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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/12 20060101AFI20230626BHJP
   F16D 3/12 20060101ALI20230626BHJP
   F16D 3/78 20060101ALI20230626BHJP
   F16H 48/08 20060101ALI20230626BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20230626BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20230626BHJP
   B60K 1/00 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B60K17/12
F16D3/12 G
F16D3/78
F16H48/08
H02K5/173 A
H02K5/16 Z
B60K1/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019043240
(22)【出願日】2019-03-10
(65)【公開番号】P2020142773
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(72)【発明者】
【氏名】藤川 真澄
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189192(JP,A)
【文献】実開昭49-12604(JP,U)
【文献】実公昭45-32321(JP,Y1)
【文献】特開2003-127680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/12
F16D 3/12
F16D 3/78
F16H 48/08
H02K 5/173
H02K 5/16
B60K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの下流に接続されたたわみ板継手と、
前記たわみ板継手の下流に接続されたデファレンシャルギアと、
前記デファレンシャルギアの下流に接続されたドライブシャフトと、を有し、
前記モータのロータの内周に前記たわみ板継手の捩り軸が貫通して配置されており、
前記たわみ板継手の捩り軸の内周に前記ドライブシャフトが貫通して配置されており、
前記たわみ板継手のたわみ板は、前記モータの回転軸の軸方向から見て前記モータのステータと重ならず、且つ、前記モータの回転軸の径方向から見て前記モータのステータと重なる位置に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記モータの出力軸を支持する軸受を前記モータのステータの内周に配置することを特徴とする動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トルクリミッタを有する動力伝達装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-221566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トルクリミッタは、モータから過大なトルクが出力された場合に、過大なトルクが駆動輪に伝わることを防いで、動力伝達装置を搭載した車両の運転性に影響を与えないようにするために設けられている。
一方、特許文献1においては、駆動輪側に大きな負荷(スパイクなど)がかかったときに、動力伝達装置(特にモータ、好ましくは一部のギア等も含む)を、大きな負荷から保護することを想定していない。
また、特許文献1の動力伝達装置は、まだまだ小型化の余地がある。
【0005】
スパイクなどの発生などにより、駆動輪側から大きな負荷が入力された場合に、動力伝達装置を保護できるようにすると共に、動力伝達装置を小型化すること、すなわち、動力伝達装置の保護および小型化を両立できる構造を提供することが求められている。
【0006】
2軸タイプおよび1軸タイプの動力伝達装置では、縦方向(重力方向)のサイズダウンが可能であるが、横方向(軸方向)のサイズダウンには課題がある。
例えば、2軸タイプおよび1軸タイプなどに適用可能な動力伝達装置を、軸方向にサイズダウンすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、
モータと、
前記モータの下流に接続されたたわみ板継手と、
前記たわみ板継手の下流に接続されたデファレンシャルギアと、
前記デファレンシャルギアの下流に接続されたドライブシャフトと、を有し、
前記モータのロータの内周に前記たわみ板継手の捩り軸が貫通して配置されており、
前記たわみ板継手の捩り軸の内周に前記ドライブシャフトが貫通して配置されており、
前記たわみ板継手のたわみ板は、前記モータの回転軸の軸方向から見て前記モータのステータと重ならず、且つ、前記モータの回転軸の径方向から見て前記モータのステータと重なる位置に配置されている構成の動力伝達装置とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、横方向(軸方向)にサイズダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態にかかる動力伝達装置を説明する図である。
図2】動力伝達装置のたわみ板継手を説明する図である。
図3】動力伝達装置のたわみ板継手を説明する図である。
