(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-23
(45)【発行日】2023-07-03
(54)【発明の名称】基板作業装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
(21)【出願番号】P 2019135048
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】伊原 ▲学▼
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-258805(JP,A)
【文献】特開2005-064222(JP,A)
【文献】特開2008-198685(JP,A)
【文献】特開2013-243231(JP,A)
【文献】特開2004-186308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
基板の上方を移動するとともに前記基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、
前記基台に設けられ、水平方向のうちの前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、
前記基台の前記第1支柱および前記第2支柱のそれぞれに対して前記第1方向に対向する位置に設けられ、前記第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、
一対の前記第1支柱および前記第2支柱と一対の前記第3支柱および前記第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、前記第2方向に移動可能に前記第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、
前記第2支持部は、前記第1支柱と前記第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、
前記第3支持部は、前記第3支柱と前記第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含
み、
前記第1支持部は、前記第2支持部および前記第3支持部の各々の上面に前記第2方向に移動可能に取り付けられている、基板作業装置。
【請求項2】
基台と、
基板の上方を移動するとともに前記基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、
前記基台に設けられ、水平方向のうちの前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、
前記基台の前記第1支柱および前記第2支柱のそれぞれに対して前記第1方向に対向する位置に設けられ、前記第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、
一対の前記第1支柱および前記第2支柱と一対の前記第3支柱および前記第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、前記第2方向に移動可能に前記第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、
前記第2支持部は、前記第1支柱と前記第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、
前記第3支持部は、前記第3支柱と前記第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含み、
前記第1高剛性部および前記第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されており、
前記第2支持部の全体が、一対の前記第1支柱および前記第2支柱とは別に設けられる前記第1高剛性部により構成され、
前記第3支持部の全体が、一対の前記第3支柱および前記第4支柱とは別に設けられる前記第2高剛性部により構成されており、
前記第1高剛性部により構成される前記第2支持部を一対の前記第1支柱および前記第2支柱に取り付ける第1締結部材と、
前記第2高剛性部により構成される前記第3支持部を一対の前記第3支柱および前記第4支柱に取り付ける第2締結部材とをさらに備え、
前記第2支持部および前記第3支持部の各々の上面には、それぞれ、前記第1締結部材および前記第2締結部材を挿入する第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されている、基板作業装置。
【請求項3】
基台と、
基板の上方を移動するとともに前記基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、
前記基台に設けられ、水平方向のうちの前記第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、
前記基台の前記第1支柱および前記第2支柱のそれぞれに対して前記第1方向に対向する位置に設けられ、前記第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、
一対の前記第1支柱および前記第2支柱と一対の前記第3支柱および前記第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、前記第2方向に移動可能に前記第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、
前記第2支持部は、前記第1支柱と前記第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、
前記第3支持部は、前記第3支柱と前記第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含み、
前記第1高剛性部および前記第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されており、
前記第2支持部の全体が、一対の前記第1支柱および前記第2支柱とは別に設けられる前記第1高剛性部により構成され、
前記第3支持部の全体が、一対の前記第3支柱および前記第4支柱とは別に設けられる前記第2高剛性部により構成されており、
前記第2支持部および前記第3支持部の各々は、
前記第1支持部を移動可能に支持するガイド部材が設置される第1部分と、
前記基台の前記第1方向における中央部とは反対側に向かって前記第1部分の下端部から突出し、前記第1支持部を前記第2方向へ移動させるための駆動部材が設置される第2部分とを含む、基板作業装置。
【請求項4】
前記第1高剛性部および前記第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されている、請求項1に記載の基板作業装置。
【請求項5】
前記基台に設けられ、前記基板を搬送する基板搬送部をさらに備え、
一対の前記第1支柱および前記第2支柱の各々は、前記第2方向において、前記基板搬送部を挟むように所定の間隔を隔てて配置され、
一対の前記第3支柱および前記第4支柱の各々は、前記第2方向において、前記基板搬送部を挟むように所定の間隔を隔てて配置され、
前記第1高剛性部は、前記第2方向において、少なくとも前記第1支柱の内側端部から前記第2支柱の内側端部にわたる範囲に設けられ、
前記第2高剛性部は、前記第2方向において、少なくとも前記第3支柱の内側端部から前記第4支柱の内側端部にわたる範囲に設けられている、請求項
4に記載の基板作業装置。
【請求項6】
前記基台と前記第1支柱、前記第2支柱、前記第3支柱および前記第4支柱とは、鋳鉄により一体的に形成されている、請求項
4または
5に記載の基板作業装置。
【請求項7】
前記第2支持部の全体が、一対の前記第1支柱および前記第2支柱とは別に設けられる前記第1高剛性部により構成され、
前記第3支持部の全体が、一対の前記第3支柱および前記第4支柱とは別に設けられる前記第2高剛性部により構成されている、請求項
4~
6のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項8】
前記第1高剛性部により構成される前記第2支持部を一対の前記第1支柱および前記第2支柱に取り付ける第1締結部材と、
前記第2高剛性部により構成される前記第3支持部を一対の前記第3支柱および前記第4支柱に取り付ける第2締結部材とをさらに備え、
前記第2支持部および前記第3支持部の各々の上面には、それぞれ、前記第1締結部材および前記第2締結部材を挿入する第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されている、請求項
7に記載の基板作業装置。
【請求項9】
前記第2支持部および前記第3支持部の各々は、
前記第1支持部を移動可能に支持するガイド部材が設置される第1部分と、
前記基台の前記第1方向における中央部とは反対側に向かって前記第1部分の下端部から突出し、前記第1支持部を前記第2方向へ移動させるための駆動部材が設置される第2部分とを含む、請求項
7または
8に記載の基板作業装置。
【請求項10】
前記第1支持部には、前記第1支持部を前記第2方向へ移動させるためのリニアモータの可動子が設けられており、
