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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】鉛筆削り
(51)【国際特許分類】
   B43L 23/02 20060101AFI20230626BHJP
   B43L 23/04 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B43L23/02 H
B43L23/04 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019166901
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021041655
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】599041411
【氏名又は名称】株式会社アスカ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】長濱 康裕
(72)【発明者】
【氏名】栗田 瑛奈
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3140429(JP,U)
【文献】特開2018-001499(JP,A)
【文献】実開昭55-049978(JP,U)
【文献】特開2003-289430(JP,A)
【文献】特開2001-334078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 23/02
B43L 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛筆の挿入穴を備えてなるケーシングと、
前記ケーシングの外側に、回転操作可能に取り付けられると共に、前記回転の中心を周回する方向において隣り合う鉛筆の導入開口との間に間隔を開けて三つの鉛筆の導入開口を備えるように構成された回転操作体と、
前記ケーシング内にあって、前記ケーシング内に回転可能に支持されると共に前記挿入穴を通じて差し込まれる前記鉛筆の一端部を受容するベースと、前記ベースに回転可能に支持されると共に前記ベースの回転に伴って回転して前記ベースに受容された前記鉛筆の一端部に対し切削を施す回転刃とを備えてなる切削手段とを備えてなり、
前記回転操作体の前記導入開口の一つは断面円形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記回転操作体の前記導入開口の他の一つは断面三角形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記回転操作体の前記導入開口のさらに他の一つは断面六角形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記導入開口のいずれか一つを前記挿入穴に連通させた前記回転操作体の回転位置において前記導入開口と前記挿入穴とを通じて前記ベースに前記鉛筆の一端部を受容可能としてなり、
しかも、前記回転操作体には、その回転の中心を通る仮想の第一線分に沿うよう形成された滑り止め突起と、前記回転の中心において前記仮想の第一線分に直交する仮想の第二線分に沿うように形成された滑り止め突起とが形成されており、これらの滑り止め突起によって区分された四つの領域の一つには前記導入開口はなく、その余の三つの領域にそれぞれ一つずつ前記導入開口を形成させてなる、鉛筆削り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉛筆削りの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛筆挿入用の円孔と、移動操作可能なガイド体とを備え、前記ガイド体の進出位置で前記ガイド体の二つの腕片が前記円孔の対向位置を塞ぐことで、断面を六角形とする鉛筆の対向位置にある二辺を前記腕片で挟むようにした電動鉛筆削り器として、特許文献1に示されるものがある。
