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特許7301283携帯機器の蓋分離方法および携帯機器蓋分離装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】携帯機器の蓋分離方法および携帯機器蓋分離装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 25/14 20060101AFI20230626BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B23D25/14 Z
B09B5/00 Z ZAB
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018133798
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2019018342
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2017139504
(32)【優先日】2017-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517252314
【氏名又は名称】押鐘 吉男
(73)【特許権者】
【識別番号】714007481
【氏名又は名称】原田 幸明
(74)【代理人】
【識別番号】100147740
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 俊
(72)【発明者】
【氏名】押鐘 吉男
(72)【発明者】
【氏名】原田 幸明
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-164707(JP,A)
【文献】特開平9-300127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 15/00-36/00;
B09B 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの底面(E底面およびF底面という)および4つの側面(A側面、B側面、C側面およびD側面といい、A側面とD側面は短辺側の対抗面であり、B側面とC側面は長辺側の対抗面である)を持つ略直方体形状の携帯機器の蓋分離方法であって、
前記携帯機器は、2つの底面側にそれぞれ設けられた2つの蓋(E底面側の蓋をE蓋、F底面側の蓋をF蓋という)からなり、E蓋とF蓋は4つの側面において接続した構造であり、
前記携帯機器のA側面から内蔵電池が配置される位置までの領域において、E底面からF底面に向かう前記携帯機器の厚み方向へ、かつA側面に対して略平行に前記携帯機器の一部または全部をせん断する工程(せん断工程という)を含み、
前記せん断工程において、前記長辺側のB側面およびC側面に横方向ストッパを配置して、前記携帯機器を横方向から押さえることによって、前記長辺側のB側面および/またはC側面におけるE蓋とF蓋との接続部の一部または全部を分離することを特徴とする携帯機器の蓋分離方法。
【請求項2】
前記せん断工程時に、後方ストッパを用いてD側面を押さえることを特徴とする、請求項記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項3】
前記せん断工程時に、A側面とE底面との角部または角部の近傍、および/またはA側面の一部または全部を押さえて、前記せん断時のせん断する部分を位置決めすることを特徴とする、請求項1または2に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項4】
前記せん断工程時に、F底面の一部を押さえて、前記せん断時のせん断する部分を位置決めすることを特徴とする、請求項1~3のいずれかの項に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項5】
前記せん断工程時に、E底面の一部または全部を押さえることを特徴とする、請求項1~4のいずれかの項に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項6】
前記せん断工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃という)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかの項に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項7】
前記せん断工程の後で、B側面および/またはC側面の側の一部または全部を押圧する工程(押圧工程という)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかの項に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項8】
前記押圧工程において、前記携帯機器を傾斜させてB側面および/またはC側面の側を押圧することを特徴とする、請求項7に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項9】
前記携帯機器を傾斜させる傾斜角度は15度から75度の間であることを特徴とする、請求項8に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項10】
前記押圧工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項7~9のいずれかの項に記載の携帯機器の蓋分離方法。
【請求項11】
2つの底面(E底面およびF底面という)、4つの側面(A側面、B側面、C側面およびD側面といい、A側面とD側面は短辺側の対抗面であり、B側面とC側面は長辺側の対抗面である)、および
2つの底面側にそれぞれ設けられた2つの蓋(E底面側の蓋をE蓋、F底面側の蓋をF蓋という)からなり、E蓋とF蓋は4つの側面において接続した構造を持つ略直方体形状の携帯機器のA側面から内蔵電池が配置される位置までの領域において、E底面からF底面の方向へA側面に対して略平行にせん断して、前記携帯機器のB側面および/またはC側面におけるE蓋およびF蓋の接続部の一部または全部を分離させる携帯機器蓋分離装置であって、
前記携帯機器のB側面およびC側面を横方向から押さえることができる横方向ストッパであって、せん断時に前記携帯機器のB側面およびC側面を横方向から押さえることによって、前記長辺側のB側面および/またはC側面におけるE蓋とF蓋との接続部の一部または全部を分離することを可能とする横方向ストッパ、
A側面とE底面との角部または角部の近傍、またはA側面の一部または全部を押さえて前記せん断時のせん断する部分を位置決めする位置決めストッパ、
F底面の一部を押さえて前記せん断時のせん断する部分を位置決めするF底面押さえ部、
前記位置決めストッパおよびF底面押さえ部を載置する載置台、並びに、
前記載置台の載置面に対して略直角方向に相対的に移動するとともに、前記携帯機器のE底面からF底面の方向へかつA側面に対して略平行に前記携帯機器の一部または全部をせん断して、前記携帯機器のB側面および/またはC側面におけるE蓋およびF蓋の接続部の一部または全部を分離させるせん断刃を備える機構(K機構という)、
を有する携帯機器蓋分離装置。
【請求項12】
さらに、D側面を押さえる後方ストッパを有することを特徴とする、請求項11に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項13】
前記位置決めストッパは移動可能であり、
および/またはF底面押さえ部は載置台上で移動可能か回転可能であり、
前記携帯機器のせん断する位置を変化することができることを特徴とする、請求項11または12に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項14】
さらに、E底面の一部または全部を押さえる部分(E底面押さえ部)を有する機構(E底面押さえ機構という)を有することを特徴とする、請求項11~13のいずれかの項に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項15】
E底面押さえ機構は、K機構に連結し、K機構とともに上下移動する(すなわち、前記載置台の載置面に対して略直角方向に相対的に移動する)ことを特徴とする、請求項14に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項16】
E底面押さえ機構は、E底面を押さえた後にE底面押さえ部に加わる一定以上の力を吸収する機構(押力吸収機構という)を有することを特徴とする、請求項15に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項17】
E底面抑え部はE底面と面的に接触し、E底面の傾斜角度に応じて回転自在であることを特徴とする、請求項14~16のいずれかの項に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項18】
前記載置台には、前記携帯機器を切断したときに、前記せん断刃が前記載置台と接触しないように長溝または長穴が存在することを特徴とする、請求項11~17のいずれかの項に記載の携帯機器蓋分離装置。
【請求項19】
前記K機構において、油圧ポンプを用いて、前記載置台の載置面に対して略直角方向にせん断刃を相対的に移動することを特徴とする、請求項11~18のいずれかの項に記載の携帯機器蓋分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器のリサイクルのおために内蔵電池を取り出すことを目的として、携帯機器の外装蓋を取り外すための携帯機器の蓋分離方法および携帯機器蓋分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、スマートフォン等の携帯機器の普及により、それらの廃棄物の処理が問題となっている。携帯機器には電子部品が多数使用されており(携帯用電子機器とも言う)、それらの電子部品には金、銀、銅等の貴金属、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム、コバルト等のレアメタルが多く含まれており、これらの廃棄物は都市鉱山とも呼ばれ、都市鉱山からの貴金属やレアメタル(レアメタルも貴重な金属であるから、以下まとめて貴金属類と呼ぶ)の回収が行なわれている。現在行なわれている携帯機器に含まれる貴金属の回収は、携帯機器廃棄物を粉砕し粉末状にして金属類を選別した後、溶解または溶融して金属イオンや金属として回収する。(特許文献1、2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-64735
【文献】特開2016-248776