前記ガイド部材は、前記第1部分に設けられ、前記第1支持部の前記第2方向への移動をガイドするガイドレールを有し、
前記駆動部材は、前記第1支持部のリニアモータの可動子に対応して前記第2部分に設けられ、前記第1支持部を前記第2方向へ移動させるためのリニアモータの固定子を有する、請求項
3または9に記載の基板作業装置。
【請求項11】
一対の前記第2支持部および前記第3支持部は、それぞれ、
支持部本体と、
一対の前記第2支持部および前記第3支持部のそれぞれの一部として、前記支持部本体に取り付けられる前記第1高剛性部および前記第2高剛性部とを有する、請求項
4~
6のいずれか1項に記載の基板作業装置。
【請求項12】
基台と、前記基台に設けられ、水平方向のうちの第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、一対の第3支柱および第4支柱とを鋳鉄により一体的に形成する工程と、
鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により、ヘッドユニットを前記第1方向に移動可能に支持する第1支持部を
各々の上面に前記第2方向に移動可能に取り付けて支持する第2支持部および第3支持部を形成する工程と、
前記基台に設けられた一対の前記第1支柱および前記第2支柱に前記第2支持部を組み付けるとともに、一対の前記第3支柱および前記第4支柱に前記第3支持部を組み付ける工程と、
前記第2支持部および前記第3支持部を組み付けた後、前記基台の上面を平面にする加工と前記基台の上面に対して平行な面を前記第2支持部および前記第3支持部の各々に形成する加工とを行う工程とを備える、基板作業装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板作業装置およびその製造方法に関し、特に、基台とヘッドユニットとを備える基板作業装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基台と、ヘッドユニットとを備える基板作業装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、基台と、実装ヘッド(ヘッドユニット)とを備える部品実装装置(基板作業装置)が開示されている。また、この部品実装装置は、X軸ビームと、一対のX軸ビーム支持体とを備えている。
【0004】
上記特許文献1の実装ヘッドは、吸着した部品を基板に実装するように構成されている。X軸ビームは、基板の搬送方向に移動可能な状態で実装ヘッドを支持している。一対のX軸ビーム支持体の各々は、基板の搬送方向に直交する方向に移動可能な状態でX軸ビームを支持している。一対のX軸ビーム支持体と基台とは、一体的に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、基台は一般的に鋳鉄により形成されているので、一対のX軸ビーム支持体と基台とを一体的に形成した場合、一対のX軸ビーム支持体は、基台と同様に鋳鉄により形成されていると考えられる。この場合、実装ヘッドの移動に伴って一対のX軸ビーム支持体に作用した荷重により、一対のX軸ビーム支持体が撓みやすいという不都合がある。このため、上記特許文献1の部品実装装置では、実装ヘッドの移動に伴う一対のX軸ビーム支持体の撓みに起因して実装ヘッドが振動するので、実装ヘッドの振動が収まるまでの間、実装ヘッド(ヘッドユニット)による基板への実装精度(作業精度)が低下するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下を抑制することが可能な基板作業装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による基板作業装置は、基台と、基板の上方を移動するとともに基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、基台に設けられ、水平方向のうちの第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、基台の第1支柱および第2支柱のそれぞれに対して第1方向に対向する位置に設けられ、第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、一対の第1支柱および第2支柱と一対の第3支柱および第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、第2方向に移動可能に第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、第2支持部は、第1支柱と第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、第3支持部は、第3支柱と第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含み、第1支持部は、第2支持部および第3支持部の各々の上面に第2方向に移動可能に取り付けられている。
【0009】
この発明の第1の局面による基板作業装置では、上記のように、一対の第1支柱および第2支柱と一対の第3支柱および第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、第2方向に移動可能に第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部を設ける。そして、第2支持部に、第1支柱と第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を設ける。また、第3支持部に、第3支柱と第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を設ける。これにより、ヘッドユニットの移動に伴って一対の第2支持部および第3支持部に荷重が作用した場合でも、第1高剛性部および第2高剛性部のそれぞれにより一対の第2支持部および第3支持部の撓みを抑制することができる。その結果、一対の第2支持部および第3支持部の撓みに起因するヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下を抑制することができる。また、ヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットの振動が収まるまでの間、ヘッドユニットによる基板への作業を停止する必要がないので、ヘッドユニットによる基板への作業時間が長くなるのを抑制することができる。また、ヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットの移動速度をより速くすることができるので、ヘッドユニットによる基板への作業時間の短縮を図ることができる。また、第1高剛性部および第2高剛性部を設けることにより、一対の第2支持部および第3支持部の肉厚を大きくする必要がないので、基板作業装置の大型化を抑制することができる。
この発明の第2の局面による基板作業装置は、基台と、基板の上方を移動するとともに基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、基台に設けられ、水平方向のうちの第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、基台の第1支柱および第2支柱のそれぞれに対して第1方向に対向する位置に設けられ、第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、一対の第1支柱および第2支柱と一対の第3支柱および第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、第2方向に移動可能に第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、第2支持部は、第1支柱と第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、第3支持部は、第3支柱と第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含み、第1高剛性部および第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されており、第2支持部の全体が、一対の第1支柱および第2支柱とは別に設けられる第1高剛性部により構成され、第3支持部の全体が、一対の第3支柱および第4支柱とは別に設けられる第2高剛性部により構成されており、第1高剛性部により構成される第2支持部を一対の第1支柱および第2支柱に取り付ける第1締結部材と、第2高剛性部により構成される第3支持部を一対の第3支柱および第4支柱に取り付ける第2締結部材とをさらに備え、第2支持部および第3支持部の各々の上面には、それぞれ、第1締結部材および第2締結部材を挿入する第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されている。
