(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】燃焼機器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/20 20220101AFI20230626BHJP
【FI】
F24H9/20 A
(21)【出願番号】P 2019064212
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】毛利 徹太郎
(72)【発明者】
【氏名】小俣 康二
(72)【発明者】
【氏名】中村 健二
(72)【発明者】
【氏名】石沢 勲
(72)【発明者】
【氏名】侯 宝書
(72)【発明者】
【氏名】川端 宏治
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/109913(WO,A1)
【文献】特開平02-044147(JP,A)
【文献】特開平07-120065(JP,A)
【文献】特開2017-089393(JP,A)
【文献】特開2010-156480(JP,A)
【文献】特開2003-093252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F04D 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管接続部から供給された水および浴槽内の湯水を加熱する燃焼部と、浴槽内の湯水を循環経路を介して強制循環させる
ための回転翼と該回転翼を回転させる駆動モーターを備えた循環ポンプと、前記循環ポンプの
前記回転翼の回転数を検出する手段と、前記循環ポンプ
の前記駆動モーターに前記回転翼が所定の回転数となるよう電圧を印加し駆動させる制御部と、浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサを備え、追焚運転をする際に、
前記制御部により
前記循環ポンプ
の前記回転翼に所定の回転数となるよう
前記循環ポンプを駆動した時の
前記水位センサの圧力検出値が所定の範囲内である場合、燃焼動作を許可する燃焼機器であって、
前記水位センサがフランジ部を有する本体部と該本体部から突出された圧力検知部を有するとともに、
前記循環ポンプのケーシング内に前記循環経路の一部を構成する吸込側通路と吐出側通路が設けられ、前記ケーシング内の前記循環経路の一部に前記回転翼が設けられ、前記循環ポンプの前記ケーシングの一部に該ケーシングを貫通して前記吐出側通路に連通する貫通孔が形成され、前記ケーシングの表面に、前記圧力検知部で前記貫通孔を貫通し、前記圧力検知部の先端を前記吐出側通路に望ませ、前記フランジ部を前記ケーシングの表面に沿わせた前記水位センサが、前記フランジ部を貫通して前記ケーシングのねじ穴に螺合したネジにより着脱自在に固定されたことを特徴とする燃焼機器。
【請求項2】
前記水位センサの検出圧力が0.5秒以内に10kPa以上の低下を示すか、前記水位センサの検出圧力が0.5秒以内に10kPa以上の上昇を検出した時点で前記燃焼機器の燃焼を停止する機能を前記制御部に備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃焼機器。
【請求項3】
前記水位センサの検出圧力の変化量が所定値以上を検出した場合、前記循環経路の状態を異常と判定する圧力変化に基づく循環経路異常の判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃焼機器。
【請求項4】
前記循環経路に異常なしと判定して運転後、燃焼動作中に前記循環経路の循環ポンプ吸込み側に設けられた循環水の温度センサ
が検知した温度と前記循環経路の循環ポンプ吐出側で追焚熱交換器の下流側に設けられた循環水の温度センサ
が検知した温度との温度差を
求め、前記
温度差が基準値以上の場合、前記循環経路の状態を異常と判定する温度差に基づく循環経路異常の判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の燃焼機器。
【請求項5】
