平行な方向を軸方向とする。即ち、軸方向は、左右方向と等しい。また、軸方向(左右方向)における内側とは、特に説明のない限りは、下肢空間の内方側、
即ち、反対側の幕板制御機構20に近い側を指す。なお、天板回動軸Aは、本発明における「主軸」に相当する。
【0031】
図5に示すように、幕板制御機構20は、幕板4の前面に固定された幕板側ブラケット7と、一端側が幕板側ブラケット7に枢着されたリンク6と、天板1の下面に固定されるとともにリンク6の他端側を枢支する天板側ブラケット5と、一端が脚体2によって枢支され、他端が幕板側ブラケット7に枢着されたステー8と、を有する。リンク6とステー8は、天板1の回動時に互いが干渉しないように、軸方向にオフセットして設けられている。以下、幕板側ブラケット7に対するリンク6の回動軸を第1回動軸(上部幕板回動軸)A1、天板側ブラケット5に対するリンク6の回動軸を第2回動軸(リンク回動軸)A2とする。また、脚体2に対するステー8の回動軸を第3回動軸(ステー回動軸)A3とし、幕板側ブラケット7に対するステー8の回動軸を第4回動軸(下部幕板回動軸)A4とする。第1回動軸A1、第2回動軸A2、第3回動軸A3、第4回動軸A4は、天板回動軸Aと平行である。また、
図5に示すように、第2回動軸A2は、第1回動軸A1よりも天板回動軸A側に配置されている。また、第3回動軸A3は、脚体2における天板回動軸Aよりも下方に配置されている。また、第4回動軸A4は、幕板側ブラケット7において、第1回動軸A1よりも下方に配置されている。また、各回動軸の軸回りについて、天板1を水平姿勢から起立姿勢に変化させるために天板1が回動する方向と同じ方向をR1とし、その反対方向をR2とする。なお、詳細については後述するが、幕板4が使用姿勢の状態では、リンク6の第1方向R1への回動が天板側ブラケット5によって規制されている。
【0032】
以下、幕板制御機構20の各構成について説明する。
図6は、幕板制御機構20の各部材を説明するための分解図である。
図7は、リンク6が天板側ブラケット5と幕板側ブラケット7に枢支された状態を示す図であって、幕板4が使用姿勢にある状態で軸方向と直交する平面で中央を切断したときの断面図である。
図8は、ステー8の分解図である。
図9は、ステー8を示す図である。
【0033】
天板側ブラケット5は、天板1の下面に設けられ、前後方向においてビーム3と幕板4の間であって左右方向において脚体2よりも内側の位置に固定される。
図6に示すように、天板側ブラケット5は、平坦な上面を有するとともに当該上面において天板1に固定される固定部51と、固定部51から奥側に若干傾斜しながら下方に延在する延在部52と、延在部52の先端部から略奥方向に延在するとともにリンク6が枢着されるリンク枢着部53と、を有する。リンク枢着部53の先端には、第2回動軸A2となる第2軸部S2を枢支する孔である第2軸孔H2が形成されている。また、詳細については後述するが、リンク枢着部53の基端付近は、リンク6の第1方向R1への移動を規制する規制部として機能する。天板側ブラケット5は、本発明における「天板側リンク支持部」の一例である。
【0034】
幕板側ブラケット7は、左右方向において天板側ブラケット5と脚体2の間に設けられ、板金材料を折り曲げ加工することによって形成される。
図6に示すように、幕板側ブラケット7は、幕板4に固定される固定板71と、リンク6が枢着される幕板側リンク支持部72と、ステー8が枢着される幕板側ステー支持部73と、を有する。固定板71は、正面視において上下方向に長尺な略長方形状を有している。幕板側リンク支持部72は、固定板71の両側縁のうち天板側ブラケット5側の側縁の上部から、手前方向に延在して形成されている。また、幕板側ステー支持部73は、固定板71における脚体2側の側縁の下部から、手前方向に延在して形成されている。幕板側リンク支持部72と幕板側ステー支持部73は、天板回動軸Aと直交する。幕板側リンク支持部72には、リンク6の第1軸部S1を枢支する孔である第1軸孔H1が形成されている。幕板側リンク支持部72は、本発明における「幕板側リンク支持部」の一例である。また、幕板側ステー支持部7
3は、本発明における「幕板側ステー支持部」の一例である。
【0035】
また、幕板側ステー支持部73には、ステー8の第4軸部S4を枢支する長孔である第4軸長孔H4が形成されている。詳細については後述するが、第4軸長孔H4は、幕板4の姿勢変化に伴うステー8の第3回動軸A3回りの回動による第4軸部S4の相対的な移動を許容することで、第4軸部S4をガイドする。
図6に示すように、第4軸長孔H4は、上下方向に対して前後方向に若干傾斜した長孔となっている。第4軸長孔H4は、略上下に位置するとともに互いに対向する円弧状の内壁である上部壁H41と下部壁H42と、上部壁H41と下部壁H42とを接続するとともに互いに平行な内壁である一対の対向するガイド壁H43,H43と、によって形成される。第4軸長孔H4は、上部壁H41よりも下部壁H42の方が奥側に位置するように傾斜している。上部壁H41及び下部壁H42は、平面視において略半円の円弧形状を有しており、円弧形状の中心は長孔の内側に位置している。また、上部壁H41及び下部壁H42の径寸法及びガイド壁H43,H43同士の間隔寸法は、第4軸部S4(