これにより、第1締結部材および第2締結部材をそれぞれ第1ざぐり孔内および第2ざぐり孔内に収容することができるので、第2支持部および第3支持部の上面に配置される他の構成に対して第1締結部材および第2締結部材が干渉することを防止することができる。第1高剛性部および第2高剛性部のそれぞれにより構成される一対の第2支持部および第3支持部に、それぞれ、第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されるので、第1ざぐり孔および第2ざぐり孔の形成による第2支持部および第3支持部の各々の強度の低下を極力抑え、必要な強度を確保することができる。
この発明の第3の局面による基板作業装置は、基台と、基板の上方を移動するとともに基板に対して所定の作業を行うヘッドユニットと、ヘッドユニットを水平方向のうちの第1方向に移動可能に支持する第1支持部と、基台に設けられ、水平方向のうちの第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、基台の第1支柱および第2支柱のそれぞれに対して第1方向に対向する位置に設けられ、第2方向に対向する一対の第3支柱および第4支柱と、一対の第1支柱および第2支柱と一対の第3支柱および第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、第2方向に移動可能に第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部とを備え、第2支持部は、第1支柱と第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を含み、第3支持部は、第3支柱と第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含み、第1高剛性部および第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されており、第2支持部の全体が、一対の第1支柱および第2支柱とは別に設けられる第1高剛性部により構成され、第3支持部の全体が、一対の第3支柱および第4支柱とは別に設けられる第2高剛性部により構成されており、第2支持部および第3支持部の各々は、第1支持部を移動可能に支持するガイド部材が設置される第1部分と、基台の第1方向における中央部とは反対側に向かって第1部分の下端部から突出し、第1支持部を第2方向へ移動させるための駆動部材が設置される第2部分とを含む。
これにより、基台の第1方向における中央部とは反対側に向かって第1部分の下端部から第2部分を突出させることにより、第1部分のみにより構成される第2支持部と比較して、一対の第2支持部および第3支持部の剛性を大きくすることができる。
【0010】
この発明の第1の局面による基板作業装置において、好ましくは、第1高剛性部および第2高剛性部の各々は、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成されている。このように構成すれば、構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材を用いて鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性部を容易に形成することができるので、高剛性の第2支持部および第3支持部を容易に実現することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、基台に設けられ、基板を搬送する基板搬送部をさらに備え、一対の第1支柱および第2支柱の各々は、第2方向において、基板搬送部を挟むように所定の間隔を隔てて配置され、一対の第3支柱および第4支柱の各々は、第2方向において、基板搬送部を挟むように所定の間隔を隔てて配置され、第1高剛性部は、第2方向において、少なくとも第1支柱の内側端部から第2支柱の内側端部にわたる範囲に設けられ、第2高剛性部は、第2方向において、少なくとも第3支柱の内側端部から第4支柱の内側端部にわたる範囲に設けられている。このように構成すれば、一対の第2支持部および第3支持部のうちヘッドユニットの移動に伴って撓みやすい箇所に第1高剛性部および第2高剛性部を設けることにより、ヘッドユニットの移動に伴う一対の第2支持部および第3支持部の撓みを効果的に抑制することができる。また、第1支持部から第2支持部に加わる力を第1支柱および第2支柱に効率よく分散することができるとともに、第2支持部の撓みをより確実に回避することができる。加えて、第1支持部から第2支持部に加わる力を第3支柱および第4支柱に効率よく分散することができるとともに、第2支持部の撓みをより確実に回避することができる。
【0012】
上記構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成される高剛性部を備える基板作業装置において、好ましくは、基台と第1支柱、第2支柱、第3支柱および第4支柱とは、鋳鉄により一体的に形成されている。このように構成すれば、基台と第1支柱、第2支柱、第3支柱および第4支柱とを別に製造して基台に第1支柱、第2支柱、第3支柱および第4支柱を取り付ける場合と比較して、基板作業装置の部品点数を減少させることができるとともに、基板作業装置の構造を簡素化することができる。
【0013】
上記構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成される高剛性部を備える基板作業装置において、好ましくは、第2支持部の全体が、一対の第1支柱および第2支柱とは別に設けられる第1高剛性部により構成され、第3支持部の全体が、一対の第3支柱および第4支柱とは別に設けられる第2高剛性部により構成されている。このように構成すれば、ヘッドユニットを支持する一対の第2支持部および第3支持部の全体をそれぞれ第1高剛性部および第2高剛性部により形成することができるので、一対の第2支持部および第3支持部をより撓みにくくすることができる。その結果、一対の第2支持部および第3支持部の撓みに起因するヘッドユニットの振動をより抑制することにより、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下をより抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、第1高剛性部により構成される第2支持部を一対の第1支柱および第2支柱に取り付ける第1締結部材と、第2高剛性部により構成される第3支持部を一対の第3支柱および第4支柱に取り付ける第2締結部材とをさらに備え、第2支持部および第3支持部の各々の上面には、それぞれ、第1締結部材および第2締結部材を挿入する第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されている。このように構成すれば、第1締結部材および第2締結部材をそれぞれ第1ざぐり孔内および第2ざぐり孔内に収容することができるので、第2支持部および第3支持部の上面に配置される他の構成に対して第1締結部材および第2締結部材が干渉することを防止することができる。第1高剛性部および第2高剛性部のそれぞれにより構成される一対の第2支持部および第3支持部に、それぞれ、第1ざぐり孔および第2ざぐり孔が形成されるので、第1ざぐり孔および第2ざぐり孔の形成による第2支持部および第3支持部の各々の強度の低下を極力抑え、必要な強度を確保することができる。
【0015】
上記全体を高剛性部により構成する第2支持部を備える基板作業装置において、好ましくは、第2支持部および第3支持部の各々は、第1支持部を移動可能に支持するガイド部材が設置される第1部分と、基台の第1方向における中央部とは反対側に向かって第1部分の下端部から突出し、第1支持部を第2方向へ移動させるための駆動部材が設置される第2部分とを含む。このように構成すれば、基台の第1方向における中央部とは反対側に向かって第1部分の下端部から第2部分を突出させることにより、第1部分のみにより構成される第2支持部と比較して、一対の第2支持部および第3支持部の剛性を大きくすることができる。
【0016】
この場合、または、第3の局面による基板作業装置において、好ましくは、第1支持部には、第1支持部を第2方向へ移動させるためのリニアモータの可動子が設けられており、ガイド部材は、第1部分に設けられ、第1支持部の第2方向への移動をガイドするガイドレールを有し、駆動部材は、第1支持部のリニアモータの可動子に対応して第2部分に設けられ、第1支持部を第2方向へ移動させるためのリニアモータの固定子を有する。このように構成すれば、第2支持部の第1部分および第2部分により直線状に延びるガイドレールおよびリニアモータの固定子を配置することができるので、基板作業装置の大型化をより一層抑制することができる。
【0017】
上記構造用鉄鋼材、構造用炭素鋼材またはカーボン材により形成される高剛性部を備える基板作業装置において、好ましくは、一対の第2支持部および第3支持部は、それぞれ、支持部本体と、一対の第2支持部および第3支持部のそれぞれの一部として、支持部本体に取り付けられる第1高剛性部および第2高剛性部とを有する。このように構成すれば、第1高剛性部を支持部本体に取り付けるだけで第2支持部を撓みにくくすることができるとともに、第2高剛性部を支持部本体に取り付けるだけで第3支持部を撓みにくくすることができるので、基板作業装置の構造の複雑化を抑制することができる。
【0018】