この特許文献1の鉛筆削りによれば、断面を六角形とする鉛筆を削るときに、鉛筆削り内蔵のモータによって駆動される回転刃のトルクによって前記円孔に挿入された鉛筆が連れ回りしないようにすることができ、鉛筆を削っているときに鉛筆における前記円孔から突き出されている箇所を手で押さえ易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭55-130894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、第一に、鉛筆削りにおいて、鉛筆を削っているときに、鉛筆削り内蔵の回転刃のトルクによって削られている鉛筆が連れ回りしないようにする構成を、より合理的かつ外観性良く、鉛筆削りに備えさせる点にある。
また、この発明が解決しようとする主たる問題点は、第二に、断面を異ならせる三種類以上の種類の鉛筆をそれぞれ前記トルクによって連れ回りしないようにする構成を、鉛筆削りに備えさせる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、この発明にあっては、電動鉛筆削りを、鉛筆の挿入穴を備えてなるケーシングと、
前記ケーシングの外側に、回転操作可能に取り付けられると共に、前記回転の中心を周回する方向において隣り合う鉛筆の導入開口との間に間隔を開けて三つの鉛筆の導入開口を備えるように構成された回転操作体と、
前記ケーシング内にあって、前記ケーシング内に回転可能に支持されると共に前記挿入穴を通じて差し込まれる前記鉛筆の一端部を受容するベースと、前記ベースに回転可能に支持されると共に前記ベースの回転に伴って回転して前記ベースに受容された前記鉛筆の一端部に対し切削を施す回転刃とを備えてなる切削手段とを備えてなり、
前記回転操作体の前記導入開口の一つは断面円形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記回転操作体の前記導入開口の他の一つは断面三角形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記回転操作体の前記導入開口のさらに他の一つは断面六角形状の鉛筆の断面形状に倣った穴輪郭形状となっており、
前記導入開口のいずれか一つを前記挿入穴に連通させた前記回転操作体の回転位置において前記導入開口と前記挿入穴とを通じて前記ベースに前記鉛筆の一端部を受容可能としてなり、
しかも、前記回転操作体には、その回転の中心を通る仮想の第一線分に沿うよう形成された滑り止め突起と、前記回転の中心において前記仮想の第一線分に直交する仮想の第二線分に沿うように形成された滑り止め突起とが形成されており、これらの滑り止め突起によって区分された四つの領域の一つには前記導入開口はなく、その余の三つの領域にそれぞれ一つずつ前記導入開口を形成させてなる、ものとした。
【0006】
かかる構成によれば、断面を多角形とする鉛筆については、これに倣った穴輪郭形状を備えた導入開口が挿入穴に連通する位置に回転操作体を回転させることで、導入開口によって前記回転刃のトルクによって鉛筆が連れ回りしないようにすることができる。また、三つ以上の導入開口は穴輪郭形状を異ならせることから、断面を多角形とする複数種類の鉛筆をそれぞれ、これに倣った穴輪郭形状を備えた導入開口が挿入穴に連通する位置に回転操作体を回転させることで、導入開口によって前記回転刃のトルクによって鉛筆が連れ回りしないようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、鉛筆削りにおいて、鉛筆を削っているときに、鉛筆削り内蔵の回転刃のトルクによって削られている鉛筆が連れ回りしないようにする構成を、合理的かつ外観性良く、鉛筆削りに備えさせることができる。また、断面を異ならせる三種類以上の種類の鉛筆をそれぞれ前記トルクによって連れ回りしないようにする構成を、鉛筆削りに備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の一実施の形態に係る電動鉛筆削りの斜視図である。
図2図2は、前記電動鉛筆削りの斜視図であり、断面を円形とする鉛筆の切削状態を示している。
図3図3は、前記電動鉛筆削りを構成する回転操作体の斜視図である。
図4図4は、前記電動鉛筆削りを構成する回転操作体の斜視図である。
図5図5は、前記電動鉛筆削りのケーシング側から前記回転操作体を取り外した状態を示した斜視図である。
図6図6は、図5におけるA-A線位置での断面図である。
図7図7は、図5の状態の前記電動鉛筆削りの要部破断側面構成図である。
図8図8は、前記電動鉛筆削りの要部破断側面構成図であり、断面を円形とする鉛筆の切削状態を示している。