図11A参照)の径寸法と略等しいか、若干大きい。第4軸長孔H4は、本発明における「軸受孔」の一例である。
【0036】
図6に示すように、リンク6は、左右方向に分割された雄側リンク部材6Aと雌側リンク部材6Bとが、天板側ブラケット5のリンク枢着部53と幕板側ブラケット7の幕板側リンク支持部72とを左右から挟むようにして係合することによって形成される。
図7に示すように、リンク6は、天板側ブラケット5の第2軸孔H2に枢支されることで第2回動軸A2を形成する第2軸部S2と、幕板側ブラケット7の第1軸孔H1に枢支されることで第1回動軸A1を形成する第1軸部S1と、第1軸部S1と第2軸部S2とを接続するリンク部61と、を有する。また、リンク6は、第2軸部S2に対してリンク部61とは反対側に設けられた当接部62を有している。
図7に示すように、当接部62は、幕板4が使用姿勢にある状態で、天板側ブラケット5におけるリンク枢着部53の下縁に当接するように形成されている。より詳しくは、リンク枢着部53の下縁が、当接部62に対して第1方向R1側から当接することで、規制部として機能している。規制部によって、幕板4が使用姿勢にある状態において、リンク6がそれ以上第1方向R1に回動することが規制されている。一方で、リンク6の第2回動軸A2回りの第2方向R2への回動は許容されている。
【0037】
ステー8は、脚体2と幕板4とを接続することによって幕板4の姿勢を維持する部材である。
図6に示すように、ステー8は、脚体2に設けられた補強体24に枢支されて第3回動軸A3を形成する第3軸ピンB3と、幕板側ブラケット7の第4軸長孔H4に枢支されて第4回動軸A4を形成する第4軸ピンB4と、第4軸ピンB4を介して一端側が幕板側ブラケット7の幕板側ステー支持部73に接続される雄側ステー部材8Aと、一端側に雄側ステー部材8Aの他端側が嵌め込まれるとともに他端側が第3軸ピンB3を介して脚体2に設けられた補強体24に接続される雌側ステー部材8Bと、を有する。第3軸ピンB3及び第4軸ピンB4は、リベット形状を有している。第3軸ピンB3は、補強体24に枢支されて第3回動軸A3を形成する第3軸部S3を有し、補強体24と係合する。同様に、第4軸ピンB4は、第4軸長孔H4に枢支されることで第4回動軸A4を形成する第4軸部S4を有し、雄側ステー部材8Aと係合する。第4軸部S4は、本発明における「軸部」の一例である。
【0038】
図8に示すように、雄側ステー部材8Aは、第4軸ピンB4が係合する第4軸ピン受部84と、第4軸ピン受部84から延在する雄側ステー部81と、を有する。雄側ステー部81は、全体として略四角柱の外形に形成されている。雄側ステー部81の先端側には、雄側ステー部81が中途から先端付近にかけて先端よりも幅狭となることによって、雄側係合部82が形成されている。
【0039】
雌側ステー部材8Bは、第3軸ピンB3が係合する第3軸ピン受部83と、第3軸ピン受部83から延在する雌側ステー部85と、を有する。雌側ステー部85は、一側面が開放された略四角筒形状を有しており、その長手方向における雄側ステー部材8Aの嵌め込み位置を変更可能に形成されている。雌側ステー部85は、第3軸ピン受部83から延在するベース壁851と、ベース壁851の両側縁から起立する一対の対向する保持壁852,852と、を有する。保持壁852,852同士の間隔は、雄側ステー部81の幅と同等若しくは若干大きくなるように設計されている。
【0040】
また、保持壁852,852同士の間には、雄側係合部82と選択的に係合可能な第1雌側係合部861と第2雌側係合部862が形成されている。第1雌側係合部861は、雌側ステー部85の先端側に形成され、第2雌側係合部862は、雌側ステー部85の第3軸ピン受部83側に形成されている。第1雌側係合部861は、一対の保持壁852,852から互いに対向するように突出壁が突出することで形成された突出壁対8611と突出壁対8612とによって形成されている。突出壁対8612は、雌側ステー部85の延在方向において突出壁対8611と所定の間隔を空けて第3軸ピン受部83側に設けられている。突出壁対8611と突出壁対8612における突出壁同士の間隔は、雄側ステー部81における幅狭部の幅よりも大きくなるように設計されている。また、突出壁対8611と突出壁対8612の間隔は、雄側ステー部81の雄側係合部82の延在方向における長さと同等若しくは若干大きくなるように設計されている。第1雌側係合部861は、一対の保持壁852,852と突出壁対8611と突出壁対8612とによって雄側係合部82に当接することによって、雄側係合部82と係合する。
【0041】
第2雌側係合部862は、一対の保持壁852,852から互いに対向するように突出壁が突出することで形成された突出壁対8621と、雌側ステー部85の延在方向において突出壁対8621と所定の間隔を空けて第3軸ピン受部83側に設けられるとともに保持壁852,852同士を接続する係合壁8622とによって形成されている。突出壁対8621における突出壁同士の間隔は、雄側ステー部81における幅狭部の幅よりも大きくなるように設計されている。また、突出壁対8621と係合壁8622との間隔は、雄側ステー部81の雄側係合部82の延在方向における長さと同等若しくは若干大きくなるように設計されている。第2雌側係合部862は、一対の保持壁852,852と突出壁対8621と係合壁8622とによって雄側係合部82に当接することによって、雄側係合部82と係合する。