図4】動力伝達装置のたわみ板継手を説明する図である。
図5】動力伝達装置の差動装置周りの拡大図である。
図6】比較例にかかる動力伝達装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態にかかる動力伝達装置1を説明する図である。
なお、図1では、たわみ板継手3での連結態様を説明する便宜上、第1たわみ板31が、図2の(b)におけるA-X-A’線に沿って切断された断面で示されると共に、第2たわみ板32が、図3の(b)におけるA-X-A’線に沿って切断された断面で示されるようにしている。図4においても同様である。
そのため、図1では、図2の(b)および図3の(b)との関係を判り易くするために、図2の(b)、図3の(b)で用いた符号A、A'を、回転軸を示す符号Xと共に示している。
図1では、回転軸Xよりも図中上側の領域が、図2の(b)および図3の(b)におけるA-X線に沿った断面であり、回転軸Xよりも図中下側の領域が、図2の(b)および図3の(b)におけるX-A’線に沿った断面である。
【0011】
動力伝達装置1は、モータ2と、モータ2の出力回転を遊星減速ギア5に伝達するたわみ板継手3と、伝達されたモータ2の出力回転を減速して差動装置6に入力する遊星減速ギア5(減速機構)と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、を有している。
【0012】
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、たわみ板継手3と、遊星減速ギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
モータ2の出力回転は、たわみ板継手3を介して遊星減速ギア5に入力される。遊星減速ギア5は、入力された回転を減速して差動装置6に出力する。差動装置6に入力された回転は、ドライブシャフト8(8A、8B)を介して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。図1では、ドライブシャフト8Aが、動力伝達装置1を搭載した車両の左輪に回転伝達可能に接続されていると共に、ドライブシャフト8Bが、右輪に回転伝達可能に接続されている。
【0013】
ここで、たわみ板継手3は、モータ2の下流に接続されており、遊星減速ギア5は、たわみ板継手3の下流に接続されており、差動装置6は、遊星減速ギア5の下流に接続されており、ドライブシャフト8(8A、8B)は、差動装置6の下流に接続されている。
【0014】
本実施形態では、モータハウジング10と、カバー11と、中間カバー12と、ケース13で、動力伝達装置1の本体ケース9を構成している。
そして、モータハウジング10の内径側で、カバー11と中間カバー12との間に形成される空間Saは、モータ2を収容するモータ室となっている。
カバー11と中間カバー12との間に形成される空間Sbは、遊星減速ギア5と差動装置6を収容するギア室となっている。
【0015】
モータ2は、円筒状のモータシャフト20と、モータシャフト20に外挿された円筒状のロータコア21と、ロータコア21の外周を所定間隔で囲むステータコア25とを、有している。
【0016】
モータシャフト20は、後記する捩り軸33に外挿された筒状部材である。捩り軸33は、ドライブシャフト8Bに外挿された筒状部材である。捩り軸33は、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能に設けられている。
モータシャフト20は、捩り軸33に対して相対回転可能に設けられている。モータシャフト20は、ドライブシャフト8Bに対しても相対回転可能である。
【0017】
モータシャフト20では、長手方向の一端20a側と他端20b側の外周に、ベアリングB1、B1が外挿されて固定されている。
【0018】
モータシャフト20の一端20a側は、ベアリングB1を介して、中間カバー12の円筒状のモータ支持部121で回転可能に支持されている。
モータシャフト20の他端20b側は、ベアリングB1を介して、カバー11に固定された円筒状のモータ支持部111で回転可能に支持されている。
【0019】
ロータコア21の外周を所定間隔で囲むモータハウジング10では、回転軸X方向の一端10aと他端10bに、シールリングS、Sが設けられている。モータハウジング10の一端10aは、当該一端10aに設けたシールリングSにより、中間カバー12の環状の基部120に隙間なく接合されている。
モータハウジング10の他端10bは、当該他端10bに設けたシールリングSにより、カバー11の環状の接合部110に隙間なく接合されている。
【0020】
中間カバー12では、基部120とモータ支持部121とが、回転軸X方向で位置をずらして設けられている。
基部120とモータ支持部121とを接続する筒壁部122は、後記するコイルエンド253aの内径側で、回転軸Xに沿う向きに設けられている。
【0021】
本実施形態では、中間カバー12をモータハウジング10の一端10aに固定すると、モータ支持部121が、モータハウジング10の内側に挿入される。
この状態においてモータ支持部121は、後記するコイルエンド253aの内径側で、ロータコア21の一端部21aに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置される。
【0022】
カバー11では、接合部110の内径側にモータ支持部111が位置している。
モータ支持部111は、当該モータ支持部111と一体に形成された筒壁部112を介して、カバー11の側壁部113に固定されている。
