(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】段ボールシート製函機の運転実績評価システムおよび運転実績評価装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230626BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230626BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2019027506
(22)【出願日】2019-02-19
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000139931
【氏名又は名称】株式会社ISOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】児玉 純一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳道
(72)【発明者】
【氏名】磯輪 光
(72)【発明者】
【氏名】安田 純也
(72)【発明者】
【氏名】北川 誠孟
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008095(JP,A)
【文献】特開平11-300936(JP,A)
【文献】特開2002-182725(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価システムであって、
製函機による段ボール箱のオーダ毎の生産枚数を計数する生産枚数計数部と、製函機による段ボール箱の生産のオーダ毎の実績運転時間を算出する実績運転時間算出部と、上記生産枚数および上記実績運転時間を含むオーダ毎の運転実績情報を生成する実績情報生成部と、を有する製函機の生産管理装置と、
所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定数のオーダについて、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、
この運転実績評価装置は、
上記生成された運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、
オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、
オーダ毎に、上記算出された実績生産枚数および上記算出された制限運転速度に基づいて、目標運転時間を算出する目標運転時間算出部と、
オーダ毎に、この算出された目標運転時間と上記実績運転時間とを比較して、上記目標運転時間と上記実績運転時間との差である追加運転時間、および/または、上記目標運転時間を上記実績運転時間で除算した時間達成率を算出する目標実績比較部と、
この算出された追加運転時間および/または時間達成率をオーダ毎の運転時間に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、
上記所定数のオーダの全部または一部について、オーダ毎に、上記生成された運転時間に関する分析情報と、そのオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、
この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項2】
段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価システムであって、
製函機による段ボール箱のオーダ毎の生産枚数を計数する生産枚数計数部と、製函機による段ボール箱の生産のオーダ毎の実績運転時間を算出する実績運転時間算出部と、上記生産枚数および上記実績運転時間を含むオーダ毎の運転実績情報を生成する実績情報生成部と、を有する製函機の生産管理装置と、
所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定数のオーダについて、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、
この運転実績評価装置は、
上記生成された運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、
オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、
オーダ毎に、この算出された製函機の制限運転速度を目標運転速度として設定する目標運転速度設定部と、
上記算出された実績生産枚数および上記実績運転時間に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転速度を算出する実績運転速度算出部と、
オーダ毎に、上記設定された目標運転速度と上記算出された実績運転速度とを比較して、上記目標運転速度と上記実績運転速度との差である運転速度差、および/または、上記実績運転速度を上記目標運転速度で除算した速度達成率を算出する目標実績比較部と、
この算出された運転速度差および/または速度達成率をオーダ毎の運転速度に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、
上記所定数のオーダの全部または一部について、オーダ毎に、上記生成された運転速度に関する分析情報と、そのオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、
この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項3】
上記生産管理装置の実績情報生成部は、製函機による段ボール箱の生産日付を含めた上記オーダ毎の運転実績情報を生成し、
上記運転実績評価装置は、さらに、同じ生産日付の各オーダにおいて、上記運転時間に関する分析情報に含まれる上記追加運転時間、
および/または、上記時間達成率のうち、最も大きい追加運転時間のオーダ、
および/または、最も小さい時間達成率のオーダを選定するオーダ選定部を有し、
上記運転実績評価装置の比較情報生成部が生成する所定数のオーダの全部または一部の比較情報は、このオーダ選定部により選定されたオーダに関する比較情報であり、
上記比較情報生成部は、上記オーダ選定部により選定されたオーダにおける追加運転時間、
および/または、時間達成率と、その選定されたオーダのオーダ情報および上記運転実績情報に含まれる生産日付とを関連付けた比較情報を生成し、
上記情報送信指令部は、この選定されたオーダに係る比較情報をユーザ端末に送信させる、請求項1に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項4】
上記生産管理装置の実績情報生成部は、製函機による段ボール箱の生産日付を含めた上記オーダ毎の運転実績情報を生成し、
上記運転実績評価装置は、さらに、同じ生産日付の各オーダにおいて、上記運転速度に関する分析情報に含まれる上記運転速度差、および/または、上記速度達成率のうち、最も大きい運転速度差のオーダ、および/または、最も小さい速度達成率のオーダを選定するオーダ選定部を有し、
上記運転実績評価装置の比較情報生成部が生成する所定数のオーダの全部または一部の比較情報は、このオーダ選定部により選定されたオーダに関する比較情報であり、
上記比較情報生成部は、上記オーダ選定部により選定されたオーダにおける運転速度差、および/または、速度達成率と、その選定されたオーダのオーダ情報および上記運転実績情報に含まれる生産日付とを関連付けた比較情報を生成し、
上記情報送信指令部は、この選定されたオーダに係る比較情報をユーザ端末に送信させる、請求項2に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項5】
上記分析情報生成部により生成される上記オーダ毎の運転時間に関する分析情報および/または上記オーダ毎の運転速度に関する分析情報は、上記実績生産枚数算出部により算出されたオーダ毎の実績生産枚数を含み、
上記比較情報生成部により生成される比較情報は、上記分析情報に含まれるオーダ毎の実績生産枚数を含む、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項6】
上記生産管理装置の実績運転時間算出部は、製函機により5秒間に2枚以上の段ボール箱が生産される運転状態が検出されている間の運転時間を実績運転時間として算出する、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項7】
上記段ボール箱のオーダ情報は、オーダ毎に設定される搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数を含み、
上記運転実績評価装置の制限運転速度算出部は、オーダ毎に、上記オーダ情報に含まれる上記搬送方向のシート長さおよび上記段ボール箱の結束枚数と、搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数の組み合わせに対して予め規定した製函機の制限運転速度とに基づいて、上記オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する、請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項8】
上記運転実績評価システムは、さらに、上記生産管理装置の実績情報生成部により生成されたオーダ毎の運転実績情報をオーダ情報に関連付けて記憶するデータベースを備え、
上記運転実績評価装置の実績生産枚数算出部は、上記データベースに記憶された運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し、
上記運転実績評価装置の制限運転速度算出部は、上記データベースに記憶されたオーダ情報に基づいて、上記オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する、請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項9】
上記運転実績評価システムは、さらに、上記生産管理装置の実績情報生成部により生成されたオーダ毎の運転実績情報をオーダ情報に関連付けて記憶するデータベースを備え、
上記運転実績評価装置の分析情報生成部により生成されたオーダ毎の製函機の運転時間に関する分析情報および/またはオーダ毎の製函機の運転速度に関する分析情報、および、上記比較情報生成部により生成された比較情報が、上記段ボール箱のオーダ情報および上記運転実績情報に関連付けて上記データベースに記憶される、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項10】
上記運転実績評価システムは、さらに、上記生産管理装置および上記運転実績評価装置との間で情報を送受信可能であり、かつ、ユーザ端末に情報を送信可能なサーバ装置を備え、
上記運転実績評価装置の情報送信指令部は、上記比較情報生成部により生成された比較情報をこのサーバ装置を介してユーザ端末に送信させる、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項11】
上記運転実績評価システムの生産管理装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、
上記運転実績評価システムの運転実績評価装置は、製函機の製造者側に設けられている、請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項12】
上記運転実績評価システムの生産管理装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、
上記運転実績評価システムの運転実績評価装置およびデータベースは、製函機の製造者側に設けられている、請求項
8または請求項
9に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項13】
上記運転実績評価システムの生産管理装置および運転実績評価装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられている、請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項14】
上記運転実績評価システムの生産管理装置および運転実績評価装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、
上記運転実績評価システムのデータベースは、製函機の製造者側に設けられている、請求項
8または請求項
9に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項15】
上記運転実績評価システムの生産管理装置、運転実績評価装置およびデータベースは、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられている、請求項
8または請求項
9に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項16】
上記段ボールシート製函機は、段ボールシートを1枚ずつ供給する給紙装置、段ボールシートに印刷を施す印刷装置、段ボールシートに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア、および、箱状に接合された段ボールシートを計数し、結束枚数分のシート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタを含む、請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の段ボールシート製函機の運転実績評価システム。
【請求項17】
段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価装置であって、
製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報および段ボール箱の生産枚数の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、
オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、
オーダ毎に、上記算出された実績生産枚数および上記算出された制限運転速度に基づいて、目標運転時間を算出する目標運転時間算出部と、
オーダ毎に、この算出された目標運転時間と上記製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間とを比較して、上記目標運転時間と上記実績運転時間との差である追加運転時間、および/または、上記目標運転時間を上記実績運転時間で除算した時間達成率を算出する目標実績比較部と、
この算出された追加運転時間および/または時間達成率をオーダ毎の運転時間に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、