図9図9は、前記電動鉛筆削りを図7と反対の側から見て示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図9に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0012】
この実施の形態にかかる鉛筆削りは、回転刃2aを内蔵しており、後述の導入開口6hと挿入穴3とを通じて差し込まれる鉛筆Pの一端部を前記回転刃2aによって切削するようにしたものである。
【0013】
図示の例では、前記回転刃2aは、後述の切削手段2の一部をなし、後述のベース2bの回転に伴って差し込まれた鉛筆Pの一端部の回りを自転しながら公転してこの一端部を切削するようになっている。
【0014】
図示の例では、前記回転刃2aは、内蔵モータ12によって駆動されるようになっている。すなわち、図示の例では、鉛筆削りは電動である。図示は省略するが、前記回転刃2aは鉛筆削りに備えたハンドルを手動で回すことで前記のように鉛筆Pの一端部の回りを自転しながら公転してこの一端部を切削するようにしてあっても良い。すなわち、この発明における鉛筆削りには電動のものと手動のものの双方が含まれる。
【0015】
鉛筆削りを電動とした場合、内蔵モータ12への給電は、電源コードを通じた商用電源によって行なうようにしても、後述のケーシング1に内蔵した乾電池や蓄電池によって行なうようにしても、構わない。また、図9に示されるように、内蔵モータ12への給電は、ケーシング1に備えさせたUSBコネクタなどの雌側コネクタ13を通じて行うようにしても構わない。
【0016】
図1中符号1は鉛筆削りの外殻を構成するケーシングである。ケーシング1は、実質的に、6面体状を呈している。
【0017】
図示の例では、鉛筆削りは、上方から鉛筆Pを差し込む構造となっている。すなわち、図示の例では、ケーシング1の上面1a側に鉛筆Pの挿入穴3が形成されている。図1中、符号1bはケーシング1の底面、符号1c及び1d はケーシング1の側面を示している。ケーシング1の上面1aは図1における左右方向に長い長方形状を呈している。鉛筆Pの挿入穴3は、ケーシング1の上面1a側の長さ方向中程の位置に備えられている。図中符号4はケーシング1の主体部、符号5は削りくずの貯留部を示しており、後述の切削手段2による鉛筆Pの切削により生じた削りくずは、前記貯留部5内に案内されて貯め込まれ、この貯留部5を構成するケーシング1の上面1aを構成するカバー5aを取り外すことで捨てるようになっている。
【0018】
前記ケーシング1の外側に、回転操作可能に回転操作体6が取り付けられている。図示の例では、回転操作体6は、ケーシング1の上面1aに備えられている。
【0019】
図示の例では、回転操作体6は、ケーシング1の上面1aの幅寸法内に納まる外径を持った円板部6aと、この円板部6aの外径と実質的に等しい外径を備えた短寸の円筒状をなすリング部6bとを備えている。リング部6bの筒一端6cを塞ぐようにリング部6bと円板部6aとが一体化されている。リング部6bの筒他端6dには、外鍔6eが形成されている。
【0020】
ケーシング1の上面1aには、回転操作体6の受容部7が形成されている。図示の例では、受容部7は、回転操作体6の円板部6aの外径と実質的に等しい内径を備えた円形の凹み7a内に、リング部6bの内径と実質的に等しい外径を備えた円形の隆起部7cを形成させた形態となっている。前記円形の凹み7aを構成する凹み側周回壁7bと、前記隆起部7cを構成する隆起部側周回壁7dとの間には、リング部6bを納める溝幅を持った周回溝7eが形成されている。
【0021】
凹み側周回壁7bには、隆起部7cの中心xa(図5参照)を巡る方向において、隣り合う係合片7gとの間に間隔を開けて複数の係合片7gが形成されている。図示の例では、係合片7gは三箇所に備えられている。係合片7gは、前記凹み側周回壁7bを上下に割欠く一対の割溝7iと、この一対の割溝7iの下端間に亘る連通溝7j(図6参照)とによって区分された前記凹み側周回壁7bの一部によって構成されている。係合片7gの下端には隆起部側周回壁7dに向けて突き出す爪部7hが形成されている。
【0022】