前記循環ポンプの駆動時に流れる電流を検出する手段を有し、前記循環ポンプの電流を検出する手段により検出した電流の値により、前記循環経路の異常状態を区別する循環ポンプ電流に基づく循環経路異常の判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の燃焼機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に湯水があるか否かを判定する機能を備えた燃焼機器に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽内の湯水を循環させて追い焚きする燃焼機器は、浴槽循環経路内に水流スイッチを備えた燃焼機器が一般的である。
この種従来の燃焼機器は、一例として、
図2に示すように、給水配管接続部から供給された水および浴槽内の湯水を加熱する燃焼部5bと、浴槽内の湯水を強制循環させる循環ポンプ6と、循環ポンプ6に所定の電圧を印加し駆動させる制御部3と、循環水を検知する水流スイッチ8と、浴槽からの循環水の戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ7が設けられている。水流スイッチ8は、浴槽からの循環水の有無を水流により判定するセンサである。
【0003】
また、特許文献1には、近年、燃焼機器のコンパクト化と部品点数の削減を目的として、前記水流スイッチを省略し、直流循環ポンプを一定電圧で駆動した時の回転数が基準値以下であることと、燃焼後に熱交換器前後の温度差を検出し、所定の範囲内である場合に、浴槽内の湯水が一定量以上循環していると判断する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、循環水量の判定に浴槽水の水位を検出する水位センサを使用し、循環ポンプ駆動時の水位センサ検出値が所定範囲内となることを検出することにより、配管のつぶれや閉塞による循環流量不足(異常)を発見する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-156480号公報
【文献】特許第3925569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法では、浴槽の湯水有無判定を精度よく検出可能であるが、配管の閉塞による循環流量不足を燃焼動作前に検出することができないため、配管閉塞状態で燃焼し、加熱してしまう問題があった。
【0007】
一方、特許文献2に記載の方法では、燃焼動作前に配管の閉塞が検出可能となるが、水位センサを配管内へ配置するための接続部品と、接続するためのスペースが必要であり、部品点数の増加と配管スペースの拡大を招くといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の従来の方法における問題点を鑑みてなされたものであって、燃焼機器のコンパクト化と部品点数の削減を実現し、かつ浴槽の湯水有無や循環配管の閉塞状態を判定可能な燃焼機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明は、給水配管接続部から供給された水および浴槽内の湯水を加熱する燃焼部と、浴槽内の湯水を循環経路を介して強制循環させるための回転翼と該回転翼を回転させる駆動モーターを備えた循環ポンプと、前記循環ポンプの前記回転翼の回転数を検出する手段と、前記循環ポンプの前記駆動モーターに前記回転翼が所定の回転数となるよう電圧を印加し駆動させる制御部と、浴槽内の湯水の水位を検出する水位センサを備え、追焚運転をする際に、前記制御部により前記循環ポンプの前記回転翼に所定の回転数となるよう前記循環ポンプを駆動した時の前記水位センサの圧力検出値が所定の範囲内である場合、燃焼動作を許可する燃焼機器であって、前記水位センサがフランジ部を有する本体部と該本体部から突出された圧力検知部を有するとともに、前記循環ポンプのケーシング内に前記循環経路の一部を構成する吸込側通路と吐出側通路が設けられ、前記ケーシング内の前記循環経路の一部に前記回転翼が設けられ、前記循環ポンプの前記ケーシングの一部に該ケーシングを貫通して前記吐出側通路に連通する貫通孔が形成され、前記ケーシングの表面に、前記圧力検知部で前記貫通孔を貫通し、前記圧力検知部の先端を前記吐出側通路に望ませ、前記フランジ部を前記ケーシングの表面に沿わせた前記水位センサが、前記フランジ部を貫通して前記ケーシングのねじ穴に螺合したネジにより着脱自在に固定されたことを特徴とする。