オーダ毎に、上記生成された運転時間に関する分析情報と、オーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、
この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする段ボールシート製函機の運転実績評価装置。
【請求項18】
段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価装置であって、
製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報および段ボール箱の生産枚数の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、
オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、
オーダ毎に、この算出された製函機の制限運転速度を目標運転速度として設定する目標運転速度設定部と、
上記算出された実績生産枚数および製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転速度を算出する実績運転速度算出部と、
オーダ毎に、上記設定された目標運転速度と上記算出された実績運転速度とを比較して、上記目標運転速度と上記実績運転速度との差である運転速度差、および/または、上記実績運転速度を上記目標運転速度で除算した速度達成率を算出する目標実績比較部と、
この算出された運転速度差および/または速度達成率をオーダ毎の運転速度に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、
上記生成されたオーダ毎の運転速度に関する分析情報と、オーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、
この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする段ボールシート製函機の運転実績評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシート製函機の運転実績評価システムおよび運転実績評価装置に係わり、特に、段ボール箱のオーダ情報と製函機の運転実績情報とに基づいて製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールシートに印刷、溝切り、打ち抜きを施すと共に複数の罫線を施し、これらの各罫線の位置で折り曲げて接合することにより段ボール箱を生産する製函機が知られている。ここで、近年、産業界全体における他品種少量生産の製品に対応すべく、段ボール箱にも他品種少量生産が求められている。このような状況下、製函機により段ボール箱を生産する工場では、客先から受けたオーダを次々に切り替えながら、多いときには一日に100以上の多数のオーダに係る段ボール箱を生産している。そして、多数のオーダに係る段ボール箱を生産する製函機のユーザ(段ボール箱の生産者)には、段ボール箱を生産する運転時間をできるだけ短くして、効率良く良品の段ボール箱を生産することが求められる。
【0003】
ここで、例えば、特許文献1には、製函機などの産業機械において、投資効果の面から機械部品のメンテナンスや交換の適切なタイミングを判断するために、機械が停止した症状別(紙詰まり、紙切れ、紙継ぎミスなど)に機械の生産ロス量を表示する診断装置が記載されている。この特許文献1の装置では、製品種別毎の基準運転速度や稼働のタイムスケジュールなどから算出した機械の本来の生産能力である理想生産量と、機械の運転速度および運転時間の履歴情報のデータから算出される製品の種類毎の実生産量と、機械が停止した症状別の停止時間とに基づいて、機械停止症状別の生産ロス量を算出して表示するようにしている。
また、特許文献2には、印刷機等の機械の稼働状況を正確に監視するために、オーダ毎に、一日の機械の稼働状況を運転状態、停止状態、準備状態に分けて、稼働情報表示画面として表示する機械の稼働状況監視装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-008974号公報
【文献】特許2812694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、たとえば、特許文献1のように、ユーザが、機械の停止症状別に機械の生産ロス量を把握することも、段ボール箱の生産における一観点として重要である。しかしながら、上述した特許文献の技術は、段ボール箱を生産する運転時間をできるだけ短くして、効率良く良品の段ボール箱を生産すること、には利用することが出来ないものである。すなわち、上述した特許文献1の診断装置では、ユーザは、機械の停止による生産ロス量、および、機械停止時の不具合発生要因を把握することはできるが、生産を実行する機械運転時にどの程度効率良く製品を生産できたのかを、具体的に把握することができない。また、上述した特許文献2の装置によっても、ユーザは、実績運転時間は把握できるが、機械運転時にどの程度効率良く製品を生産できたのかを、具体的に把握することができない。
ここで、製函機は、機械構成や部品性能の関係上、その運転できる速度(シートを搬送できる最高速度)に制限がある。仮に、その制限運転速度で運転した場合、そのときの運転速度は実現可能かつ最大の運転速度となり、運転時間のコストを最も抑えた状態となる。
【0006】
ところが、製函機の上述した制限運転速度は、さらに、シート寸法などのオーダ条件によっても制限を受ける。従って、実際に製函機自体の制限運転速度で運転した場合に、シートを安定して搬送できずに、給紙したシートが不良品として排出されることがある。実際には、このオーダ毎に制限される速度が、製函機を運転させる際の実質的な制限運転速度(実制限運転速度)となる。
【0007】
しかしながら、製函機を構成する各機械の部品が摩耗や劣化していると、この実制限運転速度で運転しても、段ボールシートを高速で搬送した際にシートの搬送ずれが生じやすくなり、不良品になりやすい。従って、オペレータは、通常、連続給紙前の準備作業段階において、運転速度を調整しながら何回か試し加工をして、連続給紙中に不良品が出ないような運転速度まで下げるよう設定する。このような状況下、製函機ユーザは、従来、段ボール箱を生産する運転時間をできるだけ短くして、効率良く良品の段ボール箱を生産することに対しては、製函機の運転速度を出来るだけ高める、という努力目標とするに留まっていた。
【0008】
ここで、機械部品の摩耗や劣化に対しては、製函機の点検整備の結果に基づいて部品の交換や機械の調整などを行うことで対処し、低下した運転速度(生産速度)を本来の速度に戻すことができる。しかしながら、製函機は、構造が複雑で機械自体も大きいため、その点検作業には時間がかかる。また、点検作業中は機械を停止させるため、その間、段ボール箱の生産は出来なくなる。従って、一日に多数のオーダに係る段ボール箱を生産する必要があるユーザは、点検する時間を確保しにくく、また、点検作業を最小限にとどめようとすることがある。このような場合、ユーザは、意図せず、製函機を構成する機械が故障してはじめて、機械部品の摩耗などを把握することがあった。さらに、損傷した部品の調達納期が長くかかる場合は、機械の停止時間が長くなり、注文量分の良品を納期通りに納められなくなる恐れもある。
【0009】
また、部品の摩耗や劣化は、通常の運転ができている状態のときには気づきにくいものである。すなわち、部品が摩耗や劣化しても機械の外観からは判断出来ないうえ、部品の摩耗や劣化は目に見える症状としては現れにくいものである。さらに、部品が摩耗や劣化していてもすぐに機械が停止するわけではなく、しばらくは機械を運転して生産することができる。これらのような理由によっても、ユーザは、意図せず、製函機を構成する機械が故障してはじめて、機械部品の摩耗などを把握することがあった。
【0010】
一方、上述したように、機械部品が摩耗や劣化しており、結果として、段ボール箱が不良品となった場合、ユーザは、運転速度を下げる行動をとる。本発明者らは、このような行動に着目し、運転速度の低下などに関する運転実績情報をユーザに提供すれば、部品の摩耗や劣化の兆候に気づいてもらい、ユーザに点検をする必要性を認識してもらうことができると考えた。なお、上述した特許文献1の装置は、機械の点検結果を用いて機械停止時の不具合発生原因を特定するものであり、ユーザに点検の必要性を認識してもらうことを意図した装置ではない。
【0011】
また、本発明者らは、運転実績に関する情報として、単に実績運転時間や実績運転速度の数値を提供するだけでは、適切に劣化の兆候を判断することはできない点にも着目した。すなわち、注文量や仕様の条件はオーダ毎に異なるので、例えば、注文量が多いほど運転時間は長くなり、あるいは、仕様に応じて実制限運転速度も異なるからである。従って、本発明者らは、オーダ条件を考慮した運転実績情報を提供する必要があると考えた。
【0012】
これらの結果、本発明者らは、第1に、ユーザにとって、段ボール箱を生産する運転時間をできるだけ短くして、効率良く良品の段ボール箱を生産することが重要であり、第2に、その第1の目的を効果的に達成すべく、ユーザが、機械を停止させて点検することの必要性やタイミングを認識できることが重要であると考えた。
【0013】
そこで、本発明は、生産を終えた各オーダについて、段ボール箱の生産の効率性を把握できる運転実績情報をユーザに提供する段ボールシート製函機の運転実績評価システムおよび運転実績評価装置を提供することを目的としている。
また、本発明は、オーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報、あるいは、オーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報をユーザに提供し、それにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにする段ボールシート製函機の運転実績評価システムおよび運転実績評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために本発明は、段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価システムであって、製函機による段ボール箱のオーダ毎の生産枚数を計数する生産枚数計数部と、製函機による段ボール箱の生産のオーダ毎の実績運転時間を算出する実績運転時間算出部と、生産枚数および実績運転時間を含むオーダ毎の運転実績情報を生成する実績情報生成部と、を有する製函機の生産管理装置と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定数のオーダについて、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、この運転実績評価装置は、生成された運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、オーダ毎に、算出された実績生産枚数および算出された制限運転速度に基づいて、目標運転時間を算出する目標運転時間算出部と、オーダ毎に、この算出された目標運転時間と実績運転時間とを比較して、目標運転時間と実績運転時間との差である追加運転時間、および/または、目標運転時間を実績運転時間で除算した時間達成率を算出する目標実績比較部と、この算出された追加運転時間および/または時間達成率をオーダ毎の運転時間に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、所定数のオーダの全部または一部について、オーダ毎に、生成された運転時間に関する分析情報と、そのオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴としている。
【0015】
このように構成された本発明においては、段ボールシート製函機の運転実績評価システムが、製函機の生産管理装置と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定数のオーダ(例えば、生産日付が同一のオーダ)について、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、生産管理装置において、生産枚数および実績運転時間を含む運転実績情報をオーダ毎に生成し、運転実績評価装置において、オーダ毎に製函機の運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し、オーダ毎に製函機の制限運転速度を算出し、オーダ毎に目標運転時間を算出し、オーダ毎に目標運転時間と実績運転時間との差である追加運転時間および/または目標運転時間を実績運転時間で除算した時間達成率を算出し、この算出した追加運転時間および/または時間達成率をオーダ毎の運転時間に関する分析情報として生成し、所定数のオーダの全部または一部(例えば、追加運転時間の大きさに基づき選定されるオーダ)について、オーダ毎に、運転時間に関する分析情報とオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成し、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させるので、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報を提供することができる。また、オーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【0016】
上記の目的を達成するために本発明は、段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価システムであって、製函機による段ボール箱のオーダ毎の生産枚数を計数する生産枚数計数部と、製函機による段ボール箱の生産のオーダ毎の実績運転時間を算出する実績運転時間算出部と、生産枚数および実績運転時間を含むオーダ毎の運転実績情報を生成する実績情報生成部と、を有する製函機の生産管理装置と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定数のオーダについて、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、この運転実績評価装置は、生成された運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、オーダ毎に、この算出された製函機の制限運転速度を目標運転速度として設定する目標運転速度設定部と、算出された実績生産枚数および実績運転時間に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転速度を算出する実績運転速度算出部と、オーダ毎に、設定された目標運転速度と算出された実績運転速度とを比較して、目標運転速度と実績運転速度との差である運転速度差、および/または、実績運転速度を目標運転速度で除算した速度達成率を算出する目標実績比較部と、この算出された運転速度差および/または速度達成率をオーダ毎の運転速度に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、所定数のオーダの全部または一部について、オーダ毎に、生成された運転速度に関する分析情報と、そのオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴としている。
【0017】
このように構成された本発明においては、段ボールシート製函機の運転実績評価システムが、製函機の生産管理装置と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、所定のオーダ(例えば、生産日付が同一のオーダ)について、製函機の運転実績を評価するための運転実績評価装置と、を備え、生産管理装置において、生産枚数および実績運転時間を含む運転実績情報をオーダ毎に生成し、運転実績評価装置において、オーダ毎に製函機の運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し、オーダ毎に製函機の制限運転速度を算出し、この制限運転速度を目標運転速度として設定し、オーダ毎に製函機の実績運転速度を算出し、オーダ毎に目標運転速度と実績運転速度との差である運転速度差、および/または、実績運転速度を目標運転速度で除算した速度達成率を算出し、オーダ毎に運転速度差および/または速度達成率をオーダ毎の運転速度に関する分析情報として生成し、所定数のオーダの全部または一部(例えば、追加運転時間の大きさに基づき選定されるオーダ)について、オーダ毎に、運転速度に関する分析情報とオーダ情報とを関連付けた比較情報を生成し、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させるので、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報を提供することができる。また、オーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、生産管理装置の実績情報生成部は、製函機による段ボール箱の生産日付を含めたオーダ毎の運転実績情報を生成し、運転実績評価装置は、さらに、同じ生産日付の各オーダにおいて、運転時間に関する分析情報に含まれる追加運転時間、および/または、時間達成率のうち、最も大きい追加運転時間のオーダ、および/または、最も小さい時間達成率のオーダを選定するオーダ選定部を有し、運転実績評価装置の比較情報生成部が生成する所定数のオーダの全部または一部の比較情報は、このオーダ選定部により選定されたオーダに関する比較情報であり、比較情報生成部は、オーダ選定部により選定されたオーダにおける追加運転時間、および/または、時間達成率と、その選定されたオーダのオーダ情報および運転実績情報に含まれる生産日付とを関連付けた比較情報を生成し、情報送信指令部は、この選定されたオーダに係る比較情報をユーザ端末に送信させる。
また、本発明において、好ましくは、生産管理装置の実績情報生成部は、製函機による段ボール箱の生産日付を含めたオーダ毎の運転実績情報を生成し、運転実績評価装置は、さらに、同じ生産日付の各オーダにおいて、運転速度に関する分析情報に含まれる運転速度差、および/または、速度達成率のうち、最も大きい運転速度差のオーダ、および/または、最も小さい速度達成率のオーダを選定するオーダ選定部を有し、運転実績評価装置の比較情報生成部が生成する所定数のオーダの全部または一部の比較情報は、このオーダ選定部により選定されたオーダに関する比較情報であり、比較情報生成部は、オーダ選定部により選定されたオーダにおける運転速度差、および/または、速度達成率と、その選定されたオーダのオーダ情報および運転実績情報に含まれる生産日付とを関連付けた比較情報を生成し、情報送信指令部は、この選定されたオーダに係る比較情報をユーザ端末に送信させる。
【0019】
このように構成された本発明によれば、例えば、所定数のオーダの運転実績分析情報に含まれる追加運転時間のうち、最も大きい追加運転時間のオーダを選定し、この選定されたオーダの追加運転時間とそのオーダ情報および生産日付とを関連付けた比較情報を生成し、この比較情報をユーザ端末に送信させるので、ユーザ端末に表示される情報量が少なく、かつ、追加運転時間が最も大きいものだけを提供するので、ユーザは、簡便にかつより正確に、製函機による段ボール箱の生産効率を把握することができる。また、ユーザは、より確実に、機械部品の劣化の兆候に気づきやすくなる。
【0020】
本発明において、好ましくは、分析情報生成部により生成されるオーダ毎の運転時間に関する分析情報および/またはオーダ毎の運転速度に関する分析情報は、実績生産枚数算出部により算出されたオーダ毎の実績生産枚数を含み、比較情報生成部により生成される比較情報は、分析情報に含まれるオーダ毎の実績生産枚数を含む。
このように構成された本発明においては、比較情報に実績生産枚数が含まれるので、ユーザは、どの程度の生産枚数のときの比較情報であるかを把握し、これにより、より正確に、製函機による段ボール箱の生産効率を把握することができる。
【0021】
本発明において、好ましくは、生産管理装置の実績運転時間算出部は、製函機により5秒間に2枚以上の段ボール箱が生産される運転状態が検出されている間の運転時間を実績運転時間として算出する。
このように構成された本発明によれば、段ボール箱を生産する運転時間をより正確に算出し、これにより、目標運転時間と実績運転時間との差である追加運転時間の値や目標運転速度と実績運転速度との差である運転速度差の値などを、製函機の機械部品の摩耗などをより正確に反映した値として算出することができる。従って、製函機ユーザは、生産効率性や機械部品の劣化を、製函機の状態に即したより正確な情報として、把握することができる。
【0022】
本発明において、好ましくは、段ボール箱のオーダ情報は、オーダ毎に設定される搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数を含み、運転実績評価装置の制限運転速度算出部は、オーダ毎に、オーダ情報に含まれる搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数と、搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数の組み合わせに対して予め規定した製函機の制限運転速度とに基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する。
このように構成された本発明によれば、搬送方向のシート長さおよび段ボール箱の結束枚数の組み合わせに対して予め規定した製函機の制限運転速度に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出するので、例えば、製函機のカウンタエジェクタの仕様やオーダ情報の結束枚数などに基づいた、より正確なオーダ毎の製函機の制限運転速度を算出することが出来る。これにより、制限運転速度に基づいて算出される目標運転時間あるいは目標運転速度を、より的確な目標値として算出することができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムは、さらに、生産管理装置の実績情報生成部により生成されたオーダ毎の運転実績情報をオーダ情報に関連付けて記憶するデータベースを備え、運転実績評価装置の実績生産枚数算出部は、データベースの運転実績情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し、運転実績評価装置の制限運転速度算出部は、データベースに記憶されたオーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する。
このように構成された本発明によれば、運転実績評価システムは、オーダ毎の運転実績情報をオーダ情報に関連付けて記憶するデータベースを備えるので、所定オーダの段ボール箱の生産終了後(例えば、1日の最後のオーダに係る段ボール箱の生産終了後)に、より効率的に、例えば1日分の生産された段ボール箱における、オーダ毎の実績生産枚数およびオーダ毎の製函機の制限運転速度を算出することができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムは、さらに、生産管理装置の実績情報生成部により生成されたオーダ毎の運転実績情報をオーダ情報に関連付けて記憶するデータベースを備え、運転実績評価装置の分析情報生成部により生成されたオーダ毎の製函機の運転時間に関する分析情報および/またはオーダ毎の製函機の運転速度に関する分析情報、および、比較情報生成部により生成された比較情報が、段ボール箱のオーダ情報および運転実績情報に関連付けてデータベースに記憶される。
このように構成された本発明によれば、データベースに、オーダ毎に、オーダ情報、運転実績情報、分析情報および比較情報を記憶させることができ、これにより、ユーザは、例えば特定のオーダに係る比較情報などを任意に取得することができる。
【0025】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムは、さらに、生産管理装置および運転実績評価装置との間で情報を送受信可能であり、かつ、ユーザ端末に情報を送信可能なサーバ装置を備え、運転実績評価装置の情報送信指令部は、比較情報生成部により生成された比較情報をこのサーバ装置を介してユーザ端末に送信させる。
【0026】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムの生産管理装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、運転実績評価システムの運転実績評価装置は、製函機の製造者側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、段ボール箱の生産者(ユーザ)に比較情報を送信して、生産者が段ボール箱の生産効率性や製函機の機械部品の摩耗などを把握できるようにすると共に、製函機の製造者(メーカ)が、運転実績評価装置から得られる情報に基づいて、例えば、自身が製造した製函機の改良や設計変更などに役立てることができる。また、段ボール箱の生産効率が低下し、製函機の機械部品の摩耗などが考えられる場合に、製函機の製造者(メーカ)が、生産者(ユーザ)に対して製函機の点検整備方法を助言するなどの適切な支援を行うことができる。
【0027】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムの生産管理装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、運転実績評価システムの運転実績評価装置およびデータベースは、製函機の製造者側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、段ボール箱の生産者(ユーザ)に比較情報を送信して、生産者が段ボール箱の生産効率性や製函機の機械部品の摩耗などを把握できるようにすると共に、製函機の製造者(メーカ)が、例えば、運転実績評価装置やデータベースから得られる情報に基づいて、自身が製造した製函機の改良や設計変更などに役立てることができる。また、段ボール箱の生産効率が低下し、製函機の機械部品の摩耗などが考えられる場合に、製函機の製造者(メーカ)が、生産者(ユーザ)に対して製函機の点検整備方法を助言するなどの適切な支援を行うことができる。
【0028】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムの生産管理装置および運転実績評価装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、例えば、生産管理装置と運転実績評価装置とを一体の装置として構成できることなどにより、運転実績評価システムが、生産者(ユーザ)にとって、より扱いやすいものになる。
【0029】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムの生産管理装置および運転実績評価装置は、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられ、運転実績評価システムのデータベースは、製函機の製造者側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、段ボール箱の生産者側(ユーザ側)にとっては、例えば、生産管理装置と運転実績評価装置とを一体の装置として構成できることなどにより、運転実績評価システムがより扱いやすいものになる。一方、メーカ側(製函機の製造者側)にとっては、例えば、データベースから得られる情報に基づいて、自身が製造した製函機の改良や設計変更などに役立てることができ、また、段ボール箱の生産効率が低下し、製函機の機械部品の摩耗などが考えられる場合に、製函機の製造者(メーカ)が、生産者(ユーザ)に対して製函機の点検整備方法を助言するなどの適切な支援を行うことができる。
【0030】
本発明において、好ましくは、運転実績評価システムの生産管理装置、運転実績評価装置およびデータベースは、製函機で段ボール箱を生産する生産者側に設けられている。
このように構成された本発明によれば、運転実績評価システムが、生産者(ユーザ)にとって、より扱いやすいものになる。
【0031】
本発明において、好ましくは、段ボールシート製函機は、段ボールシートを1枚ずつ供給する給紙装置、段ボールシートに印刷を施す印刷装置、段ボールシートに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア、および、箱状に接合された段ボールシートを計数し、結束枚数分のシート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタを含む。
【0032】
上記の目的を達成するために本発明は、段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価装置であって、製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報および段ボール箱の生産枚数の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、オーダ毎に、算出された実績生産枚数および算出された制限運転速度に基づいて、目標運転時間を算出する目標運転時間算出部と、オーダ毎に、この算出された目標運転時間と製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間とを比較して、目標運転時間と実績運転時間との差である追加運転時間、および/または、目標運転時間を実績運転時間で除算した時間達成率を算出する目標実績比較部と、この算出された追加運転時間および/または時間達成率をオーダ毎の運転時間に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、オーダ毎に、生成された運転時間に関する分析情報と、オーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする。
【0033】