図示の例では、前記回転操作体6を、前記リング部6bの筒他端6dを先にしてこのリング部6bを受容部7の周回溝7eに入れ込むと、リング部6bの筒他端6dに形成された外鍔6eが係合片7gの爪部7hに当たり、係合片7gが弾性変形され、この弾性変形により周回溝7eの底7fにリング部6bの筒他端6dが突き当たる位置までリング部6bを受容部7の周回溝7eに入れ込むことができるようになっている。周回溝7eの底7fにリング部6bの筒他端6dが突き当たる位置までリング部6bが受容部7の周回溝7eに入れ込まれると、係合片7gが弾性復帰して前記外鍔6eに爪部7hが引っかかる。これにより、回転操作体6は、前記受容部7の隆起部7cの中心xaを回転の中心xb(図1参照)とするように、ケーシング1に回転操作可能に取り付けられている。
【0023】
また、図示の例では、回転操作体6のリング部6bには、前記回転の中心xbを巡る方向において隣り合う弾性片6fとの間に間隔を開けて複数の弾性片6fが備えられている。各弾性片6fは、リング部6bの筒他端6dから上方に延びる一対の割溝6gによって区分されたリング部6bの一部から構成されている。図示の例では、この弾性片6fにおける外鍔6eが、ケーシング1に回転可能に回転操作体6とを組み合わせた状態において、前記凹み側周回壁7bに弾性的に押しつけられて、回転操作体6をぶれなく、また、ガタつきなく、回転操作できるようにしている。
【0024】
ケーシング1の挿入穴3は、前記受容部7における隆起部7cにおいて開放されてケーシング1の内部と外部とを連通させている。図示の例では、ケーシング1の挿入穴3は、隆起部7cの中心xaに対し偏心した位置に形成されている。より具体的には、図示の例では、ケーシング1の挿入穴3は、ケーシング1の長さ方向に沿った直線であって前記隆起部7cの中心xaを通ってケーシング1の上面1aを二分する直線y(図5参照)上に挿入穴3の中心を位置させると共に、隆起部7cの中心xaよりも前記貯留部5側に設けられている。ケーシング1の挿入穴3は、穴輪郭形状を円形としている。
【0025】
一方、回転操作体6は、前記回転の中心xbを周回する方向において隣り合う鉛筆Pの導入開口6hとの間に間隔を開けて三つ以上の鉛筆Pの導入開口6hを備えている。また、前記回転操作体6の各前記導入開口6hはその穴輪郭形状を他の前記導入開口6hの穴輪郭形状と異ならせていると共に、前記導入開口6hのいずれか一つを前記挿入穴3に連通させた前記回転操作体6の回転位置において前記導入開口6hと前記挿入穴3とを通じて前記ベース2bに前記鉛筆Pの一端部を受容可能としている(図1図2図8参照)。
【0026】
図示の例では、回転操作体6には、その回転の中心xbを周回する方向において、90度間隔で三つの導入開口6hが形成されている。
【0027】
この実施の形態にあっては、前記回転操作体6の前記導入開口6hの一つを、断面円形状の鉛筆Pの断面形状に倣った穴輪郭形状とし、
前記回転操作体6の前記導入開口6hの他の一つを、断面三角形状の鉛筆Pの断面形状に倣った穴輪郭形状とし、
前記回転操作体6の前記導入開口6hのさらに他の一つを、断面六角形状の鉛筆Pの断面形状に倣った穴輪郭形状としている。
【0028】
この結果、この実施の形態にあっては、断面を多角形とする鉛筆Pについては、これに倣った穴輪郭形状を備えた導入開口6hが挿入穴3に連通する位置に回転操作体6を回転させることで、導入開口6hによって前記回転刃2aのトルクによって鉛筆Pが連れ回りしないようにすることができる。また、三つ(以上)の導入開口6hは穴輪郭形状を異ならせることから、断面を多角形とする複数種類の鉛筆Pをそれぞれ、これに倣った穴輪郭形状を備えた導入開口6hが挿入穴3に連通する位置に回転操作体6を回転させることで、導入開口6hによって前記回転刃2aのトルクによって鉛筆Pが連れ回りしないようにすることができる。
【0029】
この実施の形態にあっては、断面三角形状の鉛筆P(鉛筆Pの長さ方向に直交する向きの断面を三角形状とする鉛筆P)に対しては、この鉛筆Pの断面形状に倣い且つこの鉛筆Pの太さと実質的に等しい大きさの穴輪郭形状を三角形とする導入開口6haを挿入穴3に連通させることで、この鉛筆Pの前記連れ回りを抑止できる。また、断面六角形状の鉛筆P(鉛筆Pの長さ方向に直交する向きの断面を六角形状とする鉛筆P)に対しては、この鉛筆Pの断面形状に倣い且つこの鉛筆Pの太さと実質的に等しい大きさの穴輪郭形状を六角形とする導入開口6hbを挿入穴3に連通させることで、この鉛筆Pの前記連れ回りを抑止できる。さらに、断面円形状の鉛筆P(鉛筆Pの長さ方向に直交する向きの断面を円形状とする鉛筆P)に対しては、この鉛筆Pの断面形状に倣い且つこの鉛筆Pの太さと実質的に等しい大きさの穴輪郭形状を円形とする導入開口6hcを挿入穴3に連通させることで、この鉛筆Pを前記回転刃2aによって削ることができる。