この発明の第4の局面による基板作業装置製造方法は、基台と、基台に設けられ、水平方向のうちの第1方向に直交する第2方向に対向する一対の第1支柱および第2支柱と、一対の第3支柱および第4支柱とを鋳鉄により一体的に形成する工程と、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により、ヘッドユニットを第1方向に移動可能に支持する第1支持部を各々の上面に第2方向に移動可能に取り付けて支持する第2支持部および第3支持部を形成する工程と、基台に設けられた一対の第1支柱および第2支柱に第2支持部を組み付けるとともに、一対の第3支柱および第4支柱に第3支持部を組み付ける工程と、第2支持部および第3支持部を組み付けた後、基台の上面を平面にする加工と基台の上面に対して平行な面を第2支持部および第3支持部の各々に形成する加工とを行う工程とを備える。
【0019】
この発明の第4の局面による基板作業装置製造方法では、上記のように、一対の第1支柱および第2支柱と一対の第3支柱および第4支柱とのそれぞれにまたがって設けられ、第2方向に移動可能に第1支持部を支持する一対の第2支持部および第3支持部を設ける。そして、第2支持部に、第1支柱と第2支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第1高剛性部を設ける。また、第3支持部は、第3支柱と第4支柱とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された第2高剛性部を含む。これにより、ヘッドユニットの移動に伴って一対の第2支持部および第3支持部に荷重が作用した場合でも、第1高剛性部および第2高剛性部のそれぞれにより一対の第2支持部および第3支持部の撓みを抑制することができる。その結果、一対の第2支持部および第3支持部の撓みに起因する第1支持部の第1方向の変位を極力抑えることができ、この結果、ヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下を抑制することが可能な基板作業装置製造方法を得ることができる。また、基板作業装置製造方法に、第2支持部および第3支持部を組み付けた後、基台の上面を平面にする加工と基台の上面に対して平行な面を第2支持部および第3支持部の各々に形成する加工を行う工程を設ける。これにより、平面加工を行った基台に平面加工を行った第2支持部および第3支持部を組み付ける場合と異なり、基台の上面と第2支持部および第3支持部の各々の面とを確実に平行にすることができる。その結果、第2支持部および第3支持部により第1支持部を介して支持されるヘッドユニットの配置位置の精度を向上させることができるので、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下をより抑制することができる。また、平面加工を行った基台に平面加工を行った第2支持部および第3支持部を組み付ける場合と異なり、基台の上面と第2支持部および第3支持部の各々の面とを確実に平行にすることができるので、基台の上面と第2支持部および第3支持部の各々の面とを平行にするための調整工程を省略することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、上記のように、ヘッドユニットの振動を抑制することにより、ヘッドユニットによる基板への作業精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1および第2実施形態による部品実装装置の概略を示した平面図である。
【
図2】第1および第2実施形態による部品実装装置の概略を示した正面図である。
【
図3】第1実施形態による部品実装装置の基台および第1~第4支柱と第2支持部とを示した斜視図である。
【
図4】第1実施形態による部品実装装置の基台および第1~第4支柱と第2支持部とを示した平面図である。
【
図5】
図4の110-110線に沿った断面図である。
【
図6】第1実施形態による部品実装装置の制御的な構成を示したブロック図である。
【
図7】第1実施形態による部品実装装置の製造方法を示したフローチャートである。
【
図8】第1実施形態による部品実装装置の製造方法の組付工程において、第1~第4支柱に第2支持部を組み付ける前の状態を示した斜視図である。
【
図9】第1実施形態による部品実装装置の製造方法の組付工程において、第1~第4支柱に第2支持部を組み付けた後の状態を示した斜視図である。
【
図10】
図9の120-120線に沿った断面図である。
【
図11】第1実施形態による部品実装装置の製造方法の平面加工工程において、基板の上面および第2支持部の上面を平面加工した後の状態を示した斜視図である。
【
図13】第2実施形態による部品実装装置の基台および第1~第4支柱と第2支持部とを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1~
図6を参照して、第1実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。なお、部品実装装置100は、特許請求の範囲の「基板作業装置」の一例である。
【0024】
図1に示すように、部品実装装置100は、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの電子部品Eをプリント基板などの基板Bに実装するように構成されている。
【0025】
ここで、部品実装装置100において、基板Bを搬送する搬送方向をX1方向とし、基板Bを搬送する搬送方向の逆方向をX2方向とし、X1方向およびX2方向を合わせた方向をX方向とする。また、水平方向のうちのX方向に直交する方向をY方向とし、Y方向の一方をY1方向とし、Y方向の他方をY2方向とする。また、X方向およびY方向に直交する上下方向をZ方向とする。なお、X方向は、特許請求の範囲の「第1方向」の一例である。また、Y方向は、特許請求の範囲の「第2方向」の一例である。
【0026】
部品実装装置100は、基台1と、フィーダ配置部2と、複数(4個)の支柱3と、基板搬送部4と、ヘッドユニット5と、第1支持部6と、リニアモータ7と、一対の第2支持部8と、締結部材9(
図5参照)と、部品認識カメラ10と、基板認識カメラ11と、制御部12とを備えている。なお、一対の第2支持部8は、特許請求の範囲の「一対の第2支持部および第3支持部」の一例である。
【0027】
(基台)
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1は、鋳鉄により形成されている。ここで、基台1には、約160[GPa]以下のヤング率を有する鋳鉄が用いられることが好ましい。基台1は、鋳鉄の中でもFCD(Ferrum Casting Ductile)450(ダクタイル鋳鉄材)により形成されることがより好ましい。
【0028】
基台1上には、構成要素として、複数の支柱3、基板搬送部4、および、部品認識カメラ10が設けられている。また、基台1内には、制御部12が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のテープフィーダ21を配置可能なフィーダ配置部2が設けられている。
【0029】
(テープフィーダ)
テープフィーダ21は、基板Bに実装される電子部品Eを供給する装置である。テープフィーダ21は、複数の電子部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープを巻き回したリール(図示せず)を保持している。また、テープフィーダ21は、ヘッドユニット5による電子部品Eの取り出しのための部品保持動作に応じて、テープを送り出すように構成されている。テープフィーダ21は、テープを送り出すことにより、作業位置側の先端部(吸着位置)から電子部品Eを供給するように構成されている。
【0030】
(複数の支柱)
図2に示すように、複数の支柱3は、第2支持部8を支持するように構成されている。複数の支柱3と基台1とは、鋳鉄により一体的に形成されている。すなわち、複数の支柱3は、鋳鉄により形成されている。複数の支柱3には、基台1と同様に、約160[GPa]以下のヤング率を有する鋳鉄が用いられることが好ましい。複数の支柱3は、基台1と同様に、鋳鉄の中でもFCD450により形成されることがより好ましい。
【0031】
図3に示すように、複数の支柱3は、一対の第1支柱31および第2支柱32と、一対の第3支柱33および第4支柱34とを含んでいる。
【0032】
一対の第1支柱31および第2支柱32は、Y方向に対向している。一対の第3支柱33および第4支柱34は、Y方向に対向している。一対の第3支柱33および第4支柱34は、それぞれ、一対の第1支柱31および第2支柱32に対してX1方向において対向する位置に配置されている。
【0033】
詳細には、第1支柱31は、X2方向側かつY2方向側に配置されている。第2支柱32は、X2方向側かつY1方向側に配置されている。第3支柱33は、X1方向側かつY2方向側に配置されている。第4支柱34は、X1方向側かつY1方向側に配置されている。第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34は、それぞれ、基台1のZ1方向側の面(上面)からZ1方向に向かって突出している。第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34は、それぞれ、X1方向側からみて略台形形状に形成されている。つまり、第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34は、それぞれ、Y方向において、基台1の端部から突出した部分を有している。