このように構成された本発明においては、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報を提供することができる。また、オーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【0034】
上記の目的を達成するために、本発明は、段ボール箱のオーダ情報と、製函機の運転実績情報とに基づいて、所定オーダの段ボール箱の生産終了後、製函機の運転実績を評価する段ボールシート製函機の運転実績評価装置であって、製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報および段ボール箱の生産枚数の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出する実績生産枚数算出部と、オーダ情報に基づいて、オーダ毎に制限される製函機の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部と、オーダ毎に、この算出された製函機の制限運転速度を目標運転速度として設定する目標運転速度設定部と、算出された実績生産枚数および製函機の生産管理装置から得られる実績運転時間の情報に基づいて、オーダ毎に、製函機の実績運転速度を算出する実績運転速度算出部と、オーダ毎に、設定された目標運転速度と算出された実績運転速度とを比較して、目標運転速度と実績運転速度との差である運転速度差、および/または、実績運転速度を目標運転速度で除算した速度達成率を算出する目標実績比較部と、この算出された運転速度差および/または速度達成率をオーダ毎の運転速度に関する分析情報として生成する分析情報生成部と、生成されたオーダ毎の運転速度に関する分析情報と、オーダ情報とを関連付けた比較情報を生成する比較情報生成部と、この生成された比較情報をユーザ端末に送信させる情報送信指令部と、を有することを特徴とする。
【0035】
このように構成された本発明においては、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報を提供することができる。また、オーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明の段ボールシート製函機の運転実績評価システムおよび運転実績評価装置によれば、生産を終えた各オーダについて、段ボール箱の生産の効率性を把握できる運転実績情報をユーザに提供することができる。また、生産を終えた各オーダについて、オーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報、あるいは、オーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報をユーザに提供し、それにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムが適用される製函機の全体構成を示す概略側面図である。
【
図2】
図1に示す段ボールシート製函機のカウンタエジェクタの構成およびバッチを形成する動作を説明するための側面図である。
【
図3】
図1に示す段ボールシート製函機のシート給紙装置に設けられるセンサを示す側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられるオーダ1サイクルにおける段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明するための製函機の基本動作を示すタイムチャートである。
【
図5】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられるオーダの基本情報の一例を示す図表である。
【
図7】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの実績情報の一例を示す図表である。
【
図8】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの分析情報の一例を示す図表である。
【
図9】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの比較情報の一例を示す図表である。
【
図10】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの比較情報の変形例を示す図表である。
【
図11】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられる製函機の制限速度を規定したマトリクス表の一例を示す図表である。
【
図12】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機におけるシート搬送方向長さと搬送間隔との関係を説明するための概念図である。
【
図13】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの総合情報を示す図表である。
【
図14】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおいて段ボール箱生産時に上位管理装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおいて段ボール箱の生産終了後に分析装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成された比較情報のユーザ端末における表示例である。
【
図17】本発明の第2実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図18】本発明の第3実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
まず、
図1を参照して、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムが適用される段ボールシート製函機の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムが適用される製函機の全体構成を示す概略側面図である。
図1に示すように、符号1は、段ボールシート製函機を示し、この段ボールシート製函機1は、段ボールシートSを1枚ずつ供給するシート給紙装置2と、段ボールシートSに印刷を施す印刷装置3と、段ボールシートSに罫線を入れ、溝を切り、継ぎ代を形成するクリーザスロッタ4と、段ボールシートSに所定形状の打ち抜き部分を形成するダイカッタ5と、継ぎ代に接着剤を供給し、段ボールシートSを罫線に沿って折り曲げ、箱状に接合するフォルダグルア6と、箱状に接合された段ボールシートSを計数し、所定シート枚数のバッチを形成して送り出すカウンタエジェクタ8と、を備える。符号7は、1枚の段ボールシートを複数枚の小型の段ボールシートに切断するオーダの場合にシート分離動作を行うシート分離装置を示し、このシート分離装置7は、一般的には搭載されない特殊な装置である。符号9は、バッチを束ねる結束機を示し、この結束機9は、製函機1に付帯して設けられる設備である。
【0039】
まず、製函機1のシート給紙装置2は、サクションボックス20を有し、このサクションボックス20の上面を形成するテーブル21上には、フロントゲート22およびバックガイド23が設けられている。これらのフロントゲート22およびバックガイド23の間には、コルゲータ(図示せず)により製造された複数の段ボールシートSが積載される。フロントゲート22は、テーブル21とフロントゲート22との間隙から1枚ずつ段ボールシートSが送り出されるように配置される。バックガイド23は、送り出し方向(シート搬送方向)FDに平行な方向に移動可能に構成され、これにより、フロントゲート22とバックガイド23との間に、シート搬送方向長さが異なる段ボールシートSを積載できるようになっている。また、サクションボックス20の下部には、サクションボックス20内の空気を吸引する吸引装置24が取り付けられている。
【0040】
さらに、シート給紙装置2は、送り出し方向FD及びこれに直交する方向に沿ってそれぞれ並列に配置される複数の給紙ローラ25と、これらの給紙ローラ25の間で延び、給紙ローラ25に対して昇降可能な板状部材であるグレイト26とを有する。給紙ローラ25の外周面には、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためのウレタン部材が設けられる。
給紙ローラ25による連続給紙は、グレイト26を給紙ローラ25よりも下降させ、積載された段ボールシートSのうち最も下側にあるシートSを給紙ローラ25に接触させることで行われる。このとき、給紙ローラ25の回転が最も下側のシートSに伝達されて、シートSが一枚ずつ、前方のフィードロール27に向けて送り出される。フィードロール27に到達したシートSは、フィードロール27の回転により印刷装置3へ送り出される。フィードロール27の外周面には、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためのゴム部材が設けられる。
一方、グレイト26を給紙ローラ25よりも上昇させると、給紙ローラ25が段ボールシートSと非接触状態となって、給紙ローラ25の回転がシートSに伝達されなくなり、給紙が停止される。
【0041】
次に、印刷装置3は、段ボールシートSに印刷を施す複数の印刷ユニット30、32を備える。各印刷ユニット30、32は、印刷シリンダ34、36を有し、それらの外周面には印版38が取り付けられる。印刷シリンダ34、36が段ボールシートSの搬送速度に合わせて(基本的に同期して)1回転すると、それらの印版38により、段ボールシートSの所定の位置に所定のデザインが印刷されることになる。印刷されたシートSはクリーザスロッタ4に供給される。印版38は、オーダ変更の際に、作業者により、オーダに応じた印刷パターンの印版と交換可能である。
【0042】
次に、クリーザスロッタ4は、クリーザユニット40と、スロッタユニット42とを備える。クリーザユニット40は、罫線加工を施すために、上下に配置される一対の罫線ローラを備える。 スロッタユニット42は、溝切り加工を施すために、スロッタ刃が取り付けられる上部スロッタと、スロッタ刃と嵌合可能な溝が形成される下部スロッタとを備える。クリーザスロッタ4は、これらのクリーザユニット40およびスロッタユニット42により、段ボールシートSに罫線および溝切り加工を施し、継ぎ代を形成し、これらの加工が施された段ボールシートSをダイカッタ5に供給する。
【0043】
次に、ダイカッタ5は、ダイシリンダ50と、アンビルシリンダ52とを備える。段ボールシートSを打ち抜くための打ち抜きダイ54が合板ベニヤなどの木型に取り付けられ、この木型が、ダイシリンダ50の外周面に取り付けられる。打ち抜きダイ54は、連続して搬送される段ボールシートSの所望の位置に打ち抜き加工を施す。打ち抜きダイ54は、オーダ変更の際に、作業者により、オーダに応じた打ち抜きパターンの打ち抜きダイと交換可能である。
【0044】
次に、フォルダグルア6は、段ボールシートSの搬送方向に沿ってガイドレール60を備える。ガイドレール60の上方には、シート搬送方向に平行な方向に並べられた2本の環状の搬送ベルト62が設けられる。これらの搬送ベルト62の表面素材は、シートSとの間で摩擦力を生じさせてシートSのグリップ力を高めるためにゴム製となっている。フォルダグルア6には、さらに、ガイドレール60および搬送ベルト62に沿って、接着剤供給装置64、折り畳みバー66、および、折り畳みベルト68が設けられる。
フォルダグルア6は、罫線および継ぎ代が形成された段ボールシートSを、ガイドレール60および搬送ベルト62により支持して搬送する。フォルダグルア6は、シートSの搬送中に、接着剤供給装置64により継ぎ代に接着剤を塗布し、折り畳みバー66によりシートSを折り畳む。さらに、フォルダグルア6は、折り曲げられたシートSを、折り畳みベルト68により折り畳み、継ぎ代を接着することで、折り畳まれた状態の箱状の段ボールシートSを製作する。
【0045】
次に、カウンタエジェクタ8は、シート分離装置7から順次供給される箱状の段ボールシートSを計数し、所定シート枚数(結束枚数)のバッチBTを形成する。形成されたバッチBTは、下部コンベア80により、製函機1の下流側に接続された結束機9に向けて送り出され、結束機9は、この搬送されたバッチBTを、輸送のために束ねる。カウンタエジェクタ8は、搬送される段ボールシートSの枚数を計数するために光電センサ(図示せず)を備える。
【0046】
次に、
図1および
図2により、カウンタエジェクタ8の構成を詳細に説明する。
図2は、
図1に示す段ボールシート製函機のカウンタエジェクタの構成およびバッチを形成する動作を説明するための側面図である。
図1および
図2に示すように、カウンタエジェクタ8は、下部コンベア80と、上部コンベア81と、前当板82と、矯正板83と、主レッジ(区切り部材)84と、一対の補助レッジ86と、リフタ88と、を備える。
前当板82は、搬送方向FDに搬送される段ボールシートSの先端部に当接するように、前後方向に変位可能に配置されると共に、矯正板83との間隔が段ボールシートSの搬送方向寸法に応じた間隔となるように前後方向(搬送方向)に位置決めされる。これにより、段ボールシートSの後端部が矯正板83に当接し、段ボールシートSは、前当板82および矯正板83との間に積載される。
【0047】
主レッジ(区切り部材)84は、L字形状を有し、図示しない駆動モータを含む支持機構により、上下方向および前後方向(側面視で左右方向)に移動可能となっている。主レッジ84は、上流工程から一枚ずつ送り込まれる段ボールシートSの搬送方向間隔およびその時間間隔を利用して、カウンタエジェクタ8内でシートSの区切りを行う。また、バッチ毎にシート押えを行う。
一対の補助レッジ86は、それぞれ、前当板82または矯正板83の下方に配置され、前後方向に移動可能となっている。これらの補助レッジ86は、互いに接近する方向に移動して段ボールシートSの下面を支持し、また、互いに離れる方向に移動して段ボールシートSがリフタ88に乗るようにする。
リフタ88は、上下方向に移動可能となっており、リフタ88を下降させて、段ボールシートSを下部コンベア80に引き渡す。下部コンベア80は、上部コンベア94と協働して、結束機9に向かってバッチBTを送り出す。
【0048】
次に、
図2により、カウンタエジェクタ8の動作を説明する。
まず、
図2(a)に示すように、主レッジ84を段ボールシートSと干渉しない上方の位置で待機させる。この待機は、図示しない光電センサにより計数されたシート枚数が、オーダ毎に規定される所定のシート枚数(結束枚数)に達するまで行われる。
次に、
図2(b)に示すように、所定のシート枚数に達したとき、主レッジ84を下降させる。より具体的には、前のバッチBTを構成する最後のシートSが送り込まれた後、次のバッチを構成する最初のシートSが送り込まれる前に、主レッジ84を下降させる。このように、最後のシート上面と最初のシート下面との間に主レッジ84を挿入することにより、シートSを区切って所定シート枚数のバッチBTを形成する。また、バッチBTが形成されるとほぼ同時に、補助レッジ86を互いに接近する方向に移動させる。