【0030】
導入開口6hは、その穴輪郭形状を円形とする場合は、導入開口6hの直径は挿入穴3の直径と等しいか、やや小さくしておく。また、導入開口6hは、その穴輪郭形状が多角形形とするの場合は、この多角形が内接する仮想の円(図示は省略する。)の直径を挿入穴3の直径と等しいか、やや小さくしておく。
【0031】
前記回転刃2aは、前記ケーシング1内にあって、前記ケーシング1内に回転可能に支持されると共に前記挿入穴3を通じて差し込まれる前記鉛筆Pの一端部を受容するベース2bに回転可能に支持されている。それと共に、前記回転刃2aは、前記ベース2bの回転に伴って回転して前記ベース2bに受容された前記鉛筆Pの一端部に対し切削を施すようになっている。前記ベース2bと前記回転刃2aとから切削手段2が構成されている。
【0032】
前記ベース2bは、前記挿入穴3の中心を通る上下方向に沿った仮想の直線z(図7参照)を回転中心とするように前記ケーシング1側に支持されている。ベース2bの上端には鉛筆Pの受容空間2cへの導入口2dが形成されており、この導入口2dは前記挿入穴3の下方に位置される。前記受容空間2cの内奥部は下方に向かうに連れて断面積を小さくする円錐状空間となっている。前記回転刃2aは、その周面の一部を前記受容空間2cに臨ませている。前記回転刃2aは、その回転軸を前記受容空間2cの傾斜周面の傾斜に実質的に沿わせるようにして前記ベース2bに回転可能に支持されている。前記回転刃2aの上端部には、前記ケーシング1側に形成された内歯車8にかみ合うギア部2eが付設されており、ベース2bが回転すると、前記回転刃2aは自転しながら受容空間2cに差し込まれた鉛筆Pの一端部の回りを巡るように公転し、これにより、受容空間2cに差し込まれた鉛筆Pの一端部の切削がなされるようになっている。前記回転刃2aの周面には、その回転軸を巡る螺旋に沿ったリブ状をなす刃体2fが形成されている。なお、図7中、符号9は内蔵モータ12の駆動軸に備えられた駆動側ギア、符号11は、駆動側ギア9の駆動力をベース2bの上端に備えられたベース側ギア10に伝達する伝達ギアの一部を示している。
【0033】
また、この実施の形態にあっては、前記回転操作体6における隣り合う前記導入開口6h間に滑り止め突起6iが形成されている。
【0034】
図示の例では、かかる滑り止め突起6iは、回転操作体6の回転の中心xbを通る仮想の第一線分L1に沿うよう形成されたリブと、前記回転操作体6の回転の中心xbにおいて前記仮想の線分L1に直交する仮想の第二線分L2に沿うように形成されたリブとによって構成されている。これらの滑り止め突起6iによって、回転操作体6の円板部6aは四つの領域に区分された状態となっており、この四つの領域の一つには前記導入開口6hはなく、その余の三つの領域にはそれぞれ一つずつ前記導入開口6hが形成されている。この導入開口6hのない領域がケーシング1の挿入穴3上に位置する位置に回転操作体6を位置づけておけば、挿入穴3を閉鎖してケーシング1内に鉛筆Pを差し込むことができない状態を作り出すことができる。
【0035】
図示の例では、回転操作体6の円板部6aは、その回転の中心xbを頂部としたドーム状を呈していると共に、前記頂部はケーシング1の上面1aと実質的に同面上に位置し、この頂部から円板部6aの外縁に近づくに連れて円板部6aの上面とケーシング1の上面1aとの間の距離が漸増するようになっている。また、これに対応して、受容部7の隆起部7cもドーム状を呈している(図7参照)。前記滑り止め突起6iは、回転操作体6の回転の中心xbとの間に間隔を開けた位置から始まり回転操作体6の円板部6aの外縁に至るように形成されている。また、前記滑り止め突起6iの円板部6aの上面1aからの突き出し寸法及び幅寸法は、円板部6aの外縁に近づくに連れて漸増するようになっている。
【0036】
かかる回転操作体6の滑り止め突起6iによって、回転操作体6に指を押しつけての回転操作を容易に行うことができるようになっている。
【0037】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施形態を含むものである。
【符号の説明】
【0038】
P 鉛筆
xb 回転の中心
1 ケーシング
3 挿入穴
6 回転操作体
6h 導入開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9