(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】伸長可能な保護部材を含む子供用安全シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/42 20060101AFI20230626BHJP
B60N 2/28 20060101ALI20230626BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/28
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019009481
(22)【出願日】2019-01-23
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518318060
【氏名又は名称】ブリタックス レーマー キンデルジッヒャーハイト ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】BRITAX ROMER Kindersicherheit GmbH
【住所又は居所原語表記】Theodor-Heuss-Strasse 9 89340 Leipheim Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘンセラー リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルク フローリアン
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525041(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02746097(EP,A1)
【文献】実開平03-061377(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/42
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長可能な保護部材(10)
を含む子供用安全シート(1)であって、前記伸長可能な保護部材(10)は、
第一の外部ねじ(11a)および第一の内部ねじ(11b)を含む第一のねじ部品(11)と、
第二の外部ねじ(12a)を含む第二のねじ部品(12)と、を含み、
前記第一のねじ部品(11)は、前記第一のねじ部品(11)の前記第一の内部ねじ(11b)および前記第二のねじ部品(12)の前記第二の外部ねじ(12a)を介して、前記第二のねじ部品(12)に回転可能なように接続さ
れ、
前記伸長可能な保護部材(10)は、第二の内部ねじ(14b)を有する筐体(14)であって、前記第一のねじ部品(11)の前記第一の外部ねじ(11a)および筐体(14)の前記第二の内部ねじ(14b)を介して、前記第一のねじ部品(11)に回転可能なように結合されるように構成される筐体(14)をさらに含み、
前記第一のねじ部品(11)の前記第一の内部ねじ(11b)と前記第二のねじ部品(12)の前記第二の外部ねじ(12a)とが互いに回転したときに両者の間に生じる摩擦力は、前記第一のねじ部品(11)の前記第一の外部ねじ(11a)と前記筐体(14)の前記第二の内部ねじ(14b)とが互いに回転したときに両者の間に生じる摩擦力とは異なる、子供用安全シート(1)。
【請求項2】
前記伸長可能な保護部材(10)は、前記第二のねじ部品(12)に接続されたカバー(13)を共回転のためにさらに含む、請求項1に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項3】
前記第一のねじ部品(11)および前記第二のねじ部品(12)は、プラスチック材料、または、例えばアルミニウムといった金属、または金属合金、またはその組み合わせで製造される、請求項1
または2に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項4】
前記カバー(13)および前記第二のねじ部品(12)は、前記カバー(13)および前記第二のねじ部品(12)の共回転を可能とするが、前記第二のねじ部品(12)に対して、前記カバー(13)の回転を防ぐために、反ねじれ保護を構成する、請求項2に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項5】