次に、
図2(c)に示すように、主レッジ84でバッチBTを押えたまま、リフタ88を下部コンベア80の位置まで下降させて、主レッジ84の上面に載った、次のバッチを構成するシートを補助レッジ86に引き渡し、さらに、バッチBTをリフタ88から下部コンベア80に引き渡した後、
図2(d)、(e)に示すように、主レッジ84を上方の待機位置まで移動させる。
【0049】
次に、
図3により、段ボールシート製函機1による段ボール箱の生産枚数を計数するためのセンサを説明する。
図3は、
図1に示す段ボールシート製函機のシート給紙装置に設けられるセンサを示す側面図である。
まず、
図3に示すように、シート給紙装置2には、フロントゲート22より下流側で、フィードロール27より上流側に配置された生産枚数計数センサ28が設けられている。この生産枚数計数センサ28は、シート給紙装置2から1枚ずつ送り出されたシートSを検出する光電センサであり、生産枚数(実際に給紙して箱に加工したシート枚数)を計数する。
なお、上述したカウンタエジェクタ8に設けられた光電センサ(図示せず)の検出信号を用いて生産枚数を計数してもよい。
【0050】
また、
図3に示すように、シート給紙装置2には、フロントゲート22より上流側において、給紙テーブル21の上方に配置されたシート有無検出センサ29が設けられている。このシート有無検出センサ29は、給紙テーブル上面に向けて信号光を下向きに発して、給紙テーブル21上のシートSの有無を検出する光電センサである。
ここで、シート給紙装置2の給紙テーブル21上には、各オーダに基づいて予め設定された枚数のシートSが自動的に給紙されて積載されるようになっている。そして、例えば、後述するロット終了スイッチがONの場合に給紙テーブル21上にシートSが無くなったことが検出されたときに、各オーダに基づいて予め設定された枚数の生産が終了したとして、オーダ毎の製函機の運転を自動で停止させることができる。
【0051】
次に、
図4により、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機によるオーダ1サイクルの段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられるオーダ1サイクルにおける段ボール箱の生産の流れおよび生産時間の概念を説明するための製函機の基本動作を示すタイムチャートである。
まず、
図4に示すように、本実施形態では、製函機1により、オーダ毎に異なる仕様および予定枚数(客先からの注文量)の段ボール箱を生産する際、前のオーダに係る生産が終了した時点を現在のオーダに係る生産の開始の時点と同一と捉える。同様に、現在のオーダに係る生産終了時点は次のオーダに係る生産開始時点である。
【0052】
ここで、本実施形態において、「生産時間」とは、段ボール箱の生産に関連する時間全体を指しており、
図4で示すオーダ1サイクルの時間は、そのオーダの生産時間に相当する。この生産時間は、段ボールシートSを連続給紙して段ボール箱に加工している段階の「運転時間」と、連続給紙が停止しており、かつ、オーダチェンジ作業(位置決め、印版等の交換、試し加工、検品や調整)が行われている段階の「準備時間」と、連続給紙が停止しており、かつ、オーダチェンジ作業が行われていない段階の「停止時間」との3つに大別される。
【0053】
図4に示すように、本実施形態では、まず、準備段階に入ったときが、あるオーダの生産開始時点となる。この準備段階では、本実施形態では、第1に、給紙装置2による段ボールシートSの給紙を停止させた後、製函機1の可動部材(機械部品)の位置決め、例えば、フィードロール隙間の調整やスリッタなどの加工具の位置決めを機械に自動で行わせ、第2に、オペレータ(作業者)による印版交換などの作業を行い、第3に、試し加工を行う。
【0054】
まず、第1の準備段階(第1のオーダチェンジ作業)は、(1)オーダの生産終了からオーダチェンジ時の各ユニットの位置決めまでの一連の動作を機械で自動で行わせるためのロット終了スイッチを予めオンにしておくことで行われる。または、(2)連続給紙を停止するための給紙停止スイッチを手動で押して給紙を停止させることにより、前オーダの生産を終了させ、さらに、シートSの搬送や加工を行う給紙ローラ25や印刷シリンダ34などの回転体を駆動するモータの電源スイッチである主モータスイッチを手動でオフにした上で、オーダチェンジ時に可動部材の位置決めを機械に開始させるためのオーダチェンジスイッチをオペレータがオンにする、ことなどで行われる。
【0055】
次に、第2の準備段階(第2のオーダチェンジ作業)は、上述した主モータスイッチを手動でオフにし、シートSの給紙を止めて製函機1を停止した状態で、オペレータ(作業者)がオーダの生産を開始するために必要な準備作業を行う。オペレータが行う準備作業は、例えば、印刷装置3の複数の印刷ユニット30、32の各印刷シリンダ34、36にすでに装着されている印版を取り外した後に、現在のオーダの印刷模様に合った印版を装着する作業、各印刷ユニット30、32に供給するインクを現在のオーダの印刷色に合ったインクに交換する作業、印版交換と同様に、ダイカッタ5のダイシリンダ50に現在のオーダの打ち抜き形状に合った打ち抜きダイ54の木型を装着する作業などである。
なお、例えば、一日の生産開始時点に初めて製函機1を立ち上げる最初のオーダなどにおいては、必要に応じて、上述した第1の準備段階と第2の準備段階との順番を適宜入れ替えて準備作業が行われる。
【0056】
次に、第3の準備段階(第3のオーダチェンジ作業/試し加工段階)は、上述した第1および第2の準備作業の後、主モータスイッチを手動でオンにして製函機1を起動し、各スイッチやタッチパネル式ディスプレイで、オペレータが運転速度(シート搬送速度)を設定する。例えば、オペレータは、運転速度を連続して増速または減速させるための増速/減速スイッチや、給紙テーブル21上に積んだシートSを一枚だけ給紙する一枚給紙スイッチなどを操作して、シートを試し加工し、出来上がった段ボール箱を検品する。そして、良品が安定して得られる運転速度に調整する。
【0057】
次に、この準備段階が完了すると、その調整された運転速度でシートSを連続給紙して段ボール箱を生産する運転段階に入る。この運転段階では、オペレータが、給紙テーブル21上に積載されたシートSを一枚ずつ連続給紙する給紙開始スイッチを操作し、調整された運転速度での連続給紙による生産を開始する。
その後、オーダの注文量に基づいて設定した生産枚数分の段ボール箱の生産が終わると、連続給紙を停止する給紙停止スイッチを操作して、シートの給紙を止めて製函機1を停止させる。または、予めオペレータが操作パネルを用いて給紙停止枚数を入力しておき、設定した給紙停止枚数分のシートSの給紙が終了すると、自動で連続給紙が停止するようにする。
【0058】
その後、その次に生産するオーダの準備作業が開始される。このとき、オペレータが主モータスイッチをオフにし、さらに、オーダチェンジスイッチを押すと、次のオーダに係る製函機の可動部材の位置決めが開始される。または、上述したように、現在のオーダに係る連続給紙中にロット終了スイッチを予めオンにしておくと、給紙テーブル21上にシートがなくなった時点で、自動で連続給紙が停止し、自動で主モータがオフになり、自動で可動部材の位置決めが開始される。
【0059】
次に、
図5および
図6により、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成およびオーダの基本情報を説明する。
図5は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図であり、
図6は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられるオーダの基本情報の一例を示す図表である。
まず、
図5に示すように、符号100は、本実施形態による製函機1の運転実績評価システムを示し、この製函機1の運転実績評価システム100は、製函機1のユーザ側(製函機で段ボール箱を生産する生産者側)に設けられ、製函機1の各機械を制御し且つ製函機1の生産管理を行う生産管理装置110と、メーカ側(製函機の製造者側)に設けられ、外部との通信を行うと共に所定のデータを蓄積したデータベース(記憶装置)を備えるサーバ装置112と、このサーバ装置112に接続される分析装置(運転実績評価装置)114と、を備える。なお、サーバ装置112による外部との通信は、インターネットやクラウドサービス、または、社内LANなどにより行われる。
【0060】
生産管理装置110は、製函機1に接続され、
図6に示すようなオーダ毎の基本情報に従って製函機1の各機械を制御するための下位管理装置120と、製函機1における生産を全般的に管理するための上位管理装置122とを有する。本実施形態では、下位管理装置120は製函機1に組み込まれ、上位管理装置122は、製函機1と別体に設けられる。
【0061】
ここで、本実施形態において、基本情報とは、製函機1で各オーダに係る段ボール箱を生産するためのオーダ情報であり、
図6に示すように、基本情報(オーダ情報)には、品名や段ボール箱の仕様、シート寸法、結束枚数、予定枚数(客先からの注文数)などに関する情報が含まれる。
【0062】
次に、
図5および
図6により、本実施形態による生産管理装置110の下位管理装置120を詳細に説明する。
本実施形態による下位管理装置120は、上位管理装置122から受け取ったオーダ毎の基本情報に従って、製函機1の各ユニット2~6、8の動作を制御する装置である。そのため、
図4に示すように、下位管理装置120には、製函機1の各ユニット2~6、8を制御する制御装置124と、
図4に関連して上述した各スイッチやタッチパネル式ディスプレイを含む操作パネル126と、上述した生産枚数計数センサ28およびシート有無検出センサ29とが接続される。
【0063】
次に、下位管理装置120は、上位管理装置122との間でデータ(情報)を送受信する入出力部130と、生産枚数計数センサ28の検出信号に基づいてリアルタイムで生産枚数を計数する生産枚数計数部132と、各ユニット2~6、8の動作、例えば、シートSの搬送や加工に必要な動作や、オーダチェンジ時の位置決め動作などをオーダ毎に制御するよう制御装置124に信号を送る各ユニット制御部134とを有する。生産枚数計数部132による計数結果は、リアルタイムで上位管理装置122に送られる。
下位管理装置120は、さらに、記憶部136を有し、この記憶部136は、上位管理装置122から受け取ったオーダ毎の基本情報(
図6)を少なくともオーダの実行時の間記憶すると共に、生産枚数計数部132による計数結果を一時的に記憶する。また、記憶部136には、オーダチェンジ信号を上位管理装置との間で送受信するタイミングに関するデータを記憶している。
【0064】
製函機1のタッチパネル式ディスプレイ126には、オーダの予定枚数(注文量)、給紙停止枚数、オペレータが設定した運転速度、および、オーダ毎の制限運転速度などが表示される。また、記憶部136には、後述するマトリクス表(
図11参照)に関するデータが記憶されており、下位管理装置120は、このマトリクス表に関するデータを使用し、後述する分析装置114と同じ方法でオーダ毎の制限運転速度を算出する。
下位管理装置120は、現在のオーダの生産が終了すると、上位管理装置122にオーダチェンジ信号を送る。上位管理装置122がこのオーダチェンジ信号を受信すると、後述するように、上位管理装置122は、下位管理装置120に次のオーダの基本情報(
図8)を送る。このオーダチェンジ信号は、ロット終了スイッチがオンの場合に給紙テーブル21上にシートSが無くなった時、または、手動でオーダチェンジスイッチを押した時に送られる。
【0065】
次に、
図5乃至
図7により、本実施形態による生産管理装置110の上位管理装置122を詳細に説明する。
図7は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの実績情報の一例を示す図表である。
本実施形態による上位管理装置122は、多数のオーダに係る段ボール箱の生産を、予め決められた順序で、製函機1に実行させるための装置である。
【0066】
図5に示すように、上位管理装置122は、下位管理装置120およびサーバ装置112との間でデータ(情報)を送受信する入出力部140と、下位管理装置120からオーダチェンジ信号と生産枚数の計数結果をリアルタイムで取得する信号取得部142と、この信号取得部142が取得した信号に基づいて製函機の運転/停止/準備の各状態を特定する状態特定部144と、この状態特定部144が特定した運転/停止/準備の各状態が継続した時間をリアルタイムで集計する所要時間集計部146と、を有する。
より詳細には、状態特定部144は、上述した「運転時間」、「停止時間」、「準備時間」の3つのうち、製函機1がどの状態かを特定し、所要時間集計部146が、その各状態の所要時間を集計する。本実施形態では、これらの状態特定部144および所要時間集計部146により、実績運転時間を算出する。
【0067】
ここで、状態特定部144および所要時間集計部146による実績運転時間の算出方法を説明する。
本実施形態では、状態特定部144は、上述したセンサ(28、29)による生産枚数の計数結果に基づいて、搬送される段ボールシートSが5秒間に2枚以上検出された時に、連続給紙が開始されたと判断し、その1枚目を検出した時点から「運転時間」とする。一方、シートSが5秒間に2枚以上検出されなくなった時に、連続給紙が停止したと判断し、その最終枚目を検出した時点までを「運転時間」とする。
なお、変形例として、オペレータが、上述したように給紙開始スイッチを操作した時点を運転時間の開始としても良い。また、オペレータが、上述したように給紙停止スイッチを操作した時点を運転時間の終了としても良い。
また、本実施形態において、状態特定部144は、オーダチェンジ信号を受信した時点を準備時間の開始とする。そして、この準備時間の終了は、上述した運転時間の開始の時点と同一の時点する。
【0068】
また、シートSが5秒間に2枚以上検出されない間は、連続給紙が停止しているものとみなし(
図4中の破線A)、または、連続給紙が実際に停止されている停止状態(
図4中の破線B)と判断して、停止時間とする。この停止時間が検出された場合には、センサによる計数結果により、シートSが5秒間に2枚以上検出された時に、連続給紙が再開したと判断し、運転時間の始まりとみなす。このように、オーダ1サイクル中に運転時間が複数回に分かれる場合には、それらの運転時間の合計を運転時間とする。なお、他の準備時間および停止時間も同様である。なお、
図4中の破線Bが始まる時点は、例えば、連続給紙中に緊急停止させるために給紙停止スイッチを押した時点である。
【0069】
次に、
図5に示すように、上位管理装置122は、実績情報生成部/情報送信指令部148と、生産管理部150と、記憶部(データベース)152と、を有する。
まず、実績情報生成部/情報送信指令部148は、記憶部152に記憶されている基本情報(
図6)に関連付けて、
図7に示すようなオーダ毎の実績情報を生成すると共に、記憶部152に記憶させる。