【0023】
本実施形態では、カバー11の接合部110をモータハウジング10の他端10bに固定すると、モータ支持部111が、後記するコイルエンド253bの内径側で、ロータコア21の他端部21bに、回転軸X方向の隙間をあけて対向して配置される。
この状態において、モータ支持部111の外周部から延びる筒壁部112は、コイルエンド253bの内径側に位置している。
【0024】
モータハウジング10の内側では、カバー11側のモータ支持部111と、中間カバー12側のモータ支持部121との間に、ロータコア21が配置されている。
【0025】
ロータコア21は、複数の珪素鋼板を積層して形成したものであり、珪素鋼板の各々は、モータシャフト20との相対回転が規制された状態で、モータシャフト20に外挿されている。
モータシャフト20の回転軸X方向から見て、珪素鋼板はリング状を成しており、珪素鋼板の外周側では、図示しないN極とS極の磁石が、回転軸X周りの周方向に交互に設けられている。
【0026】
回転軸X方向におけるロータコア21の一端部21aは、モータシャフト20の大径部203で位置決めされている。ロータコア21の他端部21bは、モータシャフト20に圧入されたストッパ23で位置決めされている。
【0027】
ステータコア25は、複数の電磁鋼板を積層して形成したものであり、電磁鋼板の各々は、モータハウジング10の内周に固定されたリング状のヨーク部251と、ヨーク部251の内周からロータコア21側に突出するティース部252を、有している。
本実施形態では、巻線253を、複数のティース部252に跨がって分布巻きした構成のステータコア25を採用しており、ステータコア25は、回転軸X方向に突出するコイルエンド253a、253bの分だけ、ロータコア21よりも回転軸X方向の長さが長くなっている。
【0028】
なお、ステータコアは、分布巻きした構成のみに限定されない。ロータコア21側に突出する複数のティース部252の各々に、巻線を集中巻きした構成のステータコアを採用しても良い。
【0029】
図2および図3は、動力伝達装置1のたわみ板継手3を説明する図である。
図2の(a)は、たわみ板継手3の第1たわみ板31側の連結態様を説明する図である。
図3の(a)は、たわみ板継手3の第2たわみ板32側の連結態様を説明する図である。
なお、図2の(a)では、第1たわみ板31と、モータシャフト20側の連結部201と、捩り軸33側の第1連結部331と、を回転軸X方向で離間させて示している。図3の(a)では、第2たわみ板32と、遊星減速ギア5側の中空軸50と、捩り軸33側の第2連結部332と、を回転軸X方向で離間させて示している。
図2の(b)は、第1たわみ板31を、モータ2のロータコア21側から見た平面図である。図3の(b)は、第2たわみ板32を、差動装置6側から見た平面図である。
【0030】
図4は、動力伝達装置1のたわみ板継手3周りの拡大図である。図4では、たわみ板継手3での連結態様を説明する便宜上、第1たわみ板31および第2たわみ板32が、図2の(b)、図3の(b)におけるA-X-A’線に沿って切断された断面が示されている。
また、図4では、図2の(b)および図3の(b)との関係を判り易くするために、図2の(b)、図3の(b)で用いた符号A、A'を、回転軸を示す符号Xと共に示している。
そのため、図4では、回転軸Xよりも図中上側の領域が、図2の(b)および図3の(b)におけるA-X線に沿った断面であり、回転軸Xよりも図中下側の領域が、図2の(b)および図3の(b)におけるX-A’線に沿った断面である。
【0031】
図4に示すようにモータシャフト20の他端20b側は、モータ支持部111を貫通して、筒壁部112の内径側に位置している。
【0032】
モータシャフト20の他端20bには、連結部201、201が一体に形成されている。
図2の(a)に示すように、連結部201、201は、円筒状のモータシャフト20外周から、回転軸Xの径方向外側に向けて直線状に延びている。
【0033】
図2の(b)において仮想線で示すように、回転軸X方向から見て連結部201、201は、回転軸X周りの周方向に180°位相をずらして設けられた等幅の部材であり、連結部201、201は、円筒状のモータシャフト20の回転軸Xに直交する直線Lm上に位置している。
【0034】
図2の(a)に示すように、連結部201、201の先端側には、ボルトBの連結孔201a、201aが設けられている。
連結部201、201の先端側では、モータ2とは反対側に面に、連結孔201a、201aを囲むボス部202、202(図4参照)が設けられている。
【0035】
ボス部202、202には、たわみ板継手3の第1たわみ板31が、ボルトBで固定されている。
【0036】
ここで、たわみ板継手3は、第1たわみ板31と、第2たわみ板32と、捩り軸33とを有している。
図4に示すように、第1たわみ板31は、モータシャフト20側の連結部201と、捩り軸33側の第1連結部331と、を回転伝達可能に連結する。
第2たわみ板32は、捩り軸33側の第2連結部332と、遊星減速ギア5側の中空軸50(連結部501)とを回転伝達可能に連結する。
【0037】
捩り軸33では、筒状の基部330の一方の端部に、第1たわみ板31との連結部(第1連結部331)が、相対回転不能に取り付けられており、他方の端部に、第2たわみ板32との連結部(第2連結部332)が、一体に形成されている。
第1連結部331は、基部330の端部330aに外嵌して固定された板状部材である。
図4に示すように、第1連結部331の長手方向の中央部には、端部330aの外周に圧入される貫通孔331aが形成されている。
【0038】