前記第一のねじ部品(11)の前記第一の外部ねじ(11a)は、一端において前記第一の外部ねじ(11a)を閉める、一端における第一の端止めを含み、他端においてスナップフック(11f)を含み、前記スナップフック(11f)の第一の位置においては、前記他端で前記第一の外部ねじ(11a)が第二の端止めとして機能するのをブロックし、前記スナップフック(11f)の第二の位置においては、前記第一の外部ねじ(11a)をブロックせず、前記筐体(14)の前記第二の内部ねじ(14b)または前記子供用安全シート(1)の前記シェル内の前記第三の内部ねじに前記第一のねじ部品(11)を挿入することを可能とする、請求項1から
4のうちのいずれか一項に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項6】
前記第二のねじ部品(12)の前記第二の外部ねじ(12a)は、一端において前記第二の外部ねじ(12a)を閉める、第三の端止めを前記一端において含む、請求項1から
5のうちのいずれか一項に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項7】
複数の個別の中間位置が、前記伸長可能な保護部材(10)の完全に格納された状態と完全に伸長された状態との間の複数の噛合い点によって画定される、請求項1から
6のうちのいずれか一項に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項8】
其々の内部ねじと外部ねじとの間の前記複数の噛合い点は、前記外部ねじ内に形成される複数のギザギザと、前記内部ねじ内に其々形成される突起とによって画定される、請求項
7に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項9】
前記カバー(13)は、前記カバー(13)の回転角度を示すおよび/または前記伸長可能な保護部材(10)が完全に伸長されたか、もしくは完全に格納されたか否かを示す指示を含む、請求項2に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項10】
前記伸長可能な保護部材(10)は、前記第一のねじ部品(11)の前記第一の外部ねじ(11a)を介して、前記第一のねじ部品(11)に直接または間接的に回転可能なように接続される一つ以上のさらなるねじ部品をさらに含む、請求項1から
9のうちのいずれか一項に記載の
子供用安全シート(1)。
【請求項11】
前記筐体(14)は、前記子供用安全シート(1)のシェルと一体化して形成され
る、請求項
1から10のうちのいずれか一項に記載の子供用安全シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供用安全シート用の伸長可能な保護部材に関する。伸長可能な保護部材は、側面の衝撃の保護用に十分に伸長が可能であって、子供用安全シートのサイズを縮小するために完全に格納可能であって、かつ、子供用安全シートのシェルまたはシェルの側面ウイングに搭載するのに特に適切であるように設計される。
【背景技術】
【0002】
多くのより旧式の従来型子供用安全シートは、前方の衝突状況で最適な保護を提供するように設計されてきた。しかしながら、全ての衝突のうちの約25%は、側面から起きる。側面の衝撃の衝突で受ける怪我は、前方の衝突で典型的に受ける怪我よりも一般的にさらに深刻なものである。全ての事故死のうちの30%までが、側面の衝撃の衝突の結果であることが概算されている。結果として、子供用安全シートで有効かつ信頼性の高い側面の衝撃保護に対する必要性が大きい。
【0003】
したがって、現在の従来型子供用安全シートは、また、側面の衝撃保護を改善するように設計されている。この目的を達成するために、外部側面衝撃部材とも呼ばれる様々な外部保護部材が設計開発されてきた。それは、子供用安全シートの外部に永久的に取り付けられる保護部材、取り外し可能な保護部材および一体化型保護部材である。
【0004】
子供用安全シートの外部に永久的に取り付けられる側面衝撃部材は、子供用安全シートの全体寸法を顕著かつ永久的に増加させる。多くの状況で、例えば、小型自動車において、これは、問題になり得る。さらに、子供用安全シートの寸法に関する法的要件(例えば、規格R44およびR129)が満たされなければならない。
【0005】
取り外し可能な側面衝撃部材は、寸法が増加する問題は軽減するが、誤用または紛失のリスクを生む。親が側面衝撃部材を取り付けない場合には、さらなる側面衝撃保護は、子供用安全シートによって提供されない。
【0006】