また、実績情報生成部/情報送信指令部148は、記憶された実績情報を、所定のタイミングで、入出力部140を介してサーバ装置112を送信させる。より詳細には、実績情報生成部/情報送信指令部148は、上位管理装置122の電源スイッチをオフにするか、または、定刻になるなど、一日の生産が終了した時に、生産が終了した所定数のオーダ(例えば、直近5000件分)の実績情報、または、当日生産分の実績情報を記憶部152から読み出し、基本情報と共にサーバ装置112に送る。
【0070】
ここで、
図7に示すように、実績情報には、オーダ毎の各情報として、生産日付、信号取得部142で取得した生産枚数の計数結果、所要時間集計部146で集計された実績運転時間、実績停止時間、実績準備時間などが含まれる。
【0071】
次に、生産管理部150は、下位管理装置120からオーダチェンジ信号を受け取ったとき、記憶部152に記憶された生産管理計画から次のオーダの基本情報を読み出し、読み出した次のオーダの基本情報を下位管理装置120に送る。
次に、記憶部152には、各オーダの基本情報(
図6)を含む生産管理計画データと、上述した実績情報(
図7)に関するデータとが記憶される。また、記憶部152は、
図7に示すように、信号取得部142で取得した生産枚数の計数結果を、オーダ1サイクル中に給紙された枚数と、状態特定部144が「準備時間」と特定した期間に給紙された枚数(試し加工した枚数)との、2つの計数結果に分けて記憶する。
【0072】
また、上位管理装置122は、キーボードとタッチパネル形式のディスプレイを備えた操作パネル154を備える。オペレータは、この操作パネル154により、オーダの順番変更や、オーダの追加や削除、各オーダの生産基本情報の変更などのオーダの生産管理を行うことができる。
【0073】
次に、
図5乃至
図12により、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの分析装置114を詳細に説明する。
図8は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの分析情報の一例を示す図表であり、
図9は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの比較情報の一例を示す図表であり、
図10は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの比較情報の変形例を示す図表であり、
図11は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムで用いられる製函機の制限速度を規定したマトリクス表の一例を示す図表であり、
図12は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機におけるシート搬送方向長さと搬送間隔との関係を説明するための概念図である。
この第1実施形態による分析装置114は、上位管理装置122から送信されたオーダ毎の基本情報および実績情報に基づき、製函機1の目標運転時間および目標運転速度(制限運転速度)を算出し、それらの算出した運転目標値と実績値との分析情報(
図8)および比較情報(
図9)を生成する装置である。本実施形態では、この分析情報および比較情報は、1日の生産が終了した後に生成される。
【0074】
まず、
図5により、分析装置114の概略構成を説明する。
図5に示すように、本実施形態による分析装置114は、サーバ装置112との間でデータ(情報)を送受信する入出力部160と、基本情報(
図6)および実績情報(
図7)をサーバ装置112から取得する実績情報取得部162と、オーダ毎に設定される製函機1の運転の制限運転速度を算出する制限運転速度算出部(目標運転速度設定部)164と、運転時間中の生産枚数を実績生産枚数として算出する実績生産枚数算出部166と、取得された実績情報に基づいてオーダ毎の実績運転速度を算出する実績運転速度算出部168と、取得された実績情報および算出された制限運転速度に基づいてオーダ毎の目標運転時間を算出する目標運転時間算出部170と、を有する。
【0075】
さらに、本実施形態による分析装置114は、オーダ毎に、実績運転時間と目標運転時間との比較を行い、その比較結果を含む、
図8に示すような分析情報を生成する目標・実績比較部/分析情報生成部172と、この目標・実績比較部/分析情報生成部172が算出した追加運転時間などに基づいて、ユーザに提供するオーダを選定すると共に、そのオーダに係る
図9に示すような比較情報を生成するオーダ選定部/比較情報生成部174と、分析情報(
図8)と比較情報(
図9)を記憶部156から読み出し、入出力部160を介してサーバ装置112に送らせると共にユーザ端末190に送らせるための比較情報送信指令部176と、を有する。
分析装置114は、さらに、記憶部(データベース)178を有し、この記憶部178には、後述するマトリクス表(
図11)が記憶されている。また、記憶部178は、各オーダ毎の分析情報(
図8)および選定されたオーダの比較情報(
図9)を記憶する。
【0076】
次に、
図5、
図8、
図9により、分析装置114の各算出部/各情報生成部の機能および分析装置114により生成される情報を詳細に説明する。
まず、制限運転速度算出部(目標運転速度設定部)164は、基本情報(
図6)に含まれるシート搬送方向寸法と結束枚数と、記憶部178に記憶させたマトリクス表(
図11)とに基づいて、オーダ毎の制限運転速度を算出する。制限運転速度算出部164は、この算出されたオーダ毎の制限運転速度を、オーダ毎の目標運転速度として設定する。マトリクス表を用いた制限運転速度の算出方法については後述する。
【0077】
次に、実績生産枚数算出部166は、実績情報(
図7)に基づいて、オーダ1サイクル中の計数結果から準備時間中の計数結果(試し加工枚数)を引いて、運転時間中の生産枚数を算出する。なお、準備時間中の生産枚数は数枚なので、誤差の範囲として捉え、運転時間中の生産枚数と準備時間中の生産枚数とを足した値、すなわち、オーダ1サイクル中の計数結果を、運転時間中の実績生産枚数として使用してもよい。
次に、実績運転速度算出部168は、製函機1の運転時間中の実績生産枚数を、実績情報取得部162で取得した実績情報に含まれる実績運転時間で除算することにより、オーダ毎の実績運転速度を算出する。
次に、目標運転時間算出部170は、生産日付が当日分の各オーダについて、運転時間中の実績生産枚数を、制限運転速度算出部164で算出した制限運転速度で除算して、オーダ毎の目標運転時間を算出する。この目標運転時間は、実際の運転時間における生産枚数の段ボール箱を、仮に制限運転速度で生産したときの最短運転時間として算出される。
【0078】
次に、目標・実績比較部/分析情報生成部172は、生産日付が当日分の各オーダについて、第1に、取得した実績情報に含まれる実績運転時間と、算出された目標運転時間との差の絶対値を追加運転時間として算出し、第2に、実績運転時間に対する目標運転時間の比を時間達成率として算出し、第3に、算出された実績運転速度と制限運転速度との差の絶対値を運転速度差として算出し、第4に、制限運転速度に対する実績運転速度の比を速度達成率として算出する。これらの追加運転時間などの比較結果は、算出された制限運転速度などと共に、
図8に示すような分析情報として記憶部178に記憶される。
【0079】
ここで、
図8に示すように、分析情報には、算出された制限運転速度、運転時間中の生産枚数、目標運転時間、追加運転時間、時間達成率、実績運転速度、運転速度差、速度達成率などが含まれる。
【0080】
次に、オーダ選定部/比較情報生成部174は、目標・実績比較部/分析情報生成部172が算出した追加運転時間に基づいて、ユーザに比較情報を提供するオーダを選定する。本実施形態では、このオーダ選定部/比較情報生成部174では、追加運転時間が最も大きいオーダを選定し、その選定したオーダに係る
図9に示すような比較情報を生成する。同様に、オーダ選定部/比較情報生成部174は、時間達成率が最も小さいオーダ、運転速度差が最も大きいオーダ、および/または、速度達成率が最も小さいオーダを選定してもよい。
【0081】
ここで、
図9に示すように、比較情報は、ユーザにとって、オーダ毎に運転目標と運転実績を客観的に認識できる情報となるように、追加運転時間や達成率と共に、品名コードや生産日付、生産枚数などの基本情報の一部および実績情報の一部を含むように生成される。なお、変形例として、
図10に示すように、オーダの特定のために、品名コードの代わりに品名(箱の名称)としてもよい。また、
図10に示すように、比較情報として、実績運転速度および目標運転速度の各値を含め、これらの値自体を後述するユーザ端末190に表示するようにしてもよい。
【0082】
さらに、比較情報送信指令部176は、生産日付が当日分の各オーダにおける分析情報(
図8参照)と、オーダ選定部/比較情報生成部174が選定したオーダに関する比較情報(
図9参照)とを記憶部178から読み出すと共にサーバ装置112に送信する。さらに、比較情報送信指令部176は、それらの分析情報および比較情報をサーバ装置112の記憶装置(データベース)182に記憶させると共に、比較情報をユーザ端末190に送信させる。
【0083】
次に、
図2、
図11、
図12により、制限運転速度算出部164による、マトリクス表を用いた制限運転速度の算出方法について説明する。
【0084】
制限運転速度算出部164では、実績情報に含まれる生産日付が当日分の各オーダについて、基本情報に含まれるシートの搬送方向の寸法と結束枚数の組み合わせに対して、記憶部178に予め記憶させたマトリクス表を参照して、制限運転速度を算出する。このマトリクス表の一例を
図11に示す。このようなマトリクス表は、シート搬送方向寸法と結束枚数の組み合わせに対して、オーダ毎に制限される製函機1の制限運転速度(オーダ毎の最高速度)を製函機の仕様に基づいて予め規定したものである。また、ユーザに製函機が納入された後、シート搬送方向寸法と結束枚数の組み合わせ毎に通紙試験を行い、試験結果によって導き出された制限運転速度に基づいてマトリクス表を規定するようにしてもよい。本実施形態において、製函機1の制限運転速度は、下流工程のカウンタエジェクタ8において、主レッジ84によりシートSを区切ってバッチを形成し排出するという一連の動作(
図2(a)~(e)参照)が間に合うような最高速度に規定される。
【0085】
ここで、シート搬送方向寸法および結束枚数が製函機1の最高速度に制限を与える理由を説明する。
まず、
図12に示すように、例えば、シートSは、印刷シリンダ34の回転と同期して搬送されるので、基本的には、印刷シリンダの1回転に対してシートが1枚送られる。このとき、
図12中に示す印刷シリンダの周長に対して、シートの搬送方向の寸法が大きい場合(図中W1)のシート前後間隔(図中C1)は、シートの搬送方向の寸法が小さい場合(図中W2)のシート前後間隔(図中C2)より、相対的に小さくなる。このため、シート搬送方向寸法が大きい場合には、前のバッチの最後のシートが送り込まれてから、次のバッチの最初のシートが送り込まれるまでの時間間隔が相対的に短くなる。従って、カウンタエジェクタ8におけるシートの区切りを確実に行うために、シート搬送方向長さが大きいほど、制限運転速度は遅く設定される。
また、結束枚数が少ない場合には、結束枚数が多いときと比べて、カウンタエジェクタ8において、シートSを区切ってバッチを形成し排出するという一連の動作を頻繁に繰り返す必要がある。従って、そのような一連の動作を確実に行うために、結束枚数が少ないほど、制限運転速度は遅く設定される。
【0086】
次に、
図5および
図13により、サーバ装置112の概略構成およびそのデータベース182について説明する。
図13は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成されるオーダの総合情報を示す図表である。
まず、
図5に示すように、サーバ装置112は、上位管理装置122および分析装置114との間でデータ(情報)を送受信する入出力部180と、
図11に示すようなデータを記憶しているデータベース(記憶装置)182を有する。
また、サーバ装置112は、上述したように上位管理装置122から基本情報(
図6)および実績情報(
図7)を受け取り、それらの情報をデータベース182に記憶させる。本実施形態では、分析装置114の実績情報取得部162は、このデータベース182に記憶されたオーダ直近5000件分の基本情報および実績情報を取得する。
また、サーバ装置112は、上述したように分析装置114から分析情報(
図8)および比較情報(
図9)を受け取り、それらの情報をデータベース182に記憶させる。また、分析装置114から受け取った比較情報(
図9)を入出力部180を介してユーザ端末190に送る。
【0087】
次に、
図13に示すように、データベース(記憶装置)182に記憶されるデータは、過去に生産した全オーダに関する基本情報、実績情報、分析情報を総合的に管理するためのデータを含む。この
図13に示すデータは、分析装置114から送られる分析情報を、上位管理装置122から受け取った基本情報および実績情報に関連付けた総合情報のデータであり、データベースとして参照可能となる。分析装置114から送られる比較情報は、このデータベースに含まれている。
なお、変形例として、
図13に示すような総合情報を、マトリクス表(
図11)と共に分析装置114の記憶部(記憶装置)178に記憶させるようにしてもよい。
【0088】
次に、
図14により、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおける上位管理装置122の制御内容を説明する。
図14は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおいて段ボール箱生産時に上位管理装置で実行される制御内容を示すフローチャートである。
図14において、Sは、各ステップを示す。
【0089】
まず、
図14に示すように、上位管理装置122は、一日の始まりに、その電源がオンにされると、S1において、信号取得部142が、下位管理装置120から、オーダチェンジ信号、または、1オーダサイクル中における生産枚数の計数結果を取得する。次に、S2において、オーダチェンジ信号が取得したと判定されると、S3に進み、生産管理部150が、次のオーダの基本情報を下位管理装置120に送ると共に、記憶部152に記憶させる実績情報のオーダを現在のオーダに変更する。例えば、初回には、一日の最初のオーダの基本情報が送られると共に、記憶部152に記憶させる実績情報は最初のオーダの実績情報となる。
【0090】
次に、オーダチェンジ信号を受け取ったことに基づき、S4において、状態特定部144が製函機1の運転が準備時間の状態であると特定し、S5において、その準備時間を集計し、記憶部152に記憶させる。このS5では、次の処理ステップであるS6により、オペレータによる上述した印版交換などの準備作業が終了したと判定されるまで、繰り返し、準備時間を集計する。この準備時間の集計は、上述した第1および第2の準備段階の集計である。S6における、これらの準備作業の終了の判定は、オペレータが製函機1の主モータスイッチを手動でオンにしたことを示す信号を検出することにより行われる。
