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特許7301434体内の管に巻き付けるための電極装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】体内の管に巻き付けるための電極装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022513670
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 KR2020011484
(87)【国際公開番号】W WO2021040431
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0106495
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0108605
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522076206
【氏名又は名称】ディープキュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン ウック
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ジン ハン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ドゥ ジン
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0224326(US,A1)
【文献】特表2010-506685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064485(US,A1)
【文献】特開2006-51286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の管に巻き付けるための電極装置において、
前記管の周囲に巻き付けられ、前記管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極部と、
前記電極部の移動をガイドするガイド部とを含み、
前記電極部は、
前記電極部が前記管の周囲において巻き付けられるように曲がる第1のレイヤと、
前記第1のレイヤ上に配置され、前記電極部が前記管に密着して巻き付けられるように曲がる第2のレイヤと、
前記第2のレイヤ上に配置され、エネルギーソース生成器からのエネルギーを利用して前記管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極と
を含
前記第1のレイヤ及び前記第2のレイヤは、一端のみで固定されて連結されており、
前記第2のレイヤが前記管に接触したとき、前記第1のレイヤ及び前記第2のレイヤの隣接する面が互いに離隔する、電極装置。
【請求項2】
前記第1のレイヤの少なくとも一部は、形状記憶合金からなる、請求項1に記載の電極装置。
【請求項3】
前記形状記憶合金は、第1の変態温度以上において第1の曲率で曲がり、第2の変態温度以上において第2の曲率で曲がるように形成される、請求項2に記載の電極装置。
【請求項4】
前記第1のレイヤは、体温によって前記第1の変態温度に加熱されることにより、前記管の周囲において前記第1の曲率で曲がる、請求項3に記載の電極装置。
【請求項5】
前記第1のレイヤは、前記エネルギーソース生成器からのエネルギーによって前記第2の変態温度に加熱されることにより、前記管の周囲において前記第2の曲率で曲がる、請求項3に記載の電極装置。
【請求項6】
前記第2の曲率は、前記第1の曲率よりも小さい、請求項3に記載の電極装置。
【請求項7】
前記第1の変態温度は、35℃~40℃であり、前記第2の変態温度は、50℃~60℃である、請求項3に記載の電極装置。
【請求項8】
前記形状記憶合金は、二方向形状記憶合金である、請求項3に記載の電極装置。
【請求項9】
前記二方向形状記憶合金は、第3の変態温度以下において直線状に伸びるように形成される、請求項8に記載の電極装置。
【請求項10】
前記第3の変態温度は、20℃~25℃である、請求項9に記載の電極装置。
【請求項11】
前記第1のレイヤが前記管の周囲に巻き付けられた後、前記第2のレイヤを前記ガイド部側へ引張ることで前記第2のレイヤの直径を前記管の直径と対応するように調節する、請求項に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、体内の管に巻き付けるための電極装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経遮断術は、非正常に過度に活性化された自律神経系を制御するために特定の神経を損傷させる施術のことを言う。例えば、腎臓神経遮断術は、腎臓に向かう腎臓交感神経を損傷させることで高血圧と心臓疾患を治療し、肺神経遮断術は、肺に向かう副交感神経を損傷させることで肺疾患を治療することができる。