一体化型の調節可能な側面衝撃部材は、寸法が増加する問題は軽減し、また、誤用のリスクを最小化する。この目的を達成するために、一体化型の回転可能な側面衝撃部材が設計され、回転機構またはねじ機構を用いて調節されることが可能である。
【0007】
其々、ねじと同様に、反時計回りか時計回りに側面衝撃部材を回転させることによって回転可能な側面衝撃部材が伸長されたり、格納されたりできるときに、ねじ機構は、一目瞭然で、かつ取り扱いが容易である。さらに、ねじ機構のねじ山は自動ロック式であり、すなわち、誤ったロックに起因する誤用の可能性がない。
【0008】
さらに、調整可能な側面衝撃部材のねじ機構は、組み立てが容易であり、必要とされる部品数が少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
子供用安全シート用の一体化型側面衝撃部材は、有利なことに、子供用安全シートのシェル内、特にシェルの側面ウィング内にはめ込まれ、完全に格納されたときに保護部材によって必要とされる空間を減少させる。しかしながら、伸長可能で格納可能な保護部材は、完全に格納可能であるためには、ある量の設計空間を必要とする。シェル内、またはシェルの側面ウィング内に搭載されるとき、利用可能な空間は、其々の位置におけるシェルの寸法、またはシェルの側面ウィングの寸法によって制限される。したがって、最大伸張距離である作動距離は、利用可能な設計空間によって制限される。
【0010】
したがって、完全に格納可能でありながら十分に伸長可能であって、占有する設計空間量が減少する子供用安全シートで用いるための伸長可能な保護部材を提供することが本発明の目的である。
【0011】
この目的および他の目的は、請求項1に従う子供用安全シートで用いるための伸長可能な保護部材によって達成される。本発明の有利な実施形態は、請求項2から請求項16の従属請求項で示される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に従い、子供用安全シートで用いるための伸長可能な保護部材が提供され、ここで、伸長可能な保護部材は、第一の外部ねじと第一の内部ねじとを含む第一のねじ部品と、第二の外部ねじを含む第二のねじ部品とを含み、第一のねじ部品は、第一のねじ部品の第一の内部ねじおよび第二のねじ部品の第二の外部ねじを介して、第二のねじ部品に回転可能なように接続される。
【0013】
二つのねじ部品を含む伸長可能な保護部材を提供することによって、第二のねじ部品の外部ねじは、第一のねじ部品の内部ねじにねじ込まれ、伸長可能な保護部材の最大伸長長さを減少させることなく、伸長可能な保護部材の必要とされる設計空間は減少することができる。したがって、本発明に従う伸長可能な保護部材は、一定、すなわち、減少しない最大伸長長さを有し、同時に、必要とする設計空間がより少なくて済む。
【0014】
有利なことに、伸長可能な保護部材は、共回転用に、第二のねじ部品に接続されたカバーをさらに含む。
【0015】
有利なことに、伸長可能な保護部材は、第二の内部ねじを有し、第一のねじ部品の第一の外部ねじおよび筐体の第二の内部ねじを介して、第一のねじ部品に回転可能なように結合されるように構成された筐体をさらに含む。
【0016】
筐体は、伸長可能な保護部材を子供用安全シートに取り付けるために、子供用安全シートのシェルに搭載されることができる。
【0017】
有利なことに、第一のねじ部品は、子供用安全シートのシェル内に提供される第三の内部ねじに回転可能なように結合されるように構成され得、第一のねじ部品の第一の外部ねじは、子供用安全シートのシェル内に提供される第三の内部ねじと反対方向である。
【0018】
この場合には、伸長可能な保護部材は、子供用安全シートのシェル内に提供される適切な内部ねじ(すなわち、反対方向のねじ)内に、第一のねじ部品の外部ねじをねじ込むことによって、子供用安全シートに取り付けられることができる。
【0019】
有利なことに、第一のねじ部品の第一の内部ねじと第二のねじ部品の第二の外部ねじとが互いに回転したときに、第一の内部ねじと第二の外部ねじとの間に生じる摩擦力は、第一のねじ部品の第一の外部ねじと筐体の第二の内部ねじとが互いに回転したときに、第一の外部ねじと第二の内部ねじとの間に生じる摩擦力とは異なる。
【0020】
第一のねじ部品と第二のねじ部品との間に生じる摩擦力が第一のねじ部品と筐体との間に生じる摩擦力とが異なる場合、一方のねじ部品は、他方のねじ部品より前に伸長するだろう。双方のねじの同時の移動は、必ずしも必要なわけではなく、および/または望ましくない場合さえある。なぜなら、ランダムに動く、すなわち、交互かつランダムな順序で動く代わりに、毎回同じ順序で連続的にねじが動かされる場合には、ユーザにとって取り扱いがより便利だからである。