【0010】
(2)本発明は、(1)項に記載の燃焼機器であって、前記水位センサの検出圧力が0.5秒以内に10kPa以上の低下を示すか、前記水位センサの検出圧力が0.5秒以内に10kPa以上の上昇を検出した時点で前記燃焼機器の燃焼を停止する機能を前記制御部に備えたことを特徴とする。
【0011】
(3)本発明は、(1)項又は(2)項に記載の燃焼機器であって、前記水位センサの検出圧力の変化量が所定値以上を検出した場合、前記循環経路の状態を異常と判定する圧力変化に基づく循環経路異常の判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする。
【0012】
(4)本発明は、(1)項~(3)項の何れか一項に記載の燃焼機器であって、前記循環経路に異常なしと判定して運転後、燃焼動作中に前記循環経路の循環ポンプ吸込み側に設けられた循環水の温度センサが検知した温度と前記循環経路の循環ポンプ吐出側で追焚熱交換器の下流側に設けられた循環水の温度センサが検知した温度との温度差を求め、前記温度差が基準値以上の場合、前記循環経路の状態を異常と判定する温度差に基づく循環経路異常の判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする。
【0013】
(5)本発明は、(1)項~(4)項の何れか一項に記載の燃焼機器であって、前記循環ポンプの駆動時に流れる電流を検出する手段を有し、前記循環ポンプの電流を検出する手段により検出した電流の値により、前記循環経路の異常状態を区別する循環ポンプ電流に基づく循環経路異常判定機能を前記制御部に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、浴槽の水位を検出する水位センサを浴槽内の湯水を強制循環させる循環ポンプに取り付けた構造とすることにより、水位センサを配置するための専用部品を削減でき、更に、燃焼機器内部に専用部品の設置スペースも必要としないため、燃焼機器のコンパクト化、部品点数の低減を図ることができる。
特に循環ポンプのケーシングに水位センサを取り付けることにより、循環ポンプのケーシングを水位センサの取り付けのために利用することができ、水位センサ取付用部品の削減が可能となり、取付用部品の設置スペースを不要として燃焼機器のコンパクト化を図り、部品点数の低減に寄与できる。循環ポンプのケーシングに水位センサを取り付けることにより、燃焼装置において水位センサを安定的に取り付けることができる。
【0015】
さらに、循環ポンプケーシングの吐出側通路に水位センサの検出部を取り付けることにより、循環ポンプ運転時の水位センサ検出圧力によって循環経路の状態を判定する場合、循環ポンプの吸込み側に取り付けた場合に比べ、正常時と異常時との圧力差を相対的に大きくすることができ、判別の範囲を広くすることができ、水位センサの検出圧力のバラツキや水位変動による検出誤差を吸収し、より精度の高い判定ができるようになる。
また、循環ポンプの吐出側でより下流側の循環経路配管内に水位センサを取り付けた場合に対しても、循環ポンプ運転時の検出圧力を高くすることが可能なため、循環ポンプの吸込み側の配管が閉塞した場合との圧力差を大きく確保することができ、同様の効果がある。
【0016】
加えて、追焚運転中において、循環経路が急閉塞した場合、水位センサの検出圧力の急変動や温度センサの温度検知によって追焚燃焼を停止できるので、循環経路配管内の急激な圧力上昇を抑制することができる。
【0017】
さらに、循環ポンプ運転時の循環ポンプに流れる電流を検出し、基準値に対する判定を行うことにより、閉塞による循環経路の異常と浴槽に循環する水が無いことの判定を区別して行うことが可能となり、故障表示の区別による故障診断の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態である燃焼機器の構成と動作原理を表わす模式図を示す。
【