【0003】
神経は、通常、血管、気管支などのような管の外壁に巻き付けられており、このような管の外壁に巻き付けられて神経の信号を測定したり、当該神経に電気刺激を伝達したり、様々なエネルギーを伝達して神経を損傷又は破壊させることが必要となることがある。しかし、電極と神経又はその周辺組織との接触が確実になされていない場合、その効率が阻害され得る。よって、神経が巻き付けられている管の直径がそれぞれ異なっているので、管に巻き付けるためには様々な大きさの電極が必要である。例えば、腎動脈で施術を進行する場合、主腎動脈(main renal artery)の直径は5~7mmであって、人によってその大きさが様々あり、位置によって大きさが変わる。また、人によっては管の様々な解剖学的変異があって腎動脈分枝(branched renal artery)と副腎動脈(accessory renal artery)があっても良く、その直径は1~2mmのものも存在する。また、肺で神経遮断術を進行する場合、気管支の直径は吸気時に最大300~400mmまで伸び、呼気時に最小160~200mmまで縮む。
【0004】
従って、施術部位によって毎度大きさの合う電極に変えて適用しなければならないという煩雑さがあり、殆ど類似した大きさでも接触の度合いによって目標する治療効果が著しく違ってくることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、当該技術分野においては、1つの電極にて様々な直径の管に効果的に巻き付けることを可能にするための方案が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した技術的課題を解決するための技術的手段として、本発明の一実施例に係る体内の管に巻き付けるための電極装置は、管の周囲に巻き付けられ、当該管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極部と、当該電極部の移動をガイドするガイド部とを含み、当該電極部は、当該電極部が当該管の周囲において巻き付けられるように曲がる第1のレイヤと、当該第1のレイヤ上に配置され、当該電極部が当該管に密着して巻き付けられるように曲がる第2のレイヤと、当該第2のレイヤ上に配置され、エネルギーソース生成器からのエネルギーを利用して当該管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極とを含んでいても良い。
【0007】
また、本発明の他の実施例に係る管に巻き付ける方法は、当該第1のレイヤが曲がって当該電極部が当該管の周囲に巻き付けられるステップと、当該第2のレイヤが曲がって当該電極部が当該管に密着して巻き付けられるステップと、当該電極がエネルギーソース生成器からのエネルギーを利用して当該管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節するステップとを含んでいても良い。
【0008】
さらに、上記した課題を解決するための手段は、本発明の特徴を全て列挙したものではない。本発明の様々な特徴とそれによる長所及び効果は、以下の具体的な実施形態を参照することでより詳しく理解されるはずである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施例によれば、人体内において神経が分布する様々な直径の管に巻き付けることができ、様々な直径の管において毎度大きさの合う電極に変えることなく、1つの電極のみで柔軟に適用することができ、効果的に電極と神経を接触させることで、意図した神経の信号測定、神経の刺激、神経の損傷や破壊など様々な医学的目的を効果的に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施例に係る電極装置の概路図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極装置を利用して腎動脈に巻き付ける一例を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係る電極部の詳細構成を示す図である。
図4】本発明の一実施例に係る電極部の動作方法を説明するための図である。
図5】本発明の他の実施例に係る電極部の詳細構成を示す図である。
図6】本発明の他の実施例に係る電極部の動作方法を説明するための図である。
図7】本発明の他の実施例に係る電極部の動作方法を説明するための図である。
図8】本発明の他の実施例に係る管に巻き付ける方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるよう望ましい実施例を詳しく説明する。但し、本発明の望ましい実施例を詳しく説明するにおいて、関連した公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を余計に曇らし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。また、類似した機能及び作用をする部分に対しては図面全体に亘って同じ符号を使用する。
