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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 17/06 20060101AFI20230626BHJP
   A01D 51/00 20060101ALI20230626BHJP
   A01D 17/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
A01D17/06
A01D51/00
A01D17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020037065
(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公開番号】P2021136915
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】小畑 真人
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-138461(JP,A)
【文献】特開2017-131187(JP,A)
【文献】実開平06-084807(JP,U)
【文献】特開2010-284112(JP,A)
【文献】実開平01-098523(JP,U)
【文献】特開2017-178610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 17/06
A01D 51/00
A01D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を搬送する搬送部と、
前記搬送部を支持する支持体と、
前記支持体を被固定部に固定するために用いる固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記搬送部によって搬送されてきた異物が接触する噛み込み防止用の接触部を有する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
固定部材の接触部は、搬送部の搬送方向に対して傾斜した傾斜方向に沿って位置する
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
固定部材の接触部は、搬送部の搬送方向に対して傾斜した傾斜方向に沿って位置する長手状の接触面である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の収穫機。
【請求項4】
固定部材は、複数のねじ孔を有する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の収穫機。
【請求項5】
固定部材は、被固定部に溶接固定されている
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物の噛み込みを防止できる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。この従来の収穫機は、収穫物を搬送する搬送部と、この搬送部を下方から支持する支持体とを備えている。そして、例えば図11に示すように、搬送部1を下方から支持する回転可能な支持体(ローラ体)2は、側板3に溶接固定された4つのナット4と、当該ナット4に螺合された4つのボルト5とで側板3に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-344815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の収穫機では、例えば圃場の土中に存在していた石等の異物Aが図11の如く搬送部1によって搬送されてきた場合には、搬送部1の搬送部材(搬送バー)6とナット(溶接ナット)4との間で異物Aを噛み込んでしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、異物の噛み込みを防止できる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の収穫機は、収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送されてきた異物が接触する噛み込み防止用の接触部を有する固定部材とを備えるものである。
【0007】
請求項2記載の収穫機は、収穫物を搬送する搬送部と、前記搬送部を支持する支持体と、前記支持体を被固定部に固定するために用いる固定部材とを備え、前記固定部材は、前記搬送部によって搬送されてきた異物が接触する噛み込み防止用の接触部を有するものである。
【0008】
請求項3記載の収穫機は、請求項1又は2記載の収穫機において、固定部材の接触部は、搬送部の搬送方向に対して傾斜した傾斜方向に沿って位置するものである。
【0009】
請求項4記載の収穫機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の収穫機において、固定部材の接触部は、搬送部の搬送方向に対して傾斜した傾斜方向に沿って位置する長手状の接触面であるものである。
【0010】
請求項5記載の収穫機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の収穫機において、固定部材は、複数のねじ孔を有するものである。
【0011】
請求項6記載の収穫機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の収穫機において、固定部材は、被固定部に溶接固定されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異物の噛み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の側面図である。