【0042】
雄側ステー部材8Aと雌側ステー部材8Bとを接続するのには、雄側ステー部材8Aの雄側係合部82を、雌側ステー部材8Bの第1雌側係合部861と第2雌側係合部862のうち何れか一方に嵌め込むようにして係合させればよい。雌側ステー部材8Bは、雄側ステー部材8Aの雄側係合部82との係合位置を第1雌側係合部861と第2雌側係合部862とで選択可能とすることによって、ステー8の長さを変更可能としている。ここで、雄側係合部82が第1雌側係合部861に係合したときの第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離を第1ステー長X1とし、雄側係合部82が第2雌側係合部862に係合したときの第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離を第2ステー長X2とする。第2ステー長X2は、第1ステー長X1よりも短尺となる。なお、本実施形態に係るスタックテーブル100では、雄側係合部82が第1雌側係合部861に係合しており、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離は第1ステー長X1となっている。
【0043】
図5に示すように、幕板制御機構20において、ステー8は、雌側ステー部材8Bの保持壁852,852が軸方向と平行となるようにして設けられている。即ち、雄側ステー部材8Aの雌側ステー部材8Bに対する第1回動方向及び第2回動方向への相対的な移動が保持壁852,852によって規制されている。これにより、ステー8の回動によって雄側ステー部材8Aと雌側ステー部材8Bとが分離することが抑制されている。一方で、
上述したように、雄側ステー部材8Aを雌側ステー部材8Bに嵌め込むのみで、雄側ステー部材8Aと雌側ステー部材8Bとの接続を行うことができるため、雄側ステー部材8Aの雌側ステー部材8Bへの着脱及びステー8の長さ変更を容易に行うことができる。
【0044】
<姿勢制御>
次に、天板1の姿勢を水平姿勢から起立姿勢に変化させることによってテーブルを使用状態から折畳状態にする動作を例にして、天板1の回動動作に伴う幕板制御機構20による幕板4の姿勢制御について説明する。
図10Aは、天板1が水平姿勢にある状態を示し、
図10Bは、
図10Aに示す状態から天板1が第1方向R1に回動することによって幕板4が当接状態に至った状態を示し、
図10Cは、
図10Bに示す状態から更に第1方向R1に回動することによって天板1が起立姿勢に至った状態を示す図である。また、
図11A~11Cは、それぞれ、
図10A~
図10Cに示す状態における、第4軸長孔H4と第4軸部S4との関係を示す図である。
【0045】
まず、
図10Aに示すスタックテーブル100が使用状態のときは、天板回動機構10によって天板1の天板回動軸A回りの回動が規制され、天板1の姿勢が水平姿勢にロックされている。そして、幕板制御機構20によって幕板4の姿勢が天板1の下方に垂下した使用姿勢に維持されている。この状態では、
図2に示すように、天板1の下面と幕板4の上端面との間に所定の間隔d1を有して空隙Cが形成されている。幕板4が使用姿勢の状態では、幕板4の重量によって、リンク6に第2回動軸A2回りに第1方向R1へのモーメントが作用している。しかしながら、上述したように、天板側ブラケット5によって、幕板4が使用姿勢にある状態からリンク6が更に第2回動軸A2回りの第1方向R1へ回動することが規制されている。そのため、幕板4の自重によって幕板4がそれ以上下がることが規制されており、幕板4の高さ位置が維持されている。また、
図11Aに示すように、ステー8の自重によって第4軸部S4が第4軸長孔H4内の下部に落とされ、下部壁H42に当接した状態となっている。この状態では、第4軸部S4の側面に円弧形状の下部壁H42が当接しているため、第4軸部S4の第3回動軸A3回りの周回が規制されている。これにより、ステー8の第3回動軸A3回りの回動が規制されている。ステー8の姿勢が維持されているため、使用姿勢にある幕板4が第1回動軸A1回りに回動することが規制され、幕板4の垂下した状態(以下、垂下状態)が維持されている。以上のように、スタックテーブル100が使用状態にあるときは、幕板4の高さ位置と垂下状態が維持されている。その結果、幕板4の使用姿勢が維持され、幕板4による下肢空間の遮蔽が好適になされている。
【0046】
この状態から、天板1の姿勢を水平姿勢から起立姿勢に替えるためには、まず、操作レバー101の先端を天板1に近づける操作を行うことによって、天板1の姿勢維持(ロック)を解除する。そして、天板1のロックが解除された状態で、天板1を第1方向R1に回動させる。使用者が天板1を第1方向R1へ回動させようと天板1を押操作すると、天板回動機構10がビーム3回りに摺動することによって、天板1の第1方向R1への回動が開始される。天板1を第1方向R1に回動させると、天板1が起立姿勢に至る前に、