図2】従来の一例である燃焼機器の構成と動作原理を表わす模式図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態である燃焼機器の循環ポンプ作動原理図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態である燃焼機器の循環ポンプの構造図を示すもので、(a)は循環ポンプの側面図、(b)は正面図、(c)は循環ポンプの平面図、(d)はサーミスタの取付状態を示すもので(b)に示す循環ポンプのAA線に沿う部分断面図、(e)は水位センサの取付状態を示すもので(b)に示す循環ポンプのBB線に沿う部分断面図を示す。
【
図5】本発明の一実施形態である燃焼機器の燃焼前作動フローチャートを示す。
【
図6】本発明の一実施形態である燃焼機器の燃焼後作動フローチャートを示す。
【
図7】従来の他の一実施例である燃焼機器の動作原理を表わす模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の燃焼機器1の基本構造と動作原理を説明する模式図である。以下に、
図1に基づき、本実施形態に係る燃焼機器1について、基本構造に加え、湯水の流れ、ガスの流れ等に関連付けて説明する。
本実施形態の燃焼機器1は、給湯機能を果たす給湯装置4と風呂水の追焚機能を果たす追焚装置5とを備えて概略構成される。
【0020】
また、追焚装置5には、追焚燃焼部5bとその上に設けられた追焚熱交換器(単独熱交換器)5aが設けられている。
追焚熱交換器5aを通過した燃焼ガスは追焚排気通路を通過して、給湯熱交換器4aを通過した燃焼ガスと合流し、排気口から排気される。
【0021】
(湯水の流れ)
まず、
図1に示す燃焼機器1において、追焚装置5における湯水の流れについて説明する。
循環金具15に接続された風呂戻り配管13bと風呂戻り配管13aから戻り側の配管13が構成され、循環金具15に接続された風呂往き配管14bと風呂往き配管14aから往き側の配管14が構成されている。
燃焼機器本体1の内部に設けられている循環ポンプ6を運転することにより浴槽12内の湯水が循環金具15、風呂戻り配管13bを経由して風呂戻り配管接続部13cへ給水される。
風呂戻り配管接続部13cを通った湯水は、風呂戻り配管13aを介し追焚熱交換器5aに導かれ、この追焚熱交換器5aで燃焼ガスからの顕熱を回収する。この顕熱を回収した湯水は、風呂往き配管14aを介し風呂往き配管接続部14cを通り、風呂往き配管14b、循環金具15を経由して浴槽12内に供給される。風呂往き配管14aは追焚熱交換器5aの下流側に位置し、風呂往き配管14aには風呂往きサーミスタ(温度センサ)16が組み込まれて循環水の温度を計測できるようになっている。
なお、
図1に示す燃焼機器1において、給湯装置4における給湯配管17と風呂戻り配管13aが接続配管11を介し接続され、接続配管11には注湯電磁弁10が設けられている。
【0022】
(燃焼ガスの流れ)
次に、
図1に示す燃焼機器1において、燃料ガスの流れについて説明する。
追焚装置5においては、追焚ガス電磁弁18を経由して追焚燃焼部5bに接続配管19を介し燃焼ガスが供給されて燃焼し、発生された燃焼ガスが追焚熱交換器5a及び追焚通路を通過し、排気口から器具外へ排気される。給湯装置4においては、接続配管19を介し燃焼ガスが給湯装置4に供給され、燃焼される。発生された燃焼ガスは給湯熱交換器4a及び給湯通路を通過し、追焚熱交換器5を通過した燃焼ガスと混合されて排気口から器具外へ排気される。
【0023】
次に、
図1及び
図3,
図4を用いて追焚装置における各センサの配置について説明する。
浴槽12内の湯水の温度を検出するための風呂戻りサーミスタ7は、従来構造では一般的に
図2に示すように浴槽12と循環ポンプ6の間の風呂戻り配管13aに設けられる。
しかし、本形態の燃焼機器1では、循環ポンプ6の吸込み側に、
図1、
図4(b)、(d)に示すように風呂戻りサーミスタ7が設けられている。循環ポンプ6はそのケーシング6Aに相互連通された吸込み側の配管部61と吐出側の配管部62が一体化され、吸込み側の配管部61と吐出側の配管部62の連通部分にモーターを内蔵したポンプ本体部65が一体化されている。ポンプ本体部65の外周部と吸込み側の配管部61の外周部と吐出側の配管部62の外周部はいずれもケーシング6Aとして一体化されている。