【0012】
さらに、明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0013】
本願は、本発明者によって先行出願された米国公開特許US2018/0064485を基に導出されたものであり、後述する本発明の実施例を具現するに際して上記先行出願の内容が引用されることがある。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る電極装置の概路図である。
【0015】
図1を参照すると、本発明の実施例に係る電極装置100は、電極部110と、ガイド部120とを含んでいても良い。電極装置100は、人体内の様々な直径の管10に巻き付けるためのものである。
【0016】
本願において、管とは、血管だけでなく肝動脈、脾動脈、肺動脈のような様々な管及びその神経を意味する。
【0017】
電極装置100は、電極装置100が巻き付ける対象管のイメージを提供する内視鏡のような体内撮影装置をさらに含んでいても良い。例えば、体内撮影装置は、施術者が損傷又は破壊される領域を確認できるようにし、リアルタイムで施術の過程をモニタリングできるようにしても良い。
【0018】
電極部110は、人体内において神経が分布している管の外壁に巻き付けるためのものであり、ガイド部120から出てくる際に自ら巻き付けられても良い。
【0019】
電極部110は、下部から第1のレイヤ(layer)及び第2のレイヤと電極が積層された構造を含んでいても良い。電極部110は、3mm~5mmの幅を有し、0.1T~0.2Tの厚さを有する。
【0020】
ここで、第1のレイヤは、電極部110が管の外壁付近に位置する際、管の外壁に巻き付けられるようにリング状を作っても良い。ところが、これは、単一の構造物でリング状を作るレイヤ構造である必要はなく、複数のリンク構造物など、管の外壁に巻き付けられる如何なる構造物でも可能である。
【0021】
第2のレイヤは、電極の直径を管の直径と同一に調節することで、電極が管により密着して巻き付けられるようにしても良い。第1のレイヤ及び第2のレイヤを管に密着させる方式については、図3乃至図7を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
第2のレイヤは、例えば、電気の通じない絶縁物質であり、所定温度(約40度)以上の温度に耐えられる弾性のある素材又は弾性のない素材からなっていても良い。
【0023】
また、電極は、管の外壁に巻き付けられて神経を遮断(denervation)するか、調節(modulation)するためのものであり、例えば、ステンレススチール、金などのように人体に無害で且つ電気伝導性の良い素材からなっていても良い。あるいは、電極は、管の神経の信号を測定しても良い。
【0024】
電極は、図示しないエネルギーソース生成器からの様々なタイプのエネルギーを伝達しても良い。電極により伝達されるエネルギーは、例えば、高周波エネルギー(radio-frequency(RF) energy)、電気エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー(ultrasonic energy)、集束超音波エネルギー(high-intensity focused ultrasound energy)、極低温エネルギー(cryogenic energy)、及びその他の熱エネルギーを含んでいても良い。
【0025】
ここで、エネルギーは、例えば、第1のレイヤの第2の変態温度である50℃~60℃以上の温度を有する。
【0026】
一実施例によると、電極は、高周波エネルギーを伝達するためのFPCB(Flexible PCB)、超音波エネルギーを伝達するためのトランスデューサ、高電圧エネルギーを伝達するための金属電極などに具現され、神経を損傷させるためのエネルギーを伝達しても良い。
【0027】
また、電極部110には、電極部110の動作を制御するために必要な各種のセンサがさらに備えられても良い。
【0028】
ガイド部120は、上述した電極部110の移動をガイドするためのものである。一例によると、図1に示すように、電極部110の一端がガイド部120の内部に挿入されて電極部110が前後のみに移動し、左右に離脱することを防止、即ち移動の直進性のみを有するようにガイドしても良い。
【0029】
図2は、本発明の一実施例に係る電極装置を利用して腎動脈に巻き付ける一例を示す図である。
【0030】
図2において、緑色部分は腎臓を示し、赤色部分は人体の動脈を示しており、本発明の実施例に係る電極装置を利用して大動脈から伸びた腎動脈に巻き付けている例を示している。
【0031】
図3は、本発明の一実施例に係る電極部の詳細構成を示す図である。