図10Bに示すような幕板4の下端が脚体2の支持脚21の後縁に当接した状態となる。以下、幕板4が脚体2の支持脚21に当接している状態を当接状態とし、使用姿勢にある幕板4が当接状態に至るまでの各部の動作について説明する。
【0047】
水平姿勢にある天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1へ回動させると、幕板4が垂下状態を維持しながら下降しつつも前方に移動する。そして、
図10Cに示す起立姿勢に至る直前の状態において、幕板4の下端が脚体2の支持脚21の後縁に当接することによって幕板4と脚体2とが当接した状態(当接状態)となる。使用姿勢から当接状態に至るまでの間、幕板4は、自重によって第1回動軸A1回りに第2方向R2へ回動することで、垂下状態となっている。ここで、軸方向視において第1回動軸A1と第2回動軸A2と
を結ぶ仮想直線をLとする。
図10Aに示すように、仮想直線Lは、幕板4が使用姿勢のときに略水平となっており、天板1とともに天板回動軸A回りに第1方向R1へ回動する。そして、
図10Bに示すように、仮想直線Lが垂直となる前に幕板4が当接状態となる。これにより、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間、リンク6には第2回動軸A2回りに第1方向R1へのモーメントが作用することとなる。その結果、リンク6の第2回動軸A2回りの第2方向R2への回動は許容されているものの、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間に、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動することが抑制されている。そして、上述したように、天板側ブラケット5によって幕板4が使用姿勢の状態からリンク6が第2回動軸A2回りに第1方向R1へそれ以上回動することが規制されているため、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間、リンク6が自重や幕板4の重量によって第2回動軸A2回りに回動することが抑制されている。
【0048】
また、
図10Bに示すように、ステー8は、幕板4の姿勢変化に伴って、第3回動軸A3回りに第1方向R1に回動する。また、
図11Bに示すように、第4軸部S4は、ガイド壁H43,H43に当接しながら上部壁H41に向かって第4軸長孔H4内を移動する。そして、第4軸部S4が上部壁H41に当接する前に幕板4が当接状態に至る。ここで、幕板4が使用姿勢にあるときの第4軸部S4の第4軸長孔H4における位置を第1位置とし、幕板4が当接状態に至ったときの第4軸部S4の第4軸長孔H4における位置を第2位置とする。第4軸部S4が第1位置にあるとき、第4軸部S4の中心、即ち、第4回動軸A4と下部壁H42の円弧中心との位置は、略一致している。
【0049】
図12は、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間における第4軸長孔H4と第4軸部S4との関係を説明するための図である。ここで、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間における第1回動軸A1が描く軌跡を、
図12中のT0で示す。T0で示すように、第1回動軸A1は、天板回動軸Aを中心とした円弧形状を描く。また、
図12中のT1は、下部壁H42の円弧中心が描く軌跡である。T1は、T0を第1回動軸A1と下部壁H42の円弧中心との距離分、下方にオフセットしたものと等しい。また、第4回動軸A4が描く軌跡を
図12中のT2で示す。T2で示すように、第4回動軸A4は、第3回動軸A3を中心とした円弧形状の軌跡を描く。
【0050】
図12に示すように、T1とT2は完全に一致しておらず、ステー8の第3回動軸A3回りの第1方向R1への回動に伴って第4回動軸A4が下部壁H42の円弧中心に対して離間する軌跡となっている。即ち、第4軸部S4は、ステー8の第3回動軸A3回りの第1方向R1への回動に伴って、下部壁H42に対して離間する軌跡を描く。この、第4軸部S4が下部壁H42から離間する方向を第1ガイド方向G1とする。第1ガイド方向G1は、上方へ向かうのに従って若干手前側に傾斜する方向となっている。
図11Bに示すように、本実施形態に係る第4軸長孔H4は、第4軸部S4の第4軸長孔H4内における第1ガイド方向G1への相対的な移動をガイドするように設計されている。より具体的には、ガイド壁H43,H43が第1ガイド方向G1に延在しており、且つ、上部壁H41が第2位置に至った第4軸部S4に当接しないように形成されている。また、上述したように、ガイド壁H43,H43同士の間隔は第4軸部S4の直径と略同等であることから、第4軸部S4がガイド壁H43,H43に当接しながら第4長孔内を第1ガイド方向G1に移動する。これにより、第4軸部S4は、第1ガイド方向G1に第4軸長孔H4の内壁を付勢することなく、第4軸長孔H4にガイドされる。即ち、ステー8によって幕板側ステー支持部73が第1ガイド方向G1に付勢されることが抑制されている。仮に、ステー8によって幕板側ブラケット7が第1ガイド方向G1に付勢された場合、幕板4を介してリンク6に作用するモーメントによって、リンク6が第2回動軸A2回りの第2方向R2へ回動する可能性がある。そうなると、幕板4とともに第1回動軸A1が持ち上げられることとなる。これに対して、本実施形態に係る幕板制御機構20は、第4軸長孔H4が第4軸部S4の第1ガイド方向G1への相対移動をガイドすることによって、ステー8に