ポンプ本体部65は、一例として、
図3に示すように、吸込み側の配管部61と吐出側の配管部62の連通部分に回転翼66を配置した駆動モーター67を備えて構成される。
【0024】
図4(d)に示すように、風呂戻りサーミスタ7のセンサ部7aが、ケーシング6A内部の吸込み側の配管部61における循環路の一部まで挿入可能な貫通穴6CとOリングシール室6Dを伴なって循環ポンプ6のケーシング6Aに設けられている。循環ポンプ6において吸込み側の配管部61の内側が湯水の循環路の一部を構成する吸込み側通路63とされ、吐出側の配管部62の内側が湯水の循環路の一部を構成する吐出側通路64とされている。
貫通穴6Cに隣接するように風呂戻りサーミスタ7を固定するためのねじ穴6Eがケーシング6Aに設けられている。このねじ穴6Eに螺合したボルト20により押さえ板21が支持され、ケーシング6Aの貫通孔6Cに挿入された風呂戻りサーミスタ7が押さえ板21により抜け止めされ、固定されている。
【0025】
また、浴槽12内の湯水の水位を検出する水位センサ9は、
図4(e)に示すように、循環ポンプ6のケーシング6Aの吐出側に、風呂戻りサーミスタ7と同様に循環路までの貫通穴6F、Oリングシール室6G、固定用ねじ穴6H、6Hを伴って設けられ、ねじ固定により循環ポンプケーシング6Aに取り付けられている。
【0026】
水位センサ9の本体部9Aの両側にフランジ部9B、9Bが突出され、これらのフランジ部9Bを貫通したボルト22を前記ねじ穴6Hに螺合することで水位センサ9は循環ポンプ6のケーシング6Aに取り付けられている。水位センサ9の本体部9Aから突出された圧力検知部の先端9aが貫通穴6Fを貫通し、ケーシング6A内の循環路の一部である吐出側通路64に臨ませられている。
【0027】
以上説明の構造により、風呂戻りサーミスタ7や水位センサ9を配管内へ配置するための専用部品が不要となる。即ち、循環ポンプ6のケーシング6Aが、風呂戻りサーミスタ7や水位センサ9の取り付けのための一部部品を兼ねている。
なお、本実施形態の燃焼機器1では、ねじ固定にて風呂戻りサーミスタ7、水位センサ9をケーシング6Aに配置しているが、板金部品による抜け止め構造等、風呂戻りサーミスタ7、水位センサ9を循環ポンプ6のケーシング6Aに固定可能な方法はいずれの方法でも良く、これらの固定方法を限定するものではない。
【0028】
次に、追焚運転の際の浴槽12内に湯水が有ることを判定する方法のフローチャートを
図5に基づいて説明する。なお、
図1に示す燃焼機器1では、制御部30による各種機能を制御するためのリモコン2が設けられ、このリモコン2の操作により制御部30の機能を制御し、燃焼機器1を使用できるようになっている。制御部30は、循環ポンプ6に所定の電圧を印加し駆動させる機能の他に以下に説明する種々の機能を有している。制御部30には、後述するように風呂戻りサーミスタ7や風呂往きサーミスタ16が計測した湯水の温度情報が送られ、水位センサ9が検出した圧力の情報が送られるとともに、循環ポンプ6のモーターの回転数の情報などが送られるようになっている。
【0029】
図5に示すステップS1において、リモコン2に配置した追焚スイッチが使用者によって押されると、初めにステップS2において水位センサ9の検出圧力が求められ、ステップS3においてこの検出圧力が制御部30の記憶部に循環ポンプ停止時の圧力Psとして記憶される。
その後、ステップS4において制御部30から循環ポンプ6に所定の電圧が印加され、循環ポンプ6が駆動される。
続いて、ステップS5において制御部30は、循環ポンプ6のモーターの回転数が基準回転数となるように循環ポンプ6に印加する電圧を制御する。ステップS5において循環ポンプ6の回転数が基準回転数とほぼ等しい回転数にならない場合、制御部30はステップS6において循環ポンプ6の故障と判断し、ステップS7において循環ポンプ6を停止させ、ステップS8においてリモコン2の追焚ランプを消灯する。
【0030】