図2の(a)に示すように、回転軸X方向から見て第1連結部331、331は、回転軸Xと直線Lmに直交する直線Ln上に位置している。
【0039】
回転軸X方向から見て第1連結部331、331の先端側には、ボルトBの連結孔331b、331bが設けられている。
第1連結部331の先端側では、モータ2側の面に、連結孔331b、331bを囲むボス部331c、331c(図4参照)が設けられている。
【0040】
ボス部331c、331cには、たわみ板継手3の第1たわみ板31が、ボルトBで固定されている。
【0041】
第1たわみ板31は、回転軸X方向の厚みWが、モータシャフト20側の連結部201の回転軸X方向の厚みW1、および捩り軸33側の第1連結部331の回転軸X方向の厚みW2よりも薄い板状部材である。
【0042】
図2の(b)に示すように、平面視において第1たわみ板31では、モータシャフト20側の連結部201との連結点P1、P1が、同一の直線Lm上に位置している。捩り軸33側の第1連結部331との連結点P2、P2が、同一の直線Ln上に位置している。
直線Lmと直線Lnは互いに直交している。第1たわみ板31では、直線Lmと直線Lnとの交点(回転軸X)から、各連結点P1、P1、P2、P2までの距離Lxは、それぞれ同じ距離となるように設定されている。
【0043】
第1たわみ板31は、回転軸X周りの周方向で隣接する連結点P1、P2同士を、所定幅の板状部材で繋いだ略矩形形状の基部310を有しており、第1たわみ板31の中央部には、モータシャフト20、捩り軸33、そしてドライブシャフト8Bが通過可能な開口310aが、略矩形形状で形成されている。
【0044】
第1たわみ板31には、各連結点P1、P1、P2、P2を中心とする貫通孔31a、31a、31b、31bが設けられている。各貫通孔31a、31a、31b、31bは、基部310を厚み方向に貫通して設けられていると共に、ボルトBの軸部を螺入可能な内径で形成されている。
【0045】
図4に示すように、動力伝達装置1において第1たわみ板31は、コイルエンド253bの内径側で、回転軸Xに直交する向きで設けられている。この状態において、第1たわみ板31から見てロータコア21側(図1における左側)の面には、モータシャフト20側の連結部201がボルトBで固定されている。さらに、ロータコア21とは反対側(図1における右側)の面には、捩り軸33の第1連結部331がボルトBで固定される。
本実施形態では、回転軸Xの径方向から見て、連結部201と第1たわみ板31と第1連結部301が、コイルエンド253bと重なる範囲に設けられている。
【0046】
この状態において第1たわみ板31は、前記した直線Lmと直線Lnの交点が、回転軸X上に配置されている。
第1たわみ板31では、モータシャフト20側の連結部201との連結点P1(図2の(b)参照)と、捩り軸33の第1連結部331との連結点P2(図2の(b)参照)とが、回転軸X周りの周方向に位相をずらして設けられている。
【0047】
図4に示すように、モータ2の出力回転が第1たわみ板31を介して入力される捩り軸33は、ロータコア21の内径側を回転軸X方向に横切って設けられている。
捩り軸33における差動装置6側(図中、右側の端部)の端部は、モータ支持部121を貫通して、筒壁部122の内径側に位置している。
【0048】
筒壁部122の内径側では、捩り軸33と一体に形成された第2連結部332が回転軸Xに直交する向きで設けられている。
捩り軸33は、第2連結部332が、差動装置6側(図中、左側)に位置する第2たわみ板32を介して、中空軸50側の連結部501に連結されている。
【0049】
図3の(a)および図4に示すように、捩り軸33において第2連結部332、332は、円筒状の基部330の外周から、回転軸Xの径方向外側に向けて直線状に延びている。
図3の(a)に示すように、回転軸X方向から見て第2連結部332、332は、回転軸X周りの周方向に180°位相をずらして設けられた等幅の部材であり、第2連結部332、332は、回転軸Xに直交する直線Lm上に位置している。
【0050】
回転軸X方向から見て第2連結部332、332の先端側(外径側)には、ボルトBの連結孔332a、332aが設けられている。
第2連結部332、332の先端側では、モータ2とは反対側に面に、連結孔332a、332aを囲むボス部332c、332c(図4参照)が設けられている。
ボス部332c、332cには、たわみ板継手3の第2たわみ板32が、ボルトBで固定されている。
【0051】
中空軸50では、円筒状の基部500の一方の端部に、連結部501、501が設けられている。
連結部501、501は、円筒状の基部500の外周から、回転軸Xの径方向外側に向けて直線状に延びている。
図3の(a)に示すように、回転軸X方向から見て連結部501、501は、回転軸X周りの周方向に180°位相をずらして設けられた等幅の部材であり、連結部501、501は、回転軸Xに直交する直線Ln上に位置している。
【0052】
回転軸X方向から見て連結部501、501の先端側(外径側)には、ボルトBの連結孔501a、501aが設けられている。
連結部501、501の先端側では、モータ2側に面に、連結孔501a、501aを囲むボス部501c、501c(図4参照)が設けられている。
【0053】
ボス部501c、501cには、たわみ板継手3の第2たわみ板32が、ボルトBで固定されている。
【0054】
第2たわみ板32は、回転軸X方向の厚みWが、捩り軸33側の第2連結部332の回転軸X方向の厚みW1、および中空軸50側の連結部501の回転軸X方向の厚みW2よりも薄い板状部材である。
【0055】