よる付勢力によってリンク6が第2回動軸A2回りの第2方向R2へ回動することが抑制されている。即ち、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間に幕板4及び第1回動軸A1が持ち上げられることが抑制されている。また、第4軸部S4とガイド壁H43,H43とが当接していることによって、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間において、幕板4が垂下状態から更に第1回動軸A1回りに回動することが規制されている。その結果、幕板4の垂下状態が維持されている。
【0051】
図13は、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間における、天板1に対する幕板4及びリンク6の姿勢の変化を示す図である。
図13に示すように、幕板4は、第1回動軸A1回りに第2方向R2に回動する。また、上述したように、リンク6の自重及び幕板4の重量やステー8による付勢力によってリンク6が第2回動軸A2回りに回動することが抑制されているため、天板1に対する幕板4の回動中心の位置が固定となっている。ここで、幕板4の上端面における後縁が描く軌道は、第1回動軸A1を中心する円弧となる。ここで、第1回動軸A1が幕板4の前方であって幕板4の上端よりも下方に位置していることから、天板1と幕板4との間に形成される空隙Cは、天板1の下面と幕板4の上端面における後縁が描く円弧とによって表される。上述のように、リンク6の第2回動軸A2回りの第2方向R2への回動が抑制されていることから、第1回動軸A1がそれ以上天板1に接近することが抑制されている。その結果、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動する場合よりも、空隙Cの間隔の減少分を少なくすることができる。即ち、より大きな間隔を確保することができる。これにより、使用姿勢時における空隙Cの間隔を初めから大きく設計しなくとも、即ち、使用姿勢時において幕板4を高い位置に配置しつつも、幕板4が使用姿勢の状態から当接状態に至るまでの間において、空隙Cの間隔を所定の間隔d1min以上確保することができる。ここで、所定の間隔d1minとは、天板1の回動動作の間に使用者の指が天板1と幕板4との間に挟まれないような寸法である。以上のようにして、使用姿勢にある幕板4が当接状態に至る。
【0052】
図10Bに示すように、幕板4が当接状態に至ることで、天板1は略起立した姿勢となっている。この状態から天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1へ更に回動させることによって、
図10Cに示すように、天板1が起立姿勢となるとともに幕板4が収納姿勢となる。そして、操作レバー101の操作によって天板1の天板回動軸A回りの回動が規制され、天板1が起立姿勢にロックされる。以下、幕板4が当接状態に至ってから収納姿勢に至るまでの各部の動作について説明する。
【0053】
幕板4が当接状態に至った状態で天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1へ更に回動させると、第1軸部S1が天板回動軸A回りに第1方向R1へ周回することで、幕板4が下端部を支点に第2方向R2に回動する。その結果、
図10Cに示すように、幕板4の前面が脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして幕板4と脚体2とが当接した状態となる。これにより、幕板4の天板回動軸A回りの第1方向R1への回動が規制される。そして、この状態で、天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1へ更に回動させようとすると、脚体2からの反力が幕板4と幕板4ブラケットを介してリンク6の第2軸部S2に作用する。その結果、リンク6にモーメントが作用し、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動し始める。更に、幕板4の前面が脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして当接した状態で、幕板4が第1回動軸A1回りに第1方向R1へ回動する。その結果、幕板4は、脚体2の支持脚21の後縁に沿って上昇する。そして、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動することによって、天板1の天板回動軸A回りの第1方向R1への回動に伴って幕板4が天板1に相対的に接近することが許容されている。換言すると、幕板4が当接状態に至ってからリンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動することによって、天板1が天板回動軸A回りに第1方向R1に回動して幕板4に接近することが許容されている。その結果、天板1が完全に起立姿勢に至る。天板1が起立姿勢に至ることで、幕板4が天板1と脚体2との間に収納された収納姿勢に至る。幕板4は