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貴金属類の回収率を高めるには、回収費用を低減する必要がある。携帯機器の中には電池を内蔵しているものが多い。電池にはリチウム、コバルト、ニッケル、マンガン等の貴金属類以外に有機系電解質も含まれており、粉砕機械で粉砕するとその電解質により粉砕機械が腐食する可能性がある。また、電池の外装は強固であり、粉砕が難しく、粉砕機械を損傷させるという問題がある。すなわち、電池を入れた状態で携帯機器を粉砕することは、粉砕機械の劣化を速め、その寿命をかなり短くしてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、携帯機器廃棄物を粉砕機械で粉砕する前に電池を取り出すことが必要となる。図1は、携帯機器の一種であるスマートフォンの構造の一例を示す図である。図1(a)はスマートフォンの表側の外観を示す図であり、表側カバー111に表示画面112が装着されている。(表示画面のある方を表側と呼んでいるが、表裏に特別意味がある分けではない。)図1(b)はスマートフォンの裏側の外観を示す図であり、裏側カバー113が装着されている。図1(c)は裏側カバー113を取り外した状態の内部構造を示す図である。スマートフォンは通常一方が他方に比べて細長い形状である。長手方向の一方(下側とする)の側面(すなわち、短辺下側側面)に、電源供給端子120および外部機器との接続コード端子121が配置されている。下方には下部回路基板モジュール(たとえば、スピーカアセンブリ)122、下方から中央部の広い部分に電池(バッテリ)123、上方にマザーボード124が配置されている。マザーボード124にはコントロールICモジュール125やカメラモジュール126が搭載されている。図1(d)は横(長手方向)側面図である。表側カバー111と裏側カバー113との接続部127で組み合わさっている。ただし、機種によっては、表側カバー111が平坦で裏側カバー113に接着されているものもある。
【0006】
電池を取り出すには裏側カバー113を取り外す必要があるが、近年流通しているスマートフォンでは表側カバー112と裏側カバー113は強固に組み合わさっており、簡単に裏側カバー113を取り外せない構造となっている。たとえば、固定用のネジなどはなく、接着剤等で強固に固定されていたり、固定用のネジがあっても小さすぎて簡単にはネジを外せない構造となっている。そのため、無理矢理カバーを壊すとか、壊れないカバーを持つスマートフォンやカバーを外せないスマートフォンは回収を諦めるという場合もある。あるいは、カバーを壊したときに電池を損傷して、電池からの液漏れが発生する場合もある。このように、携帯機器に内蔵する電池を取り出すためには、大変な労力と費用がかかっており、携帯機器のリサイクル費用を増大させる要因となり、リサイクルが進まない理由となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内蔵電池を損傷させずに誰でも簡単にカバー(蓋とも言う)を取り外す方法およびその装置を提供するものであり、以下の特徴を有する。
(1)本発明は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの側面(A側面)の近傍領域(または、A側面から内蔵電池が配置される位置までの領域)において、前記携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって前記携帯機器の厚み方向にA側面に略平行に前記携帯機器の一部または全部をせん断する工程(せん断工程)を含む、前記携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)またはF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を分離する携帯機器の蓋分離方法であり、前記せん断工程前に、A側面を押さえて前記携帯機器のA側面と略直交する方向の位置決めを行なう工程をさらに含むことを特徴とする。
【0008】
(2)本発明は、(1)に加えて、前記せん断工程前に、A側面と略直交する2側面(B側面およびC側面)の1つまたは両方を押さえて、B側面およびC側面と略直交する方向の位置決めを行なう工程を含み、また、A側面は前記携帯機器の短辺側側面であることを特徴とする。さらに、A側面に略平行にせん断されたせん断面(H面)は、A側面より3mm~10mm離れているE底面の所からせん断した面であり、せん断は、H面の幅よりも広い領域を有するせん断刃により、行ない、前記せん断工程において、前記せん断刃を前記携帯機器のE底面に一旦当接して停止させた後に、前記携帯機器せん断することを特徴とする。
【0009】
(3)本発明は、(1)および(2)に加えて、前記せん断工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含み、また前記せん断工程の後で、B側面および/またはC側面の側の一部または全部を押圧する工程(押圧工程)をさらに含み、前記押圧工程において、前記携帯機器を傾斜させてB側面および/またはC側面の側を押圧することを特徴とし、前記携帯機器を傾斜させる傾斜角度は15度から75度の間である。また、前記押圧工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
(4)本発明は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの底面(F底面)を載置する載置台、
前記載置台において、前記携帯機器の1側面(A側面)を押さえて前記携帯機器のA側面と略直交する方向の位置決めを行なう機構、および前記載置台の載置面に対して略直角方向に相対的に移動するとともに、A側面に略平行に前記携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって前記携帯機器の厚み方向にA側面に略平行に前記携帯機器の一部または全部をせん断するせん断刃を備える機構(K機構)を有する、携帯機器蓋分離装置であり、また、前記載置台において、A側面と略直交する2側面(B側面およびC側面)の1つまたは両方を押さえて、B側面およびC側面と略直交する方向の位置決めを行なう機構を有し、さらに、前記載置台には、前記携帯機器を切断したときに、前記せん断刃が前記載置台と接触しないように長溝または長穴が存在することを特徴とする。
【0011】
(5)本発明は、(4)に加えて、前記せん断刃の刃先は、前記せん断刃の幅方向と直角方向において、前記載置台に載置された携帯機器のA側面と対向する側面(D側面)側からA側面側に向かって細くなっており、また、B側面および/またはC側面において、E蓋(E底面側の蓋)とF蓋(F底面側の蓋)の接続部分の一部が分離した状態で、当該分離部分に挿入してE蓋とF蓋との分離部分をさらに広げる機構(N機構)を備えており、さらに、N機構は、載置台に載置した携帯機器のB側面および/またはC側面の外側に取り付けられた先端が細くなった刃(開き刃)であり、前記開き刃の先端部の細い刃を前記E蓋とF蓋との分離部分に挿入可能であり、前記開き刃は、前後左右および上下方向に移動自在に取り付けられていることを特徴とする。
【0012】
(6)本発明は、(4)および(5)に加えて、前記K機構において、油圧ポンプを用いて、前記載置台の載置面に対して略直角方向にせん断刃を相対的に移動することを特徴とし、さらに、B側面およびC側面を押さえる機構(P機構)並びに、B側面および/またはC側面側から前記携帯機器を押圧する機構(Q機構)を有し、Q機構は、A側面またはH面を傾斜させた状態でB側面および/またはC側面側から前記携帯機器を押圧する機構であることを特徴とし、B側面を押さえるP機構(P1機構)は前記せん断刃を固定するとともにせん断刃と一緒に移動するせん断刃固定台に取り付けた機構であり、C側面を押さえるP機構(P2機構)は載置台に取り付けた機構であり、前記せん断刃固定台に取り付けた押さえ機構(P1機構)と載置台に取り付けた前記押さえ機構(P2機構)との位置関係を調節することによって、前記H面の傾斜角度を調節可能であり、さらに、Q機構は、P機構により押さえられた携帯機器を、前記せん断刃が固定されたせん断刃固定台を載置台に対して近づけて押圧する機構であり、またQ機構は、油圧ポンプを用いて前記せん断刃固定台および/または載置台を移動させることを特徴とする。
【0013】
(7)本発明は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面)を持つ略直方体形状の携帯機器の対向する2つの側面(B側面およびC側面)を押さえる機構(P機構)並びに、B側面および/またはC側面側から前記携帯機器を押圧し、1つの底面(E底面)側の蓋(E蓋)および他の底面(F底面)側の蓋(F蓋)の接続部の一部または全部を分離する機構(Q機構)を有することを特徴とする、帯機器蓋分離装置であり、Q機構は、B側面およびC側面と略直交する側面(D側面)を傾斜させた状態でB側面および/またはC側面側から前記携帯機器を押圧する機構であることを特徴とする。
【0014】
(8)本発明は、(7)に加えて、B側面を押さえるP機構(P1機構)とC側面を押さえるP機構(P2機構)との位置関係を調節することによって、前記D側面の傾斜角度を調節可能であり、P1機構はB側面を押さえるストッパを持つ板状の台(R台)であり、P2機構はC側面を押さえるストッパを持つ台(S台)であり、Q機構は、R台とS台とが直交して移動する機構を用いて、R台に備わるストッパをS台に備わるストッパに近づけることによって押圧する機構であり、また、Q機構は、油圧ポンプを用いてR台および/またはS台を移動させることを特徴とする。
【0015】
(9)本発明は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面:A側面とD側面は対抗面、B側面とC側面は対抗面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの側面(A側面)から内蔵電池が配置される位置までの領域において、
前記携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって前記携帯機器の厚み方向に対して斜め方向に、A側面側の前記携帯機器の一部または全部をせん断して、前記携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)およびF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を露出させる工程(せん断工程)を含む、携帯機器のE蓋およびF蓋の接続部の一部または全部を分離する携帯機器の蓋分離方法であり、前記せん断工程時に、A側面とE底面との角部または角部の近傍、および/またはA側面の一部または全部を押さえて、前記せん断時のせん断する部分を位置決めし、また、前記せん断工程時に、F底面の一部を押さえて、前記せん断時のせん断する部分を位置決めし、さらに、前記せん断工程時に、E底面の一部または全部を押さえることを特徴とする。
【0016】
(10)本発明は、(9)に加えて、前記せん断は、せん断面の幅よりも広い領域を有するせん断刃により、行ない、前記せん断工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含むことを特徴とする。また、本発明は、前記せん断工程の後で、B側面および/またはC側面の側の一部または全部を押圧する工程(押圧工程)をさらに含み、前記押圧工程において、前記携帯機器を傾斜させてB側面および/またはC側面の側を押圧することを特徴とする。さらに、前記携帯機器を傾斜させる傾斜角度は15度から75度の間であり、前記押圧工程の後で、前記携帯機器のE蓋とF蓋との分離部分に先端部が細い冶具(開き刃)を挿入して、前記分離部分をさらに広げて、前記携帯機器のE蓋およびF蓋を分離する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