図3の(b)に示すように、平面視において第2たわみ板32では、中空軸50側の連結部501との連結点P4、P4が、同一の直線Ln上に位置している。捩り軸33側の第2連結部332との連結点P3、P3が、同一の直線Lm上に位置している。
第2たわみ板32では、直線Lmと直線Lnが互いに直交している。直線Lmと直線Lnとの交点(回転軸X)から、各連結点P3、P3、P4、P4までの距離Lxは、それぞれ同じ距離となるように設定されている。
【0056】
第2たわみ板32は、回転軸周りの周方向で隣接する連結点P3、P4同士を、所定幅の板状部材で繋いだ略矩形形状の基部320を有しており、第2たわみ板32の中央部には、捩り軸33、そしてドライブシャフト8Bが通過可能な開口320aが、略矩形形状で形成されている。
【0057】
第2たわみ板32には、各連結点P3、P3、P4、P4を中心とする貫通孔32a、32a、32b、32bが設けられている。各貫通孔32a、32a、32b、32bは、基部320を厚み方向に貫通して設けられていると共に、ボルトBの軸部を螺入可能な内径で形成されている。
【0058】
図4に示すように、動力伝達装置1において第2たわみ板32は、コイルエンド253aの内径側で、回転軸Xに直交する向きで設けられる。この状態において、第2たわみ板32から見てロータコア21側(図1における右側)の面には、捩り軸33の第2連結部332がボルトBで固定される。
さらに、ロータコア21とは反対側(図1における右側)の面には、中空軸50の連結部501がボルトBで固定される。
本実施形態では、回転軸Xの径方向から見て、連結部501と第2たわみ板32と第2連結部302が、コイルエンド253aと重なる範囲に設けられている。
【0059】
この状態において第2たわみ板32は、前記した直線Lmと直線Lnの交点が、回転軸X上に配置される。
第2たわみ板32では、中空軸50側の連結部501との連結点P4(図3の(b)参照)と、捩り軸33の第2連結部332との連結点P3(図3の(b)参照)とが、回転軸X周りの周方向に位相をずらして設けられている。
【0060】
本実施形態では、モータ2の出力回転が、たわみ板継手3を介して、遊星減速ギア5側の中空軸50に入力される。
ここで、第1たわみ板31におけるモータシャフト20側の連結部201との連結点P1が、たわみ板継手3における回転の入力部、第2たわみ板32における中空軸50側の連結部501との連結点P4が、たわみ板継手3における回転の出力部となっている。
【0061】
回転軸X方向から見ると、連結点P1(入力部)と連結点P4(出力部)が、回転軸X周りの周方向に位相を90°ずらして設けられている。そのため、たわみ板継手3を介して回転を伝達する際に、連結点P1、P4の回転軸X周りの周方向の位相のずれによる変動(振動)吸収効果が発揮される。
さらに、たわみ板継手3では、モータ2のモータシャフト20の出力回転を中空軸50に出力する際に、捩り軸33が、ねじりバネとして機能して、回転のねじり振動を吸収する。
【0062】
これにより、たわみ板継手3では、捩り軸33と、この捩り軸33の両側の第1たわみ板31および第2たわみ板32で、モータシャフト20と中空軸50との回転軸周りの回転差を吸収しつつ、回転のねじり振動を減衰させる。
【0063】
図5は、動力伝達装置1における差動装置6周りを説明する図である。
図5に示すように、遊星減速ギア5側の中空軸50は、ドライブシャフト8Bに外挿された円筒状の基部500の一端に、第2たわみ板32との連結部501を有しており、他端に、遊星減速ギア5のサンギア51が一体に形成されている。
【0064】
中空軸50は、ドライブシャフト8Bに外挿されている。この状態において、中空軸50(サンギア51)は、ドライブシャフト8Bに対して相対回転可能である。
【0065】
サンギア51の差動装置6側の側面51aは、デフケース60の円筒状の支持部601に、回転軸X方向の隙間を空けて対向している。サンギア51の側面51aには、支持部601の端面601aで支持されたニードルベアリングNBが、回転軸X方向から当接している。
サンギア51は、段付きピニオンギア53の大径歯車部531に噛合している。
段付きピニオンギア53は、サンギア51に噛合する大径歯車部531と、大径歯車部531よりも小径の小径歯車部532とを有している。
段付きピニオンギア53は、大径歯車部531と小径歯車部532が、回転軸Xに平行な軸線X1方向で並んで、一体に設けられたギア部品である。
【0066】
段付きピニオンギア53は、大径歯車部531と小径歯車部532の内径側を軸線X1方向に貫通した貫通孔530を有している。
段付きピニオンギア53は、貫通孔530を貫通したピニオン軸54の外周で、ニードルベアリングNBを介して回転可能に支持されている。
【0067】
ピニオン軸54の外周では、大径歯車部531の内径側と、小径歯車部532の内径側に、ニードルベアリングNBがそれぞれ設けられている。ピニオン軸54の外周においてニードルベアリングNB、NBは、軸線X1方向に直列に並んでいる。
【0068】
ピニオン軸54の長手方向の一端と他端は、デフケース60と一体に形成された側板部651と、この側板部651に間隔をあけて配置された側板部551で支持されている。
側板部651、551は、回転軸Xに直交する向きで設けられた板状部材である。側板部651、551は、回転軸X方向に間隔をあけて互いに平行に設けられている。
側板部651、551の間では、複数の段付きピニオンギア53が、回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
【0069】