、収納状態となることで脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして脚体2の支持脚21に当接するとともに、天板1の下面に対して若干隙間を空けて天板1と対向する。
【0054】
また、幕板4が当接状態に至ってから収納姿勢に至るまでの動作において、ステー8は、第3回動軸A3回りに第1方向R1に回動する。
図11Cに示すように、第2位置にある第4軸部S4に対して第4軸長孔H4が第1ガイド方向G1とは反対方向の第2ガイド方向G2に延在していることによって、幕板4が脚体2の支持脚21の後縁に沿って上昇することが許容されている。第4軸部S4は、ステー8の回動に伴って第4軸長孔H4内を第2ガイド方向G2に移動し、天板1が起立姿勢に至ると、第4軸長孔H4内の第1位置に至る。第4軸長孔H4は、幕板4が使用姿勢から収納姿勢に至るときにおける、第4軸部S4の第1位置と第2位置との間の往復を許容するように設計されている。
【0055】
以上のようにして、スタックテーブル100が使用状態から折畳状態に至る。なお、スタックテーブル100を折畳状態から使用状態にするには、上記とは逆の動作を行えばよい。仮に、リンク6の第2回動軸A2回りの第2方向R2への回動が規制されていた場合、幕板4の前面が脚体2の支持脚21の後縁に沿うようにして当接した状態から更に天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1に回動することが規制されるため、天板1がそれ以上幕板4に接近することができない。それに対し、本実施形態に係るスタックテーブル100は、幕板4が当接状態に至ってからリンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2に回動可能であるため、幕板4が当接状態に至った状態から更に天板1を幕板4に接近させることができる。その結果、リンク6の第2回動軸A2回りの第2方向R2への回動が規制されている場合と比較して、折畳状態にあるスタックテーブル100において、接地脚22よりも上方における前後幅を低減することができる。即ち、折畳状態における収納効率を向上することができる。このようにして、本実施形態に係るスタックテーブル100は、天板1を水平姿勢から起立姿勢に変更する過程において、幕板4が当接状態に至るまでは、天板1と幕板4との間隔を所定の間隔d1min以上確保することができるため、天板1と幕板4との間に使用者の指等の介在物が挟まれることを防止することができる。且つ、天板1が起立姿勢となったときには、天板1と幕板4とを接近させることができるため、折畳状態のスタックテーブル100における収納効率を向上させることができる。
【0056】
更に、本実施形態に係るスタックテーブル100は、折畳状態においてリンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ更に回動可能に構成されている。
図14は、スタックテーブル100において、幕板4と脚体2の支持脚21との間に使用者の指が挟まれた状態を示す。スタックテーブル100が折畳状態にあるとき、リンク6は、第2回動軸A2回りに第2方向R2へ更に回動可能となっている。また、上述したように、幕板4と天板1との間には、若干の隙間が形成されている。これにより、
図14に示すように、スタックテーブル100が折畳状態にあるとき、又はスタックテーブル100を使用状態から折畳状態へと変化させる過程において、幕板4と支持脚21との間に使用者の指等の介在物が挟まれた場合であっても、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動して、幕板4を後方の隙間へ逃がすことができる。その結果、幕板4と支持脚21との間に挟まれた介在物に大きな挟圧力が作用することを抑制することができる。
【0057】
[作用・効果]
以上のように、本実施形態に係るスタックテーブル100では、天板1を水平姿勢から起立姿勢に切り替えるために天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1に回動させると、天板1が起立姿勢に至る直前に、幕板4が脚体2の支持脚21の後縁に当接した当接状態となる。そして、幕板4が当接状態となってから、天板1を天板回動軸A回りに第1方向R1へ更に回動させると、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2に回動し、天板1が幕板4に対向するようにして接近する。これによると、天板1を水平姿勢から起立姿勢に変更する過程において、幕板4が当接状態となってからリンク6が第2回動軸A2回