次に、オペレータが一枚給紙スイッチなどを操作して上述した第3の準備段階の試し加工が行われると、S7において、信号取得部142が、下位管理装置120の生産枚数計数部132が集計した試し加工枚数結果を取得する。その後、S8で5秒間に2枚以上生産される運転時間の状態となるまで、S7、S9、S10を繰り返す。
【0091】
S9では、取得した集計枚数を記憶部152に記憶させる。記憶部152に記憶される集計枚数は、現在のオーダにおけるサイクル内で計数された枚数(S7および後述するS13)と、準備時間中に計数された枚数(S7)とを区別して記憶する。このように区別して記憶することで、生成される情報において必要なデータを抽出することができる。例えば、オーダ1サイクル中に1000枚、そのうち、準備段階が10枚である場合には、
図7に示す実績情報では、「生産枚数:オーダ中に1000枚(うち準備段階が10枚」のようにデータ化される。また、この場合、運転段階で990枚となるので、
図8および
図9に示す分析情報および比較情報では、「生産枚数(運転時間中):990枚」のようにデータ化される。
【0092】
次に、S10では、S5と同様に準備時間を集計し、記憶部152に記憶させる。このS10における準備時間の集計は、上述した第3の準備段階の集計であり、この第3の準備作業の時間は、S8において、5秒間に2枚以上計数(カウント)されていると判定されるまで集計される。または、変形例として、オペレータが製函機1の給紙開始スイッチをオンにするまで集計される。
ここで、S8における判定基準は、第1に、通常の試し加工では、1枚ずつ給紙して、生産された段ボール箱を1枚ずつ検品するので、このような試し加工による準備時間を除外するために2枚という条件が設定され、第2に、運転状態である連続給紙では、基本的に、5秒に2枚の給紙速度が運転速度の最低値(最低速度)として設定されることに基づく。
【0093】
S8で、5秒間に2枚以上カウントされた場合には、S12に進み、このS12において、状態特定部144が、5秒間に2枚以上カウントされたときの1枚目のカウント時点から、製函機1の運転が運転時間の状態であると特定する。次に、S13において、その運転時間を集計して記憶部152に記憶させる。次に、S14において、S7で信号取得部142が取得した生産枚数計数結果を、1オーダサイクル中における生産枚数の計数結果として記憶部152に記憶させた後、S1に戻り、製函機1が連続給紙中の運転状態である場合には、オーダチェンジ信号を受け取らないので、S1、S2、S11~S14の各ステップを繰り返す。ここで、2度目にS14が実行される場合には、S1で取得された1オーダサイクル中における生産枚数の計数結果を記憶部152に記憶させる。
一方、現在のオーダの最終枚目が給紙され、連続給紙が停止されると、次のオーダを実行するために、下位管理装置120から新たなオーダチェンジ信号が送られるので(S2でYES)、上述したS4~S10の各ステップが再度実行される。
【0094】
次に、S1において、オーダチェンジ信号を取得せず、生産枚数の計数結果を取得した場合には、S2において、準備段階ではないものとして、S11に進む。このS11では、上述したS8と同様に、5秒間に2枚以上が計数されているか否かを判定する。
5秒間に2枚以上が計数されている場合は、S12に進み、状態特定部144が製函機1の運転が運転時間の状態であると特定する。次に、S13において、その運転時間を集計して記憶部152に記憶させる。次に、S14において、S1で信号取得部142が取得した1オーダサイクル中における生産枚数の計数結果を記憶部152に記憶させる。
一方、S11において、5秒間に2枚以上が計数されていないと判定された場合には、S15に進み、このS15において、状態特定部144が、製函機1の運転が停止時間の状態であると特定する。このS15では、5秒間に2枚以上カウントされなくなったときの最終枚目のカウント時点から、製函機1の状態を停止時間の状態であると特定する。次に、S16において、その停止時間を集計して記憶部152に記憶させる。
【0095】
次に、S17において、上位管理装置122の電源スイッチが切られるなど一日の生産が終了したと判定されるか、または、S11で運転状態と判定されるまで、S1、S15、S16の処理を繰り返す。S17において、電源スイッチがオフとされた場合などには、S18に進み、情報送信指令部148が、生産が終了した所定数のオーダ(例えば、直近5000件分)の実績情報、または、当日生産分の実績情報を記憶部152から読み出し、基本情報とともにサーバ装置112に送る。
なお、最終オーダを生産した後、加工具を清掃位置に位置決めするためのオーダにオーダチェンジした後、シートを流さずに上位管理装置の電源スイッチをオフにする場合がある。このような事項を考慮し、例えば、上述したS5とS6の間で、S17と同様に、電源スイッチをオフにしたか否かの判定を行うようにするのが好ましい。この場合も、S18と同様に、生産が終了した所定数のオーダの実績情報などが基本情報とともにサーバ装置112に送られる。
【0096】
次に、
図15および
図16により、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおける分析装置114の制御内容を説明する。
図15は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにおいて段ボール箱の生産終了後に分析装置で実行される制御内容を示すフローチャートであり、
図16は、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムにより生成された比較情報のユーザ端末における表示例である。
図15において、Sは、各ステップを示す。
まず、
図15に示すように、S20において、実績情報取得部162が、サーバ装置112のデータベース182に記憶された、生産が終了しているオーダ直近5000件分の基本情報(
図6)および実績情報(
図7)をサーバ装置112から取得する。
【0097】
次に、S21において、制限運転速度算出部164が、実績情報に含まれる生産日付が当日分の各オーダについて、基本情報に含まれるシート搬送方向(FD)の寸法と結束枚数の組み合わせを、記憶部178に予め記憶したマトリクス表(
図11参照)と照合して、オーダ毎の制限運転速度を算出する。例えば、
図6に示すように、シート搬送方向寸法が320mmであり、結束枚数が20枚の基本情報のオーダの場合、
図11に示すマトリクス表を参照して、320mmを含む「0」の列(0~399mmの列)を選択し、且つ、結束枚数20枚から「16」の行(16~20枚の行)を選択し、それらの組み合わせである、制限運転速度250枚/分を算出する。
【0098】
次に、S22において、実績生産枚数算出部166が、生産日付が当日分の各オーダについて、取得した実績情報に基づいてオーダ1サイクル中の計数結果から準備時間中の計数結果を引いて運転時間中の生産枚数を算出する。例えば、
図7に示す実績情報の場合、オーダ中の生産枚数1000枚から準備時間中の生産枚数10枚を引いて、運転時間中の生産枚数を990枚と算出する。算出した生産枚数990枚は、
図8に示すように、分析情報に組み入れられる。
次に、S23において、実績運転速度算出部168が、生産日付が当日分の各オーダについて、S22で算出された運転時間中の生産枚数を、取得した実績情報に含まれる実績運転時間で除算することにより、実績運転速度を算出する。例えば、
図7に示す実績情報の場合、S22で算出された990枚を実績運転時間である260秒で除算して、実績運転速度を228枚/分(3.80枚/秒)と算出する。
【0099】
次に、S24において、目標運転時間算出部170が、生産日付が当日分の各オーダについて、S22で算出した運転時間中の実績生産枚数を、S21で算出した制限運転速度で除算することにより、目標運転時間を算出する。例えば、S22で算出された990枚をS21で算出された制限運転速度の250枚/分で除算して、目標運転時間を238秒と算出する(
図7、
図8参照)。
次に、S25において、生産日付が当日分の各オーダについて、運転時間に関する分析情報を生成する。より詳細には、目標・実績比較部/分析情報生成部172が、取得した実績情報に含まれる実績運転時間から、S24で算出した目標運転時間を引いた値を追加運転時間として算出すると共に、S24で算出した目標運転時間を、実績情報に含まれる実績運転時間で除算した値を時間達成率として算出し、
図8に示すような分析情報を生成する。例えば、実績運転時間260秒から目標運転時間238秒を引いて、追加運転時間を22秒と算出すると共に、目標運転時間238秒を実績運転時間260秒で除算して時間達成率を92%と算出する(
図7、
図8参照)。
【0100】
次に、S26において、生産日付が当日分の各オーダについて、運転速度に関する分析情報を生成する。より詳細には、目標・実績比較部/分析情報生成部172が、S21で算出した制限運転速度から、S23で算出した実績運転速度を引いた値を速度差として算出すると共に、S23で算出した実績運転速度を、S21で算出した制限運転速度で除算した値を速度達成率として算出し、
図8に示すような分析情報を生成する。
なお、本実施形態では、運転時間に関する実績と目標との比較と、運転速度に関する実績と目標との比較との両方を実行しているが、例えば、運転時間に関する実績と目標との比較のみを行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、追加運転時間、時間達成率、速度差、速度達成率の全てを算出しているが、例えば、追加運転時間のみを算出してもよい。
【0101】
次に、S27において、比較情報送信指令部176が、生産日付が当日分の各オーダについて、S25およびS26で生成した追加運転時間などを含む分析情報(
図8参照)をサーバ装置112に送る。なお、変形例として、サーバ装置112に送らずに、分析装置114の記憶部(データベース)114に、分析情報と、実績情報と、基本情報を関連付けて記憶してもよい。
次に、S28において、オーダ選定部/比較情報生成部174が、S25で算出した、生産日付が当日分の全オーダの追加運転時間に基づいて、ユーザに比較情報を提供するオーダを選定し、その選定したオーダに係る比較情報(
図9)を生成する。本実施形態では、追加運転時間が最も大きいオーダを選定する。
【0102】
次に、S29において、比較情報送信指令部176が、S28で選定されたオーダに係る比較情報を、サーバ装置112を介してユーザ端末190に送信する。
ここで、
図16に、ユーザ端末190に送信された比較情報に基づいてユーザ端末190に表示される例を示す。この
図16に示すように、ユーザ端末190には、追加運転時間が最も大きいオーダに係る比較情報のみをユーザに提供し、それを表示(追加運転時間=Additional Time)するので、一日に生産した全オーダの情報を提供する場合に比べて、ユーザ端末に表示される情報量が少なくなり、ユーザにとって分かりやすく使いやすいものとなる。
【0103】
また、本実施形態では、比較情報をユーザ端末190に表示させることにより、ユーザは、運転時間を短縮して生産コストを抑えることができたか振り返ることができる。さらに、目標運転時間に比べて実績運転時間が長くなった場合は、運転速度を上げることができるように、ユーザが機械のメンテナンスを行う動機づけになる。
なお、比較情報を、ユーザ端末190ではなく、上位管理装置122に生産管理計画を送るためのユーザコンピュータ(図示せず)に送信してもよい。また、比較情報を、上位管理装置122や下位管理装置120に送信して、それらの操作パネルのディスプレイ154、126に表示するようにしてもよい。
【0104】
次に、オーダ選定部/比較情報生成部174により生成され、比較情報送信指令部176により送信される比較情報の変形例を説明する。
まず、オーダ選定部/比較情報生成部174は、追加運転時間が大きい順に複数のオーダを選定し、これら複数のオーダに係る複数の比較情報を生成するようにしてもよい。また、追加運転時間が最も小さいオーダを選定し、その比較情報を生成することで、ユーザによる製函機1のメンテナンスが良好であることなどをユーザに知らせるようにしてもよい。また、運転時間中の生産枚数が最も多いオーダを選定するようにしてもよい。
【0105】
また、オーダ選定部/比較情報生成部174は、生産日付が同一の1日の各オーダの全部、または、任意に設定可能な一部のオーダを選定するようにしてもよい。例えば、追加運転時間が予め定めた所定値を超えているオーダを選定するようにしてもよい。
【0106】
また、オーダ選定部/比較情報生成部174は、運転時間と停止時間の和に関する比較情報を生成し、ユーザに提供するようにしてもよい。これにより、ユーザは、トラブル等で機械が停止した時間も含めて、目標運転時間と実績運転時間との関係を客観的に認識することができる。この場合、目標・実績比較部/分析情報生成部172は、実績情報に含まれる実績運転時間と実績停止時間の和を算出し、さらに、目標運転時間算出部170が算出した目標運転時間と目標停止時間の和を算出し、両者の差や割合を算出する。なお、目標停止時間の理想は0秒であるが、製函機1の状態に応じた任意の値に設定するのが好ましい。
【0107】
また、オーダ選定部/比較情報生成部174は、運転時間と停止時間と準備時間との和に関する比較情報を生成し、ユーザに提供するようにしてもよい。これにより、ユーザは、オーダチェンジ時の作業時間も含めて、オーダ全体として生産時間を短縮して生産コストを抑えることができたかを振り返ることができる。この場合、目標・実績比較部/分析情報生成部172は、実績情報に含まれる実績運転時間と実績停止時間と実績準備時間の3つの和を算出し、さらに、目標運転時間算出部170が算出した目標運転時間と、上述した目標停止時間と、目標準備時間の3つの和を算出し、両者の差や割合を算出する。なお、目標準備時間については、分析装置114に目標準備時間算出部を追加し、この目標準備時間算出部により、熟練した技術を有するベテランのオペレータがオーダチェンジ作業(交換、試し加工、検品、調整)をした場合にかかる時間を予め測定して設定するのが好ましい。
【0108】
次に、比較情報送信指令部176は、比較情報と併せて、製函機1の各ユニット2~6、8の部材の位置情報と、メーカ推奨の位置情報とを、ユーザ端末190に送るようにしてもよい。すなわち、部材位置がメーカ推奨位置から大きくずれているような場合は、部品が消耗している可能性があるため、このような位置情報を提供することで、ユーザは部品の消耗が疑われる箇所を重点的に点検して、機械のメンテナンスを効率よく行うことができる。
ここで、上述したように、ユーザは、オーダチェンジ時に、連続給紙する前に試し加工をし、生産された段ボール箱を検品する。そして、検品した箱が不良品の場合、不良部分に関係する部材の位置を調整する。例えば、シートの搬送遅れが原因で印刷位置がずれた場合、シートをグリップする力を高めるために、上下フィードロールの隙間を狭めるなどの調整を行う。例えば、上下フィードロールのゴム部分が摩耗している場合、摩耗によるグリップ力の低下を補うため、上下フィードロールの隙間をより狭く調整することになる。ユーザは、上下フィードロールの隙間値が、メーカ推奨の隙間値から大きくずれていることを認識することで、フィードロールを重点的に点検することができる。