図2】同上収穫機の平面図である。
図3】同上収穫機の斜視図である。
図4】同上収穫機の部分斜視図である。
図5】同上収穫機の部分側面図である。
図6】同上収穫機の部分平面図である。
図7】同上収穫機の部分断面図である。
図8】同上収穫機が備える固定部材(石避け板)を示す図である。
図9】同上収穫機が備える振動手段を示す図である。
図10】固定手段の変形例を示す図である。
図11】従来の収穫機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3において、11は農作業機である収穫機で、この収穫機11は、圃場の収穫物(農作物)Wの収穫作業を行うための小型の自走式収穫装置である。収穫対象である収穫物Wは、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物Wは、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
【0016】
収穫機11は、機枠12に設置された駆動源であるエンジン13と、このエンジン13からの動力に基づいて作動する走行手段であるクローラ14と、同じくエンジン13からの動力に基づいて作動する搬送手段であるコンベヤ15と、このコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるための振動手段17とを備えている。
【0017】
コンベヤ15の前側部分15aは、伸縮駆動手段であるシリンダ21の伸縮に基づいて回動支点22を中心として後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。この前側部分15aには、掘取刃23及び左右のゲージ輪24が設けられている。ゲージ輪24の高さ位置は、調整ハンドル25によって調整可能である。
【0018】
また、収穫機11は、作業者が座る左右の座席26と、この各座席26の近傍に設けられたステップ27と、左側の座席26に座った作業者が操作可能な操作手段28と、コンテナ(収穫物Wが収納される容器)が載置される前コンテナ台29及び後コンテナ台30とを備えている。
【0019】
コンベヤ15は、前端部に位置する掘取体である掘取刃23によって圃場の土中から掘り取られた収穫物Wを、搬送部16によって斜め上後方に向けて搬送する搬送装置(収穫物搬送手段)である。つまり、コンベヤ15は、このコンベヤ15上に収穫物Wとともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う搬送バー43間の間隙)20から落下させながら収穫物Wを斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部16を有している。なお、圃場の土中に存在していた石等の異物Aが収穫物Wに混ざって搬送部16により搬送される場合がある。
【0020】
搬送部16は、前側の従動ローラ31及び後側の駆動ローラ32に巻き掛けられ、この駆動ローラ32の駆動回転により所定方向に回行する。この搬送部16は、複数の土落下開口20から土を落下させながら収穫物Wを搬送する往路面部33を上側に有し、この往路面部(往路面部のうちのベルト部分)33がローラ体(支持体)35と固定ガイド体36とによって下方から支持されている。
【0021】
また、搬送部16は、所定方向に回行する左右一対の帯状の無端部材である無端ベルト(ベルト部分)41と、これら両無端ベルト41間に架設され、当該無端ベルト41とともに回行して収穫物Wを搬送方向に搬送する左右方向長手状の複数本の搬送部材である搬送バー(コンベヤバー)43とを有している。搬送方向に互いに隣り合う搬送バー43間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口20が存在する。
【0022】
複数本の搬送バー43は、例えば互いに形状等が異なって最下位置(振動ローラとの当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる3種類の搬送バー43a,43b,43cによって構成されており、そのうちの1種類の搬送バー43(43a)が立上りコンベヤバーである。つまり、この搬送バー43(43a)は、他の搬送バー43(43b,43c)よりも上方に位置して収穫物Wの転がりを防止する上方突出状の転がり防止部(立上り部)44を有している。
【0023】
また一方、左右のローラ体35は、所定方向に従動回転しながら搬送部16の無端ベルト41の中間部分を下方から支持する中間従動ローラ体である。そして、図4ないし図7に示すように、ローラ体35は、細長板状の固定部材51を含む固定手段50によって、被固定部である側板(コンベヤ側板)46に固定されている。なお、側板46は、搬送部16の左右側方に近接して立設されている。
【0024】
ローラ体35を側板46に固定するための固定手段50は、複数、例えば2つのねじ孔55が形成された1つの固定部材(石避け板)51と、2つのナット(溶接ナット)52と、4つのボルト(皿ボルト)53とを有している。なお、固定部材51及びナット52は側板46の内面の所定部分に溶接固定されており、固定部材51は側板46に形成された円形状の取付用孔56の上方側(上方近傍部分)に固定され、ナット52は当該取付用孔56の下方側(下方近傍部分)に固定されている。左右の各側板46には4つのボルト用孔57が当該取付用孔56の周囲に位置するように形成されている。
【0025】