【0021】
有利なことに、第一のねじ部品の第一の内部ねじと第二のねじ部品の第二の外部ねじとが互いに回転したときに、第一の内部ねじと第二の外部ねじとの間に生じる摩擦力は、第一のねじ部品が第三の内部ねじに対して回転されるときに、子供用安全シートのシェル内に提供される第三の内部ねじと第一のねじ部品の第一の外部ねじとの間に生じる摩擦力とは異なる。
【0022】
第一のねじ部品と第二のねじ部品との間に生じる摩擦力が、子供用安全シートのシェル内に提供されるねじと第一のねじ部品との間に生じる摩擦力とは異なる場合、一方のねじ部品は、他方のねじ部品より前に伸長されるだろう。双方のねじの同時の移動は必ずしも必要なわけではなく、および/または望ましくない場合さえある。なぜなら、ランダムに動く、すなわち、交互かつランダムな順序で動く代わりに、毎回同じ順序で連続的にねじが動かされる場合には、ユーザにとってより取り扱いがより便利だからである。
【0023】
外部ねじと内部ねじとの間の摩擦力は、ねじのピッチと共に、外部ねじと内部ねじとの間にある隙間または許容誤差に依存する。したがって、外部ねじと内部ねじとの摩擦力は、其々外部ねじと内部ねじとのピッチ径の間の適切な遊び、および/またはねじの適切なピッチを選択することによって容易に制御されることができる。
【0024】
有利なことに、第一のねじ部品および第二のねじ部品はプラスチック材料で製造される。しかしながら、第一のねじ部品および第二のねじ部品は、また、例えば、アルミニウムといった金属、または金属合金、またはその組み合わせといった他の材料で製造されてもよい。
【0025】
有利なことに、カバーおよび第二のねじ部品は、カバーおよび第二のねじ部品の共回転を可能にするが、第二のねじ部品に対してカバーの回転を防ぐために、反ねじれ保護を構成する。
【0026】
反ねじれ保護は、カバーの特定の部品と第二のねじ部品との間の形状ロッキング接続によって形成され得る。例えば、カバーは複数のリブを含み得、第二のねじ部品は、カバーのリブを支持する対応するカットアウトを含み得る。あるいは、カバーおよび第二のねじ部品は、カバーおよび第二のねじ部品が相互に対して回転することを防ぐ、噛合いセレーションを含み得る。
【0027】
有利なことに、第一のねじ部品の第一の外部ねじは、第一の外部ねじを一端で閉めるリブなどの第一の端止めを、例えば一端に含み、他端にスナップフックを含み、スナップフックの第一の位置では、他端において第二の端止めとして機能する第一の外部ねじをブロックし、スナップフックの第二の位置では、第一の外部ねじをブロックせずに、筐体の第二の内部ねじ、または子供用安全シートのシェル内に提供される第三の内部ねじに第一のねじ部品の第一の外部ねじが挿入されることを可能にする。
【0028】
有利なことに、第二のねじ部品の第二の外部ねじは、一端で第二の外部ねじを閉めるリブなどの第三の端止めを例えば一端に含む。第二のねじ部品の第二の外部ねじの他方において、カバーは、端止めとして有利に機能する。第二のねじ部品の第二の外部ねじは、第二のねじ部品にカバーを搭載する前に、第一のねじ部品の第一の内部ねじ内にねじ込まれることができる。
【0029】
有利なことに、複数の個別の中間位置が、伸長可能な保護部材の完全に格納された状態と、完全に伸長された状態との間の複数の噛合い点によって画定される。
【0030】
有利なことに、其々の内部ねじと外部ねじとの間の複数の噛合い点は、外部ねじ内に形成された複数のギザギザと、内部ねじに其々形成された突起とによって画定される。
【0031】
複数の噛合い点は、中間位置をユーザに示す。第一のねじ部品および第二のねじ部品が噛合い点において視覚的に噛合うと、ユーザは、伸長機構が中間位置に調整されたことを検知する。
【0032】
有利なことに、カバーは、カバーの回転角度を示す、および/または、伸長可能な保護部材が完全に伸長されたか、もしくは完全に格納されたか否かを示す指示を含む。
【0033】
この指示は、例えば、ロゴもしくはブランドなどの単語および/または絵であってもよく、伸長可能な保護部材が完全に格納されたか、もしくは完全に伸長された場合に正確な方向付けを有する。
【0034】
さらに、指示は、また、伸長可能な保護部材が中間位置に調整されたことも示し得る。例えば、単語および/または絵は、伸長可能な保護部材が中間位置もしくは最終位置(完全に格納される、完全に伸長される)に調整されたときに正確な方向付けを有するだろう。