【0034】
第1支柱31と第3支柱33とは、基台1に設けられ、X方向に対向している。第2支柱32と第4支柱34とは、基台1に設けられ、X方向に対向している。また、第1支柱31と第2支柱32とは、Y方向において、基板搬送部4を挟むように所定の間隔M1を隔てて対向している。また、第3支柱33と第4支柱34とは、Y方向において、基板搬送部4を挟むように所定の間隔M2を隔てて対向している。これらにより、第1支柱31と第2支柱32との間および第3支柱33と第4支柱34との間には、基板搬送部4が通過するための搬送用空間35が形成されている。
【0035】
(基板搬送部)
図1に示すように、基板搬送部4は、部品実装装置100の外部から基板Bを搬入し、基板Bを搬送方向(X1方向)に搬送するように構成されている。すなわち、基板搬送部4は、基台1に設けられ、基板Bを搬送するように構成されている。基板搬送部4は、一対のコンベア部41と、一対のコンベア部41を回転駆動させるための駆動モータ42(
図6参照)とを含んでいる。一対のコンベア部41は、それぞれ、プーリ(図示せず)と、プーリに掛け回された輪状の搬送ベルトとを有している。一対のコンベア部41上に載置された基板Bの搬送速度は、制御部12により駆動モータ42を制御することによって制御される。
【0036】
(ヘッドユニット)
ヘッドユニット5は、
図2に示すように、部品実装用のヘッドユニット5であり、基板BのZ1方向(上方)を移動するとともに基板Bに対して所定の作業(実装作業)を行うように構成されている。つまり、ヘッドユニット5は、作業位置において固定された基板Bに電子部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット5は、電子部品Eを保持するとともに、基板B上の目標搭載位置(図示せず)に電子部品Eを搭載する複数(4つ)の実装ヘッド51を含んでいる。
【0037】
複数の実装ヘッド51は、各々、圧力発生装置(図示せず)に接続されており、圧力発生装置により生じる負圧によって、先端に装着されたノズルに電子部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド51は、各々、圧力発生装置による負圧を正圧に切り換えることによって、電子部品Eを基板Bに実装(搭載)可能に構成されている。
【0038】
複数の実装ヘッド51は、各々、Z軸モータ52によりZ方向(上下方向)に移動可能に構成されている。また、複数の実装ヘッド51は、各々、R軸モータ53(
図6参照)により回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0039】
(第1支持部)
第1支持部6は、
図1に示すように、ヘッドユニット5を水平方向のうちのX方向に移動可能に支持するように構成されている。つまり、第1支持部6は、ヘッドユニット5を基板Bの搬送方向(X1方向)および基板Bの搬送方向とは逆方向(X2方向)に移動可能に支持するように構成されている。
【0040】
第1支持部6には、X1方向に延びるボールねじ軸61と、ボールねじ軸61を回転させるX軸モータ62とが取り付けられている。ヘッドユニット5には、第1支持部6のボールねじ軸61と係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット5は、X軸モータ62によりボールねじ軸61が回転されることにより、ボールねじ軸61と係合するボールナットとともに、X方向に移動可能に構成されている。
【0041】
第1支持部6には、第1支持部6をY方向へ移動させるためのリニアモータ7の後述する可動子71が設けられている。可動子71は、第1支持部6のX1方向側の端部に設けられたプレート63に固定されている。
【0042】
(リニアモータ)
図2に示すように、リニアモータ7は、第1支持部6をY方向に移動させるように構成されている。具体的には、リニアモータ7は、可動子71と、固定子72と、ガイドレール73とを含んでいる。つまり、リニアモータ7は、可動子71と固定子72との間の引力および斥力を制御して可動子71にY方向の駆動力を発生させることにより、ガイドレール73に沿って第1支持部6をY方向に移動させるように構成されている。なお、固定子72は、特許請求の範囲の「駆動部材」の一例である。また、ガイドレール73は、特許請求の範囲の「ガイド部材」の一例である。
【0043】
このような構成により、ヘッドユニット5は、基台1上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット5は、作業位置において位置固定された基板Bの上方に移動し、基板B上の所定箇所に電子部品Eを実装することが可能である。
【0044】
(第2支持部)
図2および
図3に示すように、一対の第2支持部8の各々は、X方向において対向して配置されている。ここで、X2方向側の第2支持部8を第2支持部8aとし、X1方向側の第2支持部8を第2支持部8bとする。X2方向側の第2支持部8aは、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって配置されている。X1方向側の第2支持部8bは、第3支柱33と第4支柱34とにまたがって配置されている。なお、X2方向側の第2支持部8aは、特許請求の範囲の「第2支持部」の一例であり、X1方向側の第2支持部8bは、特許請求の範囲の「第3支持部」の一例である。
【0045】
X2方向側の第2支持部8aは、第1支柱31および第2支柱32に設けられ、Y方向に移動可能に第1支持部6を支持するように構成されている。X1方向側の第2支持部8bは、第3支柱33および第4支柱34に設けられ、Y方向に移動可能に第1支持部6を支持するように構成されている。つまり、一対の第2支持部8の各々は、ヘッドユニット5を基板Bの搬送方向(X方向)に直交する方向の一方向(Y1方向)および他方向(Y2方向)に移動可能に支持するように構成されている。
【0046】
本実施形態のX1方向側の第2支持部8bおよびX2方向側の第2支持部8aの各々の少なくとも一部は、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された高剛性部83を含んでいる。なお、X1方向側の第2支持部8bに含まれる高剛性部83は、特許請求の範囲の「第1高剛性部」の一例である。また、X2方向側の第2支持部8aに含まれる高剛性部83は、特許請求の範囲の「第2高剛性部」の一例である。
【0047】
以下の説明では、X1方向側の第2支持部8bとX2方向側の第2支持部8aとは同様の構成を有しているので、X2方向側の第2支持部8aに関して説明する。
【0048】
ここで、第2支持部8aにおける高剛性部83は、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって設けられている。詳細には、第2支持部8aの全体が、第1および第2支柱32とは別に設けられる高剛性部83により構成されている。つまり、第2支持部8aは、基台1に一体的に設けられた第1および第2支柱32とは別に取り付けられている。
【0049】
また、第2支持部8aにおける高剛性部83は、Y方向において、少なくとも第1支柱31の内側端部から第2支柱32の内側端部にわたる範囲に設けられている。詳細には、第2支持部8aにおける高剛性部83は、Y方向において、第1支柱31の外側端部から第2支柱32の外側端部にわたる範囲Dに設けられている。なお、第2支持部8aの高剛性部83は、Y方向において、第1支柱31の内側端部よりも外側の位置から第2支柱32の内側端部よりも外側の位置にわたる範囲Da(
図3参照)に設けられてもよい。また、第2支持部8bの高剛性部83に対しても、第2支持部8aの高剛性部83と同様に範囲Daに設けられてもよい。これにより、ヘッドユニット5の移動に伴って第1支持部6から第2支持部8aに加わる力を第1支柱31および第2支柱32に分散することができるとともに、ヘッドユニット5の移動に伴って第1支持部6から第2支持部8bに加わる力を第3支柱33および第4支柱34に分散することができる。
【0050】
また、高剛性部83としての第2支持部8aは、基台1および基台1に一体的に設けられた第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34よりもヤング率の高い材料により形成されている。具体的には、第2支持部8aは、構造用鉄鋼材により形成されている。第2支持部8aには、約210[GPa]以上のヤング率を有する構造用鉄鋼材が用いられることが好ましい。上記したヤング率を有する構造用鉄鋼材としては、SS(Steel Structure)400、S45CおよびS50Cなどが例示されるが、高剛性部83に用いる構造用鉄鋼材としては、コストと効果との関係などからSS400であることがより好ましい。
【0051】
第2支持部8aは、Y2方向側から視て、略L字形状を有している。すなわち、第2支持部8aは、第1部分81と、第2部分82とを含んでいる。
【0052】