ローラ体35は、固定手段50によって取付板部66が側板46に固定されたローラ取付部材61と、このローラ取付部材61の軸部67にベアリング64を介して回転可能に取り付けられ、無端ベルト41を下方から支持する円筒状のローラ部材(ガイドローラである従動ローラ)62と、ローラ取付部材61の軸部67の先端側を覆うカバー部材63とを有している。ローラ取付部材61の取付板部66は、例えば略正方形状に形成され、この取付板部66の4つの角部付近には截頭円錐状のボルト用孔69が形成されている。
【0026】
そして、上側の2本のボルト53は、取付板部66のボルト用孔69及び側板46のボルト用孔57に挿入されて固定部材51のねじ孔(螺合孔)55に螺合され、また、下側の2本のボルト53は、取付板部66のボルト用孔69及び側板46のボルト用孔57に挿入されて下側のナット52のねじ孔(螺合孔)52aに螺合されている。こうして、固定手段50によってローラ体35が側板46に固定されている。
【0027】
ここで、細長板状の固定部材(石避け板)51は、異物Aの噛み込み防止機能を兼ね備えたもので、搬送部16によって搬送されてきた石等の異物Aが接触し、この接触した異物Aを上方側(斜め上後方)に案内して逃す噛み込み防止用の接触部である接触面71を上面前側に有し、かつ、この接触面71の後端に連続した円弧面72を上面後側に有している。なお、上方へ凸の円弧状をなす円弧面72は、側面視でローラ体35の中心点(取付用孔56の中心点)Pを中心とする半径Rの円周上に位置する(図5参照)。
【0028】
固定部材51の接触面71は、搬送部16の搬送方向に対して所定角度αをもって上方側に傾斜した傾斜方向に沿って位置する幅細の長手状でかつ平面状の傾斜面である。搬送部16の搬送方向に対する接触面71の傾斜角度である所定角度αは、90度よりも小さい鋭角で、例えば15度~45度、好ましくは30度である。また、接触面71の傾斜方向に沿った長さ寸法Lは、例えば5cm~12cm、好ましくは6cmである(図8参照)。なお、固定部材51の板厚寸法は、ナット52の高さ寸法と同じ(略同じを含む)で、例えば6mmである。
【0029】
また、図5に示すように、側面視で接触面71は搬送部16の無端ベルト41と重なっており、接触面71の前端は無端ベルト41の上面41aよりも下方に位置し、接触面71の後端は搬送バー43(43a)の上端の軌跡線Sの近傍(軌跡線Sと同じかそれよりも上方の位置でもよい)に位置している。
【0030】
なお、上述したように搬送方向に対して傾斜した接触面71の傾斜角度(所定角度α)は鋭角であるが、これを言い換えると、図5に示す接触面71と無端ベルト41の上面41aとがなす角度βは、90度よりも大きい鈍角(例えば150度)となる。
【0031】
さらに、固定部材51には前後2つのねじ孔55が形成されているが、前側のねじ孔55は固定部材51の長手方向中央部付近に形成され、後側のねじ孔55は固定部材51の後端部に形成されている。
【0032】
また一方、振動手段17は、土を振るい落とすためにコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるためのコンベヤ振動装置である。そして、この振動手段17は、少なくとも3つの状態、すなわち例えば搬送部16を第1振動強さ(振幅「20mm」及び振幅「9mm」を有する振動強さ)で振動させる第1振動入状態(振動「強」状態)と、搬送部16を第1振動強さよりも弱い第2振動強さ(振幅「8.2mm」を有する振動強さ)で振動させる第2振動入状態(振動「弱」状態)と、搬送部16に振動を付与しない振動切状態(振動「切」状態)とに選択的に切換可能となっている。
【0033】
ここで、図9に示すように、振動手段17は、振動入状態時(第1振動入状態時、第2振動入状態時)に搬送部16の搬送バー43との当接に基づいて搬送部16に振動を付与する上下動可能な左右の振動付与体である振動ローラ101と、振動切状態時に振動ローラ101が搬送部16の搬送バー43に当接しないように搬送部16の無端ベルト41を摺動可能に支持する上下動可能な板状の左右の支持体である支持ガイド102とを有している。
【0034】
また、振動手段17は、この振動手段17の状態を3つの状態のうち選択したいずれか一の状態に切り換えるための回動可能な操作体である操作レバー103を有し、振動ローラ101及び支持ガイド102はその操作レバー103の回動操作に基づく上下動により振動手段17の状態に対応する所定位置に同時に設定される。すなわち、操作レバー103をロックピン104で第1振動入位置に固定することで振動手段17が第1振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で第2振動入位置に固定することで振動手段17が第2振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で振動切位置に固定することで振動手段17が振動切状態にそれぞれ切り換えられる。
【0035】
操作レバー103は、板状のレバー本体部106と、このレバー本体部106に固着されたコ字状枠部107とを有している。L字状のロックピン104は、レバー本体部106のピン用孔108及びコ字状枠部107のピン用孔109に挿入されている。また、ロックピン104のうちコ字状枠部107内に位置する部分には、切換プレート110の孔(第1振動入位置用孔111、第2振動入位置用孔112、振動切位置用孔113)に向けてロックピン104を付勢する付勢部材であるバネ115が装着されている。
【0036】
切換プレート110は、コンベヤ15の前側部分15aの左側の側板46に固着されている。切換プレート110の前後側には、操作レバー103との当接により当該操作レバー103の回動を規制するストッパ117,118が突設されている。それゆえ、操作レバー103の回動範囲は、前後のストッパ117,118によって制限されている。
【0037】