(11)本発明は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面:A側面とD側面は対抗面、B側面とC側面は対抗面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの側面(A側面)から内蔵電池が配置される位置までの領域をせん断して、前記携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)およびF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を露出させる携帯機器蓋分離装置であって、A側面とE底面との角部または角部の近傍、またはA側面の一部または全部を押さえて前記せん断時のせん断する部分を位置決めする位置決めストッパ、F底面の一部を押さえて前記せん断時のせん断する部分を位置決めするF底面抑え部、前記位置決めストッパおよびF底面押さえ部を載置する載置台、並びに、前記載置台の載置面に対して略直角方向に相対的に移動するとともに、前記携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって前記携帯機器の厚み方向に対して斜め方向に、A側面側の前記携帯機器の一部または全部をせん断して、前記携帯機器のE蓋およびF蓋の接続部の一部または全部を露出させるせん断刃を備える機構(K機構)を有する携帯機器蓋分離装置である。
【0018】
(12)本発明は、(11)に加えて、前記位置決めストッパおよび/またはF底面押さえ部は載置台上で移動可能であり、前記携帯機器のせん断する位置を変化することができ、あるいは、前記位置決めストッパは載置台上で移動可能であり、および/またはF底面押さえ部は載置台上で回転可能であり、前記携帯機器のせん断する位置を変化することができることを特徴とする。さらに、本発明は、E底面の一部または全部を押さえる部分(E底面押さえ部)を有する機構(E底面押さえ機構)を有し、E底面押さえ機構は、K機構に連結し、K機構とともに上下移動し(前記載置台の載置面に対して略直角方向に相対的に移動する)、また、E底面押さえ機構はE底面を押さえた後にE底面押さえ部に加わる一定以上の力を吸収する機構(押力吸収機構)を有し、さらに、E底面抑え部はE底面と面的に接触し、E底面の傾斜角度に応じて回転自在であることを特徴とする。
(13)本発明は、(11)または(12)に加えて、前記載置台には、前記携帯機器を切断したときに、前記せん断刃が前記載置台と接触しないように長溝または長穴が存在し、また前記K機構において、油圧ポンプを用いて、前記載置台の載置面に対して略直角方向にせん断刃を相対的に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、スマートフォン等の携帯機器の廃棄品をリサイクルしやすくするために、携帯機器の上蓋および下蓋を分離する方法およびその装置を提供する。本発明を用いれば、携帯機器の上蓋および下蓋を容易に分離することができ、携帯機器に内蔵する電池を簡単に取り出すことができる。携帯機器から内蔵電池を取り外せば、残りの廃棄品のリサイクルも容易になるので、携帯機器に含まれる貴金属類のリサイクルも促進でき、貴金属類の回収率を高めることができる。本発明の装置は簡単な構造であり、装置サイズも小さく小型の装置であるから、運搬も容易であり装置費用も安価である。本発明の装置を用いた携帯機器の蓋分離方法は工程も少なく、簡便な操作方法であるから、携帯機器の蓋分離コストも小さい。手動用油圧ポンプを用いれば電気が不要であり、いつでもどこでも本発明を使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、携帯機器の一種であるスマートフォンの構造の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態の一例で、スマートフォン等のせん断機を示す図である。
図3図3は、載置台に略直方体形状のスマートフォン等を設置する状態を示す図である。
図4図4は、スマートフォン等の側面S1の近傍をせん断する直前の状態を示す図である。
図5図5は、図4の状態における横方向側面S3に平行な面の断面図を示す図である。
図6図6は、スマートフォン等をせん断刃でせん断した状態を示す図である。
図7図7は、スマートフォン等のふた分離用開き刃を有するせん断機を示す図である。
図8図8は、スマートフォン等の圧縮式上側ふたと下側ふたの分離装置を示す図である。
図9図9は、傾斜して設置したスマートフォン等を押圧する状態を示す図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態を示す図である。
図11図11は、本発明の携帯機器蓋分離装置の斜視図を示す図である。
図12図12は、裏面(F面)支持機構を示す斜視図である。
図13図13は、別の裏面(F面)支持機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、略直方体形状または板状の携帯機器の廃棄物品に使用される貴金属類等を回収するために、携帯機器に内蔵する電池を簡便に取り出す方法および装置に関する。ここで、携帯機器には、携帯電話、スマートフォン、PDA、携帯可能な(ポータブル)コンピュータ、携帯用レコーダ、タブレットPC、タブレット、ラップトップ、ノートパソコン、ハンドヘルドなど多数の電子機器が含まれる。さらに、本発明に適用できる携帯機器としては、略直方体形状であり、電池を内蔵する機器や他の携帯情報端末が含まれる。さらに、リサイクルのために機器の内部に組み込まれた部品を取り出したい機器が存在するものでも適用できる。(本明細書ではこれらを、スマートフォン等と称することもある。)
【0022】
図2は、本発明の実施形態の一例で、スマートフォン等の側面せん断機(以下、せん断機と称するが、携帯機器(スマートフォン等)の蓋を分離することを目的とするので、携帯機器(スマートフォン等)蓋分離装置とも言う。)を示す図である。図2(a)は平面図、図2(b)は側面図、図2(c)は正面図であるが、一部を透視して描いている。本発明のせん断機1は、基台12上に油圧ポンプ10が固定して取り付けられ、油圧ポンプ10に取り付けられた昇降用ラム11が、油圧ジャッキレバー21を操作することにより、基台12および油圧ポンプ10に対して昇降する。昇降用ラム11にスマートフォン等載置台16が固定されており、昇降用ラム11の上下移動に連動して載置台16も上下移動する。
【0023】
基台12には支柱14が固定して取り付けられており、この支柱14にスマートフォン等をせん断するせん断刃17が取り付けられたせん断刃固定台18が固定されて取り付けられている。たとえば、固定ネジ19で固定されている。載置台16の下方にシリンダー13が固定されて取り付けられており、シリンダー13の内側に支柱14が通りぬけている。載置台16が上下に移動するとシリンダー13も上下に移動するが、支柱14は動かないので、支柱14に固定されたせん断刃固定台18およびせん断刃17も動かないようになっている。載置台16は支柱に対して略直角に配置されているので、せん断刃17も載置台16に対して略直角に配置されている。
【0024】
油圧ポンプ10は手動式であり、油圧ジャッキレバーハンドル21を手動で矢印方向(水平方向)に繰り返し動かすことにより昇降用ラム11を上昇させることができ、載置台16を上昇させることができる。せん断刃17はせん断刃固定台18よりも(外側)下方に飛び出して取り付けているので、載置台16が上昇するに従い、せん断刃17が載置台16に接近し。さらにせん断刃17が載置台16と接触するが、載置台16の接触部分にせん断刃17より少し大きめの溝または穴(載置台の上面から下面に貫通する穴)を形成しておけば、せん断刃17が載置台16のレベルに達しても、せん断刃17が載置台16と接触することはないので、せん断刃17および載置台16は損傷することはない。載置台16とせん断刃固定台18の間の支柱の周囲には復元バネ15が巻かれていて、せん断刃固定台18と載置台16は一定レベル以下には接近しないようになっている。すなわち、載置台16は一定レベル以上には上昇せず、復元バネ15が一種のストッパとなっている。尚、上昇のストッパは別に設けることもできるし(たとえば、支柱14にストッパを取り付ける)、あるいは油圧ポンプ10の油圧レベルに制限を設けたり、昇降用ラム11の長さ制限でストッパともなる。上昇した昇降用ラム11は、圧力調整バルブ27により油圧を開放すれば、下降することができ、これに伴い載置台16も下降することができる。支柱14に巻き付いた復元バネ15も圧縮されているので、載置台16の下降に寄与する。
【0025】
下降した載置台16とせん断刃17の先端との間はスマートフォン等の厚み(表側カバー面と裏側カバー面との間の距離に相当する)以上の隙間が空いていて、載置台の上に、スマートフォン等の表側カバー面または裏側カバー面を上(せん断刃側)にして(このとき、上側になった面を上方面と言う)、またスマートフォン等の反体面を下(載置台上面(載置面)側)にして、スマートフォン等を略水平に載置する。せん断刃17の刃先がスマートフォン等の1つの側面((前方)側面S1と言う)に略平行になるように、スマートフォン等31が配置される。側面S1とせん断刃17の刃先との距離(せん断刃17の刃先がスマートフォン等の上方面に接触したときの側面S1とせん断刃17の刃先との距離を言い、Lとする)は一定になるように載置台16にストッパ(前方(側面)ストッパと言う)26を配置しておけば、その前方ストッパ26に前方側面S1を合わせれば前方側面S1とせん断刃17の刃先との距離は一定値Lとなる。また、載置台16の上昇時およびスマートフォン等31のせん断時に載置台16に載せたスマートフォン等31が動かないように、スマートフォン等前方側面S1と略直交する側面(横方向側面S3、S4とする)側にもストッパ25(横方向ストッパ)を配置しておく。(横方向ストッパ25は2つである。)横方向ストッパ25はせん断刃17でせん断しないように長さを調整するか、押さえ位置をせん断刃17の所に接触しないように調整する。また、横方向ストッパの厚みはスマートフォン等31の厚みの半分程度あれば良い。スマートフォン等31の側面に、表側カバーと下側カバーとの接続部分(たとえば、図1に破線127で示す)がある場合は、横方向ストッパの厚みはその接続部分までの厚み以下が良く、スマートフォン等31をせん断したときに、表側カバーと下側カバーとの接続部分で表側カバーおよび下側カバーが上手く分離できる。
【0026】
せん断刃17の刃先と載置台16の上面の隙間がスマートフォン等31の厚みよりも大きく空いた状態で、スマートフォン等31を載置台に載せて、スマートフォン等31の4側面のうちの1側面であって、せん断刃17でせん断する方の1側面(前方側面)S1を前方ストッパ26に合わせて前方向(前方側面S1側を前方向とする)から押さえ、また側面S1と直交する2側面(横方向側面S3、S4とする)を横方向ストッパ25で横方向から押さえる。このようにしてスマートフォン等31の(前方向および後方向の)位置決めを行なってスマートフォン等31を載置台で動かないようにして位置を固定した後に、油圧ジャッキレバーハンドル21を操作して、載置台16を上昇させてせん断刃17の刃先をスマートフォン等31の上方面(載置台16上に載置したスマートフォン等31の上方を向いた面で、表側面か下側面のどちらかの面である)にあてる。ここで、いったん載置台16の上昇を停止させて、せん断刃17の刃先がスマートフォン等31の上面に当接させて、せん断刃17の刃先が確実にスマートフォン等31の上面に食い込むことを確認する。こうすることで、スマートフォン等31をせん断するときに、スマートフォン等31のせん断面が移動しないようにすることができる。またスマートフォン等31の側面S3およびS4において、表側カバーと下側カバーとの接続部分が分離しやすくなる。尚、せん断面(H面とも言う)は前方側面S1と略平行な面となる。ここで、単に「平行」と記載した場合に「完全に平行」であると判断する人がいるので、「完全に平行」も含むが「平行に近い場合」も含むということで「略平行」という語句を用いている。しかし、本明細書では単に「平行」と記載しても「略平行」であることも含むものとする。「略」の使い方は以下同様である。