第1部分81は、第2支持部8aにおけるZ1方向側の部分である。第1部分81は、第2部分82のZ1方向側の端部に一体的に設けられている。第1部分81は、第2部分82における基台1のX方向における中央部C側に配置されている。第1部分81は、第2部分82からZ1方向に向かって突出している。第1部分81におけるX方向の幅は、第1支柱31および第2支柱32の上面(Z1方向側の面)におけるX方向の幅よりも小さい。
【0053】
第2部分82は、第2支持部8aにおけるZ2方向側の部分である。第2部分82は、第1部分81のZ2方向側の端部に設けられている。第2部分82は、第1支柱31および第2支柱32の各々のZ1方向側の端部に取り付けられている。第2部分82は、第1支柱31および第2支柱32の上面の全体に配置されている。第2部分82におけるX方向の幅は、第1支柱31および第2支柱32の上面におけるX方向の幅と略同じである。
【0054】
ここで、第1部分81には、第1支持部6を移動可能に支持するガイドレール73が設置されている。つまり、ガイドレール73は、第1部分81に設けられ、第1支持部6のY方向への移動をガイドしている。また、第2部分82には、第1支持部6をY方向へ移動させるための固定子72が設置されている。つまり、固定子72は、第1支持部6の可動子71に対応して第2部分82に設けられ、第1支持部6をY方向へ移動させる機能を有している。
【0055】
(締結部材)
図4および
図5に示すように、締結部材9は、高剛性部83により構成される第2支持部8aを第1支柱31および第2支柱32に取り付けるように構成されている。また、締結部材9は、第2支持部8aと同様に、高剛性部83により構成される第2支持部8bを第3支柱33および第4支柱34に取り付けるように構成されている。なお、X2方向側の第2支持部8aの締結部材9は、特許請求の範囲の「第1締結部材」の一例であり、X1方向側の第2支持部8bの締結部材9は、特許請求の範囲の「第2締結部材」の一例である。
【0056】
ここで、高剛性部83により構成される第2支持部8aの上面には、締結部材9を挿入するざぐり孔84が形成されている。なお、X2方向側の第2支持部8aのざぐり孔84は、特許請求の範囲の「第1ざぐり孔」の一例であり、X1方向側の第2支持部8bのざぐり孔84は、特許請求の範囲の「第2ざぐり孔」の一例である。
【0057】
ざぐり孔84は、第2支持部8aの上面に複数(8個)形成されている。ざぐり孔84は、ざぐり部84aと、貫通孔84bとを有している。ざぐり部84aは、第2支持部8aの第2部分82のZ1方向側の面からZ2方向側に窪んでいる。貫通孔84bは、ざぐり部84aの底面からZ方向に第2部分82を貫通している。
【0058】
締結部材9は、ボルトにより構成されている。締結部材9は、ざぐり孔84に収容されている。つまり、締結部材9の上面(Z1方向側の面)は、ざぐり孔84に収容された状態で、第2支持部8aの第1部分81の上面(Z1方向側の面)以下の高さ位置に配置されている。なお、上記したざぐり孔84は、第2支持部8aだけでなく第2支持部8bにも形成されており、第2支持部8bのざぐり孔84にも締結部材9が収容されている。
【0059】
(部品認識カメラ)
部品認識カメラ10は、
図2に示すように、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って実装ヘッド51に保持(吸着)された電子部品Eを撮像する部品撮像用のカメラである。部品認識カメラ10は、基台1上に固定されており、電子部品Eの下方(Z2方向)から、実装ヘッド51に保持(吸着)された電子部品Eを撮像するように構成されている。
【0060】
(基板認識カメラ)
基板認識カメラ11は、ヘッドユニット5に取り付けられ、基板Bへの電子部品Eの実装に先立って、基板Bの上面に付されたFIマーク(Fiducial Mark(フィデューシャルマーク))(図示せず)を撮像するマーク撮像用のカメラである。FIマークは、基板Bの位置を確認するためのマークである。
【0061】
(制御部)
制御部12は、
図6に示すように、CPU(Central Processing Unit)12aおよび記憶部12bなどを含み、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部12は、テープフィーダ21、駆動モータ42、ヘッドユニット5、X軸モータ62、リニアモータ7、部品認識カメラ10および基板認識カメラ11に電気的に接続されている。記憶部12bには、電子部品Eの実装処理を行うための実装プログラムが記憶されている。
【0062】
(部品実装装置の製造方法)
以下に、部品実装装置の製造方法について
図7を参照して説明する。部品実装装置の製造方法は、基台1および基台1に取り付けられる第2支持部8aおよび第2支持部8bを加工する処理である。なお、部品実装装置の製造方法は、特許請求の範囲の「基板作業装置製造方法」の一例である。
【0063】
ステップS1において、基台1と第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34とが一体的に形成される。詳細には、基台1と、基台1に設けられ、水平方向のうちのY方向に対向する一対の支柱部とが鋳鉄により一体的に形成される。つまり、基台1と第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34とが鋳造により形成されている。ステップS2において、構造用鉄鋼材により第2支持部8aおよび第2支持部8bが形成される。詳細には、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により、ヘッドユニット5をX方向に移動可能に支持する第1支持部6を支持する第2支持部8aおよび第2支持部8bが形成される。
【0064】
ステップS3において、第1支柱31および第2支柱32に第2支持部8aが組み付けられる。また、ステップS3において、第3支柱33および第4支柱34に第2支持部8bが組み付けられる。詳細には、
図8に示すように、組付工程では、第1支柱31および第2支柱32の各々の上面に第2支持部8aがまたがって設置されるとともに、第3支柱33および第4支柱34の各々の上面に第2支持部8bがまたがって設置される。加えて、
図9に示すように、組付工程では、第1支柱31および第2支柱32にまたがって設置された第2支持部8aが締結部材9により第1支柱31および第2支柱32に固定されるとともに、第3支柱33および第4支柱34にまたがって設置された第2支持部8bが締結部材9により第3支柱33および第4支柱34に固定される。この際、
図10に示すように、Z方向において、ざぐり孔84のZ1方向側の高さ位置は、締結部材9のZ1方向側の高さ位置よりも高い。このように、基台1に設けられた第1支柱31および第2支柱32に第2支持部8aが組み付けられるとともに、第3支柱33および第4支柱34に第2支持部8bが組み付けられる。
【0065】
図7に示すように、ステップS4において、基台1の上面および第2支持部8aおよび第2支持部8bの上面の各々に対して平面加工が行われる。詳細には、
図11に示すように、平面加工工程では、基台1の上面の突起(ばり)の除去と基台1の上面に略水平な平面を形成する加工とが行われる。加えて、平面加工工程では、第1支柱31および第2支柱32に設置された第2支持部8aに第1部分81および第2部分82が形成されるとともに、第2支持部8aの第1部分81の上面および第2部分82の上面の各々が基台1の上面に略平行な平面に加工される。また、平面加工工程では、第3支柱33および第4支柱34に設置された第2支持部8bに第1部分81および第2部分82が形成されるとともに、第2支持部8bの第1部分81の上面および第2部分82の上面の各々が基台1の上面に略平行な平面に加工される。この際、
図12に示すように、Z方向において、ざぐり孔84のZ1方向側の高さ位置は、締結部材9のZ1方向側の高さ位置と略同じになる。このように、第2支持部8aおよび第2支持部8bを第1支柱31および第2支柱32と第3支柱33および第4支柱34とに組み付けた後、基台1の上面を平面にする加工と基台1の上面に対して平行な面を第2支持部8aおよび第2支持部8bに形成する加工とが行われる。
【0066】
これにより、
図7に示すステップS4において平面加工工程が完了すると部品実装装置100の基台1の製造が完了する。