小径歯車部532の各々は、リングギア52の内周に噛合している。リングギア52は、ケース13の内周にスプライン嵌合しており、リングギア52は、ケース13との相対回転が規制されている。
【0070】
ピニオン軸54を支持する側板部551の外径側には、モータ2側(図中、右側)に延びる筒状部552が設けられている。筒状部552は、中間カバー12の円筒状の基部120の内周にベアリングB3を介して回転可能に支持されている。
【0071】
遊星減速ギア5では、キャリア55を構成する側板部551と側板部651のうちの一方の側板部651が、差動装置6のデフケース60と一体に形成されている。
そのため、遊星減速ギア5のキャリア55(側板部551、651、ピニオン軸54)は、デフケース60と実質的に一体に形成されている。
【0072】
遊星減速ギア5では、モータ2の出力回転が、たわみ板継手3を介してサンギア51に入力される。
サンギア51に入力された出力回転は、サンギア51に噛合する大径歯車部531を介して、段付きピニオンギア53に入力されて、段付きピニオンギア53が軸線X1回りに回転する。
【0073】
そうすると、大径歯車部531と一体に形成された小径歯車部532は、大径歯車部531と一体に軸線X1周りに回転する。
ここで、小径歯車部532は、ケース13の内周に固定されたリングギア52に噛合している。そのため、小径歯車部532が軸線X1回りに回転すると、段付きピニオンギア53は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
【0074】
そうすると、ピニオン軸54の一端が、デフケース60と一体に形成された側板部651に支持されているので、段付きピニオンギア53の回転軸X周りの周方向の変位に連動して、デフケース60が回転軸X回りに回転する。
【0075】
ここで、段付きピニオンギア53では、小径歯車部532の外径R2が大径歯車部531の外径R1よりも小さくなっている。
そして、遊星減速ギア5では、サンギア51が、モータ2の出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55が、入力された回転の出力部となっている。
そうすると、遊星減速ギア5のサンギア51に入力された回転は、段付きピニオンギア53により大きく減速されたのちに、キャリア55の側板部651が一体に形成されたデフケース60に出力される。
【0076】
デフケース60は、シャフト61と、かさ歯車62A、62Bと、サイドギア63A、63Bとを、内部に収納する中空状に形成されている。
デフケース60では、回転軸X方向(図中、左右方向)の両側部に、筒状の支持部601、602が設けられている。支持部601、602は、シャフト61から離れる方向に、回転軸Xに沿って延出している。
【0077】
支持部601の外径側には、キャリア55の側板部651と側板部551とを接続する接続片56が設けられている。
接続片56のデフケース60側の一端は、側板部651とデフケース60の外周とに跨がって設けられており、他端は、回転軸X方向から側板部551に接続されている。
【0078】
接続片56は、前記した段付きピニオンギア53との干渉を避けた位置に設けられている。前記したように、段付きピニオンギア53は、回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数(例えば、3つ)設けられている。
接続片56は、回転軸X回りの周方向で隣接する段付きピニオンギア53の間に設けられている。
【0079】
デフケース60の支持部602の外周は、ベアリングB2を介して、ケース13のリング状の支持部131で回転可能に支持されている。
【0080】
支持部602には、ケース13の開口部130を貫通したドライブシャフト8Aが、回転軸X方向から挿入されており、ドライブシャフト8Aは、支持部602で回転可能に支持されている。
開口部130の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Aの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Aの外周と開口部130の内周との隙間が封止されている。
【0081】
図1に示すように、デフケース60の支持部601には、カバー11の開口部114を貫通したドライブシャフト8Bが、回転軸方向から挿入されている。
ドライブシャフト8Bは、モータ2のモータシャフト20の内径側と中空軸50の内径側と、捩り軸33の内径側を、回転軸X方向に横切って設けられており、ドライブシャフト8Bの先端側が、支持部601で回転可能に支持されている。
【0082】
カバー11の開口部114の内周には、リップシールRSが固定されており、リップシールRSの図示しないリップ部が、ドライブシャフト8Bの外周に弾発的に接触することで、ドライブシャフト8Bの外周と開口部114の内周との隙間が封止されている。
【0083】
図5に示すように、デフケース60の内部では、ドライブシャフト8A、8Bの先端部の外周に、サイドギア63A、63Bがスプライン嵌合しており、サイドギア63A、63Bとドライブシャフト8(8A、8B)とが、回転軸X周りに一体回転可能に連結されている。
【0084】
デフケース60には、回転軸Xに直交する方向に貫通した軸孔60a、60bが、回転軸Xを挟んで対称となる位置に設けられている。
軸孔60a、60bは、回転軸Xに直交する軸線Y上に位置しており、シャフト61の一端61a側および他端61b側が挿入されている。
【0085】
シャフト61の一端61a側および他端61b側は、ピンPでデフケース60に固定されており、シャフト61は、軸線Y回りの自転が禁止されている。