【0027】
次に、油圧ジャッキレバーハンドル21を操作して、さらに載置台16を上昇させてスマートフォン等31の側面S1側の近傍(近く)をせん断する。すなわち、スマートフォン等31の1つの底面(上方面、これを表面としても良いが、ここでは表示画面が存在する方の面でない場合もある。)から、他の1つの底面(下方面、これを裏面としても良いが、ここでは表示画面が存在しない方の面でない場合もある。)に向かって、スマートフォン等31の厚み(スマートフォン等31の1つの底面と他の1つの底面の距離)方向にS1側面に略平行にスマートフォン等31の一部または全部をせん断する。載置台16に溝または穴(これを(せん断刃)逃がし溝(穴)または(せん断)落ち溝(穴)とも呼ぶ)を形成しておけば、スマートフォン等31を完全にせん断しても、せん断刃17の刃先は逃がし溝等に入るので、せん断刃17の刃先が載置台16に接触することはない。この逃がし溝等は、せん断刃17の幅(横方向長さ)よりも長い長溝または長穴であり、長溝の幅はせん断刃17の厚みよりも大きい。スマートフォン等31を完全にせん断する前に表側カバーと下側カバーとの接続部分が一部または全部が分離して、その分離して開いた隙間からドライバ等の刃を入れることができるようになれば、その段階で載置台16の上昇を停止してスマートフォン等31のせん断をやめても良い。手動で油圧ポンプ10を操作して載置台を移動する場合は、任意の位置で停止させることが可能である。載置台16に溝や穴が形成されている場合、削りカス等が溝や穴に入り、スマートフォン等31の下方面と載置台16の間に入るのを防止することができ、せん断がスムーズに行なわれるという効果もある。スマートフォン等31をせん断するだけで上側ふたと下側ふたの接続部分の一部または全部が分離して、内蔵電池を取り出すことができる場合もある。
【0028】
せん断刃17の刃先は、図2(b)に示すように、スマートフォン等31の後方側(S2側)から前方側(S1側)へ細くなるように形成すれば、スマートフォン等31がせん断しながら、せん断されたスマートフォン等31の後方部分(S2側部分)が後方へ少しずつ移動していくので、スムーズなせん断が可能となる、従って、スマートフォン等31の後方側の側面S2(S1の対向面、(後方)側面S2とする)にストッパは配置しないことが望ましい。後方側面S2を押さえるストッパを配置するとしても少し移動できるような押さえ方をするのが良い。尚、せん断時にスマートフォン等31の後方側が浮いて来る場合には、側面S2側のスマートフォン等31の上方面を上から押さえても良い。たとえば、側面S2側のスマートフォン等31の上方面を上から押さえるストッパを配置することもできる。
【0029】
2つの底面(底面S5、底面S6)および4つの側面(側面S1、側面S2、側面S3、側面S4)を持つ略直方体形状のスマートフォン等(携帯機器)31において、側面S1とせん断部分までの距離(側面S1と側面S1に略平行にせん断されたせん断面(H面)までの距離)Lは、側面S1と内蔵する電池までの距離より短い必要がある。すなわち、Lは側面S1から内蔵電池が配置される位置までの間の領域に存在する。電池の外装は強固であるからせん断刃17が電池をせん断するとせん断刃17が損傷する可能性がある。また、電池が損傷すると電池から電解質等の液漏れがする可能性もある。さらに、電池にダメッジが加わると電池が発熱したり爆発する恐れもある。図1から分かるように、内蔵電池はスマートフォン等31の4つの側面を形成する表側カバー(蓋)および裏側カバー(蓋)に被われているので、内蔵電池はスマートフォン等31の4つの側面から5mm~6mm以上離れている。特に、短辺側の側面に電源供給端子120および外部機器との接続コード端子121が配置されている側(S1またはS2)は、電池までの距離が比較的大きい。また、短辺側の側面にカメラモジュール126が配置されている側(S1またはS2)も、電池までの距離が比較的大きい。短辺側において、これらが配置されている側面を前方側面S1とし、Lを5mm~6mm以下に設定するのが良い。尚、外観でこれらの位置が分からない場合でもLを5mm~6mm以下に設定しておけば、内蔵電池にせん断刃17が接触することはない。尚、短辺側側面の場合は、10mm以下であれば、切断しても切断刃が内蔵電池に接触することはないと考えられる。また、下限はLが1mmでも設定可能であるが。余裕を見て3mmは取った方が良い。すなわち、LはS1側面より3mm~10mmの間で設定できる。カタログや型番等で電池の位置が予め分かる場合は、上記値よりも大きくLを設定しても良い。
【0030】
スマートフォン等31の1側面(S1)付近(近傍)の部分において、スマートフォン等31の上方面から下方面までの部分の1部または全部をせん断したときに、側面S3および/または側面S4において表側カバーと裏側カバーとが充分に分離せず、ドライバの刃等を入れて表側カバーおよび/または裏側カバーを取り外せない場合は、スマートフォン等31の1側面(S1)付近の部分を完全にせん断して、側面S1付近のせん断面(H面)を露出した状態で、スマートフォン等31を載置台16から取り外す。横方向ストッパ25をゆるめれば、せん断されたスマートフォン等31を載置台16から取り外すことはできるが、せん断刃17等にスマートフォン等31の一部が食い込んでいる場合は、油圧調整レバー22を調整して、載置台16を下降させれば、せん断刃17がスマートフォン等31から離れて、せん断したスマートフォン等31を載置台16から取り外すことができる。
【0031】
せん断刃固定台18にストッパ(携帯電話斜め置き用上部ストッパ)27が取り付けられており、この部分と載置台16に取り付けたストッパ(携帯電話斜め置き用下部ストッパ)25(携帯電話水平置きストッパと兼用できるので同じ符号をつけたが、載置台に別に配置しても良い)に、スマートフォン等31のせん断面(側面S1と略平行な面となっている)と直交する側面S3およびS4を当てる。すなわち、スマートフォン等31を傾け、後方側面S2およびせん断面Hが傾斜するように、いわゆる斜め置き状態にする。斜め置き状態にするために、油圧調整バルブ22および/または油圧ジャッキレバーハンドル21を調整して、載置台16と携帯電話斜め置き用上部ストッパ27の位置関係を調節する。
【0032】
携帯電話斜め置き用上部ストッパ27と携帯電話斜め置き用下部ストッパ25によって挟まれて斜め置きにされたスマートフォン等31のせん断面は当然傾いている。次に、油圧ジャッキレバーハンドル21を操作して、載置台を上昇させると、斜め置きにされたスマートフォン等31において、S1側面および/またはC側面の側の一部または全部が押圧(または圧縮)される。すなわち、携帯電話斜め置き用上部ストッパ27から下方向への力、および/または携帯電話斜め置き用下部ストッパから水平方向(載置台の前方方向)の力を受けて、せん断面Hにおいてスマートフォン等31の上側カバーと下側カバーは一部または全部が分離し、またはそれらの間に隙間が生じる。また、側面S2、S3、S4においても、上側カバーと下側カバーの結合力は弱くなる。その状態で分離した部分や隙間からドライバ等の刃先の先端を入れて上側カバーおよび/または下側カバーを持ちあげれば、上側カバーおよび/または下側カバーを容易に取り外すことができる。
【0033】
あるいは、その状態になった後で、油圧調整バルブ22を調節して載置台16を下降させてスマートフォン等31を載置台16から取り外す。スマートフォン等31のせん断面において、上側カバーと下側カバーの一部または全部が分離して生じた隙間にドライバ等の刃先の先端を入れて上側カバーおよび/または下側カバーを持ちあげれば、上側カバーおよび/または下側カバーを容易に取り外すことができる。尚、傾斜させずにS3側面とS4側面をそれらの面に対して略垂直に押圧する(圧縮)して、せん断面Hに隙間等を生じさせることもできるが、傾斜する場合よりも大きな力が必要になるので、手動で油圧ポンプを操作する場合は傾斜させた方が良い。電動で油圧ポンプを動かす場合でもより大きな力を加える必要がある。また、傾斜角度は側面S2またはせん断面Hと載置台16の上面(平坦面)とのなす角度は75度~15度が良い。ドライバは刃先が細くなっているマイナスドライバが隙間等へ挿入しやすくて良い。刃先の幅やドライバの長さや太さは両ふたの分離部分の大きさにより適宜選択すれば良い。或いは、マイナスドライバでなくても先端部が細い冶工具(開き刃)を挿入して、その分離部分をさらに広げて、前記携帯機器の表蓋および裏蓋を分離することもできる。隙間が小さい場合は先端部が尖った冶工具(たとえば、錐、千枚通し)を入れても良い。隙間が大きい場合は、先端が細くなくても棒状または板状の冶工具でも良い。隙間が中間的な場合は、たとえば、センターポンチやシャーシパンチや先端が円錐状になったドライバを使っても良い。冶工具とは、冶具、工具のことである。冶具には、隙間に入れて蓋を分離することができるものとして作製したものや、隙間に入って蓋を分離できる既存物(たとえば、棒状、板状、先端が円錐状・角錐のもの)を適用したものを含む。工具には、工作に用いる道具であり、たとえばドライバ、錐であり、種々のものが存在するが、ここでは隙間に入って蓋を分離できる工具である。
【0034】
これまでの説明で分かるように、せん断刃を有するせん断機(携帯機器蓋分離装置)と携帯機器の側面を押圧(圧縮)する装置(これも携帯機器蓋分離装置)は別々の装置でも良いことは言うまでもない。携帯機器の側面を押圧(圧縮)する装置の場合、S3側面を押さえるストッパを持つ板状の台(E台)とC側面を押さえるストッパを持つ台(F台)があり、E台とF台とが直交して移動する機構を用いて、E台に備わるストッパをF台に備わるストッパに近づけることによって押圧する機構であれば、携帯機器の側面を(傾斜することも含めて)押圧(圧縮)し、携帯機器の表蓋および裏蓋を分離することもできる。E台とF台とが直交して移動させる装置として油圧ポンプ(手動または電動)を用いることができる。
【0035】
図2をもとにして説明した内容をさらに詳細に説明する。図3は、載置台41に略直方体形状のスマートフォン等55を設置する状態を示す図である。載置台41には、前方ストッパ44、横方向ストッパ45が左右に配置されている。また、載置台41の上方にせん断刃42が設置されており、せん断刃42は載置台41に対して<相対的に>上昇または下降できる。図2では載置台を油圧ポンプを用いて上下に移動させていたが、せん断刃42を上下に移動させても良いという意味で、<相対的に>という語句を使用している。せん断刃42を移動させるときも油圧ポンプ(手動または自動(電動))を用いることができる。載置台41にスマートフォン等55を載置するために、せん断刃42は載置台41の上方に上げて、せん断刃42の直下にスマートフォン等を入れる空間を作る。せん断刃42の刃先はスマートフォン等55を直線状にせん断できるように直線状になっている。