【0032】
図3の(a)に示すように、電極部は、下方から第1のレイヤ111と、第2のレイヤ112と、電極113とが順に積層された構造からなっており、ここで、第1のレイヤ111は、電極部110が管に巻き付けられる場合に外郭に位置し、電極113は管の外壁に密着する。
【0033】
第1のレイヤ111の少なくとも一部は、一方向形状記憶合金、二方向形状記憶合金又はバネ熱処理された弾性体などからなっていても良い。例えば、第1のレイヤ111の少なくとも一部は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、銅(Cu)、鉄(Fe)、鉛(Pb)、炭素(C)、コバルト(Co)、水素(H)、及び酸素(O)のうち少なくとも1つを含むニチノール(Nitinol)からなっていても良い。
【0034】
形状記憶合金とは、変形した金属を特定温度以上に加熱すれば変形前の元の形状に戻る性質を有する合金のことを言う。
【0035】
形状記憶合金は、温度の高い時は立方構造のオーステナイト(austenite)状に存在するが、温度が低くなれば斜方晶構造のマルテンサイト(martensite)状に変わり、このように高温で冷却する際にオーステナイトからマルテンサイトに変わることをマルテンサイト変態と言う。
【0036】
マルテンサイト変態は、変態開始温度(Ms)で始まり、変態終了温度(Mf)で変態が終了するが、このマルテンサイト状態で外力を受ければ、形状記憶合金は他の金属とは異なり原子相互間の相対的位置が変化せずに変形が行われる。
【0037】
その反対に、マルテンサイト状態において、オーステナイト変態開始温度(As)以上に加熱すれば、オーステナイト変態終了温度(Af)で元の形状に戻る。
【0038】
一方、二方向形状記憶合金は、加熱時に元の形状に戻るだけでなく、冷却時にマルテンサイト状の形状に戻り、高温側と低温側の両側の形状を記憶する。
【0039】
本願の一実施例によると、第1のレイヤ111の少なくとも一部である形状記憶合金は、第1の変態温度(オーステナイト変態開始温度)以上において第1の曲率で曲がり、第2の変態温度(オーステナイト変態終了温度)以上において第2の曲率で曲がるように形成されても良い。ここで、第1の変態温度は、体温に当たる35℃~40℃であり、第2の変態温度は、50℃~60℃であっても良い。
【0040】
このとき、第1の曲率は、管の直径よりも大きく、第2の曲率は、管の直径と略類似していても良い。つまり、第1の曲率が第2の曲率よりも大きい。
【0041】
また、第1のレイヤ111の少なくとも一部である形状記憶合金は、第3の変態温度(マルテンサイト変態開始温度)以下において直線状に伸びるように形成されても良い。ここで、第3の変態温度は、20℃~25℃であっても良い。つまり、電極部は、ガイド部の内部において直線状を維持する。
【0042】
このような構成によると、電極部110がガイド部から出て腎動脈付近に挿入されれば、第1のレイヤ111が体温によって第1の変態温度に加熱されることにより、第1のレイヤ111によって電極部110は第1の曲率で巻き付けられる。このとき、電極部110は管に完全には巻き付けられていない。
【0043】
その後、後述するように、電極からのエネルギーが第1のレイヤ111に伝達されると、第1のレイヤ111が第2の変態温度に加熱され、これにより、第1のレイヤ111によって電極部110は第2の曲率で巻き付けられる。つまり、第1のレイヤ111の第2の変態温度は電極からのエネルギーによって到逹する。このとき、電極部110は、管の直径に応じて管に完全に巻き付けられることができる。つまり、管の直径が狭い場合は、管に完全に巻き付けられるが、管の直径が広い場合は、管に完全に巻き付けられない。
【0044】
当該管の施術が終了すると、電極からのエネルギーが第1のレイヤ111に伝達されず、第1のレイヤ111の温度は第1の変態温度に低下する。これにより、電極部110は、第1のレイヤ111によって第2の曲率から第1の曲率へと変形し、施術者は、電極部110を当該管から安全に除去することができる。
【0045】
全ての施術が終了すると、電極部110が体内から除去され、第1のレイヤ111の温度は第3の変態温度に低下する。これにより、電極部110は、第1のレイヤ111によって直線状に伸びる。
【0046】
図3の(a)及び(b)に示すように、第1のレイヤ111と第2のレイヤ112は一端のみが固定して連結されており、隣接する面は互いに付着されておらず、電極113は、第2のレイヤ112の上部面に付着されても良い。
【0047】
本願の一実施例によると、電極部110は、第1のレイヤ111によって管に巻き付けられた状態で第2のレイヤ112をガイド部側へ引張ることで電極113を管の直径に合わせるか、その接触する力を調節しても良い。このとき、第2のレイヤ112をガイド部側へ引張れば、第2のレイヤ112の直径が管の直径と対応するように調節される。
【0048】