さらに、振動手段17は、互いに離間対向する左右の側板46間に回動可能に架設された回動軸121を有し、この回動軸121の左側の端部に操作レバー103のレバー本体部106の基端部が固着されている。また、左右の両側板(前コンベヤ枠)46は、連結パイプ120によって連結されている。
【0038】
回動軸121の2箇所には取付板122の基端側が固着され、この取付板122の先端側には円筒状の回転体である振動ローラ101がベアリング100を介して回転可能に取り付けられている。また、回動軸121のうち取付板122よりも外側に位置する部分には、回動体である支持ガイド(ベルト支持ガイド板)102を支持する支持板123が固着されている。それゆえ、操作レバー103の操作による回動軸121の回動に基づいて、振動ローラ101と支持ガイド102とが互いに連動して上下方向に回動する。
【0039】
支持ガイド102は、コンベヤ15の前側部分15aの側板46に固定された支軸部(回動支点)124を中心として後端側が昇降するように上下方向に回動可能となっている。換言すると、支持ガイド102は、前端側の回動支点を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0040】
この支持ガイド102は、1箇所で曲がったへ字状をなす細長板状のガイド本体部126と、このガイド本体部126の前端部に設けられた取付部127と、ガイド本体部126の下面に突設された突出板部128とを有している。そして、取付部127が支軸部124に回動可能に取り付けられ、かつ、ガイド本体部126の下面が支持板123の湾曲状の上端部である支持部130で支持されている。
【0041】
なお、振動ローラ101及び支持ガイド102は、左右の側板46間でかつコンベヤ15の搬送部16の往路面及び復路面間の位置に配置されているが、操作レバー103は、作業者がコンベヤ15の側方から容易に操作できるように左側の側板46よりも外側の位置に配置されている。
【0042】
次に、上述した収穫機11の作用等を説明する。
【0043】
圃場においてクローラ14の作動により収穫機11を前方(図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の土中の収穫物Wは掘取刃23によって圃場の土中から掘り取られ、この掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ15の搬送部16によって搬送方向に向かって搬送され、この搬送途中で座席26に座った作業者の手作業によりコンテナ内に収納される。
【0044】
この作業時に、例えば図5図6の如く、コンベヤ15の側板46の内面近傍位置において、圃場の土中に存在していた石等の異物Aがコンベヤ15の搬送部16により搬送方向に搬送されてきた場合には、その異物Aは、固定部材51の接触面71に接触(当接)して当該接触面71に沿って斜め上後方に摺動移動する。
【0045】
その結果、異物Aが搬送バー43(43a)の転がり防止部44と固定部材51との間で挟まれることがなく、これら搬送バー43(43a)と固定部材51との間で異物Aの噛み込みは発生しない。
【0046】
そして、このような収穫機11によれば、収穫物Wを搬送する搬送部16と、この搬送部16を下方から支持するローラ体35と、このローラ体35を側板46に固定するために用いる固定部材51とを備え、この固定部材51は異物Aが接触(摺接)する前低後高の傾斜状の噛み込み防止用の接触面(案内面)71を有するため、異物Aの噛み込みを防止できる。よって、例えば異物Aの噛み込みによる搬送バー43や無端ベルト41等の損傷防止を図ることでき、また、収穫物Wが噛み込みにより傷付くこともない。
【0047】
また、固定部材51の接触面71は、搬送部16の搬送方向に対して傾斜した傾斜方向に沿って位置する長手状の傾斜面であるから、当該接触面71で異物Aを上方側に案内して逃すことができるため、異物Aの噛み込みを適切に防止できる。
【0048】
さらに、固定手段50の固定部材51には、ボルト53を螺合可能な複数のねじ孔55が形成されているため、固定手段50の部品点数を少なくでき、側板46への溶接固定の作業も軽減される。
【0049】
また、細長板状の固定部材51は、側板46のうち取付用孔56の上方近傍部分に当該取付用孔56の外周に沿って位置するように溶接固定されているため、側板46の当該部分の強度向上を図ることができる。
【0050】
なお、固定部材51の接触面71は、傾斜方向に沿った平面には限定されず、例えば上方に凸又は下方に凸の円弧状をなす曲面でもよい。
【0051】
また、固定部材51は、2つのねじ孔55を有するものには限定されず、例えば1つ或いは3つ以上のねじ孔を有するものでもよく、またねじ孔を有しない板状または棒状等の固定部材(噛み込み防止用の接触部を有する部材)を側板の内面の所定部分(例えば上側の溶接ナットの前方位置)に溶接固定した構成等でもよい。
【0052】
さらに、下側のナット52の個数は、2個には限定されず、1個でもよく、また、例えば図10の如くナット(六角溶接ナット)を用いない固定手段50でローラ体35を側板46に固定するようにしてもよい。この図10に示す固定手段50は、ねじ孔55が形成された上側の固定部材(接触面71を有する長板状ナット)51と、ねじ孔55が形成された下側の固定部材(接触面71を有しない長板状ナット)60と、これら固定部材51,60のねじ孔55に螺合可能な4つのボルト53とを有している。
【符号の説明】
【0053】
11 収穫機
16 搬送部
35 支持体であるローラ体
46 被固定部である側板
51 固定部材
55 ねじ孔
71 接触部である接触面
W 収穫物
A 異物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11