【0036】
スマートフォン等55は、略直方体形状であり、表示画面を有する面(表面とも言う)とその反対面である面(裏面とも言う)と、4つの側面で囲まれている。載置台41の上面(載置面)にスマートフォン等55を載せて{このとき上を向いた面を上方面S5、下を向いた面(すなわち、載置台41の載置面に面した面)を下方面S6とする。上方面S5はスマートフォン等55の底面のうちの1つである表面か裏面であり、下方面S6はその逆の面である。}、せん断刃42と載置台41との間の空間からスマートフォン等55を押入れて、4つの側面のうちの1つの側面S1を前方ストッパ44に押し当てる。ストッパ44が側面S1と当接する面はせん断刃42の刃先と平行になっている。スマートフォン等55の側面S1は、ストッパ44で押さえられるので、せん断刃42の刃先とも平行になる。スマートフォン等55を載置台41に載せて前方ストッパ44を向いた方をスマートフォン等55の前方と呼び、前方ストッパ44に当接するスマートフォン等55の側面S1を前方面と呼ぶ。また、側面S2を後方面、側面S3およびS4を横方向側面と呼ぶ。
【0037】
スマートフォン等55の横方向側面S3、S4を押さえて、スマートフォン等55のせん断時に横方向へ移動しないように、横方向ストッパ-45が載置台41上に配置されている。横方向ストッパ-45は、スマートフォン等55の横方向側面のどちらか一方側でもスマートフォン等55の横方向の位置決めが可能であるが、スマートフォン等55の横方向側面の両側に配置しておけば、スマートフォン等55を横方向に動かないように位置決めできる。スマートフォン等55の幅(側面S3とS4)をWとすれば、横方向側面の両側に配置された2つの横方向ストッパ-45の側面押さえ面同士の距離は、W以上必要である。スマートフォン等の大きさは千差万別であるから、横方向ストッパ-45は横方向へ移動できるようにしておくことが望ましい。たとえば、スマートフォンの幅(短辺側で横幅とも言う)の例として約40mm~60mmで、幅(長辺側で縦幅または長さとも言う)の例として約80mm~120mmである。これ以上のサイズの携帯機器はあるから、それに合わせたサイズのものを用意すれば良い。当然、載置台も大きくなるし、図2で記載した支柱やせん断刃固定台のサイズも大きくなるし、油圧ポンプもより重いものを昇降するのでの性能が良くサイズも大きいものが必要となり、適宜選定すれば良い。スマートフォンの厚みは、5mm~15mmであるから、これらの厚みのものをせん断刃の下の載置台に載置できるように。せん断刃を載置台から離せるようにする必要がある。タブレットやノートパソコンはこれよりも厚いので、せん断の対象となる携帯機器の厚みに合わせて、せん断刃と載置台の離間距離を調整できるような装置を設計する必要がある。また、せん断する携帯機器のせん断強度に適用できるように、油圧ポンプの能力も選択する必要がある。
【0038】
図3に示す横方向ストッパ-45は直方体形状(または板状)であり、横方向へ長穴46が形成されており、この長穴46へガイド棒47が通っている。ガイド棒47は載置台41に取り付けられているので、ガイド棒47を利用して長穴46に沿って横方向ストッパ-45を横方向(矢印51で示す)へ移動することができる。ガイド棒47にネジを形成しておけば、ボルト等で締めて横方向ストッパ-45を載置台41に固定することもできる。横方向ストッパ-45を移動させて、スマートフォン等55の側面S3およびS4に当接させて横方向からスマートフォン等55の位置決めを行ない、スマートフォン等55のせん断時にスマートフォン等55が横方向に動かないように固定できる。
【0039】
スマートフォン等55の上側ふた(蓋)57と下側ふた(蓋)58の接続部を破線56で示す。破線56はスマートフォン等55の側面に形成されているが、上側ふた57が下側ふた58に被さっている場合もあれば、その逆もあるので、破線56は外観上の境界線と考えても良い。あるいは、境界線56はスマートフォン等55の側面に形成されない場合もある。たとえば、上部が空いた箱状ケースに上から1枚の板(たとえば、パネル板)が箱状ケースに接着されたスマートフォン等55である場合には、その接続部は上面に存在する。50はせん断刃42が相対的に下降してスマートフォン等55を完全にせん断したときに、せん断刃42が載置台42に接触しないようにするための溝または穴(穴の場合は、載置台41を貫通する貫通穴である。以下、せん断刃挿入溝または逃がし溝と称する。)である。せん断刃挿入溝50はせん断刃42のサイズより当然大きく、スマートフォン等55をせん断したときに発生する切り屑や切り粉が入るので、切り屑や切り粉がせん断に影響を与えないという効果もある。溝や穴に入った切り屑や切り粉はスマートフォン等55をせん断して載置台41から取り外した後で除去すれば良い。
【0040】
図4は、スマートフォン等55の側面S1の近傍をせん断する直前の状態、すなわち、せん断刃42の刃先がスマートフォン等55の上方面S5に接触した状態、またはスマートフォン等55の上方面S5に少し食い込ませた状態を示す図である。スマートフォン等55の縦方向側面(前方側面)S1を前方ストッパ44の側面に当接して合わせ、スマートフォン等55の横方向側面S3およびS4を横方向ストッパ45の側面で押さえる。この状態でせん断刃42を相対的に下降させてスマートフォン等55の上方面S5に接触させる。(上方面とは、スマートフォン等55の上面または下面であり、載置台41の上面に接触させる面はスマートフォン等55の上面でも下面でも良いので、載置台41にスマートフォン等55を載置したときに上方を向く面ということで、<上方面>と名付ける。)せん断刃42の幅はスマートフォン等55の幅Wより広くして、スマートフォン等55を横方向に完全にせん断できるようにすることが望ましいが、本発明の目的である内蔵電池を取り出すことができる場合は、せん断刃42の幅はスマートフォン等55の幅Wより狭くして、スマートフォン等55を横方向に一部せん断するようにしても良い。
【0041】
せん断刃42はスマートフォン等55の前方側面S1から距離(長さ)Lの所に接触するようにする。このLは5mm~6mmに設定すれば、殆どのスマートフォン等55において、内蔵電池に接触することはなくスマートフォン等55をせん断できる。しかもこの値に設定すれば、問題なくスマートフォン等55の前方側面S1近傍をせん断できて、上側ふた57と下側ふた58を一部または全部を分離することができる。せん断刃42の刃先は43で示すように、前方側へ傾斜して細くなるようにする。このようにすることによって、スマートフォン等55をせん断したときに、スマートフォン等55を後方側に徐々に押し出すので、せん断された後方側のスマートフォン等55の側面の接続部分56が分離しやすくなる。また、スマートフォン等55のせん断面が比較的なめらかな状態になる。さらに、スマートフォン等55の後方面S2にもストッパ(後方ストッパ)を設置して後方からもスマートフォン等55を規制しておけば、せん断された後方側のスマートフォン等55の側面の接続部分56が分離しやすくなる。また、吹き出し矢印59のように、スマートフォン等55の後方側の上方面S5を上から押さえておけば、スマートフォン等55のせん断時にスマートフォン等55が押し上げられることもなく、せん断された後方側のスマートフォン等55の側面の接続部分56が分離しやすくなる。特に、図4に示す状態でせん断刃42をスマートフォン等55の上方面S5に接触または少し食い込ませた状態で一旦停止させて、その後にせん断していくとスマートフォン等55の側面の接続部分56が分離しやすくなる。
【0042】
図5は、図4の状態における横方向側面S3に平行な面の断面図を示す図である。すなわち、図5は、スマートフォン等55の前方側面S1の近傍をせん断する直前の状態、すなわちせん断刃42の刃先がスマートフォン等55の上方面S5に接触した状態、またはせん断刃42の刃先がスマートフォン等55の上方面S5に少し食い込んだ状態を示す図である。せん断刃42の刃先43は、先端へ向かって前方側へ傾斜して細くなっており、前方側面S1側の刃先は載置台41の上面(載置面)に垂直になっていて、ストレート面(線)である。すなわち、せん断刃42はスマートフォン等55の上方面S5に直角に当たりせん断していく。せん断刃42の直下における載置台41にはせん断刃挿入(またはせん断刃受け)溝50が形成されており、せん断刃42で載置台41に置かれたスマートフォン等55を完全にせん断しても、せん断刃42は載置台41には接触しない。
【0043】
図6は、スマートフォン等55をせん断刃42でせん断した状態を示す図である。せん断刃42は、スマートフォン等55の側面S1の近傍を幅方向に完全にせん断し、せん断刃挿入溝50に入り込んだ状態である。スマートフォン等55は前方部分55-2と後方部分55-1に分割されている。後方部分55-1の側面S3において、上側ふた57と下側ふた58は接続部56において一部が分離して、隙間61が空いている。図6では、一部だけ隙間61が形成されているが、上側ふた57と下側ふた58の接着度具合によっては、上側ふた57と下側ふた58が接続部56において全体で分離する場合もある。これは、スマートフォン等55をせん断刃42でせん断するとスマートフォン等55を後方側に押し出す力が働くが、横方向ストッパ45によりスマートフォン等55が後方に動きにくい状態になっているので、上側ふたを上方へ押し上げ、上側ふた57と下側ふた58がその接続部分56で一部または全部が分離すると考えられる。特にスマートフォン等55の後方部分55-1の中央付近で分離しやすい。横方向ストッパ45の厚みをスマートフォン等55の下側ふた58の厚みよりも小さくして、横方向ストッパ45で下側ふた58だけを横方向から押さえるようにすれば、上側ふた57と下側ふた58が分離しやすくなる。
【0044】
隙間が形成されたら、その隙間61から先端が細く平べったいもの、たとえばマイナスドライバの先端部を入れて、押し広げるか持ちあげるかして、上側ふた57と下側ふた58を分離することができる。先端が細いキリ状の冶具を入れて上側ふた57と下側ふた58を分離することができるが、先端が細く平べったいものの方が上側ふた57と下側ふた58を分離しやすい。このとき、載置台41にスマートフォン等55を載せた状態で行なっても良いし、載置台41からスマートフォン等55を取り外して行なうこともできる。図7は、スマートフォン等のふた分離用開き刃を有するせん断機を示す図である。図7に示す細長く先端部が細くなった刃64を有する(板状の)開き刃63を横方向ストッパ45に取り付ける。横方向ストッパ45には中央部に空間(穴)48が形成されており(図3図6を参照)、その空間48に載置台41に取り付けられた開き刃63のガイド棒49が配置されている。開き刃63のガイド棒49は横方向ストッパ45の厚さより長いが、空間48は広い領域なので、横方向ストッパ45はガイド棒49の回りで移動できる。載置台41にガイド棒49が入るネジ穴を形成しておき、ガイド棒49にもネジを入れておくことにより、載置台41から取り外しも可能である。
【0045】