ステップS5において、循環ポンプ6の回転数が基準回転数にほぼ達したことを確認できた場合、ステップS9において水位センサ9で圧力を検出し、水位センサ9の検出圧力が所定の圧力P1を超えていれば、ステップ10において水位センサ9の検出圧力が所定の圧力P2以下であることを確認する。水位センサ9の検出圧力が所定の圧力P2以下であるならば、ステップS11において循環ポンプ6に流れる電流が所定の電流値I1を超えているか確認し、電流値I1を超えていると制御部30はステップS12において追焚運転を開始する。即ち、循環ポンプ電流に基づく循環経路異常の判定機能を制御部30に備えたこととなる。
【0031】
一方、ステップS9において水位センサ9の検出圧力が所定の圧力P1以下と判断され、かつ、ステップS13において循環ポンプ6に流れる電流が所定の電流値I1以下であると判断された場合、ステップS14において浴槽12に湯水が無いと制御部30が判断し、制御部30が、浴槽への給湯経路から湯水を供給する動作を行うか、または、追焚運転を中止する。
また、ステップS13において、循環ポンプ6に流れる電流がI1を超えていると判断されると、ステップS15において、制御部30が戻り側配管に異常が生じたと判断し、追焚運転を中止する。即ち、循環ポンプ電流に基づく循環経路異常の判定機能を制御部30に備えたこととなる。
【0032】
次に、追焚運転の際に、一定量以上湯水が循環しているか否かを判定する方法について、
図5を基に説明する。
リモコン2に配置した追焚スイッチが使用者によって押されると、先にステップS2、S3において説明した通り、初めに水位センサ9の検出圧力を制御部30の記憶部に循環ポンプ停止時の圧力Psとして記憶する。
その後、制御部30から循環ポンプ6に所定の電圧が印加され、循環ポンプ6が駆動し、循環ポンプ6の回転数が基準回転数となるように電圧を制御する。先にステップS5において説明した通りである。
【0033】
配管が正常な状態の場合、水位センサ9の検出圧力Pmが所定の圧力P1とP2の範囲内であるとき、かつ、循環ポンプに流れる電流が所定の電流値I1を超えている場合、先に説明したようにステップS9、S10、S11に従い、制御部30は、一定量以上湯水が循環していると判断し、追焚燃焼動作を行う。
燃焼機器1における正常な配管状態での循環流量は7~9L/分程度に設定されており、その時の水位センサ9の検出圧力は、循環ポンプ6の停止時の圧力Psに対して、約24倍の値となる。
【0034】
ここで、循環ポンプ6より吸込み側(上流側)の配管に、ホース折れや異物による閉塞が発生した場合、循環流量の低下と共に、水位センサ9の検出圧力が前述の検出圧力Pmに対し低下する。循環性能と高温出湯防止のため、循環流量が2~4L/分まで低下した状態を想定した水位センサ9の検出圧力P1を閉塞発生の場合の判定のしきい値とすることができる。
このしきい値P1を用いることで、前述のステップS9における判断ができる。即ち、圧力変化に基づく循環経路異常の判定機能を制御部30に備えたこととなる。
【0035】
本実施形態の場合、燃焼機器1では、循環ポンプ6の停止時の圧力Psに対して、約10倍の値をしきい値P1と設定するが、停止時の圧力Psに対する加減算(P1=Ps±α)での設定や、前述の検出圧力Pmに対する加減算、乗除算での設定値をしきい値としても良い。
【0036】
次に、循環ポンプ6より吐出側(下流側)の配管に、ホース折れや異物による閉塞が発生した場合、循環流量の低下とともに、水位センサ9の検出圧力が前述の検出圧力Pmに対し上昇する。循環性能と高温出湯防止のため、循環流量が2~4L/分まで低下した状態を想定した水位センサ9の検出圧力P2を判定のしきい値とする。
このしきい値P2を用いることで、前述のステップS10における判断ができる。即ち、圧力変化に基づく循環経路異常の判定機能を制御部30に備えたこととなる。
燃焼機器1では、循環ポンプ6の停止時の圧力Psに対して、約38倍の値をしきい値の検出圧力P2と設定するが、停止時の圧力Psに対する加減算(P1=Ps±α)での設定や、前述の検出圧力Pmに対する加減算、乗除算での設定値をしきい値としても良い。
【0037】
ステップS16において、循環ポンプ6に流れる電流がI1以上であると判断されると、ステップS17において、制御部30が循環ポンプ6が故障したと判断し、制御部30は追い焚き運転を中止する。また、ステップS16において循環ポンプ6に流れる電流がI1未満であると判断されると、制御部30が往き側配管に異常が生じたと判断し、制御部30が追い焚き運転を中止する。
【0038】