シャフト61は、デフケース60内において、サイドギア63A、63Bの間に位置しており、軸線Yに沿って配置されている。
【0086】
デフケース60内においてシャフト61には、かさ歯車62A、62Bが外挿して回転可能に支持されている。
かさ歯車62A、62Bは、シャフト61の長手方向(軸線Yの軸方向)で間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bは、互いの歯部を対向させた状態で配置されている。
【0087】
デフケース60内において、回転軸Xの軸方向におけるかさ歯車62A、62Bの両側には、サイドギア63A、63Bが位置している。
サイドギア63A、63Bは、互いの歯部を対向させた状態で、回転軸Xの軸方向に間隔を空けて2つ設けられており、かさ歯車62A、62Bとサイドギア63A、63Bとは、互いの歯部を噛合させた状態で組み付けられている。
【0088】
動力伝達装置1では、コイルエンド253a、253bの内径側の空間を利用して、たわみ板継手3の第2たわみ板32と第1たわみ板31を配置している。
回転軸Xの径方向から見て、連結部201と第1たわみ板31と第1連結部331は、コイルエンド253bと重なる範囲に設けられている。
回転軸Xの径方向から見て、連結部501と第2たわみ板32と第2連結部332は、コイルエンド253aと重なる範囲に設けられている。
【0089】
そのため、モータ2の出力回転を、たわみ板継手3を介して遊星減速ギア5側に伝達するにあたり、たわみ板継手3の構成要素(第1たわみ板31、第2たわみ板32、捩り軸33)を、モータ2の回転軸X方向の幅の範囲内に納めることができる。
さらに、モータシャフト20を支持するベアリングB1、B1と、遊星減速ギア5の中空軸50との連結点も、モータ2の回転軸X方向の幅の範囲内に納めることができる。
【0090】
これにより、動力伝達装置1を、回転軸X方向に大型化させることなく、たわみ板継手3を設けることができる。
図6に示す比較例にかかる動力伝達装置1Aでは、モータシャフト20の連結部205と、中空軸50側の連結部503とが、ケース13内で回転伝達可能にスプライン嵌合している。
これに対して、本実施形態にかかる動力伝達装置1では、図5に示すように、たわみ板継手3の第2たわみ板32が、中空軸50側の連結部501と、中間カバー12の内径側で回転伝達可能に連結されている。
そのため、比較例にかかる動力伝達装置1Aよりも、回転軸X方向の長さ(軸長)が短くなっている。
【0091】
かかる構成の動力伝達装置1の作用を説明する。
動力伝達装置1では、モータ2の出力回転の伝達経路に沿って、たわみ板継手3と、遊星減速ギア5と、差動装置6と、ドライブシャフト8(8A、8B)と、が設けられている。
【0092】
モータ2の駆動により、ロータコア21が回転軸X回りに回転すると、ロータコア21と一体に回転するモータシャフト20を介して、たわみ板継手3の第1たわみ板31に回転が入力される。第1たわみ板31に入力された回転は、捻り軸33を介して、第2たわみ板32に伝達されたのち、第2たわみ板32に連結部501が連結された中空軸50に入力されて、中空軸50と一体に形成された遊星減速ギア5のサンギア51(中空軸50)に回転が入力される。
【0093】
たわみ板継手3では、第1たわみ板31におけるモータシャフト20側の連結部201との連結点P1が回転の入力部、第2たわみ板32における中空軸50側の連結部501との連結点P4が回転の出力部となっている。
回転軸X方向から見て、連結点P1と連結点P4は、回転軸X周りの周方向に90°位相をずらして設けられている。
【0094】
たわみ板継手3では、モータ2の出力回転を中空軸50に出力する際に、捩り軸33がねじりバネとして機能して、回転によるねじり振動が吸収される。
【0095】
たわみ板継手3を介して回転が入力される遊星減速ギア5では、サンギア51が、モータ2のの出力回転の入力部となっており、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55が、入力された回転の出力部となっている。
【0096】
サンギア51が入力された回転で回転軸X回りに回転すると、段付きピニオンギア53(大径歯車部531、小径歯車部532)が、サンギア51側から入力される回転で、軸線X1回りに回転する。
ここで、段付きピニオンギア53の小径歯車部532は、ケース13の内周に固定されたリングギア52に噛合している。そのため、段付きピニオンギア53は、軸線X1回りに自転しながら、回転軸X周りに回転する。
【0097】
ここで、段付きピニオンギア53では、小径歯車部532の外径R2が大径歯車部531の外径R1よりも小さくなっている(図3参照)。
これにより、段付きピニオンギア53を支持するキャリア55(側板部551、651)が、モータ2側から入力された回転よりも低い回転速度で回転軸X回りに回転する。
そのため、遊星減速ギア5のサンギア51に入力された回転は、段付きピニオンギア53により、大きく減速されたのちに、キャリア55の側板部651が一体に形成されたデフケース60(差動装置6)に出力される。
【0098】
そして、デフケース60が入力された回転で回転軸X回りに回転することにより、ドライブシャフト8(8A、8B)が回転軸X回りに回転して、動力伝達装置1が搭載された車両の左右の駆動輪(図示せず)に伝達される。
【0099】
以上の通り、本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(1)動力伝達装置1は、
モータ2と、
モータ2の下流に接続されたたわみ板継手3と、