【0067】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、一対の第1支柱31および第2支柱32と一対の第3支柱33および第4支柱34とのそれぞれにまたがって設けられ、Y方向に移動可能に第1支持部6を支持する一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bを設ける。そして、第2支持部8aに、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された高剛性部83を設ける。また、第2支持部8bに、第3支柱33と第4支柱34とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された高剛性部83を設ける。これにより、ヘッドユニット5の移動に伴って一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bに荷重が作用した場合でも、高剛性部83により一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの撓みを抑制することができる。この結果、ヘッドユニット5の移動に伴う一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの撓みに起因するヘッドユニット5の振動を抑制することにより、ヘッドユニット5による基板Bへの作業精度の低下を抑制することができる。また、ヘッドユニット5の振動を抑制することにより、ヘッドユニット5の振動が収まるまでの間、ヘッドユニット5による基板Bへの作業を停止する必要がないので、ヘッドユニット5による基板Bへの作業時間の短縮を図ることができる。また、ヘッドユニット5の振動を抑制することにより、ヘッドユニット5の移動速度をより速くすることができるので、ヘッドユニット5による基板Bへの作業時間が長くなることを抑制することができる。また、高剛性部83を設けることにより、一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの肉厚を大きくする必要がないので、部品実装装置100の大型化を抑制することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、高剛性部83を、構造用鉄鋼材により形成する。これにより、構造用鉄鋼材を用いて鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性部83を容易に形成することができるので、高剛性の第2支持部8aおよび第2支持部8bを容易に実現することができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、第2支持部8aを、少なくとも第1支柱31の内側端部と第2支柱32の内側端部とにわたる範囲Dに設ける。そして、第2支持部8bを、少なくとも第3支柱33の内側端部と第4支柱34の内側端部とにわたる範囲Dに設ける。これにより、第2支持部8aおよび第2支持部8bのうちヘッドユニット5の移動に伴って撓みやすい箇所に高剛性部83を設けることにより、ヘッドユニット5の移動に伴う一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの撓みを効果的に抑制することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、基台1と第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34とは、鋳鉄により一体的に形成されている。これにより、基台1と第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34とを別に製造して基台1に第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34を取り付ける場合と比較して、部品実装装置100の部品点数を減少させることができるとともに、部品実装装置100の構造を簡素化することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、第2支持部8aおよび第2支持部8bの全体は、第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34とは別に設けられる高剛性部83により構成されている。つまり、
図3に示すように、高剛性部83は、第1支柱31のY方向における外側端部と第2支柱32のY方向における外側端部との間、および、第3支柱33のY方向における外側端部と第4支柱34のY方向における外側端部との間に設けられている。これにより、ヘッドユニット5を支持する一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの全体を高剛性部83により形成することができるので、第2支持部8aおよび第2支持部8bをより撓みにくくすることができる。この結果、一対の第2支持部8aおよび第2支持部8bの撓みに起因するヘッドユニット5の振動をより抑制することにより、ヘッドユニット5による基板Bへの作業精度の低下をより抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置100に、高剛性部83により構成される第2支持部8aを第1支柱31および第2支柱32に取り付け、第2支持部8bを第3支柱33および第4支柱34に取り付ける締結部材9を設ける。高剛性部83により構成される第2支持部8aおよび第2支持部8bの上面には、締結部材9を挿入するざぐり孔84を形成する。これにより、締結部材9をざぐり孔84内に収容することができるので、第2支持部8aおよび第2支持部8bの上面に配置される他の構成に対して締結部材9が干渉することを防止することができる。また、高剛性部83により構成される第2支持部8aおよび第2支持部8bにざぐり孔84が形成されるので、ざぐり孔84の形成による第2支持部8aおよび第2支持部8bの強度の低下を極力抑え、必要な強度を確保することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、第2支持部8aおよび第2支持部8bに、第1部分81と、第2部分82とを設ける。これにより、基台1のX方向における中央部Cとは反対側に向かって第1部分81の下端部から第2部分82を突出させることにより、第1部分81のみにより構成される第2支持部8aおよび第2支持部8bと比較して、第2支持部8aおよび第2支持部8bの剛性を大きくすることができる。
【0075】
また、第1実施形態では、上記のように、ガイドレール73を、第1部分81に設ける。固定子72を、第1支持部6のリニアモータ7の可動子71に対応して第2部分82に設ける。これにより、第2支持部8aおよび第2支持部8bの第1部分81および第2部分82により直線状に延びるガイドレール73および固定子72を配置することができるので、部品実装装置100の大型化をより一層抑制することができる。
【0076】
また、第1実施形態では、上記のように、第2支持部8aにおける高剛性部83を、Y方向において、第1支柱31の外側端部から第2支柱32の外側端部にわたる範囲Dに設ける。第2支持部8bにおける高剛性部83を、Y方向において、第3支柱33の外側端部から第4支柱34の外側端部にわたる範囲Dに設ける。これにより、第1支持部6から第2支持部8aに加わる力を第1支柱31および第2支柱32に効率よく分散することができるとともに、第2支持部8aの撓みをより確実に回避することができる。加えて、第1支持部6から第2支持部8bに加わる力を第3支柱33および第4支柱34に効率よく分散することができるとともに、第2支持部8bの撓みをより確実に回避することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、上記のように、部品実装装置の製造方法に、第2支持部8aを第1支柱31および第2支柱32に組み付け、第2支持部8bを第3支柱33および第4支柱34に組み付けた後、基台1の上面を平面にする加工と基台1の上面に対して平行な面を第2支持部8aおよび8bに形成する加工とを行う工程を設ける。これにより、平面加工を行った基台1に平面加工を行った第2支持部8aおよび第2支持部8bを組み付ける場合と異なり、基台1の上面と第2支持部8aおよび第2支持部8bの面とを確実に平行にすることができる。この結果、第2支持部8aおよび第2支持部8bにより第1支持部6を介して支持されるヘッドユニット5の配置位置の精度を向上させることができるので、ヘッドユニット5による基板Bへの作業精度の低下をより抑制することができる。また、平面加工を行った基台1に平面加工を行った第2支持部8aおよび第2支持部8bを組み付ける場合と異なり、基台1の上面と第2支持部8aおよび第2支持部8bの面とを確実に平行にすることができるので、基台1の上面と第2支持部8aおよび第2支持部8bの面とを平行にするための調整工程を省略することができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図2および
図13を参照して、第2実施形態の部品実装装置200について説明する。第2実施形態の部品実装装置200は、詳細には、第2支持部8の全体が、高剛性部83により構成されている上記第1実施形態の部品実装装置100とは異なり、第2支持部208が、支持部本体281と、高剛性部282とにより構成されている。なお、第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成に関しては、同じ符号を付して説明を省略する。
【0079】
図1および
図2に示すように、部品実装装置200は、基台1と、フィーダ配置部2と、複数(4個)の支柱と、基板搬送部4と、ヘッドユニット5と、第1支持部6と、リニアモータ7と、一対の第2支持部208と、締結部材9と、部品認識カメラ10と、基板認識カメラ11と、制御部12とを備えている。なお、一対の第2支持部208は、特許請求の範囲の「一対の第2支持部および第3支持部」の一例である。
【0080】
(第2支持部)