りに第2方向R2へ回動し、天板1が幕板4と接近する。これにより、幕板4が当接状態に至るまでは、天板1と幕板4との間に所定の間隔を確保することができる。そして、天板1が起立姿勢となったときには、天板1と幕板4との間隔を短縮することができる。従って、天板1を水平姿勢から起立姿勢に変更する過程において、天板1と幕板4との間に使用者の指等の介在物が挟まれることを防止するとともに、天板1が起立姿勢となったときにおいては、接地脚22よりも上方におけるスタックテーブル100の前後幅を大幅に低減することができる。即ち、本実施形態に係るスタックテーブル100は、指挟みを防止しつつも、収納効率を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るスタックテーブル100は、幕板4が使用姿勢にあるとき、天板側ブラケット5によって、リンク6が第2回動軸A2回りに第1方向R1へ回動することを規制している。これによると、幕板4が使用姿勢にあるときにおいて、幕板4の重量やリンク6の自重によってリンク6が第2回動軸A2回りに第1方向R1へ回動することが規制される。これにより、幕板4の高さ位置を保った状態で幕板4の使用姿勢を維持することができる。
【0059】
また、本実施形態に係るスタックテーブル100は、幕板4が収納姿勢の状態において、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ更に回動可能としている。これによると、幕板4と脚体2の支持脚21との間に使用者の指等の介在物が挟まれた場合であっても、リンク6が第2回動軸A2回りに第2方向R2へ回動するため、幕板4を後方へ逃がすことができる。その結果、幕板4と脚体2の支持脚21との間に挟まれた介在物に大きな挟圧力が作用することを抑制することができる。
【0060】
本実施形態に係るスタックテーブル100は、第4軸長孔H4の内縁であるガイド壁H43,H43をステー8の第4軸部S4に当接させることによって、幕板4が使用姿勢から当接状態に至るまでの間において幕板4の第1回動軸A1回りの第1方向R1への回動を規制している。そして、第4軸長孔H4は、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間における、第4軸長孔H4に対する第4軸部S4の相対的な移動を許容している。
【0061】
これによると、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間における、第4軸長孔H4に対する第4軸部S4の相対的な移動によって、幕板側ブラケット7が付勢されることが抑制される。これにより、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間に、幕板4が持ち上げられることが抑制されるため、幕板4が当接状態に至るまでの間に天板1と幕板4との間に所定以上の間隔を確保することができる。
【0062】
[変形例]
図15は、本実施形態の変形例に係るスタックテーブル100Aを示す図である。変形例に係るスタックテーブル100Aは、天板1と脚体2以外の部品をスタックテーブル100と共通の部品としている。スタックテーブル100Aは、天板1Aの前後幅がスタックテーブル100における天板1の前後幅W1よりも短尺なW2となっている。また、スタックテーブル100Aは、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離が第2ステー長X2となるようにステー8の長さが調整されており、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離が第1ステー長X1であるスタックテーブル100とはステー8の長さが異なっている。また、スタックテーブル100Aは、天板1Aの前後幅W2に対応して、脚体2Aの接地脚22Aの長さがスタックテーブル100における脚体2の接地脚22の長さよりも短尺となっている。但し、スタックテーブル100Aは、スタックテーブル100と同様に、脚体2を使用してもよい。本実施形態に係るスタックテーブル100とスタックテーブル100Aは、天板1以外の部材を共通のままで、前後幅の異なる天板1に対して適用することができる。以下、スタックテーブル100Aについて、スタックテーブル100
との相違点を中心に説明する。
【0063】
図15に示すように、スタックテーブル100Aにおいても、使用状態における下肢空間を確保するために、幕板4は、スタックテーブル100と同様に天板1Aの後端部からd2の間隔を空けて手前にオフセットして配置される。また、幕板4の上端部と天板1Aとの間隔は、スタックテーブル100と同様にd1である。このように、スタックテーブル100Aにおいて、天板1Aに対する幕板4の相対的な位置関係を、スタックテーブル100における天板1に対する幕板4の相対的な位置関係と同様にしようとする場合、天板1Aの前後幅W2が天板1の前後幅W1よりも短尺であることから、使用状態における幕板4と脚体2との距離がスタックテーブル100の場合と比較して短くなる。そのため、スタックテーブル100Aにおいては、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離をスタックテーブル100の場合よりも短尺とする必要がある。スタックテーブル100Aにおいて、ステー8は、雄側ステー部材8Aの雄側係合部82が雌側ステー部材8Bの第2雌側係合部862に係合することによって、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離をスタックテーブル100の場合における第1ステー長X1よりも短尺な第2ステー長X2としている。スタックテーブル100Aは、これにより、スタックテーブル100に対する第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離の変化に対応可能としている。