たわみ板継手3の下流に接続された差動装置6(デファレンシャルギア)と、
差動装置6の下流に接続されたドライブシャフト8(8A、8B)と、を有する。
モータ2のロータコア21の内周に、たわみ板継手3の捩り軸33(駆動軸)が貫通して配置されている。
たわみ板継手3の捩り軸33駆動軸の内周に、ドライブシャフト8Bが貫通して配置されている。
【0100】
モータ2の出力回転を、軸長方向(回転軸X方向)の厚みWが薄いたわみ板継手(第1たわみ板31、第2たわみ板32)を用いて、差動装置6側に伝達する構成とすることで、動力伝達装置1の軸長方向(回転軸X方向)の長さの短縮が可能になる。
たわみ板継手3の捩り軸33を中空軸として、モータ内周部を2重の中空構造とすることで、動力伝達装置1の縦方向(重力方向)の大きさが大きくなることを防止できる。これにより、動力伝達装置1の縦方向の大きさの短縮が可能になる。
【0101】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(2)モータ2のステータコア25が備えるコイルエンド253a、253bの内径側に、たわみ板継手3の第2たわみ板32、第1たわみ板31が配置されている。
【0102】
コイルエンド253a、253bの内径側の空間を利用して、第2たわみ板32と第2たわみ板31を配置することができるので、動力伝達装置1の縦方向の大きさのさらなる短縮が可能になる。
【0103】
本実施形態にかかる動力伝達装置1は、以下の構成を有している。
(3)モータ2の出力軸を支持するベアリングB1が、モータ2のステータコア25が備えるコイルエンド253aの内径側に配置されている。
【0104】
ベアリングB1は、回転軸Xの径方向の大きさが、たわみ板継手よりも格段に小さい。
そのため、ベアリングB1もコイルエンド253aの内径側に配置しつつ、たわみ板継手3を設けるスペースを有効に形成できる。
これにより、ベアリングB1とたわみ板継手が、コイルエンド253aの内径側の空間を利用して設けられるので、動力伝達装置1の縦方向の大きさのさらなる短縮が可能になる
【0105】
ここで、本明細書における用語「下流に接続」とは、上流に配置された部品から下流に配置された部品へと動力が伝達される接続関係にあることを意味する。
例えば、モータ2の下流に接続された遊星減速ギア5という場合は、モータ2から遊星減速ギア5へと動力が伝達されることを意味する。
また、本明細書における用語「直接接続」とは、他の減速機構、増速機構、変速機構などの減速比が変換される部材を介さずに部材同士が動力伝達可能に接続されていることを意味する。
【0106】
前記した実施形態では、段付きピニオンギア53を採用した遊星減速ギア5を例示したが、段付きでないピニオンギアを採用した遊星減速ギアを採用しても良い。
【0107】
なお、モータ2の出力回転の伝達経路上で、モータ2の出力部(モータシャフト20)と遊星減速ギア5の入力部(サンギア51)や、遊星減速ギア5と差動装置6との間に、別のギアが介在していても良い。
【0108】
さらに、実施形態では、減速機構が、段付きピニオンギア53を備える遊星減速ギア5であり、モータ2の出力回転の伝達経路上に、ひとつの遊星減速ギア5が設けられている場合を例示した。
本発明は、この態様にのみに限定されない。モータ2の出力回転の伝達経路上に、複数の遊星減速ギアが直列に配置されている構成としても良い。
【0109】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は、これら実施形態に示した態様のみに限定されるものではない。発明の技術的な思想の範囲内で、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0110】
1、1A 動力伝達装置
10 モータハウジング
11 カバー
110 接合部
111 モータ支持部
112 筒壁部
113 側壁部
114 開口部
12 中間カバー
120 基部
121 モータ支持部
122 筒壁部
13 ケース
130 開口部
131 支持部
2 モータ
20 モータシャフト
201 連結部
201a 連結孔
202 ボス部
203 大径部
21 ロータコア
23 ストッパ
25 ステータコア
251 ヨーク部
252 ティース部
253 巻線
253a、253b コイルエンド
3 たわみ板継手
31 第1たわみ板
31a 貫通孔
310 基部
310a 開口
32 第2たわみ板
32a 貫通孔
320 基部
320a 開口
33 捩り軸
330 基部
330a 端部
331 第1連結部
331a 貫通孔
331b 連結孔
331c ボス部
332 第2連結部
332a 連結孔
332c ボス部
5 遊星減速ギア
50 中空軸
500 基部
501 連結部
501a 連結孔
501c ボス部
51 サンギア
52 リングギア
53 段付きピニオンギア
530 貫通孔
531 大径歯車部
532 小径歯車部
54 ピニオン軸
55 キャリア
551 側板部
552 筒状部
56 接続片
6 差動装置
60 デフケース
601、602 支持部
61 シャフト
62A、62B かさ歯車
63A、63B サイドギア
651 側板部
8(8A、8B) ドライブシャフト
9 本体ケース
B ボルト
B1、B2、B3 ベアリング
Lm、Ln 直線
Lx 距離
NB ニードルベアリング
P ピン
P1、2、P3、P4 連結点
RS リップシール
S シールリング
Sa 空間(モータ室)
Sb 空間(ギア室)
X 回転軸
X1、Y 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6