【0035】
最終位置および/または中間位置での伸長可能な保護部材のカバーの所望の方向付けは、適切なピッチを有するねじ山を用いることによって達成されることができる。例えば、カバーの一回転(360°)後、次の中間位置または最終位置が到達され得る。
【0036】
したがって、ユーザは、伸長可能な保護部材が中間位置に調整されたことを視認、検知の両方をし得る。
【0037】
本発明のさらなる態様に従って、上記の伸長可能な保護部材を含む子供用安全シートが提供される。
【0038】
有利なことに、子供用安全シートは、子供用安全シートのシェルとともに一体化して形成され、第一のねじ部品の第一の外部ねじに回転可能なように結合されるように構成された第四の内部ねじを有する筐体をさらに含む。
【0039】
このように、子供用安全シートの製造プロセスは簡略化されることができ、子供用安全シートの構造的複雑性は軽減されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
ここで、本発明の特定の実施形態が、添付の図面を参照して例示として記述されるだろう。
【0041】
【
図1】本発明に従う伸長可能な保護部材の一実施形態を含む子供用安全シートを示す。
【
図2】本発明に従う伸長可能な保護部材の一実施形態を示す。
【
図3】
図2の伸長可能な保護部材を分解組立て図で示す。
【
図4a】本発明に従う伸長可能な保護部材のさらなる実施形態を完全に格納された位置で示す。
【
図4b】本発明に従う伸長可能な保護部材のさらなる実施形態を部分的に伸長された位置で示す。
【
図4c】本発明に従う伸長可能な保護部材のさらなる実施形態をほぼ完全に伸長された位置で示す。
【
図5a】
図2および
図3に図示された実施形態の第一のねじ部品11を示す。
【
図5b】
図2および
図3に図示された実施形態の第二のねじ部品12を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、本発明に従う伸長可能な保護部材の一実施形態を含む子供用安全シート1を図示する。伸長可能な保護部材10は、子供用安全シート1のシェルの側面ウィング内に有利にはめ込まれる。側面ウイング自体は、子供用安全シート1内に座っている子供を横方向の衝撃から防護するために、改善された側面衝撃保護を提供する。この保護効果は、側面ウィングにはめ込まれた伸長可能な保護部材10によって高められる。子供用安全シート1は、子供用安全シート1のシェルと一体化して形成された筐体を含み得、筐体は、伸長可能な保護部材10を受けて支持する。あるいは、伸長可能な保護部材10は、子供用安全シートのシェルの側面ウィングに有利に固定された筐体を含み得る。
【0043】
双方の場合、伸長可能な保護部材10に働く力は、子供用安全シート1のシェル、特にシェルの側面ウィングに伝達され、これは、機械的力を受け止め、子供用安全シート1内の子供から機械力を逸らすように構成される。しかしながら、側面の衝撃がある場合には、子供用安全シート内に座っている子供のための生存空間を保つために、押し込まれる乗用車のドアとの早期接触を達成することが重要である。
【0044】
したがって、伸長可能な保護部材10が完全に伸長されたときに、保護部材10が乗用車のドアに伸びるか、または少なくとも乗用車のドアの近傍へと延びるように、伸長可能な保護部材10の最大伸長長さは、できる限り大きくするべきである。
【0045】
ねじ機構は、連続的に調整可能であり、取り扱いが容易であるため、伸長可能な保護部材10用に用いられる。伸長可能な保護部材10は、ねじと同様、そのカバーを其々反時計回り、時計回りに回転させることによって、伸長、格納されることができる。あらゆる位置においてねじ機構のねじ山は自動ロック式であるため、誤ったロッキングに起因する誤用のリスクがない。さらに、ねじ機構は、組み立てが容易であって、必要な部品数が少ない。
【0046】
しかしながら、ねじ機構を有する伸長可能で格納可能な保護部材は、完全に格納可能であるために、ある量の設計空間を必要とする。シェル内またはシェルの側面ウィング内に搭載されると、利用可能な空間は、其々の位置におけるシェルまたはシェルの側面ウィングの厚さによって制限される。したがって、伸長可能な保護部材10の作動距離は、最大伸長長さであるが、利用可能な設計空間によって制限される。
【0047】
本発明に従う伸長可能な保護部材は、制限された設計空間の問題を処理するために開発されてきた。