開き刃63には長穴65が形成されており、ガイド棒49をこの長穴65に通して横方向ストッパ45に取り付けることができる。開き刃63はガイド棒49を入れた状態で長穴65に沿って移動することができ、また開き刃63はガイド棒49の回りに自由に回転できる。ガイド棒にネジを形成しておけば、ナットを入れて開き刃63を横方向ストッパ45に固定することもできる。図7に示すように、この開き刃63の先端部をスマートフォン等55の横方向側面S3やS4に生じた隙間61に入れて、隙間61の内部に回しながら押し込めば、上側ふた57と下側ふた58を容易に分離できる。隙間61の内部に開き刃63を押し込んで、てこの原理を使って開き刃63の先端側を上下に動かすこともできるので、上側ふた57と下側ふた58が強固に接着していても小さい力で容易に分離できる。開き刃63は、横方向の両側の横方向ストッパ45に設置できるので、横方向の両側面S3およびS4に生じた隙間から開き刃63をそれぞれ入れて、両側面の隙間から上側ふた57と下側ふた58を容易に分離できる。
【0046】
上側ふた57と下側ふた58が分離したら、内蔵した電池が見える場合は、スマートフォン等55を載置台41から取り外さなくとも容易に内蔵電池を取り外すことができる。(表示画面のある底面(表面)を下方面として、その反対の底面(裏面)を上方面として載置台41に載置すれば、上側ふた(上方面側にあるふた)が外れたときに内蔵電池が見える。)上側ふた57と下側ふた58が分離した状態で、あるいは上側ふた57と下側ふた58が容易に(マニュアルで)分離できるようになった状態で、開き刃63をスマートフォン等55から離して、さらに両側に設置した横方向ストッパをスマートフォン等55から離す。また、その前後にせん断刃42を相対的に上昇させてスマートフォン等55から離す。内蔵電池を取り外したスマートフォン等55は次のリサイクル段階(たとえば、破砕機や選別機)へ移す。
【0047】
上方側面S1の近傍のスマートフォン等55をせん断しても上側ふたと下側ふたが分離しない場合や分離しても開き刃やドライバ等の先端部が入らない場合は、以下のようにして上側ふたと下側ふたを分離する。上方側面S1の近傍のスマートフォン等55をせん断した後に、せん断刃42を載置台41に対して相対的に上昇させ、また横方向ストッパ45を広げて、せん断したスマートフォン等55を載置台41から取り外す。せん断したスマートフォン等55の後方側(埋蔵電池が存在する方)のせん断面77は、上側ふた57と下側ふた58の間に各種基板やICとの素子や端子等が積層されている。そこで、スマートフォン等55の(横方向)側面S3とS4を押しつぶして、上側ふた57と下側ふた58を分離することができる。図8は、スマートフォン等55の圧縮式上側ふた57と下側ふた58の分離装置(上下ふた分離装置(押圧装置)とも呼ぶ)を示す図である。この上下ふた分離装置(押圧装置)は、図8に示すように、スマートフォン等55のせん断機と兼用できる。
【0048】
図8は、図2と同様の構造であり、せん断刃42を固定するせん断刃固定台75が存在し、せん断刃固定台75は支柱73によって支持されている。(図3図7では、せん断刃固定台や支柱等は省略している。)固定具74はせん断刃固定台75と支柱73を固定している。支柱73は載置台41に形成された貫通穴81を通って、たとえば図1に示す基台12に取り付けられている。せん断刃固定台75およびせん断刃42は載置台41に対して相対的に上下に昇降可能である。たとえば、図1と同様に油圧ポンプを用いて載置台41を昇降させても良いし、昇降機構(たとえば、ネジ回し昇降機構)を用いて支柱73を昇降させることもできる。せん断刃固定台75には、横方向ストッパ45側にスマートフォン等斜め置きストッパ(上部、せん断刃固定台側)78が取り付けられていて、スマートフォン等55のせん断面77を傾斜させてスマートフォン等55を設置したときに、スマートフォン等55の(横方向)側面S3(またはS4)を押さえる抑制機構である。図8では、スマートフォン等斜め置きストッパ(上部)78は、3本の棒状(柱状または幅の狭い板状でも良い)であるが、2本でも良いし、4本以上でも良い。スマートフォン等55を押しつぶしたときに外れなければ、1本でも良い。あるいは、スマートフォン等斜め置きストッパ(上部)78は一体となった板状でも良いし、せん断刃固定台75に窪み部を形成してそこにスマートフォン等55の(横方向)側面S3(またはS4)を入れ込めるようにして押さえる抑制機構でも良い。種々の大きさのスマートフォン等55に適用するために、多数の棒状ストッパ78を取り付けておき、スマートフォン等55の側面S3(S4)の長さにより、押さえる棒状ストッパ78の数を選択すれば良い。板状ストッパで押さえる場合は、適用する最大サイズの スマートフォン等55に合わせて、板状ストッパの長さを決定すれば良い。
【0049】
せん断刃固定台75を相対的に昇降させて、スマートフォン等55の(横方向)側面S3(またはS4)をスマートフォン等斜め置きストッパ(上部)78にかけて、他方側のスマートフォン等55の(横方向)側面S4(またはS3)を載置台41に配置したスマートフォン等斜め置きストッパ(下部)82で押さえるようにして、スマートフォン等55が載置台41に対して傾斜角αでセットする。スマートフォン等斜め置きストッパ(下部)82は、スマートフォン等55を斜めに押しつぶした時に外れなければ、横方向ストッパ45と兼用しても良い。スマートフォン等斜め置きストッパ(下部、載置部側)82(45)は、横方向(X方向)には長穴(ガイド穴)46とガイド棒47で移動して固定でき、縦方向(Y方向)には長穴(ガイド穴)71とガイド棒72を用いて移動して固定できる。スマートフォン等斜め置きストッパ(下部、載置部側)82(45)のS4(またはS3)を押さえる長さ(X方向)も適宜選択すれば良い。図8に示すように、スマートフォン等斜め置きストッパ(下部、載置部側)82(45)が2つであれば、スマートフォン等55の側面S4(またはS3)の両端を押さえておけば良いので、それぞれのX方向長さも余り長くする必要はない。スマートフォン等斜め置きストッパ(下部、載置部側)82(45)の位置を調節して、スマートフォン等55の傾斜角度αを調整できる。あるいは、スマートフォン等斜め置きストッパ(上部)78の高さを調節して(せん断刃固定台75を(Z方向に)昇降させて調節できる)、スマートフォン等55の傾斜角度αを調整できる。あるいはその両方で傾斜角度αを調整できる。
【0050】
上下ふた分離装置(押圧装置)において、スマートフォン等斜め置きストッパ(上部)78を固定したせん断刃固定台75を載置台41に対して相対的に下降させて、上下ふた分離装置(押圧装置)に傾斜して設置したスマートフォン等55を(横方向)側面S3およびS4間で押圧する。すなわち、図9は、傾斜して設置したスマートフォン等55を押しつぶす(押圧する)状態を示す図である。このとき、スマートフォン等55には上方面S5および下方面S6の鉛直方向に大きな分力が外側方向にかかるので、スマートフォン等55の上側ふた57および下側ふた58の特に中央部(斜め方向、すなわちスマートフォン等55の横方向における)が外側に変形しやすい。この結果、せん断面77の中央付近から広がった隙間(空間)79が形成される。(図9では、せん断眼77の厚み方向において中央部が広がるように記載しているが、通常はふたが外側に変形する(膨らむ)ので、上側ふた57および/または下側ふた58と各種内蔵基板との間に隙間79は形成しやすい。)スマートフォン等55によっては、上側ふた57および下側ふた58が完全に分離する場合もある。或いは、スマートフォン等の上側ふたと下側ふたの結合度合いによっては、ストッパ78や82の近傍で、上側ふたと下側ふたとの接合部分が分離したり、上側ふたおよび/または下側ふたが破壊する場合もある。すなわち、せん断時の状態によっても変化するので、種々の分離形態がある。
【0051】
せん断面77と反対側の面(後方面)S2においても上側ふた57および下側ふた58の一部が分離する場合もあるが、後方面S2側はせん断していないので、上側ふた57および下側ふた58は強固に接着しているので、上側ふた57および下側ふた58は分離しにくい。せん断面77側は、上側ふた57および下側ふた58は(強固には)接着しておらず、基板等が積層しているだけなので、押しつぶす力が弱くても容易に隙間79が形成されかつ大きくなる。この状態でマイナスドライバ等の先端部をこの隙間79に入れて押し広げれば容易に上側ふた57および下側ふた58を分離できる。或いは、せん断刃固定台75を載置台41に対して相対的に上昇させるか、スマートフォン等斜め置きストッパ(下部、載置部側)82(45)をY方向(の外側方向)へ移動させるかして、スマートフォン等55を載置台41から取り外した後に、マイナスドライバの先端部をこの隙間79に入れて押し広げれば容易に上側ふた57および下側ふた58を分離できる。マイナスドライバ以外に、先端部が細くなっている棒状または板状またはきり状の冶具を用いて上側ふた57および下側ふた58を分離しても良い。
【0052】
傾斜角αは、15°~75°が良い。αが75°以上では押しつぶす力が大きくなり、手動の油圧ポンプでは上側ふた57および下側ふた58を分離するのが困難である。(もちろん、人によっては、または機械を使えば、分離することは可能である。)好適には30°~60°が良い。もっと好適には40°~50°が良い。αが45度近辺の場合には上方面S5および下方面S6の鉛直方向における分力が最も大きくなるので、上側ふた57および下側ふた58を容易に分離できる。上側ふた57および下側ふた58を外せば、内蔵電池を容易に取り出すことができる。
【0053】
図8および図9に示す上下ふた分離装置(押圧装置)はせん断機と兼用であるから、せん断刃42によりスマートフォン等55をせん断したときにせん断刃42が載置台41と接触しないように、せん断刃逃がし溝(または穴)(またはせん断刃落ち溝)50が配置されている。上記説明において、スマートフォン等55のせん断部分については、直方体形状(正方形状を含む)の4側面を限定していない。すなわち、L=3~10mm(好適には5~6mm)に設定すれば殆どの携帯用(電子)機器のいずれの4側面でも良い。従って、本発明のせん断機はその都度スマートフォン等55の機種の中身(特に内蔵電池位置)をカタログや図面等で調査する必要はなく、装置名や機種名によらずすぐにせん断できるという利点があり、作業スピードを速くできる。ただし、スマートフォンや携帯電話の場合は、図2およびその説明からも分かるように、内蔵電池の位置が短辺側側面から離れているので、短辺側側面(長手方向の側面)をS1としてせん断した方が良く、せん断面積も少なくて済むのでせん断する力も小さい。また、内蔵電池は表示画面とは反対側の方から取り出しやすいので、載置台に載置するときに上方面を表示画面ではない面(裏面)にすると上方面が分離したときに内蔵電池を取り出しやすい。さらに、上下ふた分離装置(押圧装置)の場合は、スマートフォン等の長手方向を横にした方が、スマートフォン等斜め置きストッパ(上部、せん断刃固定台側)78と載置台41との距離を大きくしなくても良いので、作業性や作業効率、および作業スピードが良い。また、スマートフォン等を押しつぶす力も小さいというメリットもある。尚、せん断機と上下ふた分離装置(押圧装置)は兼用せずに個別装置とすることも可能である。また、本発明の装置を使えば、一つの側面の近傍をせん断しても上下ふたが分離しにくい場合は、対向する2つの側面の近傍をせん断することもできる。さらに本発明の装置を使えば、3つまたは4つの側面の近傍もせん断できるので、さらに容易に上下ふたを分離できる。
【0054】