【0064】
更に、本実施形態に係るスタックテーブル100及びスタックテーブル100Aは、幕板側ブラケット7に形成された第4軸長孔H4によって、天板1以外の部材を共通とすることができる。
図16は、変形例に係るスタックテーブル100Aにおけるステー8の回動軸を説明するための図である。
図16においては、便宜上、ステー8の図示を省略している。上述したように、スタックテーブル100Aは、天板1A以外の部材をスタックテーブル100と共通としているため、脚体2の補強体24における第3回動軸A3の位置は、スタックテーブル100と共通である。なお、脚体2に対するステー8の回動軸は、スタックテーブル100の左右対称性を考慮して補強体24の幅方向における中央線L1上に設けることが望ましいことから、第3回動軸A3は、中央線L1上に設けられている。ここで、
図16中における符号P1は、幕板4が使用姿勢にあるときの第4軸長孔H4における下部壁H42の円弧中心の位置を示す。P1は、幕板4が使用姿勢にあるときの第4回動軸A4の理想的な位置である。また、
図16中において符号P2は、幕板4が収納姿勢にあるときの第4軸長孔H4における下部壁H42の円弧中心の位置を示す。P2は、幕板4が収納姿勢にあるときの第4回動軸A4の理想的な位置である。更に、
図16中において符号L3は、P1とP2とを結ぶ直線L2の垂直二等分線を示す。このとき、
図16に示すように、第3回動軸A3は、直線L3上に存在しない。ここで、直線L3は、P1とP2から等しい距離に位置する点の集合である。そのため、理想的な第3回動軸A3の位置は、直線L3上、より望ましくは直線L3と直線L1との交点P3となる。これに対し、
図16に示すように、第3回動軸A3はP3と離間して設けられている。そのため、P1と第3回動軸A3との距離は、P2と第3回動軸A3との距離と相違する。例えば、第2ステー長X2をP1と第3回動軸A3の距離と等しくし、ステー8を第3回動軸A3に設けた場合、幕板4が収納姿勢にあるときに第4回動軸A4の位置が理想的な位置であるP2から離間する。これに対して、スタックテーブル100Aは、ステー8の第4軸部S4を第4軸長孔H4内で遊動させることによって、第4回動軸A4の理想位置からのずれを許容することができる。即ち、本実施形態に係るスタックテーブル100及びスタックテーブル100Aは、ステー8を第4軸長孔H4によって枢支することによって、天板1の前後幅を変更することによるステー8の回動軸のずれに対応することができる。即ち、天板1の前後幅を変更しても、第3回動軸A3を共通とすることができる。更に、ステー8は、第3回動軸A3と第4回動軸A4との距離を調節可能に構成されている。その結果、天板1以外の部材を共通のままで、天板1の前後幅を変更することができ、コスト面において優れている。
【0065】
なお、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、可能な限り組み合わせることができる。本実施形態に係るスタックテーブル100は、リンク6を固定としてもよい。即ち、スタックテーブル100は、リンク6が第2回動軸A2回りに回動しなくともよい。例えば、リンク6と天板側ブラケット5とを一体成形することで、天板1の下面に固定されるとともに第1回動軸(上部幕板回動軸)A1を介して幕板4を枢支する幕板支持部としてもよい。この場合であっても、ステー8を幕板側ステー支持部73に設けられた第4軸長孔H4によって枢支しているため、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間における、第4軸長孔H4に対する第4軸部S4の相対的な移動が許容される。これにより、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間において、第4軸長孔H4に対する第4軸部S4の相対的な移動によって幕板側ブラケット7が付勢されることが抑制される。その結果、幕板4が使用姿勢にある状態から当接状態に至るまでの間に、幕板4や幕板支持部に対して第4軸部S4によって生じる負荷を低減することができる。また、上述のように、幕板側ステー支持部73に第4軸長孔H4が設けられていることにより、天板1の前後幅を変更することによるステー8の回動軸のずれに対応することができる。そのため、天板1の前後幅を変更しても、第3回動軸(ステー回動軸)A3を共通とすることができる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・天板
2・・・脚体
3・・・ビーム(主軸)
4・・・幕板
5・・・天板側ブラケット
6・・・リンク
7・・・幕板側ブラケット
8・・・ステー
10・・・天板回動機構
20・・・幕板制御機構
30・・・コードホール
40・・・配線トレー
50・・・棚
100・・・スタックテーブル