次に、水位センサ9の位置別のPs、Pm、P1、P2を比較する。
図2に示す従来装置のように循環ポンプ6より吸込み側(上流側)の配管に水位センサ9を配置した場合、循環ポンプ駆動時の検出圧力Pmは、約-20kPaの負圧、P1は約-35kPaの負圧、P2は-5kPaの負圧となり、正常な状態を判定するP1とP2との差は約30kPa程度である。
一方、
図1に示す燃焼機器1では、循環ポンプ駆動時の検出圧力Pmは約48kPaの正圧となり、P1は約20kPaの正圧となり、P2は約75kPaの正圧となり、正常な状態を判定するP1とP2との差は約55kPa程度であり、吸込み側(上流側)の配管に水位センサ9を配置した
図2に示す従来装置の場合(約30kPa)に対して約1.8倍以上の圧力範囲を確保することができる。
【0039】
即ち、循環ポンプ6のケーシング6Aにおいて吐出側通路64に水位センサの圧力検知部の先端9aを取り付けることにより、循環ポンプ6の運転時の水位センサ9の検出圧力によって循環経路の状態を判定する場合、循環ポンプ6の吸込み側に取り付けた場合に比べ、正常時と異常時との圧力差を相対的に、例えば、約1.8倍も大きくすることができ、判別の範囲を広くすることができる。これによって、水位センサ9の検出圧力のバラツキや水位変動による検出誤差を吸収し、より精度の高い判定ができるようになる。
【0040】
次に、循環ポンプ6の駆動時の圧力Pmが、P1を下回った場合の異常判定フローチャートを
図5を基に説明する。
ステップS9において、循環ポンプ6の駆動時の圧力Pmが、P1を下回ったと判断された場合、浴槽12に湯水が無い場合か、循環ポンプ6より吸込み側(上流側)の配管がホース折れや異物により閉塞を生じていることが想定される。
この時、循環ポンプ6に流れる電流値がステップS13においてI1以下と判断された場合、ステップS14に示すように浴槽12に湯水が無いと判定し、循環ポンプ6に流れる電流値がI1を超えた場合、ステップS15に示すように配管の異常(閉塞)と判定できる。
制御部30はリモコン2の表示部に、浴槽12に湯水がないか、配管の異常であるか、これらを区別して表示することが可能となる。
【0041】
また、
図7に示すように循環ポンプ6より吐出側(下流側)の配管(風呂往き配管14a)に水位センサ9を配置した場合、循環ポンプ6の駆動時の圧力Pmは、配管や熱交換器の圧力損失があるため、約25kPaの正圧となり、P2は約15kPaの正圧となり、P3は約70kPaの正圧となり、循環ポンプ6の駆動時の圧力Pmと循環ポンプ6より吸込み側(上流側)の配管の閉塞状態を判定するP1との差は約10kPa程度である。
【0042】
これに対して
図1に示す構成の燃焼機器1では、循環ポンプ6の吐出側ケーシング6Aに水位センサ9を配置し、水位センサ9の検出部を循環ポンプ6の吐出側の最上流側の位置としているため、駆動時の圧力Pmを循環ポンプ6の吐出圧力の最大値とすることが可能となり、P1との差は約28kPaと約2.8倍以上の圧力範囲を確保することができる。
また、
図1に示す燃焼機器1では、循環ポンプ6の吐出側(下流側)の配管の全ての部分において、閉塞等の異常が発生しても検出が可能となる。
【0043】
ステップS10において、水位センサ9の検出圧力Pmが所定の圧力P2を超えた場合、ステップS16において循環ポンプ6に流れる電流値を測定し、電流値がI1を超えた場合、ステップS17に示すように往き側の配管の異常(閉塞)と判定できる。電流値がI1以下であった場合、ステップS18に示すように循環ポンプ6が故障したと判断できる。
制御部30はリモコン2の表示部に、循環ポンプ6の故障であるか、往き側配管の異常であるか、これらを区別して表示することが可能となる。
【0044】
次に、配管状態を正常と判定後、追焚運転を実行中にホース折れや異物による閉塞により配管状態が異常となった場合の判定方法のフローチャートについて
図6を基に説明する。
浴槽12と燃焼機器1との間の循環配管に温水用ゴムホースを使用し、浴槽12と床との間に温水ゴムホースが挟まっていた場合、冷水では押しつぶされない状態となるが、追焚運転により、配管内の水が温められることによって、ゴムホースが軟化し、ホース折れが発生する場合がある。
【0045】