図10は、本発明の別の実施形態を示す図である。基本図は図2と同じであるから、図2と同じかまたは類似する部材は同じ符号を付す。図10は、本発明の携帯機器(スマートフォン等)分離装置の側面図を示す図である。基台12に油圧ポンプ10が配置されており、載置台16またはせん断刃17を上下に移動させて、携帯機器の1つの側面の近傍を切断する。これまでに示した実施形態と異なるのは、携帯機器の1つの側面の近傍をその側面に対して斜め方向に切断することである。すなわち、図10に示す携帯機器(スマートフォン等)分離装置は、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面:A側面とD側面は対抗面、B側面とC側面は対抗面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの側面(A側面)から内蔵電池が配置される位置までの領域において、前記携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって前記携帯機器の厚み方向に対して斜め方向に、A側面側の前記携帯機器の一部または全部をせん断して、前記携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)およびF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を露出させる工程(せん断工程)を含む、前記携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)およびF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を分離する携帯機器の蓋分離装置である。携帯機器(スマートフォン等)を傾斜させて切断(せん断)する方法も比較的簡便であり、垂直に切断する場合に比べて、切断面(せん断面)がきれいである(整っている)という場合があり、その後の開き刃等で隙間を開けやすく電池を取りやすい場合がある。
【0055】
本実施形態では、携帯機器(スマートフォン等)31を載置台16に対して傾斜させて配置する。携帯機器(スマートフォン等)の電池が配置されている側の側面(A側面とする。通常は略直方体形状のスマートフォン等であれば、短辺側の側面である。)を載置台16における前方(図10では右側)の下側にし、A側面と反対側の側面(D側面とする。)を後方(図10では左側)の上側にして傾斜させる。この傾斜は、たとえば手で行なっても良いし、携帯機器31の裏面(表示面と反対面の通常の裏面ではなく、単に下(裏)側になった面であり、F面とする。)を抑える裏面(F面)支持部材101で保持しても良い。裏面支持部材101は載置台16に固定部材102で連結されており、固定部材102を調節することにより裏面支持部材101を固定部材102の周りに回転できるので、裏面支持部材101と載置台16との角度を変えることができる。その結果、携帯機器(スマートフォン等)31を適当な角度(β)で傾斜させて、載置台16に配置できる。適当な角度で固定部材102(たとえば、ネジやボルトで)を締めて載置台16に固定する。尚、裏面支持部材101と携帯機器(スマートフォン等)31との接触点(または接触線または接触面)をUとする。
【0056】
前方の位置出し(または位置決め)は、載置台16の前方に配置した前方ストッパ26を載置台16上で移動させて行なうことができる。たとえば、斜めに傾けた携帯機器(スマートフォン等)31のA側面側の角部(E底面とA側面との交叉部)または角部近傍(角部の周り)を前方ストッパ26の後方側の側面(前方ストッパ26の形状を直方体(板)状とすれば、後方側面)に当てて位置出しする。前方ストッパ26は載置台16上で前後左右に移動できるので、携帯機器(スマートフォン等)31の前方側の位置決めを行なうことができる。尚、前方ストッパ26の高さが斜めに置いた携帯機器(スマートフォン等)31のA側面側の角部(E底面とA側面との交叉部)の高さよりも大きくしておけば、前方ストッパ26の後方側の側面が携帯機器(スマートフォン等)31のA側面側の角部に当たる(接触する)。A側面側の角部(E底面とA側面との交叉部)の高さがA側面側の角部(E底面とA側面との交叉部)の高さよりも小さい場合は、前方ストッパ26の後方側の側面角部は携帯機器(スマートフォン等)31のA側面に当たる。携帯機器(スマートフォン等)31の傾斜に合わせて、前方ストッパ26の後方側の側面を傾斜させておけば、携帯機器(スマートフォン等)31のA側面に前方ストッパ26の後方側の側面が当たる。(接触部{接触点(実際には、奥行きがあるので、接触線)または接触面である}をIとする。)いずれにしても前方ストッパ26で携帯機器(スマートフォン等)31の前方側の位置決めが可能である。
【0057】
携帯機器(スマートフォン等)31の後方側は、載置台16の後方に配置した後方ストッパ32で位置決めができる。後方ストッパ32の形状は直方体(板)形状とすれば、後方ストッパ32の前方側の側面角部が携帯機器(スマートフォン等)31のF底面に当たり(接触点(線、面)をJとする)、携帯機器(スマートフォン等)31の斜面(F底面)を支えて、携帯機器(スマートフォン等)31の後方側の位置出し(位置決め)ができる。後方ストッパ32の高さをhとすれば、後方ストッパ32の側面の載置台16上の位置(Jの横方向の位置)と高さhとの関係により、携帯機器(スマートフォン等)31の傾斜角βを決定できる。たとえば、Jの横方向位置を一定とすれば、hが大きいほどβは大きくなる。或いは、前述した裏面支持部材101を使用して、携帯機器(スマートフォン等)31の後方側の位置出し(位置決め)ができるとともに、携帯機器(スマートフォン等)31の傾斜角βを決定できる。
【0058】
携帯機器(スマートフォン等)31を傾斜させて、携帯機器(スマートフォン等)31に内蔵される電池が存在する側の側面(A側面)が下側になっている状態、すなわち、前方ストッパ26、後方ストッパ32、あるいは裏面支持部材101で位置決めされた携帯機器(スマートフォン等)31のA側面側のE底面にせん断刃17を下して、せん断刃17の刃先を携帯機器(スマートフォン等)31のA側面側のE底面の接触部(点、線、または面)Mに接触させて、さらにせん断刃17を下して、携帯機器(スマートフォン等)31のA側面に対して斜め方向にせん断し、携帯機器(スマートフォン等)31の蓋の接続部を露出させる。言い換えれば、2つの底面(E底面、F底面)および4つの側面(A側面、B側面、C側面、D側面)を持つ略直方体形状の携帯機器の1つの側面(A側面)から内蔵電池が配置される位置までの領域において、携帯機器の1つの底面(E底面)から他の底面(F底面)に向かって携帯機器の厚み方向に対して斜め方向に、A側面側の携帯機器の一部または全部をせん断して、携帯機器のE蓋(E底面側の蓋)およびF蓋(F底面側の蓋)の接続部の一部または全部を露出させる。
【0059】
内臓電池はできるだけ損傷しないようにする必要があるので、せん断刃17は内臓電池に接触しないようにする。内臓電池に接触しなければ良いので、携帯機器の1つの側面(A側面)から内蔵電池が配置される位置までの領域とは、せん断刃17がせん断時に内臓電池に接触しない領域と考えても良い。また、せん断面に蓋の接続部が露出すれば良いので、せん断された部分が本体から分離されている必要はない。ただし、せん断後、内臓電池を取り出すので、せん断された部分が本体から分離されている方が望ましい。また、せん断された部分が本体から分離されている場合でも、せん断面に蓋の接続部が露出すれば良いので、せん断された部分がF底面の部分を含む必要はなく、A側面の部分を含むだけでも良い。ただし、せん断後、内臓電池を取り出すので、せん断された部分がF底面の部分を含む方が望ましい。せん断刃17は載置台16に対して下ろすと記載したが、相対的に下すという意味であって、載置台16がせん断刃17に向って上昇しても良い。せん断刃17(を固定するせん断刃固定台とともに)の上昇および下降、あるいは載置台16の上昇および下降は、他の実施形態に示したものと同様に、油圧ポンプ10や油圧ジャッキレバーハンドル21等を用いて行なうことができる。
【0060】
尚、傾斜させた携帯機器(スマートフォン等)31のA側面のもう一つの角部は通常は載置台16に置かれるが、前方ストッパ26と携帯機器(スマートフォン等)31との接触部I、後方ストッパ26とF底面との接触部J、およびせん断刃と携帯機器(スマートフォン等)31のE底面との接触部M、(裏面(F面)支持部材101を備える場合は、裏面(F面)支持部材101とF底面との接触部U)、により携帯機器(スマートフォン等)31は支持されているので、携帯機器(スマートフォン等)31のA側面のもう一つの角部は載置台16と離れていても良い。せん断刃17が降下して携帯機器(スマートフォン等)31をせん断した後で載置台16と接触すると載置台16が損傷したり、せん断刃17も損傷したりするので、これを防止するために、せん断刃挿入溝38を設けても良い。図10におけるせん断刃17の刃先の向きは図2におけるせん断刃の刃先の向きと反対になっている。図10に示す場合は、ストレートになった部分が携帯機器(スマートフォン等)31の本体側(左側)にあるので、本体側の位置をより正確に規定できるため、携帯機器(スマートフォン等)31に内蔵する電池により近付けてせん断できる。
【0061】
図10に示す本発明の実施形態では、本発明の携帯機器の蓋分離装置は、さらに傾斜させて配置した携帯機器(スマートフォン等)31のE底面(上方面)を押さえるE底面押さえ部材37を備えている。E底面押さえ部材37は、E底面の一部または全部を押さえて、せん断直前、せん断時および/またはせん断後に携帯機器(スマートフォン等)31が動かないようにして、スムーズに安定してせん断することを可能とする。また、このE底面押さえ部材37は、せん断直前、せん断時および/またはせん断後に携帯機器(スマートフォン等)31が動くと、せん断に余分な力が加わったり、せん断刃17が破損したりするのを防止する。せん断刃17が携帯機器(スマートフォン等)31を接触部Mからせん断していくと、接触部Mやせん断部を支点として、携帯機器(スマートフォン等)31の本体を上方に回転させるモーメントが作用するが、E底面押さえ部材37は、この回転モーメントを抑える役目も果たす。E底面押さえ部材37は携帯機器(スマートフォン等)31と押さえ面Tで接触する。図10では、E底面押さえ部材37を板状体37で示すが、棒状部材でも良い。板状体の場合は接触面積(T部分の面積)を比較的大きく取れるので、携帯機器(スマートフォン等)31のE面の単位面積あたりに加わる力を小さく取れ、携帯機器(スマートフォン等)31のE面への損傷をなくすか軽減できる。
【0062】
図10に示す携帯機器の蓋分離装置では、E底面押さえ部材37はせん断刃17と連動して動く。すなわち、せん断刃固定台18に取り付けた(固定された)E底面押さえ機構とせん断刃固定台との連結部材33にE底面押さえ機構が接続している。E底面押さえ機構は、連結部材33に取り付けたE底面押さえ部支持部材34、E底面押さえ部、E底面押さえ部支持部材34とE底面押さえ部との連結部35を含んで構成される。E底面押さえ部は、E底面押さえ部材37、E底面押さえ部材37と連結部35とを接続するE底面押さえ部材37と固定されている固定部材36を含んで構成される。固定部材36はE底面押さえ部材37と一体で動き、連結部35でE底面押さえ部支持部材34と接続する。連結部35でE底面押さえ部材37の固定部材36は自在に回転可能であり、携帯機器(スマートフォン等)31の傾斜角に応じて自在に回転して、E底面押さえ部材37の接触面が携帯機器(スマートフォン等)31のE底面に平行に接触するようになっている。また、E底面押さえ部材37の押力が均等に携帯機器(スマートフォン等)31のE底面の接触面Tに加わるようになっている。