【0109】
また、別の変形例として、比較情報送信指令部176は、比較情報と併せて、給紙したシートの状態情報をユーザ端末190に送るようにしてもよい。このシートの状態情報とは、例えば、シートの温度や、水分量や、反りの大きさなどである。オペレータは、生産前にシートの状態量を測定し、下位管理装置120や上位管理装置122の操作パネル154を使用して状態情報を入力する。あるいは、給紙装置2にセンサを設置し、生産前のシートの状態量を自動で測定して取得してもよい。シート状態情報は、実績情報と併せて、上位管理装置122からサーバ装置112を介して分析装置114に送られる。
【0110】
次に、制限運転速度算出部164により制限運転速度を算出するためのマトリクス表の変形例を説明する。
上述した第1実施形態では、マトリクス表は、シート搬送方向寸法と結束枚数の組み合わせに応じて制限運転速度を規定しているが、そのようなマトリクス表に加え、例えば、カウンタエジェクタの製品モデル別に、マトリクス表を用意してもよい。また、段ボール箱の形状タイプ(A式、B式など)別に、マトリクス表を用意してもよい。また、段ボールシートを構成する原紙(ライナや中芯)の種類別にマトリクス表を用意してもよい。なお、このようなマトリクス表を用いる場合は、上述した基本情報(オーダ情報)に、原紙の種類情報を含めることが好ましい。さらに、シートの状態別、例えばシートSの反りの大きさ別にマトリクス表を用意してもよい。この場合、シートの反りが大きいほどシートの搬送ずれが起きやすいので、確実にシートをグリップして搬送できるように、制限運転速度が遅く設定されたマトリクス表となる。なお、反りの大きさは、オペレータがシートの状態を見て、下位管理装置120や上位管理装置122の操作パネルを使って反りの大小を入力する。入力された反り情報は、実績情報と併せて、サーバ装置112を介して分析装置114に送られる。
【0111】
次に、本発明の第1実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの主な作用効果を説明する。
まず、本発明の第1実施形態においては、段ボールシート製函機1の運転実績評価システム100が、製函機の生産管理装置110と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後(1日の生産終了後)、所定数のオーダ(直近5000件分または1日分のオーダ)について、製函機1の運転実績を評価するための分析装置(運転実績評価装置)114と、を備え、生産管理装置110において、生産枚数および実績運転時間を含む
図7に示すような運転実績情報をオーダ毎に生成し、分析装置114において、オーダ毎に製函機の運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し(
図5の符号166、
図15のS22)、オーダ毎に製函機の制限運転速度を算出し(同164、同S21)、オーダ毎に目標運転時間を算出し(同170、同S24)、オーダ毎に目標運転時間と実績運転時間との差である追加運転時間および/または目標運転時間を実績運転時間で除算した時間達成率を算出し(同172、同S25)、オーダ毎に追加運転時間および/または時間達成率と実績生産枚数とを関連付けて、
図8に示すようなオーダ毎の運転時間に関する分析情報を生成し、所定のオーダの全部または一部(第1実施形態では、追加運転時間が最も大きいオーダ)について、オーダ毎に、運転時間に関する分析情報(
図8)と、
図6に示すようなオーダ情報とを関連付けた、
図9のような比較情報を生成し、この生成された比較情報をユーザ端末190に送信させるので、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報(例えば
図9、
図16)を提供することができる。また、オーダ毎の運転時間のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【0112】
また、本発明の第1実施形態においては、段ボールシート製函機1の運転実績評価システム100が、製函機の生産管理装置110と、所定オーダの段ボール箱の生産終了後(1日の生産終了後)、所定のオーダ(直近5000件分のオーダまたは1日分のオーダ)について、製函機1の運転実績を評価するための分析装置(運転実績評価装置)114と、を備え、生産管理装置110において、生産枚数および実績運転時間を含む
図7に示すような運転実績情報をオーダ毎に生成し、分析装置114において、オーダ毎に製函機の運転時間中における段ボール箱の実績生産枚数を算出し(
図5の符号166、
図15のS22)、オーダ毎に製函機の制限運転速度を算出し(同164、同S21)、この制限運転速度を目標運転速度として設定し(同164、同S21)、オーダ毎に製函機の実績運転速度を算出し(同168、同S23)、オーダ毎に目標運転速度と実績運転速度との差である運転速度差および/または実績運転速度を目標運転速度で除算した速度達成率を算出し(同172、同S26)、オーダ毎に運転速度差および/または速度達成率と実績生産枚数とを関連付けて、
図8に示すようなオーダ毎の運転速度に関する分析情報を生成し、所定のオーダの全部または一部(例えば、運転速度差が最も大きいオーダ)について、運転速度に関する分析情報(
図8)と、
図6に示すようなオーダ情報とを関連付けた、
図9に示すような比較情報を生成し、この生成された比較情報をユーザ端末190に送信させるので、生産を終えた各オーダについて、ユーザに、段ボール箱の生産の効率性を把握できるオーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報(例えば
図9のような情報や、
図16においてAdditional Timeを速度差に置き換え、あるいは、併記して表示させた情報)を提供することができる。また、オーダ毎の運転速度のロスに関する定量的な情報をユーザに提供することにより、ユーザが機械部品の劣化の兆候に気づき、点検の必要性を認識できるようにすることができる。
【0113】
また、本発明の第1実施形態においては、運転実績評価システム100の生産管理装置110は、製函機1で段ボール箱を生産する生産者側(ユーザ側)に設けられ、分析装置(運転実績評価装置)114およびデータベース(記憶装置)182は、製函機の製造者側(メーカ側)に設けられているので、製函機1のユーザ(段ボール箱の生産者)に比較情報(
図9)を送信して、ユーザ端末190に
図16のように表示させることにより、ユーザが段ボール箱の生産効率性や製函機1の機械部品の摩耗などを把握できるようにすると共に、製函機のメーカ(製造者)が、運転実績評価装置114や記憶装置182から得られる情報に基づいて、例えば、自身が製造した製函機の改良や設計変更などに役立てることができる。
【0114】
次に、
図17により、本発明の第2実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を説明する。
図17は、本発明の第2実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図である。
この第2実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システム200では、第1実施形態に対し、主に、ユーザ側(製函機で段ボール箱を生産する生産者側)において、符号222で示すように、上位管理装置と分析装置とが一つの装置として構成される点、および、基本情報、実績情報、分析情報、比較情報が、この上位管理装置/分析装置222からメーカ側(製函機の製造者側)のサーバ装置212およびデータベース(記憶装置)282に送られる点で異なり、その他の基本構成は、基本的に、第1実施形態と同様である。なお、上位管理装置/分析装置222で生成された比較情報がサーバ装置212の入出力部280を介してユーザ端末に送信される点は第1実施形態と同様である。ここでは、第1実施形態と異なる点についてのみ説明する。なお、上述した第1実施形態と実質的に同じ構成に対しては、第1実施形態と同じ符号を用いる。
【0115】
まず、この第2実施形態では、生産管理装置210は、下位管理装置120と上位管理装置/分析装置222とで構成され、上位管理装置/分析装置222の入出力部240は、上述した第1実施形態の入出力部140、160と同等の機能を有する。
この第2実施形態では、上位管理装置/分析装置222は、上述した第1実施形態の実績情報生成部/情報送信指令部148および実績情報取得部162の代わりに、実績情報生成部248を有する。この実績情報生成部248は、生産日付、生産枚数の計数結果、実績運転時間、実績停止時間、実績準備時間などをオーダ毎の実績情報として生成し、基本情報に関連付けて記憶部152に記憶させる。
【0116】
また、この第2実施形態では、記憶部152に記憶された基本情報と、上位管理装置/分析装置222で生成した実績情報、分析情報、比較情報とを、オーダ毎に互いに関連付けて、入出力部240を介してサーバ装置212に送信し、その記憶装置282に記憶させる。また、上述した第1実施形態の記憶部178と同様に、基本情報と、実績情報、分析情報、比較情報とを、オーダ毎に互いに関連付けて、記憶部152に記憶させてもよい。
なお、この第2実施形態では、上位管理装置/分析装置222で生成した比較情報を、サーバ装置312を介してユーザ端末190に送信し、および/または、直接的にユーザ端末190に送信してもよい。また、上位管理装置/分析装置222で生成した比較情報を、上位管理装置/分析装置222や下位管理装置120に送信して、それらの操作パネルのディスプレイ154、126に表示するようにしてもよい。
【0117】
このように構成された本発明の第2実施形態によれば、運転実績評価システム200の生産管理装置210および分析装置(運転実績評価装置)222は、ユーザ側(製函機で段ボール箱を生産する生産者側)に設けられ、運転実績評価システム200のデータベース282は、メーカ側(製函機の製造者側)に設けられているので、段ボール箱の生産者側(ユーザ側)にとっては、例えば、生産管理装置と運転実績評価装置とを一体の装置(222)として構成できることなどにより、運転実績評価システムがより扱いやすいものになる。一方、メーカ側(製函機の製造者側)にとっては、例えば、データベース(記憶装置)(282)から得られる情報に基づいて、自身が製造した製函機の改良や設計変更などに役立てることができ、また、段ボール箱の生産効率が低下し、製函機の機械部品の摩耗などが考えられる場合に、製函機の製造者(メーカ)が、生産者(ユーザ)に対して製函機の点検整備方法を助言するなどの適切な支援を行うことができる。
【0118】
次に、
図18により、本発明の第3実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を説明する。
図18は、本発明の第3実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システムの概略構成を示すブロック図である。
この第3実施形態による段ボールシート製函機の運転実績評価システム300では、第1実施形態に対し、主に、サーバ装置313がユーザの社内に設けられた装置である点、上述した第2実施形態と同様に、上位管理装置と分析装置とが一つの上位管理装置/分析装置222として構成される点、および、基本情報、実績情報、分析情報、比較情報が、この上位管理装置/分析装置222からユーザのサーバ装置312およびデータベース(記憶装置)382に送られる点で異なり、その他の基本構成は、基本的に、第1実施形態と同様である。なお、上位管理装置/分析装置222で生成された比較情報がサーバ装置312の入出力部380を介してユーザ端末に送信される点は第1実施形態と同様である。ここでは、第1実施形態および第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と実質的に同じ構成に対しては、第1実施形態および第2実施形態と同じ符号を用いる。
【0119】
まず、この第3実施形態では、生産管理装置210は、上述した第2実施形態と同様に、下位管理装置120と上位管理装置/分析装置222とで構成され、上位管理装置/分析装置222は、上述した第2実施形態と同様の実績情報生成部262を有する。
また、この第3実施形態では、上述した第2実施形態と同様に、記憶部152に記憶された基本情報と、上位管理装置/分析装置222で生成した実績情報、分析情報、比較情報とを、オーダ毎に互いに関連付けて、入出力部240を介してサーバ装置212に送信し、その記憶装置382に総合情報として記憶させる。また、上述した第1実施形態の記憶部178と同様に、基本情報と、実績情報、分析情報、比較情報とを、オーダ毎に互いに関連付けた総合情報を、記憶部152に記憶させてもよい。
なお、この第3実施形態では、比較情報を、サーバ装置312を介さずにユーザ端末190に直接送信するようにしてもよい。また、上位管理装置/分析装置222で生成した比較情報を、上位管理装置/分析装置222や下位管理装置120に送信して、それらの操作パネルのディスプレイ154、126に表示するようにしてもよい。
【0120】
このように構成された本発明の第3実施形態によれば、運転実績評価システム300の生産管理装置210、分析装置(運転実績評価装置)222およびデータベース382は、ユーザ側(製函機で段ボール箱を生産する生産者側)に設けられているので、例えば、生産管理装置と運転実績評価装置とを一体の装置(222)として構成できることなどにより、運転実績評価システム300が、生産者(ユーザ)にとって、より扱いやすいものになる。
【符号の説明】
【0121】
S 段ボールシート
FD シート送り出し方向/シート搬送方向
BT バッチ
W1、W2 シート搬送方向長さ
C1、C2 シートの前後間隔(搬送方向の間隔)
1 段ボールシート製函機
2 給紙装置
3 印刷装置
4 クリーザスロッタ
5 ダイカッタ
6 フォルダグルア
7 シート分離装置
8 カウンタエジェクタ
9 結束機
27 フィードロール
28 生産枚数計数センサ
29 シート有無検出センサ
34、36 印刷シリンダ
84 カウンタエジェクタの主レッジ(区切り部材)
100、200、300 製函機の運転実績評価システム
110、210、310 製函機の生産管理装置
112、212、312 サーバ装置
114 分析装置(運転実績評価装置)
120 下位管理装置
122、222 上位管理装置/分析装置(運転実績評価装置)
126、154 ディスプレイおよびキーボードを含む操作パネル
132 生産枚数計数部
144 状態特定部(実績運転時間算出部)
146 所要時間集計部(実績運転時間算出部)
148 実績情報生成部/情報送信指令部
164 制限速度算出部(制限運転速度算出部/目標運転速度設定部)
166 実績生産枚数算出部
168 実績運転速度算出部
170 目標運転時間算出部
172 目標・実績比較部/分析情報生成部
174 オーダ選定部/比較情報生成部
176 分析・比較情報送信指令部
182、282、382 データベース(記憶装置、サーバ装置の記憶部)
248 実績情報生成部
276 情報送信指令部