このような場合を想定し、燃焼機器1では、追焚運転中においても水位センサ9の検出圧力が所定の圧力範囲(P1×0.95~P2の間)にあることをステップS30において確認し、範囲外となった場合は、燃焼を停止する。ここで、前記検出圧力が範囲外か判定する際の検出時間は、頻繁な追焚燃焼ON、OFFの繰返しを避けるため、約2秒程度とすることが好ましい。
【0046】
ステップS30において所定の圧力範囲(P1×0.95~P2の間)にあると判断できた場合、
図5に基づき先に説明したステップS13、S14、S15においてなされる判断と同等の判断がなされ、ステップS10、S16、S17、S18においてなされる判断と同等の判断がなされる。ステップS15、S18において配管異常と判断された場合は、ステップS40に示すように追焚運転が停止される。
【0047】
しかし、まれに急激なホース折れによって、前記検出時間後に燃焼を停止するのでは、急激な配管内の圧力上昇を抑制できず、ホースが抜けてしまうといった事象が発生するおそれがある。このため、燃焼機器1では、急激なホース折れに対して、ステップS31に示すように水位センサ9の検出圧力の急激な低下を検出した時点でステップS戻り側配管異常と判断し、あるいは、ステップS32に示すように水位センサ9の検出圧力の急激な上昇を検出した時点でステップS34において往き側配管異常と判断し、即時にステップ31に示すように燃焼を停止する構成とする。具体的には、約0.5秒以内で10kPa以上変動した場合に、即時に燃焼を停止する。
【0048】
また、本実施形態の燃焼機器1では、水位センサ故障時等を考慮し、循環経路内に配置したサーミスタの検知温度を基に配管の異常時に判定する機能を追加している。
追焚運転を実行中にホース折れや異物による閉塞により循環流量が一定量以下となった場合、循環経路内の追焚熱交換器5aより上流側に設けた風呂戻りサーミスタ7と追焚熱交換器5aより下流側に設けた風呂往きサーミスタ16との温度差が基準値より上昇することを検出し、即時に燃焼を停止する。
【0049】
ステップS35に示すように風呂往きサーミスタ16の検出温度と風呂戻りサーミスタ7の検出温度の温度差が基準値を超えた場合、ステップS36において配管異常と判断してステップS40に示すように追焚運転を中止する。
また、ステップS37に示すように風呂往きサーミスタ16の検出温度と風呂戻りサーミスタ7の検出温度の温度差が基準値を下回った場合、ステップS38において戻り側配管異常と判断してステップS40に示すように追焚運転を中止する。
即ち、温度差に基づく循環経路異常の判定機能を制御部30に備えたこととなる。
【0050】
温度差は追焚燃焼量に対して循環流量が2~4L/分より低下した場合の温度差を計算し、適用する。
さらに、循環ポンプ6より吐出側(下流側)の配管が急激にかつ完全に閉塞した場合、追焚熱交換器5aにて加熱された湯水が逆流することを想定し、前記風呂戻りサーミスタ7の検出温度が風呂往きサーミスタ16の検出温度を基準値以上高くなった場合においてもステップS39において判断し、ステップS40に示すように即時に燃焼を停止し、循環ポンプ6を停止する。これにより、追焚燃焼中の配管閉塞異常について、より安全性の高い燃焼機器1とすることができる。
【0051】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また本発明は実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0052】
1…燃焼機器、2…リモコン、3…制御部、4…給湯装置、4a…給湯熱交換器、
4b…給湯燃焼部(燃焼部)、5…追焚装置、5a…追焚熱交換器、
5b…追焚燃焼部(燃焼部)、
6…循環ポンプ、6A…ケーシング、7…風呂戻りサーミスタ(温度センサ)、7a…センサ部、
8…水流スイッチ、9…水位センサ、9A…本体部、9a…先端、
10…注湯電磁弁、11…接続配管、12…浴槽、13a、13b…風呂戻り配管、
14a、14b…風呂往き配管、15…循環金具、16…風呂往きサーミスタ(温度センサ)、
18…追焚ガス電磁弁、19…接続配管、30…制御部、
61…吸込み側の配管部、62…吐出側の配管部、63…吸込み側通路、64…吐出側通路、65…ポンプ本体部。