【0048】
図2および
図3は、本発明に従う伸長可能な保護部材の一実施形態を図示する。
【0049】
図2および
図3に図示された伸長可能な保護部材10は、第一もしくは外部ねじ部品11と、第二もしくは内部ねじ部品12と、カバー13と、筐体14と、ねじ15とを含み、第一のねじ部品11、第二の部品12、カバー13、筐体14およびねじ15のうちの少なくとも一つは、有利なことに、プラスチック材料から製造される。望ましくは、第一のねじ部品11、第二のねじ部品12、カバー13、筐体14およびねじ15は、軽量で、低い製造コストを含むプラスチック材料で製造される。
【0050】
第一のねじ部品11は、第一の外部(雄)ねじ11aと、第一の内部(雌)ねじ11bとを含む。第二のねじ部品12は、第二の外部ねじ12aを含み、筐体14は、第二の内部ねじ14bを含む。カバー13は、プラスチックねじ15によって第二のねじ部品12に有利に取り付けられる。第一のねじ部品11は、第一のねじ部品11の第一の内部ねじ11bおよび第二のねじ部品12の第二の外部ねじ12aを介して、第二のねじ部品12に回転可能なように接続される。第一のねじ部品11は、第一のねじ部品の第一の外部ねじ11aおよび筐体14の第二の内部ねじ14bを介して、筐体14に回転可能なように結合されるように構成される。
【0051】
二つの同軸に配列されたねじ部品11および12を有する伸長可能な保護部材10を提供することによって、第二のねじ部品12の外部ねじ12aは、第一のねじ部品11の内部ねじ11bにねじ込まれ、伸長可能な保護部材10の長さは、伸長可能な保護部材10の最大伸長長さを減少させることなく、縮小されることができる。したがって、本発明に従う伸長可能な保護部材は、一定、すなわち、最大伸長長さを減少させないまま、同時に、必要とする設計空間をより少なくする。または、本発明に従う伸長可能な保護部材は、与えられた設計空間に対して、最大伸長長さの増加を特徴とする。例えば、特定の子供用安全シートが、24mmの伸長を可能とするねじ山を容易にする設計空間を提供する場合、伸長可能な保護部材10は、双方のねじ部品が完全に伸長されると、48mmまでの合計の伸長長さを達成するだろう。
【0052】
3つ以上の同軸に配列されたねじ部品を含む伸長可能な保護部材もまた、可能である。例えば、伸長可能な保護部材が3つの同軸に配列されたねじ部品を含む場合には、第三(内部)のねじ部品が第二(中間)のねじ部品内にねじ込まれ、第二のねじ部品が第一(外部)のねじ部品内にねじ込まれる。したがって、必要に応じて、ねじ部品の数を増加させることによって、最大伸長長さは、与えられた設計空間用にさらに増加することができる。
【0053】
有利なことに、本発明の伸長可能な保護部材は、第一のねじ部品の第一の外部ねじを介して、第一のねじ部品に直接または間接的に回転可能なように接続される一つ以上のさらなるねじ部品をさらに含む。
【0054】
有利なことに、相互に対して回転されたときに第一のねじ部品11の第一の内部ねじ11bと第二のねじ部品12の第二の外部ねじ12aとの間に生じる摩擦力は、相互に対して回転されたときに、第一のねじ部品11の第一の外部ねじ11aと筐体14の第二の内部ねじ14bとの間に生じる摩擦力とは異なる。
【0055】
第一のねじ部品11と第二のねじ部品12との間に生じる摩擦力が、第一のねじ部品11と筐体14との間に生じる摩擦力とが異なる場合、一方のねじ部品は、他方のねじ部品の前に伸長されるだろう。双方のねじの同時の移動は、必ずしも必要なわけではなく、望ましくない場合さえある。なぜなら、ランダムに動く、すなわち、交互かつランダムな順序で動く代わりに、毎回同じ順序で連続的にねじが動かされる場合に、ユーザにとって取り扱いがより便利だからである。
【0056】
外部ねじと内部ねじとの間の摩擦力は、ねじのピッチと共に、外部ねじと内部ねじとの間に存在する隙間または許容誤差に依存する。したがって、外部ねじと内部ねじとの摩擦力は、其々外部ねじと内部ねじとのピッチ径の間の適切な遊び、および/またはねじの適切なピッチを選択することによって容易に制御されることができる。
【0057】
図4a、
図4bおよび
図4cは、完全に格納された位置(
図4a)、部分的に伸長された位置(
図4b)およびほぼ完全に伸長された位置(
図4c)における本発明に従う伸長可能な保護部材のさらなる実施形態を図示する。
【0058】
この実施形態においては、第一のねじ部品11と筐体14との間に生じる摩擦力は、第一のねじ部品11と第二のねじ部品12との間に生じる摩擦力よりも低い。したがって、