電極113は、第2のレイヤ112の上部面に付着されても良い。電極113は、バイポーラ構成を形成するために所定間隔離れて平行に配置された2つの電極113を含んでいても良い。各電極113は、0.5mm~1mmの幅を有し、0.01T~0.1Tの厚さを有する。また、各電極113の間隔は1.5mm~2mmであっても良い。
【0049】
電極113を平行に配置することによって、電極113間の電流経路を局所化することができ、これにより、管に隣接した器官を損傷することなく管の神経を完全に除去することができる。
【0050】
つまり、熱を電極113の間に局所化することによって、効果的で且つ安全に管の神経を除去することができる。
【0051】
また、図3には示されていないが、第2のレイヤ112上の電極113の間に温度センサが備えられても良い。あるいは、第1のレイヤ111上において電極113の間の位置と対応する位置に温度センサが備えられても良い。
【0052】
上述したように、熱が電極113の間に分布されるが、温度センサを電極113の間の位置と対応する位置に配置することによって、電極周辺の温度を正確に測定することができる。
【0053】
図4は、本発明の一実施例に係る電極部の動作方法を説明するための図である。
【0054】
先ず、図4の(a)に示すように、電極部が腎動脈付近に挿入され、電極からのエネルギーが第1のレイヤに伝達されると、第1のレイヤが第1の変態温度を経て第2の変態温度に到逹することで、第2の曲率で管の外壁に巻き付けられる。
【0055】
その後、図4の(b)に示すように、第2のレイヤを後方へ引張れば、第1のレイヤは動かずリング状を維持しつつ、第1のレイヤと第2のレイヤの一端が固定して連結されているので、第2のレイヤの直径が小さくなる。これにより、第2のレイヤの上部面に付着している電極を管の直径に合わせて管の外壁に密着させることができる。
【0056】
図5は、本発明の他の実施例に係る電極部の詳細構成を示す図である。
【0057】
図5に示すように、下方から第1のレイヤ111’と、第2のレイヤ112’と、電極113’とが順に積層された構造からなっており、ここで、第1のレイヤ111’は、電極部110が管に巻き付けられる場合に外郭に位置し、電極113’は管の外壁に密着する。また、図5には示されていないが、第2のレイヤ112’の上部又は電極113’上の任意の地点に各種のセンサが備えられても良い。
【0058】
また、第2のレイヤ112’は、内部に気体又は流体が流動できる内部空間を形成し、第2のレイヤ112’において、第1のレイヤ111’と隣接する一面は第1のレイヤ111’に固定して付着され、隣接する一面に対向する他面は固定されていない。また、電極113’は、第2のレイヤ112’の他面に付着されても良い。
【0059】
図5に示された本発明の第2の実施例に係る電極部110は、管に巻き付けられた状態で気体又は流体などを利用して第2のレイヤ112’の体積を変化させ、電極113’を管の直径に合わせて調節する方式で動作しても良い。そのために、第2のレイヤ112’は、より柔軟で伸び易い素材からなっていても良い。このとき、第2のレイヤ112’の体積を変化させれば、第2のレイヤ112’の直径が管の直径と対応するように調節される。
【0060】
図6及び図7は、本発明の他の実施例に係る電極部の動作方法を説明するための図であって、図6は斜視図であり、図7は側面図である。
【0061】
先ず、図6の(a)及び図7の(a)に示すように、第1のレイヤ111’をリング状に作って管の外壁に巻き付ける。その後、図6の(b)及び図7の(b)に示すように、第2のレイヤ112’の内部空間に気体又は流体を満たして体積を大きくすれば、第2のレイヤ112’の他面の直径が小さくなる。これにより、第2のレイヤ112’の他面に付着している電極113’が管の直径に合わせて管の外壁に密着することができる。
【0062】
図8は、本発明の他の実施例に係る管に巻き付ける方法を示すフローチャートである。
【0063】
図8を参照すると、ステップS810において、第1のレイヤが曲がって電極部が管の周囲に巻き付けられても良い。
【0064】
ステップS820において、第2のレイヤが曲がって電極部が上記管に密着して巻き付けられても良い。
【0065】
ステップS830において、電極がエネルギーソース生成器からのエネルギーを利用して管の少なくとも一部の神経を遮断しても良い。
【0066】
上述した本発明の実施例に係る電極は、神経遮断術に利用できるだけでなく、神経信号を測定するために神経に巻き付ける電極としても活用されることもできる。
【0067】
本発明は、上述した実施例及び添付された図面によって限定されるものではない。本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を超えない範囲内で本発明に係る構成要素を置換、変形及び変更できるということが明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8