【0063】
携帯機器(スマートフォン等)31が傾斜して載置台16上に配置されると、せん断刃固定台18が相対的に下降していくが、これと連動して連結部材33が下降し、同時にE底面押さえ部支持部材34も下降していき、さらに同時に連結部35も下降し、固定部材36およびE底面押さえ部材37も下降する。E底面押さえ部材37は携帯機器(スマートフォン等)31のE底面に接触するが、前述したように、連結部35は回転自在であるから、E底面押さえ部材37の接触面が携帯機器(スマートフォン等)31のE底面に平行に接触面Tで接触する。E底面押さえ部材37がE底面に接触した後は、接触面Tで反作用として上方への力が働くが、E底面押さえ部支持部材34にはたとえばスプリング(たとえば、ばね、あるいはエアーシリンダー)が取り付けられているので、E底面押さえ部支持部材34が上方へ縮んでいき、携帯機器(スマートフォン等)31のE底面には一定以上の力が加わらないようになっている。すなわち、E底面押さえ機構は、E底面を押さえた後にE底面押さえ部(接触面Tの部分)に加わる一定以上の力を吸収する機構(押力吸収機構)を有する。従って、せん断刃固定台18をどんどん下降させてもE底面押さえ部支持部材34等(連結部材35、固定部材36、E底面押さえ部材37)は携帯機器(スマートフォン等)31のE底面の所からは下降せず、E底面を破損しないようになっている。(ある程度は損傷する可能性はある。)さらにせん断刃固定台18が下降していくと、携帯機器(スマートフォン等)31のE底面をE底面押さえ部材37で押さえながら、せん断刃17が携帯機器(スマートフォン等)31に接触し(M)、そのまま携帯機器(スマートフォン等)31のA側面領域をせん断する。携帯機器(スマートフォン等)31のE底面はせん断刃17に対して傾斜しているので、せん断面はA側面に対して傾斜している。
【0064】
図11は、図10に示す本発明の携帯機器の蓋分離装置の斜視図を示す図である。図3図9に示す図と類似するので、同じかまたは類似する部材には同じ符号を付す。携帯機器(スマートフォン等)55の傾斜を支えるスマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(図10における32)は、高さhの略直方体形状で、載置台41上に設置されている。スマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(32)は長穴(ガイド穴)46、71が形成されており、ガイド棒47、72を使って前後(Y方向)、左右(X方向)へ自在に移動でき、所定位置でガイド棒(たとえば、ネジ切れして)にナット締めして載置台41に固定することができる。携帯機器(スマートフォン等)55の傾斜角βはスマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(32)のY方向位置と高さhで決定できる。(前方位置は前方ストッパで位置決めされる。)高さhの異なるスマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(32)を種々用意しておけば携帯機器(スマートフォン等)55の傾斜角βを任意に変更できる。あるいは、スマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(32)をY方向へ移動させて傾斜角βを任意に変更できる。せん断刃42(17)のせん断しやすさから言えば、βは30度~60度が良いが、これに限定されない。図11では、スマートフォン等斜め置きストッパ(後方ストッパ)82(32)を2台配置しているが、1個でも良いし3個以上でも良い。1個の場合は携帯機器(スマートフォン等)55の中央付近に配置されるようにするのが良く、2個の場合は携帯機器(スマートフォン等)55の両側部分に配置されるようにするのが良い。
【0065】
図11では、前方ストッパは記載していないが、携帯機器(スマートフォン等)55の前方面(A側面)の一部または全部はせん断刃42(図10では17)(が載置台41に降りたときの位置)よりも前方にある。E底面押さえ部材86(図10では37)は、板状部材でありその下面が、携帯機器(スマートフォン等)55のE底面(図11では、S5またはS6)に接触して、E底面を押圧している。E底面押さえ部材86は、E底面押さえ部支持部材84と連結部85で連結する。連結部85は前後左右に回転可能であり、携帯機器(スマートフォン等)55のE底面の状態に応じて回転して、E底面と面状に接触する。E底面押さえ部支持部材84が下降するとE底面押さえ部材86がE底面を押圧するが、前述したように、E底面押さえ部支持部材84は一定の力を受けて伸縮するので、E底面押さえ部材86がE底面を押圧する力は一定以上にはならないので、E底面に過大な損傷を与えることはない。E底面押さえ部支持部材84のこの伸縮機構は、たとえばバネやエアーシリンダー等を用いている。E底面押さえ部支持部材84は棒状で示しているが、この形状に限定されない。E底面押さえ部支持部材84はせん断刃固定台75との連結部材83に接続する。連結部材83はせん断刃固定台75の昇降に応じて昇降するので、E底面押さえ部材86も連動して昇降する。連結部材83は棒状で示しているがこれに限定されない。連結部材83をY方向またはX方向に移動または伸縮する機構も備えることができるので、E底面押さえ部材86がE底面に接触する位置も変化させることができる。
【0066】
図12は、図10に示す本発明の携帯機器の蓋分離装置に付加した裏面(F面)支持機構90(図10では101の機構)を示す斜視図である。裏面(F面)支持機構90は、X方向に伸びた長尺の板状(または棒状)の裏面(F面)支持部材91(図10では101に対応)が携帯機器(スマートフォン等)55の裏面(F底面)を支えるように配置される。裏面(F面)支持部材91は、裏面(F面)支持部材91の位置(高さ(Z方向)、前後位置(Y方向))を決める裏面(F面)支持部材保持部材89に保持されている。裏面(F面)支持部材保持部材89は長穴87が形成されており、その長穴87に裏面(F面)支持部材91が入り、裏面(F面)支持部材保持部材89を長手方向に移動自在であり、留め具92により任意の位置で固定できる。裏面(F面)支持部材保持部材89は載置台41にY方向へ移動自在に取り付けられている。たとえば、載置台41の側面に長穴92が形成されており、その長穴92に裏面(F面)支持部材保持部材89に取り付けた固定具88(たとえば、ボルトやねじ)が入り、Y方向の任意の位置で(たとえば、ナットで)固定できる。固定具88は裏面(F面)支持部材保持部材89の長穴87にも入っているので、裏面(F面)支持部材保持部材89を高さ(Z方向)にも移動でき、かつZ方向の任意の位置で固定できる。簡単に分かるように、裏面(F面)支持部材保持部材89は固定具88の周りに回転させて、固定具88で任意の位置で固定することもできる。以上の移動や回転は、図中の矢印、ブロック矢印で示されている。裏面(F面)支持部材保持部材89は載置台41の反対側面にも設置できるので、裏面(F面)支持部材91を両側の裏面(F面)支持部材保持部材89で保持すれば、携帯機器(スマートフォン等)55を安定して傾けて配置することができる。このように、簡単な裏面(F面)支持機構90により、携帯機器(スマートフォン等)55の裏面(F底面)の任意の位置で携帯機器(スマートフォン等)55の裏面(F底面)を支持できる。
【0067】
図13は、図11に示す本発明の携帯機器の蓋分離装置に付加した図12とは異なる裏面(F面)支持機構94(図10では101の機構)を示す図である。裏面(F面)支持機構94は、載置台41に形成したY方向に長い長穴96に裏面(F面)支持部材95の一端を配置して、裏面(F面)支持部材95をY-Z方向(矢印97で示す)に回転できるようにしたものであり、裏面(F面)支持部材95で携帯機器(スマートフォン等)55の裏面(F底面)を支持して、裏面(F面)支持部材95の回転度合に応じて携帯機器(スマートフォン等)55の傾斜角度βを可変できるようにしたものである。裏面(F面)支持部材95は長尺の棒状、角状、または板状であるが(これらに限定さない)、片側の端を長穴96に配置して、長穴96に設けた軸に裏面(F面)支持部材95を入れてY方向(矢印97)に回転できるようにする。回転は任意の位置で固定できるようにストッパを配置する。裏面(F面)支持部材95の他方の端面で携帯機器(スマートフォン等)55の裏面(F面)を接触して受けるようにすることによって、携帯機器(スマートフォン等)55を傾斜して保持できる。裏面(F面)支持部材95の傾斜角が携帯機器(スマートフォン等)55の傾斜角となる。(正確には、β=90度-裏面(F面)支持部材95の傾斜角)長穴96をY方向に長くすれば、裏面(F面)支持部材95を載置台41内に収納することもできる。このような簡単な機構でも携帯機器(スマートフォン等)55を安定して傾斜することができる。
【0068】
以上詳細に説明したように、本発明は、スマートフォン等の携帯機器の側面をせん断するか、および/またはスマートフォン等の携帯機器の側面を押圧してスマートフォン等の携帯機器の側面をせん断する携帯機器の蓋を分離する携帯機器蓋分離装置および携帯機器蓋の分離方法を提供する。また、本発明は、スマートフォン等の携帯機器を傾斜させてスマートフォン等の携帯機器の側面をせん断する携帯機器の蓋を分離する携帯機器蓋分離装置および携帯機器蓋の分離方法を提供する。本発明の装置は、小型で軽量であり、手動操作も可能であるから、運搬しやすくいつでもどこでも誰でも作業できる。従って、従来困難でありコスト増の要因になっていた携帯機器の蓋を分離し内蔵電池を取り出す作業が非常に簡単になり、携帯機器のリサイクル費用を低減できる。本発明は、携帯機器等に含まれる貴金属類の回収に多大に貢献することができる。尚、本明細書において、明細書のある部分に記載し説明した内容について記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。特に図2図9に基づいて説明した内容は図10図13に基づいて説明した内容にも適用できる。さらに、前記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が前記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、携帯機器に限らず、略直方体形状の外装蓋を有するもので、内蔵品を取りだす時にも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1・・・せん断機、10・・・油圧ポンプ、11・・・昇降用ラム、12・・・基台、
13・・・シリンダー、14・・・支柱、15・・・復元バネ、
16・・・スマートフォン等載置台、17・・・せん断刃、18・・・せん断刃固定台、
19・・・固定ネジ、21・・・油圧ジャッキレバーハンドル、
22・・・油圧調整バルブ、25・・・横方向ストッパ、26・・・前方ストッパ、
27・・・携帯機器斜め置き用上部ストッパ、31・・・携帯機器(スマートフォン等)、
32・・・後方ストッパ、33・・・連結部材、34・・・E底面押さえ部支持部材、
35・・・連結部、36・・・固定部材、37・・・E底面押さえ部材、
38・・・せん断刃挿入溝、101・・・裏面(F面)支持部材、
102・・・固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13