図4a、
図4b、
図4cに見出されることができるように、第一(外部)のねじ部品11は、伸長可能な保護部材10のカバー13を半時計回りに回転させるときにまず伸長される。第一のねじ部品11が完全に伸長された後、第二のねじ部品12が伸長され始める。
【0059】
カバー13および第二のねじ部品12が反ねじれ保護を有利に構成することで、カバー13および第二のねじ部品12の共回転を可能とし、第二のねじ部品12に対してカバー13の回転を防ぐ。
【0060】
反ねじれ保護は、カバー13の特定の部品と第二のねじ部品12との間の形状ロッキング接続によって形成され得る。例えば、カバー13は、複数のリブを含み得、第二のねじ部品12は、カバーのリブを支持する対応するカットアウトを含み得る。あるいは、カバー13および第二のねじ部品12は、カバーおよび第二のねじ部品が相互に対して回転することを防ぐ噛合いセレーションを含み得る。
【0061】
図5aおよび
図5bは、
図2および
図3に図示された実施形態の第一のねじ部品11および第二のねじ部品12を図示する。
【0062】
第一のねじ部品11の第一の外部ねじ11aは、望ましくは、
図5aに図示されるようなリブ11eといった第一の端止めを一端に含み、それは、一端で第一の外部ねじ11aを閉め、他端にスナップフック11fを含み、スナップフック11fの第一の位置においては、第一の外部ねじ11aが他端で第二の端止めとして機能することをブロックし、スナップフックの第二の位置においては、第一の外部ねじ11aをブロックせずに、第一のねじ部品11の第一の外部ねじ11aが筐体14の第二の内部ねじ14b内に挿入されることを可能とする。
【0063】
第二のねじ部品12の第二の外部ねじ12aは、また、
図5bに図示されるように、リブ12eといった端止めを一端に含み、それは、一端で第二の外部ねじ12aを閉める。第二のねじ部品12の第二の外部ねじ12aの他端では、カバー13は、端止めとして有利に機能する。第二のねじ部品12の第二の外部ねじ12aは、第二のねじ部品12にカバー13を取り付ける前に、第一のねじ部品11の第一の内部ねじ11b内にねじ込まれることができる。カバー13が第二のねじ部品12に取り付けられるとき、それは、第二の外部ねじ12aの他端で端止めとして機能する。
【0064】
複数の個別の中間位置は、伸長可能な保護部材10の完全に格納された状態と完全に伸長された状態との間で複数の噛合い点によって有利に画定され得る。
【0065】
この目的を達成するために、第一のねじ部品11は、第一の外部ねじ11a内に形成された複数のギザギザ11iを含み得、筐体14は、第二の内部ねじ14bに形成された少なくとも一つの突起を含み得る。
【0066】
同様に、第二のねじ部品12は、第二の外部ねじ12a内に形成された複数のギザギザを含み得、第一のねじ部品11は、第一の内部ねじ11bに形成された少なくとも一つの突起を含み得る。
【0067】
複数の噛合い点は、望ましくは、中間位置をユーザに示す。第一のねじ部品11および第二のねじ部品12は、第一のねじ部品11および筐体14と同様に、其々の噛合い点において視覚的に噛合い得る。したがって、ユーザは、伸長可能な保護部材10のカバー13を回転させるとき、複数の中間位置のうちの一つに伸長可能な保護部材10が調整されたか否かを検知することができる。
【0068】
カバー13は、カバー13の回転角度、および/または、伸長可能な保護部材10が完全に伸長されたか、もしくは完全に格納されたか否かを示す指示を有利に含み得る。
【0069】
指示は、例えば、ロゴもしくはブランドといった単語および/または絵であってもよく、それは、伸長可能な保護部材10が完全に格納されたか、または完全に伸長された場合に正確な方向付けを有する。
【0070】
さらに、指示は、また、伸長可能な保護部材10が中間位置に調整されたことも示し得る。例えば、単語および/または絵は、伸長可能な保護部材10が中間位置もしくは最終位置(完全に格納される、完全に伸長される)に調整されたときに正確な方向付けを有するだろう。
【0071】
最終位置および/または中間位置における伸長可能な保護部材10のカバー13の所望の方向付けは、適切なピッチを有するねじ山を用いることによって達成されることができる。例えば、カバー13の一回転(360°)後、次の中間位置または最終位置が到達され得る。
【0072】
このように、ユーザは、伸長可能な保護部材10が中間位置に調整されたことの視認、検知の双方をし得る。