図13に示すように、一対の第2支持部208aおよび第2支持部208bの各々は、X方向において対向している。ここで、X2方向側の第2支持部208を第2支持部208aとし、X1方向側の第2支持部208を第2支持部208bとする。X2方向側の第2支持部208aは、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって配置されている。X1方向側の第2支持部208bは、第3支柱33と第4支柱34とにまたがって配置されている。なお、X2方向側の第2支持部208aは、特許請求の範囲の「第2支持部」の一例であり、X1方向側の第2支持部208bは、特許請求の範囲の「第3支持部」の一例である。
【0081】
以下の説明では、X2方向側の第2支持部208aとX1方向側の第2支持部208bとは同様の構成を有しているので、X2方向側の第2支持部208aに関して説明する。
【0082】
本実施形態の高剛性部282は、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって設けられている。ここで、高剛性部282は、その一方の端部が第1支柱31に対向した部分に位置し、他方の端部が第2支柱32と対向した部分に位置するように設けられればよい。具体的には、高剛性部282は、Y方向において、第1支柱31のY2方向側の端(外側端部)から第2支柱32のY1方向側の端(外側端部)にわたる範囲Dに設けられている。ここで、高剛性部282は、その一方の端部が第1支柱31に対向した部分に位置し、他方の端部が第2支柱32と対向した部分に位置するように設ければよい。また、高剛性部282は、第1支柱31のY2側の端(外側の端)から第2支柱32のY1側の端(外側の端)にわたる範囲に設けられることがより好ましい。
【0083】
高剛性部282は、溶接により支持部本体281と一体的に取り付けられてもよいし、または、複数のボルトにより支持部本体281に取り付けられてもよい。
【0084】
このように、第2支持部208aは、支持部本体281と、第2支持部208aの一部として、支持部本体281に取り付けられる高剛性部282とを有している。
【0085】
〈支持部本体〉
また、支持部本体281は、鋳鉄により形成されている。ここで、支持部本体281には、基台1と同様に、約160[GPa]以下のヤング率を有する鋳鉄が用いられることが好ましい。支持部本体281は、基台1と同様に、鋳鉄の中でもFCD450により形成されることがより好ましい。
【0086】
支持部本体281は、Y2方向側から視て、L字形状を有している。すなわち、支持部本体281は、第1部分81と、第2部分82とを含んでいる。
【0087】
〈高剛性部〉
また、高剛性部282は、基台1および基台1に一体的に設けられた第1支柱31、第2支柱32、第3支柱33および第4支柱34よりもヤング率の高い材料により形成されている。具体的には、高剛性部282は、構造用鉄鋼材により形成されている。高剛性部282には、約210[GPa]以上のヤング率を有する構造用鉄鋼材が用いられることが好ましい。上記したヤング率を有する構造用鉄鋼材としては、SS400、S45CおよびS50Cなどが例示されるが、高剛性部282に用いる構造用鉄鋼材としては、コストと効果との関係などからSS400であることがより好ましい。
【0088】
高剛性部282は、Y2方向側から視て、平板形状を有している。高剛性部282は、支持部本体281における中央部C側の面に取り付けられている。詳細には、高剛性部282は、支持部本体281における第1支柱31と第2支柱32との間に設けられている。つまり、高剛性部282は、支持部本体281における搬送用空間35のZ1方向側に対応する箇所に配置されている。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の効果について説明する。
【0090】
第2実施形態では、上記のように、第2支持部208aに、第1支柱31と第2支柱32とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された高剛性部282を設ける。また、第2支持部208bに、第3支柱33と第4支柱34とにまたがって設けられ、鋳鉄よりもヤング率の高い高剛性材料により形成された高剛性部282を設ける。これにより、ヘッドユニット5による基板Bへの作業精度の低下を抑制することができる。
【0091】
また、第2実施形態では、上記のように、第2支持部208aおよび第2支持部208bに、支持部本体281と、第2支持部208aおよび第2支持部208bの一部として、支持部本体281に取り付けられる高剛性部282とを設ける。これにより、高剛性部282を支持部本体281に取り付けるだけで第2支持部208aおよび第2支持部208bを撓みにくくすることができるので、部品実装装置200の構造の複雑化を抑制することができる。
【0092】
また、第2実施形態では、上記のように、高剛性部282を、Y方向において、第1支柱31の外側端部から第2支柱32の外側端部にわたる範囲Dに設ける。これにより、第1支持部6から第2支持部208aに加わる力を第1支柱31および第2支柱32に効率よく分散することができるとともに、第2支持部208aの撓みをより確実に回避することができる。加えて、第1支持部6から第2支持部208bに加わる力を第3支柱33および第4支柱34に効率よく分散することができるとともに、第2支持部208bの撓みをより確実に回避することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0094】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、特許請求の範囲の「基板作業装置」の一例として部品実装装置100を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板作業装置は、印刷装置または検査装置などでもよい。
【0095】
また、上記第1および第2実施形態では、第1支持部6は、リニアモータ7によりY方向に移動するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1支持部は、駆動モータおよびボールねじを有する駆動機構によってY方向に移動するように構成されてもよい。
【0096】
上記第1および第2実施形態では、高剛性部83(282)は、構造用鉄鋼材により形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。高剛性部は、S50C(機械構造用炭素鋼)などを有する構造用炭素鋼材またはカーボンコンポジットなどを有するカーボン材により形成されている。
【0097】
上記第1および第2実施形態では、ヘッドユニット5は、ボールねじ軸61およびX軸モータ62によりX方向に移動するように構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットは、リニアモータによりX方向に移動するように構成されてもよい。
【0098】
上記第2実施形態では、高剛性部282は、支持部本体における中央部C側の面に取り付けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、高剛性部は、第2部分の上面などの他の面に取り付けられてもよい。
【0099】
上記第2実施形態では、高剛性部282は、Y方向において、第1支柱31のY2方向側の端(外側端部)から第2支柱32のY1方向側の端(外側端部)にわたる範囲Dに設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、高剛性部は、Y方向において、第1支柱の内側端部よりも外側の位置から第2支柱の内側端部よりも外側の位置にわたる範囲Db(
図13を参照)に設けられていればよい。これにより、ヘッドユニットの移動に伴って第1支持部から第2支持部に加わる力を第1支柱および第2支柱に効率よく分散することができるとともに、第2支持部の撓みをより確実に回避することができる。
【0100】
上記第1および第2実施形態では、ざぐり孔84は、第2支持部8(208)の上面に複数(8個)形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ざぐり孔は、第2支持部の上面に2~7個、または、9個以上形成されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 基台
4 基板搬送部
5 ヘッドユニット
6 第1支持部
7 リニアモータ
8a、208a (X2方向側の)第2支持部(第2支持部)
8b、208b (X1方向側の)第2支持部(第3支持部)
9 (X2方向側の第2支持部の)締結部材(第1締結部材)
9 (X1方向側の第2支持部の)締結部材(第2締結部材)
31、32 第1支柱、第2支柱
33、34 第3支柱、第4支柱
71 可動子
72 固定子(駆動部材)
73 ガイドレール(ガイド部材)
81 第1部分
82 第2部分
83、282 (X2方向側の第2支持部の)高剛性部(第1高剛性部)
83、282 (X1方向側の第2支持部の)高剛性部(第2高剛性部)
84 (X2方向側の第2支持部の)ざぐり孔(第1ざぐり孔)
84 (X1方向側の第2支持部の)ざぐり孔(第2ざぐり孔)
100、200 部品実装装置(基板作業装置)
281 支持部本体
B 基板
D 範囲